JP2009114317A - 水性塗工材 - Google Patents
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Abstract
【効果】本発明の水性塗工材は、ポリオレフィンへの密着性に優れるものであって、塗膜にすることで無処理オレフィン系樹脂フィルムやシート、あるいは成形物等へ、または鋼板やアルミニウム等の金属へのコート材、塗料、プライマー及び接着剤として、顔料等の添加剤の配合や硬化剤を含む他樹脂との相溶性に優れ、また貯蔵安定性、塗装作業性にも優れ、かつ、焼却時に有害なハロゲン化合物を生成しない樹脂の水性分散体からなる、水性塗工材を提供することを可能にするものである。
【選択図】なし
Description
基体上に塗工し、皮膜を形成しうる水性塗工材であって、プロピレン系樹脂を含む水分散体(成分A)と、水性ウレタン樹脂(成分B)を含んでなる水性塗工材が、ポリプロピレン等のポリオレフィン、合成ゴム、不飽和ポリエステル、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂等からなる各種樹脂の成形品や、鋼板やアルミニウム等の金属に、非常に優れた密着性を有することを見出し、本発明を完成するに至った。
[1]本発明に係る水性塗工材は、基体上に塗工し、皮膜を形成しうる水性塗工材であって、該水性塗工材が、プロピレン系樹脂を含む水分散体(成分A)と、水性ウレタン樹脂(成分B)を含んでなることを特徴とする。
(1)プロピレンから導かれる単位を50〜95モル%の量で、1−ブテンから導かれる単位を5〜50モル%の量で含有し(ただし、全構成単位を100モル%とする)、
(2)135℃、デカリン中で測定される極限粘度が0.1〜12dl/gであり、
(3)ゲルパーミエイションクロマトグラフィー(GPC)により求められる分子量分布(Mw/Mn)が1〜3の範囲であることが好ましい。
[4]本発明に係る皮膜は、前記[1]〜[3]のいずれかに記載の水性塗工材から形成されることを特徴とする。
なお、本発明において、「水性」とは、水中に樹脂が分散している状態および/または一部が溶解している状態を意味し、「水分散」を包含する。
本発明に係る水分散体(成分A)は、プロピレン系樹脂を含む樹脂と、必要に応じて、水分散体を安定化させるために、酸変性ポリオレフィン化合物および/または脂肪酸化合物と、必要に応じて、皮膜の耐ブロッキング性を付与するために、アイオノマー樹脂および/または低分子量オレフィン系重合体とを含むことを特徴とする。
本発明に係るプロピレン系樹脂として、プロピレン・1−ブテン共重合体を含むことが好ましく、より好ましくは、後述するプロピレン・1−ブテンランダム共重合体(PBR)からなる樹脂である。
<プロピレン・1−ブテン共重合体>
本発明に用いるプロピレン・1−ブテンランダム共重合体は、以下の(1)〜(3)を満たすことを特徴とする。
(3)ゲルパーミエイションクロマトグラフィー(GPC)により求められる分子量分布(Mw/Mn)が、1〜3の範囲であり、好ましくは1.8〜3.0、より好ましくは1.9〜2.5である。
の材料として用いると、得られた水性塗工材は、ポリプロピレン等のポリオレフィン、合成ゴム、不飽和ポリエステル、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂等からなる各種樹脂の成形品や、鋼板やアルミニウム等の金属に、より優れた密着性を発現することができる。プロピレン・1−ブテン共重合体が、さらに以下の(7)、(8)を満たしたプロピレン・1−ブテンランダム共重合体(PBR)を水性塗工材に用いることも好ましい。
このmm分率は、ポリマー鎖中に存在する3個の頭−尾結合したプロピレン単位連鎖を表面ジグザグ構造で表したとき、そのメチル基の分岐方向が同一である割合として定義され、下記のように13C−NMRスペクトルから求められる。
プロピレン・1−ブテンランダム共重合体(PBR)の13C−NMRスペクトルは、サンプル管中でプロピレン・1−ブテンランダム共重合体(PBR)をロック溶媒として少量の重水素化ベンゼンを含むヘキサクロロブタジエンに完全に溶解させた後、120℃においてプロトン完全デカップリング法により測定される。測定条件は、フリップアングルを45°とし、パルス間隔を3.4T1以上(T1はメチル基のスピン格子緩和時間の中で最長値)とする。メチレン基およびメチン基のT1は、メチル基より短いので、この条件では試料中のすべての炭素の磁化の回復は99%以上である。ケミカルシフトは、テトラメチルシランを基準として、頭−尾結合したプロピレン単位5連鎖(mmmm)の第3単位目のメチル基の炭素ピークを21.593ppmとして、他の炭素ピークはこれを基準とした。
第2領域では、mr結合したPPP、PPB、BPB3連鎖中の第2単位(プロピレン単位)目のメチル基およびrr結合したPPB、BPB3連鎖中の第2単位(プロピレン単位)目のメチル基が共鳴する。
したがって、プロピレン・1−ブテンランダム共重合体(PBR)のトリアドアイソタクティシティ(mm分率)は、(i)頭−尾結合したプロピレン単位3連鎖、または(ii)頭−尾結合したプロピレン単位とブテン単位とからなり、かつ第2単位目にプロピレン単位を含むプロピレン・ブテン3連鎖を、3連鎖中の第2単位目のプロピレン単位の側鎖メチル基について、13C−NMRスペクトル(ヘキサクロロブタジエン溶液、テトラメ
チルシランを基準)で測定した。このとき、19.5〜21.9ppm(メチル炭素領域)に表れるピークの全面積を100%とした場合に、21.0〜21.9ppm(第1領域)に表れるピークの面積の割合(百分率)として、下記式(1)から求められる。
基炭素E'に基づくピークは第3領域に現れる。
メチル基Dに基づくピーク面積は、前記構造(iv)のα,β-メチレン炭素に基づくピーク(34.3ppm付近および34.5ppm付近で共鳴)のピーク面積の和の1/2より求めることができ、メチル基D'に基づくピーク面積は、前記構造(v)のメチル基
E'のメチル基の隣接メチン基に基づくピーク(33.3ppm付近で共鳴)の面積より
求めることができる。
ン炭素(33.3ppm付近で共鳴)のピーク面積より求めることができる。
(5)示差走査型熱量計によって測定される融点(Tm)が40〜120℃、好ましくは50〜100℃、さらに好ましくは55〜90℃である。
146exp(−0.022M)≧Tm≧125exp(−0.032M)
好ましくは
146exp(−0.024M)≧Tm≧125exp(−0.032M)
さらに好ましくは
146exp(−0.0265M)≧Tm≧125exp(−0.032M)
である。このような融点とブテン含量の関係を満たすと、比較的高いプロピレン含量で融
点を下げることができ、これにより低融点でも高結晶化速度が得られる。
(7)融点が75℃以下の場合においてプロピレン・1−ブテンランダム共重合体の45℃で測定した結晶化速度(1/2結晶化時間)が10分以下、より好ましくは7分以下である。
(8)プロピレン・1−ブテン共重合体(PBR)の共重合モノマー連鎖分布のランダム性を示すパラメータB値は、0.9〜1.3、より好ましくは0.95〜1.25、特に好ましくは0.95〜1.2である。
ここで、P1、P2はそれぞれ第1モノマー、第2モノマー含量分率であり、P12は全二分子中連鎖中の(第1モノマー)−(第2モノマー)連鎖の割合である。
また、プロピレン・1−ブテンランダム共重合体(PBR)は、プロピレン連鎖中に存在するプロピレンの2,1−挿入、あるいは1,3−挿入に基づく異種結合単位(位置不規則単位)を含む構造を少量有していることがある。
なお、このようなプロピレン・1−ブテンランダム共重合体(PBR)は、WO 2004/087775に記載の方法で製造することができる。
(酸変性ポリオレフィン化合物および/または脂肪酸化合物)
本発明に用いるプロピレン・1−ブテンランダム共重合体からなる樹脂を、水分散体として安定化させるためには、必要に応じて、水分散体に特定の酸変性ポリオレフィン化合物および/または脂肪酸化合物を用いることが出来る。
000〜3,000の範囲にある、α- オレフィンの単独重合体または2種以上のα-オレフィンからなる共重合体であることが好ましい(ただし、プロピレン・1−ブテン共重合体を除く)。
トラコン酸などが挙げられる。エチレン系不飽和カルボン酸エステルとしては、具体的に
は、上記エチレン系不飽和カルボン酸のメチル、エチルもしくはプロピルなどのモノエステルまたはジエステルなどが挙げられる。これらの単量体は、単独で用いることもできるし、また2種以上組み合わせて用いることもできる。
前記脂肪酸化合物を用いる場合には、前記オレフィン系重合体100重量部に対して、脂肪酸化合物0.5〜30重量部、好ましくは3〜20重量部、さらに好ましくは5〜15重量部である。
(アイオノマー樹脂および/または低分子量オレフィン系重合体)
皮膜の耐ブロッキング性を付与するために、水性塗工材中に特定のアイオノマー樹脂および/または特定の低分子量オレフィン系重合体を用いることができる。
の具体例としては、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマール酸、イタコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、シトラコン酸、アリルコハク酸、メサコン酸、グルタコン酸、ナジック酸、メチルナジック酸、テトラヒドロフタル酸、メチルヘキサヒドロフタル酸などを挙げることができる。これらの中では、特にアクリル酸、メタクリル酸が好ましい。
(水分散体の製造方法)
プロピレン系樹脂を含む水分散体を製造する方法としては、特に制限されるものではないが、たとえば、
(a)プロピレン系樹脂と、酸変性ポリオレフィン化合物および/または脂肪酸化合物とを溶融混練し、次いで、得られた混練物に塩基性物質と水を添加してさらに溶融混練することにより、中和および/またはケン化と、プロピレン系樹脂の水相への分散(転相)を
行って水分散体を得る方法、あるいは、
(b)酸変性ポリオレフィン化合物および/または脂肪酸化合物に、塩基性物質と水を添加して、中和および/またはケン化し、これを、プロピレン系樹脂と溶融混練した後、さらに水を添加して溶融混練することにより、プロピレン系樹脂の水相への転相(分散)を行って水分散体を得る方法が好ましい。
上記の酸変性ポリオレフィン化合物および/または脂肪酸化合物における中和またはケン化の好ましい割合は、全カルボン酸またはカルボン酸エステルの60〜200%である。
カルシウム、ストロンチウム、バリウムなどのアルカリ土類金属;
ヒドロキシルアミン、水酸化アンモニウム、ヒドラジンなどの無機アミン;
アンモニア、N,N−ジメチルエタノールアミン、トリエチルアミン、メチルアミン、エチルアミン、エタノールアミン、シクロヘキシルアミン、テトラメチルアンモニウムヒドロキシドなどの有機アミン;
酸化ナトリウム、過酸化ナトリウム、酸化カリウム、過酸化カリウム、酸化カルシウム、酸化ストロンチウム、酸化バリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、水素化ストロンチウム、水酸化バリウム、水素化ナトリウム、水素化カリウム、水素化カルシウムなどの、アルカリ金属およびアルカリ土類金属の酸化物、水酸化物、水素化物;
炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素カルシウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、酢酸カルシウムなどの、アルカリ金属およびアルカリ土類金属の弱酸塩
などを挙げることができる。
〔水性ウレタン樹脂(成分B)〕
(水性ウレタン樹脂(成分B))
本発明に係る水性ウレタン樹脂(成分B)を構成する成分である、多官能イソシアネート化合物としては、たとえば、
メチルヘキサメチレンジイソシアネート、デカメチレンジイソシアネート、ブテンジイソシアネート、1,3−ブタジエン−1,4−ジイソシアネート、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、1,6,11−ウンデカトリイソシアネート、1,3,6−ヘキサメチレントリイソシアネート、1,8−ジイソシアナト−4−イソシアナトメチルオ
クタン、2,5,7−トリメチル−1,8−ジイソシアナト−5−イソシアナトメチルオク
タン、ビス(イソシアナトエチル)カーボネート、ビス(イソシアナトエチル)エーテル、1,4−ブチレングリコールジプロピルエーテル−ω,ω'−ジイソシアネート、リジン
ジイソシアナトメチルエステル、リジントリイソシアネート、2−イソシアナトエチル−2,6−ジイソシアナトエチル−2,6−ジイソシアナトヘキサノエート、2−イソシアナトプロピル−2,6−ジイソシアナトヘキサノエート、キシリレンジイソシアナート、ビ
ス(イソシアナトエチル)ベンゼン、ビス(イソシアナトプロピル)ベンゼン、α,α,α',α'−テトラメチルキシリレンジイソシアナート、ビス(イソシアナトブチル)ベンゼ
ン、ビス(イソシアナトメチル)ナフタレン、ビス(イソシアナトメチル)ジフェニルエーテル、ビス(イソシアナトエチル)フタレート、メシチレントリイソシアネート、2,
6−ジ(イソシアナトメチル)フランなどの脂肪族ポリイソシアネート、
イソホロンジイソシアネート、ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、4,4'−ジシクロヘキシルメタン−ジイソシアネート、シクロヘキサンジイソシアネート、メチルシクロヘキサンジイソシアネート、ジシクロヘキシルジメチルメタンジイソシアネート、2,2−ジメチルジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、ビス(4−イソシアナト−
n−ブチリデン)ペンタエリスリトール、ダイマー酸ジイソシアネート、2−イソシアナトメチル−3−(3−イソシアナトプロピル)−5−イソシアナトメチル−ビシクロ[2.2.1]−ヘプタン、2−イソシアナトメチル−3−(3−イソシアナトプロピル)−6−イソシアナトメチル−ビシクロ[2.2.1]−ヘプタン、2−イソシアナトメチル−2−(3−イソシアナトプロピル)−5−イソシアナトメチル−ビシクロ[2.2.1]−ヘプタン、2−イソシアナトメチル−2−(3−イソシアナトプロピル)−6−イソシアナトメチル−ビシクロ[2.2.1]−ヘプタン、2−イソシアナトメチル−3−(3−イソシアナトプロピル)−6−(2−イソシアナトエチル)−ビシクロ[2.2.1]−ヘプタン、2−イソシアナトメチル−3−(3−イソシアナトプロピル)−6−(2−イソシアナトエチル)−ビシクロ[2.1.1]−ヘプタン、2−イソシアナトメチル−2−(3−イソシアナトプロピル)−5−(2−イソシアナトエチル)−ビシクロ[2.1.1]−ヘプタン、2−イソシアナトメチル−2−(3−イソシアナトプロピル)−6−(2−イソシアナトエチル)−ビシクロ[2.2.1]−ヘプタン、2,5−ビスイソシアナートメチルノルボルナン、2,6−ビスイソシアナートメチルノルボルナンなどの脂環族ポリイソシアネート、
4'−ジイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネート、ポリメリックMDI
、ナフタレントリイソシアネート、ジフェニルメタン−2,4,4'−トリイソシアネート
、3−メチルジフェニルメタン−4,6,4'−トリイソシアネート、4−メチル−ジフェ
ニルメタン−3,5,2',4',6'−ペンタイソシアネート、フェニルイソシアナトメチルイソシアネート、フェニルイソシアナトエチルエチルイソシアネート、テトラヒドロナフチレンジイソシアネート、ヘキサヒドロベンゼンジイソシアネート、ヘキサヒドロジフェニルメタン−4,4'−ジイソシアネート、ジフェニルエーテルジイソシアネート、エチレ
ングリコールジフェニルエーテルジイソシアネート、1,3−プロピレングリコールジフ
ェニルエーテルジイソシアネート、ベンゾフェノンジイソシアネート、ジエチレングリコールジフェニルエーテルジイソシアネート、ジベンゾフランジイソシアネート、カルバゾールジイソシアネート、エチルカルバゾールジイソシアネート、ジクロロカルバゾールジイソシアネートなどの芳香族ポリイソシアネート、
チオジエチルジイソシアネート、チオプロピルジイソシアネート、チオジヘキシルジイソシアネート、ジメチルスルフォンジイソシアネート、ジチオジメチルジイソシアネート、ジチオジエチルジイソシアネート、ジチオプロピルジイソシアネート、ジシクロヘキシルスルフィド−4,4'−ジイソシアネートなどの含硫脂肪族イソシアネート、
ジフェニルスルフィド−2,4'−ジイソシアネート、ジフェニルスルフィド−4,4'−ジイソシアネート、3,3',4,4'−ジイソシアナトジベンジルチオエーテル、ビス(4
−イソシアナトメチルベンゼン)スルフィド、4,4'−メトキシベンゼンチオエチレングリコール−3,3'−ジイソシアネートなどの芳香族スルフィド系イソシアネート、
ジフェニルジスルフィド−4,4'−ジイソシアネート、2,2'−ジメチルジフェニルジスルフィド−5,5'−ジイソシアネート、3,3'−ジメチルジフェニルジスルフィド−5,5'−ジイソシアネート、3,3'−ジメチルジフェニルジスルフィド−6,6'−ジイソシアネート、4,4'−ジメチルジフェニルジスルフィド−5,5'−ジイソシアネート、3,
3'−ジメトキシジフェニルジスルフィド−4,4'−ジイソシアネート、4,4'−ジメト
キシジフェニルジスルフィド−3,3'−ジイソシアネートなどの脂肪族ジスルフィド系イソシアネート、
ジフェニルスルホン−4,4'−ジイソシアネート、ジフェニルスルホン−3,3'−ジイソシアネート、ベンジディンスルホン−4,4'−ジイソシアネート、ジフェニルメタンスルホン−4,4'−ジイソシアネート、4−メチルジフェニルメタンスルホン−2,4'−ジイソシアネート、4,4'−ジメトキシジフェニルスルホン−3,3'−ジイソシアネート、3,3'−ジメトキシ−4,4'−ジイソシアネートジベンジルスルホン、4,4'−ジメチルジフェニルスルホン−3,3'−ジイソシアネート、4,4'−ジ−tert−ブチルジフェニルスルホン−3,3'−ジイソシアネート、4,4'−ジメトキシベンゼンエチレンジスルホン−3,3'−ジイソシアネート、4,4'−ジクロロジフェニルスルホン−3,3'−ジイソシアネートなどの芳香族スルホン系イソシアネート、
4−メチル−3−イソシアナトベンゼンスルホニル−4'−イソシアナトフェノールエ
ステル、4−メトキシ−3−イソシアナトベンゼンスルホニル−4'−イソシアナトフェ
ノールエステルなどのスルホン酸エステル系イソシアネート、
4,4'−ジメチルベンゼンスルホニル−エチレンジアミン−4,4'−ジイソシアネート、4,4'−ジメトキシベンゼンスルホニル−エチレンジアミン−3,3'−ジイソシアネート、4−メチル−3−イソシアナトベンゼンスルホニルアニリド−4−メチル−3'−イ
ソシアネートなどの芳香族スルホン酸アミド系イソシアネート、
チオフェン−2,5−ジイソシアネート、チオフェン−2,5−ジイソシアナトメチル、1,4−ジチアン−2,5−ジイソシアネート、1,4−ジチアン−2,5−ジイソシアナトメチルなどの含硫複素環化合物などがあげられる。
上記化合物のうち、得られた水性塗工材、およびそれを塗工した、皮膜の耐黄変性、熱安定性、光安定性の点、または多官能イソシアネート化合物の入手のし易さの面から、脂肪族ポリイソシアネートおよび脂環族ポリイソシアネート化合物が好ましく、それらの中
でもヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、4,4'−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、2,5−ビスイソシアナートメチルノルボルナン、2,6−ビスイソシアナートメチルノルボルナンおよびこれらの誘導体が特に好ましい。
ポリオール化合物:エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ブチレングリコール、ネオペンチルグリコール、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ブタントリオール、1,2−メチルグリコサ
イド、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、ソルビトール、エリスリトール、スレイトール、リビトール、アラビニトール、キシリトール、アリトール、マニトール、ドルシトール、イディトール、グリコール、イノシトール、ヘキサントリオール、トリグリセロース、ジグリペロール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコール、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、シクロブタンジオール、シクロペンタンジオール、シクロヘキサンジオール、シクロヘプタンジオール、シクロオクタンジオール、シクロヘキサンジメタノール、ヒドロキシプロピルシクロヘキサノール、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン−ジメタノール、ビシクロ[4.3.0]−ノナンジオール、ジシクロヘ
キサンジオール、トリシクロ[5.3.1.1]ドデカンジオール、ビシクロ[4.3.0]ノナンジメタノール、トリシクロ[5.3.1.1]ドデカンジエタノール、ヒドロキシプロピルトリシクロ[5.3.1.1]ドデカノール、スピロ[3,4]オクタンジ
オール、1,1'−ビシクロヘキシリデンジオール、シクロヘキサントリオール、マルチトール、ラクチトールなどの脂肪族ポリオール、
ジヒドロキシナフタレン、トリヒドロキシナフタレン、テトラヒドロキシナフタレン、ジヒドロキシベンゼン、ベンゼントリオール、ビフェニルテトラオール、ピロガロール、(ヒドロキシナフチル)ピロガロール、トリヒドロキシフェナントレン、ビスフェノールA、ビスフェノールF、キシリレングリコール、ジ(2−ヒドロキシエトキシ)ベンゼン、ビスフェノールA−ビス−(2−ヒドロキシエチルエーテル)、テトラブロムビスフェノールA、テトラブロムビスフェノールA−ビス−(2−ヒドロキシエチルエーテル)、ビスフェノールSなどの芳香族ポリオール、
ジブロモネオペンチルグリコールなどのハロゲン化ポリオール、
ポリエステルポリオール、ポリエチレングリコール、ポリエーテルポリオール、ポリチオエーテルポリオール、ポリアセタールポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリカプロラクトンポリオール、シリコンポリオール、フランジメタノール、さらに、シュウ酸、グルタミン酸、アジピン酸、酢酸、フタル酸、イソフタル酸、サリチル酸、ピロメリット酸などの有機酸と前記ポリオールとの縮合反応生成物、
前記ポリオールとエチレンオキシドや、プロピレンオキシドなどアルキレンオキシドとの付加反応生成物、
アルキレンポリアミンとアルキレンオキシドとの付加反応生成物、
2,2−ジメチロール乳酸、2,2−ジメチロールプロピオン酸、2,2−ジメチロール
ブタン酸、2,2−ジメチロール吉草酸、3,4−ジアミノブタンスルホン酸、3,6−ジ
アミノ−2−トルエンスルホン酸、およびこれらのカプロラクトン変性品、
2−メルカプトエタノール、3−メルカプト−1,2−プロパンジオール、グリセリンジ(メルカプトアセテート)、1−ヒドロキシ−4−メルカプトシクロヘキサン、2,4
−ジメルカプトフェノール、2−メルカプトハイドロキノン、4−メルカプトフェノール、1,3−ジメルカプト−2−プロパノール、2,3−ジメルカプト−1,3−ブタンジオ
ール、ペンタエリスリトールトリス(3−メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトールモノ(3−メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトールトリス(チオグリコレート)、ペンタエリスリトールペンタキス(3−メルカプトプロピオネート)、ヒド
ロキシメチル−トリス(メルカプトエチルチオメチル)メタン、1−ヒドロキシエチルチオ−3−メルカプトエチルチオベンゼン、4−ヒドロキシ−4'−メルカプトジフェニル
スルフォン、2−(2−メルカプトエチルチオ)エタノール、ジヒドロキシエチルスルフィドモノ(3−メルカプトプロピオネート)、ジメルカプトエタンモノ(サルチレート)、ヒドロキシエチルチオメチル−トリス(メルカプトエチルチオ)メタンなどが挙げられる。
また、本発明に用いられる水性ウレタン樹脂を水分散体として安定させるためには、公知の材料、安定化技術を用いることが出来るが、分子中にカルボキシル基、スルホニル基およびエチレンオキシド基を一種以上有していることが好ましく、カルボキシル基および/またはスルホニル基を一種以上有していることがより好ましい。
2,2−ジメチロールプロピオン酸、2,2−ジメチロールブタン酸、2,2−ジメチロー
ル吉草酸、3,4−ジアミノブタンスルホン酸、3,6−ジアミノ−2−トルエンスルホン酸、ポリエチレングリコール、エチレンオキシドとプロピレンオキシドとの重付加物、エチレングリコールと前記活性水素化合物との重合体などが挙げられるがこれらに限定されるものではない。分子中にこれらの原子団を導入することで、樹脂の機械的安定性、他成分との混和安定性が向上する傾向にある。
K5400などに開示されている。
(水性ウレタン樹脂の製造方法)
水性ウレタン樹脂の製造方法は、特に制限されるものではないが、たとえば、以下のような方法が例として挙げられる。
(1)多官能イソシアネート化合物、前記活性水素化合物中における、イソシアネート基と反応し得る活性水素基を有する化合物、および前記化合物中のイソシアネート基と反応し得る活性水素基を有し、かつ分子中にカルボキシル基、スルホニル基またはエチレンオ
キシド基を有する少なくとも1種の化合物を、イソシアネート基が過剰になるような当量比で、適当な有機溶剤の存在下または非存在下に反応させ、分子末端にイソシアネート基を有したウレタンプレポリマーを製造する。その後、上記プレポリマー中にカルボキシル基、スルホニル基、あるいはカルボキシル基およびスルホニル基の両方の基を有するものは、三級アミンなどの中和剤により中和する。ついで、この中和プレポリマーを、鎖伸長剤含有の水溶液中に投入して反応させた後、系内に有機溶剤を含有する場合はそれを除去し、水性ウレタン樹脂を得る方法。
(2)上記の方法で得た未中和のウレタンプレポリマーを、中和剤を含有し、かつ鎖伸長剤を有する水溶液中に投入して反応させて得る方法。
(3)前記(2)の方法で得た中和済みのウレタンプレポリマー中に、鎖伸長剤を有する水溶液を加え、反応させて得る方法。
(4)前記(1)の方法で得た未中和のウレタンプレポリマー中に、中和剤を含有し、かつ鎖伸長剤を有する水溶液を加え、反応させて水分散液を得る方法。
ルエタノールアミン、N,N−ジエチルエタノールアミンのようなアルカノールアミン類
、
N−メチルモルホリン、N−エチルモルホリン、ピリジン、N−メチルイミダゾール、アンモニア、トリメチルアミン、トリエチルアミン、のような3級アミン類、
水酸化リチウム、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウムのようなアルカリ金属化合物、テトラメチルアンモニウムヒドロキシドのような4級アンモニウム化合物が挙げられる。
前記中和剤の使用量は、好ましくは前記カルボキシル基、スルホニル基、あるいはカルボキシル基およびスルホニル基の両方の基を有するポリウレタン樹脂中の、カルボキシル基および/またはスルホニル基1当量に対し、0.5〜3当量、より好ましくは0.7〜1.5当量である。前記範囲未満であると、水性ウレタン樹脂の水中における安定性が低下する傾向にある。
タン樹脂中において、アクリル酸、アクリル酸エステル、メタクリル酸、メタクリル酸エステル、アクリルアミド、メタクリルアミド、スチレン、アクリロニトリル、ブタジエン、酢酸ビニル、エチレン、プロピレン、イタコン酸、マレイン酸などの少なくとも1種以上のモノマーを重合させた複合体としても使用できる。
〔水性塗工材〕
(水性塗工材)
本発明の水性塗工材は、主成分として、プロピレン系樹脂を含む水分散体(成分A)と、水性ウレタン樹脂(成分B)とから構成される。
脂肪酸モノグリセライド、ソルビタン脂肪酸エステル、シュガー脂肪酸部分エステル、ポリグリセリン脂肪酸部分エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸部分エステル、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸部分エステル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸部分エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸アミン、ポリオキシエチレン(硬化)ヒマシ油、ポリオキシエチレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンポリオキシ
プロピレン・ブロックコポリマー、ヒドロキシエチルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、およびメチルセルロースなどのノニオン系界面活性剤;
アルキルアンモニウムクロライド、トリメチルアルキルアンモニウムブロマイド、アルキルピリジニウムクロライド、およびカゼインなどの両性界面活性剤;
水溶性多価金属塩類などが挙げられる。
さらに、本発明に用いられる水性塗工材は、難燃性付与のため非ハロゲン系の難燃剤を使用することもできる。たとえば、酸化アンチモンなどのアンチモン系難燃剤および水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、ホウ酸亜鉛などの無機化合物難燃剤、またトリクレジルホスフェート、ジフェニルクレジルホスフェート、トリオクチルホスフェート、トリブチルホスフェート、トリフェニルホスフェート、ジ(ポリオキシエチレン)−ヒドロキシメチルホスフォネート、ジエチルフェニルホスフォネート、ジメチルフェニルホスフォネート、フェニルホスフォン酸、ポリリン酸アンモン、リン酸グアニジン、赤リンなどのリン酸エステエルおよびリン化合物などが挙げられる。
前記化合物以外にも、必要に応じて、防錆剤、防かび剤、紫外線吸収剤、耐熱安定剤、耐候安定剤、発泡剤、消泡剤、染料、補助バインダー、レベリング剤、チクソトロピー付与剤、消泡剤、沈降防止剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、帯電防止剤、減粘剤、顔料(たとえば、チタン白、ベンガラ、フタロシアニン、カーボンブラック、パーマネントイエローなど)、充填剤(たとえば、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、タルク、水酸化アルミニウム、硫酸カルシウム、カオリン、雲母、アスベスト、マイカ、ケイ酸カルシウムなど)などの添加剤を、本発明の目的を損なわない範囲で添加することができる。
また本発明の水性塗工材から形成させたフィルムを、他のフィルムとラミネートさせる方法や、フィルム同士を熱、あるいは高周波接着し得る方法、他の材料と複層皮膜を形成させることも可能である。さらに、基体に本塗工材を塗布し、風合い、滑り止め効果付与材として使用することも可能である。
(水性塗工材の製造方法)
プロピレン系樹脂を含む水分散体(成分A)と、水性ウレタン樹脂(成分B)とを共存させる方法としては、
(a)前記製造方法により水分散体(成分A)と水性ウレタン樹脂(成分B)とをそれぞれ単独で製造後、適当な攪拌機を用い混合して、共存させる方法、
(b)水性ウレタン樹脂(成分B)、水性ウレタン樹脂の前駆体であるイソシアネート末端基含有または非含有ウレタンプレポリマー、あるいは水性ウレタン樹脂と前駆体(イソシアネート末端基含有または非含有ウレタンプレポリマー)の混合物の、いずれかを、プロピレン系樹脂を含む水分散体(成分A)を溶融混練する際に添加、転相して、共存させる方法
など挙げられるが、特に制限されるものではない。
〔実施例〕
以下に実施例を示して本発明を説明するが、本発明は実施例によって何ら限定されるものではない。
(物性測定法)
本発明において、各物性は以下のように測定した。
<1−ブテン含量>
13C−NMRを利用して求めた。
<極限粘度[η]>
135℃デカリン中で測定し、dl/gで示した。
<分子量分布(Mw/Mn)>
分子量分布(Mw/Mn)は、ミリポア社製GPC−150Cを用い、以下のようにして測定した。
<B値>
B値は、10mmφの試料管中で約200mgの共重合体を1mlのヘキサクロロブタジエンに均一に溶解させた試料の13C−NMRのスペクトルを、通常、測定温度120℃、測定周波数25.05MHz、スペクトル幅1500Hz、フィルター幅1500Hz、パルス繰り返し時間4.2sec.、積算回数2000〜5000回の測定条件の下で
測定し、このスペクトルからP1、P2、P12(P1はエチレン含量分率、P2は1−ブテン含量分率、P12は全二分子中連鎖中の(エチレン)−(1−ブテン)連鎖の割合)を求めることにより算出した。
<トリアドアイソタクティシティ>
ヘキサクロロブタジエン溶液(テトラメチルシランを基準)で13C−NMRスペクトルを測定し、19.5〜21.9ppmに表れるピークの全面積(100%)に対する21.0〜21.9ppmに表れるピークの面積の割合(%)を求めた。
<2,1−挿入に基づく異種結合の割合>
Polymer,30,1350(1989)を参考にして、前記した方法により13C−NMRスペクトルを利用して求めた。
<融点(Tm)>
試料約5mgをアルミパンに詰め10℃/分で200℃まで昇温し、200℃で5分間保持したのち20℃/分で室温まで降温し、次いで10℃/分で昇温する際の吸熱曲線よ
り求めた。測定は、パーキンエルマー社製DSC−7型装置を用いた。
<結晶化度>
成形後、少なくとも24時間経過した厚さ1.0mmのプレスシートのX線回折測定により求めた。
<結晶化速度>
上記DSC装置を用い、45℃における1/2結晶化時間を求めた。
<水性塗工材の安定性>
実施例および比較例で得られた水性塗工材を、不揮発分30%、室温と40℃、それぞれの条件で1ヶ月静置し、液体の状態を評価した。1ヶ月の経過後、この水性塗工材について、分離および沈殿がともに確認されなかったものを○、分離および/または沈殿の観察されたもので攪拌にて容易に分散できるものを△、分離および/または沈殿の観察された攪拌にて容易に分散できないものを×とした。
<水性塗工材のスプレー適性>
塗装ガン(岩田塗装機工業株式会社製ワイダースプレーガン(商品名;W−88−13H5G))を使用し、霧化圧4kg/cm2、ノズル1回転開き、塗装ブース内の温度3
0℃にて、実施例および比較例で得られた水分散体をスプレーし、糸曳きが発生するか否かを観察し、発生しなかったものを○、1本でも発生したものを×とした。
<塗膜の物性>
評価に用いた塗工液は、各実施例、比較例で得られた水性塗工材の樹脂に対して、濡れ剤としてオルフィンE1010(日信化学工業株式会社製)の50%水溶液を3部添加して調整した。
ポリプロピレン製の基材
水性塗工材を、イソプロピルアルコールで表面を拭いたポリプロピレン製(三井住友ポリオレフィン株式会社製、製品名:J705)の角板に、乾燥後の膜厚が10μmとなるようにそれぞれ塗布したのち、80℃のオーブンに入れて30分間処理した。この塗膜の上に、白色の上塗り塗料(日本ビーケミカル株式会社製、商品名;R278(主剤)/R271(硬化剤)=8/2で混合)を乾燥後の膜厚が80μmになるように塗布して塗膜を成形し、室温にて10分間放置した後、80℃のオーブンに入れて30分間処理を行い、試験片を作成した。これらの試験片について、24時間後の碁盤目剥離試験、ピール強度の測定と、耐候性試験後の光沢保持率と碁盤目剥離試験と、耐温水性試験後の外観と碁盤目剥離試験を行った。尚、碁盤目剥離試験で剥離するもの、あるいは24時間後のピール強度で800g/cm以上の強度がでなかったものについては、耐候性、耐温水性の各試験を実施しなかった。また、上塗り塗料を塗布しなかった塗膜について、24時間後の碁盤目剥離試験のみ実施した。
鋼板
水性塗工材を、イソプロピルアルコールで表面を拭いた公知の電着エポキシ塗料により表面処理(厚さ約20μm)を施した鋼板の電着塗料表面に、乾燥後の膜厚が10μmと
なるようにそれぞれ塗布したのち、150℃のオーブンに入れて30分間処理した。この塗膜の上に、白色の上塗り塗料(日本ビーケミカル株式会社製、商品名;R278(主剤)/R271(硬化剤)=8/2で混合)を乾燥後の膜厚が80μmになるように塗布して塗膜を成形し、室温にて10分間放置した後、80℃のオーブンに入れて30分間処理を行い、試験片を作成した。これらの試験片について、24時間後の碁盤目剥離試験を行った。また、上塗り塗料を塗布しなかった塗膜について、24時間後の碁盤目剥離試験を実施した。
ポリプロピレンフィルム
水性塗工材を、ポリプロピレンフィルムである#500T−T(東セロ株式会社製)に乾燥後の膜厚が3μmとなるようにそれぞれ塗布したのち、80℃のオーブンに入れて10分間処理した。この塗膜の上に、PETフィルムをJISZ1707に準拠した方法により、100℃で1秒間、0.098MPaの圧力をかけてヒートシールした。このようにして得た試験片でピール強度を測定した。
<碁盤目剥離試験>
JIS−K−5400に記載されている碁盤目剥離試験の方法に準じ、碁盤目を付けた試験片を作成し、粘着テープ(ニチバン株式会社品)を碁盤目上に貼り付けた後、速やかに90°方向に引っ張って剥離させ、碁盤目100個の中、剥離されなかった碁盤目数にて評価した。
<ピール強度の測定>
ポリプロピレン製の基材に塗工された塗膜に1cm幅の切れ目を入れ、その端部を剥離した後、端部を50mm/分の速度で180°方向に引っ張りピール強度を測定し、ピール強度が1000g/cm以上のものを◎、800g/cm以上、1000g/cm未満のものを○、800g/cm未満のものを×として評価した。
<耐候性試験>
JIS−K−5400に記載されている促進耐候性試験の方法に準じ、サンシャインカーボンアーク灯式で1000時間評価したものについて、碁盤目剥離試験と光沢保持率の評価を行った。
<光沢保持率の測定>
試験前後の60度鏡面光沢度(JIS−K−5400)から、その測定値の保持率(%)=(試験後の光沢度/初期の光沢度)×100を算出し、光沢保持率80%以上で変色が認められなかったものを○、60%以上80%未満のものを△、60%未満のものを×として評価した。
<耐温水性試験>
上記で得られた試験片を、40℃に調整した温水中に240時間浸漬したものについて、塗膜の外観と碁盤目剥離試験の評価を行った。
<塗膜の外観>
試験後の塗膜について、フクレの有無等を評価し、変化のないものを○、フクレ等塗膜に変化があるものを×とした。
(製造例)
プロピレン・1−ブテン共重合体の製造例を以下に示した。
<製造例1(PBR−1の合成)>
充分に窒素置換した2000mlの重合装置に、900mlの乾燥ヘキサン、1−ブテン60gとトリイソブチルアルミニウム(1.0mmol)を常温で仕込んだ後、重合装置内温を70℃に昇温し、プロピレンで0.7MPaに加圧した。次いで、ジメチルメチレン(3−tert−ブチル−5−メチルシクロペンタジエニル)フルオレニルジルコニウムジクロリド0.002mmolとアルミニウム換算で0.6mmolのメチルアルミノキサン(東ソー・ファインケム社製)を接触させたトルエン溶液を重合器内に添加し、内温70℃、プロピレン圧0.7MPaを保ちながら30分間重合し、20mlのメタノールを添加し重合を停止した。脱圧後、2Lのメタノール中で重合溶液からポリマーを析出し、真空下130℃、12時間乾燥した。得られたポリマー(PBR−1)は、9.2gであった。また、ポリマーの融点が80.6℃であり、極限粘度[η]が1.18dl/gであった。得られたポリマーについて測定した物性を表2に示す。
<製造例2(PBR−2の合成)>
ヘキサンの仕込みを817ml、1−ブテンを50g、ジメチルメチレン(3−tert−ブチル−5−メチルシクロペンタジエニル)フルオレニルジルコニウムジクロリドをジフェニルメチレン(3−tert−ブチル−5−メチルシクロペンタジエニル)2,7−ジ−tert−ブチルフルオレニルジルコニウムジクロリドにした以外は製造例1と同様の方法で重合を行った。得られたポリマーは、11.5gであった。また、ポリマーの
融点が86.3℃であり、極限粘度[η]が2.11dl/gであった。得られたポリマー(PBR−2)について測定した物性を表2に示す。
<製造例3(PBR−3の合成)>
ヘキサンの仕込みを800ml、1−ブテンを120g、重合器内温を60℃にした以外は製造例1と同様の方法で重合を行った。得られたポリマーは、10.8gであった。また、ポリマーの融点が69.0℃であり、極限粘度[η]が2.06dl/gであった。得られたポリマー(PBR−3)について測定した物性を表2に示す
<製造例4(プロピレン系樹脂を含む水分散体(A−1)の製造)>
プロピレン系樹脂であるベストプラスト792(デグサジャパン(株)社製)100重量部、酸変性ポリプロピレンとしてハイワックスNP0555A(三井化学株式会社製、酸グラフト量:3重量%)10重量部および高級脂肪酸としてオレイン酸カリウム3重量部とを混合したものを、2軸スクリュー押出機(池貝鉄工株式会社製、PCM−30、L/D=40)のホッパーより3000g/時間の速度で供給し、同押出機のベント部に設けた供給口より、水酸化カリウムの20%水溶液を90g/時間の割合で連続的に供給し、加熱温度210℃で連続的に押出した。押出した樹脂混合物を、同押出機口に設置したジャケット付きスタティックミキサーで110℃まで冷却し、さらに80℃の温水中に投入して水分散体(A−1)を得た。
<製造例5(プロピレン系樹脂を含む水分散体(A−2)の製造)>
プロピレン系樹脂であるベストプラスト792を、製造例1で得られたPBR−1に変更した以外は、製造例4と同様の方法で水分散体(A−2)を得た。
<製造例6(プロピレン系樹脂を含む水分散体(A−3)の製造)>
プロピレン系樹脂であるベストプラスト792を、製造例2で得られたPBR−2に変
更した以外は、製造例4と同様の方法で水性分散体(A−3)を得た。
<製造例7(プロピレン系樹脂を含む水分散体(A−4)の製造)>
プロピレン系樹脂であるベストプラスト792を、製造例3で得られたPBR−3に変更した以外は、製造例4と同様の方法で水性分散体(A−4)を得た。
<製造例8(水性ウレタン樹脂(B−1)の製造)>
温度計、撹拌機、窒素導入管、冷却管を備えた3000mlの4つ口フラスコに、PTG 2000SN(保土ヶ谷化学工業株式会社製、ポリテトラメチレンエーテルグリコー
ル、分子量2000)を399.5g、2,2−ジメチロールブタン酸21.0g、1,4−ブタンジオール12.4g、ヘキサメチレンジイソシアネート96.3g、およびメチルエチルケトン374.0gを仕込み、窒素ガス雰囲気下90℃で6時間反応させた。その後、60℃迄冷却し、トリエチルアミン13.3gを添加し、この温度下で30分混合させた。得られたプレポリマーを0.86%ヘキサメチレンジアミン水溶液1275.7gと混合攪拌し、その後、60℃で減圧下メチルエチルケトンを脱溶剤することにより、固形分:30%、固形分酸価:15KOHmg/g、pH:7.8、平均粒径:0.2μmの水性ウレタン樹脂(B−1)を得た。
<製造例9(エチレン系樹脂を含む水分散体(C−1)の製造)>
エチレン−酢酸ビニル共重合体であるエバフレックス270(三井デュポンポリケミカル(株)製)100重量部、モンタン酸であるヘキストS(ヘキスト社製、酸価150mgKOH/g)5重量部とを混合したものを、2軸スクリュー押出機(池貝鉄工製 PC
M−30、L/D=40)のホッパーより3000g/時間の速度で供給し、同押出機のベント部に設けた供給口より、水酸化カリウムの13%水溶液を300g/時間の割合(全体当たり10%)で連続的に供給し、加熱温度160℃で連続的に押出した。押出した樹脂混合物を、同押出機口に設置したジャケット付きスタティックミキサーで90℃まで冷却し、さらに80℃の温水中に投入して水分散体(C−1)を得た。
<製造例10(エチレン系樹脂を含む水分散体(C−2)の製造)>
エチレン・1-ブテン共重合体であるタフマーA20085(三井化学(株)製)100重量部と、モンタン酸10重量部と、オレイン酸カリウム3重量部とを混合し、二軸スクリュー押出機(池貝鉄工社製、PCM−30、L/D=40)のホッパーより3000g/時間の速度で該押出機に供給し、該押出機のベント部に設けた供給口より、水酸化カリウムの15%水溶液を150g/時間(エチレン・1-ブテン共重合体、無水マレイン酸変性ポリエチレンワックスおよびオレイン酸カリウムの合計量に対して5%)の割合で連続的に供給し、加熱温度180℃で連続的に押出した。押出した混合物を、該押出機口に設置したジャケット付きスタティックミキサーで90℃まで冷却し、さらに80℃の温水中に投入して水分散体(C−2)を得た。
[実施例1]
製造例4で得られたプロピレン系樹脂を含む水分散体(A−1)100重量部に、製造例8で得られた水性ウレタン樹脂(B−1)16.7重量部を混合し、水性塗工材を得た。
[実施例2]
製造例4で得られたプロピレン系樹脂を含む水分散体(A−1)100重量部に、製造例8で得られた水性ウレタン樹脂(B−1)64.3重量部を混合し、水性塗工材を得た。
[実施例3]
製造例4で得られたプロピレン系樹脂を含む水分散体(A−1)100重量部に、製造例8で得られた水性ウレタン樹脂(B−1)150重量部を混合し、水性塗工材を得た。[実施例4]
製造例4で得られたプロピレン系樹脂を含む水分散体(A−1)100重量部に、製造例8で得られた水性ウレタン樹脂(B−1)350重量部を混合し、水性塗工材を得た。[実施例5]
製造例5で得られたプロピレン系樹脂を含む水分散体(A−2)100重量部に、製造例8で得られた水性ウレタン樹脂(B−1)16.7重量部を混合し、水性塗工材を得た。
[実施例6]
製造例5で得られたプロピレン系樹脂を含む水分散体(A−2)100重量部に、製造例8で得られた水性ウレタン樹脂(B−1)64.3重量部を混合し、水性塗工材を得た。
[実施例7]
製造例5で得られたプロピレン系樹脂を含む水分散体(A−2)100重量部に、製造例8で得られた水性ウレタン樹脂(B−1)150重量部を混合し、水性塗工材を得た。[実施例8]
製造例5で得られたプロピレン系樹脂を含む水分散体(A−2)100重量部に、製造例8で得られた水性ウレタン樹脂(B−1)350重量部を混合し、水性塗工材を得た。[実施例9]
製造例6で得られたプロピレン系樹脂を含む水分散体(A−3)100重量部に、製造例8で得られた水性ウレタン樹脂(B−1)64.3重量部を混合し、水性塗工材を得た。
[実施例10]
製造例7で得られたプロピレン系樹脂を含む水分散体(A−4)100重量部に、製造例8で得られた水性ウレタン樹脂(B−1)64.3重量部を混合し、水性塗工材を得た。
[比較例1]
製造例9で得られたエチレン系樹脂を含む水分散体(C−1)100重量部に、製造例8で得られた水性ウレタン樹脂(B−1)16.3重量部を混合し、水性塗工材を得た。[比較例2]
製造例10で得られたエチレン系樹脂を含む水分散体(C−2)100重量部に、製造例8で得られた水性ウレタン樹脂(B−1)14.8重量部を混合し、水性塗工材を得た。
評価結果を次の表3に示す。
Claims (5)
- 基体上に塗工し、皮膜を形成しうる水性塗工材であって、該水性塗工材が、プロピレン系樹脂を含む水分散体(成分A)と、水性ウレタン樹脂(成分B)を含んでなることを特徴とする水性塗工材。
- 前記プロピレン系樹脂が、
(1)プロピレンから導かれる単位を50〜95モル%の量で、1−ブテンから導かれる単位を5〜50モル%の量で含有し(ただし、全構成単位を100モル%とする)、
(2)135℃、デカリン中で測定される極限粘度が0.1〜12dl/gであり、
(3)ゲルパーミエイションクロマトグラフィー(GPC)により求められる分子量分布(Mw/Mn)が1〜3の範囲である
ことを特徴とする請求項1に記載の水性塗工材。 - 樹脂固形重量に換算した前記水分散体(成分A)と前記水性ウレタン樹脂(成分B)の比(成分A/成分B)が、90/10〜20/80であることを特徴とする請求項1または2に記載の水性塗工材。
- 請求項1〜3のいずれか1項に記載の水性塗工材から形成された皮膜。
- 請求項1〜3のいずれか1項に記載の水性塗工材を、木質材料、建築材料、土木材料、自動車材料、端末用材料、電気電子材料、OA機器用材料、スポーツ用具材料、はきもの材料、繊維植毛材料、および包装材料からなる群から選択された少なくとも1種の材料からなる基体に基布した、皮膜形成物。
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