JP3730352B2 - パテ組成物及びこれを用いた補修塗装方法 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、可視光又は近赤外光照射によって速やかに硬化するパテ組成物、及びこれを用いることにより大幅に工程を簡略化しうる補修塗装方法に関する。
【0002】
【従来技術及びその課題】
従来より、自動車外板などの補修塗装は、通常、▲1▼損傷箇所の旧塗膜を剥離処理後、▲2▼該箇所に鈑金パテを該箇所以外の旧塗膜にかからないようにへら等で厚盛りに付け、乾燥後該パテ面を研磨する、▲3▼次いでこの上に樹脂パテを該箇所周辺の旧塗膜までかかるようにへら等で付け、乾燥後該パテ面を研磨する、▲4▼次いでこの上にプライマ−サ−フェ−サ−塗装、▲5▼上塗り塗装を順次行う、などの非常に多くの工程からなる。特にパテ付け〜プライマ−サ−フェ−サ−塗装の工程は、仕上り性確保の点から各塗装ごとにその塗装面を研磨するため多大な労力を要し、補修塗装に要する時間の約半分を費やしている。
【0003】
かかるパテ付けに使用する鈑金パテや樹脂パテは、主に不飽和ポリエステル樹脂等を主剤とし有機過酸化物を硬化剤とする常温硬化の組成物であり、これまで作業時間短縮のため速乾性の向上が追及されてきたため、可使時間が極めて短く、その時間内に車ごとに異なる損傷の程度や部位に対応してすばやくパテ付けを行うには、非常に熟練を要するものであった。
【0004】
また上記鈑金パテや樹脂パテは、両者の特長を生かすため、通常、両者を併用する必要があり、しかも塗布面が粗いためにどちらも上述の通り研磨を必要とし、作業性が非常に悪いという問題があった。
【0005】
一方、パテとして重合性不飽和基含有化合物と光開始剤とを含有する紫外線硬化組成物も提案されている(例えば、特開昭54−117588号公報)。この組成物では可使時間の制約はないが、通常紫外線硬化では厚付けされた場合にパテ内部にまで紫外線が透過せず表面しか硬化しないので、充填剤として光透過性充填剤を使用して光透過性を改善しているため、パテで汎用されている隠蔽力の大きい顔料は使用できず、また紫外線照射に使用するランプからオゾンガスのような有害ガスが発生するなどの問題点があった。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記問題を解決すべく鋭意検討した結果、重合性不飽和基含有樹脂や充填剤に可視光又は近赤外光重合開始剤を配合し、可視光又は近赤外光照射によって速やかに硬化するパテ組成物が得られ、これを用いることにより、上記▲2▼〜▲4▼の工程を一つの工程として、大幅に簡略化しうることを見出し本発明に到達した。
【0007】
すなわち本発明は、(A)数平均分子量500〜10,000の不飽和ポリエステル樹脂、数平均分子量300〜10,000の不飽和エポキシ樹脂、及び数平均分子量2,000〜50,000の不飽和アクリル樹脂から選ばれる少なくとも1種である重合性不飽和基含有樹脂、(B)重合性不飽和化合物((A)成分を除く)、(C)充填剤、及び(D)可視又は近赤外光重合開始剤を含むパテ組成物であって、該充填剤(C)としてゲル化重合体微粒子を(A)及び(B)の合計量100重量部に対して1〜100重量部含有することを特徴とするパテ組成物、及び該パテ組成物を基材面に塗布し可視光又は近赤外光を照射して硬化せしめた後、上塗り塗装してなる補修塗装方法を提供するものである。
【0008】
以下、本発明について説明する。
【0009】
本発明において使用される重合性不飽和基含有樹脂(A)は、1分子中に少なくとも1個のエチレン性不飽和基を有する樹脂であり、例えばポリエステル樹脂、アクリル樹脂、ビニル樹脂、ポリブタジエン樹脂、アルキド樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂などの樹脂に(メタ)アクリレ−ト基やアリル基等を導入したものが挙げられ、これらは1種又は2種以上併用して使用できる。これらは、重合性不飽和基を導入する従来公知の方法、例えばカルボキシル基を含有するアクリル樹脂或いはポリエステル樹脂とグリシジル(メタ)アクリレ−トとを反応させる、水酸基を含有するビニル樹脂或いはポリエステル樹脂と無水マレイン酸や無水イタコン酸とを反応させる、イソシアネ−ト基を有するウレタン樹脂と2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレ−ト等とを反応させる、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレ−ト等とジイソシアネ−ト化合物との反応物を水酸基含有樹脂に反応させる、などの方法により得ることができる。
【0010】
これらのうち樹脂(A)としては、特に数平均分子量500〜10,000の不飽和ポリエステル樹脂が、作業性等の面から好適である。該不飽和ポリエステル樹脂の製造に用いられる多塩基酸としては、例えば無水フタル酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、アジピン酸、ヘット酸などの飽和多塩基酸、無水マレイン酸、イタコン酸などの不飽和多塩基酸などが挙げられる。また多価アルコ−ルとしては、例えばエチレングリコ−ル、プロピレングリコ−ル、ネオペンチルグリコ−ル、トリメチロ−ルプロパン、ペンタエリスリト−ル、水添加ビスフェノ−ルA、ビスフェノ−ルAのエチレンオキサイド又はプロピレンオキサイド誘導体などが挙げられる。さらに不飽和ポリエステル樹脂は、アリル基を有することが硬化性、作業性の面から好適である。かかるアリル基の導入は、例えばグリセリンアリルエ−テル、トリメチロ−ルプロパンアリルエ−テルなどをアルコ−ル成分として用いてポリエステル主鎖中に導入する、あるいは多塩基酸に、多価アルコ−ル及びアリルグリシジルエ−テルを反応させてポリエステル主鎖中に導入するなどにより行われる。
【0011】
また樹脂(A)としては、数平均分子量300〜10,000の不飽和エポキシ樹脂が挙げられる。具体的には、例えばビスフェノ−ルAのジグリシジルエ−テル型のエポキシ樹脂、ダイマ−酸ジグリシジルエ−テル型のエポキシ樹脂、グリシジルエステル型のエポキシ樹脂、脂環式タイプのエポキシ樹脂などのエポキシ樹脂に(メタ)アクリル酸などの不飽和酸を付加してなる樹脂などが適当である。
【0012】
さらに樹脂(A)としては、数平均分子量2,000〜50,000の不飽和アクリル樹脂が挙げられる。具体的には、例えば(メタ)アクリル酸などのエチレン性不飽和酸を必須としこれにメチル(メタ)アクリレ−ト、ブチル(メタ)アクリレ−トなどの(メタ)アクリル酸エステル類、スチレン、(メタ)アクリロニトリルなどから選ばれる少なくとも1種のモノマ−を共重合させて得られるカルボキシル基含有アクリル樹脂にグリシジル(メタ)アクリレ−トやアリルグリシジルエ−テル等を付加してなる樹脂、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレ−トや(メタ)アリルアルコ−ル等とジイソシアネ−ト化合物との反応物を、水酸基含有モノマ−を必須としこれに上記モノマ−を共重合させて得られる水酸基含有アクリル樹脂に付加してなる樹脂などが適当である。
【0013】
本発明で使用しうる重合性不飽和化合物(B)としては、エチレン性不飽和基を有するモノマ−もしくはオリゴマ−であり、例えばエチル(メタ)アクリレ−ト、ブチル(メタ)アクリレ−ト、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレ−ト、イソボロニル(メタ)アクリレ−ト、ノルボルニル(メタ)アクリレ−ト、アダマンチル(メタ)アクリレ−ト、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレ−ト、トリメチロ−ルプロパントリ(メタ)アクリレ−ト、テトラメチロ−ルメタンテトラ(メタ)アクリレ−ト、テトラメチロ−ルメタンテトラ(メタ)アクリレ−ト、ジペンタエリスリト−ル(メタ)アクリレ−ト、トリシクロデカンジメタノ−ルジ(メタ)アクリレ−ト、2,2−ビス(4−(3−メタクリロキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)−フェニル)プロパン、ジ(メタクリロキシエチル)トリメチルヘキサメチレンジウレタン、2,2−ビス(4−メタクリロキシポリエトキシフェニル)プロパンなどの1価又は多価アルコ−ルの(メタ)アクリル酸エステル;エチレングリコ−ルジマレ−ト、プロピレングリコ−ルジイタコネ−トなど;4−(メタ)アクリロイルオキシメトキシカルボニルフタル酸、4−(メタ)アクリロイルオキシエトキシカルボニルフタル酸などの4−(メタ)アクリロイルオキシル基含有芳香族ポリカルボン酸及びその酸無水物;スチレン、α−メチルスチレン、クロロスチレン、ビニルトルエン、t−ブチルスチレン、ジビニルベンゼンなどの芳香族ビニル化合物;ジアリルフタレ−ト、ジアリルイソフタレ−ト、トリアリルフタレ−ト;エポキシアクリレ−ト、ポリエステルアクリレ−ト、ポリジメチルシリコンジ(メタ)アクリレ−ト、ウレタンオリゴマ−などが挙げられ、これらは1種又は2種以上併用して使用できる。
【0014】
上記樹脂(A)と化合物(B)の使用比は、これらの性状やさらに配合する充填剤等の種類や添加量により適宜決められるが、通常、重量比で90/10〜10/90、好ましくは80/20〜20/80であることが望ましい。
【0015】
本発明においては、上記樹脂(A)が重合性不飽和基だけでなくさらに反応性官能基を含有してもよい。この場合には、上記化合物(B)として(A)中の反応性官能基と反応しうる反応性官能基を含有する重合性不飽和化合物を使用する、あるいは樹脂(A)中の反応性官能基と反応しうる反応性官能基を含有する化合物(E)をさらに配合する、などが適当である。反応性官能基の組合せとしては、特に制限なく従来公知の組合せを選択でき、例えば水酸基とイソシアネ−ト基、エポキシ基とアミノ基、エポキシ基とカルボキシル基などの組合せが挙げられ、これら組合せの反応性官能基はどちらが樹脂(A)に含まれてもよい。具体的には、例えば樹脂(A)がエポキシ基を有する場合には、化合物(B)としてグリシジル(メタ)アクリレ−トとポリアミンとの付加物等を用いる、あるいは化合物(E)としてポリアミン化合物等を用いる、また例えば樹脂(A)が水酸基を有する場合には、化合物(B)として2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレ−トとポリイソシアネ−ト化合物との1:1付加物等を用いる、あるいは化合物(E)として(ブロック)ポリイソシアネ−ト化合物等を用いる、ことができる。かかる化合物(D)を用いる場合の使用量は、樹脂固形分全体に対して30重量%以下が適当である。
【0016】
また上記樹脂(A)及び化合物(B)に対して、官能基間で架橋する硬化性成分、例えばアクリルポリオ−ルなどの官能基含有樹脂及び(ブロック)ポリイソシアネ−ト化合物などの架橋剤からなる硬化性成分を樹脂固形分で30重量%以下の範囲で配合してもよい。
【0017】
上記反応性官能基含有化合物(B)や化合物(D)、あるいは硬化性成分を用いる場合には通常2液タイプとするのが望ましい。ブロックポリイソシアネ−ト化合物を用いる場合には一液でもよい。
【0018】
本発明では、充填剤(C)として樹脂粉末を含有する。該樹脂粉末としては、従来公知のポリマ−ビ−ズなどの樹脂粒子や前記モノマ−類の重合物を微細に粉砕したもの、さらにゲル化重合体微粒子(例えば、特開昭51−126287号公報、特開昭53−133233号公報、特開昭53−133236号公報、特開昭56−76447号公報、特開昭58−129065号公報参照)などが挙げられ、特にジビニルモノマ−を含むモノマ−混合物をアリル基含有反応性乳化剤の存在下で乳化重合して得られるゲル化重合体微粒子(例えば、特開平3−66770号公報参照)が(A)及び(B)成分に対する分散性に優れるので好適に使用できる。
【0019】
該ゲル化重合体微粒子の製造に用いられるジビニルモノマ−としては、例えばエチレングリコ−ルジ(メタ)アクリレ−ト、1,6−ヘキサンジオ−ルジアクリレ−トなどが挙げられ、その他のモノマ−としては、例えば(メタ)アクリル酸アルキルエステル、水酸基含有モノマ−、スチレンなどの従来公知の重合性不飽和モノマ−が挙げられ適宜選択されるものである。また乳化重合時の重合開始剤として水溶性アゾアミド化合物などを用いることができる。
【0020】
上記樹脂粉末の粒径は、特に制限なく適宜選択できるが、通常30μm以下、、好ましくは0.05〜10μmの範囲内が適当である。該粒径が30μmを越えると、特にパテ厚が薄い場合に、パテ塗面の平滑性が不良になるので好ましくない。粒径の調整は、従来公知の方法で行え、例えば上記ゲル化重合体微粒子であれば反応性乳化剤の種類や量を調整することで可能である。
【0021】
上記樹脂粉末は、上記(A)及び(B)の合計量に対して1〜100重量部、好ましくは5〜50重量部配合される。該配合量が100重量部を越えて多いとパテの粘度が高くなり作業性が低下し、一方1重量部未満では応力緩和剤としての効果が得られず付着性の向上も期待できないので好ましくない。
【0022】
また上記充填剤(C)として、さらに必要に応じて他の充填剤を配合することができる。該充填剤としては、例えばタルク、マイカ、硫酸バリウム、カオリン、炭酸カルシウム、クレ−、シリカ、石英、ガラスなどの体質顔料が使用でき、さらにチタン白、ベンガラ、カ−ボンブラック、鉄黒などの着色顔料も含むことができる。かかる樹脂粉末以外の充填剤の配合量は、塗料固形分中0〜70重量%程度である。
【0023】
本発明で使用しうる可視光又は近赤外光重合開始剤(D)としては、400〜1500nmの領域の光エネルギ−で励起するものであればよく、可視光重合開始剤としては、例えばカンファ−キノン、ベンジル、α−ナフチル、4、4´−ジメトキシベンジル、2,4,6−トリメチルベンゾイル、2−メチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、アントラキノン、3−ケトクマリン、ジフェニルホスフィンオキシド、アシルホスフィンオキシド、ジメチルアミノベンゾフェノン、10−ブチル−2−クロロアクリドン、フルオレノン、有機色素増感剤などが挙げられる。これら以外にも公知の開始剤系として、カチオン染料−ボレ−トアニオン化合物などのイオン染料−対イオン化合物の系(例えば、特開平1−60606号、特開平2−11607号公報)、金属アレ−ン化合物と有機色素の系(例えば、特開平4−363308号、特開平5−17525号公報)などが挙げられる。また近赤外光重合開始剤としては、例えばシアニン系色素、フタロシアニン系色素、ピリリウム系色素、チオピリリウム系色素、アズレニウム系色素、スクアリリウム系色素、Ni、Cr等の金属錯塩系色素、ナフトキノン系・アントラキノン系色素、インドフェノ−ル系色素、インドアニリン系色素、トリフェニルメタン系色素、トリアリルメタン系色素、アミニウム系・ジインモニウム系色素、ニトロソ化合物等のカチオン色素類の錯体が使用でき、具体的には特開昭62−143044号、特開平2−11607号、特開平3−111402号、特開平5−194619号、特開平4−77503号公報等に開示されている近赤外光吸収性陽イオン染料−ボレ−ト陰イオン錯体、特開平2−189548号に開示されているシアニン系色素とハロゲン化メチル基を有するトリアジン化合物あるいはシアニン系化合物と金属アレ−ン化合物や、特開平5−17525号に開示されている金属アレ−ン化合物とスクアリリウム色素、特開平2−4804号公報等に開示されているカチオン色素とホウ酸塩などが挙げられる。
【0024】
上記可視光又は近赤外光重合開始剤(D)の配合量は、(A)及び(B)の合計量に対して0.01〜10重量%程度である。
【0025】
上記開始剤(D)には、フリ−ラジカル連鎖過程で酸素を吸収しえる酸素除去剤や活性水素ドナ−の連鎖移動剤を併用することが好ましい。該酸素除去剤としては、フォスフィン、フォスファイト、フォスフォネ−ト、第1錫塩及び酸素により容易に酸化されるその他の化合物が挙げられ、連鎖移動剤としては、例えば、トリエチルアミン、N−メチルジフェニルアミン、4−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、トリエタノ−ルアミン、ジメチルエタノ−ルアミンなどの3級アミン、ジメチルアミノエチルメタクリレ−ト;N−フェニルグリシン、2−メルカプトベンゾキサゾ−ル、2−メルカプトベンゾチアゾ−ル;2,6−ジイソプロピル−N,N−ジアルキルアニリン、N,N,2,4,6−ペンタメチルアニリンなどのN,N−ジアルキルアニリン等が挙げられる。
【0026】
上記開始剤(D)には、ホウ素系増感剤を併用してもよい。ホウ素系増感剤としては、例えばテトラn−ブチルアンモニウムn−ブチルトリフェニルホウ素、テトラメチルアンモニウムn−ブチルトリフェニルホウ素、テトラn−ブチルフォスフォニウムn−ブチルトリフェニルホウ素等が挙げられる。
【0027】
また上記開始剤(D)には、有機過酸化物を併用してもよい。該有機過酸化物としては、ベンゾイルパ−オキサイド、メチルエチルケトンパ−オキサイド、シクロヘキサノンパ−オキサイドなどが挙げられる。
【0028】
本発明組成物は、素地や上塗り層との付着性向上、作業性向上などの点から、さらに必要に応じて繊維素誘導体、非反応性希釈剤、熱可塑性樹脂などを含有することができる。繊維素誘導体としてはセルロ−スアセテ−トブチレ−ト(CAB)、ニトロセルロ−ス等が挙げられ、さらに該CABなどの繊維素誘導体類と水酸基含有不飽和モノマ−や他のエチレン性不飽和モノマ−などの単量体混合物とのグラフト共重合体などを使用してもよい。非反応性希釈剤としては有機溶剤などが挙げられ、熱可塑性樹脂としてはポリエチレン、ポリスチレン、ポリメタクリル酸メチル、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニル、ポリカプロラクトンなどが挙げられる。このうち特にCABグラフト共重合体などの繊維素誘導体を用いると、パテ表面に水酸基が配向し上塗がウレタン硬化系の場合、付着性が向上するので好適である。
【0029】
これらは上記(A)及び(B)との相溶性が良好な範囲内で、これらの合計量に対して40重量%以下、好ましくは1〜20重量%程度配合されることが望ましい。
【0030】
また本発明組成物は、素地との付着性向上の点からリン酸基含有化合物を含有してもよい。リン酸基含有化合物としては、ジブチルホスフェ−ト、2−エチルヘキシルホスフェ−トなどの酸性リン酸エステル、酸性亜リン酸エステル、これらのポリリン酸化合物、リン酸共重合樹脂などが挙げられ、さらにリン酸基含有モノマ−を前記化合物(B)として用いてもよい。
【0031】
上記の通り得られるパテ組成物は、1回の塗布により数mm以上の膜厚でも形成でき、しかもタレずに損傷部等を修復できるものである。本発明方法はこれを基材面に塗布し、可視光又は近赤外光を照射して硬化せしめた後、上塗り塗装するものである。
【0032】
基材面としては、鉄、亜鉛、アルミなどの金属面やその化学処理面、プラスチック、木など、さらにこれらに塗装された旧塗膜面などが挙げられる。
【0033】
上記パテ組成物の塗装は、ヘラ付けなど従来公知の方法で行うことができ、塗装粘度を調整することでスプレ−付けしてもよい。さらに好適には、通常シ−リング剤等が充填されているようなプラスチック製や金属製チュ−ブ、押し出しカ−トリッジなどの容器に上記パテ組成物を充填して用いることができ、チュ−ブなどから押し出したパテ組成物を損傷箇所に直接あてがってパテ付けし、必要によりヘラやロ−ラ−などでならすことで容易に処理できる。
【0034】
次いでパテ組成物は可視光又は近赤外光を照射して硬化せしめる。使用する光源としては、400〜1500nmの波長を出すものであれば特に制限なく使用でき、例えばハロゲンランプ、キセノンランプ、クリプトンランプ、蛍光灯、太陽光、半導体レ−ザ−、発光ダイオ−ドなどが挙げられる。照射条件はパテ層の厚みや組成などにより適宜選択することができる。
【0035】
上記光硬化型パテ層を硬化せしめた後、必要に応じて該面を研磨し上塗り塗装することができる。さらに上塗り塗装の前に必要に応じてプライマ−サ−フェ−サ−塗装をしてもよい。プライマ−サ−フェ−サ−塗装には、ラッカ−系、ウレタン系、アルキド系、エポキシ系などの通常補修用に使用されているプラサフが特に制限なく使用できる。
【0036】
上塗り塗装には、アクリルラッカ−、ウレタン硬化型塗料、フッ素樹脂系塗料などの通常補修用に使用されている有機溶剤系、水系等の上塗り塗料が特に制限なく使用でき、特にウレタン硬化形塗料が好適である。
【0037】
本発明のパテ組成物は、自動車補修、鉄道車両、産業機器、木工類用などに有用であり、またこれに限らず建築物や家具類のひび割れの補修や目地止めなどにも使用できる。
【0038】
【実施例】
以下、実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明する。尚、「部」及び「%」はそれぞれ「重量部」及び「重量%」を示す。
【0039】
樹脂粉末の製造
攪拌装置、温度計、冷却管及び加熱マントルを備えた1リットルフラスコに、脱イオン水3547.5部と「ラテムルS−120A」(花王社製、スルホコハク酸系アリル基含有アニオン性反応性乳化剤、50%水溶液)40部を加えて攪拌しながら90℃まで昇温した。次いでこの中に「VA−086」(和光純薬工業社製、水溶性アゾアミド重合開始剤)12.5部を脱イオン水500部に溶解した水溶液の20%を加えた。15分後にスチレン300部、メチルメタクリレ−ト400部、n−ブチルアクリレ−ト200部、1,6−ヘキサンジオ−ルジアクリレ−ト100部からなるモノマ−混合物の5%を加え、30分間攪拌した。その後、さらに残りのモノマ−混合物及び重合開始剤水溶液の滴下を開始し、モノマ−混合物の滴下は3時間で、重合開始剤水溶液の滴下は3.5時間かけてそれぞれ行ない、その間90℃に保持した。重合開始剤水溶液の滴下終了後、さらに30分間90℃に保持してから室温に冷却し、濾布を用いて取り出し、固形分20%の水性ゲル化微粒子重合体水分散液を得た。その粒径は72nmであった。これをステンレスパット上で乾燥させ樹脂粉末Gを得た。
【0040】
パテ組成物の製造
実施例1
不飽和基含有エポキシ樹脂SP−1507(昭和高分子社製、エポキシアクリレ−ト樹脂、数平均分子量480)100部、スチレン15部、上記製造例で得た樹脂粉末G10部を混合・攪拌し、ディスパ−で20分間攪拌後、カンファ−キノン2部、N,N,2,4,6−ペンタメチルアニリン1部を添加・混合してパテ組成物を得た。
【0041】
実施例2〜12及び比較例1〜4
実施例1において、樹脂、モノマ−、開始剤など配合成分を表1に示す配合とする以外は実施例1と同様に行い、パテ組成物を得た。実施例8、9及び比較例1、2では攪拌機としてディスパ−のかわりに高速ディゾルバ−を使用した。また比較例1では、塗布直前にメチルエチルケトンパ−オキサイドを配合した。
【0042】
上記で得られた各パテ組成物を、下記に示す各試験板上に5mm厚になるようヘラで塗布し、「プリズマライト」(コ−ルク社製、ハロゲンランプ)にて照射距離15cmで10分間照射した。尚、比較例2は出力100Wの高圧水銀ランプにて照射距離10cmで30秒間照射した。得られた試験塗板の性能試験結果を表1に示す。
【0043】
試験板:軟鋼板(90×150×0.8mm)、亜鉛メッキ鋼板(90×150×0.8mm)、アルミ板(90×150×1mm)、及び亜鉛メッキ鋼板上に「アミラックホワイト」(アミノアルキド樹脂系塗料、関西ペイント社製)を乾燥膜厚40μmになるよう塗装し140℃で20分間焼付け乾燥後#400耐水ペ−パ−で軽く研磨した塗装板、の4種を試験板とした。
【0044】
表1中の(注)及び試験方法は下記の通りである。
【0045】
(注1)不飽和基含有エポキシ樹脂「SP−5003」:昭和高分子社製、エポキシアクリレ−ト樹脂
(注2)不飽和基含有ポリエステル樹脂「ポリセット1127、1721」:日立化成工業社製、アリル基含有ポリエステル樹脂
(注3)ライトエステルPM:共栄社化学社製、2−メタクリロイルオキシエチル−アシッドホスフェ−ト
(注4)アクリディックA−801P:大日本インキ化学工業社製、アクリルポリオ−ル樹脂、固形分50%
(注5)デュラネ−トTPA−90E:旭化成社製、ヘキサメチレンジイソシアネ−ト
(注6)デュラネ−トMF−B:旭化成社製、ブロックポリイソシアネ−ト
(注7)MP−1000:綜研化学社製、ポリマ−微粒子、粒径0.4μm
(注8)開始剤A:下記構造式で示される近赤外重合開始剤。
【0046】
【化1】
【0047】
(注9)開始剤B:下記構造式で示される近赤外重合開始剤。
【0048】
【化2】
【0049】
試験方法
(*1)乾燥性:試験塗板の表面のタック及び内部の硬化を指触にて調べた(○:良好、△:表面に若干タックあるが内部は硬化良好、×:表面にタックはないが内部は硬化不良)。
【0050】
(*2)付着性:各試験塗板を中央部より90°角に折り曲げて、該折り曲げ部のパテの状態を観察した(○:良好、×:パテが剥離している)。
【0051】
(*3)研磨性:試験塗板の表面を#400耐水ペ−パ−にて研磨し研磨状態を観察した(○:良好、△:若干からみあり、×:かなりからみあり)。
【0052】
【表1】
【0053】
塗装
実施例13〜24及び比較例6〜8
軟鋼板(90×150×0.8mm)上に、表2に示すパテ組成物を10mm厚になるようヘラで塗布しならして、透明なPETフィルムでカバ−をし、次いでこれを「トランクスラックス」(カルザ−社のハロゲンランプ)にて照射距離15cmで10分間照射して硬化させた。得られたパテ面を必要により#400耐水ペ−パ−で軽く研磨した後、「レタンPG−80ホワイト」(アクリルウレタン樹脂系上塗り塗料、関西ペイント社製)を乾燥膜厚50μmになるようスプレ−塗装し60℃で30分間乾燥させて塗装板を得た。
【0054】
比較例5
実施例13において、ハロゲンランプ照射のかわりに出力100Wの高圧水銀ランプにて照射距離10cmで30秒間照射する以外は実施例13と同様に行った。
【0055】
実施例25〜28
軟鋼板(90×150×0.8mm)上に、表2に示すパテ組成物を5mm厚になるようヘラで塗布しならして、透明なPETフィルムでカバ−をし、次いでこれを「トランクスラックス」(カルザ−社のハロゲンランプ)にて照射距離15cmで10分間照射して硬化させた。得られたパテ面を必要により#400耐水ペ−パ−で軽く研磨した後、「アクリック2101メタリックベ−ス」(セルロ−スアセテ−トブチレ−ト変性アクリルラッカ−、エアゾ−ルタイプ、関西ペイント社製)を乾燥膜厚約20μmになるよう塗装し、室温で10分間放置後、「PG2Kワンパッククリヤ−」(ウレタン硬化型クリヤ−、エアゾ−ルタイプ、関西ペイント社製)を乾燥膜厚約40μmになるよう塗装し乾燥させて塗装板を得た。
【0056】
上記で得られた塗装板の性能試験結果を表2に示す。表2中の試験方法は下記の通りである。
【0057】
(*4)仕上り性:塗装板の仕上り性を目視で評価した(○:良好、△:若干塗面にひずみあり、×:塗面にかなりひずみ・パテあとあり)。
【0058】
(*5)耐水性:上記塗装板を上水に7日間浸漬した後、塗面状態(ブリスタ−の発生)を観察し、さらに折り曲げ付着性試験(*2)及びゴバン目テ−プ付着試験を行った。塗面状態(○:良好、△:一部ブリスタ−発生、×:全面にブリスタ−発生)、ゴバン目テ−プ付着(○:剥離なし、△:一部剥離あり、×:全面に剥離あり)。
【0059】
(*6)ヘラ塗布作業性:上記の通りパテ組成物をヘラで塗布する際に、パテのならし易さ、及び塗布直後の塗面状態を目視で観察した(○:パテがならし易くしかも素穴もなく平滑な塗面が得られている、△:パテがややならし難く平滑な塗面が得られない、×:パテがならし難く、素穴も多く平滑な塗面が得られない)。
【0060】
【発明の効果】
本発明のパテ組成物は、可視光又は近赤外光硬化型なので、紫外線硬化のように有害ガスが発生することなく厚みのある硬化物が得られる。また樹脂粉末を特定量含有することにより、光を透過するので硬化性を低下させることなく、応力緩和がなされまた体積収縮が減少して付着性、柔軟性が向上し、またパテの流動特性がチクソトロピックになるためヘラ等による塗布作業性が向上し容易に平滑なパテ塗面が得られる。さらに本発明組成物は、硬化時間が短く一液型で無溶剤化が可能な省資源組成物で環境汚染の低減化が図れ、これを用いることにより大幅に工程を簡略化した補修塗装が可能である。
【0061】
【表2】
【発明の属する技術分野】
本発明は、可視光又は近赤外光照射によって速やかに硬化するパテ組成物、及びこれを用いることにより大幅に工程を簡略化しうる補修塗装方法に関する。
【0002】
【従来技術及びその課題】
従来より、自動車外板などの補修塗装は、通常、▲1▼損傷箇所の旧塗膜を剥離処理後、▲2▼該箇所に鈑金パテを該箇所以外の旧塗膜にかからないようにへら等で厚盛りに付け、乾燥後該パテ面を研磨する、▲3▼次いでこの上に樹脂パテを該箇所周辺の旧塗膜までかかるようにへら等で付け、乾燥後該パテ面を研磨する、▲4▼次いでこの上にプライマ−サ−フェ−サ−塗装、▲5▼上塗り塗装を順次行う、などの非常に多くの工程からなる。特にパテ付け〜プライマ−サ−フェ−サ−塗装の工程は、仕上り性確保の点から各塗装ごとにその塗装面を研磨するため多大な労力を要し、補修塗装に要する時間の約半分を費やしている。
【0003】
かかるパテ付けに使用する鈑金パテや樹脂パテは、主に不飽和ポリエステル樹脂等を主剤とし有機過酸化物を硬化剤とする常温硬化の組成物であり、これまで作業時間短縮のため速乾性の向上が追及されてきたため、可使時間が極めて短く、その時間内に車ごとに異なる損傷の程度や部位に対応してすばやくパテ付けを行うには、非常に熟練を要するものであった。
【0004】
また上記鈑金パテや樹脂パテは、両者の特長を生かすため、通常、両者を併用する必要があり、しかも塗布面が粗いためにどちらも上述の通り研磨を必要とし、作業性が非常に悪いという問題があった。
【0005】
一方、パテとして重合性不飽和基含有化合物と光開始剤とを含有する紫外線硬化組成物も提案されている(例えば、特開昭54−117588号公報)。この組成物では可使時間の制約はないが、通常紫外線硬化では厚付けされた場合にパテ内部にまで紫外線が透過せず表面しか硬化しないので、充填剤として光透過性充填剤を使用して光透過性を改善しているため、パテで汎用されている隠蔽力の大きい顔料は使用できず、また紫外線照射に使用するランプからオゾンガスのような有害ガスが発生するなどの問題点があった。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記問題を解決すべく鋭意検討した結果、重合性不飽和基含有樹脂や充填剤に可視光又は近赤外光重合開始剤を配合し、可視光又は近赤外光照射によって速やかに硬化するパテ組成物が得られ、これを用いることにより、上記▲2▼〜▲4▼の工程を一つの工程として、大幅に簡略化しうることを見出し本発明に到達した。
【0007】
すなわち本発明は、(A)数平均分子量500〜10,000の不飽和ポリエステル樹脂、数平均分子量300〜10,000の不飽和エポキシ樹脂、及び数平均分子量2,000〜50,000の不飽和アクリル樹脂から選ばれる少なくとも1種である重合性不飽和基含有樹脂、(B)重合性不飽和化合物((A)成分を除く)、(C)充填剤、及び(D)可視又は近赤外光重合開始剤を含むパテ組成物であって、該充填剤(C)としてゲル化重合体微粒子を(A)及び(B)の合計量100重量部に対して1〜100重量部含有することを特徴とするパテ組成物、及び該パテ組成物を基材面に塗布し可視光又は近赤外光を照射して硬化せしめた後、上塗り塗装してなる補修塗装方法を提供するものである。
【0008】
以下、本発明について説明する。
【0009】
本発明において使用される重合性不飽和基含有樹脂(A)は、1分子中に少なくとも1個のエチレン性不飽和基を有する樹脂であり、例えばポリエステル樹脂、アクリル樹脂、ビニル樹脂、ポリブタジエン樹脂、アルキド樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂などの樹脂に(メタ)アクリレ−ト基やアリル基等を導入したものが挙げられ、これらは1種又は2種以上併用して使用できる。これらは、重合性不飽和基を導入する従来公知の方法、例えばカルボキシル基を含有するアクリル樹脂或いはポリエステル樹脂とグリシジル(メタ)アクリレ−トとを反応させる、水酸基を含有するビニル樹脂或いはポリエステル樹脂と無水マレイン酸や無水イタコン酸とを反応させる、イソシアネ−ト基を有するウレタン樹脂と2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレ−ト等とを反応させる、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレ−ト等とジイソシアネ−ト化合物との反応物を水酸基含有樹脂に反応させる、などの方法により得ることができる。
【0010】
これらのうち樹脂(A)としては、特に数平均分子量500〜10,000の不飽和ポリエステル樹脂が、作業性等の面から好適である。該不飽和ポリエステル樹脂の製造に用いられる多塩基酸としては、例えば無水フタル酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、アジピン酸、ヘット酸などの飽和多塩基酸、無水マレイン酸、イタコン酸などの不飽和多塩基酸などが挙げられる。また多価アルコ−ルとしては、例えばエチレングリコ−ル、プロピレングリコ−ル、ネオペンチルグリコ−ル、トリメチロ−ルプロパン、ペンタエリスリト−ル、水添加ビスフェノ−ルA、ビスフェノ−ルAのエチレンオキサイド又はプロピレンオキサイド誘導体などが挙げられる。さらに不飽和ポリエステル樹脂は、アリル基を有することが硬化性、作業性の面から好適である。かかるアリル基の導入は、例えばグリセリンアリルエ−テル、トリメチロ−ルプロパンアリルエ−テルなどをアルコ−ル成分として用いてポリエステル主鎖中に導入する、あるいは多塩基酸に、多価アルコ−ル及びアリルグリシジルエ−テルを反応させてポリエステル主鎖中に導入するなどにより行われる。
【0011】
また樹脂(A)としては、数平均分子量300〜10,000の不飽和エポキシ樹脂が挙げられる。具体的には、例えばビスフェノ−ルAのジグリシジルエ−テル型のエポキシ樹脂、ダイマ−酸ジグリシジルエ−テル型のエポキシ樹脂、グリシジルエステル型のエポキシ樹脂、脂環式タイプのエポキシ樹脂などのエポキシ樹脂に(メタ)アクリル酸などの不飽和酸を付加してなる樹脂などが適当である。
【0012】
さらに樹脂(A)としては、数平均分子量2,000〜50,000の不飽和アクリル樹脂が挙げられる。具体的には、例えば(メタ)アクリル酸などのエチレン性不飽和酸を必須としこれにメチル(メタ)アクリレ−ト、ブチル(メタ)アクリレ−トなどの(メタ)アクリル酸エステル類、スチレン、(メタ)アクリロニトリルなどから選ばれる少なくとも1種のモノマ−を共重合させて得られるカルボキシル基含有アクリル樹脂にグリシジル(メタ)アクリレ−トやアリルグリシジルエ−テル等を付加してなる樹脂、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレ−トや(メタ)アリルアルコ−ル等とジイソシアネ−ト化合物との反応物を、水酸基含有モノマ−を必須としこれに上記モノマ−を共重合させて得られる水酸基含有アクリル樹脂に付加してなる樹脂などが適当である。
【0013】
本発明で使用しうる重合性不飽和化合物(B)としては、エチレン性不飽和基を有するモノマ−もしくはオリゴマ−であり、例えばエチル(メタ)アクリレ−ト、ブチル(メタ)アクリレ−ト、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレ−ト、イソボロニル(メタ)アクリレ−ト、ノルボルニル(メタ)アクリレ−ト、アダマンチル(メタ)アクリレ−ト、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレ−ト、トリメチロ−ルプロパントリ(メタ)アクリレ−ト、テトラメチロ−ルメタンテトラ(メタ)アクリレ−ト、テトラメチロ−ルメタンテトラ(メタ)アクリレ−ト、ジペンタエリスリト−ル(メタ)アクリレ−ト、トリシクロデカンジメタノ−ルジ(メタ)アクリレ−ト、2,2−ビス(4−(3−メタクリロキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)−フェニル)プロパン、ジ(メタクリロキシエチル)トリメチルヘキサメチレンジウレタン、2,2−ビス(4−メタクリロキシポリエトキシフェニル)プロパンなどの1価又は多価アルコ−ルの(メタ)アクリル酸エステル;エチレングリコ−ルジマレ−ト、プロピレングリコ−ルジイタコネ−トなど;4−(メタ)アクリロイルオキシメトキシカルボニルフタル酸、4−(メタ)アクリロイルオキシエトキシカルボニルフタル酸などの4−(メタ)アクリロイルオキシル基含有芳香族ポリカルボン酸及びその酸無水物;スチレン、α−メチルスチレン、クロロスチレン、ビニルトルエン、t−ブチルスチレン、ジビニルベンゼンなどの芳香族ビニル化合物;ジアリルフタレ−ト、ジアリルイソフタレ−ト、トリアリルフタレ−ト;エポキシアクリレ−ト、ポリエステルアクリレ−ト、ポリジメチルシリコンジ(メタ)アクリレ−ト、ウレタンオリゴマ−などが挙げられ、これらは1種又は2種以上併用して使用できる。
【0014】
上記樹脂(A)と化合物(B)の使用比は、これらの性状やさらに配合する充填剤等の種類や添加量により適宜決められるが、通常、重量比で90/10〜10/90、好ましくは80/20〜20/80であることが望ましい。
【0015】
本発明においては、上記樹脂(A)が重合性不飽和基だけでなくさらに反応性官能基を含有してもよい。この場合には、上記化合物(B)として(A)中の反応性官能基と反応しうる反応性官能基を含有する重合性不飽和化合物を使用する、あるいは樹脂(A)中の反応性官能基と反応しうる反応性官能基を含有する化合物(E)をさらに配合する、などが適当である。反応性官能基の組合せとしては、特に制限なく従来公知の組合せを選択でき、例えば水酸基とイソシアネ−ト基、エポキシ基とアミノ基、エポキシ基とカルボキシル基などの組合せが挙げられ、これら組合せの反応性官能基はどちらが樹脂(A)に含まれてもよい。具体的には、例えば樹脂(A)がエポキシ基を有する場合には、化合物(B)としてグリシジル(メタ)アクリレ−トとポリアミンとの付加物等を用いる、あるいは化合物(E)としてポリアミン化合物等を用いる、また例えば樹脂(A)が水酸基を有する場合には、化合物(B)として2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレ−トとポリイソシアネ−ト化合物との1:1付加物等を用いる、あるいは化合物(E)として(ブロック)ポリイソシアネ−ト化合物等を用いる、ことができる。かかる化合物(D)を用いる場合の使用量は、樹脂固形分全体に対して30重量%以下が適当である。
【0016】
また上記樹脂(A)及び化合物(B)に対して、官能基間で架橋する硬化性成分、例えばアクリルポリオ−ルなどの官能基含有樹脂及び(ブロック)ポリイソシアネ−ト化合物などの架橋剤からなる硬化性成分を樹脂固形分で30重量%以下の範囲で配合してもよい。
【0017】
上記反応性官能基含有化合物(B)や化合物(D)、あるいは硬化性成分を用いる場合には通常2液タイプとするのが望ましい。ブロックポリイソシアネ−ト化合物を用いる場合には一液でもよい。
【0018】
本発明では、充填剤(C)として樹脂粉末を含有する。該樹脂粉末としては、従来公知のポリマ−ビ−ズなどの樹脂粒子や前記モノマ−類の重合物を微細に粉砕したもの、さらにゲル化重合体微粒子(例えば、特開昭51−126287号公報、特開昭53−133233号公報、特開昭53−133236号公報、特開昭56−76447号公報、特開昭58−129065号公報参照)などが挙げられ、特にジビニルモノマ−を含むモノマ−混合物をアリル基含有反応性乳化剤の存在下で乳化重合して得られるゲル化重合体微粒子(例えば、特開平3−66770号公報参照)が(A)及び(B)成分に対する分散性に優れるので好適に使用できる。
【0019】
該ゲル化重合体微粒子の製造に用いられるジビニルモノマ−としては、例えばエチレングリコ−ルジ(メタ)アクリレ−ト、1,6−ヘキサンジオ−ルジアクリレ−トなどが挙げられ、その他のモノマ−としては、例えば(メタ)アクリル酸アルキルエステル、水酸基含有モノマ−、スチレンなどの従来公知の重合性不飽和モノマ−が挙げられ適宜選択されるものである。また乳化重合時の重合開始剤として水溶性アゾアミド化合物などを用いることができる。
【0020】
上記樹脂粉末の粒径は、特に制限なく適宜選択できるが、通常30μm以下、、好ましくは0.05〜10μmの範囲内が適当である。該粒径が30μmを越えると、特にパテ厚が薄い場合に、パテ塗面の平滑性が不良になるので好ましくない。粒径の調整は、従来公知の方法で行え、例えば上記ゲル化重合体微粒子であれば反応性乳化剤の種類や量を調整することで可能である。
【0021】
上記樹脂粉末は、上記(A)及び(B)の合計量に対して1〜100重量部、好ましくは5〜50重量部配合される。該配合量が100重量部を越えて多いとパテの粘度が高くなり作業性が低下し、一方1重量部未満では応力緩和剤としての効果が得られず付着性の向上も期待できないので好ましくない。
【0022】
また上記充填剤(C)として、さらに必要に応じて他の充填剤を配合することができる。該充填剤としては、例えばタルク、マイカ、硫酸バリウム、カオリン、炭酸カルシウム、クレ−、シリカ、石英、ガラスなどの体質顔料が使用でき、さらにチタン白、ベンガラ、カ−ボンブラック、鉄黒などの着色顔料も含むことができる。かかる樹脂粉末以外の充填剤の配合量は、塗料固形分中0〜70重量%程度である。
【0023】
本発明で使用しうる可視光又は近赤外光重合開始剤(D)としては、400〜1500nmの領域の光エネルギ−で励起するものであればよく、可視光重合開始剤としては、例えばカンファ−キノン、ベンジル、α−ナフチル、4、4´−ジメトキシベンジル、2,4,6−トリメチルベンゾイル、2−メチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、アントラキノン、3−ケトクマリン、ジフェニルホスフィンオキシド、アシルホスフィンオキシド、ジメチルアミノベンゾフェノン、10−ブチル−2−クロロアクリドン、フルオレノン、有機色素増感剤などが挙げられる。これら以外にも公知の開始剤系として、カチオン染料−ボレ−トアニオン化合物などのイオン染料−対イオン化合物の系(例えば、特開平1−60606号、特開平2−11607号公報)、金属アレ−ン化合物と有機色素の系(例えば、特開平4−363308号、特開平5−17525号公報)などが挙げられる。また近赤外光重合開始剤としては、例えばシアニン系色素、フタロシアニン系色素、ピリリウム系色素、チオピリリウム系色素、アズレニウム系色素、スクアリリウム系色素、Ni、Cr等の金属錯塩系色素、ナフトキノン系・アントラキノン系色素、インドフェノ−ル系色素、インドアニリン系色素、トリフェニルメタン系色素、トリアリルメタン系色素、アミニウム系・ジインモニウム系色素、ニトロソ化合物等のカチオン色素類の錯体が使用でき、具体的には特開昭62−143044号、特開平2−11607号、特開平3−111402号、特開平5−194619号、特開平4−77503号公報等に開示されている近赤外光吸収性陽イオン染料−ボレ−ト陰イオン錯体、特開平2−189548号に開示されているシアニン系色素とハロゲン化メチル基を有するトリアジン化合物あるいはシアニン系化合物と金属アレ−ン化合物や、特開平5−17525号に開示されている金属アレ−ン化合物とスクアリリウム色素、特開平2−4804号公報等に開示されているカチオン色素とホウ酸塩などが挙げられる。
【0024】
上記可視光又は近赤外光重合開始剤(D)の配合量は、(A)及び(B)の合計量に対して0.01〜10重量%程度である。
【0025】
上記開始剤(D)には、フリ−ラジカル連鎖過程で酸素を吸収しえる酸素除去剤や活性水素ドナ−の連鎖移動剤を併用することが好ましい。該酸素除去剤としては、フォスフィン、フォスファイト、フォスフォネ−ト、第1錫塩及び酸素により容易に酸化されるその他の化合物が挙げられ、連鎖移動剤としては、例えば、トリエチルアミン、N−メチルジフェニルアミン、4−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、トリエタノ−ルアミン、ジメチルエタノ−ルアミンなどの3級アミン、ジメチルアミノエチルメタクリレ−ト;N−フェニルグリシン、2−メルカプトベンゾキサゾ−ル、2−メルカプトベンゾチアゾ−ル;2,6−ジイソプロピル−N,N−ジアルキルアニリン、N,N,2,4,6−ペンタメチルアニリンなどのN,N−ジアルキルアニリン等が挙げられる。
【0026】
上記開始剤(D)には、ホウ素系増感剤を併用してもよい。ホウ素系増感剤としては、例えばテトラn−ブチルアンモニウムn−ブチルトリフェニルホウ素、テトラメチルアンモニウムn−ブチルトリフェニルホウ素、テトラn−ブチルフォスフォニウムn−ブチルトリフェニルホウ素等が挙げられる。
【0027】
また上記開始剤(D)には、有機過酸化物を併用してもよい。該有機過酸化物としては、ベンゾイルパ−オキサイド、メチルエチルケトンパ−オキサイド、シクロヘキサノンパ−オキサイドなどが挙げられる。
【0028】
本発明組成物は、素地や上塗り層との付着性向上、作業性向上などの点から、さらに必要に応じて繊維素誘導体、非反応性希釈剤、熱可塑性樹脂などを含有することができる。繊維素誘導体としてはセルロ−スアセテ−トブチレ−ト(CAB)、ニトロセルロ−ス等が挙げられ、さらに該CABなどの繊維素誘導体類と水酸基含有不飽和モノマ−や他のエチレン性不飽和モノマ−などの単量体混合物とのグラフト共重合体などを使用してもよい。非反応性希釈剤としては有機溶剤などが挙げられ、熱可塑性樹脂としてはポリエチレン、ポリスチレン、ポリメタクリル酸メチル、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニル、ポリカプロラクトンなどが挙げられる。このうち特にCABグラフト共重合体などの繊維素誘導体を用いると、パテ表面に水酸基が配向し上塗がウレタン硬化系の場合、付着性が向上するので好適である。
【0029】
これらは上記(A)及び(B)との相溶性が良好な範囲内で、これらの合計量に対して40重量%以下、好ましくは1〜20重量%程度配合されることが望ましい。
【0030】
また本発明組成物は、素地との付着性向上の点からリン酸基含有化合物を含有してもよい。リン酸基含有化合物としては、ジブチルホスフェ−ト、2−エチルヘキシルホスフェ−トなどの酸性リン酸エステル、酸性亜リン酸エステル、これらのポリリン酸化合物、リン酸共重合樹脂などが挙げられ、さらにリン酸基含有モノマ−を前記化合物(B)として用いてもよい。
【0031】
上記の通り得られるパテ組成物は、1回の塗布により数mm以上の膜厚でも形成でき、しかもタレずに損傷部等を修復できるものである。本発明方法はこれを基材面に塗布し、可視光又は近赤外光を照射して硬化せしめた後、上塗り塗装するものである。
【0032】
基材面としては、鉄、亜鉛、アルミなどの金属面やその化学処理面、プラスチック、木など、さらにこれらに塗装された旧塗膜面などが挙げられる。
【0033】
上記パテ組成物の塗装は、ヘラ付けなど従来公知の方法で行うことができ、塗装粘度を調整することでスプレ−付けしてもよい。さらに好適には、通常シ−リング剤等が充填されているようなプラスチック製や金属製チュ−ブ、押し出しカ−トリッジなどの容器に上記パテ組成物を充填して用いることができ、チュ−ブなどから押し出したパテ組成物を損傷箇所に直接あてがってパテ付けし、必要によりヘラやロ−ラ−などでならすことで容易に処理できる。
【0034】
次いでパテ組成物は可視光又は近赤外光を照射して硬化せしめる。使用する光源としては、400〜1500nmの波長を出すものであれば特に制限なく使用でき、例えばハロゲンランプ、キセノンランプ、クリプトンランプ、蛍光灯、太陽光、半導体レ−ザ−、発光ダイオ−ドなどが挙げられる。照射条件はパテ層の厚みや組成などにより適宜選択することができる。
【0035】
上記光硬化型パテ層を硬化せしめた後、必要に応じて該面を研磨し上塗り塗装することができる。さらに上塗り塗装の前に必要に応じてプライマ−サ−フェ−サ−塗装をしてもよい。プライマ−サ−フェ−サ−塗装には、ラッカ−系、ウレタン系、アルキド系、エポキシ系などの通常補修用に使用されているプラサフが特に制限なく使用できる。
【0036】
上塗り塗装には、アクリルラッカ−、ウレタン硬化型塗料、フッ素樹脂系塗料などの通常補修用に使用されている有機溶剤系、水系等の上塗り塗料が特に制限なく使用でき、特にウレタン硬化形塗料が好適である。
【0037】
本発明のパテ組成物は、自動車補修、鉄道車両、産業機器、木工類用などに有用であり、またこれに限らず建築物や家具類のひび割れの補修や目地止めなどにも使用できる。
【0038】
【実施例】
以下、実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明する。尚、「部」及び「%」はそれぞれ「重量部」及び「重量%」を示す。
【0039】
樹脂粉末の製造
攪拌装置、温度計、冷却管及び加熱マントルを備えた1リットルフラスコに、脱イオン水3547.5部と「ラテムルS−120A」(花王社製、スルホコハク酸系アリル基含有アニオン性反応性乳化剤、50%水溶液)40部を加えて攪拌しながら90℃まで昇温した。次いでこの中に「VA−086」(和光純薬工業社製、水溶性アゾアミド重合開始剤)12.5部を脱イオン水500部に溶解した水溶液の20%を加えた。15分後にスチレン300部、メチルメタクリレ−ト400部、n−ブチルアクリレ−ト200部、1,6−ヘキサンジオ−ルジアクリレ−ト100部からなるモノマ−混合物の5%を加え、30分間攪拌した。その後、さらに残りのモノマ−混合物及び重合開始剤水溶液の滴下を開始し、モノマ−混合物の滴下は3時間で、重合開始剤水溶液の滴下は3.5時間かけてそれぞれ行ない、その間90℃に保持した。重合開始剤水溶液の滴下終了後、さらに30分間90℃に保持してから室温に冷却し、濾布を用いて取り出し、固形分20%の水性ゲル化微粒子重合体水分散液を得た。その粒径は72nmであった。これをステンレスパット上で乾燥させ樹脂粉末Gを得た。
【0040】
パテ組成物の製造
実施例1
不飽和基含有エポキシ樹脂SP−1507(昭和高分子社製、エポキシアクリレ−ト樹脂、数平均分子量480)100部、スチレン15部、上記製造例で得た樹脂粉末G10部を混合・攪拌し、ディスパ−で20分間攪拌後、カンファ−キノン2部、N,N,2,4,6−ペンタメチルアニリン1部を添加・混合してパテ組成物を得た。
【0041】
実施例2〜12及び比較例1〜4
実施例1において、樹脂、モノマ−、開始剤など配合成分を表1に示す配合とする以外は実施例1と同様に行い、パテ組成物を得た。実施例8、9及び比較例1、2では攪拌機としてディスパ−のかわりに高速ディゾルバ−を使用した。また比較例1では、塗布直前にメチルエチルケトンパ−オキサイドを配合した。
【0042】
上記で得られた各パテ組成物を、下記に示す各試験板上に5mm厚になるようヘラで塗布し、「プリズマライト」(コ−ルク社製、ハロゲンランプ)にて照射距離15cmで10分間照射した。尚、比較例2は出力100Wの高圧水銀ランプにて照射距離10cmで30秒間照射した。得られた試験塗板の性能試験結果を表1に示す。
【0043】
試験板:軟鋼板(90×150×0.8mm)、亜鉛メッキ鋼板(90×150×0.8mm)、アルミ板(90×150×1mm)、及び亜鉛メッキ鋼板上に「アミラックホワイト」(アミノアルキド樹脂系塗料、関西ペイント社製)を乾燥膜厚40μmになるよう塗装し140℃で20分間焼付け乾燥後#400耐水ペ−パ−で軽く研磨した塗装板、の4種を試験板とした。
【0044】
表1中の(注)及び試験方法は下記の通りである。
【0045】
(注1)不飽和基含有エポキシ樹脂「SP−5003」:昭和高分子社製、エポキシアクリレ−ト樹脂
(注2)不飽和基含有ポリエステル樹脂「ポリセット1127、1721」:日立化成工業社製、アリル基含有ポリエステル樹脂
(注3)ライトエステルPM:共栄社化学社製、2−メタクリロイルオキシエチル−アシッドホスフェ−ト
(注4)アクリディックA−801P:大日本インキ化学工業社製、アクリルポリオ−ル樹脂、固形分50%
(注5)デュラネ−トTPA−90E:旭化成社製、ヘキサメチレンジイソシアネ−ト
(注6)デュラネ−トMF−B:旭化成社製、ブロックポリイソシアネ−ト
(注7)MP−1000:綜研化学社製、ポリマ−微粒子、粒径0.4μm
(注8)開始剤A:下記構造式で示される近赤外重合開始剤。
【0046】
【化1】
【0047】
(注9)開始剤B:下記構造式で示される近赤外重合開始剤。
【0048】
【化2】
【0049】
試験方法
(*1)乾燥性:試験塗板の表面のタック及び内部の硬化を指触にて調べた(○:良好、△:表面に若干タックあるが内部は硬化良好、×:表面にタックはないが内部は硬化不良)。
【0050】
(*2)付着性:各試験塗板を中央部より90°角に折り曲げて、該折り曲げ部のパテの状態を観察した(○:良好、×:パテが剥離している)。
【0051】
(*3)研磨性:試験塗板の表面を#400耐水ペ−パ−にて研磨し研磨状態を観察した(○:良好、△:若干からみあり、×:かなりからみあり)。
【0052】
【表1】
【0053】
塗装
実施例13〜24及び比較例6〜8
軟鋼板(90×150×0.8mm)上に、表2に示すパテ組成物を10mm厚になるようヘラで塗布しならして、透明なPETフィルムでカバ−をし、次いでこれを「トランクスラックス」(カルザ−社のハロゲンランプ)にて照射距離15cmで10分間照射して硬化させた。得られたパテ面を必要により#400耐水ペ−パ−で軽く研磨した後、「レタンPG−80ホワイト」(アクリルウレタン樹脂系上塗り塗料、関西ペイント社製)を乾燥膜厚50μmになるようスプレ−塗装し60℃で30分間乾燥させて塗装板を得た。
【0054】
比較例5
実施例13において、ハロゲンランプ照射のかわりに出力100Wの高圧水銀ランプにて照射距離10cmで30秒間照射する以外は実施例13と同様に行った。
【0055】
実施例25〜28
軟鋼板(90×150×0.8mm)上に、表2に示すパテ組成物を5mm厚になるようヘラで塗布しならして、透明なPETフィルムでカバ−をし、次いでこれを「トランクスラックス」(カルザ−社のハロゲンランプ)にて照射距離15cmで10分間照射して硬化させた。得られたパテ面を必要により#400耐水ペ−パ−で軽く研磨した後、「アクリック2101メタリックベ−ス」(セルロ−スアセテ−トブチレ−ト変性アクリルラッカ−、エアゾ−ルタイプ、関西ペイント社製)を乾燥膜厚約20μmになるよう塗装し、室温で10分間放置後、「PG2Kワンパッククリヤ−」(ウレタン硬化型クリヤ−、エアゾ−ルタイプ、関西ペイント社製)を乾燥膜厚約40μmになるよう塗装し乾燥させて塗装板を得た。
【0056】
上記で得られた塗装板の性能試験結果を表2に示す。表2中の試験方法は下記の通りである。
【0057】
(*4)仕上り性:塗装板の仕上り性を目視で評価した(○:良好、△:若干塗面にひずみあり、×:塗面にかなりひずみ・パテあとあり)。
【0058】
(*5)耐水性:上記塗装板を上水に7日間浸漬した後、塗面状態(ブリスタ−の発生)を観察し、さらに折り曲げ付着性試験(*2)及びゴバン目テ−プ付着試験を行った。塗面状態(○:良好、△:一部ブリスタ−発生、×:全面にブリスタ−発生)、ゴバン目テ−プ付着(○:剥離なし、△:一部剥離あり、×:全面に剥離あり)。
【0059】
(*6)ヘラ塗布作業性:上記の通りパテ組成物をヘラで塗布する際に、パテのならし易さ、及び塗布直後の塗面状態を目視で観察した(○:パテがならし易くしかも素穴もなく平滑な塗面が得られている、△:パテがややならし難く平滑な塗面が得られない、×:パテがならし難く、素穴も多く平滑な塗面が得られない)。
【0060】
【発明の効果】
本発明のパテ組成物は、可視光又は近赤外光硬化型なので、紫外線硬化のように有害ガスが発生することなく厚みのある硬化物が得られる。また樹脂粉末を特定量含有することにより、光を透過するので硬化性を低下させることなく、応力緩和がなされまた体積収縮が減少して付着性、柔軟性が向上し、またパテの流動特性がチクソトロピックになるためヘラ等による塗布作業性が向上し容易に平滑なパテ塗面が得られる。さらに本発明組成物は、硬化時間が短く一液型で無溶剤化が可能な省資源組成物で環境汚染の低減化が図れ、これを用いることにより大幅に工程を簡略化した補修塗装が可能である。
【0061】
【表2】
Claims (6)
- (A)数平均分子量500〜10,000の不飽和ポリエステル樹脂、数平均分子量300〜10,000の不飽和エポキシ樹脂、及び数平均分子量2,000〜50,000の不飽和アクリル樹脂から選ばれる少なくとも1種である重合性不飽和基含有樹脂、(B)重合性不飽和化合物((A)成分を除く)、(C)充填剤、及び(D)可視又は近赤外光重合開始剤を含むパテ組成物であって、該充填剤(C)としてゲル化重合体微粒子を(A)及び(B)の合計量100重量部に対して1〜100重量部含有することを特徴とするパテ組成物。
- ゲル化重合体微粒子が粒径30μm以下である請求項1記載のパテ組成物。
- ゲル化重合体微粒子が、ジビニルモノマーを含むモノマー混合物をアリル基含有反応性乳化剤の存在下で乳化重合して得られるものである請求項1記載のパテ組成物。
- 樹脂(A)と化合物(B)の使用比が、重量比で90/10〜10/90である請求項1記載のパテ組成物。
- (D)の配合量が、(A)及び(B)の合計量に対して0.01〜10重量%である請求項1記載のパテ組成物。
- 基材面に、請求項1ないし5のいずれか1項記載の光硬化型パテ組成物を塗布し可視光又は近赤外光を照射して硬化せしめた後、上塗り塗装してなる補修塗装方法。
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