JP4320647B2 - 車両制御システム - Google Patents
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Description
一方、上記シフトバイワイヤシステムでは、異常が発生してバイワイヤ制御回路によるアクチュエータの制御が止まると、自動変速機のレンジが車両搭乗者の意思に反する走行レンジに固定された状態で車両が走行するおそれがある。尚、特許文献2に開示されるように自動変速機のレンジを機械的に変化させるレバーを補助的に設けることで走行レンジへの固定を回避することはできるものの、そうした機械的構造を追加すれば、電気的なシフトバイワイヤシステムを用いる意味が半減し、コストが高騰するばかりでなく、機械的構造が付加されることで純粋にバイワイヤとは言えなくなるため、バイワイヤ化のメリットである組み付け性の向上等の利点が損なわれてしまう。
本発明は、こうした問題に鑑みてなされたものであって、その目的は、シフトバイワイヤシステムに関連する異常(以下、「シフトバイワイヤ関連異常」という)の発生時に車両を安全に制御する車両制御システムを提供することにある。
請求項3に記載の発明によると、フェイルセーフ制御手段は、車速と、それに直結する車両のエンジン回転数及び車両搭乗者によるアクセル操作量とに基づいて車両状態を判別する。このような車両状態に応じてフェイルセーフ制御を実施することで、車両安全を適切に確保することができる。
請求項1に記載の発明によると、バイワイヤ制御回路は、フェイルセーフ制御手段によるフェイルセーフ制御の開始後に復帰制御を実施する。これにより、実レンジが指令レンジと不一致となるシフトバイワイヤ関連異常の発生時には、フェイルセーフ制御によって車両安全を確保した上で復帰制御が実施されるので、仮に当該復帰制御に伴って車両搭乗者の意思に反した車両状態が実現されることがあっても車両安全を確保することができる。
(第一実施形態)
図2は、本発明の第一実施形態による車両制御システム1を示している。車両に搭載される車両制御システム1は、自動変速機制御システム2、シフトバイワイヤシステム3、エンジン制御システム4、ブレーキ制御システム5、ステアバイワイヤシステム6、統合ECU10等から構成されている。
診断処理のステップS21においてECU13は、回転角センサ33及びレンジセンサ34の双方の故障を検出したか否かを判定する。その結果、肯定判定がなされた場合にECU13は、他のステップを実行しないで、本診断処理を終了する。一方、ステップS21において否定判定がなされた場合にECU13は、ステップS22において、回転角センサ33の故障を検出したか否かを判定する。
異常時制御フローのステップS41において統合ECU10は、フェイルセーフ制御を実施するか、それとも解除するかを判定する。ここで本実施形態の統合ECU10は、上記レンジ制御フローのステップS12による通知を受けた場合に、フェイルセーフ制御の実施判定を下す。また一方、上記レンジ制御フローのステップS15による解除指令を受けた場合、又はイグニションスイッチのオンの後、上記レンジ制御フローのステップS12による通知を一度も受けていない場合に、フェイルセーフ制御の解除判定を下す。
(D1)エンジン回転数がアイドル回転数以上、又は車速が徐行速度以上である。
(D2)エンジン回転数がアイドル回転数未満、且つ車速が停車速度以上徐行速度未満、且つアクセルペダル43が踏み込まれた状態である。
(D3)エンジン回転数がアイドル回転数未満、且つ車速が停車速度以上徐行速度未満、且つアクセルペダル43が戻された状態である。
(D4)エンジン回転数がアイドル回転数未満、且つ車速が停車速度未満である。
(E1)Nレンジ制御の対応電磁弁23へ制御指令をECU12へ与えることで、自動変速機20がエンジン40により発生した駆動力を駆動輪60へ伝達しない状態、即ち動力伝達の状態としてはNレンジと等価な状態(この状態を以下では単に「Nレンジ」という)に固定する。
(E2)スロットル開度及び燃料噴射量のうち少なくとも一方を減少させる制御指令をECU14へ与えることで、例えばエンジン回転数がアイドル回転数程度又はそれより大きな設定回転数以下となるようにエンジントルクを低下させる。
(E3)主ブレーキ装置50により主ブレーキを作動させる制御指令をECU15へ与える。
(E4)パーキングブレーキ装置51によりパーキングブレーキを作動させる制御指令をECU15へ与える。
(E5)車両のクルーズ制御を禁止する制御指令をECU14へ与える。
(E6)車両の自動駐車制御を禁止する制御指令をECU14〜16へ与える。
以上、ステップS41においてフェイルセーフ制御の実施判定が下された場合について説明したが、ステップS41においてフェイルセーフ制御の解除判定が下された場合に統合ECU10は、ステップS44においてフェイルセーフ制御を解除した後、ステップS41を再実行する。
可否判定処理のステップS51においてECU13は、図6に示すように、以下の条件(F1)〜(F3)のうちいずれか一つが成立しているか否かを判定する。
(F1)第一〜第四異常フラグのうちECU13のメモリ13aに設定されているフラグ(以下、「設定フラグ」という)は、第三異常フラグである。
(F2)第一〜第四異常フラグのうち設定フラグは、第一及び第三異常フラグである。
(F3)第一〜第四異常フラグのうち設定フラグは、第二及び第三異常フラグである。
(G1)車速が停車速度以下である。
(G2)主ブレーキが作動しており、且つエンジン回転数がアイドル回転数以下である。
(G3)パーキングブレーキが作動している。
したがって、車両安全をフェイルセーフ制御により確保した状態で実レンジを切り替えることができるので、例えば実レンジをNレンジからDレンジへ切り替えるような場合に車輪の駆動トルクが車両搭乗者の意思に反して急激に増大し、それにより車両が急発進する事態を防止することができる。しかも第一実施形態では、上記条件(G1)が成立、即ち車両停止が直接的に確認された場合や、上記条件(G2)〜(G3)が成立、即ち車両停止が間接的に確認された場合に復帰制御が実施されるので、車両搭乗者の意思に反する車両の加減速を招くことなく安全に復帰制御を進めることができる。また、第一実施形態では、レンジセレクタ35のレバー操作が設定時間内に設定回数以上検出された場合、即ち車両搭乗者によるレンジの復帰意思が確認された場合に復帰制御が実施されるので、車両搭乗者の意思に従って安全に復帰制御を進めることができる。
図8及び図9に示すように、本発明の第二実施形態は第一実施形態の変形例であり、第一実施形態と実質的に同一の構成部分には同一の符号を付すことで説明を省略する。
第二実施形態では、車両のレンジセレクタ100がボタン操作式であると共に、ECU13が実施するレンジ制御フローの可否判定処理の内容が第一実施形態と相違している。以下、第三実施形態の可否判定処理について、図9を参照しつつ説明する。尚、この可否判定処理は、第一実施形態と同様に、レンジ制御フローのステップS13において実施されるものである。
以上よりECU13は、ステップS103,S108の実行終了後のステップS109では、復帰制御の実施許可判定を下す一方、ステップS101,S106における否定判定後のステップS110では、復帰制御の実施禁止判定を下す。
図10及び図11に示すように、本発明の第三実施形態は第一実施形態の変形例であり、第一実施形態と実質的に同一の構成部分には同一の符号を付すことで説明を省略する。
第三実施形態では、シフトバイワイヤシステム3のレンジセンサ200及びレンジセレクタ35のセレクタセンサ201がECU13に加え、統合ECU10にも電気的に接続されており、また統合ECU10が実施する異常時制御フローの内容が第一実施形態と相違している。以下、第三実施形態の異常時制御フローについて、図11を参照しつつ説明する。
図12〜図16に示すように、本発明の第四実施形態は第一実施形態の変形例であり、第一実施形態と実質的に同一の構成部分には同一の符号を付すことで説明を省略する。
図12に示すように第四実施形態では、シフトバイワイヤシステム3のアクチュエータ30の電動モータ300が二つの駆動部301,302を有する二重系に構成されており、アクチュエータ30の信頼性が高められている。各駆動部301,302は、個別の通電経路303,304によりECU13に電気的に接続されている。各通電経路303,304上には、リレー等からなるスイッチ装置305,306がそれぞれ設けられている。各スイッチ装置305,306はECU13に電気的に接続されており、対応する通電経路303,304をECU13の制御に従って開閉する。
まず、第四実施形態の診断処理について、図13を参照しつつ説明する。尚、この診断処理は、第一実施形態と同様に、レンジ制御フローのステップS11において実施されるものである。
可否判定処理のステップS321においてECU13は、図16に示すように、以下の条件(H1)〜(H6)のうちいずれか一つが成立しているか否かを判定する。
(H1)第一〜第六異常フラグのうち設定フラグは、第三異常フラグである。
(H2)第一〜第六異常フラグのうち設定フラグは、第一及び第三異常フラグである。
(H3)第一〜第六異常フラグのうち設定フラグは、第二及び第三異常フラグである。
(H4)第一〜第六異常フラグのうち設定フラグは、第五及び第六異常フラグのうち少なくとも一方と、第三異常フラグである。
(H5)第一〜第六異常フラグのうち設定フラグは、第五及び第六異常フラグのうち少なくとも一方と、第一及び第三異常フラグである。
(H6)第一〜第六異常フラグのうち設定フラグは、第五及び第六異常フラグの少なくとも一方と、第二及び第三異常フラグである。
以上よりECU13は、ステップS323,S328の実行終了後のステップS329では、復帰制御の実施許可判定を下す一方、ステップS321,S326における否定判定後のステップS330では、復帰制御の実施禁止判定を下す。
復帰制御処理のステップS341においてECU13は、第五及び第六異常フラグの双方が自身のメモリ13aに設定されているか否かを判定する。その結果、肯定判定がなされた場合にECU13は、ステップS342において、シフトバイワイヤシステム3の第一及び第二通電経路303,304上のスイッチ装置305,306を共にオフ状態とし、本復帰制御処理を終了する。一方、ステップS341において否定判定がなされた場合にECU13は、ステップS343において、第一及び第二通電経路303,304上のスイッチ装置305,306を共にオン状態とした後、ステップS344において、第五異常フラグがメモリ13aに設定されているか否かを判定する。
例えば第一〜第四実施形態では、異常時制御フローをECU10,13以外のECUにより実施してもよい。また、第一〜第四実施形態では、電動モータ32,300を有するアクチュエータ30以外の電磁駆動式アクチュエータ、例えば電磁弁等を有するアクチュエータを用いるようにしてもよい。さらにまた、第四実施形態では、三つ以上の駆動部を有する電動モータを用いるようにしてもよい。
Claims (7)
- 車両の自動変速機のレンジを変化させるアクチュエータ、並びに車両搭乗者により指令されるレンジに従って前記アクチュエータを電気的に制御するバイワイヤ制御回路を有するシフトバイワイヤシステムと、
前記バイワイヤ制御回路とは別の制御回路からなり、前記シフトバイワイヤシステムに関連する異常を検出した前記バイワイヤ制御回路から当該異常の通知を受け、エンジン回転数がアイドル回転数未満、且つ車速が停車速度以上徐行速度未満、且つアクセルペダルが踏み込まれた状態である場合に車両のエンジントルクを低下させて車両安全を確保するフェイルセーフ制御を実施するフェイルセーフ制御手段と、
を備え、
前記シフトバイワイヤシステムに関連する異常は、前記自動変速機の実レンジが車両搭乗者の指令レンジと不一致となる異常を含み、前記バイワイヤ制御回路は、前記実レンジが前記指令レンジと不一致となる異常を検出した場合に、前記フェイルセーフ制御手段による前記フェイルセーフ制御に引き続き、実レンジと指令レンジとを一致させる復帰制御を実施することを特徴とする車両制御システム。 - 前記フェイルセーフ制御手段は、以下の(A1)及び(A2)のうち少なくとも一方の条件が成立した場合に前記フェイルセーフ制御を実施することを特徴とする請求項1に記載の車両制御システム。
(A1)前記シフトバイワイヤシステムに関連する異常の通知を前記バイワイヤ制御回路から前記フェイルセーフ制御手段が受ける。
(A2)前記シフトバイワイヤシステムに関連する異常を前記フェイルセーフ制御手段が検出する。 - 前記フェイルセーフ制御手段は、車速と、車両のエンジン回転数と、車両搭乗者によるアクセル操作量とに基づいて前記車両状態を判別することを特徴とする請求項1または2に記載の車両制御システム。
- 前記シフトバイワイヤシステムに関連する異常は、前記シフトバイワイヤシステム内、並びに前記シフトバイワイヤシステムと他の車両要素との間のうち少なくとも一方における電気通信異常を含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の車両制御システム。
- 前記シフトバイワイヤシステムに関連する異常は、前記シフトバイワイヤシステムの構成要素の故障を含むことを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の車両制御システム。
- 前記バイワイヤ制御回路は、以下の(C1)及び(C2)のうち少なくとも一方の条件が成立した場合に前記復帰制御を実施することを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の車両制御システム。
(C1)前記バイワイヤ制御回路が車両停止を確認する。
(C2)前記バイワイヤ制御回路が車両搭乗者によるレンジの復帰意思を確認する。 - 前記バイワイヤ制御回路は、前記復帰制御が完了した後、前記フェイルセーフ制御の解除を前記フェイルセーフ制御手段へ指令することを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の車両制御システム。
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