JP5235952B2 - ツイッターイオン型有機塩 - Google Patents

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Description

本発明は耐久性及び電荷輸送能に優れた電解質組成物に用いることができる新規なツイッターイオン型有機塩に関する。
従来から電池、キャパシター、センサー、表示素子、記録素子等の電気化学的素子の電解質として、電解質塩を溶媒に溶解した液状電解質組成物(電解液)が用いられてきた。しかしながら、このような液状電解質組成物を用いた電気化学的素子においては、長期間の使用又は保存の間に該組成物が漏洩することがあり、信頼性に欠ける。
Nature, 第353巻, 第737〜740頁, 1991年(非特許文献1)、米国特許4927721号(特許文献1)等は色素により増感した半導体微粒子を用いた光電変換素子及びこれを用いた光電気化学電池を開示しているが、これらにおいても電荷輸送層に電解液を用いているため、長期間の使用又は保存の間に電解液が漏洩又は枯渇し、光電変換効率が著しく低下したり、素子として機能しなくなる場合がある。
このような状況下、WO93/20565号(特許文献2)は固体電解質を用いた光電変換素子を提案した。また日本化学会誌, 7, 484頁 (1997)(非特許文献2)、特開平7-2881142号(特許文献3)、Solid State Ionics, 89, 263 (1986) (非特許文献3)及び特開平9-27352号(特許文献4)は、架橋ポリエチレンオキサイド系高分子化合物を用いた固体電解質を含む光電変換素子を提案した。しかしながら、これらの固体電解質を用いた光電変換素子は光電変換特性、特に短絡電流密度が不十分であり、加えて耐久性も十分ではない。
また、電解質組成物の漏洩及び枯渇を防止し光電変換素子の耐久性を向上させるために、ピリジニウム塩、イミダゾリウム塩、トリアゾリウム塩等を用いる方法が開示されている(WO 95/18456号(特許文献5)、特開平8-259543号(特許文献6)、電気化学, 第65巻, 11号, 923頁 (1997年)(非特許文献4)等)。これらの塩は常温(25℃付近)において溶融状態にあり、室温溶融塩と呼ばれる。この方法では水や有機溶媒等の溶媒が不要或いは少量で済むため、光電気化学電池の耐久性が向上する。しかしながら、従来の光電変換素子に用いられてきた室温溶融塩は全てカチオンとアニオンが共有結合で連結されていないものであり、カチオンとアニオンはそれぞれ独立に動き得ることから、レドックス対の拡散性の観点から不利であった。このような室温溶融塩を用いた光電変換素子は光電変換効率が良くない。
米国特許4927721号明細書 WO93/20565号パンフレット 特開平7-2881142号公報 特開平9-27352号公報 WO 95/18456号パンフレット 特開平8-259543号公報
Nature, 第353巻, 第737〜740頁, 1991年 日本化学会誌, 7, 484頁 (1997) Solid State Ionics, 89, 263 (1986) 電気化学, 第65巻, 11号, 923頁 (1997年)
本発明の目的は、新規なツイッターイオン型有機塩を提供することにあり、さらにはこれらの化合物を使用することにより、耐久性及び電荷輸送能に優れた電解質組成物、並びにこの電解質組成物を用いたために優れた耐久性及び光電変換特性を示す光電変換素子及び光電気化学電池を提供することである。
上記目的に鑑み鋭意研究の結果、本発明者はツイッターイオン型有機塩をヨウ素塩と併せて用いた電解質組成物は耐久性及び電荷輸送能に優れていることを発見し、本発明に想到した。
即ち、本発明のツイッターイオン型有機塩は、下記一般式(I)により表される。
一般式(I)中、Qは窒素原子と共に5又は6員環の芳香族カチオンを形成する原子団を表し、R1は水素原子、アルキル基、アルケニル基、又は下記一般式(II)により表される置換基を表し、R2はアルコキシ基、シアノ基、アルコキシカルボニル基、炭酸エステル基、アミド基、カルバモイル基、ホスホニル基、複素環基、アリーロキシ基、アルキルチオ基、アシル基、スルホニル基、アシルオキシ基、スルホニルオキシ基、アリール基、アリーロキシ基、アルケニル基、アルキル基、又は下記一般式(II)により表される置換基を表し、n1は0〜5の整数を表し、X1は対イオンを表し、n2は0〜4の整数を表す。n1が2以上のとき複数のR2は同じでも異なっていてもよく、R1及びR2のうち少なくとも1つは下記一般式(II)により表される置換基である。
一般式(II)中、L1は前記芳香族カチオンとV1とを連結する、アルキレン基、アリーレン基、アルキレンオキシ基、アリーレンオキシ基、又はこれらの組み合わせからなる2価連結基を表し、V1及びV2はそれぞれ独立に-CO-、-SO-、-SO2-又は-PO(OR4)-(R4はアルキル基又はアリール基)を表し、R3はアルコキシ基、アルキル基、アルケニル基、又はパーフルオロアルキル基を表す。
前記Qは窒素原子と共にイミダゾール環又はピリジン環を表すのが好ましい。
前記V1及びV2のうち少なくとも1つが-SO2-であるのが好ましい。
本発明においては、下記一般式(III)により表される新規イミダゾリウム有機塩をツイッターイオン型有機塩として好適に使用できる。
一般式(III)中、R11及びR21は水素原子、アルキル基、アルケニル基、又は下記一般式(IV)により表される置換基を表し、R22〜R24はそれぞれ独立に水素原子、アルコキシ基、シアノ基、アルコキシカルボニル基、炭酸エステル基、アミド基、カルバモイル基、ホスホニル基、複素環基、アリーロキシ基、アルキルチオ基、アシル基、スルホニル基、アシルオキシ基、スルホニルオキシ基、アリール基、アリールオキシ基、アルケニル基、アルキル基、又は下記一般式(IV)により表される置換基を表し、X11は対イオンを表し、n21は0〜4の整数を表す。R11及びR21〜R24は同じでも異なっていてもよく、R11及びR21〜R24のうち少なくとも1つは下記一般式(IV)により表される置換基である。
一般式(IV)中、L11は上記一般式(III)中のイミダゾリウムカチオンとV11とを連結する、アルキレン基、アリーレン基、アルキレンオキシ基、アリーレンオキシ基、又はこれらの組み合わせからなる2価連結基を表し、V11及びV21は-SO2-を表し、R31はアルコキシ基、アルキル基、アルケニル基、又はパーフルオロアルキル基を表す。
前記n21は0であるのが好ましい。
前記R21〜R24はそれぞれ独立に水素原子又は前記一般式(IV)により表される置換基であるのが好ましい。
本発明のツイッターイオン型有機塩を使用した電解質組成物は耐久性及び電荷輸送能に優れており、この電解質組成物を用いた光電変換素子は優れた光電変換特性を有し、経時での特性劣化が少ない。かかる光電変換素子からなる光電気化学電池は太陽電池として極めて有効である。
光電変換素子の構造を示す部分断面図である。 光電変換素子の構造を示す部分断面図である。 光電変換素子の構造を示す部分断面図である。 光電変換素子の構造を示す部分断面図である。 光電変換素子の構造を示す部分断面図である。 光電変換素子の構造を示す部分断面図である。 光電変換素子の構造を示す部分断面図である。 光電変換素子の構造を示す部分断面図である。 光電変換素子の構造を示す部分断面図である。
[1]電解質組成物
電解質組成物は本発明のツイッターイオン型有機塩及びヨウ素塩を含有し、さらにヨウ素や溶媒等を含有していてもよい。ツイッターイオン型有機塩がヨウ素塩である場合は、電解質組成物は他のヨウ素塩を含有する必要はない。電解質組成物は化学反応、金属メッキ等の反応溶媒、CCD(電荷結合素子)カメラ、種々の光電変換素子及び電池等に用いることができ、リチウム二次電池又は光電気化学電池に用いるのが好ましく、半導体を用いた光電気化学電池に用いるのがより好ましい。以下、電解質組成物の各構成成分について詳述する。
(A)ツイッターイオン型有機塩
本発明のツイッターイオン型有機塩とは、一分子中にカチオン電荷を有する部分とアニオン電荷を有する部分とを持ち、両部分が共有結合で連結している有機化合物である。電解質組成物に用いるツイッターイオン型有機塩は常温(25℃付近)で液体であるのが好ましい。
ツイッターイオン型有機塩は下記一般式(I)により表されるのが好ましい。以下、本願では一般式(I)により表されるツイッターイオン型有機塩を「有機塩(I)」と称する。有機塩(I)は通常、低融点の塩、いわゆる溶融塩である。有機塩(I)の融点は100℃以下であるのが好ましく、80℃以下であるのがより好ましく、60℃以下であるのが特に好ましい。有機塩(I)は常温(25℃付近)で液体である溶融塩、いわゆる室温溶融塩であってよい。
有機塩(I)とヨウ素塩との混合物は、溶媒をほとんど用いずに電解質組成物として使用できる場合が多く、溶媒を用いる必要がない場合も多い。この混合物が常温(25℃付近)で固体である場合は、溶媒や添加剤等を加えることで液状電解質組成物として使用できる。また何も添加しなくても、加熱溶解して電極上に浸透させる方法、低沸点溶媒(メタノール、アセトニトリル、塩化メチレン等)等を用いて電極上に浸透させ、その後溶媒を加熱により除去する方法等により光電変換素子に組み込むことが可能である。
一般式(I)中、Qは窒素原子と共に5又は6員環の芳香族カチオンを形成する原子団を表す。Qは炭素原子、水素原子、窒素原子、酸素原子及び硫黄原子からなる群から選ばれる1種以上の原子により構成されるのが好ましい。
Qが形成する5員環はオキサゾール環、チアゾール環、イミダゾール環、ピラゾール環、イソオキサゾール環、チアジアゾール環、オキサジアゾール環又はトリアゾール環であるのが好ましく、オキサゾール環、チアゾール環又はイミダゾール環であるのがより好ましく、イミダゾール環であるのが特に好ましい。Qが形成する6員環はピリジン環、ピリミジン環、ピリダジン環、ピラジン環又はトリアジン環であるのが好ましく、ピリジン環であるのが特に好ましい。中でも、Qが窒素原子と共に形成する5又は6員環はイミダゾール環であるのが最も好ましい。
一般式(I)中、R1は水素原子又は置換基を表し、R2は置換基を表す。R2の数を示すn1は0〜5の整数であり、n1が2以上のとき複数のR2は同じでも異なっていてもよい。また、R1及びR2は互いに連結して環を形成していてもよい。
上記R1及びR2のうち少なくとも1つは、下記一般式(II)により表される置換基である。以下、一般式(II)により表される置換基を「置換基(II)」と称する。有機塩(I)は置換基(II)を1〜4個有するのが好ましく、1個有するのがより好ましい。特に、R1が置換基(II)であることが好ましい。
一般式(II)中、L1は上記芳香族カチオンとV1とを連結する2価連結基を表す。L1は炭素原子、水素原子、窒素原子、酸素原子及び硫黄原子からなる群から選ばれる1種以上の原子により構成されるのが好ましい。L1の炭素原子数は1〜30であるのが好ましく、2〜20であるのがより好ましく、2〜8であるのが特に好ましい。L1の具体例としては、アルキレン基、アリーレン基、アルキレンオキシ基、アリーレンオキシ基、それらの組み合わせ等が挙げられる。L1は炭素原子数2〜8のアルキレン基又はアルキレンオキシ基であるのが特に好ましい。
一般式(II)中、V1及びV2はそれぞれ独立に-CO-、-SO-、-SO2-又は-PO(OR4)-を表す。ここでR4はアルキル基又はアリール基を表す。V1及びV2のうち少なくとも1つは-SO2-であるのが好ましく、いずれも-SO2-であるのがより好ましい。
一般式(II)中、R3は置換基を表し、好ましくはアルコキシ基(メトキシ基、エトキシ基等)、アルキル基(好ましくは炭素原子数1〜80であり、例えばメチル基、エチルプロピル基、ブチル基、イソプロピル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、2-エチルヘキシル基、t-オクチル基、デシル基、ドデシル基、テトラデシル基、2-ヘキシルデシル基、オクタデシル基、シクロヘキシル基、シクロペンチル基等)、アルケニル基(好ましくは炭素原子数2〜80であり、例えばビニル基、アリル基等)又はパーフルオロアルキル基であり、より好ましくは炭素原子数3〜60のアルキル基又は炭素原子数2〜60のアルケニル基であり、特に好ましくは炭素原子数3〜48のアルキル基である。
一般式(I)中のR1が上記置換基(II)以外の置換基を表す場合、好ましくはアルキル基(好ましくは炭素原子数1〜80であり、例えばメチル基、エチルプロピル基、ブチル基、イソプロピル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、2-エチルヘキシル基、t-オクチル基、デシル基、ドデシル基、テトラデシル基、2-ヘキシルデシル基、オクタデシル基、シクロヘキシル基、シクロペンチル基等)又はアルケニル基(好ましくは炭素原子数2〜80であり、例えばビニル基、アリル基等)であり、より好ましくは炭素原子数3〜60のアルキル基又は炭素原子数2〜60のアルケニル基であり、特に好ましくは炭素原子数3〜48のアルキル基である。R1はさらに置換基を有していてもよく、その置換基の例としては後述するR2が表す好ましい置換基の例と同様のものが挙げられる。
一般式(I)中のR2が上記置換基(II)以外の置換基を表す場合、好ましい置換基の例としては、アルコキシ基(メトキシ基、エトキシ基、-(OCH2CH2)n-OCH3(nは1〜20の整数)、-(OCH2CH2)n-OCH2CH3(nは1〜20の整数)等)、シアノ基、アルコキシカルボニル基(エトキシカルボニル基、メトキシエトキシカルボニル基等)、炭酸エステル基(エトキシカルボニルオキシ基等)、アミド基(アセチルアミノ基、ベンゾイルアミノ基等)、カルバモイル基(N,N-ジメチルカルバモイル基、N-フェニルカルバモイル基等)、ホスホニル基(ジエチルホスホニル基等)、複素環基(ピリジル基、イミダゾリル基、フラニル基、オキサゾリジノニル基等)、アリーロキシ基(フェノキシ基等)、アルキルチオ基(メチルチオ基、エチルチオ基等)、アシル基(アセチル基、プロピオニル基、ベンゾイル基等)、スルホニル基(メタンスルホニル基、ベンゼンスルホニル基等)、アシルオキシ基(アセトキシ基、ベンゾイルオキシ基等)、スルホニルオキシ基(メタンスルホニルオキシ基、トルエンスルホニルオキシ基等)、アリール基(フェニル基、トルイル基等)、アリーロキシ基(フェノキシ基等)、アルケニル基(ビニル基、1-プロペニル基等)、アルキル基(メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、シクロプロピル基、ブチル基、2-カルボキシエチル基、ベンジル基等)等が挙げられる。中でも、アルコキシ基、シアノ基、炭酸エステル基、アミド基、カルバモイル基、ホスホニル基、複素環基、アシル基、スルホニル基、アシルオキシ基、スルホニルオキシ基及びアルキル基がより好ましく、アルコキシ基、シアノ基、炭酸エステル基、ホスホニル基、複素環基及びアルキル基が特に好ましい。
一般式(I)中、X1は対イオンを表し、X1の数を示すn2は0〜4の整数を表す。n2は有機塩(I)全体の電荷が中和されるように選択される。即ち、有機塩(I)が有する置換基の性質によって、有機塩(I)のX1を除く部分が陽イオン又は陰イオンとなったり正味のイオン電荷を持つ場合に、対イオンX1が必要となる。また、有機塩(I)が負電荷を持ち得る解離性基を有する場合にも、有機塩(I)全体の電荷はX1によって中和される。X1が陽イオンである場合、その例としては無機又は有機のアンモニウムイオン(テトラアルキルアンモニウムイオン、ピリジニウムイオン等)、アルカリ金属イオン等が挙げられる。X1が陰イオンである場合、無機陰イオンであっても有機陰イオンであってもよく、その例としてはハロゲン陰イオン(フッ化物イオン、塩化物イオン、臭化物イオン、ヨウ化物イオン等)、置換アリールスルホン酸イオン(p-トルエンスルホン酸イオン、p-クロロベンゼンスルホン酸イオン等)、アリールジスルホン酸イオン(1,3-ベンゼンジスルホン酸イオン、1,5-ナフタレンジスルホン酸イオン、2,6-ナフタレンジスルホン酸イオン等)、アルキル硫酸イオン(メチル硫酸イオン等)、硫酸イオン、チオシアン酸イオン、過塩素酸イオン、テトラフルオロホウ酸イオン、ヘキサフルオロホスフェートイオン、ピクリン酸イオン、酢酸イオン、トリフルオロメタンスルホン酸イオン等が挙げられる。X1はイオン性ポリマー等の電荷均衡対イオンであってもよく、また金属錯イオン(ビスベンゼン-1,2-ジチオラトニッケル(III)等)であってもよい。本発明では、n2が0であり有機塩(I)がX1を有さないことが好ましい。即ち、有機塩(I)中には共有結合で連結されていない対イオンが存在しないことが好ましい。
有機塩(I)はR1又はR2を介して多量体を形成していてもよい。この多量体は2〜4量体であるのが好ましく、2量体であるのがより好ましい。また、有機塩(I)がアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルキレン基、アラルキル基等を含む場合、それらは直鎖状であっても分岐状であってもよく、環式であってもよく、また置換されていても無置換であってもよい。有機塩(I)がアリール基、ヘテロ環基、シクロアルキル基、アラルキル基等を含む場合、それらは単環であっても多環(縮合環、環集合)であってもよく、また置換されていても無置換であってもよい。
本発明では、下記一般式(III)により表される新規イミダゾリウム有機塩を有機塩(I)として好適に使用できる。以下、一般式(III)により表されるイミダゾリウム有機塩を「化合物(III)」と称する。
一般式(III)中、R11及びR21〜R24はそれぞれ独立に水素原子又は置換基を表す。R11及びR21〜R24は同じでも異なっていてもよい。また、R11及びR21〜R24はそれぞれ互いに連結して環を形成していてもよい。
上記R11及びR21〜R24のうち少なくとも1つは、下記一般式(IV)により表される置換基である。以下、一般式(IV)により表される置換基を「置換基(IV)」と称する。化合物(III)は置換基(IV)を1〜4個有するのが好ましく、1個有するのがより好ましい。特に、R11及びR21のうち少なくとも1つが置換基(IV)であることが好ましい。
一般式(IV)中、L11は上記一般式(III)中のイミダゾリウムカチオンとV11とを連結する2価連結基を表す。L11の好ましい態様及び具体例は上記一般式(II)中のL1の場合と同様である。また、V11及びV21はいずれも-SO2-を表し、R31は上記一般式(II)中のR3と同義であり、好ましい態様も同様である。
一般式(III)中のR11及びR21が上記置換基(IV)以外の置換基を表す場合、その好ましい態様は上記一般式(I)中のR1の場合と同様である。また、R22〜R24が上記置換基(IV)以外の置換基を表す場合、その好ましい態様は上記一般式(I)中のR2の場合と同様である。X11は対イオンを表し、X11の数を示すn21は0〜4の整数を表す。X11及びn21は上記一般式(I)中のX1及びn2とそれぞれ同義であり、好ましい態様も同様である。
化合物(III)はR11及びR21〜R24のいずれかを介して多量体を形成していてもよい。この多量体は2〜4量体であるのが好ましく、2量体であるのがより好ましい。
電解質組成物中のツイッターイオン型有機塩の含有量は、電解質組成物全体に対して10質量%以上であるのが好ましく、20〜95質量%であるのがより好ましい。ツイッターイオン型有機塩の具体例を以下に示すが、本発明はそれらに限定されるものではない。

(B)ヨウ素塩
電解質組成物はツイッターイオン型有機塩及びヨウ素塩を含有する。上記ツイッターイオン型有機塩がヨウ素塩でない場合は、電解質組成物に他のヨウ素塩を添加する必要がある。このようなヨウ素塩としては、WO 95/18456号、特開平8-259543号、電気化学, 第65巻, 11号, 923頁 (1997年)等に記載のピリジニウム塩、イミダゾリウム塩、トリアゾリウム塩等が使用できる。電解質組成物は上記ツイッターイオン型有機塩及びヨウ素塩以外の塩を含有していてもよい。電解質組成物のヨウ素塩含有量は、電解質組成物全体に対して10質量%以上であるのが好ましく、50〜95質量%であるのがより好ましい。
好ましいヨウ素塩の例としては、下記一般式(Y-a)、(Y-b)及び(Y-c)のいずれかにより表されるものが挙げられる。
一般式(Y-a)中のQy1は窒素原子と共に5又は6員環の芳香族カチオンを形成する原子団を表す。Qy1は炭素原子、水素原子、窒素原子、酸素原子及び硫黄原子からなる群から選ばれる原子により構成されるのが好ましい。Qy1が形成する5員環はオキサゾール環、チアゾール環、イミダゾール環、ピラゾール環、イソオキサゾール環、チアジアゾール環、オキサジアゾール環又はトリアゾール環であるのが好ましく、オキサゾール環、チアゾール環又はイミダゾール環であるのがより好ましく、オキサゾール環又はイミダゾール環であるのが特に好ましい。Qy1が形成する6員環はピリジン環、ピリミジン環、ピリダジン環、ピラジン環又はトリアジン環であるのが好ましく、ピリジン環であるのが特に好ましい。
一般式(Y-b)中のAy1は窒素原子又はリン原子を表す。
一般式(Y-a)、(Y-b)及び(Y-c)中のRy1〜Ry11はそれぞれ独立に置換又は無置換のアルキル基(好ましくは炭素原子数1〜24であり、直鎖状であっても分岐状であっても、また環式であってもよく、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、2-エチルヘキシル基、t-オクチル基、デシル基、ドデシル基、テトラデシル基、2-ヘキシルデシル基、オクタデシル基、シクロヘキシル基、シクロペンチル基等)、或いは置換又は無置換のアルケニル基(好ましくは炭素原子数2〜24であり、直鎖状であっても分岐状であってもよく、例えばビニル基、アリル基等)を表す。Ry1〜Ry11はそれぞれ独立に、より好ましくは炭素原子数2〜18のアルキル基又は炭素原子数2〜18のアルケニル基であり、特に好ましくは炭素原子数2〜6のアルキル基である。
一般式(Y-b)中のRy2〜Ry5のうち2つ以上が互いに連結してAy1を含む非芳香族環を形成してもよく、一般式(Y-c)中のRy6〜Ry11のうち2つ以上が互いに連結して環を形成してもよい。
上記Qy1及びRy1〜Ry11は置換基を有していてもよい。好ましい置換基の例としては、ハロゲン原子(F、Cl、Br、I等)、シアノ基、アルコキシ基(メトキシ基、エトキシ基等)、アリーロキシ基(フェノキシ基等)、アルキルチオ基(メチルチオ基、エチルチオ基等)、アルコキシカルボニル基(エトキシカルボニル基等)、炭酸エステル基(エトキシカルボニルオキシ基等)、アシル基(アセチル基、プロピオニル基、ベンゾイル基等)、スルホニル基(メタンスルホニル基、ベンゼンスルホニル基等)、アシルオキシ基(アセトキシ基、ベンゾイルオキシ基等)、スルホニルオキシ基(メタンスルホニルオキシ基、トルエンスルホニルオキシ基等)、ホスホニル基(ジエチルホスホニル基等)、アミド基(アセチルアミノ基、ベンゾイルアミノ基等)、カルバモイル基(N,N-ジメチルカルバモイル基等)、アルキル基(メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、シクロプロピル基、ブチル基、2-カルボキシエチル基、ベンジル基等)、アリール基(フェニル基、トルイル基等)、複素環基(ピリジル基、イミダゾリル基、フラニル基等)、アルケニル基(ビニル基、1-プロペニル基等)等が挙げられる。
一般式(Y-a)、(Y-b)及び(Y-c)のいずれかにより表されるヨウ素塩は、Qy1及びRy1〜Ry11のいずれかを介して多量体を形成してもよい。
(C)ヨウ素
電解質組成物はヨウ素を含有するのが好ましく、特にこの電解質組成物を光電変換素子に用いる場合にはヨウ素を添加することによる効果が大きい。電解質組成物に添加したヨウ素は、該組成物中でI2として存在してもよく、イオン状態又は塩を形成した状態で存在してもよい。電解質組成物にヨウ素を添加する場合、ヨウ素の含有量は電解質組成物全体に対して0.1〜20質量%であるのが好ましく、0.5〜5質量%であるのがより好ましい。
(D)溶媒
電解質組成物は溶媒を含有してもよい。電解質組成物の溶媒含有量は、電解質組成物全体に対して50質量%以下であるのが好ましく、30質量%以下であるのがより好ましく、10質量%以下であるのが特に好ましい。
電解質組成物に使用する溶媒は、低粘度でイオン移動度が高いか、高誘電率で有効キャリアー濃度を高めることができるか、或いはその両方であるために優れたイオン伝導性を発現できるものであることが好ましい。このような溶媒の例としては、カーボネート化合物(エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート等)、複素環化合物(3-メチル-2-オキサゾリジノン等)、エーテル化合物(ジオキサン、ジエチルエーテル等)、鎖状エーテル類(エチレングリコールジアルキルエーテル、プロピレングリコールジアルキルエーテル、ポリエチレングリコールジアルキルエーテル、ポリプロピレングリコールジアルキルエーテル等)、アルコール類(メタノール、エタノール、エチレングリコールモノアルキルエーテル、プロピレングリコールモノアルキルエーテル、ポリエチレングリコールモノアルキルエーテル、ポリプロピレングリコールモノアルキルエーテル等)、多価アルコール類(エチレングリコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、グリセリン等)、ニトリル化合物(アセトニトリル、グルタロジニトリル、メトキシアセトニトリル、プロピオニトリル、ベンゾニトリル、ビスシアノエチルエーテル等)、エステル類(カルボン酸エステル、リン酸エステル、ホスホン酸エステル等)、非プロトン性極性溶媒(ジメチルスルホキシド(DMSO)、スルフォラン等)、水等が挙げられる。これらの溶媒は二種以上を混合して用いてもよい。
(E)その他
電解質組成物は、ポリマー添加、オイルゲル化剤添加、多官能モノマー類を含む重合、ポリマーの架橋反応等の手法によりゲル化(固体化)させて使用することができる。
ポリマー添加によりゲル化する場合は、Polymer Electrolyte Reviews-1及び2(J. R. MacCallumとC. A. Vincentの共編、ELSEVIER APPLIED SCIENCE)に記載のポリマーを使用することができ、好ましくはポリアクリロニトリル又はポリフッ化ビニリデンを使用する。
オイルゲル化剤添加によりゲル化させる場合は、J. Chem. Soc. Japan, Ind. Chem. Soc., 46779 (1943)、J. Am. Chem. Soc., 111, 5542 (1989)、J. Chem. Soc., Chem. Commun., 390 (1993)、Angew. Chem. Int. Ed. Engl., 35, 1949 (1996)、Chem. Lett., 885, (1996)、J. Chem. Soc., Chem. Commun., 545, (1997)等に記載のオイルゲル化剤を使用することができ、好ましくはアミド構造を有する化合物を用いる。
ゲル電解質組成物の層を多官能モノマー類の重合によって形成する場合、多官能モノマー類、重合開始剤、電解質組成物及び溶媒からなる溶液を調製し、キャスト法、塗布法、浸漬法、含浸法等の方法により感光層等の上にゾル層を形成し、その後ラジカル重合することによってゲル化するのが好ましい。多官能モノマー類はエチレン性不飽和基を2個以上有する化合物であることが好ましく、その好ましい例としてはジビニルベンゼン、エチレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート等が挙げられる。
上記多官能モノマー類及び単官能モノマーを用いた重合によってゲル電解質組成物を形成してもよい。単官能モノマーとしては、アクリル酸又はα-アルキルアクリル酸(アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸等)或いはそれらのエステル又はアミド(N-イソプロピルアクリルアミド、N-n-ブチルアクリルアミド、N-t-ブチルアクリルアミド、N,N-ジメチルアクリルアミド、N-メチルメタクリルアミド、アクリルアミド、2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸、アクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムクロライド、メタクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、N-メチロールアクリルアミド、N-メチロールメタクリルアミド、メチルアクリレート、エチルアクリレート、ヒドロキシエチルアクリレート、n-プロピルアクリレート、イソプロピルアクリレート、2-ヒドロキシプロピルアクリレート、2-メチル-2-ニトロプロピルアクリレート、n-ブチルアクリレート、イソブチルアクリレート、t-ブチルアクリレート、t-ペンチルアクリレート、2-メトキシエチルアクリレート、2-エトキシエチルアクリレート、2-メトキシエトキシエチルアクリレート、2,2,2-トリフルオロエチルアクリレート、2,2-ジメチルブチルアクリレート、3-メトキシブチルアクリレート、エチルカルビトールアクリレート、フェノキシエチルアクリレート、n-ペンチルアクリレート、3-ペンチルアクリレート、オクタフルオロペンチルアクリレート、n-ヘキシルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、シクロペンチルアクリレート、セチルアクリレート、ベンジルアクリレート、n-オクチルアクリレート、2-エチルヘキシルアクリレート、4-メチル-2-プロピルペンチルアクリレート、ヘプタデカフルオロデシルアクリレート、n-オクタデシルアクリレート、メチルメタクリレート、2-メトキシエトキシエチルメタクリレート、エチレングリコールエチルカーボネートメタクリレート、2,2,2-トリフルオロエチルメタクリレート、テトラフルオロプロピルメタクリレート、ヘキサフルオロプロピルメタクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、2-ヒドロキシプロピルメタクリレート、n-ブチルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、t-ブチルメタクリレート、t-ペンチルメタクリレート、2-メトキシエチルメタクリレート、2-エトキシエチルメタクリレート、ベンジルメタクリレート、ヘプタデカフルオロデシルメタクリレート、n-オクタデシルメタクリレート、2-イソボルニルメタクリレート、2-ノルボルニルメチルメタクリレート、5-ノルボルネン-2-イルメチルメタクリレート、3-メチル-2-ノルボニルメチルメタクリレート、ジメチルアミノエチルメタクリレート等)、ビニルエステル類(酢酸ビニル等)、マレイン酸又はフマル酸或いはそれらから誘導されるエステル類(マレイン酸ジメチル、マレイン酸ジブチル、フマル酸ジエチル等)、p-スチレンスルホン酸のナトリウム塩、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、ジエン類(ブタジエン、シクロペンタジエン、イソプレン等)、芳香族ビニル化合物(スチレン、p-クロロスチレン、t-ブチルスチレン、α-メチルスチレン、スチレンスルホン酸ナトリウム等)、N-ビニルホルムアミド、N-ビニル-N-メチルホルムアミド、N-ビニルアセトアミド、N-ビニル-N-メチルアセトアミド、ビニルスルホン酸、ビニルスルホン酸ナトリウム、アリルスルホン酸ナトリウム、メタクリルスルホン酸ナトリウム、ビニリデンフルオライド、ビニリデンクロライド、ビニルアルキルエーテル類(メチルビニルエーテル等)、エチレン、プロピレン、1-ブテン、イソブテン、N-フェニルマレイミド等を使用することができる。
多官能モノマー類及び単官能モノマーをと共に用いる場合、モノマー総量に占める多官能モノマーの質量比は0.5〜70質量%であるのが好ましく、1.0〜50質量%であるのがより好ましい。
上述の多官能モノマー類及び単官能モノマーは、大津隆行・木下雅悦共著「高分子合成の実験法」(化学同人)や大津隆行「講座重合反応論1ラジカル重合(I)」(化学同人)に記載の一般的な高分子合成法であるラジカル重合によって重合することができる。上記モノマーは加熱、光又は電子線によって、或いは電気化学的にラジカル重合させることができるが、特に加熱によってラジカル重合させるのが好ましい。ラジカル重合する際には重合開始剤を用いてよく、好ましい重合開始剤の例としては、2,2'-アゾビスイソブチロニトリル、2,2'-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)、ジメチル-2,2'-アゾビス(2-メチルプロピオネート)、ジメチル-2,2'-アゾビスイソブチレート等のアゾ系開始剤、ラウリルパーオキシド、ベンゾイルパーオキシド、t-ブチルパーオクトエート等の過酸化物系開始剤等が挙げられる。重合開始剤の添加量はモノマー総量に対して好ましくは0.01〜20質量%であり、より好ましくは0.1〜10質量%である。
ゲル電解質組成物に占めるモノマーの重量組成範囲は0.5〜70質量%であることが好ましく、より好ましくは1.0〜50質量%である。
ポリマーの架橋反応により電解質組成物をゲル化させる場合、架橋可能な反応性基を含有するポリマー及び架橋剤を併用することが好ましい。この場合、反応性基は好ましくはピリジン環、イミダゾール環、チアゾール環、オキサゾール環、トリアゾール環、モルホリン環、ピペリジン環、ピペラジン環等の含窒素複素環であり、架橋剤は好ましくは窒素原子が求核攻撃できる官能基を2つ以上有する化合物(求電子剤)であり、例えば2官能以上のハロゲン化アルキル、ハロゲン化アラルキル、スルホン酸エステル、酸無水物、酸クロライド、イソシアネート等が使用できる。
電解質組成物は、金属ヨウ化物(LiI、NaI、KI、CsI、CaI2等)、金属臭化物(LiBr、NaBr、KBr、CsBr、CaBr2等)、4級アンモニウム臭素塩(テトラアルキルアンモニウムブロマイド、ピリジニウムブロマイド等)、金属錯体(フェロシアン酸塩−フェリシアン酸塩、フェロセン−フェリシニウムイオン等)、イオウ化合物(ポリ硫化ナトリウム、アルキルチオール−アルキルジスルフィド等)、ビオロゲン色素、ヒドロキノン−キノン等を含有していてもよい。これらは混合して用いてもよい。
また、電解質組成物はJ. Am. Ceram. Soc., 80, (12), 3157-3171 (1997)に記載のt-ブチルピリジンや、2-ピコリン、2,6-ルチジン等の塩基性化合物を含有してもよい。塩基性化合物の電解質組成物中の濃度は0.05〜2Mであるのが好ましい。
[2]光電変換素子
光電変換素子は導電層、感光層、電荷輸送層及び対極を有し、該電荷輸送層が上述した電解質組成物を含有する。
光電変換素子は、好ましくは図1に示すように、導電層10、下塗り層60、感光層20、電荷輸送層30、対極導電層40の順に積層してなり、感光層20を色素22によって増感した半導体微粒子21と当該半導体微粒子21の間の空隙に浸透した電荷輸送材料23とから構成する。通常、電荷輸送材料23は電荷輸送層30に用いる電解質組成物と同じ成分からなる。また光電変換素子に強度を付与するため、導電層10及び/又は対極導電層40の下地として基板50を設けてもよい。本願では、導電層10及び任意で設ける基板50からなる層を「導電性支持体」、対極導電層40及び任意で設ける基板50からなる層を「対極」と呼ぶ。なお、図1中の導電層10、対極導電層40、基板50は、それぞれ透明導電層10a、透明対極導電層40a、透明基板50aであってもよい。
図1に示す光電変換素子において、半導体微粒子がn型である場合、色素22により増感された半導体微粒子21を含む感光層20に入射した光は色素22等を励起し、励起された色素22等中の高エネルギーの電子が半導体微粒子21の伝導帯に渡され、さらに拡散により導電層10に到達する。このとき色素22等の分子は酸化体となっている。光電気化学電池においては、導電層10中の電子が外部回路で仕事をしながら対極導電層40及び電荷輸送層30を経て色素22等の酸化体に戻り、色素22が再生する。感光層20は負極(光アノード)として働き、対極導電層40は正極として働く。それぞれの層の境界(例えば導電層10と感光層20との境界、感光層20と電荷輸送層30との境界、電荷輸送層30と対極導電層40との境界等)では、各層の構成成分同士が相互に拡散混合していてもよい。以下各層について詳細に説明する。
(A)導電性支持体
導電性支持体は、(1)導電層の単層、又は(2)導電層及び基板の2層からなる。(1)の場合は、導電層として強度や密封性が十分に保たれるような材料、例えば、金属材料(白金、金、銀、銅、亜鉛、チタン、アルミニウム、これらを含む合金等)を用いることができる。(2)の場合、感光層側に導電剤を含む導電層を有する基板を使用することができる。好ましい導電剤としては金属(白金、金、銀、銅、亜鉛、チタン、アルミニウム、インジウム、これらを含む合金等)、炭素、及び導電性金属酸化物(インジウム−スズ複合酸化物、酸化スズにフッ素又はアンチモンをドープしたもの等)が挙げられる。導電層の厚さは0.02〜10μm程度が好ましい。
導電性支持体は表面抵抗が低い程よい。好ましい表面抵抗の範囲は50Ω/□以下であり、さらに好ましくは20Ω/□以下である。
導電性支持体側から光を照射する場合には、導電性支持体は実質的に透明であるのが好ましい。実質的に透明であるとは、可視〜近赤外領域(400〜1200nm)の光の一部又は全域において透過率が10%以上であることを意味し、50%以上であるのが好ましく、80%以上がより好ましい。特に、感光層が感度を有する波長域の透過率が高いことが好ましい。
透明導電性支持体としては、ガラス又はプラスチック等の透明基板の表面に導電性金属酸化物からなる透明導電層を塗布又は蒸着等により形成したものが好ましい。透明導電層として好ましいものは、フッ素若しくはアンチモンをドーピングした二酸化スズ或いはインジウム−スズ酸化物(ITO)である。透明基板にはコスト及び強度の点で有利なソーダガラス、アルカリ溶出の影響のない無アルカリガラス等のガラス基板のほか、透明ポリマーフィルムを用いることができる。透明ポリマーフィルムの材料としては、トリアセチルセルロース(TAC)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、シンジオタクチックポリスチレン(SPS)、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリカーボネート(PC)、ポリアリレート(PAr)、ポリスルフォン(PSF)、ポリエステルスルフォン(PES)、ポリイミド(PI)、ポリエーテルイミド(PEI)、環状ポリオレフィン、ブロム化フェノキシ樹脂等がある。十分な透明性を確保するために、導電性金属酸化物の塗布量はガラス又はプラスチックの支持体1m2当たり0.01〜100gとするのが好ましい。
透明導電性支持体の抵抗を下げる目的で金属リードを用いるのが好ましい。金属リードの材質は白金、金、ニッケル、チタン、アルミニウム、銅、銀等の金属が好ましい。金属リードは透明基板に蒸着、スパッタリング等で設置し、その上に導電性の酸化スズ、ITO膜等からなる透明導電層を設けるのが好ましい。金属リード設置による入射光量の低下は、好ましくは10%以内、より好ましくは1〜5%とする。
(B)感光層
感光層は色素によって増感した半導体微粒子を含有するのが好ましい。感光層において、半導体は感光体として作用し、光を吸収して電荷分離を行い電子と正孔を生ずる。色素増感した半導体では、光吸収及びこれによる電子及び正孔の発生は主として色素において起こり、半導体微粒子はこの電子(又は正孔)を受け取り、伝達する役割を担う。半導体は光励起下で伝導体電子がキャリアーとなり、アノード電流を与えるn型半導体であることが好ましい。
(1)半導体
半導体としては、シリコン、ゲルマニウムのような単体半導体、III-V族系化合物半導体、金属のカルコゲナイド(酸化物、硫化物、セレン化物、それらの複合物等)、ペロブスカイト構造を有する化合物(チタン酸ストロンチウム、チタン酸カルシウム、チタン酸ナトリウム、チタン酸バリウム、ニオブ酸カリウム等)等を使用することができる。
好ましい金属のカルコゲナイドとして、チタン、スズ、亜鉛、鉄、タングステン、ジルコニウム、ハフニウム、ストロンチウム、インジウム、セリウム、イットリウム、ランタン、バナジウム、ニオブ又はタンタルの酸化物、カドミウム、亜鉛、鉛、銀、アンチモン又はビスマスの硫化物、カドミウム又は鉛のセレン化物、カドミウムのテルル化物等が挙げられる。他の化合物半導体としては亜鉛、ガリウム、インジウム、カドミウム等のリン化物、ガリウム−ヒ素又は銅−インジウムのセレン化物、銅−インジウムの硫化物等が挙げられる。さらには、MxOySz又はM1xM2yOz(M、M1及びM2はそれぞれ金属元素、Oは酸素、x、y、zは価数が中性になる組み合わせの数)のような複合物も好ましく用いることができる。
半導体の好ましい具体例は、Si、TiO2、SnO2、Fe2O3、WO3、ZnO、Nb2O5、CdS、ZnS、PbS、Bi2S3、CdSe、CdTe、SrTiO3、GaP、InP、GaAs、CuInS2、CuInSe2等であり、より好ましくはTiO2、ZnO、SnO2、Fe2O3、WO3、Nb2O5、CdS、PbS、CdSe、SrTiO3、InP、GaAs、CuInS2又はCuInSe2であり、特に好ましくはTiO2又はNb2O5であり、最も好ましくはTiO2である。TiO2の中でもアナターゼ型結晶を70%以上含むTiO2が好ましく、100%アナターゼ型結晶のTiO2が特に好ましい。また、これらの半導体中の電子電導性を上げる目的で金属をドープすることも有効である。ドープする金属としては2又は3価の金属が好ましい。半導体から電荷輸送層へ逆電流が流れるのを防止する目的で、半導体に1価の金属をドープすることも有効である。
半導体は単結晶でも多結晶でもよいが、製造コスト、原材料確保、エネルギーペイバックタイム等の観点からは多結晶が好ましく、半導体微粒子からなる多孔質膜が特に好ましい。また、一部アモルファス部分を含んでいてもよい。
半導体微粒子の粒径は一般にnm〜μmのオーダーであるが、投影面積を円に換算したときの直径から求めた一次粒子の平均粒径は5〜200nmであるのが好ましく、8〜100nmがより好ましい。また分散液中の半導体微粒子(二次粒子)の平均粒径は0.01〜30μmが好ましい。粒径分布の異なる2種類以上の微粒子を混合してもよく、この場合小さい粒子の平均サイズは25nm以下であるのが好ましく、より好ましくは10nm以下である。入射光を散乱させて光捕獲率を向上させる目的で、粒径の大きな、例えば100〜300nm程度の半導体粒子を混合することも好ましい。
種類の異なる2種以上の半導体微粒子を混合して用いてもよい。2種以上の半導体微粒子を混合して使用する場合、一方はTiO2、ZnO、Nb2O5又はSrTiO3であることが好ましい。また他方はSnO2、Fe2O3又はWO3であることが好ましい。さらに好ましい組み合わせとしては、ZnOとSnO2、ZnOとWO3、ZnOとSnO2とWO3等の組み合わせを挙げることができる。2種以上の半導体微粒子を混合して用いる場合、それぞれの粒径が異なっていてもよい。特にTiO2、ZnO、Nb2O5又はSrTiO3の粒径が大きく、SnO2、Fe2O3又はWO3が小さい組み合わせが好ましい。好ましくは大きい粒径の粒子を100nm以上、小さい粒径の粒子を15nm以下とする。
半導体微粒子の作製法としては、作花済夫の「ゾル−ゲル法の科学」アグネ承風社(1998年)、技術情報協会の「ゾル−ゲル法による薄膜コーティング技術」(1995年)等に記載のゾル−ゲル法や、杉本忠夫の「新合成法ゲル−ゾル法による単分散粒子の合成とサイズ形態制御」、まてりあ, 第35巻, 第9号, 1012〜1018頁(1996年)等に記載のゲル−ゾル法が好ましい。またDegussa社が開発した塩化物を酸水素塩中で高温加水分解により酸化物を作製する方法も好ましく使用できる。
半導体微粒子が酸化チタンの場合、上記ゾル-ゲル法、ゲル−ゾル法、塩化物の酸水素塩中での高温加水分解法はいずれも好ましいが、さらに清野学の「酸化チタン 物性と応用技術」技報堂出版(1997年)に記載の硫酸法又は塩素法を用いることもできる。さらにゾル−ゲル法として、Barbeらのジャーナル・オブ・アメリカン・セラミック・ソサエティー, 第80巻, 第12号, 3157〜3171頁(1997年)に記載の方法や、Burnsideらのケミストリー・オブ・マテリアルズ, 第10巻, 第9号, 2419〜2425頁に記載の方法も好ましい。
(2)半導体微粒子層
半導体微粒子を導電性支持体上に塗布するには、半導体微粒子の分散液又はコロイド溶液を導電性支持体上に塗布する方法の他に、前述のゾル−ゲル法等を使用することもできる。光電変換素子の量産化、半導体微粒子液の物性、導電性支持体の融通性等を考慮した場合、湿式の製膜方法が比較的有利である。湿式の製膜方法としては、塗布法、印刷法、電解析出法及び電着法が代表的である。また、金属を酸化する方法、金属溶液から配位子交換等で液相にて析出させる方法(LPD法)、スパッタ等で蒸着する方法、CVD法、或いは加温した基板上に熱分解する金属酸化物プレカーサーを吹き付けて金属酸化物を形成するSPD法を利用することもできる。
半導体微粒子の分散液を作製する方法としては、前述のゾル−ゲル法の他に、乳鉢ですり潰す方法、ミルを使って粉砕しながら分散する方法、半導体を合成する際に溶媒中で微粒子として析出させそのまま使用する方法等が挙げられる。
分散媒としては、水及び各種の有機溶媒(例えばメタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、シトロネロール、ターピネオール、ジクロロメタン、アセトン、アセトニトリル、酢酸エチル等)が使用できる。分散の際、必要に応じてポリエチレングリコール、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロースのようなポリマー、界面活性剤、酸、キレート剤等を分散助剤として用いてもよい。ポリエチレングリコールの分子量を変えることで分散液の粘度が調節可能となり、さらに剥がれにくい半導体層を形成したり、半導体層の空隙率をコントロールできるので、ポリエチレングリコールを添加することは好ましい。
塗布方法としては、アプリケーション系としてローラ法、ディップ法等、メータリング系としてエアーナイフ法、ブレード法等、またアプリケーションとメータリングを同一部分にできるものとして特公昭58-4589号に開示されているワイヤーバー法、米国特許2681294号、同2761419号、同2761791号等に記載のスライドホッパー法、エクストルージョン法、カーテン法等が好ましい。また汎用機としてスピン法やスプレー法も好ましい。湿式印刷方法としては、凸版、オフセット及びグラビアの三大印刷法をはじめ、凹版、ゴム版、スクリーン印刷等が好ましい。これらの中から液粘度やウェット厚さに応じて製膜方法を選択してよい。
半導体微粒子の層は単層に限らず、粒径の違った半導体微粒子の分散液を多層塗布したり、種類が異なる半導体微粒子(或いは異なるバインダー、添加剤)を含有する塗布層を多層塗布したりすることもできる。一度の塗布で膜厚が不足の場合にも多層塗布は有効である。
一般に半導体微粒子層の厚さ(感光層の厚さと同じ)が厚くなるほど、単位投影面積当たりの担持色素量が増えるため光の捕獲率が高くなるが、生成した電子の拡散距離が増すため電荷再結合によるロスも大きくなる。したがって、半導体微粒子層の好ましい厚さは0.1〜100μmである。光電気化学電池に用いる場合、半導体微粒子層の厚さは1〜30μmが好ましく、2〜25μmがより好ましい。半導体微粒子の支持体1m2当たりの塗布量は0.5〜100gが好ましく、3〜50gがより好ましい。
半導体微粒子を導電性支持体上に塗布した後で半導体微粒子同士を電子的に接触させるとともに、塗膜強度の向上や支持体との密着性を向上させるために、加熱処理するのが好ましい。好ましい加熱温度の範囲は40℃以上700℃以下であり、より好ましくは100℃以上600℃以下である。また加熱時間は10分〜10時間程度である。ポリマーフィルムのように融点や軟化点の低い支持体を用いる場合、高温処理は支持体の劣化を招くため好ましくない。またコストの観点からもできる限り低温(例えば50℃〜350℃)であるのが好ましい。低温化は5nm以下の小さい半導体微粒子や鉱酸、金属酸化物プレカーサーの存在下での加熱処理等により可能となり、また、紫外線、赤外線、マイクロ波等の照射や電界、超音波を印加することにより行うこともできる。同時に不要な有機物等を除去する目的で、上記の照射や印加のほか加熱、減圧、酸素プラズマ処理、純水洗浄、溶剤洗浄、ガス洗浄等を適宜組み合わせて併用することが好ましい。
加熱処理後、半導体微粒子の表面積を増大させたり、半導体微粒子近傍の純度を高め、色素から半導体微粒子への電子注入効率を高める目的で、例えば四塩化チタン水溶液を用いた化学メッキ処理や三塩化チタン水溶液を用いた電気化学的メッキ処理を行ってもよい。また、半導体微粒子から電荷輸送層へ逆電流が流れるのを防止する目的で、粒子表面に色素以外の電子電導性の低い有機物を吸着させることも有効である。吸着させる有機物としては疎水性基を持つものが好ましい。
半導体微粒子層は、多くの色素を吸着することができるように大きい表面積を有することが好ましい。半導体微粒子の層を支持体上に塗布した状態での表面積は、投影面積に対して10倍以上であるのが好ましく、さらに100倍以上であるのが好ましい。この上限は特に制限はないが、通常1000倍程度である。
(3)色素
感光層に用いる増感色素は、可視域や近赤外域に吸収を有し、半導体を増感しうる化合物なら任意に用いることができるが、金属錯体色素、メチン色素、ポルフィリン系色素及びフタロシアニン系色素が好ましく、金属錯体色素が特に好ましい。また、光電変換の波長域をできるだけ広くし、かつ変換効率を上げるために二種類以上の色素を併用又は混合して使用することができる。この場合、目的とする光源の波長域と強度分布に合わせるように、併用又は混合する色素とその割合を選ぶことができる。
こうした色素は半導体微粒子の表面に対して吸着能力の有る適当な結合基(interlocking group)を有しているのが好ましい。好ましい結合基としては、-COOH基、-OH基、-SO3H基、-P(O)(OH)2基及び-OP(O)(OH)2基のような酸性基、並びにオキシム、ジオキシム、ヒドロキシキノリン、サリチレート及びα-ケトエノレートのようなπ伝導性を有するキレート化基が挙げられる。中でも-COOH基、-P(O)(OH)2基及び-OP(O)(OH)2基が特に好ましい。これらの基はアルカリ金属等と塩を形成していてもよく、また分子内塩を形成していてもよい。またポリメチン色素の場合、メチン鎖がスクアリリウム環やクロコニウム環を形成する場合のように酸性基を含有するなら、この部分を結合基としてもよい。
以下、感光層に用いる好ましい増感色素を具体的に説明する。
(a)金属錯体色素
色素が金属錯体色素である場合、金属フタロシアニン色素、金属ポルフィリン色素又はルテニウム錯体色素が好ましく、ルテニウム錯体色素が特に好ましい。ルテニウム錯体色素としては、例えば米国特許4927721号、同4684537号、同5084365号、同5350644号、同5463057号、同5525440号、特開平7-249790号、特表平10-504512号、WO 98/50393号、特開2000-26487号等に記載の錯体色素が挙げられる。
さらにルテニウム錯体色素は下記一般式(V):
(A1)pRu(B-a)(B-b)(B-c) ・・・(V)
により表されるのが好ましい。一般式(V)中、A1は1又は2座の配位子を表し、好ましくはCl、SCN、H2O、Br、I、CN、NCO、SeCN、β-ジケトン誘導体、シュウ酸誘導体及びジチオカルバミン酸誘導体からなる群から選ばれた配位子である。pは0〜3の整数である。B-a、B-b及びB-cはそれぞれ独立に下記式B-1〜B-10のいずれかにより表される有機配位子を表す。
式B-1〜B-10中、R5は水素原子又は置換基を表し、該置換基の例としてはハロゲン原子、炭素原子数1〜12の置換又は無置換のアルキル基、炭素原子数7〜12の置換又は無置換のアラルキル基、炭素原子数6〜12の置換又は無置換のアリール基、前述の酸性基(これらの酸性基は塩を形成していてもよい)及びキレート化基が挙げられる。ここで、アルキル基及びアラルキル基のアルキル部分は直鎖状でも分岐状でもよく、またアリール基及びアラルキル基のアリール部分は単環でも多環(縮合環、環集合)でもよい。B-a、B-b及びB-cは同一でも異なっていてもよく、いずれか1つ又は2つでもよい。
金属錯体色素の好ましい具体例を以下に示すが、これらに限定されるものではない。

(b)メチン色素
好ましいメチン色素は、シアニン色素、メロシアニン色素、スクワリリウム色素等のポリメチン色素である。好ましく用いられるポリメチン色素の例としては、特開平11-35836号、特開平11-67285号、特開平11-86916号、特開平11-97725号、特開平11-158395号、特開平11-163378号、特開平11-214730号、特開平11-214731号、特開平11-238905号、特開2000-26487号、欧州特許892411号、同911841号及び同991092号の各明細書に記載の色素が挙げられる。好ましいメチン色素の具体例を下に示す。
(4)半導体微粒子への色素の吸着
半導体微粒子膜への色素の吸着は、色素の溶液中によく乾燥した半導体微粒子層を有する導電性支持体を浸漬するか、色素の溶液を半導体微粒子層に塗布する方法を用いることができる。前者の場合、浸漬法、ディップ法、ローラ法、エアーナイフ法等が使用可能である。浸漬法の場合、色素の吸着は室温で行ってもよいし、特開平7-249790号に記載されているように加熱還流して行ってもよい。また後者の塗布方法としては、ワイヤーバー法、スライドホッパー法、エクストルージョン法、カーテン法、スピン法、スプレー法等がある。また、インクジェット法等によって色素を画像状に塗布し、この画像そのものを光電変換素子とすることもできる。色素を溶解する溶媒の好ましい例としては、アルコール類(メタノール、エタノール、t-ブタノール、ベンジルアルコール等)、ニトリル類(アセトニトリル、プロピオニトリル、3-メトキシプロピオニトリル等)、ニトロメタン、ハロゲン化炭化水素(ジクロロメタン、ジクロロエタン、クロロホルム、クロロベンゼン等)、エーテル類(ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン等)、ジメチルスルホキシド、アミド類(N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセタミド等)、N-メチルピロリドン、1,3-ジメチルイミダゾリジノン、3-メチルオキサゾリジノン、エステル類(酢酸エチル、酢酸ブチル等)、炭酸エステル類(炭酸ジエチル、炭酸エチレン、炭酸プロピレン等)、ケトン類(アセトン、2-ブタノン、シクロヘキサノン等)、炭化水素(へキサン、石油エーテル、ベンゼン、トルエン等)、これらの混合溶媒等が挙げられる。
色素の全吸着量は、多孔質半導体電極基板の単位面積(1m2)当たり0.01〜100mmolとするのが好ましい。また色素の半導体微粒子に対する吸着量は、半導体微粒子1g当たり0.01〜1mmolの範囲であるのが好ましい。このような色素の吸着量とすることにより半導体における増感効果が十分に得られる。これに対し、色素が少なすぎると増感効果が不十分となり、また色素が多すぎると半導体に付着していない色素が浮遊し、増感効果を低減させる原因となる。色素の吸着量を増大させるためには、吸着前に加熱処理を行うのが好ましい。加熱処理後、半導体微粒子表面に水が吸着するのを避けるため、常温に戻さずに、半導体電極基板の温度が60〜150℃の間で素早く色素の吸着操作を行うのが好ましい。
色素間の凝集などの相互作用を低減する目的で、無色の化合物を色素に添加し、半導体微粒子に共吸着させてもよい。この目的で有効な化合物は界面活性な性質、構造をもった化合物であり、例えば、カルボキシル基を有するステロイド化合物(例えばケノデオキシコール酸)や下記の例のようなスルホン酸塩類が挙げられる。
未吸着の色素は、吸着後速やかに洗浄により除去するのが好ましい。湿式洗浄槽を使い、アセトニトリル等の極性溶剤、アルコール系溶剤のような有機溶媒で洗浄を行うのが好ましい。色素を吸着した後にアミン類や4級塩を用いて半導体微粒子の表面を処理してもよい。好ましいアミン類としてはピリジン、4-t-ブチルピリジン、ポリビニルピリジン等が挙げられ、好ましい4級塩としてはテトロブチルアンモニウムヨージド、テトラヘキシルアンモニウムヨージド等が挙げられる。これらが液体の場合はそのまま用いてもよいし、有機溶媒に溶解して用いてもよい。
(C)電荷輸送層
電荷輸送層は上記電解質組成物を含有する。電荷輸送層の形成方法に関しては2通りの方法が考えられる。1つは感光層の上に先に対極を貼り合わせておき、その間隙に液状の電荷輸送層を挟み込む方法である。もう1つは感光層上に直接、電荷輸送層を付与する方法で、対極はその後付与することになる。
前者の方法の場合、電荷輸送層の挟み込み方法として、浸漬等による毛管現象を利用する常圧プロセス、又は常圧より低い圧力にして間隙の気相を液相に置換する真空プロセスを利用できる。
後者の方法の場合、湿式の電荷輸送層においては未乾燥のまま対極を付与し、エッジ部の液漏洩防止措置を施すことになる。またゲル電解質の場合には湿式で塗布して重合等の方法により固体化する方法があり、その場合には乾燥、固定化した後に対極を付与することもできる。電解液のほか湿式有機正孔輸送材料やゲル電解質を付与する方法としては、前述の半導体微粒子層や色素の付与と同様の方法を利用できる。
固体電解質や固体の正孔輸送材料の場合には真空蒸着法やCVD法等のドライ成膜処理で電荷輸送層を形成し、その後対極を付与することもできる。有機正孔輸送材料は真空蒸着法、キャスト法、塗布法、スピンコート法、浸漬法、電解重合法、光電解重合法等の手法により電極内部に導入することができる。無機固体化合物の場合も、キャスト法、塗布法、スピンコート法、浸漬法、電解析出法、無電解メッキ法等の手法により電極内部に導入することができる。
なお、電荷輸送層中の水分は10,000ppm以下であるのが好ましく、さらに好ましくは2,000ppm以下であり、特に好ましくは100ppm以下である。
(D)対極
対極は前述の導電性支持体と同様に、導電性材料からなる対極導電層の単層構造でもよいし、対極導電層と支持基板から構成されていてもよい。対極導電層に用いる導電剤としては、金属(白金、金、銀、銅、アルミニウム、マグネシウム、インジウム等)、炭素、及び導電性金属酸化物(インジウム−スズ複合酸化物、フッ素ドープ酸化スズ等)が挙げられる。この中でも白金、金、銀、銅、アルミニウム及びマグネシウムが好ましく使用することができる。対極に用いる支持基板は、好ましくはガラス基板又はプラスチック基板であり、これに上記の導電剤を塗布又は蒸着して用いる。対極導電層の厚さは特に制限されないが、3nm〜10μmが好ましい。対極導電層の表面抵抗は低い程よい。好ましい表面抵抗の範囲としては50Ω/□以下であり、さらに好ましくは20Ω/□以下である。
導電性支持体と対極のいずれか一方又は両方から光を照射してよいので、感光層に光が到達するためには、導電性支持体と対極の少なくとも一方が実質的に透明であればよい。発電効率の向上の観点からは、導電性支持体を透明にして光を導電性支持体側から入射させるのが好ましい。この場合、対極は光を反射する性質を有するのが好ましい。このような対極としては、金属又は導電性酸化物を蒸着したガラス又はプラスチック、或いは金属薄膜を使用できる。
対極は電荷輸送層上に直接導電剤を塗布、メッキ又は蒸着(PVD、CVD)するか、導電層を有する基板の導電層側を貼り付ければよい。また、導電性支持体の場合と同様に、特に対極が透明の場合には対極の抵抗を下げる目的で金属リードを用いるのが好ましい。なお、好ましい金属リードの材質及び設置方法、金属リード設置による入射光量の低下等は導電性支持体の場合と同じである。
(E)その他の層
対極と導電性支持体の短絡を防止するため、導電性支持体と感光層の間には、緻密な半導体の薄膜層を下塗り層として予め塗設しておくことが好ましい。この下塗り層により短絡を防止する方法は、電荷輸送層に電子輸送材料や正孔輸送材料を用いる場合は特に有効である。下塗り層は好ましくはTiO2、SnO2、Fe2O3、WO3、ZnO又はNb2O5からなり、さらに好ましくはTiO2からなる。下塗り層は、例えばElectrochim. Acta, 40, 643-652 (1995)に記載されているスプレーパイロリシス法や、スパッタ法等により塗設することができる。下塗り層の好ましい膜厚は5〜1000nmであり、10〜500nmがさらに好ましい。
また、電極として作用する導電性支持体と対極の一方又は両方の外側表面、導電層と基板の間又は基板の中間に、保護層、反射防止層等の機能性層を設けてもよい。これらの機能性層の形成には、その材質に応じて塗布法、蒸着法、貼り付け法等を用いることができる。
(F)光電変換素子の内部構造の具体例
上述のように、光電変換素子の内部構造は目的に合わせ様々な形態が可能である。大きく2つに分ければ、両面から光の入射が可能な構造と、片面からのみ可能な構造が可能である。図2〜図9に好ましく適用できる光電変換素子の内部構造を例示する。
図2に示す構造は、透明導電層10aと透明対極導電層40aとの間に、感光層20と電荷輸送層30とを介在させたものであり、両面から光が入射する構造となっている。図3に示す構造は、透明基板50a上に一部金属リード11を設け、その上に透明導電層10aを設け、下塗り層60、感光層20、電荷輸送層30及び対極導電層40をこの順で設け、さらに支持基板50を配置したものであり、導電層側から光が入射する構造となっている。図4に示す構造は、支持基板50上に導電層10を有し、下塗り層60を介して感光層20を設け、さらに電荷輸送層30と透明対極導電層40aとを設け、一部に金属リード11を設けた透明基板50aを金属リード11側を内側にして配置したものであり、対極側から光が入射する構造である。図5に示す構造は、透明基板50a上に一部金属リード11を設け、さらに透明導電層10a(又は40a)を設けたもの1組の間に下塗り層60、感光層20及び電荷輸送層30を介在させたものであり、両面から光が入射する構造である。図6に示す構造は、透明基板50a上に透明導電層10a、下塗り層60、感光層20、電荷輸送層30及び対極導電層40を設け、この上に支持基板50を配置したものであり、導電層側から光が入射する構造である。図7に示す構造は、支持基板50上に導電層10を有し、下塗り層60を介して感光層20を設け、さらに電荷輸送層30及び透明対極導電層40aを設け、この上に透明基板50aを配置したものであり、対極側から光が入射する構造である。図8に示す構造は、透明基板50a上に透明導電層10aを有し、下塗り層60を介して感光層20を設け、さらに電荷輸送層30及び透明対極導電層40aを設け、この上に透明基板50aを配置したものであり、両面から光が入射する構造となっている。図9に示す構造は、支持基板50上に導電層10を設け、下塗り層60を介して感光層20を設け、さらに固体の電荷輸送層30を設け、この上に一部対極導電層40又は金属リード11を有するものであり、対極側から光が入射する構造となっている。
[3]光電気化学電池
光電気化学電池は、上記光電変換素子に外部負荷で仕事をさせるようにしたものである。光電気化学電池のうち、太陽光による発電を主目的としたものを太陽電池と呼ぶ。
光電気化学電池の側面は、構成物の劣化や内容物の揮散を防止するためにポリマーや接着剤等で密封するのが好ましい。導電性支持体及び対極にリードを介して接続する外部回路自体は公知のものでよい。
光電変換素子を太陽電池に適用する場合も、そのセル内部の構造は基本的に上述した光電変換素子の構造と同じである。また、光電変換素子を用いた色素増感型太陽電池は、従来の太陽電池モジュールと基本的には同様のモジュール構造をとりうる。太陽電池モジュールは、一般的には金属、セラミック等の支持基板の上にセルが構成され、その上を充填樹脂や保護ガラス等で覆い、支持基板の反対側から光を取り込む構造をとるが、支持基板に強化ガラス等の透明材料を用い、その上にセルを構成してその透明の支持基板側から光を取り込む構造とすることも可能である。具体的には、スーパーストレートタイプ、サブストレートタイプ、ポッティングタイプと呼ばれるモジュール構造、アモルファスシリコン太陽電池等で用いられる基板一体型モジュール構造等が知られており、色素増感型太陽電池も使用目的や使用場所及び環境により、適宜モジュール構造を選択できる。具体的には、特開2000-268892号に記載の構造や態様とすることが好ましい。
以下、本発明を実施例によって具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
1.ツイッターイオン型有機塩の合成
以下の通り電解質組成物に用いるツイッターイオン型有機塩を合成した。なお、合成した各ツイッターイオン型有機塩の構造はNMRスペクトル及びMSスペクトルにより確認した。
(A)D-1の合成
0.4gの化合物A-1及び1.5gの化合物B-1を10mlのアセトニトリルに溶解し、加熱環流下、8時間反応させた。これを減圧下で濃縮し、塩化メチレンを加え不溶の塩化リチウムを除去した後、シリカゲルカラム(展開溶媒:メタノール/塩化メチレン)によって精製して1.1gの化合物D-1を得た。得られた化合物D-1のMSスペクトルを測定したところ、M+(posi)=335であった。また化合物D-1の粘度は990 cP (25℃)であった。
(B)D-2の合成
0.4gの化合物A-1及び2.5gの化合物B-2を10mlのアセトニトリルに溶解し、加熱環流下、8時間反応させた。これを減圧下で濃縮し、塩化メチレンを加え不溶の塩化リチウムを除去した後、シリカゲルカラム(展開溶媒:メタノール/塩化メチレン)によって精製して0.9gの化合物D-2を得た。得られた化合物D-2のMSスペクトルを測定したところ、M+(posi)=409であった。また化合物D-2の粘度は1680 cP (25℃)であった。
(C)D-18の合成
0.4gの化合物A-1及び3.5gの化合物B-2を20mlのアセトニトリルに溶解し、加熱環流下、8時間反応させた。これを減圧下で濃縮し、塩化メチレンを加え不溶の塩化リチウムを除去した後、テトラブチルアンモニウムのメタノール溶液を加えてシリカゲルカラム(展開溶媒:メタノール/塩化メチレン)によって精製して0.5gの化合物D-18を得た。得られた化合物D-18のMSスペクトルを測定したところ、M+(posi)=602であった。また化合物D-18の粘度は3210 cP (25℃)であった。
2.光電気化学電池の作製
(A)二酸化チタン分散液の調製
内側をテフロン(登録商標)コーティングした内容積200mlのステンレス製容器に15gの二酸化チタン微粒子(日本アエロジル(株)製「Degussa P-25」)、45gの水、1gの分散剤(アルドリッチ社製「Triton X-100」)、及び30gのジルコニアビーズ(ニッカトー社製、直径0.5mm)を入れ、サンドグラインダーミル(アイメックス社製)を用いて1500rpmで2時間分散処理し、ジルコニアビーズをろ過により除去して二酸化チタン分散液を得た。得られた二酸化チタン分散液中の二酸化チタン微粒子の平均粒径は2.5μmであった。なお、粒径はMALVERN社製のマスターサイザーを用いて測定した。
(B)色素増感TiO2電極基板の作製
フッ素をドープした酸化スズ層を有する導電性ガラス(旭硝子(株)製「TCOガラス-U」を20mm×20mmの大きさに切断加工したもの、表面抵抗約30Ω/□)の導電面側にガラス棒を用いて上記二酸化チタン分散液を塗布した。半導体微粒子の塗布量は20g/m2とした。その際、導電面側の一部(端から3mm)に粘着テープを張ってスペーサーとし、粘着テープが両端に来るようにガラスを並べて一度に8枚ずつ塗布した。塗布後、粘着テープを剥離し、室温で1日間風乾した。次にこのガラスを電気炉(ヤマト科学(株)製マッフル炉「FP-32型」)に入れ、450℃にて30分間焼成し、TiO2電極を得た。このTiO2電極を取り出し冷却した後、色素R-1のエタノール溶液(3×10-4mol/l)に3時間浸漬し、さらに4-t-ブチルピリジンに15分間浸漬した。これをアセトニトリルで洗浄し、自然乾燥して色素増感TiO2電極基板を得た。
(C)光電気化学電池の作製
上述の色素増感TiO2電極基板(20mm×20mm)をこれと同じ大きさの白金蒸着ガラスと重ね合わせた。次に、10質量%の下記電解質塩Y-1、2質量%のヨウ素及び88質量%のビスシアノエチルエーテル(BCE)からなる電解質組成物を、両ガラスの隙間に毛細管現象を利用して染み込ませてTiO2電極中に導入し、エポキシ系封止剤で封止して図1に示した構造を有する比較例1の光電気化学電池を作製した。
電解質組成物を下記表1に示すように変更したこと以外は比較例1の光電気化学電池と同様の方法により、実施例1〜11、参考例1、2及び比較例2〜8の光電気化学電池をそれぞれ作製した。ただし、電解質組成物の粘度が高く毛細管現象を利用して電解質組成物を両ガラスの隙間に染み込ませることが困難な場合は、電解質組成物を50℃に加温してTiO2電極に塗布し、これを減圧下に置いて電解質組成物を十分浸透させるとともにTiO2電極中の空気を抜き、白金蒸着ガラス(対極)を重ね合わせた。各実施例及び比較例に用いた電解質塩Y-1〜Y-4の構造を以下に示す。また、表1中の「LiTFSI」はリチウム ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(lithium bis(trifluoromethanesulfonyl)imide)を表す。
3.光電変換効率の測定
500Wのキセノンランプ(ウシオ電気(株)製)の光をOriel社製「AM1.5フィルター」及びシャープカットフィルター「Kenko L-42」を通すことにより、紫外線を含まない模擬太陽光を発生させた。この光の強度は100mW/cm2であった。この模擬太陽光を45℃にて上記実施例1〜11、参考例1、2及び比較例1〜8の光電気化学電池に照射し、発生した電気を電流電圧測定装置「ケースレーSMU238型」にて測定した。各光電気化学電池の開放電圧、短絡電流密度、形状因子、変換効率及び72時間暗所保存後の短絡電流密度の低下率を下記表2に示す。
表2に示したように、30質量%以上の有機溶媒を含有する電解質組成物を用いた光電気化学電池(比較例1〜3並びに実施例1及び2)では暗所保存後の短絡電流密度の低下が著しいが、電解質組成物を用いた実施例1及び2の光電気化学電池は、従来のイミダゾリウム塩のみを含有する電解質組成物を用いた比較例1及び3の光電気化学電池よりも優れた変換効率及び保存安定性を示した。また、表2より、短絡電流密度の低下を抑えるためには電解質組成物の溶媒含有量は10質量%以下とするのが好ましく、溶媒を使用しないことがより好ましいことがわかる。
従来のイミダゾリウム塩のみを用いた比較例4及び5の光電気化学電池では短絡電流密度が低く、これが低い光電変換効率の原因となっている。また、有機塩(I)のみを用いた比較例6の光電気化学電池、従来のイミダゾリウム塩と有機塩(I)の組み合わせを用いた比較例7の光電気化学電池、及び公知のLiTFSIと有機塩(I)の組み合わせを用いた比較例8の光電気化学電池は殆ど光電変換能を示さなかった。これに対して、有機塩(I)及びヨウ素塩を含有する電解質組成物を用いた実施例3〜11、参考例1及び2の光電気化学電池は高い短絡電流密度を示し、それに伴い優れた変換効率が得られた。
10・・・導電層
10a・・・透明導電層
11・・・金属リード
20・・・感光層
21・・・半導体微粒子
22・・・色素
23・・・電荷輸送材料
30・・・電荷輸送層
40・・・対極導電層
40a・・・透明対極導電層
50・・・基板
50a・・・透明基板
60・・・下塗り層

Claims (4)

  1. 下記一般式(I)により表されるツイッターイオン型有機塩。


    一般式(I)中、Qは窒素原子と共にピリジン環を表し、R1は水素原子、アルキル基、アルケニル基、又は下記一般式(II)により表される置換基を表し、R2はアルコキシ基、シアノ基、アルコキシカルボニル基、炭酸エステル基、アミド基、カルバモイル基、ホスホニル基、複素環基、アリーロキシ基、アルキルチオ基、アシル基、スルホニル基、アシルオキシ基、スルホニルオキシ基、アリール基、アリーロキシ基、アルケニル基、アルキル基、又は下記一般式(II)により表される置換基を表し、n1は0〜5の整数を表し、X1は対イオンを表し、n2は一般式(I)により表されるツイッターイオン型有機塩全体の電荷が中和されるように選択された整数を表す。n1が2以上のとき複数のR2は同じでも異なっていてもよく、R1及びR2のうち1〜2個は下記一般式(II)により表される置換基である。


    一般式(II)中、L1は前記芳香族カチオンとV1とを連結する、アルキレン基、アリーレン基、アルキレンオキシ基、アリーレンオキシ基、又はこれらの組み合わせからなる2価連結基を表し、V1及びV2はそれぞれ独立に-CO-、-SO-、-SO2-又は-PO(OR4)-(R4はアルキル基又はアリール基)を表し、R3はアルコキシ基、アルキル基、アルケニル基、又はパーフルオロアルキル基を表す。
  2. 請求項1に記載のツイッターイオン型有機塩において、前記V1及びV2のうち少なくとも1つが-SO2-であることを特徴とするツイッターイオン型有機塩。
  3. 下記一般式(III)により表されるイミダゾリウム有機塩。


    一般式(III)中、R11及びR21は水素原子、アルキル基、アルケニル基、又は下記一般式(IV)により表される置換基を表し、R22〜R24はそれぞれ独立に水素原子、アルコキシ基、シアノ基、アルコキシカルボニル基、炭酸エステル基、アミド基、カルバモイル基、ホスホニル基、複素環基、アリーロキシ基、アルキルチオ基、アシル基、スルホニル基、アシルオキシ基、スルホニルオキシ基、アリール基、アリールオキシ基、アルケニル基、アルキル基、又は下記一般式(IV)により表される置換基を表し、X11は対イオンを表し、n21は一般式(III)により表されるイミダゾリウム有機塩全体の電荷が中和されるように選択された整数を表す。R11及びR21〜R24は同じでも異なっていてもよく、R11及びR21〜R24のうち1つが下記一般式(IV)により表される置換基である。


    一般式(IV)中、L11は前記一般式(III)中のイミダゾリウムカチオンとV11とを連結する、アルキレン基、アリーレン基、アルキレンオキシ基、アリーレンオキシ基、又はこれらの組み合わせからなる2価連結基を表し、V11及びV21は-SO2-を表し、R31はアルコキシ基、アルキル基、アルケニル基、又はパーフルオロアルキル基を表す。
  4. 請求項3に記載のイミダゾリウム有機塩において、前記R21〜R24がそれぞれ独立に水素原子又は前記一般式(IV)により表される置換基であることを特徴とするイミダゾリウム有機塩。
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