JP4319972B2 - 変性ポリオレフィンの製造法 - Google Patents
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Description
本発明の目的は、熱可塑性樹脂、特にポリオレフィン樹脂からなるプラスチック基材の樹脂物性を低下させることなく、樹脂用改質剤としての機能発現に優れる変性ポリオレフィンの製造法、および該変性ポリオレフィンからなる熱可塑性樹脂組成物を提供することにある。
(1)樹脂中の顔料、フィラー等の分散性、ポリマーアロイの相溶性、インキバインダーの基材への密着性および溶液安定性、ホットメルト接着剤の基材への密着性および樹脂の流動性等の付与に優れ、かつ熱可塑性樹脂の機械物性を低下させることなく樹脂用改質剤としての優れた機能を発揮する。
(2)接着剤成分として使用した場合、優れた溶液安定性、造膜性(とくに低温造膜性)および基材への密着性を付与する。
(3)プライマー成分として使用した場合、ポリオレフィン樹脂等の基材と塗料塗膜の双方に優れた密着性を付与する。
本発明の変性ポリオレフィン(D)[特に融点50〜120℃を有する変性ポリオレフィン(D)]の製造法は、炭素数4〜12のα−オレフィン(a1)15〜70モル%、プロピレン30〜85モル%およびエチレン0〜1モル%を構成単位とするポリオレフィン(A)と不飽和ポリカルボン酸またはその誘導体(B)を、ラジカル開始剤(C)の存在下もしくは非存在下で反応させるものである。
該製造法で用いられるポリオレフィン(A)は、炭素数(以下、Cと略記)4〜12のα−オレフィン(a1)15〜70モル%、プロピレン30〜85モル%およびエチレン0〜1モル%を構成単位とする。
(a1)のCが12を超えると後述する樹脂改質性(例えば密着性、分散性および相溶性の付与、以下同じ)および後述する成形品の機械物性が悪化する。
(a1)としては、例えば1−ブテン、1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセンおよび1−ドデセンが挙げられる。
これらのうち、樹脂改質性の観点から好ましいのは1−ヘキセンおよび1−オクテン、およびさらに好ましいのは1−ブテン、1−ペンテンおよび4−メチル−1−ペンテン、特に好ましいのは1−ブテンである。
(A)を構成するプロピレンの割合は30〜85モル%、好ましい下限は40モル%、さらに好ましくは50モル%、好ましい上限は80モル%、さらに好ましくは75モル%である。30モル%未満もしくは85モル%を超えると樹脂改質性が悪化する。
(A)中のエチレンの割合は0〜1モル%、好ましくは0〜0.5モル%、さらに好ましくは0〜0.1モル%である。1モル%を超えると、後述する接着剤またはプライマー成分として用いた場合は、造膜性と室温でのタック発生とのバランスを取ることが困難となる。
なお、GPC法によるMnの測定条件は次のとおりで、Mnは以下同じ条件で測定するものである。
装置 :Waters150−CV [Waters(株)製]
カラム:PLgel 10.MIXED−B[ポリマーラボラトリーズ(株)製]
熱減成法には、Mnが通常8,000〜500,000[(A)の変性のしやすさの観点から好ましい下限は10,000、さらに好ましくは15,000、経済性の観点から好ましい上限は300,000、さらに好ましくは150,000]の高分子量ポリオレフィン(A0)を、(1)有機過酸化物不存在下で、通常300〜450℃で0.5〜10時間、連続的に熱減成する方法、および(2)有機過酸化物存在下で、通常180〜300℃で0.5〜10時間、連続的に熱減成する方法が含まれる。これらのうち樹脂改質性の観点から好ましいのは(1)の方法である。
また、(A)は、高分子量ポリオレフィン(A0)を熱減成して得られるMn500〜40,000のポリオレフィンであることが好ましい。
(B)は1種単独でも、2種併用してもいずれでもよい。
これらの(B)のうち樹脂改質性および経済性の観点から好ましいのは、不飽和ジカルボン酸およびその無水物であり、さらに好ましいのは無水マレイン酸である。
ラジカル開始剤(C)としては、例えばアゾ化合物(例えばアゾビスイソブチロニトリルおよびアゾビスイソバレロニトリル)および過酸化物〔単官能(分子内にパーオキシド基を1個有するもの)[例えばベンゾイルパーオキシド、ジ−t−ブチルパーオキシド、ラウロイルパーオキシドおよびジクミルパーオキシド]および多官能(分子内にパーオキシド基を2個以上有するもの)[例えば2,2−ビス(4,4−ジ−t−ブチルパーオキシシクロヘキシル)プロパン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、ジ−t−ブチルパーオキシヘキサヒドロテレフタレート、ジアリルパーオキシジカーボネートおよびt−ブチルパーオキシアリルカーボネート]〕が挙げられる。
これらのうち、(A)と(B)の反応性の観点から好ましいのは過酸化物、さらに好ましいのは単官能過酸化物、とくに好ましいのはジ−t−ブチルパーオキシド、ラウロイルパーオキシドおよびジクミルパーオキシドである。
これらのうち、樹脂改質性および密着性の観点から好ましいのはハロゲン化炭化水素、およびさらに好ましいのは炭化水素、とくに好ましいのは不飽和脂肪族炭化水素である。 連鎖移動剤(T)の使用量は、(A)の重量に基づいて通常40%以下、(A)と(B)との反応性および樹脂改質性の観点から好ましくは0〜20%である。
(A)と(B)を反応させるに際して上記ラジカル開始剤(C)を用いる場合は樹脂改質性の観点から連鎖移動剤(T)を併用するのがさらに好ましい。
重合禁止剤の使用量は、(A)の重量に基づいて通常5%以下、(A)と(B)との反応性および樹脂改質性の観点から好ましくは0〜0.5%である。
(D)のカルボキシル基当量は、樹脂改質性と工業上の観点から好ましくは200〜20,000、さらに好ましくは400〜10,000である。
即ち(D)の水性分散体または溶液をプライマーまたは接着剤として使用する場合、プラスチック基材の表面に塗布された後に、室温ないし加熱(例えば50〜120℃で10秒〜120分)して造膜させるが、造膜性、密着性および基材変形の観点から好ましくは55〜115℃で5〜60分、さらに好ましくは60〜110℃で10〜30分で乾燥され、その上に上塗り塗料を塗装した後に焼き付け(本焼き付け)られるため、上塗り塗料の塗装前までに造膜している必要がある。なお、上記および以下において、融点とはDSC(示差走査熱量測定)法により得られる融解ピーク温度を意味する。
(D2)の製造法としては、〔1〕(D)をトルエンなどの溶剤に溶解し、これを水に撹拌下滴下または一定速度で投入しながら、ディスパーサー等で撹拌分散させた後、加熱減圧下で溶剤を留去する方法や〔2〕(D)の融点以上に加熱した後、水に撹拌下滴下または一定速度で投入しながら、ディスパーサー等で撹拌分散させる方法が含まれる。また分散方法としては、公知の方法、例えば界面活性剤などの乳化剤および/または分散剤[使用量は(D)の重量に基づいて通常0.1〜80%、(D)の機能発現の観点から好ましくは0.2〜40%]を使用する方法、および(D)のカルボキシル基および/または無水カルボキシル基(カルボキシル基2当量に換算)のうち、通常0.1〜90当量%、造膜性の観点から好ましくは1〜60当量%を水酸化ナトリウムなどのアルカリによって部分中和する方法が挙げられる。
非イオン性界面活性剤としては、例えば、アルキレンオキシド[C2〜4、例えばエチレンオキシド(以下、EOと略記)、プロピレンオキシド(以下、POと略記)、ブチレンオキシドおよびこれらの2種以上の併用。以下AOと略記、以下同じ。]付加型非イオン性界面活性剤〔高級アルコール(C8〜18)、高級脂肪酸(C12〜24)または高級アルキルアミン(C8〜24)等[例えばドデシル、ステアリル、オレイルアルコールおよびアミン、およびラウリン、ステアリンおよびオレイン酸]に直接AOを付加させたもの[分子量174〜Mn20,000]、およびポリアルキレングリコール[例えばポリエチレングリコール(分子量106〜Mn80,000)に高級脂肪酸などを反応させたもの、多価アルコール(C2〜24の2価〜8価またはそれ以上、例えばエチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、ペンタエリスリトールおよびソルビタン)に高級脂肪酸を反応させて得られたエステル化物にAOを付加させたもの(分子量286〜Mn20,000)、高級脂肪酸アミドにAOを付加させたもの(分子量241〜Mn35,000)、多価アルコール(上記に同じ)アルキル(C3〜60)エーテルにAOを付加させたもの(分子量120〜Mn80,000)、ポリプロピレングリコール(Mn500〜5,000)にEOを付加させたもの(Mn1,000〜50,000、例えばプルロニック型非イオン性界面活性剤など〕;および多価アルコ−ル型非イオン性界面活性剤〔例えば多価アルコール脂肪酸エステル(C3〜60)、多価アルコールアルキルエーテル(C3〜60)および脂肪酸アルカノールアミド(C3〜60)〕が挙げられる。
炭化水素としては、芳香族(C6〜24、例えばベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、トリエチルベンゼン、アミルベンゼン、ジアミルベンゼン、アミルトルエン、ジフェニルエタンおよびテトラリン)、脂肪族(C6〜24、例えばヘキサン、ヘプタンオクタンおよびデカン)および脂環式(C6〜24、例えばシクロヘキサン、シクロヘキセン、メチルシクロヘキサンおよびデカリン)炭化水素が挙げられる。
セロソルブとしては、C3〜18、例えばメチルセロソルブ、エチルセロソルブ、n−およびi−プロピルセロソルブおよびn−、sec−、i−およびt−ブチルセロソルブ;ケトンとしては、C3〜17、例えばアセトン、メチルエチルケトン、メチルイソプロピルケトンおよびメチルイソブチルケトン;アルコールとしては、C1〜18、例えばメタノール、エタノールおよびn−およびi−プロパノール;エステルとしては、C3〜18、例えば酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、プロピオン酸メチルおよびプロピオン酸エチル;アミドとしては、C1〜18、例えばジメチルホルムアミドが挙げられる。
これらのうち(D3)の保存安定性の観点から好ましいのは炭化水素、セロソルブおよびケトン、さらに好ましいのは炭化水素およびセロソルブである。
(D3)中の(D)の濃度は通常1重量%以上、好ましくは3〜95重量%である。
(D)は、C4〜12のα−オレフィン(a1)15〜70モル%、プロピレン30〜85モル%およびエチレン0〜1モル%を構成単位とし、分子末端および/または分子内に炭素1,000個当たり0.2〜10個の二重結合を有するポリオレフィン(A)と不飽和ポリカルボン酸または不飽和ポリカルボン酸の無水物、アルキルエステル、アミドおよびイミドからなる群から選ばれる誘導体(B)から構成され、(B)が(A)の二重結合部分および/または非二重結合部分に結合し、融点50〜120℃および数平均分子量500〜50,000を有する。ここにおいて、(a1)、(A)および(B)は前記と同じである。(D)は、例えば前記の変性ポリオレフィンの製造法に従って製造することができる。
(F)としては、可塑剤(F1)、滑剤(F2)、密着性、分散性および/または相溶性付与剤(F3)、酸化防止剤(F4)、紫外線吸収剤(F5)、着色剤(F6)、充填剤(F7)および/または難燃剤(F8)などが挙げられる。
(F11)モノカルボン酸エステル
脂肪族カルボン酸エステル[C10〜96、例えばステアリン酸ブチル(BS)、オレイン酸メトキシエチル(MEO)、アセチルリシノール酸メチル(MAR)、アセチルリシノール酸エチル(EAR)、アセチルリシノール酸メトキシエチル(MEAR)およびグリセリントリヘプタン酸エステル]、芳香(脂肪)族カルボン酸エステル[C7〜96、例えば安息香酸ブチル、安息香酸オクチル、フェニル酢酸ブチルおよびフェニル酢酸ヘキシル]および脂環式カルボン酸エステル[C5〜96、例えばシクロプロパンカルボン酸メチル、シクロプロパンカルボン酸ブチル、シクロブタンカルボン酸メトキシエチル、シクロペンタンカルボン酸エチル、シクロペンタンカルボン酸ブチル、シクロヘキサンカルボン酸メチル、シクロヘキサンカルボン酸メトキシエチルおよびシクロヘキサンカルボン酸オクチル]
脂肪族ジカルボン酸エステル〔C10〜96、例えばアジピン酸エステル[例えばアジピン酸ジ−2−エチルヘキシル(DOA)、アジピン酸ジイソデシル(DIDA)およびアジピン酸ジ(メチルシクロヘキシル)]、アゼライン酸エステル[例えばアゼライン酸ジ−n−ヘキシル(DNHZ)およびアゼライン酸ジ−2−エチルヘキシル(DOZ)]およびセバシン酸エステル[例えばセバシン酸ジブチル(DBS)およびセバシン酸ジ−2−エチルヘキシル(DOS)]〕および芳香(脂肪)族ジカルボン酸エステル〔C10〜96、例えばフタル酸エステル[例えばフタル酸ジメチル(DMP)、フタル酸ジエチル(DEP)、フタル酸ジブチル(DBP)、フタル酸ヘプチルノニル(HNP)、フタル酸ジ−2−エチルヘキシル(DOP)、フタル酸ジ−n−オクチル(DNOP)、フタル酸ジ−i−オクチル(DIOP)、フタル酸ジ−s−オクチル(DCapP)、フタル酸ジ(79アルキル)(D79P)、フタル酸ジ−i−デシル(DIDP)、フタル酸ジトリデシル(DTDP)、フタル酸ジシクロヘキシル(DCHP)、フタル酸ブチルベンジル(BBP)、エチルフタリルエチルグリコレート(EPEG)およびブチルフタリルブチルグリコレート(BPBG)]〕
脂肪族トリカルボン酸エステル〔C5〜96、例えばクエン酸エステル[例えばクエン酸トリエチル(TEC)、クエン酸トリブチル(TBC)、アセチルクエン酸トリエチル(ATEC)、アセチルクエン酸トリブチル(ATBC)、アセチルクエン酸トリシクロヘキシル、クエン酸トリオクチルおよびクエン酸トリ(オクチルデシル)]〕および芳香(脂肪)族トリカルボン酸エステル[C10〜96、例えばベンゼントリカルボン酸エチルおよびベンゼントリカルボン酸オクチル]
(F14)エポキシ系
C10〜96、例えばエポキシ化大豆油(ESO)および4,5−エポキシシクロヘキサン−1,2−ジカルボン酸ジ−2−エチルヘキシル(E−PS)
C3〜96、例えばリン酸トリブチル(TBP)、リン酸トリフェニル(TPP)、リン酸トリクレジル(TCP)、リン酸ジフェニルモノクレジル、リン酸−2−エチルヘキシルジフェニル、リン酸トリプロピレングリコール、リン酸トリブトキシエチル、リン酸トリクロルエチル、リン酸トリエチルおよびリン酸トリキシリル
(F16)含塩素系炭化水素
C10〜96、例えば塩素化パラフィンおよび塩素化芳香族炭化水素(例えば塩素化ナフタリンおよび塩素化ビフェニル)が挙げられる。
これらのうち(D)と(F3)の相溶性、(D)の樹脂用改質剤としての機能発現および(F3)の密着性、分散性および/または相溶性付与剤としての機能発現の観点から好ましいのは変性ポリオレフィンおよびポリエステルである。
(E)の重量に基づく(F1)〜(F8)のそれぞれの使用量は、通常(F1)、(F2)および(F3)は15%以下、(F4)、(F5)および(F8)は10%以下、(F6)および(F7)は30%以下、(F)の効果および経済性の観点から、(F1)、(F2)および(F3)は好ましくは0.01〜10%、さらに好ましくは0.1〜5%、(F4)、(F5)および(F8)は好ましくは0.01〜10%、さらに好ましくは0.1〜3%、(F6)および(F7)は好ましくは0.01〜25%、さらに好ましくは0.1〜20%である。
溶融混合装置としては、例えばバッチ混練機〔例えばバンバリー[商品名:Farrel(株)製]およびニーダー〕、連続混練機〔例えばFCM[商品名:Farrel(株)製]、LCM[商品名:(株)神戸製鋼所製]およびCIM[商品名:(株)日本製鋼所製]〕、単軸押出機および二軸押出機が挙げられる。
上記の方法のうち、(D)の機能発現の観点から好ましいのは(2)の方法である。
本発明の(D)または上記熱可塑性樹脂組成物を(G)または(H)として用いる場合の形態としては、塗工上の観点から該組成物に有機溶剤を加えた溶液、または該組成物を水中に分散させた水性分散体が好ましい。
これらのうち、(G)および(H)の保存安定性の観点から好ましいのは炭化水素、セロソルブおよびケトンである。
該溶液中の(D)、または(D)と(E)の合計量の濃度は、(G)および(H)としての機能発現、経済性および作業性の観点から好ましくは1〜90重量%、さらに好ましくは3〜80重量%である。
(J1)ポリエポキシド
例えば脂肪族、脂環式、複素環含有および芳香環含有ポリエポキシドが挙げられる。
多価脂肪族アルコールとしては、ジオール(C2〜50、例えばエチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1、6−ヘキサンジオール、3−メチルペンタンジオール、ジエチレングリコールおよびネオペンチルグリコール);トリオール(C3〜75、例えばグリセリンおよびトリメチロールプロパン);4価〜8価またはそれ以上の多価アルコ―ル(C5〜100、例えばペンタエリスリト―ル、ジグリセリン、α−メチルグルコシド、ソルビト―ル、キシリット、マンニット、ジペンタエリスリト−ル、グルコ−ス、フルクト−スおよびショ糖);およびそれらのAO付加物が挙げられる。
多価脂肪酸のポリグリシジルエステルとしては、例えばシュウ酸ジグリシジルエステル、アジピン酸ジグリシジルエステルおよびトリカルバリルトリグリシジルエステルが挙げられる。
複素環含有ポリエポキシドとしては、例えばトリスグリシジルメラミンが挙げられる。
一般的にポリイソシアネートをカルボジイミド化触媒であるホスホレン化合物を使用してカルボジイミド化したものであり、該ポリイソシアネートとしては、従来からポリウレタン原料とされているものが使用できる。
該ポリイソシアネートとしては、C(NCO基中の炭素を除く、以下同様)6〜20の芳香族ポリイソシアネート、C2〜18の脂肪族ポリイソシアネート、C4〜15の脂環式ポリイソシアネート、C8〜15の芳香脂肪族ポリイソシアネート、これらのポリイソシアネートの変性物(例えばウレタン基、アロファネート基、ウレア基、ビウレット基、ウレトジオン基、ウレトイミン基、イソシアヌレート基およびオキサゾリドン基等を含有する変性物)およびこれらの2種以上の混合物が挙げられる。
該ウレタン変性ポリイソシアネート[過剰のポリイソシアネート(TDI、MDIなど)とポリオールとを反応させて得られる遊離イソシアネート含有プレポリマー]の製造に用いるポリオールとしては、水酸基当量が30〜200のポリオール例えばグリコール(例えばエチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコールおよびジプロピレングリコール)、トリオール(例えばトリメチロールプロパンおよびグリセリン)、4官能以上の高官能ポリオール(例えばペンタエリスリトールおよびソルビトール)およびこれらのアルキレンオキシド(EOおよび/またはPO)(1〜40モル)付加物が挙げられる。これらのうち好ましいのは、グリコールおよびトリオールである。
塗料としては、例えばポリエステルメラミン樹脂塗料、エポキシメラミン樹脂塗料、アクリルメラミン樹脂塗料およびアクリルウレタン樹脂塗料等のプラスチックの塗装に一般に用いられる塗料が挙げられる。塗装膜厚(乾燥膜厚)は、目的に応じて適宜選択することができるが通常10〜50μmである。
また、該成形品に印刷する方法としては、一般的にプラスチックの印刷に用いられる印刷法であればいずれも用いることができ、例えばグラビア印刷、フレキソ印刷、スクリーン印刷、パッド印刷、ドライオフセット印刷およびオフセット印刷が挙げられる。
印刷インキとしてはプラスチックの印刷に通常用いられるもの、例えばグラビアインキ、フレキソインキ、スクリーンインキ、パッドインキ、ドライオフセットインキおよびオフセットインキが使用できる。
成形品と塗膜または印刷インキの密着性をさらに向上させる場合は、塗装する前に前記(D)からなるプライマーを塗布することができる。
実施例1
プロピレン/1−ブテン共重合体である高分子量ポリオレフィンを熱減成(窒素ガス通気下、常圧、360℃×80分にて実施)して得られた、プロピレン75モル%、1−ブテン25モル%を構成単位とする、Mn4,500の低分子量ポリオレフィン80部を冷却管付き三ツ口フラスコに入れ、窒素置換した後、窒素通気下に180℃まで加熱昇温し溶融させた。
ここに無水マレイン酸10部を加え、均一に混合した後、キシレン10部に溶解したジクミルパーオキサイド0.5部を滴下し、180℃で3時間撹拌を続けた。その後、減圧下でキシレンを留去し、融点100℃、Mn5,000の変性ポリオレフィン(D1)を得た。
実施例1において、無水マレイン酸10部に代えて、無水マレイン酸10部および1−ドデセン10部を用いたこと以外は実施例1と同様に反応を行い、その後、減圧下でキシレンおよび未反応の1−ドデセンを留去して、融点100℃、Mn5,000の変性ポリオレフィン(D2)を得た。
熱減成で得られた低分子量ポリオレフィンがプロピレン80モル%、1−ブテン20モル%を構成単位とし、Mnが4,500であること以外は実施例1と同様に行い、融点105℃、Mn5,000の変性ポリオレフィン(D3)を得た。
プロピレン/エチレン/1−ブテン共重合体である高分子量ポリオレフィンを熱減成して得られた低分子量ポリオレフィンがプロピレン70モル%、エチレン5モル%、1−ブテン25モル%を構成単位とし、Mnが4,500であること以外は実施例1と同様に行い、融点80℃、Mn5,000の変性ポリオレフィン(D4)を得た。
プロピレン/エチレン共重合体である高分子量ポリオレフィンを熱減成して得られた低分子量ポリオレフィンがプロピレン98モル%、エチレン2モル%を構成単位とし、Mnが4,500であること以外は実施例1と同様に行い、融点150℃、Mn5,000の変性ポリオレフィン(D5)を得た。
(D1)〜(D5)の各10部およびキシレン90部をそれぞれ120℃で均一に混合して接着剤(G11)〜(G15)を得た。
ポリプロピレン[商品名:チッソポリプロK1011、チッソ(株)製]40部と(D1)〜(D5)の各60部をそれぞれ混合し、L(軸の長さ)/D(軸の径)比が20の単軸押出機(以下同じ。)を用い、200℃で押出混練してペレットを得た。得られたペレット各10部とキシレン90部をそれぞれ130℃で均一に混合して接着剤(G21)〜(G25)を得た。
変性ポリオレフィン(D1)〜(D5)をそれぞれ三ツ口フラスコに入れ120℃に加熱して溶解し、別に作成した0.4%の水酸化ナトリウム水溶液300部中に90℃を保つように保温しながら滴下して乳化し、固形分25%の水性分散体を得た。得られた水性分散体とエポキシエマルション[商品名:エピレッツ880SAW65、ジャパンエポキシレジン(株)製]を固形分重量比で95/5となるように混合し、固形分25%となるように水で希釈し、プライマー(H1)〜(H5)を得た。
ポリプロピレン[商品名:チッソポリプロK1011、チッソ(株)製]100部に(D1)〜(D5)各3部をそれぞれ混合し、単軸押出機を用いて、230℃で押出混練してペレットを得た。得られたペレットをシリンダー温度230℃、射出圧力1,000kg/cm2、金型温度40℃で射出成形し、衝撃強度測定用試験片(80×10×4mmノッチ付き)を作成した。
また、同様にベース樹脂であるポリプロピレンのみの衝撃強度測定用試験片を作成し、JIS K7110に準拠してアイゾット衝撃強度(ノッチ付き)を測定し、ベース樹脂の試験片の測定値を100%として各試験片の保持率を求め、衝撃強度の保持性を判定した。
<判定基準> ○:保持率96%以上
△:保持率90%以上96%未満
×:保持率90%未満
(1)乾燥接着剤表面の耐汚染性
(G11)〜(G15)および(G21)〜(G25)をそれぞれ90℃に加熱し、試験板〔ポリプロピレン[商品名:サンアロマーPM771M、サンアロマー(株)製]標準板(150×70×2mm)、以下同じ。〕にスプレー機[アネスト岩田(株)製EBG−115EXB、以下同じ。]を用いてスプレー塗布した後、100℃の温風で30分間乾燥し、24時間室温にて静置後、大気中の塵、埃等の乾燥接着剤表面への付着の有無を肉眼で判定した。乾燥後の接着剤塗布量は各5g/m2であった。
<判定基準> ○:乾燥接着剤表面に塵、埃等の付着がほとんど認められない。
×:乾燥接着剤表面に塵、埃等の付着が顕著に認められる。
上記(1)で得られた塗布板の上に、表面処理ポリエステルフィルム[商品名:東洋紡E5100、東洋紡(株)製、厚み12μm]または表面処理ナイロンフィルム[商品名:ユニチカエンブレムON、ユニチカ(株)製、厚み15μm]を荷重1kgf/m2 で貼り合わせながら90℃で30分間熱処理した後、室温まで冷却した。得られた試験片について、JIS K6854に準拠して、接着強度測定装置[(株)島津製作所製オートグラフAG−100KNG]で剥離強度(180゜剥離強度、引張速度100mm/分、25℃)を測定した。
(G11)〜(G15)および(G21)〜(G25)それぞれをキシレンで5%の樹脂溶液になるように調製したものを密閉容器に入れて(内径40mm×高さ70mmの円筒形容器、溶液の深さ50mm)、20℃で1週間静置したときの溶液状態を判定した。
<判定基準> ◎:分離または沈殿が認められない。
○:分離および/または沈殿が認められるが、振り混ぜると容易に元の
状態に戻る。
×:分離および/または沈殿が認められ、振り混ぜても元の状態に戻ら
ない。
(1)90℃造膜性
(H1)〜(H5)を試験板にスプレー機を用いてスプレー塗布し、90℃にて10分間乾燥させた(乾燥膜厚約10μm)後、その外観を目視観察し判定した。
<判定基準> ◎:充分に造膜し、ムラが認められない
○:多少ムラがあるが膜状
△:水性分散体樹脂粒子が融解しているが膜状ではない
×:水性分散体樹脂粒子がそのままの形状で基材上に付着
上記(1)で得られた塗布板の上に市販のメラミンアルキッド系上塗り塗料[商品名:フレキセン♯101、日本ビーケミカル(株)製]をシンナー[商品名:♯101−10、日本ビーケミカル(株)製]にて希釈(塗料/シンナー重量比=2/1)したものを、スプレー機を用いてスプレー塗布した後、室温で15分間静置し、循風乾燥機で80℃、20分間焼き付けを行った(乾燥膜厚約40μm)。得られた塗布面についてJIS K5400に準拠した碁盤目テープ法による付着性試験を行った。碁盤目100のうち、塗膜が剥離しなかった部分の数を0〜100で表した。
(3)表面タック性
上記(1)で得られた塗布板を23℃、湿度50%の雰囲気下で4時間静置した後、指触により塗膜表面のタック性を判定した。
<判定基準> ○:タックなし
×:タックあり
Claims (8)
- 炭素数4〜12のα−オレフィン(a1)15〜70モル%、プロピレン30〜85モル%およびエチレン0〜1モル%を構成単位とし、分子末端および/または分子内の二重結合量が、炭素1,000個当たり0.2〜10個であるポリオレフィン(A)と不飽和ポリカルボン酸またはその誘導体(B)を、ラジカル開始剤(C)の存在下もしくは非存在下で反応させることを特徴とする、融点50〜120℃を有する変性ポリオレフィン(D)の製造法。
- (A)が高分子量ポリオレフィン(A0)を熱減成して得られる数平均分子量500〜40,000のポリオレフィンである請求項1記載の製造法。
- 炭素数4〜12のα−オレフィン(a1)15〜70モル%、プロピレン30〜85モル%およびエチレン0〜1モル%を構成単位とし、分子末端および/または分子内に炭素1,000個当たり0.2〜10個の二重結合を有するポリオレフィン(A)と不飽和ポリカルボン酸または不飽和ポリカルボン酸の無水物、アルキルエステル、アミドおよびイミドからなる群から選ばれる誘導体(B)から構成され、(B)が(A)の二重結合部分および/または非二重結合部分に結合し、融点50〜120℃および数平均分子量500〜50,000を有することを特徴とする変性ポリオレフィン(D)。
- 請求項3記載の変性ポリオレフィン(D)を熱可塑性樹脂(E)に含有させてなる熱可塑性樹脂組成物。
- (E)の重量に基づく(D)の割合が0.01〜20%である請求項4記載の組成物。
- 請求項3記載の変性ポリオレフィン(D)または(D)および熱可塑性樹脂(E)からなる接着剤。
- 請求項4または5記載の組成物を成形してなる成形品。
- 請求項7記載の成形品に塗装および/または印刷を施してなる成形物品。
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