JP2011207964A - セルロースアシレートフィルム、位相差板、偏光板、及び液晶表示装置 - Google Patents

セルロースアシレートフィルム、位相差板、偏光板、及び液晶表示装置 Download PDF

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Abstract

【課題】面内レターデーションReが発現され、且つReが逆波長分散性を示すセルロースアシレートフィルムの提供。
【解決手段】少なくとも1種のセルロースアシレートと、下記式(1)で表される少なくとも1種のステロール誘導体と、少なくとも1種の糖誘導体及び/又は少なくとも1種のオリゴマー可塑剤とを含むセルロースアシレートフィルムである。R1、R2及びR3は、水素原子、ヒドロキシル基又は−L−R*で表される置換基を表し、但し、少なくとも一つは−L−R*で表される置換基を表し;Lは、単結合又は−O−、−CO−、−CONR6−、―CH2−、及びそれらの組み合わせからなる群より選ばれる2価の連結基;R*は、置換もしくは無置換の、芳香環基、ヘテロ環基、又はアルキル基;R4は、カルボキシル基、又は−CHR7−CH(CH32;R5は水素原子又はメチル基を表す。
Figure 2011207964

【選択図】なし

Description

本発明は、液晶表示装置等に種々の目的で用いられる光学フィルムとして有用な、セルロースアシレートフィルム、並びに該セルロースアシレートフィルムを利用した、位相差板、偏光板、及び液晶表示装置に関する。
セルロースアシレートフィルムは、液晶表示装置において、例えば、偏光板の保護フィルムとして、又は光学補償フィルムとして広く利用されている。かかる用途に供されるセルロースアシレートフィルムには、液晶表示装置のモード等に応じて、所望の光学特性を示すことが要求される。
セルローストリアセテート等のセルロースアシレートは、安価で汎用性の高い高分子材料であるが、一方で、延伸し難く、セルロースアシレートを原料として、面内レターデーションンReが大きいフィルムを得ることは困難である。従来、セルロースアシレートフィルムの光学特性の制御等を目的として、所定の添加剤を添加することが提案されている(例えば、特許文献1及び2)。
ところで、液晶表示装置に対する表示特性の要求は益々高まり、液晶表示装置の光学補償に用いられるフィルムには、Reについて所定の範囲であることが要求されるのみならず、その波長分散性についても、理想的であること、具体的には、Reについて逆分散性を示す、ことが要求される場合がある。特に、Reについて逆波長分散性を示す光学的に二軸性のポリマーフィルムは、VAモードをはじめとする、種々のモードの液晶表示装置において有用である。
一方、オイルゲル化剤を所定量含有するセルロースアシレートフィルムが提案されている(特許文献3)。特許文献3では、オイルゲル化剤を、セルロースアシレートフィルムの面状を改善するために添加していて、当該オイルゲル化剤の添加が、セルロースアシレートフィルムの光学特性に及ぼす影響についてはなんら記載されていないし、また光学特性に影響を与えるのかについてもなんら記載されていない。
WO2007/125764A1 特開2007−3679号公報 特開2002−322294号公報
本発明は、面内レターデーションReが発現され、且つReが逆波長分散性を示すセルロースアシレートフィルムを提供すること、並びに当該フィルムからなる位相差板、当該フィルムを有する偏光板及び液晶表示装置を提供することを課題とする。
前記課題を解決するための手段は、以下の通りである。
[1] 少なくとも1種のセルロースアシレートと、下記式(1)で表される少なくとも1種のステロール誘導体と、少なくとも1種の糖誘導体及び/又は少なくとも1種のオリゴマー可塑剤とを含むセルロースアシレートフィルム:
Figure 2011207964
式中、R1、R2及びR3はそれぞれ、水素原子、ヒドロキシル基又は−L−R*で表される置換基を表し、但し、少なくとも一つは−L−R*で表される置換基を表し;Lは、単結合又は−O−、−CO−、−CONR6−(R6は炭素数1〜7のアルキル基又は水素原子である)、―CH2−、及びそれらの組み合わせからなる群より選ばれる2価の連結基を表し;R*は、置換もしくは無置換の、芳香環基、ヘテロ環基、又はアルキル基(但し、アルキル基中の1つのCH2、又は隣接していない2つ以上のCH2は酸素原子で置換されていてもよい)を表し;R4は、カルボキシル基、又は−CHR7−CH(CH32(R7は、炭素原子数1もしくは2のアルキル基、又は水素原子である)を表し、R4が表すカルボキシル基は、L−R*で置換されてもよく;R5は水素原子又はメチル基を表し;式中の破線と実線との組合せは、単結合及び二重結合のいずれであってもよいことを意味する。
[2] 前記少なくとも1種のステロール誘導体が、コレステロール誘導体、シトステロール誘導体、スチグマステロール誘導体、カンペステロール誘導体、ブラシカステロール誘導体、エルゴステロール誘導体、コール酸誘導体、デオキシコール酸誘導体、ケノデオキシコール酸誘導体、又はリトコール酸誘導体である[1]のセルロースアシレートフィルム。
[3] 前記少なくとも1種のステロール誘導体が、コレステロール誘導体である[1]のセルロースアシレートフィルム。
[4] 前記少なくとも1種のステロール誘導体が、下記式(1a)で表される化合物である[1]又は[2]のセルロースアシレートフィルム:
Figure 2011207964
式(1a)中、L、R*、R4及びR5については、式(1)中のそれぞれと同義であり;R3a及びR2aは、水素原子又はヒドロキシ基を表す。
[5] 前記少なくとも1種のステロール誘導体が、下記式(1b)で表される化合物である[1]〜[4]のいずれかのセルロースアシレートフィルム:
Figure 2011207964
式(1b)中、L、R*、及びR5については、式(1)中のそれぞれと同義である。
[6] 前記ステロール誘導体の分子量が600以下であることを特徴とする[1]〜[5]のいずれかのセルロースアシレートフィルム。
[7] 前記少なくとも1種のステロール誘導体が、10℃〜300℃の温度範囲のいずれかで液晶相となる[1]〜[5]のいずれかのセルロースアシレートフィルム。
[8] 前記少なくとも1種のステロール誘導体を、全質量に対して0.1〜50質量%含有する[1]〜[7]のいずれかのセルロースアシレートフィルム。
[9] 下記式(1)〜(3)を満足する[1]〜[8]のいずれかのセルロースアシレートフィルム。
(1): Δn(550nm)> 0
(2): 1>|Δn(450nm)/Δn(550nm)|
(3): 1<|Δn(630nm)/Δn(550nm)|
[10] 前記少なくとも1種のセルロースアシレートが、セルロース骨格のヒドロキシ基の水素原子が実質的にアセチル基のみによって置換されたセルロースアシレートであり、その全置換度が2.00〜3.00であることを特徴とする[1]〜[9]のいずれかのセルロースアシレートフィルム。
[11] 前記少なくとも1種のセルロースアシレートが、セルロース骨格のヒドロキシ基の水素原子が、実質的にアセチル基、プロピオニル基及びブタノイル基からなる群から選ばれる少なくとも2種類で置換されたセルロースアシレートであり、その全置換度が2.00〜3.00であることを特徴とする[1]〜[9]のいずれかのセルロースアシレートフィルム。
[12] 延伸処理及び/又は収縮処理されてなる[1]〜[11]のいずれかのセルロースアシレートフィルム。
[13] [1]〜[12]のいずれかのセルロースアシレートフィルムからなる位相差板。
[14] [1]〜[13]のいずれかのセルロースアシレートフィルムと、偏光子とを少なくとも有する偏光板。
[15] [13]の位相差板及び/又は[14]の偏光板を有する液晶表示装置。
[16] VAモードである[15]の液晶表示装置。
本発明によれば、面内レターデーションReが発現され、且つReが逆波長分散性を示すセルロースアシレートフィルムを提供すること、並びに当該フィルムからなる位相差板、当該フィルムを有する偏光板及び液晶表示装置を提供することができる。
以下、本発明について、実施の形態を挙げて詳細に説明する。なお、本明細書において「〜」を用いて表される数値範囲は、その前後に記載される数値を下限値および上限値として含む範囲を意味する。
1.セルロースアシレートフィルム
本発明は、少なくとも1種のセルロースアシレートと、少なくとも1種のステロール誘導体と、少なくとも1種の糖誘導体及び/又は少なくとも1種のオリゴマー可塑剤とを含むセルロースアシレートフィルムに関する。下記式(1)で表されるステロール誘導体は、糖誘導体及び/又はオリゴマー可塑剤とともに、面内レターデーションReの発現剤(Re発現剤)として、及び/又は波長分散調整剤として作用する。
1.−(1) ステロール誘導体
本発明に用いるステロール誘導体は、下記式(1)で表される化合物であるのが好ましい。
Figure 2011207964
式中、R1、R2及びR3はそれぞれ、水素原子、ヒドロキシル基又は−L−R*で表される置換基を表し、但し、少なくとも一つは−L−R*で表される置換基を表し;Lは、単結合又は−O−、−CO−、−CONR6−(R6は炭素数1〜7のアルキル基又は水素原子である)、―CH2−、及びそれらの組み合わせからなる群より選ばれる2価の連結基を表し;R*は、置換もしくは無置換の、芳香環基、ヘテロ環基、又はアルキル基(但し、アルキル基中の1つのCH2、又は隣接していない2つ以上のCH2は酸素原子で置換されていてもよい)を表し;R4は、カルボキシル基、又は−CHR7−CH(CH32(R7は、炭素原子数1もしくは2のアルキル基、又は水素原子である)を表し、R4が表すカルボキシル基は、−L−R*で置換されてもよく;R5は水素原子又はメチル基を表し;式中の破線と実線との組合せは、単結合及び二重結合のいずれであってもよいことを意味する。
ステロール誘導体とは、ステロールから誘導される化合物をいう。ステロールには、ヒドロキシ基の置換位置、二重結合の有無、又は二重結合の位置等が互いに異なる、以下に示す、コレステロール、シトステロール、スチグマステロール、カンペステロール、ブラシカステロール、エルゴステロール、コール酸、デオキシコール酸、ケノデオキシコール酸、及びリトコール酸が含まれる。
Figure 2011207964
式(1)中、R1、R2及びR3はそれぞれ、水素原子、ヒドロキシル基又は−L−R*で表される置換基を表し、但し、少なくとも一つは−L−R*で表される置換基を表す。
Lは、単結合又は−O−、−CO−、−CONR6−(R6は炭素数1〜7のアルキル基又は水素原子である)、―CH2−、及びそれらの組み合わせからなる群より選ばれる2価の連結基を表す。
Lが表す2価の連結基の例としては、−O−、−CO−、−CONR6−、−OCO−、−COO−、−OCOO−、−OCONR6−、−OCO−(CH2n−CONR6−等が含まれ、−O−、−CO−、−CONR6−、−OCO−、−COO−、−OCOO−、−OCONR6−であるのが好ましく、−OCO−、−COO−、−OCOO−、−OCONR6−であるのが特に好ましい。nは1〜20であるのが好ましく、1〜15であるのがより好ましく、1〜10であるのがさらに好ましい。
*は、置換もしくは無置換の、芳香環基、ヘテロ環基、又はアルキル基を表す。R*が表す芳香族環基の例には、フェニル基、ナフチル基、及びアントラセニル基が含まれる。また、R*が表すヘテロ環基は、芳香族性であっても非芳香族性であってもよい。5〜7員のヘテロ環基が好ましく、5又は6員環のヘテロ環基がより好ましい。ヘテロ環基の例には、ピリジン環基、ピペリジン環基、ピペラジン環基、ピラジン環基、モルホリン環基、フラン環基、ジオキサン環基、ベンズイミダゾール環基、イミダゾール環基、チオフェン環基、ピロール環基等が含まれる。
*が表すアルキル基は、C1〜C20が好ましく、C1〜C15がより好ましく、C1〜C10がさらに好ましい。但し、アルキル基中の1つのCH2、又は隣接していない2つ以上のCH2は酸素原子で置換されていてもよい。例えば、ポリエチレンオキシ基、ポリプロピレンオキシ基等のポリアルキレンオキシ基であってもよい。
*は可能であれば、1以上の置換基を有していてもよい。置換基の例としては、アルキル基、ハロゲン原子、シアノ基、ヒドロキシル基、ニトロ基、カルボキシル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、アルコキシカルボニルオキシ基、アリールオキシカルボニルオキシ基、アミノ基、アシルアミノ基、スルファモイルアミノ基、アルキルおよびアリールスルホニルアミノ基、メルカプト基、アルキルチオ基、スルファモイル基、スルホ基、アルキルおよびアリールスルフィニル基、アルキルおよびアリールスルホニル基、イミド基などがあげられる。
これらのうち、カルボキシル基、シアノ基、ニトロ基、ヒドロキシ基、C1〜C10のアルコキシ基、C1〜C10のアルキル基等が好ましい。
また、R*は、ステロール残基で置換されていてもよい。即ち、式(1)のステロール誘導体は、ステロール残基を複数有する多量体であってもよい。
式(1)中、R4は、カルボキシル基、又は−CHR7−CH(CH32(R7は、炭素原子数1もしくは2のアルキル基、又は水素原子である)を表す。
例えば、デオキシコール酸、β−シトステロール酸、エルゴステロール酸、ブラシカステロール、カンペステロール、スチグマステロール、及びコレステロールの残基を母核として有するステロール誘導体は、上記式(1)中、R4が、−CHR7−CH(CH32であるステロール誘導体になり得る。
また、コール酸、ケノデオキシコール酸、及びリトコール酸の残基を母核として有するステロール誘導体は、上記式(1)中、R4がカルボキシル基であるステロール誘導体になり得る。
4がカルボキシル基を表す場合は、カルボキシル基は、−L−R*で置換されてもよい。例えば、R4は、−COOR*であってもよく、R*の好ましい例については、上記と同様である。
式(1)中、R5は、水素原子又はメチル基を表す。メチル基であるのが好ましい。
1、R2及びR3のうち、R1が−L−R*であるのが好ましく、即ち、下記式(1a)で表されるステロール誘導体が好ましい。
Figure 2011207964
式(1a)中、L、R*、R4及びR5については、式(1)中のそれぞれと同義であり、好ましい範囲も同様である。
3a及びR2aは、水素原子又はヒドロキシ基を表す。
上記した通り、前記ステロール誘導体は、ステロール残基を複数有する多量体であってもよく、その例には、下記式(1a')で表される2量体が含まれる。
Figure 2011207964
式(1a’)中、L、R4及びR5については、式(1)中のそれぞれと同義であり、好ましい範囲も同様である。
3a及びR2aは、水素原子又はヒドロキシ基を表す。
R**は、式(1)中のR*で表される置換もしくは無置換の、芳香環基、ヘテロ環基、又はアルキル基から、水素原子を一つ取り去った、二価の基を表す。
また、前記ステロール誘導体の中でも、コレステロールを母核とするコレステロール誘導体が好ましい。即ち、式(1)中のR2及びR3が水素原子であり、R4が−CH2−CH(CH32であり、下記式(1b)及び(1b’)のコレステロール誘導体が好ましい。
Figure 2011207964
式(1b)及び(1b’)中、L、R*、R**及びR5については、上記式(1)、(1a)及び(1a’)中のそれぞれと同義であり、好ましい範囲も同様である。
前記式(1)のステロール誘導体の分子量が大きくなると、Re発現性が低下する傾向がある。この観点では、ステロール誘導体の分子量は600以下であるのが好ましく、560以下であるのがより好ましい。例えば、コレステロール誘導体を例に挙げれば、コレステロールの分子量は386.65であるので、コレステロールに1つの−L−R*置換基が導入された例では、該置換基の分子量は、1〜200であるのが好ましく、50〜180であるのがより好ましい。
また、前記ステロール誘導体は、液晶性であるのが好ましい。特に、10℃〜300℃の温度範囲のいずれかで液晶相となるステロール誘導体を用いると、Re発現性をさらに向上させることができ、大きなReを有するフィルムが得られる。ステロール誘導体の液晶相温度としては、50℃〜250℃であるのが好ましく、100℃〜200℃であることが特に好ましい。
以下に、上記式(1)で表されるステロール誘導体の具体例を示すが、以下の具体例に限定されるものではない。
Figure 2011207964
Figure 2011207964
Figure 2011207964
Figure 2011207964
Figure 2011207964
Figure 2011207964
Figure 2011207964
Figure 2011207964
前記式(1)のステロール誘導体の中には、市販されている化合物もあるので、本発明では、市販品を利用してもよい。また、前記式(1)のステロール誘導体は、種々の有機合成反応を組合せて、合成することもできる。
本発明のセルロースアシレートフィルムは、前記式(1)で表されるセルロース誘導体を、セルロースアシレートフィルムの全質量に対して、0.1〜50質量%含有するのが好ましく、0.2〜10質量%含有するのがより好ましく、0.25〜4質量%含有するのがさらに好ましい。この範囲であると、高Reを達成できるとともに、フィルム製造工程において、添加された化合物がフィルム表面に析出する等の問題を軽減できる。
なお、本発明のフィルムを、溶液製膜法で製造する場合は、前記式(1)のステロール誘導体を、セルロースアシレートのドープ中に添加することができる。添加のタイミングについては特に制限はない。
(1)−2 糖誘導体
本発明のセルロースアシレートフィルムは、糖誘導体の少なくとも1種を含有する。糖誘導体は、上記式(1)で表されるステロール誘導体と併用することにより、該ステロール誘導体のRe発現剤及び/又は波長分散調整剤としての機能をさらに高める作用がある。また糖誘導体は、可塑剤としても作用する。糖誘導体の例には、フラノース構造もしくはピラノース構造を有する化合物が含まれる。フラノース構造もしくはピラノース構造を有する化合物は、フラノース構造もしくはピラノース構造を1個有する化合物(A)中の、又は、フラノース構造もしくはピラノース構造の少なくとも1種を2個〜12個結合した化合物(B)中の、OH基の全て又は一部をエステル化したエステル化化合物であるのが好ましい。以下、これらを総称して、「糖エステル化合物」という場合がある。
化合物(A)の例としては、グルコース、ガラクトース、マンノース、フルクトース、キシロース、あるいはアラビノースが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
化合物(B)の例としては、ラクトース、スクロース、ニストース、1F−フラクトシルニストース、スタキオース、マルチトール、ラクチトール、ラクチュロース、セロビオース、マルトース、セロトリオース、マルトトリオース、ラフィノースあるいはケストースが挙げられる。このほか、ゲンチオビオース、ゲンチオトリオース、ゲンチオテトラオース、キシロトリオース、ガラクトシルスクロースなども挙げられが、これらに限定されるものではない。
これらの化合物(A)及び化合物(B)の中で、特にフラノース構造とピラノース構造の双方を有する化合物が好ましい。例としては、スクロース、ケストース、ニストース、1F−フクラトシルニストース、スタキオースなどが好ましく、更に好ましくは、スクロースである。また、化合物(B)において、フラノース構造もしくはピラノース構造の少なくとも1種を2個以上、3個以下結合した化合物であることも、好ましい態様の1つである。
化合物(A)及び化合物(B)中のOH基の全てもしくは一部をエステル化するのに用いられるモノカルボン酸としては、特に制限はなく、公知の脂肪族モノカルボン酸、脂環族モノカルボン酸、芳香族モノカルボン酸等を用いることができる。用いられるカルボン酸は1種類でもよいし、2種類以上の混合であってもよい。
好ましい脂肪族モノカルボン酸としては、酢酸、プロピオン酸、酪酸、イソ酪酸、吉草酸、カプロン酸、エナント酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、2−エチル−ヘキサンカルボン酸、ウンデシル酸、ラウリン酸、トリデシル酸、ミリスチン酸、ペンタデシル酸、パルミチン酸、ヘプタデシル酸、ステアリン酸、ノナデカン酸、アラキン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、セロチン酸、ヘプタコサン酸、モンタン酸、メリシン酸、ラクセル酸等の飽和脂肪酸;ウンデシレン酸、オレイン酸、ソルビン酸、リノール酸、リノレン酸、アラキドン酸、オクテン酸等の不飽和脂肪酸;等を挙げることができる。
好ましい脂環族モノカルボン酸の例としては、シクロペンタンカルボン酸、シクロヘキサンカルボン酸、シクロオクタンカルボン酸、又はそれらの誘導体を挙げることができる。
好ましい芳香族モノカルボン酸の例としては、安息香酸、トルイル酸等の安息香酸のベンゼン環に、アルキル基又はアルコキシ基を導入した芳香族モノカルボン酸;ケイ皮酸;ベンジル酸、ビフェニルカルボン酸、ナフタリンカルボン酸、テトラリンカルボン酸等のベンゼン環を2個以上有する芳香族モノカルボン酸;及びこれらの誘導体;を挙げることができ、より、具体的には、キシリル酸、ヘメリト酸、メシチレン酸、プレーニチル酸、γ−イソジュリル酸、ジュリル酸、メシト酸、α−イソジュリル酸、クミン酸、α−トルイル酸、ヒドロアトロパ酸、アトロパ酸、ヒドロケイ皮酸、サリチル酸、o−アニス酸、m−アニス酸、p−アニス酸、クレオソート酸、o−ホモサリチル酸、m−ホモサリチル酸、p−ホモサリチル酸、o−ピロカテク酸、β−レソルシル酸、バニリン酸、イソバニリン酸、ベラトルム酸、o−ベラトルム酸、没食子酸、アサロン酸、マンデル酸、ホモアニス酸、ホモバニリン酸、ホモベラトルム酸、o−ホモベラトルム酸、フタロン酸、p−クマル酸を挙げることができるが、特に安息香酸が好ましい。
上記化合物(A)及び化合物(B)をエステル化したエステル化化合物の中では、エステル化によりアセチル基が導入されたアセチル化化合物が好ましい。
これらアセチル化化合物の製造方法は、例えば、特開平8−245678号公報に記載されている。
前記フラノース構造もしくはピラノース構造の少なくとも1種を3〜12個結合した化合物の例には、オリゴ糖のエステル化化合物も含まれる。
オリゴ糖は、澱粉、ショ糖等にアミラーゼ等の酵素を作用させて製造されるもので、オリゴ糖の例には、マルトオリゴ糖、イソマルトオリゴ糖、フラクトオリゴ糖、ガラクトオリゴ糖、キシロオリゴ糖が含まれる。
また、オリゴ糖も上記化合物(A)及び化合物(B)と同様な方法でアセチル化できる。
前記エステル化化合物の製造例の一例は、以下の通りである。
グルコース(29.8g、166mmol)にピリジン(100ml)を加えた溶液に無水酢酸(200ml)を滴下し、24時間反応させた。その後、エバポレートで溶液を濃縮し氷水へ投入した。1時間放置した後、ガラスフィルターにてろ過し、固体と水を分離し、ガラスフィルター上の固体をクロロホルムに溶かし、これが中性になるまで冷水で分液した。有機層を分離後、無水硫酸ナトリウムにより乾燥した。無水硫酸ナトリウムをろ過により除去した後、クロロホルムをエバポレートにより除き、更に減圧乾燥することによりグリコースペンタアセテート(58.8g、150mmol、90.9%)を得た。尚、上記無水酢酸の替わりに、上述のモノカルボン酸を使用することができる。
以下に、フラノース構造もしくはピラノース構造を有する化合物の具体例を挙げるが、本発明はこれに限定されるものではない。
Figure 2011207964
Figure 2011207964
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Figure 2011207964
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本発明のセルロースアシレートフィルムは、前記糖誘導体を、1〜30質量%含むことが好ましく、特には、5〜30質量%含むことが好ましい。この範囲内であれば、ブリードアウトなどもなく好ましい。
1−(3) オリゴマー可塑剤
本発明のセルロースアシレートフィルムは、オリゴマー類から選択される少なくとも1種の可塑剤を含有する。オリゴマー可塑剤は、上記式(1)で表されるステロール誘導体と併用することにより、該ステロール誘導体のRe発現剤及び/又は波長分散調整剤としての機能をさらに高める作用がある。オリゴマー可塑剤の好ましい例には、ジオール成分とジカルボン酸成分との重縮合エステル及びその誘導体(以下、「重縮合エステル系可塑剤」という場合がある)、並びにメチルアクリレート(MA)のオリゴマー及びその誘導体(以下、「MAオリゴマー可塑剤」という場合がある)が含まれる。
前記重縮合エステルは、ジカルボン酸成分とジオール成分との重縮合エステルである。ジカルボン酸成分は、1種のジカルボン酸のみからなっていても、又は2種以上のジカルボン酸の混合物であってもよい。中でも、ジカルボン酸成分として、少なくとも1種の芳香族性ジカルボン酸及び少なくとも1種の脂肪族ジカルボン酸を含むジカルボン酸成分を用いるのが好ましい。一方、ジオール成分についても1種のジオール成分おみからなっていても、又は2種以上のジオールの混合物であってもよい。中でも、ジオール成分として、エチレングリコール及び/又は平均炭素原子数が2.0より大きく3.0以下の脂肪族ジオールを用いるのが好ましい。
前記ジカルボン酸成分中の前記芳香族ジカルボン酸と脂肪族ジカルボン酸との比率は、芳香族ジカルボン酸が5〜70モル%であることが好ましい。上記範囲であると、フィルムの光学特性の環境湿度依存性を低減できるとともに、製膜過程でブリードアウトの発生を抑制できる。前記ジカルボン酸成分中の芳香族ジカルボン酸は、より好ましくは10〜60モル%であり、20〜50モル%であることがさらに好ましい。
芳香族ジカルボン酸の例には、フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、1,8−ナフタレンジカルボン酸、2,8−ナフタレンジカルボン酸及び2,6−ナフタレンジカルボン酸等が含まれ、フタル酸、及びテレフタル酸が好ましい。脂肪族ジカルボン酸の例には、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、マレイン酸、フマル酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸、及び1,4−シクロヘキサンジカルボン酸等が含まれ、中でも、コハク酸、及びアジピン酸が好ましい。
前記ジオール成分は、エチレングリコール及び/又は平均炭素数が2.0より大きく3.0以下のジオールである。前記ジオール成分中、エチレングリコールが50モル%であることが好ましく、75モル%であることがより好ましい。脂肪族ジオールとしては、アルキルジオール又は脂環式ジオール類を挙げることができ、例えばエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール(ネオペンチルグリコール)、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール(3,3−ジメチロ−ルペンタン)、2−n−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール(3,3−ジメチロールヘプタン)、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、2−メチル−1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,12−オクタデカンジオール、ジエチレングリコール等があり、これらはエチレングリコールとともに1種又は2種以上の混合物として使用されることが好ましい。
前記ジオール成分は、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、及び1,3−プロパンジオールであるのが好ましく、特に好ましくはエチレングリコール、及び1,2−プロパンジオールである。
また、前記重縮合エステル系オリゴマー可塑剤としては、前記重縮合エステルの末端のOHがモノカルボン酸とエステルを形成している当該重縮合エステルの誘導体であるのが好ましい。両末端OH基の封止に用いるモノカルボン酸類としては、脂肪族モノカルボン酸が好ましく、酢酸、プロピオン酸、ブタン酸、安息香酸及びその誘導体等が好ましく、酢酸又はプロピオン酸がより好ましく、酢酸が最も好ましい。重縮合エステルの両末端に使用するモノカルボン酸類の炭素数が3以下であると、化合物の加熱減量が大きくならず、面状故障の発生を低減することが可能である。また、封止に用いるモノカルボン酸は2種以上を混合してもよい。前記重縮合エステルの両末端は酢酸又はプロピオン酸による封止されているのが好ましく、酢酸封止により両末端がアセチルエステル残基となっている重縮合エステルの誘導体が特に好ましい。
前記重縮合エステル及びその誘導体は、数平均分子量は700〜2000程度のオリゴマーであることが好ましく、800〜1500程度がより好ましく、900〜1200程度がさらに好ましい。なお、重縮合エステルの数平均分子量はゲルパーミエーションクロマトグラフィーによって測定、評価することができる。
以下の表1に、重縮合エステル系可塑剤の具体例を示すが、これらに限定されるものではない。
Figure 2011207964
前記重縮合エステルは、常法により、ジカルボン酸成分とジオール成分とのポリエステル化反応もしくはエステル交換反応による熱溶融縮合法、又はジカルボン酸成分の酸クロライドとグリコール類との界面縮合法のいずれかの方法によっても容易に合成し得るものである。また、本発明に係る重縮合エステルについては、村井孝一編者「可塑剤 その理論と応用」(株式会社幸書房、昭和48年3月1日初版第1版発行)に詳細な記載がある。また、特開平05−155809号、特開平05−155810号、特開平5−197073号、特開2006−259494号、特開平07−330670号、特開2006−342227号、特開2007−003679号各公報などに記載されている素材を利用することもできる。
前記重縮合エステル系オリゴマー可塑剤の添加量は、主成分であるセルロースアシレートの量に対し0.1〜25質量%であることが好ましく、1〜20質量%であることがさらに好ましく、3〜15質量%であることがよりさらに好ましい。
なお、重縮合エステル系可塑剤が含有する原料及び副生成物、具体的には、脂肪族ジオール、ジカルボン酸エステル、及びジオールエステル等、のフィルム中の含有量は、1%未満が好ましく、0.5%未満がより好ましい。ジカルボン酸エステルとしては、フタル酸ジメチル、フタル酸ジ(ヒドロキシエチル)、テレフタル酸ジメチル、テレフタル酸ジ(ヒドロキシエチル)、アジピン酸ジ(ヒドロキシエチル)、コハク酸ジ(ヒドロキシエチル)等が挙げられる。ジオールエステルとしては、エチレンジアセテート、プロピレンジアセテート等が挙げられる。
本発明のセルロースアシレートフィルムに用いられる可塑剤としては、メチルメタクリレート(MA)オリゴマー可塑剤も好ましい。MAオリゴマー可塑剤と前記糖類系可塑剤との併用も好ましい。併用の態様では、MAオリゴマー可塑剤と糖類型可塑剤とを質量比で1:2〜1:5の割合で使用するのが好ましく、1:3〜1:4の割合で使用するのがより好ましい。MAオリゴマー可塑剤の一例は、下記繰り返し単位を含むオリゴマーである。
Figure 2011207964
重量平均分子量は、500〜2000程度が好ましく、700〜1500程度がより好ましく、800〜1200程度であるのがさらに好ましい。
また、MAオリゴマー可塑剤は、MA単独のオリゴマーの他、MAから誘導体される上記繰り返し単位とともに、他のモノマーから誘導される繰り返し単位の少なくとも1種を有するオリゴマーであってもよい。前記他のモノマーの例には、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル(i−、n−)、アクリル酸ブチル(n−、i、s−、t−)、アクリル酸ペンチル(n−、i−、s−)、アクリル酸ヘキシル(n、i−)、アクリル酸ヘプチル(n−、i−)、アクリル酸オクチル(n−、i−)、アクリル酸ノニル(n−、i−)、アクリル酸ミリスチル(n−、i−)、アクリル酸(2−エチルヘシル)、アクリル酸(ε−カプロラクトン)、アクリル酸(2−ヒドロキシエチル)、アクリル酸(2−ヒドロキシプロピル)、アクリル酸(3−ヒドロキシプロピル)、アクリル酸(4−ヒドロキシブチル)、アクリル酸(2−ヒドロキシブチル)、アクリル酸(2−メトキシエチル)、アクリル酸(2−エトキシエチル)等、ならびに上記アクリル酸エステルをメタクリル酸エステルにかえたモノマーが含まれる。また、スチレン、メチルスチレン、ヒドロキシスチレンなどの芳香環を有するモノマーを利用することもできる。前記他のモノマーとしては、芳香環を持たない、アクリル酸エステルモノマー及びメタクリル酸エステルモノマーが好ましい。
また、MAオリゴマー可塑剤が、2種以上の繰り返し単位を有するオリゴマーである場合は、X(親水基を有するモノマー成分)及びY(親水基を持たないモノマー成分)からなり、X:Y(モル比)が1:1〜1:99のオリゴマーが好ましい。
これらのMA系オリゴマーは、特開2003−12859号公報に記載されている方法を参考にして合成することができる。
1−(4) セルロースアシレート
本発明のフィルムは、セルロースアシレートの少なくとも1種を主成分として含有する。
本発明において、「セルロースアシレート」とは、例えば、セルロースを基本構造とする化合物であって、セルロースを原料として生物的あるいは化学的に官能基を導入して得られるセルロース骨格を有する化合物を含むものをいう。本発明においては異なる2種類以上のセルロースアシレートを混合して用いてもよい。
セルロースアシレートは、セルロース骨格中の水酸基の水素原子が、アシル基で置換されたセルロース誘導体であり、セルローストリアセテート、セルロースアセテートプロピオネート等が挙げられる。
セルロースアシレートの原料として用いられるセルロースとしては、綿花リンタや木材パルプ(広葉樹パルプ、針葉樹パルプ)などがあり、何れの原料セルロースから得られるセルロースアシレートでも使用でき、場合により混合して使用してもよい。これらの原料セルロースについての詳細は、例えば「プラスチック材料講座(17)繊維素系樹脂」(丸澤・宇田著、日刊工業新聞社、1970年発行)や発明協会公開技報2001−1745(7〜8頁)に記載されており、本発明に対しては特に限定されるものではない。
本発明おけるセルロースアシレートのアシル基は、特に制限はない。例えば、アセチル基、プロピオニル基またはブチリル基またはベンゾイル基などが好ましいが、これらに限定されるものではない。全アシル基の置換度は2.0〜3.0が好ましく、2.2〜2.95がさらに好ましい。アシル基は、アセチル基であることが最も好ましく、アシル基がアセチル基であるセルロースアセテートを用いる場合には、アシル化度(アシル基の全置換度)が2.00〜2.98であることが好ましく、2.10〜2.97がさらに好ましい。
セルロースを構成するβ−1,4結合しているグルコース単位は、2位、3位及び6位に遊離の水酸基を有している。セルロースアシレートは、これらの水酸基の一部又は全部を、アシル基によってエステル化した重合体(ポリマー)である。アシル置換度は、2位、3位及び6位のそれぞれについて、セルロースがエステル化している割合を意味し、全ての水素原子が置換されていると置換度は3になる。
本発明では、以下の条件を満足する第1及び第2の例のセルロースアシレートを主成分として用いるのが好ましい。
第1の例:
セルロース骨格のヒドロキシ基の水素原子が実質的にアセチル基のみによって置換されたセルロースアシレートであり、その全置換度が2.00〜3.00(より好ましくは全置換度が2.10〜2.97)であるセルロースアシレート。
第2の例:
セルロース骨格のヒドロキシ基の水素原子が、実質的にアセチル基、プロピオニル基及びブタノイル基からなる群から選ばれる少なくとも2種類で置換されたセルロースアシレートであり、その全置換度が2.00〜3.00(より好ましくは全置換度が2.20〜2.95)であるセルロースアシレート。
なお、ここでいう「実質的」にとは、該置換基以外の種類の置換度が0.01以下であることを意味する。
本発明に用いるセルロースアシレートは、350〜800の質量平均重合度を有することが好ましく、370〜600の質量平均重合度を有することがさらに好ましい。また本発明に用いるセルロースアシレートは、70000〜230000の数平均分子量を有することが好ましく、75000〜230000の数平均分子量を有することがさらに好ましく、78000〜120000の数平均分子量を有することがより
前記セルロースアシレートは、アシル化剤として酸無水物や酸塩化物を用いて合成できる。工業的に最も一般的な合成方法としては、以下の通りである。綿花リンタや木材パルプなどから得たセルロースを、アセチル基、プロピオニル基及び/又はブチリル基に対応する有機酸(酢酸、プロピオン酸、酪酸)又はそれらの酸無水物(無水酢酸、無水プロピオン酸、無水酪酸)を含む混合有機酸成分でエステル化し、目的のセルロースアシレートを合成することができる。また、前記セルロースアシレートの原料綿や合成方法としては、例えば、発明協会公開技報(公技番号2001−1745、7頁〜12頁、2001年3月15日発行、発明協会)に記載のものを好ましく採用できる。
1−(5) その他の添加剤
本発明のセルロースアシレートフィルムは、種々の目的により、前記一般式(1)で表されるステロール誘導体と、糖誘導体及び/又はオリゴマー可塑剤とともに、当該化合物以外の添加剤を含有していてもよい。これらの添加剤は、前記フィルムを溶液製膜法で製造する場合は、セルロースアシレートのドープ中に添加することができる。添加のタイミングについては特に制限はない。添加剤は、主成分であるセルロースアシレートと相溶(溶液製膜法ではセルロースアシレートドープ中に可溶)な剤から選択する。添加剤は、セルロースアシレートの光学特性の調整及びその他の特性の調整等を目的として添加される。
以下、本発明に使用可能な添加剤の例について説明するが、以下の添加剤に限定されるものではない。なお、式(I)の化合物以外の添加剤を用いる場合は、その添加量の好ましい範囲は、該添加剤の種類によって変動するので、特定することはできないが、一般的には、0〜50質量%程度であるのが好ましい。
(他の光学制御剤)
本発明のセルロースアシレートフィルムには、上記式(1)で表されるステロール誘導体とともに、他の光学制御剤を添加してもよい。例えば、式(1)の化合物と同様、Reについて発現性を有する他のRe発現剤を添加してもよいし、またRthについて発現性を有する光学制御剤を添加してもよい。また、他の波長分散剤を添加してもよい。
一例は、骨格中に下記式(a)で表わされる構造を含む低分子化合物(A)である。
低分子化合物(A):
本発明に使用可能な低分子化合物(A)は、その骨格中に下記式(a)で表わされる構造を含む化合物である。
Figure 2011207964
低分子化合物Aは、下記一般式(A−1)で表される化合物であることが好ましい。
以下、一般式(A−1)で表わされる化合物について説明する。
Figure 2011207964
<R1
一般式(A−1)において、R1は置換基であり、複数存在する場合は同じでも異なっていてもよく、環を形成してもよい。R1は好ましくは、ハロゲン原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基、ヘテロ環基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシルオキシ基、シアノ基、アミノ基であり、より好ましくは、ハロゲン原子、炭素原子数1から8のアルキル基、シアノ基、炭素原子数1から8のアルコキシ基であり、さらに好ましくは塩素原子、メチル基、t−ブチル基、シアノ基、メトキシ基であり、もっとも好ましくは、メチル基またはt−ブチル基である。
nは0〜2の整数を表し、好ましくは0又は1である。
<R4、R5
4、R5は各々独立に置換基を表す。好ましくは、ハメットの置換基定数σp値が0以上の電子吸引性の置換基である。σp値として好ましくは0以上であり、より好ましくは0.2以上であり、さらに好ましくは0.35以上であり、もっとも好ましくは0.35〜1.5である。
ハメットの置換基定数σ値について説明する。ハメット則は、ベンゼン誘導体の反応又は平衡に及ぼす置換基の影響を定量的に論ずるために1935年L.P.Hammettにより提唱された経験則であるが、これは今日広く妥当性が認められている。ハメット則に求められた置換基定数にはσp値とσm値があり、これらの値は多くの一般的な成書に見出すことができる。例えば、J.A.Dean編、「Lange’s Handbook of Chemistry」第12版,1979年(McGraw−Hill)や「化学の領域」増刊,122号,96〜103頁,1979年(南光堂)、Chem.Rev.,1991年,91巻,165〜195ページ、稲本直樹著「ハメット則−構造と反応性−」(丸善)、日本化学会編「新実験化学講座14 有機化合物の合成と反応V」2605頁(丸善)、仲谷忠雄著「理論有機化学解説」217頁(東京化学同人)などに詳しい。
ハメットの置換基定数σp値が0以上の置換基としては、トリフルオロメチル基、シアノ基、ニトロ基、カルボニル基、カルバモイル基、等が挙げられる。
これらのうち好ましくは、シアノ基(0.66)、カルボキシル基(−COOH:0.45)、アルコキシカルボニル基(−COOMe:0.45)、アリールオキシカルボニル基(−COOPh:0.44)、カルバモイル基(−CONH2:0.36)、アルキルカルボニル基(−COMe:0.50)、アリールカルボニル基(−COPh:0.43)、アルキルスルホニル基(−SO2Me:0.72)、またはアリールスルホニル基(−SO2Ph:0.68)などが挙げられる。Meはメチル基を、Phはフェニル基を表す。なお、括弧内の値は代表的な置換基のσp値をChem.Rev.,1991年,91巻,165〜195ページから抜粋したものである。
4及びR5のうち少なくとも1つはハメットの置換基定数σp値が0以上の置換基を表すが、より好ましくはいずれか一方がそれぞれこの置換基であることが好ましい。特に好ましくはR4及びR5がいずれもこの置換基の場合である。
4及びR5のうち少なくとも1つとして、好ましくは、シアノ基、アルキルカルボニル基、アリールカルボニル基、アルキルオキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、スルホニル基であり、より好ましくは、シアノ基、アルキルカルボニル基、アルキルオキシカルボニル基、カルバモイル基である。さらに好ましくは、炭素原子数10以下のシアノ基、アルキルカルボニル基、アルキルオキシカルボニル基、カルバモイル基であり、最も好ましくはシアノ基である。
さらに、好ましくは、R4及びR5の両方が、シアノ基、アルキルカルボニル基、アリールカルボニル基、アルキルオキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、スルホニル基のいずれかであり、より好ましくは、R4及びR5の両方が、シアノ基、アルキルカルボニル基、アルキルオキシカルボニル基、カルバモイル基のいずれかである。
4及びR5とは互いに結合して環を形成しても良い。形成する環としては、飽和および不飽和の炭化水素環およびヘテロ環のいずれであってもよい。R4及びR5が結合した炭素原子を含んでなる環として、シクロプロパン環、シクロブタン環、シクロペンタン環、シクロヘキサン環、シクロヘプタン環、ピロリジン環、テトラヒドロフラン環、テトラヒドロチオフェン環、オキサゾリン環、チアゾリン環、ピロリン環、ピラゾリジン環、ピラゾリン環、イミダゾリジン環、イミダゾリン環、ピペリジン環、ピペラジン環、ピラン環などが挙げられる。これらは任意の位置に置換基を有していても良い。
−L11−(Z1−L21)m1−R21、および−L12−(Z2−L22)m2−R22で表される基について説明する。
<L11、L12、L21、L22
11、L12、L21、L22はそれぞれ独立に単結合、または−O−、−S−、−S(=O)2−、−CO−、−NRA−(RAは、炭素原子数が1〜7のアルキル基又は水素原子である。)、−CH2−及びそれらの(2個以上連結して形成される)組み合わせからなる群より選ばれる二価の連結基であることが好ましい。
前記2個以上連結して形成される2価の連結基としては、−C(=O)O−、−OC(=O)−、−OC(=O)O−、−C(=O)NH−、−NHC(=O)−、−OC(=O)NH−、−NHC(=O)O−、−NHC(=O)NH−、−O−CH2−があげられる。
11およびL12として好ましくは単結合、−O−*、−C(=O)−O−*、−O−C(=O)−*、−O−CO−O−*、−OCH2−*であり、より好ましくは−O−*、−O−C(=O)−*、−O−CO−O−*、−OCH2−*である。(*はZ1に連結する方向を表す。)
21、L22、として好ましくは単結合、*−O−、*−C(=O)−、*−C(=O)−O−、*−O−C(=O)−、*−O−CO−O−、*OCH2−、*−CH2O−、より好ましくは単結合、*−O−、*−C(=O)−、*−C(=O)−O−、*−O−C(=O)−である。(*はZ1に連結する方向を表す。)
<Z1およびZ2
1およびZ2は各々独立に二価の5員または6員の環状連結基を表し、当該二価の環状連結基に含まれる環としては、芳香族環、脂肪族環、ヘテロ環ともに用いることができ、単環でも縮環でもよく、また、置換基を有していてもよい。
芳香族環の例としては、炭素原子数6〜30のベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環およびフェナントレン環があげられる。ベンゼン環を有する環状基としては、1,4−フェニレン基および1,3−フェニレン基が好ましく、ナフタレン環を有する環状基としては、ナフタレン−1,4−ジイル基、ナフタレン−1,5−ジイル基、ナフタレン−1,6−ジイル基、ナフタレン−2,5−ジイル基、ナフタレン−2,6−ジイル基およびナフタレン−2,7−ジイル基が好ましい。
これらのうち、芳香族環からなる二価の環状連結基として特に好ましくは、無置換もしくは置換の1,4−フェニレン基、1,3−フェニレン基、ナフタレン−2,6−ジイル基であり、無置換もしくは置換の1,4−フェニレン基がもっとも好ましい。
脂肪族環の例としては炭素原子数3〜20のシクロペンチル環、シクロヘキサン環があげられる。シクロヘキサン環を有する環状基としては1,4−シクロへキシレン基が好ましい。シクロヘキサン環にはシス体およびトランス体の立体異性体が存在するが、本発明においては限定されず、両者の混合物でも良い。好ましくはトランス-シクロヘキサン環である。したがって脂肪族環からなる二価の環状連結基として好ましくはトランス-1,4−シクロへキシレン基である。
ヘテロ環連結基の例としては、5または6員の置換もしくは無置換の芳香族もしくは非芳香族へテロ環連結基があげられる。ヘテロ環連結基に含まれるヘテロ原子としては、N、O、S、Bがあげられるがこれに限定されるものではない。また、二つ以上のヘテロ原子を含むことも好ましい。単環でも縮環でもよく、また、置換基を有していてもよい。ヘテロ環連結基としては、例えば、ピリジン環連結基、ピペリジン環連結基、ピペラジン環連結基、ピラジン環連結基、フラン環連結基、ジオキサン環連結基、ベンズイミダゾール環連結基、イミダゾール環連結基、チオフェン環連結基、ピロール環連結基、等が挙げられる。
<R21、R22
21およびR22は水素原子または、置換もしくは無置換のアルキル基である。
21およびR22として好ましくは、炭素原子数20以下の置換もしくは無置換のアルキル基であり、より好ましくは、14以下の無置換のアルキル基である。
m1およびm2は0ないし2の整数を表し、好ましくはm1およびm2は0または1である。
m1が2の場合、複数存在するL21およびZ1は同一であっても異なっていてもよい。また同様に、m2が2の場合、複数存在するL22およびZ2は同一であっても異なっていてもよい。また、−L11−(Z1−L21)m1−R21で表される基と、および−L12−(Z2−L22)m2−R22で表される基は、同一であっても異なっていてもよい。合成の観点からは同じであることが好ましいが、本発明はこれに限定されるものではない。
以上詳しく述べた、−L11−(Z1−L21)m1−R21および−L12−(Z2−L22)m2−R22で表される基として、好ましい構造を下記一般式(L1)に、特に好ましい構造を下記一般式(L2)に示した。−L12−(Z2−L22)m2−R22については、L22をL21に、R22をR21、Z2をZ1に、L12をL11に置き換えたものとして示す。これらの基はそれぞれ同義である。
<−L11−(Z1−L21)m1−R21 等の好ましい構造例>
Figure 2011207964
<−L11−(Z1−L21)m1−R21 等の特に好ましい構造例>
Figure 2011207964
<一般式(A−1)で表わされる化合物の好ましい例>
一般式(A−1)で表される化合物の中でも、低分子化合物Aとしては、以下の例が好ましい。
nは0または1であり、nは1のときのR1は塩素原子、メチル基、t−ブチル基、メトキシ基であり、
4、R5はそれぞれ独立に炭素原子数10以下のシアノ基、アルキルカルボニル基、アルキルオキシカルボニル基、カルバモイル基であり、
11およびL12は単結合、−O−、−C(=O)−、−C(=O)−O−、−O−C(=O)−、−O−CO−O−、−OCH2−であり、より好ましくは−O−、−O−C(=O)−、−O−CO−O−、−OCH2−である。
21、L22は単結合、−O−、−C(=O)−、−C(=O)−O−、−O−C(=O)−、−O−CO−O−、−OCH2−、−CH2O−であり、より好ましくは、単結合、−O−、−C(=O)−、−C(=O)−O−、−O−C(=O)−である。
1、Z2は無置換もしくは置換の1,4−フェニレン基、1,4−シクロへキシレン基であり、
21およびR22はそれぞれ独立に無置換のアルキル基であり、
m1およびm2はそれぞれ独立に0ないし2である。
本発明に使用可能な低分子化合物(A)の分子量は、好ましくは100〜3000であり、より好ましくは200〜2000であり、さらに好ましくは、300〜1500である。
上記の範囲の分子量より大きな分子量を有する化合物はブリードアウトが発生しやすく好ましくない。
低分子化合物(A)の含有量は、セルロースアシレート100質量部に対して0.1〜50質量部であることが好ましく、0.2〜20質量部であることがより好ましく、0.2〜10質量部であることがさらに好ましく、0.25〜5質量部であることがよりさらに好ましい。
低分子化合物(A)は、100℃〜300℃の温度範囲で液晶相を発現することが好ましい。より好ましくは120℃〜200℃である。液晶相は、カラムナー相、ネマチィク相またはスメクティック相が好ましく、ネマチィク相またはスメクティック相がより好ましい。
<一般式(A−1)で表わされる化合物の具体例>
以下に、一般式(A−1)で表される化合物の具体例を示すが、以下の具体例に制限されるわけではない。下記化合物に関しては、指定のない限り括弧( )内の数字にて例示化合物(X)と示す。下記一般式において、nは1〜8の整数であり、好ましくは、n=2,3,4,5,6である。すなわち、(1−nは、炭素数を表すnによって、1−1,1−2,1−3,1−4,1−5,1−6,1−7,1−8の8種類の化合物を示す。)また、同様に、mは1〜14の整数であり、好ましくは、m=4〜14の整数である。
Figure 2011207964
Figure 2011207964
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Figure 2011207964
一般式(A−1)で表される化合物の合成は既知の方法で行うことができ、特開2008−107767号公報の段落〔0066〕〜〔0067〕、〔0136〕〜〔0176〕に記載の方法を用いることができる。また、中間体の合成については、J. Org. Chem., 29, 660-665 (1964)、 J. Org. Chem., 69, 2164-2177 (2004)、 Justus Liebigs Annalen der Chemie, 726, 103-109 (1969)、 Journal of Chemical Crystallography (1997);27(9);515-526 に記載の方法を用いることができる。例えば、下記化合物は、下記スキームに従って合成することができる。
Figure 2011207964
化合物S−1から化合物S−4までの合成はJournal of Chemical Crystallography (1997);27(9);515-526.に記載の方法で行うことができる。
さらに、前記スキームに示したように、化合物(S−5)のトルエン溶液にN,N−ジメチルホルムアミドを添加し、塩化チオニルを加えて加熱攪拌することによって酸クロライドを生成させたのち、この酸クロライドを、化合物(S−4)のテトラヒドロフラン溶液に滴下し、その後、ピリジンを加えて攪拌することで、一般式(A−1)で表される化合物(S−6)を得ることができる。
なお、一般式(A−1)において置換基や連結基の異なる他の化合物については、上記方法に基づき、使用する化合物や行う反応を変えることで合成することができる。
(紫外線吸収剤)
紫外線吸収剤としては、目的に応じ任意の種類のものを選択することができ、サリチル酸エステル系、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、ベンゾエート系、シアノアクリレート系、ニッケル錯塩系等の吸収剤を用いることができ、好ましくはベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、サリチル酸エステル系である。
紫外線吸収剤は、吸収波長の異なる複数の吸収剤を複合して用いることが、広い波長範囲で高い遮断効果を得ることができるので好ましい。液晶用紫外線吸収剤は、液晶の劣化防止の観点から、波長370nm以下の紫外線の吸収能に優れ、且つ、液晶表示性の観点から、波長400nm以上の可視光の吸収が少ないものが好ましい。特に好ましい紫外線吸収剤は、上述のベンゾトリアゾール系化合物やベンゾフェノン系化合物、サリチル酸エステル系化合物である。中でも、ベンゾトリアゾール系化合物は、セルロースエステルに対する不用な着色が少ないことから、好ましい。
また、紫外線吸収剤については、特開昭60−235852号、特開平3−199201号、同5−1907073号、同5−194789号、同5−271471号、同6−107854号、同6−118233号、同6−148430号、同7−11056号、同7−11055号、同7−11056号、同8−29619号、同8−239509号、特開2000−204173号の各公報に記載の化合物も用いることができる。
紫外線吸収剤の添加量は、セルロースアシレートに対し0.001〜5質量%が好ましく、0.01〜1質量%がより好ましい。添加量が0.001質量%以上であれば添加効果が十分に発揮されうるので好ましく、添加量が5質量%以下であればフィルム表面への紫外線吸収剤のブリードアウトを抑制できるので好ましい。
(劣化防止剤)
劣化防止剤は、セルローストリアセテート等のセルロースアシレートが劣化、分解するのを防止するために添加してもよい。劣化防止剤としては、ブチルアミン、ヒンダードアミン化合物(特開平8−325537号公報)、グアニジン化合物(特開平5−271471号公報)、ベンゾトリアゾール系UV吸収剤(特開平6−235819号公報)、ベンゾフェノン系UV吸収剤(特開平6−118233号公報)などの化合物を用いることができる。
(他の可塑剤)
他の可塑剤としては、リン酸エステル、カルボン酸エステル、多価アルコールの脂肪酸エステル類から選択されることが好ましい。リン酸エステル系可塑剤としては、例えばトリフェニルホスフェート(TPP)、トリクレジルホスフェート(TCP)、クレジルジフェニルホスフェート、オクチルジフェニルホスフェート、ビフェニルジフェニルホスフェート(BDP)、トリオクチルホスフェート、トリブチルホスフェート等が好ましい。また、カルボン酸エステル系可塑剤としては、例えばジメチルフタレート(DMP)、ジエチルフタレート(DEP)、ジブチルフタレート(DBP)、ジオクチルフタレート(DOP)、ジフェニルフタレート(DPP)、ジエチルヘキシルフタレート(DEHP)、O−アセチルクエン酸トリエチル(OACTE)、O−アセチルクエン酸トリブチル(OACTB)、クエン酸アセチルトリエチル、クエン酸アセチルトリブチル、オレイン酸ブチル、リシノール酸メチルアセチル、セバシン酸ジブチル、トリアセチン、トリブチリン、ブチルフタリルブチルグリコレート、エチルフタリルエチルグリコレート、メチルフタリルエチルグリコレート、ブチルフタリルブチルグリコレート等が好ましい。
また、多価アルコールの脂肪酸エステル類としては、(ジ)ペンタエリスリトールエステル類、グリセロールエステル類、ジグリセロールエステル類であることが好ましい。
糖類系可塑剤としては、キシローステトラアセテート、グルコースペンタアセテート、フルクトースペンタアセテート、マンノースペンタアセテート、ガラクトースペンタアセテート、マルトースオクタアセテート、セロビオースオクタアセテート、スクロースオクタアセテート、キシリトールペンタアセテート、ソルビトールヘキサアセテート、キシローステトラプロピオネート、グルコースペンタプロピオネート、フルクトースペンタプロピオネート、マンノースペンタプロピオネート、ガラクトースペンタプロピオネート、マルトースオクタプロピオネート、セロビオースオクタプロピオネート、スクロースオクタプロピオネート、キシリトールペンタプロピオネート、ソルビトールヘキサプロピオネートなどが好ましい。
(高分子可塑剤)
本発明のセルロースアシレートフィルムは、前述した糖類系可塑剤、及びオリゴマー可塑剤とともに、高分子系可塑剤を含有していてもよい。高分子系可塑剤としては、ポリエステルポリウレタン系可塑剤、脂肪族炭化水素系ポリマー、脂環式炭化水素系ポリマー、ポリビニルイソブチルエーテル、ポリN−ビニルピロリドン等のビニル系ポリマー、ポリスチレン、ポリ4−ヒドロキシスチレン等のスチレン系ポリマー、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド等のポリエーテル、ポリアミド、ポリウレタン、ポリウレア、フェノール−ホルムアルデヒド縮合物、尿素−ホルムアルデヒド縮合物、酢酸ビニル、等が挙げられる。
(剥離促進剤)
剥離促進剤としては、クエン酸のエチルエステル類が好ましい例として挙げられる。
(赤外吸収剤)
赤外吸収剤としては、例えば特開2001−194522号公報に記載のものが好ましい。
(染料)
本発明では、色相調整のための染料を添加してもよい。染料の含有量は、セルロースアシレートに対する質量割合で10〜1000ppmが好ましく、50〜500ppmがさらに好ましい。特開平5−34858号公報に記載の染料を用いることができる。
(マット剤微粒子)
前記セルロースアシレートフィルムには、マット剤を添加してもよい。マット剤として使用される微粒子としては、二酸化珪素、二酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、炭酸カルシウム、炭酸カルシウム、タルク、クレイ、焼成カオリン、焼成珪酸カルシウム、水和ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム及びリン酸カルシウムを挙げることができる。微粒子はケイ素を含むものが濁度が低くなる点で好ましく、特に二酸化珪素が好ましい。
二酸化珪素の微粒子は、例えば、アエロジルR972、R972V、R974、R812、200、200V、300、R202、OX50、TT600(以上日本アエロジル(株)製)などの市販品を使用することができる。酸化ジルコニウムの微粒子は、例えば、アエロジルR976及びR811(以上日本アエロジル(株)製)の商品名で市販されており、使用することができる。
2次平均粒子径の小さな粒子を有するセルロースアシレートフィルムの製造には、微粒子の分散液を用いることができる。微粒子の分散液を調製する際にいくつかの手法が考えられる。例えば、溶剤と微粒子を撹拌混合した微粒子分散液をあらかじめ調製し、この微粒子分散液を別途用意した少量のセルロースアシレート溶液に加えて撹拌溶解し、さらにメインのセルロースアシレートドープ液と混合する方法がある。この方法は二酸化珪素微粒子の分散性がよく、二酸化珪素微粒子が更に再凝集し難い点で好ましい調製方法である。ほかにも、溶剤に少量のセルロースアシレートを加え、撹拌溶解した後、これに微粒子を加えて分散機で分散を行い、これを微粒子添加液とし、この微粒子添加液をインラインミキサーでドープ液と十分混合する方法もある。いずれの方法を利用してもよいし、またこれらの方法に限定されるものでもない。
上記調製方法に使用される溶剤は、低級アルコール類としては、好ましくはメチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、ブチルアルコール等が挙げられる。低級アルコール以外の溶媒としては特に限定されないが、セルロースアシレートの製膜時に用いられる溶剤を用いることが好ましい。
(化合物添加の比率)
本発明においては、分子量が3000以下の化合物の総量は、セルロースアシレート質量に対して5〜45質量%であることが好ましい。より好ましくは10〜40質量%であり、さらに好ましくは15〜30質量%である。これらの化合物としては上述したように、光学異方性を低下する化合物、波長分散調整剤、紫外線防止剤、可塑剤、劣化防止剤、剥離促進剤、染料、マット剤微粒子、赤外吸収剤など光学特性調整剤である。さらに、分子量が2000以下の化合物の総量が上記範囲内であることがより好ましい。これら化合物の総量を5質量%以上とすることにより、セルロースアシレート単体の性質が出にくくなり、例えば、温度や湿度の変化に対して光学性能や物理的強度が変動しにくくなる。またこれら化合物の総量を45質量%以下とすることにより、セルロースアシレートフィルム中に化合物が相溶する限界を超え、フィルム表面に析出してフィルムの白濁(ブリードアウト)が抑止される傾向にあり好ましい。
1.−(6) フィルムの製造方法
本発明のセルロースアシレートフィルムは、溶液流延製膜法を利用して製造されたフィルムであっても、溶融押出製膜法を利用して製造されたフィルムであってもよい。以下に、溶液流延製膜法を利用して製造する例について説明するが、以下の方法に限定されるものではない。
溶液流延製膜法では、セルロースアシレート、並びに前記一般式(1)で表されるステロール誘導体と、糖誘導体及び/又はオリゴマー可塑剤とを、有機溶媒に溶解して調製した溶液(以下、「ドープ」という場合もある)を、ベルト、ロール等の支持体表面に流延し、乾燥して製膜する。一般的な溶液流延法を利用して製膜することができる。
(ドープの調製)
前記ドープの調製に用いられる主溶媒として好ましく用いられる有機溶媒は、炭素原子数が3〜12のエステル、ケトン、エーテル、および炭素原子数が1〜7のハロゲン化炭化水素から選ばれる溶媒が好ましい。エステル、ケトンおよび、エーテルは、環状構造を有していてもよい。エステル、ケトンおよびエーテルの官能基(すなわち、−O−、−CO−および−COO−)のいずれかを二つ以上有する化合物も、主溶媒として用いることができ、たとえばアルコール性水酸基のような他の官能基を有していてもよい。二種類以上の官能基を有する主溶媒の場合、その炭素原子数はいずれかの官能基を有する化合物の規定範囲内であればよい。
また、塩素系のハロゲン化炭化水素を主溶媒としてもよいし、例えば公開技法(公開技報2001−1745、12頁〜16頁、2001年発行、発明協会)に記載されているように、非塩素系溶媒を主溶媒としてもよい。
その他、セルロースアシレート溶液の調製、それに使用される溶媒、その溶解方法等については、以下の特許文献に開示のものを、好ましい態様としてあげることができる。特開2000−95876号、特開平12−95877号、特開平10−324774号、特開平8−152514号、特開平10−330538号、特開平9−95538号、特開平9−95557号、特開平10−235664号、特開平12−63534号、特開平11−21379号、特開平10−182853号、特開平10−278056号、特開平10−279702号、特開平10−323853号、特開平10−237186号、特開平11−60807号、特開平11−152342号、特開平11−292988号、特開平11−60752号、特開平11−60752号の各公報。
これらの特許文献によると本発明において好ましい溶媒だけでなく、その溶液物性や共存させる共存物質についても記載があり、それらも、本発明においても好ましい態様である。
セルロースアシレート溶液(ドープ)の調製は、その溶解方法は特に限定されず、室温でもよくさらには冷却溶解法または高温溶解方法、さらにはこれらの組み合わせで実施される。本発明におけるセルロースアシレート溶液の調製、さらには溶解工程に伴う溶液濃縮、ろ過の各工程に関しては、発明協会公開技報(公技番号2001−1745、22頁〜25頁、2001年3月15日発行、発明協会)にて詳細に記載されている製造工程が好ましく用いられる。
前記ドープの透明度としては85%以上であることが好ましく、88%以上であることがより好ましく、90%以上であることがさらに好ましい。本発明においてはセルロースアシレートドープ溶液に各種の添加剤が十分に溶解していることを確認した。具体的なドープ透明度の算出方法としては、ドープ溶液を1cm角のガラスセルに注入し、分光光度計(UV−3150、商品名、島津製作所社製)で550nmの吸光度を測定する。溶媒のみをあらかじめブランクとして測定しておき、ブランクの吸光度との比からセルロースアシレート溶液の透明度を算出する。
(流延、乾燥、巻き取り工程)
溶解機(釜)から調製されたドープ(セルロースアシレート溶液)を貯蔵釜で一旦貯蔵し、ドープに含まれている泡を脱泡して最終調製をする。ドープをドープ排出口から、例えば、回転数によって高精度に定量送液できる加圧型定量ギヤポンプを通して加圧型ダイに送り、ドープを加圧型ダイの口金(スリット)からエンドレスに走行している流延部の金属支持体の上に均一に流延し、金属支持体がほぼ一周した剥離点で、生乾きのドープ膜(ウェブとも呼ぶ)を金属支持体から剥離する。得られるウェブの両端をクリップで挟み、幅保持しながらテンターで搬送して乾燥し、続いて得られたフィルムを乾燥装置のロール群で機械的に搬送し乾燥を終了して巻き取り機でロール状に所定の長さに巻き取る。テンターとロール群の乾燥装置との組み合わせはその目的により変わる。
本発明のフィルムの主な用途である、液晶表示装置用の光学部材である機能性保護膜やハロゲン化銀写真感光材料に用いるフィルムを製膜するための溶液流延製膜方法においては、溶液流延製膜装置の他に、下引層、帯電防止層、ハレーション防止層、保護層等の塗布層を、フィルムの表面へ塗布形成(塗布加工)するために、塗布装置が付加されることが多い。これらについては、発明協会公開技報(公技番号2001−1745、25頁〜30頁、2001年3月15日発行、発明協会)に詳細に記載されており、流延(共流延を含む)、金属支持体、乾燥、剥離などに分類され、本発明において好ましく用いることができる。
(延伸処理・収縮処理)
製膜されたフィルムに対して、所望の光学特性を発現させるために、延伸処理及び/又は収縮処理を実施してもよい。特に、セルロースアシレートフィルムの面内レターデーション値を高い値とする場合には、積極的に幅方向に延伸し、例えば、特開昭62−115035号、特開平4−152125号、特開平4−284211号、特開平4−298310号、及び特開平11−48271号の各公報などに記載されている延伸法を実施するのが好ましい。フィルムの延伸は、常温又は加熱条件下で実施する。延伸は(フィルムのガラス転移点)以上(フィルムのガラス転移点以上+40℃)以下の温度で行うことが好ましい。乾膜の場合、130℃以上200℃以下が好ましい。また、流延後にドープ溶剤が残存した状態で延伸を行う場合、乾膜よりも低い温度で延伸が可能となり、この場合、100℃以上170℃以下が好ましい。
フィルムの延伸は、縦又は横だけの一軸延伸でもよく、同時又は逐次2軸延伸でもよい。フィルムは、1〜200%の延伸を行うことが好ましく、1〜100%の延伸を行うことがより好ましく、1〜50%の延伸を行うことがさらに好ましい。
また、熱収縮処理も、延伸処理と同様、所望の光学特性を達成するのに有用である。特に、高レターデーションのフィルムを製造するのに有用である。熱収縮処理については、例えば、特開2006−215142号公報、特開2007−261189号公報、特許4228703号公報等に記載の方法を参照することができる。
十分乾燥された後の、本発明のフィルムの厚さについては、特に制限はなく、使用目的によって好ましい範囲も異なるが、一般的には、5〜500μm程度であるのが好ましく、20〜300μmの範囲であることがより好ましく、30〜150μmの範囲であることがさらに好ましい。また、光学用、特にVA液晶表示装置用としては、40〜110μmであることが好ましい。フィルム厚さの調整は、所望の厚さになるように、ドープ中に含まれる固形分濃度、ダイの口金のスリット間隙、ダイからの押し出し圧力、金属支持体速度等を調節すればよい。
(表面処理)
本発明のセルロースアシレートフィルムに、所望により表面処理を行ってもよい。表面処理を行うことにより、セルロースアシレートフィルムと各機能層(例えば、下塗層およびバック層)との接着の向上を達成することができる。例えば、グロー放電処理、紫外線照射処理、コロナ処理、火炎処理、酸またはアルカリ処理を用いることができる。ここでいうグロー放電処理とは、10-3〜20Torr(0.133Pa〜2.67kPa)の低圧ガス下でおこる低温プラズマでもよく、更にまた大気圧下でのプラズマ処理も好ましい。プラズマ励起性気体とは上記のような条件においてプラズマ励起される気体をいい、アルゴン、ヘリウム、ネオン、クリプトン、キセノン、窒素、二酸化炭素、テトラフルオロメタンの様なフロン類及びそれらの混合物などがあげられる。これらについては、詳細が発明協会公開技報(公技番号2001−1745、30頁〜32頁、2001年3月15日発行、発明協会)に記載されており、本発明において好ましく用いることができる。
(機能層の付加)
本発明のセルロースフィルムには、用途に応じて、各種の機能層を付与してもよい。それらは、例えば、帯電防止層、硬化樹脂層(透明ハードコート層)、反射防止層、易接着層、防眩層、光学補償層、配向層、液晶層などである。本発明に用いることができるこれらの機能層の材料としては、界面活性剤、滑り剤、マット剤等であるが、これらに限定されるものではない。詳細が発明協会公開技報(公技番号2001−1745、32頁〜45頁、2001年3月15日発行、発明協会)に記載されており、参照することができる。
1.−(7) フィルムの特性
本発明のセルロースアシレートフィルムの一例は、下記式(1)〜(3)を満足するフィルムである。
(1): Δn(550nm)> 0
(2): 1>|Δn(450nm)/Δn(550nm)|
(3): 1<|Δn(630nm)/Δn(550nm)|
ここで、Δnは配向方向(以下TD方向と示す。)の屈折率から配向方向と直交する方向(以下MD方向と示す。)の屈折率を差し引いた値であるため、TD方向の屈折率の波長分散性よりも、MD方向の波長分散性が、より右肩下がり(左を短波長側、右を長波長側とおいたときのΔnの傾き)であれば、その差し引いた値は、上記式(2)及び(3)を満足する。
前記一般式(1)で表される当該ステロール誘導体を少なくとも一種含有するセルロースアシレートフィルムは、延伸処理・熱収縮処理等の配向処理を施されることにより、上記数式(1)〜(3)を満足するフィルムとなる。
Δnについては、例えば液晶便覧(2000年、丸善株式会社)201頁に詳細な説明がある。このΔnは一般的には温度依存性を示す。本発明においてΔnの測定温度は任意であるが、好ましくはフィルム状態でのΔnは−20℃から120℃の範囲の一定の温度で行われる。
(Re、Rthの測定)
本明細書において、Re(λ)及びRth(λ)は各々、波長λにおける面内のレターデーション及び厚さ方向のレターデーションを表す。Re(λ)はKOBRA 21ADH又はWR(商品名、王子計測機器社製)において波長λnmの光をフィルム法線方向に入射させて測定される。測定波長λnmの選択にあたっては、波長選択フィルターをマニュアルで交換するか、または測定値をプログラム等で変換して測定することができる。
測定されるフィルムが1軸又は2軸の屈折率楕円体で表されるものである場合には、以下の方法によりRth(λ)は算出される。
Rth(λ)は前記Re(λ)を、面内の遅相軸(KOBRA 21ADH又はWRにより判断される)を傾斜軸(回転軸)として(遅相軸がない場合にはフィルム面内の任意の方向を回転軸とする)のフィルム法線方向に対して法線方向から片側50度まで10度ステップで各々その傾斜した方向から波長λnmの光を入射させて全部で6点測定し、その測定されたレターデーション値と平均屈折率の仮定値及び入力された膜厚値を基にKOBRA 21ADH又はWRが算出する。
上記において、法線方向から面内の遅相軸を回転軸として、ある傾斜角度にレターデーションの値がゼロとなる方向をもつフィルムの場合には、その傾斜角度より大きい傾斜角度でのレターデーション値はその符号を負に変更した後、KOBRA 21ADH又はWRが算出する。
なお、遅相軸を傾斜軸(回転軸)として(遅相軸がない場合にはフィルム面内の任意の方向を回転軸とする)、任意の傾斜した2方向からレターデーション値を測定し、その値と平均屈折率の仮定値及び入力された膜厚値を基に、以下の式(21)及び式(22)よりRthを算出することもできる。
Figure 2011207964
式中、Re(θ)は法線方向から角度θ傾斜した方向におけるレターデーション値を表す。nxは面内における遅相軸方向の屈折率を表し、nyは面内においてnxに直交する方向の屈折率を表し、nzはnx及びnyに直交する方向の屈折率を表し、dは層の厚み(nm)である。
測定されるフィルムが1軸や2軸の屈折率楕円体で表現できないもの、いわゆる光学軸(optic axis)がないフィルムの場合には、以下の方法によりRth(λ)は算出される。
Rth(λ)は前記Re(λ)を、面内の遅相軸(KOBRA 21ADH又はWRにより判断される)を傾斜軸(回転軸)としてフィルム法線方向に対して−50度から+50度まで10度ステップで各々その傾斜した方向から波長λnmの光を入射させて11点測定し、その測定されたレターデーション値と平均屈折率の仮定値及び入力された膜厚値を基にKOBRA 21ADH又はWRが算出する。
上記の測定において、平均屈折率の仮定値はポリマーハンドブック(JOHN WILEY&SONS,INC)、各種光学フィルムのカタログの値を使用することができる。平均屈折率の値が既知でないものについてはアッベ屈折計で測定することができる。主な光学フィルムの平均屈折率の値を以下に例示する:セルロースアシレート(1.48)、シクロオレフィンポリマー(1.52)、ポリカーボネート(1.59)、ポリメチルメタクリレート(1.49)、ポリスチレン(1.59)である。これら平均屈折率の仮定値と膜厚を入力することで、KOBRA 21ADH又はWRはnx、ny、nzを算出することができる。
Re(λ)値、Rth(λ)値は、それぞれ、以下の数式(5)、(6)を満たすことが、液晶表示装置、特にVAモード、OCBモード液晶表示装置の視野角を広くするために好ましい。また特にセルロースアシレートフィルムが、偏光板の液晶セル側の保護膜に用いられる場合に好ましい。
数式(5):0nm≦Re(590)≦200nm
数式(6):0nm≦Rth(590)≦400nm
(式中、Re(590)、Rth(590)は、波長λ=590nmにおける値(単位:nm)である。)
さらに好ましくは、以下の数式(5−1)、(6−1)を満たすことである。
数式(5−1):30nm≦Re(590)≦150nm
数式(6−1):30nm≦Rth(590)≦300nm
(式中、Re(590)、Rth(590)は、式(5)、(6)におけると同義である。)
本発明のセルロースアシレートフィルムをVAモード、OCBモードに使用する場合、セルの両側に1枚ずつ合計2枚使用する形態(2枚型)と、セルの上下のいずれか一方の側にのみ使用する形態(1枚型)の2通りがある。
2枚型の場合、Re(590)は20〜100nmが好ましく、30〜70nmがさらに好ましい。Rth(590)については70〜300nmが好ましく、100〜200nmがさらに好ましい。
1枚型の場合、Re(590)は30〜150nmが好ましく、40〜100nmがさらに好ましい。Rth(590)については100〜300nmが好ましく、150〜250nmがさらに好ましい。
(フィルムの透湿度)
本発明のセルロースアシレートフィルムの透湿度は、JIS規格JIS Z 0208をもとに、温度60℃、湿度95%RH(相対湿度)の条件において測定し、膜厚80μmに換算して400〜2000g/m2・24hであることが好ましい。500〜1800g/m2・24hであることがより好ましく、600〜1600g/m2・24hであることが特に好ましい。
透湿度の測定法は、「高分子の物性II」(高分子実験講座4,共立出版)の285頁〜294頁:蒸気透過量の測定(質量法、温度計法、蒸気圧法、吸着量法)に記載の方法を適用することができ、本発明のセルロースアシレートフィルム試料70mmφを25℃、90%RH及び60℃、95%RHでそれぞれ24時間調湿し、透湿試験装置(KK−709007、商品名、東洋精機(株))にて、JIS Z−0208に従って、単位面積あたりの水分量を算出(g/m2)し、透湿度=調湿後質量−調湿前質量で求める。
(フィルムの残留溶剤量)
本発明では、セルロースアシレートフィルム中の残留溶剤量が、0.01〜1.5質量%の範囲となる条件で乾燥することが好ましい。より好ましくは0.01〜1.0質量%である。本発明のセルロースアシレートフィルムを支持体に用いる場合、残留溶剤量を該範囲内とすることでカールをより抑制できる。これは、前述のソルベントキャスト方法による成膜時の残留溶剤量が少なくすることで自由体積が小さくなることが主要な効果要因になるためと思われる。
(フィルムの吸湿膨張係数)
本発明のセルロースアシレートフィルムの吸湿膨張係数は30×10-5/%RH以下とすることが好ましく、15×10-5/%RH以下とすることがより好ましく、10×10-5/%RH以下であることがさらに好ましい。また、下限値は特に定めるものではなく、吸湿膨張係数は小さい方が好ましい傾向にあるが、より好ましくは、1.0×10-5/%RH以上の値である。吸湿膨張係数は、一定温度下において相対湿度を変化させた時の試料の長さの変化量を示す。この吸湿膨張係数を調節することで、本発明のセルロースアシレートフィルムを光学補償フィルム支持体として用いた際、光学補償フィルムの光学補償機能を維持したまま、額縁状の透過率上昇すなわち歪みによる光漏れを防止することができる。
2. 本発明のセルロースアシレートフィルムの用途
本発明のセルロースアシレートフィルムは、種々の用途に用いることができる。例えば、液晶表示装置の位相差フィルム(以下、光学補償フィルム、位相差板とも言う)、偏光板の保護フィルム等に利用することができる。
2.−(1) 位相差フィルム
本発明のセルロースアシレートフィルムは、位相差フィルムとして用いることができる。なお、「位相差フィルムまたは光学補償フィルム」とは、一般に液晶表示装置等の表示装置に用いられ、光学異方性を有する光学材料のことを意味し、光学補償シートなどと同義である。液晶表示装置において、光学補償フィルムは表示画面のコントラストを向上させたり、視野角特性や色味を改善したりする目的で用いられる。
また、本発明のセルロースアシレートフィルムを複数枚積層したり、本発明のセルロースアシレートフィルムと本発明外のフィルムとを積層したりしてReやRthを適宜調整して光学補償フィルムとして用いることもできる。フィルムの積層は、粘着剤や接着剤を用いて実施することができる。
2.−(2) 偏光板
本発明のセルロースアシレートフィルムは、偏光板(本発明の偏光板)の保護フィルムとして用いることができる。本発明の偏光板の一例は、偏光膜とその両面を保護する二枚の偏光板保護フィルム(透明フィルム)からなり、本発明のセルロースアシレートフィルムを少なくとも一方の偏光板保護フィルムとして有する。
本発明のセルロースアシレートフィルムが支持体として利用され、その表面に液晶組成物からなる光学異方性層を有する態様について、偏光板の保護フィルムとして利用する場合は、支持体である本発明のセルロースアシレートフィルムの裏面(光学異方性層が形成されていない側の面)を偏光膜の表面に貼り合せるのが好ましい。
本発明のセルロースアシレートフィルムを前記偏光板保護フィルムとして用いる場合、本発明のセルロースアシレートフィルムには前記表面処理(特開平6−94915号公報、同6−118232号公報にも記載)を施して親水化しておくことが好ましく、例えば、グロー放電処理、コロナ放電処理、又は、アルカリ鹸化処理などを施すことが好ましい。特に、本発明のセルロースアシレートフィルムを構成するセルロースアシレートがセルロースアシレートの場合には、前記表面処理としてはアルカリ鹸化処理が最も好ましく用いられる。
また、前記偏光膜としては、例えば、ポリビニルアルコールフィルムを沃素溶液中に浸漬して延伸したもの等を用いることができる。ポリビニルアルコールフィルムを沃素溶液中に浸漬して延伸した偏光膜を用いる場合、接着剤を用いて偏光膜の両面に本発明の透明セルロースアシレートフィルムの表面処理面を直接貼り合わせることができる。前記セルロースアシレートフィルムが偏光膜と直接貼合されていることが好ましい。前記接着剤としては、ポリビニルアルコール又はポリビニルアセタール(例えば、ポリビニルブチラール)の水溶液や、ビニル系ポリマー(例えば、ポリブチルアクリレート)のラテックスを用いることができる。特に好ましい接着剤は、完全鹸化ポリビニルアルコールの水溶液である。
一般的に、液晶表示装置は二枚の偏光板の間に液晶セルが設けられるため、4枚の偏光板保護フィルムを有する。本発明のセルロースアシレートフィルムは、4枚の偏光板保護フィルムのいずれに用いてもよいが、本発明のセルロースアシレートフィルムは、液晶表示装置における偏光膜と液晶層(液晶セル)の間に配置される保護フィルムとして、特に有用である。また、前記偏光膜を挟んで本発明のセルロースアシレートフィルムの反対側に配置される保護フィルムには、透明ハードコート層、防眩層、反射防止層などを設けることができ、特に液晶表示装置の表示側最表面の偏光板保護フィルムとして好ましく用いられる。
2.−(3) ハードコートフィルム、防眩フィルム、反射防止フィルム
本発明のセルロースアシレートフィルムは、ハードコートフィルム、防眩フィルム、反射防止フィルムへ適用してもよい。LCD、PDP、CRT、EL等のフラットパネルディスプレイの視認性を向上する目的で、本発明の透明セルロースアシレートフィルムの片面又は両面にハードコート層、防眩層、反射防止層の何れか或いは全てを付与して、上記機能性フィルムとして用いることができる。このような防眩フィルム、反射防止フィルムとしての望ましい実施態様は、発明協会公開技報(公技番号2001−1745、2001年3月15日発行、発明協会)54頁〜57頁に詳細に記載されており、本発明のセルロースアシレートフィルムにおいても好ましく用いることができる。
3.液晶表示装置
本発明は、本発明のセルロースアシレートフィルム、それを利用した光学補償フィルム、又は偏光板を有する液晶表示装置にも関する。本発明のセルロースアシレートフィルム等は、様々な表示モードの液晶表示装置に用いることができ、具体的には、TN(Twisted Nematic)、IPS(In-Plane Switching)、FLC(Ferroelectric Liquid Crystal)、AFLC(Anti-ferroelectric Liquid Crystal)、OCB(Optically Compensatory Bend)、STN(Supper Twisted Nematic)、ECB(Electrically Controlled Birefringence)、VA(Vertically Aligned)およびHAN(Hybrid Aligned Nematic)等のモードの液晶表示に用いることができる。これらのモードのうち、本発明のセルロースアシレートフィルム、並びにそれを利用した光学補償フィルム及び偏光板は、特にVAモードの液晶表示装置に好ましく用いられる。これらの液晶表示装置は、透過型、反射型及び半透過型のいずれでもよい。
以下に実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、試薬、物質量とその割合、操作等は本発明の趣旨から逸脱しない限り適宜変更することができる。従って、本発明の範囲は以下の具体例に制限されるものではない。
1. 式(1)のステロール誘導体の準備
[合成例1:例示化合物B−C4の合成例]
100mLの3系フラスコにトルエン(20mL)、ピリジン(0.8mL,9.88mmol)、ブタノール(0.82mL、8.9mmol)を加え、室温にて10分間攪拌した。その後、反応溶液を0℃まで下げ、クロロギ酸コレステロール(4g、8.9mmol)のトルエン溶液(10mL)を5分間かけて滴下した。1時間攪拌した後、ヘキサン、水を滴下し、反応を停止した。分液ロートにて水相を除去した後、有機相を濃縮し、メタノールから再結晶することで例示化合物B−C4を3.91g(96%)で得た。
Figure 2011207964
1H NMRにより同定した。結果を以下に示す。
1H NMR (300 MHz, CDCL3) (96%): 5.40 (d, 1H), 4.57-4.52 (m, 1H), 4.12 (t, 2H), 2.47-2.3 (m, 2H), 2.05-0.85 (45H), 0.68 (s, 3H).
[合成例2:例示化合物B−C3の合成例]
上記合成例1において、ブタノールをプロパノールにかえた以外は、同様にして反応を進行させて、例示化合物B−C3を合成した。収率は92%であった。
Figure 2011207964
1H NMRにより同定した。結果を以下に示す。
1H NMR (300 MHz, CDCL3): (92%): 5.40 (d, 1H), 4.57-4.52 (m, 1H), 4.12 (t, 2H), 2.47-2.3 (m, 2H), 2.05-0.85 (43H), 0.68 (s, 3H).
[合成例3:例示化合物B−C7の合成例]
上記合成例1において、ブタノールをヘプタノールにかえた以外は、同様にして反応を進行させて、例示化合物B−C7を合成した。収率は95%であった。
Figure 2011207964
1H NMRにより同定した。結果を以下に示す。
1H NMR (300 MHz, CDCL3): 5.40 (d, 1H), 4.57-4.52 (m, 1H), 4.12 (t, 2H), 2.47-2.3 (m, 2H), 2.05-0.85 (44H), 0.68 (s, 3H).
[合成例4:例示化合物B−2の合成例]
合成例1において、ブタノールを2−エトキシエタノールにかえた以外は、同様にして、反応を進行させて、例示化合物B−2を合成した。収率は94%であった。
Figure 2011207964
1H NMRにより同定した。結果を以下に示す。
1H NMR (300 MHz, CDCL3) : 5.39 (d, 1H), 4.53-4.43 (m, 1H), 4.28-4.25 (m, 2H), 3.67-3.65 (m, 1H), 3.53 (q, 2H), 3.32 (s, 3H) 2.45-2.3 (3H), 2.05-0.85 (m, 38H), 0.68 (s, 3H).
[合成例5:例示化合物B−1の合成例]
合成例1において、ブタノールを1,2−エタンジオールにかえた以外は、同様にして、反応を進行させて、例示化合物B−1を合成した。収率は92%であった。
Figure 2011207964
1H NMRにより同定した。結果を以下に示す。
1H NMR (300 MHz, CDCL3) : 7.99-7.95 (m, 1H), 7.9-7.86 (m, 1H), 7.75 (d, 1H), 7.56-7.44 (m, 3H), 7.37-7.34 (m, 1H), 5.42 (d, 1H), 4.68-4.57 (m, 1H), 2.6-2.5 (m, 3H), 2.05-0.85 (m, 37H), 0.68 (s, 3H).
下記例示化合物A−C8及びA−Phについては、市販品(東京化成製)を用いた。
Figure 2011207964
[合成例6:例示化合物A−C3の合成例]
100mLの3系フラスコにテトラヒドロフラン溶液(20mL)、コレステロール(4g、10.3mmol)、ピリジン(1.0mL、12.4mmol)を加え、室温にて10分間攪拌した。反応液を0℃まで下げ、ブチリルクロリド(1.28mL、12.4mmol)を5分間かけて滴下した。室温まで昇温し、1時間攪拌した後、ヘキサン、水を滴下し、反応を停止した。分液ロートにて水相を除去した後、有機相を濃縮し、メタノールから再結晶することで例示化合物A−C3を4.24g(96%)で得た。
Figure 2011207964
1H NMRにより同定した。結果を以下に示す。
1H NMR (300 MHz, CDCL3) : 5.40 (d, 1H), 4.57-4.52 (m, 1H), 4.12 (t, 2H), 2.47-2.3 (m, 2H), 2.04-0.85 (m, 48H), 0.68 (s, 3H).
[合成例7:例示化合物A−C7の合成例]
合成例6において、ブチリルクロリドをオクタノイルクロリドにかえた以外は、同様にして反応を進行させて、例示化合物A−C7を合成した。収率は95%であった。
Figure 2011207964
1H NMRにより同定した。結果を以下に示す。
1H NMR (300 MHz, CDCL3): 5.40 (d, 1H), 4.57-4.52 (m, 1H), 4.12 (t, 2H), 2.47-2.3 (m, 2H), 2.05-0.85 (51H), 0.68 (s, 3H).
[合成例8:例示化合物B−3の合成例]
合成例1において、ブタノールをパラ-メトキシフェノールにかえた以外は同様にして反応を進行させて、例示化合物B−3を得た。収率は90%であった。
Figure 2011207964
1H NMRにより同定した。結果を以下に示す。
1H NMR (300 MHz, CDCL3): 8.0 (d, 2H), 6.88 (d, 2H), 5.40 (d, 1H), 4.9-4.75 (m, 1H), 3.85 (s, 3H), 2.5-2.4 (m, 2H), 2.05-0.85 (38H), 0.68 (s, 3H).
[合成例9:例示化合物A−4の合成例]
合成例6において、ブタノールをパラ-シアノ安息香酸にかえた以外は同様にして反応を進行させて、例示化合物A−4を得た。収率は89%であった。
Figure 2011207964
1H NMRにより同定した。結果を以下に示す。
1H NMR (300 MHz, CDCL3): 8.1 (d, 2H), 7.7 (d, 2H), 5.42 (d, 1H), 4.9-4.75 (m, 1H), 2.45 (d, 2H), 2.05-0.85 (38H), 0.68 (s, 3H).
[合成例10:例示化合物A−7の合成例]
合成例6において、ブチリルクロリドを1−ナフトイルクロリドにかえた以外は同様にして反応を進行させて、例示化合物A−7を得た。収率は90%であった。
Figure 2011207964
1H NMRにより同定した。結果を以下に示す。
1H NMR (300 MHz, CDCL3): 8.9 (d, 1H), 8.15 (d, 1H), 8.0 (d, 1H), 7.85 (d, 1H), 7.62-7.45 (m, 3H), 5.47 (d, 1H), 5.02-4.92 (m, 1H), 2.6-2.5 (m, 2H), 2.1-0.85 (38H), 0.68 (s, 3H).
[合成例11:例示化合物A−9の合成例]
合成例6において、ブチリルクロリドを2−ナフトイルクロリドにかえた以外は同様にして反応を進行させて、例示化合物A−9を得た。収率は89%であった。
Figure 2011207964
1H NMRにより同定した。結果を以下に示す。
1H NMR (300 MHz, CDCL3): 8.6 (d, 1H), 8.1-7.87 (m, 4H), 7.62-7.5 (m, 2H), 5.45 (d, 1H), 5.02-4.88 (m, 1H), 2.6-2.5 (m, 2H), 2.1-0.85 (28H), 0.68 (s, 3H).
[合成例12:例示化合物A−8の合成例]
合成例6において、ブチリルクロリドを3,4,5−トリメチキシベンゾイルクロリドにかえた以外は同様にして反応を進行させて、例示化合物A−8を得た。収率は94%であった。
Figure 2011207964
1H NMRにより同定した。結果を以下に示す。
1H NMR (300 MHz, CDCL3): 7.28 (d, 2H), 5.45 (d, 1H), 4.88-4.79 (m, 1H), 3.89 (d, 9H), 2.5-2.46 (m, 2H), 2.05-0.85 (38H), 0.68 (s, 3H).
[合成例13:例示化合物A−6の合成例]
合成例6において、ブチリルクロリドをイソニコチノイルクロリドにかえた以外は同様にして反応を進行させて、例示化合物A−6を得た。収率は90%であった。
Figure 2011207964
1H NMRにより同定した。結果を以下に示す。
1H NMR (300 MHz, CDCL3): 8.74 (d, 2H), 7.81 (d, 2H), 5.45 (d, 1H), 2.5-2.46 (m, 2H), 2.05-0.85 (39H), 0.68 (s, 3H).
[合成例14:例示化合物C−Ph1の合成例]
100mLの3系フラスコにトルエン溶液(20mL)、2−メトキシ−5−ニトロアニリン(1.646g、9.8mmol)、ピリジン(0.8mL、9.9mmol)を加え、室温にて10分間攪拌した。反応液を0℃まで下げ、クロロギ酸コレステロール(4g、8.9mmol)を5分間かけて滴下した。室温まで昇温し、1時間攪拌した後、デカンテーションを行った。得られた固形物を水、メタノールで洗浄し、塩化メチレンに溶解させた。この溶液にメタノールを滴下し、結晶を析出させ、例示化合物C−Ph1を4.4g(90%)で得た。
Figure 2011207964
1H NMRにより同定した。結果を以下に示す。
1H NMR (300 MHz, CDCL3): 9.0 (1H), 7.94 (d, 1H), 7.27 (d, 1H), 6.89 (d, 1H), 5.42 (d, 1H), 4.72-4.57 (m, 1H), 4.12 (s, 3H), 2.47-2.3 (m, 2H), 2.05-0.85 (38H), 0.68 (s, 3H).
[合成例15:例示化合物C−Ph2の合成例]
合成例14において、2−メトキシ−5−ニトロアニリンをp-メトキシアニリンにかえた以外は、同様にして反応を進行させて、例示化合物C−Ph2を合成した。収率は89%であった。
Figure 2011207964
1H NMRにより同定した。結果を以下に示す。
1H NMR (300 MHz, CDCL3): 7.3-7.2 (m, 2H), 6.88-6.8 (2H), 6.6-6.5 (d, 1H), 5.38 (d, 1H), 4.72-4.57 (m, 1H), 3.78 (s, 3H), 2.47-2.3 (m, 2H), 2.05-0.85 (38H), 0.68 (s, 3H).
[合成例16:例示化合物C−Phの合成例]
合成例14において、2−メトキシ−5−ニトロアニリンをアニリンにかえた以外は、同様にして反応を進行させて、例示化合物C−Phを合成した。収率は91%であった。
Figure 2011207964
1H NMRにより同定した。結果を以下に示す。
1H NMR (300 MHz, CDCL3): 7.4-7.2 (m, 4H), 7.0 (t, 2H), 6.55 (s, 1H), 5.42-5.35 (1H), 4.64-4.48 (m, 1H), 3.78 (s, 3H), 2.47-2.3 (m, 2H), 2.05-0.85 (34H), 0.68 (s, 3H).
2.セルロースアシレートフィルムの作製と評価
後述する方法で、セルロースアシレートフィルムを作製し、評価した。
用いた可塑剤、及び添加剤の構造を下記に示す。
Figure 2011207964
Figure 2011207964
また、セルロースアシレートとしては、以下のセルロースアシレートを用いた。
Figure 2011207964
(Re、Rthの測定)
すべての作製したセルロースアシレートフィルムについて、波長450nm、550nm、630nmにおけるRe値を、KOBRA 21ADH(商品名、王子計測機器社製)において各波長の光をフィルム法線方向に入射させて測定した。表中、ReおよびRthは波長550nmにおける値(nm)である。また、Reの波長分散性として、ΔReを示したが、ΔRe=Re(630)−Re(450)であり、値が大きいほど逆波長分散性が強いことを示す。
2.−(1) 実施例1
セルロースアシレートフィルムNo.101の作製:
・ドープ調製
下記の組成の各成分をミキシングタンクに投入し、加熱しながら攪拌して、各成分を溶解し、セルロースアシレート溶液を調製した。
(セルロースアシレート溶液)
全置換度2.92のセルロースアシレート(C−1) 100質量部
糖誘導体1(可塑剤) 3.6質量部
メチレンクロライド(第1溶媒) 414質量部
メタノール(第2溶媒) 62質量部
別のミキシングタンクに、下記組成の各成分を投入し、加熱しながら攪拌して、各成分を溶解し、レターデーション発現剤溶液を調製した。
(レターデーション発現剤溶液)
一般式(1)で表されるステロール誘導体(表中に記載) 12.0質量部
メチレンクロライド 87質量部
メタノール 13質量部
上記セルロースアシレート溶液を100質量部、更にセルロースアシレートフィルム中のレターデーション発現剤がセルロースアシレート100質量部当たり、式(1)の例示化合物が1質量部となる量のレターデーション発現剤溶液を混合し、製膜用ドープを調製した。
・流延
上述のドープをガラス板流延装置を用いて流延した。給気温度70℃の温風で6分間乾燥し、ガラス板から剥ぎ取ったフィルムを枠に固定し、給気温度100℃の温風で10分間、給気温度140℃の温風で20分間乾燥し、膜厚60μmのセルロースアシレートフィルムを製造した。
次に、得られたフィルムを175℃の条件で20%の延伸倍率まで、30%/分の延伸速度で横延伸した。出来上がったセルロースアシレートフィルムの、膜厚は52μmであった。このフィルムをフィルム101とした。
フィルムNo.102〜103の作製:
フィルム101のレターデーション発現剤溶液を下記表に示す組成となるように、セルロースの種類、化合物の種類と添加量を調整し、フィルム101と同様に製膜・延伸を行いフィルム102〜103を作製した。また、以下の表中の添加量(質量部)はセルロースアシレート100質量部に対する値である。
作製した各フィルムについて、Re及びRthを測定し、結果を下記表に示した。膜厚50μmに換算した値を示した。
なお、Re発現性の欄の「◎」は、Re>10nmを意味し、「○」は、Reが6〜10nmを意味し、「△」は、Reが1〜5nm を意味し、「×」は 0nm以下を意味する。
Figure 2011207964
フィルム103は、特開2002−322294号公報に記載の実施例1に記載の試料1−17の作製に用いられている、コレステロール誘導体および可塑剤を用いて作製したフィルムである。
上記表に示す結果から、フィルム103では、Re発現性が不十分であるが、糖可塑剤1を用いたフィルムNo.102ではRe発現性が向上していることが理解できる。これは、可塑剤が親水的になったことで、ステロール誘導体の光学発現性が向上したためと考えられる。また、フィルムNo.101でも同様に良好なRe発現性が達成された。
2.−(2) 実施例2
セルロースアシレートフィルムの作製:
実施例1と同様にして、ドープ溶液を調製し、フィルム101と同様に製膜・延伸を行いフィルムNo.200〜212を作製した。用いた添加剤の種類と添加量を下記表に示した。
作製した各フィルムについて、Re及びRthを測定し、結果を下記表に示した。膜厚50μmに換算した値を示した。
Re発現性については、添加剤を添加しないフィルムNo.100及び200それぞれのReとの差から、下記の基準で評価した。C→B→Aの順で、Re発現性に優れていることを意味する。
Re発現性:
A: 10nm超え
B: 5〜10nm
C: 添加剤発現分 5nm未満
また、Re逆分散性の評価については、Re(630)−Re(450)の値を基準に以下の通り評価した。C→B→Aの順で、Re逆分散性に優れていることを意味する。
Re逆分散性:
A: Re(630)−Re(450)の値がNo.300よりも大きい
B: Re(630)−Re(450)の値がNo.300よりも小さい(差が0〜3nm)
C: Re(630)−Re(450)の値がNo.300よりも3nm未満
Figure 2011207964
フィルムNo.202とNo.211を比較すると、同一のステロール誘導体A−Phを含有しているにも係らず、糖可塑剤を含有するフィルムNo.202は、リン系可塑剤を含有するフィルムNo.211と比較してRe発現性が向上していることがわかる。
また、フィルムNo.201、202及び203はいずれも同一のステロール誘導体A−Phを含有しているが、フィルムNo.202は、添加量が好ましい範囲となっているので、Re発現性が特に優れていた。フィルムNo.201は、添加量が好ましい範囲未満であったので、Re発現性が若干劣り、一方、フィルムNo.203は、添加量が多すぎたので、同様の製造条件では、白化が生じてしまった。但し、製造条件を調整することで、フィルムNo.201及び203も好ましい特性のフィルムとなるであろう。
また、公知の比較化合物(1)を、ステロール誘導体のかわりに含有するフィルムNo.212と比較して、ステロール誘導体を含有するフィルムは、Re(630)−Re(450)が大きく、Reの逆分散性も良好である。
2.−(3) 実施例3
セルロースアシレートフィルムの作製:
実施例1と同様にして、ドープ溶液を調製し、フィルム101と同様に製膜・延伸を行いフィルムNo.220〜226を作製した。用いた添加剤の種類と添加量を下記表に示した。
作製した各フィルムについて、Re及びRthを測定し、結果を下記表に示した。膜厚50μmに換算した値を示した。
Re発現性及びRe逆分散性について、上記と同様にして評価した。
Figure 2011207964
上記表中のステロール誘導体の例示化合物の分子量は、A−Ph:分子量490.8、A−C3:分子量456.7、A−11:分子量649.0、である。フィルムNo.221、222、及び223を比較すると、ステロール誘導体の分子量が600以下である、A−Ph及びA−C3をそれぞれ用いると、分子量が600を超えているA−11を用いた例と比較して、Re発現性が優れていることが理解できる。
また、上記表中に示す通り、表中のステロール誘導体の例示化合物のうち、D−2以外は、10℃〜300℃の温度範囲において液晶性を示した。この温度範囲で液晶性のあるステロール誘導体を用いたほうが、この温度範囲で液晶性ではないステロール誘導体を用いるよりも、高いRe発現性を達成できることが理解できる。
2.−(4) 実施例4
セルロースアシレートフィルムNo.301の作製:
・ドープ調製
下記セルロースアシレート溶液組成の各成分を混合し、攪拌して、各成分を溶解し、製膜用ドープを調製した。
(セルロースアアシレート溶液)
全置換度2.41のセルロースアシレート 100質量部
添加剤(下記表に記載) 下記表に記載の量(単位 質量部)
メチレンクロライド(第1溶媒) 396質量部
メタノール(第2溶媒) 59質量部
・流延
上述のドープをガラス板流延装置を用いて流延した。給気温度70℃の温風で6分間乾燥し、ガラス板から剥ぎ取ったフィルムを枠に固定し、給気温度100℃の温風で10分間、給気温度140℃の温風で20分間乾燥し、膜厚60μmのセルロースアシレートフィルムを製造した。
次に、得られたフィルムを200℃の条件で30%の延伸倍率まで横延伸した。出来上がったセルロースアシレートフィルムの膜厚は51μmであった。このフィルムをフィルムNo.301とした。
フィルムNo.300、302〜305の作製:
フィルムNo.301と同様に製膜・延伸を行いフィルムNo.300、302〜305を作製した。
作製した各フィルムについて、Re及びRthを測定し、結果を下記表に示した。膜厚50μmに換算した値を示した。
Re発現性及びRe逆分散性について、上記と同様にして評価した。
Figure 2011207964
上記表に示す結果から明らかなように、ステロール誘導体を含有する本発明の実施例のフィルムNo.302〜305は、いずれも従来公知のRe発現剤である比較化合物(1)を含有する比較例のフィルム301と比較して、Re発現性が同等以上であり、しかもRe逆波長分散性に優れていた。
また、フィルムNo.302の作製において、添加剤として、コレステロール誘導体A−6を、コール酸誘導体CA−10及びCA−Ac−10にそれぞれ代えた以外は、同様にして、フィルムをそれぞれ作製し、評価した。いずれも添加剤を添加しないフィルムNo.300に比べてReが上昇するものの、コレステロール誘導体を用いたフィルムNo.302〜305と比較して、発現性が若干劣っていた。
2.−(5) 実施例5
セルロースアシレートフィルムNo.401の作製:
・ドープ調製
下記セルロースアセテートプロピオネート溶液組成の各成分を混合し、加熱しながら攪拌して、各成分を溶解し、製膜用ドープを調製した。
(セルロースアセテートプロピオネート溶液)
セルロースアセテートプロピオネート 100質量部
可塑剤(下記表に記載) 下記表に記載の量(単位 質量部)
添加剤(下記表に記載) 下記表に記載の量(単位 質量部)
メチレンクロライド(第1溶媒) 316質量部
エタノール(第2溶媒) 59質量部
・流延
上述のドープをガラス板流延装置を用いて流延した。給気温度70℃の温風で6分間乾燥し、ガラス板から剥ぎ取ったフィルムを枠に固定し、給気温度100℃の温風で10分間、給気温度140℃の温風で20分間乾燥し、膜厚60μmのセルロースアシレートフィルムを製造した。
次に、得られたフィルムを180℃の条件で30%の延伸倍率まで横延伸した。出来上がったセルロースアシレートフィルムの膜厚は50μmであった。このフィルムをフィルムNo.401とした。
フィルムNo.400、402〜405の作製)
添加剤の種類・量を代えた以外は、フィルムNo.401と同様にして、製膜・延伸を行いフィルムNo.400、402〜405をそれぞれ作製した。なお、フィルムNo.400は添加剤を加えないこと以外は同様にして製造されたフィルムである。
作製した各フィルムについて、Re及びRthを測定し、結果を下記表に示した。膜厚50μmに換算した値を示した。
Re発現性及びRe逆分散性について、上記と同様にして評価した。
Figure 2011207964
上記表に示す結果から明らかなように、ステロール誘導体を含有する本発明の実施例のフィルムNo.402〜405は、いずれも従来公知のRe発現剤である比較化合物(1)を含有する比較例のフィルム401と比較して、Re発現性が同等以上であり、しかもRe逆波長分散性に優れていた。
2.−(6) 実施例6
セルロースアシレートフィルムNo.501〜514及びNo.521〜524の作製:
添加剤の種類・量を代えた以外は、実施例1と同様にして、ドープ溶液を調製し、フィルムNo.101と同様に製膜・延伸を行い、フィルムNo.501〜514、及びNo.521〜524をそれぞれ作製した。用いた添加剤の種類と添加量は下記表に示した。
作製した各フィルムについて、Re及びRthを測定し、結果を下記表に示した。膜厚50μmに換算した値を示した。
Re発現性及びRe逆分散性について、上記と同様にして評価した。
Figure 2011207964
Figure 2011207964
上記表に示す結果から、ステロール誘導体とともに、式(A−1)で表される低分子化合物(A)(添加剤Re−1〜Re−3)を併用することで、さらにRe発現性、及びRe逆波長分散性が改善されることが理解できる。
3. 偏光板及び液晶表示装置の作製と評価
偏光板の作製:
延伸したポリビニルアルコールフィルムにヨウ素を吸着させて偏光膜を作製した。
上記で作製したセルロースアシレートフィルムNo.512及び513のそれぞれをポリビニルアルコール系接着剤を用いて、偏光膜の片側に貼り付けた。なお、ケン化処理は以下のような条件で行った。
1.5モル/リットルの水酸化ナトリウム水溶液を調製し、55℃に保温した。0.01モル/リットルの希硫酸水溶液を調製し、35℃に保温した。作製したセルロースアシレートフィルムを上記の水酸化ナトリウム水溶液に2分間浸漬した後、水に浸漬し水酸化ナトリウム水溶液を十分に洗い流した。次いで、上記の希硫酸水溶液に1分間浸漬した後、水に浸漬し希硫酸水溶液を十分に洗い流した。最後に試料を120℃で十分に乾燥させた。
市販のセルローストリアシレートフィルム(フジタックTD80UF、商品名、富士フィルム社製)にケン化処理を行い、ポリビニルアルコール系接着剤を用いて、偏光子の反対側に貼り付け、70℃で10分以上乾燥した。
偏光膜の透過軸と上記作製したセルロースアシレートフィルムNo.512及び513それぞれの遅相軸とが平行になるように配置した。偏光膜の透過軸と市販のセルローストリアシレートフィルムの遅相軸とは直交するように配置した。
この様にして、セルロースアシレートフィルムNo.512及び513それぞれを、偏光板の片側保護フィルムとして有する偏光板を作製した。
液晶セルの作製:
液晶セルは、基板間のセルギャップを3.6μmとし、負の誘電率異方性を有する液晶材料(「MLC6608」、商品名、メルク社製)を基板間に滴下注入して封入し、基板間に液晶層を形成して作製した。液晶層のレターデーション(即ち、液晶層の厚さd(μm)と屈折率異方性Δnとの積Δn・d)を300nmとした。なお、液晶材料は垂直配向するように配向させた。
上記の垂直配向型液晶セルを使用した液晶表示装置の上側偏光板(観察者側)および下側偏光板(バックライト側)には、上記実施例で作製したフィルムNo.512及び513をそれぞれ備えた同一の偏光板を、当該セルロースアシレートフィルムが液晶セル側となるように設置した。上側偏光板および下側偏光板は粘着剤を介して液晶セルに貼りつけた。上側偏光板の透過軸が上下方向に、そして下側偏光板の透過軸が左右方向になるように、クロスニコル配置とした。
液晶セルに55Hzの矩形波電圧を印加した。白表示5V、黒表示0Vのノーマリーブラックモードとした。黒表示の方位角45度、極角60度方向視野角における黒表示及び、方位角45度極角60度と方位角180度極角60度との色ずれを観察した。
フィルムNo.512及び513をそれぞれ有する偏光板を備えた二つの液晶表示装置を観察した結果、正面方向および視野角方向のいずれにおいても、ニュートラルな黒表示を実現できることを確認できた。

Claims (16)

  1. 少なくとも1種のセルロースアシレートと、下記式(1)で表される少なくとも1種のステロール誘導体と、少なくとも1種の糖誘導体及び/又は少なくとも1種のオリゴマー可塑剤とを含むセルロースアシレートフィルム:
    Figure 2011207964
    式中、R1、R2及びR3はそれぞれ、水素原子、ヒドロキシル基又は−L−R*で表される置換基を表し、但し、少なくとも一つは−L−R*で表される置換基を表し;Lは、単結合又は−O−、−CO−、−CONR6−(R6は炭素数1〜7のアルキル基又は水素原子である)、―CH2−、及びそれらの組み合わせからなる群より選ばれる2価の連結基を表し;R*は、置換もしくは無置換の、芳香環基、ヘテロ環基、又はアルキル基(但し、アルキル基中の1つのCH2、又は隣接していない2つ以上のCH2は酸素原子で置換されていてもよい)を表し;R4は、カルボキシル基、又は−CHR7−CH(CH32(R7は、炭素原子数1もしくは2のアルキル基、又は水素原子である)を表し、R4が表すカルボキシル基は、L−R*で置換されてもよく;R5は水素原子又はメチル基を表し;式中の破線と実線との組合せは、単結合及び二重結合のいずれであってもよいことを意味する。
  2. 前記少なくとも1種のステロール誘導体が、コレステロール誘導体、シトステロール誘導体、スチグマステロール誘導体、カンペステロール誘導体、ブラシカステロール誘導体、エルゴステロール誘導体、コール酸誘導体、デオキシコール酸誘導体、ケノデオキシコール酸誘導体、又はリトコール酸誘導体である請求項1に記載のセルロースアシレートフィルム。
  3. 前記少なくとも1種のステロール誘導体が、コレステロール誘導体である請求項1に記載のセルロースアシレートフィルム。
  4. 前記少なくとも1種のステロール誘導体が、下記式(1a)で表される化合物である請求項1又は2に記載のセルロースアシレートフィルム:
    Figure 2011207964
    式(1a)中、L、R*、R4及びR5については、式(1)中のそれぞれと同義であり;R3a及びR2aは、水素原子又はヒドロキシ基を表す。
  5. 前記少なくとも1種のステロール誘導体が、下記式(1b)で表される化合物である請求項1〜4のいずれか1項に記載のセルロースアシレートフィルム:
    Figure 2011207964
    式(1b)中、L、R*、及びR5については、式(1)中のそれぞれと同義である。
  6. 前記ステロール誘導体の分子量が600以下であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のセルロースアシレートフィルム。
  7. 前記少なくとも1種のステロール誘導体が、10℃〜300℃の温度範囲のいずれかで液晶相となる請求項1〜5のいずれか1項に記載のセルロースアシレートフィルム。
  8. 前記少なくとも1種のステロール誘導体を、全質量に対して0.1〜50質量%含有する請求項1〜7のいずれか1項に記載のセルロースアシレートフィルム。
  9. 下記式(1)〜(3)を満足する請求項1〜8のいずれか1項に記載のセルロースアシレートフィルム。
    (1): Δn(550nm)> 0
    (2): 1>|Δn(450nm)/Δn(550nm)|
    (3): 1<|Δn(630nm)/Δn(550nm)|
  10. 前記少なくとも1種のセルロースアシレートが、セルロース骨格のヒドロキシ基の水素原子が実質的にアセチル基のみによって置換されたセルロースアシレートであり、その全置換度が2.00〜3.00であることを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載のセルロースアシレートフィルム。
  11. 前記少なくとも1種のセルロースアシレートが、セルロース骨格のヒドロキシ基の水素原子が、実質的にアセチル基、プロピオニル基及びブタノイル基からなる群から選ばれる少なくとも2種類で置換されたセルロースアシレートであり、その全置換度が2.00〜3.00であることを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載のセルロースアシレートフィルム。
  12. 延伸処理及び/又は収縮処理されてなる請求項1〜11のいずれか1項に記載のセルロースアシレートフィルム。
  13. 請求項1〜12のいずれか1項に記載のセルロースアシレートフィルムからなる位相差板。
  14. 請求項1〜13のいずれか1項に記載のセルロースアシレートフィルムと、偏光子とを少なくとも有する偏光板。
  15. 請求項13に記載の位相差板及び/又は請求項14に記載の偏光板を有する液晶表示装置。
  16. VAモードである請求項15に記載の液晶表示装置。
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