JP3932543B2 - ポリアミック酸、ポリイミドおよび液晶配向剤 - Google Patents
ポリアミック酸、ポリイミドおよび液晶配向剤 Download PDFInfo
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、新規なポリアミック酸および新規なポリイミド並びにこれらの少なくとも一方を含有する液晶配向剤に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、正の誘電異方性を有するネマチック型液晶を、ポリイミドなどからなる液晶配向膜を有する透明電極付き基板でサンドイッチ構造にし、液晶分子の長軸が基板間で90度連続的に捻れるようにしてなるTN(Twisted Nematic)型液晶セルを有する液晶表示素子(TN型液晶表示素子)が知られている。このTN型液晶表示素子における液晶の配向は、ラビング処理が施された液晶配向膜により形成されている。
【0003】
また最近では、コントラストおよび視角依存性に優れた液晶表示素子であるSTN(Super Twisted Nematic)型液晶表示素子や、垂直配向型液晶表示素子が開発されている。STN型液晶表示素子は、液晶としてネマチック型液晶に光学活性物質であるカイラル剤をブレンドしたものを用い、液晶分子の長軸を基板間で180度以上連続的に捻ることにより生じる複屈折効果を利用するものである。また、垂直配向型液晶表示素子は、例えば、液晶分子の誘電異方性が負の液晶を垂直配向させ、電圧印加により分子を倒して単純マトリックス駆動で動作させるものである。
【0004】
しかしながら、従来知られているポリイミドなどからなる液晶配向膜を用いてSTN型液晶表示素子を作製した場合、液晶配向膜のプレチルト角が小さいため、液晶を基板間で180度以上捻ることができず、所要の表示機能を得ることは困難である。このため、STN型液晶表示素子においては、液晶を配向させるために、二酸化ケイ素を斜方蒸着して形成した液晶配向膜を用いる必要があるが、この配向膜は製造工程が煩雑で大量生産には適さないという問題がある。また、垂直配向型液晶表示素子は、液晶を垂直配向させるために、二酸化ケイ素を斜方蒸着して形成した基板を用いたり、基板をフッ素系の界面活性剤や長鎖アルキル基を有するカップリング剤で処理することが必要であるが、界面活性剤やカップリング剤を用いる場合には信頼性が乏しくなるという問題がある。
【0005】
また、TN型液晶表示素子においても、液晶セル駆動時のリバースチルト現象による表示不良を抑制するために、高いプレチルト角を有する液晶配向膜が望まれるようになってきた。
【0006】
従来、高いプレチルト角を発現するためにポリイミド末端部、ジアミン構造側鎖部への長鎖アルキル基の導入が一般的に行われてきた。しかし、この長鎖アルキル基で修飾したポリイミド配向膜は、プレチルト角の工程安定性に欠けるといった問題がある。そのため、特に、STN型液晶表示素子はその原理上、膜厚ムラ、ラビングムラなどから生じるプレチルト角のバラツキが表示ムラとなって現れるために、プレチルト角発現の工程マージンの広い材料が必要である。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の第1の目的は、液晶配向剤として有用である新規なポリアミック酸を提供することにある。
本発明の第2の目的は、液晶配向剤として有用である新規なポリイミドを提供することにある。
【0008】
本発明の第3の目的は、液晶配向膜としたとき、液晶の配向性が良好で、プレチルト角が大きく、かつ膜厚、ラビング条件などの液晶表示素子の製造工程条件に対するプレチルト角の依存性が小さい液晶配向剤を提供することにある。
本発明の第4の目的は、良好な配向特性を発現することができるとともに、液晶表示素子において電圧の印加を解除してから残像が消去されるまでの時間(以下、「残像消去時間」という。)の短い液晶配向膜を形成することができる液晶配向剤を提供することにある。
本発明のさらに他の目的および利点は、以下の説明から明らかになろう。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、本発明の上記目的および利点は、第1に、
下記式(I)
【化3】
ここで、R1は炭素数5〜30のアルキル基および炭素数1〜30のフルオロアルキル基よりなる群から選ばれる1価の有機基であり、Xは単結合または−O−であり、R2 は水素原子であり、R3 は水素原子またはメチル基であり、aは1〜3の整数でありそしてbは1の整数である、
で表される少なくとも1種の化合物を含有するテトラカルボン酸二無水物と、下記式(II)
【化4】
ここで、R4は二価の芳香族基、脂肪族基または脂環族基である、
で表されるジアミン化合物とから得られるポリアミック酸によって達成される。
また、本発明によれば、第2に、上記のポリアミック酸を脱水閉環させて得られるポリイミドが提供され、さらに第3に、上記のポリアミック酸および/または上記のポリイミドを含有することを特徴とする液晶配向膜が提供される。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳細に説明する。
<(a−1)ポリアミック酸>
本発明のポリアミック酸は、上記式(I)で表される化合物(以下、「特定テトラカルボン酸二無水物」という。)の少なくとも1種を含むテトラカルボン酸二無水物とジアミン化合物とを反応させることにより調製することができる。
特定テトラカルボン酸二無水物は、下記式(III)
【0011】
【化5】
【0012】
ここで、R1は炭素数5〜30のアルキル基および炭素数1〜30のフルオロアルキル基よりなる群から選ばれる1価の有機基であり、Xは単結合または−O−であり、R2 は水素原子であり、R3 は水素原子またはメチル基であり、aは1〜3の整数でありそしてbは1の整数である、
【0013】
で表されるスチレン誘導体と、無水マレイン酸とをディールス−アルダー反応させ、反応生成物をさらに無水マレイン酸とエン反応させることによって合成することができる。
【0014】
炭素数5〜30のアルキル基は直鎖状および分岐鎖状のいずれであってもよく、例えばペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、ヘキサデシル基、ステアリル基、ニイコシル基、ドコシル基、ヘキサコシル基およびトリアコンチル基を挙げることができる。これらのうち、炭素数14〜20のアルキル基が好ましい。
【0015】
炭素数1〜30のフルオロアルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、i−ブチル基、t−ブチル基および上記の如き炭素数5〜30のアルキル基が上記の如くフッ素原子で置換された基を挙げることができる。これらのうち、炭素数1〜6のフルオロアルキル基が望ましい。
【0019】
特定テトラカルボン酸二無水物の具体例としては、下記式(1)〜(6)および(8)〜(13)で表される化合物を挙げることができる。
【0020】
【化7】
【0021】
例えば、式(1)で表される化合物は、スチレン誘導体として4−ステアリルオキシスチレンを用い、下記の反応式Aに従って合成される。
【0022】
【化8】
【0023】
なお、ポリアミック酸の合成反応に供されるテトラカルボン酸二無水物として、特定テトラカルボン酸二無水物以外の他のテトラカルボン酸二無水物を本発明による効果が損なわれない範囲において併用することも可能である。ここで、合成反応に供されるテトラカルボン酸二無水物中に占める特定テトラカルボン酸二無水物の割合は0.1〜100モル%が好ましく、特に好ましい割合は、TN型およびSTN型液晶表示素子においては5〜30モル%、垂直配向型液晶表示素子においては30〜100モル%である。
【0024】
併用することのできる他のテトラカルボン酸二無水物としては、例えばブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2−ジメチル−1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,3−ジメチル−1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,3−ジクロロ−1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−テトラメチル−1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,4,5−シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ジシクロヘキシルテトラカルボン酸二無水物、2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物、3,5,6−トリカルボキシノルボルナン−2−酢酸二無水物、2,3,4,5−テトラヒドロフランテトラカルボン酸二無水物、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−5(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]−フラン−1,3−ジオン、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−5−メチル−5(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]−フラン−1,3−ジオン、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−5−エチル−5(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]−フラン−1,3−ジオン、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−7−メチル−5(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]−フラン−1,3−ジオン、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−7−エチル−5(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]−フラン−1,3−ジオン、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−8−メチル−5(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]−フラン−1,3−ジオン、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−8−エチル−5(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]−フラン−1,3−ジオン、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−5,8−ジメチル−5(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]−フラン−1,3−ジオン、5−(2,5−ジオキソテトラヒドロフラル)−3−メチル−3−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸二無水物、ビシクロ[2.2.2]−オクト−7−エン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物、下記式(IV)および(V)で示される化合物などの脂肪族および脂環式テトラカルボン酸二無水物;
【0025】
【化9】
ここで、R5およびR7は、芳香環を有する2価の有機基を示し、R6およびR8は、水素原子またはアルキル基を示し、複数存在するR6およびR8は、それぞれ同一でも異なっていてもよい。
【0026】
ピロメリット酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ジメチルジフェニルシランテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−テトラフェニルシランテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−フランテトラカルボン酸二無水物、4,4’−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルスルフィド二無水物、4,4’−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルスルホン二無水物、4,4’−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルプロパン二無水物、3,3’,4,4’−パーフルオロイソプロピリデンジフタル酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、ビス(フタル酸)フェニルホスフィンオキサイド二無水物、p−フェニレン−ビス(トリフェニルフタル酸)二無水物、m−フェニレン−ビス(トリフェニルフタル酸)二無水物、ビス(トリフェニルフタル酸)−4,4’−ジフェニルエーテル二無水物、ビス(トリフェニルフタル酸)−4,4’−ジフェニルメタン二無水物、エチレングリコール−ビス(アンヒドロトリメリテート)、プロピレングリコール−ビス(アンヒドロトリメリテート)、1,4−ブタンジオール−ビス(アンヒドロトリメリテート)、1,6−ヘキサンジオール−ビス(アンヒドロトリメリテート)、1,8−オクタンジオール−ビス(アンヒドロトリメリテート)、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン−ビス(アンヒドロトリメリテート)、下記式(15)〜(18)で表される化合物などの芳香族テトラカルボン酸二無水物を挙げることができる。これらは1種単独でまたは2種以上組み合わせて用いられる。
【0027】
【化10】
【0028】
これらのうち、ブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,3−ジメチル−1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物、2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物、5−(2,5−ジオキソテトラヒドロフラル)−3−メチル−3−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸二無水物、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−5−(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]フラン−1,3−ジオン、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−8−メチル−5−(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]フラン−1,3−ジオン、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−5,8−ジメチル−5−(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]フラン−1,3−ジオン、ビシクロ[2.2.2]−オクト−7−エン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物、ピロメリット酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、上記式(IV)で示される化合物のうち下記式(19)〜(21)で示される化合物および上記式(V)で示される化合物のうち下記式(22)で示される化合物が、良好な液晶配向性を発現させることができる観点から好ましい。特に好ましいものとして、1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,3−ジメチル−1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−5−(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]フラン−1,3−ジオン、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−8−メチル−5−(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]フラン−1,3−ジオン、ピロメリット酸二無水物および下記式(21)で示される化合物を挙げることができる。
【0029】
【化11】
【0030】
ポリアミック酸の合成反応に用いられるジアミン化合物としては、上記式(II)で表される化合物が用いられる。式(II)中R4は二価の芳香族基、脂肪族基または脂環族基である。
【0031】
かかるジアミン化合物としては、例えばp−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルエタン、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、4,4’−ジアミノベンズアニリド、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、1,5−ジアミノナフタレン、3,3−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、5ーアミノー1ー(4’ーアミノフェニル)ー1,3,3ートリメチルインダン、6ーアミノー1ー(4’ーアミノフェニル)ー1,3,3ートリメチルインダン、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,3’−ジアミノベンゾフェノン、3,4’−ジアミノベンゾフェノン、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、9,9−ビス(4−アミノフェニル)−10−ヒドロアントラセン、2,7−ジアミノフルオレン、9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン、4,4’−メチレン−ビス(2−クロロアニリン)、2,2’,5,5’−テトラクロロ−4,4’−ジアミノビフェニル、2,2’−ジクロロ−4,4’−ジアミノ−5,5’−ジメトキシビフェニル、3,3’−ジメトキシ−4,4’−ジアミノビフェニル、1,4.4’−(p−フェニレンイソプロピリデン)ビスアニリン、4,4’−(m−フェニレンイソプロピリデン)ビスアニリン、4,4’−(m−フェニレンイソプロピリデン)ビスアニリン、2,2’−ビス[4−(4−アミノ−2−トリフルオロメチルフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、4,4’−ジアミノ−2,2’−ビス(トリフルオロメチル)ビフェニル、4,4’−ビス[(4−アミノ−2−トリフルオロメチル)フェノキシ]−オクタフルオロビフェニルなどの芳香族ジアミン;1,1−メタキシリレンジアミン、1,3−プロパンジアミン、テトラメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ヘプタメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン、4,4−ジアミノヘプタメチレンジアミン、1,4−ジアミノシクロヘキサン、イソホロンジアミン、テトラヒドロジシクロペンタジエニレンジアミン、ヘキサヒドロ−4,7−メタノインダニレンジメチレンジアミン、トリシクロ[6,2,1,02.7]−ウンデシレンジメチルジアミン、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルアミン)などの脂肪族および脂環式ジアミン;2,3−ジアミノピリジン、2,6−ジアミノピリジン、3,4−ジアミノピリジン、2,4−ジアミノピリミジン、5,6−ジアミノ−2,3−ジシアノピラジン、5,6−ジアミノ−2,4−ジヒドロキシピリミジン、2,4−ジアミノ−6−ジメチルアミノ−1,3,5−トリアジン、1,4−ビス(3−アミノプロピル)ピペラジン、2,4−ジアミノ−6−イソプロポキシ−1,3,5−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−メトキシ−1,3,5−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−フェニル−1,3,5−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−メチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−1,3,5−トリアジン、4,6−ジアミノ−2−ビニル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−5−フェニルチアゾール、2,6−ジアミノプリン、5,6−ジアミノ−1,3−ジメチルウラシル、3,5−ジアミノ−1,2,4−トリアゾール、6,9−ジアミノ−2−エトキシアクリジンラクテート、3,8−ジアミノ−6−フェニルフェナントリジン、1,4−ジアミノピペラジン、3,6−ジアミノアクリジン、ビス(4−アミノフェニル)フェニルアミンおよび下記式(VI)および(VII)で表される化合物などの、分子内に2つの1級アミノ基および該1級アミノ基以外の窒素原子を有するジアミン;
【0032】
【化12】
(式中、R5 は、ピリジン、ピリミジン、トリアジン、ピペリジンおよびピペラジンから選ばれる窒素原子を含む環構造を有する1価の有機基を示し、Xは2価の有機基を示す。)
【0033】
【化13】
(式中、R6 は、ピリジン、ピリミジン、トリアジン、ピペリジンおよびピペラジンから選ばれる窒素原子を含む環構造を有する2価の有機基を示し、Xは2価の有機基を示し、複数存在するXは、同一でも異なっていてもよい。)
【0034】
下記式(VIII)で表されるモノ置換フェニレンジアミン類;下記式(IX)で表されるジアミノオルガノシロキサン;
【0035】
【化14】
(式中、R7 は、−O−、−COO−、−OCO−、−NHCO−、−CONH−および−CO−から選ばれる2価の有機基を示し、R8 は、ステロイド骨格、トリフルオロメチル基およびフルオロ基から選ばれる基を有する1価の有機基または炭素数6〜30のアルキル基を示す。)
【0036】
【化15】
(式中、R9 は炭素数1〜12の炭化水素基を示し、複数存在するR9 は、それぞれ同一でも異なっていてもよく、pは1〜3の整数であり、qは1〜20の整数である。)
【0037】
下記式(23)〜(27)で表される化合物などを挙げることができる。これらのジアミン化合物は、単独でまたは2種以上組み合わせて用いることができる。
【0038】
【化16】
(式中、yは2〜12の整数であり、zは1〜5の整数である。)
など挙げることができる。これらは1種単独でまたは2種以上組み合わせて用いられる。
【0039】
これらのうち、p−フェニレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、1,5−ジアミノナフタレン、2,7−ジアミノフルオレン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン 、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、4,4’−(p−フェニレンジイソプロピリデン)ビスアニリン、4,4’−(m−フェニレンジイソプロピリデン)ビスアニリン、1,4−シクロヘキサンジアミン、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルアミン)、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、上記式(23)〜(27)で表される化合物、上記式(VI)で表される化合物のうち下記式(28)で表される化合物、上記式(VII)で表される化合物のうち下記式(29)で表される化合物および上記式(VIII)で表される化合物のうち下記式(30)〜(35)で表される化合物が好ましい。これらのジアミンは市販品をそのまま使用しても、市販品を再還元して使用してもよい。
【0040】
【化17】
【0041】
ポリアミック酸の合成反応に供されるテトラカルボン酸二無水物とジアミン化合物との使用割合は、ジアミン化合物に含まれるアミノ基1当量に対して、テトラカルボン酸二無水物に含まれる酸無水物基が0.2〜2当量となる割合が好ましく、さらに好ましくは0.3〜1.4当量となる割合である。テトラカルボン酸二無水物に含まれる酸無水物基の割合が0.2当量未満の場合および2当量を超える場合のいずれにおいても、得られる重合体の分子量が小さくなりすぎ、液晶配向剤の塗布性が劣るものとなる場合がある。
【0042】
本発明における液晶配向剤を構成するポリアミック酸は、テトラカルボン酸二無水物とジアミン化合物との反応により合成される。ポリアミック酸の合成反応は、有機溶媒中で、通常、0〜150℃、好ましくは0〜100℃の温度条件下で行われる。反応温度が0℃以下であると化合物の溶剤に対する溶解性が劣る場合があり、150℃を超えると得られる重合体の分子量が低下する場合がある。
【0043】
ポリアミック酸の合成に用いられる有機溶媒としては、テトラカルボン酸二無水物、ジアミン化合物および反応で生成するポリアミック酸を溶解し得るものであれば特に制限はない。例えばγ−ブチロラクトン、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、テトラメチル尿素、ヘキサメチルホスホリルトリアミド、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノンなどの非プロトン系極性溶媒;m−クレゾール、キシレノール、フェノール、ハロゲン化フェノールなどのフェノール系溶媒を挙げることができる。
【0044】
有機溶媒の使用量(A)は、反応原料であるテトラカルボン酸二無水物とジアミン化合物との総量(B)が反応溶液の全量(A+B)に対して0.1〜30重量%になるような量であることが好ましい。
【0045】
なお、上記有機溶媒には、ポリアミック酸の貧溶媒であるアルコール類、ケトン類、エステル類、エーテル類、ハロゲン化炭化水素類、炭化水素類などを、生成するポリアミック酸が析出しない範囲で併用することができる。かかる貧溶媒の具体例としては、例えばメチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、シクロヘキサノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、トリエチレングリコール、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、シュウ酸ジエチル、マロン酸ジエチル、ジエチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールメチルエーテル、プロピレングリコールエチルエーテル、プレピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールジエチルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエーテル、ジプロピレングリコールエチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールエチルエーテルアセテート、4−ヒドロキシ−4−メチル−2−ペンタノン、2−ヒドロキシプロピオン酸エチル、乳酸エチル、乳酸メチル、乳酸ブチル、エトキシ酢酸エチル、ヒドロキシ酢酸エチル、2−ヒドロキシ−3−メチルブタン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸メチル、3−メチル−3−メトキシブタノール、3−エチル−3−メトキシブタノール、2−メチル−2−メトキシブタノール、2−エチル−2−メトキシブタノール、3−メチル−3−エトキシブタノール、3−エチル−3−エトキシブタノール、2−メチル−2−エトキシブタノール、2−エチル−2−エトキシブタノール、テトラヒドロフラン、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、1,4−ジクロロブタン、トリクロロエタン、クロルベンゼン、o−ジクロルベンゼン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ベンゼン、トルエン、キシレンなどを挙げることができる。これらは1種単独でまたは2種以上組み合わせて用いることができる。
【0046】
以上の合成反応によって、ポリアミック酸を溶解してなる重合体溶液が得られる。そして、この重合体溶液を大量の貧溶媒中に注いで析出物を得、この析出物を減圧下乾燥することによりポリアミック酸を得ることができる。また、このポリアミック酸を再び有機溶媒に溶解させ、次いで貧溶媒で析出する工程を1回または数回行うことにより、ポリアミック酸の精製を行うことができる。
【0047】
<(a−2)イミド化重合体>
本発明の液晶配向剤を構成するイミド化重合体は、下記方法(1)〜(3)により調製することができる。イミド化重合体は、通常、ポリイミドおよび/またはポリイソイミドであり、ポリイミドがより好ましい。また、ポリアミック酸の繰り返し単位の一部が脱水閉環された、いわゆるイミド化率が100%でない重合体もイミド化重合体に含まれ、本発明の液晶配向剤に好適に用いられる。ここで言う「イミド化率」とは、重合体全体の繰り返し単位における、イミド環を有する繰り返し単位の割合をパーセントで表したものである。
【0048】
方法(1):ポリアミック酸を加熱して脱水閉環する方法。
この方法における反応温度は、通常、60〜200℃とされ、好ましくは100〜170℃とされる。反応温度が60℃未満ではイミド化反応が十分に進行せず、反応温度が200℃を超えると得られるイミド化重合体の分子量が小さくなることがある。
【0049】
方法(2):ポリアミック酸を有機溶媒に溶解し、この溶液中に脱水剤およびイミド化触媒を添加し、必要に応じて加熱する方法。
この方法において、脱水剤としては、例えば無水酢酸、無水プロピオン酸、無水トリフルオロ酢酸などの酸無水物を用いることができる。脱水剤の使用量は、ポリアミック酸の繰り返し単位1モルに対して1.6〜20モルとするのが好ましい。また、イミド化触媒としては、例えばピリジン、コリジン、ルチジン、トリエチルアミンなどの3級アミンを用いることができるが、これらに限定されるものではない。イミド化触媒の使用量は、使用する脱水剤1モルに対して0.5〜10モルとするのが好ましい。なお、イミド化反応に用いられる有機溶媒としては、ポリアミック酸の合成に用いられるものとして例示した有機溶媒を挙げることができる。そして、イミド化反応の反応温度は、通常、0〜180℃、好ましくは60〜150℃とされる。
【0050】
方法(3):テトラカルボン酸二無水物とジイソシアネート化合物とを混合し、縮合させる方法。
この方法に使用されるジイソシアネート化合物の具体例としては、ヘキサメチレンジイソシアネートなどの脂肪族ジイソシアネート化合物;シクロヘキサンジイソシアネートなどの脂環式ジイソシアネート化合物;ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、ジフェニルエーテル−4,4’−ジイソシアネート、ジフェニルスルホン−4,4’−ジイソシアネート、ジフェニルスルフィド−4,4’−ジイソシアネート、1,2−ジフェニルエタン−p,p’−ジイソシアネート、2,2−ジフェニルプロパン−p,p’−ジイソシアネート、2,2−ジフェニル−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン−p,p’−ジイソシアネート、2,2−ジフェニルブタン−p,p’−ジイソシアネート、ジフェニルジクロロメタン−4,4’−ジイソシアネート、ジフェニルフルオロメタン−4,4’−ジイソシアネート、ベンゾフェノン−4,4’−ジイソシアネート、N−フェニル安息香酸アミド−4,4’−ジイソシアネートなどの芳香族ジイソシアネート化合物を挙げることができる。これらは単独でまたは2種以上組合せて用いることができる。なお、この方法には特に触媒は必要とされず、反応温度は、通常、50〜200℃、好ましくは100〜160℃である。
【0051】
このようにして得られる重合体溶液に対し、ポリアミック酸の精製方法と同様の操作を行うことにより、イミド化重合体を精製することができる。
【0052】
<ポリアミック酸およびイミド化重合体の固有粘度>
以上のようにして得られるポリアミック酸およびイミド化重合体の固有粘度(30℃、N−メチル−2−ピロリドン中で測定。以下において同じ。)は、通常0.05〜10dl/g、好ましくは0.05〜5dl/gである。
【0053】
<末端修飾型の重合体>
本発明の液晶配向剤を構成するポリアミック酸および/またはイミド化重合体は、末端修飾型の重合体であることができる。この末端修飾型の重合体は、分子量が調節され、本発明の効果を損うことなく、液晶配向剤の塗布特性などを改善することができる。末端修飾型の重合体は、ポリアミック酸を合成する際に、酸無水物、モノアミン化合物、またはモノイソシアネート化合物を反応系に添加することにより合成することができる。
【0054】
末端修飾型の重合体を得るためポリアミック酸を合成する際の反応系に添加される酸無水物としては、例えば無水マレイン酸、無水フタル酸、無水イタコン酸、n−デシルサクシニック酸無水物、n−ドデシルサクシニック酸無水物、n−テトラデシルサクシニック酸無水物、n−ヘキサデシルサクシニック酸無水物などを挙げることができる。また、反応系に添加されるモノアミンとしては、例えばアニリン、シクロヘキシルアミン、n−ブチルアミン、n−ペンチルアミン、n−ヘキシルアミン、n−ヘプチルアミン、n−オクチルアミン、n−ノニルアミン、n−デシルアミン、n−ウンデシルアミン、n−ドデシルアミン、n−トリデシルアミン、n−テトラデシルアミン、n−ペンタデシルアミン、n−ヘキサデシルアミン、n−ヘプタデシルアミン、n−オクタデシルアミン、n−エイコシルアミンなどのアルキルアミン類;3−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、3−[N−アリル−N−(2−アミノエチル)]アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−[(3−トリメトキシシリル)プロピル]ジエチレントリアミンなどを挙げることができる。また、モノイソシアネート化合物としては、例えばフェニルイソシアネート、ナフチルイソシアネートなどを挙げることができる。
【0055】
<液晶配向剤>
本発明の液晶配向剤は、本発明のポリアミック酸および/またはポリイミドが有機溶媒中に溶解含有されて構成される。この液晶配向剤に用いられるポリアミック酸および/またはポリイミドは、単独でも、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。この液晶配向剤を構成する有機溶媒としては、ポリアミック酸の合成反応や脱水閉環反応に用いられるものとして例示した溶媒を挙げることができる。また、ポリアミック酸の合成反応の際に併用することができるものとして例示した貧溶媒も適宜選択して併用することができる。
【0056】
本発明の液晶配向剤は、特定テトラカルボン酸二無水物を含有しないポリアミック酸および/またはポリイミドを、本発明の効果を損なわない範囲で含有していてもよい。ここで、液晶配向剤中のポリアミック酸およびポリイミドに占める、特定テトラカルボン酸二無水物含有ポリアミック酸およびポリイミドの割合は5重量%以上が好ましい。
【0057】
本発明の液晶配向剤におけるポリアミック酸および/またはポリイミドの濃度は、粘性、揮発性などを考慮して選択されるが、好ましくは1〜10重量%の範囲とされる。すなわち、本発明の液晶配向剤は、基板表面に塗布され、液晶配向膜となる塗膜が形成されるが、濃度が1重量%未満である場合には、この塗膜の膜厚が過小となって良好な液晶配向膜を得ることが困難であり、濃度が10重量%を超える場合には、塗膜の膜厚が過大となって良好な液晶配向膜を得ることがやはり困難であり、また、液晶配向剤の粘性が増大して塗布特性が劣るものとなる。
【0058】
本発明の液晶配向剤には、ポリアミック酸および/またはポリイミドの基板表面に対する接着性を向上させる観点から、官能性シラン含有化合物が含有されていてもよい。かかる官能性シラン含有化合物としては、例えば3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、2−アミノプロピルトリメトキシシラン、2−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3−ウレイドプロピルトリメトキシシラン、3−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、N−エトキシカルボニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−エトキシカルボニル−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−トリエトキシシリルプロピルトリエチレントリアミン、N−トリメトキシシリルプロピルトリエチレントリアミン、10−トリメトキシシリル−1,4,7−トリアザデカン、10−トリエトキシシリル−1,4,7−トリアザデカン、9−トリメトキシシリル−3,6−ジアザノニルアセテート、9−トリエトキシシリル−3,6−ジアザノニルアセテート、N−ベンジル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−ベンジル−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−ビス(オキシエチレン)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−ビス(オキシエチレン)−3−アミノプロピルトリエトキシシランなどを挙げることができる。
【0059】
本発明の液晶配向剤には、基板に対する密着性をさらに向上させることを目的として、エポキシ基含有化合物が含有されていてもよい。かかるエポキシ基含有化合物としては、例えばエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、トリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、グリセリンジグリシジルエーテル、2,2−ジブロモネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、1,3,5,6−テトラグリシジル−2,4−ヘキサンジオール、N,N,N’,N’,−テトラグリシジル−m−キシレンジアミン、1,3−ビス(N,N−ジグリシジルアミノメチル)シクロヘキサン、N,N,N’,N’,−テトラグリシジル−4、4’−ジアミノジフェニルメタン、3―(NーアリルーNーグリシジル)アミノプロピルトリメトキシシラン、3−(N,N−ジグリシジル)アミノプロピルトリメトキシシランなどを挙げることができる。これらのうち、分子内に、三級窒素原子を有する化合物が好ましく、これらエポキシ基含有化合物の配合割合は、重合体100重量部に対して、通常、40重量部以下、好ましくは0.1〜30重量部である。
【0060】
<液晶表示素子>
本発明の液晶配向剤を用いて得られる液晶表示素子は、例えば次の方法によって製造することができる。
(1)パターニングされた透明導電膜が設けられている基板の一面に、本発明の液晶配向剤を例えばロールコーター法、スピンナー法、印刷法などの方法によって塗布し、次いで、塗布面を加熱することにより被膜を形成する。ここに、基板としては、例えばフロートガラス、ソーダガラスなどのガラス;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエーテルスルホン、ポリカーボネートなどのプラスチックからなる透明基板を用いることができる。また、基板の一面に設けられる透明導電膜としては、酸化スズ(SnO2)からなるNESA膜(米国PPG社登録商標)、酸化インジウム−酸化スズ(In2O3−SnO2)からなるITO膜などを用いることができる。これらの透明導電膜のパターニングには、フォト・エッチング法や予めマスクを用いる方法が用いられる。液晶配向剤の塗布に際しては、基板表面および透明導電膜と液晶配向剤の被膜との接着性をさらに良好にするために、基板の該表面に、官能性シラン含有化合物、官能性チタン含有化合物などを予め塗布することもできる。また加熱温度は80〜250℃とされ、好ましくは120〜200℃とされる。形成される被膜の膜厚は、通常0.001〜1μmであり、好ましくは0.005〜0.5μmである。なお、ポリアミック酸を含有する本発明の液晶配向剤は、塗布後に有機溶媒を除去することによって液晶配向膜となる被膜を形成するが、さらに加熱することによって脱水閉環を進行させ、一部イミド化または完全にイミド化された被膜とすることもできる。
【0061】
(2)液晶配向剤によって形成された被膜表面を、例えばナイロン、レーヨン、コットンなどの繊維からなる布を巻き付けたロールで一定方向に擦るラビング処理を行う。これにより、液晶分子の配向能が被膜に付与されて液晶配向膜となる。また、ラビング処理による方法以外に、樹脂膜表面に偏光紫外線、イオンビーム、電子ビーム等を照射して配向能を付与する方法や、一軸延伸法、ラングミュア・ブロジェット法などで被膜を得る方法などにより、液晶配向膜を形成することもできる。なお、ラビング処理時に発生する微粉体(異物)を除去して表面を清浄な状態とするために、形成された液晶配向膜をイソプロピルアルコールなどによって洗浄することが好ましい。また、形成された液晶配向膜の表面に紫外線、イオンビーム、電子ビーム等を部分的に照射することによりプレチルト角を変化させる処理(特開平6−222366号公報、特開平6−281937号公報、特開平7−168187号公報および特開平8−234207号公報参照)、形成された液晶配向膜の表面にレジスト膜を部分的に形成し、先行のラビング処理とは異なる方向にラビング処理を行った後、前記レジスト膜を除去して、液晶配向膜の配向能を変化させるような処理(特開平5−107544号公報参照)を行うことによって、作製される液晶表示素子の視野角特性を改善することもできる。
【0062】
(3)上記のようにして液晶配向膜が形成された基板を2枚作製し、それぞれの液晶配向膜における配向処理方向、すなわちラビング方向が直交または逆平行となるように、2枚の基板を、間隙(セルギャップ)を介して対向配置し、2枚の基板の周辺部をシール剤を用いて貼り合わせ、基板表面およびシール剤により区画されたセルギャップ内に液晶を注入充填し、注入孔を封止して液晶セルを構成する。そして、液晶セルの外表面、すなわち、液晶セルを構成するそれぞれの基板の他面側に、偏光板を、その偏光方向が当該基板の一面に形成された液晶配向膜のラビング方向と一致または直交するように貼り合わせることにより、液晶表示素子が得られる。
【0063】
ここに、シール剤としては、例えば硬化剤およびスペーサーとしての酸化アルミニウム球を含有するエポキシ樹脂などを用いることができる。
液晶としては、ネマティック型液晶およびスメクティック型液晶を挙げることができる。その中でもネマティック型液晶が好ましく、例えばシッフベース系液晶、アゾキシ系液晶、ビフェニル系液晶、フェニルシクロヘキサン系液晶、エステル系液晶、ターフェニル系液晶、ビフェニルシクロヘキサン系液晶、ピリミジン系液晶、ジオキサン系液晶、ビシクロオクタン系液晶、キュバン系液晶などを用いることができる。また、これらの液晶に、例えばコレスチルクロライド、コレステリルノナエート、コレステリルカーボネートなどのコレステリック型液晶や商品名「C−15」「CB−15」(メルク社製)として販売されているようなカイラル剤などを添加して使用することもできる。さらに、p−デシロキシベンジリデン−p−アミノ−2−メチルブチルシンナメートなどの強誘電性液晶も使用することができる。
【0064】
また、液晶セルの外表面に貼り合わされる偏光板としては、ポリビニルアルコールを延伸配向させながら、ヨウ素を吸収させたH膜と称される偏光膜を酢酸セルロース保護膜で挟んだ偏光板またはH膜そのものからなる偏光板を挙げることができる。
【0065】
【実施例】
以下、本発明を実施例により、さらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に制限されるものではない。
なお、実施例中におけるプレチルト角の測定は、[T.J.Schffer, et al., J.Appl.Phys., 19, 2013(1980)]に記載の方法に準拠し、He−Neレーザー光を用いる結晶回転法により行った。
また、以下の実施例および比較例において、液晶表示素子における残像消去時間および液晶の配向性についての評価方法は、以下のとおりである。
【0066】
(残像消去時間)
液晶セルに10Vの直流電圧を1時間印加した後、当該電圧の印加を解除し、表示画面を目視により観察して、電圧の印加を解除してから画面上の残像が消去されるまでの時間を測定した。
【0067】
(液晶の配向性)
電圧をオン・オフ(印加・解除)したときの異常ドメインの有無を偏光顕微鏡で観察し、異常ドメインのない場合を「良好」と判定した。
【0068】
(特定テトラカルボン酸二無水物の合成例)
無水マレイン酸31g(0.316モル)、N−ニトロソフェニルヒドロキシルアミンアルミニウム塩0.6gおよびヒドロキノン0.08gをトルエン35mlに100℃で溶解させた。この反応液を100℃に保ちながら、4−ステアリルオキシスチレン53.6g(0.144モル)を添加した。この溶液を、さらに110℃で10時間加熱還流した。次に、反応液を室温まで冷却し、メチルイソブチルケトン30mlを加え、析出物を炉別し、さらにメチルイソブチルケトン10mlで3回洗浄を行った。無水酢酸より再結晶を行い、上記式(1)で表される特定テトラカルボン酸二無水物42gを得た。
【0069】
合成例1
上記式(1)で表される特定テトラカルボン酸二無水物8.32g(14.63ミリモル)、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−8−メチル−5−(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]フラン−1,3−ジオン 26.06g(82.9ミリモル)および4,4’−ジアミノジフェニルメタン19.34g(97.56ミリモル)を、N−メチル−2−ピロリドン450gに溶解させ、60℃で6時間反応させた。次いで、反応溶液を大過剰のメチルアルコールに注いで反応生成物を沈澱させた。その後、メチルアルコールで洗浄し、減圧下40℃で15時間乾燥させることにより、対数粘度が0.98dl/gである本発明のポリアミック酸〔これを「ポリアミック酸(a)」とする。〕43.42gを得た。
【0070】
合成例2
合成例1で得られたポリアミック酸(a)25.00gをN−メチル−2−ピロリドン450gに溶解し、この溶液にピリジン7.72gと、無水酢酸9.96gとを添加し、115℃で4時間加熱することにより脱水閉環反応させた。次いで、反応生成液を合成例1と同様にして沈澱および乾燥させ、対数粘度が1.03dl/gである本発明のポリイミド〔これを「ポリイミド(a)」とする。〕23.4gを得た。
【0071】
合成例3
特定テトラカルボン酸二無水物の使用量を10.09g(17.75ミリモル)に、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−8−メチル−5−(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]フラン−1,3−ジオンの使用量を31.62g(100.61ミリモル)に変更し、4,4’−ジアミノジフェニルメタンに代えてp−フェニレンジアミン12.80g(118.36ミリモル)を使用したこと以外は合成例1と同様にして、対数粘度が1.10dl/gである本発明のポリアミック酸〔これを「ポリアミック酸(b)」とする。〕44.35gを得た。
【0072】
合成例4
上記式(1)で表される特定テトラカルボン酸二無水物に代えて上記式(2)で表される特定テトラカルボン酸二無水物5.38g(14.63ミリモル)を使用したこと以外は合成例1と同様にして、対数粘度が0.92dl/gである本発明のポリアミック酸〔これを「ポリアミック酸(c)」とする。〕38.62gを得た。次いで、ポリアミック酸(a)に代えてポリアミック酸(c)を使用したこと以外は合成例2と同様にして、対数粘度が0.90dl/gである本発明のポリイミド〔これを「ポリイミド(c)」とする。〕15.49gを得た。
【0073】
合成例5
上記式(1)で表される特定テトラカルボン酸二無水物に代えて上記式(3)で表される特定テトラカルボン酸二無水物4.66g(14.63ミリモル)を使用したこと以外は合成例1と同様にして、対数粘度が0.88dl/gである本発明のポリアミック酸〔これを「ポリアミック酸(d)」とする。〕29.62gを得た。次いで、ポリアミック酸(a)に代えてポリアミック酸(d)を使用したこと以外は合成例2と同様にして、対数粘度が0.85dl/gである本発明のポリイミド〔これを「ポリイミド(d)」とする。〕13.68gを得た。
【0074】
合成例6
上記化学式(1)で表される特定テトラカルボン酸二無水物の使用量を4.16g(7.32ミルモル)に1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−8−メチル−5−(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]フラン−1,3−ジオンの使用量を28.4g(90.2ミリモル)に変更した以外は合成例1と同様にして、対数粘度が1.23dl/gである本発明のポリアミック酸〔これを「ポリアミック酸(e)」とする。〕43.82gを得た。次いで、ポリアミック酸(a)に代えてポリアミック酸(e)を使用したこと以外は合成例2と同様にして、対数粘度が1.02dl/gである本発明のポリイミド〔これを「ポリイミド(e)」とする。〕17.55gを得た
【0075】
合成例7
上記化学式(1)で表される特定テトラカルボン酸二無水物の使用量を55.5g(97.56ミルモル)に変更し、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−8−メチル−5−(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]フラン−1,3−ジオンを使用しなかったこと以外は合成例1と同様にして、対数粘度が0.59dl/gである本発明のポリアミック酸〔これを「ポリアミック酸(f)」とする。〕71.20gを得た。次いで、ポリアミック酸(a)に代えてポリアミック酸(f)を使用したこと以外は合成例2と同様にして、対数粘度が1.46dl/gである本発明のポリイミド〔これを「ポリイミド(f)」とする。〕13.96gを得た
【0076】
比較合成例1
1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−8−メチル−5−(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]フラン−1,3−ジオン30.66g(97.56ミリモル)と4,4’−ジアミノジフェニルメタン19.34g(97.56ミリモル)とを、N−メチル−2−ピロリドン450gに溶解させ、60℃で6時間反応させた。次いで、反応溶液を大過剰のメチルアルコールに注いで反応生成物を沈澱させた。その後、メチルアルコールで洗浄し、減圧下40℃で15時間乾燥させることにより、対数粘度が1.00dl/gである本発明のポリアミック酸〔これを「ポリアミック酸(x)」とする。〕38.44gを得た。次いで、ポリアミック酸(a)に代えてポリアミック酸(x)を使用したこと以外は合成例2と同様にして、対数粘度が0.90dl/gであるポリイミド〔これを「ポリイミド(x)」とする。〕14.91gを得た。
【0077】
比較合成例2
1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−8−メチル−5−(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]フラン−1,3−ジオンに代えてピロメリト酸二無水物25.82g(118.36ミリモル)を、4,4’−ジアミノジフェニルメタンに代えてp−フェニレンジアミン12.80g(118.36ミリモル)を使用したこと以外は比較合成例1と同様にして、対数粘度が1.10dl/gであるポリアミック酸〔これを「ポリアミック酸(y)」とする。〕32.60gを得た。
【0078】
比較合成例3
1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−8−メチル−5−(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]フラン−1,3−ジオン 30.66g(97.56ミリモル)、4,4’−ジアミノジフェニルメタン16.44g(82.9ミリモル)2gおよび1−(ステアリルオキシ)−2,4−ジアミノベンゼン5.50g(14.63ミリモル)を用いたこと以外は比較合成例1と同様にして、対数粘度が0.88dl/gであるポリイミド〔これを「ポリイミド(z)」とする。〕12.33gを得た。
【0079】
実施例1
(1)液晶配向剤の調製:
合成例2で得られたポリイミド(a)をγ−ブチロラクトンに溶解させて固形分濃度4重量%の溶液とし、この溶液を孔径1μmのフィルターで濾過して本発明の液晶配向剤を調製した。
【0080】
(2)液晶表示素子の作製:
▲1▼ 厚さ1mmのガラス基板の一面に設けられたITO膜からなる透明導電膜上に、上記のようにして調製された本発明の液晶配向剤をスピンナーを用いて塗布し、180℃で1時間乾燥することにより乾燥膜厚800オングストロームの塗膜を形成した。
【0081】
▲2▼ 形成された塗膜面を、ナイロン製の布を巻き付けたロールを有するラビングマシーンを用いてラビング処理を行うことにより、液晶配向膜を作製した。ここに、ラビング処理条件は、ロールの回転数500rpm、ステージの移動速度1cm/秒とした。
【0082】
▲3▼ 上記のようにして液晶配向膜が形成された基板を2枚作製し、それぞれの基板の外縁部に、直径17μmの酸化アルミニウム球を含有するエポキシ樹脂系接着剤をスクリーン印刷法により塗布した後、それぞれの液晶配向膜におけるラビング方向が逆平行となるように2枚の基板を間隙を介して対向配置し、外縁部同士を当接させて圧着して接着剤を硬化させた。
【0083】
▲4▼ 基板の表面および外縁部の接着剤により区画されたセルギャップ内に、ネマティック型液晶「MLC−2001」(メルク社製)を注入充填し、次いで、注入孔をエポキシ系接着剤で封止して液晶セルを構成した。その後、液晶セルの外表面に、偏光方向が当該基板の一面に形成された液晶配向膜のラビング方向と一致するように偏光板を貼り合わせることにより、液晶表示素子を作製した。
【0084】
▲5▼ 上記のようにして作製された液晶表示素子は、液晶セルに電圧を印加および解除したときにおいて異常ドメインは認められず、液晶の配向性は良好であった。プレチルト角を測定したところ4.3°であった。また、液晶表示素子の残像消去時間は0.62秒間ときわめて短いものであった。また、ラビング条件を、ロールの回転数200〜800rpm、ステージの移動速度0.5〜5cm/秒の範囲で変更してプレチルト角を測定したが、4.3±0.3°のばらつきで、工程条件安定性に優れていた。
【0085】
実施例2
ポリイミド(a)に代えて、合成例3で得られたポリアミック酸(b)を使用し、液晶配向剤塗布後の乾燥温度を250℃にしたこと以外は実施例1と同様にして、液晶表示素子を作製した。作製された液晶表示素子における、液晶の配向性、プレチルト角、および残像消去時間を測定した。結果を表1に示す。
【0086】
実施例3〜6
ポリイミド(a)に代えて、合成例4〜5で得られたポリイミド(c)〜(f)を使用したこと以外は実施例1と同様にして、液晶配向剤を調製し液晶表示素子を作製した。作製された液晶表示素子における、液晶の配向性、プレチルト角、および残像消去時間を測定した。結果を表1に示す。
【0087】
実施例7
ポリイミド(a)に代えて、ポリイミド(a)10重量部と比較合成例2で得られたポリアミック酸(y)90重量部を混合して使用したこと以外は以外は実施例1と同様にして、液晶配向剤を調製し液晶表示素子を作製した。作製された液晶表示素子における、液晶の配向性、プレチルト角、および残像消去時間を測定した。結果を表1に示す。
【0088】
実施例8
ポリイミド(a)80重量部とポリアミック酸(y)20重量部を使用したこと以外は以外は実施例5と同様にして、液晶配向剤を調製し液晶表示素子を作製した。作製された液晶表示素子における、液晶の配向性、プレチルト角、および残像消去時間を測定した。結果を表1に示す。
【0089】
【表1】
【0090】
比較例1
ポリイミド(a)に代えて、比較合成例1で得られたポリイミド(x)を使用したこと以外は実施例1と同様にして、液晶配向剤を調製し液晶表示素子を作製した。作製された液晶表示素子における、液晶の配向性、プレチルト角、および残像消去時間を測定した。結果を表2に示す。
【0091】
比較例2〜3
ポリイミド(a)に代えて、比較合成例2〜3で得られたポリアミック酸(y)またはポリイミド(z)を使用したこと以外は実施例1と同様にして、液晶配向剤を調製し液晶表示素子を作製した。作製された液晶表示素子における、液晶の配向性、プレチルト角、および残像消去時間を測定した。結果を表2に示す。
【0092】
【表2】
【0093】
【発明の効果】
本発明によれば、液晶配向膜としたとき、液晶の配向性が良好で、膜厚、ラビング条件などの工程条件に依らない高いプレチルト角を発現できる良好な配向特性を有するとともに、液晶表示素子における残像消去時間の短い液晶配向膜を形成することができる液晶配向剤を提供することができる。
本発明の液晶配向剤により形成される液晶配向膜は、TN型液晶表示素子、STN型液晶表示素子およびSH(Super Homeotropic)型液晶表示素子など種々の液晶表示素子を構成するために好適に使用することができる。また、当該液晶配向膜を備えた液晶表示素子は、液晶の配向性および信頼性にも優れ、種々の装置に有効に使用することができ、例えば卓上計算機、腕時計、置時計、計数表示板、ワードプロセッサ、パーソナルコンピュータ、液晶テレビなどの表示装置として好適に用いることができる。
Claims (3)
- 請求項1記載のポリアミック酸を脱水閉環させて得られるポリイミド。
- 請求項1記載のポリアミック酸および/または請求項2記載のポリイミドを含有する液晶配向剤。
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