JP4326662B2 - 変造床版から成る躯体 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、変造床版から成る躯体に関し、特に床スラブの一部に開口部や欠け込み床版等の変造部を形成した場合にも剛床仮定を確立させている変造床版から成る躯体に関する。
【0002】
【従来の技術】
建築構造物の躯体では、一般に建築構造物の同一床位置では水平力による変形が同量であるという剛床仮定の下に耐震設計が実施されている。
RC造の建築構造物では、通常の場合RC造の床版が充分な剛性と耐力を確保して剛床を形成していることから、強風時や地震時にも各柱梁軸組が相互に同様な動きをして建築構造物全体は安定した挙動を維持できる。しかし、S造の建築構造物や柱をSRC造、梁をS造というように柱梁軸組を異種構造部材で構成するハイブリッド構造の建築構造物においては、床スラブにせん断補強を施さないと剛床仮定が成立しない場合も発生する。
【0003】
特に、最近のようにロビーに大きな吹抜け部を設けたり、途中階のフロアーの一部に客席が上下階に跨る劇場を設けるような大きな開口部を設けた建築構造物が出現すると、柱梁軸組間で伝達される応力に対応する床スラブの耐力が問題になってくる。又、高齢化社会における老齢人口の増加に対応するために、建築構造物にバリアフリーを考慮する傾向が高まり、床面の段差を無くするために床スラブを部分的に欠き込む構造を採用する状況も発生して、上記と同様の問題が発生している。
【0004】
上記のような建築構造物において躯体を構成している床スラブの断面積が部分的に不足することで剛床仮定が確保できない場合には、地震時に水平方向のせん断力が生じると、柱梁軸組毎の剛性と負担加重が相違して、床スラブが面内あるいは面外方向に変形したり、床スラブにひび割れや部分破壊が発生して、床スラブを介しての水平力伝達が出来なくなり、柱梁軸組相互間が不安定な動きになって建築構造物の安全性と仕上げ面に問題が発生することになる。
【0005】
これらの対策として、従来の建築構造物には、床スラブにせん断補強を施す目的から、▲1▼ 床スラブの鉄筋量を増やすと共に、床厚を大にする。▲2▼ 床スラブの下面に水平ブレースを設ける。▲3▼ 床スラブとして、高剛性の合成床版を使用する。等の処置が施されてきた。
【0006】
図10は、上記▲1▼の床スラブ厚を部分的に厚くする実施例を示しており、通常の床スラブ100に対して、開口部111を形成しているので、開口部111の両側にある床スラブに必要な剛性・耐力を確保するために増厚部101を打ち増している。このために、明らかに重量の増加が大きくなると同時に、仕上げレベルの問題や鉄骨梁のレベル低下による周辺梁との取り合い問題が発生している。
【0007】
又、図11は、上記▲2▼の場合を示しており、床スラブ110には開口部111を形成しているので、開口部111の両側にある床スラブ112、113の下部には水平ブレース114、114が配置されている。各水平ブレースは必要な水平剛性を確立するために配置されるものであるから、図示のように大きな断面と大量の鋼材が必要になり、同時に床スラブ112、113の下部から大きく垂下することになるので、室内の有効空間を狭めたり、設備配管の妨げになる。
さらに、▲3▼の場合には、床スラブへの全面使用でコストの割高を招くという問題点を発生している。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記の問題点に鑑みてその解決のために提案されたものであり、床スラブの一部に開口部や欠け込み床版等の変造部を形成した場合にも、従来の各対策が抱えていた問題点を発生させずに、建築構造物に剛床仮定を確立させる変造床版から成る躯体の提供を課題にしている。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明による変造床版から成る躯体は、基本的に、少なくとも梁が鉄骨造の柱梁軸組と厚さの均一なコンクリート製の床スラブとから構成される躯体において、前記床スラブの一部に変造部を形成し、変造部に臨む柱梁軸組間に下部に補完部材を合体させて他の床スラブと均一な厚さに構成した床スラブを配置し、補完部材を柱梁軸組の梁に固設することを特徴としており、これによって地震時に水平方向のせん断力が生じても、床スラブを介しての水平力伝達を保持して剛床仮定を確立しているものである。
【0010】
請求項2に記載した発明である変造床版から成る躯体は、請求項1に記載した変造床版から成る躯体において、変造部の少なくとも一側面を構成する床スラブの下部に鋼板を配設することを特徴としており、上記機能に加えて、鋼板をコンクリート打設の型枠として活用すると共に、建築構造物の柱梁軸組毎の剛性を相違させず、かつ負担荷重をほとんど相違させることなく剛床仮定を確立している。
【0011】
請求項3に記載した発明である変造床版から成る躯体は、請求項1又は2に記載した変造床版から成る躯体において、前記補完部材が、所定幅の鋼板を配設して成ることを特徴としており、上記機能に加えて、せん断応力の分布を考慮しながら補完部材を1個所に集約することで鋼板の使用量を低減させながら剛床仮定を確立している。
【0012】
請求項4に記載した発明である変造床版から成る躯体は、請求項1乃至3のいずれかに記載した変造床版から成る躯体において、前記補完部材が、変造部の側面から所定間隔離れた位置に鋼板を配設して成ることを特徴としており、上記機能に加えて、鋼板をせん断応力の分布を考慮した配置にして剛床仮定を確立している。
【0013】
請求項5に記載した発明である変造床版から成る躯体は、請求項1乃至4のいずれかに記載した変造床版から成る躯体において、前記補完部材が、鋼板を複数個の分割体とし所定間隔を保って配設して成ることを特徴としており、上記機能に加えて、鋼板をせん断応力の分布と設備配管等との関連を勘案した配置にして、施工性の向上を図りながら剛床仮定を確立している。
【0014】
【発明の実施の形態】
鉄骨造の柱梁軸組と床スラブから構成される躯体においては、剛床仮定を確立することを第1義にして骨組み設計が行われる。このために、柱梁軸組間のせん断力伝達が円滑に行われるかの検討がなされ、通常の場合には、それが確認できることで骨組み設計は完了している。
【0015】
しかし、床スラブに欠き込み床版の部分や吹抜きのような開口部を設ける変造床版の場合には、柱梁軸組毎の剛性と負担加重が相違して床スラブが面内あるいは面外方向に変形したりひび割れや部分破壊が発生して、床スラブの部分で水平方向のせん断力が円滑に伝達されないことから、床スラブを如何に補強するかが検討される。その結果、コンクリート厚の増強やブレースの付設等によって補強が可能な場合には、それに沿った床スラブの補強設計によって対応することができるが、補強が困難な場合には躯体を構成している部材の再検討を余儀なくさせられる。
【0016】
本発明は、上記の検討過程において、床スラブの補強を従来手段が抱えていた問題点を解消しながら、施工性を向上させることで低コストで実施できる躯体構造を提供しているものであり、基本的に、少なくとも梁が鉄骨造の柱梁軸組と厚さの均一なコンクリート製の床スラブとから構成される躯体において、前記床スラブの一部に変造部を形成し、この変造部に臨む柱梁軸組間に下部に補完部材を合体させて他の床スラブと均一な厚さに構成した床スラブを配置し、補完部材を柱梁軸組の梁に固設しており、これによって、補完部材をコンクリート打設の型枠として活用すると共に、地震時に水平方向のせん断力が生じても床スラブを介しての水平力伝達を確保して、鉄骨造の躯体における剛床仮定を確立させている。
以下に、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0017】
図1は、本発明による変造床版から成る躯体の平面図(a)と平面図(a)における(b)−(b)矢視の横断面図(b)である。
本実施の形態では、図1(a)に示すように各柱梁軸組10間に床スラブ1を構成しており、床スラブ1を構成しているコンクリート床版の1部にスラブ上面2から床下がりした欠け込み部3を形成している。
欠け込み部3が形成されている各柱梁軸組10間のコンクリート床版を補完するために、欠け込み部3の右側面に位置して床スラブ1を構成しているコンクリート床版4の下部5に、柱梁軸組10−1、10−2の間に掛け渡した鋼板6が配置されている。この鋼板6は、柱梁軸組10−1、10−2に溶接付けされており、コンクリート床版4を構成する打設コンクリートの型枠を兼用している。
【0018】
欠け込み部3の部分は、図1(b)の断面図に示しているように、床下がりの形成によって断面積が減少する状態を生じているために、このままの状態では、地震時に水平方向のせん断力が生じるとコンクリート床版1の柱梁軸組毎の剛性と負担加重が相違して、コンクリート床版1が面内あるいは面外方向に変形したり、ひび割れや部分破壊が発生して、床スラブを介しての水平力伝達が出来なくなる。
【0019】
しかるに、本発明では上記のように構成することによって、欠け込み部3の部分が負担するせん断応力は、欠け込み部3を間に挟んでいる柱梁軸組10−1、10−2に溶接付けされたコンクリート床版4と合体している鋼板6によって補完されているので、コンクリート床版4の面内あるいは面外方向への変形、ひび割れ、部分破壊の発生が防止されて、水平力の伝達が十分に可能になる。
従って、本実施の形態が構成している躯体は、床版のコンクリート厚の増強やブレースの付設等を不要にして剛床仮定を確立しており、コストダウンを図りながら建築構造物の仕上げと安全性を確保している。
【0020】
図2は、本発明による変造床版から成る躯体における他の実施形態を示す平面図(a)と平面図(a)における(b)−(b)矢視の横断面図(b)である。本実施の形態では、図2(a)に示すように各柱梁軸組20間に構成されたコンクリート造の床スラブ11が構成されており、床スラブ11の1部に吹抜け開口部12を形成している。床スラブ11には、吹抜け開口部12に近接してその両側面に位置するコンクリート床版13の下部14に柱梁軸組20−1、20−2の間に掛け渡した鋼板15が配置されている。鋼板15は、上記した実施の形態と同様に柱梁軸組20−1、20−2に溶接付けもしくはボルト接合されており、コンクリート床版13を構成する打設コンクリートの型枠を兼用させて活用を図っている。
【0021】
本実施の形態においても、上記のように構成することで吹抜け開口部12の部分が負担するせん断応力は、柱梁軸組20−1、20−2に溶接付けされた鋼板15によって補完されているので、コンクリート床版13の面内あるいは面外方向への変形、ひび割れ、部分破壊の発生が防止され躯体は剛床仮定を確立していることから、上記実施の形態と同様に地震時においても建築構造物の仕上げと安全性については問題の発生が無い。
【0022】
上記実施の形態では、コンクリート床版の補完部材として、鋼板を配置する形態を以て説明したが、本発明は、変造部を間に挟む柱梁軸組間に床スラブに合体させて補完部材を配置しても、他の床スラブ部分と実質的に均一なスラブ厚さを確保することを目的にしているものであるから、補完部材としても躯体を構成する床スラブの厚さを実質的に増大させない程度のトラス架構形状の補強部材や他の部材によって補強された板状体であっても適用可能である。
【0023】
図3〜図8には、欠き込み床版もしくは吹抜け開口等の変造部を補完して剛床仮定を確立する鋼板の配置状態を示している。
図3は、床スラブの中央部分に柱間隔2スパンを通して形成された開口部に対する鋼板の配置状態を示している。
本実施の形態では、図3(a)に示すように各柱梁軸組30と各柱梁軸組30間に構成された床スラブ31とで躯体を構成しており、床スラブ31の1部に吹抜け開口部32を形成している。
鋼板33−1、33−2及び34−1、34−2は開口部32の際から四方に配置されており、建築構造物の外側端まで2スパンの柱梁軸組35−1、35−2及び36−1、36−2の間に在るコンクリート床版を全域に亘って補完している。
従って、本実施の形態においては、鉄骨造の柱梁軸組と鋼板と合体したコンクリート床版を含む床スラブ間とによって、水平力の伝達が確保されることから剛床仮定が確立されている。
【0024】
図4は、柱間隔2スパンの柱梁軸組間に形成された欠き込み床版に対する鋼板の配置状態を示しており、躯体の構成を図3で示した実施の形態と同様にして、各柱梁軸組と床スラブとは同じ符号を以て表示している。
本実施の形態では、図4(a)に示すように床スラブ31の1部に欠き込み床版37を形成している。
そして、鋼板34−1、34−2は欠き込み床版37の際から図の上下方向に配置され、建築構造物の外側端まで柱梁軸組36−1、36−2の間にあるコンクリート床版を全域に亘って補完しているが、図の左右の方向には、鋼板38−1、38−2が床下がりの端部から間隔39を形成してから建築構造物の外側端まで柱梁軸組35−1、35−2の間に在るコンクリート床版を全域に亘って補完している。
【0025】
従って、間隔39は、欠き込み床版37の形成と近接する柱梁軸組36−1、36−2との関連で、設備配管等の設置スペースを考慮して形成されるもので、その大きさには適宜選択されることになるが、本実施の形態においても、鉄骨造の柱梁軸組と鋼板と合体したコンクリート床版を含む床スラブ間とによって、水平力の伝達が確保されることから剛床仮定が確立されている。
【0026】
図5は、変造部に対する鋼板の他の配置状態を示しており、躯体の構成を図3で示した実施の形態と同様にして、各柱梁軸組と床スラブとは同じ符号を以て表示している。
本実施の形態では、図5(a)に示すように各柱梁軸組30と各柱梁軸組30間に構成された床スラブ31とで躯体を構成しており、床スラブ31の1部に変造部40を形成している。
【0027】
変造部40を挟んで配置されている柱梁軸組35−1、35−2及び36−1、36−2の間には、鋼板41−1、41−2及び43が変造部40の際から四方に所定間隔で配置されており、変造部40の際から全域に亘ってコンクリート床版を補完している。
即ち、図5(a)の平面図において、変造部40の左右の両側際に鋼板41−1がコンクリート床版の下に合体状態で配置されており、鋼板41−1に継続して鋼板41−2が、建築構造物の外側端まで所定の間隔42を保ってコンクリート床版と合体した状態で均一に配置されている。同様に、変造部40の上下両側に鋼板43が変造部40の際から間隔44を隔ててコンクリート床版の下に合体した状態で配置されており、これに継続させて建築構造物の外側端まで所定の間隔45を保った状態で配置されている。
従って、本実施の形態においては、設備配管等の設置スペースを優先的に考慮しながらコスト低減を図って形成されると共に、間隔を保って配置される鋼板が合体しているコンクリート床版と鉄骨造の柱梁軸組とによって、水平力の伝達が確保されることから剛床仮定が確立されている。
【0028】
図6は、変造部40に対する鋼板の他の配置状態を示しており、躯体の構成を図5で示した実施の形態と同様にして、各柱梁軸組と床スラブとは同じ符号を以て表示している。
変造部40を挟んでいる柱梁軸組35−1、35−2及び36−1、36−2の間に配置される鋼板46と47は、所定の幅を持って形成されており、図6(a)の平面図で示すように変造部40の際から左右に鋼板46、上下に鋼板47を配置して、柱梁軸組35−1、35−2及び36−1、36−2の間に在るコンクリート床版を所定の範囲で補完している。
従って、本実施の形態においては、鉄骨造の柱梁軸組と鋼板と合体したコンクリート床版との結合によって、水平力の伝達が確保されるが、対応するせん断応力との関連は鋼板の幅と厚さ等によって調整しながら補強設計を行うことで剛床仮定を確立させている。
【0029】
図7は、変造部40に対する鋼板の他の配置状態を示しており、躯体の構成を図5で示した実施の形態と同様にして、各柱梁軸組と床スラブとは同じ符号を以て表示している。
変造部40を間に挟んでいる柱梁軸組35−1、35−2及び36−1、36−2の間に配置される鋼板48と49は所定の幅を持って形成されており、設備配管等の設置スペースを優先的に考慮して図7(a)の平面図で示すように、変造部40の際から間隔50をそれぞれに隔てて左右に鋼板48、上下に鋼板49を配置して、柱梁軸組35−1、35−2及び36−1、36−2の間に在るコンクリート床版を所定の範囲で補完している。
従って、本実施の形態においても、鉄骨造の柱梁軸組と鋼板と合体したコンクリート床版をとによって、水平力の伝達が確保されており、図6で示した実施の形態と同様に、対応するせん断応力との関連は鋼板の幅と厚さ等によって調整しながら補強設計を行うことで剛床仮定を確立させている。
【0030】
図8は、変造部40に対する鋼板の他の配置状態を示しており、躯体の構成を図5で示した実施の形態と同様にして、各柱梁軸組と床スラブとは同じ符号を以て表示している。
図8(a)では、図において変造部の右側に鋼板を配置していない実施の形態を示している。変造部40は、柱梁軸組35−1、35−2及び36−1、36−2の間に挟まれているが、柱梁軸組35−1、35−2の間に施される補強は図において左側に配置される所定幅の鋼板51のみである。そして、柱梁軸組36−1、36−2の間に施される補強は同一幅の鋼板52と53であるが、鋼板52は変造部40の際から配置されており、鋼板53は変造部40の際から所定の間隔50を隔ててから配置されている。
【0031】
図8(b)では、図において変造部の上側に鋼板を配置していない実施の形態を示している。変造部40は、柱梁軸組35−1、35−2及び36−1、36−2に間にに挟まれているが、柱梁軸組35−1、35−2の間に施される補強は、上記実施の形態における鋼板48を変造部40の際から所定の間隔50を隔ててからの配置で行われている。そして、柱梁軸組36−1、36−2の間に施される補強は、図において変造部40の際から下側に配置される所定幅の鋼板54のみである。
【0032】
鋼板の配置におけるこれらの相違は、いずれにおいても設備配管等の設置スペースと施工性の効率化との兼ね合いで設定されているものであり、当然のことながら鉄骨造の柱梁軸組と鋼板が合体したコンクリート床版とによって、水平力の伝達が確保されており、上述の各実施の形態と同様に、対応するせん断応力との関連は鋼板の幅と厚さ等によって調整しながら補強設計を行うことで剛床仮定を確立させている。
【0033】
上記実施の形態では、コンクリート床版の下に合体して設けられる鋼板は一枚ものの単体として説明してきた。そして、合体して構成したコンクリート床版のせん断応力が不足する場合にも、床スラブ厚の均一状態を維持するために、従来のようにコンクリート厚を増大したり下側にブレースを配置することでなく、鋼板の幅や厚さを調整することによって対応している。
しかして、補完コストの面等からは、図9に示すように補強鋼板6の下側に際だった突出状態を形成しない範囲において、L型鋼等の補強部材55を通常の施工法によって配備し、これによって補強鋼板の厚さを薄くさせることも本発明においては有効な手段である。
又、上述したように補強鋼板に限らず、床スラブと合体できてスラブ厚を実質的に増大させることのないメッシュもしくや埋込みブレース等の補強部材であっても剛床仮定の検討経過によっては採用可能である。
【0034】
以上、本発明を実施の形態に基づいて詳細に説明してきたが、本発明による変造床版から成る躯体は、基本的に、少なくとも梁が鉄骨造の柱梁軸組と厚さの均一なコンクリート製の床スラブとから構成される躯体において、前記床スラブの一部に変造部を形成し、変造部に臨む柱梁軸組間に下部に補完部材を合体させて他の床スラブと均一な厚さに構成した床スラブを配置し、補完部材を柱梁軸組の梁に固設することを特徴としており、これによって地震時に水平方向のせん断力が生じても、床スラブを介しての水平力伝達を保持して剛床仮定を確立しているものであるから、上記実施の形態に何ら限定されるものでなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能であることは当然のことである。
【0035】
【発明の効果】
本発明による変造床版から成る躯体は、少なくとも梁が鉄骨造の柱梁軸組と厚さの均一なコンクリート製の床スラブとから構成される躯体において、前記床スラブの一部に変造部を形成し、変造部に臨む柱梁軸組間に下部に補完部材を合体させて他の床スラブと均一な厚さに構成した床スラブを配置し、補完部材を柱梁軸組の梁に固設することを特徴としているので、補完部材が打設コンクリートの型枠を兼用すると共に、地震時に水平方向のせん断力が生じても、床スラブを介しての水平力伝達を保持して剛床仮定を施工容易な低コストで確立できる効果を奏している。
【0036】
請求項2に記載した発明である変造床版から成る躯体は、請求項1に記載した変造床版から成る躯体において、変造部の少なくとも一側面を構成する床スラブの下部に鋼板を配設することを特徴としているので、上記効果に加えて、鋼板をコンクリート打設の型枠として活用すると共に、建築構造物の柱梁軸組毎の剛性相違させず、かつ負担荷重をほとんど相違させることなく剛床仮定を確立する効果を奏している。
【0037】
請求項3に記載した発明である変造床版から成る躯体は、請求項1又は2に記載した変造床版から成る躯体において、前記補完部材が、所定幅の鋼板を配設して成ることを特徴としているので、上記効果に加えて、せん断応力の分布を考慮しながら補完部材を1個所に集約することで鋼板の使用量を低減させてコスト低減を図りながら剛床仮定を確立する効果を奏している。
【0038】
請求項4に記載した発明である変造床版から成る躯体は、請求項1乃至3のいずれかに記載した変造床版から成る躯体において、前記補完部材が、開口部等変造部の側面から所定間隔離れた位置に鋼板を配設して成ることを特徴としているので、上記効果に加えて、鋼板をせん断応力の分布と設備配管等との配置を考慮しながら剛床仮定を確立する効果を奏している。
【0039】
請求項5に記載した発明である変造床版から成る躯体は、請求項1乃至4のいずれかに記載した変造床版から成る躯体において、前記補完部材が、鋼板を複数個の分割体とし所定間隔を保って配設して成ることを特徴としているので、上記効果に加えて、鋼板をせん断応力の分布と設備配管等との関連を勘案した配置にして、施工性の向上を図りながら剛床仮定を確立する効果を奏している。
【図面の簡単な説明】
【 図1】本発明による変造床版から成る躯体の平面図(a)と平面図(a)における(b)−(b)矢視の横断面図(b)
【 図2】本発明による変造床版から成る躯体における他の実施形態を示す平面図(a)と平面図(a)における(b)−(b)矢視の横断面図(b)
【 図3】本発明による変造床版を補完して剛床仮定を確立する鋼板の配置状態を示す実施の形態図
【 図4】本発明による変造床版を補完して剛床仮定を確立する鋼板の配置状態を示す他の実施の形態図
【 図5】本発明による変造床版を補完して剛床仮定を確立する鋼板の配置状態を示す他の実施の形態図
【 図6】本発明による変造床版を補完して剛床仮定を確立する鋼板の配置状態を示す他の実施の形態図
【 図7】本発明による変造床版を補完して剛床仮定を確立する鋼板の配置状態を示す他の実施の形態図
【 図8】本発明による変造床版を補完して剛床仮定を確立する鋼板の配置状態を示す他の実施の形態図
【 図9】本発明による変造床版を補完する鋼板の実施の形態図
【 図10】変造床版を補完する従来の補強状態図
【 図11】変造床版を補完する従来の補強状態図
【符号の説明】
1 床スラブ、 2 スラブ上面、 3 欠き込み部、
4 コンクリート床版、 5 コンクリート床版の下部、 6 鋼板、
10、10−1、10−2 柱梁軸組、 11 コンクリート床版、
12 吹抜け開口部、 13 コンクリート床版、
14 コンクリート床版の下部、 15 鋼板、 20 柱梁軸組、
20−1、20−2 柱梁軸組、
30 柱梁軸組、 31 床スラブ、 32 吹抜け開口部、
33−1、33−2、34−1、34−2 鋼板、
35−1、35−2、36−1、36−2 柱梁軸組、
37 欠き込み床版、 38−1、38−2 鋼板、 39 間隔、
40 変造部、41−1、41−2、43 鋼板、
42、44、45、50 間隔、 46、47、48、49 鋼板、
51、52、53 鋼板、 55 補強部材、
100、110 床スラブ、 101 コンクリート床版の増厚部、
111 開口部、 112、113 床スラブ、 114 水平ブレース、
Claims (5)
- 少なくとも梁が鉄骨造の柱梁軸組と厚さの均一なコンクリート製の床スラブとから構成される躯体において、前記床スラブの一部に変造部を形成し、該変造部に臨む柱梁軸組間に下部に補完部材を合体させて他の床スラブと均一な厚さに構成した床スラブを配置し、該補完部材を該柱梁軸組の梁に固設することを特徴とする変造床版から成る躯体。
- 補完部材が、変造部の少なくとも一側面を構成する床スラブの下部に合体させた鋼板であることを特徴とする請求項1に記載の変造床版から成る躯体。
- 前記補完部材が、所定幅の鋼板を配設して成ることを特徴とする請求項1又は2に記載の変造床版から成る躯体。
- 前記補完部材が、変造部の側面から所定間隔離れた位置に鋼板を配設して成ることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の変造床版から成る躯体。
- 前記補完部材が、所定間隔を保った複数個の分割体として鋼板を配設して成ることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の変造床版から成る躯体。
Priority Applications (1)
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