JP2002155142A - 電解質組成物、光電変換素子及び光電池 - Google Patents

電解質組成物、光電変換素子及び光電池

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JP2002155142A
JP2002155142A JP2001263161A JP2001263161A JP2002155142A JP 2002155142 A JP2002155142 A JP 2002155142A JP 2001263161 A JP2001263161 A JP 2001263161A JP 2001263161 A JP2001263161 A JP 2001263161A JP 2002155142 A JP2002155142 A JP 2002155142A
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electrolyte composition
substituent
photoelectric conversion
bond
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JP2001263161A
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English (en)
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Koji Wariishi
幸司 割石
Susumu Yoshikawa
将 吉川
Shoichi Sen
昌一 千
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Fuji Photo Film Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 耐久性及び電荷輸送能に優れた電解質組成
物、並びにこの電解質組成物を用いたために優れた耐久
性及び光電変換特性を示す光電変換素子及び光電池を提
供する。 【課題手段】 下記一般式(1): 【化1】 (ただし、R1はL1-Q01(L1は結合又は2価連結基を表
し、L1が結合を表すときQ0 1は置換基を表し、L1が2価
連結基を表すときQ01は水素原子又は置換基を表す。)
を表し、R2はL2-Q02(L2は結合又は2価連結基を表し、
L2が結合を表すときQ0 2は置換基を表し、L2が2価連結
基を表すときQ02は水素原子又は置換基を表す。)を表
す。)により表される繰り返し単位を含み、求電子剤と
反応して共有結合を形成しうる置換基を少なくとも2つ
有するシロキサン化合物を含有する電解質組成物、並び
にこのシロキサン化合物と少なくとも2個の脱離基を有
する求電子剤とを反応させて得られる重合体を含有する
電解質組成物。また本発明の光電変換素子及び光電池は
該電解質組成物を含む。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、耐久性及び電荷輸
送能に優れた電解質組成物、並びにこの電解質組成物を
用いたために優れた耐久性及び光電変換特性を示す光電
変換素子及び光電池に関する。
【0002】
【従来の技術】従来から電池、キャパシター、センサ
ー、表示素子、記録素子等の電気化学的素子の電解質と
して、溶媒に電解質塩を溶解した液状電解質組成物(電
解液)が用いられてきた。しかしながら、このような液
状電解質組成物を用いた電気化学的素子においては、長
期間の使用又は保存の間に該組成物が漏洩することがあ
り、信頼性に欠ける。
【0003】Nature,第353巻,第737〜740頁,1991
年、米国特許4927721号等は色素により増感した半導体
微粒子を用いた光電変換素子及びこれを用いた光電気化
学電池を開示しているが、これらにおいても電荷輸送層
に液状電解質組成物を用いているため、長期間の使用又
は保存の間に該組成物が漏洩又は枯渇し、光電変換効率
が著しく低下したり、素子として機能しなくなる場合が
ある。
【0004】このような状況下、WO 93/20565号は固体
電解質を用いた光電変換素子を提案した。また日本化学
会誌, 7, 484頁 (1997)、特開平7-288142号、Solid Sta
te Ionics, 89, 263 (1986)及び特開平9-27352号は、架
橋ポリエチレンオキサイド系高分子化合物を用いた固体
電解質を含む光電変換素子を提案した。しかしながら、
これらの固体電解質を用いた光電変換素子は光電変換特
性、特に短絡電流密度が不十分であり、加えて耐久性も
十分ではない。
【0005】また、電解質組成物の漏洩及び枯渇を防止
し光電変換素子の耐久性を向上させるために、ピリジニ
ウム塩、イミダゾリウム塩、トリアゾリウム塩等を用い
る方法が開示されている(WO 95/18456号、特開平8-259
543号、電気化学, 第65巻, 11号, 923頁 (1997年)
等)。これらの塩は常温(25℃付近)において溶融状態
にあり、室温溶融塩と呼ばれる。この方法では水や有機
溶媒等の溶媒が不要或いは少量で済むため、電池の耐久
性が向上する。しかしながら、これらの室温溶融塩を用
いた光電変換素子は特に開放電圧が低く、光電変換効率
が良くない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】従って本発明の目的
は、耐久性及び電荷輸送能に優れた電解質組成物、並び
にこの電解質組成物を用いたために優れた耐久性及び光
電変換特性を示す光電変換素子及び光電池を提供するこ
とである。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記目的に鑑み鋭意研究
の結果、本発明者は、特定の繰り返し単位を含むシロキ
サン化合物を含有する電解質組成物、並びに該シロキサ
ン化合物を求電子剤と反応させて得られる重合体を含有
する電解質組成物は優れた電荷輸送能及び耐久性を示す
ことを発見し、本発明に想到した。
【0008】即ち、本発明の第一の電解質組成物は下記
一般式(1):
【化7】 (ただし、R1はL1-Q01(L1は結合又は2価連結基を表
し、L1が結合を表すときQ0 1は置換基を表し、L1が2価
連結基を表すときQ01は水素原子又は置換基を表す。)
を表し、R2はL2-Q02(L2は結合又は2価連結基を表し、
L2が結合を表すときQ0 2は置換基を表し、L2が2価連結
基を表すときQ02は水素原子又は置換基を表す。)を表
す。)により表される繰り返し単位を含み、求電子剤と
反応して共有結合を形成しうる置換基を少なくとも2つ
有するシロキサン化合物を含有することを特徴とする。
【0009】また、本発明の第二の電解質組成物は少な
くとも2個の脱離基を有する求電子剤と、上記一般式
(1)により表される繰り返し単位を含み、求電子剤と反
応して共有結合を形成しうる置換基を少なくとも2つ有
するシロキサン化合物とを反応させて得られる重合体を
含有することを特徴とする。
【0010】本発明の第一及び第二の電解質組成物は光
電池に好ましく用いることができる。本発明の光電変換
素子は導電層、感光層、電荷輸送層及び対極を有し、該
電荷輸送層が上記第一の電解質組成物又は第二の電解質
組成物を含有することを特徴とする。本発明の光電池は
この光電変換素子を用いたものである。
【0011】本発明では下記条件を満たすことにより、
一層優れた耐久性又は電荷輸送能を有する電解質組成
物、並びに一層優れた耐久性及び光電変換特性を示す光
電変換素子及び光電池が得られる。
【0012】(1)第一及び第二の電解質組成物におい
て、求電子剤と反応して共有結合を形成しうる置換基は
塩基性基であるのが好ましく、この塩基性基は特に好ま
しくは置換若しくは無置換のピリジル基又は置換若しく
は無置換のイミダゾリル基である。該塩基性基に水素を
付加してなる化合物の共役酸のpKaは3〜15であるのが
好ましい。
【0013】(2)第一及び第二の電解質組成物に用いる
シロキサン化合物は下記一般式(2)により表されるのが
好ましく、下記一般式(3)により表されるのがより好ま
しい。
【化8】 一般式(2)中、Q1及びQ2はそれぞれ独立に上記求電子剤
と反応して共有結合を形成しうる置換基を表し、R11〜R
16はそれぞれ独立に置換若しくは無置換のアルキル基又
は置換若しくは無置換のアリール基を表し、L11及びL12
はそれぞれ独立に2価連結基を表し、nは1〜1000の整
数を表す。
【化9】 一般式(3)中、Q11及びQ21はそれぞれ独立に窒素原子と
共に5又は6員環を形成する原子団を表し、R11〜R16
それぞれ独立に置換若しくは無置換のアルキル基又は置
換若しくは無置換のアリール基を表し、L11及びL12はそ
れぞれ独立に2価連結基を表し、nは1〜1000の整数を
表す。
【0014】(3)第一及び第二の電解質組成物におい
て、一般式(3)中のQ11及びQ21はそれぞれ炭素原子、水
素原子、窒素原子、酸素原子及び硫黄原子からなる群か
ら選ばれる1種以上の原子により構成されるのが好まし
い。
【0015】(4)第一及び第二の電解質組成物におい
て、一般式(3)中のQ11及びQ21がそれぞれ窒素原子と共
に形成する5又は6員環はイミダゾール環又はピリジン
環であるのが特に好ましい。
【0016】(5)第二の電解質組成物において、求電子
剤が有する脱離基が脱離して生じるアニオンの共役酸の
pKaは10以下であるのが好ましい。
【0017】(6)第二の電解質組成物において、求電子
剤が有する脱離基はそれぞれハロゲン原子、アルキルス
ルホニルオキシ基又はアリールスルホニルオキシ基であ
るのが好ましい。
【0018】(7)第一及び第二の電解質組成物の溶媒含
有量は電解質組成物全体の10質量%以下であるのが特に
好ましい。
【0019】(8)第一及び第二の電解質組成物は上記シ
ロキサン化合物及び上記重合体以外にヨウ素塩及び/又
はヨウ素を含有するのが好ましい。
【0020】(9)光電変換素子の感光層は色素によって
増感された半導体微粒子を含有するのが好ましい。この
半導体微粒子は金属カルコゲナイド微粒子を含むのが好
ましく、金属カルコゲナイド微粒子は酸化チタン微粒子
を含むのが好ましい。また、色素は金属錯体色素及び/
又はポリメチン色素であるのが好ましい。
【0021】
【発明の実施の形態】[1]電解質組成物 本発明の第一の電解質組成物は後述する特定のシロキサ
ン化合物を含有する。また、本発明の第二の電解質組成
物はこのシロキサン化合物を少なくとも2個の脱離基を
有する求電子剤と反応させて得られる重合体を含有す
る。本発明の第二の電解質組成物は流動性を殆ど示さ
ず、耐久性及び電荷輸送能に優れている。本発明の第一
及び第二の電解質組成物は更に電解質塩、溶媒等を含有
してもよい。以下、本発明の第一及び第二の電解質組成
物の各構成要素について詳述する。
【0022】(A)シロキサン化合物 本発明の第一及び第二の電解質組成物に用いるシロキサ
ン化合物は、下記一般式(1)により表される繰り返し単
位を含み、且つ求電子剤と反応して共有結合を形成しう
る置換基を少なくとも2つ有する。本発明の第二の電解
質組成物においては、このシロキサン化合物は求電子剤
によりアルキル化、4級化等の修飾を受ける。
【化10】
【0023】一般式(1)中、R1はL1-Q01を表し、R2はL2-
Q02を表す。ここで、L1は結合又は2価連結基を表し、L
1が結合を表すときQ01は置換基を表し、L1が2価連結基
を表すときQ01は水素原子又は置換基を表す。また、L2
は結合又は2価連結基を表し、L2が結合を表すときQ02
は置換基を表し、L2が2価連結基を表すときQ02は水素
原子又は置換基を表す。シロキサン化合物は一般式(1)
により表される繰り返し単位を1つ含んでも複数含んで
もよく、複数含む場合は各繰り返し単位中のR1及びR2
それぞれ同じでも異なっていてもよい。
【0024】L1又はL2が2価連結基を表す場合、その例
としてはアルキレン基、アルケニレン基、アリーレン
基、-O-、-S-、-CO-、-NR'-(R'は水素原子又はアルキ
ル基)、-SO2-、-SiR''R'''-(R''及びR'''はそれぞれ
アルキル基、アリール基、アルコキシ基又はアリールオ
キシ基)、これらの組み合わせ等が挙げられ、中でも-(C
H2)m1-、-O-、-(OCH2CH2)m1-、-(OCH2CH2)m1-O-、-(OCH
2CH2)m1-CH2-、-(OCH2CH 2CH2)m1-、-(OCH2CH2CH2)m1-O
-、-(OCH2CH2CH2)m1-CH2-、-(CH2)m1-(Si(CH3)2-O)m2-
及び-O-(CH2)m1-(Si(CH3)2-O)m2-が好ましい。なおm1、
m2はそれぞれ1〜20の整数を表す。
【0025】Q01及びQ02が置換基を表す場合、好ましい
置換基の例としてはアルキル基(直鎖状、分岐状又は環
状であってよく、例えばメチル基、エチル基、n-プロピ
ル基、イソプロピル基、t-ブチル基、n-オクチル基、エ
イコシル基、2-クロロエチル基、2-シアノエチル基、2-
エチルヘキシル基、シクロヘキシル基、シクロペンチル
基、4-n-ドデシルシクロヘキシル基等)、アリール基
(例えばフェニル基、p-トリル基、ナフチル基、m-クロ
ロフェニル基等)、ヘテロ環基(好ましくは5又は6員
の置換又は無置換の芳香族ヘテロ環化合物又は非芳香族
ヘテロ環化合物から1個の水素原子を取り除いてなる1
価の基であり、例えば2-フリル基、2-チエニル基、2-ピ
リミジニル基、2-ピリジル基、4-ピリジル基、1-イミダ
ゾリル基等)、ハロゲン原子(例えば塩素原子、臭素原
子、ヨウ素原子等)、シアノ基、ニトロ基、水酸基、ア
ルコキシ基(例えばメトキシ基、エトキシ基、イソプロ
ポキシ基、t-ブトキシ基、n-オクチルオキシ基、2-メト
キシエトキシ基、-O(CH2CH2O)mCH3等)、シリルオキシ
基(例えばトリメチルシリルオキシ基、t-ブチルジメチ
ルシリルオキシ基、トリメトキシシリルオキシ基等)、
アシルオキシ基(例えばホルミルオキシ基、アセチルオ
キシ基、ピバロイルオキシ基、ステアロイルオキシ基、
ベンゾイルオキシ基、p-メトキシフェニルカルボニルオ
キシ基等)、カルバモイルオキシ基(例えばN,N-ジメチ
ルカルバモイルオキシ基、N,N-ジエチルカルバモイルオ
キシ基、モルホリノカルボニルオキシ基、N,N-ジ-n-オ
クチルアミノカルボニルオキシ基、N-n-オクチルカルバ
モイルオキシ基等)、アルコキシカルボニルオキシ基
(例えばメトキシカルボニルオキシ基、エトキシカルボ
ニルオキシ基、t-ブトキシカルボニルオキシ基、n-オク
チルカルボニルオキシ基等)、アリールオキシカルボニ
ルオキシ基(例えばフェノキシカルボニルオキシ基、p-
メトキシフェノキシカルボニルオキシ基、p-n-ヘキサデ
シルオキシフェノキシカルボニルオキシ基等)、アミノ
基(例えばアミノ基、メチルアミノ基、ジメチルアミノ
基、アニリノ基、N-メチルアニリノ基、ジフェニルアミ
ノ基等)、アシルアミノ基(例えばホルミルアミノ基、
アセチルアミノ基、ピバロイルアミノ基、ラウロイルア
ミノ基、ベンゾイルアミノ基、3,4,5-トリ-n-オクチル
オキシフェニルカルボニルアミノ基等)、アミノカルボ
ニルアミノ基(例えばカルバモイルアミノ基、N,N-ジメ
チルアミノカルボニルアミノ基、N,N-ジエチルアミノカ
ルボニルアミノ基、モルホリノカルボニルアミノ基
等)、アルコキシカルボニルアミノ基(例えばメトキシ
カルボニルアミノ基、エトキシカルボニルアミノ基、t-
ブトキシカルボニルアミノ基、n-オクタデシルオキシカ
ルボニルアミノ基、N-メチルメトキシカルボニルアミノ
基等)、アリールオキシカルボニルアミノ基(例えばフ
ェノキシカルボニルアミノ基、p-クロロフェノキシカル
ボニルアミノ基、m-n-オクチルオキシフェノキシカルボ
ニルアミノ基等)、スルファモイルアミノ基(例えばス
ルファモイルアミノ基、N,N-ジメチルアミノスルホニル
アミノ基、N-n-オクチルアミノスルホニルアミノ基
等)、アルキルスルホニルアミノ基(例えばメチルスル
ホニルアミノ基、ブチルスルホニルアミノ基等)、アリ
ールスルホニルアミノ基(例えばフェニルスルホニルア
ミノ基、2,3,5-トリクロロフェニルスルホニルアミノ
基、p-メチルフェニルスルホニルアミノ基等)、メルカ
プト基、アルキルチオ基(例えばメチルチオ基、エチル
チオ基、n-ヘキサデシルチオ基等)、アリールチオ基
(例えばフェニルチオ基、p-クロロフェニルチオ基、m-
メトキシフェニルチオ基等)、ヘテロ環チオ基(例えば
2-ベンゾチアゾリルチオ基、1-フェニルテトラゾール-5
-イルチオ基等)、スルファモイル基(例えばN-エチル
スルファモイル基、N-(3-ドデシルオキシプロピル)スル
ファモイル基、N,N-ジメチルスルファモイル基、N-アセ
チルスルファモイル基、N-ベンゾイルスルファモイル
基、N-(N'-フェニルカルバモイル)スルファモイル基
等)、アルキルスルフィニル基(例えばメチルスルフィ
ニル基、エチルスルフィニル基等)、アリールスルフィ
ニル基(例えばフェニルスルフィニル基、p-メチルフェ
ニルスルフィニル基等)、アルキルスルホニル基(例え
ばメチルスルホニル基、エチルスルホニル基等)、アリ
ールスルホニル基(例えばフェニルスルホニル基、p-メ
チルフェニルスルホニル基等)、アシル基(例えばアセ
チル基、ピバロイル基、2-クロロアセチル基、ステアロ
イル基、ベンゾイル基、p-n-オクチルオキシフェニルカ
ルボニル基等)、アリールオキシカルボニル基(例えば
フェノキシカルボニル基、o-クロロフェノキシカルボニ
ル基、m-ニトロフェノキシカルボニル基、p-t-ブチルフ
ェノキシカルボニル基等)、アルコキシカルボニル基
(例えばメトキシカルボニル基、エトキシカルボニル
基、t-ブトキシカルボニル基、n-オクタデシルオキシカ
ルボニル基等)、カルバモイル基(例えばカルバモイル
基、N-メチルカルバモイル基、N,N-ジメチルカルバモイ
ル基、N,N-ジ-n-オクチルカルバモイル基、N-(メチルス
ルホニル)カルバモイル基等)、シリル基(好ましくは
炭素数3〜30の置換又は無置換のシリル基であり、例え
ばトリメチルシリル基、t-ブチルジメチルシリル基、フ
ェニルジメチルシリル基等)、ホスフィノ基(好ましく
は炭素数2〜30の置換又は無置換のホスフィノ基であ
り、例えばジメチルホスフィノ基、ジフェニルホスフィ
ノ基、メチルフェノキシホスフィノ基等)等が挙げられ
る。中でも、アルキル基、アリール基、シリル基、アル
コキシ基、アリールオキシ基、シリルオキシ基、ヘテロ
環基、アミノ基、アルキルチオ基及びホスフィノ基がよ
り好ましく、アルキル基、シリル基、アルコキシ基、シ
リルオキシ基及びヘテロ環基が特に好ましい。
【0026】上記シロキサン化合物は求電子剤と反応し
て共有結合を形成しうる置換基を2つ以上有する。第一
及び第二の電解質組成物において、求電子剤と反応して
共有結合を形成しうる置換基は塩基性基であるのが好ま
しい。ここで塩基性基とは、それに水素を付加してなる
化合物の共役酸のpKaが3以上の基を指す。この共役酸
のpKaは3〜15であるのが好ましく、4〜12であるのが
より好ましい。このような塩基性基は、アミノ基(ジメ
チルアミノ基、ジエチルアミノ基、アニリノ基等)、含
窒素複素環基(モルホリノ基、キヌクリジニル基、ピペ
ラジニル基、ピペリジノ基、ピロリジノ基、イミダゾリ
ル基、2-メチルイミダゾリル基、キノリル基、アクリジ
ニル基、ピリジル基、2-メチルピリジル基、ジアザビシ
クロウンデセニル基等)又はグアニジノ基(トリメチル
グアニジノ基等)であるのが好ましく、含窒素複素環基
であるのがより好ましく、置換若しくは無置換のピリジ
ル基又は置換若しくは無置換のイミダゾリル基であるの
が特に好ましい。上記シロキサン化合物はこのような塩
基性基を一般式(1)により表される繰り返し単位中の側
鎖及び/又は末端に有してよい。この塩基性基を一般式
(1)により表される繰り返し単位中の側鎖に有する場
合、一般式(1)中のQ01及び/又はQ02が該塩基性基であ
る。
【0027】本発明の第一及び第二の電解質組成物に用
いるシロキサン化合物は、下記一般式(2)により表され
るのが好ましく、下記一般式(3)により表されるのがよ
り好ましい。
【化11】
【化12】
【0028】一般式(2)中、Q1及びQ2はそれぞれ独立に
求電子剤と反応して共有結合を形成しうる置換基を表
す。この置換基中の求電子剤と反応する原子は好ましく
は窒素原子、リン原子又は硫黄原子であり、より好まし
くは窒素原子又はリン原子であり、特に好ましくは窒素
原子である。Q1及びQ2が表す置換基としては、アミノ
基、ホスフィノ基、複素環基、アルキルチオ基等が挙げ
られる。
【0029】一般式(2)中、R11〜R16はそれぞれ独立に
置換若しくは無置換のアルキル基、又は置換若しくは無
置換のアリール基を表す。R11〜R16は好ましくは炭素数
1〜10のアルキル基であり、より好ましくは炭素数1〜
3のアルキル基であり、特に好ましくはメチル基であ
る。
【0030】上記Q1、Q2、及びR11〜R16はそれぞれ置換
基を有していてもよい。該置換基の好ましい例として
は、アルキル基(メチル基、エチル基、プロピル基、イ
ソプロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オ
クチル基、2-エチルヘキシル基、t-オクチル基、デシル
基、ドデシル基、テトラデシル基、2-ヘキシルデシル
基、オクタデシル基、シクロヘキシル基、シクロペンチ
ル基、2-カルボキシエチル基、ベンジル基等)、アルケ
ニル基(ビニル基、アリル基等)、ハロゲン原子(フッ
素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等)、シアノ
基、アルコキシ基(メトキシ基、エトキシ基、メトキシ
エトキシ基等)、アリーロキシ基(フェノキシ基等)、
アルキルチオ基(メチルチオ基、エチルチオ基等)、ア
シル基(アセチル基、プロピオニル基、ベンゾイル基
等)、スルホニル基(メタンスルホニル基、ベンゼンス
ルホニル基等)、アシルオキシ基(アセトキシ基、ベン
ゾイルオキシ基等)、スルホニルオキシ基(メタンスル
ホニリオキシ基、トルエンスルホニルオキシ基等)、ホ
スホニル基(ジエチルホスホニル基等)、アミド基(ア
セチルアミノ基、ベンゾイルアミノ基等)、カルバモイ
ル基(N,N-ジメチルカルバモイル基、N-フェニルカルバ
モイル基等)、アリール基(フェニル基、トルイル基
等)、複素環基(ピリジル基、イミダゾリル基、フラニ
ル基等)等が挙げられる。
【0031】一般式(2)中、L11及びL12はそれぞれ独立
に2価連結基を表す。この2価連結基の例としては、ア
ルキレン基、アルケニレン基、アリーレン基、-O-、-S
-、-CO-、-NR'-(R'は水素原子又はアルキル基を表
す)、-SO2-、-SiRR'-(R及びR'はそれぞれアルキル基又
はアリール基を表す)、これらを2つ以上組み合わせて
なる連結基等が挙げられる。
【0032】L11及びL12がアルキレン基、アルケニレン
基又はアリーレン基である場合、これらはハロゲン原子
(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等)、
水酸基、アミノ基、ニトロ基、カルボキシル基、カルバ
モイル基、スルホン酸基、スルホンアミド基、アシル基
(ホルミル基、アセチル基等)、アシルオキシ基、アシ
ルアミノ基(アセトアミノ基、ベンズアミノ基等)、ア
ルキル基、アルコキシ基(メトキシ基、エトキシ基、メ
トキシエトキシ基等)、アコキシカルボニル基、アルキ
ルスルホニル基、アリール基、アリールオキシ基(フェ
ノキシ基等)、アリールスルホニル基等の置換基を有し
ていてもよい。
【0033】一般式(2)中、nは1〜1000の整数を表す。
nは好ましくは1〜500の整数であり、特に好ましくは1
〜100の整数である。nが1000よりも大きいと、イオン伝
導度及び求電子剤との反応性の低下を招く。
【0034】一般式(3)中、Q11及びQ21はそれぞれ独立
に窒素原子と共に5又は6員環を形成する原子団を表
す。Q11及びQ21は炭素原子、水素原子、窒素原子、酸素
原子及び硫黄原子からなる群から選ばれる1種以上の原
子により構成されるのが好ましい。
【0035】Q11及びQ21により形成される5又は6員環
は不飽和環であるのが好ましい。5員環としてはピロリ
ジン環、オキサゾール環、チアゾール環、イミダゾール
環、ピラゾール環、イソオキサゾール環、チアジアゾー
ル環、オキサジアゾール環及びトリアゾール環が好まし
く、チアゾール環、イミダゾール環及びトリアゾール環
がより好ましく、イミダゾール環が特に好ましい。6員
環としてはモルホリン環、ピペリジン環、ピリジン環、
ピリミジン環、ピリダジン環、ピラジン環及びトリアジ
ン環が好ましく、ピリジン環が特に好ましい。
【0036】一般式(3)中のR11〜R16、L11及びL12、並
びにnは一般式(2)中のそれらと同義であり、好ましい態
様も同様である。
【0037】本発明の第一及び第二の電解質組成物に用
いるシロキサン化合物の具体例1-1〜1-18を以下に示す
が、本発明はそれらに限定されるものではない。
【0038】
【化13】
【0039】
【化14】
【0040】
【化15】
【0041】
【化16】
【0042】
【化17】
【0043】本発明で用いるシロキサン化合物は、下記
一般式(4)により表されるシラン化合物の重合、下記一
般式(5)により表される化合物のR1-H及び/又はR2-Hに
よる置換反応、下記一般式(6)により表される化合物と
オレフィン化合物とのハイドロシリレーション反応、下
記一般式(7)により表される化合物とアルコール化合物
との縮合反応等により容易に合成できる。
【0044】
【化18】 一般式(4)中、R41及びR42はそれぞれ独立にハロゲン原
子又はアルコキシ基を表す。
【0045】
【化19】 一般式(5)中、R51及びR52はそれぞれ独立にアルコキシ
基又はアリールオキシ基を表す。
【0046】
【化20】 一般式(6)中のR11〜R16及びnは一般式(2)中のそれらと
同義であり、好ましい態様も同様である。
【0047】
【化21】 一般式(7)中のR11〜R16及びnは一般式(2)中のそれらと
同義であり、好ましい態様も同様である。
【0048】(B)求電子剤 本発明の第二の電解質組成物に用いる求電子剤は少なく
とも2個の脱離基を有する。該求電子剤は上記シロキサ
ン化合物が有する「求電子剤と反応して共有結合を形成
しうる置換基」と反応し、この置換基をアルキル化、オ
ニウム塩化、4級化等することにより直線状又は架橋さ
れた重合体を形成する。
【0049】上記シロキサン化合物と求電子剤を反応さ
せて得られる重合体の架橋度を適度なものとするために
は、脱離基の数は2〜4個であるのが好ましく、2個で
あるのが特に好ましい。脱離基の数が多いと架橋度が高
くなり、その結果、膜質が硬くなりイオン伝導度が低下
する。また、脱離基が脱離して生じるアニオンの共役酸
のpKaは10以下であるのが好ましく、5以下であるのが
より好ましい。
【0050】脱離基はそれぞれハロゲン原子、アルキル
スルホニルオキシ基、アリールスルホニルオキシ基、ア
シルオキシ基等であってよい。中でもハロゲン原子、ア
ルキルスルホニルオキシ基及びアリールスルホニルオキ
シ基が好ましい。ハロゲン原子としては、ヨウ素原子、
臭素原子及び塩素原子が好ましく、ヨウ素原子及び臭素
原子がより好ましい。アルキルスルホニルオキシ基とし
ては、メチルスルホニルオキシ基、クロロメチルスルホ
ニルオキシ基及びパーフルオロアルキルスルホニルオキ
シ基(トリフルオロメチルスルホニルオキシ基等)が好
ましい。アリールスルホニルオキシ基としては、ベンゼ
ンスルホニルオキシ基、p-トルエンスルホニルオキシ
基、p-クロロベンゼンスルホニルオキシ基及びp-ニトロ
ベンゼンスルホニルオキシ基が好ましい。アシルオキシ
基としては、水素原子の全部若しくは一部をフッ素置換
したアルキルカルボニルオキシ基(トリフルオロメチル
カルボニルオキシ基等)及びアリールカルボニルオキシ
基(p-フルオロフェニルカルボニルオキシ基等)が好ま
しい。
【0051】求電子剤の使用量は上記シロキサン化合物
との反応速度、或いは生成する重合体の分子量又は架橋
度に応じて任意に定めることができる。求電子剤の使用
量は、シロキサン化合物が有する「求電子剤と反応して
共有結合を形成しうる置換基」のモル数に対して好まし
くは0.01〜2当量、より好ましくは0.05〜1.5当量、特
に好ましくは0.1〜1当量である。シロキサン化合物が
有する求電子剤と反応して共有結合を形成しうる置換基
のモル数が明確でない場合は、シロキサン化合物の質量
に対する求電子剤の質量比は好ましくは1〜100質量%
であり、より好ましくは3〜70質量%である。求電子剤
は単独で用いても2種以上を併用してもよい。以下、本
発明で使用可能な求電子剤の具体例E-1〜E-27を示す
が、本発明はそれらに限定されるものではない。
【0052】
【化22】
【0053】
【化23】
【0054】
【化24】
【0055】
【化25】
【0056】(C)重合反応 本発明の第二の電解質組成物に用いる重合体は、上記求
電子剤とシロキサン化合物の重合反応により得ることが
できる。詳しくは、求電子剤中の求電子部位と、シロキ
サン化合物中の該求電子剤と反応して共有結合を形成し
うる置換基との間で起こるアルキル化反応、オニウム塩
を形成する反応(例えば窒素の4級化反応)等により、
それらを重合させる。得られる重合体の質量平均分子量
は1000〜100万であるのが好ましく、2000〜50万である
のがより好ましい。
【0057】重合反応は求電子剤及びシロキサン化合物
の他に、後述する電解質塩が共存する条件下で行うのが
好ましい。反応後に電解質塩を添加してもよいが、この
場合、重合体中に電解質塩を均一に分散させるのが困難
であり好ましくない。
【0058】シロキサン化合物、求電子剤及び電解質塩
を含む反応溶液を調製して重合反応を行う場合、シロキ
サン化合物の質量比は[シロキサン化合物+電解質塩+
溶媒]を100質量%とすると、1〜50質量%とするのが
好ましく、3〜30質量%とするのがより好ましい。シロ
キサン化合物が1質量%未満であると流動性が不充分と
なり、また60質量%を超えるとキャリア移動度が低下す
るので好ましくない。なお、シロキサン化合物は単独で
用いても2種以上を併用してもよい。
【0059】(D)電解質塩 電解質塩としては、例えば(a)I2とヨウ化物(LiI、Na
I、KI、CsI、CaI2等の金属ヨウ化物、テトラアルキルア
ンモニウムヨーダイド、ピリジニウムヨーダイド、イミ
ダゾリウムヨーダイド等の4級アンモニウムヨウ素塩
等)との組み合わせ、(b)Br2と臭化物(LiBr、NaBr、KB
r、CsBr、CaBr2等の金属臭化物、テトラアルキルアンモ
ニウムブロマイド、ピリジニウムブロマイド等の4級ア
ンモニウム臭素塩等)との組み合わせ、(c)金属錯体
(フェロシアン酸塩−フェリシアン酸塩やフェロセン−
フェリシニウムイオン等)、(d)イオウ化合物(ポリ硫
化ナトリウム、アルキルチオール−アルキルジスルフィ
ド等)、(e)ビオロゲン色素やヒドロキノン−キノン等
を用いることができる。中でも、I2と4級アンモニウム
ヨウ素塩との組み合わせが好ましい。電解質塩は混合し
て用いてもよい。
【0060】また、電解質塩としてEP718288、WO95/184
56、J. Electrochem. Soc., Vol.143, No.10, 3099 (19
96)、Inorg. Chem., 35, 1168〜1178 (1996)、特開平8-
259543号、電気化学,第65巻,11号,923頁 (1997年)等
に記載されているピリジニウム塩、イミダゾリウム塩、
トリアゾリウム塩等の溶融塩を使用することもできる。
溶融塩電解質は耐久性及び電荷輸送能の両立という観点
から特に好ましい。なお、ここでいう溶融塩とは室温に
おいて液状であるか、又は低融点の塩であり、その融点
は100℃以下であるのが好ましく、室温付近であるのが
特に好ましい。
【0061】本発明で好ましく用いることのできる溶融
塩としては、下記一般式(Y-a)、(Y-b)及び(Y-c)のいず
れかにより表されるものが挙げられる。
【0062】
【化26】
【0063】一般式(Y-a)中、Qy1は窒素原子と共に5又
は6員環の芳香族カチオンを形成する原子団を表す。Q
y1は炭素原子、水素原子、窒素原子、酸素原子及び硫黄
原子からなる群から選ばれる1種以上の原子により構成
されるのが好ましい。
【0064】Qy1により形成される5員環は、オキサゾ
ール環、チアゾール環、イミダゾール環、ピラゾール
環、イソオキサゾール環、チアジアゾール環、オキサジ
アゾール環、トリアゾール環、インドール環又はピロー
ル環であるのが好ましく、オキサゾール環、チアゾール
環又はイミダゾール環であるのがより好ましく、オキサ
ゾール環又はイミダゾール環であるのが特に好ましい。
Qy1により形成される6員環は、ピリジン環、ピリミジ
ン環、ピリダジン環、ピラジン環又はトリアジン環であ
るのが好ましく、ピリジン環であるのがより好ましい。
【0065】一般式(Y-b)中、Ay1は窒素原子又はリン原
子を表す。
【0066】一般式(Y-a)、(Y-b)及び(Y-c)中のRy1〜R
y6はそれぞれ独立に置換又は無置換のアルキル基(好ま
しくは炭素原子数1〜24、直鎖状であっても分岐状であ
っても、また環式であってもよく、例えばメチル基、エ
チル基、プロピル基、イソプロピル基、ペンチル基、ヘ
キシル基、オクチル基、2-エチルヘキシル基、t-オクチ
ル基、デシル基、ドデシル基、テトラデシル基、2-ヘキ
シルデシル基、オクタデシル基、シクロヘキシル基、シ
クロペンチル基等)、或いは置換又は無置換のアルケニ
ル基(好ましくは炭素原子数2〜24、直鎖状であっても
分岐状であってもよく、例えばビニル基、アリル基等)
を表し、より好ましくは炭素原子数2〜18のアルキル基
又は炭素原子数2〜18のアルケニル基であり、特に好ま
しくは炭素原子数2〜6のアルキル基である。
【0067】また、一般式(Y-b)中のRy1〜Ry4のうち2
つ以上が互いに連結してAy1を含む非芳香族環を形成し
てもよく、一般式(Y-c)中のRy1〜Ry6のうち2つ以上が
互いに連結して環構造を形成してもよい。
【0068】一般式(Y-a)、(Y-b)及び(Y-c)中のQy1及び
Ry1〜Ry6は置換基を有していてもよい。この置換基の好
ましい例としては、ハロゲン原子(F、Cl、Br、I等)、
シアノ基、アルコキシ基(メトキシ基、エトキシ基、メ
トキシエトキシ基、メトキシエトキシエトキシ基等)、
アリーロキシ基(フェノキシ基等)、アルキルチオ基
(メチルチオ基、エチルチオ基等)、アルコキシカルボ
ニル基(エトキシカルボニル基等)、炭酸エステル基
(エトキシカルボニルオキシ基等)、アシル基(アセチ
ル基、プロピオニル基、ベンゾイル基等)、スルホニル
基(メタンスルホニル基、ベンゼンスルホニル基等)、
アシルオキシ基(アセトキシ基、ベンゾイルオキシ基
等)、スルホニルオキシ基(メタンスルホニルオキシ
基、トルエンスルホニルオキシ基等)、ホスホニル基
(ジエチルホスホニル基等)、アミド基(アセチルアミ
ノ基、ベンゾイルアミノ基等)、カルバモイル基(N,N-
ジメチルカルバモイル基等)、アルキル基(メチル基、
エチル基、プロピル基、イソプロピル基、シクロプロピ
ル基、ブチル基、2-カルボキシエチル基、ベンジル基
等)、アリール基(フェニル基、トルイル基等)、複素
環基(ピリジル基、イミダゾリル基、フラニル基等)、
アルケニル基(ビニル基、1-プロペニル基等)、シリル
基、シリルオキシ基等が挙げられる。
【0069】上記一般式(Y-a)〜(Y-c)のいずれかにより
表される溶融塩は、Qy1及びRy1〜Ry 6のいずれかを介し
て多量体を形成してもよい。
【0070】上記一般式(Y-a)〜(Y-c)のいずれかにより
表される溶融塩は単独で使用しても2種以上混合して使
用してもよく、またヨウ化物イオンI-を他のアニオンで
置き換えた塩と混合して使用してもよい。I-を置き換え
るアニオンとしては、ハロゲン化物イオン(Cl-、Br
-等)、SCN-、BF4 -、PF6 -、ClO4 -、(CF3SO2)2N-、(CF3C
F 2SO2)2N-、CF3SO3 -、CH3SO3 -、CF3COO-、Ph4B-、(CF3S
O2)3C-等が好ましい。より好ましくはSCN-、BF4 -、CF3S
O3 -、CF3COO-又は(CF3SO2)2N-である。
【0071】また、LiIのような他のヨウ素塩やCF3COOL
i、CF3COONa、LiSCN、NaSCN等のアルカリ金属塩を添加
することもできる。アルカリ金属塩の添加量は、0.02〜
2質量%程度とするのが好ましく、0.1〜1質量%とす
るのが更に好ましい。
【0072】本発明で好ましく用いられる電解質塩の具
体例(Y1)〜(Y29)を以下に挙げるが、それらは本発明を
限定するものではない。
【0073】
【化27】
【0074】
【化28】
【0075】
【化29】
【0076】
【化30】
【0077】
【化31】
【0078】
【化32】
【0079】本発明では、電解質塩として常温で溶融状
態であるものを用い、溶媒を使用しないのが好ましい。
後述する溶媒を添加しても構わないが、電解質塩の含有
量は電解質組成物全体に対して50質量%以上であるのが
好ましく、90質量%以上であるのが特に好ましい。ま
た、本発明の第一及び第二の電解質組成物は、上記シロ
キサン化合物及び上記重合体以外のヨウ素塩を含有する
のが好ましく、用いる塩のうち50質量%以上がヨウ素塩
であることが好ましい。また、溶媒を使用する場合は、
電解質塩の濃度を0.05〜2mol/lとするのが好ましく、
0.1〜1.5mol/lとするのがより好ましい。
【0080】(E)ヨウ素 本発明の第一及び第二の電解質組成物はヨウ素を含有す
るのが好ましい。ヨウ素含有量は電解質組成物全体に対
して0.1〜20質量%であるのが好ましく、0.5〜5質量%
であるのがより好ましい。また、前述したシロキサン化
合物、求電子剤及び電解質塩を含む反応溶液にヨウ素や
臭素を添加して酸化還元対を予め生成させておくことも
できる。この反応溶液中のヨウ素又は臭素の濃度は0.01
〜0.3mol/lとするのが好ましい。
【0081】(F)溶媒 本発明の第一及び第二の電解質組成物は溶媒を含んでい
てもよい。電解質組成物の溶媒含有量は全体の50質量%
以下であるのが好ましく、30質量%以下であるのがより
好ましく、10質量%以下であるのが特に好ましい。
【0082】溶媒としては、低粘度でイオン移動度が高
いか、高誘電率で有効キャリア濃度を高めるか、或いは
その両方であるために、優れたイオン伝導性を発現でき
るものが好ましい。このような溶媒として、カーボネー
ト化合物(エチレンカーボネート、プロピレンカーボネ
ート等)、複素環化合物(3-メチル-2-オキサゾリジノ
ン等)、エーテル化合物(ジオキサン、ジエチルエーテ
ル等)、鎖状エーテル類(エチレングリコールジアルキ
ルエーテル、プロピレングリコールジアルキルエーテ
ル、ポリエチレングリコールジアルキルエーテル、ポリ
プロピレングリコールジアルキルエーテル等)、アルコ
ール類(メタノール、エタノール、エチレングリコール
モノアルキルエーテル、プロピレングリコールモノアル
キルエーテル、ポリエチレングリコールモノアルキルエ
ーテル、ポリプロピレングリコールモノアルキルエーテ
ル等)、多価アルコール類(エチレングリコール、プロ
ピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロ
ピレングリコール、グリセリン等)、ニトリル化合物
(アセトニトリル、グルタロジニトリル、メトキシアセ
トニトリル、プロピオニトリル、ベンゾニトリル、ビス
シアノエチルエーテル等)、エステル類(カルボン酸エ
ステル、リン酸エステル、ホスホン酸エステル等)、非
プロトン性極性溶媒(ジメチルスルホキシド(DMSO)、
スルフォラン等)、水等が挙げられる。中でも、カーボ
ネート化合物、ニトリル化合物、複素環化合物が好まし
い。これらの溶媒は必要に応じて二種以上を混合して用
いてもよい。
【0083】(G)その他 本発明の第一及び第二の電解質組成物には、J. Am. Cer
am. Soc., 80(12), 3157-3171 (1997)等に記載のt-ブチ
ルピリジン、2-ピコリン、2,6-ルチジン等の塩基性化合
物を添加するのが好ましい。塩基性化合物を添加する場
合の好ましい濃度範囲は0.05〜2Mである。
【0084】第一及び第二の電解質組成物をゲル化する
ために、ポリマー添加、オイルゲル化剤添加、多官能モ
ノマーを含むモノマー類の重合、ポリマーの架橋反応等
の手法を併用できる。ポリマー添加によりゲル化させる
場合は、“Polymer Electrolyte Reviews-1及び2”
(J. R. MacCallumとC. A. Vincentの共編、ELSEVIER A
PPLIED SCIENCE)に記載の化合物等が使用可能であり、
ポリアクリロニトリル又はポリフッ化ビニリデンを用い
るのが好ましい。オイルゲル化剤添加によりゲル化させ
る場合はJ. Chem. Soc. Japan, Ind. Chem.Sec., 46, 7
79 (1943)、J. Am. Chem. Soc., 111, 5542 (1989)、J.
Chem. Soc., Chem. Commun., 1993, 390、Angew. Che
m. Int. Ed. Engl., 35, 1949 (1996)、Chem. Lett., 1
996, 885、J. Chem. Soc., Chem. Commun., 1997, 545
等に記載されている化合物を使用することができ、アミ
ド構造を有する化合物を用いるのが好ましい。また、特
開平11-185863に記載の電解液のゲル化法、及び特開200
0-58140に記載の溶融塩電解質のゲル化法も、本発明に
適用できる。また、ポリマーの架橋反応により電解質組
成物をゲル化させる場合、特開2000-17076、同2000-867
24に記載されている架橋技術も適用できる。
【0085】[2]光電変換素子 本発明の光電変換素子は導電層、感光層、電荷輸送層及
び対極を有する。好ましくは図1に示すように、導電層
10、下塗り層60、感光層20、電荷輸送層30、対極導電層
40の順に積層し、感光層20を色素22によって増感された
半導体微粒子21と当該半導体微粒子21の間の空隙に浸透
した電荷輸送材料23とから構成する。電荷輸送材料23
は、電荷輸送層30に用いる材料と同じ成分からなる。ま
た光電変換素子に強度を付与するため、導電層10及び/
又は対極導電層40の下地として基板50を設けてもよい。
本発明では、導電層10及び任意で設ける基板50からなる
層を「導電性支持体」、対極導電層40及び任意で設ける
基板50からなる層を「対極」と呼ぶ。なお、図1中の導
電層10、対極導電層40、基板50は、それぞれ透明導電層
10a、透明対極導電層40a、透明基板50aであってもよ
い。この光電変換素子を外部負荷に接続して電気的仕事
(発電)をさせるものが光電池であり、光学的情報のセ
ンシングを目的に作られたものが光センサーである。
【0086】図1に示す本発明の光電変換素子におい
て、半導体微粒子がn型である場合、色素22により増感
された半導体微粒子21を含む感光層20に入射した光は色
素22を励起し、励起された色素22中の高エネルギーの電
子が半導体微粒子21の伝導帯に渡され、更に拡散により
導電層10に到達する。このとき、色素22は酸化体となっ
ている。光電池においては、導電層10中の電子が外部回
路で仕事をしながら対極導電層40及び電荷輸送層30を経
て色素22の酸化体に戻り、色素22が再生する。感光層20
は負極(光アノード)として働き、対極40は正極として
働く。それぞれの層の境界(例えば導電層10と感光層20
との境界、感光層20と電荷輸送層30との境界、電荷輸送
層30と対極導電層40との境界等)では、各層の構成成分
同士が相互に拡散混合していてもよい。以下、各層につ
いて詳細に説明する。
【0087】(A)導電性支持体 導電性支持体は(1)導電層の単層、又は(2)導電層及び基
板の2層からなる。(1)の場合は、導電層の材料として
強度及び密封性が十分に保たれるようなものを使用し、
例えば金属材料(白金、金、銀、銅、亜鉛、チタン、ア
ルミニウム、これらの合金等)を用いることができる。
(2)の場合、感光層側に導電剤を含有する導電層を有す
る基板を使用することができる。好ましい導電剤として
は金属(例えば白金、金、銀、銅、亜鉛、チタン、アル
ミニウム、インジウム、これらを含む合金等)、炭素及
び導電性金属酸化物(インジウム−スズ複合酸化物、酸
化スズにフッ素又はアンチモンをドープしたもの等)が
挙げられる。導電層の厚さは0.02〜10μm程度が好まし
い。
【0088】導電性支持体は表面抵抗が低い程よい。表
面抵抗は好ましくは50Ω/□以下であり、より好ましく
は20Ω/□以下である。
【0089】導電性支持体側から光を照射する場合に
は、導電性支持体は実質的に透明であるのが好ましい。
実質的に透明であるとは、可視〜近赤外領域(400〜120
0nm)の一部又は全域において光透過率が10%以上であ
ることを意味する。この光透過率は50%以上であるのが
好ましく、80%以上であるのがより好ましい。特に、感
光層が感度を有する波長域の光透過率が高いことが好ま
しい。
【0090】透明導電性支持体としては、ガラスやプラ
スチック等の透明基板の表面に導電性金属酸化物からな
る透明導電層を塗布又は蒸着等により形成したものが好
ましい。透明導電層はフッ素又はアンチモンをドーピン
グした二酸化スズ、或いはインジウム−スズ酸化物(IT
O)からなるのが好ましい。透明基板としてはコストと
強度の点で有利なソーダガラス、アルカリ溶出の影響の
ない無アルカリガラス等のガラス基板に加え、透明ポリ
マーフィルムが使用可能である。透明ポリマーフィルム
の材料としては、トリアセチルセルロース(TAC)、ポ
リエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフ
タレート(PEN)、シンジオタクチックポリスチレン(S
PS)、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリカーボ
ネート(PC)、ポリアリレート(PAr)、ポリスルフォ
ン(PSF)、ポリエステルスルフォン(PES)、ポリイミ
ド(PI)、ポリエーテルイミド(PEI)、環状ポリオレ
フィン、ブロム化フェノキシ等が使用可能である。十分
な透明性を確保するために、導電性金属酸化物の塗布量
はガラス又はプラスチックの支持体1m2当たり0.01〜10
0gとするのが好ましい。
【0091】透明導電性支持体の抵抗を下げる目的で金
属リードを用いるのが好ましい。金属リードの材質は白
金、金、ニッケル、チタン、アルミニウム、銅、銀等の
金属が好ましい。金属リードは透明基板に蒸着、スパッ
タリング等で設置し、その上に導電性の酸化スズ又はIT
Oからなる透明導電層を設けるのが好ましい。金属リー
ド設置による入射光量の低下は好ましくは10%以内、よ
り好ましくは1〜5%に抑える。
【0092】(B)感光層 (1)半導体 感光層は色素によって増感された半導体微粒子を含有す
るのが好ましい。感光層において半導体は感光体として
作用し、光を吸収して電荷分離を行い電子と正孔を生ず
る。色素増感された半導体では、光吸収及びこれによる
電子及び正孔の発生は主として色素において起こり、半
導体はこの電子(又は正孔)を受け取り、伝達する役割
を担う。本発明で用いる半導体は光励起下で伝導体電子
がキャリアとなりアノード電流を与えるn型半導体であ
ることが好ましい。
【0093】本発明で用いる半導体の例としては、シリ
コンやゲルマニウムのような単体半導体、III-V系化合
物半導体、金属のカルコゲナイド(酸化物、硫化物、セ
レン化物、それらの複合物等)、ペロブスカイト構造を
有する化合物(チタン酸ストロンチウム、チタン酸カル
シウム、チタン酸ナトリウム、チタン酸バリウム、ニオ
ブ酸カリウム等)等が挙げられる。中でも金属カルコゲ
ナイドが好ましい。
【0094】好ましい金属カルコゲナイドとして、チタ
ン、スズ、亜鉛、鉄、タングステン、ジルコニウム、ハ
フニウム、ストロンチウム、インジウム、セリウム、イ
ットリウム、ランタン、バナジウム、ニオブ又はタンタ
ルの酸化物、カドミウム、亜鉛、鉛、銀、アンチモン又
はビスマスの硫化物、カドミウム又は鉛のセレン化物、
カドミウムのテルル化物等が挙げられる。他の化合物半
導体としては亜鉛、ガリウム、インジウム、カドミウム
等のリン化物、ガリウム−ヒ素又は銅−インジウムのセ
レン化物、銅−インジウムの硫化物等が挙げられる。更
に、MxOySzやM1 xM2yOz(M、M1及びM2はそれぞれ金属原
子、Oは酸素原子、x、y及びzは価数が中性になる数を表
す)のような複合物も好ましく用いることができる。
【0095】本発明で用いる半導体は、好ましくはSi、
TiO2、SnO2、Fe2O3、WO3、ZnO、Nb2O5、CdS、ZnS、Pb
S、Bi2S3、CdSe、CdTe、SrTiO3、GaP、InP、GaAs、CuIn
S2又はCuInSe2であり、より好ましくはTiO2、SnO2、Fe2
O3、WO3、ZnO、Nb2O5、CdS、PbS、CdSe、SrTiO3、InP、
GaAs、CuInS2又はCuInSe2であり、特に好ましくはTiO2
又はNb2O5であり、最も好ましくはTiO2である。TiO2
アナターゼ型結晶を70%以上含むのが好ましく、100%
アナターゼ型結晶であるのがより好ましい。
【0096】半導体中の電子電導性を上げる目的で金属
をドープするのが好ましい。ドープする金属としては2
価又は3価の金属が好ましい。半導体から電荷輸送層へ
逆電流が流れるのを防止するために半導体に1価の金属
をドープするのも有効である。
【0097】本発明に用いる半導体は単結晶でも多結晶
でもよいが、製造コスト、原材料確保及びエネルギーペ
イバックタイムの観点からは多結晶が好ましい。一部ア
モルファス部分を含んでいてもよい。半導体は半導体微
粒子からなる多孔質膜として用いるのが好ましい。
【0098】半導体微粒子の粒径は一般にnm〜μmのオ
ーダーである。微粒子の投影面積を円に換算したときの
直径から求めた一次粒子平均粒径は5〜200nmであるの
が好ましく、8〜100nmであるのがより好ましい。ま
た、導電性支持体上に塗布するために作製する分散液中
の半導体微粒子(二次粒子)の平均粒径は0.01〜30μm
であるのが好ましい。粒径分布の異なる2種類以上の微
粒子を混合してもよく、この場合小さい粒子の平均サイ
ズは25nm以下であるのが好ましく、10nm以下であるのが
より好ましい。入射光を散乱させて光捕獲率を向上させ
る目的で、粒径の大きな、例えば100nm以上、300nm程度
の半導体粒子を混合することも好ましい。
【0099】種類も異なる2種以上の半導体微粒子を混
合して用いてもよい。このような場合、1種はTiO2、Zn
O、Nb2O5又はSrTiO3であることが好ましい。もう一方は
SnO2、Fe2O3又はWO3であるのが好ましい。中でも、ZnO
とSnO2、ZnOとWO3、或いはZnO又はSnO2とWO3の組み合わ
せがより好ましい。2種以上の半導体微粒子を混合して
用いる場合、それぞれの粒径は異なっていてもよい。特
に上記TiO2、ZnO、Nb2O5又はSrTiO3の粒径は大きく、Sn
O2、Fe2O3又はWO3の粒径は小さいのが好ましい。粒径が
100nm以上の大きい粒子と粒径が15nm以下の小さい粒子
の組み合わせが好ましい。
【0100】半導体微粒子の作製法としては、作花済夫
の「ゾル−ゲル法の科学」アグネ承風社(1998年)、技
術情報協会の「ゾル−ゲル法による薄膜コーティング技
術」(1995年)等に記載のゾル−ゲル法、杉本忠夫の
「新合成法ゲル−ゾル法による単分散粒子の合成とサイ
ズ形態制御」、まてりあ,第35巻,第9号,1012〜1018
頁(1996年)等に記載のゲル−ゾル法が好ましい。ま
た、Degussa社が開発した塩化物を酸水素塩中で高温加
水分解により酸化物を作製する方法も好ましく適用でき
る。
【0101】半導体微粒子が酸化チタンの場合、上記ゾ
ル-ゲル法、ゲル−ゾル法、塩化物の酸水素塩中での高
温加水分解法はいずれも好ましく利用でき、更に清野学
の「酸化チタン 物性と応用技術」技報堂出版(1997
年)に記載の硫酸法及び塩素法を用いてもよい。加え
て、Barbeらのジャーナル・オブ・アメリカン・セラミ
ック・ソサエティー,第80巻,第12号,3157〜3171頁
(1997年)、Burnsideらのケミカル・マテリアルズ,第
10巻,第9号,2419〜2425頁等に記載のゾル−ゲル法も
好ましい。
【0102】(2)半導体微粒子層 半導体微粒子を導電性支持体上に塗布する際には、半導
体微粒子の分散液又はコロイド溶液を導電性支持体上に
塗布する方法に加え、前述のゾル-ゲル法等を使用する
ことができる。光電変換素子の量産化、半導体微粒子分
散液の物性、導電性支持体の融通性等を考慮すると、湿
式製膜方法が比較的好ましい。湿式製膜方法としては塗
布法、印刷法、電解析出法及び電着法が代表的である。
また、金属を酸化する方法、金属溶液から配位子交換等
で液相にて析出させる方法(LPD法)、スパッタ等で蒸
着する方法、CVD法、或いは加温した基板上に熱分解す
る金属酸化物プレカーサーを吹き付けて金属酸化物を形
成するSPD法を用いてもよい。
【0103】半導体微粒子の分散液を作製する方法とし
ては、前述のゾル-ゲル法、乳鉢ですり潰す方法、ミル
を使って粉砕しながら分散する方法、半導体を合成する
際に溶媒中で微粒子として析出させそのまま使用する方
法等が挙げられる。
【0104】分散媒としては、水又は各種の有機溶媒
(例えばメタノール、エタノール、イソプロピルアルコ
ール、シトロネロール、ターピネオール、ジクロロメタ
ン、アセトン、アセトニトリル、酢酸エチル等)が使用
可能である。分散する際には、必要に応じてポリエチレ
ングリコール、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキ
シメチルセルロース等のポリマー、界面活性剤、酸、キ
レート剤等を分散助剤として用いてよい。中でも、ポリ
エチレングリコールを添加するのが好ましい。添加する
ポリエチレングリコールの分子量を変えることにより分
散液の粘度が調節でき、剥がれにくい半導体層を形成し
たり、半導体層の空隙率をコントロールできる。
【0105】好ましい塗布方法としては、ローラ法、デ
ィップ法等のアプリケーション系、エアーナイフ法、ブ
レード法等のメータリング系、特公昭58-4589号に記載
のワイヤーバー法、米国特許2681294号、同2761419号、
同2761791号等に記載のスライドホッパー法、エクスト
ルージョン法、カーテン法等のアプリケーションとメー
タリングを同一部分にできる方法等が挙げられる。また
汎用機としてスピン法やスプレー法も好ましい。湿式印
刷方法としては、凸版、オフセット及びグラビアの3大
印刷法をはじめ、凹版、ゴム版、スクリーン印刷等が好
ましく利用できる。以上の方法の中から、液粘度やウェ
ット厚さに応じて好ましい製膜方法を選択すればよい。
【0106】半導体微粒子層は単層に限らず、粒径の異
なる半導体微粒子分散液を多層塗布したり、異なる種類
の半導体微粒子(或いは異なるバインダー、添加剤等)
を含有する層を多層塗布したりすることもできる。一度
の塗布では膜厚が不足する場合にも、多層塗布は有効で
ある。
【0107】一般に、半導体微粒子層の厚さ(感光層の
厚さと同じ)が厚くなるほど、単位投影面積当たりの色
素担持量が増えるため光の捕獲率が高くなるが、生成し
た電子の拡散距離が増すため電荷再結合によるロスも大
きくなる。従って、半導体微粒子層の好ましい厚さは0.
1〜100μmである。光電池に用いる場合、半導体微粒子
層の厚さは1〜30μmであるのが好ましく、2〜25μmで
あるのがより好ましい。支持体1m2当たりの半導体微粒
子塗布量は0.5〜100gとするのが好ましく、3〜50gとす
るのがより好ましい。
【0108】半導体微粒子を導電性支持体に塗布した
後、半導体微粒子同士を電子的に接触させると共に塗膜
強度や支持体との密着性を向上させるために、加熱処理
を施すのが好ましい。加熱温度は40℃以上700℃未満と
するのが好ましく、100℃以上600℃以下とするのがより
好ましい。また、加熱時間は10分〜10時間程度とすれば
よい。ポリマーフィルムのように融点や軟化点の低い支
持体を用いる場合は、高温での加熱処理は支持体の劣化
を招くため好ましくない。また、コスト削減の観点から
も、加熱処理はできる限り低温(例えば50℃〜350℃)
で行うのが好ましい。上述した粒径5nm以下の半導体微
粒子を併用したり、加熱処理を鉱酸や金属酸化物プレカ
ーサーの存在下で行うことにより、加熱処理温度の低温
化が可能となる。また紫外線、赤外線、マイクロ波等の
照射や電界又は超音波を印加することにより低温化でき
る。不要な有機物等を除去する目的で、上記の照射等に
加えて加熱、減圧、酸素プラズマ処理、純水洗浄、溶剤
洗浄、ガス洗浄等を適宜併用するのが好ましい。
【0109】加熱処理後、半導体微粒子の表面積を増大
させるため、或いは半導体微粒子近傍の純度を高め色素
から半導体微粒子への電子注入効率を高めるために、例
えば四塩化チタン水溶液を用いた化学メッキ処理や三塩
化チタン水溶液を用いた電気化学的メッキ処理を施して
もよい。また、半導体微粒子から電荷輸送層へ逆電流が
流れるのを防止するために、粒子表面に色素以外の電子
電導性の低い有機物を吸着させるのも有効である。吸着
させる有機物は疎水性基を持つのが好ましい。
【0110】半導体微粒子層は多くの色素を吸着するこ
とができるように大きな表面積を有するのが好ましい。
半導体微粒子を支持体上に塗布した状態での表面積は、
投影面積に対して10倍以上であるのが好ましく、100倍
以上であるのがより好ましい。上限は特に制限はない
が、通常1000倍程度である。
【0111】(3)色素 感光層に使用する色素は可視域や近赤外域に吸収を有
し、半導体を増感しうるものであればよく、好ましくは
金属錯体色素、メチン色素、ポルフィリン系色素及び/
又はフタロシアニン系色素であり、特に好ましくは金属
錯体色素及び/又はポリメチン色素である。光電変換の
波長域をできるだけ広くし、且つ変換効率を上げるため
に、二種類以上の色素を併用してもよい。この場合、光
源の波長域と強度分布に合わせて、併用する色素とその
混合割合を選択すればよい。
【0112】本発明で用いる色素は、好ましくは半導体
微粒子表面に対して吸着能力のある適当な結合基(inte
rlocking group)を有する。好ましい結合基としては-C
OOH基、-OH基、-SO3H基、-P(O)(OH)2基及び-OP(O)(OH)2
基のような酸性基、並びにオキシム、ジオキシム、ヒド
ロキシキノリン、サリチレート及びα-ケトエノレート
のようなπ伝導性を有するキレート化基が挙げられる。
中でも-COOH基、-P(O)(OH)2基及び-OP(O)(OH)2基が特に
好ましい。これらの結合基はアルカリ金属等と塩を形成
していてもよく、分子内塩を形成していてもよい。また
ポリメチン色素においては、メチン鎖がスクアリリウム
環やクロコニウム環を形成する場合のように酸性基を含
有するなら、この部分を結合基としてもよい。以下、感
光層に用いる好ましい増感色素を具体的に説明する。
【0113】(a)金属錯体色素 本発明で使用する金属錯体色素は金属フタロシアニン色
素又は金属ポルフィリン色素であるのが好ましい。ま
た、金属錯体色素の金属原子はルテニウムRuが好まし
い。本発明で使用できるルテニウム錯体色素としては、
例えば米国特許4927721号、同4684537号、同5084365
号、同5350644号、同5463057号、同5525440号、特開平7
-249790号、特表平10-504512号、世界特許98/50393号、
特開2000-26487号等に記載のものが挙げられる。
【0114】本発明で用いるルテニウム錯体色素は下記
一般式(I): (A1)pRu(B-a)(B-b)(B-c) ・・・(I) により表されるのが好ましい。一般式(I)中、A1は1又
は2座の配位子を表し、Cl、SCN、H2O、Br、I、CN、NCO
及びSeCN、並びにβ-ジケトン類、シュウ酸及びジチオ
カルバミン酸の誘導体からなる群から選ばれた配位子を
表す。pは0〜3の整数である。B-a、B-b及びB-cはそれ
ぞれ独立に下記式B-1〜B-10により表される化合物から
選ばれた有機配位子を表す。
【0115】
【化33】
【0116】式B-1〜B-10中、Raは水素原子又は置換基
を表す。該置換基の例としては、ハロゲン原子、炭素原
子数1〜12の置換又は無置換のアルキル基、炭素原子数
7〜12の置換又は無置換のアラルキル基、炭素原子数6
〜12の置換又は無置換のアリール基、上記酸性基(塩を
形成していてもよい)やキレート化基が挙げられる。こ
こで、アルキル基及びアラルキル基のアルキル部分は直
鎖状でも分岐状でもよく、またアリール基及びアラルキ
ル基のアリール部分は単環でも多環(縮合環、環集合)
でもよい。B-a、B-b及びB-cは同一でも異なっていても
よく、いずれか1つ又は2つでもよい。
【0117】本発明で使用できる金属錯体色素の好まし
い具体例を以下に示すが、本発明はこれらに限定される
ものではない。
【0118】
【化34】
【0119】
【化35】
【0120】(b)メチン色素 本発明で使用するメチン色素は、好ましくはシアニン色
素、メロシアニン色素、スクワリリウム色素等のポリメ
チン色素である。ポリメチン色素としては特開平11-358
36号、特開平11-67285号、特開平11-86916号、特開平11
-97725号、特開平11-158395号、特開平11-163378号、特
開平11-214730号、特開平11-214731号、特開平11-23890
5号、特開2000-26487号、欧州特許892411号、同911841
号及び同991092号に記載のものが使用できる。好ましい
メチン色素の具体例を下に示す。
【0121】
【化36】
【0122】
【化37】
【0123】(4)半導体微粒子への色素の吸着 半導体微粒子に色素を吸着させるためには、色素の溶液
中によく乾燥した半導体微粒子層を有する導電性支持体
を浸漬する方法、或いは色素の溶液を半導体微粒子層に
塗布する方法を用いることができる。前者の方法では、
浸漬法、ディップ法、ローラ法、エアーナイフ法等が使
用可能である。なお、浸漬法の場合、色素の吸着は室温
で行ってもよいし、特開平7-249790号に記載されている
ように加熱還流して行ってもよい。また、後者の方法と
しては、ワイヤーバー法、スライドホッパー法、エクス
トルージョン法、カーテン法、スピン法、スプレー法等
の塗布方法がある。
【0124】色素の溶液に用いる溶媒は色素の溶解性等
に応じて適宜選択でき、例えばアルコール類(メタノー
ル、エタノール、t-ブタノール、ベンジルアルコール
等)、ニトリル類(アセトニトリル、プロピオニトリ
ル、3-メトキシプロピオニトリル等)、ニトロメタン、
ハロゲン化炭化水素(ジクロロメタン、ジクロロエタ
ン、クロロホルム、クロロベンゼン等)、エーテル類
(ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン等)、ジメチ
ルスルホキシド、アミド類(N,N-ジメチルホルムアミ
ド、N,N-ジメチルアセタミド等)、N-メチルピロリド
ン、1,3-ジメチルイミダゾリジノン、3-メチルオキサゾ
リジノン、エステル類(酢酸エチル、酢酸ブチル等)、
炭酸エステル類(炭酸ジエチル、炭酸エチレン、炭酸プ
ロピレン等)、ケトン類(アセトン、2-ブタノン、シク
ロヘキサノン等)、炭化水素(へキサン、石油エーテ
ル、ベンゼン、トルエン等)、これらの混合溶媒等が使
用できる。
【0125】色素の全吸着量は、導電性支持体の単位表
面積(1m2)当たり0.01〜100mmolとするのが好まし
い。また、色素の半導体微粒子に対する吸着量は、十分
な増感効果を得るためには半導体微粒子1g当たり0.01
〜1mmolであるのが好ましい。色素の吸着量が少なすぎ
ると増感効果が不十分となり、また多すぎると色素が浮
遊しやすく、増感効果を低減させる原因となる。また、
色素の吸着量を増大させるために吸着前に加熱処理を施
すのが好ましい。加熱処理の後に半導体微粒子表面に水
が吸着するのを抑制するために、常温に戻さず60〜150
℃で素早く色素を吸着させるのが好ましい。また、凝集
のような色素同士の相互作用を低減する目的で、無色の
化合物を半導体微粒子に共吸着させてもよい。共吸着さ
せる化合物としては界面活性化合物が有効であり、カル
ボキシル基を有するステロイド化合物(例えばケノデオ
キシコール酸)や以下に示すスルホン酸塩類等の界面活
性化合物が使用できる。
【0126】
【化38】
【0127】未吸着の色素は吸着後速やかに洗浄により
除去するのが好ましい。洗浄は湿式洗浄槽中で、アセト
ニトリル等の極性溶剤やアルコール系溶剤等の有機溶媒
を用いて行うのが好ましい。余分な色素の除去を促進す
る目的で、色素を吸着した後にアミン類や4級アンモニ
ウム塩を用いて半導体微粒子の表面を処理してもよい。
好ましいアミン類としてはピリジン、4-t-ブチルピリジ
ン、ポリビニルピリジン等が挙げられる。好ましい4級
アンモニウム塩としてはテトロブチルアンモニウムヨー
ジド、テトラヘキシルアンモニウムヨージド等が挙げら
れる。これらは、有機溶媒に溶解して用いてもよく、液
体の場合はそのまま用いてもよい。
【0128】(C)電荷輸送層 電荷輸送層は色素の酸化体に電子を補充する機能を有す
る。電荷輸送層に上記本発明の第一の電解質組成物又は
第二の電解質組成物を用いるが、更に固体電解質や正孔
(ホール)輸送材料を併用してもよい。
【0129】電荷輸送層はキャスト法、塗布法、浸漬
法、含浸法、浸透法等により電極上に反応溶液層を形成
し、次いで上記重合反応を行い設置することができる。
加熱して重合させる場合、加熱温度は使用する色素の耐
熱温度に応じて選択すればよいが、好ましくは10〜200
℃、より好ましくは30〜150℃とする。加熱時間は加熱
温度等にもよるが、5分〜72時間程度とする。
【0130】電荷輸送層の形成方法に関して、詳しくは
2通りの方法が可能である。1つは感光層の上に先に対
極を貼り合わせておき、その間隙に上記反応溶液層を挟
み込む方法である。もう1つは感光層上に直接電荷輸送
層を形成し、その後対極を設置する方法である。前者の
方法においては、浸漬等による毛管現象を利用する常圧
プロセス、又は常圧より低い圧力にして間隙の気相を液
相に置換する真空プロセスにより反応溶液層を挟み込む
ことができる。後者の方法においては、湿式電解質組成
物を用いる場合は未乾燥のまま対極を付与しエッジ部に
液漏洩防止措置を施せばよい。ゲル電解質を用いる場合
は、液状の電解質組成物を塗布した後、固体化すればよ
い。また、湿式有機正孔輸送材料やゲル電解質を用いる
場合は、前述の感光層の形成法と同様の方法を利用でき
る。
【0131】固体電解質や固体の正孔(ホール)輸送材
料を用いる場合には、真空蒸着法やCVD法等のドライ成
膜法により電荷輸送層を形成し、その後対極を付与する
ことができる。有機正孔輸送材料は真空蒸着法、キャス
ト法、塗布法、スピンコート法、浸漬法、電解重合法、
光電解重合法等の手法により導入することができる。無
機固体化合物の場合も、キャスト法、塗布法、スピンコ
ート法、浸漬法、電解析出法、無電解メッキ法等の手法
により導入することができる。
【0132】酸化還元対を生成させるために電荷輸送層
にヨウ素等を導入する場合、電解質の溶液に添加する方
法、電荷輸送層の形成後、これをヨウ素等と共に密閉容
器内に置き電解質中に拡散させる手法等が利用できる。
また、後述の対極にヨウ素等を塗布又は蒸着し、光電変
換素子を組み立てたときに電荷輸送層中に導入すること
も可能である。
【0133】電荷輸送層中の水分は10,000ppm以下であ
るのが好ましく、更に好ましくは2,000ppm以下であり、
特に好ましくは100ppm以下である。
【0134】(D)対極 対極は光電変換素子を光電池としたときに正極として作
用する。対極は上記導電性支持体と同様に、導電性材料
からなる対極導電層のみから構成されていてもよいし、
対極導電層と支持基板から構成されていてもよい。対極
導電層に用いる導電性材料としては、金属(例えば白
金、金、銀、銅、アルミニウム、マグネシウム、インジ
ウム等)、炭素及び導電性金属酸化物(インジウム−ス
ズ複合酸化物、酸化スズにフッ素をドープしたもの等)
が挙げられる。中でも白金、金、銀、銅、アルミニウム
及びマグネシウムが好ましい。対極に用いる支持基板
は、好ましくはガラス基板又はプラスチック基板であ
り、これに上記導電性材料を塗布又は蒸着して用いる。
対極導電層の厚さは特に制限されないが3nm〜10μmで
あるのが好ましい。対極の表面抵抗は低い程よく、50Ω
/□以下であるのが好ましく、20Ω/□以下であるのがよ
り好ましい。
【0135】導電性支持体と対極のいずれか一方又は両
方から光を照射してよいので、感光層に光が到達するた
めには、導電性支持体と対極のうち少なくとも一方が実
質的に透明であればよい。発電効率向上の観点からは、
導電性支持体を透明にし、光を導電性支持体側から入射
させるのが好ましい。この場合、対極は光を反射する性
質を有するのが好ましい。このような対極の材料として
は、金属や導電性の酸化物を蒸着したガラス又はプラス
チック、金属薄膜等が使用できる。
【0136】対極は電荷輸送層上に直接導電材を塗布、
メッキ又は蒸着(PVD、CVD)するか、導電層を有する基
板の導電層側を貼り付けて設けてよい。また、導電性支
持体の場合と同様に、特に対極が透明の場合には、対極
の抵抗を下げる目的で金属リードを用いるのが好まし
い。なお、好ましい金属リードの材質及び設置方法、金
属リード設置による入射光量の低下等は導電性支持体の
場合と同じである。
【0137】(E)その他の層 対極と導電性支持体の短絡を防止するため、予め導電性
支持体と感光層の間に緻密な半導体の薄膜層を下塗り層
として塗設するのが好ましい。電荷輸送層に電子輸送材
料や正孔輸送材料を用いる場合は特に有効である。下塗
り層の材料は好ましくはTiO2、SnO2、Fe2O3、WO3、ZnO
及び/又はNb2O5であり、さらに好ましくはTiO2であ
る。下塗り層はElectrochimi. Acta, 40, 643-652 (199
5)に記載されているスプレーパイロリシス法や、スパッ
タ法等により塗設することができる。下塗り層の膜厚は
5〜1000nmであるのが好ましく、10〜500nmであるのがよ
り好ましい。
【0138】また、電極として作用する導電性支持体及
び対極の一方又は両方の外側表面、導電層と基板の間又
は基板の中間に、保護層、反射防止層等の機能性層を設
けてもよい。このような機能性層の形成には、その材質
に応じて塗布法、蒸着法、貼り付け法等を用いることが
できる。
【0139】(F)光電変換素子の内部構造の具体例 上述のように、光電変換素子の内部構造は目的に合わせ
様々な形態が可能である。大きく2つに分ければ、両面
から光の入射が可能な構造と、片面からのみ可能な構造
が可能である。図2〜図8に本発明に好ましく適用でき
る光電変換素子の内部構造を例示する。
【0140】図2に示す構造は、透明導電層10aと透明
対極導電層40aとの間に、感光層20と電荷輸送層30とを
介在させたものであり、両面から光が入射する構造であ
る。図3に示す構造は、透明基板50a上に一部金属リー
ド11を設け、その上に透明導電層10aを設け、下塗り層6
0、感光層20、電荷輸送層30及び対極導電層40をこの順
で設け、更に支持基板50を配置したものであり、導電層
側から光が入射する構造である。図4に示す構造は、支
持基板50上に更に導電層10を設置し、下塗り層60を介し
て感光層20を設け、更に電荷輸送層30と透明対極導電層
40aとを設け、一部に金属リード11を設けた透明基板50a
を金属リード11側を内側にして配置したものであり、対
極側から光が入射する構造である。図5に示す構造は、
一部金属リード11を設けた2つの透明基板50a上に、そ
れぞれ透明導電層10a、透明対極導電層40aを設け、それ
らの間に下塗り層60、感光層20及び電荷輸送層30を介在
させたものであり、両面から光が入射する構造である。
図6に示す構造は、透明基板50a上に透明導電層10aを設
置し、下塗り層60を介して感光層20を設け、更に電荷輸
送層30及び対極導電層40を設け、この上に支持基板50を
配置したものであり、導電層側から光が入射する構造で
ある。図7に示す構造は、支持基板50上に導電層10を設
置し、下塗り層60を介して感光層20を設け、更に電荷輸
送層30及び透明対極導電層40aを設け、この上に透明基
板50aを配置したものであり、対極側から光が入射する
構造である。図8に示す構造は、透明基板50a上に透明
導電層10aを設置し、下塗り層60を介して感光層20を設
け、更に電荷輸送層30及び透明対極導電層40aを設け、
この上に透明基板50aを配置したものであり、両面から
光が入射する構造である。
【0141】[3]光電池 本発明の光電池は、上記本発明の光電変換素子を外部負
荷に接続して電気的仕事(発電)をさせるようにしたも
のである。光電池のうち、電荷輸送材料23が主としてイ
オン輸送材料からなるものを光電気化学電池と呼び、ま
た太陽光による発電を主目的とするものを太陽電池と呼
ぶ。
【0142】光電池の側面は構成物の劣化や内容物の揮
散を防止するためにポリマーや接着剤等で密封するのが
好ましい。導電性支持体及び対極にリードを介して接続
される外部回路自体は公知のもので良い。
【0143】本発明の光電変換素子を太陽電池に適用す
る場合、そのセル内部の構造は基本的に上述した光電変
換素子の構造と同じである。また、本発明の光電変換素
子を含む本発明の太陽電池モジュールは、従来の太陽電
池モジュールと基本的には同様の構造をとりうる。太陽
電池モジュールは一般的には金属、セラミック等の支持
基板の上にセルが構成され、その上を充填樹脂や保護ガ
ラス等で覆い、支持基板の反対側から光を取り込む構造
をとる。支持基板に強化ガラス等の透明材料を用い、そ
の上にセルを構成してその透明の支持基板側から光を取
り込む構造とすることも可能である。具体的には、スー
パーストレートタイプ、サブストレートタイプ或いはポ
ッティングタイプのモジュール構造、アモルファスシリ
コン太陽電池等で用いられる基板一体型モジュール構造
等が知られている。本発明の光電変換素子を用いた色素
増感型太陽電池においても、使用目的や使用場所及び環
境により、適宜モジュール構造を選択できる。本発明に
おける利用可能な太陽電池モジュールの構造、好ましい
態様等は特願平11-8457に記載のものと同様である。
【0144】
【実施例】以下、具体例により本発明を更に詳細に説明
するが、本発明はそれらに限定されるものではない。
【0145】1.二酸化チタン分散液の調製 内側をテフロン(登録商標)コーティングした内容積20
0mlのステンレス製容器に二酸化チタン微粒子(日本ア
エロジル(株)製、Degussa P-25)15g、水45g、分散剤
(アルドリッチ社製、Triton X-100)1g、直径0.5mmの
ジルコニアビーズ(ニッカトー社製)30gを入れ、サン
ドグラインダーミル(アイメックス社製)を用いて1500
rpmで2時間分散処理した。得られた分散液からジルコ
ニアビーズをろ過により除去した。得られた分散液中の
二酸化チタン微粒子の平均粒径は2.5μmであった。なお
粒径はMALVERN社製のマスターサイザーにて測定した。
【0146】2.色素を吸着したTiO2電極の作成 フッ素をドープした酸化スズ層を有する導電性ガラス
(旭硝子(株)製TCOガラス-Uを20mm×20mmの大きさに
切断加工したもの、表面抵抗約30Ω/□)の導電面側に
ガラス棒を用いて上記分散液を塗布した。半導体微粒子
の塗布量は20g/m2とした。その際、導電面側の一部(端
から3mm)に粘着テープを張ってスペーサーとし、粘着
テープが両端に来るようにガラスを並べて一度に8枚ず
つ塗布した。塗布後、粘着テープを剥離し、室温で1日
間風乾した。次にこのガラスを電気炉(ヤマト科学
(株)製マッフル炉FP-32型)に入れ、450℃にて30分間
焼成し、TiO2電極を得た。この電極を取り出し冷却した
後、色素R-1のエタノール溶液(3×10-4mol/l)に3時
間浸漬した。色素の染着したTiO2電極を4-t-ブチルピリ
ジンに15分間浸漬した後、エタノールで洗浄し自然乾燥
した。得られた感光層の厚さは6.5μmであった。
【0147】3.光電気化学電池の作製 3-1.溶媒を含有する電解質組成物を用いた光電気化学
電池実施例1〜7並びに比較例1及び2 0.5mol/lの電解質塩MHIm(1-メチル-3-ヘキシルイミダ
ゾリウムのヨウ素塩)及び0.05mol/lのヨウ素を含むア
セトニトリル溶液を調製し、これにシロキサン化合物1-
4を加えた。ここでシロキサン化合物は[溶媒+電解質
塩+シロキサン化合物]を100質量%として10質量%用
いた。得られた溶液を、前述のように作製した色素増感
TiO2電極基板(20mm×20mm)と、これと同じ大きさの白
金蒸着ガラスを重ね合わせた隙間に毛細管現象を利用し
て染み込ませTiO2電極中に導入し、エポキシ系封止剤で
封止して、本発明の第一の電解質組成物を用いた実施例
1の光電気化学電池を得た。溶媒及びシロキサン化合物
を下記表1に示すように変更したこと以外は上記実施例
1と同様にして、本発明の第一の電解質組成物を用いた
実施例2〜7の光電気化学電池を得た。また、シロキサ
ン化合物を加えないこと以外は上記実施例1と同様にし
て比較例1の光電気化学電池を作製し、更にシロキサン
化合物に換えてt-ブチルピリジンを添加したこと以外は
上記実施例1と同様にして比較例2の光電気化学電池を
作製した。上記実施例1〜7並びに比較例1及び2の光
電気化学電池に用いた色素、シロキサン化合物及びその
質量比、電解質塩及びその濃度、ヨウ素の濃度、並びに
溶媒を表1に併せて示す。なお、表1中のANはアセトニ
トリルを表し、NMOは3-メチル-2-オキサゾリジノンを表
し、PCはプロピレンカーボネートを表し、MHImは1-メチ
ル-3-ヘキシルイミダゾリウムのヨウ素塩を表す。ま
た、表1中、シロキサン化合物の質量比は[溶媒+電解
質塩+シロキサン化合物]を100質量%とした場合の質
量比である。
【0148】
【表1】
【0149】実施例8〜17 0.5mol/lの電解質塩MHIm(1-メチル-3-ヘキシルイミダ
ゾリウムのヨウ素塩)及び0.05mol/lのヨウ素を含むア
セトニトリル溶液を調製した。この溶液にシロキサン化
合物1-4を加え、更に求電子剤E-3を混合して均一な溶液
を調整した。ここで、シロキサン化合物は[溶媒+電解
質塩+シロキサン化合物]を100質量%として10質量%
用い、求電子剤はシロキサン化合物の反応部位に対する
求電子剤の求電子部位のモル比が1となるように加え
た。得られた溶液を、前述のように作製した色素増感Ti
O2電極基板(20mm×20mm)と、これと同じ大きさの白金
蒸着ガラスを重ね合わせた隙間に毛細管現象を利用して
染み込ませ、TiO2電極中に導入した。これを50℃で12時
間放置して重合反応を行い、エポキシ系封止剤で封止し
て、本発明の第二の電解質組成物を用いた実施例8の光
電気化学電池を得た。溶媒、シロキサン化合物、並びに
求電子剤とそのモル比を下記表2に示すように変更した
こと以外は上記実施例8と同様にして、本発明の第二の
電解質組成物を用いた実施例9〜14の光電気化学電池を
得た。また、シロキサン化合物を表2に示すものに換
え、求電子剤の使用量をシロキサン化合物に対して5質
量%としたこと以外は上記実施例8と同様にして、本発
明の第二の電解質組成物を用いた実施例15〜17の光電気
化学電池を得た。上記実施例8〜17の光電気化学電池に
用いた色素、求電子剤及びそのモル比、シロキサン化合
物及びその質量比、電解質塩及びその濃度、ヨウ素の濃
度、並びに溶媒を表2に併せて示す。なお、表2中のAN
はアセトニトリルを表し、NMOは3-メチル-2-オキサゾリ
ジノンを表し、PCはプロピレンカーボネートを表し、MH
Imは1-メチル-3-ヘキシルイミダゾリウムのヨウ素塩を
表す。また、表2中、シロキサン化合物の質量比は[溶
媒+電解質塩+シロキサン化合物]を100質量%とした
場合の質量比であり、求電子剤のモル比は、シロキサン
化合物の反応部位に対する求電子剤の求電子部位のモル
比である。ただし、実施例15〜17の光電気化学電池に用
いた求電子剤の使用量はモル比ではなくシロキサン化合
物に対する質量比(wt%)で示す。
【0150】
【表2】
【0151】比較例3 500mgのヘキサエチレングリコールメタクリル酸エステ
ル(日本油脂化学社製「ブレンマーPE-350」)、1gの
プロピレンカーボネート、及び2mgの重合開始剤AIBNを
含有する混合液を調製し、これに500mgのヨウ化リチウ
ムを溶解させた。次にこの混合液を10分間真空脱気し、
上記のように作製した色素増感TiO2電極基板(20mm×20
mm)に塗布した。続いて混合液を塗布したTiO2電極を減
圧下に置き、TiO2電極内の気泡を除きモノマーの浸透を
促した後、60℃で1時間加熱し重合させた。重合後、室
温でヨウ素雰囲気下に30分間曝して、得られた重合体中
にヨウ素を拡散させた。これを白金を蒸着した対極と重
ね合せて比較例3の光電気化学電池(日本化学会誌,
7, 484頁(1997年)記載の電解質を用いた光電気化学
電池)を得た。
【0152】3-2.室温溶融塩を含有する電解質組成物
を用いた光電気化学電池実施例18〜28及び比較例4〜6 60質量%の溶融塩A、28質量%の溶融塩B、2質量%のヨ
ウ素、及び10質量%のシロキサン化合物1-4を混合し均
一な電解質組成物を調製した。得られた電解質組成物5
μlを上記のように作製した色素増感TiO2電極基板に塗
布した後、この電極を減圧下に置き電解質組成物を浸透
させた。電解質組成物が十分に浸透し電極中の空気が抜
けた後、これに白金蒸着ガラスを重ね合わせて本発明の
第一の電解質組成物を用いた実施例18の光電気化学電池
を得た。溶融塩とその質量比、並びにシロキサン化合物
を下記表3に示すように変更したこと以外は上記実施例
18と同様にして、本発明の第一の電解質組成物を用いた
実施例19〜28の光電気化学電池を得た。また、シロキサ
ン化合物を加えず、溶融塩とその質量比を表3に示すよ
うに変更したこと以外は上記実施例18と同様にして比較
例4及び5の光電気化学電池を作製し、更にシロキサン
化合物に換えてt-ブチルピリジンを添加し、溶融塩とそ
の質量比を表3に示すように変更したこと以外は上記実
施例18と同様にして比較例6の光電気化学電池を作製し
た。ただし、t-ブチルピリジンの量は10質量%とした。
上記実施例18〜28及び比較例4〜6の光電気化学電池に
用いた色素、溶融塩及びその質量比、ヨウ素の質量比、
並びにシロキサン化合物及びその質量比を表3に併せて
示す。また、溶融塩A〜Dの構造を以下に示す。
【0153】
【表3】
【0154】
【化39】
【0155】実施例29〜39 60質量%の溶融塩A、28質量%の溶融塩B、2質量%のヨ
ウ素、及び10質量%のシロキサン化合物1-4を混合し、
更に求電子剤E-3を加えて均一な電解質組成物を調製し
た。ここで、求電子剤は、シロキサン化合物の反応部位
に対する求電子剤の求電子部位のモル比が1となるよう
に加えた。得られた電解質組成物5μlを上記のように
作製した色素増感TiO2電極基板に塗布した後、この電極
を減圧下に置き電解質組成物を浸透させた。電解質組成
物が十分に浸透し電極中の空気が抜けた後、これに白金
蒸着ガラスを重ね合わせ、50℃で10時間放置して重合反
応を行い、本発明の第二の電解質組成物を用いた実施例
29の光電気化学電池を得た。溶融塩及びシロキサン化合
物とそれらの質量比、並びに求電子剤とそのモル比を下
記表4に示すように変更したこと以外は上記実施例29と
同様にして、本発明の第二の電解質組成物を用いた実施
例30〜39の光電気化学電池を得た。上記実施例29〜39の
光電気化学電池に用いた色素、溶融塩及びその質量比、
ヨウ素の質量比、求電子剤及びそのモル比、並びにシロ
キサン化合物及びその質量比を表4に併せて示す。なお
表4中、求電子剤のモル比は、シロキサン化合物の反応
部位に対する求電子剤の求電子部位のモル比である。
【0156】
【表4】
【0157】比較例7 プロピレンカーボネートに換えて上記化合物Cを用いた
こと以外は上記比較例3と同様にして、比較例7の光電
気化学電池を作製した。
【0158】4.光電変換効率の測定 500Wのキセノンランプ(ウシオ電気(株)製)の光をAM
1.5フィルター(Oriel社製)及びシャープカットフィル
ター(Kenko L-42)を通すことにより紫外線を含まない
模擬太陽光を発生させた。この光の強度は86mW/cm2であ
った。この模擬太陽光を、50℃にて作製した実施例1〜
39及び比較例1〜7の光電気化学電池に照射し、発生し
た電気を電流電圧測定装置(ケースレーSMU238型)にて
測定した。これにより求められた各光電気化学電池の短
絡電流密度(Jsc)、開放電圧(Voc)、形状因子(F
F)、変換効率(η)及び360時間連続照射後の変換効率
の低下率を表5〜8に示す。
【0159】
【表5】
【0160】
【表6】
【0161】
【表7】
【0162】
【表8】
【0163】表5及び表7より明らかなように、比較例
1、4及び5の光電気化学電池は開放電圧が低くこれが
低い光電変換効率の原因となっているのに対して、本発
明の第一の電解質組成物を用いた実施例1〜7及び18〜
28の光電気化学電池は開放電圧が高くそれに伴い変換効
率が向上している。また、電解質組成物に有機溶媒を多
く含む比較例1及び2並びに実施例1〜7の光電気化学
電池では暗所保存後の劣化が著しいが、本発明の第一の
電解質組成物を用いることにより耐久性が改善されてい
ることがわかる。また表6及び表8より、従来の固体電
解質を用いた比較例3及び7の光電気化学電池と比較し
て、本発明の第二の電解質組成物を用いた実施例8〜17
及び29〜39の光電気化学電池は優れた変換効率及び耐久
性を示すことがわかる。
【0164】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明の第一及び
第二の電解質組成物は耐久性及び電荷輸送能に優れてお
り、この電解質組成物を用いた光電変換素子及び光電池
は優れた耐久性及び光電変換特性を示す。かかる光電池
は太陽電池として極めて有効である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の好ましい光電変換素子の構造を示す
部分断面図である。
【図2】 本発明の好ましい光電変換素子の構造を示す
部分断面図である。
【図3】 本発明の好ましい光電変換素子の構造を示す
部分断面図である。
【図4】 本発明の好ましい光電変換素子の構造を示す
部分断面図である。
【図5】 本発明の好ましい光電変換素子の構造を示す
部分断面図である。
【図6】 本発明の好ましい光電変換素子の構造を示す
部分断面図である。
【図7】 本発明の好ましい光電変換素子の構造を示す
部分断面図である。
【図8】 本発明の好ましい光電変換素子の構造を示す
部分断面図である。
【符号の説明】
10・・・導電層 10a・・・透明導電層 11・・・金属リード 20・・・感光層 21・・・半導体微粒子 22・・・色素 23・・・電荷輸送材料 30・・・電荷輸送層 40・・・対極導電層 40a・・・透明対極導電層 50・・・基板 50a・・・透明基板 60・・・下塗り層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) H01L 31/04 H01M 14/00 P H01M 14/00 H01L 31/04 Z (72)発明者 千 昌一 神奈川県南足柄市中沼210番地 富士写真 フイルム株式会社内 Fターム(参考) 4J002 CP031 CP091 CP171 DA016 DD086 EU117 FD090 FD207 HA05 4J035 BA01 CA042 CA181 GA05 LB20 5F051 AA14 BA18 EA18 FA01 FA02 KA10 5G301 CA30 CD01 5H032 AA06 AS16 CC17 EE04 HH01 HH02

Claims (22)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記一般式(1): 【化1】 (ただし、R1はL1-Q01(L1は結合又は2価連結基を表
    し、L1が結合を表すときQ0 1は置換基を表し、L1が2価
    連結基を表すときQ01は水素原子又は置換基を表す。)
    を表し、R2はL2-Q02(L2は結合又は2価連結基を表し、
    L2が結合を表すときQ0 2は置換基を表し、L2が2価連結
    基を表すときQ02は水素原子又は置換基を表す。)を表
    す。)により表される繰り返し単位を含み、求電子剤と
    反応して共有結合を形成しうる置換基を少なくとも2つ
    有するシロキサン化合物を含有することを特徴とする電
    解質組成物。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の電解質組成物におい
    て、前記求電子剤と反応して共有結合を形成しうる置換
    基が塩基性基であることを特徴とする電解質組成物。
  3. 【請求項3】 請求項2に記載の電解質組成物におい
    て、前記塩基性基に水素を付加してなる化合物の共役酸
    のpKaが3〜15であることを特徴とする電解質組成物。
  4. 【請求項4】 請求項2又は3に記載の電解質組成物に
    おいて、前記塩基性基が置換若しくは無置換のピリジル
    基又は置換若しくは無置換のイミダゾリル基であること
    を特徴とする電解質組成物。
  5. 【請求項5】 請求項1〜4のいずれかに記載の電解質
    組成物において、前記シロキサン化合物が下記一般式
    (2): 【化2】 (ただし、Q1及びQ2はそれぞれ独立に前記求電子剤と反
    応して共有結合を形成しうる置換基を表し、R11〜R16
    それぞれ独立に置換若しくは無置換のアルキル基又は置
    換若しくは無置換のアリール基を表し、L11及びL12はそ
    れぞれ独立に2価連結基を表し、nは1〜1000の整数を
    表す。)により表されることを特徴とする電解質組成
    物。
  6. 【請求項6】 請求項5に記載の電解質組成物におい
    て、前記シロキサン化合物が下記一般式(3): 【化3】 (ただし、Q11及びQ21はそれぞれ独立に窒素原子と共に
    5又は6員環を形成する原子団を表し、R11〜R16はそれ
    ぞれ独立に置換若しくは無置換のアルキル基又は置換若
    しくは無置換のアリール基を表し、L11及びL12はそれぞ
    れ独立に2価連結基を表し、nは1〜1000の整数を表
    す。)により表されることを特徴とする電解質組成物。
  7. 【請求項7】 請求項6に記載の電解質組成物におい
    て、前記Q11及びQ21がそれぞれ炭素原子、水素原子、窒
    素原子、酸素原子及び硫黄原子からなる群から選ばれる
    1種以上の原子により構成されることを特徴とする電解
    質組成物。
  8. 【請求項8】 請求項6又は7に記載の電解質組成物に
    おいて、前記5又は6員環がイミダゾール環又はピリジ
    ン環であることを特徴とする電解質組成物。
  9. 【請求項9】 少なくとも2個の脱離基を有する求電子
    剤と、下記一般式(1): 【化4】 (ただし、R1はL1-Q01(L1は結合又は2価連結基を表
    し、L1が結合を表すときQ0 1は置換基を表し、L1が2価
    連結基を表すときQ01は水素原子又は置換基を表す。)
    を表し、R2はL2-Q02(L2は結合又は2価連結基を表し、
    L2が結合を表すときQ0 2は置換基を表し、L2が2価連結
    基を表すときQ02は水素原子又は置換基を表す。)を表
    す。)により表される繰り返し単位を含み、前記求電子
    剤と反応して共有結合を形成しうる置換基を少なくとも
    2つ有するシロキサン化合物とを反応させて得られる重
    合体を含有することを特徴とする電解質組成物。
  10. 【請求項10】 請求項9に記載の電解質組成物におい
    て、前記シロキサン化合物が下記一般式(2): 【化5】 (ただし、Q1及びQ2はそれぞれ独立に前記求電子剤と反
    応して共有結合を形成しうる置換基を表し、R11〜R16
    それぞれ独立に置換若しくは無置換のアルキル基又は置
    換若しくは無置換のアリール基を表し、L11及びL12はそ
    れぞれ独立に2価連結基を表し、nは1〜1000の整数を
    表す。)により表されることを特徴とする電解質組成
    物。
  11. 【請求項11】 請求項10に記載の電解質組成物におい
    て、前記シロキサン化合物が下記一般式(3): 【化6】 (ただし、Q11及びQ21はそれぞれ独立に窒素原子と共に
    5又は6員環を形成する原子団を表し、R11〜R16はそれ
    ぞれ独立に置換若しくは無置換のアルキル基又は置換若
    しくは無置換のアリール基を表し、L11及びL12はそれぞ
    れ独立に2価連結基を表し、nは1〜1000の整数を表
    す。)により表されることを特徴とする電解質組成物。
  12. 【請求項12】 請求項9〜11のいずれかに記載の電解質
    組成物において、前記脱離基が脱離して生じるアニオン
    の共役酸のpKaが10以下であることを特徴とする電解質
    組成物。
  13. 【請求項13】 請求項9〜12のいずれかに記載の電解質
    組成物において、前記脱離基がそれぞれハロゲン原子、
    アルキルスルホニルオキシ基又はアリールスルホニルオ
    キシ基であることを特徴とする電解質組成物。
  14. 【請求項14】 請求項1〜13のいずれかに記載の電解質
    組成物において、溶媒含有量が電解質組成物全体の10質
    量%以下であることを特徴とする電解質組成物。
  15. 【請求項15】 請求項1〜14のいずれかに記載の電解質
    組成物において、前記シロキサン化合物及び前記重合体
    以外にヨウ素塩及び/又はヨウ素を含有することを特徴
    とする電解質組成物。
  16. 【請求項16】 請求項1〜15のいずれかに記載の電解質
    組成物において、光電池に用いられることを特徴とする
    電解質組成物。
  17. 【請求項17】 導電層、感光層、電荷輸送層及び対極を
    有する光電変換素子において、前記電荷輸送層が請求項
    1〜16のいずれかに記載の電解質組成物を含有すること
    を特徴とする光電変換素子。
  18. 【請求項18】 請求項17に記載の光電変換素子におい
    て、前記感光層が色素によって増感された半導体微粒子
    を含有することを特徴とする光電変換素子。
  19. 【請求項19】 請求項18に記載の光電変換素子におい
    て、前記半導体微粒子が金属カルコゲニド微粒子を含む
    ことを特徴とする光電変換素子。
  20. 【請求項20】 請求項19に記載の光電変換素子におい
    て、前記金属カルコゲニド微粒子が酸化チタン微粒子を
    含むことを特徴とする光電変換素子。
  21. 【請求項21】 請求項17〜20のいずれかに記載の光電変
    換素子において、前記色素が金属錯体色素及び/又はポ
    リメチン色素であることを特徴とする光電変換素子。
  22. 【請求項22】 請求項17〜21のいずれかに記載の光電変
    換素子を用いた光電池。
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