JP2010236669A - 自動変速機の制御装置 - Google Patents

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明彦 加藤
Naoki Itatsu
直樹 板津
Yoshinobu Nozaki
芳信 野崎
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Aisin AW Co Ltd
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Abstract

【課題】第1及び第2コンピュータ双方の判断の一致が確認し得なくなった場合であっても、リンプホーム機能を適正に制御し得るようにした自動変速機の制御装置を提供する。
【解決手段】第1及び第2コンピュータ71,72がそれぞれ、取得した情報に基づいて個々に走行状態を判別する走行状態判別手段77,78と、該走行状態判別手段77,78により個々に判別された走行状態の一致が確認し得なくなったときはNレンジ固定モードに移行させるモード移行制御手段74,76とを備える。これにより、故障等に起因して第1及び第2コンピュータ双方の判断の一致が確認し得なくなった場合はNレンジ固定モードに移行させることで、リンプホーム機能を適正に制御することができる。
【選択図】図5

Description

本発明は、例えば車輌に搭載される自動変速機の制御装置に係り、詳しくは、例えばコンピュータのダウンや配線の断線等に起因するフェール時にあってリンプホームを達成し得るフェールセーフ機能を備えた自動変速機の制御装置に関する。
近年、自動変速機の制御装置、例えば自動変速機の油圧制御装置にあっては、リニアソレノイドバルブの出力性能の向上に伴って、クラッチやブレーキの油圧サーボにリニアソレノイドバルブにより調圧した係合圧を直接供給するように構成されている。このようなリニアソレノイドバルブに、ノーマルオープン(N/O)タイプを用いると、当該リニアソレノイドバルブに対応するクラッチ或いはブレーキを係合しない状態で消費電力が拡大し、車輌の燃費向上の妨げとなる。そのため、リニアソレノイドバルブをノーマルクローズ(N/C)タイプで構成することが好ましい。
一方、例えば制御用コンピュータ(ECU)のダウンや配線の断線等に起因して、上記リニアソレノイドバルブを含む全てのソレノイドバルブが非通電にされる、いわゆるソレノイド・オールオフフェールが生じた場合、上述のようにノーマルクローズタイプであると油圧を出力しなくなるため、つまり油圧サーボに係合圧を供給することができず、特に走行中にソレノイド・オールオフフェールが生じた場合に変速段が形成できずにニュートラル状態となってしまうことになる。
そこでリニアソレノイドバルブをノーマルクローズタイプで構成したものにあって、特定のリニアソレノイドバルブの排出ポートから油圧を逆入力させるものが提案されている(特許文献1参照)。このものは、例えば走行中にソレノイド・オールオフフェールが生じた場合、前進7速段を形成する第2クラッチC−2及び第3クラッチC−3に接続されたリニアソレノイドバルブSLC2,SLC3の排出ポートに前進レンジ圧を逆入力させ得るように構成されており、正常状態における燃費向上を図ると共に、フェール時における前進7速段の形成によるフェールセーフ機能も達成している。
特開2007−177932号公報
上記特許文献1に記載される油圧制御装置では、シフトレバー操作に連動するマニュアルシフトバルブを用いてPレンジ、Rレンジ、Nレンジ、Dレンジ等を切換えるように構成されているが、近年、マニュアルシフトバルブを廃止し、複数のソレノイドバルブや切換えバルブ等を使用して電気的な指令による油圧設定により自動変速機のレンジ切換えを行う、いわゆるシフトバイワイヤシステムを取り入れた油圧制御装置が考えられている。
ところで、上述のリニアソレノイドバルブの逆入力によりフェールセーフを行うものは、逆入力させる油圧として前進レンジ圧を用いており、つまりシフトレバー操作に基づきDレンジ以外で前進7速段が形成される虞はなく、特にソレノイド・オールオフフェール発生後にあっても、手動によりDレンジとDレンジ以外とに切換えられるため、運転者が前進走行とニュートラルとを選ぶことができ、リンプホーム機能として充分である。
しかしながら、上述のようなシフトバイワイヤシステムを、このリニアソレノイドバルブの逆入力によりフェールセーフを行うものに用いた場合、特にソレノイド・オールオフフェール発生後には、ソレノイドバルブを駆動することができなくなり、つまり油圧切換えができなくなるので、運転者が前進走行とニュートラルとを選ぶようなことが不能となってしまう虞がある。
そのため、第1指令系統により制御される複数の第1系統ソレノイドバルブと、第2指令系統により制御されて信号圧の出力状態を制御する第2系統ソレノイドバルブとを設け、第2系統ソレノイドバルブの信号圧により、フェールセーフ走行状態とフェールセーフ停止状態とを切換え可能に構成することで、第1指令系統におけるフェールが発生した状態でも、第2指令系統を用いて前進7速段による走行とニュートラル状態とを切換え得るように構成して、リンプホーム機能の充実を図り得るようにした自動変速機の油圧制御装置が、本出願人により提案されている(本願出願時、未公開)。
しかしながら、本出願人により提案されている上記自動変速機の油圧制御装置では、第1指令系統及び第2指令系統の双方に、それぞれ独立した第1、第2コンピュータ(ECU)を設けることで、自動変速機がソレノイド・オールオフフェールにはなりにくいような二重制御系とし、一方のフェール時でもDレンジとNレンジの切換えを可能にするシフトバイワイヤ方式の自動変速機を実現し得るものの、第1及び第2コンピュータ双方の判断がフェール等のため食い違うような場合には、リンプホーム機能の適正な制御が困難になる虞がある。
そこで本発明は、第1及び第2コンピュータ双方の判断の一致が確認し得なくなった場合であっても、リンプホーム機能を適正に制御し得るように構成した自動変速機の制御装置を提供することを目的とするものである。
請求項1に係る本発明は(例えば図1乃至図8参照)、第1系統ソレノイドバルブ(例えばS1,S2,S4,SL1,SL2,SL3,SL4,SL5)を制御して正常モード(通常モード)とリンプホームモード(例えば前進7速段の形成)と走行強制停止モード(Nレンジ固定モード)とを切換え可能な第1コンピュータ(71)と、第2系統ソレノイドバルブ(例えばS3)を制御して正常モード(通常モード)と走行強制停止モード(Nレンジ固定モード)とを切換え可能な第2コンピュータ(72)と、を有し、前記第1及び第2コンピュータ(71,72)の何れかが走行強制停止モード(Nレンジ固定モード)を選択した際には駆動力伝達を切断し得る油圧制御装置(20)を備えた自動変速機(1)の制御装置において、
前記第1及び第2コンピュータ(71,72)がそれぞれ、
取得した情報に基づいて個々に走行状態を判別する走行状態判別手段(77,78)と、
前記走行状態判別手段(77,78)により個々に判別された前記走行状態の一致が確認し得なくなったときは前記走行強制停止モード(Nレンジ固定モード)に移行させるモード移行制御手段(74,76)と、を備えた、
ことを特徴とする自動変速機の制御装置にある。
請求項2に係る本発明は(例えば図5乃至図8参照)、前記モード移行制御手段(74,76)は、相手コンピュータからのリセット信号に基づき相手コンピュータの稼動が確認されているにも拘わらず該相手コンピュータとの通信が途絶しているときには(A,B)、前記走行状態の一致が確認し得なくなったときとして前記走行強制停止モード(Nレンジ固定モード)に移行させてなる、
請求項1記載の自動変速機の制御装置にある。
請求項3に係る本発明は(例えば図5乃至図8参照)、前記モード移行制御手段(74,76)は、前記第1及び第2コンピュータ(71,72)における前記走行状態判別手段(77,78)で目標レンジ情報及び現在レンジ情報に基づき個々に判別された走行状態が相手コンピュータとの間で不一致するときには(A)、前記走行状態の一致が確認し得なくなったときとして前記走行強制停止モード(Nレンジ固定モード)に移行させてなる、
請求項1又は2記載の自動変速機の制御装置にある。
請求項4に係る本発明は(例えば図5乃至図8参照)、前記第1及び第2コンピュータ(71,72)にそれぞれ、フェールを判定するフェール判定手段(73,75)を備え、
前記第1及び第2コンピュータ(71,72)における前記走行状態判別手段(77,78)でフェール情報に基づき個々に判別された走行状態が相手コンピュータとの間で一致し、かつ前記フェール判定手段(73,75)による判定結果が一致したときには(A,A,B)、前記第2コンピュータ(72)の前記モード移行制御手段(76)による制御は正常モードのままで、前記第1コンピュータ(71)の前記モード移行制御手段(74)による制御は前記リンプホームモード(例えば前進7速段の形成)に移行(C,C)させてなる、
請求項1乃至3のいずれか1項記載の自動変速機の制御装置にある。
請求項5に係る本発明は(例えば図5乃至図8参照)、前記フェール判定手段(73,75)は、ダイアグ情報に基づきフェールを判定してなる、
請求項4記載の自動変速機の制御装置にある。
請求項6に係る本発明は(例えば図5乃至図8参照)、相手コンピュータからのリセット信号に基づき相手コンピュータの稼動が確認されず該相手コンピュータとの通信が途絶しているときには(A,B)、前記第2コンピュータ(72)の前記モード移行制御手段(76)による制御は機能を停止し、前記第1コンピュータ(71)の前記モード移行制御手段(74)による制御は前記リンプホームモード(例えば前進7速段の形成)に移行(C)させてなる、
請求項1乃至5のいずれか1項記載の自動変速機の制御装置にある。
なお、上記カッコ内の符号は、図面と対照するためのものであるが、これは、発明の理解を容易にするための便宜的なものであり、特許請求の範囲の構成に何等影響を及ぼすものではない。
請求項1に係る本発明によると、第1及び第2コンピュータがそれぞれ、取得した情報に基づいて個々に走行状態を判別する走行状態判別手段と、該走行状態判別手段により個々に判別された走行状態の一致が確認し得なくなったときは走行強制停止モードに移行させるモード移行制御手段とを備えるので、故障等に起因して第1及び第2コンピュータ双方の判断の一致が確認し得なくなった場合は走行強制停止モードに移行させることで、リンプホーム機能を適正に制御することができる。このように、第1コンピュータと第2コンピュータとが互いに相手を監視しつつ、両コンピュータ間で疑わしい場合はリンプホームを阻止して走行強制停止モード(例えばNレンジ固定モード)に移行させることができ、車輌としてのフェールセーフを確実に行うことができる。
請求項2に係る本発明によると、モード移行制御手段が、リセット信号に基づき相手コンピュータの稼動が確認されているにも拘わらず該相手コンピュータとの通信が途絶しているときには、走行状態の一致が確認し得なくなったときとして走行強制停止モードに移行させるので、相手コンピュータは稼動しているものの故障等に起因して通信が途絶している場合には走行強制停止モードに移行させてリンプホームを実行しないように制御することができる。
請求項3に係る本発明によると、モード移行制御手段が、第1及び第2コンピュータにおける走行状態判別手段で目標レンジ情報及び現在レンジ情報に基づき個々に判別された走行状態が相手コンピュータとの間で不一致するときには、走行状態の一致が確認し得なくなったときとして走行強制停止モードに移行させるので、故障等に起因して相手コンピュータと走行状態の判断が異なる場合には走行強制停止モードに移行させてリンプホームを実行しないように制御することができ、車輌としてのフェールセーフを確実に行うことができる。
請求項4に係る本発明によると、両コンピュータにおける走行状態判別手段でフェール情報に基づき個々に判別された走行状態が相手コンピュータとの間で一致し、かつフェール判定手段による判定結果が一致したときには、第2コンピュータのモード移行制御手段による制御は正常モードのままで、第1コンピュータのモード移行制御手段による制御はリンプホームモードに移行させるので、第1及び第2コンピュータ双方が正常でフェール判定が一致した状況下でのフェール判定時に、例えば走行強制停止モードを経由させつつ例えば前進7速段の形成可能なときにリンプホームを実施するように制御することができる。
請求項5に係る本発明によると、フェール判定手段がダイアグ情報に基づきフェールを判定するので、相手コンピュータの各機能の状態を的確に把握し、両コンピュータ間に齟齬が生じた場合にどちらが正しい情報であるかを的確に判別すべき共有情報として有効に活用することができる。
請求項6に係る本発明によると、相手コンピュータからのリセット信号に基づき相手コンピュータの稼動が確認されず該相手コンピュータとの通信が途絶しているときには、第2コンピュータのモード移行制御手段による制御は機能を停止し、第1コンピュータのモード移行制御手段による制御はリンプホームモードに移行させるので、第2コンピュータの機能停止状態であってもリンプホームモードに移行させることで、リンプホーム機能の充実を図ることができる。
本発明を適用し得る自動変速機を示すスケルトン図。 本自動変速機の作動表。 油圧制御装置を示す概略図。 油圧制御装置における作動表。 本発明に係る制御を実行する制御系を示すブロック図。 自動変速機における電気的指令系統を示す模式図。 本発明に係るコンピュータによる判定条件とフェール時対応を示す模式図。 本発明に係るコンピュータによる実行可能な各モードを模式的に示す模式図。
以下、本発明に係る実施の形態を図1乃至図8に沿って説明する。
[自動変速機の構成]
まず、本発明を適用し得る多段式自動変速機1(以下、単に「自動変速機」という)の概略構成について図1に沿って説明する。図1に示すように、例えばFRタイプ(フロントエンジン、リヤドライブ)の車輌に用いて好適な自動変速機1は、不図示のエンジンに接続し得る自動変速機1の入力軸11を有しており、該入力軸11の軸方向を中心としてトルクコンバータ7と、変速機構2とを備えている。
上記トルクコンバータ7は、自動変速機1の入力軸11に接続されたポンプインペラ7aと、作動流体を介して該ポンプインペラ7aの回転が伝達されるタービンランナ7bとを有しており、該タービンランナ7bは、上記入力軸11と同軸上に配設された上記変速機構2の入力軸12に接続されている。また、該トルクコンバータ7には、ロックアップクラッチ10が備えられており、該ロックアップクラッチ10が後述の油圧制御装置の油圧制御によって係合されると、上記自動変速機1の入力軸11の回転が変速機構2の入力軸12に直接伝達される。
上記変速機構2には、入力軸12(及び中間軸13)上において、プラネタリギヤDPと、プラネタリギヤユニットPUとが備えられている。上記プラネタリギヤDPは、サンギヤS1、キャリヤCR1、及びリングギヤR1を備えており、該キャリヤCR1に、サンギヤS1に噛合するピニオンP1及びリングギヤR1に噛合するピニオンP2を互いに噛合する形で有している、いわゆるダブルピニオンプラネタリギヤである。
また、該プラネタリギヤユニットPUは、4つの回転要素としてサンギヤS2、サンギヤS3、キャリヤCR2(CR3)、及びリングギヤR3(R2)を有し、該キャリヤCR2に、サンギヤS2及びリングギヤR3に噛合するロングピニオンP4と、該ロングピニオンP4及びサンギヤS3に噛合するショートピニオンP3とを互いに噛合する形で有している、いわゆるラビニヨ型プラネタリギヤである。
上記プラネタリギヤDPのサンギヤS1は、例えばミッションケース3に一体的に固定されているオイルポンプボディ3aから延設されたボス部3bに接続されて回転が固定されている。また、上記キャリヤCR1は、上記入力軸12に接続されて、該入力軸12の回転と同回転(以下、「入力回転」という。)になっていると共に、第4クラッチC−4(摩擦係合要素)に接続されている。さらに、リングギヤR1は、該固定されたサンギヤS1と該入力回転するキャリヤCR1とにより、入力回転が減速された減速回転になると共に、第1クラッチC−1(摩擦係合要素)及び第3クラッチC−3(摩擦係合要素)に接続されている。
上記プラネタリギヤユニットPUのサンギヤS2は、係止手段としての第1ブレーキB−1(摩擦係合要素)に接続されてミッションケース3に対して固定自在となっていると共に、上記第4クラッチC−4及び上記第3クラッチC−3に接続されて、第4クラッチC−4を介して上記キャリヤCR1の入力回転が、第3クラッチC−3を介して上記リングギヤR1の減速回転が、それぞれ入力自在となっている。また、上記サンギヤS3は、第1クラッチC−1に接続されており、上記リングギヤR1の減速回転が入力自在となっている。
さらに、上記キャリヤCR2は、中間軸13を介して入力軸12の回転が入力される第2クラッチC−2(摩擦係合要素)に接続されて、該第2クラッチC−2を介して入力回転が入力自在となっており、また、係止手段としてのワンウェイクラッチF−1及び第2ブレーキB−2(摩擦係合要素)に接続されて、該ワンウェイクラッチF−1を介してミッションケース3に対して一方向の回転が規制されると共に、該第2ブレーキB−2を介して回転が固定自在となっている。そして、上記リングギヤR3は、不図示の駆動車輪に回転を出力する出力軸15に接続されている。
[各変速段の伝達経路]
つづいて、上記構成に基づき、変速機構2の作用について図1及び図2に沿って説明する。なお、図2は、本自動変速機の作動表であり、○はON(係合、係止)、(○)はエンジンブレーキ時のON(係止)を示す。
例えばD(ドライブ)レンジであって、前進1速段(1ST)では、図2に示すように、第1クラッチC−1及びワンウェイクラッチF−1が係合される。すると、図1に示すように、固定されたサンギヤS1と入力回転であるキャリヤCR1によって減速回転するリングギヤR1の回転が、第1クラッチC−1を介してサンギヤS3に入力される。また、キャリヤCR2の回転が一方向(正転回転方向)に規制されて、つまりキャリヤCR2の逆転回転が防止されて固定された状態になる。すると、サンギヤS3に入力された減速回転が、固定されたキャリヤCR2を介してリングギヤR3に出力され、前進1速段としての正転回転が出力軸15から出力される。
なお、エンジンブレーキ時(コースト時)には、第2ブレーキB−2を係止してキャリヤCR2を固定し、該キャリヤCR2の正転回転を防止する形で、上記前進1速段の状態を維持する。また、該前進1速段では、ワンウェイクラッチF−1によりキャリヤCR2の逆転回転を防止し、かつ正転回転を可能にするので、例えば非走行レンジから走行レンジに切換えた際の前進1速段の達成を、ワンウェイクラッチF−1の自動係合により滑らかに行うことができる。
前進2速段(2ND)では、図2に示すように、第1クラッチC−1が係合され、第1ブレーキB−1が係止される。すると、図1に示すように、固定されたサンギヤS1と入力回転であるキャリヤCR1によって減速回転するリングギヤR1の回転が、第1クラッチC−1を介してサンギヤS3に入力される。また、第1ブレーキB−1の係止によりサンギヤS2の回転が固定される。すると、キャリヤCR2がサンギヤS3よりも低回転の減速回転となり、該サンギヤS3に入力された減速回転が該キャリヤCR2を介してリングギヤR3に出力され、前進2速段としての正転回転が出力軸15から出力される。
前進3速段(3RD)では、図2に示すように、第1クラッチC−1及び第3クラッチC−3が係合される。すると、図1に示すように、固定されたサンギヤS1と入力回転であるキャリヤCR1によって減速回転するリングギヤR1の回転が、第1クラッチC−1を介してサンギヤS3に入力される。また、第3クラッチC−3の係合によりリングギヤR1の減速回転がサンギヤS2に入力される。つまり、サンギヤS2及びサンギヤS3にリングギヤR1の減速回転が入力されるため、プラネタリギヤユニットPUが減速回転の直結状態となり、そのまま減速回転がリングギヤR3に出力され、前進3速段としての正転回転が出力軸15から出力される。
前進4速段(4TH)では、図2に示すように、第1クラッチC−1及び第4クラッチC−4が係合される。すると、図1に示すように、固定されたサンギヤS1と入力回転であるキャリヤCR1によって減速回転するリングギヤR1の回転が、第1クラッチC−1を介してサンギヤS3に入力される。また、第4クラッチC−4の係合によりキャリヤCR1の入力回転がサンギヤS2に入力される。すると、キャリヤCR2がサンギヤS3よりも高回転の減速回転となり、該サンギヤS3に入力された減速回転が該キャリヤCR2を介してリングギヤR3に出力され、前進4速段としての正転回転が出力軸15から出力される。
前進5速段(5TH)では、図2に示すように、第1クラッチC−1及び第2クラッチC−2が係合される。すると、図1に示すように、固定されたサンギヤS1と入力回転であるキャリヤCR1によって減速回転するリングギヤR1の回転が、第1クラッチC−1を介してサンギヤS3に入力される。また、第2クラッチC−2の係合によりキャリヤCR2に入力回転が入力される。すると、該サンギヤS3に入力された減速回転とキャリヤCR2に入力された入力回転とにより、上記前進4速段より高い減速回転となってリングギヤR3に出力され、前進5速段としての正転回転が出力軸15から出力される。
前進6速段(6TH)では、図2に示すように、第2クラッチC−2及び第4クラッチC−4が係合される。すると、図1に示すように、第4クラッチC−4の係合によりサンギヤS2にキャリヤCR1の入力回転が入力される。また、第2クラッチC−2の係合によりキャリヤCR2に入力回転が入力される。つまり、サンギヤS2及びキャリヤCR2に入力回転が入力されるため、プラネタリギヤユニットPUが入力回転の直結状態となり、そのまま入力回転がリングギヤR3に出力され、前進6速段(直結段)としての正転回転が出力軸15から出力される。
前進7速段(7TH)では、図2に示すように、第2クラッチC−2及び第3クラッチC−3が係合される。すると、図1に示すように、固定されたサンギヤS1と入力回転であるキャリヤCR1によって減速回転するリングギヤR1の回転が、第3クラッチC−3を介してサンギヤS2に入力される。また、第2クラッチC−2の係合によりキャリヤCR2に入力回転が入力される。すると、該サンギヤS2に入力された減速回転とキャリヤCR2に入力された入力回転とにより、入力回転より僅かに高い増速回転となってリングギヤR3に出力され、前進7速段(上記直結段よりも増速のオーバードライブ1速段)としての正転回転が出力軸15から出力される。
前進8速段(8TH)では、図2に示すように、第2クラッチC−2が係合され、第1ブレーキB−1が係止される。すると、図1に示すように、第2クラッチC−2の係合によりキャリヤCR2に入力回転が入力される。また、第1ブレーキB−1の係止によりサンギヤS2の回転が固定される。すると、固定されたサンギヤS2によりキャリヤCR2の入力回転が上記前進7速段より高い増速回転となってリングギヤR3に出力され、前進8速段(上記直結段よりも増速のオーバードライブ2速段)としての正転回転が出力軸15から出力される。
後進段(REV)では、図2に示すように、第4クラッチC−4が係合され、第2ブレーキB−2が係止される。すると、図1に示すように、第4クラッチC−4の係合によりキャリヤCR1の入力回転がサンギヤS2に入力される。また、第2ブレーキB−2の係止によりキャリヤCR2の回転が固定される。すると、サンギヤS2に入力された入力回転が、固定されたキャリヤCR2を介してリングギヤR3に出力され、後進段としての逆転回転が出力軸15から出力される。
また、例えばP(パーキング)レンジ及びN(ニュートラル)レンジでは、第1クラッチC−1、第2クラッチC−2、第3クラッチC−3、及び第4クラッチC−4が解放される。すると、キャリヤCR1とサンギヤS2との間、リングギヤR1とサンギヤS2及びサンギヤS3との間、即ちプラネタリギヤDPとプラネタリギヤユニットPUとの間が切断状態となる。また、入力軸12(中間軸13)とキャリヤCR2との間が切断状態となる。これにより、入力軸12とプラネタリギヤユニットPUとの間の動力伝達が切断状態となり、つまり入力軸12と出力軸15との動力伝達が切断状態となる。
[油圧制御装置の全体構成]
つづいて、本発明に係る自動変速機の油圧制御装置20について、図3を参照して説明する。なお、本実施の形態においては、各バルブにおける実際のスプールは1本であるが、スプール位置の切換え位置或いはコントロール位置を説明するため、図3中に示す右半分の状態を「右半位置」、左半分の状態を「左半位置」という。
油圧制御装置20は、主に各種の元圧となる油圧を調圧・生成するための不図示の、ストレーナ、オイルポンプ、プライマリレギュレータバルブ、セカンダリレギュレータバルブ、ソレノイドモジュレータバルブ、及びリニアソレノイドバルブSLT等を備えている。なお、本実施の形態では、上記オイルポンプ及びプライマリレギュレータバルブを合わせ、ライン圧Pを発生するライン圧発生源(元圧発生源)5として図示している(図3参照)。
また、該油圧制御装置20は、図3に示すように、電気的に油圧を制御して供給するための、リニアソレノイドバルブSL1、リニアソレノイドバルブSL2、リニアソレノイドバルブSL3、リニアソレノイドバルブSL4、リニアソレノイドバルブSL5、第1ソレノイドバルブS1、第2ソレノイドバルブS2、第3ソレノイドバルブS3、第4ソレノイドバルブS4を備えている。さらに、パーキング切換えバルブ32、パーキングシリンダ33、元圧切換えバルブ35、振分け切換えバルブ36、元圧遮断切換えバルブ37、チェックボールバルブ38を備えている。
なお、本油圧制御装置20における第4ソレノイドバルブS4以外のソレノイドバルブ、即ちリニアソレノイドバルブSL1〜SL5、並びに第1及び第2ソレノイドバルブS1,S2、第3ソレノイドバルブS3は、非通電時(以下、「オフ」ともいう。)に入力ポートと出力ポートとを遮断し、通電時(以下、「オン」ともいう。)に連通する、いわゆるノーマルクローズ(N/C)タイプのものが用いられており、反対に第4ソレノイドバルブS4だけにノーマルオープン(N/O)タイプのものが用いられている。
そして、該油圧制御装置20には、上記リニアソレノイドバルブSL1〜SL5によりそれぞれ調圧されて供給される係合圧に基づき、上記第1クラッチC−1を係脱し得る油圧サーボ51、上記第2クラッチC−2を係脱し得る油圧サーボ52、上記第3クラッチC−3を係脱し得る油圧サーボ53、上記第4クラッチC−4を係脱し得る油圧サーボ54、上記第1ブレーキB−1を係脱し得る油圧サーボ61、上記第2ブレーキB−2を係脱し得る油圧サーボ62が備えられて構成されている。
つづいて、上記油圧制御装置20における各種の元圧、即ちライン圧、セカンダリ圧、モジュレータ圧の生成部分について説明する。なお、これらライン圧、セカンダリ圧、モジュレータ圧の生成部分は、一般的な自動変速機の油圧制御装置と同様なものであり、周知のものであるので、簡単に説明する。
オイルポンプ(不図示)は、例えば上記トルクコンバータ7のポンプインペラ7aに回転駆動連結されており、エンジンの回転に連動して駆動され、不図示のオイルパンからストレーナ(不図示)を介してオイルを吸上げる形で油圧を発生させる。また、上記油圧制御装置20には、不図示のリニアソレノイドバルブSLTが備えられており、該リニアソレノイドバルブSLTは、不図示のソレノイドモジュレータバルブにより調圧されたモジュレータ圧を元圧として、スロットル開度に応じた信号圧を調圧出力する。
不図示のプライマリレギュレータバルブは、オイルポンプにより発生された油圧を、そのスプリングの付勢力が負荷されたスプールに入力する上記リニアソレノイドバルブSLTの信号圧に基づき一部排出する形でライン圧Pに調圧する。このライン圧Pは、上述した種々のバルブに供給される。
また、上記プライマリレギュレータバルブにより排出された油圧は、さらにセカンダリレギュレータバルブ(不図示)によって、そのスプリングの付勢力が負荷されたスプールに入力する上記リニアソレノイドバルブSLTの信号圧に基づき一部排出する形でセカンダリ圧に調圧される。このセカンダリ圧は、不図示の潤滑油路等に供給されると共に、ロックアップリレーバルブ(不図示)に供給され、ロックアップクラッチ10の制御用の元圧として用いられる。ソレノイドモジュレータバルブ(不図示)は、上記プライマリレギュレータバルブにより調圧されたライン圧Pをそのスプリングの付勢力に基づき、ライン圧Pが所定圧以上となると略々一定となるモジュレータ圧に調圧する。このモジュレータ圧は、上述のリニアソレノイドバルブSLT(不図示)等に元圧として供給される。
[本油圧制御装置の詳細な構成]
図3に示すように、ノーマルクローズ(N/C)タイプの上記第1及び第2ソレノイドバルブ(ON/OFFソレノイド)S1,S2(第1系統ソレノイドバルブ)は、入力ポートS1a,S2aにそれぞれ油路a,a及び油路aを介してライン圧P(元圧)が入力されており、通電された(オンした)際に出力ポートS1b,S2bからパーキング切換えバルブ32の第1及び第2作動油室32a,32cに、油路b、b及び油路cを介してそれぞれ信号圧PS1,PS2を出力するように構成されている。出力ポートS1bからの該信号圧PS1は、油路b,bを介して後述の振分け切換えバルブ36の第1作動油室36aにも入力される。また、上記ライン圧Pは、油路a,aを介してパーキング切換えバルブ32の入力ポート32bと、油路a,a,a,aを介して後述の元圧遮断切換えバルブ37の入力ポート37bにも入力される。さらに、上記ライン圧Pは、油路a,a,a,a15,a16を介して第4ソレノイドバルブS4の入力ポートS4aと、油路a,a,a,a15,a17を介して後述の振分け切換えバルブ36の入力油室36cにも入力される。なお、第1、第2、第3、及び第4ソレノイドバルブS1,S2,S3,S4とそれらの信号圧とは、上記のように同じ符号S1,S2,S3,S4を用いて説明する。また、リニアソレノイドバルブSL1〜SL5とそれらの係合圧とについても、同じ符号SL1〜SL5を用いて説明する。他のバルブについても同様とする。
上記パーキング切換えバルブ32は、1本のスプール32pと、該スプール32pの一端側に縮設されて該スプール32pをX方向側(図中上方)に付勢するスプリング32sとを有している。また、パーキング切換えバルブ32は、スプール32pの一端(矢印X側)に配置されて第1ソレノイドバルブS1の出力ポートS1bからの信号圧PS1が作用する第1作動油室32aと、該スプール32pの他端(矢印X側)に配置されて第2ソレノイドバルブS2の出力ポートS2bからの信号圧PS2が作用する第2作動油室32cとを有している。
さらに、パーキング切換えバルブ32は、排出ポートEXと、ライン圧Pが供給される入力ポート32bと、スプール32pの移動に応じて入力ポート32bに連通し又は遮断される出力ポート32dとを有している。該出力ポート32dは、油路mを介してパーキング装置のパーキングシリンダ33に連通している。そして、上記スプール32pは、図中下側の大径ランド部と図中上側の小径ランド部とを有しており、これら大径ランド部と小径ランド部との間には、くびれ部が形成されると共に油室が形成されており、スプール32pがスプリング32sの付勢力に抗して下方に移動した右半位置にあって、該くびれ部に入力ポート32bから入力されるライン圧Pが作用した際に、上記大径ランド部と小径ランド部との外径差、つまり受圧面積の差によって、該スプール32pがスプリング32sの付勢方向と逆方向、即ち矢印X方向に該スプリング32sの付勢力よりも強い力で付勢されてロックされるように構成されている。
また、図3に示すように、上記パーキング切換えバルブ32は、スプール32pが、第1ソレノイドバルブS1の出力ポートS1bからの信号圧PS1が第1作動油室32aに作用しない状態では、スプリング32sの付勢力により図の上方に移動して左半位置となり、出力ポート32dからパーキングシリンダ33への出力が遮断される。また、該パーキング切換えバルブ32は、第2ソレノイドバルブS2の出力ポートS2bからの信号圧PS2が第2作動油室32cに作用せずに、第1ソレノイドバルブS1の出力ポートS1bからの信号圧PS1が第1作動油室32aに入力される状態、或いは、信号圧PS2が第2作動油室32cに作用せずに、ライン圧Pが入力ポート32bに作用し続けている状態にあっては、スプール32pが図の下方に移動して右半位置となり、出力ポート32dからパーキングシリンダ33に油圧が供給される。
一方、ノーマルクローズタイプの上記第3ソレノイドバルブ(ON/OFFソレノイド)S3(第2系統ソレノイドバルブ)は、入力ポートS3aに、油路aを介してライン圧Pが入力されており、通電状態(オン)にあっては、該ライン圧Pを信号圧PS3として出力ポートS3bから元圧遮断切換えバルブ37の作動油室37aに油路d,dを介して出力し、非通電状態(オフ)にあっては、該信号圧PS3を遮断するように構成されている。なお、この第3ソレノイドバルブS3からの信号圧PS3は、油路d,dを介して後述するチェックボールバルブ38の入力ポート38aにも出力し得るように構成されている。
また、上記元圧遮断切換えバルブ(第2系統切換えバルブ)37は、上記ライン圧発生源5から後述の元圧切換えバルブ35にライン圧Pを供給する油路a,aの間に介在するように配置されており、上記信号圧PS3を油路dを介して入力し得る作動油室37aと、上記ライン圧Pを油路aを介して入力する入力ポート37bと、左半位置の際に該入力ポート37bのライン圧Pを油路aに出力する出力ポート37cと、スプール37pと、該スプール37pを図の上方に付勢するスプリング37sとを有している。該スプール37pは、作動油室37aに上記信号圧PS3が入力された際に図の下方に移動して右半位置にされ、それ以外はスプリング37sの付勢力により図の上方に移動して左半位置にされる。
ノーマルオープンタイプの上記第4ソレノイドバルブ(ON/OFFソレノイド)S4(第1系統ソレノイドバルブ)は、入力ポートS4aに、油路a16を介してライン圧Pが入力されており、非通電状態(オフ)にあっては、該ライン圧Pを信号圧(フェール信号圧)PS4として出力ポートS4bから元圧切換えバルブ35の作動油室35aに油路eを介して出力し、通電状態(オン)にあっては、該信号圧PS4を遮断するように構成されている。
また、上記元圧切換えバルブ35は、上記作動油室35aと、上記元圧遮断切換えバルブ37の出力ポート37cに油路aを介して接続された入力ポート35bと、詳しくは後述するリニアソレノイドバルブSL1〜SL5の入力ポートSL1a〜SL5aに油路aを介して接続された出力ポート35cと、後述するリニアソレノイドバルブSL2,SL3の排出ポートSL2c,SL3cに油路fを介して接続された出力ポート35dと、後述の振分け切換えバルブ36の入力ポート36dに油路fを介して接続された出力ポート35eと、後述の振分け切換えバルブ36の出力ポート36eに油路fを介して接続された入力ポート35fと、排出ポートEXと、スプール35pと、該スプール35pを図の上方に付勢するスプリング35sとを有している。該スプール35pは、作動油室35aに上記信号圧PS4が入力された際に図の下方に移動して右半位置(逆入力位置)にされ、それ以外はスプリング35sの付勢力により図の上方に移動して左半位置にされる。
上記振分け切換えバルブ36は、第1ソレノイドバルブS1の出力ポートS1bから出力される信号圧PS1を分岐する形で油路bを介して入力する第1作動油室(ロック解除圧入力油室)36aと、リニアソレノイドバルブSL2の出力ポートSL2bから出力される係合圧を入力する入力ポート36bと、ライン圧P(ロック圧)を油路a17を介して入力する入力油室(ロック圧入力油室)36cと、ソレノイド・オールオフフェール時に元圧切換えバルブ35の出力ポート35eから出力される油圧を油路fを介して入力する入力ポート36dと、スプール36pの右半位置にあって該入力ポート36dに入力された出力ポート35eからの油圧を上記入力ポート35fに油路fを介して出力する出力ポート36eと、入力ポート36bに入力されたリニアソレノイドバルブSL2からの係合圧PSL2をスプール36pの左半位置にあっては油圧サーボ62に油路gを介して出力する出力ポート36fと、上記係合圧PSL2をスプール36pの右半位置にあっては油圧サーボ52に油路gを介して出力する出力ポート36gと、油路iを介してリニアソレノイドバルブSL1の出力ポートSL1bからの係合圧PSL1、又は油路d2を介して第3ソレノイドバルブS3の出力ポートS3bからの信号圧PS3を、チェックボールバルブ38及び油路lを介して入力する第2作動油室(前進係合圧入力油室)36hと、スプール36pと、該スプール36pを図の下方に付勢するスプリング36sとを有している。
該振分け切換えバルブ36のスプール36pは、第1作動油室36aに出力ポートS1bからの信号圧PS1が入力されない状態で第2作動油室36hに出力ポートSL1bから係合圧PSL1又は出力ポートS3bから信号圧PS3が入力されると、図の上方に移動して右半位置になる。該振分け切換えバルブ36は、スプール36pに、図中最下部に形成された小径ランド部と、該小径ランド部の直上方にくびれ部を挟んで形成された大径ランド部とを有しており、該くびれ部の部分に設けられた油室に上記入力油室36cからライン圧Pが入力され得るように構成されている。従って、振分け切換えバルブ36は、スプリング36sの付勢力に抗してスプール36pが上方に移動した右半位置になると入力油室36cから上記油室にライン圧Pが入力されて、上側の大径ランド部と下側の小径ランド部との受圧面積の差に基づき、該スプール36pがスプリング36sの付勢方向と逆方向、即ち図の上方に該スプリング36sの付勢力よりも強い力で付勢されてロックされる。該ロック状態において第1作動油室36aに出力ポートS1bからの信号圧PS1が入力されると、該信号圧PS1による付勢力とスプリング36sによる付勢力とが相俟って上記ロックの付勢力に打ち勝つため、スプール36pは図の下方に移動(復帰)して左半位置にされる。
上記チェックボールバルブ38は、油路dを介して第3ソレノイドバルブS3の出力ポートS3bからの信号圧PS3を入力する入力ポート38aと、油路iを介してリニアソレノイドバルブSL1の出力ポートSL1bからの係合圧PSL1を入力する入力ポート38bと、油路lを介して振分け切換えバルブ36の第2作動油室36hに接続される出力ポート38cと、これらの入力ポート38a、入力ポート38b、出力ポート38cの間に介在するチェックボール38Bとを有している。
該チェックボールバルブ38のチェックボール38Bは、入力ポート38aに入力される信号圧PS3と入力ポート38bに入力される係合圧PSL1との大きい方に押圧されて転動することで出力ポート38cとの間を連通し、つまり信号圧PS3と係合圧PSL1との大きい方を出力ポート38cから出力するように構成されている。
一方、上記リニアソレノイドバルブSL1(第1系統ソレノイドバルブ)は、正常時にあって元圧切換えバルブ35の出力ポート35cからのライン圧Pを油路a,a12を介して入力する入力ポートSL1aと、通電された際に該ライン圧Pを調圧制御して油圧サーボ51に油路iを介して係合圧PSL1として出力する出力ポートSL1bと、主に油圧サーボ51の係合圧PC1をドレーンするための排出ポートEXとを有している。
上記リニアソレノイドバルブSL2(第1系統ソレノイドバルブ)は、正常時にあって元圧切換えバルブ35の出力ポート35cからのライン圧Pを油路a,a10を介して入力する入力ポートSL2aと、通電された際に該ライン圧Pを調圧制御して、振分け切換えバルブ36の入力ポート36bに油路gを介して出力する出力ポートSL2bと、上記元圧切換えバルブ35の出力ポート35dに油路f,fを介して連通する排出ポートSL2cとを有している。正常時にあって係合圧PSL2を排出する際は、排出ポートSL2cから上記出力ポート35dを介して排出ポートEXからドレーンし、また、後述するソレノイド・オールオフフェール時にフェールセーフ走行状態(リンプホームモード、前進7速段)を形成する際には、油路f,fを介して上記出力ポート35dからライン圧Pが逆入力圧として逆入力される。
上記リニアソレノイドバルブSL3(第1系統ソレノイドバルブ)は、正常時にあって元圧切換えバルブ35の出力ポート35cからのライン圧Pを油路a,a11を介して入力する入力ポートSL3aと、通電された際に該ライン圧Pを調圧制御して油圧サーボ53に油路hを介して係合圧PSL3として出力する出力ポートSL3bと、上記元圧切換えバルブ35の出力ポート35dに油路f,fを介して連通する排出ポートSL3cとを有している。正常時にあって係合圧PSL3を排出する際は、排出ポートSL3cから上記出力ポート35dを介して排出ポートEXからドレーンし、また、後述するソレノイド・オールオフフェール時にフェールセーフ走行状態(前進7速段)を形成する際には、油路f,fを介して上記出力ポート35dからライン圧Pが逆入力圧として逆入力される。
上記リニアソレノイドバルブSL4(第1系統ソレノイドバルブ)は、正常時にあって元圧切換えバルブ35の出力ポート35cからのライン圧Pを油路a,a13を介して入力する入力ポートSL4aと、通電された際に該ライン圧Pを調圧制御して油圧サーボ54に油路jを介して係合圧PSL4として出力する出力ポートSL4bと、主に油圧サーボ54の係合圧PC4をドレーンするための排出ポートEXとを有している。
上記リニアソレノイドバルブSL5(第1系統ソレノイドバルブ)は、正常時にあって元圧切換えバルブ35の出力ポート35cからのライン圧Pを油路a,a14を介して入力する入力ポートSL5aと、通電された際に該ライン圧Pを調圧制御して油圧サーボ61に油路kを介して係合圧PSL5として出力する出力ポートSL5bと、主に油圧サーボ61の係合圧PB1をドレーンするための排出ポートEXとを有している。なお、以上説明した本実施の形態においては、油路f、f、f、f、fの経路により振分け切換えバルブ36を通過してリニアソレノイドバルブSL2,SL3まで連通される逆入力用油路が構成されている。
[指令系統の構成]
ついで、電気的指令系統の構成について図5及び図6に沿って説明する。図5及び図6に示すように、大まかに変速機構2(図1参照)、トルクコンバータ7(図1参照)、油圧制御装置20を備えた自動変速機1(図1参照)は、不図示の運転席の近傍に設置されたシフトレバー81、例えばエンジンルームに設定されたバッテリー(図示せず)、及び車輌側ECU82に接続された第1コンピュータ71と第2コンピュータ72とを備えている。上記油圧制御装置20、上記第1及び第2コンピュータ71,72により、本発明に係る自動変速機の制御装置が構成されている。なお、本制御装置20を搭載する自動車の運転席近傍に配置されたシフトレバー81は、該レバーの移動方向の順に、P(パーキング)レンジ、R(リバース)レンジ、N(ニュートラル)レンジ、D(ドライブ)レンジを選択操作可能に構成されている。
第1コンピュータ(A/T ECU(Electronic Control Unit)MAIN)71は、第1系統ソレノイドバルブとしての第1、第2、第4ソレノイドバルブS1,S2,S4とリニアソレノイドバルブSL1,SL2,SL3,SL4,SL5を制御して通常モード(正常モード)と前進7速段の形成(リンプホームモード)とNレンジ固定モード(走行強制停止モード)とを切換え可能に構成されている。この第1コンピュータ71は、配線等を介して第1、第2、第4ソレノイドバルブS1,S2,S4とリニアソレノイドバルブSL1〜SL5に接続されることで第1指令系統71aを構成しており、第1指令系統71aの電気的指令を生成する制御を行うように構成されている。これら第1、第2、第4ソレノイドバルブS1,S2,S4とリニアソレノイドバルブSL1〜SL5との油圧出力状態は、第1コンピュータ71及びその第1指令系統71aにより制御される。
第2コンピュータ(A/T ECU SUB)72は、第2系統ソレノイドバルブとしての第3ソレノイドバルブS3を制御して通常モード(正常モード)とNレンジ固定モード(走行強制停止モード)とを切換え可能に構成されている。この第2コンピュータ72は、配線等を介して上記第3ソレノイドバルブS3のみに接続されることで第2指令系統72aを構成しており、第2指令系統72aの電気的指令を生成する制御を行うように構成されている。第2コンピュータ72は、第1コンピュータ71とは少なくとも配線が別系統に構成され、第3ソレノイドバルブS3の油圧出力状態は、第2コンピュータ72及びその第2指令系統72aにより制御される。これら第1指令系統71aと第2指令系統72aは、別系統に構成され、電気的(配線、信号の送受信等)に隔離されており、つまり、一方に問題が生じても他方に及ばないように構成されている。油圧制御装置20は、第1及び第2コンピュータ71,72の何れかがNレンジ固定モードを選択した際には駆動力伝達を切断し得るように構成される。
第1及び第2コンピュータ71,72は、それぞれ、リセット信号(Reset信号)、ダイアグ情報(Diag情報)、目標レンジ情報、現在レンジ情報、検出される油圧情報を互いに送受信して共有し得るように構成されている。第1コンピュータ71は、走行状態判別手段77、フェール判定手段73、及びモード移行制御手段74を有しており、第2コンピュータ72は、走行状態判別手段78、フェール判定手段75、及びモード移行制御手段76を有している。なお、油圧情報に関して、第1コンピュータ71は油圧系の異常を監視し、第2コンピュータ72は、メインである第1コンピュータ71による制御の結果(油圧)を監視する。
上記走行状態判別手段77,78は、それぞれ、取得した情報(例えばギヤ情報)に基づいて個々に走行状態(現在は何速段になっているか等)を判別する。
上記フェール判定手段73,75は、送受信した個々の情報に基づいてフェールの有無を個々に判定する。これらフェール判定手段73,75は、両コンピュータ71,72が送受信で互いに取得した各情報の内容に齟齬(食い違いや不一致)がある場合に、それぞれに有する共通の判断基準に則って何れの情報が正しいかを判断することに基づきフェールの有無を判定する。なお、上記判断基準は、送受信した情報の内容に齟齬がある場合、どちらが正しいかを比較判断するため、同じ内容の判断基準をデータとして予め設定されてフェール判定手段73,75にそれぞれに設けられている。
上記モード移行制御手段74,76は、それぞれ、走行状態判別手段77,78により個々に判別された走行状態の一致が確認し得なくなったときはNレンジ固定モード(走行強制停止モード)に移行させる。該モード移行制御手段74,76は、それぞれ、相手コンピュータからのリセット信号に基づき相手コンピュータの稼動が確認されているにも拘わらず該相手コンピュータとの通信が途絶しているときには(図7のA,B参照)、上記走行状態の一致が確認し得なくなったときとしてNレンジ固定モードに移行させるように制御する(図7のC参照)。また、該モード移行制御手段74,76は、それぞれ、第1及び第2コンピュータ71,72における走行状態判別手段77,78で目標レンジ情報及び現在レンジ情報に基づき個々に判別された走行状態が相手コンピュータとの間で不一致するときには(図7のA,B参照)、上記走行状態の一致が確認し得なくなったときとしてNレンジ固定モードに移行させるように制御する(図7のC参照)。
さらに、第1及び第2コンピュータ71,72における走行状態判別手段77,78でフェール情報に基づき個々に判別された走行状態が相手コンピュータとの間で一致し、かつフェール判定手段73,75による判定結果が一致したときには(図7のA,A,B参照)、第2コンピュータ72のモード移行制御手段76による制御は正常モードのままで、第1コンピュータ71のモード移行制御手段74による制御はリンプホームモード(前進7速段の形成)に移行するように制御される(図7のC,C,C参照)。この場合、フェール判定手段73,75は、ダイアグ情報に基づきフェールを判定する。
また、相手コンピュータからのリセット信号に基づき相手コンピュータの稼動が確認されず該相手コンピュータとの通信が途絶しているときには(図7のA,B参照)、第2コンピュータ72のモード移行制御手段76による制御は機能を停止し、第1コンピュータ71のモード移行制御手段74による制御はリンプホームモード(前進7速段の形成)に移行させる(図7のC参照)ように構成されている。
以上の第1コンピュータ71及び第2コンピュータ72は、移行させるフェールモードを独自に判断することにより、フェールを二重系で回避し得るように構成されており、可能な限りリンプホーム走行(本実施形態では前進7速段)を実施するため、リンプホームモードとNレンジ固定(走行強制停止モード)の2種類のフェールモードを設定する。つまり、両コンピュータ71,72は、相互間での走行状態判別手段77,78、及びフェール判定手段73,75による各判断に基づき、リンプホームモードとNレンジ固定モードの何れかを実行するように構成される。また両コンピュータ71,72は、それぞれウォッチドッグ・リセット機能を有しているが、互いのリセットは操作しないように構成されている。なお、図5に示すように、第1コンピュータ71は、第1及び第4ソレノイドバルブS1,S4を元圧カットバルブ(2)として認識し、第2コンピュータ72は、第3ソレノイドバルブS3を元圧カットバルブ(1)として認識している。
ここで、上記した各種情報について詳細に説明する。すなわち、上記リセット信号は、第1コンピュータ71及び第2コンピュータ72のそれぞれがシステムやプログラムを初期状態に戻すための信号を意味しており、このそれぞれ内部的に出力するリセット信号を相互に監視(モニタ)することで、互いに相手コンピュータの状態、即ち稼動しているか停止しているかを確認し合うために用いられる。このように両コンピュータ71,72間で送受信される情報に、コンピュータ71,72の双方から互いに監視し合うことで、互いに相手コンピュータの稼動状態を確認し得るリセット信号を用いるので、相手コンピュータとの通信途絶状態や相手コンピュータの稼動状態を的確に把握し、齟齬が生じた場合にどちらが正しい情報であるかを的確に判別すべき共有情報として有効に活用できる。
上記ダイアグ情報は、第1コンピュータ71側と第2コンピュータ72側の双方から互いに監視し合いつつ、互いの情報の内容が一致するか否かを確認するための情報である。即ち、ダイアグ情報(いわゆる過去情報、蓄積情報)は、何かフェールが発生しているか、発生していれば現在どのレンジ(Pレンジ、Rレンジ、Nレンジ、Dレンジ)に発生しているのか、等を示すフェール信号であり、相手コンピュータの各機能の状態を互いに把握し得る信号である。つまり、リニアソレノイドバルブSL1〜SL5のいずれかが急にオンしたとき等に互いにニュートラル状態に移行するように機能させるための信号であり、例えば第1コンピュータ71がフェール信号としてのダイアグ情報を認識した場合、その旨を第2コンピュータ72に瞬時に伝えることで、元圧遮断切換えバルブ37を作動させる等で、元圧を遮断するように働く。このように両コンピュータ71,72間で送受信される情報に、コンピュータ71,72の双方から互いに監視し合うことで互いに相手コンピュータの各機能の状態を確認し得るダイアグ情報を用いるので、相手コンピュータの各機能の状態を的確に把握し、齟齬が生じた場合にどちらが正しい情報であるかを的確に判別すべき共有情報として有効に活用できる。
上記目標レンジ情報は、互いに不一致になった場合に相手コンピュータの誤作動を検出するためのもので、第1コンピュータ71側及び第2コンピュータ72側で互いに一致すべき情報であり、これらコンピュータ71,72が当該目標レンジ情報を互いに送受信し合うことで、これから切換えようとする目標のレンジ(Pレンジ、Rレンジ、Nレンジ、Dレンジ)が一致しているか否かを確認することができる。また、上記現在レンジ情報は、互いに不一致になった場合に相手コンピュータの誤作動を検出するためのもので、第1コンピュータ71側及び第2コンピュータ72側で互いに一致すべき情報であり、これらコンピュータ71,72が当該現在レンジ情報を互いに送受信し合うことで、現在(現時点で)形成されているレンジ(Pレンジ、Rレンジ、Nレンジ、Dレンジ)の種別が一致しているか否かを確認する。これら目標レンジ情報及び現在レンジ情報を用いることで、相手コンピュータの状態を的確に把握し、齟齬が生じた場合にどちらが正しい情報であるかを的確に判別すべき共有情報として有効に活用できる。
上記油圧情報は、コンピュータ71,72の双方に入力される、油圧系統に配置されて油圧の出力状態を検出する油圧検出手段である油圧スイッチ(油圧SW)やパーキング位置センサ(Pセンサ)で検出される情報であるので、相手コンピュータによる油圧制御を通して相手コンピュータの状態を的確に把握し、齟齬が生じた場合にどちらが正しい情報であるかを的確に判別すべき共有情報として有効に活用できる。
[正常状態における作用]
ついで、油圧制御装置20の正常状態における作用について、図3乃至図6を参照しつつ説明する。本油圧制御装置20においては、第1指令系統71a及び第1コンピュータ71が正常状態である場合、シフトレンジ設定制御及び各変速段の変速制御が第1指令系統71aの第1コンピュータ71によって制御される。
即ち、例えば運転者のシフトレバー81の操作に基づくPレンジ(非走行レンジ、パーキングレンジ)においては、図3〜図6に示すように、第1コンピュータ71により生成される電気的指令が第1指令系統71aを介して伝達される形で(以下、「第1コンピュータ71の制御」という。)、第1ソレノイドバルブS1がオフされて出力ポートS1bから信号圧PS1が出力されず、第2及び第4ソレノイドバルブS2,S4がオンされて、第2ソレノイドバルブS2の出力ポートS2bから信号圧PS2が出力され、ノーマルオープンタイプである第4ソレノイドバルブS4の出力ポートS4bからは信号圧PS4が出力されない状態となる。
このPレンジの状態では、パーキング切換えバルブ32において、第1作動油室32aに信号圧PS1が作用されず、第2作動油室32cに信号圧PS2が作用するため、スプリング32sの付勢力と相俟ってスプール32pが左半位置となり、入力ポート32bへのライン圧Pの入力が遮断される。このため、パーキングシリンダ33がパーキング切換えバルブ32からの油圧が遮断されて、パーキングロッド(図示せず)がスプリング(図示せず)の付勢力により不図示のパーキングポール側に移動することで、ウエッジ(図示せず)がサポート(図示せず)とパーキングポール(図示せず)との間に挿入されて、該パーキングポールの爪部がパーキングギヤ(図示せず)に噛合うことでパーキング状態となる。
また、第2コンピュータ72により生成される電気的指令が第2指令系統72aを介して伝達される形となる(以下、「第2コンピュータ72の制御」という。)第3ソレノイドバルブS3は、第1コンピュータ71及びその第1指令系統71aが正常状態である場合はオフされたままとなる。これにより、元圧遮断切換えバルブ37は、スプリング37sの付勢力によって左半位置のままに維持されており、油路aを介して入力ポート37bに入力されているライン圧Pを出力ポート37cから油路aを介して元圧切換えバルブ35の入力ポート35bに出力する。
また、第1コンピュータ71の制御で第4ソレノイドバルブS4がオンされることで、元圧切換えバルブ35は、その作動油室35aに出力ポートS4bからの信号圧PS4が作用されず、スプール35pが左半位置となるため、入力ポート35bに作用するライン圧Pは、出力ポート35cからリニアソレノイドバルブSL1〜SL5の全てに向けて出力されるが、これらリニアソレノイドバルブSL1〜SL5は何れもオフ状態であるため、係合圧PSL1〜PSL5は出力されない。
続いて、シフトレバー81がRレンジ(後進レンジ、リバースレンジ)に操作されると、第1コンピュータ71の制御で第1ソレノイドバルブS1がオンされて出力ポートS1bから信号圧PS1が出力されることにより、パーキング切換えバルブ32では、第1作動油室32aに信号圧PS1が作用されるため、スプリング32sの付勢力に抗してスプール32pが右半位置となり、入力ポート32bへのライン圧Pの入力が出力ポート32dから出力される。このため、パーキングロッド(図示せず)がスプリング(図示せず)の付勢力に抗してパーキングシリンダ33側に移動し、ウエッジ(図示せず)をサポート(図示せず)とパーキングポール(図示せず)との間から離脱させて、パーキングポールの爪部(図示せず)をパーキングギヤ(図示せず)との噛合いから外すことでパーキング解除状態となる。そして、スプール32pが右半位置になったパーキング切換えバルブ32は、大径ランド部と小径ランド部との受圧面積の差によって右半位置にロックされる。なお、ここでオンされた第1ソレノイドバルブS1は、例えば数秒程度の所定時間の経過後にオフしても構わない。
また、上述した通り、第3ソレノイドバルブS3はオフされ、かつ第4ソレノイドバルブS4がオンされたままであり、元圧遮断切換えバルブ37はその作動油室37aに出力ポートS3bからの信号圧PS3が作用されず、スプール37pが左半位置となるため、入力ポート37bに作用するライン圧Pは、出力ポート37cから元圧切換えバルブ35の入力ポート35bに向けて出力され、一方の元圧切換えバルブ35は、その作動油室35aに出力ポートS4bからの信号圧PS4が作用されず、スプール35pが左半位置となるため、入力ポート35bに作用するライン圧Pは、出力ポート35cからリニアソレノイドバルブSL1〜SL5の全てに向けて出力される。
そして、第1コンピュータ71の制御でリニアソレノイドバルブSL2,SL4がオンされるため、出力ポートSL2bから振分け切換えバルブ36の入力ポート36bに係合圧PSL2が出力されるが、第1ソレノイドバルブS1がオンされることで信号圧PS1が振分け切換えバルブ36の第1作動油室36aに出力され、スプール36pが左半位置になっていることで、上記係合圧PSL2は、上記入力ポート36bから出力ポート36fを介して油圧サーボ62に供給され、これにより、第2ブレーキB−2が係止される。同時に、上記リニアソレノイドバルブSL4のオン作動により、元圧切換えバルブ35の出力ポート35cからのライン圧Pが、出力ポートSL4bから油圧サーボ54に係合圧PSL4として調圧出力され、第4クラッチC−4が係合される。従って、上記第2ブレーキB−2の係止と相俟って、後進段が達成される。
さらに、シフトレバー81がNレンジ(非走行レンジ、ニュートラルレンジ)に操作されると、上記Rレンジのときと同様、第1ソレノイドバルブS1のオンによりパーキング切換えバルブ32が右半位置となることに基づき、パーキング解除状態となる。そして、第3ソレノイドバルブS3はオフされ、第4ソレノイドバルブS4がオンされることで、同様に元圧遮断切換えバルブ37及び元圧切換えバルブ35は左半位置になり、ライン圧PがリニアソレノイドバルブSL1〜SL5の全てに出力される。この際、上記Pレンジ時と同様、第1コンピュータ71の制御でリニアソレノイドバルブSL1〜SL5は何れもオフ状態にされるため、係合圧PSL1〜PSL5は出力されず、従って、ニュートラル状態が達成される。
そして、シフトレバー81がDレンジ(前進レンジ、ドライブレンジ)にある前進レンジ時の前進1速段(前進発進時)においては、第1コンピュータ71の制御で第1ソレノイドバルブS1がオフされて出力ポートS1bから信号圧PS1が出力されなくなるが、上述のようにパーキング切換えバルブ32は大径ランド部と小径ランド部との受圧面積の差によって右半位置にロックされているのでパーキング解除状態となっている。
さらに同様に、第3ソレノイドバルブS3はオフされ、第4ソレノイドバルブS4がオンされることで、同様に元圧遮断切換えバルブ37及び元圧切換えバルブ35は左半位置であり、ライン圧PがリニアソレノイドバルブSL1〜SL5の全てに出力されている。ここで、リニアソレノイドバルブSL1がオンするため、その出力ポートSL1bから第1クラッチC−1に係合圧PSL1が供給されて該クラッチC−1が係合し(つまり前進発進時に係合される)、ワンウェイクラッチF−1の係止と相俟って、前進1速段が達成される。なお、この際、係合圧PSL1が油路i、チェックボールバルブ38、油路lを介して振分け切換えバルブ36の第2作動油室36hに入力されるため、該振分け切換えバルブ36のスプール36pは、右半位置に切換えられる。
シフトレバー81がDレンジにある前進1速段のエンジンブレーキ時においては、前進レンジ時の前進1速段時と同様、ライン圧PがリニアソレノイドバルブSL1〜SL5の全てに向けて出力される状態であり、この状態においてリニアソレノイドバルブSL1,SL2の双方がオンされる。このため、リニアソレノイドバルブSL1にあっては、その出力ポートSL1bから油圧サーボ51に係合圧PSL1を供給して第1クラッチC−1を係合させる。
また、リニアソレノイドバルブSL2にあっては、その出力ポートSL2bから振分け切換えバルブ36の入力ポート36bに係合圧PSL2を出力するが、このとき振分け切換えバルブ36は、上述のようにチェックボールバルブ38を介して第2作動油室36hに係合圧PSL1が入力されるが、第1コンピュータ71の制御で第1ソレノイドバルブS1がそれぞれオンされて、第1作動油室36aに第1ソレノイドバルブS1から信号圧PS1が入力されることで左半位置にされる。このため、上記係合圧PSL2は、上記入力ポート36bから出力ポート36fを介して油圧サーボ62に供給されて、第2ブレーキB−2が係止される。これにより、第1クラッチC−1の係合と相俟って、前進1速段のエンジンブレーキが達成される。
シフトレバー81がDレンジにある前進2速段においては、第1コンピュータ71の制御で第1及び第2ソレノイドバルブS1,S2がそれぞれオフされて出力ポートS1b,S2bの双方から信号圧PS1,PS2が出力されない状態にて、上述のようにパーキング切換えバルブ32が右半位置にロックされることで、パーキング解除状態となっている。さらに同様に、第3ソレノイドバルブS3はオフされ、第4ソレノイドバルブS4がオンされることで、同様に元圧遮断切換えバルブ37及び元圧切換えバルブ35は左半位置であり、ライン圧PがリニアソレノイドバルブSL1〜SL5の全てに出力されている。ここで、リニアソレノイドバルブSL1,SL5がオンされるため、リニアソレノイドバルブSL1にあっては、その出力ポートSL1bから油圧サーボ51に係合圧PSL1が供給されて第1クラッチC−1が係合し、またリニアソレノイドバルブSL5にあっては、その出力ポートSL5bから油圧サーボ61に係合圧PSL5が供給されて第1ブレーキB−1が係止され、これにより、前進2速段が達成される。
シフトレバー81がDレンジにある前進3速段においては、上述と同様、第1及び第2ソレノイドバルブS1,S2がオフされた状態にて、パーキング切換えバルブ32が右半位置にロックされることで、パーキング解除状態となっている。また、第3ソレノイドバルブS3はオフされ、第4ソレノイドバルブS4がオンされることで、ライン圧PがリニアソレノイドバルブSL1〜SL5の全てに向けて出力される。ここで、リニアソレノイドバルブSL1,SL3がオンされるため、リニアソレノイドバルブSL1にあっては、その出力ポートSL1bから油圧サーボ51に係合圧PSL1が供給されて第1クラッチC−1が係合し、またリニアソレノイドバルブSL3にあっては、その出力ポートSL3bから油圧サーボ53に係合圧PSL3が供給されて第3クラッチC−3が係止され、これにより、前進3速段が達成される。
シフトレバー81がDレンジにある前進4速段においては、上述と同様、第1及び第2ソレノイドバルブS1,S2がオフされた状態にて、パーキング切換えバルブ32が右半位置にロックされることで、パーキング解除状態となっている。また、第3ソレノイドバルブS3はオフされ、第4ソレノイドバルブS4がオンされることで、ライン圧PがリニアソレノイドバルブSL1〜SL5の全てに向けて出力される。ここで、リニアソレノイドバルブSL1,SL4がオンされるため、リニアソレノイドバルブSL1にあっては、その出力ポートSL1bから油圧サーボ51に係合圧PSL1が供給されて第1クラッチC−1が係合し、またリニアソレノイドバルブSL4にあっては、その出力ポートSL4bから油圧サーボ54に係合圧PSL4が供給されて第4クラッチC−4が係止され、これにより、前進4速段が達成される。
シフトレバー81がDレンジにある前進5速段においては、上述と同様、第1及び第2ソレノイドバルブS1,S2がオフされた状態にて、パーキング切換えバルブ32が右半位置にロックされることで、パーキング解除状態となっている。また、第3ソレノイドバルブS3はオフされ、第4ソレノイドバルブS4がオンされることで、ライン圧PがリニアソレノイドバルブSL1〜SL5の全てに向けて出力される。ここで、リニアソレノイドバルブSL1,SL2がオンされるため、リニアソレノイドバルブSL1にあっては、その出力ポートSL1bから油圧サーボ51に係合圧PSL1が供給されて第1クラッチC−1が係合する。また、リニアソレノイドバルブSL2にあっては、その出力ポートSL2bから振分け切換えバルブ36の入力ポート36bに係合圧PSL2を出力するが、このとき振分け切換えバルブ36は、チェックボールバルブ38を介して第2作動油室36hに係合圧PSL1が入力されることで右半位置に切換えられており、かつ入力油室36cに入力されたロック圧(ライン圧P)により右半位置にロックされているため、上記係合圧PSL2は、上記入力ポート36bから出力ポート36gを介して油圧サーボ52に供給されて、第2クラッチC−2が係合される。これにより、上記第1クラッチC−1の係合と相俟って、前進5速段が達成される。
さらに、シフトレバー81がDレンジにある前進6速段においては、上述と同様、第1及び第2ソレノイドバルブS1,S2がオフされた状態にて、パーキング切換えバルブ32が右半位置にロックされることで、パーキング解除状態となっている。また、第3ソレノイドバルブS3はオフされ、第4ソレノイドバルブS4がオンされることで、ライン圧PがリニアソレノイドバルブSL1〜SL5の全てに向けて出力される。ここで、リニアソレノイドバルブSL2,SL4がオンされるため、リニアソレノイドバルブSL4にあっては、その出力ポートSL4bから油圧サーボ54に係合圧PSL4を供給し、これにより、第4クラッチC−4が係合される。また、リニアソレノイドバルブSL2にあっては、その出力ポートSL2bから振分け切換えバルブ36の入力ポート36bに係合圧PSL2を出力するが、該振分け切換えバルブ36は、上記前進5速段の場合と同様にように右半位置にロックされているため、上記係合圧PSL2は、入力ポート36bから出力ポート36gを介して油圧サーボ52に供給されて、第2クラッチC−2が係合される。これにより、上記第4クラッチC−4の係合と相俟って、前進6速段が達成される。
また、シフトレバー81がDレンジにある前進7速段においては、上述と同様、第1及び第2ソレノイドバルブS1,S2がオフされた状態にて、パーキング切換えバルブ32が右半位置にロックされることで、パーキング解除状態となっている。また、第3ソレノイドバルブS3はオフされ、第4ソレノイドバルブS4がオンされることで、ライン圧PがリニアソレノイドバルブSL1〜SL5の全てに向けて出力される。ここで、リニアソレノイドバルブSL2,SL3がオンされるため、リニアソレノイドバルブSL3にあっては、その出力ポートSL3bから油圧サーボ53に係合圧PSL3が供給されて、第3クラッチC−3が係合される。また、リニアソレノイドバルブSL2にあっては、その出力ポートSL2bから振分け切換えバルブ36の入力ポート36bに係合圧PSL2を出力するが、上記前進5〜6速段の場合と同様に該振分け切換えバルブ36が右半位置にロックされているため、該係合圧PSL2が入力ポート36bから出力ポート36gを介して油圧サーボ52に供給されて、第2クラッチC−2が係合される。従って、上記第3クラッチC−3の係合と相俟って、前進7速段が達成される。
さらに、シフトレバー81がDレンジにある前進8速段においては、上述と同様、第1及び第2ソレノイドバルブS1,S2がオフされた状態にて、パーキング切換えバルブ32が右半位置にロックされることで、パーキング解除状態となっている。また、第3ソレノイドバルブS3はオフされ、第4ソレノイドバルブS4がオンされることで、ライン圧PがリニアソレノイドバルブSL1〜SL5の全てに向けて出力される。ここで、リニアソレノイドバルブSL2,SL5がオンされるため、リニアソレノイドバルブSL5にあっては、その出力ポートSL5bから油圧サーボ61に係合圧PSL5が供給されて、第1ブレーキB−1が係止される。また、リニアソレノイドバルブSL2にあっては、その出力ポートSL2bから振分け切換えバルブ36の入力ポート36bに係合圧PSL2を出力するが、上記前進5〜7速段の場合と同様に該振分け切換えバルブ36が右半位置にロックされているため、該係合圧PSL2が入力ポート36bから出力ポート36gを介して油圧サーボ52に供給されて、第2クラッチC−2が係合される。従って、上記第1ブレーキB−1の係止と相俟って、前進8速段が達成される。
ついで、図7に沿って、第1コンピュータ71及び第2コンピュータ72によるフェール発生時の対応等について説明する。なお、図7では、第1コンピュータ71や第2コンピュータ72を、コンピュータ全体として見た場合のECU(Electronic Control Unit)と、コンピュータ心臓部として見た場合のMPU(Micro Processing Unit)の両方の表現で表記している。
例えば、第1コンピュータ71のダウン、第1指令系統71aにおける断線、第1指令系統71aにおけるコネクタ抜け等におけるフェール、或いは、第2コンピュータ72のダウン、第2指令系統72aにおける断線、第2指令系統72aにおけるコネクタ抜け等におけるフェールが発生した場合など、両コンピュータ71,72間において種々の判断が行われる。
すなわち、両コンピュータ71,72のモード移行制御手段74,76は、それぞれ、相手コンピュータからのリセット信号に基づき相手コンピュータの稼動が確認されているにも拘わらず該相手コンピュータとの通信が途絶しているときには、走行状態の一致が確認し得なくなったときとしてNレンジ固定モードに移行させるように制御する。つまり、第1コンピュータ71及び第2コンピュータ72の正常状態における通常モード(正常モード)から、相手コンピュータとの通信が途絶しているが、相手コンピュータから送られるリセット信号がハイ(High)で相手コンピュータは稼動中であると判定される場合(行程A)は、両コンピュータ71,72のうちの何れかが誤作動している可能性があるとし(行程B)、フェールセーフモードとしてNレンジ固定モード(フェールセーフ停止状態)に移行させる(行程C)。この際、エンジン(E/G)が停止(オフ)状態であれば、第2ソレノイドバルブS2及び第4ソレノイドバルブS4をオン(図4参照)させてパーキング状態にすることができる。
また、モード移行制御手段74,76は、それぞれ、第1及び第2コンピュータ71,72における走行状態判別手段77,78で目標レンジ情報及び現在レンジ情報に基づき個々に判別された走行状態が相手コンピュータとの間で不一致するときには、上記走行状態の一致が確認し得なくなったときとしてNレンジ固定モードに移行させるように制御する。つまり、上記通常モードから、目標レンジ情報、現在レンジ情報が相手コンピュータと不一致である場合(行程A)は、両コンピュータ71,72のうちの何れかが誤作動している可能性があるとし(行程B)、フェールセーフモードとしてNレンジ固定モードに移行させる(行程C)。この場合も、パーキング状態にすることが可能である。
また、第1及び第2コンピュータ71,72における走行状態判別手段77,78でフェール情報に基づき個々に判別された走行状態が相手コンピュータとの間で一致し、かつフェール判定手段73,75による判定結果が一致したときには、第2コンピュータ72のモード移行制御手段76による制御は正常モードのままで、第1コンピュータ71のモード移行制御手段74による制御はリンプホームモードに移行するように制御される。つまり、上記通常モードから、両コンピュータ71,72間でフェール情報がある場合(行程A)は、車輌として、前後進切換えの誤動作に至る故障になり得るか否かを判断し(行程B)、該故障にならないと判断した際(No)には通常モードに戻る。一方、該故障になると判断した際(Yes)には、Nレンジ固定モードへの強制的移行を回避(行程C)しつつ、前進7速段を形成できるかの判断に基づき(行程C)、前進7速段を形成できる場合は(Yes)上記行程Cに進み、フェールセーフモードとしてリンプホームモードを選択し、フェールセーフ走行状態(前進7速段)に移行させる。一方、前進7速段を形成できないと判断した場合は(No)、上記行程Cに進み、フェールセーフモードとしてフェールセーフ停止状態(Nレンジ固定モード)に移行させる。或いは、上記通常モードから、油圧出力異常(油圧スイッチ、パーキング位置センサ(Pセンサ)の異常)がある場合(行程A)は、車輌として、前後進切換えの誤動作に至る故障になり得るか否かを判断し(行程B)、該故障にならないと判断した際(No)には通常モードに戻る。一方、前後進切換えの誤動作に至る故障になると判断した際(Yes)には、Nレンジ固定モードへの強制的移行を回避(行程C)しつつ、前進7速段を形成できるかの判断に基づき(行程C)、前進7速段を形成できる場合は(Yes)上記行程Cに進み、リンプホームモードを選択し、フェールセーフ走行状態に移行させる。一方、前進7速段を形成できないと判断した場合は(No)、上記行程Cに進み、フェールセーフ停止状態に移行させる。
また、相手コンピュータからのリセット信号に基づき相手コンピュータの稼動が確認されず該相手コンピュータとの通信が途絶しているときには、第2コンピュータ72のモード移行制御手段76による制御は機能を停止し、第1コンピュータ71のモード移行制御手段74による制御はリンプホームモードに移行させる。つまり、上記通常モードから、相手コンピュータとの通信が途絶し、相手コンピュータから送られるリセット信号がロー(Low)で相手コンピュータが稼動停止状態であると判定される場合(行程A)は、相手コンピュータの機能が停止していると判断し(行程B)、フェールセーフモードとしてリンプホームモードを選択し(行程C)、フェールセーフ走行状態(前進7速段)に移行させる(行程C)。この場合、シフトレバー81の操作により、前進7速段からニュートラル状態に切換えることが可能である。
引き続き、図8を参照して、第2コンピュータ72による制御(サブECU制御)及び第1コンピュータ71による制御(メインECU制御)による実際のバルブ作動について説明する。なお、図中の破線矢印は制御無し(即ち、ソレノイドバルブの切換え無し)の状態を示し、実線矢印は、丸付き文字である、ア〜スの何れかの制御ありの状態を示している。また、特に指示の無いソレノイドバルブはオフされていることとして説明する。
本制御系では、油圧制御装置20における油圧系統に配置されて油圧の出力状態を検出する油圧スイッチ(油圧検出手段)等からの油圧情報に基づき、各クラッチ及びブレーキの状態がモニタされている。また、パーキング装置のパーキングロッド(図示せず)には不図示のパーキング位置センサが配置されて該パーキングロッドの位置がモニタされている。油圧情報は、前述したように、第1コンピュータ71が油圧系の異常を監視し、第2コンピュータ72は、第1コンピュータ71による制御の結果(油圧)を監視する。
[サブECU制御でのNレンジ固定モード]
まず、第2コンピュータ72側で、Pレンジにおいて第1コンピュータ71側にコンピュータ異常が発生したと判定した場合、第2コンピュータ72は、制御を行うことなくパーキング状態を維持する。この際、Rレンジ、Nレンジ及びDレンジの何れかに切換える旨の指令が発せられたとしても、何らの制御も行わず、何れのソレノイドバルブも切換えることなく、該指令をリジェクト(拒絶)してパーキング状態をそのまま維持する。
また、第2コンピュータ72側で、Rレンジ、Nレンジ又はDレンジの何れにあって第1コンピュータ71側に異常が発生したと判定した場合(ア)、第2コンピュータ72は、第3ソレノイドバルブS3をオンさせる制御を行い、これに基づき、ニュートラル状態に切換えて固定する。この際、シフトレバー81が操作されて、Rレンジ、Nレンジ又はDレンジの何れかに切換える旨の指令が発せられたとしても、該指令をリジェクトしてニュートラル状態をそのまま維持する。
[サブECU制御でのリンプホームモード]
第2コンピュータ72側で、Pレンジにおいて第1コンピュータ71側で制御されるソレノイドバルブのオールオフフェールが発生したと判定した場合、第2コンピュータ72は、何らの制御も行わず、何れのソレノイドバルブも切換えることなく、パーキング状態をそのまま維持する。この場合、シフトレバー81が操作されて、Rレンジ、Nレンジ又はDレンジの何れかに切換える旨の指令が発せられたとしても、該指令をリジェクトしてパーキング状態をそのまま維持する。
また、第2コンピュータ72側で、Rレンジ又はNレンジの何れかにて第1コンピュータ71側で制御されるソレノイドバルブのオールオフフェールが発生したと判定した場合、第2コンピュータ72は、何らの制御も行わず、何れのソレノイドバルブも切換えることなく、ソレノイド・オールオフフェールに起因するニュートラル状態に移行させ、若しくはニュートラル状態を維持する。この場合、シフトレバー81が操作されて、Pレンジに切換える旨の指令が発せられたとしても、該指令をリジェクトしてニュートラル状態を維持する。さらに、第2コンピュータ72は、移行したニュートラル状態において、前進7速段に切換える旨の1回目の指令(D指令)を発して、第3ソレノイドバルブS3をオン→オフさせ(コ)、前進7速段が形成されない際に、第3ソレノイドバルブS3をオンさせ(ア)、2回目の指令(D指令)として第3ソレノイドバルブS3をオフする指令を発する。
また、第2コンピュータ72側で、Dレンジにおいて第1コンピュータ71側で制御されるソレノイドバルブのオールオフフェールが発生したと判定した場合、第2コンピュータ72は、何らの制御も行わず、何れのソレノイドバルブも切換えることはない。この際、オフした第4ソレノイドバルブS4からの信号圧PS4が元圧切換えバルブ35の作動油室35aに入力され、ライン圧Pが、出力ポート35d、油路f,f,fを介して、リニアソレノイドバルブSL2,SL3の排出ポートSL2c,SL3cに、それぞれ逆入力圧として入力されることで、該逆入力圧が係合圧PSL2として油圧サーボ52に供給されて第2クラッチC−2が係合され、かつ該逆入力圧が係合圧PSL3として油圧サーボ53に供給されて第3クラッチC−3が係合されることで、前進7速段が達成される。
[サブECU制御でのN回避後、リンプホームモード]
さらに、第2コンピュータ72側で、Pレンジにおいて第1コンピュータ71側で油圧異常等のフェールが発生したと判定した場合、第2コンピュータ72は、何らの制御も行わず、何れのソレノイドバルブも切換えることなく、パーキング状態をそのまま維持する。この場合、シフトレバー81が操作されて、Rレンジ、Nレンジ又はDレンジの何れかに切換える旨の指令が発せられたとしても、何らの制御も行わず、該指令をリジェクトしてパーキング状態をそのまま維持する。
また、第2コンピュータ72側で、Rレンジ、Nレンジ又はDレンジの何れかにて第1コンピュータ71側でフェールが発生したと判定した場合は、第1ソレノイドバルブS1及び第3ソレノイドバルブS3の双方がオンされることで(シ)、パーキング切換えバルブ32がスプール32pを右半位置にしてライン圧Pを出力ポート32dからパーキングシリンダ33に出力してパーキングを解除すると共に、第3ソレノイドバルブS3のオンにより、元圧遮断切換えバルブ37がスプール37pを右半位置にしてライン圧Pを遮断し、元圧切換えバルブ35の入力ポート35bへのライン圧Pの供給を停止し、リニアソレノイドバルブSL2,SL3の排出ポートSL2c,SL3cへの逆入力を停止し、これによりニュートラル状態を達成する(即ち、フェールセーフ停止状態)。これらの場合、シフトレバー81が操作されて、Rレンジに切換える旨の指令が発せられたとしても、何らの制御も無く、何れのソレノイドバルブも切換えることなく、該指令をリジェクトしてニュートラル状態を維持する。
その後、第2コンピュータ72は、ニュートラル状態において前進7速段に切換える旨の指令(D指令)を発し、第1ソレノイドバルブS1がオンしている状況下で、第3ソレノイドバルブS3をオフすることで(ス)、パーキング切換えバルブ32を介してライン圧Pをパーキングシリンダ33に出力してパーキングを解除すると共に、第3ソレノイドバルブS3のオフにより、元圧遮断切換えバルブ37を左半位置に切換えることでライン圧Pを入力ポート35bに供給する。この際、第4ソレノイドバルブS4がオフされていることで、元圧切換えバルブ35の作動油室35aに信号圧PS4が入力され、ライン圧Pが、出力ポート35e、振分け切換えバルブ36の入力ポート36d、出力ポート36e、元圧切換えバルブ35の入力ポート35f、出力ポート35dから油路f,f,fを介して、リニアソレノイドバルブSL2,SL3の排出ポートSL2c,SL3cに、それぞれ逆入力圧として入力され、該逆入力圧が係合圧PSL2として油圧サーボ52に供給されて第2クラッチC−2が係合し、かつ該逆入力圧が係合圧PSL3として油圧サーボ53に供給されて第3クラッチC−3が係合し、これにより前進7速段が達成される。ここで、シフトレバー81が操作されて、Rレンジ、Nレンジ又はDレンジの何れかに切換える旨の指令が発せられた場合、第2コンピュータ72は、第1ソレノイドバルブS1がオンしている状況下で、第3ソレノイドバルブS3をオンして(シ)、パーキングを解除すると共に、元圧遮断切換えバルブ37の右半位置への切換えで、リニアソレノイドバルブSL2,SL3の排出ポートSL2c,SL3cへの逆入力を停止し、ニュートラル状態を達成する。
[メインECU制御でのNレンジ固定モード]
第1コンピュータ71側で、Pレンジにおいて第2コンピュータ72にコンピュータ異常が発生したと判定した場合、第1コンピュータ71は、制御を行うことなくパーキング状態を維持する。この際、シフトレバー81が操作されて、Rレンジ、Nレンジ又はDレンジの何れかに切換える旨の指令が発せられたとしても、第1コンピュータ71は、何らの制御も行わず、何れのソレノイドバルブも切換えることなく、該指令をリジェクトしてパーキング状態をそのまま維持する。
また、第1コンピュータ71側で、Rレンジ、Nレンジ又はDレンジの何れにあって第2コンピュータ72に異常が発生したと判定した場合(ウ)、第1コンピュータ71は、第4ソレノイドバルブS4をオンすると共に、リニアソレノイドバルブSL1〜SL5を全てオフさせ、これによりニュートラル状態に切換えて固定する。この際、シフトレバー81が操作されて、Rレンジ又はDレンジの何れかに切換える旨の指令が発せられたとしても、第1コンピュータ71は、該指令をリジェクトしてニュートラル状態をそのまま維持する。またここで、Pレンジに切換える旨の指令が発せられた場合、第1コンピュータ71は、第2ソレノイドバルブS2をオンして(カ)、パーキング切換えバルブ32のスプール32pを左半位置に切換えることで、パーキングシリンダ33へのライン圧Pの供給を遮断し、パーキング状態に切換える。
[メインECU制御でのリンプホームモード]
第1コンピュータ71側で、Pレンジで第2コンピュータ72側で制御されるソレノイドバルブのオールオフフェール(実際は第3ソレノイドバルブS3のみオフ)が発生したと判定した場合、第1コンピュータ71は、何らの制御も行わず、何れのソレノイドバルブも切換えることなく、パーキング状態をそのまま維持する。この場合、シフトレバー81が操作されて、Rレンジ、Nレンジ又はDレンジの何れかに切換える旨の指令が発せられたとしても、第1コンピュータ71は、何らの制御も行わず、該指令をリジェクトしてパーキング状態をそのまま維持する。
また、第1コンピュータ71側で、Rレンジ又はNレンジの何れかにて第2コンピュータ72側で制御されるソレノイドバルブのオールオフフェール(第3ソレノイドバルブS3のみオフ)が発生したと判定した場合、第1コンピュータ71は、第4ソレノイドバルブS4をオンさせると共にリニアソレノイドバルブSL1〜SL5を全てオフする(ウ)。この場合、第1及び第2ソレノイドバルブS1,S2の双方がオフしていることで、パーキング切換えバルブ32のスプール32sが、受圧面積の差でスプリング32sの付勢方向と逆方向にロックされて右半位置を維持してパーキングを解除し、さらに、元圧切換えバルブ35が第4ソレノイドバルブS4のオンで作動油室35aへの信号圧PS4を停止されて左半位置になるため、第3ソレノイドバルブS3がオフしていることで元圧遮断切換えバルブ37が左半位置になり、入力ポート37bへのライン圧Pが出力ポート37c、入力ポート35b、出力ポート35cを介してリニアソレノイドバルブSL1〜SL5の各入力ポートSL1a〜SL5aに供給される。この際、リニアソレノイドバルブSL1〜SL5は何れもオフされた状態でライン圧Pを遮断するため、クラッチC−1〜C−4及びブレーキB−1,B−2の何れも係合、係止することがなく、これによりニュートラル状態が達成される。ここで、シフトレバー81が操作されて、Pレンジに移行する旨の指令が発せられた場合、第1コンピュータ71は、第2ソレノイドバルブS2をオンさせることで(カ)、パーキング切換えバルブ32を左半位置にして、パーキングシリンダ33へのライン圧Pを遮断することで、パーキング状態に移行させる。
さらに、第1コンピュータ71は、移行したニュートラル状態において、前進7速段に切換える旨の指令(D指令)を発して、第4ソレノイドバルブS4をオフする(オ)。これにより、第4ソレノイドバルブS4から信号圧PS4が作動油室35aに出力されて元圧切換えバルブ35が右半位置になるため、ライン圧Pが、元圧遮断切換えバルブ37の出力ポート37cから入力ポート35b、出力ポート35eを介して振分け切換えバルブ36の入力ポート36dに入力され、出力ポート36eから入力ポート35f、出力ポート35d、油路f,f,fを介して、リニアソレノイドバルブSL2,SL3の排出ポートSL2c,SL3cに、それぞれ逆入力圧として入力される。これにより、第2クラッチC−2が係合し、かつ第3クラッチC−3が係合することで、前進7速段が達成される。
ここで、シフトレバー81が操作されて、Pレンジ、Rレンジ又はNレンジに移行する旨の指令が発せられた場合、第1コンピュータ71は、第4ソレノイドバルブS4をオンさせ(ケ)、作動油室35aへの信号圧PS4の供給を遮断し元圧切換えバルブ35を左半位置にして、入力ポート35bへのライン圧Pを出力ポート35cを介してリニアソレノイドバルブSL1〜SL5の各入力ポートSL1a〜SL5aに供給する。この際、リニアソレノイドバルブSL1〜SL5は何れもオフ状態でライン圧Pを遮断するため、クラッチC−1〜C−4及びブレーキB−1,B−2の何れも係合、係止することなく、従って、ニュートラル状態に移行する。
また、前進7速段にあって、シフトレバー81が操作されてPレンジに移行する旨の指令が発せられた場合、第1コンピュータ71は、第4ソレノイドバルブS4及び第2ソレノイドバルブS2の双方をオンさせる(サ)。これにより、元圧切換えバルブ35が左半位置になり、入力ポート35bへのライン圧Pが出力ポート35cからリニアソレノイドバルブSL1〜SL5の各入力ポートSL1a〜SL5aに供給されるが、該ライン圧PはリニアソレノイドバルブSL1〜SL5で遮断されてクラッチC−1〜C−4及びブレーキB−1,B−2の何れも係合、係止されることがなく、また、第2ソレノイドバルブS2がオンされることで、パーキング切換えバルブ32が左半位置になり、パーキングシリンダ33へのライン圧Pが遮断されることで、パーキング状態となる。
[メインECU制御でのN回避後、リンプホームモード]
また、第1コンピュータ71側で、Pレンジにおいて第2コンピュータ72側で油圧異常等のフェールが発生したと判定した場合、第1コンピュータ71は、パーキング状態をそのまま維持する。この場合、シフトレバー81が操作されて、Rレンジ、Nレンジ又はDレンジの何れかに切換える旨の指令が発せられたとしても、第1コンピュータ71は、該指令をリジェクトしてパーキング状態をそのまま維持する。
さらに、第1コンピュータ71側で、Rレンジ、Nレンジ又はDレンジの何れかにて第2コンピュータ72側でフェールが発生したと判定した場合、第1コンピュータ71は、第1ソレノイドバルブS1をオンさせ、第4ソレノイドバルブS4をオフさせ、かつリニアソレノイドバルブSL1〜SL5を全てをオフさせる(キ)。これにより、第1ソレノイドバルブS1のオンにより、パーキング切換えバルブ32のスプール32sが右半位置になってパーキングが解除され、さらに、第4ソレノイドバルブS4のオフで元圧切換えバルブ35が作動油室35aに信号圧PS4が供給されて右半位置になるため、第3ソレノイドバルブS3がオフしていることで元圧遮断切換えバルブ37が左半位置になり、入力ポート37bへのライン圧Pが出力ポート35cを経由してリニアソレノイドバルブSL1〜SL5の各入力ポートSL1a〜SL5aに供給される。この際、リニアソレノイドバルブSL1〜SL5が何れもオフ状態でライン圧Pを遮断するため、ニュートラル状態が達成される。ここで、シフトレバー81が操作されて、Pレンジに移行する旨の指令が発せられた場合、第1コンピュータ71は、第2ソレノイドバルブS2をオンさせることで(カ)、パーキング切換えバルブ32を左半位置にし、パーキングシリンダ33へのライン圧Pを遮断することで、パーキング状態とする。
また、第1コンピュータ71は、移行したニュートラル状態において、前進7速段に切換える旨の1回目の指令(D指令)を発すると、オフしていた第4ソレノイドバルブS4をオンさせ、オンしていた第1ソレノイドバルブS1をオフさせ、オンした第4ソレノイドバルブS4をオフさせる(ク)。これにより、第4ソレノイドバルブS4のオンで元圧切換えバルブ35が左半位置になり、入力ポート35bへのライン圧Pが出力ポート35cからリニアソレノイドバルブSL1〜SL5の各入力ポートSL1a〜SL5aに供給される。この際、リニアソレノイドバルブSL1〜SL5は全てオフされていて、上記ライン圧Pが遮断される。引き続き、第1ソレノイドバルブS1のオフにより、第1作動油室32aへのライン圧Pが遮断されるが、前述した受圧面積の違いによりスプール32pが右半位置を維持するため、パーキング解除状態が維持される。そして、第4ソレノイドバルブS4がオフされるため、作動油室35aに信号圧PS4を供給される元圧切換えバルブ35が右半位置になり、従って、入力ポート35bに供給されるライン圧Pが出力ポート35e、入力ポート36d、出力ポート36e、入力ポート35f、出力ポート35d、油路f,f,fを介して、リニアソレノイドバルブSL2,SL3の排出ポートSL2c,SL3cに、それぞれ逆入力圧として入力されて、前進7速段が達成される。
ここで、シフトレバー81が操作されて、Pレンジ、Rレンジ又はNレンジに移行する旨の指令が発せられた場合、第1コンピュータ71は、第4ソレノイドバルブS4をオンさせ(ケ)、作動油室35aへの信号圧PS4の供給を遮断して元圧切換えバルブ35を左半位置にし、入力ポート35bへのライン圧Pを出力ポート35cを介してリニアソレノイドバルブSL1〜SL5の各入力ポートSL1a〜SL5aに供給する。この際、リニアソレノイドバルブSL1〜SL5が何れもオフされた状態でライン圧Pを遮断するため、クラッチC−1〜C−4及びブレーキB−1,B−2の何れも係合、係止することなく、ニュートラル状態に移行する。
また、当該ニュートラル状態に移行した状態で、シフトレバー81が操作されて、前進7速段に切換える旨の2回目以降の指令(D指令)が発せられた場合、第1コンピュータ71は、(ケ)でオンされた第4ソレノイドバルブS4をオフすることで(オ)、第4ソレノイドバルブS4から信号圧PS4を作動油室35aに出力し、元圧切換えバルブ35を右半位置にして、元圧遮断切換えバルブ37の出力ポート37cから油路f,f,fを介して、リニアソレノイドバルブSL2,SL3の排出ポートSL2c,SL3cに、それぞれ逆入力圧として入力し、第2クラッチC−2を係合させ、かつ第3クラッチC−3を係合させて、前進7速段を達成する。
また、前進7速段にあって、シフトレバー81が操作され、Pレンジに移行する旨の指令が発せられた場合、第1コンピュータ71は、第4ソレノイドバルブS4及び第2ソレノイドバルブS2の双方をオンさせ(サ)、元圧切換えバルブ35を左半位置にし、入力ポート35bへのライン圧Pを出力ポート35cからリニアソレノイドバルブSL1〜SL5の各入力ポートSL1a〜SL5aに供給する。この際、該ライン圧PはリニアソレノイドバルブSL1〜SL5で遮断されるためクラッチC−1〜C−4及びブレーキB−1,B−2の何れをも係合、係止させることがなく、また、第2ソレノイドバルブS2がオンされることでパーキング切換えバルブ32が左半位置になり、パーキングシリンダ33へのライン圧Pが遮断されることで、パーキング状態となる。
以上説明したように本実施の形態では、第1及び第2コンピュータ71,72がそれぞれ、取得した情報に基づいて個々に走行状態を判別する走行状態判別手段77,78と、該走行状態判別手段77,78により個々に判別された走行状態の一致が確認し得なくなったときはNレンジ固定モード(走行強制停止モード)に移行させるモード移行制御手段74,76とを備えるので、故障等に起因して第1及び第2コンピュータ71,72双方の判断の一致が確認し得なくなった場合はNレンジ固定モードに移行させることで、リンプホーム機能を適正に制御することができる。
このように、両コンピュータ71,72が互いに相手を監視しつつ、両コンピュータ71,72間で疑わしい場合はリンプホームを阻止してNレンジ固定モードに移行させることができ、車輌としてのフェールセーフを確実に行うことができる。つまり、コンピュータ71,72間で種々の信号を送受信し合うことで、コンピュータ71,72のどちらの処理が適正なのかを的確に判断し、程度に応じてリンプホームモード(前進7速段)とNレンジ固定モード(走行強制停止モード)とを切換えて、適切なフェールセーフを行うことができる。
また、本実施の形態によると、走行状態判別手段77,78が、リセット信号に基づき相手コンピュータの稼動が確認されているにも拘わらず該相手コンピュータとの通信が途絶しているときには、走行状態の一致が確認し得なくなったときとして走行強制停止モードに移行させるので、相手コンピュータは稼動しているものの故障等に起因して通信が途絶している場合にはNレンジ固定モードに移行させてリンプホームを実行しないように制御することができる。
さらに、モード移行制御手段74,76が、第1及び第2コンピュータ71,72における走行状態判別手段77,78で目標レンジ情報及び現在レンジ情報に基づき個々に判別された走行状態が相手コンピュータとの間で不一致するときには、走行状態の一致が確認し得なくなったときとしてNレンジ固定モードに移行させるので、故障等に起因して相手コンピュータと走行状態の判断が異なる場合にはNレンジ固定モードに移行させてリンプホームを実行しないように制御することができ、車輌としてのフェールセーフを確実に行うことができる。
また、本実施の形態によると、両コンピュータ71,72における走行状態判別手段77,78でフェール情報に基づき個々に判別された走行状態が相手コンピュータとの間で一致し、かつフェール判定手段73,75による判定結果が一致したときには、第2コンピュータ72のモード移行制御手段76による制御は正常モードのままで、第1コンピュータ71のモード移行制御手段74による制御はリンプホームモードに移行させるので、第1及び第2コンピュータ71,72双方が正常でフェール判定が一致した状況下でのフェール判定時に、Nレンジ固定モードを経由させつつ、前進7速段の形成可能なときにリンプホームを実施するように制御することができる。さらに、本実施の形態によると、フェール判定手段73,75がダイアグ情報に基づきフェールを判定するので、相手コンピュータの各機能の状態を的確に把握し、両コンピュータ71,72間に齟齬が生じた場合にどちらが正しい情報であるかを的確に判別すべき共有情報として有効に活用することができる。
また、本実施の形態によると、相手コンピュータからのリセット信号に基づき相手コンピュータの稼動が確認されず該相手コンピュータとの通信が途絶しているときには、第2コンピュータ72のモード移行制御手段76による制御は機能を停止し、第1コンピュータ71のモード移行制御手段74による制御はリンプホームモードに移行させるので、第2コンピュータ72の機能停止状態であってもリンプホームモードに移行させることで、リンプホーム機能の充実を図ることができる。
なお、以上説明した本実施の形態においては、油圧制御装置20を前進8速段、及び後進1速段を可能とする多段式自動変速機1に適用する場合を一例として説明したが、勿論これに限るものではなく、特に前進変速段が多い自動変速機であれば好適であるものの、有段式の自動変速機であればどのようなものにも適用できる。
本発明に係る自動変速機の制御装置は、乗用車、トラック、バス、農機等に搭載される自動変速機に用いて好適である。
1 自動変速機
20 油圧制御装置
71 第1コンピュータ
72 第2コンピュータ
73,75 フェール判定手段
74,76 モード移行制御手段
77,78 走行状態判別手段
S1 第1系統ソレノイドバルブ(第1ソレノイドバルブ)
S2 第1系統ソレノイドバルブ(第2ソレノイドバルブ)
S3 第2系統ソレノイドバルブ(第3ソレノイドバルブ)
S4 第1系統ソレノイドバルブ(第4ソレノイドバルブ)
SL1 第1系統ソレノイドバルブ(リニアソレノイドバルブ)
SL2 第1系統ソレノイドバルブ(リニアソレノイドバルブ)
SL3 第1系統ソレノイドバルブ(リニアソレノイドバルブ)
SL4 第1系統ソレノイドバルブ(リニアソレノイドバルブ)
SL5 第1系統ソレノイドバルブ(リニアソレノイドバルブ)

Claims (6)

  1. 第1系統ソレノイドバルブを制御して正常モードとリンプホームモードと走行強制停止モードとを切換え可能な第1コンピュータと、第2系統ソレノイドバルブを制御して正常モードと走行強制停止モードとを切換え可能な第2コンピュータと、を有し、前記第1及び第2コンピュータの何れかが走行強制停止モードを選択した際には駆動力伝達を切断し得る油圧制御装置を備えた自動変速機の制御装置において、
    前記第1及び第2コンピュータがそれぞれ、
    取得した情報に基づいて個々に走行状態を判別する走行状態判別手段と、
    前記走行状態判別手段により個々に判別された前記走行状態の一致が確認し得なくなったときは前記走行強制停止モードに移行させるモード移行制御手段と、を備えた、
    ことを特徴とする自動変速機の制御装置。
  2. 前記モード移行制御手段は、相手コンピュータからのリセット信号に基づき相手コンピュータの稼動が確認されているにも拘わらず該相手コンピュータとの通信が途絶しているときには、前記走行状態の一致が確認し得なくなったときとして前記走行強制停止モードに移行させてなる、
    請求項1記載の自動変速機の制御装置。
  3. 前記モード移行制御手段は、前記第1及び第2コンピュータにおける前記走行状態判別手段で目標レンジ情報及び現在レンジ情報に基づき個々に判別された走行状態が相手コンピュータとの間で不一致するときには、前記走行状態の一致が確認し得なくなったときとして前記走行強制停止モードに移行させてなる、
    請求項1又は2記載の自動変速機の制御装置。
  4. 前記第1及び第2コンピュータにそれぞれ、フェールを判定するフェール判定手段を備え、
    前記第1及び第2コンピュータにおける前記走行状態判別手段でフェール情報に基づき個々に判別された走行状態が相手コンピュータとの間で一致し、かつ前記フェール判定手段による判定結果が一致したときには、前記第2コンピュータの前記モード移行制御手段による制御は正常モードのままで、前記第1コンピュータの前記モード移行制御手段による制御は前記リンプホームモードに移行させてなる、
    請求項1乃至3のいずれか1項記載の自動変速機の制御装置。
  5. 前記フェール判定手段は、ダイアグ情報に基づきフェールを判定してなる、
    請求項4記載の自動変速機の制御装置。
  6. 相手コンピュータからのリセット信号に基づき相手コンピュータの稼動が確認されず該相手コンピュータとの通信が途絶しているときには、前記第2コンピュータの前記モード移行制御手段による制御は機能を停止し、前記第1コンピュータの前記モード移行制御手段による制御は前記リンプホームモードに移行させてなる、
    請求項1乃至5のいずれか1項記載の自動変速機の制御装置。
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