JP3544774B2 - 塗料用不飽和ポリエステル樹脂組成物 - Google Patents

塗料用不飽和ポリエステル樹脂組成物 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、塗料用不飽和ポリエステル樹脂組成物に関し、更に詳しくは、人体に悪影響を及ぼさず、粘度安定性及び硬化性に優れた塗料用不飽和ポリエステル樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、多価アルコールアリルエーテル成分やジシクロペンタジエン等を含有した不飽和ポリエステル樹脂は、空乾性を有して光沢や肉持ち感が好ましく、しかも美麗な仕上がりを与えるため、一般(木工用)塗料、シーリング材、接着剤、成形物等に用いられている。
そして、かかる不飽和ポリエステル樹脂を主成分とする硬化型樹脂組成物は、上記の如く不飽和ポリエステル樹脂中に多価アルコールアリルエーテル成分やシクロペンタジエンあるいはジシクロペンタジエン類等を導入した不飽和ポリエステル樹脂以外に架橋性モノマー、開始剤、硬化助剤等が配合され、該架橋性モノマーとしてはスチレンが多用されているのが実情である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、かかるスチレンは、揮発性が高く、悪臭も強く、人体に対して悪影響を及ぼす恐れがあり、その使用に際しては要注意で、毒性の少ない架橋性モノマーが望まれ、更には硬化性樹脂組成物とした時の硬化性や粘度安定性に優れた架橋性モノマーが望まれるところである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
そこで、本発明者が鋭意研究を重ねた結果、PII値(皮膚毒性指数)が2以下であるポリエチレングリコールジアクリレート、エチレンオキサイド変性ビスフェノールAジアクリレート、トリメチロールプロパンエチレンオキサイド付加トリアクリレートから選ばれる少なくとも1種の(メタ)アクリル系エステル系化合物(A)及び、酸価10〜30KOHmg/g、重量平均分子量3000〜30000(更には4000〜25000)で、かつシクロペンタジエン系単位、ジシクロペンタジエン系単位、多価アルコールアリルエーテル単位から選ばれる少なくとも1種の単位を有する不飽和ポリエステル樹脂(B)からなる塗料用不飽和ポリエステル樹脂組成物が、上記の目的を達成することを見い出し、本発明を完成するに至った。
なお、PII値とは、Primary Irritation Indexの略称で、 The Consumer Product Safety Commission of the U.S.AのThe Code of Federal Regulations,Title 16,Section 1500.41の規定に準じて測定される皮膚毒性指数を表す。
【0005】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明に用いられるPII値(皮膚毒性指数)が2以下の(メタ)アクリル系エステル系化合物(A)としては、ポリエチレングリコール(#300)ジアクリレート(PII値=0.0)、ポリエチレングリコール(#400)ジアクリレート(PII値=0.4)、EO(エチレンオキサイド)変性ビスフェノールAジアクリレート(PII値=0.5)。
【0006】
リメチロールプロパンEO(エチレンオキサイド)付加トリアクリレート(PII値=1.5)が挙げられる
【0007】
また、本発明で用いられる不飽和ポリエステル樹脂(B)とは、酸価10〜30KOHmg/gで、重量平均分子量が3000〜30000(更には4000〜25000)の不飽和ポリエステル樹脂であり、該不飽和ポリエステル樹脂は、通常多塩基酸と不飽和酸(必要に応じて飽和酸が併用される)の縮合生成物で、該不飽和酸としては例えば無水マレイン酸、マレイン酸、フマール酸、無水イタコン酸、イタコン酸等が挙げられ、飽和酸としては無水フタル酸、フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、ヘット酸、アジピン酸、テトラヒドロ無水フタル酸、3−メチルテトラヒドロ無水フタル酸、トリメリット酸、無水トリメリット酸、ピロメリット酸、無水ピロメリット酸、6−メチル−4−シクロヘキセン−1,2,3トリカルボン酸無水物等が挙げられる。
【0008】
又、該不飽和酸と縮重合させられる多価アルコールとしては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、水添ビスフェノールA、ビスフェノールAジオキシプロポキシエーテル、ビスフェノールAジポリオキシプロポキシエーテル、ビスフェノールAジオキシエトキシエーテル、ビスフェノールAジポリオキシエトキシエーテル、1,9−ノナンジオール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、1,3−ブチレングリコール、2,3−ブチレングリコール、1,4−ブチレングリコール、1,6−ヘキサンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタン−ジオール、ネオペンチルグリコール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、グリセリン、ペンタエリスリトール、シクロヘキサンジメタノールなどが挙げられる。
【0009】
本発明においては、かかる不飽和ポリエステル樹脂(B)の構成単位として、シクロペンタジエン単位、ジシクロペンタジエン系単位、多価アルコールアリルエーテル単位から選ばれる少なくとも1種を含有することが必要であり、かかるシクロペンタジエン単位、ジシクロペンタジエン系単位とは、シクロペンタジエン、ジシクロペンタジエン、更にはこれらの誘導体が挙げられ、該誘導体の例としてはマレイン酸トリシクロデセニル、フマール酸トリシクロデセニル、アジピン酸トリシクロデセニル、フタル酸トリシクロデセニル、イソフタル酸トリシクロデセニル、トリメリット酸トリシクロデセニル、エチレングリコールトリシクロデセニルエーテル、ジエチレングリコールトリシクロデセニルエーテル、プロピレングリコールトリシクロデセニルエーテル、1,4−ブタンジオールトリシクロデセニルエーテル、1,6−ヘキサンジオールトリシクロデセニルエーテル、ネオペンチルグリコールトリシクロデセニルエーテル、グリセリントリシクロデセニルエーテル、トリメチロールプロパントリシクロデセニルエーテル、ヒドロキシル化ジシクロペンタジエン等が挙げられ、また、多価アルコールアリルエーテル単位としては、具体的にはペンタエリスリトールトリアリルエーテル、トリメチロールプロパンジアリルエーテル、グリセリンモノアリルエーテル、トリメチロールエタンジアリルエーテル、グリセリンジアリルエーテルなどが挙げられ、いずれも分子中に少なくとも1個の水酸基を含有するエーテルである。
【0010】
かかるシクロペンタジエン系単位、ジシクロペンタジエン系単位、多価アルコールアリルエーテル単位から選ばれる少なくとも1種の(B)成分中の構成割合は、本発明の不飽和ポリエステル樹脂組成物を活性エネルギー線により硬化する硬化型樹脂組成物とするときには、多塩基酸成分に対して2〜40モル%とすることがより好ましく、シクロペンタジエン系単位またはジシクロペンタジエン系単位の場合は15〜30モル%存在させることがより好ましい。かかる割合が2モル%未満では十分な空乾性が得られず、又40モル%を越えると硬化性が低下する。また、多価アルコールアリルエーテル単位の場合は10〜30モル%存在させることがより好ましく、2モル%未満では十分な空乾性が得られず、又空乾性も低下する。一方50モル%を越えて導入しても量に比較して格別顕著な向上は見られない。
【0011】
また、本発明の不飽和ポリエステル樹脂組成物を常温または加熱により硬化する硬化型樹脂組成物とするときには、多塩基酸成分に対して10〜50モル%とすることがより好ましく、シクロペンタジエン系単位またはジシクロペンタジエン系単位の場合は20〜50モル%存在させることがより好ましい。かかる割合が10モル%未満では十分な空乾性が得られず、又50モル%を越えると速乾性が低下する。また、多価アルコールアリルエーテル単位の場合は10〜40モル%存在させることがより好ましく、10モル%未満では十分な空乾性が得られず、一方40モル%を越えて導入しても量に比較して格別顕著な向上は見られない。
なお、上記の含有モル%は、多塩基酸成分1モルに対するそれぞれの割合で、50モル%とは多塩基酸成分1モルに対して0.5モル配合することを意味する。
【0012】
かかるシクロペンタジエン系単位やジシクロペンタジエン系単位を不飽和ポリエステル樹脂(B)中に導入するには、基本的にはシクロペンタジエン、ジシクロペンタジエン及びこれらの誘導体の少くとも1種を多塩基酸と共に仕込んで縮合反応を行うが、シクロペンタジエン系単位やジシクロペンタジエン系単位が不飽和ポリエステル樹脂末端にあるよりも該樹脂の主鎖中にある場合の方が塗料等に供したときには、塗料物性が優れている傾向があるので、かかる樹脂を製造するためには、シクロペンタジエン、ジシクロペンタジエン及びこれらの誘導体の少なくとも1種は縮合初期に仕込むことが望ましい。
また、多価アルコールアリルエーテル単位を不飽和ポリエステル樹脂中に導入するには、上記のシクロペンタジエン系単位やジシクロペンタジエン系単位の場合と同様に行えばよい。
【0013】
不飽和ポリエステル樹脂(B)の製造に当たっては、上記の各成分を使用して、常法に従い、不活性ガス雰囲気中温度150〜250℃程度で縮合又は付加反応させればよく、得られた不飽和ポリエステル樹脂(B)は酸価が10〜30KOHmg/gでることが必要で、好ましくはエステル化を促進したりして酸価を10〜20KOHmg/gの範囲にすることが好ましく、該不飽和ポリエステル樹脂の重量平均分子量としては上記の如く3000〜30000とすることが必須で、さらには4000〜25000が好ましく、該重量平均分子量が3000未満では硬化物の物理物性が低く、硬化性も遅く、逆に30000を越えると粘度が高くなって希釈モノマーが多量必要となり、硬化速度が遅くなり不適である。
【0014】
なお、本発明の重量平均分子量とは、ゲルパーミッションクロマトグラフィー(GPC)によって測定されるもので、例えばショーデックスシステム(昭和電工社製)でKF−806のカラムを用い、テトラヒドロフランを溶媒としポリスチレンを標準として測定することができる。
【0015】
また、本発明のポリエステル樹脂組成物を活性エネルギー線により硬化する硬化型樹脂組成物として使用する場合には、更にラジカル発生型光重合開始剤(C)を併用する必要があり、該開始剤(C)としては、光の作用によりラジカルを発生するものであれば特に限定されず、具体的には、4−フェノキシジクロロアセトフェノン、4−t−ブチル−ジクロロアセトフェノン、ジエトキシアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−(4−イソプロピレンフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、1−(4−ドデシルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−1−〔4−(メチルチオ)フェニル〕−2−モルホリノプロパン−1、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンジルジメチルケタール、ベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸、ベンゾイル安息香酸メチル、4−フェニルベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4′−メチルジフェニルサルファイド、3,3′−ジメチル−4−メトキシベンゾフェノン、チオキサンソン、2−クロルチオキサンソン、2−メチルチオキサンソン、2,4−ジメチルチオキサンソン、イソプロピルチオキサンソン、カンファーキノン、ジベンゾスベロン、2−エチルアンスラキノン、4′,4″−ジエチルイソフタロフェノン、3,3′,4,4′−テトラ(t−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、α−アシロキシムエステル、アシルホスフィンオキサイド、メチルフェニルグリオキシレート、ベンジル、9,10−フェナンスレンキノン、4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル−(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン等が挙げられ、これらの助剤としてトリエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、4,4′−ジメチルアミノベンゾフェノン(ミヒラーケトン)、4,4′−ジエチルアミノベンゾフェノン、2−ジメチルアミノエチル安息香酸、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸(n−ブトキシ)エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、4−ジメチルアミノ安息香酸2−エチルヘキシル、2,4−ジエチルチオキサンソン、2,4−ジイソプロピルチオキサンソン等を併用することも可能であり、これらのラジカル発生型光重合開始剤の中では、ベンジルジメチルケタール、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、ベンゾイルイソプロピルエーテル、4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オンが好適に用いられる。
【0016】
かかる(A)〜(C)を配合してなる組成物は、その配合比については特に限定されないが、本発明の効果を効率よく得るためには、(A):(B):(C)の配合重量比が100:60〜200:2〜20が好ましく、更には100:80〜120:3〜10が好ましい。かかる範囲よりも(B)が少ないと物理物性が悪く、硬化性も遅く、逆に多いと粘度が高くなって作業性が低下する。また、(C)が過少のときは硬化性が遅く、逆に過多であっても硬化性は向上せず無駄である。
また、上記の(A)〜(C)以外にも、消泡剤、難燃剤、帯電防止剤、可塑剤等を併用することも可能である。
【0017】
かかる配合で得られた硬化型樹脂組成物を硬化させる方法としては、上記のラジカル発生型光重合開始剤(C)を活性化させる方法であれば特に限定されず、遠紫外部、紫外部、近紫外部、赤外部の光線、X線、γ線等の電磁波や電子線、プロトン線、中性子線などの活性エネルギー線を照射して硬化させる方法等が挙げられるが、放射線照射装置の入手のし易さ、価格等から、紫外線照射による硬化方法が有利で、該紫外線とは150〜450nm波長域の光を主体としたもので、高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、キセノンランプ、ケミカルランプ等を用いて照射する方法が挙げられる。
【0018】
また、本発明のポリエステル樹脂組成物を常温または加熱により硬化する硬化型樹脂組成物として使用する場合には、上記のラジカル発生型光重合開始剤(C)に替えて熱によるラジカル発生剤(D)を用いればよい。かかるラジカル発生剤(D)としては、メチルエチルケトンパーオキサイド、シクロヘキサノンパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、t−ブチルパーベンゾエート、等が挙げられ、これらの助剤としてオクテン酸コバルト、ナフテン酸コバルト、オクテン酸マンガン、ナフテン酸マンガン、各種アミン化合物等を併用することも可能であり、好適にはメチルエチルケトンパーオキサイドとオクテン酸コバルトが併用される。
【0019】
かかる(A)、(B)及び(D)を配合してなる組成物は、その配合比については特に限定されないが、本発明の効果を効率よく得るためには、(A):(B):(D)の配合重量比が100:60〜200:2〜20が好ましく、更には100:80〜120:3〜10が好ましい。かかる範囲よりも(B)が少ないと物理物性が悪く、硬化性も遅く、逆に多いと粘度が高くなって作業性が低下する。また、(D)が過少のときは硬化性が遅く、逆に過多であっても硬化性は向上せず無駄である。
また、上記の(A)、(B)及び(D)以外にも、消泡剤、難燃剤、帯電防止剤、可塑剤等を併用することも可能である。
【0020】
かくして得られた本発明のポリエステル樹脂組成物(硬化型樹脂組成物)は、各種基材用のコーティング剤(塗料)等に幅広く利用することができ、その用途により、本発明の効果を阻害しない範囲において、顔料(チタン白、シアニンブルー、ウォッチングレッド、ベンガラ、カーボンブラック、アニリンブラック、マンガンブルー、鉄黒、ウルトラマリンブルー、ハンザレッド、クロームイエロー、クロームグリーンなど)、充填剤(炭酸カルシウム、カオリン、クレー、タルク、マイカ、アルミナ、アスベスト粉、微粉シリカ、硫酸バリウム、リトポン、石コウ、ステアリン酸亜鉛、パーライトなど)、レベリング剤(シリコーン、セルロースアセテートブチレート、界面活性剤など)、安定剤、熱可塑性樹脂(高密度、中密度、低密度の各種ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリペンテン等の単独重合体、エチレン−プロピレン共重合体、ナイロン−6、ナイロン−6,6 等のポリアミド系樹脂、塩化ビニル系樹脂、ニトロセルロース系樹脂、塩化ビニリデン系樹脂、アクリル系樹脂、アクリルアミド系樹脂、スチレン系樹脂、ビニルエステル系樹脂、ポリエステル系樹脂など)、補強剤(ガラス繊維、炭素繊維など)、垂れ止め剤(水添ヒマシ油、微粒子無水硅酸など)、艶消し剤(微粉シリカ、パラフィンワックスなど)、研削剤(ステアリン酸亜鉛など)などを配合することも可能で、このときの顔料の配合量は2〜20重量%、充填剤の配合量は2〜50重量%、レベリング剤の配合量は0.001〜5重量%、熱可塑性樹脂の配合量は5〜30重量%、垂れ止め剤の配合量は1〜5重量%、艶消し剤の配合量は1〜10重量%、研削剤の配合量は1〜10重量%の範囲より適宜選択される。
また、希釈剤として、酢酸エチル、トルエン、キシレン、ブタノール、アセトン、メチルイソブチルケトン、メチルエチルケトン、セロソルブ類、ジアセトンアルコールなど)を1〜10重量%程度添加することも可能である。
【0021】
【実施例】
以下、実施例を挙げて本発明を更に具体的に説明する。
尚、実施例中「%」及び「部」とあるのは、特にことわりのない限り重量基準を表す。
以下の要領で不飽和ポリエステル樹脂(B−I〜VI及びB−i〜ii)を製造した。
(B−I)
撹拌機、精留塔、窒素導入管、真空装置を付した反応器に、ジシクロペンタジエン0.15モル、フマル酸1モル及び酢酸コバルトを50ppm仕込んで、150℃で2時間付加反応を行った後、エチレングリコール0.3モル、ジエチレングリコール0.7モルを仕込み、更にキシレン3%およびハイドロキノン(重合禁止剤)0.02%を仕込み(仕込量はいずれも縮合成分全量に対し)、窒素ガスを吹き込みながら210℃で5時間縮合反応を行った後、5〜50mmHg、150℃で1時間反応を続け、キシレンを留去し、酸価15KOHmg/g、重量平均分子量10000の不飽和ポリエステル樹脂(B−I)を得た。
【0022】
(B−II)
撹拌機、精留塔、窒素導入管、真空装置を付した反応器に、トリメチロールプロパンジアリルエーテル0.2モル、マレイン酸1モル、エチレングリコール0.6モル、ジエチレングリコール0.6モルを仕込み、更にキシレン3%およびハイドロキノン(重合禁止剤)0.02%を仕込み(仕込量はいずれも縮合成分全量に対し)、窒素ガスを吹き込みながら200℃で5時間縮合反応を行った後、5〜50mmHg、150℃で1時間反応を続け、キシレンを留去し、酸価12KOHmg/g、重量平均分子量9000の不飽和ポリエステル樹脂(B−II)を得た。
【0023】
(B−III)
上記B−Iの製造において、ジシクロペンタジエンを0.25モルとし、ジエチレングリコールを0.45モルとし、更にプロピレングリコールを0.2モル添加した以外は同様に行って、酸価10KOHmg/g、重量平均分子量8000の不飽和ポリエステル樹脂(B−III)を得た。
【0024】
(B−IV)
撹拌機、精留塔、窒素導入管、真空装置を付した反応器に、ペンタエリスルトールアリルエーテル0.15モル、マレイン酸0.8モル、フタル酸0.2モル、エチレングリコール1モル、ジエチレングリコール0.2モルを仕込み、更にキシレン3%およびハイドロキノン(重合禁止剤)0.02%を仕込み(仕込量はいずれも縮合成分全量に対し)、窒素ガスを吹き込みながら200℃で5時間縮合反応を行った後、5〜50mmHg、150℃で1時間反応を続け、キシレンを留去し、酸価10KOHmg/g、重量平均分子量8000の不飽和ポリエステル樹脂(B−IV)を得た。
【0025】
(B−i;比較用樹脂)
上記B−Iの製造において、エチレングリコールを0.45モルとした以外は同様に行って、酸価13KOHmg/g、重量平均分子量2500の不飽和ポリエステル樹脂(B−i)を得た。
(B−ii;比較用樹脂)
上記B−Iの製造において、ジエチレングリコールを0.6モルとした以外は同様に行って、酸価9KOHmg/g、重量平均分子量35000の不飽和ポリエステル樹脂(B−ii)を得た。
【0026】
実施例1
上記の不飽和ポリエステル樹脂(B−I)50部にポリエチレングリコール(#300)ジアクリレート(A)(PII値=0.0)50部、ハイドロキノンモノメチルエーテル400ppm、及びラジカル発生型光重合開始剤(C)としてベンジルジメチルケタール(チバガイギー社製;イルガキュアー651)4部を添加して、粘度300cps/20℃の活性エネルギー線硬化型樹脂組成物を得た。
得られた硬化型樹脂組成物について、以下の評価を行った。
【0027】
(硬化性)
得られた硬化型樹脂組成物を予め目止め処理が施されたナラ材に液循環式のロールコーターにて100g/m塗布し、80W/cmの高圧水銀灯下15cmを4m/minの速度で繰り返し通過させて、爪による擦り傷の痕跡が認められなくなるまでの通過回数を調べた。
(耐寒熱性)
得られた硬化型樹脂組成物をシナ合板(150×150cm)にスプレーにて200g/m塗布し、その後上記の硬化性の評価と同様に擦り傷の痕跡が認められなくなるまで硬化作業を繰り返し行って得られた試験体を、80℃×2時間及び−20℃×2時間を1サイクルとして、寒熱繰り返しを行って、表面硬化皮膜に割れが生じるまでのサイクル数(回)を調べた。
(溶液安定性)
得られた硬化型樹脂組成物を500mlの容器に300ml入れて、40℃で1時間卓上撹拌機で撹拌後、20℃での粘度を測定して、溶液(硬化型樹脂組成物)の撹拌前後の20℃における粘度変化を調べた。
【0028】
実施例2
実施例1において、不飽和ポリエステル樹脂(B−I)に代えて不飽和ポリエステル樹脂(B−II)を用いた以外は、実施例1と同様に行って同様に評価を行った。
【0029】
実施例3
上記の不飽和ポリエステル樹脂(B−III)50部にポリエチレングリコール(#300)ジアクリレート(A)(PII値=0.0)50部、オクテン酸コバルト0.3部、及び熱によるラジカル発生剤(D)として50%メチルエチルケトンパーオキサイド0.8部を添加して熱硬化型樹脂組成物を得た。
得られた硬化型樹脂組成物について、以下の評価を行った。
【0030】
(硬化性)
得られた硬化型樹脂組成物を、予め目止め処理が施されたナラ材に液循環式のロールコーターにて100g/m塗布し、80℃雰囲気下で10分間加熱を行った後、更に24時間室温放置後の塗布表面の爪による擦り傷の痕跡の有無を調べた。
(耐寒熱性)
得られた硬化型樹脂組成物をシナ合板(150×150cm)にスプレーにて200g/m塗布し、その後上記の硬化性の評価と同様に、80℃×2時間及び−20℃×2時間を1サイクルとして、寒熱繰り返しを行って、表面硬化皮膜に割れが生じるまでのサイクル数(回)を調べた。
(溶液安定性)
実施例1と同じ。
【0031】
実施例4
実施例3において、不飽和ポリエステル樹脂(B−III)に代えて不飽和ポリエステル樹脂(B−IV)を用いた以外は、実施例3と同様に行って同様に評価を行った。
【0032】
実施例5
実施例1において、ポリエチレングリコール(#300)ジアクリレート(A)(PII値=0.0)に替えて、トリメチロールプロパンEO(エチレンオキサイド)付加トリアクリレート(A)(PII値=1.5)を用いた以外は同様に行った。
【0033】
実施例6
実施例2において、ポリエチレングリコール(#300)ジアクリレート(A)(PII値=0.0)に替えて、EO(エチレンオキサイド)変性ビスフェノールAジアクリレート(A)(PII値=0.5)を用いた以外は同様に行った。
【0034】
比較例1、2
上記の不飽和ポリエステル樹脂(B−i;比較例1)及び(B−ii;比較例2)を用いて実施例1と同様に硬化性樹脂組成物の評価を行った。
比較例3
実施例1においてポリエチレングリコール(#300)ジアクリレート(A)(PII値=0.0)に替えてスチレンを用いた以外は、実施例1と同様に行って同様に評価を行った。
比較例4
実施例1においてポリエチレングリコール(#300)ジアクリレート(A)(PII値=0.0)に替えて2−ヒドロキシエチルアクリレート(PII値=8.0)を用いた以外は、実施例1と同様に行って同様に評価を行った。
実施例及び比較例の評価結果を表1に示す。
【0035】
【表1】
Figure 0003544774
【0036】
【発明の効果】
本発明の塗料用ポリエステル樹脂組成物は、特定架橋性モノマーを配合しているため、人体に対して悪影響を及ぼさず、かつ硬化性樹脂組成物とした場合には硬化性及び粘度安定性に優れ、各種基材用のコーティング剤(塗料)に有用である。

Claims (8)

  1. PII値(皮膚毒性指数)が2以下であるポリエチレングリコールジアクリレート、エチレンオキサイド変性ビスフェノールAジアクリレート、トリメチロールプロパンエチレンオキサイド付加トリアクリレートから選ばれる少なくとも1種の(メタ)アクリル系エステル系化合物(A)及び、酸価10〜30KOHmg/g、重量平均分子量3000〜30000で、かつシクロペンタジエン系単位、ジシクロペンタジエン系単位、多価アルコールアリルエーテル単位から選ばれる少なくとも1種の単位を有する不飽和ポリエステル樹脂(B)からなることを特徴とする塗料用不飽和ポリエステル樹脂組成物。
  2. (メタ)アクリル系エステル系化合物(A)の含有量が20〜60重量%であることを特徴とする請求項1記載の塗料用不飽和ポリエステル樹脂組成物。
  3. 不飽和ポリエステル樹脂(B)の重量平均分子量が4000〜25000であることを特徴とする請求項1〜2いずれか記載の塗料用不飽和ポリエステル樹脂組成物。
  4. 不飽和ポリエステル樹脂組成物が硬化型樹脂組成物であることを特徴とする請求項1〜3いずれか記載の塗料用不飽和ポリエステル樹脂組成物。
  5. 硬化型樹脂組成物が活性エネルギー線により硬化することを特徴とする請求項4記載の塗料用不飽和ポリエステル樹脂組成物。
  6. シクロペンタジエン系単位、ジシクロペンタジエン系単位、多価アルコールアリルエーテル単位から選ばれる少なくとも1種の単位が多塩基酸成分に対して2〜40モル%含有する不飽和ポリエステル樹脂(B)を用いることを特徴とする請求項5記載の塗料用不飽和ポリエステル樹脂組成物。
  7. 硬化型樹脂組成物が常温または加熱により硬化することを特徴とする請求項4記載の塗料用不飽和ポリエステル樹脂組成物。
  8. シクロペンタジエン系単位、ジシクロペンタジエン系単位、多価アルコールアリルエーテル単位から選ばれる少なくとも1種の単位が多塩基酸成分に対して10〜50モル%含有する不飽和ポリエステル樹脂(B)を用いることを特徴とする請求項7記載の塗料用不飽和ポリエステル樹脂組成物。
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