JP5040467B2 - 自動変速機の制御装置及び制御方法 - Google Patents
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Description
一方、シフトレバーと自動変速機とが直接機械的に接続されていないシフトバイワイヤ式の自動変速機も提案され実用化されている。
ところが、シフトバイワイヤ式の自動変速機では、選択されたシフト位置を検出する装置に何らかの異常等が生じ、シフトレバーのシフト位置を誤検出してしまった場合に、自動変速機のシフトレンジが運転者(ドライバ)の意図に反したレンジに設定されてしまうことが考えられる。
以下、シフトレンジ検出装置を2系統有する最もシンプルなシフトバイワイヤ式自動変速機について説明する。図3はシフトバイワイヤ式自動変速機の概略構成を示す図である。
これにより、故障判定部104に入力されたシフト位置検出信号が異なる場合には、シフト位置の検出にかかる機構に何らかの故障が生じたものと判断して、自動変速機のシフトレンジを非走行レンジに設定することで、車両が運転者の意図に反して走行してしまうことを防止し、フェイルセーフを確保することができる。
通常、図3の故障判定部104のような制御装置が正常に機能しない場合には、フェイルセーフを確保するため、単純なバックアップコントローラ等により、シフトレバー101の選択位置に関わらず、より安全なシフトレンジと考えられる非走行レンジ(パーキングあるいはニュートラル)に設定することが考えられる。
本発明はこのような課題に鑑み創案されたもので、複数のシフトレンジ検出装置のうちのいずれかに不具合が生じた場合であっても、シフトレンジをより適切なレンジに設定できるようにした自動変速機の制御装置及び制御方法を提供することを目的とする。
また、該複数のシフトレンジ検出センサからの検出信号のうち、1つでも検出信号が入力されず、且つ該走行状態検出手段により車両が走行状態であることが検出されている場合において、該自動変速機のシフトレンジを走行レンジに設定した場合には、該車両の駆動力を低減させるリンプホーム実行手段をそなえることが好ましい(請求項3)。
また、該複数のシフトレンジ検出センサからの検出信号が同一でなく、且つ該走行状態検出手段により車両が走行状態であることが検出されている場合において、該自動変速機のシフトレンジを該走行状態に応じたシフトレンジに維持した場合には、該車両の駆動力を低減させるリンプホーム実行手段をそなえるが好ましい(請求項4)。
本発明の自動変速機の制御装置(請求項2)によれば、車両が停止あるいはほぼ停止している状態にあって、複数のシフトレンジ検出センサからの検出信号のうち、1つでも検出信号が入力されない場合には、該シフトレンジ設定手段は、入力された検出信号に関わらず該自動変速機のシフトレンジを非走行レンジに設定するので、シフトレンジ検出センサに不具合がある状態で車両が走行することを防止して、より高い安全性を確保することができる。
本実施形態は、図示しない車両に本発明の自動変速機の制御装置を適用したものである。図1に示すように、本実施形態にかかる自動変速機の制御装置は、シフトレバー(シフト選択手段)1,シフトポジションスイッチ(シフトレンジ検出センサ)2,電子制御装置(ECU)4,変速用モータ5,自動変速機6,車速センサ(走行状態検出手段)7及びスロットルアクチュエータ8により構成されている。
以下、これらのシフトレンジの内、自動変速機6が車両に対して駆動力を伝達しないシフトレンジであるパーキング(P),ニュートラル(N)を非走行レンジと呼び、反対に、自動変速機6が車両に対して駆動力を伝達しうるシフトレンジであるリバース(R),ドライブ(D)を走行レンジと呼ぶ。
第1シフトポジションスイッチ2A及び第2シフトポジションスイッチ2Bは、それぞれシフトレバー1と機械的に接続された可動部20A,20Bを有しており、各可動部20A,20Bはシフトレバー1により選択された各シフトレンジ(選択レンジ)に対応した端子に接触するように構成されている。
車速センサ7は車両の走行速度を検出し、ECU4に車速情報Vを入力するように構成されている。なお、車速情報Vは車両が前進する方向を正とする値であり、車速情報Vの値が負である場合には車両が後進していることを意味する。
ECU4は、コンピュータにより構成された制御装置であり、機能要素としてシフトレンジ設定部(シフトレンジ設定手段)11及びリンプホーム実行部(リンプホーム実行手段)12を有している。
(1)各シフトレンジ検出信号S1,S2がそれぞれECU4に正常に入力されているか否かを判定し、各シフトレンジ検出信号S1,S2のいずれかでも入力されない場合にはシフトレンジ検出異常と判定する機能。
(2)各シフトレンジ検出信号S1,S2に含まれる選択レンジ情報(P,R,N,D)それぞれが一致しているか否かを判定し、一致しない場合(同一でない場合)にはシフトレンジ検出異常と判定する機能。
(4)各シフトレンジ検出信号S1,S2のうち、いずれかの検出信号が入力されない場合で、且つ、車速情報Vの絶対値が予め設定された所定車速値V0よりも大きい場合(|V|>V0)において、入力された各シフトレンジ検出信号S1,S2に含まれる選択レンジ情報が走行レンジ(R,D)である場合には、選択レンジ情報(R,D)に応じたシフトレンジ設定指令を変速用モータ5に送信する機能。
(5)各シフトレンジ検出信号S1,S2に含まれる選択レンジ情報(P,R,N,D)それぞれが一致しない場合で、且つ、車速情報Vの絶対値が予め設定された所定車速値V0よりも大きい場合(|V|>V0)において、車速情報Vが正の値である場合にはドライブレンジ(D)に相当するシフトレンジ設定指令を変速用モータ5に送信し、車速情報Vが負の値である場合にはリバースレンジ(R)に相当するシフトレンジ設定指令を変速用モータ5に送信する機能。
リンプホーム実行部12は、リンプホームモード実行時には車両のトルク要求に対して、目標となるスロットル開度を通常時の1/2程度に変更するなどしてスロットル開度を減少補正したスロットル開度信号TVOをスロットルアクチュエータ8に送信するように構成されている。また、リンプホームモード実行時には図示しない運転席の表示装置にその旨を表示するように構成されている。
なお、以下に説明するステップS100〜S210の処理は所定の演算周期(例えば20ミリ秒)毎に繰り返し実行される。
まず、ステップS100では、各シフトポジションスイッチ2A,2Bの各可動部20A,20Bが接触した端子の位置からシフトレバー1による選択レンジが検出され、それぞれECU4に各シフトレンジ検出信号S1,S2が入力される(第1ステップ)。
ステップS110において、各シフトレンジ検出信号S1,S2がともに入力されていると判定された場合には、ステップS120として、シフトレンジ設定部11が各シフトレンジ検出信号S1,S2に含まれる選択レンジ情報(P,R,N,D)がそれぞれ一致しているか否かが判定される。
ステップS115では、各シフトレンジ検出信号S1,S2いずれも入力されていない状態であるか否かが判定され、各シフトレンジ検出信号S1,S2がいずれも入力されていない状態であると判定された場合には、ステップS180に進む。
そして、ステップS140では車速情報Vの絶対値が所定車速V0よりも大きいか否かが判定され、これにより、車両が走行状態であるか停止状態あるいは略停止状態であるかが検出される。
一方、ステップS140において車速情報Vの絶対値が所定車速値V0よりも小さい(|V|≦V0)と判定されるとステップS180に進む。また、ステップS150において選択レンジ情報(P,R,N,D)が非走行レンジ(P,N)であると判定された場合もステップS180に進む。
ステップS180が実行されるとスタートに戻りステップS100以降の処理が繰り返し実行される。
ステップS200では、車速情報Vの値が正である場合(即ち、車両の前進走行時)には、変速用モータ5にドライブ(D)に対応するシフトレンジ設定指令を出力し、自動変速機6のシフトレンジがドライブレンジに設定される。一方、車速情報Vの値が負である場合(即ち、車両の後進走行時)には、変速用モータ5にリバース(R)に対応するシフトレンジ設定指令を出力し、自動変速機6のシフトレンジがリバースレンジに設定される。
なお、上述の各ステップにおいてステップS130,S160,S180及びS200が第2ステップに相当する。
また、ECU4が、シフトレンジ検出信号S1,S2の一部が入力されないような状態までも想定して機能するように構成されているので、制御不能となることなく自動変速機6のシフトレンジをより適切なレンジに設定することができるという効果もある。
例えば、上述の実施形態のステップS180では、自動変速機6のシフトレンジを非走行レンジとして、ニュートラルレンジに設定するようにしているが、入力された選択レンジ情報にパーキング(P)が含まれる場合には、変速用モータ5にパーキング(P)に対応するシフトレンジ設定指令を出力し、変速用モータ5により自動変速機6のシフトレンジをパーキングレンジに設定するように構成してもよい。
また、上述の実施形態では、ドライバがシフトレバーを操作することによりシフトレンジを選択するようになっているが、ドライバがシフトレンジを選択するための手段は適宜変更可能である。
さらに、実施形態においてはシフトレンジとして、パーキング(P),リバース(R),ニュートラル(N),ドライブ(D)の4つのシフトレンジを有する自動変速機の制御を例に説明したが、自動変速機が有するシフトレンジはこれに限らず適宜設定可能である。
2,2A,2B シフトポジションスイッチ(シフトレンジ検出センサ)
4 ECU(電子制御装置)
5 変速用モータ
6 自動変速機
7 車速センサ(走行状態検出手段)
8 スロットルアクチュエータ
11 シフトレンジ設定部(シフトレンジ設定手段)
12 リンプホーム実行部(リンプホーム実行手段)
Claims (5)
- 自動変速機の複数のシフトレンジからドライバが選択したシフトレンジを検出する複数のシフトレンジ検出センサと、
該複数のシフトレンジ検出センサからの検出信号に基づいて該自動変速機のシフトレンジを設定するシフトレンジ設定手段と、
該車両の走行状態を検出する走行状態検出手段とを有し、
該シフトレンジ設定手段は、
該複数のシフトレンジ検出センサからの検出信号が同一であれば、該自動変速機のシフトレンジを該検出信号に応じたシフトレンジに設定し、
該複数のシフトレンジ検出センサからの検出信号が同一でない場合、該走行状態検出手段により車両が走行状態であれば、該自動変速機のシフトレンジを該走行状態に応じたシフトレンジに維持し、
該複数のシフトレンジ検出センサからの検出信号のうち、1つでも検出信号が入力されない場合、該走行状態検出手段により車両が走行状態であることが検出され、且つ入力された検出信号が走行レンジであれば、該自動変速機のシフトレンジを該走行レンジに設定する
ことを特徴とする、自動変速機の制御装置 - 該シフトレンジ設定手段は、
該複数のシフトレンジ検出センサからの検出信号のうち、1つでも検出信号が入力されず、且つ該走行状態検出手段により車両が停止状態または略停止状態であることが検出されると、入力された検出信号に関わらず該自動変速機のシフトレンジを非走行レンジに設定する
ことを特徴とする、請求項1記載の自動変速機の制御装置。 - 該複数のシフトレンジ検出センサからの検出信号のうち、1つでも検出信号が入力されず、且つ該走行状態検出手段により車両が走行状態であることが検出されている場合において、該自動変速機のシフトレンジを走行レンジに設定した場合には、該車両の駆動力を低減させるリンプホーム実行手段をそなえる
ことを特徴とする、請求項1又は2記載の自動変速機の制御装置。 - 該複数のシフトレンジ検出センサからの検出信号が同一でなく、且つ該走行状態検出手段により車両が走行状態であることが検出されている場合において、該自動変速機のシフトレンジを該走行状態に応じたシフトレンジに維持した場合には、該車両の駆動力を低減させるリンプホーム実行手段をそなえる
ことを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の自動変速機の制御装置。 - 自動変速機の複数のシフトレンジからドライバが選択したシフトレンジを2系統のセンサから検出する第1ステップと、
該第1ステップで得られた該2系統のセンサからの検出信号に基づいて該自動変速機のシフトレンジを設定する第2ステップとをそなえ、
該第2ステップが、
該2系統のセンサからの検出信号が同一であれば、該自動変速機のシフトレンジを該検出信号に応じたシフトレンジに設定する第3ステップと、
該2系統のセンサからの検出信号が同一でない場合、該車両が走行状態であるか否かを判定し、該車両が走行状態であると判定すると、該自動変速機のシフトレンジを該走行状態に応じたシフトレンジに維持するステップと、
該2系統のシフトレンジ検出センサからの検出信号のうち、一方の検出信号が入力されない場合には、該車両が走行状態であるか否かを判定し、該車両が走行状態であると判定すると、入力された他方の検出信号が走行レンジであれば、該自動変速機のシフトレンジを該走行レンジに設定する第4ステップとを有する
ことを特徴とする、自動変速機の制御方法。
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