JP4346706B2 - 触媒用担体、その製造方法、脱硝触媒及び脱硝方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は各種触媒担体として有用な固体酸量の多い触媒用担体、特に発電所、各種化学工場又は焼結炉等に設置されている排煙脱硝装置で使用される脱硝触媒用担体、中でも排ガス中の触媒毒物質が多く含まれている石炭焚ボイラ燃焼排ガス用の脱硝装置に好適な脱硝触媒用担体及びその製造方法、該担体に活性金属を担持した脱硝触媒およびそれを使用した燃焼排ガスの脱硝方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
種々の燃焼プロセスから排出される排ガス中の窒素酸化物(NOx)は、土壌汚染、森林破壊等の原因となる酸性雨を発生させることから、その低減化は今や全世界的な重要課題として取り上げられるようになった。
このNOxを除去する方法として現在最も実績の多い脱硝方法は、アンモニア(NH3)による選択的接触還元法であり、この方法は、排ガスに還元剤としてNH3を添加し、酸化剤として必要により空気を添加(燃焼排ガス中に必要量の酸素が存在する場合には添加不要)して、触媒上でNOxを選択的に接触還元して、無害な窒素(N2)と水(H2O)を生成するものである。
下記にNOのアンモニア及び酸素の選択的接触還元の反応式を示す。
4NO+4NH3+O2→4N2+6H2O
NO2も、触媒によりNOと同様に窒素と水を生成する。
【0003】
上記反応を進行させるため、TiO2系の触媒担体にV2O5、WO3またはMoO3等の活性金属を担持させた触媒が広く適用されており、TiO2上の固体酸点とその上に担持された活性金属の活性点が脱硝反応に作用している。
しかし、燃料として石炭又は重油を使用した場合には、排煙脱硝にTiO2系触媒を用いると、排ガス中に含まれるヒ素(As)、カルシウム(Ca)等の触媒被毒成分が触媒上に堆積し、活性点を被覆してしまい、触媒の性能が時間の経過により低下していく。特に排ガス中のAsは蒸気圧の高いAs2O3となり、これが触媒上で蒸気圧の低いAs2O5に酸化され触媒活性点を被覆してしまう。
As2O3+O2→As2O5
このため、特に触媒の劣化に対して影響の大きいAsが多く存在している石炭を燃料として用いる場合、Asに対する触媒の耐久性が重要な問題となる。
【0004】
また、石炭又は重油を燃料として用いる場合、排ガス中に硫黄酸化物(SOx:特にSO2)が存在し、これが触媒上でSO3に酸化される。
SO2+1/2O2→SO3
生成したSO3は、脱硝装置下流で未反応のNH3及び水分と反応して酸性硫安(NH4HSO4)を生成し、熱交換器等の各種排ガス処理装置内で閉塞や腐食等の原因となるため、脱硝活性とともにSO2酸化率が低いことも脱硝触媒の重要な条件となる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、As等の触媒被毒物質に対しても強い耐久性を有し、かつSO2酸化率が低い脱硝触媒用担体及びその製造方法、該担体に活性金属を担持した脱硝触媒並びに該触媒を使用した燃焼排ガスの脱硝方法を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、今までの研究により、固体酸(すなわち固体表面の電荷の偏りによって生じる酸性点)量の多い触媒がAsによる劣化を抑制することが可能であることを見出した。
一方、酸化物を複合化すると、元素によっては単独の酸化物よりも多い固体酸量を示すことが知られている。そして、均質な複合酸化物の調製法として共沈法が適当であることを見いだした。
本発明者らは、前記課題を解決するために、上記知見に基いて、鋭意研究の結果、Ti硫酸塩あるいは酢酸塩を溶液にした後、Si、P及びBのアルコキシドのうち少なくとも1種を混合し、これにアルカリを加えて中和、熟成して複合酸化物を共沈させることにより、従来よりも固体酸量が多く、なおかつ性能の優れた脱硝触媒用担体が得られることを見出し、本発明を完成した。
【0007】
すなわち本発明の第1は、Ti硫酸塩及び/又は酢酸塩溶液と、P及び/又はBのアルコキシドとを混合して混合液を得て、該混合液をアルカリ溶液により中和、熟成して沈殿物を得て、該沈殿物を洗浄、乾燥及び焼成して複合酸化物を得て、ここで該複合酸化物が[TiO2の重量]:[P2O5及びB2O3の合計重量]=50:50〜99:1の組成を有するものであり、前記複合酸化物を触媒用担体として用い、この触媒用担体に脱硝活性金属を担持してなる脱硝触媒の存在下に、NOx、SOx及び1ppm以下のAsを含有する燃焼排ガスをアンモニアにより接触還元することを特徴とする脱硝方法を提供する。本発明の第2は、Ti硫酸塩及び/又は酢酸塩溶液と、P及び/又はBのアルコキシドとを混合して混合液を得る工程と、該混合液をアルカリ溶液により中和、熟成して沈殿物を得る工程と、該沈殿物を洗浄、乾燥及び焼成して複合酸化物を得る工程とからなり、該複合酸化物が[TiO 2 の重量]:[P 2 O 5 及びB 2 O 3 の合計重量]=50:50〜99:1の組成を有することを特徴とする触媒用担体の製造方法を提供する。本発明の第3は、前記触媒用担体が脱硝触媒用担体である本発明の第2に記載の製造方法を提供する。本発明の第4は、本発明の第2に記載の製造方法により得られた触媒用担体に脱硝活性金属を担持してなる、NOx、SOx及び1ppm以下のAsを含有する燃焼排ガスをアンモニアにより接触還元する脱硝用の触媒を提供する。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明の触媒用担体は、Ti硫酸塩及び/又は酢酸塩溶液と、Si、P及びBの各アルコキシドのうち少なくとも1種とを混合して混合液を得る工程、該混合液をアルカリ溶液により中和、熟成して沈殿物を得る工程、該沈殿物を洗浄、乾燥及び焼成して複合酸化物を得る工程からなる製造方法で作られ、得られた複合酸化物がTiO2の重量:SiO2、P2O5及びB2O3の合計重量の比率が50:50〜99:1の組成比を有するものである。
以下、元素Si、P及びBをMで表し、これらのアルコキシドをMアルコキシド、これらの酸化物をM酸化物という。そして、M酸化物の合計量とは、混合されたSi、P及びBの各アルコキシドのうち少なくとも1種に由来するM酸化物の量であるので、含まれていない種類の元素の酸化物の量を0として、形式上SiO2、P2O5及びB2O3の合計重量と表される。
【0009】
本発明において原料として使用するTi硫酸塩、酢酸塩等の塩は、好ましい例としてTiOSO4、Ti(SO4)2、Ti2(SO4)3、Ti(OCOCH3)4、TiO(OCOCH3)2、Ti2(OCOCH3)6等が挙げられる。
Ti源として安価なTi硫酸塩、酢酸塩を使用することにより、触媒担体の大幅なコストダウンが可能となる。
Ti硫酸塩及び/又は酢酸塩(以下Ti塩と略す。)は水に溶かして溶液にする。後の工程である中和処理を円滑に進行させて均質な担体を得るためには、水の量はTi塩のモル数の10倍モル比以上とすることが好ましく、40倍モル比以上が特に好ましい。水の量に特に制限は無いが、必要以上に水の量を増やしても特に効果は増大せず、逆に装置が大型化しコストアップにつながるため、使用するTi塩のモル数の300倍モル比程度で十分である。
【0010】
本発明において原料として使用するSi、P及びBの各アルコキシドは、一般式、MOm(OR1)n(R1は炭素数1〜20、好ましくは1〜5のアルキル基であり、nはM−OR結合の数であり、mはM=O結合酸素の数であり、2m+nはMの酸化数である。)で表される。
Mアルコキシドの好ましい例としてはSi(OCH3)4、Si(OC2H5)4、P(OCH3)3、PO(OCH3)3、B(OCH3)3、B(OC2H5)3等が挙げられる。
これらのアルコキシドはアルコールや水に可溶な固体でもよいが、常温付近で液体のものが望ましい。アルコールに可溶な場合はMアルコキシドのアルコール溶液をTi塩溶液と混合してもよい。
【0011】
本発明の担体は以下のようなプロセスにより製造される。
まず、上記のようにして得られたTi塩溶液と、Mアルコキシドの1種以上とを攪拌しながら所定の割合で混合し、さらに5分以上、好ましくは1時間以上かけて攪拌、混合して混合液を得る。
両者の混合は、Ti塩溶液にMアルコキシドを加えてもよいし、Mアルコキシドまたはその溶液にTi塩溶液を加えてもよいが、好ましくはTi硫酸塩溶液にMアルコキシドを加える。
混合は常温で行うが、水に難溶な性質を持つアルコキシドに対しては溶解速度を速めるため、加熱及びアルコール等の溶媒を加えても特に支障はない。
【0012】
得られた混合液はアルカリ溶液により中和され、沈殿物を得る。
中和により、Ti化合物及びM化合物は偏析することなく、沈殿物を焼成すると好ましい複合酸化物が得られるように共沈する。
中和処理にはアルカリ溶液の種類には特に制限はないが、アンモニア水溶液(NH4OH)、又はアンモニア発生源としての尿素(CO(NH2)2)等の使用が一般的である。また、アルカリ溶液の濃度にも特に制限はないが高濃度では中和処理が困難となり、また低濃度では中和処理に時間がかかり作業上好ましくないので、7〜10vo1%のアンモニア水又は相当する尿素の水溶液が特に望ましい。なお、混合液とアルカリ液の加える順序に制限はない。
【0013】
混合液を中和し沈殿物を得た後、さらに5分以上、望ましくは2時間以上攪拌して熟成させる。熟成により、さらに−Ti−O−M−の結合及び比表面積が増加する。そして、電子の過不足のある酸素原子が増加するため固体酸量も増加する。
【0014】
このように、Mの原料として反応性の高いアルコキシドを用いて、これをTiと複合化させることにより、TiとMがより分散されて配位された固体酸量の多い均質な複合酸化物を得ることが可能となる。
Tiと複合化させるMは排ガス中のSO2によって被毒を受けにくい元素であるため、脱硝触媒に好適な酸化物である。
【0015】
前述した好ましい範囲での混合、中和及び熟成を施して得られた沈殿物をろ過し、水で洗浄し、乾燥後、焼成してTiO2とM酸化物の複合酸化物からなる担体を得ることが出来る。
この複合酸化物はアモルファス及び/又は少なくとも一部がアナターゼTiO2型の結晶構造を有している。
焼成温度は複合酸化物の組成比等によって異なるが、300℃〜1,000℃、好ましくは400℃〜550℃の範囲である。
焼成時間は複合酸化物の組成比、焼成温度等によって異なるが、5分〜24時間、好ましくは4〜5時間の範囲である。
上記焼成温度、時間の範囲未満では焼成が不十分となり、また、上記範囲を超えると比表面積が低下し、脱硝活性が低下するので好ましくない。
【0016】
本発明において、担体中のTiO2とM酸化物の合計量との比率は、重量比で50:50〜99:1の範囲である。M酸化物の比率がこの範囲よりも少ないと複合化の効果が無く、また、この範囲を超えるとTiとMが酸素を介して隣り合って(−Ti−O−M−)結合し、固体表面の電荷の偏りによって酸性を示す点である酸性点を形成する効果が促進されない上、TiO2の比率が低いため満足する脱硝性能を持つ触媒が得られない。
それぞれの酸化物の好ましい範囲はTiO2:SiO2=80:20〜99:1、TiO2:P2O5=50:50〜99:1、TiO2:B2O3=50:50〜99:1である。
【0017】
このようにして得られた担体にV2O5、WO3及びMoO3のうち少なくとも1種以上の脱硝活性金属を担持させることによって、NO、NO2等のNOx含有ガスを酸素の存在下にアンモニアにより効率よく脱硝し、排ガス中のAs等の触媒被毒物質に対して強い耐久性を有し、なおかつSO2酸化率の低い脱硝触媒を得ることが出来る。
これらの触媒は粉体状又は粒状、ペレット状、ハニカム状等に成形して使用することが出来る。
また、適当な担体を上記のような適当な形状に成形して、成形担体上に上記活性金属酸化物を担持して脱硝触媒を得ることが出来る。
活性金属の担持量としては、触媒中の活性金属含有率(活性金属/(活性金属+担体)×100)が0.1〜30重量%である。
具体的には、好ましい範囲は、活性金属がVの場合には0.2〜5重量%、Moの場合には0.1〜20重量%、Wの場合には5〜20重量%である。
これらの活性金属の担持のさせ方等には特に限定はなく従来の方法で製造することができる。
このようにして得られた脱硝触媒は、ボイラー排ガス等の燃焼排ガスに使用することができる。
特に本発明の脱硝触媒は、使用時間にもよるが、例えば1万時間程度以上の使用時間では、排ガス中のAs等の触媒被毒物質濃度が1ppm以下、好ましくは100ppb以下の燃焼排ガスに使用できる。使用時間がこれより短ければ100ppm程度の燃焼排ガスにも使用できる。
また、燃焼排ガス中のSOx、具体的にはSO2濃度が5,000ppm以下、好ましくは1,000ppm以下の燃焼排ガスに使用できる。
【0018】
尚、一般に炭化水素のクラッキング、水素移行、不均化、水和、重合、骨格及び二重結合の異性化等の反応に固体酸触媒が使用されているが、本発明の担体はそれ自体固体酸量が多いので、固体酸触媒としての機能も有しており、これらの反応用触媒の担体として有効である。特に、ゼオライト等の準安定状態で合成される固体酸触媒と比較して耐熱性に優れているため、このような二元機能触媒に好適である。このような二元機能触媒が適用される例として、酸化能と酸性を必要とする接触酸化反応がある。
【0019】
【実施例】
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0020】
[実施例1:担体の調製及び固体酸量]
(担体1の調製)
320.2gのTiOSO4と1,441.8gの水を常温で混合させた後、138.6gのSi(OC2H5)4を混合する。その後9vo1%NH4OH水をゆっくりと滴下して混合液中のpHを7にして沈殿物を生成させ、さらに2時間攪拌して熟成させた。
熟成後に得られた沈殿物をろ過して水により十分に洗浄した後、乾燥、焼成(500℃で5時間)を施して担体1を調製した。原料の種類、使用量及び担体1の組成を後述の担体2〜18の例と併せて表1〜3に示す。
【0021】
(担体2〜18の調製)
Ti源である硫酸塩及びM源であるアルコキシドの種類及び使用量を表1〜3に示すように変えた以外は前記担体1と同様の条件で担体2〜18を調製した。
得られた担体の組成を表1〜3に示す。
【0022】
【表1】
【0023】
【表2】
【0024】
【表3】
【0025】
(担体19〜27の調製)
Ti源である酢酸塩及びM源であるアルコキシドの種類及び使用量を表4〜6に示すようして前記担体1と同様にして担体19〜27を調製した。
得られた担体の組成を表4〜6に示す。
【0026】
【表4】
【0027】
【表5】
【0028】
【表6】
【0029】
(比較担体1の調製)
1,899.4gの20wt%TiC14塩酸水溶液と20wt%のSiO2を含むシリカゾル(Si(OH)4)を319.8g混合した後、9vo1%のアンモニア水を添加して中和し、PHを7にした。生成した沈殿物をろ過、洗浄した後乾燥、焼成(500℃で5時間)を施して得た担体を比較担体1とした。
【0030】
(比較担体2の調製)
1,102.8gの20wt%メタチタン酸(TiO(OH)2)水溶液に27.6gのリン酸(H3PO4)を添加して攪拌した後、蒸発乾固、焼成(500℃で5時間)を施して得た担体を比較担体2とした。
【0031】
(比較担体3の調製)
1,213.0gの20wt%メタチタン酸(TiO(OH)2)水溶液と3.6gのホウ酸(H3BO3)を添加して攪拌した後、蒸発乾固、焼成(500℃で5時間)を施して得た担体を比較担体3とした。
比較担体1〜3の原料の種類、使用量及び得られた担体の組成をまとめて表7に示す。
【0032】
【表7】
【0033】
(担体の固体酸量の測定)
実施例1で調製した本発明の担体1〜27及び比較担体1〜3の固体酸量をピリジン昇温吸着脱離法により測定した。
測定方法の概略は以下の通りである。
担体粉末を各12.5mgずつ秤りとり、40ml/分のヘリウム(He)気流中で450℃で30分間処理した後、試料を150℃に保ち、ピリジン0.2μlをパルス的に注入し、ピリジンを飽和するまで吸着させた。
その後、担体粉末を30℃/分で昇温し、脱離するピリジン量をFID(水素炎イオン化)検出器で測定し、この値(触媒1g当たりの脱離ピリジンのmol数)から固体酸量を求めた。
結果を表8〜14に示す。
この結果、同一組成の本発明の担体と比較担体の固体酸量を比較すると、本発明の担体の固体酸量の方がいずれも大きいことが分かった。
【0034】
【表8】
【0035】
【表9】
【0036】
【表10】
【0037】
【表11】
【0038】
【表12】
【0039】
【表13】
【0040】
【表14】
【0041】
[実施例2:ハニカム触媒の製造及び脱硝活性]
(ハニカム触媒1〜27の製造)
メタバナジン酸アンモニウム(NH4VO3)7.7gとパラタングステン酸アンモニウム((NH4)10W12O41・5H2O)18.6gを10wt%メチルアミン水溶液110mlに溶解し、前記にて調製した担体1〜27の粉末各178.0gに含浸させた後、乾燥、焼成(500℃で5時間)を施し、前記担体にV2O5を3wt%及びWO3を8wt%担持させた触媒粉末を得た。この触媒粉末を800gの水に加え、ボールミルにて十分に攪拌、粉砕して20wt%触媒粉末のウォッシュコート用スラリーを調製した。
次に、91.4wt%TiO2−0.6wt%V2O5−8wt%WO3の組成を有するハニカム基材(形状の大きさ16×16×60mm、格子間隔7.5mm、壁厚1.0mm、図1参照)を前記のウォッシュコート用スラリーに充分浸漬した後、余分なスラリーを除去し200℃で乾燥させた。コート量は基材1m2あたり100gとし、このコート物をハニカム触媒1〜27とした。
【0042】
(比較ハニカム触媒1〜3の製造)
前記比較担体1〜3を用いて、ハニカム触媒1の製造と同様にしてV2O5及びWO3を担持させた触媒粉末をコーティングした比較ハニカム触媒1〜3を製造した。
【0043】
(脱硝活性評価試験)
実施例2で調製したハニカム触媒1〜27を、高濃度のAsを含むガスに曝露して強制的に劣化させ、曝露前後での脱硝活性を評価した。
曝露処理は、強制劣化装置に上記ハニカム触媒1〜27を入れ、As2O3ガス側を200℃、ハニカム触媒側を350℃に加熱しながら、表15に示す組成のガスを流し、ハニカム触媒表面にAs2O3を含んだガスを接触させ、2時間経過後、触媒を取り出すことによって実施した。
次に、As強制劣化処理前及び後のハニカム触媒を用いて表16に示す条件で脱硝活性試験を行い、脱硝性能を評価した。
脱硝率は次式(1)により算出した。
脱硝率(%)=[(入口NOx濃度−出口NOx濃度)/入口NOx濃度]×100 (1)
評価結果を表17〜23に示す。表11〜14から本発明の担体を用いた触媒は、比較担体を用いた触媒に比べてAs強制劣化処理前後における脱硝率の低下幅が小さいことより、Asに対して優れた耐被毒性を有していることが分かる。
【0044】
【表15】
【0045】
【表16】
【0046】
【表17】
【0047】
【表18】
【0048】
【表19】
【0049】
【表20】
【0050】
【表21】
【0051】
【表22】
【0052】
【表23】
【0053】
(脱硝活性及びSO2酸化率の評価試験)
排ガス中にはSO2が含まれていることが多く、これが触媒上でSO3に酸化される。そしてSO3と未反応のNH3と水が反応して生成したNH4HSO4が各種排ガス処理装置に堆積する不具合が生じるため、脱硝触媒としては脱硝活性とともにSO2酸化率が低いことも重要な条件となる。
そこで実施例2で調製したハニカム触媒1,3,5及び比較ハニカム触媒1〜3を用いて表24に示す条件にてSO2酸化率及び脱硝率を評価した。
脱硝率は前述の式(1)を用いて算出し、SO2酸化率は次式(2)により算出した。
SO2酸化率(%)=(出口SO3濃度/入口SO2濃度)×100 (2)
試験結果を表25に示す。
この結果、本発明のハニカム触媒のSO2酸化率は、比較ハニカム触媒に比べてほぼ半減しており、充分に低いことが確認された。
【0054】
【表24】
【0055】
【表25】
【0056】
【発明の効果】
本発明の触媒用担体は固体酸量が多く、これに活性金属酸化物を担持させた脱硝触媒は、Asを含む排ガス中においても高い脱硝活性を長時間維持することが可能であり、かつSO2酸化性能が低く、従来のものに比較して極めて優れている。
本発明の触媒用担体は固体酸量が多く、かつ酸性点の多い触媒を必要とする反応に好適である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の触媒用担体の粉末をハニカム型に成形したものの一部を示す斜視図である。
Claims (4)
- Ti硫酸塩及び/又は酢酸塩溶液と、P及び/又はBのアルコキシドとを混合して混合液を得て、該混合液をアルカリ溶液により中和、熟成して沈殿物を得て、該沈殿物を洗浄、乾燥及び焼成して複合酸化物を得て、ここで該複合酸化物が[TiO2の重量]:[P2O5及びB2O3の合計重量]=50:50〜99:1の組成を有するものであり、前記複合酸化物を触媒用担体として用い、この触媒用担体に脱硝活性金属を担持してなる脱硝触媒の存在下に、NOx、SOx及び1ppm以下のAsを含有する燃焼排ガスをアンモニアにより接触還元することを特徴とする脱硝方法。
- Ti硫酸塩及び/又は酢酸塩溶液と、P及び/又はBのアルコキシドとを混合して混合液を得る工程と、
該混合液をアルカリ溶液により中和、熟成して沈殿物を得る工程と、
該沈殿物を洗浄、乾燥及び焼成して複合酸化物を得る工程とからなり、
該複合酸化物が[TiO2の重量]:[P2O5及びB2O3の合計重量]=50:50〜99:1の組成を有することを特徴とする触媒用担体の製造方法。 - 前記触媒用担体が脱硝触媒用担体である請求項2に記載の製造方法。
- 請求項2記載の製造方法により得られた触媒用担体に脱硝活性金属を担持してなる、NOx、SOx及び1ppm以下のAsを含有する燃焼排ガスをアンモニアにより接触還元する脱硝用の触媒。
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