JP2006065224A - 光学フィルム、偏光板および液晶ディスプレイ - Google Patents

光学フィルム、偏光板および液晶ディスプレイ Download PDF

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JP2006065224A JP2004250561A JP2004250561A JP2006065224A JP 2006065224 A JP2006065224 A JP 2006065224A JP 2004250561 A JP2004250561 A JP 2004250561A JP 2004250561 A JP2004250561 A JP 2004250561A JP 2006065224 A JP2006065224 A JP 2006065224A
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Masayuki Sekiguchi
関口  正之
Takuhiro Ushino
卓浩 牛野
Naoki Sugiyama
直樹 杉山
Tatsuya Hirono
廣野  達也
Naoyuki Kawashima
直之 川島
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Abstract

【解決課題】
製造に際して透過光の位相差を幅広く制御することができ、液晶ディスプレイに使用したときに、黒表示時の光漏れや色抜け(着色)を防止し、全方位で高いコントラストが得られるなど良好な視野角補償効果を奏する液晶ディスプレイ用光学フィルムを提供すること。
【解決手段】
本発明に係る光学フィルムは、環状オレフィン系樹脂からなるフィルムa層と、ポリイミド系樹脂からなるフィルムb層とを有し、かつ、下記式(1)および(2)を満たすことを特徴とする。
(1)200nm≦Rth≦1,000nm
(2)0≦R550≦200nm
(RthおよびR550は、それぞれ波長550nmにおけるフィルム厚み方向の位相差およびフィルム面内の位相差を示す。)
【選択図】 なし

Description

本発明は、光学フィルム、偏光板および液晶ディスプレイに関する。より詳しくは、環状オレフィン系樹脂フィルムとポリイミド系樹脂フィルムとを有する液晶ディスプレイ用光学フィルム、該光学フィルムを有する偏光板、および、該光学フィルムまたは偏光板を有する液晶ディスプレイに関する。
液晶ディスプレイは、非常に薄くコンパクトで低消費電力といった利点を有することから、携帯電話、ノートパソコン、カーナビゲーション、液晶テレビなど種々の製品に利用されている。中でも、透過型液晶ディスプレイ(特にVA(vertically aligned)モード)を用いた液晶テレビは、今後さらなる需要が見込まれるとともに、ディスプレイの大型化に伴い、広視野角で高輝度といった高精細な表示および低コスト化がこれまで以上に要求されている。
二枚の偏光板をクロスニコル状態(偏光板の透過軸が互いに直交している状態)で使用する透過型液晶ディスプレイにおいては、ディスプレイを観察する位置を、ディスプレイ正面から斜め方向に変化させると、見かけ上二枚の偏光板の透過軸が90度からずれるため、黒表示時の光漏れや色抜け(着色)といった問題が生じる。このような問題を解消するため、液晶セルと各偏光板との間に種々の位相差フィルムを介在させて、偏光板の視野角依存の補償を行っている。
上記のような位相差フィルムとしては、たとえば熱可塑性ノルボルネン系樹脂を含む光学フィルムなどが知られている(例えば、特許文献1〜3参照)。このようなノルボルネン系樹脂からなる光学フィルムは、透明性が高く、透過光の位相差が低く、透過光に対して均一で安定した位相差を与えるなど光学特性に優れている。
しかしながら、液晶テレビなどにおいては、光漏れを防止し、高いコントラスト比を得るために、厚み方向位相差値が高い位相差フィルムが要求されているが、上記のような従来の位相差フィルムでは、このような要求を充分に満足することが難しかった。
また、液晶セルの性質に応じた光学特性を有する位相差フィルムを得るために、幅広い光学特性の制御を可能にする構成や加工方法などの開発が求められている。
さらに、従来の液晶ディスプレイにおいては、液晶セルと二枚の偏光板との間のそれぞれに位相差フィルムを介在させて視野角補償を行っているため、少なくとも二枚の位相差フィルムを用いているが、液晶ディスプレイのさらなる薄型化や低コスト化を図るために、一枚の位相差フィルムで視野角補償を行うことができる位相差フィルムの開発が求められている。
特開平5−2108号公報 特開平7−287122号公報 特開平7−287123号公報
本発明の課題は、製造に際して透過光の位相差を幅広く制御することができ、液晶ディスプレイに使用したときに、黒表示時の光漏れや色抜け(着色)を防止し、全方位で高いコントラスト比が得られるなど良好な視野角補償効果を奏する光学フィルム、該光学フィルムを有する偏光板、および、該光学フィルムまたは偏光板を有する液晶ディルプレイを
提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究した結果、特定の環状オレフィン系樹脂フィルム上に、ポリイミド系樹脂からなるフィルム層を形成し、かつ、特定の光学特性を有する光学フィルムによって、上記課題を解決することができることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明に係る第1の光学フィルムは、環状オレフィン系樹脂からなるフィルムa層と、ポリイミド系樹脂からなるフィルムb層とを有し、かつ、下記式(1)および(2)を満たすことを特徴とする。
(1)200nm≦Rth≦1,000nm
(2)0≦R550≦200nm
[上記式中、Rthは、波長550nmにおけるフィルム厚み方向の位相差を示し、
Rth=[(nx+ny)/2−nz]×dで表され、R550は、波長550nmにおけるフィルム面内の位相差を示し、R550=(nx−ny)×dで表される。ここで、nxはフィルム面内での最大屈折率、nyはフィルム面内でnxに直交する方向の屈折率、nzはnxおよびnyに対して直交するフィルム厚み方向の屈折率、dはフィルムの厚み(nm)を表す。]
また、本発明に係る第2の光学フィルムは、環状オレフィン系樹脂からなるフィルムa層と、脂環構造を有するポリイミド系樹脂からなるフィルムb層とを有することを特徴とする。
前記フィルムa層は、下記一般式(I)で表される構成単位30〜100mol%と、必要に応じて下記一般式(II)で表される構成単位70〜0mol%とを有する環状オレフィン系樹脂からなり、該フィルムa層の厚みが10,000(nm)〜200,000(nm)であり、下記式(3)〜(6)を満たす一軸延伸または二軸延伸処理して得られたフィルム層であることが好ましい。
Figure 2006065224
[式(I)中、mは1以上の整数であり、pは0または1以上の整数であり、Dは、独立に−CH=CH−または−CH2CH2−で表される基であり、R1〜R4は、各々独立に水素原子;ハロゲン原子;酸素原子、硫黄原子、窒素原子もしくはケイ素原子を含む連結基を有してもよい、置換もしくは非置換の炭素原子数1〜30の炭化水素基;または極性基を表し、R1とR2および/またはR3とR4は一体化して2価の炭化水素基を形成してもよく、R1またはR2と、R3またはR4とは相互に結合して炭素環または複素環を形成してもよく、該炭素環または複素環は、単環構造でも多環構造でもよい。]
Figure 2006065224
[式(II)中、Eは、独立に−CH=CH−または−CH2CH2−で表される基であり、R5〜R8は、各々独立に水素原子;ハロゲン原子;酸素原子、硫黄原子、窒素原子もしくはケイ素原子を含む連結基を有してもよい、置換もしくは非置換の炭素原子数1〜30の炭化水素基;または極性基を表し、R5とR6および/またはR7とR8は一体化して2価の炭化水素基を形成してもよく、R5またはR6と、R7またはR8とは相互に結合して炭素環または複素環を形成してもよく、該炭素環または複素環は、単環構造でも多環構造でもよい。]
(3)20nm≦Rath≦500nm
(4)0≦Ra550≦200nm
(5)1.0≦Ra450/Ra550≦1.3
(6)0.7≦Ra650/Ra550≦1.0
[上記式中、Rathは、波長550nmにおけるフィルムa厚み方向の位相差を示し、
ath=[(nxa+nya)/2−nza]×daで表され、Ra450、Ra550、Ra650は、それぞれ波長450nm、550nm、650nmにおけるフィルムa面内の位相差Raを示し、Ra=(nxa−nya)×daで表される。ここで、nxaはフィルムa面内での最大屈折率、nyaはフィルムa面内でnxaに直交する方向の屈折率、nzaはn
aおよびnyaに対して直交するフィルムa厚み方向の屈折率、daはフィルムaの厚み
(nm)を表す。]
前記フィルムb層は、下記式(III)で表される構成単位を有するポリイミドからなる
ことが好ましい。
Figure 2006065224
[式(III)中、Xは脂環構造を有する4価の有機基であり、Yは2価の有機基である。

また、前記フィルムb層は、下記式(7)〜(10)を満たすことが望ましい。
(7)100nm≦Rbth≦1,000nm
(8)0≦Rb550≦200nm
(9)1.00≦Rb450/Rb550≦1.30
(10)0.7≦Rb650/Rb550≦1.00
[上記式中、Rbthは、波長550nmにおけるフィルムb厚み方向の位相差を示し、
bth=[(nxb+nyb)/2−nzb]×dbで表され、Rb450、Rb550、Rb650は、それぞれ波長450nm、550nm、650nmにおけるフィルムb面内の位相差Rbを示し、Rb=(nxb−nyb)×dbで表される。ただし、前記RathとRb
hとの和は1,000nm以下であり、前記Ra550とRb550との和は200nm以下である。ここで、nxbはフィルムb面内での最大屈折率、nybはフィルムb面内でnxbに直交する方向の屈折率、nzbはnxbおよびnybに対して直交するフィルムb厚み方向の屈折率、dbはフィルムbの厚み(nm)を表す。]
本発明の光学フィルムは、前記フィルムa層とフィルムb層との間に、ウレタン系プライマーc層を有していてもよい。このようなウレタン系プライマーc層を有する光学フィルムは、一軸延伸または二軸延伸処理して得られたフィルムa上に、前記ウレタン系プライマーc層をコーティングにより形成し、該プライマーc層上に前記フィルムb層をコーティングにより形成することにより得ることができる。また、環状オレフィン系樹脂からなる未延伸フィルム上に、前記ウレタン系プライマー層cをコーティングにより形成し、該プライマーc層上に前記フィルムb層をコーティングにより形成した後に、一軸延伸または二軸延伸することにより得ることもできる。
本発明の偏光板は、上記のような本発明の光学フィルムを有することを特徴とする。
本発明の液晶ディスプレイは、上記のような本発明の光学フィルムまたは偏光板を有することを特徴とする。
本発明の光学用フィルムは、従来の環状オレフィン系樹脂フィルムの特長である高透明性および低位相差、延伸配向した場合の均一で安定した位相差などの光学特性を維持するとともに、耐熱性、他材料との密着性および接着性などが良好で吸水変形が小さい上に、製造に際して透過光の位相差を制御することができる。さらに、位相差を容易に発現してコントロールすることができるため、液晶ディスプレイに使用したときに、良好な視野角補償効果を安定して得ることができる。
また、本発明の光学フィルム(位相差フィルム)を用いれば、従来のように二枚の光学フィルム(位相差フィルム)を用いなくても、一枚の光学フィルムでも充分な視野角補償効果を得ることができる。さらに、使用環境の変化に左右されずに安定した特性を長期的に発現することができる。
以下、本発明に係る光学フィルム、偏光板および液晶ディスプレイについて、詳細に説明する。
<光学フィルム>
(光学フィルムの構成および光学特性)
本発明に係る光学フィルムは、環状オレフィン系樹脂からなるフィルムa層と、ポリイミド系樹脂からなるフィルムb層とを有するフィルムである。さらに、本発明の光学フィルムは、前記フィルムb層が脂環構造を有するポリイミド系樹脂からなること、および/または、下記式(1)および(2)を満たすことを特徴とするフィルムである。
(1)200nm≦Rth≦1,000nm
(2)0≦R550≦200nm
上記式(1)および(2)中、Rthは、波長550nmにおけるフィルム厚み方向の位相差を示し、Rth=[(nx+ny)/2−nz]×dで表され、R550は、波長550nmにおけるフィルム面内の位相差を示し、R550=(nx−ny)×dで表される。ここで、nxはフィルム面内での最大屈折率、nyはフィルム面内でnxに直交する方向の屈折率、nzはnxおよびnyに対して直交するフィルム厚み方向の屈折率、dは
フィルムの厚み(nm)である。
上記式(1)に示すように、本発明の光学フィルムのRthが200〜1,000nm、好ましくは200〜400nm、より好ましくは250〜300nmの範囲にあることにより、液晶ディスプレイの光漏れを防止し、高コントラスト比を得ることができる。
また、上記式(2)に示すように、本発明の光学フィルムのR550が0〜200nm、好ましくは10〜150nm、より好ましくは30〜100nmの範囲にあることにより、特に斜め方向から観察したときの液晶ディスプレイの光漏れを防止し、高コントラスト比を得ることができる。
(フィルムa)
本発明の光学フィルムを構成するフィルムa層は環状オレフィン系樹脂からなり、下記式(3)〜(6)を満たすことが好ましい。
(3)20nm≦Rath≦500nm
(4)0≦Ra550≦200nm
(5)1.0≦Ra450/Ra550≦1.3
(6)0.7≦Ra650/Ra550≦1.0
上記式(3)〜(6)中、Rathは、波長550nmにおけるフィルムa厚み方向の
位相差を示し、Rath=[(nxa+nya)/2−nza]×daで表され、Ra450、Ra550、Ra650は、それぞれ波長450nm、550nm、650nmにおけるフィルムa面内の位相差Raを示し、Ra=(nxa−nya)×daで表される。ここで、nxaはフィルムa面内での最大屈折率、nyaはフィルムa面内でnxaに直交する方向の屈折率、nzaはnxaおよびnyaに対して直交するフィルムa厚み方向の屈折率、daはフィルムaの厚み(nm)を表す。
上記式(3)および(4)に示すように、フィルムa層のRathは、20〜500n
m、好ましくは20〜200nm、より好ましくは50〜150nmであり、フィルムa層のRa550は、0〜200nm、好ましくは5〜100nm、より好ましくは20〜
70nmである。
フィルムa層は、上記式(5)に示すように、Ra450/Ra550の値が1.0〜1.3、好ましくは1.0〜1.2、より好ましくは1.0〜1.1の範囲であり、かつ、上記式(6)に示すように、Ra650/Ra550の値が0.7〜1.0、好ましくは0.8〜1.0、より好ましくは0.9〜1.0の範囲であることにより、短波長側では位相差値が高く、長波長側では位相差値が低いという、いわゆる正の波長分散性を示すとともに、位相差値の波長依存性が低いフィルム層である。
上記のようなフィルムa層の厚みは、液晶ディスプレイの薄型化の観点から、10,000nm〜200,000nm、好ましくは30,000nm〜100,000nm、特に好ましくは40,000nm〜70,000nmであることが望ましい。
上記フィルムa層を構成する環状オレフィン系樹脂としては、高透明性、低位相差、延伸配向した場合の均一で安定した位相差などの光学特性が得られるとともに、耐熱性、他材料との密着性や接着性などに優れ、吸水変形が小さいことから、下記一般式(I)で表される構成単位(以下、構成単位(I)ともいう。)30〜100mol%と、必要に応じて下記一般式(II)で表される構成単位(以下、構成単位(II)ともいう。)70〜0mol%とを有するノルボルネン系樹脂が好ましい。
Figure 2006065224
Figure 2006065224
上記式(I)中、mは1以上の整数であり、pは0または1以上の整数である。
また、上記式(I)および(II)中、DおよびEは、それぞれ独立に−CH=CH−または−CH2CH2−で表される基である。
1〜R8は、それぞれ独立に、水素原子;フッ素原子、塩素原子、臭素原子などのハロゲン原子;酸素原子、硫黄原子、窒素原子もしくはケイ素原子を含む連結基を有してもよい、置換もしくは非置換の炭素原子数1〜30の炭化水素基;または極性基を表す。
上記炭素原子数1〜30の炭化水素基としては、たとえば、メチル基、エチル基、プロピル基等のアルキル基;シクロペンチル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基;ビニル基、アリル基、プロペニル基等のアルケニル基などが挙げられる。また、上記炭化水素基は直接環構造に結合していてもよく、また連結基(linkage)を介して結合していても
よい。
このような連結基としては、炭素原子数1〜10の2価の炭化水素基(たとえば、−(
CH2)l−(lは1〜10の整数)で表されるアルキレン基);酸素、窒素、イオウまたはケイ素を含む連結基(例えば、カルボニル基(−CO−)、オキシカルボニル基(−O(CO)−)、スルホン基(−SO2−)、エーテル結合(−O−)、チオエーテル結合(−S−)、
イミノ基(−NH−)、アミド結合(−NHCO−,−CONH−)、シロキサン結合(−O
Si(R2)−(Rはメチル、エチル等のアルキル基))などが挙げられ、これらの複数を含む連結基であってもよい。
また、R1とR2および/またはR3とR4は一体化して2価の炭化水素基を形成してもよく、R1またはR2と、R3またはR4とは相互に結合して炭素環または複素環を形成してもよく、該炭素環または複素環は、単環構造でも多環構造でもよい。R5〜R8についても同様である。
上記極性基としては、水酸基、炭素原子数1〜10のアルコキシ基(たとえば、メトキシ基、エトキシ基等)、アルコキシカルボニル基(たとえば、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基等)、アリーロキシカルボニル基(たとえば、フェノキシカルボニル基、ナフチルオキシカルボニル基、フルオレニルオキシカルボニル基、ビフェニリルオキシカルボニル基等)、シアノ基、アミド基、イミド環含有基、トリオルガノシロキシ基(たとえば、トリメチルシロキシ基、トリエチルシロキシ基等)、トリオルガノシリル基(たとえば、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基等)、アミノ基(たとえば、第1級アミノ基等)、アシル基、アルコキシシリル基(たとえば、トリメトキシシリル基、トリエトキシシリル基等)、スルホニル含有基およびカルボキシル基などが挙げられる。
本発明で用いられる上記ノルボルネン系樹脂の好ましい態様としては、
・上記構成単位(I)100mol%からなる樹脂、
・上記構成単位(I)50〜95mol%と、上記構成単位(II)50〜5mol%とからなり、上記式(I)中のR1およびR2が水素原子、R3がメチル基、R4がメトキシカルボニル基で、m=1、p=0であり、上記式(II)中のR5〜R8が水素原子または炭化水素基である樹脂、
・上記構成単位(I)50〜95mol%と、上記構成単位(II)50〜5mol%とからなり、上記式(I)中のR1およびR2が水素原子、R3がメチル基、R4がメトキシカルボニル基で、m=1、p=0であり、上記式(II)中のR5またはR6、およびR7
たはR8が水素原子であり、かつ、R5〜R8の残余の基が相互に結合して炭素数3の2価
の直鎖状炭化水素基を形成している樹脂
などが挙げられる。
上記構成単位(I)となりうる単量体は、下記一般式(I’)で表される。
Figure 2006065224
上記式(I’)中、m、p、R1〜R4は上記式(I)中のm、p、R1〜R4と同義である。このような単量体(以下、単量体(I’)ともいう。)の具体例を以下に示すが、本発明はこれら具体例に限定されるものではない。また、下記単量体(I’)は単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
トリシクロ[5.2.1.02,6]−8−デセン、
テトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
ペンタシクロ[6.5.1.13,6 .02,7 .09,13]−4−ペンタデセン、
ペンタシクロ[7.4.0.12,5 .19,12.08,13]−3−ペンタデセン、
トリシクロ[4.4.0.12,5 ]−3−ウンデセン、
8−メトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8−エトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8−n−プロポキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8−イソプロポキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8−n−ブトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8−フェノキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8−メチル−8−メトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8−メチル−8−エトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8−メチル−8−n−プロポキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8−メチル−8−イソプロポキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8−メチル−8−n−ブトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8−メチル−8−フェノキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
ペンタシクロ[8.4.0.12,5 .19,12.08,13]−3−ヘキサデセン、
ヘプタシクロ[8.7.0.13,6 .110,17 .112,15 .02,7 .011,16 ]−4−エイコセン、
ヘプタシクロ[8.8.0.14,7 .111,18 .113,16 .03,8 .012,17 ]−5−ヘンエイコセン、
8−エチリデンテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8−フェニルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8−メチル−8−フェニルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8−フルオロテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8−フルオロメチルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8−ジフルオロメチルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8−トリフルオロメチルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8−ペンタフルオロエチルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8,8−ジフルオロテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8,9−ジフルオロテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8,8−ビス(トリフルオロメチル)テトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8,9−ビス(トリフルオロメチル)テトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8−メチル−8−トリフルオロメチルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8,8,9−トリフルオロテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8,8,9−トリス(トリフルオロメチル)テトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8,8,9,9−テトラフルオロテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8,8,9,9−テトラキス(トリフルオロメチル)テトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8,8−ジフルオロ−9,9−ビス(トリフルオロメチル)テトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8,9−ジフルオロ−8,9−ビス(トリフルオロメチル)テトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8,8,9−トリフルオロ−9−トリフルオロメチルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8,8,9−トリフルオロ−9−トリフルオロメトキシテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8,8,9−トリフルオロ−9−ペンタフルオロプロポキシテトラシクロ[4.4.0.12,517,10]−3−ドデセン、
8−フルオロ−8−ペンタフルオロエチル−9,9−ビス(トリフルオロメチル)テトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8,9−ジフルオロ−8−ヘプタフルオロiso−プロピル−9−トリフルオロメチルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8−クロロ−8,9,9−トリフルオロテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8,9−ジクロロ−8,9−ビス(トリフルオロメチル)テトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8−(2,2,2−トリフルオロエトキシカルボニル)テトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8−メチル−8−(2,2,2−トリフルオロエトキシカルボニル)テトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン
などを挙げることができる。
上記具体例の中では、8−メチル−8−メトキシカルボニルテトラシクロ〔4.4.0.12,5 .17,10〕−3−ドデセンが、得られる共重合体のガラス転移温度を高め、吸水による変形等の悪影響を殆ど受けず、かつ、他材料との密着性や接着性が良好となる程度の吸水性を維持できることから好ましい。
上記構成単位(II)となりうる単量体は、下記一般式(II’)で表される。
Figure 2006065224
上記式(II’)中、R5〜R8は上記式(II)中のR5〜R8と同義である。このような単量体(以下、単量体(II’)ともいう。)の具体例を以下に示すが、本発明はこれら具体例に限定されるものではない。また、下記単量体(II’)は単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
トリシクロ[4.3.0.12,5]−3−デセン、
トリシクロ[4.3.0.12,5]−デカ−3,7−ジエン
トリシクロ[4.4.0.12,5]−3−ウンデセン、
5−メチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−エチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−メトキシカルボニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−メチル−5−メトキシカルボニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−フェノキシカルボニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−メチル−5−フェノキシカルボニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−シアノビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−エチリデンビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−フェニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−(2−ナフチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン(α,βの両タイプとも可)、
5−フルオロビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−フルオロメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−トリフルオロメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−ペンタフルオロエチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,5−ジフルオロビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,6−ジフルオロビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,5−ビス(トリフルオロメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,6−ビス(トリフルオロメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−メチル−5−トリフルオロメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,5,6−トリフルオロビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,5,6−トリス(フルオロメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,5,6,6−テトラフルオロビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,5,6,6−テトラキス(トリフルオロメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,5−ジフルオロ−6,6−ビス(トリフルオロメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,6−ジフルオロ−5,6−ビス(トリフルオロメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,5,6−トリフルオロ−5−トリフルオロメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−フルオロ−5−ペンタフルオロエチル−6,6−ビス(トリフルオロメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,6−ジフルオロ−5−ヘプタフルオロ−iso−プロピル−6−トリフルオロメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−クロロ−5,6,6−トリフルオロビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,6−ジクロロ−5,6−ビス(トリフルオロメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,5,6−トリフルオロ−6−トリフルオロメトキシビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,5,6−トリフルオロ−6−ヘプタフルオロプロポキシビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−(4−フェニルフェニル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン
4−(ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2−イル)フェニルスルホニルベンゼン
などを挙げることができる。
これらのうち、一般式(II’)のR5〜R8について、全てが水素原子である単量体(II’)、何れか1つが炭素原子数1〜30の炭化水素基であり他が水素原子である単量
体(II’)、または何れか2つが炭素数3〜5のアルキレン基で連結されている単量体(II’)は、得られる光学用フィルムの靭性を向上させる効果が大きい点で好ましく、特に、R5〜R8について、全てが水素原子である単量体、何れか1つがメチル基、エチル基またはフェニル基であり他が全て水素原子である単量体、またはR5またはR6、およびR7またはR8が水素原子であり、かつ、R5〜R8の残余の基が相互に結合して炭素数3〜5の2価の直鎖状炭化水素基を形成している単量体は、耐熱性の観点からも好ましい。さらに、ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−フェニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、トリシクロ[4.3.0.12,5]−3−デセン、トリシクロ[4.
3.0.12,5]−デカ−3,7−ジエンは、その合成が容易である点で好ましい。
上記ノルボルネン系樹脂は、公知の方法(たとえば、特開2003−14901号公報に記載の方法)により、上記単量体(I’)と、必要に応じて単量体(II’)とを開環(共)重合させることにより得られる。また、上記単量体(I’)および(II’)以外の単量体、たとえば、シクロブテン、シクロペンテン、シクロヘプテン、シクロオクテン、トリシクロ[5.2.1.02,6 ]−3−デセン、ジシクロペンタジエン等のシクロオレフィンなどを共重合させてもよい。さらに、得られた開環(共)重合体の水素添加物を用いてもよい。
上記ノルボルネン系樹脂のクロロホルム中(30℃)で測定した対数粘度は、0.2〜5dl/g、好ましくは0.3〜4dl/g、特に好ましくは0.5〜3dl/gである。上記範囲を超えると、溶液粘度が高くなりすぎ、加工性が悪化することがあり、上記範囲よりも低いと、フィルム強度が低下することがある。
上記ノルボルネン系樹脂の分子量としては、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定されるポリスチレン換算の数平均分子量(Mn)が、通常、8,000〜1,000,000、好ましくは10,000〜500,000、特に好ましくは20,000〜100,000であり、また、重量平均分子量(Mw)が、通常、20,000〜3,000,000、好ましくは30,000〜100,0000、特に好ましくは40,000〜500,000の範囲である。また、分子量分布は、上記のMw/Mnが、通常、1.5〜10、好ましくは2〜8、特に好ましくは2.5〜5である。
上記ノルボルネン系樹脂の23℃における飽和吸水率は、通常、0.05〜1重量%、好ましくは0.1〜0.7重量%、さらに好ましくは0.1〜0.5重量%である。飽和吸水率がこの範囲内であると、各種光学特性、例えば透明性、位相差、位相差の均一性、および寸防精度が、高温多湿のような条件下でも維持され、他材料との密着性や接着性に優れるため使用途中で剥離などが発生せず、また、酸化防止剤等の添加物との相溶性も良好であるため、添加の自由度が大きくなる。なお、上記飽和吸水率はASTMD570に準拠し、23℃水中で1週間浸漬して増加重量を測定することにより求められる値である。
上記ノルボルネン系樹脂のSP値(溶解度パラメーター)は、好ましくは10〜30(MPa1/2)、さらに好ましくは12〜25(MPa1/2)、特に好ましくは15〜20(MPa1/2)である。SP値が上記範囲にあることにより、ノルボルネン系樹脂を汎用の
溶剤に良好に溶解でき、安定したフィルムの製造ができるとともに、得られるフィルムの特性が均一となり、接着性・基板との密着性を良好なものとすることができ、さらに吸水率を適度にコントロールすることが可能となる。
上記ノルボルネン系樹脂のガラス転移温度(Tg)は、ノルボルネン系樹脂の構成単位(I)および構成単位(II)の種類、組成比、添加剤等の有無により異なるが、通常、80〜350℃、好ましくは100〜250℃、さらに好ましくは120〜200℃であ
る。Tgが上記範囲よりも低いと、熱変形温度が低くなり、耐熱性に問題が生じるおそれがあり、また、得られる光学フィルムの温度による光学特性の変化が大きくなることがある。また、Tgが上記範囲よりも高いと、延伸加工等にTg近辺まで加熱して加工する場合に樹脂が熱劣化する可能性が高くなる。
上記ノルボルネン系樹脂には、透明性・耐熱性を損なわない範囲で公知の熱可塑性樹脂、熱可塑性エラストマー、ゴム質重合体、有機微粒子、無機微粒子、酸化防止剤、紫外線吸収剤、離型剤、難燃剤、抗菌剤、木粉、カップリング剤、石油樹脂、可塑剤、着色剤、滑剤、帯電防止剤、シリコーンオイル、発泡剤などを配合しても良い。
(フィルムb)
本発明の光学フィルムを構成するフィルムb層はポリイミド系樹脂からなり、下記式(7)〜(10)を満たすことが好ましい。
(7)100nm≦Rbth≦1,000nm
(8)0≦Rb550≦200nm
(9)1.00≦Rb450/Rb550≦1.30
(10)0.70≦Rb650/Rb550≦1.00
上記式(7)〜(10)中、Rbthは、波長550nmにおけるフィルムb厚み方向
の位相差を示し、Rbth=[(nxb+nyb)/2−nzb]×dbで表され、Rb450、Rb550、Rb650は、それぞれ波長450nm、550nm、650nmにおけるフィルムb面内の位相差Rbを示し、Rb=(nxb−nyb)×dbで表される。ただし、前
記RathとRbthとの和は1,000nm以下であり、前記Ra550とRb550との和は200nm以下である。ここで、nxbはフィルムb面内での最大屈折率、nybはフィルムb面内でnxbに直交する方向の屈折率、nzbはnxbおよびnybに対して直交するフィルムb厚み方向の屈折率、dbはフィルムbの厚み(nm)を表す。
上記式(7)および(8)に示すように、フィルムb層のRbthは、100〜1,0
00nm、好ましくは100〜300nm、より好ましくは100〜200nmであり、
フィルムb層のRb550は、0〜200nm、好ましくは5〜100nm、より好ま
しくは10〜30nmである。
フィルムb層は、上記式(9)に示すように、Rb450/Rb550の値が1.00〜1.30、好ましくは1.00〜1.20、より好ましくは1.00〜1.10の範囲であり、かつ、上記式(10)に示すように、Rb650/Rb550の値が0.70〜1.00、好ましくは0.80〜1.00、より好ましくは0.90〜1.00の範囲であることにより、短波長側では位相差値が高く、長波長側では位相差値が低いという、いわゆる正の波長分散性を示すとともに、位相差値の波長依存性が低いフィルム層である。
上記のようなフィルムb層の厚みは、液晶ディスプレイの薄型化の観点から、1,000nm〜20,000nm、好ましくは2,000nm〜15,000nm、特に好ましくは3,000nm〜10,000nmであることが望ましい。
上記フィルムb層を構成するポリイミド系樹脂としては、脂環構造を有するポリイミド系樹脂、好ましくは下記式(III)で表される構成単位を有するポリイミドが、上記フィ
ルムa層との密着性に優れるとともに、位相差特性および光線透過率に優れた光学フィルムを得ることができることから好ましい。また、このようなポリイミド系樹脂は、ビフェニル骨格を少なくとも一部有することが、薄膜で所望の位相差を発現できることからより好ましい。
Figure 2006065224
式(III)中、Xは脂環構造を有する4価の有機基であり、Yは2価の有機基である。
上記ポリイミド系樹脂は、テトラカルボン酸二無水物とジアミンとを反応させてポリアミック酸を合成し、該ポリアミック酸をイミド化処理することにより得られる。また、上述した脂環構造を有するポリイミド系樹脂は、通常、脂環構造を有するテトラカルボン酸二無水物を用いることにより得られ、ビフェニル骨格を有するポリイミド系樹脂は、ビフェニル骨格を有するジアミンを用いることにより得られる。特に好ましいポリイミド系樹脂は、脂環構造を有するテトラカルボン酸二無水物とビフェニル骨格を有するジアミンとを用いて得られるポリイミドである。
上記脂環構造を有するテトラカルボン酸二無水物としては、たとえば、1,2,3,4−
シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2−ジメチル−1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,3−ジメチル−1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,3−ジクロロ−1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−テトラメチル−1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,4,5−シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ジシクロヘキシルテトラカルボン酸二無
水物、2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物、3,5,6−トリカルボキシノルボルナン−2−酢酸二無水物、2,3,4,5−テトラヒドロフランテトラカルボン
酸二無水物、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−5(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]−フラン−1,3−ジオン、5−(2,5−ジ
オキソテトラヒドロフラル)−3−メチル−3−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸
二無水物、ビシクロ[2,2,2]−オクト−7−エン−2,3,5,6−テトラカルボン酸
二無水物などが挙げられる。
本発明で用いられるポリイミド系樹脂は、上記脂環構造を有する酸無水物以外の酸無水物を重合成分として含んでいてもよい。これらの酸無水物としては、たとえば、ブタンテトラカルボン酸二無水物、ピロメリット酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノン
テトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルスルホンテトラカルボン酸二
無水物、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルエーテルテトラカルボン酸二
無水物、3,3’,4,4’−ジメチルジフェニルシランテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−テトラフェニルシランテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−フランテ
トラカルボン酸二無水物、4,4’−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルスルフィド二無水物、4,4’−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルスルホン二無水物、4,4’−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルプロパン二無水物、3,3’,4,4’−パーフルオロイソプロピリデンジフタル酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、ビス(フタル酸)フェニルホスフィンオキサイド二無水物、p−フェニレン−ビス(トリフェニルフタル酸)二無水物、m−フ
ェニレン−ビス(トリフェニルフタル酸)二無水物、ビス(トリフェニルフタル酸)−4,4’−ジフェニルエーテル二無水物、ビス(トリフェニルフタル酸)−4,4’−ジフェニルメタン二無水物、エチレングリコール−ビス(アンヒドロトリメリテート)、プロピレングリコール−ビス(アンヒドロトリメリテート)、1,4−ブタンジオール−ビス(
アンヒドロトリメリテート)、1,6−ヘキサンジオール−ビス(アンヒドロトリメリテ
ート)、1,8−オクタンジオール−ビス(アンヒドロトリメリテート)、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン−ビス(アンヒドロトリメリテート)などが挙げられる。
上記テトラカルボン酸二無水物は、一種単独でまたは複数種を併用することができる。また、全テトラカルボン酸二無水物のうち、脂環構造を有するテトラカルボン酸二無水物を、好ましくは50mol%以上、より好ましくは70mol%以上、さらに好ましくは90mol%以上、最も好ましくは100mol%使用することにより、上記フィルムb層と上記フィルムa層との密着性が優れるとともに、位相差特性および光線透過率に優れた光学フィルムを得ることができることから好ましい。
上記ビフェニル骨格を有するジアミンとしては、たとえば、3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、2,2’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、4,4’
−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニルなどが挙げられる。
また、ビフェニル骨格を有するジアミン以外のジアミンとしては、たとえば、p−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルエタン、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノベンズアニリド、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、1,5−ジアミノナフタレン、5−アミノ−1−(4’−アミノフェニ
ル)−1,3,3−トリメチルインダン、6−アミノ−1−(4’−アミノフェニル)−1,3,3−トリメチルインダン、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,3’−ジアミノベンゾフェノン、3,4’−ジアミノベンゾフェノン、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(4−ア
ミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)
フェニル]スルホン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、9,9−ビス(4−アミノフェニル)−10−ヒドロアントラセン、2,7−ジアミノフルオレ
ン、9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン、4,4’−メチレン−ビス(2−クロロアニリン)、2,2’,5,5’−テトラクロロ−4,4’−ジアミノビフェニル、2,
2’−ジクロロ−4,4’−ジアミノ−5,5’−ジメトキシビフェニル、3,3’−ジメ
トキシ−4,4’−ジアミノビフェニル、4,4’−(p−フェニレンイソプロピリデン)ビスアニリン、4,4’−(m−フェニレンイソプロピリデン)ビスアニリン、2,2’−ビス[4−(4−アミノ−2−トリフルオロメチルフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、4,4’−ジアミノ−2,2’−ビス(トリフルオロメチル)ビフェニル、4,4’−ビス[(4−アミノ−2−トリフルオロメチル)フェノキシ]−オクタフルオロ
ビフェニルなどの芳香族ジアミン;
1,1−メタキシリレンジアミン、1,3−プロパンジアミン、テトラメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ヘプタメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン、4,4−ジアミノヘプタメチレンジアミン、
1,4−シクロヘキサンジアミン、イソホロンジアミン、テトラヒドロジシクロペンタジ
エニレンジアミン、ヘキサヒドロ−4,7−メタノインダニレンジメチレンジアミン、ト
リシクロ[6.2.1.02,7]−ウンデシレンジメチルジアミン、4,4’−メチレンビス
(シクロヘキシルアミン)などの脂肪族および脂環式ジアミン;
2,3−ジアミノピリジン、2,6−ジアミノピリジン、3,4−ジアミノピリジン、2,4−ジアミノピリミジン、5,6−ジアミノ−2,3−ジシアノピラジン、5,6−ジアミ
ノ−2,4−ジヒドロキシピリミジン、2,4−ジアミノ−6−ジメチルアミノ−1,3,5−トリアジン、1,4−ビス(3−アミノプロピル)ピペラジン、2,4−ジアミノ−6−イソプロポキシ−1,3,5−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−メトキシ−1,3,5−
トリアジン、2,4−ジアミノ−6−フェニル−1,3,5−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−メチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−1,3,5−トリアジン、4,6−ジアミノ−2−ビニル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−5−フェニルチアゾール、2,6−ジアミノプリン、5,6−ジアミノ−1,3−ジメチルウラシル、3,5−ジアミノ−1,2,4−トリアゾール、6,9−ジアミノ−2−エトキシアクリジンラクテート、3,8−
ジアミノ−6−フェニルフェナントリジン、1,4−ジアミノピペラジン、3,6−ジアミノアクリジン、ビス(4−アミノフェニル)フェニルアミンおよび下記一般式(i)もしくは(ii)で表される化合物などの、分子内に2つの1級アミノ基および該1級アミノ基以外の窒素原子を有するジアミン;
Figure 2006065224
(式(i)中、R9は、ピリジン、ピリミジン、トリアジン、ピペリジンおよびピペラジ
ンから選ばれる窒素原子を含む環構造を有する1価の有機基を示し、Zは2価の有機基を示す。)
Figure 2006065224
(式(ii)中、R10は、ピリジン、ピリミジン、トリアジン、ピペリジンおよびピペラジンから選ばれる窒素原子を含む環構造を有する2価の有機基を示し、Zは2価の有機基を示し、複数存在するXは、同一でも異なっていてもよい。)
下記式(iii)で表されるモノ置換フェニレンジアミン類;
Figure 2006065224
(式(iii)中、R11は、−O−、−COO−、−OCO−、−NHCO−、−CONH
−および−CO−から選ばれる2価の有機基を示し、R12は、ステロイド骨格を有する1価の有機基、トリフルオロメチル基もしくはフルオロ基を有する1価の有機基、または炭
素数6〜30のアルキル基を示す。)
下記式(iv)で表されるジアミノオルガノシロキサン;
Figure 2006065224
(式(iv)中、R13は、それぞれ独立に炭素数1〜12の炭化水素基を示し、qは1〜20の整数であり、rは1〜3の整数である。)
下記式(v)〜(ix)で表される化合物などを挙げることができる。
Figure 2006065224
Figure 2006065224
Figure 2006065224
Figure 2006065224
Figure 2006065224
(上記式中、tは2〜12の整数であり、uは1〜5の整数である。)
上記ジアミン化合物は、単独でまたは2種以上組み合わせて用いることができる。これらのうち、上述したビフェニル骨格を有するジアミン、p−フェニレンジアミン、4,4
’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、1,5−ジアミノナフタレン、2,7−ジアミノフルオレン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン 、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]
ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン
、4,4’−(p−フェニレンジイソプロピリデン)ビスアニリン、4,4’−(m−フェニレンジイソプロピリデン)ビスアニリン、1,4−シクロヘキサンジアミン、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルアミン)、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼ
ン、上記式(v)〜(ix)で表される化合物、2,6−ジアミノピリジン、3,4−ジアミノピリジン、2,4−ジアミノピリミジン、3,6−ジアミノアクリジン、上記式(i)で表される化合物のうち下記式(i−1)で表される化合物、上記式(ii)で表される化合物のうち下記式(ii−1)で表される化合物および上記式(iii)で表される化合
物のうち下記式(iii−1)〜(iii−6)で表される化合物が好ましい。
Figure 2006065224
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テトラカルボン酸無水物とジアミンとの反応は、テトラカルボン酸無水物とジアミンとを、ジアミンに含まれるアミノ基1当量に対して、テトラカルボン酸無水物に含まれる酸無水物基が0.2〜2当量、より好ましくは0.3〜1.4当量となる割合で用いて、有機溶媒中において、通常0〜150℃、好ましくは0〜100℃の温度条件下で行われる。このような条件で反応させることにより、得られるポリアミック酸の分子量が充分に大
きいものとなる。
上記有機溶媒としては、反応原料である酸無水物およびジアミン、さらに生成する重合体であるポリアミック酸を溶解し得るものであれば特に制限はない。具体的には、γ−ブチロラクトン,N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、テトラメチル尿素、ヘキサメチルホスホトリアミドなどの非プロトン系極性溶媒;m−クレゾール、キシレノール、フェノール、ハロゲン化フェノールなどのフェノール系溶媒などを用いることができる。
上記有機溶媒の使用量は、反応原料である酸無水物とジアミンとの総量が、反応溶液の全量に対して0.1〜30重量%になるような割合であることが好ましい。また、上記有機溶媒には、生成するポリアミック酸に対して貧溶媒であるアルコール類、ケトン類、エステル類、エーテル類、ハロゲン化炭化水素類、炭化水素類などを、生成するポリアミック酸が析出しない範囲で併用してもよい。
上記のようにして得られたポリアミック酸を、加熱によるイミド化処理、または、脱水剤およびイミド化触媒の存在下でイミド化処理して脱水閉環させることにより、上記ポリイミドが得られる。加熱によるイミド化処理における温度は、通常、60〜250℃、好ましくは100〜170℃である。このような温度範囲でイミド化処理することにより、得られるイミド系重合体の分子量は充分に大きいものとなる。
上記脱水剤としては、たとえば、無水酢酸、無水プロピオン酸、無水トリフルオロ酢酸などを用いることができる。この脱水剤の使用量は、ポリアミック酸の繰り返し単位1モルに対して1.6〜20モルとするのが好ましい。
上記イミド化触媒としては、たとえば、ピリジン、コリジン、ルチジン、トリエチルアミンなどの3級アミンを用いることができるが、これらに限定されるものではない。このイミド化触媒の使用割合は、使用する脱水剤1モルに対し、0.5〜10モルとするのが好ましい。なお、このイミド化処理に用いられる有機溶媒としては、ポリアミック酸の合成に用いられるものとして例示した有機溶媒を挙げることができる。そして、このイミド化処理における温度は、通常0〜180℃、好ましくは60〜150℃である。
また、本発明で用いられるポリイミド系樹脂は、ポリアミック酸が100%イミド化されていない部分イミド化重合体であってもよいが、イミド化率は好ましくは50%以上、より好ましくは80%以上、特に好ましくは90%以上、最も好ましくは95%以上である。イミド化率を上記範囲とすることで、コーティング性やフィルムb層としたときの位相差のコントロール性が良好となり好ましい。
上記のようにして得られたポリイミドの対数粘度の値は、通常、0.05〜10dl/g、好ましくは0.05〜5dl/gである。なお、対数粘度の値は、N−メチル−2−ピロリドンを溶媒として用い、重合体の濃度が0.5g/100ミリリットルである溶液について30℃で測定した値である。
(光学フィルムの製造方法)
本発明の光学フィルムは、上記環状オレフィン系樹脂からなり、特定の光学特性を有するように一軸延伸または二軸延伸処理して得られたフィルムa上に、上記ポリイミド系樹脂からなるなるフィルムb層をコーティングにより形成することにより製造することができる。
また、本発明の光学フィルムは、上記環状オレフィン系樹脂からなる未延伸樹脂フィル
ム上に、上記ポリイミド系樹脂をコーティングして樹脂フィルムb層を形成して積層フィルムとした後、該積層フィルムを一軸延伸または二軸延伸することにより製造することもできる。
なお、本発明の光学フィルムは、上記フィルムa層とフィルムb層との間に、少なくとも1層のウレタン系プライマーc層を有していてもよい。このようなウレタン系プライマーc層を構成するウレタン系ポリマーとしては、ウレタン結合を有していれば特に限定されないが、たとえば、ポリオール化合物とポリイソシアネートとを反応させて得られる重合体などが挙げられる。また、本発明のウレタン樹脂を安定的に有機溶剤および/または水に溶解または分散させ、さらに、接着剤の塗工性、および基材と接着剤の接着性を向上させるために、重合成分としてポリオール化合物とポリイソシアネートに加えて、親水基含有化合物を添加することも好ましい。
上記ポリオール化合物としては、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリアクリルポリオール等が挙げられる。これらのうち、ポリエーテルポリオールが特に好ましい。このようなポリエーテルポリオールとしては、たとえば、多価アルコールにイオン重合性環状化合物を開環共重合させて得られるポリエーテルポリオールが挙げられる。
上記多価アルコールとしては、エチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ポリヘキサメチレングリコール、ポリヘプタメチレングリコール、ポリデカメチレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ビスフェノールA、ビスフェノールF、水添ビスフェノールA、水添ビスフェノールF、ハイドロキノン、ナフトハイドロキノン、アントラハイドロキノン、1,4−シクロヘキサンジオール、トリシクロデカンジオール、トリシクロデカンジメタノール、ペンタシクロペンタデカンジオール、ペンタシクロペンタデカンジメタノールなどが挙げられる。これらは単独でまたは二種以上を組み合わせて用いることができる。
上記イオン重合性環状化合物としては、たとえば、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、1,2−ブチレンオキシド、ブテン−1−オキシド、イソブテンオキシド、3,3−ビスクロロメチルオキセタン、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、3−メチルテトラヒドロフラン、ジオキサン、トリオキサン、テトラオキサン、シクロヘキセンオキシド、スチレンオキシド、エピクロルヒドリン、グリシジルメタクリレート、アリルグリシジルエーテル、アリルグリシジルカーボネート、ブタジエンモノオキシド、イソプレンモノオキシド、ビニルオキセタン、ビニルテトラヒドロフラン、ビニルシクロヘキセンオキシド、フェニルグリシジルエーテル、ブチルグリシジルエーテル、安息香酸グリシジルエステルなどの環状エーテル類が挙げられる。これらは単独でまたは二種以上を組み合わせて用いることができる。
また、上記イオン重合性環状化合物と、エチレンイミン等の環状イミン類、β−プロピオラクトン、グリコール酸ラクチド等の環状ラクトン酸またはジメチルシクロポリシロキサン類とを開環共重合させたポリエーテルポリオールを使用することもできる。これらのイオン重合性環状化合物の開環共重合体はランダムに結合していてもよいし、ブロック状の結合をしていてもよい。このようなポリエーテルポリオールとしては、ポリテトラメチレングリコール、ポリヘキサメチレングリコールが好ましい。
上記ポリイソシアネートとしては、通常ポリウレタンの製造に用いられるポリイソシアネートを特に制限なく使用できる。たとえば、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、1,3−キシリレンジイソシアネート、1,4−キシリ
レンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、m−フェニレンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、3,3’−ジメチル−4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、3,3’−ジメチルフェニレンジイソシアネート、4,4’−ビフェニレンジイソシアネート、1,6−ヘキサンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、メチレンビス(4−シクロヘキシルイソシアネート)、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、ビス(2−イソシアネートエチル)フマレート、6−イソプロピル−1,3−フェニルジイソシアネート、4−ジフェニルプロパンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、水添ジフェニルメタンジイソシアネート、水添キシリレンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、2,5(または6)−ビス(イソシアネートメチル)−ビシクロ[2.2.1]ヘプタンなどが挙げられる。これらのポリイソシアネートは、単独であるいは二種類以上を組み合わせて用いることができる。これらの中では、イソホロンジイソシアネートが好ましい。
上記親水基含有化合物としては、分子中に少なくとも1個以上の活性水素原子を有し、かつカルボン酸基、スルホン酸基からなる群から選ばれる少なくとも1個以上の官能基を含有するイオン性を有する化合物が挙げられる。
このような親水性基含有化合物としては、たとえば、2−オキシエタンスルホン酸、フェノールスルホン酸、スルホ安息香酸、スルホ琥珀酸、5−スルホイソフタル酸、スルファニル酸、1,3−フェニレンジアミン−4,6−ジスルホン酸、2,4−ジアミノトルエン−5−スルホン酸等のスルホン酸化合物およびこれらの誘導体、または2,2−ジメチロールプロピオン酸、2,2−ジメチロール酪酸、2,2−ジメチロール吉草酸、ジオキシマレイン酸、2,6−ジオキシ安息香酸、3,4−ジアミノ安息香酸等のカルボン酸含有化合物およびこれらの誘導体が挙げられる。
これらの化合物の反応においては、通常、ナフテン酸銅、ナフテン酸コバルト、ナフテン酸亜鉛、ラウリル酸ジn−ブチルスズ、トリエチルアミン、1,4−ジアザビシクロ〔2.2.2〕オクタン、2,6,7−トリメチル−1,4−ジアザビシクロ〔2.2.2〕オクタンなどのウレタン化触媒を、反応物の総量100重量部に対して0.01〜1重量部用いることが好ましい。また、反応温度は、通常10〜90℃、好ましくは30〜80℃である。
本発明で用いられるポリウレタン樹脂の数平均分子量は、通常、1,000〜200,000程度である。
上記ウレタン系プライマー層の形成方法としては特に限定されないが、たとえばスピンコート、ワイヤーコート、バーコート、ロールコート、ブレードコート、カーテンコート、スクリーン印刷等の各種方法を用いることがでいる。
また、ポリウレタン組成物の乾燥温度としては、特に限定されないが、例えば60〜150℃である。ポリウレタン層中の残留溶剤量は可能な限り少ない方がよく、通常3重量%以下、好ましくは1重量%以下、さらに好ましくは0.5重量%以下である。
本発明で用いられるポリウレタン層は、その厚さを特に限定するものではないが、通常、0.01〜5μm、好ましくは0.05〜4μm、さらに好ましくは0.1〜3μm程度である。ポリウレタン層の厚さが薄すぎると、所定の密着性が得られない場合があり、また、厚すぎると、接着剤を上塗りしたときポリウレタン層が溶解し白濁する場合がある。
本発明で用いるポリウレタン層は、全光線透過率が通常80%以上、好ましくは90%
以上であることが望ましい。
このようにしてフィルムa層とフィルムb層との間にウレタン系プライマー層を形成することにより、フィルムa層とフィルムb層とを貼り合わせる際に、接着剤の塗布性が向上し、長期に渡って安定的な密着性を得ることができる。
したがって、本発明の光学フィルムが上記プライマーc層を有する場合、本発明の光学フィルムは、一軸延伸または二軸延伸処理して得られたフィルムa上に、上記ウレタン系プライマーc層をコーティングにより形成し、該プライマーc層上に上記フィルムb層をコーティングにより形成することにより製造することができる。
また、プライマーc層を有する光学フィルムは、上記環状オレフィン系樹脂からなる未延伸樹脂フィルム上に、前記ウレタン系プライマーc層をコーティングにより形成し、該プライマーc層上に上記フィルムb層をコーティングにより形成した後に、得られた積層フィルムを一軸延伸または二軸延伸することにより製造することもできる。
このようにしてフィルムa層とフィルムb層との間にウレタン系プライマー層を形成することにより、接着剤を使用する場合にはその塗布性が向上し、また、密着性の向上によりフィルム加工時あるいは光学フィルム使用時の製造・性能安定性が得られる。
上記環状オレフィン系樹脂からなる未延伸フィルムは、溶融成形法や溶液流延法(溶液キャスト法)などの公知の製膜法により得ることができる。なお、膜厚の均一性および表面平滑性が良好になる点から、溶液キャスト法が好ましい。また、生産性やコストの面を考慮すれば、溶融成形法が好ましい。
溶液キャスト法としては、たとえば、環状オレフィン系樹脂を適当な溶媒に溶解または分散させて適度の濃度の液体にし、これを適当な基材上に注ぐかまたは塗布して乾燥した後、得られる樹脂膜を基材から剥離させる方法が挙げられる。
溶液キャスト法に用いられる基材としては、たとえば、金属ドラム、スチールベルト、ポリエチレンテレフタレート(PET)やポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステルフィルム、ポリテトラフルオロエチレン製ベルトなどが挙げられる。なお、上述したように、上記ポリイミド系樹脂からなるフィルムb層は、上記環状オレフィン系樹脂からなるフィルムa(未延伸フィルムも含む。)を基材として用いて、溶液キャスト法により形成することができる。
上記基材としてポリエステルフィルムを用いる場合には、表面処理されたフィルムを使用してもよい。表面処理の方法としては、一般的に行われている親水化処理方法、たとえば、アクリル系樹脂やスルホン酸塩基含有樹脂をコーテイングやラミネートにより積層する方法、あるいは、プラズマ処理やコロナ放電処理等によりフィルムの表面の親水性を向上させる方法などが挙げられる。
樹脂溶液中における樹脂成分の濃度は、通常、0.1〜90重量%、好ましくは1〜50重量%、さらに好ましくは5〜35重量%である。樹脂成分の濃度が上記範囲よりも低い場合には、十分な厚みを有する樹脂フィルムが得られないことがあり、また、溶媒の蒸発に伴って生ずる発泡等によって、良好な表面平滑性を有する樹脂フィルムが得られないことがある。一方、樹脂成分の濃度が上記範囲を超える場合には、樹脂溶液の粘度が高くなりすぎ、厚みや表面状態が均一な樹脂フィルムが得られないことがある。
また、樹脂溶液は、室温における粘度が、通常、1〜1,000,000mPa・s、好ましくは10〜100,000mPa・s、さらに好ましくは100〜50,000m
Pa・s、特に好ましくは1,000〜40,000mPa・sである。
樹脂溶液の調製に用いられる溶媒としては、環状オレフィン系樹脂の場合には、たとえば、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族系溶媒;メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、1−メトキシ−2−プロパノール等のセロソルブ系溶媒;ジアセトンアルコール、アセトン、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン、4−メチル−2−ペンタノン、シクロヘキサノン、エチルシクロヘキサノン、1,2−ジメチルシクロヘキサン等のケトン系溶媒;乳酸メチル、乳酸エチル等のエステル系溶媒;2,2,3,3−テトラフルオロ−1−プロパノール、塩化メチレン、クロロホルム等のハロゲン含有溶媒;テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル系溶媒;1−ペンタノール、1−ブタノール等のアルコール系溶媒などが挙げられる。ポリイミド系樹脂の場合には、たとえば、N−メチル−2−ピロリドン、γ−ブチロラクトン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、テトラメチル尿素、ヘキサメチルホスホトリアミドなどの非プロトン系極性溶媒;m−クレゾール、キシレノール、フェノール、ハロゲン化フェノールなどのフェノール系溶媒などが挙げられる。上記溶媒は単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
基材に樹脂溶液を塗布する方法としては、ダイス、コーター、ハケなどを用いる方法、スプレー法、ロールコート法、スピンコート法、ディッピング法、グラビア法などを用いることができる。また、所望の厚みの光学用フィルムを得るために、樹脂溶液の塗布を繰り返し行ってもよい。
基材に塗布された樹脂溶液から溶媒を蒸発させる方法としては、特に制限されるものはなく、一般的に用いられる方法、たとえば、多数のローラーによって乾燥炉中を通過させる方法などを利用することができるが、溶媒の蒸発に伴って気泡が発生すると、得られる光学用フィルムの特性が著しく低下するので、気泡の発生を回避するために、溶媒の蒸発処理を複数の工程によって行うとともに、各工程における温度および風量を制御することが好ましい。
樹脂フィルム中に残留する溶媒の量は、通常は20重量%以下、好ましくは5重量%以下、さらに好ましくは1重量%以下、特に好ましくは0.5重量%以下である。残留溶媒量が上記範囲を超える場合には、当該樹脂フィルムを実際に使用したときに、経時的な寸法変化が大きくなることがあり、また、残留する溶媒によってガラス転移温度が低くなって耐熱性が低下することがある。
また、後述する延伸工程を好適に行うためには、樹脂フィルム中に残留する溶媒の量を上記範囲内で適宜調節することが必要となることがある。具体的には、延伸処理による位相差を安定して均一に発現させるために、残留する溶媒の量を、通常20〜0.1重量%、好ましくは5〜0.1重量%、さらに好ましくは1〜0.1重量%とすることがある。このような範囲に溶媒の量を制御することにより、容易に延伸処理を行うことができ、また、位相差の制御を容易に行うことができる。
樹脂フィルム中に残留する溶媒の量を上述した範囲でコントロールして延伸工程を経た後に、位相差等の光学特性を安定にするため更に乾燥工程で残留溶媒量を低減させても良い。その場合には、残留溶媒量は好ましくは5〜0.1重量%、さらに好ましくは1〜0.1重量%とする。
このようにして得られる樹脂フィルムの厚みは、通常0.1〜3,000μm、好ましくは0.1〜1,000μm、さらに好ましくは1〜500μm、特に好ましくは5〜300μmである。この厚みが上記範囲よりも小さい場合には、当該樹脂フィルムのハンド
リングが実際上困難となる。一方、この厚みが上記範囲を超える場合には、当該樹脂フィルムをロール状に巻き取ることが困難になる。
上記樹脂フィルムにおける厚み分布は、平均値に対して通常±20%以内、好ましくは±10%以内、さらに好ましくは±5%以内、特に好ましくは±3%以内であり、また、1cmあたりの厚みの変動率は、通常は10%以下、好ましくは5%以下、さらに好ましくは1%以下、特に好ましくは0.5%以下であることが好ましい。このような厚み条件で樹脂フィルムを形成することにより、当該樹脂フィルムを延伸処理したときには、透過光の位相差ムラの発生を防止することができる。
上記のようにして得られた樹脂フィルムを、上述した光学特性を得るために延伸処理する方法としては、公知の自由端一軸延伸、幅拘束一軸延伸または二軸延伸する方法が用いられる。
一軸延伸処理の場合、延伸速度は、通常1〜5,000%/分であり、好ましくは50〜1,000%/分であり、より好ましくは100〜1,000%/分である。
二軸延伸処理法の場合、同時に二方向に延伸処理を行う方法、一軸延伸処理した後に当該延伸処理における延伸方向と異なる方向に延伸処理する方法を利用することができる。このとき、2つの延伸軸の交わり角度は、目的とする光学フィルムに要求される特性に応じて決定され、特に限定されないが、通常、120〜60度の範囲である。また、延伸速度は、各延伸方向で同じであってもよく、異なっていてもよく、通常は1〜5,000%/分であり、好ましくは50〜1,000%/分であり、さらに好ましくは100〜1,000%/分であり、特に好ましくは100〜500%/分である。
延伸処理温度は、特に限定されるものではないが、樹脂のガラス転移温度Tgを基準として、Tg±30℃、好ましくはTg±15℃、さらに好ましくはTg−5〜Tg+15℃の範囲である。延伸処理温度を上記範囲内に設定することにより、得られる延伸フィルムに位相差ムラが発生することを抑制することができ、また、各フィルムの屈折率の制御が容易となることから好ましい。
延伸倍率は、目的とする光学フィルムに要求される特性に応じて決定され、特に限定されないが、通常は1.01〜10倍、好ましくは1.03〜5倍、さらに好ましくは1.03〜3倍である。延伸倍率が上記範囲を超えると、得られる延伸フィルムの位相差の制御が困難になることがある。延伸処理されたフィルムは、そのまま冷却してもよいが、樹脂のTg−20℃〜Tgの温度雰囲気下に少なくとも10秒間以上、好ましくは30秒間〜60分間、さらに好ましくは1〜60分間保持した後に冷却することが好ましい。これにより、透過光の位相差の経時変化が少なくて安定した位相差フィルムが得られる。
上記のようにして延伸処理が施されたフィルムは、延伸処理により分子が配向する結果、透過光に位相差を与えるようになるが、この位相差は、延伸倍率、延伸温度あるいはフィルムの厚さなどにより制御することができる。
(光学フィルムの用途)
本発明の光学フィルムは、上述した光学特性を有し、視野角補償効果に優れていることから、液晶ディスプレイ、特にVAタイプの大型液晶テレビに用いられる視野角補償フィルムとして好適である。また、これ以外にも、たとえば、携帯電話、ディジタル情報端末、ポケットベル、ナビゲーション、車載用液晶ディスプレイ、液晶モニター、調光パネル、OA機器用ディスプレイ、AV機器用ディスプレイなどの各種液晶表示素子、エレクトロルミネッセンス表示素子またはタッチパネルなどに用いることができる。また、CD、CD−R、MD、MO、DVD等の光ディスクの記録・再生装置に使用される波長板とし
ても有用である。
<偏光板>
本発明に係る偏光板は、偏光子(偏光フィルム)の片面または両面に、上記本発明の光学フィルムを積層したものである。積層方法としては、偏光子と光学フィルムとを、適当な接着剤または粘着剤を介して直接貼り合わせてもよく、保護フィルムが積層された偏光子に光学フィルムを貼り合わせてもよい。コスト等を考慮すれば、偏光子に本発明の光学フィルムを直接積層することが好ましい。
上記偏光子(偏光フィルム)としては特に限定されないが、たとえば、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルホルマール、ポリビニルアセタールなどのポリビニルアルコール系樹脂からなるフィルムに、ヨウ素や二色性染料等の偏光成分を含有させて延伸することにより得られるフィルムを用いることができる。
上記保護フィルムとしては特に限定されないが、たとえば、トリアセチルセルロース(TAC)等のセルロース系フィルム、ポリエステル系フィルム、ポリカーボネート系フィルム、ポリエーテルスルホン系フィルム、ポリアミド系フィルム、ポリイミド系フィルム、ポリオレフィン系フィルムなどの透明性、機械的強度、熱安定性などに優れるポリマーフィルムを用いることができる。
上記偏光子に保護フィルムを積層させる際に用いられる接着剤または粘着剤としては、特に限定されないが、たとえば、アクリル系ポリマーやビニルアルコール系ポリマーからなる接着剤または粘着剤を用いることができる。特に、偏光子としてPVAからなるフィルムを用いた場合、接着性の観点からPVA系接着剤を用いることが好ましい。
上記偏光子に光学フィルムを直接積層させる場合に用いられる接着剤または粘着剤としては、特に限定されないが、たとえば、アクリル酸エステル系ポリマーの水系分散体からなる水系粘着剤などを用いることができる。このような水系粘着剤を用いることにより、フィルム間の密着性をより向上させることができ、得られる偏光板が耐久安定性に優れたものとなる。また、保護フィルムが積層された偏光子に光学フィルムを積層させる場合に用いられる接着剤または粘着剤としては、特に限定されず、上述したような接着剤または粘着剤などを適宜用いることができる。
本発明の偏光板は、視野角補償効果に優れていることから、液晶ディスプレイにおける液晶セルの片面または両面に該偏光板を配置させることにより、黒表示時の光漏れや色抜け(着色)を防止することができるとともに、高いコントラスト比を得ることができる。また、本発明の偏光板は、高温条件下で長時間使用しても特性の変化が小さいことから、幅広い用途に利用することができる。
〔実施例〕
以下、実施例を挙げ、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は、その要旨を超えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。なお、以下において、「部」及び「%」は、特に断りのない限り「重量部」および「重量%」を意味する。
本発明における各種測定値の測定方法を以下に示す。
[ガラス転移温度(Tg)]
セイコーインスツルメンツ社製、示差走査熱量計(DSC)を用いて、窒素雰囲気、昇温速度:20℃/分の条件で測定した。
[飽和吸水率]
ASTM D570に準拠し、23℃の水中に1週間サンプルを浸漬し、浸漬前後の重量変化を測定して求めた。
[全光線透過率、ヘイズ]
スガ試験機社製ヘイズメーター(HGM−2DP型)を使用して測定した。
[透過光の位相差]
王子計測機器(株)製KOBRA−21ADHを用い、波長480、550、590、630、750nmで測定し、当該波長以外の部分については前記波長での位相差値を用いてコーシー(Cauchy)の分散式を用いて算出した。
[輝点測定]
サンプルをクロスニコル状態の偏光板の間に挟んで観察したときに肉眼で認められる部分的な光りの漏れを、1000cd/m2の光源上にサンプルを置いて、10μm以上の
大きさのものを計測した。
[輝度、視野角およびコントラスト比測定]
ミノルタ株式会社製の輝度計LS−110を用い、液晶パネルの輝度、視野角およびコントラスト比を暗室にて測定した。
[残留溶媒量]
サンプルを塩化メチレンに溶解し、得られた溶液をガスクロマトグラフィー(島津製作所製GC−7A)を用いて分析した。
[対数粘度]
ウベローデ型粘度計を用いて、クロロホルムまたはN−メチル−2−ピロリドン中(試料濃度:0.5g/dL)、30℃で測定した。
<合成例1>
8−メチル−8−メトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−
3−ドデセン(特定単量体)250部と、1−ヘキセン(分子量調節剤)18部と、トルエン(開環重合反応用溶媒)750部とを窒素置換した反応容器に仕込み、この溶液を60℃に加熱した。次いで、反応容器内の溶液に、重合触媒としてトリエチルアルミニウム(1.5モル/l)のトルエン溶液0.62部と、t−ブタノールおよびメタノールで変
性した六塩化タングステン(t−ブタノール:メタノール:タングステン=0.35モル
:0.3モル:1モル)のトルエン溶液(濃度0.05モル/l)3.7部とを添加し、この系を80℃で3時間加熱攪拌することにより開環重合反応させて開環重合体溶液を得た。この重合反応における重合転化率は97%であり、得られた開環重合体について、30℃のクロロホルム中で測定した対数粘度は0.75dl/gであった。
このようにして得られた開環重合体溶液1,000部をオートクレーブに仕込み、この開環重合体溶液に、RuHCl(CO)[P(C65)33 0.12部を添加し、水素ガス圧100kg/cm2、反応温度165℃の条件下で、3時間加熱攪拌して水素添加反応
を行った。
得られた反応溶液(水素添加重合体溶液)を冷却した後、水素ガスを放圧した。この反応溶液を大量のメタノール中に注いで凝固物を分離回収し、これを乾燥して、水素添加重合体(以下、「樹脂A1」という。)を得た。
このようにして得られた樹脂A1について、
1H−NMRを用いて測定した水素添加率は99.9%、
DSC法により測定したガラス転移温度(Tg)は165℃、
GPC法(溶媒:テトラヒドロフラン)により測定した、ポリスチレン換算の数平均分子量(Mn)は32,000、重量平均分子量(Mw)は137,000、分子量分布(Mw/Mn)は4.29、
23℃における飽和吸水率は0.3%、
SP値は19(MPal/2)、
30℃のクロロホルム中における対数粘度は0.78dl/g 、
であった。
<合成例2>
8−メチル−8−メトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−
3−ドデセン 215部と、ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン 35部とを使用し、1−ヘキセン(分子量調節剤)の添加量を18部としたこと以外は、合成例1と同様にして水素添加重合体(以下、「樹脂A2」という。)を得た。
得られた樹脂Bについて、
水素添加率は99.9%、
DSC法により測定したガラス転移温度(Tg)は125℃、
GPC法(溶媒:テトラヒドロフラン)により測定した、ポリスチレン換算のMnは46,000、Mwは190,000、分子量分布(Mw/Mn)は4.15、
23℃における飽和吸水率は0.18%、
SP値は19(MPal/2)、
30℃のクロロホルム中における対数粘度は0.69dl/g 、
ゲル含有量は0.2%
であった。
<合成例3>
2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物18.9141gと、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル31.0859gとを、N−メチル−2−ピロリドン200gに溶解させ、室温で3時間反応させた。得られた反応生成液を大過剰のメチルアルコール中に注いでポリアミック酸を沈殿させ、その後メチルアルコールで洗浄し、減圧下において40℃で15時間乾燥させることにより、N−メチル−2−ピロリドン中で測定した対数粘度が2.45dl/gの重合体48.2gを得た。この重合体30.0gをγ−ブチロラクトン270gに溶解し、この溶液にピリジン20.0gおよび無水酢酸15.0gを添加して120℃で3時間イミド化処理を行い、次いで重合体を大過剰のメチルアルコール中に注いで沈殿させることにより、対数粘度2.39dl/gのポリイミド(以下、「樹脂B1」という。)を得た。
<合成例4>
4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニルの代わりに2,2’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニルを使用したこと以外は、合成例3と同様にしてポリイミド(以下、「樹脂B2」という。)を合成した。得られたポリイミドのN−メチル−2−ピロリドン中で測定した対数粘度は2.10dl/gであった。
<合成例5>
4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニルの代わりに4,4’−ジアミノジフェニルメタンを使用したこと以外は、合成例3と同様にしてポリイミド(以下、「樹脂B3」という。)を合成した。得られたポリイミドのN−メチル−2−ピロリドン中で測定した対数粘度は0.86dl/gであった。
<製造例1> 樹脂フィルム(a1−1)
上記樹脂A1をトルエンに30%濃度(室温での溶液粘度は30,000mPa・s)になるように溶解し、酸化防止剤としてペンタエリスリチルテトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]を重合体100重量部に対して0.1重量部を添加し、日本ポール製の孔径5μmの金属繊維焼結フィルターを用い、差圧が0.4MPa以内に収まるように溶液の流速をコントロールしながら濾過させた。得られた溶液を、クラス1000のクリーンルーム内に設置した井上金属工業製「INVEXラボコーター」を用い、アクリル酸系で親水化(易接着性化)表面処理した厚さ100μmの基材のPETフィルム(東レ(株)製「ルミラーU94」)上に、乾燥後のフィルム厚みが100μmになるように塗布し、これを50℃で一次乾燥の後、90℃で二次乾燥を行った。PETフィルムより剥がした樹脂フィルムを(a1−1)とした。得られたフィルムの残留溶媒量は0.5%であり、全光線透過率は93%であった。
<製造例2> 樹脂フィルム(a2−1)
樹脂A1の代わりに樹脂A2を使用したこと以外は製造例1と同様の方法により、厚さ100μmの樹脂フィルム(a2−1)を得た。得られたフィルムの残留溶媒量は0.5%であり、全光線透過率は93%であった。
<製造例3> 樹脂フィルム(a1−2)
上記樹脂フィルム(a1−1)を180℃で一方向に1.44倍、前記方向と直交方向に1.72倍同時二軸延伸処理することにより、膜厚36μmの樹脂フィルム(a1−2)を得た。得られた樹脂フィルム(a1−2)のR550は45nm、Rthは135nmであった。
<製造例4> 樹脂フィルム(a2−2)
上記樹脂フィルム(a2−1)を122℃で一方向に1.49倍、前記方向と直交方向に1.75倍同時二軸延伸処理することにより、膜厚34μmの樹脂フィルム(a2−2)を得た。得られた樹脂フィルム(a2−2)のR550は67nm、Rthは238nmであった。
[実施例1]
樹脂B1の10%γ−ブチロラクトン溶液を使用し、基材PETフィルムの代わりに製造例3で得た樹脂フィルム(a1−2)を使用し、基材からフィルムを剥離しないこと以外は製造例1と同様の方法により、樹脂フィルム(a1−2)と樹脂B1からなるポリイミドフィルム(b1)とが一体になった積層タイプの光学フィルム(1)を得た。得られた光学フィルム(1)は、ポリイミドフィルム(b1)層の厚みが3μm、全光線透過率が92%であった。
[実施例2]
樹脂B1の代わりに樹脂B2を使用したこと以外は実施例1と同様の方法により、樹脂フィルム(a1−2)と樹脂B2からなるポリイミドフィルム(b2)とが一体になった積層タイプの光学フィルム(2)を得た。得られた光学フィルム(2)は、ポリイミドフィルム(b2)層の厚みが3μm、全光線透過率が92%であった。
[実施例3]
樹脂B1の代わりに樹脂B3を使用したこと以外は実施例1と同様の方法により、樹脂フィルム(a1−2)と樹脂B3からなるポリイミドフィルム(b3)とが一体になった積層タイプの光学フィルム(3)を得た。得られた光学フィルム(3)は、ポリイミドフィルム(b3)層の厚みが3μm、全光線透過率が92%であった。
[実施例4]
樹脂フィルム(a1−2)の代わりに樹脂フィルム(a2−2)を基材として使用したこと以外は実施例1と同様の方法により、樹脂フィルム(a2−2)と樹脂B1からなるポリイミドフィルム(b1)とが一体になった積層タイプの光学フィルム(4)を得た。得られた光学フィルム(4)は、ポリイミド層の厚みが3μm、全光線透過率が92%であった。
[実施例5]
樹脂フィルム(a1−2)の代わりに樹脂フィルム(a1−1)を基材として使用したこと以外は実施例1と同様の方法により、樹脂フィルム(a1−1)と樹脂B1からなるポリイミドフィルム(b1)とが一体になった積層タイプの樹脂フィルム(5)を得た。得られた積層フィルム(5)は、ポリイミド層の厚みが3μm、全光線透過率が92%であった。次いで、積層フィルム(5)を180℃で一方向に1.40倍、前記方向と直交方向に1.70倍同時二軸延伸することにより、樹脂フィルム(a1−1)が延伸されてなる樹脂フィルム(a1−1’)と、ポリイミドフィルム(b1)が延伸されてなるポリイミドフィルム(b1’)とからなる積層タイプの光学フィルム(5’)を得た。
実施例1〜5で得られた光学フィルムの光学特性および膜厚を表2に示す。

Figure 2006065224
上記結果から本発明の環状オレフィン系樹脂フィルムとポリイミド層とからなる積層タイプの光学フィルムは各層の構造および加工方法の選択により幅広い光学特性のコントロールが可能であることが明らかとなった。
[水系粘着剤の調製例]
反応容器に蒸留水250部を仕込み、当該反応容器にアクリル酸ブチル90部と、2−ヒドロキシエチルメタクリレート8部と、ジビニルベンゼン2部と、オレイン酸カリウム0.1部とを添加し、これをテフロン(R)製の撹拌羽根により撹拌して分散処理した。当該反応容器内を窒素置換した後、この系を50℃まで昇温し、過硫酸カリウム0.2部を添加して重合を開始した。2時間経過後、過硫酸カリウム0.1部をさらに添加し、この系を80℃まで昇温し、1時間にわたり重合反応を継続させて重合体分散液を得た。次いで、エバポレータを用いて、固形分濃度が70%になるまでこの重合体分散液を濃縮することにより、アクリル酸エステル系重合体の水系分散体からなる水系粘着剤(極性基を有する粘着剤)を得た。
このようにして得られた水系粘着剤を構成するアクリル酸エステル系重合体について、GPC法(溶媒:テトラヒドロフラン)によりポリスチレン換算の数平均分子量(Mn)および重量平均分子量(Mw)を測定したところ、Mnは69,000、Mwは135,000であり、30℃のクロロホルム中で測定した対数粘度は1.2dl/gであった。
[実施例6]
ポリビニルアルコール(以下、「PVA」ともいう。)製フィルムを、ヨウ素濃度が0.03重量%であり、ヨウ化カリウム濃度が0.5重量%である30℃水溶液の染色浴にて、延伸倍率3倍で前延伸した後、ほう酸濃度が5重量%であり、ヨウ化カリウム濃度が8重量%である水溶液の55℃の架橋浴中で、さらに延伸倍率2倍で後延伸し、乾燥処理して偏光子を得た。
樹脂フィルム(a1−2)上に、メチルエチルケトンで3重量%に希釈したハイドランWLS−201(大日本インキ化学工業(株)製)をワイヤーバーNo.2(K&K社製)を用いて塗布し、80℃で50分間乾燥させることにより、ウレタン系プライマーc層を形成したフィルム(a1−2/c)を得た。得られたフィルム(a1−2/c)の残留溶媒量は0.5%であり、全光線透過率は93%であった。さらに、このフィルム(a1−2/c)のウレタン系プライマーc層上に、樹脂B1の10%γ−ブチロラクトン溶液を塗布してポリイミドフィルム(b1)を形成して積層タイプの光学フィルム(6)を得た。得られた光学フィルム(6)におけるポリイミドフィルム(b1)層の厚みは3μm、全光線透過率は92%であった。光学フィルム(6)の光学特性および膜厚を表2に示す。
Figure 2006065224
次に、上記偏光子の片面に、上記光学フィルム(6)を、偏光板の透過軸と光学フィルム(6)の延伸方向の軸が並行になるように、上記水系接着剤を用いて貼付し、もう一方の面に、トリアセチルセルロース(以下、「TAC」ともいう。)製フィルムをPVA系
接着剤を用いて貼付して偏光板(1)を得た。得られた偏光板(1)の透過率および偏光度を調べたところ、それぞれ44.0%および99.9%であった。
上記偏光板(1)の特性を評価するため、ASV方式低反射ブラックTFT液晶を採用しているシャープ株式会社製液晶テレビ(LC−13B1−S)の液晶パネルの観察者側の前面に貼付している偏光板および位相差フィルムを剥離し、この剥離した箇所に、上記偏光板(1)を、元々貼付されていた偏光板の透過軸と同一にして、偏光板(1)の位相差フィルム(光学フィルム(6))が液晶セル側になるように貼付した。さらに、液晶パネルの観察者側の後面に貼付している位相差フィルムを剥離して、パネル後面には位相差フィルムが無い状態とした。
この偏光板(1)を有する液晶テレビの、方位角45度で極角60度方向でのコントラスト比を確認したところ、70と高い数値であった。また、全方位で視野角(コントラスト比10以上の領域)を確認したところ、上下、左右、斜め方向の全てで170度以上であることを確認した。
また、耐久試験として100℃の環境下、ならびに60℃、90RH%の環境下にそれぞれに2,000時間放置した偏光板(1)について同様に評価したところ、耐久試験前後での上記特性の変化率[=(変化前−変化後)×100/変化前]はいずれも5%以内であった。
[比較例1]
光学フィルム(6)の代わりにTACフィルムを使用したこと以外は実施例6と同様にして偏光板(2)を得た。当該偏光板(2)の透過率および偏光度を調べたところ、それぞれ44.0%および99.9%であった。
得られた偏光板(2)を実施例6と同様にして液晶テレビに貼付し、方位角45度で極角60度方向でのコントラスト比を確認したところ、3と低い数値であった。また、全方位で視野角(コントラスト比10以上の領域)を確認したところ、上下、左右では170度以上であったが、斜め方向ではわずか80度であった。
また、耐久試験として100℃、ならびに60℃、90RH%の環境下にそれぞれ2,000時間放置した偏光板(2)について偏光度を確認したところ、変化率は10%、8%であった。
[比較例2]
環状オレフィン系樹脂フィルム(a1−2)の代わりに、該フィルム(a1−2)と同じ位相差(Rth、R550)になるように二軸延伸処理したTACフィルムを使用したこと以外は実施例6と同様にして偏光板(3)を得た。当該偏光板(3)の透過率および偏光度を調べたところ、それぞれ44.0%および99.9%であった。
得られた偏光板(3)を実施例6と同様にして液晶テレビに貼付し、方位角45度で極角60度方向でのコントラスト比を確認したところ、40であった。また、全方位で視野角(コントラスト比10以上の領域)を確認したところ、上下、左右、斜め方向の全てで170度以上であったが、耐久試験として100℃ならびに60℃90RH%の環境下にそれぞれ2,000時間放置したところ、偏光度の変化はそれぞれ10%、12%、方位角45度で極角60度方向でのコントラスト比の変化は30%と大きかった。


Claims (14)

  1. 環状オレフィン系樹脂からなるフィルムa層と、ポリイミド系樹脂からなるフィルムb層とを有し、かつ、下記式(1)および(2)を満たすことを特徴とする光学フィルム。(1)200nm≦Rth≦1,000nm
    (2)0≦R550≦200nm
    [上記式中、Rthは、波長550nmにおけるフィルム厚み方向の位相差を示し、
    Rth=[(nx+ny)/2−nz]×dで表され、
    R550は、波長550nmにおけるフィルム面内の位相差を示し、
    R550=(nx−ny)×dで表される。
    ここで、nxはフィルム面内での最大屈折率、
    nyはフィルム面内でnxに直交する方向の屈折率、
    nzはnxおよびnyに対して直交するフィルム厚み方向の屈折率、
    dはフィルムの厚み(nm)を表す。]
  2. 環状オレフィン系樹脂からなるフィルムa層と、脂環構造を有するポリイミド系樹脂からなるフィルムb層とを有することを特徴とする光学フィルム。
  3. 前記フィルムa層が、下記一般式(I)で表される構成単位30〜100mol%と、必要に応じて下記一般式(II)で表される構成単位70〜0mol%とを有する環状オレフィン系樹脂からなり、該フィルムa層の厚みが10,000〜200,000nmであることを特徴とする請求項1または2に記載の光学フィルム。
    Figure 2006065224
    [式(I)中、mは1以上の整数であり、pは0または1以上の整数であり、
    Dは、独立に−CH=CH−または−CH2CH2−で表される基であり、
    1〜R4は、各々独立に水素原子;ハロゲン原子;酸素原子、硫黄原子、窒素原子もしくはケイ素原子を含む連結基を有してもよい、置換もしくは非置換の炭素原子数1〜30の炭化水素基;または極性基を表し、
    1とR2および/またはR3とR4は一体化して2価の炭化水素基を形成してもよく、
    1またはR2と、R3またはR4とは相互に結合して炭素環または複素環を形成してもよく、該炭素環または複素環は、単環構造でも多環構造でもよい。]
    Figure 2006065224
    [式(II)中、Eは、独立に−CH=CH−または−CH2CH2−で表される基であり、R5〜R8は、各々独立に水素原子;ハロゲン原子;酸素原子、硫黄原子、窒素原子もしくはケイ素原子を含む連結基を有してもよい、置換もしくは非置換の炭素原子数1〜30の炭化水素基;または極性基を表し、
    5とR6および/またはR7とR8は一体化して2価の炭化水素基を形成してもよく、
    5またはR6と、R7またはR8とは相互に結合して炭素環または複素環を形成してもよく、該炭素環または複素環は、単環構造でも多環構造でもよい。]
  4. 前記フィルムa層が、下記式(3)〜(6)を満たすことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の光学フィルム。
    (3)20nm≦Rath≦500nm
    (4)0≦Ra550≦200nm
    (5)1.0≦Ra450/Ra550≦1.3
    (6)0.7≦Ra650/Ra550≦1.0
    [上記式中、Rathは、波長550nmにおけるフィルムa厚み方向の位相差を示し、
    ath=[(nxa+nya)/2−nza]×daで表され、
    a450、Ra550、Ra650は、それぞれ波長450nm、550nm、650n
    mにおけるフィルムa面内の位相差Raを示し、Ra=(nxa−nya)×daで表される

    ここで、nxaはフィルムa面内での最大屈折率、
    nyaはフィルムa面内でnxaに直交する方向の屈折率、
    nzaはnxaおよびnyaに対して直交するフィルムa厚み方向の屈折率、
    aはフィルムaの厚み(nm)を表す。]
  5. 前記フィルムa層が、一軸延伸または二軸延伸処理して得られたフィルム層であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の光学フィルム。
  6. 前記フィルムb層が、下記式(III)で表される構成単位を有するポリイミドからなる
    ことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の光学フィルム。
    Figure 2006065224
    [式(III)中、Xは脂環構造を有する4価の有機基であり、Yは2価の有機基である。
  7. 前記フィルムb層が、下記式(7)〜(10)を満たすことを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の光学フィルム。
    (7)100nm≦Rbth≦1,000nm
    (8)0≦Rb550≦200nm
    (9)1.00≦Rb450/Rb550≦1.30
    (10)0.7≦Rb650/Rb550≦1.00
    [上記式中、Rbthは、波長550nmにおけるフィルムb厚み方向の位相差を示し、
    bth=[(nxb+nyb)/2−nzb]×dbで表され、
    b450、Rb550、Rb650は、それぞれ波長450nm、550nm、650n
    mにおけるフィルムb面内の位相差Rbを示し、Rb=(nxb−nyb)×dbで表される

    ただし、前記RathとRbthとの和は1,000nm以下であり、
    前記Ra550とRb550との和は200nm以下である。
    ここで、nxbはフィルムb面内での最大屈折率、
    nybはフィルムb面内でnxbに直交する方向の屈折率、
    nzbはnxbおよびnybに対して直交するフィルムb厚み方向の屈折率、
    bはフィルムbの厚み(nm)を表す。]
  8. 前記フィルムb層を構成するポリイミド系樹脂が、ビフェニル骨格を少なくとも一部有することを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の光学フィルム。
  9. 前記フィルムa層とフィルムb層との間に、ウレタン系プライマーc層を有することを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の光学フィルム。
  10. 一軸延伸または二軸延伸処理して得られたフィルムa上に、前記ウレタン系プライマーc層をコーティングにより形成し、該プライマーc層上に前記フィルムb層をコーティングにより形成することにより得られたことを特徴とする請求項9に記載の光学フィルム。
  11. 環状オレフィン系樹脂からなる未延伸フィルム上に、前記ウレタン系プライマー層cをコーティングにより形成し、該プライマーc層上に前記フィルムb層をコーティングにより形成した後に、一軸延伸または二軸延伸することにより得られたことを特徴とする請求項9に記載の光学フィルム。
  12. 請求項1〜11のいずれかに記載の光学フィルムを有することを特徴とする偏光板。
  13. 請求項1〜11のいずれかに記載の光学フィルムを有することを特徴とする液晶ディスプレイ。
  14. 請求項12に記載の偏光板を有することを特徴とする液晶ディスプレイ。


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