JP4356235B2 - 電磁波シールド壁の継ぎ構造 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電磁波シールド壁の継ぎ構造に関し、特に仕上材を施した導電板をパネル基材の表面に敷設し、導電性支持部材を介して互いに導電接合することで電磁波シールド面を構成する電磁波シールド壁の継ぎ構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
情報化時代の建築物は、外来からの不要な輻射電波を遮断して内部の機器を誤動作から保護し、反対に建築物内のコンピュータシステムや無線LANから外部に情報が漏洩するのを遮断して情報セキュリテイを確保することが必須要件になっている。
【0003】
最近になると、IT化によって無線LAN等の導入が急速に展開されていることから、隣接した無線LAN間に発生する通信キャリアの相互干渉が誘発させるチャンネル不足を解消することが重要な課題になっている。
【0004】
これらの要求性能を達成するためには、建築物の躯体及び窓や出入口等の開口部を、エキスパンドメタル又は導電性不織布等を用いた電磁波シールド材で構築して、建築物全体を電磁波シールド構造にすることが行なわれており、1MHz〜10GHzにおいて40dBの電磁波シールドを施すことが必要になっている。
【0005】
以上のように、建築物内のOA機器や無線システムの健全確実な作動を確保したり、機密漏洩を防止するためには、建築物全体を所定の仕様で完全に電磁波シールドしてしまうことが最善である。
【0006】
電磁波シールド建物における壁等のシールド処理は、部材同士の接続が比較的施工し易いパネル化工法も採用されており、仕上材無しの金属パネルを施工して、その後において電磁波シールド処置を含めた仕上げ工事を行っている。
【0007】
即ち、従来の電磁波シールド工事は、図3に示すように、下地として一般的な軽鉄(以下、LGSと略称する)20に支持されたパネル21の上に、エキスパンドメタル、アルミシート、炭素繊維シート等の導電性不織布から成るシールド用材料22を貼設し、この端部を互いに50〜150mm程度の重合せ部23を設けてから、この上にさらに導電性の粘着テープを貼り合わせることで、電磁波シールド工事を施工している。
【0008】
そして、電磁波シールド壁としては、この上に通常の仕上材処置を施しているものであるから、コストアップと工期の長期化を招いている。
【0009】
これを改善して、施工コストの低減化を図るために予め仕上げ材を塗布もしくは付着させた金属製壁パネルを採用することも行われているが、パネル同士の接続部やパネルの取付部において、導電状態を形成できない状況が発生すると、電磁波シールド性能が低下を来すことになる。
【0010】
しかして、電磁波シールド性能が20dB程度以下でも許容される場合には、電気的に完全な接続状態を確保しなくても、高周波帯域であればある程度の電磁波シールド性能を確立できるが、20dB以上の電磁波シールド性能を要求される場合には、電気的に充分な接続を確保する必要がある。
【0011】
以上のように、建物のシールド性能は、シールド用部材の取り合い部における処理精度に大きく左右されるが、重合せ部作業や電気的接続状態の確保は、極めて面倒な処理であって施工者の熟練程度によって電磁波シールド性能に大きな影響を与えることから慎重な施工が行われ、結果的に大幅なコストアップと工期の長期化を招いている。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記の状況に鑑みて改善を図ったものであり、仕上材を予め施した導電部材をパネル基材に敷設して仕上げ工事を不要にすることによって、建物における電磁波シールド工事を専門工でなくても容易かつ確実に施工できる低コスト、短工期の電磁波シールド壁の継ぎ構造を提供している。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明による電磁波シールド壁の継ぎ構造は、基本的に、並接した複数のパネルを導電性支持部材で支持して表面を仕上げする電磁波シールド壁の継ぎ構造において、パネル基材の表面に敷設される仕上材を施した導電板と、導電板の端部を導電性支持部材に接合させる押え金物とで構成し、並接パネル間で押え金物を導電性支持部材に固着しており、具体的に、導電板の端部をパネル基材の小口面を覆う導電体を介して導電性支持部材に接合することで、電磁波シールド施工とその後における仕上材の施工を省略している。
【0014】
【発明の実施の形態】
本発明による電磁波シールド壁の継ぎ構造は、並接した複数のパネルを導電性支持部材で支持して表面を仕上げする電磁波シールド壁の継ぎ構造において、パネル基材の表面に敷設される仕上材を施した導電板と、導電板の端部をパネル基材の小口面を覆う導電体を介して導電性支持部材に接合させる押え金物とで構成しており、並接パネル間で押え金物を導電性支持部材に固着している。
以下に、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0015】
図1は、本発明による継ぎ構造を適用した電磁波シールド壁を斜視した実施の形態図である。
【0016】
電磁波シールド壁1は、図示のように導電性支持部材を構成するLGS2の前面に並接したパネル3、4を配置して構成されている。パネル3、4の表面には、後述するように仕上材5が施工されており、仕上材5は、パネル3、4間においてLGS2に沿った長手形状に構成された押さえ金物6によって押さえられながら、ビス7によってLGS2に固着されている。
【0017】
図2は、図1における(2)−(2)矢視の断面図であり、電磁波シールド壁の支持状態を示している。
【0018】
パネル3、4は、LGS2の前面に配置されて電磁波シールド壁1を構成している。
【0019】
各パネルは、非導電質のパネル基材8を母材にしている。パネル基材8の小口面9側には、金属製の導電体10が上下方向に嵌合されており、導電体10はコ字状に湾曲されて長手形状に構成されることで、パネル基材8の小口面9と表面11及び裏面12の端部部分を覆っている。
【0020】
各パネルにおけるパネル基材8の表面11は、上記導電体10を含めて仕上材13を施した導電板14で覆われている。導電板14の各端部15は、パネル基材8の小口面9側に折曲げ込まれており、各パネル間の間隙16において隣接している端部とお互いに重ね合わされている。
【0021】
間隙16には、導電板14の積層された両端部15を押さえ込むように押さえ金物6を配置してあり、押さえ金物6はビス7によってLGS2に固着されている。これによって、両パネル3、4はLGS2に堅固に固着されると同時に、導電板14を導電性支持部材を構成するLGS2の金属面に接触させることで、並接される各パネルで構成される電磁波シールド壁1は一体の導電面を形成することになる。
【0022】
本実施の形態では、上記の電気接合に加えて、パネル基材8の小口面9に嵌合された導電体10によってより確実な導電状態を形成している。
【0023】
即ち、パネル基材8の小口面9と表面11及び裏面12の端部部分を覆っている導電体10は、パネル基材8における小口面9と表面11の端部部分において導電板14の各端部15と電気的な通電状態を確立すると共に、パネル基材8における裏面12の端部部分において導電性支持部材を構成するLGS2と電気的な通電状態を確立している。
【0024】
従って、電磁波シールド壁1には、パネル3の導電板14→パネル3の導電体10→LGS2→パネル4の導電体10→パネル4の導電板14の順に、確実な導電状態が確立されることから、電磁波シールド壁1は一体の導電面を高精度に形成することになる。
【0025】
以上のように、本発明による電磁波シールド壁の継ぎ構造は、並接した複数のパネルを導電性支持部材で支持して表面を仕上げする電磁波シールド壁の継ぎ構造において、パネル基材の表面に仕上材を施した導電板を敷設し、導電板の端部をパネル基材の小口面を覆う導電体を介して導電性支持部材に接合させるように押え金物で押さえながら、並接パネル間で押え金物を導電性支持部材に固着しているので、電磁波シールド工事と仕上げ工事とを特別に実施することなく、電磁波シールド壁として一体の導電面を高精度に形成できる。
【0026】
以上、本発明を実施の形態に基づいて詳細に説明してきたが、本発明による電磁波シールド構成面は、上記実施の形態に何ら限定されるものでなく、パネル基材、導電板、導電体及び仕上材等の材質あるいは押さえ金物の形状についても発明の趣旨に反しない範囲において、各種の変更が可能であることは当然である。
【0027】
【発明の効果】
本発明による電磁波シールド壁の継ぎ構造は、並接した複数のパネルを導電性支持部材で支持して表面を仕上げする電磁波シールド壁の継ぎ構造において、パネル基材の表面に仕上材を施した導電板を敷設し、導電板の端部をパネル基材の小口面を覆う導電体を介して導電性支持部材に接合させるように押え金物で押さえながら、並接パネル間で押え金物を導電性支持部材に固着しているので、電磁波シールド壁として一体の導電面を高精度に形成できると共に、下記の効果を奏している。
▲1▼ 電磁波シールドと仕上げ工事とを個別に実施する必要がない。
▲2▼ 電磁波シールド工事を専門工でなくても容易かつ確実に施工できる。
▲3▼ 低コスト、短工期で施工できる。
▲4▼ 仕上げを通常の塗りや貼設で施工できる。
▲5▼ 任意の仕上材を自由に選択できる。
【図面の簡単な説明】
【 図1】本発明による継ぎ構造を適用した電磁波シールド壁の実施形態斜視図
【 図2】図1に示す斜視図の(2)−(2)矢視の平断面図
【 図3】従来の電磁波シールド壁の電磁波シールド斜視図
【符号の説明】
1 電磁波シールド壁、 2 LGS、 3、4 パネル、 5 仕上材、
6 押さえ金物、 7 ビス、 8 パネル基材、 9 小口面、
10 導電体、 11 パネル基材の表面、 12 パネル基材の裏面、
13 仕上材、 14 導電板、 15 導電板の端部、 16 間隙、
20 LGS、 21 パネル、 22 シールド用材料、
23 重合せ部、

Claims (1)

  1. 並接した複数のパネルを導電性支持部材で支持して表面を仕上げする電磁波シールド壁の継ぎ構造であって、パネル基材の表面に敷設される仕上材を施した導電板と、該導電板の端部を導電性支持部材に接合させる押え金物とで構成し、導電板の端部が、パネル基材の小口面と裏面の端部部分とを覆う導電体を介して導電性支持部材に接合され、かつ並接パネル間で押え金物を導電性支持部材に固着することを特徴とする電磁波シールド壁の継ぎ構造。
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