JP4335357B2 - 咬合具付きスタンディングパウチ - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、液状物、固形物、あるいは、これらの混合物からなる各種食品を冷蔵や冷凍で密封保存できると共に、このものを密封した状態のままで電子レンジにより加熱調理することができる咬合具付きスタンディングパウチに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、各種食品や食材は、平均的な家族構成人員数を考慮し、一度に消費する数量を販売単位として販売されていた。昨今の核家族化や少子化の進展により、販売単位はますます少数、少量化の方向に向かうと共に一方においては、使用する度に購入する煩雑さをなくすために、一回の消費数量を一単位として包装したものを複数個セットにして販売する形態も採られ、使用後は冷蔵や冷凍、あるいは、常温で包装単位に保存できるようにするなど、色々と工夫されて販売されている。
【0003】
しかし、たとえば、家庭で調理するカレー、おでん、あるいは、五目煮といったような食品は、消費単位に少量調理するよりも、一度に量多く調理する方が美味しく調理でき、また、消費単位に調理するのが結構面倒なものであり、通常このような食品は、複数回に分けて食せる程度に量多く調理され、一回の使用量分を残して他は蓋付きの合成樹脂製の成形容器に収納するなり、皿や鉢等の瀬戸物容器に入れてラッピングフィルムで覆うなりして、冷蔵庫や冷凍庫で保存される。
【0004】
そして、再度加熱調理する場合には、冷蔵や冷凍状態に保存された調理済食品を冷蔵庫や冷凍庫から取り出して、鍋等の加熱容器に移し替えられて加熱調理されて食される。
【0005】
また、近年では、電子レンジの普及により、一般家庭においても使い勝手の良さから、冷蔵や冷凍状態で保存された調理済食品が電子レンジで加熱調理されるようになり、たとえば、冷蔵や冷凍状態で保存された調理済食品が耐熱性のある蓋付き合成樹脂製の成形容器に収納されたものであるならば、蓋を事前に一部開放しておいてから電子レンジで加熱調理する必要があるし、また、前記蓋付き合成樹脂製の成形容器が耐熱性のないものであるなら、耐熱性のある蓋付き合成樹脂製の成形容器や皿、鉢等の瀬戸物容器に移し替えられて、一部開放状態にして蓋を被せるなり、ラッピングフィルムで覆うなりして電子レンジで加熱調理する必要があるし、また、調理済食品が皿や鉢等の瀬戸物容器に入れてラッピングフィルムで覆われて冷蔵庫や冷凍庫で保存されたものであれば、そのまま電子レンジで加熱調理して食される。
【0006】
しかし、電子レンジで冷蔵や冷凍状態に保存された調理済食品を加熱調理する場合、各種容器に収納された調理済食品を上記のように蓋を一部開放するなり、ラッピングフィルムで覆うなりするだけでは、加熱調理することにより発生する蒸気がそのまま排出されるために、安定した調理温度を保てないといった問題や、必要以上に水分が蒸発するといった問題、また、加熱ムラが生じるといった問題、さらには、蒸らし効果が得られないといった問題が発生する。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
そこで本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、各種食品を冷蔵庫や冷凍庫で密封保存できると共に、このものを密封した状態のままで電子レンジにより加熱調理することができ、また、加熱調理中に発生する蒸気を一定時間保持して、安定した調理温度を保つと共に加熱ムラも生じることがなく、蒸らし効果も得ることができる咬合具付きスタンディングパウチを提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記のような問題点を解決すべく種々研究を重ねた結果、請求項1記載の発明の咬合具付きスタンディングパウチは、底部に内側に折り込まれた底部折込部を有し、天部側内面に開口部を開閉するための互いに咬み合う合成樹脂製の咬合具を設け、両側端部と前記底部とを熱接着し、前記底部折込部を開くことにより自立するように構成した咬合具付きスタンディングパウチにおいて、前記咬合具と前記底部折込部との間の前記熱接着した両側部の内縁の少なくとも1箇所に前記内縁から内側に張り出して熱接着された易剥離性を有する張出熱接着部を備え、該張出熱接着部内に切刃ないし切欠が形成されていることを特徴とするものである。
【0009】
このように構成することにより、各種食品を冷蔵庫や冷凍庫で密封保存できると共に、前記食品をパウチに収納したままで電子レンジにより加熱調理でき、また、加熱調理中は発生する蒸気を一定時間保持して、安定した調理温度を保つと共に加熱ムラも生じることがなく、蒸らし効果も得ることができる。また、前記パウチには易剥離性を有する張出熱接着部が前記パウチの前記両側端部を熱接着した内縁より内側に位置するように設けられていることにより、その他の熱接着部より内部圧力により速く剥離して前記パウチ内の内部圧力を前記張出熱接着部に設けた切刃ないし切欠より自動的に逃がすことができるために、加熱調理前に蒸気の逃げ口を確保する必要がなく、また、パウチが破袋することもない。
【0010】
また、請求項2記載の発明の咬合具付きスタンディングパウチは、底部に内側に折り込まれた底部折込部を有し、天部側内面に開口部を開閉するための互いに咬み合う合成樹脂製の咬合具を設け、両側端部と前記底部とを熱接着し、前記底部折込部を開くことにより自立するように構成した咬合具付きスタンディングパウチにおいて、該咬合具付きスタンディングパウチの胴部に該胴部の前記両側端部に垂直な方向全幅に亘って外側に突出する三方が閉じられ一方が内部と連通するように袋状に構成された突出部が設けられ、該突出部内の内側周縁部の少なくとも1箇所に前記内側周縁部から内側に張り出して熱接着された易剥離性を有する張出熱接着部を備え、該張出熱接着部内に切刃ないし切欠が形成されていることを特徴とするものである。
【0011】
このように構成することにより、請求項1記載のものに比べて、加熱調理中の内容物の吹きこぼれを少なくすることができるし、また、咬合具を開封して内容物を取り出す時にもこぼさずに取り出し易くなる。
【0012】
また、請求項3記載の発明は、請求項1、2のいずれかに記載の咬合具付きスタンディングパウチにおいて、前記張出熱接着部内に未接着部が設けられ、該未接着部に切刃もしくは切欠が形成されていることを特徴とするものである。このように構成することにより、易剥離性を有する張出熱接着部がその他の熱接着部より内部圧力により速く剥離して、剥離が前記張出熱接着部の未接着部に到達した時点で内部圧力を逃がすと共に内部圧力が未接着部に集中して張出部を一気に剥離して一層大きく開口するために内部圧力を逃がし易くすることができる。
【0013】
【発明の実施の形態】
上記の本発明について、図面に示す実施例を用いて以下に詳述する。
図1は本発明にかかる咬合具付きスタンディングパウチの第1の実施形態の平面図、図2は図1のXーX線の断面図、図3は本発明の咬合具付きスタンディングパウチの第2の実施形態の平面図、図4は図3のYーY線の断面図、図5は図4に対応する加熱調理途中の概略説明図であり、図中の1,1'は咬合具付きスタンディングパウチ、2は胴部、3は底部折込部、4は咬合具、5,5’は張出熱接着部、6は切欠、7は袋状突出部、8は未接着部、9は切刃、21,22は壁部、30は切欠部、31,32は折込部片、50,61,62,70は熱接着部をそれぞれ示す。
【0014】
図1は本発明の咬合具付きスタンディングパウチの第1の実施形態の平面図、図2は図1のXーX線の断面図であって、咬合具付きスタンディングパウチ1は、胴部2を形成する対向する前後壁部21、22の底部(図上で下側)に断面略逆V字状の底部折込部3を有すと共に、天部側(図上で上側)に前記対向する前後壁部21、22の内面に熱接着された互いに咬み合う合成樹脂製の咬合具4を有している。前記底部折込部3は、両側端縁に略半円形状の切欠部30、30を有する前後折込部片31、32が挿入された状態で設けられ、前記対向する前後壁部21、22の両側端部と前記底部とを熱接着することにより、前記前後壁部21、22の内面間および前記前壁部21と前記前折込部片31の間および前記後壁部22と前記後折込部片32の間がそれぞれ両側端部熱接着部50、底部前側熱接着部61、底部後側熱接着部62で熱接着され、前記底部折込部3を形成する前記前後折込部片31、32を開くことにより、前記前後折込部片31、32に設けた切欠部30、30において前記前後壁部21、22が熱接着されていることと相まって、前記前後折込部片31、32の広がり状態で略舟底形に湾曲して膨らんで自立するように構成されている。さらに、前記咬合具4と前記底部折込部3との間の前記両側端部熱接着部50の内縁に連接して内側に張り出して熱接着された易剥離性を有する略台形状の張出熱接着部5が形成されると共に、前記張出熱接着部5内に複数の略円形状の切欠6が前記張出熱接着部5の前記対向する前後壁部21、22を貫通して設けられている。
【0015】
この咬合具付きスタンディングパウチ1は、胴部2を形成する前後壁部21、22と底部折込部3を形成する前後折込部片31、32とを、一枚の包装材から形成することもできるし、また、前記胴部2を形成する前後壁部21、22と前記底部折込部3を形成する前後折込部片31、32とを別包装材で形成することもできるが、いずれの場合にしても、易剥離性を有する張出熱接着部5を形成する方法としては、前記張出熱接着部5を形成する前記前後壁部21、22のいずれの内面にも、たとえば、エチレン−酢酸ビニル共重合体系樹脂や塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレン等の変性ポリオレフィン系樹脂、あるいは、ポリプロピレン系樹脂とポリエチレン系樹脂とオレフィン系共重合体ゴムとの混合樹脂等で熱接着性樹脂層を設けてこの熱接着性樹脂層同士を熱接着させることにより、熱接着させた界面や層間で易剥離性を得るように構成するのが適当である。しかし、本発明の咬合具付きスタンディングパウチ1は、食品が冷蔵や冷凍状態で保存されると共に、この状態で直接電子レンジにより加熱調理されるものであり、耐寒性や耐熱性が要求されると共に、油分を含んだ食品も収納されることから耐油性も必要であり、こういった点を考慮すると、ポリプロピレン系樹脂とポリエチレン系樹脂とオレフィン系共重合体ゴムとの混合樹脂からなる熱接着性樹脂層で前記前後壁部21、22のいずれの内面も形成するのが好ましい。
【0016】
前記混合樹脂のポリプロピレン系樹脂としては、たとえば、結晶性プロピレンランダム共重合体であって、プロピレンとエチレン、ブテンー1、ペンテンー1、ヘキセンー1、3ーメチルブテンー1、4ーメチルペンテンー1、オクテンー1などのαーオレフィンとのランダム共重合体などが挙げられ、なかでも結晶性プロピレンーエチレンランダム共重合体が好ましい。なお、ランダム共重合体としては、多段重合で得られるホモポリプロピレンとの混合物であっても構わない。
【0017】
また、前記混合樹脂のポリエチレン系樹脂としては、たとえば、高圧法低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレンおよび高密度ポリエチレン等のいずれのエチレン単独重合体を使用することができる他に、プロピレン、ブテンー1、ペンテンー1、ヘキセンー1、3ーメチルブテンー1、4ーメチルペンテンー1、オクテンー1などのαーオレフィン、または、酢酸ビニルとの結晶性、あるいは、低結晶性ないし非結晶性のランダムもしくはブロック共重合体、あるいは、これらの混合物などを用いることができるが、なかでも高圧法低密度ポリエチレンが好ましい。
【0018】
また、前記混合樹脂のオレフィン系共重合体ゴムとしては、たとえば、エチレン、プロピレン、ブテンー1、ヘキセンー1、4ーメチルペンテンー1等のモノオレフィンのうちの2種、または、3種以上のモノオレフィン共重合体ゴム、並びに、上記モノオレフィンの2種とジシクロペンタジエン、1、4ーヘキサジエン、シクロオクタジエン、メチレンノルボルネン、エチリデンノルボルネン等の非共役ジオレフィン、または、ブタジエン、イソプレン等の共役ジオレフィンとの共重合体ゴムを用いることができるが、なかでもエチレンプロピレン共重合体ゴム、エチレンブテン共重合体ゴム、プロピレンブテン共重合体ゴムが好ましい。
【0019】
また、前記前後壁部21、22の内面を形成する前記熱接着性樹脂層は、上記したようにポリプロピレン系樹脂とポリエチレン系樹脂とオレフィン系共重合体ゴムとの混合樹脂からなるものであるが、この混合樹脂の各組成物の配合割合は、混合樹脂100 重量%に対して、ポリプロピレン系樹脂は45〜65重量%、ポリエチレン系樹脂は35〜55重量%、オレフィン系共重合体ゴムは2〜5重量%の範囲で用いるのが適当である。このような範囲で配合された前記熱接着性樹脂層は、前記熱接着性樹脂層同士を熱接着した界面が、概ね700 〜2000g/15mm巾の接着強度を有す易剥離性を有する界面として構成される。
【0020】
また、前記前後壁部21、22の内面を上記混合樹脂からなる熱接着性樹脂層のみで形成する場合の厚さとしては20〜60μmが適当であり、好ましくは25〜50μmである。また、必要に応じて、前記前後壁部21、22の内面は上記混合樹脂からなる熱接着性樹脂層のみで形成する以外に、前記熱接着性樹脂層の支持体として、ホモポリプロピレンないし結晶性プロピレンランダム共重合体等を用い、前記支持体と前記混合樹脂とを共押し出ししたものであってもよく、その場合の前記混合樹脂の厚さと前記支持体の厚さは食品の種類等により適宜選択すればよい。このように前記支持体と前記混合樹脂とを共押し出ししたもので前記前後壁部21、22の内面を形成することにより、前記混合樹脂のみで前記前後壁部21、22の内面を形成する場合に比べてコストを安価にすることができる。
【0021】
次に、前記前後壁部21、22の外面を形成する材質としては、咬合具付きスタンディングパウチ1を構成する基本素材となることから、機械的、物理的、化学的等において優れた性質を有する合成樹脂からなるフィルムを用いることができ、たとえば、ポリエステル系、ポリアミド系、ポリプロピレン系、ポリカーボネート系、ポリアセタール系等の樹脂からなるフィルムを用いることができるし、また、セロハン、合成紙なども用いることができる。また、前記外面を形成するフィルムは、該フィルムの内面側に一般的には印刷が施されることが多いために、前記外面を形成するフィルムは印刷適性が求められ、2軸方向に延伸した延伸フィルムが好適である。このフィルムの厚さとしては基本素材としての強度、剛性などについて必要最低限に保持され得る厚さであればよく、コストを考慮すると12〜30μm程度が適当である。また、前記フィルムは、必要に応じてポリ塩化ビニリデンが塗工されたフィルムや酸化珪素、酸化アルミニウム等の無機物の蒸着層が形成されたフィルムとしてバリアー性を有する構成としてもよい。
【0022】
さらに、本発明においては、前記内面を形成する熱接着性樹脂層と前記外面を形成する合成樹脂からなるフィルムの間に中間層を設けてもよく、この中間層は通常前記内面を形成する熱接着性樹脂層と前記外面を形成する合成樹脂からなるフィルムだけではパウチとしての機能を十分に果たすことができない場合等に設けられる。前記機能としては、気体遮断性、機械的強靱性、耐屈曲性、耐突き刺し性、耐衝撃性、耐磨耗性、耐寒性、耐熱性、耐薬品性等であり、パウチとして要求されるこれらの最終的な機能を中間層を設けることで達成するものである。該中間層として用いられる基材としては、たとえば、ポリエチレンテレフタレート、ポリアミド、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、ポリカーボネート、ポリビニルアルコール、エチレンープロピレン共重合体、エチレンー酢酸ビニル共重合体ケン化物等のフィルムあるいはこれらにポリ塩化ビニリデンを塗工したフィルムないしは酸化珪素、酸化アルミニウム等の無機物の蒸着を施したフィルムあるいはポリ塩化ビニリデン等のフィルム、あるいは、紙、セロハン、合成紙、不織布などを用いることができる。また、これら基材の一種ないしそれ以上を組み合わせて使用することができる。尚、上記基材の厚さとしては、パウチとして要求される機能を満たすことができればよいのであって、必要に応じて適宜に選ぶことができる。
【0023】
また、本発明の咬合具付きスタンディングパウチ1の前記胴部2を形成する前後壁部21、22と前記底部折込部3を形成する前後折込部片31、32とを別包装材で形成する場合、前記底部折込部3を形成する前後折込部片31、32の前記胴部2を形成する前後壁部21、22の内面と熱接着して前記底部前側熱接着部61と前記底部後側熱接着部62を形成する面(内面)は、前記胴部2を形成する前後壁部21、22の内面がポリプロピレン系樹脂とポリエチレン系樹脂とオレフィン系共重合体ゴムとの混合樹脂で形成されていることと、耐寒性、耐熱性、耐油性が要求されることから、プロピレンとエチレン、ブテンー1、ペンテンー1、ヘキセンー1、3ーメチルブテンー1、4ーメチルペンテンー1、オクテンー1などのαーオレフィンとのランダム共重合体などの熱接着性樹脂層が適当である。
【0024】
また、前記底部折込部3を形成する前後折込部片31、32についても、前記胴部を形成する前記前後壁部21、22と同様に、前記前後壁部21、22で説明した材質、あるいは、基材からなる外面、中間層を設けることができる。また、このように前記胴部2を形成する前後壁部21、22と前記底部折込部3を形成する前後折込部片31、32とを別包装材で形成する場合、前記底部折込部3を形成する前後折込部片31、32は前記内面を形成する熱接着性樹脂層のみからなるものであっても構わない。
【0025】
図3は本発明の咬合具付きスタンディングパウチの第2の実施形態の平面図、図4は図3のYーY線の断面図であって、咬合具付きスタンディングパウチ1’は、図1、2に示した本発明の第1の実施形態の咬合具付きスタンディングパウチ1の略台形状の張出熱接着部5と該張出熱接着部5内に前記対向する前後壁部21、22を貫通して設けた複数の略円形状の切欠6にかえて、前記咬合具付きスタンディングパウチ1の胴部2に該胴部2の前記両側端部に垂直な方向全幅に亘って外側に突出する三方(辺)が熱接着部70で略コの字状に閉じられ、他の一方(辺)が内部と連通するように前記胴部2を形成する前記前壁部21に袋状に形成した突出部7を設け、該袋状突出部7内の前記内部と連通する一辺に対向する略コの字状の熱接着部70の内縁に連接して内側に張り出して熱接着された易剥離性を有する略台形状の張出熱接着部5’が形成されると共に、前記張出熱接着部5’内に略長円状の未接着部8が設けられ、該未接着部8に前記袋状突出部7を貫通するI字状の切刃9が設けられている以外は第1の実施形態の咬合具付きスタンディングパウチ1と同じである。
【0026】
この咬合具付きスタンディングパウチ1’についても、第1の実施形態で示した咬合具付きスタンディングパウチ1と同様に、一枚の包装材から形成することができるし、また、複数枚の別包装材を用いて製袋加工することでも形成することもできるが、いずれの形成方法を採る場合であっても、易剥離性を有する前記張出熱接着部5’は、第1の実施形態で説明した張出熱接着部5と同じ構成にする必要があることは言うまでもないことである。
【0027】
次に、本発明の咬合具付きスタンディングパウチの使用方法について、第2の実施形態を例に挙げて説明する。
まず、図3に示す咬合具付きスタンディングパウチ1’の咬合具4の咬み合わせを外して開口部を開き、調理した食品、たとえば、調理した「おでん」の具と出汁を開口部から投入し、パウチ1’内の空気を抜きながら、前記咬合具4を咬み合わせて開口部を閉塞して冷蔵庫に保存する。「おでん」が収納されたパウチ1’は、咬合具4により密封された状態で冷蔵保存されるために、冷蔵庫内でパウチ1’が倒れても出汁がこぼれることがないために空きスペースに自由な状態で保存することができ、冷蔵庫内を有効に利用することができる。次に、パウチ1’に収納されて冷蔵状態に保存された「おでん」を冷蔵庫から取り出して再度電子レンジを用いて加熱調理する場合、鍋等の加熱容器に移し替える必要もなく、また、咬合具の咬み合わせを外す必要もなく、冷蔵庫から取り出した状態のままで直接電子レンジで加熱調理することができ、電子レンジで加熱調理中に発生する蒸気等により内部圧力Fが高まると、図5(a)に示すようにパウチ1’はパンパンに膨れた状態になる一方で、内部圧力Fによりパウチ1’の袋状突出部7に設けた張出熱接着部5’がパウチ1’の内側に張り出して形成されているために該張出熱接着部5’の先端の該張出熱接着部5’を構成する熱接着性樹脂層同士を熱接着した界面から剥離し始め、最終的には図5(b)に示すように、剥離が前記未接着部8に到達すると、前記未接着部8に設けられた切刃9から内部圧力Fを逃がし、パウチ1’の破袋が防止されると共に、内部圧力Fによって前記張出熱接着部5’に生じた剥離が前記未接着部8に到達するまでの間、パウチ1’に収納された食品、この場合は「おでん」を蒸らすことができるために、より良い食味を得ることができる。そして、加熱調理完了後に、パウチ1’の咬合具の咬み合わせを外して開口部を開いて、「おでん」の具と出汁を容器等に盛りつけて喫食する。なお断っておくが、図5において、調理した「おでん」の具と出汁は図示しなかった。
【0028】
なお、今まで説明した第1、第2の実施形態においては、張出熱接着部を略台形状としたが、これに限ることはなく、要するに内部圧力がかかり易いようにパウチの内側に張り出すように設けられている形状であれば、半円状、楕円状、多角状等いずれの形状であってもよい。張出熱接着部に設けた切欠、切刃はいずれも前記張出熱接着部を構成する対向する前後壁部21、22ないし袋状突出部7を貫通するように設けたが、対向する前後壁部21、22のいずれか一方、あるいは、袋状突出部7を構成するいずれか一方の包装材に設けてもよい。また、第1の実施形態に第2の実施形態の張出熱接着部と未接着部と切刃を設けてもよいし、その逆であってもよい。また、切欠や切刃、未接着部の形状についても色々な形状のものを用いることができ、要するに電子レンジで加熱したときに発生する内部圧力を外部へ逃がすことができるように設けられているものであれは、いかなる形状であってもよい。また、切欠6や切刃9、未接着部8の個数についても任意である。
【0029】
【発明の効果】
本発明の咬合具付きスタンディングパウチは、今まで縷々説明してきたように、各種食品を冷蔵庫や冷凍庫で密封保存できると共に、このものを密封した状態のままで電子レンジにより加熱調理することができるという効果を奏するものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明にかかる咬合具付きスタンディングパウチの第1の実施形態の平面図である。
【図2】 図1のXーX線の断面図である。
【図3】 本発明の咬合具付きスタンディングパウチの第2の実施形態の平面図である。
【図4】 図3のYーY線の断面図である。
【図5】 図4に対応する加熱調理途中の概略説明図である。
【符号の説明】
1,1' 咬合具付きスタンディングパウチ
2 胴部
3 底部折込部
4 咬合具
5,5’ 張出熱接着部
6 切欠
7 袋状突出部
8 未接着部
9 切刃
21,22 壁部
30 切欠部
31,32 折込部片
50,61,62,70 熱接着部

Claims (3)

  1. 底部に内側に折り込まれた底部折込部を有し、天部側内面に開口部を開閉するための互いに咬み合う合成樹脂製の咬合具を設け、両側端部と前記底部とを熱接着し、前記底部折込部を開くことにより自立するように構成した咬合具付きスタンディングパウチにおいて、
    前記咬合具と前記底部折込部との間の前記熱接着した両側部の内縁の少なくとも1箇所に、当該内縁に連接して内側に張り出して熱接着された易剥離性を有する張出熱接着部を備え、前記張出熱接着部内に未接着部が設けられ、該未接着部内に未接着部の形状よりも小さく且つ未接着部の外側周縁を残した形状とした切目もしくは切欠が形成されていることを特徴とする咬合具付きスタンディングパウチ。
  2. 底部に内側に折り込まれた底部折込部を有し、天部側内面に開口部を開閉するための互いに咬み合う合成樹脂製の咬合具を設け、両側端部と前記底部とを熱接着し、前記底部折込部を開くことにより自立するように構成した咬合具付きスタンディングパウチにおいて、該咬合具付きスタンディングパウチの胴部に該胴部の前記両側端部に垂直な方向全幅に亘って外側に突出する三方が閉じられ一方が内部と連通するように袋状に構成された突出部が設けられ、該突出部内の内側周縁部の少なくとも1箇所に前記内側周縁部から内側に張り出して熱接着された易剥離性を有する張出熱接着部を備え、該張出熱接着部内に切目ないし切欠が形成されていることを特徴とする咬合具付きスタンディングパウチ。
  3. 前記張出熱接着部内に未接着部が設けられ、該未接着部に切目もしくは切欠が形成されていることを特徴とする、請求項2記載の咬合具付きスタンディングパウチ。
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