JP4330096B2 - 樹脂組成物、そのフィルム及びその硬化物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、液晶ディスプレイ等のカラーフィルターに用いられる、画像形成用、オーバーコート用及びスペーサー用樹脂組成物、そのフィルム及び硬化物に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、液晶ディスプレイ等のカラーフィルター、ブラックマトリックス、オーバーコート及びスペーサー等を形成する際、高分子バインダー、光重合性モノマー及び光重合開始剤等のから成る樹脂組成物が用いられてきた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
近年、液晶ディスプレイ等の普及に伴い、カラーフィルター等の構成部材の生産性の向上及びコストダウンが求められており、カラーフィルター、ブラックマトリックス、オーバーコート及びスペーサー等の形成プロセスも、短時間での形成、歩留まりの向上が求められている。
【0004】
【課題を解決するための手段】
上記問題点を解決するため、本発明は、
(1)分子中に少なくとも2個以上のエポキシ基を有するエポキシ樹脂(a)と1分子中に不飽和2重結合とカルボキシル基を1つずつ有する化合物(b)と任意成分として飽和モノカルボン酸(c)との反応物であるエポキシ(メタ)アクリレートと必要に応じて多塩基酸無水物(d)を反応させた不飽和基含有樹脂(A)、希釈剤(B)、光重合開始剤(C)を含むことを特徴とする、液晶ディスプレイ等のカラーフィルター用である樹脂組成物、
(2)顔料(D)を含むことを特徴とする上記(1)記載の樹脂組成物、
(3)請求項2記載の樹脂組成物を製膜したときの、波長380〜780nmにおける透過光の色度が、Y=20.0のとき、0.550≦x≦0.650、0.300≦y≦0.400である赤色樹脂組成物、
(4)上記(2)記載の樹脂組成物を製膜したときの、波長380〜780nmにおける透過光の色度が、Y=50.0のとき、0.250≦x≦0.350、0.500≦y≦0.600である緑色樹脂組成物、
(5)上記(2)記載の樹脂組成物を製膜したときの、波長380〜780nmにおける透過光の色度が、Y=20.0のとき、0.100≦x≦0.200、0.100≦y≦0.200である青色樹脂組成物、
(6)上記(2)記載の樹脂組成物を製膜したときの、波長380〜780nmにおける透過光の色度が、Y=90.0のとき、0.350≦x≦0.500、0.350≦y≦0.500である黄色樹脂組成物、
(7)上記(2)記載の樹脂組成物を製膜したときの、波長380〜780nmにおける透過光の色度が、Y=50.0のとき、0.300≦x≦0.400、0.150≦y≦0.300であるマゼンタ色樹脂組成物、
(8)上記(2)記載の樹脂組成物を製膜したときの、波長380〜780nmにおける透過光の色度が、Y=50.0のとき、0.150≦x≦0.250、0.200≦y≦0.300であるシアン色樹脂組成物、
(9)上記(2)記載の樹脂組成物を製膜したときの、波長380〜780nmにおける透過光の色度が、Y=0.1のとき、0.250≦x≦0.400、0.200≦y≦0.400である黒色樹脂組成物、
(10)上記(2)記載の樹脂組成物を製膜したときの、波長380〜780nmにおける透過率が、膜厚1μmのとき、90%以上である樹脂組成物、
(11)カラーフィルターの赤色部である上記(1)ないし(3)記載の樹脂組成物、
(12)カラーフィルターの緑色部である上記(1),(2),(4)記載の樹脂組成物、
(13)カラーフィルターの青色部である上記(1),(2),(5)記載の樹脂組成物、
(14)カラーフィルターの黄色部である上記(1),(2),(6)記載の樹脂組成物、
(15)カラーフィルターのマゼンタ色部である上記(1),(2),(7)記載の樹脂組成物、
(16)カラーフィルターのシアン色部である上記(1),(2),(8)記載の樹脂組成物、
(17)カラーフィルターの黒色部である上記(1),(2),(9)記載の樹脂組成物、
(18)カラーフィルターのオーバーコートである上記(1),(2),(10)記載の樹脂組成物、
(19)液晶ディスプレイ装置のスペーサーである上記(1),(2),(10)記載の樹脂組成物、
(20)上記(1)ないし(19)記載の樹脂組成物からなるフィルム、
(21)上記(1)ないし(20)記載の樹脂組成物及びフィルムの硬化物、
(22)上記(21)記載の硬化物を有する液晶ディスプレイ用カラーフィルター、
に関する。
【0005】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明で用いる樹脂(A)は、1分子中に2個以上のエポキシ基を有する化合物(a)と1分子中に不飽和2重結合とカルボキシル基を1つずつ有する化合物(b)及び必要に応じて飽和カルボン酸(c)を反応させ、必要に応じて多塩基酸無水物(d)を反応させて得られる樹脂である。
【0006】
1分子中に2個以上のエポキシ基を有する化合物(a)の具体例としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(例えば、油化シェルエポキシ(株)製、エピコート828、エピコート1001、エピコート1002、エピコート1004等)、ビスフェノールA型エポキシ樹脂のアルコール性水酸基とエピクロルヒドリンの反応により得られるエポキシ樹脂(例、日本化薬(株)製、NER−1302、エポキシ当量323、軟化点76℃)、ビスフェノールF型樹脂(例、油化シェルエポキシ(株)製、エピコート807、EP−4001、EP−4002、EP−4004等)、ビスフェノールF型エポキシ樹脂のアルコール性水酸基とエピクロルヒドリンの反応により得られるエポキシ樹脂(例、日本化薬(株)製、NER−7406、エポキシ当量350、軟化点66℃)、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ビフェニルグリシジルエーテル(例、油化シェルエポキシ(株)製、YX−4000)、フェノールノボラック型エポキシ樹脂(例、日本化薬(株)製、EPPN−201、油化シェルエポキシ(株)製、EP−152、EP−154、ダウケミカル(株)製、DEN−438)、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂(例、日本化薬(株)、EOCN−102S、EOCN−1020、EOCN−104S)、トリグリシジルイソシアヌレート(日産化学(株)製、TEPIC)、トリスフェノールメタン型エポキシ樹脂(日本化薬(株)製、EPPN−501、EPN−502,EPPN−503)、フルオレンエポキシ樹脂(例、新日鐵化学(株)製、カルドエポキシ樹脂、ESF−300)、脂環式エポキシ樹脂(ダイセル化学工業(株)製、セロキサイド2021P、セロキサイドEHPE)等が挙げられる。
【0007】
(a)の他の例としては共重合型エポキシ樹脂が挙げられる。
共重合型のエポキシ樹脂としては、例えばグリシジル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロイルメチルシクロヘキセンオキサイド、ビニルシクロヘキセンオキサイドなどとこれら以外の1官能エチレン性不飽和基含有化合物(例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸、スチレン、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、α−メチルスチレン、
グリセリンモノ(メタ)アクリレート、
一般式(1)
【0008】
【化1】
【0009】
(式中R1 は水素、又はエチル基、R2 は水素又はC1〜C6のアルキル基であり、nは2〜23の整数である)から選ばれる一種又は二種以上とを反応させて得られた共重合体が挙げられる。具体的には日本油脂(株)製、CP−15、CP−30、CP−50、CP−20SA、CP−510SA、CP−50S、CP−50M、CP−20MA等)が例示される。又式(1)の化合物としては例えばジエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート等のポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、メトキシジエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、メトキシトリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、メトキシテトラエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、等のアルコキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート等が挙げられる
【0010】
上記共重合型エポキシ樹脂の分子量は約1000〜200000が好ましい。グリシジル(メタ)アクリレートの使用量は、共重合型エポキシ樹脂に使用する不飽和単量体全量に対して10〜70重量%が好ましく、特に好ましくは20〜50重量%である。
【0011】
水で現像が可能なタイプの共重合型エポキシ樹脂を得る場合、グリセリンモノ(メタ)アクリレート及び/又は一般式(1)の化合物は、重合体に使用する不飽和単量体全量に対して30重量%以上、特に好ましくは50重量%以上を配合するのが望ましい。
【0012】
前記共重合型エポキシ樹脂は、公知の重合方法、例えば、溶液重合やエマルジョン重合等によって得られる。溶液重合を用いる場合について説明すれば、エチレン性不飽和単量体混合物を、適用な有機溶剤中で重合開始剤を添加して窒素気流下に好ましくは50〜100℃で加熱攪拌する方法によって重合させる。前記有機溶剤としては、例えば、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール、2−ブタノール、ヘキサノール、エチレングリコール等のアルコール類、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、セロソルブ、ブチルセロソルブ等のセロソルブ類、カルビトール、ブチルカルビトール等のカルビトール類、プロピレングリコールメチルエーテル等のプロピレングリコールアルキルエーテル類、ジプロピレングリコールメチルエーテル等のポリピロピレングリコールアルキルエーテル類、酢酸エチル、酢酸ブチル、セロソルブアセテート、プロピレングリコールモノメチルアセテート等の酢酸エステル類、乳酸エチル、乳酸ブチル等の乳酸エステル類、ジアルキルグリコールエーテル類等が挙げられる。これらの有機溶剤は単独又は混合して用いることかできる。
【0013】
重合開始剤としては、例えば、過酸化ベンゾイル等の過酸化物、アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ化合物を用いることができる。
【0014】
1分子中に不飽和2重結合とカルボキシル基を1つずつ有する化合物(b)としては、(メタ)アクリル酸、水酸基含有(メタ)アクリレート(例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールモノ(メタ)アクリレート等)と多カルボン酸化合物の酸無水物(例えば、無コハク酸、無水マレイン酸、無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸等)の反応物であるハーフエステルが例示される。
【0015】
飽和モノカルボン酸(c)の具体例としては、例えば、酢酸、プロピオン酸、ピバリン酸、ヒドロキシピバリン酸、ジメチロールプロピオン酸、安息香酸、ヒドロキシ安息香酸等を挙げることができる。
【0016】
上記エポキシ樹脂(a)のエポキシ基1当量に対して化合物(b)と任意成分としての飽和モノカルボン酸(c)は0.5〜1.1当量を反応させるのが好ましい。又、必要に応じて反応溶剤を用いてもよく、例えば、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール、2−ブタノール、ヘキサノール、エチレングリコール等のアルコール類、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、セロソルブ、ブチルセロソルブ等のセロソルブ類、カルビトール、ブチルカルビトール等のカルビトール類、プロピレングリコールメチルエーテル等のプロピレングリコールアルキルエーテル類、ジプロピレングリコールメチルエーテル等のポリピロピレングリコールアルキルエーテル類、酢酸エチル、酢酸ブチル、セロソルブアセテート、プロピレングリコールモノメチルアセテート等の酢酸エステル類、乳酸エチル、乳酸ブチル等の乳酸エステル類、ジアルキルグリコールエーテル類等が挙げられる。これらの有機溶剤は単独又は混合して用いることかできる。
【0017】
反応を促進させるために反応触媒としてトリフェニルホスフィン、トリフェニルスチビン、トリエチルアミン、トリエタノールアミン、テトラメチルアンモニウムクロライド、ベンジルトリエチルアンモニウムクロライド、等の塩基性化合物を反応液中に0.1〜1%添加するのが好ましい。反応中、重合を防止するために重合禁止剤(例えば、メトキシフェノール、メチルハイドロキノン、ハイドロキノン、フェノチアジン等)を反応液中、0.05〜0.5%添加するのが好ましい。反応温度は、90〜150℃、反応時間は、5〜40時間が好ましい。
【0018】
必要に応じて、このようにして得られたエポキシ(メタ)アクリレートの水酸基1当量に対して多カルボン酸化合物の酸無水物(d)(例えば、無コハク酸、無水マレイン酸、無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸等)を好ましくは無水物基0.2〜1.0当量反応させることができる。反応温度は、90〜150℃、反応時間は、3〜30時間が好ましい。
【0019】
本発明では希釈剤(B)を使用する。(B)成分の具体例としては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールモノ(メタ)アクリレート、カルビトール(メタ)アクリレート、アクリロイルモルホリン、水酸基含有(メタ)アクリレート(例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールモノ(メタ)アクリレート等)と多カルボン酸化合物の酸無水物(例えば、無コハク酸、無水マレイン酸、無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸等)の反応物であるハーフエステル,ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンポリエトキシトリ(メタ)アクリレート、グリセンポリプロポキシトリ(メタ)アクリレート、ヒドロキシビバリン酸ネオペングリコールのε−カプロラクトン付加物のジ(メタ)アクリレート(例えば、日本化薬(株)製、KAYARAD HX−220、HX−620、等)、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールとε−カプロラクトンの反応物のポリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールポリ(メタ)アクリレート、モノ又はポリグリシジル化合物(例えば、ブチルグリシジルエーテル、フェニルグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、ヘキサヒドロフタル酸ジグリシジルエステル、グリセリンポリグリシジルエーテル、グリセリンポリエトキシグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンポリエトキシポリグリシジルエーテル、等)と(メタ)アクリル酸の反応物であるエポキシ(メタ)アクリレート、等の反応性希釈剤(B−1)、エチレングリコールモノアルキルエーテル類、エチレングリコールジアルキルエーテル類、ジエチレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類、エチレングリコールモノアリールエーテル類、ポリエチレングリコールモノアリールエーテル類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類、酢酸エステル、酢酸ブチル等のエステル類、トルエン、キシレン、ベンジルアルコール等の芳香族炭化水素類、プロピレングリコールモノアルキルエーテル類、ジプロピレングリコールジアルキルエーテル類、プロピレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、γ−ブチロラクトン、ソルベントナフサ等の有機溶剤類(B−2)等を挙げることができる。希釈剤は、単独で用いても良く、2種類以上を混合して用いても良い。
【0020】
光重合開始剤(C)の具体例としては、例えば、2,4−ジエチルチオキサントン、2−クロロクチキキサントン、イソプロピルチオキサントン、2−メチル−1−〔4−(メチルチオ)フェニル〕−2−モルフォリノ−プロパン−1,2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−1−ブタノン、4−ベンゾイル−4′−メチルジフェニルスルフィド、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、ミヒラーズケトン、ベンジルジメチルケタール、2−エチルアンスラキノン等を挙げることができる。又、これら光重合開始剤(B)の促進剤としての光重合促進剤(例えば、N,N−ジメチルアミノ安息香酸エチルエステル、N,N−ジメチルアミノ安息香酸イソアミルエステル等のアミン類)を併用することもできる。
【0021】
顔料(D)の具体例としては、カラーフィルター用顔料として、黄色顔料、橙色顔料、赤色顔料、紫色顔料、青色顔料、緑色顔料、茶色顔料が挙げられ、カラーインデックス(C.I.)ナンバーで、黄色顔料;C.I.20,24,83,86,93,109,110,117,125,137,138,147,148,153,154,166,168、橙色顔料;C.I.36,43,51,55,59,61、赤色顔料;C.I.5,9,97,122,123,149,168,177,180,192,215,216,217,220,223,224,226,227,228,240、紫色顔料;C.I.19,23,29,30,37,40,50、青色顔料;C.I.15,16,22,60,64、緑色顔料;C.I.7,36、茶色顔料;23,25,26等が例示される。カラーフィルター黒色部顔料としては、カーボンブラック、チタンブラック、酸化クロム、酸化鉄、アニリンブラック、ペリレン系顔料が挙げられ、2種以上を混合することもできる。
【0022】
本発明の樹脂組成物は、(A)、(B)、(C)及び(D)の各成分を溶解、混合、混練することにより調製することができる。本発明の樹脂組成物中、各成分の使用割合は以下のようにすることができる(%は重量%)。
(A)+(B−1)+(C)の合計した使用量は組成物に対して5〜99.9%が好ましく、特に好ましくは40〜99%である。(D)成分は、組成物中、0.1〜95%が好ましく、特に好ましくは1〜60%である。(A)+(B−1)+(C)の合計量の中に占める各成分の好ましい使用量は、(A)成分の使用量は、30〜90%、(B−1)成分の使用量は、5〜65%、(C)成分の使用量は、5〜30%である。有機溶剤(B−2)の使用量は、本発明の組成物を使用するために適当な粘度調整等の目的のために任意の割合で使用することができる。
【0023】
本発明では、熱硬化成分(E)を使用することができる。これを用いることにより、耐熱性等を更に向上させることができる。熱硬化成分(E)としては、エポキシ樹脂、メラミン化合物、オキサゾリン化合物、フェノール化合物などを挙げる事ができる。エポキシ樹脂としては、具体的には、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、フェノール・ノボラック型エポキシ樹脂、クレゾール・ノボラック型エポキシ樹脂、トリスフェノールメタン型エポキシ樹脂、臭素化エポキシ樹脂、ビフェノール型エポキシ樹脂などのグリシジルエーテル類;3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキサンカルボキシレート、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、1−エポキシエチル−3,4−エポキシシクロヘキサンなどの脂環式エポキシ樹脂;フタル酸ジグリシジルエステル、テトラヒドロフタル酸ジグリシジルエステル、ダイマー酸グリシジルエステルなどのグリシジルエステル類;テトラグリシジルジアミノジフェニルメタンなどのグリシジルアミン類;トリグリシジルイソシアヌレートなどの複素環式エポキシ樹脂などが挙げられる。なかでも、融点が50℃以上のエポキシ樹脂が乾燥後タックのない光重合性皮膜を形成することができ好ましい。
【0024】
メラミン化合物としては、メラミン、メラミンとホルマリンとの重縮合物であるメラミン樹脂が挙げられる。尿素化合物としては、尿素、尿素とホルマリンの重縮合物である尿素樹脂などが挙げられる。
【0025】
オキサゾリン化合物としては、2−オキサゾリン、2−メチル−2−オキサゾリン、2−フェニル−2−オキサゾリン、2,5−ジメチル−2−オキサゾリン、5−メチル−2−フェニル−2−オキサゾリン、2,4−ジフェニルオキサゾリン等が挙げられる。
フェノール化合物としては、例えば、フェノール、クレゾール、キレノール、カテコール、レゾルシン、ハイドロキノン、ピロガロール、レゾールなどが挙げられる。
【0026】
また、上記熱硬化成分(E)としてエポキシ樹脂を使用する場合は、硬化促進剤を用いることが好ましい、エポキシ樹脂の硬化促進剤として、具体的には、2−メチルイミダゾール、2−エチル−3−メチルイミダゾール、2−ウンデシルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、1−シアノエチル−2−エチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−ウンデシルイミダゾール、等のイミダゾール化合物;メラミン、グアナミン、アセトグアナミン、ベンゾグアナミン、エチルジアミノトリアジン、2,4−ジアミノトリアジン、2,4−ジアミノ−6−トリルトリアジン、2,4−ジアミノ−6−キシリルトリアジン等のトリアジン誘導体;トリメチルアミン、トリエタノールアミン、N,N−ジメチルオクチルアミン、ピリジン、m−アミノフェノール等の三級アミン類;ポリフェノール類などが挙げられる。これらの硬化促進剤は単独または併用して使用する事が出来る。これら熱硬化成分(E)や硬化促進剤は、、(A)+(B)+(C)+(D)の合計100%に対して、5〜100%使用するのが好ましく、特に好ましくは10〜60%である。
【0027】
本発明では、更に必要に応じて各種の添加剤等を添加することができる。各種の添加剤としては、例えば、タルク、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、チタン酸バリウム、水酸化アルミニウム、酸化アルミニウム、シリカ、クレーなどの充填剤、アエロジルなどのチキソトロピー付与剤、、シリコーン、フッ素系のレベリング剤や消泡剤、染料、ハイドロキノン、P−メトキシフェノール、ハイドロキノンモノチルエーテル等の重合禁止剤カップリング剤、ワックス類等である。
【0028】
本発明の樹脂組成物は、前述のようにカラーフィルター用組成物、ブラックマトリックス用組成物、オーバーコート用組成物及びスペーサー用組成物等として用いることができ、これらは、スピンコート、スクリーン印刷、カーテンフローコート、スプレーコート等の方法により、各種基板(例えば、ガラス、セラミック及び金属等)上の全面に塗布される。塗布後、必要に応じて遠赤外線又は温風により50〜150℃程度にプリベークし、有機溶剤を除去した後、パターニングしたい部分だけ紫外線を通すようにしたネガマスクを用いて紫外線を露光する。紫外線の露光量としては10〜10000mJ/cm 2が好ましい。次に液温10〜60℃の水又は希アルカリ水溶液でスプレーなどの手段で現像を行ない、次いで、例えば、100〜300℃で0.5〜24時間、熱硬化しパターンを形成する。
【0029】
又、フィルムとして使用するときは本発明の樹脂組成物を、例えば、ワイヤーバー方式、ディッピング方式、スピンコート方式、グラビア方式及びドクターブレード方式等を用いて離型フィルム等に塗布し、必要に応じて遠赤外線又は温風により50〜150℃で乾燥し、さらに、必要に応じて離型フィルム等を張り付ける。使用時は、離型フィルムをはがして基板に転写し、上記と同様に露光、現像、熱硬化によりパターンを形成する。
本発明の顔料(D)を含む樹脂組成物において、透過光の色度は次のように測定される。すなわち、本発明の樹脂組成物をスピンコート法等の塗布法でガラス基板上に3点程度成膜し、JIS Z8722により、得られた基板を標準の光Cを用い、2度視野に基づくXYZ表色系にて、波長380〜780nmにおける透過光のY,x,y値をそれぞれ測定し、Y値に対しxおよびy値をプロットすることにより、それぞれの顔料(D)の有するY値に対してx,y値を外挿することで得られる。
【0030】
本発明の顔料(D)を含む樹脂組成物において、透過光の色度は次のように測定される。すなわち、本発明の樹脂組成物をスピンコート法等の塗布法でガラス基板上に3点程度成膜し、JIS Z8722により、得られた基板を標準の光Cを用い、2度視野に基づくXYZ表色系にて、波長380〜780nmにおける透過光のY,x,y値をそれぞれ測定し、Y値に対しxおよびy値をプロットすることにより、それぞれの顔料(D)の有するY値に対してx,y値を外挿することで得られる。
赤色樹脂組成物を製膜したときの好ましいY、x、yは、波長380〜780nmにおける透過光の色度が、Y=20.0のとき、0.550≦x≦0.650、0.300≦y≦0.400、緑色樹脂組成物を製膜したときの好ましいY、x、yは、波長380〜780nmにおける透過光の色度が、Y=50.0のとき、0.250≦x≦0.350、0.500≦y≦0.600、青色樹脂組成物を製膜したときの好ましいY、x、y波長380〜780nmにおける透過光の色度が、Y=20.0のとき、0.100≦x≦0.200、0.100≦y≦0.200、黄色樹脂組成物を製膜したときの好ましいY、x、y、波長380〜780nmにおける透過光の色度が、Y=90.0のとき、0.350≦x≦0.500、0.350≦y≦0.500、マゼンタ色樹脂組成物を製膜したときの好ましいY、x、yは、波長380〜780nmにおける透過光の色度が、Y=50.0のとき、0.300≦x≦0.400、0.150≦y≦0.300、シアン色樹脂組成物を製膜したときの好ましいY、x、y波長380〜780nmにおける透過光の色度が、Y=50.0のとき、0.150≦x≦0.250、0.200≦y≦0.300、黒色樹脂組成物を製膜したときの好ましいY、x、yは、波長380〜780nmにおける透過光の色度が、Y=0.1のとき、0.250≦x≦0.400、0.200≦y≦0.400、透明樹脂組成物を製膜したときの好ましい透過率は、波長380〜780nmにおいて、膜厚1μmのとき、90%以上である。
【0031】
【実施例】
以下、実施例により本発明を説明する。例中、部とは重量部を表す。
実施例1〜6
表1に示す組成にしたがってカラーフィルター用組成物、ブラックマトリックス用組成物、及びスペーサー用組成物を調製した。
得られた樹脂組成物をスピンコーターを用いてガラス基板上の全面に膜厚2μm(乾燥膜厚)で塗布し、80℃で3分間プリベークした後、ネガフィルム(ライン/スペ−ス=150μm/150μm)を接触させ超高圧水銀灯により200mJ/cm2照射し、次いで未露光部を0.5%炭酸ナトリウム水溶液(30℃)を用いてスプレー圧2kg/cm2で1分間現像した。現像後、空気中、200℃で1時間熱硬化し、カラーフィルター、ブラックマトリックス及びスペーサーパターンを形成した。現像性、現像後のパターンの状態、ガラス基板との密着性、色度及び透過率を評価した。
【0032】
合成例1
(反応物Aの合成例)
かくはん装置及び冷却管のついた丸底フラスコに、トリスフェノールメタン型エポキシ樹脂(日本化薬(株)製、EPPN−503、エポキシ当量200、軟化点83℃)200部、アクリル酸72部、メチルハイドロキノン0.2部及びプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート169.1部を仕込み、90℃に昇温、溶解した。ついで、60℃まで冷却しトリフェニルホスフィン1.2部を仕込み、95℃で32時間反応させた後、テトラヒドロ無水フタル酸112.6部を仕込み、95℃で15時間反応させ、固形分酸価(mgKOH/g)100の不飽和基含有ポリカルボン酸樹脂を得た。
【0033】
合成例2
(反応物(A)の合成例) かくはん装置及び冷却管のついた丸底フラスコに、共重合型エポキシ樹脂(日本油脂(株)製、ブレンマーCP−50M、エポキシ当量310、平均分子量6000)310部、アクリル酸72部、メチルハイドロキノン0.3部及びプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート244.5部を仕込み、60℃に昇温、溶解した。ついで、60℃まで冷却し、トリフェニルホスフィン1.8部を仕込み、95℃で32時間反応させた後、無水こはく酸70部を仕込み、95℃で15時間反応させ、固形分酸価(mgKOH/g)80の不飽和基含有ポリカルボン酸樹脂を得た。
【0034】
【0035】
注
*1 KAYARAD PEG400DA:ポリエチレングリコールジアクリレート(日本化薬(株)製)
*2 KAYARAD DPHA:ジペンタエリスリトールペンタ及びヘキサアクリレート(日本化薬(株)製)
*3 KAYARAD DPCA−60:カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(日本化薬(株)製)
*4 KAYACURE DETX−S:2,4−ジエチルチオキサントン(日本化薬(株)製)
*5 KAYACURE EPA:日本化薬(株)製、p−ジメチルアミノ安息香酸エチルエステル
*6 ニカラック MW−30M:メラミン樹脂((株)三和ケミカル製)
*7 CI ピグメントレッド 177
*8 CI ピグメントグリーン 36
*9 CI ピグメントブルー 15:6
【0036】
(現像性):有機溶剤系現像液で、液温40℃でスプレー圧2kg/cm 2で2分間現 像し、以下の様に評価した
○・・・・完全に現像できた
△・・・・わずかに残渣がある
×・・・・現像されない部分がある
−・・・・パターンの一部又は全部がはがれている
(現像後のパターンの状態):
○・・・・パターンは正確に維持されている
△・・・・パターンの幅が細くなっている
×・・・・パターン部分の一部または、全部剥がれている
(密着性):セロテープ剥離試験を行なった
○・・・・全く剥がれない
△・・・・極一部剥がれがある
×・・・・剥がれの部分が多い
(色度 Y、x、y)
JIS Z8722により、得られた基板を標準の光Cを用い、2度視野に基づくXYZ表色系にて、波長380〜780nmにおける透過光のY,x,y値をそれぞれ測定し、記載したY値に対してx,y値を外挿して求めた
(透過率)
波長380〜780nmにおける透過率の極小値
【0037】
実施例6
実施例3の樹脂組成物を乾燥後の膜厚が3μmになるように離型フィルムに塗布し、80℃で3分乾燥しフィルムを得た。このフィルムをガラス基板に転写し、ネガフィルムを接触させ超高圧水銀灯により200mJ/cm2照射し、次いで、未露光部を0.5%炭酸ナトリウム水溶液(30℃)でスプレー圧2kg/cm2で1分間現像した。現像後、空気中、200℃で1時間焼成し、隔壁パターンを形成した。現像性、現像後のパターンの状態、ガラス基板との密着性はすべて○であった。
【0038】
実施例1〜6及び比較例の結果から明らかなように、本発明の樹脂組成物、フィルム及びその硬化物は、現像性に優れ、現像後のパターン精度が良好で、密着性に優れている。
【0039】
【発明の効果】
本発明の樹脂組成物及びフィルムは、パターンを形成したフィルムを通して選択的に紫外線により露光し、未露光部分を現像することによるカラーフィルター、ブラックマトリックス及びスペーサーパターン等のパターン形成において、現像性に優れ、現像後のパターン精度が良好で、密着性に優れている。
Claims (6)
- 分子中に少なくとも2個以上のエポキシ基を有するエポキシ樹脂(a)と1分子中に不飽和2重結合とカルボキシル基を1つずつ有する化合物(b)と任意成分として飽和モノカルボン酸(c)との反応物であるエポキシ(メタ)アクリレートと必要に応じて多塩基酸無水物(d)を反応させた不飽和基含有樹脂(A)、希釈剤(B)、光重合開始剤(C)及び顔料(D)を含むことを特徴とする液晶ディスプレイ等のカラーフィルター用である樹脂組成物であって、該樹脂組成物を製膜したときの、波長380〜780nmにおける透過光の色度が、Y=90.0のとき、0.350≦x≦0.500、0.350≦y≦0.500である黄色樹脂組成物、又はY=50.0のとき、0.300≦x≦0.400、0.150≦y≦0.300であるマゼンタ色樹脂組成物、又はY=50.0のとき、0.150≦x≦0.250、0.200≦y≦0.300であるシアン色樹脂組成物、又はY=0.1のとき、0.250≦x≦0.400、0.200≦y≦0.400である黒色樹脂組成物。
- カラーフィルターの黄色部、マゼンタ色部、シアン色部又は黒色部である請求項1記載の樹脂組成物。
- カラーフィルターのオーバーコートに用いる請求項1又は2に記載の樹脂組成物。
- 液晶ディスプレイ装置のスペーサーに用いる請求項1又は2に記載の樹脂組成物。
- 請求項1ないし4のいずれか一項に記載の樹脂組成物からなるフィルム。
- 請求項1ないし4のいずれか一項に記載の樹脂組成物又は請求項5記載のフィルムの硬化物。
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