JP4360575B2 - 液晶化合物、液晶混合物、液晶組成物、電解質、電気化学電池および光電気化学電池 - Google Patents
液晶化合物、液晶混合物、液晶組成物、電解質、電気化学電池および光電気化学電池 Download PDFInfo
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、新規な液晶化合物、特に電解質として有用な新規な液晶化合物、およびこの混合物と組成物に関する。さらにはこのような新規なものも含め、特定の液晶化合物、混合物、組成物を用いた電解質、およびそれら電解質を用いた電気化学電池、特に光電気化学電池に関する。
【0002】
【従来の技術】
リチウムイオン二次電池や後述する色素増感太陽電池などの電気化学電池に用いられる電解質とは、目的に応じたイオンを含み、そのイオンを電極間に輸送する機能(イオン伝導という)を持つ媒体である。一般に、イオン伝導性が高い溶液系が電解質として多く用いられているが、電池に組み込んだ際の溶媒の枯渇や漏れが電池の耐久性を低下させるなどの問題があった。また、溶液を密閉するため、金属容器を用いなければならないため、電池重量が重くなり、電池形状にも自由度を持たせることが困難であった。このような溶液系電解質の欠点を克服するため、近年、種々の電解質が提案されている。溶液電解質をポリマーマトリックスに浸潤させたいわゆるゲル電解質は、溶液系電解質に対して、イオン伝導度の低下が小さく電池性能を落とさないが、溶媒の揮発を完全に抑止することはできていない。また、塩をポリエチレンオキシドなどのポリマーに溶解したポリマー電解質は、溶液系電解質の問題を解決するものとして期待されるが、イオン伝導度は未だ十分ではない。一方、対アニオンがBF4 -、(CF3SO2)2N-などのイミダゾリウム塩やピリジニウム塩は、室温で液状の室温溶融塩であり、リチウムイオン電池用の電解質として提案されているが、電解質の機械的強度とイオン伝導性とは相反し、溶融塩自身の粘性を上げたり、ポリマーを含有させるなどの手段で、機械的強度を強くした場合にはイオン伝導度の低下が見られる。さらに、上記のような電解質では、イオン伝導性の温度依存性が大きく、特に低温でのイオン伝導性が不十分であった。
【0003】
ところで、光エネルギーを電気エネルギーに変換する太陽光発電は単結晶シリコン太陽電池、多結晶シリコン太陽電池、アモルファスシリコン太陽電池、テルル化カドミウムやセレン化インジウム銅等の化合物太陽電池が実用化、もしくは研究開発の対象となっているが、普及させる上で製造コスト、原材料の確保、エネルギーペイバックタイムの長さなどの問題点を克服する必要がある。一方、大面積化や低価格化を指向した有機材料を用いた太陽電池もこれまでにも多く提案されているが、変換効率が低く、耐久性も悪いという問題があった。
【0004】
こうした状況の中で、Nature(第353巻、第737〜740頁、1991年)および米国特許4927721号等に、色素によって増感された酸化物半導体を用いた光電変換素子(以後、色素増感光電変換素子と略す)およびこれを用いた光電気化学電池の技術が開示された。この電池は負極として機能する光電変換素子、電荷移動層および対極からなる。光電変換素子は導電性支持体および感光層からなり、感光層は表面に色素が吸着した半導体を含む。電荷移動層は酸化還元体からなり、負極と対極(正極)との間で電荷輸送を担う。上記特許で提案された光電気化学電池では、電荷移動層としてヨウ化カリウム等の塩を電解質とする水溶液(電解液)が用いられた。この方式は安価で、比較的高いエネルギー変換効率(光電変換効率)が得られる点で有望であるが、長期にわたって使用すると電解液の蒸散、枯渇により光電変換効率が著しく低下したり、電池として機能しなくなることが問題であった。
【0005】
この問題に対し、電解液の枯渇防止方法として、WO95/18456号に低融点化合物であるイミダゾリウム塩を電解質とする方法が記載されている。この方法によれば、従来、電解質の溶媒として用いていた水や有機溶剤が不要、あるいは少量で済むため、耐久性の改善は見られたが、未だ耐久性は不十分であり、またイミダゾリウム塩を高濃度にすると光電変換効率が低くなるという問題があった。さらには、トリアゾリウム塩を電解質とする方法もあるが、この方法においてもイミダゾリウム塩と同様の問題が生じる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、新規な液晶化合物、特に電気化学電池用電解質材料として有用な化合物、およびこれらの混合物と組成物を提供することである。さらには、これらの新規なものも含め、特定の液晶化合物、混合物、組成物を用い、電気伝導性が高く、耐久性に優れた電解質、特に光電気化学電池の電解質を提供することである。さらには耐久性に優れた電気化学電池、特に光電変換効率および耐久性に優れた光電気化学電池を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記課題は、下記の本発明を特定する事項およびその好ましい態様により達成された。
(1)式(I)で表される液晶性化合物。
【0008】
【化7】
【0009】
[式(I)中、R111は直接もしくは2価の連結基を介して結合した、置換もしくは無置換のアルキル基または置換もしくは無置換のアルケニル基を表し、Z111は窒素原子と共に5員環または6員環の芳香族複素環カチオンを形成しうる原子団を表す。R121は少なくとも1つの2価の環状連結基と少なくとも1つの置換もしくは無置換のアルキル基または置換もしくは無置換のアルケニル基とを含む液晶性を付与する置換基を表し、X111 -はアニオンを表す。]
(2)式(I)のX111 -がヨウ素アニオンである上記(1)の電解質。
(3)式(I)で表される液晶化合物のR121が式(II)で表される上記(1)または(2)の電解質。
【0010】
【化8】
【0011】
[式(II)中、R122は置換もしくは無置換のアルキル基または置換もしくは無置換のアルケニル基を表し、Y111は2価の4ないし7員環置換基またはそれらから構成される縮合環置換基を表す。Q121およびQ131は2価の連結基または単結合を表し、nは1、2または3を表し、nが2または3の時、複数のY111、Q121、Q131は同じであっても、異なってもよい。]
(4)式(II)の置換基Y111が、6員環芳香族基、4ないし6員環の飽和もしくは不飽和環状脂肪族基、5ないし6員環複素環基、またはそれらの縮合環基で表される上記(3)の電解質。
(5)式(II)で表される液晶化合物のZ111と窒素原子でできる環がピリジニウムまたはイミダゾリウムである上記(3)または(4)の電解質。
(6)前記液晶化合物を50質量%以上含有する上記(1)〜(5)のいずれかの電解質。
(7)前記液晶化合物を80質量%以上含有する上記(1)〜(6)のいずれかの電解質。
(8)電気化学電池に用いられる上記(1)〜(7)のいずれかの電解質。
(9)光電気化学電池に用いられる上記(1)〜(7)のいずれかの電解質。
(10)式(III-a)で表されるピリジニウム化合物、または式(III-b)で表されるイミダゾリウム化合物を含む液晶組成物。
【0012】
【化9】
【0013】
[式(III-a)および式(III-b)中、R341、R351、R361およびR371はそれぞれ水素原子または置換基を表し、R311およびR331はそれぞれ置換もしくは無置換のアルキル基またはアルケニル基を表す。Y311は2価の4ないし7員環置換基またはそれらから構成される縮合環置換基を表す。Q311およびQ321はそれぞれ2価の連結基または単結合を表し、nは1、2または3を表し、nが2または3の時、複数のY311、Q311およびQ321はそれぞれ同じであっても、異なってもよい。]
(11)式(IV-a)または式(IV-b)で表される液晶性化合物。
【0014】
【化10】
【0015】
[式(IV-a)および式(IV-b)中、Q111は2価の連結基(ただし、ポリメチレン基またはフェニレンビスメチレン基のときはヘテロ原子が介在する。)を表し、X111 -はアニオンを表す。R141、R151、R161およびR171はそれぞれ水素原子または置換基を表し、R131は置換もしくは無置換のアルキル基または置換もしくは無置換のアルケニル基を表す。Y111は2価の4、5、6もしくは7員環置換基またはそれらから構成される縮合環置換基を表し、Q121およびQ131は2価の連結基または単結合を表す。nは1、2または3を表し、nが2または3の時、複数のY111、Q121およびQ131はそれぞれ同じであっても、異なってもよい。]
(12)式(IV-a)または式(IV-b)のX111がヨウ素アニオンである上記(11)の液晶化合物。
(13)式(IV-a)または式(IV-b)のX111がヨウ素アニオンである上記(11)または(12)の液晶化合物。
(14)式(IV-a)または式(IV-b)のQ111が式(V)で表される上記(11)〜(13)のいずれかの液晶化合物。
【0016】
【化11】
【0017】
[式(V)中、Q211は2価の連結基(ただし、メチレン基になることはなく、ポリメチレン基のときはヘテロ原子が介在する。)を表し、R211、R221、R231およびR241はそれぞれ水素原子または置換基を表し、Q211と結合して環を形成してもよい。mは0または1を表す。]
(15)式(IV-a)または式(IV-b)のQ111が式(VI)で表される上記(11)〜(13)のいずれかの液晶化合物。
【0018】
【化12】
【0019】
[式(VI)中、qは1〜30の整数を表す。]
(16)上記(11)〜(15)のいずれかの液晶化合物を少なくとも2種含有する液晶混合物。
(17)式(VI)のqの異なる少なくとも2種の液晶化合物を含有する上記(16)の液晶混合物。
(18)上記(11)〜(17)のいずれかの液晶化合物または液晶混合物とアルカリ金属塩およびアルカリ土類金属塩の少なくとも1種とを含有する液晶組成物。
(19)上記(11)〜(18)のいずれかの液晶化合物、液晶混合物または液晶組成物を含む電解質。
(20)液晶化合物、液晶混合物または液晶組成物の含有量が50質量%以上である上記(19)の電解質。
(21)ヨウ素を含む上記(19)または(20)の電解質。
(22)上記(1)〜(9)、(19)〜(21)のいずれかの電解質を有する電気化学電池。
(23)上記(1)〜(9)、(19)〜(21)のいずれかの電解質を少なくとも含む電荷移動層と輻射線に感応する半導体とを有する光電気化学電池。
(24)上記半導体が色素で増感された微粒子半導体である上記(23)の光電気化学電池。
(25)微粒子半導体が金属カルコゲニドである上記(24)の光電気化学電池。
(26)金属カルコゲニドが酸化チタンを含む上記(25)の光電気化学電池。
(27)前記色素が金属錯体色素および/またはポリメチン色素である上記(24)〜(26)のいずれかの光電気化学電池。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の式(I)で表されるイオン性の液晶化合物を含む電解質は、化学反応および金属メッキ等の反応溶媒、CCD(電荷結合素子)カメラ、種々の電気化学電池(いわゆる電池)に用いることができるが、好ましくはリチウム二次電池または下記の半導体を用いた光電気化学電池に用いられ、光電気化学電池に用いることがより好ましい。
【0021】
式(I)で表される化合物については、後に詳述するが、室温(25℃)で液晶相を形成する液体または低融点固体の塩である。一般的な低分子溶媒を使用した電解質を電池に組み込んだ場合は、溶媒の揮発や液漏れによる電池性能の劣化が問題であった。一方、室温で液体の塩、いわゆる溶融塩と呼ばれる化合物を電解質に用いる方法が知られているが、これらは、融点が極めて高いため揮発による電池性能の劣化を防止するには有効であるが、粘性が高いため電荷輸送能が低く、光電気化学電池に組み込んだ場合、十分な光電変換効率を得ることはできない。これら溶媒や溶融塩を使用した電解質に比べ、本発明の液晶性溶融塩からなる電解質は、高い粘性を保った液晶状態で、高い電荷輸送能を有するため、電池の性能を落とさず、性能劣化を防止することができる。また、電荷輸送性能が十分であり、特に光電気化学電池に用いたときの光電変換効率に優れる。
【0022】
以下に、本発明の電解質が好ましく用いられる光電気化学電池について説明する。本発明の光電気化学電池は、光電変換素子を外部回路で仕事をさせる電池用途に使用できるようにしたものであり、輻射線に感応する半導体と電荷移動層と対極とを有する。この電荷移動層に本発明の電解質が含有されている。
【0023】
本発明において光電変換素子は導電性支持体、導電性支持体上に設置される半導体膜(感光層)、電荷移動層および対極からなる。感光層は目的に応じて設計され、単層構成でも多層構成でもよい。本発明では、感光層、すなわち半導体膜は色素により増感されているのが好ましい。感光層に入射した光は色素等を励起する。励起された色素等はエネルギーの高い電子を有しており、この電子が色素等から半導体微粒子の伝導帯に渡され、さらに拡散によって導電性支持体に到達する。この時色素等の分子は酸化体となっている。光電気化学電池においては導電性支持体上の電子が外部回路で仕事をしながら対極および電荷移動層を経て色素等の酸化体に戻り、色素等が再生する。半導体膜はこの電池の負極として働く。なお、本発明ではそれぞれの層の境界において(例えば、導電性支持体の導電層と感光層の境界、感光層と電荷移動層の境界、電荷移動層と対極の境界など)、各層の構成成分同士が相互に拡散して混合していてもよい。例えば、電荷移動層は明確な層をなすものでなくてもよく、半導体微粒子の層に電解質が一部または全部含浸ないし浸透されていてもよい。
【0024】
本発明において、半導体はいわゆる感光体であり、光を吸収して電荷分離を行い電子と正孔を生ずる役割を担う。色素増感された半導体では、光吸収およびこれによる電子および正孔の発生は主として色素において起こり、半導体はこの電子を受け取り、伝達する役割を担う。
【0025】
半導体としてはシリコン、ゲルマニウムのような単体半導体の他に、金属のカルコゲニド(例えば酸化物、硫化物、セレン化物等)に代表されるいわゆる化合物半導体またはペロブスカイト構造を有する化合物等を使用することができる。金属のカルコゲニドとして好ましくはチタン、スズ、亜鉛、鉄、タングステン、ジルコニウム、ハフニウム、ストロンチウム、インジウム、セリウム、イットリウム、ランタン、バナジウム、ニオブ、もしくはタンタルの酸化物、カドミウム、亜鉛、鉛、銀、アンチモン、ビスマスの硫化物、カドミウム、鉛のセレン化物、カドミウムのテルル化物等が挙げられる。他の化合物半導体としては亜鉛、ガリウム、インジウム、カドミウム等のリン化物、ガリウムヒ素、銅−インジウム−セレン化物、銅−インジウム−硫化物等が挙げられる。
【0026】
また、ペロブスカイト構造を有する化合物として好ましくはチタン酸ストロンチウム、チタン酸カルシウム、チタン酸ナトリウム、チタン酸バリウム、ニオブ酸カリウムが挙げられる。
【0027】
本発明に用いられる半導体としてより好ましくは、具体的にはSi、TiO2、SnO2、Fe2O3、WO3、ZnO、Nb2O5、CdS、ZnS、PbS、Bi2S3、CdSe、CdTe、GaP、InP、GaAs、CuInS2、CuInSe2が挙げられる。さらに好ましくはTiO2、ZnO、SnO2、Fe2O3、WO3、Nb2O5、CdS、PbS、CdSe、InP、GaAs、CuInS2、CuInSe2であり、特に好ましくはTiO2またはNb2O5であり、最も好ましくはTiO2である。
【0028】
本発明に用いられる半導体は、単結晶でも、多結晶でもよい。変換効率としては単結晶が好ましいが、製造コスト、原材料確保、エネルギーペイバックタイム等の点では多結晶が好ましく、特にナノメートルからマイクロメートルサイズの微粒子半導体が好ましい。
【0029】
これらの半導体微粒子の粒径は、投影面積を円に換算したときの直径を用いた平均粒径で一次粒子として5〜200nmであることが好ましく、特に8〜100nmであることが好ましい。また、分散物中の半導体微粒子(二次粒子)の平均粒径としては0.01〜100μmであることが好ましい。
【0030】
また、2種類以上の粒子サイズ分布の異なる微粒子を混合して用いてもよく、この場合、小さい粒子の平均サイズは5nm以下であることが好ましい。また、入射光を散乱させて光捕獲率を向上させる目的で、粒子サイズの大きな、例えば300nm程度の半導体粒子を混合してもよい。
【0031】
半導体微粒子の作製法は、作花済夫の「ゾルーゲル法の科学」アグネ承風社(1988年)、技術情報協会の「ゾルーゲル法による薄膜コーティング技術」(1995)等に記載のゾルーゲル法、杉本忠夫の「新合成法ゲルーゾル法による単分散粒子の合成とサイズ形態制御」 まてりあ、第35巻、第9号 1012頁から1018頁(1996)記載のゲルーゾル法が好ましい。
【0032】
またDegussa社が開発した塩化物を酸水素炎中で高温加水分解により酸化物を作製する方法も好ましい。
【0033】
また酸化チタンの場合は上記のゾルーゲル法、ゲルーゾル法、塩化物を酸水素炎中で高温加水分解法がいずれも好ましいが、さらに清野学の「酸化チタン 物性と応用技術」技報堂出版(1997)に記載の硫酸法、塩素法を用いることもできる。
【0034】
酸化チタンの場合は上記のゾルーゲル法のうち特にバーブ等の「ジャーナル・オブ・アメリカン・セラミック・ソサエティー 第80巻、第12号、3157ページから3171ページ(1997)」記載のものと、バーンサイド等の「ケミカル・マテリアルズ 第10巻 第9号、2419ページから2425ページ」記載の方法が好ましい。
【0035】
導電性支持体は、金属のように支持体そのものに導電性があるものか、または表面に導電剤を含む導電層(導電剤層)を有するガラスもしくはプラスチックの支持体を使用することができる。後者の場合好ましい導電剤としては金属(例えば白金、金、銀、銅、アルミニウム、ロジウム、インジウム等)、炭素、もしくは導電性の金属酸化物(インジウム−スズ複合酸化物、酸化スズにフッ素をドープしたもの等)が挙げられる。上記導電剤層の厚さは、0.02〜10μm程度であることが好ましい。
【0036】
導電性支持体は表面抵抗が低い程よい。好ましい表面抵抗の範囲としては100Ω/cm2以下であり、さらに好ましくは40Ω/cm2以下である。この下限には特に制限はないが、通常0.1Ω/cm2程度である。
【0037】
導電性支持体は実質的に透明であることが好ましい。実質的に透明であるとは光の透過率が10%以上であることを意味し、50%以上であることが好ましく、70%以上が特に好ましい。透明導電性支持体としてはガラスもしくはプラスチックに導電性の金属酸化物を塗設したものが好ましい。この中でもフッ素をドーピングした二酸化スズからなる導電層を低コストのソーダ石灰フロートガラスでできた透明基板上に堆積した導電性ガラスが特に好ましい。また、低コストでフレキシブルな光電変換素子または太陽電池には、透明ポリマーフィルムに上記導電層を設けたものを用いるのがよい。透明ポリマーフィルムには、テトラアセチルセルロース(TAC)、ポリエチレンテレフタレート(PET),ポリエチレンナフタレート(PEN)、シンジオクタチックポリステレン(SPS)、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリカーボネート(PC)、ポリアリレート(PAr)、ポリスルフォン(PSF)、ポリエステルスルフォン(PES)、ポリエーテルイミド(PEI)、環状ポリオレフィン、ブロム化フェノキシ等がある。透明導電性支持体を用いる場合、光はその支持体側から入射させることが好ましい。この場合、導電性金属酸化物の塗布量はガラスもしくはプラスチックの支持体1m2当たり0.01〜100gが好ましい。
【0038】
透明導電性基板の抵抗を下げる目的で金属リードを用いることも好ましい。金属リードの材質はアルミニウム、銅、銀、金、白金、ニッケル等の金属が好ましく、特にアルミニウム、銀が好ましい。金属リードは透明基板に蒸着、スッパタリング等で設置し、その上にフッ素をドープした酸化スズ、またはITO膜からなる透明導電層を設けることが好ましい。また上記の透明導電層を透明基板に設けたあと、透明導電層上に金属リードを設置することも好ましい。金属リード設置による入射光量の低下は1〜10%、より好ましくは1〜5%である。
【0039】
半導体微粒子を導電性支持体上に塗設する方法としては、半導体微粒子の分散液またはコロイド溶液を導電性支持体上に塗布する方法、前述のゾル−ゲル法などが挙げられる。光電変換素子の量産化、液物性や支持体の融通性を考えた場合、湿式の膜付与方式が比較的有利である。湿式の膜付与方式としては、塗布法、印刷法が代表的である。
【0040】
半導体微粒子の分散液を作成する方法としては前述のゾル-ゲル法の他、乳鉢ですり潰す方法、ミルを使って粉砕しながら分散する方法、あるいは半導体を合成する際に溶媒中で微粒子として析出させそのまま使用する方法等が挙げられる。分散媒としては水または各種の有機溶媒(例えばメタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ジクロロメタン、アセトン、アセトニトリル、酢酸エチル等)が挙げられる。分散の際、必要に応じてポリマー、界面活性剤、酸、もしくはキレート剤などを分散助剤として用いてもよい。
【0041】
塗布方法としては、アプリケーション系としてローラ法、ディップ法、メータリング系としてエアーナイフ法、ブレード法等、またアプリケーションとメータリングを同一部分でできるものとして、特公昭58−4589号公報に開示されているワイヤーバー法、米国特許2681294号、同2761419号、同2761791号等に記載のスライドホッパ法、エクストルージョン法、カーテン法等が好ましい。また汎用機としてスピン法やスプレー法も好ましく用いられる。
【0042】
湿式印刷方法としては、従来から凸版、オフセット、グラビアの3大印刷法をはじめ、凹版、ゴム版、スクリーン印刷等が好ましい。
【0043】
前記方法の中から、液粘度やウェット厚みにより好ましい膜付与方式を選択する。
【0044】
液粘度は半導体微粒子の種類や分散性、使用溶媒種、界面活性剤やバインダー等の添加剤により大きく左右される。高粘度液(例えば0.01〜500P)ではエクストルージョン法やキャスト法が好ましく、低粘度液(例えば0.1P以下)ではスライドホッパー法もしくはワイヤーバー法もしくはスピン法が好ましく、均一な膜にすることが可能である。
【0045】
なお、エクストルージョン法による低粘度液の塗布の場合でも塗布量がある程度の量あれば塗布は可能である。
【0046】
また半導体微粒子の高粘度ペーストの塗設にはしばしばスクリーン印刷が用いられており、この手法を使うこともできる。
【0047】
このように塗布液の液粘度、塗布量、支持体、塗布速度等のパラメータに対応して、適宜ウェット膜の付与方式を選択すればよい。
【0048】
さらに、半導体微粒子層は単層と限定する必要はない。微粒子の粒径の違った分散液を多層塗布することも可能であり、また半導体の種類が異なる、あるいはバインダー、添加剤の組成が異なる塗布層を多層塗布することもでき、また一度の塗布で膜厚が不足の場合にも多層塗布は有効である。多層塗布には、エクストルージョン法またはスライドホッパー法が適している。また多層塗布をする場合は同時に多層を塗布しても良く、数回から十数回順次重ね塗りしてもよい。さらに順次重ね塗りであればスクリーン印刷法も好ましく使用できる。
【0049】
一般に、半導体微粒子含有層の厚みが増大するほど単位投影面積当たりの担持色素量が増えるため光の捕獲率が高くなるが、生成した電子の拡散距離が増すため電荷再結合によるロスも大きくなる。したがって、半導体微粒子含有層には好ましい厚さが存在するが、典型的には0.1〜100μmである。光電気化学電池として用いる場合は1〜30μmであることが好ましく、2〜25μmであることがより好ましい。半導体微粒子の支持体1m2当たりの塗布量は0.5〜400g、さらには5〜100gが好ましい。
【0050】
半導体微粒子は導電性支持体に塗布した後に粒子同士を電子的にコンタクトさせるため、および塗膜強度の向上や支持体との密着性を向上させるために加熱処理することが好ましい。好ましい加熱処理温度の範囲は40℃以上700℃未満であり、より好ましくは100℃以上600℃以下である。また加熱処理時間は10分〜10時間程度である。ポリマーフィルムなど融点や軟化点の低い支持体を用いる場合は、高温処理は支持体の劣化を招くため、好ましくない。また、コストの観点からもできる限り低温であることが好ましい。低温化は、先に述べた5nm以下の小さい半導体微粒子の併用や鉱酸の存在下での加熱処理等により可能である。
【0051】
また、加熱処理後、半導体粒子の表面積を増大させたり、半導体粒子近傍の純度を高め、色素から半導体粒子への電子注入効率を高める目的で、例えば四塩化チタン水溶液を用いた化学メッキや三塩化チタン水溶液を用いた電気化学的メッキ処理を行ってもよい。
【0052】
半導体微粒子は多くの色素を吸着することができるように表面積の大きいものが好ましい。このため半導体微粒子層を支持体上に塗設した状態での表面積は、投影面積に対して10倍以上であることが好ましく、さらに100倍以上であることが好ましい。この上限には特に制限はないが、通常1000倍程度である。
【0053】
本発明に使用する色素は錯体色素、特に金属錯体色素またはポリメチン色素が好ましい。本発明では、光電変換の波長域をできるだけ広くし、かつ変換効率を上げるため、二種類以上の色素を混合することもできる。そして、目的とする光源の波長域と強度分布に合わせるように混合する色素とその割合を選ぶことができる。こうした色素は半導体微粒子の表面に対する適当な結合基(interlocking group)を有していることが好ましい。好ましい結合基としては、COOH基、SO3H基、シアノ基、-P(O)(OH)2基、-OP(O)(OH)2基、または、オキシム、ジオキシム、ヒドロキシキノリン、サリチレートおよびα−ケトエノレートのようなπ伝導性を有するキレート化基が挙げられる。この中でもCOOH基、-P(O)(OH)2基、-OP(O)(OH)2基が特に好ましい。これらの基はアルカリ金属等と塩を形成していてもよく、また分子内塩を形成していてもよい。また、ポリメチン色素の場合、メチン鎖がスクアリリウム環やクロコニウム環を形成する場合のように酸性基を含有するなら、この部分を結合基としてもよい。
【0054】
本発明に使用する色素が金属錯体色素の場合、ルテニウム錯体色素が好ましく、さらに下記式(VII)で表される色素が好ましい。
式(VII) (A1)pRuBaBbBc
式中、pは0〜3であり、好ましくは2である。Ruはルテニウムを表す。A1はCl、SCN、H2O、Br、I、CN、NCOおよびSeCNから選択される配位子である。Ba、Bb、Bcはそれぞれ独立に以下のB-1〜B-8から選択される有機配位子である。
【0055】
【化13】
【0056】
【化14】
【0057】
ここで、Raは水素原子または置換基を表し、置換基としては、ハロゲン原子、炭素原子数(以下C数という)1〜12個で置換もしくは無置換のアルキル基、C数7〜12個で置換もしくは無置換のアラルキル基、またはC数6〜12個で置換もしくは無置換のアリール基、カルボン酸基またはリン酸基等の前述の結合基などが挙げられる。上記のアルキル基、アラルキル基のアルキル部分は直鎖状であっても分岐状であってもよく、アリール基、アラルキル基のアリール部分は単環であっても多環(縮合環、環集合)であってもよい。
【0058】
本発明に用いられるルテニウム錯体色素としては、例えば、米国特許4927721号、同4684537号、同5084365号、同5350644号、同5463057号、同5525440号および特開平7-249790号明細書に記載の錯体色素が挙げられる。
【0059】
以下に本発明に使用する金属錯体色素の好ましい具体例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0060】
【化15】
【0061】
【化16】
【0062】
【化17】
【0063】
本発明に使用する色素がポリメチン色素である場合、下記式(VIII)または式(IX)で表される色素が好ましい。
【0064】
【化18】
【0065】
式中、RbおよびRfは各々水素原子、アルキル基、アリール基、または複素環基を表し、Rc〜Reは各々水素原子または置換基を表す。Rb〜Rfは互いに結合して環を形成してもよい。X11およびX12は各々窒素、酸素、硫黄、セレン、テルルを表す。n11およびn13は各々0〜2の整数を表し、n12は1〜6の整数を表す。式(VIII)で表される化合物は分子全体の電荷に応じて対イオンを有してもよい。
【0066】
上記におけるアルキル基、アリール基、複素環基は、置換基を有していてもよい。アルキル基は直鎖であっても分岐鎖であってもよく、アリール基、複素環基は、単環でも、多環(縮合環、環集合)であってもよい。またRb〜Rfによって形成される環は、置換基を有していてもよく、単環であっても縮合環であってもよい。
【0067】
【化19】
【0068】
式中、Zaは含窒素複素環を形成するに必要な非金属原子群を表す。Rgはアルキル基またはアリール基である。Qaは式(IX)で表される化合物がメチン色素を形成するのに必要なメチン基またはポリメチン基を表す。X13は電荷均衡対イオンを表し、n14は分子の電荷を中和するのに必要な0以上10以下の整数を表す。
【0069】
上記のZaで形成される含窒素複素環は置換基を有していてもよく、単環であっても縮合環であってもよい。また、アルキル基、アリール基は置換基を有していてもよく、アルキル基は直鎖であっても分岐鎖であってもよく、アリール基は単環であっても多環(縮合環、環集合)であってもよい。
【0070】
式(IX)で表される色素は、下記式(IX−a)〜(IX−d)で表される色素であることが好ましい。
【0071】
【化20】
【0072】
式(IX−a)〜(IX−d)中、Ra1〜Ra5、Rb1〜Rb4、Rc1〜Rc3、およびRd1〜Rd3はそれぞれ独立に水素原子、アルキル基、アリール基、または複素環基を表し、Y11、Y12、Y21、Y22、Y31〜Y35およびY41〜Y46はそれぞれ独立に酸素、硫黄、セレン、テルル、−CRe1Re2−、または−NRe3−を表す。Y23はO-、S-、Se-、Te-、またはNRe4 -を表す。Re1〜Re4はそれぞれ独立に水素原子、アルキル基、アリール基、または複素環基を表す。V11、V12、V21、V22、V31およびV41はそれぞれ独立に置換基を表し、n15、n31およびn41はそれぞれ独立に1〜6の整数を表す。
【0073】
上記におけるアルキル基、アリール基、複素環基は置換基を有していてもよく、アルキル基は直鎖であっても分岐鎖であってもよく、アリール基、複素環基は単環であっても多環(縮合環、環集合)であってもよい。
【0074】
以上のようなポリメチン色素の具体例はM.Okawara,T.Kitao,T.Hirasima, M.Matuoka著Organic Colorants(Elsevier)等に詳しく記載されている。
【0075】
以下に式(VIII)または(IX)で表されるポリメチン色素の好ましい具体例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0076】
【化21】
【0077】
【化22】
【0078】
【化23】
【0079】
【化24】
【0080】
【化25】
【0081】
【化26】
【0082】
【化27】
【0083】
【化28】
【0084】
【化29】
【0085】
式(VIII)および式(IX)で表される化合物は、エフ・エム・ハーマー(F.M.Harmer)著「ヘテロサイクリック・コンパウンズ−シアニンダイズ・アンド・リレィティド・コンパウンズ(Heterocyclic Compounds-Cyanine Dyes and Related Compounds)」、ジョン・ウィリー・アンド・サンズ(John Wiley & Sons)社−ニューヨーク、ロンドン、1964年刊、デー・エム・スターマー(D.M.Sturmer)著「ヘテロサイクリック・コンパウンズースペシャル・トピックス・イン・ヘテロサイクリック・ケミストリー(Heterocyclic Compounds-Special topics in heterocyclic chemistry)」、第18章、第14節、第482から515項、ジョン・ウィリー・アンド・サンズ(John Wiley & Sons)社−ニューヨーク、ロンドン、1977年刊、「ロッズ・ケミストリー・オブ・カーボン・コンパウンズ(Rodd's Chemistry of Carbon Compounds)」2nd.Ed.vol.IV,partB,1977刊、第15章、第369から422項、エルセビア・サイエンス・パブリック・カンパニー・インク(Elsevier Science Publishing Company Inc.)社刊、ニューヨーク、英国特許第1,077,611号などに記載の方法に基づいて合成することができる。
【0086】
色素を半導体微粒子に吸着させるには色素等の溶液中によく乾燥した半導体微粒子を数時間浸漬する方法が一般的である。色素の吸着は室温で行ってもよいし、特開平7-249790号に記載されているように加熱還流して行ってもよい。色素の吸着は半導体微粒子を導電性支持体に塗設する前に行っても塗設後に行ってもよいし、半導体微粒子と色素等を同時に塗設して吸着させてもよいが、塗設後の半導体微粒子膜に吸着させるのが好ましい。
【0087】
導電性支持体に塗設した半導体微粒子膜に色素を吸着させる方法は色素溶液中によく乾燥した半導体微粒子膜を浸漬するか、もしくは色素溶液を半導体微粒子膜上に塗布して吸着させる方法を用いることができる。前者の場合、浸漬法、ディップ法、ローラ法、エアーナイフ法などが使える。後者の塗布方法としては、ワイヤーバー法、スライドホッパー法、エクストルージョン法、カーテン法、スピン法、スプレー法があり、印刷方法としては、凸版、オフセット、グラビア、スクリーン印刷等がある。
【0088】
液粘度も半導体微粒子層の形成時と同様に、高粘度液(例えば0.01〜500P)ではエクストルージョン法の他、各種印刷法が、低粘度液(例えば0.1P以下)ではスライドホッパー法もしくはワイヤーバー法もしくはスピン法が適していて、均一な膜にすることが可能である。
【0089】
このように色素塗布液の液粘度、塗布量、支持体、塗布速度等のパラメータに対応して、適宜付与方式を選択すればよい。塗布後の色素吸着に要する時間は、量産化を考えた場合、なるべく短い方がよい。
【0090】
色素の使用量は、全体で、支持体1m2当たり0.01〜100mmolが好ましい。また、色素の半導体微粒子に対する吸着量は半導体微粒子1gに対して0.01〜1mmolが好ましい。このような色素量とすることによって、半導体における増感効果が十分に得られる。これに対し、色素量が少ないと増感効果が不十分となり、色素量が多すぎると、半導体に付着していない色素が浮遊し増感効果を低減させる原因となる。
【0091】
未吸着の色素の存在は素子性能の外乱になるため、吸着後速やかに洗浄によって除去することが好ましい。湿式洗浄槽を使い、アセトニトリル等の極性溶剤、アルコール系溶剤のような有機溶媒で洗浄を行うのがよい。また、吸着色素量を増大させるため、加熱処理を吸着前に行うことが好ましい。加熱処理後、半導体微粒子表面に水が吸着するのを避けるため、常温に戻さず40〜80℃の間で素早く色素を吸着させることも好ましい。
【0092】
会合など色素同士の相互作用を低減する目的で無色の化合物を共吸着させてもよい。共吸着させる疎水性化合物としてはカルボキシル基を有するステロイド化合物(例えばコール酸)等が挙げられる。
【0093】
また、紫外線による光劣化を防止する目的で紫外線吸収剤を共吸着させることもできる。
【0094】
余分な色素の除去を促進する目的で、色素を吸着した後にアミン類を用いて半導体微粒子の表面を処理してもよい。好ましいアミン類としてはピリジン、4−tert−ブチルピリジン、ポリビニルピリジン等が挙げられる。これらは液体の場合はそのまま用いてもよいし有機溶媒に溶解して用いてもよい。
【0095】
次に、式(I)で表される化合物を含む電解質について説明する。本発明の式(I)で表される化合物は、25℃で液晶相を形成する特徴を有し、電気化学電池の電解質として用いられるものである。25℃にて液体または低融点の固体である塩、すなわちいわゆる溶融塩と呼ばれる化合物は、低分子溶媒と比較して沸点が高く、枯渇しにくく耐久性の点で有利であるが、反面、粘性が高いことに起因して、高い電荷輸送性能を得ることはできない。これに対して、本発明の化合物は、粘性の高い液晶状態で高い電荷輸送性能を示す。
【0096】
本発明の電解質としては、好ましくは50質量%までの溶媒等と混合して用いてもよいが、液晶性を保持し、優れた耐久性および光電変換効率を実現するためには、本発明の式(I)の化合物を70質量%以上用いることが好ましく、80質量%以上がより好ましく、90質量%以上用いることが最も好ましい。
【0097】
式(I)の化合物は一般的な溶媒とは異なり、実質的に揮発しないため、揮発による素子の性能劣化が防止でき好ましい。こうした耐久性だけでなく、さらに短絡電流密度も高いため、光電変換特性に優れる。
【0098】
なお、式(I)の化合物としては融点が100℃以下であることが好ましく、80℃以下がより好ましく、60℃以下がさらに好ましく、電池あるいは素子の動作温度範囲で液晶性を有することが好ましい。
【0099】
本発明の化合物を電解質として電池に組み込む場合、加熱溶解して電極に浸透させるか、低沸点溶媒(例えばメタノール、アセトニトリル、塩化メチレン)等を用いて電極に浸透させ、その後溶媒を加熱により除去する方法等にて光電変換素子の電極中に組み込むことができる。
【0100】
なお、式(I)で表される化合物は多少の吸湿性を有するものが多いが、0.1〜15質量%程度の水分を含んだまま用いてもよい。
【0101】
次に、式(I)について説明する。
【0102】
【化30】
【0103】
式(I)中、Z111は窒素とともに芳香族5員環および6員環のカチオンを形成しうる原子団を表し、好ましくは炭素、水素、窒素、酸素、硫黄が構成原子となりうる。
【0104】
Z111で完成される芳香族5員環として、好ましくはイミダゾール、ピラゾール、トリアゾール、オキサゾール、チアゾールであり、より好ましくはイミダゾールであり、芳香族6員環として、好ましくは、ピリジン、ピリミジン、ピリダジン、ピラジン、トリアジンであり、より好ましくはピリジンである。これらの環はアルキル基、アシルオキシ基、複素環基、シアノ基、アルコキシカルボニル基、ハロゲン原子、アルコキシ基、アルケニル基、アリール基等の置換基を有していてもよい。また、置換基同士が結合して環を形成し、その縮合環にR121との結合部位を有するものであってもよい。
【0105】
式(I)中、R111は直接または2価の連結基を介して結合した、置換もしくは無置換のアルキル基(好ましくは炭素原子数(以下C数)が1〜24であり、直鎖状であっても分岐鎖状であってもよく、例えばメチル、エチル、プロピル、ブチル、i−プロピル、i−ブチル、ペンチル、ヘキシル、オクチル、2−エチルヘキシル、t−オクチル、デシル、ドデシル、テトラデシル、2−ヘキシルデシル、ヘキサデシル、オクタデシル、シクロヘキシルメチル、オクチルシクロヘキシル)、直接または2価の連結基を介して結合した、置換もしくは無置換のアルケニル基(好ましくはC数が2〜24であり、直鎖状であっても分岐鎖状であってもよく、例えばビニル、アリル)を表す。置換基としては、好ましくは置換していても縮環していてもよいアリール基(好ましくはC数6〜24、例えばフェニル、4−メチルフェニル、3−シアノフェニル、2−クロロフェニル、2−ナフチル)、置換していても縮環していてもよい複素環基(含窒素複素環基のときは環中の窒素が4級化していてもよい。好ましくはC数2〜24、例えば4−ピリジル、2−ピリジル、1−オクチルピリジニウム−4−イル、2−ピリミジル、2−イミダゾリル、2−チアゾリル)、アルコキシ基(好ましくはC数1〜24、例えばメトキシ、エトキシ、ブトキシ、オクチルオキシ、メトキシエトキシ、メトキシペンタ(エチルオキシ)、アクリロイルオキシエトキシ、ペンタフルオロプロポキシ)、アシルオキシ基(好ましくはC数1〜24、例えばアセチルオキシ、ベンゾイルオキシ)、アルコキシカルボニル基(好ましくはC数2〜24、例えばメトキシカルボニル、エトキシカルボニル)、シアノ基、フルオロ基を表し、より好ましくは、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、シアノ基である。
【0106】
また、2価の連結基としては、後述する式(IV-a)、式(IV-b)のところのQ111を例として挙げることができる。ただし、ポリメチレン基、フェニレンビスメチレン基であってもよい。
【0107】
式(I)中のX111 -はアニオンを表し、ハロゲンアニオン(Cl-、Br-、I-)、ヨウ素三量体アニオン(I3 -)、NCS-、BF4 -、PF6 -、O4Cl-、(CnF2n+1SO2)(CmF2m+1SO2)N-で表わされるイミドアニオン(n、mはそれぞれ6以下の正の整数)、CnF2n+1SO3 -で表わされるフルオロスルフォン酸アニオン(nは6以下の正の整数)、Ph4B-、AsF6 -、SbF6 -、B10Cl10 -などが好ましい例として挙げられる。これらのアニオンの中ではヨウ素アニオン(I-)、ヨウ素三量体アニオン(I3 -)が特に好ましい。
【0108】
なお、式(I)において、Z111で完成される芳香族5員環および6員環の置換基あるいはR111が、式(I)中と同じ含窒素芳香族5員環あるいは6員環の4級塩を有していてもよい。
【0109】
R121は液晶性を付与する置換基を表し、少なくとも1つの2価の環状置換基と少なくとも1つの置換もしくは無置換のアルキル基または置換もしくは無置換のアルケニル基とを含む置換基である。2価の環状置換基は2価の芳香族基、2価の飽和もしくは不飽和の環状脂肪族基であり、これらが連結基または結合を介して複数繋がってもよい。R121は、この環状置換基の一端に置換もしくは無置換のアルキル基または置換もしくは無置換のアルケニル基が結合した構造を有する。
【0110】
式(I)で表される本発明の化合物のR121は、式(II)で表されることが好ましい。
【0111】
【化31】
【0112】
式(II)中、R122は置換もしくは無置換のアルキル基、または置換もしくは無置換のアルケニル基を表し、具体的にはR111で詳述したアルキル基、アルケニル基が好ましく、C数6〜24のアルキル基がより好ましく、C数6〜12の無置換直鎖アルキル基が特に好ましい。
【0113】
式(II)中、Q121およびQ131は2価の連結基または単結合を表す。2価の連結基の例としては、−CH=CH−、−CH=N−、−N=N−、−N(O)=N−、−COO−、−COS−、CONH−、−COCH2−、−CH2CH2−、−OCH2−、−CH2NH−、−CH2−、−CO−、−O−、−S−、−NH−、−(CH2)1-3−、−CH=CH−COO−、−CH=CH−CO−、−(C≡C)1-3−やこれらの組合せなどが好ましく、−CH2−、−CO−、−O−、−CH=CH−、−CH=N−、−N=N−やこれらの組合せがさらに好ましい。また、これらにおいて水素原子が置換されたものであってもよい。Q121およびQ131は単結合であることが特に好ましい。
【0114】
式(II)中、Y111は2価の4、5、6または7員環置換基、またはそれらから構成される縮合環置換基を表わし、6員環芳香族基、4ないし6員環の飽和または不飽和脂肪族基、5または6員環複素環基、またはそれらの縮合環であることがさらに好ましく、これらの例として式(Y−1)〜(Y−28)の置換基が挙げられる。また、これらの組合せであってもよい。これらの置換基の中でさらに好ましいものは、(Y−1)、(Y−2)、(Y−18)、(Y−19)、(Y−21)、(Y−22)であり、より好ましいものは、(Y−1)、(Y−2)、(Y−21)である。
【0115】
【化32】
【0116】
【化33】
【0117】
式(II)中、nは、1、2または3を表わし、1または2が好ましい。nが2、3であるとき、Q131、Y111、Q121の組合せは同一でも異なるものであってもよい。
【0118】
式(II)で表される本発明の化合物のZ111と窒素原子でできる環は、ピリジニウムまたはイミダゾリウムであることがより好ましい。
【0119】
なお、このような化合物のなかで、式(III-a)で表されるピリジニウム化合物、式(III-b)で表されるイミダゾリウム化合物は新規化合物である。
【0120】
【化34】
【0121】
式(III-a)、(III-b)中、R331、Y311、Q311、Q321およびnは、それぞれ式(II)のR122、Y111、Q121、Q131およびnと同義である。R311は置換もしくは無置換のアルキル基またはアルケニル基を表し、具体的にはR111で詳述したアルキル基、アルケニル基が好ましい。特に、R311がC数4〜8の無置換直鎖アルキル基であり、R331がC数6〜12の無置換直鎖アルキル基であることが好ましい。
【0122】
式(III-a)、(III-b)中、R341、R351、R361およびR371は水素原子または置換基を表し、全て水素原子であることが好ましいが、置換基の場合には、好ましくは置換していても直鎖状でも分岐鎖状でもよいアルキル基(好ましくはC数1〜24、例えばメチル、エチル、i−プロピル、ブチル、t−ブチル、オクチル、2−エチルヘキシル、2−メトキシエチル、ベンジル、トリフルオロメチル、シアノメチル、エトキシカルボニルメチル、プロポキシエチル、3−(1−オクチルピリジニウム−4−イル)プロピル、3−(1−ブチル−3−メチルピリジニウム−4−イル)プロピル)、置換していても直鎖状でも分岐鎖状でもよいアルケニル基(好ましくはC数2〜24、例えばビニル、アリル)、置換していても縮環していてもよいアリール基(好ましくはC数6〜24、例えばフェニル、4−メチルフェニル、3−シアノフェニル、2−クロロフェニル、2−ナフチル)、置換していても縮環していてもよい複素環基(含窒素複素環基のときは環中の窒素が4級化していてもよい。好ましくはC数2〜24、例えば4−ピリジル、2−ピリジル、1−オクチルピリジニウム−4−イル、2−ピリミジル、2−イミダゾリル、2−チアゾリル)、アルコキシ基(好ましくはC数1〜24、例えばメトキシ、エトキシ、ブトキシ、オクチルオキシ)、アシルオキシ基(好ましくはC数1〜24、例えばアセチルオキシ、ベンゾイルオキシ)、アルコキシカルボニル基(好ましくはC数2〜24、例えばメトキシカルボニル、エトキシカルボニル)、シアノ基、ハロゲン(例えば塩素、臭素)を表し、より好ましくはアルキル基、アルケニル基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、シアノ基、ハロゲンであり、さらに好ましくはアルキル基、アルケニル基、アルコキシカルボニル基、シアノ基を表し、よりさらに好ましくはC数1〜8の無置換のアルキル基、シアノ基もしくはアルコキシカルボニル基で置換したC数1〜8のアルキル基、アルケニル基、C数2〜20のアルコキシカルボニル基を表し、最も好ましくはメチル基、エチル基、シアノメチル基、アルコキシカルボニルメチル基、ビニル基、アルコキシカルボニル基を表す。そしてさらには、無置換もしくはシアノ基が置換したアルキル基、アルコキシカルボニル基が好ましく、より具体的にはメチル基、エチル基、シアノメチル基、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基が好ましく、その中でもメチル基が特に好ましい。
式(III-a)、(III-b)中のnは1が好ましい。
【0123】
次に、式(I)に包含されるものであるが、新規化合物を表す式(IV-a)、(IV-b)について説明する。
【0124】
【化35】
【0125】
式(IV-a)、(IV-b)中、R141、R151、R161およびR171は水素原子または置換基を表し、全て水素原子であることが好ましいが、置換基の場合には、好ましくは置換していても直鎖状でも分岐鎖状でもよいアルキル基(好ましくはC数1〜24、例えばメチル、エチル、i−プロピル、ブチル、t−ブチル、オクチル、2−エチルヘキシル、2−メトキシエチル、ベンジル、トリフルオロメチル、シアノメチル、エトキシカルボニルメチル、プロポキシエチル、3−(1−オクチルピリジニウム−4−イル)プロピル、3−(1−ブチル−3−メチルピリジニウム−4−イル)プロピル)、置換していても直鎖状でも分岐鎖状でもよいアルケニル基(好ましくはC数2〜24、例えばビニル、アリル)、置換していても縮環していてもよいアリール基(好ましくはC数6〜24、例えばフェニル、4−メチルフェニル、3−シアノフェニル、2−クロロフェニル、2−ナフチル)、置換していても縮環していてもよい複素環基(含窒素複素環基のときは環中の窒素が4級化していてもよい。好ましくはC数2〜24、例えば4−ピリジル、2−ピリジル、1−オクチルピリジニウム−4−イル、2−ピリミジル、2−イミダゾリル、2−チアゾリル)、アルコキシ基(好ましくはC数1〜24、例えばメトキシ、エトキシ、ブトキシ、オクチルオキシ)、アシルオキシ基(好ましくはC数1〜24、例えばアセチルオキシ、ベンゾイルオキシ)、アルコキシカルボニル基(好ましくはC数2〜24、例えばメトキシカルボニル、エトキシカルボニル)、シアノ基、ハロゲン(例えば塩素、臭素)を表し、より好ましくはアルキル基、アルケニル基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、シアノ基、ハロゲンであり、さらに好ましくはアルキル基、アルケニル基、アルコキシカルボニル基、シアノ基を表し、よりさらに好ましくはC数1〜8の無置換のアルキル基、シアノ基もしくはアルコキシカルボニル基で置換したC数1〜8のアルキル基、アルケニル基、C数2〜20のアルコキシカルボニル基を表し、最も好ましくはメチル基、エチル基、シアノメチル基、アルコキシカルボニルメチル基、ビニル基、アルコキシカルボニル基を表す。そしてさらには、無置換もしくはシアノ基が置換したアルキル基、アルコキシカルボニル基が好ましく、より具体的にはメチル基、エチル基、シアノメチル基、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基が好ましく、その中でもメチル基が特に好ましい。
【0126】
式(IV-a)、(IV-b)中、R131は置換もしくは無置換のアルキル基、または置換もしくは無置換のアルケニル基(好ましくはC数2〜24、例えばビニル、アリル)を表し、C数6〜24の置換または無置換のアルキル基(例えばオクチル、デシル、ドデシル、ヘキサデシル)がより好ましく、C数6〜12の無置換直鎖アルキル基が特に好ましい。置換基としては、上記R141、R151、R161およびR171で詳述したものが好ましい。
【0127】
式(IV-a)、(IV-b)中、Q111は2価の連結基を表し、具体的には、−C(R411)=C(R421)−、−CH=N−、−N=N−、−N(O)=N−、−COO−、−COS−、−CONR411−、−COCH2−、−CH2CH2−、−OCH2−、−CH2NR411−、−C(R411)2−、−CO−、−O−、−S−、−NR411−、−(C(R411)2)1-3−、−COO−、−C(R411)=C(R421)−CO−、−(C≡C)1-3−、フェニレン、シクロヘキシレンなど、およびそれら連結基の組み合わせで構成される連結基が好ましく、−(C(R411)2)1-3−の繰り返し単位とフェニレン、シクロヘキシレン、−CO−、−O−、−CH=CH−、−CH=N−、−N=N−で構成される連結基がさらに好ましい。R411、R421は水素原子またはアルキル基を表す。ただし、Q111はポリメチレン基、フェニレンビスメチレン基となることはなく、このような基のときはヘテロ原子が介在する。
【0128】
式(IV-a)、(IV-b)中、Q121およびQ131は2価の連結基または単結合を表す。2価の連結基の例としては、−CH=CH−、−CH=N−、−N=N−、−N(O)=N−、−COO−、−COS−、−CONH−、−COCH2−、−CH2CH2−、−OCH2−、−CH2NH−、−CH2−、−CO−、−O−、−S−、−NH−、−(CH2)1-3−、−CH=CH−COO−、−CH=CH−CO−、−(C≡C)1-3−やこれらの組み合わせなどが好ましく、−CH2−、−CO−、−O−、−CH=CH−、−CH=N−、−N=N−やこれらの組み合わせがさらに好ましい。Q121およびQ131は単結合であることが最も好ましい。
【0129】
式(IV-a)、(IV-b)中、Y111は2価の4、5、6または7員環置換基、またはそれらから構成される縮合環置換基を表わし、6員環芳香族基、4ないし6員環の飽和または不飽和脂肪族基、5または6員環複素環基、またはそれらの縮合環であることがさらに好ましく、荷電を有していない方が好ましく、これらの例として式(Y−1)〜(Y−28)の置換基が挙げられる。これらの置換基の中でさらに好ましいものは、(Y−1)、(Y−2)、(Y−18)、(Y−19)、(Y−21)、(Y−22)であり、より好ましいものは、(Y−1)、(Y−2)、(Y−21)である。
【0130】
(Y−1)〜(Y−28)の置換基は、前述の式(II)のY111のところで挙げたものと同様である。
【0131】
式(IV-a)、(IV-b)中、nは、1、2または3を表わし、1または2が好ましい。
【0132】
式(IV-a)、(IV-b)のQ111としてより好ましい2価の連結基は式(V)で表される。式(V)中、Q211の好ましい連結基は、上述のQ111で述べたものであり、R211、R221、R231、およびR241の好ましい置換基は、式(IV-a)、(IV-b)のR141、R151、R161およびR171で述べたものであり、mは0〜1を表わし、1が好ましい。Q211と、R211、R221、R231およびR241のうちの1個以上と結合して環を形成してもよい。ただし、Q211はメチレン基となることはなく、またポリメチレン基であるときヘテロ原子が介在する。
【0133】
【化36】
【0134】
式(IV-a)、(IV-b)のQ111として表される連結基の中で、式(VI)で表される連結基が特に好ましい。式(VI)中のqは1〜30の整数を表し、4〜20が好ましく、5〜18がさらに好ましい。
【0135】
【化37】
【0136】
式(IV-a)、(IV-b)中のX111 -はアニオンを表し、ハロゲンアニオン(Cl-、Br-、I-)、ヨウ素三量体アニオン(I3 -)、NCS-、BF4 -、PF6 -、O4Cl-、(CnF2n+1SO2)(CmF2m+1SO2)N-で表わされるイミドアニオン(n、mはそれぞれ6以下の正の整数)、CnF2n+1SO3 -で表わされるフルオロスルフォン酸アニオン(nは6以下の正の整数)、Ph4B-、AsF6 -、SbF6 -、B10Cl10 -などが好ましい例として挙げられる。これらのアニオンの中ではヨウ素アニオン(I-)、ヨウ素三量体アニオン(I3 -)が特に好ましい。
【0137】
式(IV-a)、(IV-b)で表される化合物は、Q111、式(V)および式(VI)の連結基が異なる混合物であってもよく、その場合、あらかじめ合成した複数種類の単一化合物を後で任意の比で混合してもよく、合成時に複数種類の連結部の原料を用いることにより、混合物として得ても良い。式(VI)で表される連結基の原料は、例えば式(X)で表されるが、この原料がqの異なる化合物の混合物である場合、それらは、qの分布(すなわち分子量分布)を持ったポリエチレンオキシドから容易に合成でき、それらの原料を用いて式(VI)の連結基を持った式(IV-a)、(IV-b)の化合物を混合物として得ることができる。このような混合物の場合は、後述の具体例に示されるように、平均値で表す場合もある。
【0138】
【化38】
【0139】
以下に本発明の式(I)で表される化合物の具体例を式(I)のカチオンとアニオンとの組み合わせによって示すが、本発明はこれに限定されるわけではない。なお、F−27〜F−55は式(IV-a)、(IV-b)の化合物である。
【0140】
【化39】
【0141】
【化40】
【0142】
【化41】
【0143】
【化42】
【0144】
【化43】
【0145】
【化44】
【0146】
【化45】
【0147】
【化46】
【0148】
【化47】
【0149】
【化48】
【0150】
【化49】
【0151】
【化50】
【0152】
【化51】
【0153】
式(I)で表わされる本発明の化合物を光電気化学電池の電解質に用いる場合、アニオン種の異なる複数種の化合物を任意の比で混合して用いてもよく、それらの内、少なくとも一種類の化合物のアニオンX111 -はI-であり、少なくとも一種類の化合物のX111 -はI3 -であることが好ましい。その際I3 -はI-の0.1〜50モル%であることが好ましく、0.1〜20モル%であることがより好ましく、0.5〜10モル%であることがさらに好ましく、0.5〜5モル%であることが最も好ましい。
【0154】
アニオンX111 -がI-およびI3 -以外の化合物を混合して用いる場合、それらの混合量は、アニオンがI-とI3 -からなる化合物の合計に対して、0.1〜90モル%が好ましく、0.1〜50モル%がより好ましく、0.1〜10モル%がさらに好ましい。アニオンがI3 -の化合物はI-の化合物にI2を加えることにより容易に合成しうる。このようなことから、予めアニオンがI-の化合物を合成しておき、電解質として使用するとき、所定量のI2を加えて、アニオンがI-のものとI3 -のものとの混合物を得ることが好ましい。
【0155】
本発明の式(I)で表される化合物は、本発明の電解質において、電解質の機能を発現する化合物として用いられるものであり、このような電解質化合物として、本発明の化合物のみを用いることが好ましいが、LiI、NaI、KI、CsI、CaI2などの金属ヨウ化物、4級イミダゾリウム化合物のヨウ素塩、テトラアルキルアンモニウム化合物のヨウ素塩、Br2とLiBr、NaBr、KBr、CsBr、CaBr2などの金属臭化物、あるいはBr2とテトラアルキルアンモニウムブロマイド、ピリジニウムブロマイドなど4級アンモニウム化合物の臭素塩、フェロシアン酸塩−フェリシアン酸塩やフェロセン−フェリシニウムイオンなどの金属錯体、ポリ硫化ナトリウム、アルキルチオール−アルキルジスルフィドなどのイオウ化合物、ビオロゲン色素、ヒドロキノン−キノンなどと併用して用いることもできる。併用する場合、これらの化合物の使用量は、電解質化合物全体の30質量%以下であることが好ましい。
【0156】
式(I)のうち、の式(IV-a)、(IV-b)で表される液晶化合物およびその混合物は、アルカリまたはアルカリ土類金属塩と混合した液晶組成物として電解質に用いることができる。好ましいアルカリ金属塩としては、アルカリまたはアルカリ土類金属イオン(Li+、Na+、K+、Rb+、Cs+、Fr+、Be2+、Mg2+、Ca2+、Sr2+、Ba2+、Ra2+)とX111 -で詳述したアニオンからなる塩が挙げられ、その中で好ましい金属塩は、カチオン:Li+、Na+、K+、Mg2+、Ca2+、Ba2+とアニオン:I-、I3-、(CF3SO2)2N-、CF3SO3 -、CF3CO2 -、PF6 -、BF4−、ClO4 -の組み合わせからなる塩であり、カチオンLi+、Na+、K+とアニオンI-、I3 -、(CF3SO2)2N-からなる塩がさらに好ましい。
【0157】
アルカリ金属塩の混合量は、式(IV-a)、(IV-b)で表される液晶化合物に混合した際、均一になる量の範囲で、液晶化合物に対して、0.1モル当量から5モル当量が好ましく、0.1モル当量から2モル当量がさらに好ましい。
【0158】
式(IV-a)、(IV-b)で表される液晶化合物あるいはそれらとのアルカリ金属塩混合物には、さらに、4級イミダゾリウム化合物のヨウ素塩、テトラアルキルアンモニウム化合物のヨウ素塩、Br2とLiBr、NaBr、KBr、CsBr、CaBr2などの金属臭化物、あるいはBr2とテトラアルキルアンモニウムブロマイド、ピリジニウムブロマイドなど4級アンモニウム化合物の臭素塩、フェロシアン酸塩−フェリシアン酸塩やフェロセン−フェリシニウムイオンなどの金属錯体、ポリ硫化ナトリウム、アルキルチオール−アルキルジスルフィドなどのイオウ化合物、ビオロゲン色素、ヒドロキノン−キノンなどを混合して電解質として用いることができ、それらの混合量は、電解質化合物全体の30質量%以下であることが好ましい。
【0159】
本発明では、式(I)の化合物(これに包含される式(III-a)、(III-b)、(IV-a)、(IV-b)の化合物も含む。)とともに、好ましくは最大でこの化合物と同質量まで溶媒を使用することができる。このなかで、式(IV-a)、(IV-b)の液晶化合物、液晶混合物、液晶組成物は電解質において50質量%以上の含有量であることが好ましい。より好ましくは70質量%以上、特に好ましくは90質量%以上である。
【0160】
本発明の電解質に使用する溶媒は、粘度が低くイオン易動度を向上したり、または誘電率が高く有効キャリアー濃度を向上したりして、優れたイオン伝導性を発現できる化合物であることが望ましい。このような溶媒ととしては、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネートなどのカーボネート化合物、3−メチル−2−オキサゾリジノンなどの複素環化合物、ジオキサン、ジエチルエーテルなどのエーテル化合物、エチレングリコールジアルキルエーテル、プロピレングリコールジアルキルエーテル、ポリエチレングリコールジアルキルエーテル、ポリプロピレングリコールジアルキルエーテルなどの鎖状エーテル類、メタノール、エタノール、エチレングリコールモノアルキルエーテル、プロピレングリコールモノアルキルエーテル、ポリエチレングリコールモノアルキルエーテル、ポリプロピレングリコールモノアルキルエーテルなどのアルコール類、エチレングリコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、グリセリンなどの多価アルコール類、アセトニトリル、グルタロジニトリル、メトキシアセトニトリル、プロピオニトリル、ベンゾニトリルなどのニトリル化合物、カルボン酸エステル、リン酸エステル、ホスホン酸エステル等のエステル類、ジメチルスルフォキシド、スルフォランなど非プロトン極性物質、水などを用いることができる。この中でも、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネートなどのカーボネート化合物、3−メチル−2−オキサゾリジノンなどの複素環化合物、アセトニトリル、グルタロジニトリル、メトキシアセトニトリル、プロピオニトリル、ベンゾニトリルなどのニトリル化合物、エステル類が特に好ましい。これらは単独で用いても2種以上を併用してもよい。
溶媒として好ましい例を以下に具体的に記すが、これらに限定されない。
【0161】
【化52】
【0162】
溶媒としては、耐揮発性による耐久性向上の観点にて常圧(1気圧)における沸点は200℃以上が好ましく、250℃以上がより好ましく、270℃以上がさらに好ましい。したがって、S−5、S−6が好ましい。
【0163】
電荷移動層の形成方法に関しては2通りの方法が考えられる。1つは増感色素を担持させた半導体微粒子含有層の上に先に対極を貼り合わせておき、その間隙に液状の電荷移動層を挟み込む方法である。もう1つは半導体微粒子含有層上に直接電荷移動層を付与する方法で、対極はその後付与することになる。
【0164】
前者の場合の電荷移動層の挟み込み方法として、浸漬等による毛管現象を利用する常圧プロセスと常圧より低い圧力にして気相を液相に置換する真空プロセスが利用できる。
【0165】
後者の場合、電荷移動層を付与する方法としては、半導体微粒子含有層や色素の付与と同様に、浸漬法、ローラ法、ディップ法、エアーナイフ法、エクストルージョン法、スライドホッパー法、ワーヤーバー法、スピン法、スプレー法、キャスト法、各種印刷法等が考えられる。本発明の電解質を含有する電荷移動層の厚みは、0.001〜200μm が好ましく、0.1〜100μm がより好ましい。
【0166】
対極は、光電気化学電池としたとき、光電気化学電池の正極として働くものである。対極は通常前述の導電性支持体と同義であるが、強度が十分に保たれるような構成では支持体は必ずしも必要でない。ただし、支持体を有する方が密閉性の点で有利である。
【0167】
感光層に光が到達するためには、前述の導電性支持体と対極の少なくとも一方は実質的に透明でなければならない。本発明の光電気化学電池においては、導電性支持体が透明であって太陽光を支持体側から入射させるのが好ましい。この場合対極は光を反射する性質を有することがさらに好ましい。
【0168】
光電気化学電池の対極としては金属もしくは導電性の酸化物を蒸着したガラス、またはプラスチックを使用でき、また、金属薄膜を5μm以下、好ましくは5nm〜3μmの範囲の膜厚になるように、蒸着やスパッタリングなどの方法により形成して作成することもできる。本発明では白金を蒸着したガラスもしくは蒸着やスパッタリングによって形成した金属薄膜を対極とすることが好ましい。
【0169】
また、本発明の光電気化学電池では構成物の酸化劣化を防止するために電池の側面をポリマーや接着剤等で密封してもよい。
【0170】
【実施例】
以下、本発明を実施例によって具体的に説明する。
参考例1
式(I)で表される参考例の化合物F−1、F−2、F−3、F−4の合成例を示す。これらの化合物は、Liquid Crystals,21(10),923(1996).記載の方法に準じて容易に合成できる。以下に、これらの化合物の反応スキームを示す。
【0171】
【化53】
【0172】
(1)F−1の合成
▲1▼中間体M−1の合成
マロン酸ジメチル;58.1g(439mmol)をメタノールに溶解し、ナトリウムメトキシドのメタノール28%溶液;88mlを加え、1−ブロモデカン97.2g(439mmol)を1時間かけて滴下した後、8時間還流した。反応混合物を希塩酸に注ぎ中和後、酢酸エチルで抽出した。抽出溶液を硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧濃縮し、残留物を減圧蒸留し、M−1を41g(399Pa(3mmHg)/82℃の留分)得た。
【0173】
▲2▼中間体M−2の合成
リチウムアルミニウムヒドリド(11g、289mmol)を150mlのジエチルエーテルに分散し、室温で攪拌しながら、上記▲1▼で得た、M−1(41g、170mmol)をジエチルエーテル(50ml)に溶解した溶液を2時間かけて滴下した。滴下後、3時間還流した後、反応混合物を、希塩酸/氷にゆっくり注ぎ、溶液を酸性にした後抽出した。抽出液を硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧下溶媒を留去し、粗生成物31gの油状物を得た。粗生成物をシリカゲルカラムクロマトにて精製し、M−2、14gを無色の油状物として得た。
【0174】
▲3▼中間体M−4の合成
上記で得たM−2(13.85g、64mmol)とM−3(6.86g、64mmol)をトルエン(50ml)に分散し、パラトルエンスルホン酸(12g)を加え、水を留去しながら5時間加熱還流した。反応混合物を炭酸カリウム(10g)を加えた水(100ml)に注ぎ、酢酸エチルで抽出し、抽出液を乾燥後、溶媒を減圧下留去した。残留物をアセトニトリルで再結晶し、目的のM−4を結晶として7g得た。
【0175】
▲4▼F−1の合成
上記で得たM−4(1g、3.28mmol)とヨウ化エチル(0.61g、3.94mmol)をアセトニトリル(10ml)に分散し、8時間加熱還流した。析出した結晶を補集し後、酢酸エチルで再結晶し、目的物F−1を1.4g得た。構造はNMRスペクトルにて確認した。
【0176】
(2)F−2の合成
F−1の合成にてヨウ化エチルのかわりにヨウ化プロピルを用いた以外は全く同様にしてF−2を1.3g得た。
【0177】
(3)F−3の合成
F−1の合成にて、ヨウ化エチルのかわりに1−ヨウ化2−メトキシエトキシエタンを用いた以外は全く同様にしてF−3を1.3g得た。
【0178】
参考例2
1.二酸化チタン分散液の調製
内側をテフロン(登録商標)コーティングした内容積200mlのステンレス製ベッセルに二酸化チタン(日本アエロジル社 Degussa P−25)15g、水45g、分散剤(アルドリッチ社製、Triton X−100)1g、直径0.5mmのジルコニアビーズ(ニッカトー社製)30gを入れ、サンドグラインダーミル(アイメックス社製)を用いて1500rpmにて2時間分散した。分散物からジルコニアビーズをろ過して除いた。この場合の二酸化チタンの平均粒径は2.5μmであった。このときの粒径はMALVERN社製マスターサイザーにて測定したものである。
【0179】
2.色素を吸着したTiO2電極(電極A)の作成
フッ素をドープした酸化スズをコーティングした導電性ガラス(旭硝子製TCOガラス-Uを20mm×20mmの大きさに切断加工したもの)の導電面側にガラス棒を用いて上記の分散液を塗布した。この際導電面側の一部(端から3mm)に粘着テープを張ってスペーサーとし、粘着テープが両端に来るようにガラスを並べて一度に8枚ずつ塗布した。塗布後、粘着テープを剥離し、室温で1日間風乾した。次に、このガラスを電気炉(ヤマト科学製マッフル炉FP−32型)に入れ、450℃にて30分間焼成した。このガラスを取り出し冷却した後、表1に示す色素のエタノール溶液(3×10-4mol/l)に3時間浸漬した。色素の染着したガラスを4−tert−ブチルピリジンに15分間浸漬した後、エタノールで洗浄し自然乾燥させた。このようにして得られる感光層の厚さは10μmであり、半導体微粒子の塗布量は20g/m2とした。色素の塗布量は、色素の種類に応じ、適宜0.1〜10mmol/m2の範囲から選択した。
なお、導電性ガラスの表面抵抗は約30Ω/cm2であった。
【0180】
3.光電気化学電池の作成
上述のようにして作成した色増感されたTiO2電極基板(1cm×1cm)に、参考例の化合物および比較化合物(RE−1)、(RE−2)をそれぞれ同重量のアセトニトリルに溶解し、ヨウ素を2mol%加えた溶液を塗布し、60℃、減圧下で、TiO2電極に染み込ませながらアセトニトリルを留去した。これらの電極に、同じ大きさの白金蒸着ガラスを重ね合わせ光電気化学電池(サンプル104、102、103)を得た(表1、図1)。また、溶媒を用いた比較電解液Z−1(溶媒S−5に同重量の(C4H9)4NI およびヨウ素2mol%を溶解したもの)は、上記と同じ色増感されたTiO2電極基板(2cm×2cm)に、その電極と同じ大きさの白金蒸着ガラスと重ね合わせた後、両ガラスの隙間に毛細管現象を利用して電解液を染み込ませ、光電気化学電池(サンプル101)を作製した。上記の工程を色素と電解質組成物の組み合わせを表1に記載されているように変更して行った。
【0181】
本参考例により、図1に示したとおり、導電性ガラス1(ガラス上に導電剤層2が設層されたもの)、TiO2電極3、色素層4、電解質5、白金層6およびガラス7が順に積層された光電気化学電池が作成された。
【0182】
【化54】
【0183】
【表1】
【0184】
4.光電変換効率の測定
500Wのキセノンランプ(ウシオ製)の光をAM1.5フィルター(Oriel社製)およびシャープカットフィルター(KenkoL−41)を通すことにより紫外線を含まない模擬太陽光を発生させ、この光の強度を50mW/cm2に調整した。
【0185】
前述の光電気化学電池の導電性ガラスと白金蒸着ガラスにそれぞれ、ワニ口クリップを接続し、模擬太陽光を照射し、発生した電気を電流電圧測定装置(ケースレーSMU238型)にて測定した。これにより求められた光電気化学電池の開放電圧(Voc)、短絡電流密度(Jsc)、形状因子(FF)[=最大出力/(開放電圧×短絡電流)]、および変換効率(η)と600時間連続照射後の短絡電流密度の低下率を一括して表2に記載した。
【0186】
【表2】
【0187】
溶媒を用いた比較電解液を用いた光電気化学電池(101)は初期性能が低く、溶媒が揮発するため耐久性が非常に悪い。また、比較化合物RE−1、RE−2からなる電解質を用いた光電気化学電池(102,103)では、耐久性は比較的改善されるが、初期性能が低い。これに対して、式(I)で表される参考例の化合物を用いたときは、短絡電流密度、変換効率等の初期性能、耐久性ともに優れている。このような効果はいずれの色素を用いた場合にも見られた。
【0188】
実施例1
式(I)のうち、式(IV-a)、(IV-b)で表される本発明の化合物F−28、F−30、F−32、F−51、F−52、F−54の合成例を示す。これらの化合物は、Liquid Crystals,21(10),923(1996).記載の方法に準じて容易に合成できる。まず、以下に、これらの化合物のうち、F−28、30、32の反応スキームを示す。
【0189】
【化55】
【0190】
(1)F−28の合成
▲1▼中間体M−1の合成
マロン酸ジメチル;58.1g(439mmol)をメタノールに溶解し、ナトリウムメトキシドのメタノール28%溶液;88mlを加え、1−ブロモデカン97.2g(439mmol)を1時間かけて滴下した後、8時間還流した。反応混合物を希塩酸に注ぎ中和後、酢酸エチルで抽出した。抽出溶液を硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧濃縮し、残留物を減圧蒸留し、M−1を41g(399Pa(3mmHg)/82℃の留分)得た。
【0191】
▲2▼中間体M−2の合成
リチウムアルミニウムヒドリド(11g、289mmol)を150mlのジエチルエーテルに分散し、室温で攪拌しながら、上記▲1▼で得た、M−1(41g、170mmol)をジエチルエーテル(50ml)に溶解した溶液を2時間かけて滴下した。滴下後、3時間還流した後、反応混合物を、希塩酸/氷にゆっくり注ぎ、溶液を酸性にした後抽出した。抽出液を硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧下溶媒を留去し、粗生成物31gの油状物を得た。粗生成物をシリカゲルカラムクロマトにて精製し、M−2、14gを無色の油状物として得た。
【0192】
▲3▼中間体M−4の合成
上記で得たM−2(13.85g、64mmol)とM−3(6.86g、64mmol)をトルエン(50ml)に分散し、パラトルエンスルホン酸(12g)を加え、水を留去しながら5時間加熱還流した。反応混合物を炭酸カリウム(10g)を加えた水(100ml)に注ぎ、酢酸エチルで抽出し、抽出液を乾燥後、溶媒を減圧下留去した。残留物をアセトニトリルで再結晶し、目的のM−4を結晶として7g得た。
【0193】
▲4▼F−28の合成
上記で得たM−4(1g、3.28mmol)とM−52(q=2)(0.42g、1.13mmol)をアセトニトリル(10ml)に分散し、8時間加熱還流した。反応混合物を濃縮後、シリカゲルカラムクロマト(展開溶媒;塩化メチレン/メタノール=20/1)で精製し、これを酢酸エチルで再結晶し、目的物F−28を1.31g得た。構造はNMRスペクトルにて確認した。
【0194】
(2)F−30の合成
F−28の合成にてM−52(q=2)のかわりにM−55(q=5)を用いた以外は全く同様にしてF−30を1.1g得た。
【0195】
(3)F−32の合成
F−28の合成にて、M−52(q=2)のかわりに、ポリエチレングリコール平均分子量400より合成したM−578(q=7.8;qの平均値を示す)を用いた以外は全く同様にしてF−32を1.4g得た。
次に、式(IV-b)の化合物F−51、52、54の合成例を示す。
(4)F−51の合成
以下に反応スキームを示す。
【0196】
【化56】
【0197】
(a)中間体M−6の合成
N−(4−ヒドロキシフェニル)イミダゾール(M−5)(4.8g、30mmol)をテトラヒドロフラン(THF)(30ml)に溶解し、内温5℃で水素化ナトリウム(60%オイル中、1.32g、33mmol)を添加した後、1−ブロモデカン(6.63g、30mmol)を滴下した。室温下1時間撹拌した後、反応液を水に注ぎ、酢酸エチルで抽出した。抽出液(有機相)を硫酸マグネシウムで乾燥後、濃縮し、濃縮物をアセトニトリルで晶析し、M−6(6.1g)を結晶として得た。
【0198】
(b)F−51の合成
上記で得たM−6(0.45g、1.50mmol)とM−55(0.38g、0.757mmol)をアセトニトリルに溶解し、8時間加熱還流した。反応後、反応液を濃縮し、シリカゲルカラムクロマトで精製し、目的のF−51(0.48g)を淡黄色油状物として得た。
【0199】
(5)F−52の合成
(4)で得たF−51(0.3g、0.272mmol)を塩化メチレン(10ml)/水(10ml)に溶解し、LiN(SO2CF3)2(0.137g、0.543mmol)を加え、撹拌した。塩化メチレン相を分液し、濃縮後、シリカゲルカラムクロマトにて精製し、F−52(0.21g)を無色の油状物として得た。
(6)F−54の合成
以下に反応スキームを示す。
【0200】
【化57】
【0201】
(a)中間体M−8の合成
4−ヒドロキシ桂皮酸メチルエステル(M−7)(5.0g、28mmol)をジメチルホルムアミド(DMF)に溶解し、炭酸カリウム(7.8g)を添加し、内温80℃にて、1−ブロモデカン(6.5g、29mmol)を滴下した。80℃にて1時間撹拌した後、反応液に水と酢酸エチルを加え、抽出した。抽出液(有機相)を硫酸マグネシウムで乾燥した後、濃縮し、濃縮物をアセトニトリルで晶析し、M−8(8.2g)を結晶として得た。
【0202】
(b)中間体M−9の合成
上記で得たM−8(8.1g、25.4mmol)をメタノール(100ml)に分散し、KOH(2.85g、50.8mmol)/水(10ml)を加え、2時間還流した。室温に冷却した後、反応物に水(100ml)を加え、濃塩酸で酸性にした。析出している結晶をろ過し、水洗、乾燥後、M−9(6.6g)を得た。
【0203】
(c)中間体M−11の合成
上記で得たM−9(1.0g、3.28mmol)をアセトニトリル(10ml)/ジメチルアセトアミド(5ml)に溶解し、室温下、塩化チオニル(0.26ml)を加えた。30分間撹拌した後、M−5(0.525g、3.28mmol)、続いてトリエチルアミン1mlを加え、5時間撹拌した。K2CO3/水(20ml)を加え、塩基性にし、析出した固形物をろ過した。ろ過物を酢酸エチルで溶解し、不溶物を熱ろ過し、ろ液を濃縮した。濃縮物をアセトニトリルで晶析し、M−11(0.8g)を結晶として得た。
【0204】
(d)F−54の合成
上記で得たM−11(0.7g、1.57mmol)とM−578(0.48g、0.784mmol)をアセトニトリルに分散し、8時間過熱環流した。室温にした後、析出している結晶(未反応のM−11)をろ過し、ろ液を濃縮した。濃縮物をシルカゲルカラムトクロマトにて精製し、F−54(0.6g)を得た。構造は1H−NMRで確認した。
【0205】
実施例2
1.二酸化チタン分散液の調製
内側をテフロン(登録商標)コーティングした内容積200mlのステンレス製ベッセルに二酸化チタン(日本アエロジル社 Degussa P−25)15g、水45g、分散剤(アルドリッチ社製、Triton X−100)1g、直径0.5mmのジルコニアビーズ(ニッカトー社製)30gを入れ、サンドグラインダーミル(アイメックス社製)を用いて1500rpmにて2時間分散した。分散物からジルコニアビーズをろ過して除いた。この場合の二酸化チタンの平均粒径は2.5μmであった。このときの粒径はMALVERN社製マスターサイザーにて測定したものである。
【0206】
2.色素を吸着したTiO2電極(電極A)の作成
フッ素をドープした酸化スズをコーティングした導電性ガラス(旭硝子製TCOガラス-Uを20mm×20mmの大きさに切断加工したもの)の導電面側にガラス棒を用いて上記の分散液を塗布した。この際導電面側の一部(端から3mm)に粘着テープを張ってスペーサーとし、粘着テープが両端に来るようにガラスを並べて一度に8枚ずつ塗布した。塗布後、粘着テープを剥離し、室温で1日間風乾した。次に、このガラスを電気炉(ヤマト科学製マッフル炉FP−32型)に入れ、450℃にて30分間焼成した。このガラスを取り出し冷却した後、表1に示す色素のエタノール溶液(3×10-4mol/l)に3時間浸漬した。色素の染着したガラスを4−tert−ブチルピリジンに15分間浸漬した後、エタノールで洗浄し自然乾燥させた。このようにして得られる感光層の厚さは10μmであり、半導体微粒子の塗布量は20g/m2とした。色素の塗布量は、色素の種類に応じ、適宜0.1〜10mmol/m2の範囲から選択した。
なお、導電性ガラスの表面抵抗は約30Ω/cm2であった。
【0207】
3.光電気化学電池の作成
上述のようにして作成した色増感されたTiO2電極基板(1cm×1cm)に、本発明の化合物、参考例の化合物および比較化合物(RE−1)、(RE−2)をそれぞれ同重量のアセトニトリルに溶解し、ヨウ素を2mol%加えた溶液を塗布し、60℃、減圧下で、TiO2電極に染み込ませながらアセトニトリルを留去した。これらの電極に、同じ大きさの白金蒸着ガラスを重ね合わせそれぞれ光電気化学電池(サンプル204、202、203)を得た(表3、図1)。また、溶媒を用いた比較電解液Z−1(溶媒S−5に同重量の(C4H9)4NI およびヨウ素2mol%を溶解したもの)は、上記と同じ色増感されたTiO2電極基板(2cm×2cm)に、その電極と同じ大きさの白金蒸着ガラスと重ね合わせた後、両ガラスの隙間に毛細管現象を利用して電解液を染み込ませ、光電気化学電池(サンプル201)を作製した。上記の工程を色素と電解質組成物の組み合わせを表3に記載されているように変更して行った。
【0208】
本実施例により、図1に示したとおり、導電性ガラス1(ガラス上に導電剤層2が設層されたもの)、TiO2電極3、色素層4、電解質5、白金層6およびガラス7が順に積層された光電気化学電池が作成された。
【0209】
【化58】
【0210】
【表3】
【0211】
4.光電変換効率の測定
500Wのキセノンランプ(ウシオ製)の光をAM1.5フィルター(Oriel社製)およびシャープカットフィルター(KenkoL−41)を通すことにより紫外線を含まない模擬太陽光を発生させ、この光の強度を50mW/cm2に調整した。
【0212】
前述の光電気化学電池の導電性ガラスと白金蒸着ガラスにそれぞれ、ワニ口クリップを接続し、模擬太陽光を照射し、発生した電気を電流電圧測定装置(ケースレーSMU238型)にて測定した。これにより求められた光電気化学電池の開放電圧(Voc)、短絡電流密度(Jsc)、形状因子(FF)[=最大出力/(開放電圧×短絡電流)]、および変換効率(η)と600時間連続照射後の短絡電流密度の低下率を一括して表4に記載した。
【0213】
【表4】
【0214】
溶媒を用いた比較電解液を用いた光電気化学電池(201)は初期性能が低く、溶媒が揮発するため耐久性が非常に悪い。また、比較化合物RE−1、RE−2からなる電解質を用いた光電気化学電池(202,203)では、耐久性は比較的改善されるが、初期性能が低くい。これに対して、式(I)に包含される式(IV-a)、(IV-b)で表される本発明の化合物を用いたときは、短絡電流密度、変換効率等の初期性能、耐久性ともに優れている。このような効果はいずれの色素を用いた場合にも見られた。またアルカリ金属塩を共存させた場合、より優れた結果が得られた。
【0215】
【発明の効果】
本発明により、実質的に揮発せず、かつ電荷輸送性能に優れた電解質が得られ、これにより、光電変換特性に優れ、経時での特性劣化が少ない光電気化学電池が得られた。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例で作成した光電気化学電池の構成を示す断面図である。
【符号の説明】
1 導電性ガラス
2 導電剤層
3 TiO2電極
4 色素層
5 電解質
6 白金層
7 ガラス
Claims (14)
- 式(IV-a)または式(IV-b)で表される液晶化合物を含む電解質。
[式(IV-a)および式(IV-b)中、Q111は式(VI)で表される2価の連結基を表し、X111 -はアニオンを表す。R141、R151、R161およびR171はそれぞれ水素原子または置換基を表し、R131は置換もしくは無置換のアルキル基またはアルケニル基を表す。Y111は2価の4、5、6もしくは7員環置換基またはそれらから構成される縮合環置換基を表し、Q121およびQ131は2価の連結基または単結合を表す。nは1、2または3を表し、nが2または3の時、複数のY111、Q121およびQ131はそれぞれ同じであっても、異なってもよい。]
[式(VI)中、qは1〜30の整数を表す。] - 前記液晶化合物を50質量%以上含有する請求項1の電解質。
- 前記液晶化合物を80質量%以上含有する請求項1または2の電解質。
- 式(IV-a)または式(IV-b)で表される液晶化合物。
[式(IV-a)および式(IV-b)中、Q111は式(VI)で表される2価の連結基を表し、X111 -はアニオンを表す。R141、R151、R161およびR171はそれぞれ水素原子または置換基を表し、R131は置換もしくは無置換のアルキル基またはアルケニル基を表す。Y111は2価の4、5、6もしくは7員環置換基またはそれらから構成される縮合環置換基を表し、Q121およびQ131は2価の連結基または単結合を表す。nは1、2または3を表し、nが2または3の時、複数のY111、Q121およびQ131はそれぞれ同じであっても、異なってもよい。]
[式(VI)中、qは1〜30の整数を表す。] - 式(IV-a)または式(IV-b)のX111 -がヨウ素アニオンである請求項4の液晶化合物。
- 請求項4または5の液晶化合物を少なくとも2種含有する液晶混合物。
- 請求項4または5の式(VI)のqの異なる少なくとも2種の液晶化合物を含有する液晶混合物。
- 請求項4〜7のいずれかの液晶化合物または液晶混合物を含有する液晶組成物。
- 請求項4〜7のいずれかの液晶化合物または液晶混合物とアルカリ金属塩およびアルカリ土類金属塩の少なくとも1種とを含有する液晶組成物。
- 請求項5〜9のいずれかの液晶化合物、液晶混合物または液晶組成物を含む電解質。
- ヨウ素を含む請求項1〜3、10のいずれかの電解質。
- 請求項1〜3、10、11のいずれかの電解質を有する電気化学電池。
- 請求項1〜3、10、11のいずれかの電解質を少なくとも含む電荷移動層と輻射線に感応する半導体とを有する光電気化学電池。
- 前記半導体が色素で増感された微粒子半導体である請求項13の光電気化学電池。
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