JP3495591B2 - 排ガス中の窒素酸化物及びso3の還元処理方法 - Google Patents

排ガス中の窒素酸化物及びso3の還元処理方法

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  • Exhaust Gas Treatment By Means Of Catalyst (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ボイラ等の燃焼排
ガス中に存在する窒素酸化物(NOX )及びSO 3 の還
元処理方法に関する。
【0002】
【従来の技術】大気汚染の防止の観点から、ボイラや各
種燃焼炉から発生するNOX の大気中への排出を防止す
るための方法として、排ガス中にアンモニアを添加し
て、脱硝触媒と接触させ、NOX を選択的に窒素と水に
分解する脱硝方法が適用されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記の脱硝方
法を用いた場合、重質油、オリマルジョン等の粗悪な燃
料を燃焼させて生じる排ガスは、多量の硫黄酸化物(S
X )を含有する。SO X の中でも、SO3 は腐食性の
ガスであり、後流の空気予熱器や電気集塵器に硫酸や酸
性硫安等の形態で凝縮し、腐食や目づまりの原因とな
る。また、粗悪な燃料油の燃焼において、燃焼方法によ
ってはSO3 が多く排出される場合がある。更に、脱硝
の際、脱硝触媒上において、副反応であるSO2 のSO
3 への酸化によって、SO3 濃度が増加する。そこで、
本発明者らは、排ガス中の窒素酸化物とSO3 を共に除
去する方法を検討した結果、本発明を完成するに至っ
た。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明の排ガス中の窒素
酸化物及びSO3 の還元処理方法は、窒素酸化物(NO
X )及びSO3 を含有する排ガスにアンモニアを添加し
た後、該排ガスを、SO3 還元触媒及び脱硝触媒と接触
させて、該排ガス中の窒素酸化物及びSO3 を還元する
ことを特徴とする(請求項1)。上記SO3 還元触媒
は、活性金属として、例えばRu(ルテニウム)を含有
する(請求項2)。上記SO3 還元触媒と上記脱硝触媒
は、同一物質であってもよい(請求項3)。上記SO3
還元触媒及び上記脱硝触媒として、脱硝触媒上にSO3
還元触媒を担持させてなる触媒を用いてもよい(請求項
4)。
【0005】
【発明の実施の形態】本発明で用いるSO3 還元触媒と
脱硝触媒は共に、アンモニアが還元剤として有効に作用
する。したがって、アンモニアを添加した排ガスを、こ
れらの触媒と接触させることによって、SO3 はSO2
に還元され、NOX は窒素(N2 )に還元される。
【0006】SO3 還元触媒としては、例えば、チタニ
ア(TiO2 )、アルミナ(Al23 )、シリカ(S
iO2 )、ジルコニア(ZrO2 )、シリカライト、メ
タロシリケートからなる群より選ばれた1種以上から構
成されるものを担体とし、該担体に活性金属としてルテ
ニウム(Ru)を担持したものを用いることができる。
ここで、シリカライトは、ペンタシル型の結晶構造を有
するSiとOのみからなるシリケートである。
【0007】メタロシリケートは、下記表1に示される
X線回折パターンを有し、脱水された状態において酸化
物のモル比で表して、次の化学式を有する結晶性シリケ
ートである。 (1±0.8)R2 O・[aM2 3 ・bM’O・cA
2 3 ]・ySiO2 (式中、Rはアルカリ金属イオン及び/または水素イオ
ンであり、MはVIII族元素、希土類元素、チタン、バナ
ジウム、クロム、ニオブ、アンチモン、ガリウムからな
る群より選ばれる少なくとも1種以上の元素イオンであ
り、M’はマグネシウム、カルシウム、ストロンシウ
ム、バリウムのいずれかのアルカリ土類金属イオンであ
り、a、b、cは、a>0、20>b≧0、a+c=1
の関係を満たし、yは3000>y>11である。)
【0008】
【表1】 VS:非常に強い S:強い M:中級 W:弱い (X線源:Cu Kα)
【0009】本発明で用いる脱硝触媒として、通常、チ
タニア(TiO2 )からなる担体に、活性金属としてバ
ナジア(V2 5 )、助触媒として酸化タングステン
(WO 3 )または酸化モリブデン(MoO3 )を添加し
た触媒を用いる。SO3 還元触媒と脱硝触媒は、直列で
配置する。配置の順序は、任意であるが、一般的には、
SO3 還元触媒を前側に配置した方が、還元剤のアンモ
ニアを多く供給する場合、SO3 還元活性が高くなるの
で好ましい。SO3 還元触媒と脱硝触媒のいずれも、排
ガスの処理における圧力損失の少ないハニカム形状とす
るのが好ましい。
【0010】本発明において、脱硝能とSO3 還元能の
双方を有する触媒を用いることもできる。この触媒は、
例えば、脱硝触媒上に、SO3 還元能を持つRuを担持
させて、調製することができる。アンモニアを還元剤と
して用いた、SO3 還元触媒によるSO3 還元反応は、
次式(1)、(2)で表される。 3SO3 +2NH3 → 3SO2 +N2 +3H2 O (1) 2SO3 +2NH3 +1/2O2 → 2SO2 +N2 +3H2 O (2) 担持するRu量は、100重量部の担体当たり、0.0
02重量部以上で活性を有し、好ましくは0.02重量
部以上で高い活性を有する。Ruの担体への担持方法と
しては、含浸法、イオン交換法等が挙げられる。
【0011】一方、脱硝触媒による脱硝反応は、次式で
表される。 4NO+4NH3 +O2 → 4N2 +6H2 O (3) また、NOX 中にNO2 が多い場合は、次式で表され
る。 6NO2 +8NH3 → 7N2 +12H2 O (4)
【0012】脱硝触媒として担体に担持するバナジア
(V2 5 )の量は、一般に、100重量部の担体当た
り、0〜15重量部である。なお、バナジアが全く存在
しない場合であっても、活性を有する温度域がある。助
触媒として添加する酸化タングステン(WO3 )または
酸化モリブデン(MoO3 )の量は、100重量部の担
体当たり、0〜25重量部である。
【0013】本発明において、SO3 の還元剤とNOX
の還元剤は、共にアンモニアである。したがって、アン
モニアの添加量は、通常の脱硝装置の場合より多くし
て、NH3 /NOX のモル比で0.8以上とすることが
好ましい。また、高いSO3 還元率及び脱硝率を得るた
めには、アンモニアの添加量を多くすればよい。
【0014】
【実施例】以下、本発明の具体的な実施例を挙げて、本
発明の効果を明らかにする。実施例1 (SO3 還元触媒の調製法)100重量部のチタニア
(TiO2 )当たり、10重量部の酸化タングステン
(WO3 )を含有したアナターゼ型チタニア粉末に対し
て、塩化ルテニウム(RuCl3 )水溶液を含浸して、
100重量部のアナターゼ型チタニア粉末当たり、1重
量部のRuを該粉末に担持させ、蒸発、乾燥後、500
℃、5時間焼成を行って、粉末触媒(No.1)を調製
した。粉末触媒(No.1)に水を加え、湿式ボールミ
ル粉砕を行い、ウォッシュコート用スラリーとした。次
に、コージェライト製モノリス基材(7.4mmピッ
チ、壁厚0.6mm)を上記スラリーに浸漬し、200
℃で乾燥させた。粉末触媒(No.1)の被覆量は、基
材の表面積1m2 当たり200gとし、得られた被覆物
をハニカムSO3 還元触媒(No.1)とした。
【0015】(脱硝触媒の調製法)アナターゼ型チタニ
ア(TiO2 )粉末にメタバナジン酸アンモニウム(N
3 VO3 )とパラタングステン酸アンモニウム((N
4 10101246・6H2 O)のメチルアミン水溶
液を含浸させ、100重量部のTiO2 当たり、V 2
5 を0.6重量部、WO3 を8重量部担持させ、蒸発乾
固後、500℃で5時間加熱焼成を行なった。得られた
粉末を粉末脱硝触媒(No.1)とした。粉末脱硝触媒
(No.1)に無機バインダーとして粘土を、さらに有
機バインダーとして酢酸セルロースを添加して、混練
後、一体型押し出し触媒(7.4mmピッチ、壁厚1m
m)に成型した。成型後、マイクロ波乾燥を行い、50
0℃で5時間焼成し、有機バインダーを除去した。得ら
れたハニカム触媒をハニカム脱硝触媒(No.1)とし
た。
【0016】(脱硝試験)図1に示すように、前段に上
記ハニカムSO3 還元触媒(No.1)を、後段に上記
ハニカム脱硝触媒(No.1)を設置して、脱硝試験を
行った。試験条件は次の通りである。 ・ガス組成 NO:150ppm、NH3 :200ppm、SO2
2,000ppm、SO3 :100ppm、O2 :1.
3%、H2 O:10% ・試験条件 ガス量:27Nm3 /h、温度:380℃、線速度:
3.3Nm/s 触媒形状:SO3 還元触媒 6×6セル、870mm
(1本) 脱硝触媒 6×6セル、870mm(3本)
【0017】触媒の配置図を図1に、触媒出口ガス組成
を表2に示す。図1において、排ガスは、ハニカムSO
3 還元触媒(No.1)、ハニカム脱硝触媒(No.
1)、ハニカム脱硝触媒(No.1)、ハニカム脱硝触
媒(No.1)の順で処理される。表2に示す測定値
は、図1中のA、B、C、Dの各地点で採取したガスを
用いて得た。表2から、3本の脱硝触媒を通過した後の
排ガス中のSO3 濃度は、ハニカムSO3 還元触媒(N
o.1)への導入前の排ガス中のSO3 濃度よりも小さ
いことが判る。すなわち、一連の触媒層を通過しても、
SO3 は増加せず、NOX のみを大幅に低減させること
ができる。このように、既存の脱硝装置において、脱硝
触媒の前段にSO3 還元触媒を設置するというわずかな
改造を加えるだけで、SO3 の発生を抑制する脱硝装置
を実現することができる。
【0018】実施例2 ハニカム脱硝触媒(No.1)の代わりにハニカムSO
3 還元触媒(No.1)を配置した他は実施例1と同様
にして、脱硝試験を行った。この場合でも、表2に示す
ように、ガス中のSO3 の濃度のみならず、窒素酸化物
の濃度も減少した。すなわち、ハニカムSO3 還元触媒
(No.1)は、脱硝触媒としても働いている。このよ
うに、本発明において、SO3 還元触媒と脱硝触媒は、
同一物質であってもよい。
【0019】実施例3 前段にハニカム脱硝触媒(No.1)を3本配置し、後
段にハニカムSO3 還元触媒(NO.1)を1本配置し
た他は実施例1と同様にして、脱硝試験を行った。
【0020】実施例4 実施例1で用いたSO3 還元触媒の粉末触媒(No.
1)を、実施例1で用いたハニカム脱硝触媒(No.
1)上に、ハニカム表面積1m2 当たり200gの添加
量となるように被覆した。この被覆物をハニカムSO3
還元触媒(No.2)とした。このハニカムSO3 触媒
(No.2)を、実施例1と同様に直列に4本配置し
て、脱硝試験を行った。本実施例は、SO3 還元触媒及
び脱硝触媒として、脱硝触媒上にSO3 還元触媒を担持
させてなる触媒を用いた例である。なお、実施例4で
は、入口アンモニア濃度が200ppmの場合と250
ppmの場合の各々について試験した。以上の各実施例
における触媒の配置図を図1に、触媒出口ガス組成を表
2にまとめて示す。
【0021】
【表2】
【0022】表2から、実施例1〜4のいずれにおいて
も、排ガス中のSO3 濃度が減少すると同時に、高い脱
硝率を得ていることが判る。
【0023】
【発明の効果】本発明の方法によれば、排ガス中の窒素
酸化物の濃度とSO3 の濃度を共に減少させることがで
きる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の一形態を示す工程図である。
【符号の説明】
1 ハニカムSO3 還元触媒(No.1) 2,3,4 ハニカム脱硝触媒(No.1)
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平10−249163(JP,A) 特開 平10−225620(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B01D 53/86 B01D 53/94 B01J 23/03 B01J 23/46

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 窒素酸化物及びSO3 を含有する排ガス
    にアンモニアを添加した後、該排ガスを、SO3 還元触
    媒及び脱硝触媒と接触させて、該排ガス中の窒素酸化物
    及びSO3 を還元することを特徴とする排ガス中の窒素
    酸化物及びSO3 の還元処理方法。
  2. 【請求項2】 上記SO3 還元触媒がRuを含有する請
    求項1に記載の方法。
  3. 【請求項3】 上記SO3 還元触媒と上記脱硝触媒が同
    一物質である請求項1に記載の方法。
  4. 【請求項4】 上記SO3 還元触媒及び上記脱硝触媒と
    して、脱硝触媒上にSO3 還元触媒を担持させてなる触
    媒を用いる請求項1に記載の方法。
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