JP2000319260A - 液晶化合物、液晶混合物、液晶組成物、電解質、電気化学電池および光電気化学電池 - Google Patents

液晶化合物、液晶混合物、液晶組成物、電解質、電気化学電池および光電気化学電池

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JP2000319260A JP2000053711A JP2000053711A JP2000319260A JP 2000319260 A JP2000319260 A JP 2000319260A JP 2000053711 A JP2000053711 A JP 2000053711A JP 2000053711 A JP2000053711 A JP 2000053711A JP 2000319260 A JP2000319260 A JP 2000319260A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 電荷輸送能に優れた、揮発しにくい電解質を
提供し、これにより光電変換効率および耐久性に優れた
光電気化学電池を提供する。 【解決手段】 好ましくは特定構造の液晶性ヨウ化物溶
融塩とヨウ素を含む電解質とし、この電解質を電荷輸送
層に含有させた光電気化学電池とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、新規な液晶化合
物、特に電解質として有用な新規な液晶化合物、および
この混合物と組成物に関する。さらにはこのような新規
なものも含め、特定の液晶化合物、混合物、組成物を用
いた電解質、およびそれら電解質を用いた電気化学電
池、特に光電気化学電池に関する。
【0002】
【従来の技術】リチウムイオン二次電池や後述する色素
増感太陽電池などの電気化学電池に用いられる電解質と
は、目的に応じたイオンを含み、そのイオンを電極間に
輸送する機能(イオン伝導という)を持つ媒体である。
一般に、イオン伝導性が高い溶液系が電解質として多く
用いられているが、電池に組み込んだ際の溶媒の枯渇や
漏れが電池の耐久性を低下させるなどの問題があった。
また、溶液を密閉するため、金属容器を用いなければな
らないため、電池重量が重くなり、電池形状にも自由度
を持たせることが困難であった。このような溶液系電解
質の欠点を克服するため、近年、種々の電解質が提案さ
れている。溶液電解質をポリマーマトリックスに浸潤さ
せたいわゆるゲル電解質は、溶液系電解質に対して、イ
オン伝導度の低下が小さく電池性能を落とさないが、溶
媒の揮発を完全に抑止することはできていない。また、
塩をポリエチレンオキシドなどのポリマーに溶解したポ
リマー電解質は、溶液系電解質の問題を解決するものと
して期待されるが、イオン伝導度は未だ十分ではない。
一方、対アニオンがBF4 -、(CF3SO22-などの
イミダゾリウム塩やピリジニウム塩は、室温で液状の室
温溶融塩であり、リチウムイオン電池用の電解質として
提案されているが、電解質の機械的強度とイオン伝導性
とは相反し、溶融塩自身の粘性を上げたり、ポリマーを
含有させるなどの手段で、機械的強度を強くした場合に
はイオン伝導度の低下が見られる。さらに、上記のよう
な電解質では、イオン伝導性の温度依存性が大きく、特
に低温でのイオン伝導性が不十分であった。
【0003】ところで、光エネルギーを電気エネルギー
に変換する太陽光発電は単結晶シリコン太陽電池、多結
晶シリコン太陽電池、アモルファスシリコン太陽電池、
テルル化カドミウムやセレン化インジウム銅等の化合物
太陽電池が実用化、もしくは研究開発の対象となってい
るが、普及させる上で製造コスト、原材料の確保、エネ
ルギーペイバックタイムの長さなどの問題点を克服する
必要がある。一方、大面積化や低価格化を指向した有機
材料を用いた太陽電池もこれまでにも多く提案されてい
るが、変換効率が低く、耐久性も悪いという問題があっ
た。
【0004】こうした状況の中で、Nature(第353巻、
第737〜740頁、1991年)および米国特許4927721号等
に、色素によって増感された酸化物半導体を用いた光電
変換素子(以後、色素増感光電変換素子と略す)および
これを用いた光電気化学電池の技術が開示された。この
電池は負極として機能する光電変換素子、電荷移動層お
よび対極からなる。光電変換素子は導電性支持体および
感光層からなり、感光層は表面に色素が吸着した半導体
を含む。電荷移動層は酸化還元体からなり、負極と対極
(正極)との間で電荷輸送を担う。上記特許で提案され
た光電気化学電池では、電荷移動層としてヨウ化カリウ
ム等の塩を電解質とする水溶液(電解液)が用いられ
た。この方式は安価で、比較的高いエネルギー変換効率
(光電変換効率)が得られる点で有望であるが、長期に
わたって使用すると電解液の蒸散、枯渇により光電変換
効率が著しく低下したり、電池として機能しなくなるこ
とが問題であった。
【0005】この問題に対し、電解液の枯渇防止方法と
して、WO95/18456号に低融点化合物であるイ
ミダゾリウム塩を電解質とする方法が記載されている。
この方法によれば、従来、電解質の溶媒として用いてい
た水や有機溶剤が不要、あるいは少量で済むため、耐久
性の改善は見られたが、未だ耐久性は不十分であり、ま
たイミダゾリウム塩を高濃度にすると光電変換効率が低
くなるという問題があった。さらには、トリアゾリウム
塩を電解質とする方法もあるが、この方法においてもイ
ミダゾリウム塩と同様の問題が生じる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、新規
な液晶化合物、特に電気化学電池用電解質材料として有
用な化合物、およびこれらの混合物と組成物を提供する
ことである。さらには、これらの新規なものも含め、特
定の液晶化合物、混合物、組成物を用い、電気伝導性が
高く、耐久性に優れた電解質、特に光電気化学電池の電
解質を提供することである。さらには耐久性に優れた電
気化学電池、特に光電変換効率および耐久性に優れた光
電気化学電池を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記課題は、下記の本発
明を特定する事項およびその好ましい態様により達成さ
れた。 (1)式(I)で表される液晶性化合物。
【0008】
【化7】
【0009】[式(I)中、R111は直接もしくは2価
の連結基を介して結合した、置換もしくは無置換のアル
キル基または置換もしくは無置換のアルケニル基を表
し、Z11 1は窒素原子と共に5員環または6員環の芳香
族複素環カチオンを形成しうる原子団を表す。R121
少なくとも1つの2価の環状連結基と少なくとも1つの
置換もしくは無置換のアルキル基または置換もしくは無
置換のアルケニル基とを含む液晶性を付与する置換基を
表し、X111 -はアニオンを表す。] (2)式(I)のX111 -がヨウ素アニオンである上記
(1)の電解質。 (3)式(I)で表される液晶化合物のR121が式(I
I)で表される上記(1)または(2)の電解質。
【0010】
【化8】
【0011】[式(II)中、R122は置換もしくは無置
換のアルキル基または置換もしくは無置換のアルケニル
基を表し、Y111は2価の4ないし7員環置換基または
それらから構成される縮合環置換基を表す。Q121およ
びQ131は2価の連結基または単結合を表し、nは1、
2または3を表し、nが2または3の時、複数の
111、Q121、Q131は同じであっても、異なってもよ
い。] (4)式(II)の置換基Y111が、6員環芳香族基、4
ないし6員環の飽和もしくは不飽和環状脂肪族基、5な
いし6員環複素環基、またはそれらの縮合環基で表され
る上記(3)の電解質。 (5)式(II)で表される液晶化合物のZ111と窒素原
子でできる環がピリジニウムまたはイミダゾリウムであ
る上記(3)または(4)の電解質。 (6)前記液晶化合物を50質量%以上含有する上記
(1)〜(5)のいずれかの電解質。 (7)前記液晶化合物を80質量%以上含有する上記
(1)〜(6)のいずれかの電解質。 (8)電気化学電池に用いられる上記(1)〜(7)の
いずれかの電解質。 (9)光電気化学電池に用いられる上記(1)〜(7)
のいずれかの電解質。 (10)式(III-a)で表されるピリジニウム化合物、
または式(III-b)で表されるイミダゾリウム化合物を
含む液晶組成物。
【0012】
【化9】
【0013】[式(III-a)および式(III-b)中、R
341、R351、R361およびR371はそれぞれ水素原子また
は置換基を表し、R311およびR331はそれぞれ置換もし
くは無置換のアルキル基またはアルケニル基を表す。Y
311は2価の4ないし7員環置換基またはそれらから構
成される縮合環置換基を表す。Q311およびQ321はそれ
ぞれ2価の連結基または単結合を表し、nは1、2また
は3を表し、nが2または3の時、複数のY311、Q311
およびQ321はそれぞれ同じであっても、異なってもよ
い。] (11)式(IV-a)または式(IV-b)で表される液晶性
化合物。
【0014】
【化10】
【0015】[式(IV-a)および式(IV-b)中、Q111
は2価の連結基(ただし、ポリメチレン基またはフェニ
レンビスメチレン基のときはヘテロ原子が介在する。)
を表し、X111 -はアニオンを表す。R141、R151、R
161およびR171はそれぞれ水素原子または置換基を表
し、R131は置換もしくは無置換のアルキル基または置
換もしくは無置換のアルケニル基を表す。Y111は2価
の4、5、6もしくは7員環置換基またはそれらから構
成される縮合環置換基を表し、Q121およびQ131は2価
の連結基または単結合を表す。nは1、2または3を表
し、nが2または3の時、複数のY111、Q121およびQ
131はそれぞれ同じであっても、異なってもよい。] (12)式(IV-a)または式(IV-b)のX111がヨウ素
アニオンである上記(11)の液晶化合物。 (13)式(IV-a)または式(IV-b)のX111がヨウ素
アニオンである上記(11)または(12)の液晶化合
物。 (14)式(IV-a)または式(IV-b)のQ111が式(V)
で表される上記(11)〜(13)のいずれかの液晶化
合物。
【0016】
【化11】
【0017】[式(V)中、Q211は2価の連結基(ただ
し、メチレン基になることはなく、ポリメチレン基のと
きはヘテロ原子が介在する。)を表し、R211、R221
231およびR241はそれぞれ水素原子または置換基を表
し、Q211と結合して環を形成してもよい。mは0また
は1を表す。] (15)式(IV-a)または式(IV-b)のQ111が式(V
I)で表される上記(11)〜(13)のいずれかの液
晶化合物。
【0018】
【化12】
【0019】[式(VI)中、qは1〜30の整数を表
す。] (16)上記(11)〜(15)のいずれかの液晶化合
物を少なくとも2種含有する液晶混合物。 (17)式(VI)のqの異なる少なくとも2種の液晶化
合物を含有する上記(16)の液晶混合物。 (18)上記(11)〜(17)のいずれかの液晶化合
物または液晶混合物とアルカリ金属塩およびアルカリ土
類金属塩の少なくとも1種とを含有する液晶組成物。 (19)上記(11)〜(18)のいずれかの液晶化合
物、液晶混合物または液晶組成物を含む電解質。 (20)液晶化合物、液晶混合物または液晶組成物の含
有量が50質量%以上である上記(19)の電解質。 (21)ヨウ素を含む上記(19)または(20)の電
解質。 (22)上記(1)〜(9)、(19)〜(21)のい
ずれかの電解質を有する電気化学電池。 (23)上記(1)〜(9)、(19)〜(21)のい
ずれかの電解質を少なくとも含む電荷移動層と輻射線に
感応する半導体とを有する光電気化学電池。 (24)上記半導体が色素で増感された微粒子半導体で
ある上記(23)の光電気化学電池。 (25)微粒子半導体が金属カルコゲニドである上記
(24)の光電気化学電池。 (26)金属カルコゲニドが酸化チタンを含む上記(2
5)の光電気化学電池。 (27)前記色素が金属錯体色素および/またはポリメ
チン色素である上記(24)〜(26)のいずれかの光
電気化学電池。
【0020】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の式(I)で表されるイオン性の液晶化合物を含
む電解質は、化学反応および金属メッキ等の反応溶媒、
CCD(電荷結合素子)カメラ、種々の電気化学電池
(いわゆる電池)に用いることができるが、好ましくは
リチウム二次電池または下記の半導体を用いた光電気化
学電池に用いられ、光電気化学電池に用いることがより
好ましい。
【0021】式(I)で表される化合物については、後
に詳述するが、室温(25℃)で液晶相を形成する液体
または低融点固体の塩である。一般的な低分子溶媒を使
用した電解質を電池に組み込んだ場合は、溶媒の揮発や
液漏れによる電池性能の劣化が問題であった。一方、室
温で液体の塩、いわゆる溶融塩と呼ばれる化合物を電解
質に用いる方法が知られているが、これらは、融点が極
めて高いため揮発による電池性能の劣化を防止するには
有効であるが、粘性が高いため電荷輸送能が低く、光電
気化学電池に組み込んだ場合、十分な光電変換効率を得
ることはできない。これら溶媒や溶融塩を使用した電解
質に比べ、本発明の液晶性溶融塩からなる電解質は、高
い粘性を保った液晶状態で、高い電荷輸送能を有するた
め、電池の性能を落とさず、性能劣化を防止することが
できる。また、電荷輸送性能が十分であり、特に光電気
化学電池に用いたときの光電変換効率に優れる。
【0022】以下に、本発明の電解質が好ましく用いら
れる光電気化学電池について説明する。本発明の光電気
化学電池は、光電変換素子を外部回路で仕事をさせる電
池用途に使用できるようにしたものであり、輻射線に感
応する半導体と電荷移動層と対極とを有する。この電荷
移動層に本発明の電解質が含有されている。
【0023】本発明において光電変換素子は導電性支持
体、導電性支持体上に設置される半導体膜(感光層)、
電荷移動層および対極からなる。感光層は目的に応じて
設計され、単層構成でも多層構成でもよい。本発明で
は、感光層、すなわち半導体膜は色素により増感されて
いるのが好ましい。感光層に入射した光は色素等を励起
する。励起された色素等はエネルギーの高い電子を有し
ており、この電子が色素等から半導体微粒子の伝導帯に
渡され、さらに拡散によって導電性支持体に到達する。
この時色素等の分子は酸化体となっている。光電気化学
電池においては導電性支持体上の電子が外部回路で仕事
をしながら対極および電荷移動層を経て色素等の酸化体
に戻り、色素等が再生する。半導体膜はこの電池の負極
として働く。なお、本発明ではそれぞれの層の境界にお
いて(例えば、導電性支持体の導電層と感光層の境界、
感光層と電荷移動層の境界、電荷移動層と対極の境界な
ど)、各層の構成成分同士が相互に拡散して混合してい
てもよい。例えば、電荷移動層は明確な層をなすもので
なくてもよく、半導体微粒子の層に電解質が一部または
全部含浸ないし浸透されていてもよい。
【0024】本発明において、半導体はいわゆる感光体
であり、光を吸収して電荷分離を行い電子と正孔を生ず
る役割を担う。色素増感された半導体では、光吸収およ
びこれによる電子および正孔の発生は主として色素にお
いて起こり、半導体はこの電子を受け取り、伝達する役
割を担う。
【0025】半導体としてはシリコン、ゲルマニウムの
ような単体半導体の他に、金属のカルコゲニド(例えば
酸化物、硫化物、セレン化物等)に代表されるいわゆる
化合物半導体またはペロブスカイト構造を有する化合物
等を使用することができる。金属のカルコゲニドとして
好ましくはチタン、スズ、亜鉛、鉄、タングステン、ジ
ルコニウム、ハフニウム、ストロンチウム、インジウ
ム、セリウム、イットリウム、ランタン、バナジウム、
ニオブ、もしくはタンタルの酸化物、カドミウム、亜
鉛、鉛、銀、アンチモン、ビスマスの硫化物、カドミウ
ム、鉛のセレン化物、カドミウムのテルル化物等が挙げ
られる。他の化合物半導体としては亜鉛、ガリウム、イ
ンジウム、カドミウム等のリン化物、ガリウムヒ素、銅
−インジウム−セレン化物、銅−インジウム−硫化物等
が挙げられる。
【0026】また、ペロブスカイト構造を有する化合物
として好ましくはチタン酸ストロンチウム、チタン酸カ
ルシウム、チタン酸ナトリウム、チタン酸バリウム、ニ
オブ酸カリウムが挙げられる。
【0027】本発明に用いられる半導体としてより好ま
しくは、具体的にはSi、TiO2、SnO2、Fe2O3、WO3、Zn
O、Nb2O5、CdS、ZnS、PbS、Bi2S3、CdSe、CdTe、GaP、I
nP、GaAs、CuInS2、CuInSe2が挙げられる。さらに好ま
しくはTiO2、ZnO、SnO2、Fe2O3、WO3、Nb2O5、CdS、Pb
S、CdSe、InP、GaAs、CuInS2、CuInSe2であり、特に好
ましくはTiO2またはNb2O5であり、最も好ましくはTiO2
である。
【0028】本発明に用いられる半導体は、単結晶で
も、多結晶でもよい。変換効率としては単結晶が好まし
いが、製造コスト、原材料確保、エネルギーペイバック
タイム等の点では多結晶が好ましく、特にナノメートル
からマイクロメートルサイズの微粒子半導体が好まし
い。
【0029】これらの半導体微粒子の粒径は、投影面積
を円に換算したときの直径を用いた平均粒径で一次粒子
として5〜200nmであることが好ましく、特に8〜1
00nmであることが好ましい。また、分散物中の半導体
微粒子(二次粒子)の平均粒径としては0.01〜10
0μmであることが好ましい。
【0030】また、2種類以上の粒子サイズ分布の異な
る微粒子を混合して用いてもよく、この場合、小さい粒
子の平均サイズは5nm以下であることが好ましい。ま
た、入射光を散乱させて光捕獲率を向上させる目的で、
粒子サイズの大きな、例えば300nm程度の半導体粒子
を混合してもよい。
【0031】半導体微粒子の作製法は、作花済夫の「ゾ
ルーゲル法の科学」アグネ承風社(1988年)、技術
情報協会の「ゾルーゲル法による薄膜コーティング技
術」(1995)等に記載のゾルーゲル法、杉本忠夫の
「新合成法ゲルーゾル法による単分散粒子の合成とサイ
ズ形態制御」 まてりあ、第35巻、第9号 1012
頁から1018頁(1996)記載のゲルーゾル法が好
ましい。
【0032】またDegussa社が開発した塩化物を
酸水素炎中で高温加水分解により酸化物を作製する方法
も好ましい。
【0033】また酸化チタンの場合は上記のゾルーゲル
法、ゲルーゾル法、塩化物を酸水素炎中で高温加水分解
法がいずれも好ましいが、さらに清野学の「酸化チタン
物性と応用技術」技報堂出版(1997)に記載の硫
酸法、塩素法を用いることもできる。
【0034】酸化チタンの場合は上記のゾルーゲル法の
うち特にバーブ等の「ジャーナル・オブ・アメリカン・
セラミック・ソサエティー 第80巻、第12号、31
57ページから3171ページ(1997)」記載のも
のと、バーンサイド等の「ケミカル・マテリアルズ 第
10巻 第9号、2419ページから2425ページ」
記載の方法が好ましい。
【0035】導電性支持体は、金属のように支持体その
ものに導電性があるものか、または表面に導電剤を含む
導電層(導電剤層)を有するガラスもしくはプラスチッ
クの支持体を使用することができる。後者の場合好まし
い導電剤としては金属(例えば白金、金、銀、銅、アル
ミニウム、ロジウム、インジウム等)、炭素、もしくは
導電性の金属酸化物(インジウム−スズ複合酸化物、酸
化スズにフッ素をドープしたもの等)が挙げられる。上
記導電剤層の厚さは、0.02〜10μm程度であるこ
とが好ましい。
【0036】導電性支持体は表面抵抗が低い程よい。好
ましい表面抵抗の範囲としては100Ω/cm2以下であ
り、さらに好ましくは40Ω/cm2以下である。この下
限には特に制限はないが、通常0.1Ω/cm2程度であ
る。
【0037】導電性支持体は実質的に透明であることが
好ましい。実質的に透明であるとは光の透過率が10%
以上であることを意味し、50%以上であることが好ま
しく、70%以上が特に好ましい。透明導電性支持体と
してはガラスもしくはプラスチックに導電性の金属酸化
物を塗設したものが好ましい。この中でもフッ素をドー
ピングした二酸化スズからなる導電層を低コストのソー
ダ石灰フロートガラスでできた透明基板上に堆積した導
電性ガラスが特に好ましい。また、低コストでフレキシ
ブルな光電変換素子または太陽電池には、透明ポリマー
フィルムに上記導電層を設けたものを用いるのがよい。
透明ポリマーフィルムには、テトラアセチルセルロース
(TAC)、ポリエチレンテレフタレート(PET),
ポリエチレンナフタレート(PEN)、シンジオクタチ
ックポリステレン(SPS)、ポリフェニレンスルフィ
ド(PPS)、ポリカーボネート(PC)、ポリアリレ
ート(PAr)、ポリスルフォン(PSF)、ポリエス
テルスルフォン(PES)、ポリエーテルイミド(PE
I)、環状ポリオレフィン、ブロム化フェノキシ等があ
る。透明導電性支持体を用いる場合、光はその支持体側
から入射させることが好ましい。この場合、導電性金属
酸化物の塗布量はガラスもしくはプラスチックの支持体
1m2当たり0.01〜100gが好ましい。
【0038】透明導電性基板の抵抗を下げる目的で金属
リードを用いることも好ましい。金属リードの材質はア
ルミニウム、銅、銀、金、白金、ニッケル等の金属が好
ましく、特にアルミニウム、銀が好ましい。金属リード
は透明基板に蒸着、スッパタリング等で設置し、その上
にフッ素をドープした酸化スズ、またはITO膜からな
る透明導電層を設けることが好ましい。また上記の透明
導電層を透明基板に設けたあと、透明導電層上に金属リ
ードを設置することも好ましい。金属リード設置による
入射光量の低下は1〜10%、より好ましくは1〜5%
である。
【0039】半導体微粒子を導電性支持体上に塗設する
方法としては、半導体微粒子の分散液またはコロイド溶
液を導電性支持体上に塗布する方法、前述のゾル−ゲル
法などが挙げられる。光電変換素子の量産化、液物性や
支持体の融通性を考えた場合、湿式の膜付与方式が比較
的有利である。湿式の膜付与方式としては、塗布法、印
刷法が代表的である。
【0040】半導体微粒子の分散液を作成する方法とし
ては前述のゾル-ゲル法の他、乳鉢ですり潰す方法、ミ
ルを使って粉砕しながら分散する方法、あるいは半導体
を合成する際に溶媒中で微粒子として析出させそのまま
使用する方法等が挙げられる。分散媒としては水または
各種の有機溶媒(例えばメタノール、エタノール、イソ
プロピルアルコール、ジクロロメタン、アセトン、アセ
トニトリル、酢酸エチル等)が挙げられる。分散の際、
必要に応じてポリマー、界面活性剤、酸、もしくはキレ
ート剤などを分散助剤として用いてもよい。
【0041】塗布方法としては、アプリケーション系と
してローラ法、ディップ法、メータリング系としてエア
ーナイフ法、ブレード法等、またアプリケーションとメ
ータリングを同一部分でできるものとして、特公昭58
−4589号公報に開示されているワイヤーバー法、米
国特許2681294号、同2761419号、同27
61791号等に記載のスライドホッパ法、エクストル
ージョン法、カーテン法等が好ましい。また汎用機とし
てスピン法やスプレー法も好ましく用いられる。
【0042】湿式印刷方法としては、従来から凸版、オ
フセット、グラビアの3大印刷法をはじめ、凹版、ゴム
版、スクリーン印刷等が好ましい。
【0043】前記方法の中から、液粘度やウェット厚み
により好ましい膜付与方式を選択する。
【0044】液粘度は半導体微粒子の種類や分散性、使
用溶媒種、界面活性剤やバインダー等の添加剤により大
きく左右される。高粘度液(例えば0.01〜500
P)ではエクストルージョン法やキャスト法が好まし
く、低粘度液(例えば0.1P以下)ではスライドホッ
パー法もしくはワイヤーバー法もしくはスピン法が好ま
しく、均一な膜にすることが可能である。
【0045】なお、エクストルージョン法による低粘度
液の塗布の場合でも塗布量がある程度の量あれば塗布は
可能である。
【0046】また半導体微粒子の高粘度ペーストの塗設
にはしばしばスクリーン印刷が用いられており、この手
法を使うこともできる。
【0047】このように塗布液の液粘度、塗布量、支持
体、塗布速度等のパラメータに対応して、適宜ウェット
膜の付与方式を選択すればよい。
【0048】さらに、半導体微粒子層は単層と限定する
必要はない。微粒子の粒径の違った分散液を多層塗布す
ることも可能であり、また半導体の種類が異なる、ある
いはバインダー、添加剤の組成が異なる塗布層を多層塗
布することもでき、また一度の塗布で膜厚が不足の場合
にも多層塗布は有効である。多層塗布には、エクストル
ージョン法またはスライドホッパー法が適している。ま
た多層塗布をする場合は同時に多層を塗布しても良く、
数回から十数回順次重ね塗りしてもよい。さらに順次重
ね塗りであればスクリーン印刷法も好ましく使用でき
る。
【0049】一般に、半導体微粒子含有層の厚みが増大
するほど単位投影面積当たりの担持色素量が増えるため
光の捕獲率が高くなるが、生成した電子の拡散距離が増
すため電荷再結合によるロスも大きくなる。したがっ
て、半導体微粒子含有層には好ましい厚さが存在する
が、典型的には0.1〜100μmである。光電気化学
電池として用いる場合は1〜30μmであることが好ま
しく、2〜25μmであることがより好ましい。半導体
微粒子の支持体1m2当たりの塗布量は0.5〜400
g、さらには5〜100gが好ましい。
【0050】半導体微粒子は導電性支持体に塗布した後
に粒子同士を電子的にコンタクトさせるため、および塗
膜強度の向上や支持体との密着性を向上させるために加
熱処理することが好ましい。好ましい加熱処理温度の範
囲は40℃以上700℃未満であり、より好ましくは1
00℃以上600℃以下である。また加熱処理時間は1
0分〜10時間程度である。ポリマーフィルムなど融点
や軟化点の低い支持体を用いる場合は、高温処理は支持
体の劣化を招くため、好ましくない。また、コストの観
点からもできる限り低温であることが好ましい。低温化
は、先に述べた5nm以下の小さい半導体微粒子の併用や
鉱酸の存在下での加熱処理等により可能である。
【0051】また、加熱処理後、半導体粒子の表面積を
増大させたり、半導体粒子近傍の純度を高め、色素から
半導体粒子への電子注入効率を高める目的で、例えば四
塩化チタン水溶液を用いた化学メッキや三塩化チタン水
溶液を用いた電気化学的メッキ処理を行ってもよい。
【0052】半導体微粒子は多くの色素を吸着すること
ができるように表面積の大きいものが好ましい。このた
め半導体微粒子層を支持体上に塗設した状態での表面積
は、投影面積に対して10倍以上であることが好まし
く、さらに100倍以上であることが好ましい。この上
限には特に制限はないが、通常1000倍程度である。
【0053】本発明に使用する色素は錯体色素、特に金
属錯体色素またはポリメチン色素が好ましい。本発明で
は、光電変換の波長域をできるだけ広くし、かつ変換効
率を上げるため、二種類以上の色素を混合することもで
きる。そして、目的とする光源の波長域と強度分布に合
わせるように混合する色素とその割合を選ぶことができ
る。こうした色素は半導体微粒子の表面に対する適当な
結合基(interlockinggroup)を有していることが好ま
しい。好ましい結合基としては、COOH基、SO3H基、シア
ノ基、-P(O)(OH)2基、-OP(O)(OH)2基、または、オキシ
ム、ジオキシム、ヒドロキシキノリン、サリチレートお
よびα−ケトエノレートのようなπ伝導性を有するキレ
ート化基が挙げられる。この中でもCOOH基、-P(O)(OH)2
基、-OP(O)(OH)2基が特に好ましい。これらの基はアル
カリ金属等と塩を形成していてもよく、また分子内塩を
形成していてもよい。また、ポリメチン色素の場合、メ
チン鎖がスクアリリウム環やクロコニウム環を形成する
場合のように酸性基を含有するなら、この部分を結合基
としてもよい。
【0054】本発明に使用する色素が金属錯体色素の場
合、ルテニウム錯体色素が好ましく、さらに下記式(VI
I)で表される色素が好ましい。 式(VII) (A1)pRuBabc 式中、pは0〜3であり、好ましくは2である。Ruは
ルテニウムを表す。A 1はCl、SCN、H2O、Br、
I、CN、NCOおよびSeCNから選択される配位子
である。Ba、Bb、Bcはそれぞれ独立に以下のB-1〜
B-8から選択される有機配位子である。
【0055】
【化13】
【0056】
【化14】
【0057】ここで、Raは水素原子または置換基を表
し、置換基としては、ハロゲン原子、炭素原子数(以下
C数という)1〜12個で置換もしくは無置換のアルキ
ル基、C数7〜12個で置換もしくは無置換のアラルキ
ル基、またはC数6〜12個で置換もしくは無置換のア
リール基、カルボン酸基またはリン酸基等の前述の結合
基などが挙げられる。上記のアルキル基、アラルキル基
のアルキル部分は直鎖状であっても分岐状であってもよ
く、アリール基、アラルキル基のアリール部分は単環で
あっても多環(縮合環、環集合)であってもよい。
【0058】本発明に用いられるルテニウム錯体色素と
しては、例えば、米国特許4927721号、同4684537号、同
5084365号、同5350644号、同5463057号、同5525440号お
よび特開平7-249790号明細書に記載の錯体色素が挙げら
れる。
【0059】以下に本発明に使用する金属錯体色素の好
ましい具体例を示すが、本発明はこれらに限定されるも
のではない。
【0060】
【化15】
【0061】
【化16】
【0062】
【化17】
【0063】本発明に使用する色素がポリメチン色素で
ある場合、下記式(VIII)または式(IX)で表される色
素が好ましい。
【0064】
【化18】
【0065】式中、RbおよびRfは各々水素原子、アル
キル基、アリール基、または複素環基を表し、Rc〜Re
は各々水素原子または置換基を表す。Rb〜Rfは互いに
結合して環を形成してもよい。X11およびX12は各々窒
素、酸素、硫黄、セレン、テルルを表す。n11およびn
13は各々0〜2の整数を表し、n12は1〜6の整数を表
す。式(VIII)で表される化合物は分子全体の電荷に応
じて対イオンを有してもよい。
【0066】上記におけるアルキル基、アリール基、複
素環基は、置換基を有していてもよい。アルキル基は直
鎖であっても分岐鎖であってもよく、アリール基、複素
環基は、単環でも、多環(縮合環、環集合)であっても
よい。またRb〜Rfによって形成される環は、置換基を
有していてもよく、単環であっても縮合環であってもよ
い。
【0067】
【化19】
【0068】式中、Zaは含窒素複素環を形成するに必
要な非金属原子群を表す。Rgはアルキル基またはアリ
ール基である。Qaは式(IX)で表される化合物がメチ
ン色素を形成するのに必要なメチン基またはポリメチン
基を表す。X13は電荷均衡対イオンを表し、n14は分子
の電荷を中和するのに必要な0以上10以下の整数を表
す。
【0069】上記のZaで形成される含窒素複素環は置
換基を有していてもよく、単環であっても縮合環であっ
てもよい。また、アルキル基、アリール基は置換基を有
していてもよく、アルキル基は直鎖であっても分岐鎖で
あってもよく、アリール基は単環であっても多環(縮合
環、環集合)であってもよい。
【0070】式(IX)で表される色素は、下記式(IX−
a)〜(IX−d)で表される色素であることが好まし
い。
【0071】
【化20】
【0072】式(IX−a)〜(IX−d)中、Ra1
a5、Rb1〜Rb4、Rc1〜Rc3、およびRd1〜Rd3はそ
れぞれ独立に水素原子、アルキル基、アリール基、また
は複素環基を表し、Y11、Y12、Y21、Y22、Y31〜Y
35およびY41〜Y46はそれぞれ独立に酸素、硫黄、セレ
ン、テルル、−CRe1e2−、または−NRe3−を表
す。Y23はO-、S-、Se-、Te-、またはNRe4 -
表す。Re1〜Re4はそれぞれ独立に水素原子、アルキル
基、アリール基、または複素環基を表す。V11、V12
21、V22、V31およびV41はそれぞれ独立に置換基を
表し、n15、n31およびn41はそれぞれ独立に1〜6の
整数を表す。
【0073】上記におけるアルキル基、アリール基、複
素環基は置換基を有していてもよく、アルキル基は直鎖
であっても分岐鎖であってもよく、アリール基、複素環
基は単環であっても多環(縮合環、環集合)であっても
よい。
【0074】以上のようなポリメチン色素の具体例はM.
Okawara,T.Kitao,T.Hirasima, M.Matuoka著Organic Col
orants(Elsevier)等に詳しく記載されている。
【0075】以下に式(VIII)または(IX)で表される
ポリメチン色素の好ましい具体例を示すが、本発明はこ
れらに限定されるものではない。
【0076】
【化21】
【0077】
【化22】
【0078】
【化23】
【0079】
【化24】
【0080】
【化25】
【0081】
【化26】
【0082】
【化27】
【0083】
【化28】
【0084】
【化29】
【0085】式(VIII)および式(IX)で表される化合
物は、エフ・エム・ハーマー(F.M.Harmer)著「ヘテロサ
イクリック・コンパウンズ−シアニンダイズ・アンド・
リレィティド・コンパウンズ(Heterocyclic Compounds-
Cyanine Dyes and Related Compounds)」、ジョン・ウ
ィリー・アンド・サンズ(John Wiley & Sons)社−ニュ
ーヨーク、ロンドン、1964年刊、デー・エム・スタ
ーマー(D.M.Sturmer)著「ヘテロサイクリック・コンパ
ウンズースペシャル・トピックス・イン・ヘテロサイク
リック・ケミストリー(Heterocyclic Compounds-Specia
l topics in heterocyclic chemistry)」、第18章、
第14節、第482から515項、ジョン・ウィリー・
アンド・サンズ(John Wiley & Sons)社−ニューヨー
ク、ロンドン、1977年刊、「ロッズ・ケミストリー
・オブ・カーボン・コンパウンズ(Rodd's Chemistry of
Carbon Compounds)」2nd.Ed.vol.IV,partB,1977
刊、第15章、第369から422項、エルセビア・サ
イエンス・パブリック・カンパニー・インク(Elsevier
Science Publishing Company Inc.)社刊、ニューヨー
ク、英国特許第1,077,611号などに記載の方法に基づい
て合成することができる。
【0086】色素を半導体微粒子に吸着させるには色素
等の溶液中によく乾燥した半導体微粒子を数時間浸漬す
る方法が一般的である。色素の吸着は室温で行ってもよ
いし、特開平7-249790号に記載されているように加熱還
流して行ってもよい。色素の吸着は半導体微粒子を導電
性支持体に塗設する前に行っても塗設後に行ってもよい
し、半導体微粒子と色素等を同時に塗設して吸着させて
もよいが、塗設後の半導体微粒子膜に吸着させるのが好
ましい。
【0087】導電性支持体に塗設した半導体微粒子膜に
色素を吸着させる方法は色素溶液中によく乾燥した半導
体微粒子膜を浸漬するか、もしくは色素溶液を半導体微
粒子膜上に塗布して吸着させる方法を用いることができ
る。前者の場合、浸漬法、ディップ法、ローラ法、エア
ーナイフ法などが使える。後者の塗布方法としては、ワ
イヤーバー法、スライドホッパー法、エクストルージョ
ン法、カーテン法、スピン法、スプレー法があり、印刷
方法としては、凸版、オフセット、グラビア、スクリー
ン印刷等がある。
【0088】液粘度も半導体微粒子層の形成時と同様
に、高粘度液(例えば0.01〜500P)ではエクス
トルージョン法の他、各種印刷法が、低粘度液(例えば
0.1P以下)ではスライドホッパー法もしくはワイヤ
ーバー法もしくはスピン法が適していて、均一な膜にす
ることが可能である。
【0089】このように色素塗布液の液粘度、塗布量、
支持体、塗布速度等のパラメータに対応して、適宜付与
方式を選択すればよい。塗布後の色素吸着に要する時間
は、量産化を考えた場合、なるべく短い方がよい。
【0090】色素の使用量は、全体で、支持体1m2当た
り0.01〜100mmolが好ましい。また、色素の半導
体微粒子に対する吸着量は半導体微粒子1gに対して
0.01〜1mmolが好ましい。このような色素量とする
ことによって、半導体における増感効果が十分に得られ
る。これに対し、色素量が少ないと増感効果が不十分と
なり、色素量が多すぎると、半導体に付着していない色
素が浮遊し増感効果を低減させる原因となる。
【0091】未吸着の色素の存在は素子性能の外乱にな
るため、吸着後速やかに洗浄によって除去することが好
ましい。湿式洗浄槽を使い、アセトニトリル等の極性溶
剤、アルコール系溶剤のような有機溶媒で洗浄を行うの
がよい。また、吸着色素量を増大させるため、加熱処理
を吸着前に行うことが好ましい。加熱処理後、半導体微
粒子表面に水が吸着するのを避けるため、常温に戻さず
40〜80℃の間で素早く色素を吸着させることも好ま
しい。
【0092】会合など色素同士の相互作用を低減する目
的で無色の化合物を共吸着させてもよい。共吸着させる
疎水性化合物としてはカルボキシル基を有するステロイ
ド化合物(例えばコール酸)等が挙げられる。
【0093】また、紫外線による光劣化を防止する目的
で紫外線吸収剤を共吸着させることもできる。
【0094】余分な色素の除去を促進する目的で、色素
を吸着した後にアミン類を用いて半導体微粒子の表面を
処理してもよい。好ましいアミン類としてはピリジン、
4−tert−ブチルピリジン、ポリビニルピリジン等
が挙げられる。これらは液体の場合はそのまま用いても
よいし有機溶媒に溶解して用いてもよい。
【0095】次に、式(I)で表される化合物を含む電
解質について説明する。本発明の式(I)で表される化
合物は、25℃で液晶相を形成する特徴を有し、電気化
学電池の電解質として用いられるものである。25℃に
て液体または低融点の固体である塩、すなわちいわゆる
溶融塩と呼ばれる化合物は、低分子溶媒と比較して沸点
が高く、枯渇しにくく耐久性の点で有利であるが、反
面、粘性が高いことに起因して、高い電荷輸送性能を得
ることはできない。これに対して、本発明の化合物は、
粘性の高い液晶状態で高い電荷輸送性能を示す。
【0096】本発明の電解質としては、好ましくは50
質量%までの溶媒等と混合して用いてもよいが、液晶性
を保持し、優れた耐久性および光電変換効率を実現する
ためには、本発明の式(I)の化合物を70質量%以上
用いることが好ましく、80質量%以上がより好まし
く、90質量%以上用いることが最も好ましい。
【0097】式(I)の化合物は一般的な溶媒とは異な
り、実質的に揮発しないため、揮発による素子の性能劣
化が防止でき好ましい。こうした耐久性だけでなく、さ
らに短絡電流密度も高いため、光電変換特性に優れる。
【0098】なお、式(I)の化合物としては融点が1
00℃以下であることが好ましく、80℃以下がより好
ましく、60℃以下がさらに好ましく、電池あるいは素
子の動作温度範囲で液晶性を有することが好ましい。
【0099】本発明の化合物を電解質として電池に組み
込む場合、加熱溶解して電極に浸透させるか、低沸点溶
媒(例えばメタノール、アセトニトリル、塩化メチレ
ン)等を用いて電極に浸透させ、その後溶媒を加熱によ
り除去する方法等にて光電変換素子の電極中に組み込む
ことができる。
【0100】なお、式(I)で表される化合物は多少の
吸湿性を有するものが多いが、0.1〜15質量%程度
の水分を含んだまま用いてもよい。
【0101】次に、式(I)について説明する。
【0102】
【化30】
【0103】式(I)中、Z111は窒素とともに芳香族
5員環および6員環のカチオンを形成しうる原子団を表
し、好ましくは炭素、水素、窒素、酸素、硫黄が構成原
子となりうる。
【0104】Z111で完成される芳香族5員環として、
好ましくはイミダゾール、ピラゾール、トリアゾール、
オキサゾール、チアゾールであり、より好ましくはイミ
ダゾールであり、芳香族6員環として、好ましくは、ピ
リジン、ピリミジン、ピリダジン、ピラジン、トリアジ
ンであり、より好ましくはピリジンである。これらの環
はアルキル基、アシルオキシ基、複素環基、シアノ基、
アルコキシカルボニル基、ハロゲン原子、アルコキシ
基、アルケニル基、アリール基等の置換基を有していて
もよい。また、置換基同士が結合して環を形成し、その
縮合環にR121との結合部位を有するものであってもよ
い。
【0105】式(I)中、R111は直接または2価の連
結基を介して結合した、置換もしくは無置換のアルキル
基(好ましくは炭素原子数(以下C数)が1〜24であ
り、直鎖状であっても分岐鎖状であってもよく、例えば
メチル、エチル、プロピル、ブチル、i−プロピル、i
−ブチル、ペンチル、ヘキシル、オクチル、2−エチル
ヘキシル、t−オクチル、デシル、ドデシル、テトラデ
シル、2−ヘキシルデシル、ヘキサデシル、オクタデシ
ル、シクロヘキシルメチル、オクチルシクロヘキシ
ル)、直接または2価の連結基を介して結合した、置換
もしくは無置換のアルケニル基(好ましくはC数が2〜
24であり、直鎖状であっても分岐鎖状であってもよ
く、例えばビニル、アリル)を表す。置換基としては、
好ましくは置換していても縮環していてもよいアリール
基(好ましくはC数6〜24、例えばフェニル、4−メ
チルフェニル、3−シアノフェニル、2−クロロフェニ
ル、2−ナフチル)、置換していても縮環していてもよ
い複素環基(含窒素複素環基のときは環中の窒素が4級
化していてもよい。好ましくはC数2〜24、例えば4
−ピリジル、2−ピリジル、1−オクチルピリジニウム
−4−イル、2−ピリミジル、2−イミダゾリル、2−
チアゾリル)、アルコキシ基(好ましくはC数1〜2
4、例えばメトキシ、エトキシ、ブトキシ、オクチルオ
キシ、メトキシエトキシ、メトキシペンタ(エチルオキ
シ)、アクリロイルオキシエトキシ、ペンタフルオロプ
ロポキシ)、アシルオキシ基(好ましくはC数1〜2
4、例えばアセチルオキシ、ベンゾイルオキシ)、アル
コキシカルボニル基(好ましくはC数2〜24、例えば
メトキシカルボニル、エトキシカルボニル)、シアノ
基、フルオロ基を表し、より好ましくは、アルコキシ
基、アルコキシカルボニル基、シアノ基である。
【0106】また、2価の連結基としては、後述する式
(IV-a)、式(IV-b)のところのQ 111を例として挙げ
ることができる。ただし、ポリメチレン基、フェニレン
ビスメチレン基であってもよい。
【0107】式(I)中のX111 -はアニオンを表し、ハ
ロゲンアニオン(Cl-、Br-、I-)、ヨウ素三量体アニ
オン(I3 -)、NCS-、BF4 -、PF6 -、O4Cl-
(Cn2n+1SO2)(Cm2m+1SO2)N-で表わされ
るイミドアニオン(n、mはそれぞれ6以下の正の整
数)、Cn2n+1SO3 -で表わされるフルオロスルフォ
ン酸アニオン(nは6以下の正の整数)、Ph4-、A
sF6 -、SbF6 -、B10Cl 10 -などが好ましい例とし
て挙げられる。これらのアニオンの中ではヨウ素アニオ
ン(I-)、ヨウ素三量体アニオン(I3 -)が特に好ま
しい。
【0108】なお、式(I)において、Z111で完成さ
れる芳香族5員環および6員環の置換基あるいはR111
が、式(I)中と同じ含窒素芳香族5員環あるいは6員
環の4級塩を有していてもよい。
【0109】R121は液晶性を付与する置換基を表し、
少なくとも1つの2価の環状置換基と少なくとも1つの
置換もしくは無置換のアルキル基または置換もしくは無
置換のアルケニル基とを含む置換基である。2価の環状
置換基は2価の芳香族基、2価の飽和もしくは不飽和の
環状脂肪族基であり、これらが連結基または結合を介し
て複数繋がってもよい。R121は、この環状置換基の一
端に置換もしくは無置換のアルキル基または置換もしく
は無置換のアルケニル基が結合した構造を有する。
【0110】式(I)で表される本発明の化合物のR
121は、式(II)で表されることが好ましい。
【0111】
【化31】
【0112】式(II)中、R122は置換もしくは無置換
のアルキル基、または置換もしくは無置換のアルケニル
基を表し、具体的にはR111で詳述したアルキル基、ア
ルケニル基が好ましく、C数6〜24のアルキル基がよ
り好ましく、C数6〜12の無置換直鎖アルキル基が特
に好ましい。
【0113】式(II)中、Q121およびQ131は2価の連
結基または単結合を表す。2価の連結基の例としては、
−CH=CH−、−CH=N−、−N=N−、−N(O)
=N−、−COO−、−COS−、CONH−、−CO
CH2−、−CH2CH2−、−OCH2−、−CH2NH
−、−CH2−、−CO−、−O−、−S−、−NH
−、−(CH21-3−、−CH=CH−COO−、−C
H=CH−CO−、−(C≡C)1-3−やこれらの組合
せなどが好ましく、−CH2−、−CO−、−O−、−
CH=CH−、−CH=N−、−N=N−やこれらの組
合せがさらに好ましい。また、これらにおいて水素原子
が置換されたものであってもよい。Q121およびQ131
単結合であることが特に好ましい。
【0114】式(II)中、Y111は2価の4、5、6ま
たは7員環置換基、またはそれらから構成される縮合環
置換基を表わし、6員環芳香族基、4ないし6員環の飽
和または不飽和脂肪族基、5または6員環複素環基、ま
たはそれらの縮合環であることがさらに好ましく、これ
らの例として式(Y−1)〜(Y−28)の置換基が挙
げられる。また、これらの組合せであってもよい。これ
らの置換基の中でさらに好ましいものは、(Y−1)、
(Y−2)、(Y−18)、(Y−19)、(Y−2
1)、(Y−22)であり、より好ましいものは、(Y
−1)、(Y−2)、(Y−21)である。
【0115】
【化32】
【0116】
【化33】
【0117】式(II)中、nは、1、2または3を表わ
し、1または2が好ましい。nが2、3であるとき、Q
131、Y111、Q121の組合せは同一でも異なるものであ
ってもよい。
【0118】式(II)で表される本発明の化合物のZ
111と窒素原子でできる環は、ピリジニウムまたはイミ
ダゾリウムであることがより好ましい。
【0119】なお、このような化合物のなかで、式(II
I-a)で表されるピリジニウム化合物、式(III-b)で表
されるイミダゾリウム化合物は新規化合物である。
【0120】
【化34】
【0121】式(III-a)、(III-b)中、R331
311、Q311、Q321およびnは、それぞれ式(II)の
122、Y111、Q121、Q131およびnと同義である。R
311は置換もしくは無置換のアルキル基またはアルケニ
ル基を表し、具体的にはR111で詳述したアルキル基、
アルケニル基が好ましい。特に、R311がC数4〜8の
無置換直鎖アルキル基であり、R331がC数6〜12の
無置換直鎖アルキル基であることが好ましい。
【0122】式(III-a)、(III-b)中、R341
351、R361およびR371は水素原子または置換基を表
し、全て水素原子であることが好ましいが、置換基の場
合には、好ましくは置換していても直鎖状でも分岐鎖状
でもよいアルキル基(好ましくはC数1〜24、例えば
メチル、エチル、i−プロピル、ブチル、t−ブチル、
オクチル、2−エチルヘキシル、2−メトキシエチル、
ベンジル、トリフルオロメチル、シアノメチル、エトキ
シカルボニルメチル、プロポキシエチル、3−(1−オ
クチルピリジニウム−4−イル)プロピル、3−(1−
ブチル−3−メチルピリジニウム−4−イル)プロピ
ル)、置換していても直鎖状でも分岐鎖状でもよいアル
ケニル基(好ましくはC数2〜24、例えばビニル、ア
リル)、置換していても縮環していてもよいアリール基
(好ましくはC数6〜24、例えばフェニル、4−メチ
ルフェニル、3−シアノフェニル、2−クロロフェニ
ル、2−ナフチル)、置換していても縮環していてもよ
い複素環基(含窒素複素環基のときは環中の窒素が4級
化していてもよい。好ましくはC数2〜24、例えば4
−ピリジル、2−ピリジル、1−オクチルピリジニウム
−4−イル、2−ピリミジル、2−イミダゾリル、2−
チアゾリル)、アルコキシ基(好ましくはC数1〜2
4、例えばメトキシ、エトキシ、ブトキシ、オクチルオ
キシ)、アシルオキシ基(好ましくはC数1〜24、例
えばアセチルオキシ、ベンゾイルオキシ)、アルコキシ
カルボニル基(好ましくはC数2〜24、例えばメトキ
シカルボニル、エトキシカルボニル)、シアノ基、ハロ
ゲン(例えば塩素、臭素)を表し、より好ましくはアル
キル基、アルケニル基、アルコキシ基、アルコキシカル
ボニル基、シアノ基、ハロゲンであり、さらに好ましく
はアルキル基、アルケニル基、アルコキシカルボニル
基、シアノ基を表し、よりさらに好ましくはC数1〜8
の無置換のアルキル基、シアノ基もしくはアルコキシカ
ルボニル基で置換したC数1〜8のアルキル基、アルケ
ニル基、C数2〜20のアルコキシカルボニル基を表
し、最も好ましくはメチル基、エチル基、シアノメチル
基、アルコキシカルボニルメチル基、ビニル基、アルコ
キシカルボニル基を表す。そしてさらには、無置換もし
くはシアノ基が置換したアルキル基、アルコキシカルボ
ニル基が好ましく、より具体的にはメチル基、エチル
基、シアノメチル基、メトキシカルボニル基、エトキシ
カルボニル基が好ましく、その中でもメチル基が特に好
ましい。式(III-a)、(III-b)中のnは1が好まし
い。
【0123】次に、式(I)に包含されるものである
が、新規化合物を表す式(IV-a)、(IV-b)について説
明する。
【0124】
【化35】
【0125】式(IV-a)、(IV-b)中、R141、R151
161およびR171は水素原子または置換基を表し、全て
水素原子であることが好ましいが、置換基の場合には、
好ましくは置換していても直鎖状でも分岐鎖状でもよい
アルキル基(好ましくはC数1〜24、例えばメチル、
エチル、i−プロピル、ブチル、t−ブチル、オクチ
ル、2−エチルヘキシル、2−メトキシエチル、ベンジ
ル、トリフルオロメチル、シアノメチル、エトキシカル
ボニルメチル、プロポキシエチル、3−(1−オクチル
ピリジニウム−4−イル)プロピル、3−(1−ブチル
−3−メチルピリジニウム−4−イル)プロピル)、置
換していても直鎖状でも分岐鎖状でもよいアルケニル基
(好ましくはC数2〜24、例えばビニル、アリル)、
置換していても縮環していてもよいアリール基(好まし
くはC数6〜24、例えばフェニル、4−メチルフェニ
ル、3−シアノフェニル、2−クロロフェニル、2−ナ
フチル)、置換していても縮環していてもよい複素環基
(含窒素複素環基のときは環中の窒素が4級化していて
もよい。好ましくはC数2〜24、例えば4−ピリジ
ル、2−ピリジル、1−オクチルピリジニウム−4−イ
ル、2−ピリミジル、2−イミダゾリル、2−チアゾリ
ル)、アルコキシ基(好ましくはC数1〜24、例えば
メトキシ、エトキシ、ブトキシ、オクチルオキシ)、ア
シルオキシ基(好ましくはC数1〜24、例えばアセチ
ルオキシ、ベンゾイルオキシ)、アルコキシカルボニル
基(好ましくはC数2〜24、例えばメトキシカルボニ
ル、エトキシカルボニル)、シアノ基、ハロゲン(例え
ば塩素、臭素)を表し、より好ましくはアルキル基、ア
ルケニル基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、
シアノ基、ハロゲンであり、さらに好ましくはアルキル
基、アルケニル基、アルコキシカルボニル基、シアノ基
を表し、よりさらに好ましくはC数1〜8の無置換のア
ルキル基、シアノ基もしくはアルコキシカルボニル基で
置換したC数1〜8のアルキル基、アルケニル基、C数
2〜20のアルコキシカルボニル基を表し、最も好まし
くはメチル基、エチル基、シアノメチル基、アルコキシ
カルボニルメチル基、ビニル基、アルコキシカルボニル
基を表す。そしてさらには、無置換もしくはシアノ基が
置換したアルキル基、アルコキシカルボニル基が好まし
く、より具体的にはメチル基、エチル基、シアノメチル
基、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基が好
ましく、その中でもメチル基が特に好ましい。
【0126】式(IV-a)、(IV-b)中、R131は置換も
しくは無置換のアルキル基、または置換もしくは無置換
のアルケニル基(好ましくはC数2〜24、例えばビニ
ル、アリル)を表し、C数6〜24の置換または無置換
のアルキル基(例えばオクチル、デシル、ドデシル、ヘ
キサデシル)がより好ましく、C数6〜12の無置換直
鎖アルキル基が特に好ましい。置換基としては、上記R
141、R151、R161およびR171で詳述したものが好まし
い。
【0127】式(IV-a)、(IV-b)中、Q111は2価の
連結基を表し、具体的には、−C(R411)=C
(R421)−、−CH=N−、−N=N−、−N(O)=
N−、−COO−、−COS−、−CONR411−、−
COCH2−、−CH2CH2−、−OCH2−、−CH2
NR411−、−C(R4112−、−CO−、−O−、−
S−、−NR411−、−(C(R41121-3−、−CO
O−、−C(R411)=C(R421)−CO−、−(C≡
C)1-3−、フェニレン、シクロヘキシレンなど、およ
びそれら連結基の組み合わせで構成される連結基が好ま
しく、−(C(R4112 1-3−の繰り返し単位とフェ
ニレン、シクロヘキシレン、−CO−、−O−、−CH
=CH−、−CH=N−、−N=N−で構成される連結
基がさらに好ましい。R411、R421は水素原子またはア
ルキル基を表す。ただし、Q111はポリメチレン基、フ
ェニレンビスメチレン基となることはなく、このような
基のときはヘテロ原子が介在する。
【0128】式(IV-a)、(IV-b)中、Q121およびQ
131は2価の連結基または単結合を表す。2価の連結基
の例としては、−CH=CH−、−CH=N−、−N=
N−、−N(O)=N−、−COO−、−COS−、−C
ONH−、−COCH2−、−CH2CH2−、−OCH2
−、−CH2NH−、−CH2−、−CO−、−O−、−
S−、−NH−、−(CH21-3−、−CH=CH−C
OO−、−CH=CH−CO−、−(C≡C)1-3−や
これらの組み合わせなどが好ましく、−CH2−、−C
O−、−O−、−CH=CH−、−CH=N−、−N=
N−やこれらの組み合わせがさらに好ましい。Q121
よびQ131は単結合であることが最も好ましい。
【0129】式(IV-a)、(IV-b)中、Y111は2価の
4、5、6または7員環置換基、またはそれらから構成
される縮合環置換基を表わし、6員環芳香族基、4ない
し6員環の飽和または不飽和脂肪族基、5または6員環
複素環基、またはそれらの縮合環であることがさらに好
ましく、荷電を有していない方が好ましく、これらの例
として式(Y−1)〜(Y−28)の置換基が挙げられ
る。これらの置換基の中でさらに好ましいものは、(Y
−1)、(Y−2)、(Y−18)、(Y−19)、
(Y−21)、(Y−22)であり、より好ましいもの
は、(Y−1)、(Y−2)、(Y−21)である。
【0130】(Y−1)〜(Y−28)の置換基は、前
述の式(II)のY111のところで挙げたものと同様であ
る。
【0131】式(IV-a)、(IV-b)中、nは、1、2ま
たは3を表わし、1または2が好ましい。
【0132】式(IV-a)、(IV-b)のQ111としてより
好ましい2価の連結基は式(V)で表される。式(V)
中、Q211の好ましい連結基は、上述のQ111で述べたも
のであり、R211、R221、R231、およびR241の好まし
い置換基は、式(IV-a)、(IV-b)のR141、R151、R
161およびR171で述べたものであり、mは0〜1を表わ
し、1が好ましい。Q211と、R211、R221、R231およ
びR241のうちの1個以上と結合して環を形成してもよ
い。ただし、Q211はメチレン基となることはなく、ま
たポリメチレン基であるときヘテロ原子が介在する。
【0133】
【化36】
【0134】式(IV-a)、(IV-b)のQ111として表さ
れる連結基の中で、式(VI)で表される連結基が特に好
ましい。式(VI)中のqは1〜30の整数を表し、4〜
20が好ましく、5〜18がさらに好ましい。
【0135】
【化37】
【0136】式(IV-a)、(IV-b)中のX111 -はアニオ
ンを表し、ハロゲンアニオン(Cl-、Br-、I-)、ヨウ
素三量体アニオン(I3 -)、NCS-、BF4 -、P
6 -、O4Cl-、(Cn2n+1SO2)(Cm2m+1
2)N-で表わされるイミドアニオン(n、mはそれぞれ
6以下の正の整数)、Cn2n+1SO3 -で表わされるフ
ルオロスルフォン酸アニオン(nは6以下の正の整
数)、Ph4-、AsF6 -、SbF 6 -、B10Cl10 -
どが好ましい例として挙げられる。これらのアニオンの
中ではヨウ素アニオン(I-)、ヨウ素三量体アニオン
(I3 -)が特に好ましい。
【0137】式(IV-a)、(IV-b)で表される化合物
は、Q111、式(V)および式(VI)の連結基が異なる混
合物であってもよく、その場合、あらかじめ合成した複
数種類の単一化合物を後で任意の比で混合してもよく、
合成時に複数種類の連結部の原料を用いることにより、
混合物として得ても良い。式(VI)で表される連結基の
原料は、例えば式(X)で表されるが、この原料がqの
異なる化合物の混合物である場合、それらは、qの分布
(すなわち分子量分布)を持ったポリエチレンオキシド
から容易に合成でき、それらの原料を用いて式(VI)の
連結基を持った式(IV-a)、(IV-b)の化合物を混合物
として得ることができる。このような混合物の場合は、
後述の具体例に示されるように、平均値で表す場合もあ
る。
【0138】
【化38】
【0139】以下に本発明の式(I)で表される化合物
の具体例を式(I)のカチオンとアニオンとの組み合わ
せによって示すが、本発明はこれに限定されるわけでは
ない。なお、F−27〜F−55は式(IV-a)、(IV-
b)の化合物である。
【0140】
【化39】
【0141】
【化40】
【0142】
【化41】
【0143】
【化42】
【0144】
【化43】
【0145】
【化44】
【0146】
【化45】
【0147】
【化46】
【0148】
【化47】
【0149】
【化48】
【0150】
【化49】
【0151】
【化50】
【0152】
【化51】
【0153】式(I)で表わされる本発明の化合物を光
電気化学電池の電解質に用いる場合、アニオン種の異な
る複数種の化合物を任意の比で混合して用いてもよく、
それらの内、少なくとも一種類の化合物のアニオンX
111 -はI-であり、少なくとも一種類の化合物のX111 -
はI3 -であることが好ましい。その際I3 -はI-の0.
1〜50モル%であることが好ましく、0.1〜20モ
ル%であることがより好ましく、0.5〜10モル%で
あることがさらに好ましく、0.5〜5モル%であるこ
とが最も好ましい。
【0154】アニオンX111 -がI-およびI3 -以外の化
合物を混合して用いる場合、それらの混合量は、アニオ
ンがI-とI3 -からなる化合物の合計に対して、0.1
〜90モル%が好ましく、0.1〜50モル%がより好
ましく、0.1〜10モル%がさらに好ましい。アニオ
ンがI3 -の化合物はI-の化合物にI2を加えることによ
り容易に合成しうる。このようなことから、予めアニオ
ンがI-の化合物を合成しておき、電解質として使用す
るとき、所定量のI2を加えて、アニオンがI-のものと
3 -のものとの混合物を得ることが好ましい。
【0155】本発明の式(I)で表される化合物は、本
発明の電解質において、電解質の機能を発現する化合物
として用いられるものであり、このような電解質化合物
として、本発明の化合物のみを用いることが好ましい
が、LiI、NaI、KI、CsI、CaI2などの金
属ヨウ化物、4級イミダゾリウム化合物のヨウ素塩、テ
トラアルキルアンモニウム化合物のヨウ素塩、Br2
LiBr、NaBr、KBr、CsBr、CaBr2
どの金属臭化物、あるいはBr2とテトラアルキルアン
モニウムブロマイド、ピリジニウムブロマイドなど4級
アンモニウム化合物の臭素塩、フェロシアン酸塩−フェ
リシアン酸塩やフェロセン−フェリシニウムイオンなど
の金属錯体、ポリ硫化ナトリウム、アルキルチオール−
アルキルジスルフィドなどのイオウ化合物、ビオロゲン
色素、ヒドロキノン−キノンなどと併用して用いること
もできる。併用する場合、これらの化合物の使用量は、
電解質化合物全体の30質量%以下であることが好まし
い。
【0156】式(I)のうち、の式(IV-a)、(IV-b)
で表される液晶化合物およびその混合物は、アルカリま
たはアルカリ土類金属塩と混合した液晶組成物として電
解質に用いることができる。好ましいアルカリ金属塩と
しては、アルカリまたはアルカリ土類金属イオン(Li
+、Na+、K+、Rb+、Cs+、Fr+、Be2+、M
2+、Ca2+、Sr2+、Ba2+、Ra2+)とX111 -で詳
述したアニオンからなる塩が挙げられ、その中で好まし
い金属塩は、カチオン:Li+、Na+、K+、Mg 2+
Ca2+、Ba2+とアニオン:I-、I3-、(CF3
22-、CF3SO3 -、CF3CO2 -、PF6 -、BF4
−、ClO4 -の組み合わせからなる塩であり、カチオン
Li+、Na+、K+とアニオンI-、I3 -、(CF3
22-からなる塩がさらに好ましい。
【0157】アルカリ金属塩の混合量は、式(IV-a)、
(IV-b)で表される液晶化合物に混合した際、均一にな
る量の範囲で、液晶化合物に対して、0.1モル当量か
ら5モル当量が好ましく、0.1モル当量から2モル当
量がさらに好ましい。
【0158】式(IV-a)、(IV-b)で表される液晶化合
物あるいはそれらとのアルカリ金属塩混合物には、さら
に、4級イミダゾリウム化合物のヨウ素塩、テトラアル
キルアンモニウム化合物のヨウ素塩、Br2とLiB
r、NaBr、KBr、CsBr、CaBr2などの金
属臭化物、あるいはBr2とテトラアルキルアンモニウ
ムブロマイド、ピリジニウムブロマイドなど4級アンモ
ニウム化合物の臭素塩、フェロシアン酸塩−フェリシア
ン酸塩やフェロセン−フェリシニウムイオンなどの金属
錯体、ポリ硫化ナトリウム、アルキルチオール−アルキ
ルジスルフィドなどのイオウ化合物、ビオロゲン色素、
ヒドロキノン−キノンなどを混合して電解質として用い
ることができ、それらの混合量は、電解質化合物全体の
30質量%以下であることが好ましい。
【0159】本発明では、式(I)の化合物(これに包
含される式(III-a)、(III-b)、(IV-a)、(IV-b)
の化合物も含む。)とともに、好ましくは最大でこの化
合物と同質量まで溶媒を使用することができる。このな
かで、式(IV-a)、(IV-b)の液晶化合物、液晶混合
物、液晶組成物は電解質において50質量%以上の含有
量であることが好ましい。より好ましくは70質量%以
上、特に好ましくは90質量%以上である。
【0160】本発明の電解質に使用する溶媒は、粘度が
低くイオン易動度を向上したり、または誘電率が高く有
効キャリアー濃度を向上したりして、優れたイオン伝導
性を発現できる化合物であることが望ましい。このよう
な溶媒ととしては、エチレンカーボネート、プロピレン
カーボネートなどのカーボネート化合物、3−メチル−
2−オキサゾリジノンなどの複素環化合物、ジオキサ
ン、ジエチルエーテルなどのエーテル化合物、エチレン
グリコールジアルキルエーテル、プロピレングリコール
ジアルキルエーテル、ポリエチレングリコールジアルキ
ルエーテル、ポリプロピレングリコールジアルキルエー
テルなどの鎖状エーテル類、メタノール、エタノール、
エチレングリコールモノアルキルエーテル、プロピレン
グリコールモノアルキルエーテル、ポリエチレングリコ
ールモノアルキルエーテル、ポリプロピレングリコール
モノアルキルエーテルなどのアルコール類、エチレング
リコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコ
ール、ポリプロピレングリコール、グリセリンなどの多
価アルコール類、アセトニトリル、グルタロジニトリ
ル、メトキシアセトニトリル、プロピオニトリル、ベン
ゾニトリルなどのニトリル化合物、カルボン酸エステ
ル、リン酸エステル、ホスホン酸エステル等のエステル
類、ジメチルスルフォキシド、スルフォランなど非プロ
トン極性物質、水などを用いることができる。この中で
も、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネートな
どのカーボネート化合物、3−メチル−2−オキサゾリ
ジノンなどの複素環化合物、アセトニトリル、グルタロ
ジニトリル、メトキシアセトニトリル、プロピオニトリ
ル、ベンゾニトリルなどのニトリル化合物、エステル類
が特に好ましい。これらは単独で用いても2種以上を併
用してもよい。溶媒として好ましい例を以下に具体的に
記すが、これらに限定されない。
【0161】
【化52】
【0162】溶媒としては、耐揮発性による耐久性向上
の観点にて常圧(1気圧)における沸点は200℃以上
が好ましく、250℃以上がより好ましく、270℃以
上がさらに好ましい。したがって、S−5、S−6が好
ましい。
【0163】電荷移動層の形成方法に関しては2通りの
方法が考えられる。1つは増感色素を担持させた半導体
微粒子含有層の上に先に対極を貼り合わせておき、その
間隙に液状の電荷移動層を挟み込む方法である。もう1
つは半導体微粒子含有層上に直接電荷移動層を付与する
方法で、対極はその後付与することになる。
【0164】前者の場合の電荷移動層の挟み込み方法と
して、浸漬等による毛管現象を利用する常圧プロセスと
常圧より低い圧力にして気相を液相に置換する真空プロ
セスが利用できる。
【0165】後者の場合、電荷移動層を付与する方法と
しては、半導体微粒子含有層や色素の付与と同様に、浸
漬法、ローラ法、ディップ法、エアーナイフ法、エクス
トルージョン法、スライドホッパー法、ワーヤーバー
法、スピン法、スプレー法、キャスト法、各種印刷法等
が考えられる。本発明の電解質を含有する電荷移動層の
厚みは、0.001〜200μm が好ましく、0.1〜
100μm がより好ましい。
【0166】対極は、光電気化学電池としたとき、光電
気化学電池の正極として働くものである。対極は通常前
述の導電性支持体と同義であるが、強度が十分に保たれ
るような構成では支持体は必ずしも必要でない。ただ
し、支持体を有する方が密閉性の点で有利である。
【0167】感光層に光が到達するためには、前述の導
電性支持体と対極の少なくとも一方は実質的に透明でな
ければならない。本発明の光電気化学電池においては、
導電性支持体が透明であって太陽光を支持体側から入射
させるのが好ましい。この場合対極は光を反射する性質
を有することがさらに好ましい。
【0168】光電気化学電池の対極としては金属もしく
は導電性の酸化物を蒸着したガラス、またはプラスチッ
クを使用でき、また、金属薄膜を5μm以下、好ましく
は5nm〜3μmの範囲の膜厚になるように、蒸着やスパ
ッタリングなどの方法により形成して作成することもで
きる。本発明では白金を蒸着したガラスもしくは蒸着や
スパッタリングによって形成した金属薄膜を対極とする
ことが好ましい。
【0169】また、本発明の光電気化学電池では構成物
の酸化劣化を防止するために電池の側面をポリマーや接
着剤等で密封してもよい。
【0170】
【実施例】以下、本発明を実施例によって具体的に説明
する。 実施例1 式(I)で表される本発明の化合物F−1、F−2、F
−3、F−4の合成例を示す。これらの化合物は、Liqu
id Crystals,21(10),923(1996).記載の方法に準じて容
易に合成できる。以下に、これらの化合物の反応スキー
ムを示す。
【0171】
【化53】
【0172】(1)F−1の合成 中間体M−1の合成 マロン酸ジメチル;58.1g(439mmol)をメタノ
ールに溶解し、ナトリウムメトキシドのメタノール28
%溶液;88mlを加え、1−ブロモデカン97.2g
(439mmol)を1時間かけて滴下した後、8時間還流
した。反応混合物を希塩酸に注ぎ中和後、酢酸エチルで
抽出した。抽出溶液を硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧
濃縮し、残留物を減圧蒸留し、M−1を41g(399P
a(3mmHg)/82℃の留分)得た。
【0173】中間体M−2の合成 リチウムアルミニウムヒドリド(11g、289mmol)
を150mlのジエチルエーテルに分散し、室温で攪拌し
ながら、上記で得た、M−1(41g、170mmol)
をジエチルエーテル(50ml)に溶解した溶液を2時間
かけて滴下した。滴下後、3時間還流した後、反応混合
物を、希塩酸/氷にゆっくり注ぎ、溶液を酸性にした後
抽出した。抽出液を硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧下
溶媒を留去し、粗生成物31gの油状物を得た。粗生成
物をシリカゲルカラムクロマトにて精製し、M−2、1
4gを無色の油状物として得た。
【0174】中間体M−4の合成 上記で得たM−2(13.85g、64mmol)とM−3
(6.86g、64mmol)をトルエン(50ml)に分散
し、パラトルエンスルホン酸(12g)を加え、水を留
去しながら5時間加熱還流した。反応混合物を炭酸カリ
ウム(10g)を加えた水(100ml)に注ぎ、酢酸エ
チルで抽出し、抽出液を乾燥後、溶媒を減圧下留去し
た。残留物をアセトニトリルで再結晶し、目的のM−4
を結晶として7g得た。
【0175】F−1の合成 上記で得たM−4(1g、3.28mmol)とヨウ化エチ
ル(0.61g、3.94mmol)をアセトニトリル(1
0ml)に分散し、8時間加熱還流した。析出した結晶を
補集し後、酢酸エチルで再結晶し、目的物F−1を1.
4g得た。構造はNMRスペクトルにて確認した。
【0176】(2)F−2の合成 F−1の合成にてヨウ化エチルのかわりにヨウ化プロピ
ルを用いた以外は全く同様にしてF−2を1.3g得
た。
【0177】(3)F−3の合成 F−1の合成にて、ヨウ化エチルのかわりに1−ヨウ化
2−メトキシエトキシエタンを用いた以外は全く同様に
してF−3を1.3g得た。
【0178】実施例2 1.二酸化チタン分散液の調製 内側をテフロンコーティングした内容積200mlのステ
ンレス製ベッセルに二酸化チタン(日本アエロジル社
Degussa P−25)15g、水45g、分散剤
(アルドリッチ社製、Triton X−100)1
g、直径0.5mmのジルコニアビーズ(ニッカトー社
製)30gを入れ、サンドグラインダーミル(アイメッ
クス社製)を用いて1500rpmにて2時間分散し
た。分散物からジルコニアビーズをろ過して除いた。こ
の場合の二酸化チタンの平均粒径は2.5μmであっ
た。このときの粒径はMALVERN社製マスターサイ
ザーにて測定したものである。
【0179】2.色素を吸着したTiO2電極(電極
A)の作成 フッ素をドープした酸化スズをコーティングした導電性
ガラス(旭硝子製TCOガラス-Uを20mm×20mmの大
きさに切断加工したもの)の導電面側にガラス棒を用い
て上記の分散液を塗布した。この際導電面側の一部(端
から3mm)に粘着テープを張ってスペーサーとし、粘着
テープが両端に来るようにガラスを並べて一度に8枚ず
つ塗布した。塗布後、粘着テープを剥離し、室温で1日
間風乾した。次に、このガラスを電気炉(ヤマト科学製
マッフル炉FP−32型)に入れ、450℃にて30分
間焼成した。このガラスを取り出し冷却した後、表1に
示す色素のエタノール溶液(3×10-4mol/l)に3時
間浸漬した。色素の染着したガラスを4−tert−ブチル
ピリジンに15分間浸漬した後、エタノールで洗浄し自
然乾燥させた。このようにして得られる感光層の厚さは
10μmであり、半導体微粒子の塗布量は20g/m2とし
た。色素の塗布量は、色素の種類に応じ、適宜0.1〜
10mmol/m2の範囲から選択した。なお、導電性ガラス
の表面抵抗は約30Ω/cm2であった。
【0180】3.光電気化学電池の作成 上述のようにして作成した色増感されたTiO2電極基
板(1cm×1cm)に、本発明の化合物および比較化合物
(RE−1)、(RE−2)をそれぞれ同重量のアセト
ニトリルに溶解し、ヨウ素を2mol%加えた溶液を塗布
し、60℃、減圧下で、TiO2電極に染み込ませなが
らアセトニトリルを留去した。これらの電極に、同じ大
きさの白金蒸着ガラスを重ね合わせ光電気化学電池(サ
ンプル104、102、103)を得た(表1、図
1)。また、溶媒を用いた比較電解液Z−1(溶媒S−
5に同重量の(C494NI およびヨウ素2mol%を
溶解したもの)は、上記と同じ色増感されたTiO2
極基板(2cm×2cm)に、その電極と同じ大きさの白金
蒸着ガラスと重ね合わせた後、両ガラスの隙間に毛細管
現象を利用して電解液を染み込ませ、光電気化学電池
(サンプル101)を作製した。上記の工程を色素と電
解質組成物の組み合わせを表1に記載されているように
変更して行った。
【0181】本実施例により、図1に示したとおり、導
電性ガラス1(ガラス上に導電剤層2が設層されたも
の)、TiO2電極3、色素層4、電解質5、白金層6
およびガラス7が順に積層された光電気化学電池が作成
された。
【0182】
【化54】
【0183】
【表1】
【0184】4.光電変換効率の測定 500Wのキセノンランプ(ウシオ製)の光をAM1.5
フィルター(Oriel社製)およびシャープカットフ
ィルター(KenkoL−41)を通すことにより紫外
線を含まない模擬太陽光を発生させ、この光の強度を5
0mW/cm2に調整した。
【0185】前述の光電気化学電池の導電性ガラスと白
金蒸着ガラスにそれぞれ、ワニ口クリップを接続し、模
擬太陽光を照射し、発生した電気を電流電圧測定装置
(ケースレーSMU238型)にて測定した。これにより
求められた光電気化学電池の開放電圧(Voc)、短絡電流
密度(Jsc)、形状因子(FF)[=最大出力/(開放電圧×
短絡電流)]、および変換効率(η)と600時間連続照
射後の短絡電流密度の低下率を一括して表2に記載し
た。
【0186】
【表2】
【0187】溶媒を用いた比較電解液を用いた光電気化
学電池(101)は初期性能が低く、溶媒が揮発するた
め耐久性が非常に悪い。また、比較化合物RE−1、R
E−2からなる電解質を用いた光電気化学電池(10
2,103)では、耐久性は比較的改善されるが、初期
性能が低い。これに対して、式(I)で表される本発明
の化合物を用いたときは、短絡電流密度、変換効率等の
初期性能、耐久性ともに優れている。このような効果は
いずれの色素を用いた場合にも見られた。
【0188】[実施例3]式(I)のうち、式(IV-a)、
(IV-b)で表される本発明の化合物F−28、F−3
0、F−32、F−51、F−52、F−54の合成例
を示す。これらの化合物は、Liquid Crystal
s,21(10),923(1996).記載の方法に
準じて容易に合成できる。まず、以下に、これらの化合
物のうち、F−28、30、32の反応スキームを示
す。
【0189】
【化55】
【0190】(1)F−28の合成 中間体M−1の合成 マロン酸ジメチル;58.1g(439mmol)をメタノ
ールに溶解し、ナトリウムメトキシドのメタノール28
%溶液;88mlを加え、1−ブロモデカン97.2g
(439mmol)を1時間かけて滴下した後、8時間還流
した。反応混合物を希塩酸に注ぎ中和後、酢酸エチルで
抽出した。抽出溶液を硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧
濃縮し、残留物を減圧蒸留し、M−1を41g(399P
a(3mmHg)/82℃の留分)得た。
【0191】中間体M−2の合成 リチウムアルミニウムヒドリド(11g、289mmol)
を150mlのジエチルエーテルに分散し、室温で攪拌し
ながら、上記で得た、M−1(41g、170mmol)
をジエチルエーテル(50ml)に溶解した溶液を2時間
かけて滴下した。滴下後、3時間還流した後、反応混合
物を、希塩酸/氷にゆっくり注ぎ、溶液を酸性にした後
抽出した。抽出液を硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧下
溶媒を留去し、粗生成物31gの油状物を得た。粗生成
物をシリカゲルカラムクロマトにて精製し、M−2、1
4gを無色の油状物として得た。
【0192】中間体M−4の合成 上記で得たM−2(13.85g、64mmol)とM−3
(6.86g、64mmol)をトルエン(50ml)に分散
し、パラトルエンスルホン酸(12g)を加え、水を留
去しながら5時間加熱還流した。反応混合物を炭酸カリ
ウム(10g)を加えた水(100ml)に注ぎ、酢酸エ
チルで抽出し、抽出液を乾燥後、溶媒を減圧下留去し
た。残留物をアセトニトリルで再結晶し、目的のM−4
を結晶として7g得た。
【0193】F−28の合成 上記で得たM−4(1g、3.28mmol)とM−52
(q=2)(0.42g、1.13mmol)をアセトニト
リル(10ml)に分散し、8時間加熱還流した。反応
混合物を濃縮後、シリカゲルカラムクロマト(展開溶
媒;塩化メチレン/メタノール=20/1)で精製し、
これを酢酸エチルで再結晶し、目的物F−28を1.3
1g得た。構造はNMRスペクトルにて確認した。
【0194】(2)F−30の合成 F−28の合成にてM−52(q=2)のかわりにM−
55(q=5)を用いた以外は全く同様にしてF−30
を1.1g得た。
【0195】(3)F−32の合成 F−28の合成にて、M−52(q=2)のかわりに、
ポリエチレングリコール平均分子量400より合成した
M−578(q=7.8;qの平均値を示す)を用いた
以外は全く同様にしてF−32を1.4g得た。次に、
式(IV-b)の化合物F−51、52、54の合成例を示
す。 (4)F−51の合成 以下に反応スキームを示す。
【0196】
【化56】
【0197】(a)中間体M−6の合成 N−(4−ヒドロキシフェニル)イミダゾール(M−
5)(4.8g、30mmol)をテトラヒドロフラン(THF)
(30ml)に溶解し、内温5℃で水素化ナトリウム(60%
オイル中、1.32g、33mmol)を添加した後、1−
ブロモデカン(6.63g、30mmol)を滴下した。室
温下1時間撹拌した後、反応液を水に注ぎ、酢酸エチル
で抽出した。抽出液(有機相)を硫酸マグネシウムで乾
燥後、濃縮し、濃縮物をアセトニトリルで晶析し、M−
6(6.1g)を結晶として得た。
【0198】(b)F−51の合成 上記で得たM−6(0.45g、1.50mmol)とM−
55(0.38g、0.757mmol)をアセトニトリル
に溶解し、8時間加熱還流した。反応後、反応液を濃縮
し、シリカゲルカラムクロマトで精製し、目的のF−5
1(0.48g)を淡黄色油状物として得た。
【0199】(5)F−52の合成 (4)で得たF−51(0.3g、0.272mmol)を
塩化メチレン(10ml)/水(10ml)に溶解し、Li
N(SO2CF32(0.137g、0.543mmol)を
加え、撹拌した。塩化メチレン相を分液し、濃縮後、シ
リカゲルカラムクロマトにて精製し、F−52(0.2
1g)を無色の油状物として得た。 (6)F−54の合成 以下に反応スキームを示す。
【0200】
【化57】
【0201】(a)中間体M−8の合成 4−ヒドロキシ桂皮酸メチルエステル(M−7)(5.
0g、28mmol)をジメチルホルムアミド(DMF)に
溶解し、炭酸カリウム(7.8g)を添加し、内温80
℃にて、1−ブロモデカン(6.5g、29mmol)を滴
下した。80℃にて1時間撹拌した後、反応液に水と酢
酸エチルを加え、抽出した。抽出液(有機相)を硫酸マ
グネシウムで乾燥した後、濃縮し、濃縮物をアセトニト
リルで晶析し、M−8(8.2g)を結晶として得た。
【0202】(b)中間体M−9の合成 上記で得たM−8(8.1g、25.4mmol)をメタノ
ール(100ml)に分散し、KOH(2.85g、5
0.8mmol)/水(10ml)を加え、2時間還流した。
室温に冷却した後、反応物に水(100ml)を加え、濃
塩酸で酸性にした。析出している結晶をろ過し、水洗、
乾燥後、M−9(6.6g)を得た。
【0203】(c)中間体M−11の合成 上記で得たM−9(1.0g、3.28mmol)をアセト
ニトリル(10ml)/ジメチルアセトアミド(5ml)に
溶解し、室温下、塩化チオニル(0.26ml)を加え
た。30分間撹拌した後、M−5(0.525g、3.
28mmol)、続いてトリエチルアミン1mlを加え、5時
間撹拌した。K2CO3/水(20ml)を加え、塩基性に
し、析出した固形物をろ過した。ろ過物を酢酸エチルで
溶解し、不溶物を熱ろ過し、ろ液を濃縮した。濃縮物を
アセトニトリルで晶析し、M−11(0.8g)を結晶
として得た。
【0204】(d)F−54の合成 上記で得たM−11(0.7g、1.57mmol)とM−
578(0.48g、0.784mmol)をアセトニトリ
ルに分散し、8時間過熱環流した。室温にした後、析出
している結晶(未反応のM−11)をろ過し、ろ液を濃
縮した。濃縮物をシルカゲルカラムトクロマトにて精製
し、F−54(0.6g)を得た。構造は1H−NMRで
確認した。
【0205】[実施例4] 1.二酸化チタン分散液の調製 内側をテフロンコーティングした内容積200mlのステ
ンレス製ベッセルに二酸化チタン(日本アエロジル社
Degussa P−25)15g、水45g、分散剤
(アルドリッチ社製、Triton X−100)1
g、直径0.5mmのジルコニアビーズ(ニッカトー社
製)30gを入れ、サンドグラインダーミル(アイメッ
クス社製)を用いて1500rpmにて2時間分散し
た。分散物からジルコニアビーズをろ過して除いた。こ
の場合の二酸化チタンの平均粒径は2.5μmであっ
た。このときの粒径はMALVERN社製マスターサイ
ザーにて測定したものである。
【0206】2.色素を吸着したTiO2電極(電極
A)の作成 フッ素をドープした酸化スズをコーティングした導電性
ガラス(旭硝子製TCOガラス-Uを20mm×20mmの大
きさに切断加工したもの)の導電面側にガラス棒を用い
て上記の分散液を塗布した。この際導電面側の一部(端
から3mm)に粘着テープを張ってスペーサーとし、粘着
テープが両端に来るようにガラスを並べて一度に8枚ず
つ塗布した。塗布後、粘着テープを剥離し、室温で1日
間風乾した。次に、このガラスを電気炉(ヤマト科学製
マッフル炉FP−32型)に入れ、450℃にて30分
間焼成した。このガラスを取り出し冷却した後、表1に
示す色素のエタノール溶液(3×10-4mol/l)に3時
間浸漬した。色素の染着したガラスを4−tert−ブチル
ピリジンに15分間浸漬した後、エタノールで洗浄し自
然乾燥させた。このようにして得られる感光層の厚さは
10μmであり、半導体微粒子の塗布量は20g/m2とし
た。色素の塗布量は、色素の種類に応じ、適宜0.1〜
10mmol/m2の範囲から選択した。なお、導電性ガラス
の表面抵抗は約30Ω/cm2であった。
【0207】3.光電気化学電池の作成 上述のようにして作成した色増感されたTiO2電極基
板(1cm×1cm)に、本発明の化合物および比較化合物
(RE−1)、(RE−2)をそれぞれ同重量のアセト
ニトリルに溶解し、ヨウ素を2mol%加えた溶液を塗布
し、60℃、減圧下で、TiO2電極に染み込ませなが
らアセトニトリルを留去した。これらの電極に、同じ大
きさの白金蒸着ガラスを重ね合わせそれぞれ光電気化学
電池(サンプル204、202、203)を得た(表
3、図1)。また、溶媒を用いた比較電解液Z−1(溶
媒S−5に同重量の(C494NI およびヨウ素2m
ol%を溶解したもの)は、上記と同じ色増感されたTi
2電極基板(2cm×2cm)に、その電極と同じ大きさ
の白金蒸着ガラスと重ね合わせた後、両ガラスの隙間に
毛細管現象を利用して電解液を染み込ませ、光電気化学
電池(サンプル201)を作製した。上記のの工程を色
素と電解質組成物の組み合わせを表3に記載されている
ように変更して行った。
【0208】本実施例により、図1に示したとおり、導
電性ガラス1(ガラス上に導電剤層2が設層されたも
の)、TiO2電極3、色素層4、電解質5、白金層6
およびガラス7が順に積層された光電気化学電池が作成
された。
【0209】
【化58】
【0210】
【表3】
【0211】4.光電変換効率の測定 500Wのキセノンランプ(ウシオ製)の光をAM1.5
フィルター(Oriel社製)およびシャープカットフ
ィルター(KenkoL−41)を通すことにより紫外
線を含まない模擬太陽光を発生させ、この光の強度を5
0mW/cm2に調整した。
【0212】前述の光電気化学電池の導電性ガラスと白
金蒸着ガラスにそれぞれ、ワニ口クリップを接続し、模
擬太陽光を照射し、発生した電気を電流電圧測定装置
(ケースレーSMU238型)にて測定した。これにより
求められた光電気化学電池の開放電圧(Voc)、短絡電流
密度(Jsc)、形状因子(FF)[=最大出力/(開放電圧×
短絡電流)]、および変換効率(η)と600時間連続照
射後の短絡電流密度の低下率を一括して表4に記載し
た。
【0213】
【表4】
【0214】溶媒を用いた比較電解液を用いた光電気化
学電池(201)は初期性能が低く、溶媒が揮発するた
め耐久性が非常に悪い。また、比較化合物RE−1、RE
−2からなる電解質を用いた光電気化学電池(202,
203)では、耐久性は比較的改善されるが、初期性能
が低くい。これに対して、式(I)に包含される式(IV
-a)、(IV-b)で表される本発明の化合物を用いたとき
は、短絡電流密度、変換効率等の初期性能、耐久性とも
に優れている。このような効果はいずれの色素を用いた
場合にも見られた。またアルカリ金属塩を共存させた場
合、より優れた結果が得られた。
【0215】
【発明の効果】本発明により、実質的に揮発せず、かつ
電荷輸送性能に優れた電解質が得られ、これにより、光
電変換特性に優れ、経時での特性劣化が少ない光電気化
学電池が得られた。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例で作成した光電気化学電池の構成を示す
断面図である。
【符号の説明】
1 導電性ガラス 2 導電剤層 3 TiO2電極 4 色素層 5 電解質 6 白金層 7 ガラス
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) G02F 1/13 500 G02F 1/13 500 H01L 31/04 H01M 10/40 B H01M 10/40 14/00 P 14/00 H01L 31/04 Z

Claims (20)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 式(I)で表される液晶化合物を含む電
    解質。 【化1】 [式(I)中、R111は直接もしくは2価の連結基を介
    して結合した、置換もしくは無置換のアルキル基または
    置換もしくは無置換のアルケニル基を表し、Z11 1は窒
    素原子と共に5員環または6員環の芳香族複素環カチオ
    ンを形成しうる原子団を表す。R121は少なくとも1つ
    の2価の環状連結基と少なくとも1つの置換もしくは無
    置換のアルキル基またはアルケニル基とを含む液晶性を
    付与する置換基を表し、X111 -はアニオンを表す。]
  2. 【請求項2】 式(I)のX111 -で表されるアニオンが
    ヨウ素アニオンである請求項1の電解質。
  3. 【請求項3】 式(I)で表される液晶化合物のR121
    が式(II)で表される請求項1または2の電解質。 【化2】 [式(II)中、R122は置換もしくは無置換のアルキル
    基またはアルケニル基を表し、Y111は2価の4ないし
    7員環置換基またはそれらから構成される縮合環置換基
    を表す。Q121およびQ131はそれぞれ2価の連結基また
    は単結合を表し、nは1、2または3を表し、nが2ま
    たは3の時、複数のY111、Q121およびQ 131はそれぞ
    れ同じであっても、異なってもよい。]
  4. 【請求項4】 式(II)の置換基Y111が、6員環芳香
    族基、4ないし6員環の飽和もしくは不飽和環状脂肪族
    基、5ないし6員環複素環基、またはそれらの縮合環基
    で表される請求項3の電解質。
  5. 【請求項5】 式(II)で表される液晶化合物のZ111
    と窒素原子でできる環がピリジニウムまたはイミダゾリ
    ウムである請求項3または4の電解質。
  6. 【請求項6】 前記液晶化合物を50質量%以上含有す
    る請求項1〜5のいずれかの電解質。
  7. 【請求項7】 前記液晶化合物を80質量%以上含有す
    る請求項1〜6のいずれかの電解質。
  8. 【請求項8】 式(III-a)で表されるピリジニウム化
    合物、または式(III-b)で表されるイミダゾリウム化
    合物を含む液晶組成物。 【化3】 [式(III-a)および式(III-b)中、R341、R351、R
    361およびR371はそれぞれ水素原子または置換基を表
    し、R311およびR331はそれぞれ置換もしくは無置換の
    アルキル基またはアルケニル基を表す。Y311は2価の
    4ないし7員環置換基またはそれらから構成される縮合
    環置換基を表す。Q311およびQ321はそれぞれ2価の連
    結基または単結合を表し、nは1、2または3を表し、
    nが2または3の時、複数のY311、Q311およびQ321
    はそれぞれ同じであっても、異なってもよい。]
  9. 【請求項9】 式(IV-a)または式(IV-b)で表される
    液晶化合物。 【化4】 [式(IV-a)および式(IV-b)中、Q111は2価の連結
    基(ただし、ポリメチレン基またはフェニレンビスメチ
    レン基のときはヘテロ原子が介在する。)を表し、X
    111 -はアニオンを表す。R141、R151、R161およびR
    171はそれぞれ水素原子または置換基を表し、R131は置
    換もしくは無置換のアルキル基またはアルケニル基を表
    す。Y111は2価の4、5、6もしくは7員環置換基ま
    たはそれらから構成される縮合環置換基を表し、Q121
    およびQ131は2価の連結基または単結合を表す。nは
    1、2または3を表し、nが2または3の時、複数のY
    111、Q1 21およびQ131はそれぞれ同じであっても、異
    なってもよい。]
  10. 【請求項10】 式(IV-a)または式(IV-b)のX111 -
    がヨウ素アニオンである請求項9の液晶化合物。
  11. 【請求項11】 式(IV-a)または式(IV-b)のQ111
    が式(V)で表される請求項9または10の液晶化合
    物。 【化5】 [式(V)中、Q211は2価の連結基(ただし、メチレン
    基になることはなく、ポリメチレン基のときはヘテロ原
    子が介在する。)を表し、R211、R221、R231および
    241はそれぞれ水素原子または置換基を表し、Q211
    結合して環を形成してもよい。mは0または1を表
    す。]
  12. 【請求項12】 式(IV-a)または式(IV-b)のQ111
    が式(VI)で表される請求項9または10の液晶化合
    物。 【化6】 [式(VI)中、qは1〜30の整数を表す。]
  13. 【請求項13】 請求項9〜12のいずれかの液晶化合
    物を少なくとも2種含有する液晶混合物。
  14. 【請求項14】 式(VI)のqの異なる少なくとも2種
    の液晶化合物を含有する請求項13の液晶混合物。
  15. 【請求項15】 請求項9〜14のいずれかの液晶化合
    物または液晶混合物とアルカリ金属塩およびアルカリ土
    類金属塩の少なくとも1種とを含有する液晶組成物。
  16. 【請求項16】 請求項9〜15のいずれかの液晶化合
    物、液晶混合物または液晶組成物を含む電解質。
  17. 【請求項17】 ヨウ素を含む請求項16の電解質。
  18. 【請求項18】 請求項1、2、3、4、5、6、7、
    16または17の電解質を有する電気化学電池。
  19. 【請求項19】 請求項1、2、3、4、5、6、7、
    16または17の電解質を少なくとも含む電荷移動層と
    輻射線に感応する半導体とを有する光電気化学電池。
  20. 【請求項20】 前記半導体が色素で増感された微粒子
    半導体である請求項19の光電気化学電池。
JP2000053711A 1999-03-01 2000-02-29 液晶化合物、液晶混合物、液晶組成物、電解質、電気化学電池および光電気化学電池 Expired - Fee Related JP4360575B2 (ja)

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