JP3662690B2 - 紫外線硬化性樹脂組成物及びフォトソルダーレジストインク - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、紫外線硬化性及び熱硬化性を有する希アルカリ水溶液で現像可能なフォトソルダーレジストインクやカラーフィルターの保護膜や画素子に用いられる紫外線硬化性樹脂組成物、及び微細・高密度の導体パターンを有するプリント配線板の製造に好適に用いられるフォトソルダーレジストインクに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
民生用及び産業用の各種プリント配線板の導体パターンの微細・高密度化に対応するために、ソルダーレジスト形成においても解像性及び寸法精度等に優れた現像可能な液状のフォトレジストインク等が好んで用いられている。この液状のフォトソルダーレジストインクとしては、例えば特開昭61−243869号公報に開示されるように、一般的には希アルカリ水溶液に可溶な紫外線硬化性樹脂、光重合開始剤及びエポキシ化合物からなる希アルカリ水溶液で現像可能なものが用いられる。このような紫外線硬化性樹脂とエポキシ化合物を配合したレジストインクの場合、紫外線露光及び現像後の加熱硬化により最終的に形成されるソルダーレジストをはんだ耐熱性及び密着性等に優れたものとすることができるのである。
【0003】
上記される紫外線硬化性樹脂には、アルカリ水溶液による現像を可能とするに十分な量のカルボキシル基が導入されている。また、これらのインク中に配合される熱硬化性エポキシ化合物はその重合あるいはソルダーレジスト中に存在するカルボキシル基との反応によりソルダーレジストの架橋密度を向上させることで最終的に形成されるソルダーレジストを熱的、化学的に安定させる効果を有する。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記レジストインク中にエポキシ化合物を配合する場合、紫外線硬化性樹脂等の中に存在するカルボキシル基との反応による熱硬化が予備乾燥条件下においても起こるため、現像工程での現像不良及び解像性不良等を生じ易すかった。このため、エポキシ化合物の使用量はこれらの問題を生じない範囲に限定されてしまい、形成されるレジストの耐熱性及び耐電蝕性などの被膜物性向上には一定の限界があった。したがって、現状では希アルカリ溶液水溶液で現像可能な液状のフォトソルダーレジストインクは従来から用いられてきた熱硬化型のソルダーレジストに比べてはんだ耐熱性、耐電蝕性及び耐金めっき性等の物性面で若干劣る点があり、これらの改良が望まれていた。
【0005】
本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、解像性、感度及びはんだ耐熱性等に優れ、また優れた基板密着性、耐薬品性、耐電蝕性及び電気特性並びに特に優れたはんだ耐熱性及び耐金めっき性等を示すソルダーレジストを基板上に形成することができる希アルカリ水溶液で現像可能なフォトソルダーレジストインクを調製することができる紫外線硬化性樹脂組成物を提供することを目的とするものである。
【0006】
また本発明は、解像性、感度及びはんだ耐熱性等に優れると共に、優れた基板密着性、耐薬品性、耐電蝕性及び電気特性並びに特に優れたはんだ耐熱性及び耐金めっき性等を示すソルダーレジストを基板上に形成することができる希アルカリ水溶液で現像可能なフォトソルダーレジストインクを提供することを目的とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明の請求項1に記載の紫外線硬化性樹脂組成物は、エポキシ基を有するエチレン性不飽和単量体(a)と、重合性単量体成分の全量に対して5モル%以上10モル%未満のマレイミド又はその誘導体(b)と、エポキシ基を有するエチレン性不飽和単量体(a)とマレイミド又はその誘導体(b)とに共重合可能なエチレン性不飽和単量体(c)とを含有する重合性単量体成分を重合させて生成される共重合体に、カルボキシル基を有するエチレン性不飽和単量体(d)と飽和又は不飽和の多塩基酸無水物(e)とを反応させて生成される紫外線硬化性樹脂組成物A、及び1分子中に2個以上のエポキシ基を有するエポキシ化合物Bとを含有して成ることを特徴とするものであり、マレイミド又はその誘導体(b)によって、上記共重合体の耐熱性及び軟化点の向上を図ることができる。また、重合性単量体成分としてエチレン性不飽和単量体(c)を用いることによって、光硬化性の調整及び硬化膜の物性の調整をおこなうことができる。
【0009】
また本発明の請求項2に記載の紫外線硬化性樹脂組成物は、請求項1の構成に加えて、上記エポキシ基を有するエチレン性不飽和単量体(a)がグリシジル(メタ)アクリレートであることを特徴とするものであり、グリシジル(メタ)アクリレートとしては、グリシジルアクリレート及びグリシジルメタクリレートを例示することができる。
【0010】
本発明の請求項3に記載のフォトソルダーレジストインクは、請求項1又は2に記載の紫外線硬化性樹脂組成物と、光重合開始剤C及び希釈剤Dを含有して成ることを特徴とするものであり、耐熱性及び軟化点を向上させた紫外線硬化性樹脂を含有させることによって、フォトソルダーレジストインクの解像性、感度及びはんだ耐熱性等の物性を良好にすることができる。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明に使用する紫外線硬化性樹脂Aは、エポキシ基を有するエチレン性不飽和単量体(a)とマレイミド又はその誘導体(b)とを含有させた重合性単量体成分を重合させて得られる共重合体に、カルボキシル基を有するエチレン性不飽和単量体(d)と、飽和又は不飽和の多塩基酸無水物(e)を反応させて得られるものである。
【0012】
(a)成分のエポキシ基を有するエチレン性不飽和単量体は、上記共重合体にエポキシ基を導入すると共に、これにカルボキシル基を有するエチレン性不飽和単量体を付加することで共重合体にエチレン性不飽和二重結合による光硬化性を付与することを目的として配合される。従って紫外線硬化性樹脂Aの光硬化性は、共重合体中に占めるエポキシ基を有するエチレン性不飽和単量体(a)からくる構成単位の含有率に直接支配されることになる。このためエポキシ基を有するエチレン性不飽和単量体(a)の含有率は、共重合体の製造に用いられる重合性単量体成分全量中で40〜95モル%の範囲であることが好ましい。これが40モル%より少ない場合は光硬化性が不十分であり、パターン形成工程において感度不足及び解像性不良を生じ、また最終的に形成されるソルダーレジストにおいてははんだ耐熱性等の物性が不十分となる。特に好ましい範囲は55〜95モル%であり、この範囲では形成されるソルダーレジストが特に優れたはんだ耐熱性及び耐電蝕性を示す。
【0013】
エポキシ基を有するエチレン性不飽和単量体(a)としては、例えば、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、(3,4−エポキシシクロヘキシル)メチルアクリレート、(3,4−エポキシシクロヘキシル)メチルメタクリレート等のアクリル酸又はメタクリル酸のエポキシシクロヘキシル誘導体類や、アクリレート又はメタクリレートの脂環エポキシ誘導体、及びβ−メチルグリシジルアクリレート又はβ−メチルグリシジルメタクリレート等を挙げることができこれらは単独で又は組み合わせて用いることができる。特に、汎用されて入手が容易なグリシジルアクリレート又はグリシジルメタクリレートを用いるのが好ましい。
【0014】
(b)成分のマレイミド又はその誘導体は、上記共重合体の耐熱性の向上、軟化点の向上等を図ることを主たる目的として配合される。マレイミド又はその誘導体(b)の含有率は共重合体の製造に用いられる重合性単量体成分全量中で5〜10モル%未満の範囲である。これが5モル%より少ない場合は耐熱性向上等の効果が不十分となる。
【0015】
マレイミドの誘導体としてはN−置換マレイミド化合物を用いることができ、N−置換マレイミド化合物としては、例えばN−フェニルマレイミド、N−(2−メチルフェニル)マレイミド、N−(4−メチルフェニル)マレイミド、N−(2,6−ジエチルフェニル)マレイミド、N−(2−クロロフェニル)マレイミド、N−メチルマレイミド、N−エチルマレイミド、N−イソプロピルマレイミド、N−ラウリルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、N−フェニルメチルマレイミド、N−(2,4,6−トリブロモフェニル)マレイミド、N−[3−(トリエトキシシリル)プロピル]マレイミド、N−オクタデセニルマレイミド、N−ドデセニルマレイミド、N−(2−メトキシフェニル)マレイミド、N−(2,4,6−トリクロロフェニル)マレイミド、N−(4−ヒドロキシフェニル)マレイミド、N−(1−ヒドロキシフェニル)マレイミド等を挙げることができ、これらは単独で又は組み合わせて用いることができる。特に好ましいものとしては、N−フェニルマレイミド、N−(2−メチルフェニル)マレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、N−(2,6−ジエチルフェニル)マレイミド、N−ラウリルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド等を挙げることができる。
【0016】
上記重合性単量体成分には、上記(a)、(b)成分と共重合可能なエチレン性不飽和単量体(c)を含有させる。(c)成分は上記(a)、(b)成分と共重合可能なエチレン性不飽和単量体であればよく、光硬化性の調整及び硬化膜物性の調整のために併用される。この成分としては、例えば、メチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルアクリレート、エチルメタクリレート、プロピルアクリレート、プロピルメタクリレート、ブチルアクリレート、ブチルメタクリレート、イソブチルアクリレート、イソブチルメタクリレート、t−ブチルアクリレート、t−ブチルメタクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、n−オクチルアクリレート、n−オクチルメタクリレート、n−デシルアクリレート、n−デシルメタクリレート、イソデシルアクリレート、イソデシルメタクリレート、ラウリルアクリレート、ラウリルメタクリレート、ミリスチルアクリレート、ミリスチルメタクリレート、セチルアクリレート、セチルメタクリレート、ステアリルアクリレート、ステアリルメタクリレート、シクロヘキシルアクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、イソボルニルアクリレート、イソボルニルメタクリレート等の直鎖、分岐或は脂環族(但し、環中に一部不飽和結合を有してもよい)のアクリル酸エステル又はメタクリル酸、及びヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、メトキシエチルアクリレート、メトキシエチルメタクリレート、エトキシエチルアクリレート、エトキシエチルメタクリレート、ジエチレングリコールモノアクリレート、ジエチレングリコールモノメタクリレート、トリエチレングリコールモノアクリレート、トリエチレングリコールモノメタクリレート、メトキシジエチレングリコールモノアクリレート、メトキシジエチレングリコールモノメタクリレート等のエチレングリコールエステル系アクリレート又はエチレングリコールエステル系メタクリレート、及び同様なプロピレングリコール系アクリレート、プロピレングリコール系メタクリレート、ブチレングリコール系モノアクリレート、ブチレングリコール系モノメタクリレート、グリセロールモノアクリレート、グリセロールモノメタクリレート等、及びベンジルアクリレート又はベンジルメタクリレート等の芳香族系のアクリレート又は芳香族系のメタクリレート、及びアクリルアミド又はメタクリルアミド、N−メチルアクリルアミド、N−メチルメタクリルアミド、N−プロピルアクリルアミド、N−プロピルメタクリルアミド、N−t−ブチルアクリルアミド、N−t−ブチルメタクリルアミド、N−t−オクチルアクリルアミド、N−t−オクチルメタクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、ジアセトンメタクリルアミド等のアクリルアミド系化合物又はメタクリルアミド系化合物、及びビニルピロリドン、アクリロニトリル、酢酸ビニル、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルエーテル等が挙げられ、これらは単独で又は組み合わせて用いることができる。それらの中でも、直鎖又は分岐の脂肪族、芳香族、あるいは脂環族(但し、環中に一部不飽和結合を有してもよい)のアクリル酸エステル又はメタクリル酸エステル、ヒドロキシアルキルアクリレート又はヒドロキシアルキルメタクリレート、アルコキシアルキルアクリレート又はアルコキシアルキルメタクリレート等が、紫外線硬化性樹脂の被膜の硬度及び油性の調節並びに最終的に形成されるレジストの硬度の調節が容易である等の点で特に好適である。
【0017】
上記紫外線硬化性樹脂Aの重量平均分子量は3000〜100000であることが望ましい。すなわち、本発明の目的の一つである高感度かつ高解像性を達成するためには紫外線硬化性樹脂Aのアルカリ水溶液に対する溶解性が露光によりシャープに変化することが必要であるが、上記紫外線硬化性樹脂Aにおいて、平均分子量が100000より大きいものを用いた場合、レジストインクは極めて低い露光量においても希アルカリ水溶液に対する溶解性が低下する反面、未露光の状態でもアルカリ水溶液に対する溶解性の余裕がなく、露光時には貼付されたネガマスクの境界部分における僅かな光の漏れによる硬化によっても現像時の除去性が低下する。従ってこの場合は、露光による溶解性変化のシャープさに欠け、見かけ上は感度が高いにもかかわらず解像性は不十分なものとなり易い。一方、重量平均分子量が3000より小さい場合は感度が不足し易い。前述のグリシジルアクリレート又はグリシジルメタクリレートの配合量との組み合わせでいえば、紫外線硬化性樹脂Aの重量平均分子量が5000〜40000であり、かつグリシジルアクリレート又はグリシジルメタクリレートが不飽和単量体全量中で40〜95モル%の範囲にある場合に、さらに好ましくは55〜95モル%の範囲にある場合に高感度と高解像性を併せ持った最適な効果が得られる。
【0018】
上記共重合体は、公知の重合方法、例えば溶液重合やエマルジョン重合等により得られる。溶液重合を用いる場合について説明すれば、例えば、上記(a)成分と(b)成分及び必要に応じて(c)成分とからなるエチレン性不飽和単量体の混合物(重合性単量体成分)を、適当な有機溶剤中で重合開始剤を添加して、窒素気流下に加熱撹拌する方法や沸点重合法等により重合させる。
【0019】
上記有機溶剤として、例えばメチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、及びトルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、及び酢酸エチル、酢酸ブチル、セロソルブアセテート、ブチルセロソルブアセテート、ブチルカルビトールアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等の酢酸エステル類、及びジアルキルグリコールエーテル類等が挙げられ、これらは単独で又は混合して用いることができる。
【0020】
前記重合のための重合開始剤としては、例えば、ハイドロパーオキサイド類のジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイド、及びジアルキルパーオキサイド類のジクミルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ−(t−ブチルパーオキシ)−ヘキサン、1,3−ビス−(t−ブチルパーオキシイソプロピル)−ベンゼン、t−ブチルクミルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ−(t−ブチルパーオキシ)−ヘキシン−3、及びジアシルパーオキサイド類のイソブチリルパーオキサイド、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、アセチルパーオキサイド、及びケトンパーオキサイド類のメチルエチルケトンパーオキサイド、メチルイソブチルケトンパーオキサイド、シクロヘキサノンパーオキサイド、アセチルアセトンパーオキサイド、及びアルキルパーエステル類のt−ブチルパーオキシビバレート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシ−3,5,5−トリメチルヘキサエート、t−ブチルパーオキシアセテート、t−ブチルパーオキシベンゾエート、及びパーオキシジカーボネート類のジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ−2−エチルヘキシルパーオキシジカーボネート、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ−sec−ブチルパーオキシジカーボネート、及びアゾ化合物類としてアゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビスイソ酪酸メチル、アゾビスシアノバレロニトリル、1,1’−アゾビス(シクロヘキセン−1−カルボニトリル)、2,2’−アゾビス{2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)−プロピオンアミド}等が挙げられこれらは単独で又は組み合わせて用いることができる。また、前記重合開始剤としてレドックス系の開始剤を使用してもよい。
【0021】
上記共重合体の分子量は、これを用いて得られる紫外線硬化性樹脂の所要分子量に対応した範囲にあることが求められる。尚、前記分子量の調節のために公知の連鎖移動剤等を用いて重合を行ってもよい。
上記のように(a)(b)成分及び必要に応じて用いられる(c)成分から生成される共重合体に、カルボキシル基を有するエチレン性不飽和単量体(d)と、飽和又は不飽和の多塩基酸無水物(e)を付加させて反応させることによって、本発明の紫外線硬化性樹脂を生成することができる。カルボキシル基を有するエチレン性不飽和単量体(d)としては、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸及び桂皮酸等を例示することができ、これらの少なくとも一種を選択して用いることができる。特にアクリル酸又はメタクリル酸より導入されるエチレン性不飽和基は光反応性に優れるので、カルボキシル基を有するエチレン性不飽和単量体(d)としてアクリル酸又はメタクリル酸を用いるのが好ましい。
【0022】
カルボキシル基を有するエチレン性不飽和単量体(d)の配合量は、上記共重合体の1エポキシ当量に対して0.7〜1.2化学当量であることが必要である。前記配合量が0.7化学当量に満たないと紫外線硬化性樹脂中にエポキシ基が多く残り過ぎて、予備乾燥程度の弱い熱乾燥条件下においても熱硬化反応が起こり、露光後の現像性の低下が生じ易く、またこれが1.2化学当量を越えると未反応のカルボキシル基を有するエチレン性不飽和単量体(d)の残存が問題となる恐れがある。
【0023】
また飽和又は不飽和の多塩基酸無水物(e)としては、例えば、無水コハク酸、無水メチルコハク酸、無水マレイン酸、無水シトラコン酸、無水グルタル酸、無水イタコン酸、無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、無水メチルナジック酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸等の二塩基酸無水物、及び無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、無水ベンゾフェノンテトラカルボン酸、メチルシクロヘキセンテトラカルボン酸無水物等の三塩基酸以上の酸無水物が挙げられ、これらは単独で又は組み合わせて用いることができる。
【0024】
上記多塩基酸無水物(e)は、紫外線硬化性樹脂に酸価を与え、希アルカリ水溶液による再分散、再溶解性をもたせることを主たる目的として使用される。その使用量は、該多塩基酸無水物を付加してなる紫外線硬化性樹脂の酸価が25〜150の範囲になるように選択することが好ましい。酸価が25より少ないと現像性不良となり、またこれが150より大きいと、熱硬化後のレジスト中の残存カルボキシル基に起因して、形成されるべきソルダーレジストの電気特性、耐電蝕性及び耐水性等の低下の問題を生じる。なお、特に酸価が40〜100である場合に最適な効果が得られる。
【0025】
上記カルボキシル基を有するエチレン性不飽和単量体(d)及び飽和又は不飽和の多塩基酸無水物(e)の付加反応は、公知の方法を用いて行うことができる。例えば、カルボキシル基を有するエチレン性不飽和単量体(d)の付加反応は、上記共重合体の溶剤溶液に熱重合禁止剤としてハイドロキノンもしくはハイドロキノンモノメチルエーテル等及び触媒としてベンジルジメチルアミン、トリエチルアミン等の第3級アミン類、トリメチルベンジルアンモニウムクロライド、メチルトリエチルアンモニウムクロライド等の第4級アンモニウム塩類もしくはトリフェニルスチビン等を加え撹拌混合し、常法により、好ましくは60〜150℃、特に好ましくは80〜120℃の反応温度で反応させる。飽和又は不飽和多塩基酸無水物(e)の付加反応も、上記と同様の方法で行うことができる。
【0026】
本発明に使用する紫外線硬化性樹脂Aの配合量は、インクの良好な感度及び作業特性並びに最終的に形成されるレジストの良好な物性を確保するために、同時に配合される希釈剤D中の有機溶剤を除外したインク成分全量中で10〜80重量%であることが望ましい。
1分子中に2個以上のエポキシ基を有するエポキシ化合物Bとしては、溶剤難溶性エポキシ化合物、汎用の溶剤可溶性エポキシ化合物等が挙げられ、例えば、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールA−ノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、トリグリシジルイソシアヌレート、YX4000(油化シェルエポキシ社製)、ソルビトールポリグリシジルエーテル、N−グリシジル型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂(例えばダイセル化学工業社製「EHPE−3150」)、ポリオールポリグリシジルエーテル化合物、グリシジルエステル化合物、N−グリシジル型エポキシ樹脂、トリス(ヒドロキシフェニル)メタンベースの多官能エポキシ樹脂(日本化薬社製EPPN−502H、並びにダウケミカル社製タクテックス−742及びXD−9053等)、水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン−フェノール型エポキシ樹脂及びナフタレン型エポキシ樹脂及びエポキシ基を有するビニル重合ポリマー等が挙げられ、これらは単独で又は組み合わせて用いることができる。特に、トリグリシジルイソシアヌレート、YX 4000、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂及びビスフェノールA−ノボラック型エポキシ樹脂等が望ましい。
【0027】
レジストインク中におけるエポキシ化合物の配合量は、同時に配合される希釈剤D中の有機溶剤を除外したインク成分全量中で0.1〜50重量%であることが望ましく、特に0.1〜30重量%の範囲において最適な効果を得られる。
上記紫外線硬化性樹脂Aと1分子中に2個以上のエポキシ基を有するエポキシ化合物Bを混合することによって、本発明の紫外線硬化性樹脂組成物を調製することができる。この紫外線硬化性樹脂組成物はフォトソルダーレジストインクやカラーフィルターの保護膜及び画素子などに用いることができる。カラーフィルターの保護膜はカラーフィルターの着色層上に、着色層を保護するために設けられるものであって、この保護膜によって平坦性の付与や耐熱保護や耐薬品保護などをおこなうことができる。また画素子の場合は、上記紫外線硬化性樹脂組成物以外に、塗膜をカラーフィルター用に着色させる着色剤として各種の有機顔料や無機顔料等を用いるようにする。さらにフォトソルダーレジストインクの場合は上記紫外線硬化性樹脂組成物以外に、後述する光重合開始剤Cや希釈剤Dが用いられる。
【0028】
光重合開始剤Cとしては、例えば、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル等のベンゾインとそのアルキルエーテル類、及びアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2,2−ジエトキシ−2−フェニルアセトフェノン、1,1−ジクロロアセトフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン等のアセトフェノン類、及び2−メチルアントラキノン、2−アミルアントラキノン等のアントラキノン類、及び2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2,4−ジイソプロピルチオキサントン、1−クロロ−4−プロポキシチオキサントン等のチオキサントン類、及びアセトフェノンジメチルケタール、ベンジルジメチルケタール等のケタール類、及びベンゾフェノン、3,3−ジメチル−4−メトキシベンゾフェノン、3,3’,4,4’−テトラ−(t−ブチルペルオキシルカルボニル)ベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4’−メチルジフェニルスルフィド等のベンゾフェノン類又はキサントン類、及び2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノ−プロパン−1−オン、2−ベンゾイル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1、4,4’−ビス−ジエチルアミノベンゾフェノン等の窒素原子を含むもの、及び2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド等が挙げられ、これらは安息香酸系又はp−ジメチルアミノ安息香酸エチルエステル、p−ジメチルアミノ安息香酸イソアミルエステル、2−ジメチルアミノエチルベンゾエート等の第三級アミン系等の公知の光重合促進剤及び増感剤等と併用しても良い。これらの光重合開始剤は各々単独で又は適宜互いに組み合わせて配合される。
【0029】
尚、例えばレーザ露光法用増感剤として7−ジエチルアミノ−4−メチルクマリン、4,6−ジエチル−7−エチルアミノクマリン等のクマリン誘導体、その他カルボシアニン色素系、キサンテン色素系等を適宜選択することもでき、また本発明のフォトソルダーレジストインクを可視光又は近赤外線硬化性のものとすることができるが、紫外線硬化性を有する限りにおいてこれらを用いたものも含まれる。
【0030】
フォトソルダーレジストインク中における光重合開始剤Cの配合量は、光硬化性と得られるソルダーレジストの物性の良好なバランスを得るために、同時に配合される希釈剤D中の有機溶剤を除外したインク成分全量中で0.1〜30重量%であることが望ましい。
希釈剤Dとしては、光重合性単量体又は有機溶剤を単独で又は併せて使用することができる。上記光重合性単量体として、例えば、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、N−ビニルピロリドン、アクリロイルモルフォリン、メタクリロイルモルフォリン、メトキシテトラエチレングリコールアクリレート、メトキシテトラエチレングリコールメタクリレート、メトキシポリエチレングリコールアクリレート、メトキシポリエチレングリコールメタクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジメチルメタクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピルアクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピルメタクリルアミド、N,N−ジメチルアミノエチルアクリレート、N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピルアクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピルメタクリレート、メラミンアクリレート、メラミンメタクリレート、及びジエチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、プロピレングリコールジアクリレート、プロピレングリコールジメタクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、トリプロピレングリコールジメタクリレート、フェノキシエチルアクリレート、フェノキシエチルメタクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、テトラヒドロフルフリルメタクリレート、シクロヘキシルアクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、トリメチロールプロパンジアクリレート、トリメチロールプロパンジメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ペンタエリスリトールテトラメタクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタメタクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサメタクリレート、イソボニルアクリレート、イソボニルメタクリレート、シクロペンタニルモノアクリレート、シクロペンタニルモノメタクリレート、シクロペンテニルモノアクリレート、シクロペンテニルモノメタクリレート、シクロペンタニルジアクリレート、シクロペンタニルジメタクリレート、シクロペンテニルジアクリレート、シクロペンテニルジメタクリレート、及び多塩基酸とヒドロキシアルキルアクリレート又はヒドロキシアルキルメタクリレートとのモノ−、ジ−、トリ−又はそれ以上のポリエステル等、及びポリエステルアクリレート又はポリエステルメタクリレート、ウレタンアクリレート又はウレタンメタクリレート等のアクリレート単量体又はメタクリレート単量体等が挙げられる。光重合性単量体は各々単独であるいは適宜互いに組み合わせて使用することができる。
【0031】
また、上記有機溶剤としては、例えばエタノール、プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、ブチルアルコール、イソブチルアルコール、2−ブチルアルコール、ヘキサノール、エチレングリコール等の直鎖、分岐、2級あるいは多価のアルコール類、及びメチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、及びトルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、スワゾールシリーズ(丸善石油化学社製)、ソルベッソシリーズ(エクソン・ケミカル社製)等の石油系芳香族系混合溶剤及びセロソルブ、ブチルセロソルブ等のセロソルブ類、及びカルビトール、ブチルカルビトール等のカルビトール類、及びプロピレングリコールメチルエーテル等のプロピレングリコールアルキルエーテル類、及びジプロピレングリコールメチルエーテル等のポリプロピレングリコールアルキルエーテル類、及び酢酸エチル、酢酸ブチル、セロソルブアセテート、ブチルセロソルブアセテート、ブチルカルビトールアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等の酢酸エステル類、及びジアルキルグリコールエーテル類等が挙げられ、これらは各々単独であるいは適宜互いに組み合わせて使用することができる。
【0032】
上記光重合性単量体は、紫外線硬化性樹脂A等を希釈し、塗布し易い状態にすると共に酸価を調整し、光重合性を与える。また、上記有機溶剤は、紫外線硬化性樹脂A等を溶解、希釈し、液状として塗布可能にすると共に乾燥により造膜させる。
尚、上記希釈剤Dとして光重合性単量体等の光重合性を有する成分はレジストインクに必ずしも配合する必要はないが、配合する場合におけるその合計量は、希釈剤Dとして同様に配合されている有機溶剤を除外したインク成分全量中で50重量%以下であることが望ましい。これを50重量%を越えて配合した場合は乾燥塗膜の表面粘着性が強くなり過ぎ、パターンを描いたネガマスクを乾燥した塗膜表面に直接当てがって露光するときにネガマスクの汚損等の問題を生じ易い。
【0033】
一方、上記光重合性単量体と同様に希釈剤Dとして用いられる有機溶剤は本発明の希アルカリ水溶液で現像可能なフォトソルダーレジストインクの必須成分であり、予備乾燥時に速やかに揮散し、乾燥塗膜に残存しないように選択する必要がある。レジストインク中における有機溶剤の配合量は、インク成分全量中で5%以上配合することが望ましく、これより少ない場合はインクの塗布が困難となり易い。尚、その好適な配合量は塗布方法により異なるので、該塗布方法に応じて適宜調節する必要がある。
【0034】
本発明のフォトソルダーレジストインクには、上記各成分の他に、例えばカプロラクタム、オキシム、マロン酸エステル等でブロックされたトリレンジイソシアネート、モルホリンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート系のブロックドイソシアネート、及びn−ブチル化メラミン樹脂、イソブチル化メラミン樹脂、ブチル化尿素樹脂、ブチル化メラミン尿素共縮合樹脂、ベンゾグアナミン系共縮合樹脂等のアミノ樹脂等の熱硬化成分、及び紫外線硬化性エポキシアクリレート又は紫外線硬化性エポキシメタクリレート、例えばビスフェノールA型、フェノールノボラック型、クレゾールノボラック型、脂環型エポキシ樹脂にアクリル酸又はメタクリル酸を付加したもの、或はこれらにさらに無水マレイン酸、無水コハク酸、無水イタコン酸、無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸等の飽和もしくは不飽和多塩基酸無水物を付加したもの、無水マレイン酸とその他のエチレン性不飽和単量体との共重合体にヒドロキシアルキルアクリレートあるいはヒドロキシアルキルメタクリレート又はエポキシ基を有するアクリレートあるいはエポキシ基を有するメタクリレートを反応させて得られる紫外線硬化性重合体、及びスチレン−アクリル酸−アクリル酸エステル共重合体又はスチレン−メタクリル酸−メタクリル酸エステル共重合体等のエチレン性不飽和化合物の共重合体又はスチレン−メタクリル酸−アクリル酸エステル共重合体又はスチレン−アクリル酸−メタクリル酸エステル共重合体等のエチレン性不飽和化合物の共重合体、あるいはこれらにさらにエポキシ基を有するエチレン性不飽和単量体を反応させて得られる紫外線硬化性重合体、及びエポキシ基を有するエチレン性不飽和単量体を単量体単位の一つとしたビニル共重合体に、アクリル酸あるいはメタクリル酸を付加した紫外線硬化性重合体、及びスチレン−マレイン酸樹脂、ジアリルフタレート樹脂、フェノキシ樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、フッ素樹脂等の高分子化合物を加えることができる。
【0035】
また上記レジストインクには、必要に応じて、さらにイミダゾール誘導体、ポリアミン類、グアナミン類、3級アミン類、4級アンモニウム塩類、ポリフェノール類、多塩基酸無水物等のエポキシ樹脂硬化剤及び硬化促進剤類、及び硫酸バリウム、酸化珪素、タルク、クレー、炭酸カルシウム等の充填剤及び着色剤、及びシリコンやアクリレート共重合体、フッ素系界面活性剤等のレベリング剤、及びシランカップリング剤等の密着性付与剤、アエロジル等のチクソトロピー剤、及びハイドロキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル、ピロガロール、t−ブチルカテコール、フェノチアジン等の重合禁止剤、ハレーション防止剤、難燃剤、消泡剤、酸化防止剤等の各種添加剤及び分散安定性を向上させるための界面活性剤や高分子分散剤等を加えても良い。
【0036】
本発明のフォトソルダーレジストインクは、例えば、各配合成分及び添加剤等を三本ロール、ボールミル、サンドミル等を用いる公知の混練方法によって調製される。その場合に、上記A〜Dの成分の内の一部、例えばD成分の一部及びB成分を予め混合して分散させておき、これとは別にA、C及びD成分の一部を予め混合して分散させておき、使用時に本発明のレジストインクの配合組成になるように混合調製する方法を採っても良い。
【0037】
上記レジストインクを使用して基板上へレジストパターンを形成する方法は特に限定されない。その中で最も一般的な方法を例示すれば以下の通りである。
例えば、基板上にレジストインクを浸漬法、スプレー、スピンコーター、ロールコーター、カーテンコーター又はスクリーン印刷等により塗布した後、希釈剤たる有機溶剤を揮発させるために例えば60〜120℃で予備乾燥を行なう。次にパターンを描いたネガマスクを乾燥した塗膜表面に直接又は間接的に当てがい、ケミカルランプ、低圧水銀灯、中圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、キセノンランプ又はメタルハライドランプ等を用いて紫外線を照射した後、現像によりパターンを形成し、さらに例えば120〜180℃で30〜90分程度の加熱によりエポキシ化合物を硬化させることでレジストの被膜強度、硬度及び耐薬品性等を向上させるのである。
【0038】
上記現像工程で使用されるアルカリ溶液としては、炭酸ナトリウム水溶液、炭酸カリウム水溶液などを例示することができる。このアルカリ溶液の溶媒としては、水又は水とアルコール系等の親水性のある有機溶媒の混合物を用いることができる。親水性のある有機溶媒としてはエタノールやイソプロピルアルコール、モノメチルエーテルなどを例示することができ、溶媒全体に対して25重量%以下で配合することができる。
【0039】
【実施例】
以下に本発明を実施例に基づいて説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、以下に使用される「部」及び「%」は、特に示さない限り、全て重量基準である。また、「重量平均分子量」は、下記測定条件に基づきGPCにより測定されたものである。
【0040】
各試料を固型分について10mg/mlとなる様にTHF溶液を調製し、各々インジェクション量100μlにて測定した。
測定条件
GPC測定装置:昭和電工社製SHODEX SYSTEM 11
カラム :SHODEX KF−800P、KF−005、KF−003及びK F−001の4本直列
移動層 :THF
流 量 :1ml/分
カラム温度 :45℃
検出器 :RI
換 算 :ポリスチレン
〔合成例1〕
還流冷却器、温度計、窒素置換用ガラス管及び撹拌機を取り付けた四ツ口フラスコに、グリシジルメタクリレート70部、シクロヘキシルマレイミド10部(7.5モル%)、メチルメタクリレート20部、カルビトールアセテート100部、ラウリルメルカプタン0.2部、アゾビスイソブチロニトリル3部を加え、窒素気流下に加熱、攪拌しつつ80℃において5時間重合をおこない、50%共重合体溶液を得た。
【0041】
続いて、上記50%共重合体溶液に、ハイドロキノン0.05部、アクリル酸37部、ジメチルベンジルアミン0.2部を加え、100℃で24時間付加反応を行い、続いてテトラヒドロ無水フタル酸45部及びカルビトールアセテート79部を加えて100℃で3時間反応させ、表1に示すように、重量平均分子量25000の50%の紫外線硬化性樹脂溶液(A−1)を得た。
【0042】
〔合成例2〕
還流冷却器、温度計、窒素置換用ガラス管及び撹拌機を取り付けた四ツ口フラスコに、グリシジルメタクリレート70部、シクロヘキシルマレイミド20部(14.9モル%)、t−ブチルメタクリレート10部、カルビトールアセテート100部、ラウリルメルカプタン0.1部、アゾビスイソブチロニトリル3部を加え、窒素気流下に加熱、攪拌しつつ80℃において5時間重合を行ない、50%共重合体溶液を得た。
【0043】
続いて、上記50%共重合体溶液に、ハイドロキノン0.05部、アクリル酸37部、ジメチルベンジルアミン0.2部を加え、100℃で24時間付加反応を行い、続いてテトラヒドロ無水フタル酸38部及びカルビトールアセテート72部を加えて100℃で3時間反応させ、表1に示すように、重量平均分子量23000の50%の紫外線硬化性樹脂溶液(A−2)を得た。
【0044】
〔合成例3〕
還流冷却器、温度計、窒素置換用ガラス管及び撹拌機を取り付けた四ツ口フラスコに、グリシジルメタクリレート70部、N−フェニルマレイミド20部(15.4モル%)、t−ブチルメタクリレート10部、カルビトールアセテート100部、ラウリルメルカプタン0.1部、アゾビスイソブチロニトリル3部を加え、窒素気流下に加熱、攪拌しつつ80℃において5時間重合を行ない、50%共重合体溶液を得た。
【0045】
続いて、上記50%共重合体溶液に、ハイドロキノン0.05部、アクリル酸37部、ジメチルベンジルアミン0.2部を加え、100℃で24時間付加反応を行い、続いてテトラヒドロ無水フタル酸38部及びカルビトールアセテート72部を加えて100℃で3時間反応させ、表1に示すように、重量平均分子量23000の50%の紫外線硬化性樹脂溶液(A−3)を得た。
【0046】
〔合成例4〕
還流冷却器、温度計、窒素置換用ガラス管及び撹拌機を取り付けた四ツ口フラスコに、グリシジルメタクリレート70部、メチルメタクリレート15部、t−ブチルメタクリレート15部、カルビトールアセテート100部、ラウリルメルカプタン0.3部、アゾビスイソブチロニトリル3部を加え、窒素気流下に加熱し、80℃において5時間重合を行ない、50%共重合体溶液を得た。
【0047】
上記50%共重合体溶液に、ハイドロキノン0.05部、アクリル酸37部、ジメチルベンジルアミン0.2部を加え、105℃で24時間付加反応を行い、続いてテトラヒドロ無水フタル酸38部及びカルビトールアセテート72部を加えて100℃で3時間反応させ、表1に示すように、重量平均分子量21000の50%紫外線硬化性樹脂溶液(E−1)を得た。
【0048】
〔合成例5〕
エピクロンN−680(大日本インキ化学工業社製のクレゾールノボラックエポキシ樹脂、エポキシ当量 214)214部をカルビトールアセテート60部に加熱溶解したものに、撹拌下にアクリル酸74部、ハイドロキノン0.1部及びベンジルジメチルアミン0.7部を加え、常法により90〜100℃で24時間反応させた。この反応液にカルビトールアセテート95部を加え、撹拌後に冷却し、エポキシアクリレート溶液を得た。続いてテトラヒドロ無水フタル酸76部及びカルビトールアセテート87部を加えて100℃で3時間反応させ、60%紫外線硬化性樹脂溶液(E−2)を得た。
〔実施例1、参考例1乃至3及び比較例1乃至3〕
上記合成例で生成された紫外線硬化性樹脂液(A−1)乃至(E−2)に、表1に示す配合量で1分子中に2個以上のエポキシ基を有するエポキシ化合物を配合して紫外線硬化性樹脂組成物を得た。尚、表1中の「エピクロンN−695」(商品名)は大日本インキ化学工業社製のクレゾールノボラックエポキシ樹脂であり、また「YX4000」(商品名) はエポキシ当量195の油化シェルエポキシ社製エポキシ化合物であり、また「TEPIC−S」(商品名) はエポキシ当量100の日産化学工業社製エポキシ樹脂である。
【0049】
【表1】
【0050】
〔実施例2、参考例4乃至6及び比較例4乃至6〕
表2に示す各配合組成の配合成分を三本ロールで混練し、実施例2、参考例4乃至6及び比較例4乃至6の希アルカリ水溶液で現像可能な液状フォトソルダーレジストインクを得た。各レジストインク及びそれにより最終的にソルダーレジストの形成されたプリント配線板の各性能を下記の試験方法で評価し、それらの試験結果を表3に示した。尚、表2中の「イルガキュアー907」(商品名) はチバガイギー社製光重合開始剤であり、また「カヤキュアーDETX−S」(商品名)は日本化薬社製光重合開始剤であり、また「モダフロー」(商品名)はモンサント社製レベリング剤である。
【0051】
【表2】
【0052】
〔レジストインクの性能評価〕
−表面粘着性−
レジストインクを厚み35μmの銅箔のガラスエポキシ基材からなる銅張積層板の全面にスクリーン印刷により塗布し、溶剤を揮発させるために80℃で乾燥時間10、20及び30分の各乾燥条件で予備乾燥を行い、膜厚20μmの乾燥塗膜を有する3種類の試験片を各インクについて作成した。その後、ORC HMW201GX(オーク製作所製減圧密着型両面露光機)にてパターンを描いたマスクを乾燥塗膜面に直接当てがうと共に減圧密着させ、150mJ/cm2 の紫外線を照射した後、各乾燥条件においてマスクを取り外すときの粘着の程度を観察した。
【0053】
表面粘着性の評価方法は、次の通りである。
×:マスクを取り外すことが困難で、無理に剥すとマスクパターンがはがれ落ち再使用できない状態となった。
△:マスクを取り外した後、乾燥塗膜上にマスクの貼付痕が認められた。
○:マスクを容易に取り外すことができ、貼付痕もなかった。
−現像幅(予備乾燥時間許容範囲)−
レジストインクを厚み35μmの銅箔のガラスエポキシ基材からなる銅張積層板の全面にスクリーン印刷により塗布し、溶剤を揮発させるために80℃で乾燥時間10、20、30、40、50、60、70及び80分の各乾燥条件で予備乾燥を行い、膜厚20μmの乾燥塗膜を有する8種類の試験片を各インクについて作成した。その後、パターンを描いたマスクを乾燥塗膜面に直接当てがって密着させ、各レジストインクにおける最適露光量の紫外線を照射し、次に1%炭酸ナトリウム水溶液を現像液として現像することにより現像性及びパターンの形成状態を観察した。
【0054】
現像幅の評価方法は次の通りである。
×:未露光部も現像による除去が困難であり、パターン形成が不可能であった。
△:未露光部の現像に長時間を要し、また微細なパターン部分についてはパターン形成が不可能であった。
○:未露光部の現像は容易で、シャープなパターンを得ることができた。
−残存ステップ段−
レジストインクを厚み35μmの銅箔のガラスエポキシ基材からなる銅張積層板の全面にスクリーン印刷により塗布し、溶剤を揮発させるために80℃で乾燥時間20分の乾燥条件で予備乾燥を行ない、膜厚20μmの乾燥塗膜を有する試験片を各インクについて作成した。その後、ORC HMW201GX(オーク製作所製減圧密着型両面露光機)にて、ステップタブレットPHOTEC21段(日立化成工業社製の露光テスト用マスク)を乾燥塗膜に直接当てがうと共に減圧密着させ、各々50及び150mJ/cm2 の紫外線を照射し、次に1%炭酸ナトリウム水溶液を現像液として現像することにより現像後の残存ステップ段数を求め、露光感度の目安とした。
〔プリント配線板の性能評価〕
次に、各レジストインクにより製造されるプリント配線板の性能を確認するため、順次下記(I) から(V) の工程を経ることによりテストピースを作成した。
(I) <塗布工程> 液状フォトソルダーレジストインクを、厚み35μmの銅箔のガラスエポキシ基材からなる銅張積層板及びこれを予めエッチングしてパターンを形成しておいたプリント配線基板の全面にスクリーン印刷により塗布し、基板表面にレジストインク層を形成させた。
(II)<予備乾燥工程> 塗布工程の後、基板表面のレジストインク層中の溶剤を揮発させるために80℃で予備乾燥を20分行ない、膜厚20μmの乾燥塗膜を得た。
(III) <露光工程> その後、パターンを描いたマスクを乾燥塗膜表面に直接当てがうとともにに各レジストインクにおける最適露光量の紫外線を照射し、基板表面上の乾燥塗膜の選択的露光を行った。
(IV)<現像工程> 露光工程後の乾燥塗膜において、選択的に未露光となっている部分を、1%炭酸ナトリウム水溶液を現像液として現像することにより除去し、基板上に露光硬化された乾燥塗膜のパターンを形成させた。
(V) <ポストベーク工程> 現像工程で得られた、露光硬化された乾燥塗膜のパターンが形成されている基板を150℃で30分間加熱し、乾燥塗膜の硬化を行い、テストピースを得た。
【0055】
上記工程で得られたテストピースについて以下の評価を行った。
−解像性−
線幅及び線間が共に40μmの同心円で構成されるマスクパターンによって形成されるパターンの形成状態を観察した。
解像性の評価方法は次の通りである。
×:パターンが形成されなかった。
△:パターンは一応形成されるものの、その一部が欠落していた。
○:シャープなパターンを得ることができた。
−はんだ耐熱性−
フラックスとしてLONCO 3355−11(ロンドンケミカル社製の水溶性フラックス)を用い、まずテストピースにフラックスを塗布し、次いでこれを260℃の溶融半田浴に15秒間浸漬し、その後水洗した。このサイクルを1回又は5回おこなった後の表面白化の程度を観察した。また、クロスカットによるセロハン粘着テープ剥離試験をJIS D 0202に準拠して行い、密着状態の変化を観察した。
【0056】
表面白化の評価方法は次の通りである。
×:著しく白化した。
△:僅かに白化が認められた。
○:異常を生じなかった。
また密着性の評価方法は次の通りである。
×:クロスカット試験をするまでもなく、レジストの膨れ又は剥離を生じた。
△:テープ剥離時にクロスカット部分に一部剥離を生じた。
○:クロスカット部分の剥離を生じなかった。
−耐金めっき性−
市販の無電解ニッケルめっき液と無電解金めっき液を用い、テストピースの無電解金めっきをおこなった。このめっき後のテストピースについて、外観の変化及びセロハン粘着テープ剥離試験をおこない密着状態の変化を観察した。
【0057】
耐金めっき性の評価方法は次の通りである。
×:レジストの浮きが見られ、テープ剥離時に剥離を生じた。
△:外観変化はないが、テープ剥離時に一部剥離を生じた。
○:外観変化もなく、テープ剥離時も全く剥離を生じなかった。
−その他の試験項目−
鉛筆硬度をJIS K 5400に準拠して測定して評価し、その他の項目は常法により評価した。
【0058】
【表3】
【0059】
表3から判るように、実施例2及び参考例4乃至6のフォトソルダーレジストインクでは比較例4乃至6のものよりも予備乾燥時間許容範囲が長くなり、生産性を向上させることができるものである。また実施例2及び参考例4乃至6のものではマレイミドの誘導体の剛直性によって比較例4乃至6のものよりも鉛筆硬度の性能が向上すると共に半田耐熱性及び耐金めっき性が向上するものである。
【0060】
【発明の効果】
本発明の請求項1に記載の発明は、エポキシ基を有するエチレン性不飽和単量体と、重合性単量体成分の全量に対して5モル%以上10モル%未満のマレイミド又はその誘導体と、エポキシ基を有するエチレン性不飽和単量体とマレイミド又はその誘導体とに共重合可能なエチレン性不飽和単量体とを含有する重合性単量体成分を重合させて生成される共重合体に、カルボキシル基を有するエチレン性不飽和単量体と飽和又は不飽和の多塩基酸無水物とを反応させて生成される紫外線硬化性樹脂、及び1分子中に2個以上のエポキシ基を有するエポキシ化合物を含有するので、マレイミド又はその誘導体によって、上記共重合体の耐熱性及び軟化点の向上を図ることができ、解像性、感度及びはんだ耐熱性等に優れ、また優れた基板密着性、耐薬品性、耐電蝕性及び電気特性並びに特に優れたはんだ耐熱性及び耐金めっき性等を示すソルダーレジストを基板上に形成することができる希アルカリ水溶液で現像可能なフォトソルダーレジストインクを調製することができるものである。
また、エポキシ基を有するエチレン性不飽和単量体とマレイミド又はその誘導体とに共重合可能なエチレン性不飽和単量体によって、光硬化性の調整及び硬化膜の物性の調整をおこなうことができ、解像性、感度及びはんだ耐熱性等に優れ、また優れた基板密着性、耐薬品性、耐電蝕性及び電気特性並びに特に優れたはんだ耐熱性及び耐金めっき性等を示すソルダーレジストを基板上に形成することができる希アルカリ水溶液で現像可能なフォトソルダーレジストインクを調製することができるものである。
【0062】
また本発明の請求項2に記載の発明は、上記エポキシ基を有するエチレン性不飽和単量体がグリシジル(メタ)アクリレートであるので、入手し易いグリシジルアクリレート又はグリシジルメタクリレートを用いることによって、上記のような効果を有するフォトソルダーレジストインクを容易に調製することができるものである。
【0063】
また本発明の請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の紫外線硬化性樹脂組成物と、光重合開始剤及び希釈剤を含有するので、解像性、感度及びはんだ耐熱性等に優れると共に、優れた基板密着性、耐薬品性、耐電蝕性及び電気特性並びに特に優れたはんだ耐熱性及び耐金めっき性等を示すソルダーレジストを基板上に形成することができるものである。
Claims (3)
- エポキシ基を有するエチレン性不飽和単量体と、重合性単量体成分の全量に対して5モル%以上10モル%未満のマレイミド又はその誘導体と、エポキシ基を有するエチレン性不飽和単量体とマレイミド又はその誘導体とに共重合可能なエチレン性不飽和単量体とを含有する重合性単量体成分を重合させて生成される共重合体に、カルボキシル基を有するエチレン性不飽和単量体と飽和又は不飽和の多塩基酸無水物とを反応させて生成される紫外線硬化性樹脂、及び1分子中に2個以上のエポキシ基を有するエポキシ化合物を含有して成ることを特徴とする紫外線硬化性樹脂組成物。
- 上記エポキシ基を有するエチレン性不飽和単量体がグリシジル(メタ)アクリレートであることを特徴とする請求項1に記載の紫外線硬化性樹脂組成物。
- 請求項1又は2に記載の紫外線硬化性樹脂組成物と、光重合開始剤及び希釈剤を含有して成ることを特徴とするフォトソルダーレジストインク。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP30207796A JP3662690B2 (ja) | 1996-11-13 | 1996-11-13 | 紫外線硬化性樹脂組成物及びフォトソルダーレジストインク |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP30207796A JP3662690B2 (ja) | 1996-11-13 | 1996-11-13 | 紫外線硬化性樹脂組成物及びフォトソルダーレジストインク |
Publications (2)
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