JP2009256589A - ポリイミド系材料、組成物、フィルム及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】耐熱性、非着色性、透明性、成形性(フィルム状に成形する際の容易さ、プロセス負荷の小ささ)、光学特性に優れ、低コストであるポリイミドフィルムを提供する。
【解決手段】(A)2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸、2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物、及びこれらの反応性誘導体からなる群より選ばれる少なくとも1種のアシル化合物と、(B)特定の芳香族イミノ形成化合物とを、特定のモル比で反応させて得られるポリアミック酸及び/又はポリイミドからなるポリイミド系材料を含むフィルム。
【選択図】なし
【解決手段】(A)2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸、2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物、及びこれらの反応性誘導体からなる群より選ばれる少なくとも1種のアシル化合物と、(B)特定の芳香族イミノ形成化合物とを、特定のモル比で反応させて得られるポリアミック酸及び/又はポリイミドからなるポリイミド系材料を含むフィルム。
【選択図】なし
Description
本発明は、ポリイミド系材料、該材料を含む組成物、該材料を含むフィルム、及び該フィルムの製造方法に関する。
一般に、芳香族テトラカルボン酸二無水物と芳香族ジアミンから得られる全芳香族ポリイミドは、分子の剛直性や、分子が共鳴安定化していること、強い化学結合を有すること等に起因して、優れた耐熱性、機械的特性、電気特性、耐酸化・加水分解性を有しており、電気、電池、自動車および航空宇宙産業などの分野において、フィルム、コーティング剤、成型部品、絶縁材料として幅広く使用されている。
一方、光学部材に使用される材料には、優れた耐熱性、機械的特性等に加えて、無色透明性、易成形(成型)性、光学特性に優れることが必要とされる。
ここで、例えば、Kapton(東レ・デュポン社製)に代表される全芳香族ポリイミドフィルムは、上述のとおり、優れた耐熱性等を有し、機械、電気等の分野には適するものの、着色性が高く、また、成形性が低いことから、光学材料としての使用には制限があるという問題がある。
すなわち、上記フィルムは、分子間あるいは分子内の電荷移動相互作用に由来する可視光領域の吸収により、黄色から褐色に着色しているという問題がある。また、上記フィルムは、フィルム状に成形するのに、高温での熱処理を要するなど、プロセス負荷が高く成形性が低いという問題がある。具体的には、上記フィルムを形成するポリイミドは有機溶媒に対する溶解性が低く、ポリイミドをそのまま用いてフィルムを形成することができない。そのため、前記ポリイミドの前駆体であるポリアミック酸の有機溶媒溶液を用い、基板への塗布などによりフィルム状の塗膜とした後、該塗膜を400℃程度の高温で熱処理することにより、塗膜中のポリアミック酸をイミド化し、ポリイミドからなるフィルムを得る必要がある。
一方、光学部材に使用される材料には、優れた耐熱性、機械的特性等に加えて、無色透明性、易成形(成型)性、光学特性に優れることが必要とされる。
ここで、例えば、Kapton(東レ・デュポン社製)に代表される全芳香族ポリイミドフィルムは、上述のとおり、優れた耐熱性等を有し、機械、電気等の分野には適するものの、着色性が高く、また、成形性が低いことから、光学材料としての使用には制限があるという問題がある。
すなわち、上記フィルムは、分子間あるいは分子内の電荷移動相互作用に由来する可視光領域の吸収により、黄色から褐色に着色しているという問題がある。また、上記フィルムは、フィルム状に成形するのに、高温での熱処理を要するなど、プロセス負荷が高く成形性が低いという問題がある。具体的には、上記フィルムを形成するポリイミドは有機溶媒に対する溶解性が低く、ポリイミドをそのまま用いてフィルムを形成することができない。そのため、前記ポリイミドの前駆体であるポリアミック酸の有機溶媒溶液を用い、基板への塗布などによりフィルム状の塗膜とした後、該塗膜を400℃程度の高温で熱処理することにより、塗膜中のポリアミック酸をイミド化し、ポリイミドからなるフィルムを得る必要がある。
このような問題を解決するために、非着色性や透明性を向上させたり、有機溶媒に対する可溶性を付与して成形性を向上させてなるポリイミドが種々提案されている。
例えば、パーフルオロアルキル基を有する特定の繰り返し構造からなる(全芳香族)ポリイミド共重合体が提案されている(特許文献1)。
また、シクロブタンテトラカルボン酸二無水物及び1,2,4,5−シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物と4,4’−ジアミノジフェニルエーテル等の芳香族ジアミンとから得られるポリイミドが提案されている(非特許文献1)。このポリイミドは、芳香族と脂肪族の二無水物を併用してなる、半芳香族のポリイミドである。
さらに、1,2,4,5−シクロヘキサンテトラカルボン酸、1,2,4,5−シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物およびこれらの反応性誘導体からなる群より選ばれる少なくとも1種のアシル含有化合物と、特定の式で表される、少なくとも一つのフェニレン基とイソプロピリデン基を有する化合物から選ばれる少なくとも1種のイミノ形成化合物とを反応させてなるポリイミド樹脂が提案されている(特許文献2)。
特許3131940号公報
特開2006−199945号公報
High Performance Polymer 19、P175−193 (2007)
例えば、パーフルオロアルキル基を有する特定の繰り返し構造からなる(全芳香族)ポリイミド共重合体が提案されている(特許文献1)。
また、シクロブタンテトラカルボン酸二無水物及び1,2,4,5−シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物と4,4’−ジアミノジフェニルエーテル等の芳香族ジアミンとから得られるポリイミドが提案されている(非特許文献1)。このポリイミドは、芳香族と脂肪族の二無水物を併用してなる、半芳香族のポリイミドである。
さらに、1,2,4,5−シクロヘキサンテトラカルボン酸、1,2,4,5−シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物およびこれらの反応性誘導体からなる群より選ばれる少なくとも1種のアシル含有化合物と、特定の式で表される、少なくとも一つのフェニレン基とイソプロピリデン基を有する化合物から選ばれる少なくとも1種のイミノ形成化合物とを反応させてなるポリイミド樹脂が提案されている(特許文献2)。
特許文献1に記載のポリイミド共重合体は、耐熱性に優れ、透明性や有機溶媒に対する溶解性は改良されているものの、耐光性が低く、またコストが高いという問題がある。
非特許文献1に記載のポリイミドは、耐熱性に優れており、従来のポリイミドに比して透明性が改良されているものの、光学材料として用いるには、未だ透明性が不十分であるという問題がある。また、このポリイミドは、有機溶媒に対する溶解性が低いままであるため、フィルム状に成形するには、前駆体であるポリアミック酸を用いた高温での熱処理(熱イミド化)が必要であり、プロセス負荷が大きく成形性が悪いという課題は残されたままである。
特許文献2に記載のポリイミド樹脂は透明性が改良されているものの、単独重合体では有機溶媒に対する溶解性が十分でないという問題がある。さらに、上記アシル化合物の重合反応性が低く、コストが高いという問題がある。
さらに、光学部材の材料としてポリイミドを使用する場合における共通の課題としては、使用するジアミンモノマーの酸化に起因して、フィルムが初期または経時的に着色するという問題がある。この点、上記の各文献に記載のポリイミド樹脂等からなるフィルムは、光学部材として使用するには非着色性が不十分である。
一方、光学特性に優れた素材として、ポリアリレート、ポリカーボネートが挙げられるが、これらの素材のガラス移転点は200℃以下であり、耐熱性に限界があり、半田耐性などは期待できず、プリント配線基板用の材料としては十分な性能を有していない。
なお、芳香族ポリマー以外の光学部材用の材料としては、ポリアクリル酸系樹脂、エポキシ系樹脂や、シリコン系樹脂が提案されているが、いずれも光学部材に要求される上記特性をすべて満たすものではなかった。
ポリアクリル酸系樹脂やエポキシ系樹脂では、透明性、光学特性に優れるものの、耐熱性が低いという問題がある。特に近年、発光ダイオード、太陽電池、フラットディスプレー等の開発に伴い、高輝度化や発光デバイスの短波長化が進んでおり、光学部材はより高温度、高エネルギーにさらされる。これらの樹脂では、耐熱性の要求に応えることができない。
一方、シリコン系樹脂は、耐熱性には優れるものの、他部材との密着性が低く、基板等から剥離することによりデバイスの信頼性を低下させることがあり、また、屈折率が低いことに起因して、光の取り出し効率が低いという問題がある。
本発明は、上述の問題に鑑みてなされたものであり、耐熱性、無色透明性(非着色性、透明性)、成形性(フィルム状に成形する際の容易さ、プロセス負荷の小ささ)、光学特性に優れ、低コストであるポリイミド系材料、該ポリイミド系材料を含む組成物、該ポリイミド系材料を含むフィルム、及び、該フィルムの製造方法を提供することを目的とする。
非特許文献1に記載のポリイミドは、耐熱性に優れており、従来のポリイミドに比して透明性が改良されているものの、光学材料として用いるには、未だ透明性が不十分であるという問題がある。また、このポリイミドは、有機溶媒に対する溶解性が低いままであるため、フィルム状に成形するには、前駆体であるポリアミック酸を用いた高温での熱処理(熱イミド化)が必要であり、プロセス負荷が大きく成形性が悪いという課題は残されたままである。
特許文献2に記載のポリイミド樹脂は透明性が改良されているものの、単独重合体では有機溶媒に対する溶解性が十分でないという問題がある。さらに、上記アシル化合物の重合反応性が低く、コストが高いという問題がある。
さらに、光学部材の材料としてポリイミドを使用する場合における共通の課題としては、使用するジアミンモノマーの酸化に起因して、フィルムが初期または経時的に着色するという問題がある。この点、上記の各文献に記載のポリイミド樹脂等からなるフィルムは、光学部材として使用するには非着色性が不十分である。
一方、光学特性に優れた素材として、ポリアリレート、ポリカーボネートが挙げられるが、これらの素材のガラス移転点は200℃以下であり、耐熱性に限界があり、半田耐性などは期待できず、プリント配線基板用の材料としては十分な性能を有していない。
なお、芳香族ポリマー以外の光学部材用の材料としては、ポリアクリル酸系樹脂、エポキシ系樹脂や、シリコン系樹脂が提案されているが、いずれも光学部材に要求される上記特性をすべて満たすものではなかった。
ポリアクリル酸系樹脂やエポキシ系樹脂では、透明性、光学特性に優れるものの、耐熱性が低いという問題がある。特に近年、発光ダイオード、太陽電池、フラットディスプレー等の開発に伴い、高輝度化や発光デバイスの短波長化が進んでおり、光学部材はより高温度、高エネルギーにさらされる。これらの樹脂では、耐熱性の要求に応えることができない。
一方、シリコン系樹脂は、耐熱性には優れるものの、他部材との密着性が低く、基板等から剥離することによりデバイスの信頼性を低下させることがあり、また、屈折率が低いことに起因して、光の取り出し効率が低いという問題がある。
本発明は、上述の問題に鑑みてなされたものであり、耐熱性、無色透明性(非着色性、透明性)、成形性(フィルム状に成形する際の容易さ、プロセス負荷の小ささ)、光学特性に優れ、低コストであるポリイミド系材料、該ポリイミド系材料を含む組成物、該ポリイミド系材料を含むフィルム、及び、該フィルムの製造方法を提供することを目的とする。
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、特定のアシル化合物と、特定の芳香族イミノ形成化合物(ジアミン、ジイソシアナート、トリアルキルシリル化ジアミン)を特定のモル比で反応させて得られるポリアミック酸及び/又はポリイミドを含むフィルムによると、本発明の上記目的を達成することができることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、以下の[1]〜[7]を提供するものである。
[1] (A)下記式(1)で表される2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸、下記式(2)で表される2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物、及びこれらの反応性誘導体からなる群より選ばれる少なくとも1種のアシル化合物と、(B)下記式(3)で表される芳香族イミノ形成化合物とを、(A)アシル化合物と(B)芳香族イミノ形成物とのモル比((A)アシル化合物:(B)芳香族イミノ形成物)が1.000:0.960〜1.000:0.995となるように反応させて得られるポリアミック酸及び/又はポリイミドからなることを特徴とするポリイミド系材料。
(式(3)中、Xは−NH2、−N=C=O、又は−NHSi(R25)(R26)(R27)であり、Yは直接結合、−CH2−、−O−、−S−、−C(CH3)2−から選ばれる1つの基であり、Zは直接結合、−CH2−、−O−、−S−、−C(CH3)2−、>C=O、−SO2−から選ばれる1つの基であり、R1〜R16は、各々独立して、水素原子、アルキル基、ビニル基、アリール基、ハロゲンから選ばれる基であり、R25〜R27は、各々独立して、炭素数1から15のアルキル基である。)
[2] 上記(B)芳香族イミノ形成化合物は、上記式(3)において、結合基X、Y、及びZがすべてパラ位で結合してなる化合物である上記[1]に記載のポリイミド系材料。
[3] 上記[1]または[2]に記載のポリイミド系材料、及び有機溶媒を含有するポリイミド系樹脂組成物。
[4] 上記[1]または[2]に記載のポリイミド系材料を含むフィルム。
[5] 光学部材用である上記[4]に記載のフィルム。
[6] プリント配線用基板用である上記[4]に記載のフィルム。
[7] 上記[4]〜[6]のいずれかに記載のフィルムの製造方法であって、上記(A)アシル化合物と上記(B)芳香族イミノ形成物とを、(A)アシル化合物と(B)芳香族イミノ形成物とのモル比が1.000:0.960〜1.000:0.995となるように反応させて得られるポリアミック酸及び/又はポリイミドと、有機溶媒とを含む溶液を、基板上に塗布して塗膜を形成する工程と、該塗膜から前記溶媒を蒸発させることにより除去してフィルムを得る工程とを含む、フィルムの製造方法。
[1] (A)下記式(1)で表される2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸、下記式(2)で表される2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物、及びこれらの反応性誘導体からなる群より選ばれる少なくとも1種のアシル化合物と、(B)下記式(3)で表される芳香族イミノ形成化合物とを、(A)アシル化合物と(B)芳香族イミノ形成物とのモル比((A)アシル化合物:(B)芳香族イミノ形成物)が1.000:0.960〜1.000:0.995となるように反応させて得られるポリアミック酸及び/又はポリイミドからなることを特徴とするポリイミド系材料。
[2] 上記(B)芳香族イミノ形成化合物は、上記式(3)において、結合基X、Y、及びZがすべてパラ位で結合してなる化合物である上記[1]に記載のポリイミド系材料。
[3] 上記[1]または[2]に記載のポリイミド系材料、及び有機溶媒を含有するポリイミド系樹脂組成物。
[4] 上記[1]または[2]に記載のポリイミド系材料を含むフィルム。
[5] 光学部材用である上記[4]に記載のフィルム。
[6] プリント配線用基板用である上記[4]に記載のフィルム。
[7] 上記[4]〜[6]のいずれかに記載のフィルムの製造方法であって、上記(A)アシル化合物と上記(B)芳香族イミノ形成物とを、(A)アシル化合物と(B)芳香族イミノ形成物とのモル比が1.000:0.960〜1.000:0.995となるように反応させて得られるポリアミック酸及び/又はポリイミドと、有機溶媒とを含む溶液を、基板上に塗布して塗膜を形成する工程と、該塗膜から前記溶媒を蒸発させることにより除去してフィルムを得る工程とを含む、フィルムの製造方法。
本発明のポリアミック酸及び/又はポリイミド(以下、「ポリイミド等」ともいう。)からなるポリイミド系材料は、特定のアシル化合物と芳香族イミノ形成化合物とを特定の比率で反応させてなるため、有機溶媒に対して優れた溶解性を有しており、そのまま有機溶媒に溶解させて、フィルムを形成することができる。この場合、前記ポリイミド等を含む有機溶媒溶液を基板等に塗布して塗膜を形成した後、塗膜中の溶媒が蒸発する程度の温度で加熱すればよく、例えばポリアミック酸を含む有機溶媒溶液を用いて熱イミド化する場合のように400℃を超える高温で熱処理する必要がないため、プロセス負荷の低減を達成することができる。
また、本発明のポリイミド系材料によると、耐熱性、透明性に優れ、初期及び経時のいずれにおいても着色(黄変)の少ないフィルムを、低コストで得ることができる。
本発明のポリイミド系材料、及びそれを含むフィルムは、発光ダイオード周辺材料、太陽電池周辺材料、フラットディスプレー周辺材料、電子回路周辺材料に使用することができる。具体的には、耐熱透明フィルム、導電性透明フィルム、封止剤、レンズ等の光学部材に使用することができる。電子回路周辺材料としては、プリント配線基板形成用材料およびプリント配線用基板を挙げることができ、具体的には、フレキシブルプリント配線用基板、リジットプリント配線用基板、光電子プリント配線用基板、COF(Chip on Film)用基板、TAB(Tape Automated Bonding)用基板等に使用することができる。
また、本発明のポリイミド系材料によると、耐熱性、透明性に優れ、初期及び経時のいずれにおいても着色(黄変)の少ないフィルムを、低コストで得ることができる。
本発明のポリイミド系材料、及びそれを含むフィルムは、発光ダイオード周辺材料、太陽電池周辺材料、フラットディスプレー周辺材料、電子回路周辺材料に使用することができる。具体的には、耐熱透明フィルム、導電性透明フィルム、封止剤、レンズ等の光学部材に使用することができる。電子回路周辺材料としては、プリント配線基板形成用材料およびプリント配線用基板を挙げることができ、具体的には、フレキシブルプリント配線用基板、リジットプリント配線用基板、光電子プリント配線用基板、COF(Chip on Film)用基板、TAB(Tape Automated Bonding)用基板等に使用することができる。
本発明のフィルムは、(A)特定のアシル化合物と、(B)特定のイミノ形成化合物とを特定の比率で反応させてなるポリアミック酸及び/又はポリイミドを主体とするものである。
まず、(A)成分及び(B)成分について説明する。
[(A)成分]
(A)成分は、下記式(1)で表される2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸、下記式(2)で表される2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物、及びこれらの反応性誘導体からなる群より選ばれる少なくとも1種のアシル化合物である。
このようなアシル化合物を用いることにより、有機溶媒に対する可溶性に優れたポリイミド等を得ることができ、さらに耐熱性が高く、着色の少ないフィルムを得ることができる。
まず、(A)成分及び(B)成分について説明する。
[(A)成分]
(A)成分は、下記式(1)で表される2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸、下記式(2)で表される2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物、及びこれらの反応性誘導体からなる群より選ばれる少なくとも1種のアシル化合物である。
このようなアシル化合物を用いることにより、有機溶媒に対する可溶性に優れたポリイミド等を得ることができ、さらに耐熱性が高く、着色の少ないフィルムを得ることができる。
上記反応性誘導体としては、2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸モノメチルエステル、2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸ジメチルエステル、2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸トリメチルエステル、2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸テトラメチルエステル、2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸モノエチルエステル、2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸ジエチルエステル、2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸トリエチルエステル、2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸テトラエチルエステル、また上記アルキルエステルが無置換フェニルエステルもしくは各種パラ置換フェニルエステルに置き換わったエステル化物などが挙げられる。その他の反応性誘導体としては、2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸テトラクロライド、2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸ジクロライドジエステル(エステルのアルコールまたはフェノール成分は上記と同じ)などの酸クロライドが挙げられる。
(A)成分としては、2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物が好ましく用いられる。無水物である2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物を(A)成分として用いると、無水物ではないものを用いる場合に比して、低温でポリアミック酸を合成することができる。
なお、これらアシル化合物は、単独であるいは2種以上混合して用いることができる。
(A)成分としては、2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物が好ましく用いられる。無水物である2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物を(A)成分として用いると、無水物ではないものを用いる場合に比して、低温でポリアミック酸を合成することができる。
なお、これらアシル化合物は、単独であるいは2種以上混合して用いることができる。
[(B)成分]
(B)成分は、下記式(3)で表される芳香族イミノ形成化合物である。
(式(3)中、Xは−NH2、−N=C=O、又は−NHSi(R25)(R26)(R27)であり、Yは直接結合(単結合)、−CH2−、−O−、−S−、−C(CH3)2−から選ばれる1つの基であり、Zは直接結合、−CH2−、−O−、−S−、−C(CH3)2−、>C=O、−SO2−から選ばれる1つの基であり、R1〜R16は、各々独立して、水素原子、アルキル基、ビニル基、アリール基、ハロゲンから選ばれる基であり、R25〜R27は、各々独立して、炭素数1から15のアルキル基である。)
このような特定の式で表される、ベンゼン環を4個有する芳香族イミノ形成化合物を用いることにより、着色の少ないフィルムを得ることができる。ここで、「イミノ形成化合物」とは、(A)成分と反応してイミノを形成するための化合物をいう。
(B)成分は、下記式(3)で表される芳香族イミノ形成化合物である。
このような特定の式で表される、ベンゼン環を4個有する芳香族イミノ形成化合物を用いることにより、着色の少ないフィルムを得ることができる。ここで、「イミノ形成化合物」とは、(A)成分と反応してイミノを形成するための化合物をいう。
上記芳香族イミノ形成化合物としては、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]ケトン、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ケトン、4,4’−ビス(3−アミノフェノキシ)ビフェニル、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]エーテル、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]エーテル、2,2−ビス[4−(3−アミノ−α,α−ジメチルベンジル)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノ−α,α−ジメチルベンジル)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(3−イソシアナト−α,α−ジメチルベンジル)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(4−イソシアナト−α,α−ジメチルベンジル)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(3−トリメチルシリルアミノ−α,α−ジメチルベンジル)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(4−トリメチルシリルアミノ−α,α−ジメチルベンジル)フェニル]プロパン、等が挙げられる。これらのうち、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、4,4’−ビス(3−アミノフェノキシ)ビフェニル、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(3−アミノ−α,α−ジメチルベンジル)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノ−α,α−ジメチルベンジル)フェニル]プロパン、が好ましく用いられる。
なお、成分(B)としては、上記式(3)において、X、Y、及びZで表される結合基がパラ位で結合してなる芳香族イミノ形成化合物、すなわち、下記式(4)で表される芳香族イミノ形成化合物が好適である。このような化合物を用いることにより、より耐熱性が高く着色の少ないフィルムを得ることができる。上述の芳香族イミノ形成化合物のうち、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノ−α,α−ジメチルベンジル)フェニル]プロパンがより好ましく用いられる。
(式(4)中、R1〜R16、X、Y、及びZは、上記式(3)中と同様である。)
なお、これらイミノ形成化合物は、単独であるいは2種以上混合して用いることができる。
次に、本発明のポリイミド系樹脂組成物およびフィルムの製造方法について説明する。
本発明のフィルムの製造方法は、上記(A)アシル化合物と上記(B)芳香族イミノ形成化合物を特定の比率で反応させて得られるポリアミック酸及び/又はポリイミドと、有機溶媒とを含む溶液を、基板上に塗布して塗膜を形成する工程と、該塗膜から前記溶媒を蒸発させることにより除去してフィルムを得る工程とを含むものである。
本発明のフィルムの製造方法は、ポリアミック酸及び/又はポリイミドと有機溶媒とを含む溶液を調製する前工程を含む場合、上記(A)成分と上記(B)成分とを反応させて、ポリアミック酸及び/又はポリイミドと有機溶媒とを含む溶液を調製する工程(a)と、前記ポリアミック酸及び/又はポリイミドと有機溶媒とを含む溶液を基板上に塗布して塗膜を形成する工程(b)と、該塗膜から前記有機溶媒を蒸発させることにより除去してフィルムを得る工程(c)とを含む。
また、本発明のポリイミド系樹脂組成物の製造方法は、例えば、上述したポリアミック酸及び/又はポリイミドと有機溶媒とを含む溶液を調製する工程(a)を含む。
本発明のフィルムの製造方法は、上記(A)アシル化合物と上記(B)芳香族イミノ形成化合物を特定の比率で反応させて得られるポリアミック酸及び/又はポリイミドと、有機溶媒とを含む溶液を、基板上に塗布して塗膜を形成する工程と、該塗膜から前記溶媒を蒸発させることにより除去してフィルムを得る工程とを含むものである。
本発明のフィルムの製造方法は、ポリアミック酸及び/又はポリイミドと有機溶媒とを含む溶液を調製する前工程を含む場合、上記(A)成分と上記(B)成分とを反応させて、ポリアミック酸及び/又はポリイミドと有機溶媒とを含む溶液を調製する工程(a)と、前記ポリアミック酸及び/又はポリイミドと有機溶媒とを含む溶液を基板上に塗布して塗膜を形成する工程(b)と、該塗膜から前記有機溶媒を蒸発させることにより除去してフィルムを得る工程(c)とを含む。
また、本発明のポリイミド系樹脂組成物の製造方法は、例えば、上述したポリアミック酸及び/又はポリイミドと有機溶媒とを含む溶液を調製する工程(a)を含む。
[工程(a)]
工程(a)は、上記(A)成分と上記(B)成分とを特定の比率で反応させて得られるポリアミック酸及び/又はポリイミドと、有機溶媒とを含む溶液を準備する工程である。
ここで、上記ポリアミック酸及び/又はポリイミドと有機溶媒とを含む溶液は、例えば以下のようにして得られる。
まず、(A)成分と(B)成分とを有機溶媒中で反応させて、ポリアミック酸とし、次いで、該ポリアミック酸の少なくとも一部をイミド化し、ポリアミック酸及び/又はポリイミドと有機溶媒とを含む溶液を得る。
(A)成分と(B)成分とを反応させる際の具体的な方法としては、少なくとも1種の(B)芳香族イミノ形成化合物を有機溶媒に溶解した後、得られた溶液に、少なくとも1種の(A)アシル化合物を添加し、0〜100℃の温度で、1〜60時間撹拌する方法が挙げられる。
上記有機溶媒としては、例えば、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルフォルムアミド、ジメチルスルホキシド、γ−ブチロラクトン、N,N’−ジメチルイミダゾリジノン、テトラメチル尿素等の非プロトン系極性溶媒;クレゾール、キシレノール、ハロゲン化フェノール等のフェノール系溶媒;等が挙げられる。中でも、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミドが好ましい。
これらの溶媒は一種単独で、あるいは2種以上混合して使用することができる。
なお、反応液中の芳香族イミノ形成化合物とアシル化合物の合計量は、反応液全量の5〜30質量%であることが好ましい。
工程(a)は、上記(A)成分と上記(B)成分とを特定の比率で反応させて得られるポリアミック酸及び/又はポリイミドと、有機溶媒とを含む溶液を準備する工程である。
ここで、上記ポリアミック酸及び/又はポリイミドと有機溶媒とを含む溶液は、例えば以下のようにして得られる。
まず、(A)成分と(B)成分とを有機溶媒中で反応させて、ポリアミック酸とし、次いで、該ポリアミック酸の少なくとも一部をイミド化し、ポリアミック酸及び/又はポリイミドと有機溶媒とを含む溶液を得る。
(A)成分と(B)成分とを反応させる際の具体的な方法としては、少なくとも1種の(B)芳香族イミノ形成化合物を有機溶媒に溶解した後、得られた溶液に、少なくとも1種の(A)アシル化合物を添加し、0〜100℃の温度で、1〜60時間撹拌する方法が挙げられる。
上記有機溶媒としては、例えば、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルフォルムアミド、ジメチルスルホキシド、γ−ブチロラクトン、N,N’−ジメチルイミダゾリジノン、テトラメチル尿素等の非プロトン系極性溶媒;クレゾール、キシレノール、ハロゲン化フェノール等のフェノール系溶媒;等が挙げられる。中でも、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミドが好ましい。
これらの溶媒は一種単独で、あるいは2種以上混合して使用することができる。
なお、反応液中の芳香族イミノ形成化合物とアシル化合物の合計量は、反応液全量の5〜30質量%であることが好ましい。
(A)アシル化合物と(B)芳香族イミノ形成化合物は、((A)アシル化合物:(B)芳香族イミノ形成化合物)のモル比が、1.000:0.960〜1.000:0.995、好ましくは1.000:0.970〜1.000:0.990となるように反応させる。
(A)アシル化合物1モルに対して、(B)芳香族イミノ形成化合物の量が0.960モル未満であると、生成するポリマーの分子量が小さく、フィルムの成膜性、力学特性に問題が生じることがある。一方、(A)アシル化合物1モルに対して、(B)芳香族イミノ形成化合物の量が0.995モルを超えると、生成するポリマーの着色が強くなり、目的とする用途での使用に支障をきたすことがある。
(A)アシル化合物1モルに対して、(B)芳香族イミノ形成化合物の量が0.960モル未満であると、生成するポリマーの分子量が小さく、フィルムの成膜性、力学特性に問題が生じることがある。一方、(A)アシル化合物1モルに対して、(B)芳香族イミノ形成化合物の量が0.995モルを超えると、生成するポリマーの着色が強くなり、目的とする用途での使用に支障をきたすことがある。
上記の方法で得られるポリアミック酸及び/又はポリイミドの末端は主としてカルボン酸無水物となる。ポリマーの末端基は、処理せずそのままの状態でフィルム化することができる。また、アニリン誘導体に代表される単官能の芳香族アミンの添加により、イミド化処理することができる。
なお、ポリアミック酸とは、酸無水物基とアミノ基とが反応して生じる、−CO−NH−、及び、−CO−OHを含む構造を有する酸、または、その誘導体(具体的には、例えば、CO−NH−、及び、−CO−OR(ただし、Rはアルキル基等である。)を含む構造を有するもの)をいう。ポリアミック酸は、加熱等によって、−CO−NH−のHと、−CO−OHのOHとが脱水して、環状の化学構造(−CO−N−CO−)を有するポリイミドとなる。
なお、ポリアミック酸とは、酸無水物基とアミノ基とが反応して生じる、−CO−NH−、及び、−CO−OHを含む構造を有する酸、または、その誘導体(具体的には、例えば、CO−NH−、及び、−CO−OR(ただし、Rはアルキル基等である。)を含む構造を有するもの)をいう。ポリアミック酸は、加熱等によって、−CO−NH−のHと、−CO−OHのOHとが脱水して、環状の化学構造(−CO−N−CO−)を有するポリイミドとなる。
次いで、得られたポリアミック酸を、脱水閉環することによりイミド化するが、この方法としては、脱水剤を用いる方法(化学イミド化)や、160℃〜350℃(溶液では160〜220℃程度、キャストフィルムでは300℃以上での処理が一般的)で熱処理する方法(熱イミド化)が挙げられる。
化学イミド化における脱水剤としては、無水酢酸、無水プロピオン酸、無水安息香酸等の酸無水物、もしくは相当する酸クロライド類、ジシクロヘキシルカルボジイミド等のカルボジイミド化合物等が挙げられる。なお、化学イミド化の際には、60〜120℃の温度で加熱することが好ましい。
熱イミド化の場合には、脱水反応で生じる水を系外に除去しながら行うことが好ましい。この際、ベンゼン、トルエン、キシレン等を用いて水を共沸除去することができる。
また、イミド化の際には、必要に応じて、ピリジン、イソキノリン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、N,N−ジメチルアミノピリジン、イミダゾール等の塩基触媒を用いることができる。上記脱水剤又は塩基触媒は、アシル化合物1モルに対し、それぞれ0.1〜8モルの範囲で用いることが好ましい。
イミド化の方法としては、より低温での加熱によってイミド化を行うことができることなどから、化学イミド化が好ましい。
なお、イミド化は、ポリアミック酸の少なくとも一部、好ましくは75モル%以上、より好ましくは85モル%以上、特に好ましくは90モル%以上をイミド化するように行われる。
得られたポリアミック酸及び/又はポリイミドと有機溶媒とを含む溶液は、そのまま使用することもできるが、ポリイミド等を固体分として単離した後、有機溶媒に再溶解して用いることもできる。なお、再溶解する有機溶媒としては、上記有機溶媒と同様のものが挙げられる。ポリイミド等を単離する方法としては、ポリイミド等及び有機溶媒を含む溶液を、メタノール、イソプロピルエーテル等のポリイミドに対する貧溶媒に投じてポリイミド等を沈殿させ、濾過・洗浄・乾燥等によりポリイミド等を固体分として分離する方法が挙げられる。このような操作をすることにより、イミド化の際に使用した脱水触媒(イミド化触媒)の除去も図ることができる。
化学イミド化における脱水剤としては、無水酢酸、無水プロピオン酸、無水安息香酸等の酸無水物、もしくは相当する酸クロライド類、ジシクロヘキシルカルボジイミド等のカルボジイミド化合物等が挙げられる。なお、化学イミド化の際には、60〜120℃の温度で加熱することが好ましい。
熱イミド化の場合には、脱水反応で生じる水を系外に除去しながら行うことが好ましい。この際、ベンゼン、トルエン、キシレン等を用いて水を共沸除去することができる。
また、イミド化の際には、必要に応じて、ピリジン、イソキノリン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、N,N−ジメチルアミノピリジン、イミダゾール等の塩基触媒を用いることができる。上記脱水剤又は塩基触媒は、アシル化合物1モルに対し、それぞれ0.1〜8モルの範囲で用いることが好ましい。
イミド化の方法としては、より低温での加熱によってイミド化を行うことができることなどから、化学イミド化が好ましい。
なお、イミド化は、ポリアミック酸の少なくとも一部、好ましくは75モル%以上、より好ましくは85モル%以上、特に好ましくは90モル%以上をイミド化するように行われる。
得られたポリアミック酸及び/又はポリイミドと有機溶媒とを含む溶液は、そのまま使用することもできるが、ポリイミド等を固体分として単離した後、有機溶媒に再溶解して用いることもできる。なお、再溶解する有機溶媒としては、上記有機溶媒と同様のものが挙げられる。ポリイミド等を単離する方法としては、ポリイミド等及び有機溶媒を含む溶液を、メタノール、イソプロピルエーテル等のポリイミドに対する貧溶媒に投じてポリイミド等を沈殿させ、濾過・洗浄・乾燥等によりポリイミド等を固体分として分離する方法が挙げられる。このような操作をすることにより、イミド化の際に使用した脱水触媒(イミド化触媒)の除去も図ることができる。
本発明においては、ポリアミック酸とポリイミドの合計100モル%中、ポリイミドの割合は、75モル%以上、好ましくは85モル%以上、特に好ましくは90モル%以上である。ポリイミドの割合が75モル%未満であると、フィルムの吸水率が高くなる、耐久性が低下することがある。
上述の工程により得られたポリアミック酸及び/又はポリイミドは、ポリスチレン換算の重量平均分子量が50,000〜500,000、好ましくは100,000〜400,000である。また、本発明においては、2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物、及びこれらの反応性誘導体からなる群より選ばれる少なくとも1種のアシル化合と芳香族イミノ形成化合物を所定のモル比で反応させるため、末端基に無水物もしくはその反応性誘導体からなる構造単位を含んでいる。構造の確認は、上記の方法により単離したポリイミド固体分の赤外線吸収スペクトルにおける無水物もしくはその反応性誘導体骨格由来の1892cm−1の吸収の有無で確認できる。
また、本発明のポリアミック酸及び/又はポリイミドは、主鎖及び/もしくは末端に反応性のカルボン酸誘導体を含んでいるため、例えば、エポキシ樹脂で変性することができる。本発明で使用するエポキシ樹脂としては、従来公知のエポキシ樹脂が使用できる。エポキシ樹脂を構成しているエポキシ化合物としては、1分子中に2個以上のエポキシ基を有するエポキシ化合物が、好ましく使用できる。その中でも、エポキシ当量が、100〜10,000、特に100〜3,000のエポキシ樹脂を使用するのが好ましい。更に、透明性及び耐黄変性に優れる点から、分子内に芳香環を有さないエポキシ樹脂の方が好ましい。かかる好ましいエポキシ樹脂としては、水添ビスフェノールAのジグリシジルエーテル、脂環式エポキシ樹脂、脂環式ポリカルボン酸のグリシジルエステル等が例示される。脂環式エポキシ樹脂とは、分子内に、エポキシシクロアルカン骨格を有するエポキシ化合物で、具体的には、1−ビニル−3−シクロヘキセンジオキサイド、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3’,4’−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、 3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシル−3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキサンカルボキシレート、ビス(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)アジペート、ビス(3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルヘキシル)アジペート、テトラキス(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)ブタンテトラカルボキシレート、ジ(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)−4,5−エポキシテトラヒドロフタレート)、エチレンビス(3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート)、エチレンビス(3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキサンカルポキシレート)、リモネンジオキサイド、ビス(3,4−エポキシシクロヘキシル)メタン、2,2−ビス(3,4−エポキシシクロヘキシル)プロパン、ビス(3,4−エポキシシクロヘキシル)、1,2,5,6−シクロオクタジエンジオキサイド、ジシクロペンタジエンジオキサイド等が例示される。脂環式ポリカルボン酸のグリシジルエステルとしては、テトラヒドロフタル酸ジグリシジルエステル、ヘキサヒドロフタル酸ジグリシジルエステル、メチルヘキサヒドロフタル酸ジグリシジルエステル、1,2,4−シクロヘキサントリカルボン酸トリグリシジルエステル、1,2,4,5−シクロヘキサンテトラカルボン酸テトラグリシジルエステル等が例示される。また、エポキシ化合物として臭素を含有する化合物を使用すると難燃性を付与できる。臭素化エポキシ誘導体としては下記式(i)〜(iii)で表される化合物などが挙げられる。ここで、式(ii)〜(iii)中、Yは水素原子あるいは式(iv)で表される基、Zは式(iv)で表される基である。pは0または1以上、好ましくは1〜20の整数であり、qは0または1以上、好ましくは1〜10の整数である。
エポキシ樹脂を使用する場合、その使用量は、ポリアミック酸及び/又はポリイミド100重量部に対して、1〜100重量部が好ましく、特に5〜50重量部が推奨される。
本発明のポリアミック酸及び/又はポリイミドをエポキシ樹脂により変性する場合、あるいはエポキシ樹脂により変性した後、硬化させる場合には、エポキシ樹脂硬化剤を使用することができる。エポキシ樹脂硬化剤としては、エポキシ樹脂を硬化又は硬化促進作用を有する限り、特に制限なく使用できる。エポキシ樹脂硬化剤としては、具体的には、アミン系化合物、酸無水物系化合物等が例示される。
アミン系化合物としては、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、2,5−ジメチルヘキサメチレンジアミン、トリメチルヘキサメチレンジアミン等の脂肪族ジアミン;ジエチレントリアミン、ビス(ヘキサメチレン)トリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ポリオキシアルキレンジアミン等の脂肪族ポリアミン;メタキシリレンジアミン、バラキシリレンジアミン、1,3,5−トリス(アミノメチル)ベンゼン等の芳香環を含む脂肪族ジアミン;ジアミノジシクロヘキシルメタン、ビス(4−アミノ−3−メチルシクロヘキシル)メタン、イソホロンジアミン、メンセンジアミン、ノルボルネンジアミン等の脂環式ジアミン;フェニレンジアミン、メチレンジアニリン、ジアミノジフェニルスルホン、メタアミノベンジルアミン等の芳香族アミン;トリエチルアミン、ベンジルジメチルアミン、トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、トリエタノールアミン、ピリジン、ピコリン、N,N’−ジメチルピペラジン、1,4−ジアザビシクロ[2,2,2]オクタン、1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]ウンデセン等の3級アミン;2−メチルイミダゾール、2−ウンデシルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、1−シアノエチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾール等のイミダゾール系化合物;アジピン酸ジヒドラジト等の有機酸ヒドラジト、ジシアミンジアミド化合物、メラミン化合物、これらのアミン系化合物とエポキシ樹脂、尿素、イソシアネート化合物又は酸無水物とを反応させたアミンアダクト(味の素社製、「アミキュアPN−23」、アミキュア「MY−24」、富士化成社製、「フジキュアFXE」、「フジキュアFXR」等、チバスペシャルティケミカルズ社製「HT−939」等)、上記アミン化合物とポリカルボン酸との塩(味の素社製、「アミキュアATU」)、アミン化合物とイソシアヌル酸との分子化合物等が例示される。
酸無水物系化合物としては、アルケニル無水コハク酸、ポリアジピン酸無水物、ポリアゼライン酸無水物、ポリセバシン酸無水物などの脂肪族酸無水物;テトラヒドロ無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、ビシクロ〔2,2,1〕ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボン酸無水物、メチルビシクロ〔2,2,1〕ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボン酸無水物、ビシクロ〔2,2,1〕ヘプタン−2,3−ジカルボン酸無水物、メチルビシクロ〔2,2,1〕ヘプタン−2,3−ジカルボン酸無水物、1,2,4−シクロヘキサントリカルボン酸一無水物、1,2,4,5−シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物等の脂環式酸無水物;無水フタル酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸無水物、エチレングリコールビスアンヒドロトリメリテート等の芳香族酸無水物が例示される。
上記の中でも、得られるポリイミド系材料の透明性、硬度に優れる点で、脂環式酸無水物系化合物、イミダゾール系化合物が好ましい。
エポキシ樹脂硬化剤を使用する場合には、その使用量は、エポキシ樹脂の種類、配合量にもよるが、エポキシ樹脂100重量部に対して、0.1〜200重量部、特に0.1〜100重量部が好ましい。
また、本発明のポリアミック酸及び/又はポリイミドは、主鎖及び/もしくは末端に反応性のカルボン酸誘導体を含んでいるため、エポキシ樹脂の他にもヒドロキシル基を有する(メタ)アクリレートでも変性することができる。
ヒドロキシル基を有する(メタ)アクリレートとしては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、前記各(メタ)アクリレートのカプロラクトンまたは酸化アルキレン付加物、グリセリンモノ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、グリシジルメタクリレート−アクリル酸付加物、トリメチロールプロパンモノ(メタ)アクリレート、トリメチロールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパン−酸化アルキレン付加物−ジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
ヒドロキシル基を有する(メタ)アクリレートとしては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、前記各(メタ)アクリレートのカプロラクトンまたは酸化アルキレン付加物、グリセリンモノ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、グリシジルメタクリレート−アクリル酸付加物、トリメチロールプロパンモノ(メタ)アクリレート、トリメチロールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパン−酸化アルキレン付加物−ジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
これらのヒドロキシル基を有する(メタ)アクリレートは1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。また、これらのうちでは、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートが好ましく、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートがより好ましい。
上記ヒドロキシ基含有(メタ)アクリレートと併用できる樹脂溶液中のエチレン性不飽和基を有する化合物としては、N−ビニルピロリドン、N−ビニルホルムアミド、N−ビニルアセトアミド等のN−ビニル化合物、ポリエステルアクリレート、ウレタンアクリレート、エポキシアクリレート等も好適に用いることができる。
上記ヒドロキシ基含有(メタ)アクリレートを使用する場合、その使用量は、ポリアミック酸及び/又はポリイミド100重量部に対して、1〜100重量部が好ましく、特に5〜50重量部が推奨される。
本発明に用いられる光重合開始剤としては、ベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸、4−フェニルベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン等のベンゾフェノン類、ベンゾイン、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインブチルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル等のベンゾインアルキルエーテル類、4―フェノキシジクロロアセトフェノン、4−t−ブチル−ジクロロアセトフェノン、4−t−ブチル−トリクロロアセトフェノン、ジエトキシアセトフェノン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1等のアセトフェノン類、チオキサンテン、2−クロルチオキサンテン、2−メチルチオキサンテン、2,4−ジメチルチオキサンテン等のチオキサンテン類、エチルアントラキノン、ブチルアントラキノン等のアルキルアントラキノン類、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド等のアシルホスフィンオキサイド類などを挙げることができる。これらは単独、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。さらに必要に応じて光増感剤を併用することができる。
(メタ)アクリル樹脂硬化剤を使用する場合には、その使用量は、ヒドロキシ基含有(メタ)アクリレートの種類、配合量にもよるが、ヒドロキシ基含有(メタ)アクリレート100重量部に対して、0.1〜200重量部、特に0.1〜100重量部が好ましい。
本発明のポリイミド系材料には、難燃性付与剤として、さらにリン酸エステル化合物を含めることができる。特に、可撓性が不十分の場合に、リン酸エステル化合物を併用することにより、難燃性を損なうことなく可撓性を高めることができるので好ましい。
本発明で必要に応じて用いられるリン酸エステル化合物とは、化学構造で「P−O−R」(Rは有機基)の構造を有する化合物を言い、通常はリン原子が3価のものまたは5価のものが使用される。3価のものとしては、ホスファイト(Phosphite)化合物、ホスホナイト(Phosphonite)化合物、ホスフィナイト(Phosphinite)化合物がある。一方5価のリン原子を有するものとしては、ホスフェート(Phosphate)化合物、ホスホネート(Phosphonate)化合物、ホスフィネート(Phosphinate)化合物がある。そのうちで5価のリン原子を有するリン酸エステル化合物が保存安定性の観点から好ましく使用される。
これらのリン酸エステル化合物のエステルを形成する有機基としては、脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基、脂環族炭化水素基等のいずれであってもよいが、そのうち芳香族炭化水素基を有するものであることが、難燃性および半田耐熱性の観点から好ましい。
そのようなリン酸エステル化合物としては、トリフェニルホスフェート、レゾルシノールビス(ジフェノル)ホスフェート、2−エチルヘキシルジフェニルホスフェート、および下式(v)で表される骨格を含有するものが挙げられる(式(v)中、Xは同一でも異なっていてもよく、1価以上の芳香族基を意味する)。
それらのうち好ましいのは上式(v)で表される骨格を含有するものであり、さらに具体的には下式(vi)〜(vii)で示される化合物が挙げられる。
前記リン酸エステル化合物の分子量としては、300以上、好ましくは350以上、より好ましくは500以上の化合物を、1種または2種以上のリン酸エステル化合物全体中に50質量%以上の割合で含むことが、耐湿性、半田耐熱性の観点から好ましい。また本発明の組成物では、組成物中に3価のリン原子を有するリン酸エステルを配合して、組成物中での酸化によって5価のリン原子を有するリン酸エステルとしたものでも同様の効果が得られる。本発明で用いられる難燃性付与剤におけるリン酸エステル化合物の割合は特に制限はないが、ポリイミド樹脂100質量部に対し、使用するとすれば好ましくは1〜30質量部、特に好ましくは5〜20質量部、使用するのが望ましい。
[工程(b)]
工程(b)は、上記ポリイミド等及び有機溶媒を含む溶液を基板上に塗布して塗膜を形成する工程である。
上記基板としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム、SUS板、等が挙げられる。
ポリイミド等及び有機溶媒を含む溶液を基板上に塗布する方法としては、ロールコート法、グラビアコート法、スピンコート法、ドクターブレードを用いる方法等を使用することができる。
塗膜の厚さは、特に限定されないが、例えば1〜250μmである。
工程(b)は、上記ポリイミド等及び有機溶媒を含む溶液を基板上に塗布して塗膜を形成する工程である。
上記基板としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム、SUS板、等が挙げられる。
ポリイミド等及び有機溶媒を含む溶液を基板上に塗布する方法としては、ロールコート法、グラビアコート法、スピンコート法、ドクターブレードを用いる方法等を使用することができる。
塗膜の厚さは、特に限定されないが、例えば1〜250μmである。
[工程(c)]
工程(c)は、上記塗膜から前記有機溶媒を蒸発させることにより除去し、フィルムを得る工程である。
具体的には、塗膜を加熱することにより、該塗膜中の有機溶媒を蒸発させて除去する。
上記加熱の条件は、有機溶媒が蒸発すればよく特に限定されないが、例えば60〜250℃で1〜5時間である。なお、加熱は二段階で行ってもよい。例えば、100℃で30分加熱した後、150℃で1時間加熱するなどである。また、必要に応じて、窒素雰囲気下、もしくは減圧下にて乾燥を行ってもよい。
本工程では、有機溶媒を除去することができればよく、イミド化を行う必要がないため、従来技術に比して低温でフィルムを得ることができる。そのため、光学部材を形成する他の部材が耐熱性の低いものであっても、該部材に直接上記ポリイミド等及び有機溶媒を含む溶液を塗布して、有機溶媒を蒸発除去することにより、フィルムを形成することができる。
得られたフィルムは、支持基板から剥離して、あるいは剥離せずにそのまま用いることができる。
工程(c)は、上記塗膜から前記有機溶媒を蒸発させることにより除去し、フィルムを得る工程である。
具体的には、塗膜を加熱することにより、該塗膜中の有機溶媒を蒸発させて除去する。
上記加熱の条件は、有機溶媒が蒸発すればよく特に限定されないが、例えば60〜250℃で1〜5時間である。なお、加熱は二段階で行ってもよい。例えば、100℃で30分加熱した後、150℃で1時間加熱するなどである。また、必要に応じて、窒素雰囲気下、もしくは減圧下にて乾燥を行ってもよい。
本工程では、有機溶媒を除去することができればよく、イミド化を行う必要がないため、従来技術に比して低温でフィルムを得ることができる。そのため、光学部材を形成する他の部材が耐熱性の低いものであっても、該部材に直接上記ポリイミド等及び有機溶媒を含む溶液を塗布して、有機溶媒を蒸発除去することにより、フィルムを形成することができる。
得られたフィルムは、支持基板から剥離して、あるいは剥離せずにそのまま用いることができる。
本発明のフィルムは、上記(A)成分と(B)成分とを反応させて得られるポリイミド等を主体とする。
ここで、成分(A)と成分(B)とが反応してなるポリアミック酸は、例えば下記式(5)〜式(8)で表される繰り返し単位の少なくとも1つを有するものである。
(式(5)〜(8)中、R1〜R16、X、Y、及びZは、上記式(3)中と同様であり、R17〜R24は、各々独立して、水素原子、又はアルキル基を表す。)
さらに、成分(A)と成分(B)とが反応してなるポリイミドは、例えば下記式(9)又は(10)で表される繰り返し単位を有するものである。
(式(9)中、R1〜R16、X、Y、及びZは、上記式(3)中と同様である。)
(式(10)中、R1〜R16、X、Y、及びZは、上記式(3)中と同様である。)
ここで、成分(A)と成分(B)とが反応してなるポリアミック酸は、例えば下記式(5)〜式(8)で表される繰り返し単位の少なくとも1つを有するものである。
さらに、成分(A)と成分(B)とが反応してなるポリイミドは、例えば下記式(9)又は(10)で表される繰り返し単位を有するものである。
本発明のフィルムにおいては、ポリアミック酸とポリイミドの合計100モル%中、ポリイミドの割合は、75モル%以上、好ましくは85モル%以上、特に好ましくは90モル%以上である。ポリイミドの割合が75モル%未満であると、フィルムの吸水率が高くなったり、耐久性が低下することがある。
本発明のフィルムにおいては、厚みが1〜250μm、好ましくは5〜200μmである。また、本発明のフィルムを基材として使用する場合には10〜150μmであることが特に好ましい。
本発明のフィルムは、厚さが20μmである場合に、好ましくは80%以上、より好ましくは85%以上、さらに好ましくは89%以上の全光線透過率を有する。
本発明のフィルムは、厚さが20μmである場合に、YI値(イエローインデックス)が、0.9以下であることが好ましく、0.7以下であることがより好ましい。
本発明のフィルムは、波長633nmの光に対して、好ましくは1.58〜1.66、より好ましくは1.60〜1.64の屈折率を有する。
本発明のフィルムは、ガラス転移温度(Tg)が、250℃以上であることが好ましく、280℃以上であることがより好ましい。このようなガラス転移温度を有することにより、優れた耐熱性を得ることができる。
本発明のフィルムは、引張強度が80MPa〜300MPaであることが好ましく、100MPa〜300MPaであることがより好ましい。
本発明のフィルムは、引張伸びが10%〜200%であることが好ましく、20%〜150%であることがより好ましい。
本発明のフィルムは、引張弾性率が2.2GPa以上であることが好ましく、2.5GPa以上であることがより好ましい。
本発明のフィルムにおいては、厚みが1〜250μm、好ましくは5〜200μmである。また、本発明のフィルムを基材として使用する場合には10〜150μmであることが特に好ましい。
本発明のフィルムは、厚さが20μmである場合に、好ましくは80%以上、より好ましくは85%以上、さらに好ましくは89%以上の全光線透過率を有する。
本発明のフィルムは、厚さが20μmである場合に、YI値(イエローインデックス)が、0.9以下であることが好ましく、0.7以下であることがより好ましい。
本発明のフィルムは、波長633nmの光に対して、好ましくは1.58〜1.66、より好ましくは1.60〜1.64の屈折率を有する。
本発明のフィルムは、ガラス転移温度(Tg)が、250℃以上であることが好ましく、280℃以上であることがより好ましい。このようなガラス転移温度を有することにより、優れた耐熱性を得ることができる。
本発明のフィルムは、引張強度が80MPa〜300MPaであることが好ましく、100MPa〜300MPaであることがより好ましい。
本発明のフィルムは、引張伸びが10%〜200%であることが好ましく、20%〜150%であることがより好ましい。
本発明のフィルムは、引張弾性率が2.2GPa以上であることが好ましく、2.5GPa以上であることがより好ましい。
本発明のフィルムは、発光ダイオード周辺材料、太陽電池周辺材料、フラットディスプレー周辺材料、電子回路周辺材料に使用することができる。具体的には、耐熱透明フィルム、導電性透明フィルム等の光学部材に使用することができる。また、電子回路周辺材料としては、プリント配線基板用基板として使用することもでき、フレキシブルプリント配線用基板、リジットプリント配線用基板、光電子プリント配線用基板、COF(Chip on Film)用基板、TAB(Tape Automated Bonding)用基板を挙げることができる。プリント配線用基板として用いる場合には、例えば、配線用の銅層を設けることもできる。本発明のフィルムに銅層を設ける方法としては、ラミネート法、メタライジング法等を挙げることができる。ラミネート法の場合には、例えば、本発明のフィルムに銅箔を熱プレスすることで銅層が設けられたプリント配線用基板を製造することができる。メタライジング法の場合には、例えば、本発明のフィルムの金属との親和性を発現させるために表面改質を行った後に、蒸着法またはスパッタリング法によって、ポリイミドと結合するNi系の金属層と湿式電気めっきに必要なシード層を形成する。そして、湿式めっき法により所定の膜厚の銅層を設けることで、銅層が設けられたプリント配線用基板を製造することができる。
また、工程(a)により得られた、ポリイミド系材料及び有機溶媒を含有するポリイミド系溶液は、ポリイミド系樹脂組成物として、発光ダイオード周辺材料、太陽電池周辺材料、フラットディスプレー周辺材料、電子回路周辺材料等に用いることもできる。具体的には、封止剤、レンズ材、プリント配線基板形成用材料等に用いることができる。例えば、プリント配線基板形成用材料として用いる場合には、キャスティング法によりプリント配線用基板を製造することができる。具体的には、銅箔の上に前記ポリイミド系樹脂組成物を塗布した後に、熱処理することで、銅層が設けられたプリント配線用基板を製造することができる。
なお、前記ポリイミド系樹脂組成物は、共溶媒として、沸点が150℃以下の有機溶媒が使用できる。該有機溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、テトラヒドロフラン、1,3−ジオキサン、1,4−ジオキサン、等が挙げられる。
これらの溶媒は一種単独で、あるいは2種以上混合して使用することができる。
なお、ポリイミド系樹脂組成物中のポリアミック酸及び/又はポリイミドの濃度は、反応液全量の5〜30質量%であることが好ましい。
なお、前記ポリイミド系樹脂組成物は、共溶媒として、沸点が150℃以下の有機溶媒が使用できる。該有機溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、テトラヒドロフラン、1,3−ジオキサン、1,4−ジオキサン、等が挙げられる。
これらの溶媒は一種単独で、あるいは2種以上混合して使用することができる。
なお、ポリイミド系樹脂組成物中のポリアミック酸及び/又はポリイミドの濃度は、反応液全量の5〜30質量%であることが好ましい。
以下、本発明を実施例により具体的に説明する。
[実施例1]
まず、温度計、攪拌機、窒素導入管、及び冷却管を取り付けた300mLの4つ口フラスコに、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン(9.75g、22.54mmol)を添加した。次いで、フラスコ内を窒素置換した後、N−メチル−2−ピロリドン(以下、NMPという。)(60ml)を加え均一になるまで攪拌した。得られた溶液に2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物(5.12g、22.84mmol;無水物:アミン=1:0.987)を室温で加え、そのままの温度で12時間攪拌を続けて反応させ、ポリアミック酸を含む溶液を得た。
得られたポリアミック酸を含む溶液にNMP(75ml)を加えて希釈した後、ピリジン(7.4ml)、無水酢酸(6.5ml)を加え、110℃で6時間攪拌してイミド化を行い、ポリマーを得た。その後、室温まで冷却した後、大量のメタノールに投じ、ろ別によりポリマーを単離した。得られたポリマーは60℃で一晩真空乾燥し、白色粉末とした(13.4g、95.0%)。
次いで、得られたポリマーをN,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)に再溶解し、20質量%の樹脂溶液を得た。該樹脂溶液を、ポリエチレンテレフタレート(PET)からなる基板上にドクターブレード(100μmギャップ)を用いて塗布し、100℃で30分、ついで150℃で60分乾燥してフィルムとした後、PET基板より剥離した。その後、フィルムをさらに150℃、減圧下で3時間乾燥して、膜厚20μmのフィルムを得た。
得られたポリマーについて、下記の方法により構造分析及び重量平均分子量の測定を行った。結果は、カルボニル基の特性吸収が、1740cm−1および1695cm−1(イミド基)、1892cm−1(末端基)(図1参照)、重量平均分子量が、149,000であった。
得られたポリマーのイミド化率(全アミック酸の中で脱水閉環したアミック酸の割合)は、94%であった。なお、イミド化率は1H−NMRのアミド酸N−Hシグナルと芳香環水素シグナル比より算出した。
また、ポリマーの末端基の定量は、上記と同様の方法により重合したポリアミック酸を3,5−ジtertブチルアニリンで末端封止、同様の方法でイミド化、単離したポリイミド固形分を1H−NMR測定することにより行い、繰り返し単位数は145であった。なお、末端基量は1H−NMRのtert−ブチル基シグナルと芳香環水素シグナル比より算出した。
また、ポリマーの有機溶媒に対する溶解性、フィルムの全光線透過率、YI値、屈折率、ガラス転移点、耐熱試験後のYI値を、下記の方法により評価した。結果を表1に示す。
[実施例1]
まず、温度計、攪拌機、窒素導入管、及び冷却管を取り付けた300mLの4つ口フラスコに、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン(9.75g、22.54mmol)を添加した。次いで、フラスコ内を窒素置換した後、N−メチル−2−ピロリドン(以下、NMPという。)(60ml)を加え均一になるまで攪拌した。得られた溶液に2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物(5.12g、22.84mmol;無水物:アミン=1:0.987)を室温で加え、そのままの温度で12時間攪拌を続けて反応させ、ポリアミック酸を含む溶液を得た。
得られたポリアミック酸を含む溶液にNMP(75ml)を加えて希釈した後、ピリジン(7.4ml)、無水酢酸(6.5ml)を加え、110℃で6時間攪拌してイミド化を行い、ポリマーを得た。その後、室温まで冷却した後、大量のメタノールに投じ、ろ別によりポリマーを単離した。得られたポリマーは60℃で一晩真空乾燥し、白色粉末とした(13.4g、95.0%)。
次いで、得られたポリマーをN,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)に再溶解し、20質量%の樹脂溶液を得た。該樹脂溶液を、ポリエチレンテレフタレート(PET)からなる基板上にドクターブレード(100μmギャップ)を用いて塗布し、100℃で30分、ついで150℃で60分乾燥してフィルムとした後、PET基板より剥離した。その後、フィルムをさらに150℃、減圧下で3時間乾燥して、膜厚20μmのフィルムを得た。
得られたポリマーについて、下記の方法により構造分析及び重量平均分子量の測定を行った。結果は、カルボニル基の特性吸収が、1740cm−1および1695cm−1(イミド基)、1892cm−1(末端基)(図1参照)、重量平均分子量が、149,000であった。
得られたポリマーのイミド化率(全アミック酸の中で脱水閉環したアミック酸の割合)は、94%であった。なお、イミド化率は1H−NMRのアミド酸N−Hシグナルと芳香環水素シグナル比より算出した。
また、ポリマーの末端基の定量は、上記と同様の方法により重合したポリアミック酸を3,5−ジtertブチルアニリンで末端封止、同様の方法でイミド化、単離したポリイミド固形分を1H−NMR測定することにより行い、繰り返し単位数は145であった。なお、末端基量は1H−NMRのtert−ブチル基シグナルと芳香環水素シグナル比より算出した。
また、ポリマーの有機溶媒に対する溶解性、フィルムの全光線透過率、YI値、屈折率、ガラス転移点、耐熱試験後のYI値を、下記の方法により評価した。結果を表1に示す。
(1)構造分析
IR(KBr法)により行った。
(2)重量平均分子量
重量平均分子量は、TOSOH製HLC−8020型GPC装置を使用して測定した。溶媒には、臭化リチウムおよび燐酸を添加したN−メチル−2−ピロリドン(NMP)を用い、測定温度40℃にて、ポリスチレン換算の分子量を求めた。
(3)有機溶媒に対する溶解性
ポリマーを、N,N−ジメチルアセトアミドに溶解し、20質量%溶液になるように調整し、室温での溶解性を評価した。完全に溶解した場合を「○」、膨潤もしくは不溶ポリマーがある場合を「×」とした。
(4)全光線透過率、YI
JIS K7105透明度試験法に準じて測定した。具体的には、フィルムの全光線透過率、YI値(イエローインデックス)を、スガ試験機株式会社製SC−3H型ヘイズメーターを用いて測定した。
(5)屈折率
得られたフィルムの波長633nmにおける屈折率を、Metricon社製2010型プリズムカップラーを用いて測定した。なお、測定は、23℃、50%RHで、シリコンウエハ基板を用いて行った。
(6)ガラス転移温度(Tg)
Rigaku社製8230型DSC測定装置を用いて、昇温速度を20℃/minとして測定した。
(7)耐熱試験後のYI値
得られたフィルム(50cm角)を、150℃に保持した熱風式乾燥機中に24時間入れて、耐熱加速試験を行った。該試験後のフィルムのYI値を上記(4)と同様の方法により測定した。
(8)引張特性
得られたフィルムの力学強度を、JIS K7127に準じて室温の引張強度、引張伸び、引張弾性率を測定した。
IR(KBr法)により行った。
(2)重量平均分子量
重量平均分子量は、TOSOH製HLC−8020型GPC装置を使用して測定した。溶媒には、臭化リチウムおよび燐酸を添加したN−メチル−2−ピロリドン(NMP)を用い、測定温度40℃にて、ポリスチレン換算の分子量を求めた。
(3)有機溶媒に対する溶解性
ポリマーを、N,N−ジメチルアセトアミドに溶解し、20質量%溶液になるように調整し、室温での溶解性を評価した。完全に溶解した場合を「○」、膨潤もしくは不溶ポリマーがある場合を「×」とした。
(4)全光線透過率、YI
JIS K7105透明度試験法に準じて測定した。具体的には、フィルムの全光線透過率、YI値(イエローインデックス)を、スガ試験機株式会社製SC−3H型ヘイズメーターを用いて測定した。
(5)屈折率
得られたフィルムの波長633nmにおける屈折率を、Metricon社製2010型プリズムカップラーを用いて測定した。なお、測定は、23℃、50%RHで、シリコンウエハ基板を用いて行った。
(6)ガラス転移温度(Tg)
Rigaku社製8230型DSC測定装置を用いて、昇温速度を20℃/minとして測定した。
(7)耐熱試験後のYI値
得られたフィルム(50cm角)を、150℃に保持した熱風式乾燥機中に24時間入れて、耐熱加速試験を行った。該試験後のフィルムのYI値を上記(4)と同様の方法により測定した。
(8)引張特性
得られたフィルムの力学強度を、JIS K7127に準じて室温の引張強度、引張伸び、引張弾性率を測定した。
[実施例2]
ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルホンの量を9.51g(21.99mmol;無水物:アミン=1:0.963)に変更したこと以外は、実施例1と同様にして、白色粉末のポリマー(13.1g、94.6%)、及びフィルムを得た。
得られたポリマーについて、構造分析及び重量平均分子量の測定を実施例1と同様の方法にて行った。結果は、カルボニル基の特性吸収が、1740cm−1および1695cm−1(イミド基)、1892cm−1(末端基)(図2参照)、繰り返し単位数は55、重量平均分子量が、66,000であった。
得られたポリマーのイミド化率(1H−NMRのアミド酸N−Hシグナルと芳香環水素シグナル比より算出)は、93%であった。
また、得られたポリマー及びフィルムの各種物性を、実施例1と同様に評価した。結果を表1に示す。
ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルホンの量を9.51g(21.99mmol;無水物:アミン=1:0.963)に変更したこと以外は、実施例1と同様にして、白色粉末のポリマー(13.1g、94.6%)、及びフィルムを得た。
得られたポリマーについて、構造分析及び重量平均分子量の測定を実施例1と同様の方法にて行った。結果は、カルボニル基の特性吸収が、1740cm−1および1695cm−1(イミド基)、1892cm−1(末端基)(図2参照)、繰り返し単位数は55、重量平均分子量が、66,000であった。
得られたポリマーのイミド化率(1H−NMRのアミド酸N−Hシグナルと芳香環水素シグナル比より算出)は、93%であった。
また、得られたポリマー及びフィルムの各種物性を、実施例1と同様に評価した。結果を表1に示す。
[実施例3]
ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルホンの代わりに、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン9.58g(23.34mmol;無水物:アミン=1:0.987)を使用したこと以外は、実施例1と同様にして、白色粉末のポリマー(13.3g、95.0%)、及びフィルムを得た。
得られたポリマーについて、構造分析及び重量平均分子量の測定を比較例1と同様の方法にて行った。結果は、カルボニル基の特性吸収が、1737cm−1および1680cm−1(イミド基)、1892cm−1(末端基)(図3参照)、繰り返し単位数は160、重量平均分子量が、183,000であった。
得られたポリマーのイミド化率(1H−NMRのアミド酸N−Hシグナルと芳香環水素シグナル比より算出)は、95%であった。
また、得られたポリマー及びフィルムの各種物性を、実施例1と同様に評価した。結果を表1に示す。
ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルホンの代わりに、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン9.58g(23.34mmol;無水物:アミン=1:0.987)を使用したこと以外は、実施例1と同様にして、白色粉末のポリマー(13.3g、95.0%)、及びフィルムを得た。
得られたポリマーについて、構造分析及び重量平均分子量の測定を比較例1と同様の方法にて行った。結果は、カルボニル基の特性吸収が、1737cm−1および1680cm−1(イミド基)、1892cm−1(末端基)(図3参照)、繰り返し単位数は160、重量平均分子量が、183,000であった。
得られたポリマーのイミド化率(1H−NMRのアミド酸N−Hシグナルと芳香環水素シグナル比より算出)は、95%であった。
また、得られたポリマー及びフィルムの各種物性を、実施例1と同様に評価した。結果を表1に示す。
[比較例1]
ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルホンの量を9.88g(22.84mmol;無水物:アミン=1:1)に変更したこと以外は、実施例1と同様にして、白色粉末のポリマー(13.4g、94.5%)、及びフィルムを得た。
得られたポリマーについて、構造分析及び重量平均分子量の測定を実施例1と同様の方法にて行った。結果は、カルボニル基の特性吸収が、1739cm−1および1696cm−1、重量平均分子量が、339,000であった。
得られたポリマーのイミド化率(1H−NMRのアミド酸N−Hシグナルと芳香環水素シグナル比より算出)は、94%であった。
また、得られたポリマー及びフィルムの各種物性を、実施例1と同様に評価した。結果を表1に示す。
ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルホンの量を9.88g(22.84mmol;無水物:アミン=1:1)に変更したこと以外は、実施例1と同様にして、白色粉末のポリマー(13.4g、94.5%)、及びフィルムを得た。
得られたポリマーについて、構造分析及び重量平均分子量の測定を実施例1と同様の方法にて行った。結果は、カルボニル基の特性吸収が、1739cm−1および1696cm−1、重量平均分子量が、339,000であった。
得られたポリマーのイミド化率(1H−NMRのアミド酸N−Hシグナルと芳香環水素シグナル比より算出)は、94%であった。
また、得られたポリマー及びフィルムの各種物性を、実施例1と同様に評価した。結果を表1に示す。
[比較例2]
ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルホンの量を9.39g(21.71mmol;無水物:アミン=1:0.95)に変更したこと以外は、実施例1と同様にして、白色粉末のポリマー(12.7g、92.2%)、及びフィルムを得た。
得られたポリマーについて、構造分析及び重量平均分子量の測定を実施例1と同様の方法にて行った。結果は、カルボニル基の特性吸収が、1739cm−1および1693cm−1(イミド基)、1892cm−1(末端基)、繰り返し単位数は35、重量平均分子量が、45,000であった。
得られたポリマーのイミド化率(1H−NMRのアミド酸N−Hシグナルと芳香環水素シグナル比より算出)は、93%であった。
また、得られたポリマー及びフィルムの各種物性を、実施例1と同様に評価した。結果を表1に示す。
ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルホンの量を9.39g(21.71mmol;無水物:アミン=1:0.95)に変更したこと以外は、実施例1と同様にして、白色粉末のポリマー(12.7g、92.2%)、及びフィルムを得た。
得られたポリマーについて、構造分析及び重量平均分子量の測定を実施例1と同様の方法にて行った。結果は、カルボニル基の特性吸収が、1739cm−1および1693cm−1(イミド基)、1892cm−1(末端基)、繰り返し単位数は35、重量平均分子量が、45,000であった。
得られたポリマーのイミド化率(1H−NMRのアミド酸N−Hシグナルと芳香環水素シグナル比より算出)は、93%であった。
また、得られたポリマー及びフィルムの各種物性を、実施例1と同様に評価した。結果を表1に示す。
表1から、本発明によると、特定のモノマーを特定のモル比で合成されたポリイミド等が有機溶媒に対して優れた溶解性を有するため、高温(例えば、400℃程度)で熱処理をすることなくフィルムを形成することができ(優れた成形性を有し)、また、得られたフィルムは、全光線透過率(透明性)が高く、Tgが高く耐熱性に優れており、耐熱試験後においてもYI値(黄色度)が低く非着色性に非常に優れることがわかる(実施例1〜3)。一方、本発明の範囲外((A)アシル化合物と(B)イミノ形成化合物のモル比が本発明の範囲外)のポリイミド等を用いた比較例1〜2では、実施例1〜3に比して、フィルム形成直後、及び耐熱試験後のいずれにおいてもYI値が高く、非着色性に劣ることがわかる。
Claims (7)
- (A)下記式(1)で表される2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸、下記式(2)で表される2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物、及びこれらの反応性誘導体からなる群より選ばれる少なくとも1種のアシル化合物と、(B)下記式(3)で表される芳香族イミノ形成化合物とを、(A)アシル化合物と(B)芳香族イミノ形成物とのモル比が((A)アシル化合物:(B)芳香族イミノ形成物)が1.000:0.960〜1.000:0.995となるように反応させて得られるポリアミック酸及び/又はポリイミドからなることを特徴とするポリイミド系材料。
- 上記(B)芳香族イミノ形成化合物は、上記式(3)において、結合基X、Y、及びZがすべてパラ位で結合してなる化合物である請求項1に記載のポリイミド系材料。
- 請求項1または2に記載のポリイミド系材料、及び有機溶媒を含有するポリイミド系樹脂組成物。
- 請求項1または2に記載のポリイミド系材料を含むフィルム。
- 光学部材用である請求項4に記載のフィルム。
- プリント配線用基板用である請求項4に記載のフィルム。
- 請求項4〜6のいずれか1項に記載のフィルムの製造方法であって、上記(A)アシル化合物と上記(B)芳香族イミノ形成物とを、(A)アシル化合物と(B)芳香族イミノ形成物とのモル比が1.000:0.960〜1.000:0.995となるように反応させて得られるポリアミック酸及び/又はポリイミドと、有機溶媒とを含む溶液を、基板上に塗布して塗膜を形成する工程と、該塗膜から前記溶媒を蒸発させることにより除去してフィルムを得る工程とを含む、フィルムの製造方法。
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