JP4266316B2 - 透け防止性に優れた高強力織物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、軽くて、風合いのよい織物で、しかも透け防止性及び引裂強度に優れた織物に関する。
【0002】
【従来の技術】
合成繊維は、天然繊維や再生繊維に比べて透明感が高く、淡色布帛は透けやすいという欠点があった。特にスポ−ツ、アウトドア−衣料分野においては、布帛が水に濡れると著しく透けて見えるため、合成繊維をこのような衣料分野に商品展開するには限度があった。
【0003】
そこで、このような欠点を改良するため、合成繊維を、原料に酸化チタン等の艶消剤を混合して紡糸して不透明化しようとする方法(特許文献1参照)、合成繊維表面を高濃度アルカリ溶液で処理し、粗面化し、不透明化する方法(特許文献2参照)、編地厚地化し、透けを防止する方法(特許文献3参照)等が試みられているが、これらの方法は、透け防止対策を考慮するあまりに、合成繊維本来のフィット感や光沢感等を低下させ、織物の強度や柔軟性を損ない、商品価値を低下させるものであった。
【0004】
一方、近年、スポーツ、アウトドアー衣料分野関係に高級感や高付加価値が重視され、天然繊維では得られない風合いの商品として、細繊度の糸を使用しながら、織物の強力や耐磨耗強度が高いことが求められるようになってきている。
【0005】
しかし、産業資材用高強力アミド繊維の製造法は、特許文献4及び特許文献5等、多く報告されているが、衣料用の高強力アミド繊維の製造法はあまり報告されておらず、特に、高強力繊維を使用した織物に関する発明はほとんど開発されていなかった。
【0006】
【特許文献1】
特開平8−60485号公報
【特許文献2】
特開平10−37065号公報
【特許文献3】
特開平8−158217号公報
【特許文献4】
特開平7−216649号公報
【特許文献5】
特開平6−330405号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、本発明は、透け防止性に優れ、しかも高強力で、柔軟な風合いの良い織物を提供することを課題とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は、合成繊維からなる織物を、緯糸に、芯糸と鞘糸をエアー交絡加工し、芯糸と鞘糸の繊度の比率が0.3〜4:1、複合繊度を20〜80dtexとした、10%以上の伸長率を有する複合糸を配し、かつ、前記芯糸及び鞘糸、並びに経糸をいずれも、総繊度が10〜40dtex、強度が5.5cN/dtex以上、伸度が30%以上の糸からなるものとし、かつ芯糸と鞘糸の単糸繊度を4dtex以下(好ましくは2dtex以下)とし、経糸の単糸繊度を2dtex以下とすること、及び前記合成繊維をナイロン6又はナイロン66としたことによって、前記課題を解決した。
【0009】
本発明の織物は、経糸の織密度が140〜250本/インチ、緯糸の織密度が110〜160本/インチであるのが好ましく、この範囲の織密度では、透け防止性に優れ、衣服の寸法安定性や生地に要求される伸縮性や品位のよい高密度織物を得ることが可能となる。スポーツ、アウトドアー衣料分野に適するものとして、カバ−ファクタ−が1500〜2500である織物とするのが好ましい。
【0010】
かかる本発明の織物では、比較的薄く柔軟な織物でありながら、引裂強度1kgf 以上を確保することも可能である。
【0011】
更に、本発明の織物は、横方向に、10〜30%の伸長率を80%の回復率で有するものであるのが好ましい。前記伸長率がこの範囲を逸脱すると、織機を低速で使用する必要があり、作業性に問題が生ずる。
【0012】
織物組織は、通常の組織でよいが、スポーツ用品に幅広く使用されている平織やリップストップタフタ組織であるのが好ましい。本発明では、60g/m2 以下の目付の織物で、所望の強度を備え、しかも透け防止性ある製品を得ることができる。
【0013】
緯糸としては、芯糸と鞘糸をエアー交絡加工した複合糸を使用するが、芯鞘の比率は、0.3〜4:1、特に0.5〜2:1であるのが好ましい。鞘率が高すぎると、強度が低下し、エアー交絡加工性が悪くなる。逆に、芯率が高すぎると、糸の伸びの回復率や風合いが悪くなる。
【0014】
前述した如き、芯糸と鞘糸を使用し、エアー交絡加工したものを緯糸とすることが必要である。
【0015】
好適な加工条件を例示すると下記の通りである。
〔エアー交絡加工条件〕
糸速:250〜600m/分
芯糸フィード率:7〜15%
鞘糸フィード率:20〜40%
エアー圧:6〜8kg
【0016】
なお、経糸も、緯糸の芯糸や鞘糸と同様の範囲の糸(繊度が10〜40dtex、単糸繊度が2dtex以下、強度が5.5cN/dtex以上、伸度が30%以上)を使用すればよいが、経糸の撚数は1000回/m程度以下であるのがよい。好適な仮撚加工条件を例示すると下記の通りである。
〔仮撚加工条件〕
ヤーン速度:300〜600m/分
加熱温度 :170〜180℃
DR :1.0±0.3
【0017】
複合糸の芯糸の単糸繊度が前記範囲を逸脱すると、複合糸の伸びの回復率が悪くなったり、またエアー交絡加工時にエアー交絡斑が生じる危険性がある。一方、鞘糸の単糸繊度が大となると、複合糸の伸びの回復率や風合いが悪くなり、またエアー交絡加工の加工性も悪くなる。
【0018】
更に、本発明において、緯糸を構成する芯糸と緯糸、並びに経糸をいずれも、総繊度が10〜40dtexの範囲のものとすることで、極薄手の生地の柔らかさをそのまま生かすことができ、かつ、生地にハリやコシを与え、衣服の寸法安定性を高めることが可能となる。しかし、これらの糸の総繊度が40dtexを越えると、高密度で風合いの良好な織物が得難くなり、逆に10dtexより小となると、十分な透け防止性が得られなくなる。
【0019】
また、本発明では、各糸を構成するフィラメントの単糸繊度を、芯糸と鞘糸は4dtex以下、好ましくは2dtex以下、経糸は2dtex以下とするが、このように細い糸を使用することによって、エアー交絡加工や製織工程の操業性が良好となり、染色性が向上し、染色堅牢度にも優れ、しかも破断強度の向上にも優れた、しなやかな感触の製品を得ることが可能となるのである。
【0020】
本発明の織物の緯糸に、エアー交絡加工した複合糸を用いると、生地自体の透け過ぎを防止し、生地の色や柄、模様を視覚的に引き立たせ、合繊特有の薄さ、美しさ、軽やかさを生かすことができる。また、複合糸の複合繊度は、20〜80dtexの範囲のものとすることで、透け防止性に優れると共に、高密度で極薄手の生地の柔らかさを生かすことができる。また、複合糸は10%以上、好ましくは30%以上の伸長率を有すると、ストレッチ性の良好な織物を得ることができる。
【0021】
本発明では、各糸に、強度が5.5cN/dtex以上、伸度が30%以上の範囲の糸を使用する。この強度が5.5cN/dtex未満では、織物とした時の強度が不足し、高密度で高強力の織物が得られない。また、織物の引裂強度は、使用する繊維の破断強度が大きければ、要求レベルまで向上させることができるが、原糸の破断伸度を低下させて製織する場合、経糸の毛羽が多く、停台が多いという問題があり、製織性が悪くなる。従って、破断強度を大きくすると共に、破断伸度を30%以上、好ましくは30〜50%の範囲とするのがよい。
【0022】
本発明で使用する合成繊維は、ナイロン6又はナイロン66であればよいが、特に、相対粘度2.8〜3.5の樹脂を紡糸したものを使用するのがよい。また、糸の延伸倍率は例えばDR=3.5以上というように高度であるのが好ましく、多段延伸や熱延伸が適用されるのがよい。
【0023】
【発明の実施の形態】
次に、表1に示す条件でA〜Zの織物を製造した。
なお、本発明に従ったP〜Zで使用した緯糸は芯糸と鞘糸を下記の条件でエアー交絡加工したものである(表中、緯糸の欄に22/20BR*33/24BR等とあるのは、組み合わせて使用した芯糸と鞘糸の種類を示す)。
エアー交絡加工
加工条件 糸速: 500m/分
・ 芯糸フィード率: 7%
・ 鞘糸フィード率:25%
・ エアー圧: 6Kg
・ ノズル: 化繊ノズル社のノズルを使用
【0024】
経糸は、下記条件で仮撚加工した仮撚糸を使用した。
ヤーン速度: 500m/分
加熱温度 : 175℃
DR : 1.0±0.3
撚数 250回/m
【0025】
製品の透け性は、下記の不透明度測定方法に従って測定したLw(K/S白)とLb(K/S黒)の差によって示す。
不透明度測定方法
黒(反射率RB =6.0%)と白(反射率RW =84.8%)の台紙に試料を置き、600nmでそれぞれの試料反射率(R)を求める。
K/S=(1−R)(1−R)/2R
・ K:表面の吸光
・ S:表面の散乱
測定条件 装置:自記分光光度計(島津製作所UV−3101PC)
・ 波長:600nm
△K/S=(K/S白)−(K/S黒)=Lw−Lb
・ 差が大きいほど透け大
・ 差があればあるほど、透明度有
透け性(△K/S)は、この方法で評価し、値が18以下であれば透け防止性に優れるといえるが、10以下であるのが、より好適である。
【0026】
また、実施例で使用した33/24BRは33dtex/24f のブライト糸(ナイロン6)であり、強度5.8〜6.2cN/dtex、伸度35〜40%を有するものである。また、P〜Zの緯糸に、33/24BR*33/24BR等とあるのは、エアー交絡加工した芯糸と鞘糸の種類を示すものである。また、エアー交絡加工した複合糸の伸長率は約30%である。
【0027】
A〜Zの織物の物性及び評価を表1に示すが、織物目付は下記の通りである。
A〜J:38〜42g/m2
K〜O:45〜68g/m2
P〜Z(本発明品):39〜55g/m2
【0028】
【表1】
【0029】
表1に見られる通り、従来品の織物(A〜F)は透け性が30以上で、スポーツ衣料等に実用性がなく、またG〜Oについては、経、緯方向の加密加工を高めたり、セミダル糸やフルダル糸の使用で、透け防止性が改善される傾向にあるが、実用性ある製品を得ることはできなかった。なお、緯糸に仮撚加工糸を使用しても(C、I)十分な改良はできなかった。
【0030】
しかし、本発明に従って、緯糸にエアー交絡加工糸を使用すると、透け性が著しく下がり、所望の効果を得ることができた。また、後加工(染色)をすることにより、更に効果を高めることもできた(P〜Z参照)。また、本発明に従った織物(P〜Z)は、いずれも横方向に10〜30%の伸長率を80%の回復率で有していた。
【0031】
【発明の効果】
本発明の織物は、緯糸に芯糸と鞘糸をエアー交絡加工して得た特定の複合糸を使用することにより、そのループや絡みにより、光が乱反射され、薄織物であっても、透け防止効果が生じ、スポーツ衣料等に幅広く利用価値あるものとなる。なお、織物の引き裂き強度も実用性あるものとなる。また、柔軟で、風合のよい軽量の織物を得ることができる。
Claims (6)
- 合成繊維からなる織物であって、緯糸が、芯糸と鞘糸をエアー交絡加工し、芯糸と鞘糸の繊度の比率が0.3〜4:1、複合繊度を20〜80dtexとした、10%以上の伸長率を有する複合糸からなり、前記芯糸及び鞘糸、並びに経糸がいずれも、総繊度が10〜40dtex、強度が5.5cN/dtex以上、伸度が30%以上の糸からなること、及び芯糸と鞘糸の単糸繊度が4dtex以下、経糸の単糸繊度が2dtex以下であること、及び前記合成繊維がナイロン6又はナイロン66であることを特徴とする織物。
- 経糸の織密度が140〜250本/インチ、緯糸の織密度が110〜160本/インチであることを特徴とする請求項1に記載の織物。
- カバ−ファクタ−が1500〜2500であることを特徴とする請求項1又は2に記載の織物。
- 引裂強度が1kgf 以上であることを特徴とする請求項1〜3いずれか1項に記載の織物。
- 横方向に、10〜30%の伸長率を80%の回復率で有することを特徴とする請求項1〜4いずれか1項に記載の織物。
- 織物の目付が60g/m2 以下であることを特徴とする請求項1〜5いずれか1項に記載の織物。
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