JP4310072B2 - 光硬化型パテ組成物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、速硬化で、研磨性、付着性等に優れた硬化膜を形成できる光硬化型パテ組成物、特に自動車補修などの補修塗装に有用な光硬化型パテ組成物に関する。
【0002】
【従来技術及びその課題】
自動車外板などの補修塗装は、通常、損傷箇所の旧塗膜を剥離処理後、該箇所にパテ材を充填し、乾燥後に該パテ面を研磨し、ついでこの上にプライマーを塗装し研磨し、上塗りベース塗装、クリヤー塗装を順次行って仕上げる塗装システムが用いられている。
【0003】
このような補修システムに使用されるパテとして、不飽和基含有ポリエステル樹脂系の常温硬化型の2液型の塗料が用いられるのが一般的であり、通常自然乾燥又は熱風による強制乾燥が行われている。この場合、塗装後の硬化に室温で20分から1時間の乾燥時間を要するために、全ての補修工程全体として長時間を要するという問題があった。また塗料も2液型であり、取扱い難く、1液型への移行が望まれていた。
【0004】
そこで本出願人は、特開平9−137089号、特開平9−176517号などにおいて、パテとして一液型光硬化型の組成物を使用することにより、取扱い易く、しかも補修工程全体の時間が大幅に短縮でき、硬度、付着性等の性能が良好な塗膜を形成できることを提案した。しかしながら、上記パテ組成物は光ラジカル重合性の組成物であり、光照射して硬化させる際に、空気中の酸素による硬化阻害等の欠点を有していた。
【0005】
一方、光硬化組成物としては、光カチオン重合性の組成物も従来知られており、硬化収縮が小さく酸素による硬化阻害がないが、水分による硬化阻害があり、さらに硬化速度が比較的遅く、厚膜の場合の硬化性に劣るという欠点を有していた。
【0006】
本発明の目的は、自動車補修塗装の現場などの汎用分野での使用が可能で、すなわち、短時間硬化可能で、研磨性、付着性に優れた被膜を形成できる光硬化型パテ組成物を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
即ち本発明は、
1.(A)エポキシ基含有化合物、(B)重合性不飽和基含有化合物、(C)カチオン重合開始剤、(D)光ラジカル重合開始剤、(E)体質顔料、及び樹脂微粒子を必須成分として含有し、該(A)成分と(B)成分との配合割合が(A)/(B)の固形分重量比で95/5〜5/95であって、且つ(E)成分の含有量が組成物中の樹脂固形分100重量部に対して30〜300重量部であり、樹脂微粒子が(E)成分の重量に対して固形分で5〜100重量%となるよう配合されることを特徴とする光硬化型パテ組成物、
2.オキセタン環含有化合物及び/又はビニルエーテル化合物を含有する1項記載の光硬化型パテ組成物、
3.エポキシ基含有化合物(A)、オキセタン環含有化合物、ビニルエーテル化合物及び重合性不飽和基含有化合物(B)から選ばれる少なくとも1種が水酸基を含有する、もしくは水酸基含有化合物を含有せしめてなる1又は2項記載の光硬化型パテ組成物、
4.基材面に、1ないし3項のいずれか1項記載の光硬化型パテ組成物を塗布し光照射後、上塗り塗料を塗装してなる補修塗装方法、を提供するものである。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明において、エポキシ基含有化合物(A)は、従来公知のグリシジル基、脂環式エポキシ基などの1,2−エポキシ基を含有する低分子化合物及び高分子量の樹脂等を包含する。
【0009】
上記1,2−エポキシ基を含有する低分子化合物としては、例えばグリシジル(メタ)アクリレート、アリルグリシジルエーテル;
【0010】
【化1】
【0011】
【化2】
【0012】
等;
【0013】
【化3】
【0014】
等とポリイソシアネート化合物との付加物;
【0015】
【化4】
【0016】
と多塩基酸との付加物などが挙げられる。
【0017】
上記1,2−エポキシ基を含有する樹脂としては、例えばグリシジルエーテル型エポキシ樹脂、グリシジルエステル型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、グリシジル基含有アクリル樹脂、脂環式エポキシ基含有アクリル樹脂などが挙げられる。これらは1種で又は2種以上併用して使用できる。またこれらは水酸基を含むものであってよい。これらのうち、例えば脂環式エポキシ基含有アクリル樹脂としては、従来公知の方法で得られたものが特に制限なく使用でき、例えば、(i)脂環式エポキシ基を有する(メタ)アクリル酸エステルモノマーをラジカル重合開始剤の存在下で溶液重合などの公知の重合方法にて単独重合したり、他の共重合可能なモノマーと共重合する、(ii)脂環式エポキシ基と第1の反応性基とを有する化合物と、第1の反応性基と反応する第2の反応性基とを有するアクリル樹脂とを反応させる、などの方法によって得られるアクリル樹脂が使用できる。該脂環式エポキシ基含有アクリル樹脂は、1分子中に脂環式エポキシ基を平均5個以上程度、好ましくは平均5〜1600個程度、さらに好ましくは平均10〜200個含有することが適当であり、該樹脂の数平均分子量が2,000〜100,000、好ましくは3,000〜30,000の範囲内であることが望ましい。
【0018】
本発明では上記エポキシ基含有化合物(A)に、必要に応じて他のカチオン重合性化合物を併用することができ、例えばオキセタン環含有化合物、ビニルエーテル化合物、オキソラン化合物、環状アセタール化合物、環状ラクトン化合物、スピロオルソエステル化合物などを挙げることができる。これらのうち、特にオキセタン環含有化合物及び/又はビニルエーテル化合物を併用することが好適である。
【0019】
上記オキセタン環含有化合物は、1分子中に下記式
【0020】
【化5】
【0021】
(式中、Rは水素原子、フッ素原子、炭素数1〜6の直鎖状もしくは分岐鎖状アルキル基、炭素数1〜6の直鎖状もしくは分岐鎖状フルオロアルキル基又はアリル基を示す)
で表されるオキセタン環を1個有する化合物である。該オキセタン環含有化合物としては、特に(B−1)1分子中にオキセタン環及び水酸基を夫々1個有する化合物、(B−2)1分子中にオキセタン環1個と1個以上の1,2−エポキシ基とを有する化合物、及び(B−3)1分子中にオキセタン環と重合性不飽和基とを夫々1個以上有する化合物が好適である。
【0022】
上記オキセタン環含有化合物(B−1)としては、例えば下記式
【0023】
【化6】
【0024】
(式中、Rは前記と同じ意味を有する)で表される化合物を挙げることができる。
【0025】
上記オキセタン環含有化合物(B−2)としては、例えば下記式
【0026】
【化7】
【0027】
(式中、Rは前記と同じ意味を有し、R1 はエポキシ基含有基を示す)で表される化合物を挙げることができる。
【0028】
上記オキセタン環含有化合物(B−3)としては、例えば下記式
【0029】
【化8】
【0030】
(式中、Rは前記と同じ意味を有し、R2は水素原子又はメチル基を示す)で表される化合物を挙げることができる。
【0031】
以上列記したオキセタン環含有化合物(B)は、単独で又は2種以上組み合わせて使用できる。これらのうち、硬化性の点から特に(B−1)や(B−3)が好適に使用できる。
【0032】
上記ビニルエーテル化合物としては、例えばブチルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル、トリエチレングリコールジビニルエーテル、シクロヘキサンジメタノールジビニルエーテル、ヒドロキシブチルビニルエーテル、プロペニルエーテルプロピレンカーボネ−ト、ヒドロキシブチルビニルエーテルとイソシアネートとを反応させてなるビニルエーテル末端ウレタンオリゴマーなどが挙げられる。
【0033】
上記エポキシ基含有化合物(A)に対するオキセタン環含有化合物及び/又はビニルエーテル化合物の使用量は、(A)成分の固形分重量に対して60重量%以下、好ましくは1〜50重量%の範囲内が適当である。
【0034】
本発明では上記エポキシ基含有化合物(A)、オキセタン環含有化合物、ビニルエーテル化合物及び重合性不飽和基含有化合物(B)から選ばれる少なくとも1種が水酸基を含有する、もしくは水酸基含有化合物をさらに含有させることができる。
【0035】
該水酸基含有化合物は、従来公知の水酸基を含有する低分子化合物及び高分子量の樹脂等包含し、例えば、脂肪族又は芳香族多価アルコ−ル、及び該多価アルコ−ルのアルキレンオキシド付加物又はε−カプロラクトン付加物など、又はそのビニルエーテルなどが挙げられ、さらにヒドロキシエチル(メタ)アクリレ−トなどの水酸基含有モノマ−を共重合成分として含むアクリル樹脂や、水酸基含有ポリエステル樹脂などが挙げられる。これらのうち、特にε−カプロラクロン付加物やその重合物が好ましく、ポリカプロラクトンジオ−ル、ポリカプロラクトントリオ−ルなどが反応性、物性等の点から好適である。
【0036】
上記エポキシ基含有化合物(A)、さらにはオキセタン環含有化合物やビニルエーテル化合物などに対する水酸基含有化合物の使用量は、これらの合計量に対して40重量%以下、好ましくは30重量%以下の範囲が適当である。該水酸基含有化合物の使用量がこの範囲を越えると反応性が低下し、得られる被膜が軟質になる傾向がみられるので好ましくない。
【0037】
本発明において重合性不飽和基含有化合物(B)は、光ラジカル重合反応によって硬化する成分であり、重合性不飽和基を有する低分子量化合物及び高分子量の樹脂等を包含する。
【0038】
上記低分子量化合物としては、重合性不飽和基を有するモノマー又はオリゴマーを挙げることができ、例えばエチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ノルボルニル(メタ)アクリレート、アダマンチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタンテトラ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタンテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトール(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート、2,2−ビス(4−(3−メタクリロキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)−フェニル)プロパン、ジ(メタクリロキシエチル)トリメチルヘキサメチレンジウレタン、2,2−ビス(4−メタクリロキシポリエトキシフェニル)プロパンなどの1価又は多価アルコ−ルの(メタ)アクリル酸エステル;エチレングリコールジマレート、プロピレングリコールジイタコネートなど;4−(メタ)アクリロイルオキシメトキシカルボニルフタル酸、4−(メタ)アクリロイルオキシエトキシカルボニルフタル酸などの4−(メタ)アクリロイルオキシル基含有芳香族ポリカルボン酸及びその酸無水物;スチレン、α−メチルスチレン、クロロスチレン、ビニルトルエン、t−ブチルスチレン、ジビニルベンゼンなどの芳香族ビニル化合物;(メタ)アクリル酸、マレイン酸;ジアリルフタレート、ジアリルイソフタレート、トリアリルフタレート;リン酸(メタ)アクリレート;エポキシアクリレート、ポリエステルアクリレート、ポリジメチルシリコンジ(メタ)アクリレート、ウレタンオリゴマーなどが挙げられ、これらは1種で又は2種以上併用して使用できる。
【0039】
重合性不飽和基を有する樹脂としては、例えば1分子中に少なくとも1個以上、好ましくは3個以上エチレン性不飽和基を有する樹脂であり、例えばポリエステル樹脂、アクリル樹脂、ビニル樹脂、ポリブタジエン樹脂、アルキド樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂などの樹脂に(メタ)アクリロイル基やアリル基等の重合性不飽和基を導入したものが挙げられ、これらは1種で又は2種以上併用して使用できる。これらのうち、(メタ)アクリロイル基導入ポリエステル樹脂、(メタ)アクリロイル基導入エポキシ樹脂、(メタ)アクリロイル基導入ウレタン樹脂が好適である。
【0040】
前記(A)成分と上記(B)成分との配合割合は、(A)成分/(B)成分の固形分重量比で95/5〜5/95、好ましくは80/20〜20/80の範囲内にあることが好適であり、 さらに該(A)成分を含むカチオン重合成分と(B)成分との配合割合は、カチオン重合成分/(B)成分の固形分重量比で95/5〜5/95、好ましくは70/30〜35/65の範囲内にあることが、硬化膜の強度、パテ組成物の粘度、付着性、研磨性、厚膜硬化性などの観点から好適である。
【0041】
本発明においてカチオン重合開始剤(C)は、光照射又は加熱によって開裂しカルボカチオンを発生して、前記エポキシ基含有化合物(A)、さらにはオキセタン環含有化合物やビニルエーテル化合物などのカチオン重合成分のカチオン重合を開始させることができる化合物である。該カチオン重合開始剤としては、芳香族オニウム塩が好ましく、例えばSbF6 - 、SbF4 - 、BF4 - 、AsF6 - 又はPF6 - などの陰イオン成分と、窒素、イオウ、リンまたはヨ−ドなどの原子を含有する芳香族陽イオンとからなるオニウム塩を好適なものとして挙げることができる。
【0042】
好適なカチオン重合開始剤(C)の具体例としては、例えば、下記式
【0043】
【化9】
【0044】
【化10】
【0045】
(式中、X- はSbF6 - 、SbF4 - 、PF6 - 、BF4 - 又はAsF6 -を示す)で表される化合物などを挙げることができる。
【0046】
上記カチオン重合開始剤(C)の配合量は、(A)成分、さらにオキセタン環含有化合物及び/又はビニルエーテル化合物などのカチオン重合成分の合計固形分重量100重量部に対して0.1〜100重量部程度の範囲内にあることが膜の硬化性の観点から適当である。
【0047】
本発明において光ラジカル重合開始剤(D)は、紫外線ないしは可視光を吸収してラジカルを発生して、前記重合性不飽和基含有化合物(B)のラジカル重合を開始させる化合物であって、それ自体既知の光ラジカル重合開始剤を使用することができる。光ラジカル重合開始剤(D)としては、例えば4−フェノキシジクロロアセトフェノン、4−t−ブチル−ジクロロアセトフェノン、4−t−ブチル−トリクロロアセトフェノン、ジエトキシアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、1−(4−ドデシルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、4−(2−ヒドロキシフェニキシ)−フェニル(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノプロパノン−1等のアセトフェノン系化合物;チオキサントン、2−クロロチオキサントン、2−メチルチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、2,4−ジクロロチオキサントン等のチオキサントン系化合物;ベンジル、ベンジルジメチルケタ−ル、ベンジル−β−メトキシエチルアセタ−ル、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン等のベンジル系化合物;ベンゾフェノン、o−ベンゾイル安息香酸メチル、ミヒラーズケトン、4,4´−ビスジエチルアミノベンゾフェノン、4,4´−ジクロロベンゾフェノン等のベンゾフェノン系化合物;ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル等のベンゾインエ−テル系化合物;ビス(シクロペンタジエニル)−ビス(2,6−ジフルオロ−3−(1−ピル−1−イル)フェニル)チタニウム等のチタノセン誘導体;カンファーキノン、アントラキノン、3−ケトクマリン、α−ナフチル、ジフェニルホスフィンオキシド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキシドなどが挙げられる。
【0048】
上記光ラジカル重合開始剤(D)は、(B)成分のラジカル重合に寄与するだけでなく、その種類によっては上記カチオン重合開始剤(C)の増感剤としても作用するものであり、その配合量は(B)成分の固形分重量100重量部に対して0.1〜100重量部、好ましくは1〜100重量部の範囲内、さらにパテ組成物中の全樹脂固形分重量に対して0.1〜10重量%程度の範囲内にあることが好適である。
【0049】
本発明において顔料(E)としては、例えばタルク、マイカ、硫酸バリウム、カオリン、炭酸カルシウム、クレ−、シリカ、石英、ガラスなどの体質顔料が使用でき、さらにチタン白、ベンガラ、カ−ボンブラック、鉄黒などの着色顔料が挙げられ、さらにガラスバルーン、プラスチックバルーンなども含むことができる。該顔料(E)の含有量は、組成物中の樹脂固形分100重量部に対し30〜300重量部の範囲内である。該含有量が30重量部未満では、研磨作業性が劣り、一方300重量部を超えると上塗り塗装後の仕上り性が低下するので好ましくない。
【0050】
上記顔料(E)には、必要に応じて樹脂微粒子を併用することができる。該樹脂微粒子としては、従来公知のポリマ−ビ−ズなどの樹脂粒子や前記モノマ−類の重合物を微細に粉砕したもの、さらにゲル化重合体微粒子(例えば、特開昭51−126287号公報、特開昭53−133233号公報、特開昭53−133236号公報、特開昭56−76447号公報、特開昭58−129065号公報参照)などが挙げられ、特に分子内に少なくとも2個のラジカル重合可能な不飽和基を有する重合性モノマー及びその他のラジカル重合性不飽和モノマーを、分子内にアリル基を含有する反応性乳化剤の存在下で、乳化重合せしめて得られるゲル化重合体微粒子(例えば、特開平3−66770号公報参照)が組成物中の分散性に優れるので好適に使用できる。
【0051】
該ゲル化重合体微粒子の製造に用いられる分子内に少なくとも2個のラジカル重合可能な不飽和基を有する重合性モノマーとしては、例えばエチレングリコ−ルジ(メタ)アクリレ−ト、1,6−ヘキサンジオ−ルジアクリレ−トなどが挙げられ、その他のラジカル重合性不飽和モノマ−としては、例えば(メタ)アクリル酸アルキルエステル、水酸基含有モノマ−、スチレンなどの従来公知の重合性不飽和モノマ−が挙げられ適宜選択されるものである。また乳化重合時の重合開始剤として水溶性アゾアミド化合物などを用いることができる。
【0052】
上記樹脂微粒子の粒径は、特に制限なく適宜選択できるが、通常30μm以下、、好ましくは0.05〜10μmの範囲内が適当である。粒径の調整は、従来公知の方法で行え、例えば上記ゲル化重合体微粒子であれば反応性乳化剤の種類や量を調整することで可能である。該樹脂微粒子は、上記顔料(E)の重量に対して固形分で5〜100重量%、好ましくは10〜50重量%となるように配合されるのが望ましい。
【0053】
本発明のパテ組成物は、上記(A)、(B)、(C)、(D)及び(E)成分を必須成分として含有し、さらに必要に応じて有機溶剤、増感剤、連鎖移動剤、有機過酸化物、繊維素誘導体、非反応性希釈剤、熱可塑性樹脂、リン酸基含有化合物、表面調整剤、消泡剤などの各種添加剤を配合することができる。
【0054】
本発明では、基材面に、上記の通り得られる光硬化型パテ組成物を塗布し、光源を用いて光照射し、必要に応じて研磨後、上塗り塗料を塗装してなる補修塗装方法をも提供するものである。
【0055】
上記基材面としては、例えば金属(鉄、アルミニウム、亜鉛メッキ鋼板、鉄−亜鉛合金メッキ鋼板、ブリキ、銅など)、プラスチック、セラミックなどの各種素材面、及びその化学処理面、プラスチックなど、さらにこれらに塗装された旧塗膜面などが挙げられる。該面が損傷部の場合には、該損傷部を中心に必要によりその周囲までサンディングを行っておくのが適当である。
【0056】
上記パテ組成物の塗布は、主としてヘラ付けなど従来公知の方法で行うことができ、塗装粘度を調整することでスプレ−付けしてもよい。塗布量は、特に限定されるものではないが、乾燥膜厚で通常、0.2〜5mmの範囲内にあることが適当である。
【0057】
上記光源としては、特に制限なく従来公知のものが使用でき、例えばハロゲンランプ、キセノンランプ、クリプトンランプ、メタルハライドランプ、蛍光灯、太陽光、半導体レ−ザ−、発光ダイオ−ドなどが挙げられる。照射条件はパテ層の厚みや組成などにより適宜選択することができる。
【0058】
上記光硬化型パテ層を硬化せしめた後、もしくは未硬化の状態で、必要に応じてプライマ−サ−フェ−サ−塗装をしてもよい。
【0059】
プライマ−サ−フェ−サ−塗装には、ラッカ−系、ウレタン系、アルキド系、エポキシ系などの常温乾燥型、さらには光硬化型のプライマーサーフェーサーが特に制限なく使用できる。光硬化型のプライマーサーフェーサーを用いる場合には、上記パテ面が未硬化の状態で該光硬化型のプライマーサーフェーサーを塗装し、光照射によって両層を同時に硬化せしめることもできる。
【0060】
上記硬化させたパテ面もしくはプライマーサーフェーサー面を必要に応じて研磨後に塗装される上塗り塗料には、アクリルラッカ−、ウレタン硬化型塗料、フッ素樹脂系塗料などの通常補修用に使用されている有機溶剤系、水系等の上塗り塗料が特に制限なく使用でき、特にウレタン硬化型塗料が好適である。上塗り塗装としては、1コート仕上げや2コート仕上げなど特に制限なく従来公知の仕上げを行なうことができる。
【0061】
本発明のパテ組成物は、自動車補修、鉄道車両、産業機器、木工類用などに有用であり、またこれに限らず建築物や家具類のひび割れの補修や目地止めなどにも使用できる。
【0062】
【実施例】
以下、実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明する。尚、「部」及び「%」は夫々「重量部」及び「重量%」を意味する。
【0063】
実施例1〜6及び比較例1〜4
下記表1に示される配合で各組成物を配合し、順次添加し分散混合攪拌して各パテ組成物を作成した。
【0064】
(注1)脂環式エポキシ樹脂:ダイセル化学工業社製、商品名「CEL−2021P」、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート
【0065】
(注2)樹脂微粒子:攪拌装置、温度計、冷却管及び加熱マントルを備えた1リットルフラスコに、脱イオン水3547.5部と「ラテムルS−120A」(花王社製、スルホコハク酸系アリル基含有アニオン性反応性乳化剤、50%水溶液)40部を加えて攪拌しながら90℃まで昇温した。次いでこの中に「VA−086」(和光純薬工業社製、水溶性アゾアミド重合開始剤)12.5部を脱イオン水500部に溶解した水溶液の20%を加えた。15分後にスチレン300部、メチルメタクリレ−ト400部、n−ブチルアクリレ−ト200部、1,6−ヘキサンジオ−ルジアクリレ−ト100部からなるモノマ−混合物の5%を加え、30分間攪拌した。その後、さらに残りのモノマ−混合物及び重合開始剤水溶液の滴下を開始し、モノマ−混合物の滴下は3時間で、重合開始剤水溶液の滴下は3.5時間かけてそれぞれ行ない、その間90℃に保持した。重合開始剤水溶液の滴下終了後、さらに30分間90℃に保持してから室温に冷却し、濾布を用いて取り出し、固形分20%の水性ゲル化微粒子重合体水分散液を得た。その粒径は72nmであった。これをステンレスパット上で乾燥させ樹脂微粒子を得た。
【0066】
(注3)「BBI−102」:ミドリ化学社製、ヨードニウム塩系光カチオン重合開始剤
(注4)「Irgacure184」:チバスペシャリティケミカルズ社製、光ラジカル重合開始剤、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン
(注5)「Irgacure819」:チバスペシャリティケミカルズ社製、光ラジカル重合開始剤、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキシド
【0067】
【表1】
【0068】
性能試験
上記で得た各パテ組成物を、試験板(軟鋼板)上に2mm厚になるようヘラで塗布し、「プリズマライト」(コ−ルク社製、ハロゲンランプ)にて照射距離15cmで10分間照射した。得られた試験塗板の性能試験結果を表1に併せて示す。
【0069】
(*1)表面硬化性:塗板表面のランプ照射直後における粘着性を指触にて調べ、下記基準にて評価した(○:表面に粘着性がなく良好、△:表面に少し粘着性がある、×:表面にかなりの粘着性がある)。
【0070】
(*2)厚膜硬化性:各パテ組成物を試験板(鋼板)上に10mm以上の厚みになるようヘラで塗布し、「プリズマライト」にて照射距離15cmで10分間照射して得られた塗膜面の未硬化部をアセトン溶剤で洗い流し、硬化部の膜厚を測定した(○:5mm以上、△:3mm以上5mm未満、×:3mm未満)。
【0071】
(*3)研磨性:試験塗板の表面を#400耐水ペ−パ−にて研磨し研磨状態を観察した(○:良好、△:若干からみあり、×:かなりからみあり)。
【0072】
(*4)鋼板付着性:試験塗板を中央部より90°角に折り曲げて、該折り曲げ部のパテの状態を観察した(○:良好、△:パテが一部剥離している、×:パテが剥離している)。
【0073】
【発明の効果】
本発明の光硬化型パテ組成物によれば、塗膜表面の硬化阻害をうけることなく、速硬化で、研磨性、付着性等に優れた硬化膜を形成できる。特に自動車補修などの補修塗装に有用である。
Claims (4)
- (A)エポキシ基含有化合物、(B)重合性不飽和基含有化合物、(C)カチオン重合開始剤、(D)光ラジカル重合開始剤、(E)体質顔料、及び樹脂微粒子を必須成分として含有し、該(A)成分と(B)成分との配合割合が(A)/(B)の固形分重量比で95/5〜5/95であって、且つ(E)成分の含有量が組成物中の樹脂固形分100重量部に対して30〜300重量部であり、樹脂微粒子が(E)成分の重量に対して固形分で5〜100重量%となるよう配合されることを特徴とする光硬化型パテ組成物。
- オキセタン環含有化合物及び/又はビニルエーテル化合物を含有する請求項1記載の光硬化型パテ組成物。
- エポキシ基含有化合物(A)、オキセタン環含有化合物、ビニルエーテル化合物及び重合性不飽和基含有化合物(B)から選ばれる少なくとも1種が水酸基を含有する、もしくは水酸基含有化合物を含有せしめてなる請求項1又は2記載の光硬化型パテ組成物。
- 基材面に、請求項1ないし3のいずれか1項記載の光硬化型パテ組成物を塗布し光照射後、上塗り塗料を塗装してなる補修塗装方法。
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