JP4336922B2 - 液晶配向剤および液晶表示素子 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、液晶表示素子の液晶配向膜を形成するために用いられる液晶配向剤および液晶表示素子に関し、さらに詳しくは液晶配向性が良好であり、かつ液晶表示素子の残像消去時間が短い液晶配向膜を与え、しかも液晶表示素子に優れた長期信頼性をもたらす液晶配向膜を与える液晶配向剤および液晶表示素子に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、正の誘電異方性を有するネマチック型液晶を、ポリイミドなどからなる液晶配向膜を有する透明電極付き基板でサンドイッチ構造にし、液晶分子の長軸が基板間で90度連続的に捻れるようにしてなるTN(Twisted Nematic)型液晶セルを有する液晶表示素子(TN型液晶表示素子)が知られている。このTN型液晶表示素子における液晶の配向は、ラビング処理が施された液晶配向膜により形成されている。
【0003】
また最近では、コントラストおよび視角依存性に優れた液晶表示素子であるSTN(Super Twisted Nematic)型液晶表示素子や、垂直配向型液晶表示素子が開発されている。STN型液晶表示素子は、液晶としてネマチック型液晶に光学活性物質であるカイラル剤をブレンドしたものを用い、液晶分子の長軸を基板間で180度以上連続的に捻ることにより生じる複屈折効果を利用するものである。また、垂直配向型液晶表示素子は、例えば、液晶分子の誘電異方性が負の液晶を垂直配向させ、電圧印加により分子を倒して単純マトリックス駆動で動作させるものである。
【0004】
しかしながら、従来知られているポリアミック酸や、それを脱水閉環させて得られる構造を有するイミド系重合体などからなる液晶配向剤を用いて液晶表示素子を作成した場合、液晶表示素子の残留電圧が大きいため残像が生じ、この残像が消去される時間が長いために十分なコントラストが得られないという問題がある。また、当該液晶表示素子を長時間使用するとシミ状の表示欠陥が発生することがあり、これにより、液晶表示素子としての信頼性が損なわれていた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、良好な配向特性を発現することができるとともに、液晶表示素子において電圧の印加を解除してから残像が消去されるまでの時間(以下、「残像消去時間」という。)が短く、かつ長時間電圧の印加を行った際にシミの発生しない液晶配向膜を形成することができる液晶配向剤を提供することにある。
本発明の他の目的は、本発明の液晶配向剤からの液晶配向膜を備えた液晶表示素子を提供することにある。
本発明のさらに他の目的および利点は、以下の説明から明らかになろう。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、本発明の上記目的および利点は、第1に、
(1)(A)(a)テトラカルボン酸二無水物、(b)ジアミン化合物、および(c)ジカルボン酸無水物、モノアミン化合物およびモノイソシアネート化合物よりなる群から選ばれる少なくとも一種の化合物を反応させて得られ且つ脂環式骨格を有する末端封止ポリアミック酸並びに(B)このポリアミック酸を脱水閉環して得られる末端封止イミド化重合体よりなる群から選ばれる少なくとも一種の末端封止重合体、および
(2)(a)テトラカルボン酸二無水物と
(b)ジアミン化合物を反応させて得られる末端未封止ポリアミック酸並びにこのポリアミック酸を脱水閉環して得られる末端未封止イミド化重合体よりなる群から選ばれる少なくとも一種の末端未封止重合体を含有する液晶配向剤であって、該液晶配向剤中のポリアミック酸およびイミド化重合体の全体に占める(1)末端封止重合体の割合が5〜60重量%であることを特徴とする液晶配向剤によって達成される。
【0008】
また、本発明の液晶配向剤は、末端封止イミド化重合体と、末端未封止ポリアミック酸とを含有するのがさらに好ましい。
さらに、本発明によれば、本発明の上記目的および利点は、第2に、本発明の液晶配向剤より得られる液晶配向膜を具有することを特徴とする液晶表示素子によって達成される。
【0009】
以下、本発明を詳細に説明する。
[テトラカルボン酸二無水物]
本発明に用いられる末端封止ポリアミック酸および末端封止イミド化重合体は、脂環式のテトラカルボン酸二無水物を用いることによって脂環式骨格を導入することが好ましい。当該脂環式テトラカルボン酸二無水物としては、例えば、2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物、3,5,6−トリカルボキシノルボルナン−2−酢酸二無水物、2,4,5−トリカルボキシシクロヘキシル酢酸二無水物、1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2−ジメチル−1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,3−ジメチル−1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,3−ジクロロ−1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−テトラメチル−1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,4,5−シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ジシクロヘキシルテトラカルボン酸二無水物、2,3,4,5−テトラヒドロフランテトラカルボン酸二無水物、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−5(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]−フラン−1,3−ジオン、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−5−メチル−5(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]−フラン−1,3−ジオン、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−5−エチル−5(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]−フラン−1,3−ジオン、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−7−メチル−5(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]−フラン−1,3−ジオン、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−7−エチル−5(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]−フラン−1,3−ジオン、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−8−メチル−5(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]−フラン−1,3−ジオン、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−8−エチル−5(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]−フラン−1,3−ジオン、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−5,8−ジメチル−5(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]−フラン−1,3−ジオン、5−(2,5−ジオキソテトラヒドロフラル)−3−メチル−3−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸二無水物、ビシクロ[2.2.2]−オクト−7−エン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物、下記式(1)、(2)、(3)で表わされるテトラカルボン酸二無水物などが挙げられる。
【0010】
【化1】
【0011】
(式中、R1、R3およびR5は脂環族の二価の有機基を示し、R2、R4およびR6は水素原子またはアルキル基を示し、複数存在するR2、R4およびR6はそれぞれ同一でも異なっていてもよい。)
これらのテトラカルボン酸二無水物は1種単独でまたは2種以上組み合わせて用いられる。
【0012】
これらのうち、2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物、3,5,6−トリカルボキシノルボルナン−2−酢酸二無水物、2,4,5−トリカルボキシシクロヘキシル酢酸二無水物、1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,3−ジメチル−1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物、5−(2,5−ジオキソテトラヒドロフラル)−3−メチル−3−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸二無水物、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−5−(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]フラン−1,3−ジオン、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−8−メチル−5−(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]フラン−1,3−ジオン、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−5,8−ジメチル−5−(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]フラン−1,3−ジオン、ビシクロ[2.2.2]−オクト−7−エン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物、上記式(4)で表される化合物のうち下記式(4)で表される化合物が、良好な液晶配向性を発現させることができる観点から好ましく、特に好ましいものとして、2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物、2,4,5−トリカルボキシシクロヘキシル酢酸二無水物、1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,3−ジメチル−1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−5−(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]フラン−1,3−ジオン、および1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−8−メチル−5−(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]フラン−1,3−ジオンを挙げることができる。
【0013】
また、本発明で用いられる末端封止ポリアミック酸および末端封止イミド化重合体は、本発明の効果を損なわない程度に、その他のテトラカルボン酸二無水物を用いて得られてもよい。また、末端未封止ポリアミック酸および末端未封止イミド化重合体は、上記脂環式テトラカルボン酸二無水物以外に、芳香族テトラカルボン酸二無水物、脂肪族テトラカルボン酸二無水物などから得られるものであってもよい。
【0014】
このようなその他のテトラカルボン酸二無水物としては、ピロメリット酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ジメチルジフェニルシランテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−テトラフェニルシランテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−フランテトラカルボン酸二無水物、4,4’−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルスルフィド二無水物、4,4’−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルスルホン酸二無水物、4,4’−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルプロパン二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、ビス(フタル酸)フェニルホスフィンオキサイド二無水物、p−フェニレン−ビス(トリフェニルフタル酸)二無水物、m−フェニレン−ビス(トリフェニルフタル酸)二無水物、ビス(トリフェニルフタル酸)−4,4’−ジフェニルエーテル二無水物、ビス(トリフェニルフタル酸)−4,4’−ジフェニルメタン二無水物、エチレングリコール−ビス(アンヒドロトリメリート)、プロピレングリコール−ビス(アンヒドロトリメリテート)、3,3’,4,4’−パーフルオロイソプロピリデンジフタル酸二無水物、1,4−ブタンジオール−ビス(アンヒドロトリメリテート)、1,6−ヘキサンジオール−ビス(アンヒドロトリメリテート)、1,8−オクタンジオール−ビス(アンヒドロトリメリテート)、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン−ビス(アンヒドロトリメリテート)、下記式(4)〜(7)で表される化合物などの芳香族テトラカルボン酸二無水物;ブタンテトラカルボン酸二無水物などの脂肪族テトラカルボン酸二無水物を挙げることができる。これらは1種単独でまたは2種以上組み合わせて用いられる。
【0015】
【化2】
【0016】
[ジアミン化合物]
ジアミン化合物としては、例えばパラフェニレンジアミン、メタフェニレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルエタン、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、4,4’−ジアミノベンズアニリド、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、1,5−ジアミノナフタレン、3,3−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、5−アミノ−1−(4’−アミノフェニル)−1,3,3−トリメチルインダン、6−アミノ−1−(4’−アミノフェニル)−1,3,3−トリメチルインダン、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,3’−ジアミノベンゾフェノン、3,4’−ジアミノベンゾフェノン、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、9,9−ビス(4−アミノフェニル)−10−ヒドロアントラセン、2,7−ジアミノフルオレン、9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン、4,4’−メチレン−ビス(2−クロロアニリン)、2,2’,5,5’−テトラクロロ−4,4’−ジアミノビフェニル、2,2’−ジクロロ−4,4’−ジアミノ−5,5’−ジメトキシビフェニル、3,3’−ジメトキシ−4,4’−ジアミノビフェニル、1,4,4’−(パラフェニレンイソプロピリデン)ビスアニリン、4,4’−(メタフェニレンイソプロピリデン)ビスアニリン、2,2’−ビス[4−(4−アミノ−2−トリフルオロメチルフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、4,4’−ジアミノ−2,2’−ビス(トリフルオロメチル)ビフェニル、4,4’−ビス[(4−アミノ−2−トリフルオロメチル)フェノキシ]−オクタフルオロビフェニルなどの芳香族ジアミン;
1,1−メタキシリレンジアミン、1,3−プロパンジアミン、テトラメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ヘプタメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン、4,4−ジアミノヘプタメチレンジアミンなどの脂肪族ジアミン;1,4−ジアミノシクロヘキサン、イソホロンジアミン、テトラヒドロジシクロペンタジエニレンジアミン、ヘキサヒドロ−4,7−メタノインダニレンジメチレンジアミン、トリシクロ[6.2.1.02,7]−ウンデシレンジメチルジアミン、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルアミン)、1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、2,5−ビス(アミノメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン、2,6−ビス(アミノメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタンなどの脂環式ジアミン;
2,3−ジアミノピリジン、2,6−ジアミノピリジン、3,4−ジアミノピリジン、2,4−ジアミノピリミジン、5,6−ジアミノ−2,3−ジシアノピラジン、5,6−ジアミノ−2,4−ジヒドロキシピリミジン、2,4−ジアミノ−6−ジメチルアミノ−1,3,5−トリアジン、1,4−ビス(3−アミノプロピル)ピペラジン、2,4−ジアミノ−6−イソプロポキシ−1,3,5−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−メトキシ−1,3,5−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−フェニル−1,3,5−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−メチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−1,3,5−トリアジン、4,6−ジアミノ−2−ビニル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−5−フェニルチアゾール、2,6−ジアミノプリン、5,6−ジアミノ−1,3−ジメチルウラシル、3,5−ジアミノ−1,2,4−トリアゾール、6,9−ジアミノ−2−エトキシアクリジンラクテート、3,8−ジアミノ−6−フェニルフェナントリジン、1,4−ジアミノピペラジン、3,6−ジアミノアクリジン、ビス(4−アミノフェニル)フェニルアミンおよび下記式(8)および(11)で表される化合物などの、分子内に2つの1級アミノ基および該1級アミノ基以外の窒素原子を有するジアミン;
【0017】
【化3】
【0018】
(式中、R7は、ピリジン、ピリミジン、トリアジン、ピペリジンおよびピペラジンから選ばれる窒素原子を含む環構造を有する1価の有機基を示し、Xは2価の有機基を示す。)
【0019】
【化4】
【0020】
(式中、R8は、ピリジン、ピリミジン、トリアジン、ピペリジンおよびピペラジンから選ばれる窒素原子を含む環構造を有する2価の有機基を示し、Xは2価の有機基を示し、複数存在するXは、同一でも異なっていてもよい。)
下記式(10)で表されるモノ置換フェニレンジアミン類;下記式(11)で表されるジアミノオルガノシロキサン;
【0021】
【化5】
【0022】
(式中、R9は、−O−、−COO−、−OCO−、−NHCO−、−CONH−および−CO−から選ばれる2価の有機基を示し、R10は、ステロイド骨格、トリフルオロメチル基およびフルオロ基から選ばれる基を有する1価の有機基または炭素数6〜30のアルキル基を示す。)
【0023】
【化6】
【0024】
(式中、R11は炭素数1〜12の炭化水素基を示し、複数存在するR11は、それぞれ同一でも異なっていてもよく、pは1〜3の整数であり、qは1〜20の整数である。)
下記式(12)〜(16)で表される化合物などを挙げることができる。これらのジアミン化合物は、単独でまたは2種以上組み合わせて用いることができる。
【0025】
【化7】
【0026】
(式中、yは2〜12の整数であり、zは1〜5の整数である。)
これらのうち、パラフェニレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、1,5−ジアミノナフタレン、2,7−ジアミノフルオレン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、4,4’−ジアミノ−2,2’−ビス(トリフルオロメチル)ビフェニル、4,4’−(パラフェニレンジイソプロピリデン)ビスアニリン、4,4’−(メタフェニレンジイソプロピリデン)ビスアニリン、1,4−シクロヘキサンジアミン、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルアミン)、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、2,5−ビス(アミノメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン、2,6−ビス(アミノメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン、上記式(12)〜(16)で表される化合物、2,6−ジアミノピリジン、3,4−ジアミノピリジン、2,4−ジアミノピリミジン、3,6−ジアミノアクリジンおよび上記式(8)で表される化合物の具体例として下記式(17)で表される化合物、上記式(9)で表される化合物の具体例として下記式(18)で表される化合物、上記式(10)で表される化合物の具体例として、デカノキシ−2,4−ジアミノベンゼン、ウンデカノキシ−2,4−ジアミノベンゼン、ドデカノキシ−2,4−ジアミノベンゼン、ペンタデカノキシ−2,4−ジアミノベンゼン、ヘキサデカノキシ−2,4−ジアミノベンゼン、オクタデカノキシ−2,4−ジアミノベンゼン、下記式(19)〜(24)で表される化合物が好ましい。なお、本発明に用いられる末端封止ポリアミック酸および末端封止イミド化重合体は、上述した脂環式ジアミンを用いることによって脂環式骨格を導入してもよい。
【0027】
【化8】
【0028】
[ジカルボン酸無水物]
ジカルボン酸無水物としては例えば無水マレイン酸、無水フタル酸、無水イタコン酸、n−デシルサクシニック酸無水物、n−ドデシルサクシニック酸無水物、n−テトラデシルサクシニック酸無水物、n−ヘキサデシルサクシニック酸無水物などを挙げることができる。これらは単独であるいは2種以上一緒に用いることができる。
【0029】
[モノアミン化合物]
モノアミン化合物としては、例えばアニリン、シクロヘキシルアミン、n−ブチルアミン、n−ペンチルアミン、n−ヘキシルアミン、n−ヘプチルアミン、n−オクチルアミン、n−ノニルアミン、n−デシルアミン、n−ウンデシルアミン、n−ドデシルアミン、n−トリデシルアミン、n−テトラデシルアミン、n−ペンタデシルアミン、n−ヘキサデシルアミン、n−ヘプタデシルアミン、n−オクタデシルアミン、n−エイコシルアミン、アミノメチルトリメチルシラン、アミノメチルトリエチルシラン、アミノメチルトリプロピルシラン、アミノエチルトリメチルシラン、アミノエチルトリエチルシラン、アミノエチルトリプロピルシラン、アミノプロピルトリメチルシラン、アミノプロピルトリエチルシラン、アミノプロピルトリプロピルシラン、アミノメチルトリメトキシシラン、アミノメチルトリエトキシシラン、アミノメチルトリプロポキシシラン、アミノメチルジメトキシメチルシラン、アミノメチルメトキシジメチルシラン、アミノメチルジエトキシメチルシラン、アミノメチルエトキシジメチルシラン、アミノメチルジメトキシエチルシラン、アミノメチルメトキシジエチルシラン、アミノメチルジエトキシエチルシラン、アミノメチルエトキシジエチルシラン、アミノエチルジメトキシメチルシラン、アミノエチルメトキシジメチルシラン、アミノエチルジエトキシメチルシラン、アミノエチルエトキシジメチルシラン、アミノエチルジメトキシエチルシラン、アミノエチルメトキシジエチルシラン、アミノエチルジエトキシエチルシラン、アミノエチルエトキシジエチルシラン、アミノプロピルジメトキシメチルシラン、アミノプロピルメトキシジメチルシラン、アミノプロピルジエトキシメチルシラン、アミノプロピルエトキシジメチルシラン、アミノプロピルジメトキシエチルシラン、アミノプロピルメトキシジエチルシラン、アミノプロピルジエトキシエチルシラン、アミノプロピルエトキシジエチルシラン、アミノメチルフェニルジメチルシランなどを挙げることができ、n−デシルアミン、n−ウンデシルアミン、n−ドデシルアミン、n−トリデシルアミン、n−テトラデシルアミン、n−ペンタデシルアミン、n−ヘキサデシルアミン、n−ヘプタデシルアミン、n−オクタデシルアミン、n−エイコシルアミン、アミノメチルトリメチルシラン、アミノメチルトリエチルシラン、アミノメチルトリプロピルシラン、アミノエチルトリメチルシラン、アミノエチルトリエチルシラン、アミノエチルトリプロピルシラン、アミノプロピルトリメチルシラン、アミノプロピルトリエチルシラン、アミノプロピルトリプロピルシランが好ましい。これらは単独であるいは2種以上一緒に用いることができる。
【0030】
[モノイソシアネート化合物]
また、モノイソシアネート化合物としては、例えばシクロヘキシルイソシアネート、n−デシルイソシアネート、n−ウンデシルイソシアネート、n−ドデシルイソシアネート、n−トリデシルイソシアネート、n−テトラデシルイソシアネート、n−ペンタデシルイソシアネート、n−ヘキサデシルイソシアネート、n−ヘプタデシルイソシアネート、n−オクタデシルイソシアネート、n−エイコシルイソシアネート、フェニルイソシアネート、ナフチルイソシアネートなどを挙げることができる。これらは単独であるいは2種以上一緒に用いることができる。
【0031】
[ポリアミック酸]
ポリアミック酸の合成反応に供されるテトラカルボン酸二無水物とジアミン化合物の使用割合は、ジアミン化合物に含まれるアミノ基1当量に対して、テトラカルボン酸二無水物の酸無水物基が0.2〜2当量となる割合が好ましく、より好ましくは0.3〜1.2当量となる割合である。末端封止ポリアミック酸を製造する場合には、ジカルボン酸無水物、モノアミン化合物またはモノイソシアネート化合物がさらに用いられる。ジカルボン酸無水物、モノアミン化合物またはモノイソシアネート化合物の使用割合は、ジアミン化合物に含まれるアミノ基1当量に対してジカルボン酸無水物の酸無水物基、モノアミン化合物のアミノ基またはモノイソシアネート化合物のイソシアネート基が0.001〜0.8当量となる割合が好ましく、0.01〜0.2当量となる割合がより好ましい。
【0032】
ポリアミック酸の合成反応は、有機溶媒中で、通常0〜150℃、好ましくは0〜100℃の反応温度で1〜48時間にわたって行われる。上記有機溶媒としては、反応で生成する反応物を溶解しうるものであれば特に制限はない。例えば、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、γ−ブチロラクトン、テトラメチル尿素、ヘキサメチルホスホルトリアミドなどの非プロトン系極性溶媒;m−クレゾール、キシレノール、フェノール、ハロゲン化フェノールなどのフェノール系溶媒を挙げることができる。有機溶媒の使用量は、通常、テトラカルボン酸二無水物およびジアミン化合物の総量が、反応溶液の全量に対して0.1〜40重量%になるようにするのが好ましい。
【0033】
なお、上記有機溶媒には、ポリアミック酸の貧溶媒であるアルコール類、ケトン類、エステル類、エーテル類、ハロゲン化炭化水素類、炭化水素類などを、生成するポリアミック酸が析出しない範囲で併用することができる。かかる貧溶媒の具体例としては、例えばメチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、シクロヘキサノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、トリエチレングリコール、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、シュウ酸ジエチル、マロン酸ジエチル、ジエチルエーテル、エチレングリコールメチルエーテル、エチレングリコールエチルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールメチルフェニルエーテル、エチレングリコールエチルフェニルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールメチルエーテルアセテート、エチレングリコールエチルエーテルアセテート、4−ヒドロキシ−4−メチル−2−ペンタノン、2,4−ペンタンジオン、2,5−ヘキサンジオン、2−ヒドロキシプロピオン酸エチル、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸エチル、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸エチル、エトキシ酢酸エチル、ヒドロキシ酢酸エチル、2−ヒドロキシ−3−メチルブタン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸メチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、ピルビン酸ヒドロキシメチル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、メチルメトキシブタノール、エチルメトキシブタノール、メチルエトキシブタノール、エチルエトキシブタノール、テトラヒドロフラン、テトラヒドロフルフリルアルコール、テトラヒドロ−3−フランメタノール、1,3−ジオキソラン、1,3−ジオキセパン、4−メチル−1,3−ジオキソラン、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、1,4−ジクロロブタン、トリクロロエタン、クロルベンゼン、o−ジクロルベンゼン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ベンゼン、トルエン、キシレンなどを挙げることができる。これらは単独でまたは2種以上を組み合わせて用いられる。
【0034】
以上の合成反応によって、ポリアミック酸を溶解してなる反応溶液が得られる。そして、この反応溶液を大量の貧溶媒中に注いで析出物を得、この析出物を減圧下乾燥することによりポリアミック酸を得ることができる。また、このポリアミック酸を再び有機溶媒に溶解させ、次いで貧溶媒で析出する工程を1回または数回行うことにより、ポリアミック酸の精製を行うことができる。
【0035】
[イミド化重合体]
本発明の液晶配向剤を構成する末端封止および末端未封止イミド化重合体は、上記の相当するポリアミック酸を脱水閉環することにより調製することができる。ポリアミック酸の脱水閉環は、(i)ポリアミック酸を加熱する方法により、または(ii)ポリアミック酸を有機溶媒に溶解し、この溶液中に脱水剤および脱水閉環触媒を添加し必要に応じて加熱する方法により行われる。また、本発明で使用されるイミド化重合体には、部分的に脱水閉環された、イミド化率(重合体中のアミック酸繰り返し単位とイミド繰返し単位との合計数に対するイミド繰り返し単位の割合を%で表したもの)が100%未満のイミド化重合体が含まれていてもよい。イミド化重合体におけるイミド化率は、好ましくは40%以上、特に好ましくは80%以上である。
【0036】
上記(i)のポリアミック酸を加熱する方法における反応温度は、通常50〜200℃とされ、好ましくは60〜170℃とされる。反応温度が50℃未満では脱水閉環反応が十分に進行せず、反応温度が200℃を超えると得られるイミド化重合体の分子量が低下することがある。
【0037】
一方、上記(ii)のポリアミック酸の溶液中に脱水剤および脱水閉環触媒を添加する方法において、脱水剤としては、例えば無水酢酸、無水プロピオン酸、無水トリフルオロ酢酸などの酸無水物を用いることができる。脱水剤の使用量は、ポリアミック酸の繰り返し単位1モルに対して0.01〜20モルとするのが好ましい。また、脱水閉環触媒としては、例えばピリジン、コリジン、ルチジン、トリエチルアミンなどの3級アミンを用いることができる。しかし、これらに限定されるものではない。脱水閉環触媒の使用量は、使用する脱水剤1モルに対して0.01〜10モルとするのが好ましい。なお、脱水閉環反応に用いられる有機溶媒としては、ポリアミック酸の合成に用いられるものとして例示した有機溶媒を挙げることができる。そして、脱水閉環反応の反応温度は、通常0〜180℃、好ましくは10〜150℃とされる。また、このようにして得られる反応溶液に対し、ポリアミック酸の精製方法と同様の操作を行うことにより、イミド化重合体を精製することができる。
【0038】
[重合体の対数粘度]
本発明に用いられる液晶配向剤を構成する重合体は、末端封止、末封止のいずれのポリアミック酸およびイミド化重合体も、その対数粘度(ηln)の値が、好ましくは0.05〜10dl/g、さらに好ましくは0.05〜5dl/gのものである。ここに、対数粘度(ηln)の値は、N−メチル−2−ピロリドンを溶媒として用い、重合体の濃度が0.5g/100ミリリットルである溶液について30℃で粘度の測定を行い、下記式(1)で示される式によって求められるものである。
【0039】
【数1】
【0040】
<液晶配向剤>
本発明の液晶配向剤は、末端封止ポリアミック酸および/または末端封止イミド化重合体が有機溶媒中に溶解含有されて構成される。この液晶配向剤に用いられるそれぞれのポリアミック酸および/またはイミド化重合体は、単独でも、2種類以上を組み合わせて用いることができる。本発明の液晶配向剤は、通常知られている末端未封止ポリアミック酸および/または末端未封止イミド化重合体を、さらに含有している。ここで、液晶配向剤中のポリアミック酸およびイミド化重合体の全体に占める、末端封止ポリアミック酸および/または末端封止イミド化重合体の割合は5〜60重量%であり、10〜60重量%がより好ましい。また、末端封止イミド化重合体と、通常知られている末端未封止ポリアミック酸とを併せて用いることが、特に好ましい。この液晶配向剤を構成する有機溶媒としては、ポリアミック酸の合成反応や脱水閉環反応に用いられるものとして例示した溶媒と同じものを挙げることができる。また、ポリアミック酸の合成反応の際に併用することができるものとして例示した貧溶媒と同じものも適宜選択して併用することができる。
【0041】
本発明の液晶配向剤における末端封止重合体と末端未封止重合体の合計濃度は、粘性、揮発性などを考慮して選択されるが、好ましくは1〜10重量%の範囲である。すなわち、本発明の液晶配向剤は、基板表面に塗布され、液晶配向膜となる塗膜が形成されるが、濃度が1重量%未満である場合には、この塗膜の膜厚が過小となって良好な液晶配向膜を得ることが困難であり、濃度が10重量%を超える場合には、塗膜の膜厚が過大となって良好な液晶配向膜を得ることがやはり困難であり、また、液晶配向剤の粘性が増大して塗布特性が劣るものとなる。
【0042】
本発明の液晶配向剤には、ポリアミック酸および/またはイミド化重合体の基板表面に対する接着性を向上させる観点から、官能性シラン含有化合物が含有されていてもよい。かかる官能性シラン含有化合物としては、例えば3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、2−アミノプロピルトリメトキシシラン、2−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3−ウレイドプロピルトリメトキシシラン、3−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、N−エトキシカルボニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−エトキシカルボニル−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−トリエトキシシリルプロピルトリエチレントリアミン、N−トリメトキシシリルプロピルトリエチレントリアミン、10−トリメトキシシリル−1,4,7−トリアザデカン、10−トリエトキシシリル−1,4,7−トリアザデカン、9−トリメトキシシリル−3,6−ジアザノニルアセテート、9−トリエトキシシリル−3,6−ジアザノニルアセテート、N−ベンジル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−ベンジル−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−ビス(オキシエチレン)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−ビス(オキシエチレン)−3−アミノプロピルトリエトキシシランなどを挙げることができる。
【0043】
本発明の液晶配向剤には、基板に対する密着性をさらに向上させることを目的として、エポキシ基含有化合物が含有されていてもよい。かかるエポキシ基含有化合物としては、例えばエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、トリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、グリセリンジグリシジルエーテル、2,2−ジブロモネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、1,3,5,6−テトラグリシジル−2,4−ヘキサンジオール、N,N,N’,N’−テトラグリシジル−m−キシレンジアミン、1,3−ビス(N,N−ジグリシジルアミノメチル)シクロヘキサン、N,N,N’,N’−テトラグリシジル−4、4’−ジアミノジフェニルメタン、3―(N−アリル−N−グリシジル)アミノプロピルトリメトキシシラン、3−(N,N−ジグリシジル)アミノプロピルトリメトキシシランなどを挙げることができる。これらのうち、分子内に、三級窒素原子を有する化合物が好ましく、これらエポキシ基含有化合物の配合割合は、重合体100重量部に対して、通常、40重量部以下、好ましくは0.1〜30重量部である。
【0044】
<液晶表示素子>
本発明の液晶配向剤を用いて得られる液晶表示素子は、例えば次の方法によって製造することができる。
【0045】
(1)パターニングされた透明導電膜が設けられている基板の一面に、本発明の液晶配向剤を例えばロールコーター法、スピンナー法、印刷法などの方法によって塗布し、次いで、塗布面を加熱することにより被膜を形成する。ここに、基板としては、例えばフロートガラス、ソーダガラスなどのガラス;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエーテルスルホン、ポリカーボネートなどのプラスチックからなる透明基板を用いることができる。また、基板の一面に設けられる透明導電膜としては、酸化スズ(SnO2)からなるNESA膜(米国PPG社登録商標)、酸化インジウム−酸化スズ(In2O3−SnO2)からなるITO膜などを用いることができる。これらの透明導電膜のパターニングには、フォト・エッチング法や予めマスクを用いる方法が用いられる。液晶配向剤の塗布に際しては、基板表面および透明導電膜と液晶配向剤の被膜との接着性をさらに良好にするために、基板の該表面に、官能性シラン含有化合物、官能性チタン含有化合物などを予め塗布することもできる。また加熱温度は、好ましくは80〜250℃であり、より好ましくは120〜200℃である。形成される被膜の膜厚は、通常0.001〜1μmであり、好ましくは0.005〜0.5μmである。なお、末端封止または末端未封止ポリアミック酸を含有する本発明の液晶配向剤は、塗布後に有機溶媒を除去することによって液晶配向膜となる被膜を形成するが、さらに加熱することによって脱水閉環を進行させ、一部イミド化または完全にイミド化された被膜とすることもできる。
【0046】
(2)液晶配向剤によって形成された被膜表面を、例えばナイロン、レーヨン、コットンなどの繊維からなる布を巻き付けたロールで一定方向に擦るラビング処理を行う。これにより、液晶分子の配向能が被膜に付与されて液晶配向膜となる。また、ラビング処理による方法以外に、樹脂膜表面に偏光紫外線、イオンビーム、電子ビーム等を照射して配向能を付与する方法や、一軸延伸法、ラングミュア・ブロジェット法などで被膜を得る方法などにより、液晶配向膜を形成することもできる。なお、ラビング処理時に発生する微粉体(異物)を除去して表面を清浄な状態とするために、形成された液晶配向膜をイソプロピルアルコールなどによって洗浄することが好ましい。また、形成された液晶配向膜の表面に紫外線、イオンビーム、電子ビーム等を部分的に照射することによりプレチルト角を変化させる処理(特開平6−222366号公報、特開平6−281937号公報、特開平7−168187号公報および特開平8−234207号公報参照)、形成された液晶配向膜の表面にレジスト膜を部分的に形成し、先行のラビング処理とは異なる方向にラビング処理を行った後、前記レジスト膜を除去して、液晶配向膜の配向能を変化させるような処理(特開平5−107544号公報参照)を行うことによって、作製される液晶表示素子の視野角特性を改善することもできる。
【0047】
(3)上記のようにして液晶配向膜が形成された基板を2枚作製し、それぞれの液晶配向膜における配向処理方向、すなわちラビング方向が直交または逆平行となるように、2枚の基板を、間隙(セルギャップ)を介して対向配置し、2枚の基板の周辺部をシール剤を用いて貼り合わせ、基板表面およびシール剤により区画されたセルギャップ内に液晶を注入充填し、注入孔を封止して液晶セルを構成する。そして、液晶セルの外表面、すなわち、液晶セルを構成するそれぞれの基板の他面側に、偏光板を、その偏光方向が当該基板の一面に形成された液晶配向膜のラビング方向と一致または直交するように貼り合わせることにより、液晶表示素子が得られる。
【0048】
ここに、シール剤としては、例えば硬化剤およびスペーサーとしての酸化アルミニウム球を含有するエポキシ樹脂などを用いることができる。
【0049】
液晶としては、ネマティック型液晶およびスメクティック型液晶を挙げることができる。その中でもネマティック型液晶が好ましく、例えばシッフベース系液晶、アゾキシ系液晶、ビフェニル系液晶、フェニルシクロヘキサン系液晶、エステル系液晶、ターフェニル系液晶、ビフェニルシクロヘキサン系液晶、ピリミジン系液晶、ジオキサン系液晶、ビシクロオクタン系液晶、キュバン系液晶などを用いることができる。また、これらの液晶に、例えばコレスチルクロライド、コレステリルノナエート、コレステリルカーボネートなどのコレステリック型液晶や商品名「C−15」「CB−15」(メルク社製)として販売されているようなカイラル剤などを添加して使用することもできる。さらに、p−デシロキシベンジリデン−p−アミノ−2−メチルブチルシンナメートなどの強誘電性液晶も使用することができる。
また、液晶セルの外表面に貼り合わされる偏光板としては、ポリビニルアルコールを延伸配向させながら、ヨウ素を吸収させたH膜と称される偏光膜を酢酸セルロース保護膜で挟んだ偏光板またはH膜そのものからなる偏光板を挙げることができる。
【0050】
【実施例】
以下、本発明を実施例により、さらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に制限されるものではない。
なお、実施例中におけるプレチルト角の測定は、[T.J.Schffer, et al., J.Appl.Phys., 19, 2013(1980)]に記載の方法に準拠し、He−Neレーザー光を用いる結晶回転法により行った。
また、以下の実施例および比較例において、液晶表示素子における残像消去時間および液晶の配向性についての評価方法は、以下のとおりである。
【0051】
(残像消去時間)
液晶セルに10Vの直流電圧を1時間印加した後、当該電圧の印加を解除し、表示画面を目視により観察して、電圧の印加を解除してから画面上の残像が消去されるまでの時間を測定した。
【0052】
(液晶の配向性)
電圧をオン・オフ(印加・解除)したときの異常ドメインの有無を偏光顕微鏡で観察し、異常ドメインの認められない場合を「良好」と判定した。
【0053】
(液晶表示素子の信頼性試験)
高温高湿環境(温度70℃、相対湿度80%)下において、液晶表示素子を5V、60Hzの矩形波で駆動させ、1500時間経過後における白いシミ状の表示欠陥の有無を偏光顕微鏡で観察した。
【0054】
合成例1
500mlセパラブルフラスコに2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物32.84g(146.48ミリモル)、パラフェニレンジアミン15.37g(142.09ミリモル)、コレステリル−3,5−ジアミノベンゾエート(上記式(19)で表される化合物)1.53g(2.93ミリモル)およびアニリン0.27g(2.93ミリモル)を、N−メチル−2−ピロリドン450gに溶解させ、室温で6時間反応させた。次いで、反応溶液を大過剰のメチルアルコールに注いで反応生成物を沈澱させた。その後、メチルアルコールで洗浄し、減圧下40℃で15時間乾燥させることにより、対数粘度が1.18dl/gであるポリアミック酸〔これを「ポリアミック酸(1)」とする〕45.42gを得た。
得られたポリアミック酸40gをN−メチルピロリドン360gに溶解し、ピリジン46.35gと、無水酢酸35.89gとを添加し、110℃で4時間加熱することにより脱水閉環反応させた。次いで、反応生成液をポリアミック酸合成時と同様にして沈澱および乾燥させ、対数粘度が1.05dl/gであるポリイミド〔これを「ポリイミド(1)」とする〕36.4gを得た。
【0055】
合成例2
500mlセパラブルフラスコに2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物32.92g(146.85ミリモル)、パラフェニレンジアミン15.40g(142.41ミリモル)、4−(4’−トリフルオロメチルベンゾイロキシ)シクロヘキシル−3,5−ジアミノベンゾアート(上記式(23)で表される化合物)1.24g(2.94ミリモル)および無水フタル酸0.44g(2.94ミリモル)を、N−メチル−2−ピロリドン450gに溶解させ、室温で6時間反応させた。次いで、反応溶液を大過剰のメチルアルコールに注いで反応生成物を沈澱させた。その後、メチルアルコールで洗浄し、減圧下40℃で15時間乾燥させることにより、対数粘度が1.10dl/gであるポリアミック酸〔これを「ポリアミック酸(2)」とする〕45.22gを得た。
得られたポリアミック酸40gをN−メチルピロリドン360gに溶解し、ピリジン46.46gと、無水酢酸35.98gとを添加し、110℃で4時間加熱することにより脱水閉環反応させた。次いで、反応生成液をポリアミック酸合成時と同様にして沈澱および乾燥させ、対数粘度が1.01dl/gであるポリイミド〔これを「ポリイミド(2)」とする〕36.1gを得た。
【0056】
合成例3
500mlセパラブルフラスコに2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物31.14g(138.3ミリモル)、パラフェニレンジアミン11.57g(106.98ミリモル)、ジアミノジフェニルメタン5.51g(27.79ミリモル)、コレステリル−3,5−ジアミノベンゾエート(上記式(19)で表される化合物)1.45g(2.78ミリモル)およびフェニルイソシアナート0.33g(2.78ミリモル)を、N−メチル−2−ピロリドン450gに溶解させ、室温で6時間反応させた。次いで、反応溶液を大過剰のメチルアルコールに注いで反応生成物を沈澱させた。その後、メチルアルコールで洗浄し、減圧下40℃で15時間乾燥させることにより、対数粘度が0.90dl/gであるポリアミック酸〔これを「ポリアミック酸(3)とする〕44.28gを得た。
得られたポリアミック酸40gをN−メチルピロリドン360gに溶解し、ピリジン43.96gと、無水酢酸34.04gとを添加し、110℃で4時間加熱することにより脱水閉環反応させた。次いで、反応生成液をポリアミック酸合成時と同様にして沈澱および乾燥させ、対数粘度が0.88dl/gであるポリイミド〔これを「ポリイミド(3)」とする〕36.06gを得た。
【0057】
合成例4
500mlセパラブルフラスコに1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−8−メチル−5−(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]フラン−1,3−ジオン36.05g(114.70ミリモル)、パラフェニレンジアミン11.78g(108.96ミリモル)、4−(4’−トリフルオロメチルベンゾイロキシ)シクロヘキシル−3,5−ジアミノベンゾアート(上記式(23)で表される化合物)1.94g(4.59ミリモル)およびシクロヘキシルアミン0.23g(2.29ミリモル)を、N−メチル−2−ピロリドン450gに溶解させ、室温で6時間反応させた。次いで、反応溶液を大過剰のメチルアルコールに注いで反応生成物を沈澱させた。その後、メチルアルコールで洗浄し、減圧下40℃で15時間乾燥させることにより、対数粘度が0.92dl/gであるポリアミック酸〔これを「ポリアミック酸(4)とする〕45.78gを得た。
得られたポリアミック酸40gをN−メチルピロリドン360gに溶解し、ピリジン29.03gと、無水酢酸65.58gとを添加し、80℃で4時間加熱することにより脱水閉環反応させた。次いで、反応生成液をポリアミック酸合成時と同様にして沈澱および乾燥させ、対数粘度が0.85dl/gであるポリイミド〔これを「ポリイミド(4)」とする〕35.66gを得た。
【0058】
合成例5
500mlセパラブルフラスコに1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−8−メチル−5−(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]フラン−1,3−ジオン33.96g(108.05ミリモル)、パラフェニレンジアミン8.76g(81.04ミリモル)、ジアミノジフェニルメタン4.28g(21.61ミリモル)、3,6−ビス(4−アミノベンゾイルオキシ)コレスタン(上記式(12)で表される化合物)2.78g(4.32ミリモル)および無水マレイン酸0.21g(2.16ミリモル)を、N−メチル−2−ピロリドン450gに溶解させ、室温で6時間反応させた。次いで、反応溶液を大過剰のメチルアルコールに注いで反応生成物を沈澱させた。その後、メチルアルコールで洗浄し、減圧下40℃で15時間乾燥させることにより、対数粘度が0.90dl/gであるポリアミック酸〔これを「ポリアミック酸(5)とする〕43.71gを得た。
得られたポリアミック酸40gをN−メチルピロリドン360gに溶解し、ピリジン27.35gと、無水酢酸61.77gとを添加し、80℃で4時間加熱することにより脱水閉環反応させた。次いで、反応生成液をポリアミック酸合成時と同様にして沈澱および乾燥させ、対数粘度が0.83dl/gであるポリイミド〔これを「ポリイミド(5)」とする〕34.39gを得た。
【0059】
合成例6
500mlセパラブルフラスコに1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−8−メチル−5−(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]フラン−1,3−ジオン31.38g(99.83ミリモル)、パラフェニレンジアミン8.10g(74.87ミリモル)、2,2−ビス(4−アミノフェノキシフェニル)プロパン8.20g(19.97ミリモル)、コレステリル−3,5−ジアミノベンゾエート(上記式(19)で表される化合物)2.08g(3.99ミリモル)およびシクロヘキシルイソシアナート0.25g(2.00ミリモル)を、N−メチル−2−ピロリドン450gに溶解させ、室温で6時間反応させた。次いで、反応溶液を大過剰のメチルアルコールに注いで反応生成物を沈澱させた。その後、メチルアルコールで洗浄し、減圧下40℃で15時間乾燥させることにより、対数粘度が0.91dl/gであるポリアミック酸〔これを「ポリアミック酸(6)とする〕43.96gを得た。
得られたポリアミック酸40gをN−メチルピロリドン360gに溶解し、ピリジン25.27gと、無水酢酸57.07gとを添加し、80℃で4時間加熱することにより脱水閉環反応させた。次いで、反応生成液をポリアミック酸合成時と同様にして沈澱および乾燥させ、対数粘度が0.84dl/gであるポリイミド〔これを「ポリイミド(6)」とする〕34.67gを得た。
【0060】
合成例7
500mlセパラブルフラスコに1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−8−メチル−5−(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]フラン−1,3−ジオン 18.07g(57.50ミリモル)、2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物12.89g(57.50ミリモル)、パラフェニレンジアミン9.58g(88.55ミリモル)、4,4’−ジアミノ−2,2’−ビス(トリフルオロメチル)ビフェニル7.37g(23.00ミリモル)、3,6−ビス(4−アミノベンゾイルオキシ)コレスタン1.48g(2.30ミリモル)およびステアリルアミン0.62g(2.3ミリモル)を、N−メチル−2−ピロリドン450gに溶解させ、室温で6時間反応させた。次いで、反応溶液を大過剰のメチルアルコールに注いで反応生成物を沈澱させた。その後、メチルアルコールで洗浄し、減圧下40℃で15時間乾燥させることにより、対数粘度が0.98dl/gであるポリアミック酸〔これを「ポリアミック酸(7)」とする〕44.42gを得た。
得られたポリアミック酸40gをN−メチルピロリドン360gに溶解し、ピリジン29.11gと、無水酢酸37.57gとを添加し、110℃で4時間加熱することにより脱水閉環反応させた。次いで、反応生成液をポリアミック酸合成時と同様にして沈澱および乾燥させ、対数粘度が0.96dl/gであるポリイミド〔これを「ポリイミド(7)」とする〕36.82gを得た。
【0061】
合成例8
500mlセパラブルフラスコに1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−8−メチル−5−(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]フラン−1,3−ジオン 31.63g(100.64ミリモル)、2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物1.19g(5.30ミリモル)、パラフェニレンジアミン8.82g(81.56ミリモル)、4,4’−ジアミノ−2,2’−ビス(トリフルオロメチル)ビフェニル6.78g(21.19ミリモル)、3,6−ビス(4−アミノベンゾイルオキシ)コレスタン(上記式(12)で表される化合物)1.36g(2.12ミリモル)およびアミノメチルトリメチルシラン0.22g(2.12ミリモル)を、N−メチル−2−ピロリドン450gに溶解させ、室温で6時間反応させた。次いで、反応溶液を大過剰のメチルアルコールに注いで反応生成物を沈澱させた。その後、メチルアルコールで洗浄し、減圧下40℃で15時間乾燥させることにより、対数粘度が0.92dl/gであるポリアミック酸〔これを「ポリアミック酸(8)」とする〕43.63gを得た。
得られたポリアミック酸40gをN−メチルピロリドン360gに溶解し、ピリジン26.81gと、無水酢酸34.60gとを添加し、80℃で4時間加熱することにより脱水閉環反応させた。次いで、反応生成液をポリアミック酸合成時と同様にして沈澱および乾燥させ、対数粘度が0.91dl/gであるポリイミド〔これを「ポリイミド(8)」とする〕34.81gを得た。
【0062】
合成例9
500mlセパラブルフラスコに1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−8−メチル−5−(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]フラン−1,3−ジオン28.56g(90.86ミリモル)、2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物3.64g(16.22ミリモル)、パラフェニレンジアミン9.12g(84.37ミリモル)、2,2−ビス(4−アミノフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン7.23g(21.63ミリモル)、コレスタリル−3,5−ジアミノベンゾエート(上記式(20)で表される化合物)1.13g(2.16ミリモル)および無水フタル酸0.32g(2.16ミリモル)を、N−メチル−2−ピロリドン450gに溶解させ、室温で6時間反応させた。次いで、反応溶液を大過剰のメチルアルコールに注いで反応生成物を沈澱させた。その後、メチルアルコールで洗浄し、減圧下40℃で15時間乾燥させることにより、対数粘度が0.92dl/gであるポリアミック酸〔これを「ポリアミック酸(9)」とする〕44.23gを得た。得られたポリアミック酸40gをN−メチルピロリドン360gに溶解し、ピリジン27.65gと、無水酢酸35.69gとを添加し、80℃で4時間加熱することにより脱水閉環反応させた。次いで、反応生成液をポリアミック酸合成時と同様にして沈澱および乾燥させ、対数粘度が0.89dl/gであるポリイミド〔これを「ポリイミド(9)」とする〕35.19gを得た。
【0063】
合成例10
500mlセパラブルフラスコに1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−8−メチル−5−(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]フラン−1,3−ジオン 24.71g(78.61ミリモル)、2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物7.55g(33.69ミリモル)、パラフェニレンジアミン10.32g(95.43ミリモル)、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン4.86g(11.23ミリモル)、4−(4’−トリフルオロメチルベンゾイロキシ)シクロヘキシル−3,5−ジアミノベンゾアート(上記式(23)で表される化合物)1.90g(4.49ミリモル)およびオクタデシルイソシアネート0.66g(2.25ミリモル)を、N−メチル−2−ピロリドン450gに溶解させ、室温で6時間反応させた。次いで、反応溶液を大過剰のメチルアルコールに注いで反応生成物を沈澱させた。その後、メチルアルコールで洗浄し、減圧下40℃で15時間乾燥させることにより、対数粘度が0.94dl/gであるポリアミック酸〔これを「ポリアミック酸(10)」とする〕44.68gを得た。
得られたポリアミック酸40gをN−メチルピロリドン360gに溶解し、ピリジン28.43gと、無水酢酸36.69gとを添加し、80℃で4時間加熱することにより脱水閉環反応させた。次いで、反応生成液をポリアミック酸合成時と同様にして沈澱および乾燥させ、対数粘度が0.92dl/gであるポリイミド〔これを「ポリイミド(10)」とする〕36.02gを得た。
【0064】
合成例11
500mlセパラブルフラスコに1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−5−(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]フラン−1,3−ジオン28.62g(95.31ミリモル)、3,5,6−トリカルボキシノルボルナン−2−酢酸二無水物6.25g(23.83ミリモル)、パラフェニレンジアミン11.98g(110.79ミリモル)、オクタデカノキシ−2,4−ジアミノベンゼン2.24g(5.96ミリモル)および3−アミノプロピルメチルジエトキシシラン0.91g(4.77ミリモル)を、N−メチル−2−ピロリドン450gに溶解させ、室温で6時間反応させた。次いで、反応溶液を大過剰のメチルアルコールに注いで反応生成物を沈澱させた。その後、メチルアルコールで洗浄し、減圧下40℃で15時間乾燥させることにより、対数粘度が0.91dl/gであるポリアミック酸〔これを「ポリアミック酸(11)」とする〕44.25gを得た。
得られたポリアミック酸40gをN−メチルピロリドン360gに溶解し、ピリジン15.08gと、無水酢酸19.46gとを添加し、60℃で3時間加熱することにより脱水閉環反応させた。次いで、反応生成液をポリアミック酸合成時と同様にして沈澱および乾燥させ、対数粘度が0.88dl/gであるポリイミド〔これを「ポリイミド(11)」とする〕35.81gを得た。
【0065】
合成例12
500mlセパラブルフラスコに1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−5−(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]フラン−1,3−ジオン 34.06g(113.45ミリモル)、パラフェニレンジアミン10.80g(99.80ミリモル)、オクタデカノキシ−2,4−ジアミノベンゼン4.27g(11.34ミリモル)および3−アミノプロピルメチルジエトキシシラン0.87g(4.54ミリモル)を、N−メチル−2−ピロリドン450gに溶解させ、室温で6時間反応させた。次いで、反応溶液を大過剰のメチルアルコールに注いで反応生成物を沈澱させた。その後、メチルアルコールで洗浄し、減圧下40℃で15時間乾燥させることにより、対数粘度が0.91dl/gであるポリアミック酸〔これを「ポリアミック酸(12)」とする〕44.25gを得た。
得られたポリアミック酸40gをN−メチルピロリドン360gに溶解し、ピリジン14.36gと、無水酢酸18.53gとを添加し、60℃で3時間加熱することにより脱水閉環反応させた。次いで、反応生成液をポリアミック酸合成時と同様にして沈澱および乾燥させ、対数粘度が0.88dl/gであるポリイミド〔これを「ポリイミド(12)」とする〕35.81gを得た。
【0066】
合成例13
500mlセパラブルフラスコに3,5,6−トリカルボキシノルボルナン−2−酢酸二無水物34.06g(126.79ミリモル)、パラフェニレンジアミン12.34g(114.11ミリモル)、オクタデカノキシ−2,4−ジアミノベンゼン3.82g(10.14ミリモル)および3−アミノメチルエチルジメチルシラン0.59g(5.07ミリモル)を、N−メチル−2−ピロリドン450gに溶解させ、室温で6時間反応させた。次いで、反応溶液を大過剰のメチルアルコールに注いで反応生成物を沈澱させた。その後、メチルアルコールで洗浄し、減圧下40℃で15時間乾燥させることにより、対数粘度が0.90dl/gであるポリアミック酸〔これを「ポリアミック酸(13)」とする〕43.94gを得た。
得られたポリアミック酸40gをN−メチルピロリドン360gに溶解し、ピリジン32.11gと、無水酢酸41.41gとを添加し、110℃で4時間加熱することにより脱水閉環反応させた。次いで、反応生成液をポリアミック酸合成時と同様にして沈澱および乾燥させ、対数粘度が0.86dl/gであるポリイミド〔これを「ポリイミド(13)」とする〕35.41gを得た。
【0067】
合成例14
500mlセパラブルフラスコに3,5,6−トリカルボキシノルボルナン−2−酢酸二無水物34.29g(130.77ミリモル)、パラフェニレンジアミン13.71g(126.84ミリモル)、コレステリル−3,5−ジアミノベンゾエート(上記式(19)で表される化合物)1.36g(2.62ミリモル)およびヘキサデシルアミン0.63g(2.62ミリモル)を、N−メチル−2−ピロリドン450gに溶解させ、室温で6時間反応させた。次いで、反応溶液を大過剰のメチルアルコールに注いで反応生成物を沈澱させた。その後、メチルアルコールで洗浄し、減圧下40℃で15時間乾燥させることにより、対数粘度が0.95dl/gであるポリアミック酸〔これを「ポリアミック酸(14)」とする〕44.84gを得た。
得られたポリアミック酸40gをN−メチルピロリドン360gに溶解し、ピリジン33.10gと、無水酢酸42.72gとを添加し、110℃で4時間加熱することにより脱水閉環反応させた。次いで、反応生成液をポリアミック酸合成時と同様にして沈澱および乾燥させ、対数粘度が0.92dl/gであるポリイミド〔これを「ポリイミド(14)」とする〕35.88gを得た。
【0068】
合成例15
500mlセパラブルフラスコに3,5,6−トリカルボキシノルボルナン−2−酢酸二無水物31.62g(120.59ミリモル)、パラフェニレンジアミン9.05g(83.67ミリモル)、コレステリル−3,5−ジアミノベンゾエート(上記式(19)で表される化合物)1.28g(2.46ミリモル)および無水フタル酸0.73g(4.92ミリモル)を、N−メチル−2−ピロリドン450gに溶解させ、室温で6時間反応させた。次いで、反応溶液を大過剰のメチルアルコールに注いで反応生成物を沈澱させた。その後、メチルアルコールで洗浄し、減圧下40℃で15時間乾燥させることにより、対数粘度が0.78dl/gであるポリアミック酸〔これを「ポリアミック酸(15)」とする〕43.73gを得た。
得られたポリアミック酸40gをN−メチルピロリドン360gに溶解し、ピリジン15.88gと、無水酢酸20.50gとを添加し、110℃で4時間加熱することにより脱水閉環反応させた。次いで、反応生成液をポリアミック酸合成時と同様にして沈澱および乾燥させ、対数粘度が0.74dl/gであるポリイミド〔これを「ポリイミド(15)」とする〕34.24gを得た。
【0069】
合成例16
500mlセパラブルフラスコに2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物33.51g(149.47ミリモル)、およびパラフェニレンジアミン16.49g(149.47ミリモル)を、N−メチル−2−ピロリドン450gに溶解させ、室温で6時間反応させた。次いで、反応溶液を大過剰のメチルアルコールに注いで反応生成物を沈澱させた。その後、メチルアルコールで洗浄し、減圧下40℃で15時間乾燥させることにより、対数粘度が1.31dl/gであるポリアミック酸〔これを「ポリアミック酸(16)」とする〕46.83gを得た。
【0070】
合成例17
500mlセパラブルフラスコに2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物16.84g(75.12ミリモル)、およびビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン33.16g(75.12ミリモル)を、N−メチル−2−ピロリドン450gに溶解させ、室温で6時間反応させた。次いで、反応溶液を大過剰のメチルアルコールに注いで反応生成物を沈澱させた。その後、メチルアルコールで洗浄し、減圧下40℃で15時間乾燥させることにより、対数粘度が1.24dl/gであるポリアミック酸〔これを「ポリアミック酸(17)」とする〕46.23gを得た。
【0071】
合成例18
500mlセパラブルフラスコに2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物17.43g(77.75ミリモル)、および2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン32.57g(79.34ミリモル)を、N−メチル−2−ピロリドン450gに溶解させ、室温で6時間反応させた。次いで、反応溶液を大過剰のメチルアルコールに注いで反応生成物を沈澱させた。その後、メチルアルコールで洗浄し、減圧下40℃で15時間乾燥させることにより、対数粘度が1.34dl/gであるポリアミック酸〔これを「ポリアミック酸(18)」とする〕46.33gを得た。
得られたポリアミック酸40gをN−メチルピロリドン360gに溶解し、ピリジン24.60gと、無水酢酸25.40gとを添加し、110℃で4時間加熱することにより脱水閉環反応させた。次いで、反応生成液をポリアミック酸合成時と同様にして沈澱および乾燥させ、対数粘度が0.94dl/gであるポリイミド〔これを「ポリイミド(18)」とする〕37.24gを得た。
【0072】
合成例19
500mlセパラブルフラスコにピロメリット酸二無水物33.20g(152.21ミリモル)、およびパラフェニレンジアミン16.80g(152.21ミリモル)を、N−メチル−2−ピロリドン450gに溶解させ、室温で6時間反応させた。次いで、反応溶液を大過剰のメチルアルコールに注いで反応生成物を沈澱させた。その後、メチルアルコールで洗浄し、減圧下40℃で15時間乾燥させることにより、対数粘度が1.46dl/gであるポリアミック酸〔これを「ポリアミック酸(19)」とする〕47.26gを得た。
【0073】
合成例20
500mlセパラブルフラスコにピロメリット酸二無水物13.25g(60.76ミリモル)、1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物11.92g(60.76ミリモル)、およびジアミノジフェニルエーテル24.83g(124.00ミリモル)を、N−メチル−2−ピロリドン450gに溶解させ、室温で6時間反応させた。次いで、反応溶液を大過剰のメチルアルコールに注いで反応生成物を沈澱させた。その後、メチルアルコールで洗浄し、減圧下40℃で15時間乾燥させることにより、対数粘度が1.36dl/gであるポリアミック酸〔これを「ポリアミック酸(20)」とする〕46.37gを得た。
【0074】
合成例21
500mlセパラブルフラスコにピロメリット酸二無水物13.32g(61.06ミリモル)、1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物11.98g(61.06ミリモル)、およびジアミノジフェニルメタン24.71g(124.61ミリモル)を、N−メチル−2−ピロリドン450gに溶解させ、室温で6時間反応させた。次いで、反応溶液を大過剰のメチルアルコールに注いで反応生成物を沈澱させた。その後、メチルアルコールで洗浄し、減圧下40℃で15時間乾燥させることにより、対数粘度が1.35dl/gであるポリアミック酸〔これを「ポリアミック酸(21)」とする〕46.37gを得た。
【0075】
合成例22
500mlセパラブルフラスコに1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−5−(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]フラン−1,3−ジオン37.01g(117.74ミリモル)、およびパラフェニレンジアミン12.99g(120.15ミリモル)を、N−メチル−2−ピロリドン450gに溶解させ、室温で6時間反応させた。次いで、反応溶液を大過剰のメチルアルコールに注いで反応生成物を沈澱させた。その後、メチルアルコールで洗浄し、減圧下40℃で15時間乾燥させることにより、対数粘度が1.31dl/gであるポリアミック酸〔これを「ポリアミック酸(22)」とする〕45.77gを得た。
【0076】
合成例23
500mlセパラブルフラスコに1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−5−(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]フラン−1,3−ジオン30.42g(96.78ミリモル)、およびジアミノジフェニルメタン19.58g(98.76ミリモル)を、N−メチル−2−ピロリドン450gに溶解させ、室温で6時間反応させた。次いで、反応溶液を大過剰のメチルアルコールに注いで反応生成物を沈澱させた。その後、メチルアルコールで洗浄し、減圧下40℃で15時間乾燥させることにより、対数粘度が1.30dl/gであるポリアミック酸〔これを「ポリアミック酸(23)」とする〕45.96gを得た。
得られたポリアミック酸40gをN−メチルピロリドン360gに溶解し、ピリジン24.40gと、無水酢酸55.12gとを添加し、80℃で4時間加熱することにより脱水閉環反応させた。次いで、反応生成液をポリアミック酸合成時と同様にして沈澱および乾燥させ、対数粘度が0.98dl/gであるポリイミド〔これを「ポリイミド(23)」とする〕36.62gを得た。
【0077】
合成例24
500mlセパラブルフラスコに3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物36.36g(123.59ミリモル)、およびパラフェニレンジアミン13.64g(126.11ミリモル)を、N−メチル−2−ピロリドン450gに溶解させ、室温で6時間反応させた。次いで、反応溶液を大過剰のメチルアルコールに注いで反応生成物を沈澱させた。その後、メチルアルコールで洗浄し、減圧下40℃で15時間乾燥させることにより、対数粘度が1.22dl/gであるポリアミック酸〔これを「ポリアミック酸(24)」とする〕45.16gを得た。
【0078】
合成例25
500mlセパラブルフラスコに4,4’−(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタル酸二無水物28.81g(64.85ミリモル)、および2,2’−ビス(トリフルオロメチル)−4,4’−ジアミノビフェニル21.19g(66.17ミリモル)を、N−メチル−2−ピロリドン450gに溶解させ、室温で6時間反応させた。次いで、反応溶液を大過剰のメチルアルコールに注いで反応生成物を沈澱させた。その後、メチルアルコールで洗浄し、減圧下40℃で15時間乾燥させることにより、対数粘度が1.20dl/gであるポリアミック酸〔これを「ポリアミック酸(25)」とする〕44.27gを得た。
【0079】
合成例26
500mlセパラブルフラスコに1,2,4,5−シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物26.16g(116.69ミリモル)、およびジアミノジフェニルエーテル23.84g(119.07ミリモル)を、N−メチル−2−ピロリドン450gに溶解させ、室温で6時間反応させた。次いで、反応溶液を大過剰のメチルアルコールに注いで反応生成物を沈澱させた。その後、メチルアルコールで洗浄し、減圧下40℃で15時間乾燥させることにより、対数粘度が1.25dl/gであるポリアミック酸〔これを「ポリアミック酸(26)」とする〕44.18gを得た。
【0080】
合成例27
500mlセパラブルフラスコに1,2,4,5−シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物13.52g(60.32ミリモル)、1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物11.83g(60.32ミリモル)、およびジアミノジフェニルエーテル24.65g(123.10ミリモル)を、N−メチル−2−ピロリドン450gに溶解させ、室温で6時間反応させた。次いで、反応溶液を大過剰のメチルアルコールに注いで反応生成物を沈澱させた。その後、メチルアルコールで洗浄し、減圧下40℃で15時間乾燥させることにより、対数粘度が1.26dl/gであるポリアミック酸〔これを「ポリアミック酸(27)」とする〕44.49gを得た。
【0081】
合成例28
500mlセパラブルフラスコに3,5,6−トリカルボキシノルボルナン−2−酢酸二無水物35.19g(134.20ミリモル)、およびパラフェニレンジアミン14.81g(136.94ミリモル)を、N−メチル−2−ピロリドン450gに溶解させ、室温で6時間反応させた。次いで、反応溶液を大過剰のメチルアルコールに注いで反応生成物を沈澱させた。その後、メチルアルコールで洗浄し、減圧下40℃で15時間乾燥させることにより、対数粘度が1.26dl/gであるポリアミック酸〔これを「ポリアミック酸(28)」とする〕45.72gを得た。
【0082】
比較合成例1
500mlセパラブルフラスコに2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物32.91g(146.82ミリモル)、パラフェニレンジアミン15.56g(143.88ミリモル)、およびコレステリル−3,5−ジアミノベンゾエート(上記式(19)で表される化合物)1.53g(2.94ミリモル)を、N−メチル−2−ピロリドン450gに溶解させ、室温で6時間反応させた。次いで、反応溶液を大過剰のメチルアルコールに注いで反応生成物を沈澱させた。その後、メチルアルコールで洗浄し、減圧下40℃で15時間乾燥させることにより、対数粘度が1.21dl/gであるポリアミック酸〔これを「ポリアミック酸(A)」とする〕45.52gを得た。
得られたポリアミック酸40gをN−メチルピロリドン360gに溶解し、ピリジン46.45gと、無水酢酸35.97gとを添加し、110℃で4時間加熱することにより脱水閉環反応させた。次いで、反応生成液をポリアミック酸合成時と同様にして沈澱および乾燥させ、対数粘度が1.08dl/gであるポリイミド〔これを「ポリイミド(A)」とする〕36.5gを得た。
【0083】
比較合成例2
500mlセパラブルフラスコに1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−5−(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]フラン−1,3−ジオン35.87g(114.12ミリモル)、パラフェニレンジアミン11.72g(108.41ミリモル)、および4−(4’−トリフルオロメチルベンゾイロキシ)シクロヘキシル−3,5−ジアミノベンゾアート(上記式(23)で表される化合物)2.41g(5.71ミリモル)を、N−メチル−2−ピロリドン450gに溶解させ、室温で6時間反応させた。次いで、反応溶液を大過剰のメチルアルコールに注いで反応生成物を沈澱させた。その後、メチルアルコールで洗浄し、減圧下40℃で15時間乾燥させることにより、対数粘度が1.01dl/gであるポリアミック酸〔これを「ポリアミック酸(B)」とする〕44.58gを得た。
得られたポリアミック酸40gをN−メチルピロリドン360gに溶解し、ピリジン28.88gと、無水酢酸65.24gとを添加し、80℃で4時間加熱することにより脱水閉環反応させた。次いで、反応生成液をポリアミック酸合成時と同様にして沈澱および乾燥させ、対数粘度が0.98dl/gであるポリイミド〔これを「ポリイミド(B)」とする〕36.19gを得た。
【0084】
比較合成例3
500mlセパラブルフラスコに1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−5−(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]フラン−1,3−ジオン33.19g(105.59ミリモル)、2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物1.25g(5.56ミリモル)、パラフェニレンジアミン10.58g(97.81ミリモル)、2,2’−ビス(トリフルオロメチル)−4,4’−ジアミノビフェニル3.56g(11.12ミリモル)および3,6−ビス(4−アミノベンゾイルオキシ)コレスタン(上記式(12)で表される化合物)1.43g(2.22ミリモル)を、N−メチル−2−ピロリドン450gに溶解させ、室温で6時間反応させた。次いで、反応溶液を大過剰のメチルアルコールに注いで反応生成物を沈澱させた。その後、メチルアルコールで洗浄し、減圧下40℃で15時間乾燥させることにより、対数粘度が0.91dl/gであるポリアミック酸〔これを「ポリアミック酸(C)」とする〕44.29gを得た。
得られたポリアミック酸40gをN−メチルピロリドン360gに溶解し、ピリジン28.13gと、無水酢酸36.31gとを添加し、80℃で4時間加熱することにより脱水閉環反応させた。次いで、反応生成液をポリアミック酸合成時と同様にして沈澱および乾燥させ、対数粘度が0.89dl/gであるポリイミド〔これを「ポリイミド(C)」とする〕35.79gを得た。
【0085】
比較合成例4
500mlセパラブルフラスコに3,5,6−トリカルボキシノルボルナン−2−酢酸二無水物34.63g(132.06ミリモル)、パラフェニレンジアミン14.00g(129.42ミリモル)、およびコレスタリル−3,5−ジアミノベンゾエート(上記式(19)で表される化合物)1.38g(2.64ミリモル)を、N−メチル−2−ピロリドン450gに溶解させ、室温で6時間反応させた。次いで、反応溶液を大過剰のメチルアルコールに注いで反応生成物を沈澱させた。その後、メチルアルコールで洗浄し、減圧下40℃で15時間乾燥させることにより、対数粘度が0.95dl/gであるポリアミック酸〔これを「ポリアミック酸(D)」とする〕45.23gを得た。
得られたポリアミック酸40gをN−メチルピロリドン360gに溶解し、ピリジン41.78gと、無水酢酸43.14gとを添加し、110℃で4時間加熱することにより脱水閉環反応させた。次いで、反応生成液をポリアミック酸合成時と同様にして沈澱および乾燥させ、対数粘度が0.92dl/gであるポリイミド〔これを「ポリイミド(D)」とする〕35.86gを得た。
【0086】
比較合成例5
500mlセパラブルフラスコに1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−5−(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]フラン−1,3−ジオン29.00g(96.57ミリモル)、3,5,6−トリカルボキシノルボルナン−2−酢酸二無水物6.33g(24.14ミリモル)、パラフェニレンジアミン12.40g(114.67ミリモル)、およびオクタデカノキシ−2,4−ジアミノベンゼン2.27g(6.04ミリモル)を、N−メチル−2−ピロリドン450gに溶解させ、室温で6時間反応させた。次いで、反応溶液を大過剰のメチルアルコールに注いで反応生成物を沈澱させた。その後、メチルアルコールで洗浄し、減圧下40℃で15時間乾燥させることにより、対数粘度が0.91dl/gであるポリアミック酸〔これを「ポリアミック酸(E)」とする〕44.25gを得た。
得られたポリアミック酸40gをN−メチルピロリドン360gに溶解し、ピリジン15.28gと、無水酢酸19.72gとを添加し、60℃で3時間加熱することにより脱水閉環反応させた。次いで、反応生成液をポリアミック酸合成時と同様にして沈澱および乾燥させ、対数粘度が0.88dl/gであるポリイミド〔これを「ポリイミド(E)」とする〕35.81gを得た。
【0087】
実施例1
(1)液晶配向剤の調製:
合成例1で得られたポリイミド(1)(末端封止)と合成例16で得られたポリアミック酸(末端未封止)(16)をポリイミド(1)とポリアミック酸(16)の重量比が1:3となるようにγ−ブチロラクトンに溶解させて固形分濃度4重量%の溶液とし、この溶液を孔径1μmのフィルターで濾過して本発明の液晶配向剤を調製した。
(2)液晶表示素子の作製:
▲1▼ 厚さ1mmのガラス基板の一面に設けられたITO膜からなる透明導電膜上に、上記のようにして調製された本発明の液晶配向剤をスピンナーを用いて塗布し、180℃で1時間乾燥することにより乾燥膜厚600オングストロームの塗膜を形成した。
▲2▼ 形成された塗膜面を、ナイロン製の布を巻き付けたロールを有するラビングマシーンを用いてラビング処理を行うことにより、液晶配向膜を作製した。ここに、ラビング処理条件は、ロールの回転数500rpm、ステージの移動速度1cm/秒とした。
▲3▼ 上記のようにして液晶配向膜が形成された基板を2枚作製し、それぞれの基板の外縁部に、直径17μmの酸化アルミニウム球を含有するエポキシ樹脂系接着剤をスクリーン印刷法により塗布した後、それぞれの液晶配向膜におけるラビング方向が逆平行となるように2枚の基板を間隙を介して対向配置し、外縁部同士を当接させて圧着して接着剤を硬化させた。
▲4▼ 基板の表面および外縁部の接着剤により区画されたセルギャップ内に、ネマティック型液晶「MLC−5081」(メルク社製)を注入充填し、次いで、注入孔をエポキシ系接着剤で封止して液晶セルを構成した。その後、液晶セルの外表面に、偏光方向が当該基板の一面に形成された液晶配向膜のラビング方向と一致するように偏光板を貼り合わせることにより、液晶表示素子を作製した。
▲5▼ 上記のようにして作製された液晶表示素子は、液晶セルに電圧を印加および解除したときにおいて異常ドメインは認められず、液晶の配向性は良好であった。プレチルト角を測定したところ4.8°であった。また、液晶表示素子の残像消去時間は0.72秒間ときわめて短いものであった。また、ラビング条件を、ロールの回転数200〜800rpm、ステージの移動速度0.5〜5cm/秒の範囲で変更してプレチルト角を測定したが、4.8±0.3°のばらつきで、工程条件安定性に優れていた。また、得られた液晶表示素子の配向性および信頼性試験について評価を行ったところ、液晶の配向性は良好で、信頼性試験後も液晶表示素子に白シミは認められなかった。結果を表1に示す。
【0088】
実施例2〜83および比較例34〜40
表1〜3および5に示す組成で、合成例2〜28で得られたポリイミドおよびポリアミック酸を使用したこと以外は実施例1と同様にして、液晶配向剤を調製し液晶表示素子を作製した。作製された液晶表示素子における、液晶の配向性、プレチルト角、残像消去時間の測定および信頼性試験を行った。結果を表1から3および5に示す。
【0089】
【表1】
【0090】
【表2】
【0091】
【表3】
【0092】
比較例1
ポリイミド(1)に代えて、比較合成例1で得られたポリイミド(A)を使用したこと以外は実施例1と同様にして、液晶配向剤を調製し液晶表示素子を作製した。作製された液晶表示素子における、液晶の配向性、プレチルト角、残像消去時間の測定および信頼性試験を行った。結果を表4に示す。
【0093】
比較例2〜33
表4に示す組成で、比較合成例2〜5で得られたポリイミドおよび合成例16〜28で得られたポリアミック酸およびポリイミドを使用したこと以外は実施例1と同様にして、液晶配向剤を調製し液晶表示素子を作製した。作製された液晶表示素子における、液晶の配向性、プレチルト角、残像消去時間の測定および信頼性試験を行った。結果を表4に示す。
【0094】
【表4】
【0095】
【表5】
【発明の効果】
本発明によれば、液晶配向膜としたとき、液晶の配向性が良好で、膜厚、ラビング条件などの工程条件に依らない高いプレチルト角を発現できる良好な配向特性を有するとともに、液晶表示素子における残像消去時間の短く、かつ高い信頼性をもつ液晶配向膜を形成することができる液晶配向剤を提供することができる。
【0096】
本発明の液晶配向剤により形成される液晶配向膜は、TN型液晶表示素子、STN型液晶表示素子およびSH(Super Homeotropic)型液晶表示素子など種々の液晶表示素子を構成するために好適に使用することができる。また、当該液晶配向膜を備えた液晶表示素子は、液晶の配向性および信頼性にも優れ、種々の装置に有効に使用することができ、例えば卓上計算機、腕時計、置時計、計数表示板、ワードプロセッサ、パーソナルコンピュータ、液晶テレビなどの表示装置として好適に用いることができる。
Claims (4)
- (1)(A)(a)テトラカルボン酸二無水物、
(b)ジアミン化合物、および
(c)ジカルボン酸無水物、モノアミン化合物およびモノイソシアネート化合物よりなる群から選ばれる少なくとも一種の化合物
を反応させて得られ且つ脂環式骨格を有する末端封止ポリアミック酸並びに(B)このポリアミック酸を脱水閉環して得られる末端封止イミド化重合体よりなる群から選ばれる少なくとも一種の末端封止重合体、および
(2)(a)テトラカルボン酸二無水物と
(b)ジアミン化合物を反応させて得られる末端未封止ポリアミック酸並びにこのポリアミック酸を脱水閉環して得られる末端未封止イミド化重合体よりなる群から選ばれる少なくとも一種の末端未封止重合体を含有する液晶配向剤であって、該液晶配向剤中のポリアミック酸およびイミド化重合体の全体に占める(1)末端封止重合体の割合が5〜60重量%であることを特徴とする液晶配向剤。 - 末端封止重合体が末端封止イミド化重合体である、請求項1に記載の液晶配向剤。
- 末端未封止重合体が末端未封止ポリアミック酸である、請求項2に記載の液晶配向剤。
- 前記請求項1乃至3のいずれかに記載された液晶配向剤より得られる液晶配向膜を具有することを特徴とする液晶表示素子。
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