JP2013105104A - 光学フィルム、偏光板および液晶表示装置 - Google Patents

光学フィルム、偏光板および液晶表示装置 Download PDF

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Abstract

【課題】逆波長分散性またはフラットな波長分散性を示し、かつ耐久性が良好な光学フィルムを提供する。
【解決手段】下記一般式(1)で表される化合物を含有する、光学フィルム。
【化1】
Figure 2013105104

(式(1)中、Cycは、2価の5員環または6員環を含む環状基を表し、前記5員環または6員環は、他の環と縮合していてもよく;Rは、前記環状基が有する置換基を表し;jは、0〜4の整数を表し、jが0であるとき、前記5員環または6員環は、他の環と縮合しており;LおよびLは、それぞれ独立に単結合、−O−、−CO−、−NRa−(Raは、炭素原子数1〜7のアルキル基または水素原子)、−S−、−SO−および−CH−からなる群より選ばれる2価の連結基を表し;StrおよびStrは、それぞれ独立にステロイド類の残基を表し;RおよびRは、それぞれ独立に置換基を表し;mおよびnは、それぞれ独立に0〜10の整数を表す)
【選択図】なし

Description

本発明は、光学フィルム、偏光板および液晶表示装置に関する。
セルロースエステル、ポリカーボネート、ポリオレフィン等の樹脂フィルムは、液晶表示装置の光学フィルムとして用いられている。なかでも、セルロースエステルを含む樹脂フィルム(セルロースエステルフィルム)は、偏光子であるポリビニルアルコールフィルムと貼り合わせやすいことから、広く用いられている。
近年、薄型かつ軽量なノートパソコンや、薄型かつ大画面のテレビなどの開発が進んでいる。それに伴い、液晶表示装置を構成する光学フィルムも、薄型化、大型化、高性能化が求められている。特に、VA方式の液晶表示装置を構成する光学フィルムは、一定以上の位相差を有することが求められるため、一般的に、リターデーション上昇剤などが含まれている。
例えば、特許文献1には、リターデーション上昇剤として、円盤状化合物を含むセルロースエステルフィルムが開示されている。しかしながら、所望のリターデーション値を得るためには、リターデーション上昇剤を一定量以上含有させる必要があった。そのため、得られるセルロースエステルフィルムは順波長分散性を示しやすく、それにより斜め方向の色味が変化する、いわゆるカラーシフト(色ムラ)が発生するという問題があった。
即ち、「波長分散性」とは、各波長の光における位相差(複屈折に起因する進相軸と遅相軸との位相差)のばらつきの度合をいう。「順波長分散性」とは、特定の波長の光における面内リターデーション値(Ro1)と、特定の波長よりも長波長の光における面内リターデーション値(Ro2)の絶対値がいずれも正であって、かつRo1/Ro2の値が1.0超となる性質をいう。「逆波長分散性」とは、特定の波長の光における面内リターデーション(Ro1)と、特定の波長よりも長波長の光における面内リターデーション(Ro2)の絶対値がいずれも正であって、かつRo1/Ro2の値が1.0未満となる性質をいう。「フラットな波長分散性」とは、Ro1/Ro2の値が1.0となる性質をいう。VA方式の液晶表示装置の表示性能を高めるためには、それに含まれる光学フィルムは、通常、逆波長分散性を有するか、フラットな波長分散性を有することが求められる。
例えば、逆波長分散性を付与するリターデーション制御剤として、特定の低分子化合物を含むセルロース組成物からなるセルロースエステルフィルム(特許文献2)や、重合性基を有する特定の化合物を含む光学フィルム(特許文献3)などが提案されている。
特開2001−166144号公報 特開2010−163483号公報 特開2010−31223号公報
しかしながら、特許文献2に記載の特定の低分子化合物は、セルロースエステルの配向軸に対して直交方向の屈折率を制御しうるものであるが、光学フィルムに十分な逆波長分散性を付与することは難しかった。また、特許文献3に記載の重合性基を有する化合物は、延伸によって配向した後;重合反応によって、その配向状態を固定し、屈折率を制御しうる。そのため、フィルムの延伸のみによって配向状態を制御する方法に比べて、延伸後、さらに重合性基を有する化合物を重合反応させる必要があるため、フィルムの製造工程が複雑になるという問題があった。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、逆波長分散性またはフラットな波長分散性を示し、耐久性が良好な光学フィルムを提供することを目的とする。さらには、当該光学フィルムを含み、視野角が広く、耐久性に優れる液晶表示装置を提供することを目的とする。
[1] 下記一般式(1)で表される化合物を含有する、光学フィルム。
Figure 2013105104
(式(1)中、
Cycは、2価の5員環または6員環を含む環状基を表し、前記5員環または6員環は、他の環と縮合していてもよく;
は、前記環状基が有する置換基を表し;
jは、0〜4の整数を表し、jが0であるとき、前記5員環または6員環は、他の環と縮合しており;
およびLは、それぞれ独立に単結合、−O−、−CO−、−NRa−(Raは、炭素原子数1〜7のアルキル基または水素原子)、−S−、−SO−および−CH−からなる群より選ばれる2価の連結基を表し;
StrおよびStrは、それぞれ独立にステロイド類の残基を表し;
およびRは、それぞれ独立に置換基を表し;
mおよびnは、それぞれ独立に0〜10の整数を表す)
[2] 前記一般式(1)で表される化合物において、前記(R)jを有するCycが、下記一般式(2)または一般式(3)で表される構造を含む、[1]に記載の光学フィルム。
Figure 2013105104
(式(2)中、
およびXは、それぞれ独立に−S−、−O−または−NRb−(Rbは、炭素原子数が1〜7のアルキル基または水素原子)を表し;
およびRは、それぞれ独立に水素原子または置換基を表し;
−*は、前記LまたはLとの連結部を表す)
Figure 2013105104
(式(3)中、
は、−S−、−O−または−NRb−(Rbは、炭素原子数が1〜7のアルキル基または水素原子)を表し;
は、水素原子または置換基を表し;
−*は、前記LまたはLとの連結部を表す)
[3] 前記一般式(1)で表される化合物において、前記ステロイド類の残基に含まれるステロイド核の3位または17位の炭素原子と、前記LまたはLとが直接または連結基を介して結合している、[1]または[2]に記載の光学フィルム。
[4] 前記一般式(1)で表される化合物において、前記(R)mを有するStrまたは前記(R)nを有するStrは、コレステロール誘導体またはコール酸誘導体から誘導される、[1]〜[3]のいずれかに記載の光学フィルム。
[5] セルロースエステルをさらに含有する、[1]〜[4]のいずれかに記載の光学フィルム。
[6] 前記セルロースエステルのアシル基の総置換度が2.4以上3.0以下である、[5]に記載の光学フィルム。
[7] 23℃、55%RHの環境下で、波長590nmの光における、下記式(I)で表されるリターデーションRoが40〜100nm、下記式(II)で表されるRthが100〜300nmである、[1]〜[6]のいずれかに記載の光学フィルム。
式(I) Ro=(nx−ny)×d
式(II) Rth={(nx+ny)/2−nz}×d
(nxは、光学フィルムの面内方向において屈折率が最大になる方向xにおける屈折率を表し;
nyは、光学フィルムの面内方向において、前記方向xと直交する方向yにおける屈折率を表し;
nzは、光学フィルムの厚み方向zにおける屈折率を表し;
d(nm)は光学フィルムの厚みを表す)
[8] 前記光学フィルムの膜厚が20〜35μmである、[1]〜[7]のいずれかに記載の光学フィルム。
[9] 偏光子と、前記偏光子の少なくとも一方の面に配置された[1]〜[8]のいずれかに記載の光学フィルムと、を含む、偏光板。
[10] 液晶セルと、前記液晶セルを挟持する一対の偏光板と、を含む液晶表示装置であって、前記一対の偏光板のうち少なくとも一方は、[9]に記載の偏光板である、液晶表示装置。
[11] 前記液晶セルは、VA方式の液晶セルである、[10]に記載の液晶表示装置。
本発明の光学フィルムは、逆波長分散性またはフラットな波長分散性を示し、耐久性が良好である。それにより、本発明の光学フィルムを有する液晶表示装置は、視野角が広く、耐久性が良好である。
本発明に係る液晶表示装置の一実施形態の基本構成を示す模式図である。
1.光学フィルム
本発明の光学フィルムは、一般式(1)で表される化合物を含有する。
一般式(1)で表される化合物
一般式(1)で表される化合物は、以下の構造を有する。
Figure 2013105104
一般式(1)のCycは、2価の5員環または6員環を含む環状基を示す。2価の5員環または6員環は、他の環と縮合していてもよい。2価の5員環または6員環が他の環と縮合している場合、縮合環を構成する1つの5員環または6員環のみがLとの連結部とLとの連結部とを有する。2価の5員環または6員環を含む環状基は、脂肪族炭化水素環、芳香族炭化水素環、飽和ヘテロ環または不飽和ヘテロ環から誘導される基でありうる。
脂肪族炭化水素環から誘導される基の例には、シクロペンタン、シクロヘキサンなどのシクロアルカンから誘導される基;シクロペンタジエン、シクロヘキセンなどのシクロアルケンから誘導される基が含まれる。芳香族炭化水素環から誘導される基の例には、ベンゼン、ナフタレン、アントラセン、フェナントレン、ピレン、フルオレンなどから誘導される基が含まれる。飽和ヘテロ環から誘導される基の例には、ピロリジン、ピペリジンなどから誘導される基が含まれる。不飽和ヘテロ環から誘導される基の例には、チオフェン、フラン、ピリジン、フラン、オキサゾール、イミダゾール、チアゾール、ベンゾチオフェン、1,3−ベンゾジチオール、ベンゾオキサゾール、ベンゾイミダゾール、ベンゾチアゾールなどから誘導される基が含まれる。
なかでも、不飽和ヘテロ環から誘導される基が好ましく、1,3−ベンゾジチオール、ベンゾチアゾール、ベンゾオキサゾール、ベンゾイミダゾールから誘導される基がより好ましい。
一般式(1)のRは、前述の環状基(Cyc)を構成する炭素原子と結合する水素原子または置換基を示す。置換基は、特に限定されないが、
ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等);アルキル基(メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、tert−ブチル基、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基等);シクロアルキル基(シクロヘキシル基、シクロペンチル基、4−n−ドデシルシクロヘキシル基等);アルケニル基(ビニル基、アリル基等);シクロアルケニル基(2−シクロペンテン−1−イル、2−シクロヘキセン−1−イル基等);アルキニル基(エチニル基、プロパルギル基等);アルキリデン基;アリール基(フェニル基、p−トリル基、ナフチル基等);ヘテロアリール基(2−フリル基、2−チエニル基、2−ピリミジニル基、2−ベンゾチアゾリル基等);アルキルオキシ基(メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基、tert−ブトキシ基、n−オクチルオキシ基、2−メトキシエトキシ基等);アリールオキシ基(フェノキシ基、2−メチルフェノキシ基、4−tert−ブチルフェノキシ基、3−ニトロフェノキシ基、2−テトラデカノイルアミノフェノキシ基等);アルキルカルボニル基(アセチル基等);アリールカルボニル基(ピバロイルベンゾイル基等);アルキルオキシカルボニル基;アリールオキシカルボニル基;アルキルカルボニルオキシ基(ホルミルオキシ基、アセチルオキシ基、ピバロイルオキシ基、ステアロイルオキシ基等);アリールカルボニルオキシ基(ベンゾイルオキシ基、p−メトキシフェニルカルボニルオキシ基等);アルキルチオ基(メチルチオ基、エチルチオ基、n−ヘキサデシルチオ基等);アリールチオ基(フェニルチオ基、p−クロロフェニルチオ基、m−メトキシフェニルチオ基等);ヘテロアリールチオ基;アリールスルホニル基;アミノ基(アミノ基、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、アニリノ基、N−メチル−アニリノ基、ジフェニルアミノ基等);アシルアミノ基(ホルミルアミノ基、アセチルアミノ基、ピバロイルアミノ基、ラウロイルアミノ基、ベンゾイルアミノ基等);アルキルスルホニルアミノ基(メチルスルホニルアミノ基、ブチルスルホニルアミノ基等);アリールスルホニルアミノ基(フェニルスルホニルアミノ基、2,3,5−トリクロロフェニルスルホニルアミノ基、p−メチルフェニルスルホニルアミノ基等);スルファモイル基(N−エチルスルファモイル基、N−(3−ドデシルオキシプロピル)スルファモイル基、N,N−ジメチルスルファモイル基、N−アセチルスルファモイル基、N−ベンゾイルスルファモイル基、N−(N’フェニルカルバモイル)スルファモイル基等);カルバモイル基(カルバモイル基、N−メチルカルバモイル基、N,N−ジメチルカルバモイル基、N,N−ジ−n−オクチルカルバモイル基、N−(メチルスルホニル)カルバモイル基等);ヒドロキシル基;シアノ基;ニトロ基;カルボキシル基;スルホ基;メルカプト基;またはこれらの2以上を組み合わせた基でありうる。これらの2以上を組み合わせた基の例には、アルキル基の一部がハロゲン原子、ヒドロキシル基、アルキルオキシ基、シクロアルキル基、またはフェニル基などで置換された基などが含まれる。複数のRが、互いに結合して環を形成してもよい。
一般式(1)のjは、前述の環状基(Cyc)が有するRの数を示す。jは、0〜4の整数を示し、好ましくは1である。ただし、jが0であるとき、前述の環状基は縮合環である。一般式(1)で表される化合物によって、得られるフィルムに良好な波長分散性を付与するためには、(R)jを有するCycは、一般式(1)で表される化合物の長鎖方向(LとLとを結ぶ方向)に対して略垂直方向に双極子モーメントを生じさせるような構造を有することが好ましいからである。
を有する2価の5員環または6員環を含む環状基(式(1)において−Cyc(R)j−で表される基)は、得られるフィルムの波長分散性を高めるためには、一般式(2)または(3)で表される構造を有することが好ましい。下記一般式(2)または(3)において、−*は、LまたはLとの連結部を示す。
Figure 2013105104
Figure 2013105104
式(2)のXおよびXは、それぞれ独立に−S−、−O−または−NRb−(Rbは、炭素原子数が1〜7のアルキル基または水素原子)を示し、好ましくは−S−を示す。炭素原子数が1〜7のアルキル基の例には、メチル基、エチル基などが含まれる。
式(2)のRおよびRは、それぞれ独立に水素原子または置換基を示す。置換基は、前述のRの置換基と同様に定義される。なかでも、RおよびRは、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数2〜11のアルキルカルボニル基、炭素数2〜11のアルキルオキシカルボニル基、アシルアミノ基、シアノ基またはこれらを組み合わせた基であることが好ましい。これらのうち、シアノ基以外の基に含まれるアルキル基は、アルキルオキシ基、シクロアルキル基、またはアリール基などの置換基をさらに有していてもよい。
式(3)のXは、−S−、−O−または−NRb−(Rbは、炭素原子数が1〜7のアルキル基または水素原子)を示し、好ましくは−S−または−O−を示す。
式(3)のRは、水素原子または置換基を示す。置換基は、前述のRの置換基と同様に定義される。なかでも、Rは、環炭素数5または6のシクロアルキル基、炭素数2〜11のアルケニル基、炭素数2〜11のアルキニル基、アリール基、アリールオキシ基、アリールカルボニル基、アリールチオ基、ヘテロアリールチオ基、アミノ基、アリールスルホニル基またはこれらの2以上を組み合わせた基であることが好ましい。これらの基は、シアノ基、アルキルオキシ基、アルキルチオ基、アルキルカルボニル基、アリール基、ヘテロアリール基などの置換基をさらに有していてもよい。
を有する2価の5員環または6員環を含む環状基の具体例を、以下に示す。まず、式(2)で表される構造を有する環状基の具体例を示す。
Figure 2013105104
次に、式(3)で表される構造を有する環状基の具体例を示す。
Figure 2013105104
Figure 2013105104
Figure 2013105104
Figure 2013105104
Figure 2013105104
その他の環状基の具体例を示す。
Figure 2013105104
Figure 2013105104
Figure 2013105104
Figure 2013105104
一般式(1)のLおよびLは、それぞれ独立に単結合、−O−、−CO−、−NRa−(Raは、炭素原子数1〜7のアルキル基または水素原子)、−S−、−SO−または−CH−を示し、好ましくは−O−である。
一般式(1)のStrおよびStrは、それぞれ独立にステロイド類の残基を示す。ステロイド類の残基は、ステロイド核(シクロペンタノ−ペルヒドロフェナントレン核)と、LまたはLとの任意の連結基(単結合を含む)とを含む。
ステロイド類の残基に含まれるステロイド核の任意の炭素原子とLまたはLとは直接または連結基を介して結合していてもよいが、一般式(1)で表される化合物の配向性を高めるためには、ステロイド核の3位または17位の炭素原子とLまたはLとが直接または連結基を介して結合していることが好ましい。
ステロイド類の残基に含まれるステロイド核の炭素原子とLまたはLとを連結する連結基の例には、アルキルカルボニル基(−R−C(=O)−)、カルボニルアルキル基(−C(=O)−R−)、アミノカルボニル基(−C(=O)−NR−)などでありうる。アルキルカルボニル基、カルボニルアルキル基、アミノカルボニル基におけるアルキル部分の炭素数は1〜5であることが好ましい。
一般式(1)のRおよびRは、ステロイド核の炭素原子に結合する置換基である。置換基は、特に限定されないが、ハロゲン原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、アルキルオキシ基、アルキルカルボニル基、エステル基(アルキルオキシカルボニル基、アルキルカルボニルオキシ基)、ホルミル基、アルキレン基を介してエステル基が結合した基などでありうる。
アルキル基、アルキルオキシ基、アルキルオキシカルボニル基、アルキルカルボニルオキシ基におけるアルキル部分は、オキシアルキレン基や、ポリオキシアルキレン基を含んでもよい。ポリオキシアルキレン基とは、オキシアルキレンを繰り返しユニットとして含む基であり、オキシエチレンユニットを含む「CH−(OCHCH)n−」や、オキシプロピレンユニットを含む「CH−(OCH(−CH)CH)m−」などが例示できる。
アルキル基、アルキルオキシ基、アルキルオキシカルボニル基およびアルキルカルボニルオキシ基におけるアルキル部分は、直鎖状であっても分岐状であってもよいが、直鎖状であることが好ましい。アルキル部分の炭素数は、1〜15であることが好ましく、一般式(1)で表される化合物の配向性を高めるためには、4〜10であることが好ましい。
なかでも、一般式(1)で表される化合物の配向性を高めるためには、RおよびRは、長鎖のアルキル基が好ましく、炭素数4〜8のアルキル基が好ましい。また、一般式(1)で表される化合物の親水性を高めて、セルロースエステルとの相溶性を高めるためには、RおよびRは、ポリオキシアルキル基を含むアルキル基などが好ましい。
およびRは、ステロイド核の任意の炭素原子に結合していてもよいが、ステロイド核の2位、3位、4位、15位、16位または17位の炭素原子に結合していることが好ましく、3位または17位の炭素原子に結合していることがより好ましい。RおよびRが、前述の置換位置で結合した一般式(1)で表される化合物は、棒状化合物となり、配向性が高いからである。
一般式(1)のmおよびnは、置換基RおよびRの数を示す。mおよびnは、それぞれ独立に0〜10の整数を示し、好ましくは0または1である。
(R)m−Str−または(R)n−Str−は、ステロイド類から誘導されうる。ステロイド類は、ステロイド核(シクロペンタノ−ペルヒドロフェナントレン核)を含む化合物である。ステロイド類は、ステロイド核に結合する側鎖の種類によって、エストラン、アンドロスタン、プレグナン、コランおよびコレスタンの5つに分類される。
エストランの例には、β−エストラジオール、エストラジオールベンゾエート、エストリオール、エストロン、エチニルエストラジオール、メストラノールなどが含まれる。
アンドロスタンの例には、アドレノステロン、1,4−アンドロスタジエン−3,17−ジオン、デルタ4−アンドロステン−3,17−ジオン、アンドロステロン、デヒドロエピアンドロステロン、デヒドロエピアンドロステロンアセテート、エピアンドロステロン(羊毛脂由来)、17β−ヒドロキシ−17−メチルアンドロスタ−1,4−ジエン−3−オン、1α−メチルアンドロスタン−17β−オール−3−オン、17α−メチルアンドロスタン−17β−オール−3−オン、メチルアンドロステンジオール、メチルテストステロン、デルタ9(11)−メチルテストステロン、オキシメトロン、デヒドロエピアンドロステロン−3−サルフェートナトリウム塩ハイドレート(Sodium Dehydroepiandrosterone-3-sulfate Hydrate)、スタノロン、スタノゾロール、テストステロン、テストステロンプロピオネートなどが含まれる。
プレグナンの例には、16,17−エポキシプレグネノロンアセテート、16,17−エポキシプロゲステロン、フルオロメトロン、11α−ヒドロキシプロゲステロン、11α−ヒドロキシプロゲステロンアセテート、17α−ヒドロキシプロゲステロンカプロエート、メゲストロールアセテート、5β−プレグナン−3α,20α−ジオール、4−プレグネン−3,11,20−トリオン、プレグネノロン、プレグネノロンアセテート、プロゲステロン、コルチゾンなどが含まれる。
コランの例には、ケノデオキシコール酸、3−[(3−コールアミドプロピル)ジメチルアンモニオ]−1−プロパンスルホネート、コール酸、デヒドロコール酸、デオキシコール酸、3β−ヒドロキシ−デルタ5−コレン酸、3α−ヒドロキシ−デルタ5−コレン酸(3beta-Hydroxy-DELTA5-cholenic Acid)、3α−ヒドロキシ−7−オキソ−5β−コラン酸、ヒオデオキシコール酸、リトコール酸、コール酸メチル、ヒオデオキシコール酸メチル、12−オキソケノデオキシコール酸、タウロウルソデオキシコール酸二水和物(Tauroursodeoxycholic Acid Dihydrate)、ウルソデオキシコール酸などが含まれる。
コレスタンの例には、β−コレスタノール、(+)−4−コレステン−3−オン、コレステロール、コレステロール−5α,6α−エポキシド、エルゴステロール、β−シトステロール、β−シトスタノール、スチグマステロール、ジオスゲニンなどが含まれる。
(R)m−Str−または(R)n−Str−となるステロイド類は、コランまたはコレスタンであることが好ましい。コランまたはコレスタンは、ステロイド類のなかでもステロイド核の17位の炭素原子に結合する側鎖が比較的長く、それを含む一般式(1)で表される化合物は棒状化合物となりやすく、配向性が高いからである。コランは、好ましくはコール酸誘導体である。コール酸誘導体とは、ステロイド核の17位にペンタン酸基またはそのエステルが結合した化合物であり、好ましくはデヒドロコール酸またはリトコール酸である。コレスタンは、好ましくはコレステロール誘導体である。コレステロール誘導体とは、ステロイド核の17位に1,5−ジメチルヘキシル基が結合した化合物であり、好ましくはコレステロールである。
一般式(1)で表される化合物の具体例を以下に示す。
Figure 2013105104
Figure 2013105104
Figure 2013105104
Figure 2013105104
Figure 2013105104
Figure 2013105104
Figure 2013105104
一般式(1)で表される化合物が、光学フィルムに面内方向のリターデーションの逆波長分散性を付与しうる理由は、必ずしも明らかではないが、以下のように推測される。即ち、一般式(1)で表される化合物は、ステロイド類の残基を有する。ステロイド類の残基は、高度に立体制御されたステロイド核を有するため、光学フィルムに、フラットな波長分散性または逆波長分散性を付与することができる。また、一般式(1)で表される化合物は、必ずしも明らかではないが、高度に立体制御されたステロイドの側鎖が、配向したセルロースエステルの側鎖と絡み合いやすいため、セルロースエステルとの相溶性も良好になると考えられる。また、一般式(1)で表される化合物のセルロースエステルとの相溶性は、本発明に記載された、ステロイド核に結合する側鎖の種類によって容易に調整することができる。それにより、一般式(1)で表される化合物を含むフィルムは、ブリードアウト耐性や、アルカリ鹸化液に対する耐性も良好である。
一般式(1)で表される化合物は、公知の合成方法、例えば特開2010−163483号公報などに記載の方法によって合成することができる。例えば、化合物DDS−13は、下記のスキームによって合成することができる。
Figure 2013105104
上記化合物4の合成は、“Journal of Chemical Crystallography”(1997);27(9);p.515-526.に記載の方法を参照して行うことができる。さらに詳細には、特開2008−107767号公報の段落0066〜0067、0136〜0176に記載の方法によって合成することができる。
一方、リトコール酸5のカルボキシル基を濃硫酸触媒存在下、tert-ブタノール中で加熱攪拌させて、エステル化させて化合物6を得る。得られた化合物6の水酸基の水素原子を、ウィリアムソンエーテル合成によってヘキシル基に置換させた後、トリフルオロ酢酸触媒にて化合物6のtert−ブチルエステル部分を加水分解し、脱保護して化合物7を得る。化合物7を、塩化チオニルを用いて酸クロライド化した後、化合物4と反応させることにより、DDS−13を得ることができる。
また、化合物DDS−10は、下記のスキームによって合成することができる。
Figure 2013105104
上記化合物15の合成は、特開2010−31223号公報を参考にして合成することができる。
エストラジオール16のフェノール性水酸基を、塩基性条件下でアニオン化させ、化合物19と反応させてエーテル化させて化合物17を得る。次いで、残った水酸基をメシル化して化合物18を得る。その後、化合物15をアニオン化して、化合物18と反応させることで、DDS−10を得ることができる。
一般式(1)で表される化合物の含有量は、光学フィルムの機械的強度を損なうことなく、光学フィルムに逆波長分散性を十分に付与するためには、セルロースエステルに対して1〜15質量%であることが好ましく、2〜10質量%であることがより好ましい。
本発明の光学フィルムは、一般式(1)で表される化合物に加えて、さらにセルロースエステルを含むことが好ましい。
セルロースエステルについて
セルロースエステルは、特に限定されないが、セルロースを、炭素数2〜22程度の脂肪族カルボン酸または芳香族カルボン酸でエステル化して得られる化合物でありうる。脂肪族カルボン酸は、直鎖または分岐の脂肪族カルボン酸であってもよいし、環を有してもよく、置換基をさらに有してもよい。セルロースエステルは、セルロースを、炭素数6以下の低級脂肪酸でエステル化して得られる化合物であることがより好ましい。
セルロースエステルの好ましい例には、セルロースアセテート、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートプロピオネートブチレートなどが含まれる。
セルロースエステルは、総アシル基置換度が2.0以上3.0以下であることが好ましく、後述する一般式(1)で表される化合物との相溶性を高めるためには、2.4以上3.0以下であることがより好ましい。
セルロースエステルは、下記式(a)と(b)とを同時に満たすことがより好ましい。
式(a) 2.4≦X+Y≦3.0
式(b) 0≦Y≦1.5
(式中、Xはアセチル基の置換度を示し、Yはプロピオニル基またはブチリル基、もしくはそれらの混合物の置換度を示す)
なかでも、セルロースアセテート(Y=0)、およびセルロースアセテートプロピオネート(Y>0、かつY:プロピオニル基)が好ましい。セルロースアセテートプロピオネートは、下記式(a)、(b1)および(c1)を同時に満たすものがより好ましい。
式(a) 2.4≦X+Y≦3.0
式(b1) 0.1≦Y≦1.5
式(c1) 1.0≦X≦2.4
セルロースエステルのアシル基置換度は、ASTM−D817−96に準じて測定することができる。
セルロースエステルは、所望の光学特性を得るためなどから、置換度の異なる複数種類のセルロースエステルの混合物であってもよい。置換度の異なる2種類のセルロースエステルの混合物における混合比は、質量比で10:90〜90:10であることが好ましい。
セルロースエステルの数平均分子量は、機械的強度が高いフィルムを得るためには、6.0×10〜3.0×10の範囲であることが好ましく、7.0×10〜2.0×10の範囲であることがより好ましい。セルロースエステルの数平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定することができる。
測定条件は以下の通りである。
溶媒:メチレンクロライド
カラム:Shodex K806、K805、K803G(昭和電工(株)製)を3本接続して使用する。
カラム温度:25℃
試料濃度:0.1質量%
検出器:RI Model 504(GLサイエンス社製)
ポンプ:L6000(日立製作所(株)製)
流量:1.0ml/min
校正曲線:標準ポリスチレンSTK standardポリスチレン(東ソー(株)製)Mw=1.0×10〜5.0×10までの13サンプルによる校正曲線を使用する。13サンプルは、ほぼ等間隔に選択することが好ましい。
セルロースエステルは、公知の方法で合成することができる。具体的には、セルロースと、少なくとも酢酸または無水酢酸を含む、炭素原子数3以上の有機酸またはその無水物と、をエステル化反応させて合成することができる(特開平10−45804号公報に記載の方法を参照)。
原料となるセルロースは、例えば綿花リンター、木材パルプ(針葉樹由来、広葉樹由来)およびケナフなどを用いることができる。原料となるセルロースは、一種類だけであってもよいし、二種類以上の混合物であってもよい。
本発明の光学フィルムは、任意の成分をさらに含んでいてもよい。任意の成分の例には、セルロースエステル以外の樹脂、糖エステル化合物、可塑剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、リターデーション制御剤および微粒子などが含まれる。
セルロースエステル以外の樹脂
セルロースエステルと併用されうる樹脂の例には、ポリカーボネート系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリスルホン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアリレート系樹脂、アクリル系樹脂、オレフィン系樹脂(ノルボルネン系樹脂、環状オレフィン系樹脂、環状共役ジエン系樹脂、ビニル脂環式炭化水素系樹脂等)等が含まれ、なかでもポリカーボネート系樹脂、アクリル系樹脂、環状オレフィン系樹脂の少なくとも一以上である。セルロースエステル以外の樹脂の含有量は、セルロースエステルに対して5〜70質量%であることが好ましい。
糖エステル化合物
本発明の光学フィルムに含有される糖エステル化合物は、糖に含まれる水酸基とモノカルボン酸とをエステル化反応させて得られる化合物である。
糖エステル化合物を構成する糖は、フラノース構造とピラノース構造の少なくとも一方が、1個以上12個以下結合した化合物であることが好ましい。
糖エステル化合物を構成する糖の例には、グルコース、ガラクトース、マンノース、フルクトース、キシロースおよびアラビノースなどの単糖;ラクトース、スクロース、マルチトール、ラクチトール、ラクチュロース、セロビオース、マルトース、ゲンチオビオースなどの二糖;
セロトリオース、マルトトリオース、ラフィノース、ケストース、ゲンチオトリオース、キシロトリオースなどの三糖;ニストース、1F−フラクトシルニストース、スタキオース、ゲンチオテトラオース、ガラクトシルスクロースなどの四糖以上の多糖などが含まれる。糖エステル化合物を構成する糖の例には、マルトオリゴ糖、イソマルトオリゴ糖、フラクトオリゴ糖、ガラクトオリゴ糖、キシロオリゴ糖などのオリゴ糖も含まれる。これらのオリゴ糖は、澱粉やショ糖に、アミラーゼ等の酵素を作用させて製造される。
なかでも、ピラノース構造とフラノース構造の両方を有する糖が好ましく、スクロース、ケストース、ニストース、1F−フラクトシルニストース、スタキオースなどがより好ましく、スクロースがさらに好ましい。
糖エステル化合物を構成するモノカルボン酸は、特に制限されず、公知の脂肪族モノカルボン酸、脂環族モノカルボン酸または芳香族モノカルボン酸でありうる。フィルムのリターデーションを発現させ易くするためには、芳香族モノカルボン酸が好ましい。モノカルボン酸は、一種類でもよいし、二種以上の混合物であってもよい。例えば、脂肪族モノカルボン酸と芳香族モノカルボン酸とを組み合わせてもよい。
脂肪族モノカルボン酸の例には、酢酸、プロピオン酸、酪酸、イソ酪酸、吉草酸、カプロン酸、エナント酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、2−エチル−ヘキサンカルボン酸、ウンデシル酸、ラウリン酸、トリデシル酸、ミリスチン酸、ペンタデシル酸、パルミチン酸、ヘプタデシル酸、ステアリン酸、ノナデカン酸、アラキン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、セロチン酸、ヘプタコサン酸、モンタン酸、メリシン酸、ラクセル酸等の飽和脂肪酸;ウンデシレン酸、オレイン酸、ソルビン酸、リノール酸、リノレン酸、アラキドン酸、オクテン酸等の不飽和脂肪酸等が含まれる。
脂環族モノカルボン酸の例には、酢酸、シクロペンタンカルボン酸、シクロヘキサンカルボン酸、シクロオクタンカルボン酸が含まれる。
芳香族モノカルボン酸は、一以上のベンゼン環を有するモノカルボン酸であって、ベンゼン環はアルキル基またはアルコキシ基などの置換基をさらに有していてもよい。芳香族モノカルボン酸の例には、安息香酸、キシリル酸、ヘメリト酸、メシチレン酸、プレーニチル酸、γ−イソジュリル酸、ジュリル酸、メシト酸、α−イソジュリル酸、クミン酸、α−トルイル酸、ヒドロアトロパ酸、アトロパ酸、ヒドロケイ皮酸、サリチル酸、o−アニス酸、m−アニス酸、p−アニス酸、クレオソート酸、o−ホモサリチル酸、m−ホモサリチル酸、p−ホモサリチル酸、o−ピロカテク酸、β−レソルシル酸、バニリン酸、イソバニリン酸、ベラトルム酸、o−ベラトルム酸、没食子酸、アサロン酸、マンデル酸、ホモアニス酸、ホモバニリン酸、ホモベラトルム酸、o−ホモベラトルム酸、フタロン酸、p−クマル酸などが挙げられ、特に安息香酸が好ましい。
ピラノース構造またはフラノース構造を有する構成糖に含まれる水酸基の70%以上が、モノカルボン酸でエステル化されていることが好ましい。
糖エステル化合物の例としては、第一工業製薬社製モノペットSB、第一工業製薬社製モノペットSOAなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
糖エステル化合物の含有量は、セルロースエステルに対して0.5〜30質量%であることが好ましく、5〜20質量%であることがより好ましい。
可塑剤
可塑剤の例には、ポリエステル系可塑剤、多価アルコールエステル系可塑剤、多価カルボン酸エステル系可塑剤(フタル酸エステル系可塑剤を含む)、グリコレート系可塑剤、エステル系可塑剤(脂肪酸エステル系可塑剤を含む)、およびアクリル系可塑剤などが好ましい。これらは単独で用いても、二種類以上を組み合わせて用いてもよい。
ポリエステル系可塑剤
ポリエステル系可塑剤は、下記一般式(4)で表される化合物であることが好ましい。
一般式(4)
Figure 2013105104
式(4)中、Aは、炭素原子数4〜12のアルキレンジカルボン酸から誘導される2価の基または炭素原子数8〜14のアリールジカルボン酸から誘導される2価の基を表す。Gは、炭素原子数2〜12のアルキレングリコールから誘導される2価の基、炭素原子数6〜12のアリールグリコールから誘導される2価の基、または炭素原子数が4〜12のオキシアルキレングリコールから誘導される2価の基を表す。Bは、水素原子またはモノカルボン酸から誘導される1価の基を表す。nは、1以上の整数を表す。
Aの、炭素原子数4〜12のアルキレンジカルボン酸から誘導される2価の基の例には、コハク酸、マレイン酸、フマル酸、グルタル酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸などから誘導される2価の基が含まれる。Aにおける炭素原子数8〜14のアリールジカルボン酸から誘導される2価の基の例には、フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸などから誘導される2価の基が含まれる。
Gの、炭素原子数2〜12のアルキレングリコールから誘導される2価の基の例には、エチレングリコール、1,2-プロピレングリコール、1,3-プロピレングリコール、1,2-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、1,2-プロパンジオール、2-メチル-1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、2,2-ジメチル-1,3-プロパンジオール(ネオペンチルグリコール)、2,2-ジエチル-1,3-プロパンジオール(3,3-ジメチロールペンタン)、2-n-ブチル-2-エチル-1,3-プロパンジオール(3,3-ジメチロールヘプタン)、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、2,2,4-トリメチル-1,3-ペンタンジオール、2-エチル-1,3-ヘキサンジオール、2-メチル-1,8-オクタンジオール、1,9-ノナンジオール、1,10-デカンジオール、および1,12-オクタデカンジオール等から誘導される2価の基が含まれる。
Gの、炭素原子数6〜12のアリールグリコールから誘導される2価の基の例には、1,2-ジヒドロキシベンゼン(カテコール)、1,3-ジヒドロキシベンゼン(レゾルシノール)、1,4-ジヒドロキシベンゼン(ヒドロキノン)などから誘導される2価の基が含まれる。Gにおける炭素原子数が4〜12のオキシアルキレングリコールから誘導される2価の基の例には、ジエチレングルコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコールなどから誘導される2価の基が含まれる。
Gは、炭素数2〜12のアルキレングリコールから誘導される2価の基であることが好ましい。ポリエステル系可塑剤の、セルロースエステルとの相溶性を高めるためである。
Bの、モノカルボン酸から誘導される1価の基の例には、安息香酸、パラターシャリブチル安息香酸、オルソトルイル酸、メタトルイル酸、パラトルイル酸、ジメチル安息香酸、エチル安息香酸、ノルマルプロピル安息香酸、アミノ安息香酸、およびアセトキシ安息香酸などの芳香族モノカルボン酸;酢酸、プロピオン酸、および酪酸などの脂肪族モノカルボン酸などから誘導される1価の基が含まれる。
ポリエステル系可塑剤の数平均分子量は、300〜1500であることが好ましく、400〜1000であることがより好ましい。数平均分子量が300未満であるポリエステル系可塑剤は、光学フィルムから溶出しやすいことがある。
ポリエステル系可塑剤の酸価は、それを含む光学フィルムと、ハードコート層などの他の機能層との密着性を高める観点などから、0.5mgKOH/g以下であることが好ましく、0.3mgKOH/g以下であることがより好ましい。ポリエステル系可塑剤の酸価とは、試料1g中に含まれる酸(試料中に存在するカルボキシル基)を中和するために必要な水酸化カリウムのミリグラム数として定義される。ポリエステル系可塑剤の酸価は、JIS K0070に準拠して測定されうる。
ポリエステル系可塑剤の水酸基価は、セルロースエステルとの相溶性を高める観点などから、25mgKOH/g以下であることが好ましく、15mgKOH/g以下であることがより好ましい。ポリエステル系可塑剤の水酸基価は、試料1gを無水酢酸と反応させてアセチル化させたとき、未反応の酢酸を中和するために必要な水酸化カリウムのミリグラム数として定義される。ポリエステル系可塑剤の水酸基価は、JIS K 0070(1992)に準拠して測定されうる。
式(4)で示されるポリエステル系可塑剤の具体例を以下に示す。
Figure 2013105104
Figure 2013105104
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多価アルコールエステル系可塑剤
多価アルコールエステル系可塑剤は、2価以上の脂肪族多価アルコールと、モノカルボン酸とのエステル化合物(アルコールエステル)であり、好ましくは2〜20価の脂肪族多価アルコールエステルである。多価アルコールエステル系化合物は、分子内に芳香環またはシクロアルキル環を有することが好ましい。
脂肪族多価アルコールの好ましい例には、アドニトール、アラビトール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、ジブチレングリコール、1,2,4−ブタントリオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ヘキサントリオール、ガラクチトール、マンニトール、3−メチルペンタン−1,3,5−トリオール、ピナコール、ソルビトール、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、キシリトール等が含まれる。なかでも、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ソルビトール、トリメチロールプロパン、キシリトールなどが好ましい。
モノカルボン酸は、特に制限はなく、脂肪族モノカルボン酸、脂環族モノカルボン酸または芳香族モノカルボン酸等でありうる。フィルムの透湿性を高め、かつ揮発しにくくするためには、脂環族モノカルボン酸または芳香族モノカルボン酸が好ましい。モノカルボン酸は、1種類であってもよいし、2種以上の混合物であってもよい。また、脂肪族多価アルコールに含まれるOH基の全部をエステル化してもよいし、一部をOH基のままで残してもよい。
脂肪族モノカルボン酸は、炭素数1〜32の直鎖または側鎖を有する脂肪酸であることが好ましい。脂肪族モノカルボン酸の炭素数はより好ましくは1〜20であり、さらに好ましくは1〜10である。そのような脂肪族モノカルボン酸の例には、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、エナント酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、2−エチル−ヘキサン酸、ウンデシル酸、ラウリン酸、トリデシル酸、ミリスチン酸、ペンタデシル酸、パルミチン酸、ヘプタデシル酸、ステアリン酸、ノナデカン酸、アラキン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、セロチン酸、ヘプタコサン酸、モンタン酸、メリシン酸、ラクセル酸等の飽和脂肪酸;ウンデシレン酸、オレイン酸、ソルビン酸、リノール酸、リノレン酸、アラキドン酸等の不飽和脂肪酸等が含まれる。なかでも、セルロースエステルとの相溶性を高めるためには、酢酸、または酢酸とその他のモノカルボン酸との混合物が好ましい。
脂環族モノカルボン酸の例には、シクロペンタンカルボン酸、シクロヘキサンカルボン酸、シクロオクタンカルボン酸などが含まれる。
芳香族モノカルボン酸の例には、安息香酸、トルイル酸等の安息香酸のベンゼン環にアルキル基、メトキシ基あるいはエトキシ基などのアルコキシ基を1〜3個を導入したもの;ビフェニルカルボン酸、ナフタリンカルボン酸、テトラリンカルボン酸等のベンゼン環を2個以上有する芳香族モノカルボン酸などが含まれ、好ましくは安息香酸である。
多価アルコールエステル系可塑剤の分子量は、特に制限されないが、300〜1500であることが好ましく、350〜750であることがより好ましい。揮発し難くするためには、分子量が大きいほうが好ましく;透湿性、セルロースエステルとの相溶性を高めるためには、分子量が小さいほうが好ましい。
多価カルボン酸エステル系可塑剤
多価カルボン酸エステル系可塑剤は、2価以上、好ましくは2〜20価の多価カルボン酸と、アルコール化合物とのエステル化合物である。多価カルボン酸は、2〜20価の脂肪族多価カルボン酸であるか、3〜20価の芳香族多価カルボン酸または3〜20価の脂環式多価カルボン酸であることが好ましい。
多価カルボン酸の好ましい例には、トリメリット酸、トリメシン酸、ピロメリット酸などの3価以上の芳香族多価カルボン酸;コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、シュウ酸、フマル酸、マレイン酸、テトラヒドロフタル酸などの脂肪族多価カルボン酸;酒石酸、タルトロン酸、リンゴ酸、クエン酸などのオキシ多価カルボン酸が含まれ、揮発しにくくするためには、好ましくはオキシ多価カルボン酸である。
アルコール化合物の例には、公知のアルコール化合物、フェノール化合物が含まれる。アルコール化合物の例には、炭素数1〜32、より好ましくは炭素数1〜20、さらに好ましくは炭素数1〜10の直鎖状または分岐状の脂肪族飽和アルコールまたは脂肪族不飽和アルコール;シクロペンタノール、シクロヘキサノールなどの脂環式アルコール化合物;ベンジルアルコール、シンナミルアルコールなどの芳香族アルコール化合物などが含まれる。アルコール化合物は、一種類でもよいし、二種以上の混合物であってもよい。
多価カルボン酸としてのオキシ多価カルボン酸は、アルコール性またはフェノール性の水酸基がモノカルボン酸でエステル化されていてもよい。エステル化に用いられるモノカルボン酸は、脂肪族モノカルボン酸、脂環族モノカルボン酸、または芳香族モノカルボン酸でありうる。
脂肪族モノカルボン酸は、炭素数1〜32、好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜10の直鎖状または分岐状の脂肪酸が含まれる。そのような脂肪族モノカルボン酸の例には、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、エナント酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、2−エチル−ヘキサンカルボン酸、ウンデシル酸、ラウリン酸、トリデシル酸、ミリスチン酸、ペンタデシル酸、パルミチン酸、ヘプタデシル酸、ステアリン酸、ノナデカン酸、アラキン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、セロチン酸、ヘプタコサン酸、モンタン酸、メリシン酸、ラクセル酸などの飽和脂肪酸;ウンデシレン酸、オレイン酸、ソルビン酸、リノール酸、リノレン酸、アラキドン酸などの不飽和脂肪酸などが含まれる。
脂環族モノカルボン酸の例には、シクロペンタンカルボン酸、シクロヘキサンカルボン酸、シクロオクタンカルボン酸などが含まれる。芳香族モノカルボン酸の例には、安息香酸、トルイル酸などの安息香酸のベンゼン環にアルキル基を導入したもの、ビフェニルカルボン酸、ナフタリンカルボン酸、テトラリンカルボン酸などのベンゼン環を2個以上もつ芳香族モノカルボン酸などが含まれる。これらのなかでも酢酸、プロピオン酸、安息香酸が特に好ましい。
多価カルボン酸エステル系可塑剤の分子量は、特に制限はないが、300〜1000であることが好ましく、350〜750であることがより好ましい。多価カルボン酸エステル系可塑剤の分子量は、ブリードアウトを抑制する観点では、大きいほうが好ましく;透湿性やセルロースエステルとの相溶性の観点では、小さいほうが好ましい。
多価カルボン酸エステル系可塑剤の酸価は1mgKOH/g以下であることが好ましく、0.2mgKOH/g以下であることがより好ましい。酸価を上記範囲にすることで、リターデーションの環境変動も抑制されるため好ましい。
多価カルボン酸エステル系可塑剤の酸価は、試料1g中に含まれる酸(試料中に存在するカルボキシル基)を中和するために必要な水酸化カリウムのミリグラム数として定義される。酸価はJIS K0070に準拠して測定されうる。
多価カルボン酸エステル系可塑剤の例には、トリエチルシトレート、トリブチルシトレート、アセチルトリエチルシトレート(ATEC)、アセチルトリブチルシトレート(ATBC)、ベンゾイルトリブチルシトレート、アセチルトリフェニルシトレート、アセチルトリベンジルシトレート、酒石酸ジブチル、酒石酸ジアセチルジブチル、トリメリット酸トリブチル、ピロメリット酸テトラブチル等が含まれる。
多価カルボン酸エステル系可塑剤は、フタル酸エステル系可塑剤であってもよい。フタル酸エステル系可塑剤の例には、ジエチルフタレート、ジメトキシエチルフタレート、ジメチルフタレート、ジオクチルフタレート、ジブチルフタレート、ジ−2−エチルヘキシルフタレート、ジオクチルフタレート、ジシクロヘキシルフタレート、ジシクロヘキシルテレフタレート等が含まれる。
グリコレート系可塑剤の例には、アルキルフタリルアルキルグリコレート類が含まれる。アルキルフタリルアルキルグリコレート類の例には、メチルフタリルメチルグリコレート、エチルフタリルエチルグリコレート、プロピルフタリルプロピルグリコレート、ブチルフタリルブチルグリコレート、オクチルフタリルオクチルグリコレート、メチルフタリルエチルグリコレート、エチルフタリルメチルグリコレート、エチルフタリルプロピルグリコレート、メチルフタリルブチルグリコレート、エチルフタリルブチルグリコレート、ブチルフタリルメチルグリコレート、ブチルフタリルエチルグリコレート、プロピルフタリルブチルグリコレート、ブチルフタリルプロピルグリコレート、メチルフタリルオクチルグリコレート、エチルフタリルオクチルグリコレート、オクチルフタリルメチルグリコレート、オクチルフタリルエチルグリコレート等が含まれる。
エステル系可塑剤には、脂肪酸エステル系可塑剤、クエン酸エステル系可塑剤やリン酸エステル系可塑剤などが含まれる。
脂肪酸エステル系可塑剤の例には、オレイン酸ブチル、リシノール酸メチルアセチル、およびセバシン酸ジブチル等が含まれる。クエン酸エステル系可塑剤の例には、クエン酸アセチルトリメチル、クエン酸アセチルトリエチル、およびクエン酸アセチルトリブチル等が含まれる。リン酸エステル系可塑剤の例には、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、オクチルジフェニルホスフェート、ジフェニルビフェニルホスフェート、トリオクチルホスフェート、およびトリブチルホスフェート等が含まれる。
アクリル系可塑剤
アクリル系可塑剤は、少なくとも分子内に芳香環と水酸基の両方を有しないエチレン性不飽和モノマーXaと、分子内に芳香環を有さず、水酸基を有するエチレン性不飽和モノマーXbとを重合成分とする重合体X、または分子内に芳香環を有しないエチレン性不飽和モノマーYaを重合成分とする重合体Yであることが好ましい。エチレン性不飽和モノマーは、好ましくは(メタ)アクリル酸エステルである。
重合体Xは、下記一般式(X)で示される構造を有することが好ましい。下記式(X)の−[CH−C(−Rc)(−CORd)]m−は、エチレン性不飽和モノマーXaから誘導される基であり;―[CH−C(−Re)(−CORf−OH)−]n―は、エチレン性不飽和モノマーXbから誘導される基である。
一般式(X)
−[CH−C(−Rc)(−CORd)]m−[CH−C(−Re)(−CORf−OH)−]n−[Xc]p−
式(X)のRcおよびReは、水素原子またはメチル基を示す。Rdは、炭素数1〜12のアルキレン基またはシクロアルキレン基を示す。Rfは、メチレン基、エチレン基またはプロピレン基を示す。Xcは、XaおよびXbに重合可能なモノマー単位を示す。m、nおよびpは、モル組成比を示す。ただし、mとnは0ではなく、かつm+n+p=100である。重合体Xの重量平均分子量は3000〜30000であることが好ましい。
重合体Yは、下記一般式(Y)で示される構造を有することが好ましい。下記式(Y)の−[CH−C(−Rg)(−CORh−OH)−]k−は、エチレン性不飽和モノマーYaから誘導される基である。
一般式(Y)
Ry−[CH−C(−Rg)(−CORh−OH)−]k−[Yb]q−
式(Y)のRgは、水素原子またはメチル基を示す。Rhは、メチレン基、エチレン基またはプロピレン基を示す。Ryは、水素原子、水酸基または炭素数1〜3のアルキル基を表す。Ybは、Yaに共重合可能なモノマー単位を表す。kおよびqは、モル組成比を表す。ただし、kは0ではなく、かつk+q=100である。重合体Yの重量平均分子量は500以上3000以下であることが好ましい。
これらの可塑剤の含有量の合計は、セルロースエステルに対して0.5〜30質量%であることが好ましく、5〜20質量%であることがより好ましい。
リターデーション制御剤
本発明の光学フィルムは、液晶表示品質を向上させるために、リターデーション制御剤をさらに含んでもよい。リターデーション制御剤は、欧州特許911656A2号明細書に記載されるような、二つ以上の芳香環を有する芳香族化合物や、特開2006−2025号公報に記載の棒状化合物などが含まれる。リターデーション制御剤は、一種類であってもよいし、二種類以上の混合物であってもよい。
芳香族化合物に含まれる芳香環は、芳香族性炭化水素環、芳香族性ヘテロ環などが含まれ、好ましくは芳香族性ヘテロ環である。芳香族性ヘテロ環の好ましい例には、1,3,5−トリアジン環が特に好ましい。
リターデーション制御剤の含有量は、光学フィルムに含まれる樹脂成分に対して0.5〜20質量%であることが好ましく、1〜10質量%であることがより好ましい。
紫外線吸収剤
本発明の光学フィルムは、光学フィルムの耐久性を向上させるために、紫外線吸収剤をさらに含んでもよい。紫外線吸収剤は、波長400nm以下の紫外線を吸収する化合物であり、好ましくは波長370nmでの透過率が10%以下、より好ましくは5%以下、さらに好ましくは2%以下である化合物である。
紫外線吸収剤の例には、オキシベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、サリチル酸エステル系化合物、ベンゾフェノン系化合物、シアノアクリレート系化合物、トリアジン系化合物、ニッケル錯塩系化合物、無機粉体などが含まれ、好ましくはベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、トリアジン系紫外線吸収剤であり、より好ましくはベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤である。
紫外線吸収剤の具体例には、5−クロロ−2−(3,5−ジ−sec−ブチル−2−ヒドロキシルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、(2−2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−6−(直鎖および側鎖ドデシル)−4−メチルフェノール、2−ヒドロキシ−4−ベンジルオキシベンゾフェノン、2,4−ベンジルオキシベンゾフェノン等のほか、BASFジャパン社製の市販品であるチヌビン109、チヌビン171、チヌビン234、チヌビン326、チヌビン327、チヌビン328、チヌビン928等が含まれる。これらの紫外線吸収剤は、一種類だけであっても、二種以上の混合物であってもよい。
これらのほかにも、高分子紫外線吸収剤や、円盤状化合物なども紫外線吸収剤として好ましく用いられる。高分子紫外線吸収剤の例には、特開平6−148430号記載のポリマータイプの紫外線吸収剤が含まれ;円盤状化合物の例には、1,3,5−トリアジン環を有する化合物等が含まれる。
紫外線吸収剤の含有量は、紫外線吸収剤の種類などにもよるが、光学フィルム全体に対して0.5〜10質量%であることが好ましく、0.6〜4質量%であることがより好ましい。
酸化防止剤
本発明の光学フィルムは、例えば高湿高温下で生じやすい光学フィルムの劣化を防止するために、酸化防止剤をさらに含んでもよい。酸化防止剤は、光学フィルム中の残留溶媒量のハロゲンやリン酸系可塑剤のリン酸等による分解を遅延または防止する機能を有する。
酸化防止剤は、ヒンダードフェノール系化合物であることが好ましく、その具体例には、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ペンタエリスリチル−テトラキス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、トリエチレングリコール−ビス〔3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、1,6−ヘキサンジオール−ビス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、2,4−ビス−(n−オクチルチオ)−6−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルアニリノ)−1,3,5−トリアジン、2,2−チオ−ジエチレンビス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、N,N′−ヘキサメチレンビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−ヒドロシンナマミド)、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、トリス−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−イソシアヌレイト等が含まれる。特に2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ペンタエリスリチル−テトラキス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、トリエチレングリコール−ビス〔3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕が好ましい。
これらの化合物は、例えばN,N′−ビス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニル〕ヒドラジン等のヒドラジン系の金属不活性剤や、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)フォスファイト等のリン系加工安定剤と併用されてもよい。
酸化防止剤の含有量は、セルロースエステルに対して質量割合で1ppm〜1.0%であることが好ましく、10〜1000ppmであることがより好ましい。
微粒子
本発明の光学フィルムは、滑り性を向上させるために、微粒子をさらに含んでもよい。微粒子は、無機微粒子であっても有機微粒子であってもよい。
無機微粒子の例には、二酸化珪素、二酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、炭酸カルシウム、炭酸カルシウム、タルク、クレイ、焼成カオリン、焼成ケイ酸カルシウム、水和ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウムおよびリン酸カルシウムなどが含まれる。有機微粒子の例には、ポリテトラフルオロエチレン、セルロースアセテート、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、ポリプピルメタクリレート、ポリメチルアクリレート、ポリエチレンカーボネート、アクリルスチレン系樹脂、シリコーン系樹脂、ポリカーボネート樹脂、ベンゾグアナミン系樹脂、メラミン系樹脂、ポリオレフィン系粉末、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、あるいはポリ弗化エチレン系樹脂、澱粉等の有機高分子化合物の粉砕分級物、懸濁重合法で合成した高分子化合物、スプレードライ法あるいは分散法等により球型にした高分子化合物などが含まれる。フィルムのヘイズの増大を少なくするためには、珪素を含む微粒子が好ましく、特に二酸化珪素が好ましい。
二酸化珪素の微粒子の例には、アエロジルR972、R972V、R974、R812、200、200V、300、R202、OX50、TT600(以上日本アエロジル(株)製)の市販品)が含まれる。なかでも、光学フィルムのヘイズを低く保ちつつ、摩擦係数を下げる効果が大きいことから、アエロジル200V、アエロジルR972Vが好ましい。
微粒子の一次平均粒子径は、5〜400nmであることが好ましく、10〜300nmであることがより好ましい。微粒子は、光学フィルムの少なくとも一方の面の動摩擦係数が0.2〜1.0となるように光学フィルムに含まれることが好ましい。微粒子の含有量は、光学フィルムに対して0.01〜1質量%であることが好ましく、0.05〜0.5質量%であることがより好ましい。
光学フィルムの厚みは、特に限定はされないが、10〜200μmであることが好ましく、10〜100μmであることがより好ましく、20〜60μmであることがさらに好ましく、20〜35μmであることが特に好ましい。光学フィルムの厚みが大きすぎると、湿度によってリターデーションの変動が大きくなりやすい。一方、フィルムの厚みが小さすぎると、所望のリターデーションが得られにくい。
本発明の光学フィルムを光学補償フィルムとして用いる場合、光学フィルムの、23℃、55%RHの環境下で、波長590nmにて測定される面内方向のリターデーションRoは、20〜100nmであることが好ましく、40〜100nmであることがより好ましい。厚み方向のリターデーションRthは、70〜300nmであることが好ましく、100〜300nmであることがより好ましい。光学フィルムのリターデーションRおよびRthは、通常、延伸条件により調整することができる。
面内方向のリターデーションRおよび厚み方向のリターデーションRthは、それぞれ以下の式で表される。
式(I) R=(nx−ny)×d
式(II) Rth={(nx+ny)/2−nz}×d
(nx:フィルム面内の遅相軸方向の屈折率、ny:フィルム面内において、遅相軸に対して直交する方向の屈折率、nz:厚み方向におけるフィルムの屈折率、d:フィルムの厚み(nm))
レターデーションRおよびRthは、例えば以下の方法によって求めることができる。
1)フィルムの平均屈折率を屈折計により測定する。
2)王子計測機器社製KOBRA−21ADHにより、フィルム法線方向からの波長590nmの光を入射させたときの面内方向のレターデーションRを測定する。
3)王子計測機器社製KOBRA−21ADHにより、フィルム法線方向に対してθの角度(入射角(θ))から波長590nmの光を入射させたときのレターデーション値R(θ)を測定する。θは0°よりも大きく、好ましくは30°〜50°である。
4)測定されたRおよびR(θ)と、前述の平均屈折率と膜厚とから、王子計測機器社製KOBRA−21ADHにより、nx、nyおよびnzを算出し、Rthを算出する。レターデーションの測定は、23℃55%RH条件下で行うことができる。
本発明の光学フィルムの、下記式で表される波長分散特性DSPが、1以下であることが好ましく、1未満であることがより好ましい。波長分散特性DSPが1以下である光学フィルムは、広い波長領域で一定のリターデーションを示し、光学補償できるからである。
DSP=Ro(450)/Ro(630)
波長分散特性Ro(450)/Ro(630)の測定は、前述の王子計測機器社製KOBRA−21ADHを用いたリターデーションの測定において、波長450nmの光において測定される面内方向のリターデーションRo(450)と、波長630nmの光において測定される面内方向のリターデーションRo(630)とをそれぞれ測定し、それらを下記式に当てはめて求めることができる。
DSP=Ro(450)/Ro(630)
光学フィルムの、JIS K−7136に準拠して測定されるヘイズは、1%未満であることが好ましく、0.1%以下であることがより好ましい。
光学フィルムの、JIS Z 0208に準拠して測定される40℃、90%RHにおける透湿度は、10〜1200g/m・24hであることが好ましい。光学フィルムの透湿度を低下させるためには、例えば光学フィルムに含まれるセルロースエステルの総アシル基置換度を高くしたり、炭素数3以上のアシル基置換度の割合を多くしたり、可塑剤などの添加剤を多く含有させたりすればよい。
本発明の光学フィルムの可視光透過率は90%以上であることが好ましく、93%以上であることがより好ましい。本発明の光学フィルムの破断伸度は10〜80%であることが好ましい。
本発明の光学フィルムは、一般式(1)で表される化合物を含有するため、フラットな波長分散性または逆波長分散性を示す。それにより、広い波長領域の光において、一定の面内方向のリターデーション値を示すため、良好に光学補償することができる。
本発明の光学フィルムは、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ、有機ELディスプレイ等の各種表示装置の機能性フィルムとして用いられる。具体的には、本発明の光学フィルムは、液晶表示装置の偏光板保護フィルム、位相差フィルム、反射防止フィルム、輝度向上フィルム、ハードコートフィルム、防眩フィルム、帯電防止フィルムまたは視野角拡大用の光学補償フィルムなどとして用いられ、なかでも偏光板保護フィルム、位相差フィルムまたは光学補償フィルムとして好ましく用いられる。本発明の光学フィルムからなる位相差フィルムは、偏光板保護フィルムとしての機能を兼ねていることが好ましい。
2.光学フィルムの製造方法
本発明の光学フィルムは、前述したセルロースエステルを含む樹脂組成物を得るステップと、前記樹脂組成物を成形して光学フィルムとするステップと、を経て製造されうる。樹脂組成物を成形する方法の例には、溶液流延法、溶融流延法などがあるが、薄膜で平面性の高いフィルムが得られるなどの観点から、溶液流延法であることが好ましい。
本発明の光学フィルムを溶液流延法により製造する工程は、1)少なくとも前述のセルロースエステルと、必要に応じて可塑剤などを溶剤に溶解させてドープ(樹脂組成物)を調製する工程、2)ドープを無端の金属支持体上に流延する工程、3)流延したドープを乾燥してウェブとする工程、4)ウェブを金属支持体から剥離する工程、5)ウェブを延伸してフィルムを得る工程、6)フィルムをさらに乾燥する工程、7)得られたフィルムを巻取る工程、を含む。
1)ドープを調製する工程について
前述のセルロースエステルと、必要に応じて添加剤とを溶剤に溶解させてドープを調製する。ドープに含まれるセルロースエステルの濃度は、乾燥負荷を低減するためには高いことが好ましいが、セルロースエステルの濃度が高すぎると濾過しにくく、濾過精度が低下しやすくなる。このため、ドープに含まれるセルロースエステルの濃度は10〜35質量%であることが好ましく、15〜25質量%であることがより好ましい。
ドープに含まれる溶剤は、1種類でも2種以上を組み合わせたものでもよい。生産効率を高める観点では、セルロースエステルの良溶剤と貧溶剤を組み合わせて用いることが好ましい。良溶剤とは、セルロースエステルを単独で溶解する溶剤をいい、貧溶剤とは、セルロースエステルを膨潤させるか、または単独では溶解しないものをいう。そのため、良溶剤および貧溶剤は、セルロースエステルの平均アシル基置換度(アセチル基置換度)によって異なる。
良溶剤と貧溶剤を組み合わせて用いる場合、セルロースエステルの溶解性を高めるためには、良溶剤が貧溶剤よりも多いことが好ましい。良溶剤と貧溶剤の混合比率は、良溶剤が70〜98質量%であり、貧溶剤が2〜30質量%であることが好ましい。
良溶剤の例には、メチレンクロライド等の有機ハロゲン化合物、ジオキソラン類、アセトン、酢酸メチル、およびアセト酢酸メチルなどが含まれ、好ましくはメチレンクロライドまたは酢酸メチルなどである。貧溶剤の例には、メタノール、エタノール、n−ブタノール、シクロヘキサン、およびシクロヘキサノン等が含まれる。ドープ中には、水分が0.01〜2質量%含まれていることが好ましい。
セルロースエステルを溶剤に溶解させる方法は、一般的な方法であってよく、例えば加熱および加圧下で溶解させる方法、セルロースエステルに貧溶剤を加えて膨潤させた後、良溶剤をさらに加えて溶解させる方法などでありうる。なかでも、常圧における沸点以上に加熱できることから、加熱および加圧下で溶解させる方法が好ましい。具体的には、常圧下で溶剤の沸点以上であり、かつ加圧下で溶剤が沸騰しない範囲の温度に加熱しながら攪拌溶解すると、ゲルやママコと呼ばれる塊状未溶解物の発生を抑制できる。
加圧は、窒素ガス等の不活性気体を圧入する方法や、加熱して溶剤の蒸気圧を上昇させる方法などによって行うことができる。加熱は、外部から行うことが好ましく、例えばジャケットタイプのものは温度コントロールが容易であるため好ましい。
加熱温度は、セルロースエステルの溶解性を高める観点では、高いほうが好ましいが、高過ぎると、圧力を高める必要があり、生産性が低下する。このため、加熱温度は、45〜120℃であることが好ましく、60〜110℃がより好ましく、70℃〜105℃であることがさらに好ましい。圧力は、設定された加熱温度において、溶剤が沸騰しないような範囲に調整される。
紫外線防止剤や微粒子などの添加剤は、ドープにバッチ添加してもよいし、別途調製した添加剤溶解液をインライン添加してもよい。添加剤溶液は、添加剤を、メタノール、エタノール、ブタノール等のアルコールやメチレンクロライド、酢酸メチル、アセトン、ジオキソラン等の溶媒あるいはこれらの混合溶媒に溶解させたものである。
特に微粒子は、ろ過材への負荷を減らすために、一部または全部をインライン添加することが好ましい。添加剤溶解液をインライン添加する場合は、ドープとの混合性をよくするため、添加剤溶解液に少量のセルロースエステルを溶解させておくことが好ましい。添加剤溶解液に添加されるセルロースエステルの量は、溶剤100質量部に対して好ましくは1〜10質量部であり、より好ましくは3〜5質量部である。
インライン添加は、例えばスタチックミキサー(東レエンジニアリング製)、SWJ(東レ静止型管内混合器 Hi−Mixer)等のインラインミキサー等を用いて行うことができる。
得られるドープには、例えば原料であるセルロースエステルに含まれる不純物などの不溶物が含まれることがある。このような不溶物は、得られるフィルムにおいて輝点異物となりうる。このような不溶物等を除去するために、得られたドープを濾過することが好ましい。
ドープの濾過は、濾紙等の濾過材によって行われる。濾過材の絶対濾過精度は、ドープに含まれる不溶物等を高度に除去するためには小さいことが好ましいが、小さすぎると目詰まりが生じやすい。このため、濾過材の絶対濾過精度は、0.008mm以下であることが好ましく、0.001〜0.008mmであることがより好ましく、0.003〜0.006mmであることがさらに好ましい。
濾過材の種類は、通常の濾過材であってよく、ポリプロピレン、テフロン(登録商標)等のプラスチック製の濾過材や、ステンレススチール等の金属製の濾過材などでありうる。なかでも、繊維の脱落等が少ない観点から、金属製の濾過材が好ましい。
ドープの濾過は、濾過前後の差圧を少なくするために、ドープの調製と同様に、加熱および加圧下で行うことが好ましい。加熱温度も、ドープの調製と同様に、溶剤の常圧での沸点以上で、かつ加圧下で溶剤が沸騰しない範囲の温度とすることが好ましく、具体的には45〜120℃であることが好ましく、45〜70℃であることがより好ましく、45〜55℃であることがさらに好ましい。濾圧は、低いことが好ましく、具体的には1.6MPa以下であることが好ましく、1.2MPa以下であることがより好ましく、1.0MPa以下であることがさらに好ましい。
ドープの濾過は、得られるフィルムにおける輝点異物の数が一定以下となるように行うことが好ましい。具体的には、径が0.01mm以上である輝点異物の数が、200個/cm以下、好ましくは100個/cm以下、より好ましくは50個/m以下、さらに好ましくは0〜10個/cm以下となるようにする。径が0.01mm以下である輝点異物も少ないことが好ましい。
フィルムの輝点異物の数は、以下の手順で測定することができる。
i)2枚の偏光板をクロスニコル状態に配置し、それらの間に得られたフィルムを配置する。
ii)一方の偏光板の側から光を当てて、他方の偏光板の側から観察したときに、光が漏れてみえる点(異物)の数をカウントする。
2)ドープを流延する工程について
ドープが流延される金属支持体は、表面が鏡面仕上げされたものが好ましい。金属支持体の好ましい例は、ステンレススチールベルトや、鋳物で表面がメッキ仕上げされたドラムなどである。
ドープが流延される金属支持体の表面温度は、ウェブの乾燥速度を高めるためには高いことが好ましいが、高すぎるとウェブが発泡したり、ウェブの平滑性が低下したりすることがある。そのため、金属支持体の表面温度は、−50℃以上溶剤の沸点未満に設定されることが好ましく、0〜40℃であることがより好ましく、5〜30℃であることがさらに好ましい。
金属支持体の表面温度の制御方法は、特に制限されないが、温風または冷風を吹きかける方法や、温水を金属支持体の裏側に接触させる方法などであってよい。熱を効率的に伝達でき、金属支持体の温度が一定になるまでの時間を短くできる観点などから、温水を金属支持体の裏側に接触させる方法が好ましい。
3)流延したドープを乾燥する工程について
流延したドープを、残留溶媒が一定以下となるように乾燥させる。金属支持体からウェブを剥離するときのウェブの残留溶媒量は、得られるフィルムの平面性を高めるためには10〜150質量%であることが好ましく、20〜40質量%(低残存溶媒量)または60〜130質量%(高残存溶媒量)であることがより好ましく、20〜30質量%(低残存溶媒量)または70〜120質量%(高残存溶媒量)であることがさらに好ましい。
ウェブの残留溶媒量は、下記式で定義される。下記式において、Mは、製造中のウェブまたは製造後のフィルムから任意の時点で採取した試料の質量を示す。Nは、前記試料を115℃で1時間加熱した後の、試料の質量を示す。
残留溶媒量(質量%)={(M−N)/N}×100
4)ウェブを剥離する工程について
ウェブの剥離は、一般的な方法で行われるが、剥離ロールにより剥離することが好ましい。剥離ロールによる剥離は、ウェブが、金属支持体の下面に至り、ほぼ一巡したところで行うことが好ましい。ウェブの剥離張力は、300N/m以下とすることが好ましい。
ウェブの剥離は、前記3)の工程でドープを乾燥した後、得られるウェブを剥離する方法だけでなく、前記2)の工程の後に、乾燥させることなくキャスト膜を冷却して、残留溶媒を多く含む状態のままゲル化させた後に、剥離してもよい。
剥離されたウェブをさらに乾燥してもよい。剥離されたウェブの乾燥は、一般的に、ウェブを搬送させながら行うことができる。具体的には、剥離されたウェブを、上下に配置した多数のロールにより搬送しながら乾燥させるロール乾燥方式や、テンター方式などがある。
ウェブの乾燥方法は、特に制限されないが、一般的に、熱風、赤外線、加熱ロールおよびマイクロ波等で乾燥する方法であってよく、簡便である点から、熱風で乾燥する方法が好ましい。ウェブの乾燥温度は、40℃から200℃にかけて、段階的に高くすることが好ましい。
5)ウェブを延伸する工程について
ウェブの延伸により、所望のレターデーション値RoおよびRthを有する光学フィルムを得る。光学フィルムのレターデーション値RoおよびRthは、ウェブに掛かる張力の大きさを、少なくともウェブの搬送方向(ドープの流延方向)に対して垂直方向(幅方向)に調整することによって制御することができる。
ウェブの延伸は、少なくとも幅方向に延伸すればよく、一軸延伸であっても、二軸延伸であってもよい。また、ウェブの延伸は、幅方向またはドープの流延方向に対して斜め方向の延伸であってもよい。二軸延伸には、ウェブの搬送方向(縦方向)と幅方向(横方向)の両方に延伸することが含まれる。延伸は、逐次延伸であっても同時延伸であってもよい。
ウェブの延伸倍率は、互いに直交する方向に二軸延伸する場合には、最終的には幅方向(横方向)に1.1〜2.5倍とし、搬送方向(縦方向)に0.8〜1.5倍とすることが好ましく;幅方向(横方向)に1.2〜2.0倍とし、搬送方向(縦方向)に0.9〜1.0倍とすることがより好ましい。
ウェブの延伸温度は、120℃〜200℃であることが好ましく、140℃〜180℃であることがより好ましい。延伸されるウェブの残留溶媒は、20質量%以下であることが好ましく、15質量%以下であることが好ましい。
ウェブの延伸方法は、特に制限されず、複数のロールに周速差をつけ、その間でロール周速差を利用して縦方向に延伸する方法(ロール延伸法)、ウェブの両端をクリップやピンで固定し、クリップやピンの間隔を縦方向に向かって広げて縦方向に延伸したり、横方向に広げて横方向に延伸したり、縦横同時に広げて縦横両方向に延伸する方法など(テンター延伸法)などが挙げられる。これらの延伸方法は、組み合わされてもよい。
テンター延伸法は、リニアドライブ方式でクリップ部分を駆動することが好ましい。クリップ部分の移動が滑らかであるため、延伸を行い易く、ウェブの破断を生じる危険性を低減できるからである。
ウェブの幅保持や横方向の延伸は、テンター法により行うことが好ましい。テンター法は、ピンテンター法でもクリップテンター法でもよい。
延伸により得られた光学フィルムの幅は、搬送を容易にする観点などから、4m以下であることが好ましく、1〜4mであることがより好ましく、1.4〜4mであることがさらに好ましく、1.6〜3mであることが特に好ましい。延伸により得られた光学フィルムは、必要に応じてさらに乾燥された後、巻き取られる。
3.偏光板
本発明の偏光板は、偏光子と、その一方の面に配置された本発明の光学フィルムとを含み、必要に応じて偏光子の他方の面に配置された偏光板保護フィルムをさらに含んでもよい。
偏光子は、一定方向の偏波面の光のみを通過させる素子である。偏光子の代表的な例は、ポリビニルアルコール系偏光フィルムであり、ポリビニルアルコール系フィルムにヨウ素を染色させたものと、二色性染料を染色させたものと、がある。
偏光子は、ポリビニルアルコール系フィルムを一軸延伸した後、ヨウ素または二色性染料で染色して得られるフィルムであってもよいし、ポリビニルアルコール系フィルムをヨウ素または二色性染料で染色した後、一軸延伸したフィルム(好ましくはさらにホウ素化合物で耐久性処理を施したフィルム)であってもよい。偏光子の厚さは、5〜30μmであることが好ましく、10〜20μmであることがより好ましい。
ポリビニルアルコール系フィルムは、ポリビニルアルコール水溶液を製膜したものであってもよい。ポリビニルアルコール系フィルムは、偏光性能および耐久性能に優れ、色斑が少ないなどことから、エチレン変性ポリビニルアルコールフィルムが好ましい。エチレン変性ポリビニルアルコールフィルムの例には、特開2003−248123号、特開2003−342322号等に記載されたエチレン単位の含有量1〜4モル%、重合度2000〜4000、けん化度99.0〜99.99モル%のフィルムが含まれる。
二色性色素の例には、アゾ系色素、スチルベン系色素、ピラゾロン系色素、トリフェニルメタン系色素、キノリン系色素、オキサジン系色素、チアジン系色素およびアントラキノン系色素などが含まれる。
本発明の光学フィルムは、偏光子の一方の面に直接配置されてもよいし、他のフィルムまたは層を介して配置されてもよい。本発明の光学フィルムは、偏光板保護フィルムの機能を兼ねた光学補償フィルムであることが好ましい。偏光板保護フィルムとは別に光学補償フィルムをさらに用いる必要がなく、液晶表示装置を薄型化できるだけでなく、製造プロセスを簡略化できるからである。
本発明の光学フィルム以外の偏光板保護フィルムは、特に制限されず、通常のセルロースエステルフィルム等であってよい。セルロースエステルフィルムの市販品の例には、市販のセルロースエステルフィルム(例えば、コニカミノルタタック KC8UX、KC5UX、KC8UCR3、KC8UCR4、KC8UCR5、KC8UY、KC6UY、KC4UY、KC4UE、KC8UE、KC8UY−HA、KC8UX−RHA、KC8UXW−RHA−C、KC8UXW−RHA−NC、KC4UXW−RHA−NC、以上コニカミノルタオプト(株)製)が好ましく用いられる。
偏光板は、通常、偏光子と、本発明の光学フィルムまたは偏光板保護フィルムとを貼り合わせて製造することができる。例えば、本発明の光学フィルムの偏光子と接する側の面をアルカリ鹸化処理した後、完全鹸化型ポリビニルアルコール水溶液などの接着剤を介して偏光子と貼り合わせることが好ましい。
4.液晶表示装置
本発明の液晶表示装置は、液晶セルと、それを挟持する一対の偏光板とを有する。そして、一対の偏光板のうち少なくとも一方が、前述の光学フィルムを有する偏光板であり、好ましくは一対の偏光板の両方が前述の光学フィルムを有する偏光板である。
図1は、本発明に係る液晶表示装置の一実施形態の基本構成を示す模式図である。図1に示されるように、液晶表示装置10は、液晶セル20と、それを挟持する第一の偏光板40および第二の偏光板60と、バックライト80と、を有する。
液晶セル20の表示方式は、特に制限されず、TN(Twisted Nematic)方式、STN(Super Twisted Nematic)方式、IPS(In−Plane Switching)方式、OCB(Optically Compensated Birefringence)方式、VA(Vertical Alignment)方式(MVA;Multi−domain Vertical AlignmentやPVA;Patterned Vertical Alignmentも含む)、HAN(Hybrid Aligned Nematic)方式等がある。コントラストを高めるためには、VA(MVA、PVA)方式が好ましい。
VA方式の液晶セルは、通常、対向する一対の透明基板と、一対の透明基板の間に挟持され、ポジ型液晶を含む液晶層と、を有する。
一対の透明基板のうち、少なくとも一方の透明基板には、ポジ型液晶に電圧を印加するための画素電極と、それに対応する対向電極とが配置される。
液晶層は、正の誘電異方性を有するネマチック液晶材料であるポジ型液晶分子を含む。このポジ型液晶分子は、透明基板の液晶層側の面に設けられた配向膜の配向規制力により、電圧無印加時(画素電極と対向電極との間に電界が生じていない時)には、液晶分子の長軸が、透明基板の表面に対して略垂直となるように配向している。
このように構成された液晶セルでは、画素電極に画像信号(電圧)を印加することで、画素電極と対向電極との間に、基板面に対して水平方向の電界を生じさせる。これにより、透明基板の表面に対して垂直に初期配向している液晶分子を、その長軸が基板面に対して水平方向となるように配向させる。このように、液晶層を駆動し、各副画素の透過率および反射率を変化させて画像表示を行う。
第一の偏光板40は、視認側に配置されており、第一の偏光子42と、それを挟持する偏光板保護フィルム44(F1)および46(F2)とを有する。第二の偏光板60は、バックライト80側に配置されており、第二の偏光子62と、それを挟持する偏光板保護フィルム64(F3)および偏光板保護フィルム66(F4)とを有する。偏光板保護フィルム46(F2)と64(F3)の一方は、必要に応じて省略される場合がある。
偏光板保護フィルム44(F1)、46(F2)、64(F3)および66(F4)のうち、液晶セル側に配置される偏光板保護フィルム46(F2)と64(F3)の少なくとも一方を、本発明の光学フィルムとすることが好ましい。表示側に配置される偏光板保護フィルム44(F1)は、防眩層、クリアハードコート層、反射防止層、帯電防止層、防汚層またはバックコート層をさらに有していてもよい。
一般式(1)で表される化合物を含む本発明の光学フィルムは、良好なリターデーション発現性を有するため、液晶表示装置の視野角を拡大しうる。また、一般式(1)で表される化合物を含む本発明の光学フィルムは、良好な波長分散特性を有するため、液晶表示装置の色ムラを低減しうる。また、一般式(1)で表される化合物を含む本発明の光学フィルムは、セルロースエステルとも良好に相溶しているため、液晶表示装置の正面コントラストムラを低減しうる。さらに、一般式(1)で表される化合物を含む本発明の光学フィルムは、必ずしも明らかではないが、一般式(1)で表される化合物に含まれるステロイド基によって、適度に疎水性が付与されるため、湿度が変動する環境下においても、液晶表示装置の視野角の変動を抑制しうる。
特に30型以上の大画面の液晶表示装置であっても、光漏れによる黒表示時の着色を低減し、正面コントラストを高めることができる。
以下において、実施例を参照して本発明をより詳細に説明する。これらの実施例によって、本発明の範囲は限定して解釈されない。
1.材料の準備
1)セルロースエステル
以下のセルロースエステルA〜Dを準備した。
Figure 2013105104
2)一般式(1)で表される化合物
前述の化合物DDS−1〜DDS−18を準備した。さらに、比較化合物として以下を準備した。
Figure 2013105104
2.光学フィルムの作製
(実施例1)
以下の成分を、ディゾルバーで50分間攪拌混合した後、マントンゴーリンで分散させて、微粒子分散液を得た。
〔微粒子分散液〕
微粒子(アエロジル R972V 日本アエロジル(株)製) 11質量部
エタノール 89質量部
溶解タンクにメチレンクロライドを入れて十分攪拌させながら、前記微粒子分散液をゆっくりと添加した後、二次粒子の粒径が所定の大きさとなるように、アトライターにて分散させた。得られた溶液を、日本精線(株)製のファインメットNFでろ過して、微粒子添加液を調製した。
〔微粒子添加液〕
メチレンクロライド 99質量部
微粒子分散液 5質量部
ドープ液の調製
下記組成のドープ液を調製した。まず、加圧溶解タンクにメチレンクロライドとエタノールを投入した。これらの溶剤に、セルロースエステルAをさらに攪拌しながら投入した。得られた溶液を、加熱下で攪拌しながら溶解させて、化合物DDS−1と、モノペットSB(第一工業製薬社製)と、微粒子添加液と、リターデーション調整剤(A−1)とをさらに添加し、攪拌して完全に溶解させた。得られた溶液を、安積濾紙(株)製の安積濾紙No.244を用いてろ過し、ドープ液を得た。
〔ドープ液の組成〕
メチレンクロライド 340質量部
エタノール 64質量部
セルロースエステルA(アセチル基置換度2.42のセルロースジアセテート) 100質量部
化合物DDS−1 4質量部
モノペットSB(第一工業製薬社製) 1質量部
リターデーション調整剤(A−1) 4質量部
微粒子添加液 1質量部
Figure 2013105104
次いで、33℃に調整した上記ドープ液を、無端ベルト流延装置のステンレスベルト支持体上に、幅1500mmとなるように均一に流延させた。ステンレスベルト支持体の温度は30℃とした。ステンレスベルト支持体上で、流延(キャスト)された塗膜中の残留溶媒量が75%になるまで溶媒を蒸発させた後、剥離張力130N/mで、ステンレスベルト支持体上から塗膜を剥離した。剥離して得られるウェブを、145℃の熱をかけながらテンターを用いて幅方向に30%(1.3倍)延伸した。延伸開始時のウェブの残留溶媒量は14%であった。次いで、乾燥ゾーンを多数のロールで搬送させながら乾燥を終了させた。乾燥ゾーンにおける乾燥温度を130℃とし、フィルムの搬送張力を100N/mとした。これにより、膜厚20μmのセルロースエステルフィルムを得た。
(実施例2〜18)
表2に示されるように、一般式(1)で表される化合物およびその添加量を変更した以外は実施例1と同様にして光学フィルムを得た。
(実施例19〜22)
表3に示されるように、セルロースエステルの種類、一般式(1)で表される化合物の種類およびその添加量をそれぞれ変更した以外は実施例1と同様にして光学フィルムを得た。
(実施例23)
表3に示されるように、セルロースエステルの種類と、セルロースエステルと一般式(1)で表される化合物との量比とを変更し、かつその他の添加剤をさらに含有させた以外は実施例1と同様にして光学フィルムを得た。
(実施例24〜27)
表3に示されるように、セルロースエステルと一般式(1)で表される化合物との量比と、フィルムの膜厚とを変更した以外は実施例1と同様にして光学フィルムを得た。
(比較例1)
表3に示されるように、一般式(1)で表される化合物を比較化合物に変更した以外は実施例1と同様にして光学フィルムを得た。
(比較例2)
表3に示されるように、一般式(1)で表される化合物を添加しなかった以外は実施例1と同様にして光学フィルムを得た。
得られた光学フィルムの、2−1)リターデーション、2−2)波長分散性、2−3)ブリードアウト耐性および2−4)アルカリ鹸化液耐性を、以下の方法で評価した。
2−1)リターデーション
i)得られた光学フィルムを、23℃、55%RHの環境下で2時間調湿した。得られたフィルムの平均屈折率を、アッベ屈折率計(4T)を用いて測定した。また、フィルムの厚さを、市販のマイクロメーターを用いて測定した。
ii)光学フィルムの幅手方向の中央部のリターデーション値を以下のようにして測定した。即ち、自動複屈折計KOBRA−21ADH(王子計測機器(株)製)を用いて、フィルム法線方向からの波長590nmの光を入射させて、下記式(I)で表される面内方向のリターデーションRoを測定した。また、フィルム法線方向に対してθの角度(入射角(θ))から波長590nmの光を入射させたときのリターデーション値R(θ)を測定した。θは30°〜50°とした。
iii)測定されたRおよびR(θ)と、前述の平均屈折率と膜厚とから、自動複屈折計KOBRA−21ADH(王子計測機器(株)製)によりnx、nyおよびnzを算出し、下記式(II)で表されるRthを算出した。リターデーションの測定は、23℃、55%RH条件下で行った。
式(I) Ro=(nx−ny)×d
式(II) Rth={(nx+ny)/2−nz}×d
(nxは、フィルム面内方向で屈折率が最大となる方向xにおける屈折率を示し;
nyは、フィルム面内方向で前記方向xと直交する方向yにおける屈折率を示し;
nzは、フィルム厚み方向zにおける屈折率を示し;
d(nm)は、フィルム厚みを示す)
2−2)波長分散性
前述のリターデーションの測定方法と同様にして、波長450nmの光における面内方向のリターデーションRo(450)と、波長630nmの光における面内方向のリターデーションRo(630)とを測定した。得られたRo(450)とRo(630)を、下記式(III)に当てはめて波長分散性DSPを求めた。この値が1.00以下であることが好ましい。
式(III) DSP=Ro(450)/Ro(630)
2−3)ブリードアウト耐性
得られた光学フィルムを、80℃、90%RHの高温高湿雰囲気下で1000時間放置した。その後、光学フィルム表面のブリードアウト(結晶析出)の有無を、目視観察した。ブリードアウト耐性の評価を、下記基準に基づいて行った。
A:表面にブリードアウトの発生が全く認められない
B:表面で、部分的なブリードアウトが僅かに認められる
C:表面で、全面に亘りブリードアウトが僅かに認められる
D:表面で、全面に亘り明確なブリードアウトが認められる
ここで、Bレベル以上であれば実用上問題ないが、Aレベルであることが特に好ましい。
2−4)アルカリ鹸化液耐性(鹸化液着色)
5cm×24cmに切り出した光学フィルムを、70℃、1.5モル/Lの水酸化カリウム水溶液40gに30時間浸漬させた。その後、光学フィルムを取り出して得られる水酸化カリウム水溶液の吸収スペクトルを、日立テクノロジーズ社分光光度計U−3310を用いて測定し、三刺激値X、Y、Zを算出した。得られた三刺激値X、Y、Zから、JIS−K7103に基づいて黄色度YIを算出し、下記基準に基づいて鹸化液着色のランク付けをした。
A:黄色度YIが1.0未満
B:黄色度YIが1.0以上3.0未満
C:黄色度YIが3.0以上5.0未満
D:黄色度YIが5.0以上
A〜Cレベルであれば実用上問題ないが、AまたはBレベルであることが好ましく、Aレベルであることが特に好ましい。
実施例1〜27および比較例1〜2の光学フィルムの評価結果を表2および3に示す。
Figure 2013105104
Figure 2013105104
表2および3に示されるように、一般式(1)で表される化合物を含有する実施例1〜23の光学フィルムは、フラットな波長分散性、または逆波長分散性を示すことがわかる。また、実施例1〜23の光学フィルムは、良好なリターデーション発現性や耐久性(ブリードアウト耐性、アルカリ鹸化液耐性)を示すこともわかる。一方、比較化合物を含有する比較例1の光学フィルムや一般式(1)で表される化合物を含有しない比較例2の光学フィルムは、いずれも順波長分散性を示すだけでなく、耐久性(ブリードアウト耐性、アルカリ鹸化液耐性)が低いこともわかる。
これらのことから、一般式(1)で表される化合物は、光学フィルムに逆波長分散性を付与することができ、さらにセルロースエステルとの相溶性にも優れることが示される。
また、実施例24〜27の対比からも示されるように、膜厚が比較的薄い実施例25および26の光学フィルムは、波長分散性と耐久性がいずれも高いことが示される。
3.偏光板
(実施例28)
偏光板の作製
厚さ120μmのポリビニルアルコールフィルムを、温度110℃、延伸倍率5倍の条件で一軸延伸した。得られたフィルムを、ヨウ素0.075g、ヨウ化カリウム5g、水100gからなる水溶液に60秒間浸漬し、次いでヨウ化カリウム6g、ホウ酸7.5g、水100gからなる68℃の水溶液に浸漬した。浸漬後のフィルムを水洗した後、乾燥させて、厚さ25μmの偏光子を得た。
次いで、下記工程1〜5に従って、偏光子の一方の面に光学フィルム101を、他方の面にコニカミノルタタックKC4UY(コニカミノルタオプト(株)製セルロースエステルフィルム)をそれぞれ貼り合わせて偏光板101を作製した。
工程1:光学フィルム101とコニカミノルタタックKC4UYとを、それぞれ60℃の2モル/Lの水酸化ナトリウム溶液に90秒間浸漬した。その後、それぞれのフィルムを水洗した後、乾燥させて、それぞれのフィルムの偏光子と貼り合わせる面を鹸化処理した。
工程2:前述の偏光子を、固形分2質量%のポリビニルアルコール接着剤槽中に1〜2秒間浸漬した。
工程3:工程2で偏光子に付着した過剰の接着剤を軽く拭きとった後、偏光子の一方の面に工程1で鹸化処理された光学フィルム101を積層し、他方の面に工程1で鹸化処理されたコニカミノルタタックKC4UYを積層した。
工程4:工程3で得られた光学フィルム101/偏光子/コニカミノルタタックKC4UYの積層物を、圧力20〜30N/cm、搬送スピード約2m/分の条件で貼り合わせた。
工程5:工程4で貼り合わせた試料を、乾燥機にて80℃で2分間乾燥させて、偏光板101を得た。
(実施例29〜50、および比較例3〜4)
光学フィルム101を、表4に示されるように変更した以外は実施例28と同様にして偏光板102〜123および128〜129を得た。
得られた偏光板の耐湿熱性を、以下の方法で評価した。
3−1)耐久性(耐湿熱性)
得られた偏光板から、500mm×500mmのサイズの偏光板試料を2枚切り出して、それぞれ80℃、90%RHで100時間熱処理した。熱処理後に得られた2枚の偏光板試料を、互いに吸収軸が直交するように積層した。そして、一方の偏光板試料側から光を照射したときに、他方の偏光板試料側の縁部分で生じる白抜け部分の長さを測定し、偏光板試料の一辺の長さ(500mm)に対する比率を算出した。評価対象となる「白抜け部分」は、偏光板試料の4つの縁部分のそれぞれ中心付近に生じる複数の白抜け部分のうち、最も長いものとした。縁の白抜けは、2つの偏光板試料を互いに吸収軸が直交するように積層した状態で、光を通さない偏光板の縁の部分が光を通す状態になることによって生じるものであり、偏光板の縁の部分で画像表示がされない故障の原因となる。偏光板の耐湿熱性は、以下の基準に基づいて評価した。A、Bが実用上問題ないレベルと判断した。
A:縁の白抜けが5%未満(偏光板として問題ないレベル)
B:縁の白抜けが5%以上10%未満(偏光板として実用上問題ないレベル)
C:縁の白抜けが10%以上20%未満(偏光板として何とか使えるレベル)
D:縁の白抜けが20%以上(偏光板として問題のあるレベル)
実施例28〜50および比較例3〜4の評価結果を表4に示す。
Figure 2013105104
表4に示されるように、光学フィルム101〜123を含む実施例28〜50の偏光板は、光学フィルム128または129を含む比較例3〜4の偏光板よりも耐湿熱性が高いことが示される。この理由は、必ずしも明らかではないが、光学フィルム101〜123に含まれる一般式(1)で表される化合物に含まれるステロイド核によって、適度に疎水性が付与されるためであると考えられる。
4.液晶表示装置の作製
(実施例51)
SONY製40型ディスプレイKLV−40J3000を準備した。そして、液晶セルに予め貼り合わされていた両面の偏光板を剥がして、作製した2枚の偏光板101を液晶セルのガラス面の両面にそれぞれ貼り合わせた。2枚の偏光板101の貼り合わせは、光学フィルム101が液晶セルと接し、かつ偏光板101の吸収軸と、予め貼り合わされていた偏光板の吸収軸とが同じ方向となるように行った。それにより、液晶表示装置101を得た。
(実施例52〜73、および比較例5〜6)
2枚の偏光板101を、表5に示されるようにそれぞれ変更した以外は実施例51と同様にして液晶表示装置102〜123および128〜129を得た。
得られた液晶表示装置の視野角特性、正面コントラストのムラ、視野角の湿度依存性、および色ムラを、以下の方法で評価した。
4−1)視野角
i)液晶表示装置を黒表示させたときの透過光量と、白表示させたときの透過光量とを、パネル面の法線方向(パネル面の法線方向に対する傾き角度が0°となる方向)からELDIM社製EZ−contrast160Dを用いて測定した。そして、得られた透過光量を、下記式に当てはめてコントラストを算出した。
コントラスト=(白表示時の透過光量)/(黒表示時の透過光量)
ii)次いで、ELDIM社製EZ−contrast160Dの測定位置を、パネル面の法線方向(0°)から10°毎に傾斜させながら、各傾斜角度における、前述と同様に黒表示時の透過光量と、白表示の透過光量とをそれぞれ測定し、コントラストを算出した。そして、コントラストが10以上となる傾斜角度を求めた。
視野角の評価は、以下の基準で行った。
A:視野角が非常に広い(コントラストが10以上となる傾斜角度が70°以上)
B:視野角が広い(コントラストが10以上となる傾斜角度が60°以上70°未満)
C:視野角がやや狭い(コントラストが10以上となる傾斜角度が50°以上60°未満)
D:視野角が狭い(コントラストが10以上となる傾斜角度が50°未満)
ここで、AまたはBレベルであれば実用上問題なく、Aレベルであることが好ましい。
4−2)正面コントラストのムラ
23℃55%RHの環境下にて、得られた液晶表示装置のバックライトを1週間連続して点灯させた。その後、ELDIM社製EZ−Contrast160Dを用いて、液晶表示装置で白表示させたときの表示画面の法線方向からの輝度と、黒表示させたときの表示画面の法線方向からの輝度とをそれぞれ測定し、下記式に当てはめて正面コントラストを求めた。
正面コントラスト=(表示装置の法線方向から測定した白表示の輝度)/(表示装置の法線方向から測定した黒表示の輝度)
液晶表示装置の表示画面の任意の5点の正面コントラストを同様にして測定した。そして、得られた5点の正面コントラストの平均値を求めた。さらに、得られた5点の正面コントラストのうち、平均値との差(絶対値)が最大となる正面コントラストの最大値もしくは最小値を求めた。これらの値を下記式に当てはめて、正面コントラストのばらつき(%)を求めた。
正面コントラストのばらつき(%)=|(正面コントラストの最大値もしくは最小値)−(正面コントラストの平均値)|/(正面コントラストの平均値)×100
正面コントラストのムラを以下の基準で評価した。A、Bが実用上問題ないレベルと判断した。
A:正面コントラストのばらつきが0%以上5%未満であり、ムラが小さい
B:正面コントラストのばらつきが5%以上10%未満であり、ムラがややある
C:正面コントラストのばらつきが10%以上であり、ムラが大きい
4−3)視野角の湿度依存性
23℃55%RHの環境下にて5時間放置した後の液晶表示装置の視野角を、前述した4−1)の同様の方法で、ELDIM社製EZ−Contrast160Dを用いて測定した。次いで、この液晶表示装置を23℃20%RHの環境下にて5時間放置した後、視野角を測定した。さらに、この液晶表示装置を23℃80%RHの環境下にて5時間放置した後、視野角を測定した。最後に、この液晶表示装置を23℃55%RHの環境下にて5時間放置した後、視野角を測定した。そして、最初の23℃55%RHの環境下で測定された視野角と、最後の23℃55%RHの環境下で測定された視野角とを比較して、視野角の変動量を測定した。A、Bが実用上問題ないレベルと判断した。
A:視野角の変動が認められない
B:視野角の変動がやや認められる
C:視野角の変動が認められる
4−4)色ムラ
23℃、55%RHの環境下で液晶表示装置を黒表示させたときの、正面方向および斜め45°の角度(表示面の法線方向から斜め45°の角度)から色ムラを目視観察した。色ムラの評価は、以下の基準に基づいて行った。
A:色ムラが全くない
B:色ムラが僅かに認められる
C:色ムラがあるが実用上は問題ない
D:色ムラが大きく実用上問題がある
A〜Cレベルであれば実用上問題はないが、AまたはBレベルであることが好ましく、Aレベルであることが特に好ましい。
Figure 2013105104
本発明の偏光板101〜123を用いた実施例51〜73の液晶表示装置は、偏光板128または129を用いた比較例5〜6の液晶表示装置よりも、視野角が広く、正面コントラストムラが少なく、視野角の湿度依存性が低く、かつ色ムラが少ないことがわかる。それにより、表示性能が高く、耐久性に優れた液晶表示装置が得られることがわかる。
本発明の光学フィルムは、逆波長分散性またはフラットな波長分散性を示し、かつセルロースエステルとの相溶性が良好であり、耐久性が良好でありうる。
10 液晶表示装置
20 液晶セル
40 第一の偏光板
42 第一の偏光子
44 偏光板保護フィルム(F1)
46 偏光板保護フィルム(F2)
60 第二の偏光板
62 第二の偏光子
64 偏光板保護フィルム(F3)
66 偏光板保護フィルム(F4)
80 バックライト

Claims (11)

  1. 下記一般式(1)で表される化合物を含有する、光学フィルム。
    Figure 2013105104
    (式(1)中、
    Cycは、2価の5員環または6員環を含む環状基を表し、前記5員環または6員環は、他の環と縮合していてもよく;
    は、前記環状基が有する置換基を表し;
    jは、0〜4の整数を表し、jが0であるとき、前記5員環または6員環は、他の環と縮合しており;
    およびLは、それぞれ独立に単結合、−O−、−CO−、−NRa−(Raは、炭素原子数1〜7のアルキル基または水素原子)、−S−、−SO−および−CH−からなる群より選ばれる2価の連結基を表し;
    StrおよびStrは、それぞれ独立にステロイド類の残基を表し;
    およびRは、それぞれ独立に置換基を表し;
    mおよびnは、それぞれ独立に0〜10の整数を表す)
  2. 前記一般式(1)で表される化合物において、前記(R)jを有するCycが、下記一般式(2)または一般式(3)で表される構造を含む、請求項1に記載の光学フィルム。
    Figure 2013105104
    (式(2)中、
    およびXは、それぞれ独立に−S−、−O−または−NRb−(Rbは、炭素原子数が1〜7のアルキル基または水素原子)を表し;
    およびRは、それぞれ独立に水素原子または置換基を表し;
    −*は、前記LまたはLとの連結部を表す)
    Figure 2013105104
    (式(3)中、
    は、−S−、−O−または−NRb−(Rbは、炭素原子数が1〜7のアルキル基または水素原子)を表し;
    は、水素原子または置換基を表し;
    −*は、前記LまたはLとの連結部を表す)
  3. 前記一般式(1)で表される化合物において、前記ステロイド類の残基に含まれるステロイド核の3位または17位の炭素原子と、前記LまたはLとが直接または連結基を介して結合している、請求項1または2に記載の光学フィルム。
  4. 前記一般式(1)で表される化合物において、前記(R)mを有するStrまたは前記(R)nを有するStrは、コレステロール誘導体またはコール酸誘導体から誘導される、請求項1〜3のいずれか一項に記載の光学フィルム。
  5. セルロースエステルをさらに含有する、請求項1〜4のいずれか一項に記載の光学フィルム。
  6. 前記セルロースエステルのアシル基の総置換度が2.4以上3.0以下である、請求項5に記載の光学フィルム。
  7. 23℃、55%RHの環境下で、波長590nmの光における、下記式(I)で表されるリターデーションRoが40〜100nm、下記式(II)で表されるRthが100〜300nmである、請求項1〜6のいずれか一項に記載の光学フィルム。
    式(I) Ro=(nx−ny)×d
    式(II) Rth={(nx+ny)/2−nz}×d
    (nxは、光学フィルムの面内方向において屈折率が最大になる方向xにおける屈折率を表し;
    nyは、光学フィルムの面内方向において、前記方向xと直交する方向yにおける屈折率を表し;
    nzは、光学フィルムの厚み方向zにおける屈折率を表し;
    d(nm)は光学フィルムの厚みを表す)
  8. 前記光学フィルムの膜厚が20〜35μmである、請求項1〜7のいずれか一項に記載の光学フィルム。
  9. 偏光子と、前記偏光子の少なくとも一方の面に配置された請求項1〜8のいずれか一項に記載の光学フィルムと、を含む、偏光板。
  10. 液晶セルと、前記液晶セルを挟持する一対の偏光板と、を含む液晶表示装置であって、
    前記一対の偏光板のうち少なくとも一方は、請求項9に記載の偏光板である、液晶表示装置。
  11. 前記液晶セルは、VA方式の液晶セルである、請求項10に記載の液晶表示装置。
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