JP4792897B2 - エチレン性不飽和基及びカルボキシル基含有化合物、硬化性組成物、カラーフィルタ及び液晶表示装置 - Google Patents
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Description
本発明のエチレン性不飽和基及びカルボキシル基含有化合物は、下記一般式(I)で表されることを特徴とする。
ここで、脂環式環としてはシクロペンタン環、シクロヘキサン環、シクロヘキセン環、トリシクロデカン環等、芳香環としてはベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、フェナントレン環、アズレン環、フルオレン環、アセナフチレン環、ビフェニレン環、インデン環等、脂環式複素環、複素環としてはフラン環、チオフェン環、ピロール環、オキサゾール環、イソオキサゾール環、チアゾール環、イソチアゾール環、イミダゾール環、ピラゾール環、フラザン環、トリアゾール環、ピラン環、ピリジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、ピラジン環等が挙げられる。
また、R12として好ましいもの、更には有していても良い置換基として好ましいものは一般式(I)におけるR2,R6の説明で例示したものと同様である。
また、R13及びR14として好ましいものは一般式(I)におけるR3,R5及びR7の説明で例示したものと同様である。
以下に、本発明のエチレン性不飽和基及びカルボキシル基含有化合物の製造に用いられる各原料及び製造方法について説明する。
本発明において、エチレン性不飽和基含有カルボニルオキシ基を有する化合物(1)の製造に用いられるエポキシ基含有化合物(a)は、エポキシ当量が好ましくは400以下のものである。エポキシ当量が上記上限超過であると、例えばこれを用いて製造された化合物を含む硬化性組成物をカラーフィルタ用に用いた場合に、機械的特性が劣るなどの為、好ましくない。
上述のようなエポキシ基含有化合物(a)より得られるエチレン性不飽和基含有カルボキシル基を有する化合物(1)は、上述のエポキシ基含有化合物(a)を原料とした反応により、結果としてエチレン性不飽和基含有カルボニルオキシ基が形成されていれば、その製造方法は限定されるものではないが、具体的には、上述のエポキシ基含有化合物(a)に、エチレン性不飽和基含有カルボン酸類(b)を反応させる方法、或いは、上述のエポキシ基含有化合物にまずエチレン性不飽和基を含有しないカルボン酸類(c)を反応させた後に、続く反応によりエチレン性不飽和基含有カルボニルオキシ基を形成させる方法、例えば、生成した水酸基に反応する官能基を有する化合物(d)を反応させて、エチレン性不飽和基含有カルボニルオキシ基を形成させる方法、などを挙げる事が出来る。
本発明においては、得られる硬化性組成物の現像性の調整などの為、前記のエポキシ基含有化合物より得られるエチレン性不飽和基含有カルボニルオキシ基を有する化合物(1)に、場合によりイソシアネート基含有化合物(3)を反応させても良い。
本発明のエチレン性不飽和基及びカルボキシル基含有化合物は、前記のエポキシ基含有化合物(a)より得られるエチレン性不飽和基含有カルボニルオキシ基を有する化合物(1)に、場合により前述のイソシアネート基含有化合物(3)を反応させた後、4価以上のカルボン酸及び/又はその無水物を実質的に含まない多価カルボン酸及び/又はその無水物(2)を反応させることにより、得ることが出来る。
なお、酸解離定数は、Determination of Organic Structures by Physical Methods, Academic Press, New York, 1955 (Brown, H.C.ら)を参照することができる。
本発明において、多価カルボン酸及びその酸無水物(2)は1種を単独で用いても、2種以上を併用しても良い。
本発明のエチレン性不飽和基及びカルボキシル基含有化合物の具体的な製造方法を挙げるならば、例えば特開平4−355450号公報等に記載の従来公知の方法により、具体的には、前記エポキシ基含有化合物(a)をメチルエチルケトン、エチルセロソルブアセテート、ブチルセロソルブアセテート等の有機溶剤に溶解させ、トリエチルアミン、ベンジルジメチルアミン、トリベンジルアミン等の第3級アミン類、又は、テトラメチルアンモニウムクロライド、メチルトリエチルアンモニウムクロライド、テトラエチルアンモニウムクロライド、テトラブチルアンモニウムクロライド、トリメチルベンジルアンモニウムクロライド等の第4級アンモニウム塩類、トリフェニルホスフィン等の燐化合物、又は、トリフェニルスチビン等のスチビン類等の触媒の存在下、ハイドロキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル、メチルハイドロキノン等の熱重合禁止剤の共存下に、前記エチレン性不飽和基含有カルボン酸類(b)を、エポキシ基含有化合物(a)のエポキシ基の1化学当量に対して通常0.8〜1.5化学当量、好ましくは0.9〜1.1化学当量となる量で加え、通常60〜150℃、好ましくは80〜120℃の温度で付加反応させてエチレン性不飽和基含有カルボニルオキシ基を有する化合物(1)を得、引き続き、前記多価カルボン酸及び/又はその無水物(2)を、上記反応で生じた水酸基の1化学当量に対して通常0.05〜1.0化学当量、好ましくは0.5化学当量となる量で加えて、上記と同様の条件下で反応を続ける等の方法により製造することができる。またイソシアネート基含有化合物(3)を使用する場合には、例えば多価カルボン酸及び/又はその無水物(2)を反応させる前に、これらを同様の条件で反応させる方法が好ましく用いられる。
このようにして製造される本発明のエチレン性不飽和基及びカルボキシル基含有化合物は、前述の粘度変化率が0.7〜1.3であることが好ましい。粘度変化率が0.7未満であっても1.3を超えても、保存安定性に劣り、好ましくない。粘度変化率は0.8以上、特に0.9以上で、1.2以下、特に1.1以下であることが好ましい。
本発明の硬化性組成物は、上述のような本発明のエチレン性不飽和基及びカルボキシル基含有化合物を必須成分として含有し、必要に応じて、その他の樹脂、重合性モノマー、熱及び/又は光重合開始剤等を含有する。
また本発明の硬化性組成物は、通常は塗布−乾燥等の手段により基板上に樹脂組成物の層を形成させる為、溶剤に溶解或いは分散された状態で使用される。
なお、本発明における硬化性組成物とは、該硬化性組成物が溶剤に溶解或いは分散された状態、その溶剤成分を揮発除去した状態、及びその後熱及び/又は光等により硬化した状態のいずれをも示すものとする。
本発明の硬化性組成物中の本発明のエチレン性不飽和基及びカルボキシル基含有化合物の含有量は、本発明の硬化性組成物の全固形分に対して通常10重量%以上、好ましくは15重量%以上、更に好ましくは20重量%以上である。このエチレン性不飽和基及びカルボキシル基含有化合物の含有量が少なすぎると、十分な機械的特性が得られない場合があり、好ましくない。硬化性組成物中のエチレン性不飽和基及びカルボキシル基含有化合物の含有量の上限については特に制限はないが、硬化性組成物としての用途において、必要とされる他の成分の必要量を配合するために、通常90重量%、好ましくは85重量%以下である。
なお、本発明において「全固形分」とは、溶剤以外の全ての成分を意味する。
本発明の硬化性組成物に用いられるその他の樹脂としては、本発明のエチレン性不飽和基及びカルボキシル基含有化合物以外の化合物であって、公知のカラーフィルタ用樹脂組成物に用いられている樹脂等を用いる事が出来る。そのような樹脂としては、例えば、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリロニトリル、(メタ)アクリルアミド、マレイン酸、スチレン、酢酸ビニル、塩化ビニリデン、マレイミド等の単独又は共重合体、酸変性型エポキシアクリレート類、ポリアミド、ポリエステル、ポリエーテル、ポリウレタン、ポリビニルブチラール、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、アセチルセルロース等が挙げられるが、中で、アルカリ現像性等の面から、カルボキシル基含有ビニル系樹脂、カルボキシル基及びエポキシ基を含有する共重合体、酸変性型エポキシアクリレート類が好適である。
本発明の硬化性組成物は、重合性モノマーを含有することが好ましい。その重合性モノマーとしては、エチレン性不飽和基を少なくとも1個有する化合物を挙げることができる。分子内にエチレン性不飽和基を有する化合物の具体例としては、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸のアルキルエステル、アクリロニトリル、スチレン、エチレン性不飽和結合を有するカルボン酸と多(単)価アルコールのモノエステル等が挙げられる。
本発明の硬化性組成物には、該硬化性組成物の硬化の方法に応じて、熱及び/又は光重合開始剤が含まれていても良い。この重合開始剤としては、熱及び/又は活性光線によりエチレン性不飽和基を重合させる化合物であれば特に限定されるものではなく、公知の熱及び/又は光重合開始剤を用いる事が出来る。
2−(4−メトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−メトキシナフチル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−エトキシカルボニルナフチル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン等のハロメチル化トリアジン誘導体;2−トリクロロメチ−5−(2′−ベンゾフリル)−1,3,4−オキサジアゾール、2−トリクロロメル−5−〔β−(2′−ベンゾフリル)ビニル〕−1,3,4−オキサジアゾール等のハロメチル化オキサジアゾール誘導体;2−(2′−クロロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダソール2量体、2−(2′−クロロフェニル)−4,5−ビス(3′−メトキシフェニル)イミダゾール2量体、2−(2′−フルオロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール2量体等のイミダゾール誘導体;ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインフェニルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル等のベンゾインアルキルエーテル類;2−メチルアントラキノン、2−エチルアントラキノン、2−t−ブチルアントラキノン、1−クロロアントラキノン等のアントラキノン誘導体;ベンゾフェノン、ミヒラーズケトン、2−メチルベンゾフェノン、3−メチルベンゾフェノン、4−メチルベンゾフェノン、2−クロロベンゾフェノン、4−ブロモベンゾフェノン、2−カルボキシベンゾフェノン等のベンゾフェノン誘導体;2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、1−ヒドロキシシクロへキシルフェニルケトン、α−ヒドロキシ−2−メチルフェニルプロパノン、1−ヒドロキシ−1−メチルエチル−(p−イソプロピルフェニル)ケトン、1−ヒドロキシ−1−(p−ドデシルフェニル)ケトン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタン−1−オン、2−メチル−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノ−1−プロパノン、1,1,1−トリクロロメチル−(p−ブチルフェニル)ケトン等のアセトフェノン誘導体;チオキサントン、2−エチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジイソプロピルチオキサントン等のチオキサントン誘導体;p−ジメチルアミノ安息香酸エチル、p−ジエチルアミノ安息香酸エチル等の安息香酸エステル誘導体;9-フェニルアクリジン、9-(p-メトキシフェニル)アクリジン等のアクリジン誘導体;9,10-ジメチルベンズフェナジン等のフェナジン誘導体;ベンズアンスロン等のアンスロン誘導体;ジシクロペンタジエニル−Ti−ジクロライド、ジシクロペンタジエニル−Ti−ビス−フェニル、ジシクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,3,4,5,6−ペンタフルオロフェニル−1−イル、ジシクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,3,5,6−テトラフルオロフェニル−1−イル、ジシクロペンタジエニル−Ti−2,6−ジ−フルオロ−3−(ピル−1−イル)−フェニ−1−イル等のチタノセン誘導体。さらには、特開平2000−80068号公報に記載されているオキシム系開始剤も特に好適に使用できる。
また本発明の硬化性組成物には、上記成分以外にも、溶剤、着色剤、密着向上剤、塗布性向上剤、現像改良剤、紫外線吸収剤、重合禁止剤、酸化防止剤、シランカップリング剤、エポキシ化合物、アミノ化合物、重合加速剤等を適宜配合することができる。
本発明の硬化性組成物に用いられる溶剤としては特に制限は無いが、例えば、水、ジイソプロピルエーテル、ミネラルスピリット、n−ペンタン、アミルエーテル、エチルカプリレート、n−ヘキサン、ジエチルエーテル、イソプレン、エチルイソブチルエーテル、ブチルステアレート、n−オクタン、バルソル#2、アプコ#18ソルベント、ジイソブチレン、アミルアセテート、ブチルブチレート、アプコシンナー、ブチルエーテル、ジイソブチルケトン、メチルシクロヘキセン、メチルノニルケトン、プロピルエーテル、ドデカン、Socal solvent No.1及びNo.2、アミルホルメート、ジヘキシルエーテル、ジイソプロピルケトン、ソルベッソ#150、酢酸(n、sec、t)ブチル、ヘキセン、シェル TS28 ソルベント、ブチルクロライド、エチルアミルケトン、エチルベンゾネート、アミルクロライド、エチレングリコールジエチルエーテル、エチルオルソホルメート、メトキシメチルペンタノン、メチルブチルケトン、メチルヘキシルケトン、メチルイソブチレート、ベンゾニトリル、エチルプロピオネート、メチルセロソルブアセテート、メチルイソアミルケトン、メチルイソブチルケトン、プロピルアセテート、アミルアセテート、アミルホルメート、ビシクロヘキシル、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジペンテン、メトキシメチルペンタノール、メチルアミルケトン、メチルイソプロピルケトン、プロピルプロピオネート、プロピレングリコール−t−ブチルエーテル、メチルエチルケトン、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、エチルセロソルブアセテート、カルビトール、シクロヘキサノン、酢酸エチル、プロピレングリコール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノアセテート、プロピレングリコールジアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、3−メトキシプロピオン酸、3−エトキシプロピオン酸、3−エトキシプロピオン酸エチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−メトキシプロピオン酸プロピル、3−メトキシプロピオン酸ブチル、ジグライム、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールアセテート、エチルカルビトール、ブチルカルビトール、エチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコール−t−ブチルエーテル、3−メチル−3−メトキシブタノール、トリプロピレングリコールメチルエーテル、3−メチル−3−メトキシブチルアセテート等の溶剤を具体的に挙げることができる。
本発明の硬化性組成物に用いられる着色剤としては、顔料、染料等公知の着色剤を用いる事が出来る。また例えば顔料を用いる際に、その顔料が凝集したりせずに安定して硬化性組成物中に存在できるように、公知の分散剤や分散助剤が併用されても良い。着色剤の含有量は特に制限はないが、通常硬化性組成物の全固形分に対して70重量%以下である。
本発明の硬化性組成物に用いられる塗布性向上剤あるいは現像改良剤としては、例えば公知の、カチオン性、アニオン性、ノニオン性、フッ素系、シリコン系界面活性剤を用いる事が出来る。また現像改良剤として、有機カルボン酸及び/又はその無水物など公知のものを用いる事も出来る。またその含有量は、硬化性組成物の全固形分に対して、通常20重量%以下、好ましくは10重量%以下である。
また、本発明の硬化性組成物は、その安定性向上等の為、ハイドロキノン、メトキシフェノール等の重合禁止剤や、2,6-ジ-tert-ブチル-4-クレゾール(BHT)等のヒンダードフェノール系の酸化防止剤を含有する事が好ましい。その含有量は、硬化性組成物の全固形分に対して、通常5ppm以上、好ましくは10ppm以上で、通常1000ppm以下、好ましくは600ppm以下の範囲である。この含有量が少なければ安定性が悪化する傾向にあるし、多すぎれば、例えば熱及び/又は光による硬化の際に、硬化が不充分となる可能性があり好ましくない。特に、通常のフォトリソグラフィー法に使用される場合には、硬化性組成物の保存安定性及び感度の両面から鑑みた最適量に設定する必要がある。
また、本発明の硬化性組成物は、基板との密着性を改善するため、シランカップリング剤を配合することも好ましい。シランカップリング剤の種類としては、エポキシ系、(メタ)アクリル系、アミノ系等種々の物が1種を単独で或いは2種以上を混合して使用できるが、特にエポキシ系のシランカップリング剤が好ましい。その含有量は、硬化性組成物中の全固形分に対して、通常20重量%以下、好ましくは15重量%以下である。
また、本発明の硬化性組成物は、硬化性や基板との密着性を改善するため、前述のエポキシ基含有化合物(a)のごときエポキシ化合物の1種又は2種以上を添加することも好ましい。その含有量は、硬化性組成物中の全固形分に対して、通常40重量%以下、好ましくは30重量%以下である。この含有量が多すぎる場合には、樹脂組成物の保存安定性が悪化する可能性がある。
また、本発明の硬化性組成物は、その硬化性(硬化性組成物の硬化速度、硬化物の機械的特性)や基板との密着性を改善するため、アミノ化合物の1種又は2種以上を添加することも好ましい。その含有量は、硬化性組成物中の全固形分に対して、通常40重量%以下、好ましくは30重量%以下である。また、通常0.5重量%以上、好ましくは1重量%以上である。この含有量が多すぎる場合には、硬化性組成物の保存安定性が悪化する可能性がある。また、含有量が少なすぎる場合には、前記の硬化性や基板との密着性の改善効果が低くなる。
また、特に硬化速度を期待する場合は、上記含有量は通常10重量%以下、好ましくは5重量%以下である。また、通常0.5重量%以上、好ましくは1重量%以上である。この含有量が大きすぎるとパターンの形成性が悪化する可能性がある。
また、本発明の硬化性組成物は、重合硬化の促進の為、重合加速剤の1種又は2種以上を添加することも好ましい。
本発明の硬化性組成物は、公知のカラーフィルタ用硬化性組成物と同様の方法で使用されるが、以下、特にスペーサー用感光性組成物として使用される場合について説明する。
本発明の硬化性組成物は、通常溶剤に溶解或いは分散された状態で、基板上へ供給される。その供給方法としては、従来公知の方法、例えば、スピナー法、ワイヤーバー法、フローコート法、ダイコート法、ロールコート法、スプレーコート法などによって行うことができる。中でも、ダイコート法によれば、塗布液使用量が大幅に削減され、かつ、スピンコート法によった際に付着するミストなどの影響が全くない、異物発生が抑制されるなど、総合的な観点から好ましい。塗布量は用途により異なるが、例えばスペーサーの場合には、乾燥膜厚として、通常0.5μm以上、好ましくは1μm以上で、通常10μm以下、好ましくは9μm以下、特に好ましくは7μm以下の範囲である。また、乾燥膜厚あるいは最終的に形成されたスペーサーの高さが、基板全域に渡って均一であることが重要である。スペーサー高さのばらつきが大きい場合には、液晶パネルにムラ欠陥を生ずることとなる。また、硬化性組成物は、インクジェット法や印刷法などにより、パターン状に供給されても良い。
基板上に硬化性組成物を供給した後の乾燥は、ホットプレート、IRオーブン、コンベクションオーブンを使用した乾燥法によるのが好ましい。また温度を高めず、減圧チャンバー内で乾燥を行う減圧乾燥法を組み合わせても良い。乾燥の条件は、溶剤成分の種類、使用する乾燥機の性能などに応じて適宜選択することができる。乾燥時間は、溶剤成分の種類、使用する乾燥機の性能などに応じて、通常は40〜130℃の温度で15秒〜5分間の範囲で選ばれ、好ましくは50〜110℃の温度で30秒〜3分間の範囲で選ばれる。
露光は、硬化性組成物の塗布膜上に、ネガのマスクパターンを重ね、このマスクパターンを介し、紫外線又は可視光線の光源を照射して行う。また、マスクパターンを用いないレーザー光による走査露光方式によっても良い。この際、必要に応じ、酸素による光重合性層の感度の低下を防ぐため、脱酸素雰囲気下で行ったり、本発明の硬化性組成物よりなる光重合性層上にポリビニルアルコール層などの酸素遮断層を形成した後に露光を行ってもよい。
上記の露光を行った後、アルカリ性化合物の水溶液、又は有機溶剤を用いる現像によって、基板上に画像パターンを形成することができる。この水溶液には、さらに界面活性剤、有機溶剤、緩衝剤、錯化剤、染料又は顔料を含ませることができる。
現像の後の基板には、必要により前記の露光方法と同様な方法により追露光を行っても良く、また熱硬化処理を行っても良い。この際の熱硬化処理条件は、温度は100〜280℃の範囲、好ましくは150〜250℃の範囲で選ばれ、時間は5〜60分間の範囲で選ばれる。このような熱硬化処理を施すことは特に好ましい。
1000mlの四つ口フラスコに、9,9−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)フルオレンのジグリシジルエーテル化物(エポキシ当量231)231g、アクリル酸72g、トリエチルベンジルアンモニウムクロライド6.06g、及びp−メトキシフェノール0.15g、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート170gを仕込み、70〜80℃で加熱溶解させ、更に、溶液が白濁した状態で徐々に85℃まで昇温して完全溶解させ、引き続いて透明粘稠になった溶液を酸価が3.0mg・KOH/gに達するまで8時間加熱攪拌し続け、無色透明の反応生成物を得た。得られた反応生成物にプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを加えて固形分50重量%となるように調整した。
得られた化合物(I−1)は、酸価が55mg・KOH/g、重量平均分子量が1,100のものであった。
無水琥珀酸118重量部と市販のペンタエリスリトールトリアクリレート596重量部を、トリエチルアミン2.5重量部、及びハイドロキノン0.25重量部の存在下に85℃で5時間反応させることにより、1分子中に1個のカルボキシル基と2個以上のアクリロイル基を有する多官能アクリレート66重量%とペンタエリスリトールテトラアクリレート34重量%とからなる酸価92.7の多官能アクリレート混合物(エチレン性不飽和基含有カルボン酸混合物(b-1))を得た。
得られた化合物(I−2)は、酸価が55mg・KOH/g、重量平均分子量が2,500のものであった。
9,9−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)フルオレンのジグリシジルエーテル化物(エポキシ当量231)100重量部、前記エチレン性不飽和基含有カルボン酸混合物(b-1)(酸価90.5)248.8重量部、p−メトキシフェノール0.17重量部、トリフェニルホスフィン7.0重量部、及びプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート349重量部を反応容器に仕込み、90℃で酸価が5mg・KOH/g以下になるまで撹拌した。酸価が目標に達するまで10時間を要した(酸価1.0mg・KOH/g)。次いで、上記反応により得られた反応液80重量部にプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート6重量部を加え、ヘキサメチレンジイソシアネート1.6重量部、ジブチルスズジラウレート0.01重量部を添加し、85℃で3時間反応させ、更にトリメリット酸無水物3.6重量部を添加し、85℃で3時間反応させて本発明のエチレン性不飽和基及びカルボキシル基含有化合物(I−3)の溶液を得た。
得られた化合物(I−3)は酸価が51mg・KOH/g、重量平均分子量が3,100のものであった。
下記エポキシ化合物(エポキシ当量260)280重量部、上記エチレン性不飽和基含有カルボン酸混合物(b-1)442.7重量部、p−メトキシフェノール0.36重量部、トリフェニルホスフィン14.4重量部、及びプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート722.7重量部を反応容器に仕込み、85℃で酸価が5mg・KOH/g以下になるまで撹拌した。酸価が目標に達するまで10時間を要した(酸価4.0mg・KOH/g)。上記反応により得られた反応液にプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート80重量部を加え、テトラヒドロフタル酸無水物97.9重量部を添加し、85℃で3時間反応させて本発明のエチレン性不飽和基及びカルボキシル基含有化合物(I−4)の溶液を得た。
得られた化合物(I−4)は酸価が58mg・KOH/g、重量平均分子量が2,700の化合物のものであった。
実施例1における、1,2,3,6−テトラヒドロ無水フタル酸8.7gの代わりに、1,2,3,6−テトラヒドロ無水フタル酸6.0g及びビフェニルテトラカルボン酸無水物11.0gを用いた他は、同様にして、酸価95.1mg・KOH/g、重量平均分子量4,000のエチレン性不飽和基及びカルボキシル基含有化合物(II−1)の溶液を得た。
実施例2における、1,2,3,6−テトラヒドロ無水フタル酸8.7gの代わりに、1,2,3,6−テトラヒドロ無水フタル酸2.6g及びビフェニルテトラカルボン酸無水物5.2gを用いた他は、同様にして、酸価53mg・KOH/g、重量平均分子量5200のエチレン性不飽和基及びカルボキシル基含有化合物(II−2)の溶液を得た。
実施例4で使用したエポキシ化合物100重量部、アクリル酸29重量部、p−メトキシフェノール0.06重量部、トリフェニルホスフィン2.6重量部、及びプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート126重量部を反応容器に仕込み、95℃で酸価が5mg・KOH/g以下になるまで撹拌した。酸価が目標に達するまで10時間を要した(酸価4.0mg・KOH/g)。得られた反応液257重量部にプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート48重量部を加え、ビフェニルテトラカルボン酸二無水物30.84重量部を添加し、90℃で2時間反応させ、更にテトラヒドロ無水フタル酸16重量部を添加し、95℃で3時間反応させ、酸価106mg・KOH/g、重量平均分子量3700のエチレン性不飽和基及びカルボキシル基含有化合物(II−3)の溶液を得た。
各例で得られたエチレン性不飽和基及びカルボキシル基含有化合物の溶液を合成終了後に溶媒を添加して固形分濃度40重量%に調整し、濃度調整直後の粘度(初期粘度)、及びそれを各々密閉容器中にて70℃で24時間保管した後の粘度(処理後粘度)を、23℃の条件にて測定し、以下の基準にて評価した。
○:処理後粘度/初期粘度が、0.8以上1.2以下
△:処理後粘度/初期粘度が、0.7以上1.3以下(0.8〜1.2の範囲を除く)
×:処理後粘度/初期粘度が、0.7未満若しくは1.3超過
〈1〉硬化性組成物の調製
各例で得られたエチレン性不飽和基及びカルボキシル基含有化合物100重量部、重合性モノマーとしてKAYARAD DPHA(日本化薬(株)製)80重量部と、熱及び/又は光重合開始剤としてIrgacure907(チバ・スペシャリティー・ケミカルズ社製)6重量部、界面活性剤としてFC430(住友スリーエム社製、フッ素系界面活性剤)0.2重量部とを混合し、固形分濃度が35重量%になるようにプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートに溶解させた後、ミリポアフィルタ(2μm)で濾過して、硬化性組成物を得た。
表面にITO膜を形成したガラス基板の該ITO膜上に、スピナーを用いて上記〈1〉で得られた硬化性組成物を塗布した後、80℃で3分間ホットプレート上で加熱乾燥して塗膜を形成した。得られた塗膜に所定パターンマスクを用いて、365nmでの強度が32mW/cm2である紫外線を用いて、露光量が100mJ/cm2となるよう露光した。この際の紫外線照射は空気下で行った。次いで、23℃の0.1重量%水酸化カリウム水溶液で最小現像時間の2倍の時間スプレー現像した後、純水で1分間リンスした。ここで、最小現像時間とは、同現像条件にて、未露光部が完全に溶解される時間を意味する。これらの操作により、不要な部分が除去されてスペーサーパターンの形成された基板を、オーブン中230℃で30分間加熱し硬化させ、高さ4μm、上面の直径10μmの円柱状スペーサーパターンを得た。
即ち、得られた円柱状スペーサーパターンについて、(株)キーエンス社製超深度カラー3D形状測定顕微鏡「VK−9500」を用いて、図1に示す如く、スペーサーパターンの中軸を通る縦断面をプロファイルし、プロファイルした図形(図2に模式図を示した)の基板面から最高位置の点Qまでの高さの、90%の高さにおける、スペーサーパターンの図形内の基板面に平行な直線AA′の長さを上面の直径とした。
上記〈2〉で得られたスペーサーパターンの強度を島津ダイナミック超微小硬度計「DUH−W201S」を用いた負荷−除荷試験により評価した。測定温度23℃にて、直径50μmの平面圧子により、一定速度でスペーサーに荷重を加え(0.22gf/sec)、荷重が5gfに達したところで5秒間保持し、続いて同速度にて除荷を行った。この試験より求められる荷重−変位曲線(図3に模式図を示した)より、
最大変位(μm)=H[max]
最終変位(μm)=H[last]
回復率(%)=(試験前のパターン高さ−H[last])/(試験前のパターン高さ) ×100
弾性復元率(%)=(H[max]-H[last])/H[max] ×100
を求めた。
2 スペーサーパターンの中軸
3 プロファイル位置
4 スペーサーパターンの縦断面のプロファイル
5 基板面から最高位置までの高さ
6 基板面から最高位置までの高さの90%の高さ
7 上断面の円の直径AA′
Claims (4)
- (1)エポキシ基含有化合物(a)にエチレン性不飽和基含有カルボン酸類(b)を反応させて得られるエチレン性不飽和基含有カルボニルオキシ基を有する化合物に、
(2)テトラヒドロフタル酸無水物を反応させて得られるエチレン性不飽和基及びカルボキシル基含有化合物であって、
エポキシ基含有化合物(a)が、ビスフェノールA型エポキシ化合物又は/及びフルオレン型エポキシ化合物であって、
エチレン性不飽和基含有カルボン酸類(b)が、無水琥珀酸と、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、及びジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレートからなる群より選ばれる1以上とを反応させて得られる半エステル類であることを特徴とするエチレン性不飽和基及びカルボキシル基含有化合物。 - 請求項1に記載のエチレン性不飽和基及びカルボキシル基含有化合物を含有することを特徴とする硬化性組成物。
- 請求項2に記載の硬化性組成物を用いて形成されたカラーフィルタ。
- 請求項2に記載の硬化性組成物を用いて形成された液晶表示装置。
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