JP4293824B2 - 防振架台 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば空調機の室外機等の振動機器と基礎との間に介在して、該振動機器を該基礎に対して据え付ける防振架台に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、この種の防振架台として、振動機器に取り付けられる上架台と、基礎に取り付けられる下架台と、この上架台と下架台との間に介設されて振動機器の振動を吸収する防振部材とから構成されたものが知られている(例えば特許文献1参照)。
【0003】
また、4つのフレームを枠状に配設しかつ、これらのフレームの端部同士を取付ねじによって互いに連結することで上架台及び下架台が構成される組み立て式の防振架台も知られている(例えば特許文献2参照)。
【0004】
こうした防振架台では、振動機器の据え付けの際にレベル調整が行われるが、そのレベル調整は、例えば特許文献3に記載されているように、上架台と下架台との間に介設された防振部材を、フレームの適当な位置に位置づけることによって行うのが一般的である。すなわち、振動機器を上架台に載置した状態でジャッキによってその上架台を持ち上げ、この状態で上記防振部材をフレームの長手方向に移動させて適当な位置に位置づけるのである。このように、レベル調整の際にはジャッキが別途必要となるが、例えば特許文献4には、防振架台自体に、上架台を持ち上げるジャッキ機構を設けることが提案されている。
【0005】
【特許文献1】
特開平7−208542号公報
【特許文献2】
特開2001−304335号公報
【特許文献3】
実公昭54−24182号公報
【特許文献4】
実公昭55−39870号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、従来の防振架台においては、レベル調整のために防振部材をフレームの適当な位置に位置づけるため、その防振架台が設置される基礎は、フレームの全体が支持されるいわゆる全面基礎である必要があり、フレームの一部が支持されるいわゆる独立基礎や、はり基礎には防振架台を設置することができない。このように、従来の防振架台は、振動機器の据え付け場所に制限があるという不都合がある。
【0007】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、独立基礎や、はり基礎にも振動機器が据付可能な防振架台を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明の防振架台は、振動機器と基礎との間に介在して、該振動機器を該基礎に対して据え付けるものである。
【0009】
上記防振架台は、上記振動機器に取り付けられる複数のコーナーブラケットと、該コーナーブラケット間を互いに連結する複数のフレームとからなる枠状の上架台と、上記基礎に固定される複数のコーナーブラケットと、該コーナーブラケット間を互いに連結する複数のフレームとからなりかつ、上記上架台の下方位置に相対向して配設される枠状の下架台と、相対向して配設された上記上架台のフレームと下架台のフレームとの間の、上記コーナーブラケット近傍位置それぞれに配設される複数の防振部材と、上記各防振部材を上架台のフレームと下架台のフレームとにそれぞれ係止させる取付具と、を備える。
【0010】
そして、上記上架台及び下架台は、各フレームの各端部が取付ねじによって上記コーナーブラケットに固定されて構成され、上記各取付具は、相対向して配設された上架台及び下架台のフレームそれぞれの対向面に当接する本体部と、該本体部における少なくとも架台外方側で上記フレームの長手方向に互いに離されて設けられて上記フレームの架台外方側縁部に係止される一対の係止片とを有し、上記本体部が上記取付ねじと係合することによって、上記取付具の上記フレームの長手方向への移動が規制されると共に、上記上架台が上方に持ち上げられたときには、架台外方側に、上記上架台のフレームの対向面と上記取付具の本体部と上記一対の係止片とによって区画される開口が形成され、該開口内を通って上記取付具とフレームとの間にシムを挿入可能に構成される。
【0011】
この構成によると、防振架台の上架台及び下架台はそれぞれ、コーナーブラケットとフレームとが取付ねじによって互いに固定されて構成される組み立て式の架台である。
【0012】
そして、相対向して配設される上架台と下架台との間の、コーナーブラケット近傍位置に配設される防振部材は、上架台のフレームと下架台のフレームとにそれぞれ取付具を介して係止される。この取付具は本体部を有しており、この本体部は上記コーナーブラケットとフレームとを互いに固定する取付ねじと係合することによって、上記取付具のフレームの長手方向の移動を規制する。このように本発明の防振架台は、従来の防振架台とは異なり、防振部材を移動させない構造である。防振部材を移動させないことによって、フレームの全体を基礎に支持させる必要がなく、独立基礎や、はり基礎等のフレームの一部(特にコーナーブラケット近傍の部分)が支持される基礎に防振架台を設置して、振動機器をその基礎に据え付けることが可能になる。
【0013】
また、上記取付具の移動を規制する取付ねじは、コーナーブラケットとフレームとの固定に用いられるものであるため、部品の兼用化による部品点数の低減化が図られる。
【0014】
ここで、本発明の防振架台は、防振部材を移動させない構成であるため、レベル調整のためには、例えば上架台を持ち上げてフレームと取付具との間にシムを挿入し、これによって、上架台の高さを調整することが必要である。このように上架台が上方に持ち上げられたときには、上架台のフレームに係止された取付具はそのフレームに固定されてはいないため、上架台のフレームの対向面と取付具の本体部との間に隙間が生じる。
【0015】
このときに、上記取付具は、架台外方側においてフレームの長手方向に互いに離されて配設された一対の係止片を有している。このため、上架台が上方に持ち上げられたときには、架台外方側に、上記上架台のフレームの対向面と上記取付具の本体部と一対の係止片とによって区画される開口が形成される。こうして開口が形成されることによって、この開口を通って上記取付具とフレームとの間にシムを挿入することが可能となる。その結果、レベル調整作業の容易化が図られる。
【0016】
また、上記係止片は架台外方側のフレーム縁部に係止されるものであり、これにより、取付具、ひいては防振部材がフレームに対して相対移動することが防止される。
【0017】
上記防振架台には、相対向して配設された上架台のコーナーブラケットと下架台のコーナーブラケットとの間に配設されるジャッキ機構部をさらに備えてもよい。このジャッキ機構部は、その下端部が上記下架台のコーナーブラケットに固定されると共に、その上端部が上記上架台のコーナーブラケットに設けられた貫通孔内に内挿されるボルトと、該貫通孔よりも下側位置で該ボルトにねじ込まれるジャッキ用ナットとを有しかつ、上記ジャッキ用ナットをボルトの軸に沿って上方に移動させることにより、該ジャッキ用ナットが上記貫通孔の周縁部に当接して上架台のコーナーブラケットを上方に持ち上げるように構成してもよい。
【0018】
このように、防振架台にジャッキ機構部を設けることにより、レベル調整の際に別途ジャッキを用意する必要がなくなる。また、このジャッキ機構部は、フレームの所定位置に設けられた防振部材とは異なり、コーナーブラケットの位置に設けられている。このように、防振部材とは別途にジャッキ機構部を設けることによって、このジャッキ機構部は、ボルトとジャッキ用ナットとを有する比較的簡易な構造にすることが可能になる。
【0019】
上記ジャッキ機構部は、上架台のコーナーブラケットに設けられた貫通孔よりも上側位置でボルトにねじ込まれるストッパー用ナットをさらに有していてもよい。
【0020】
この構成によると、上架台のコーナーブラケットに設けられた貫通孔よりも上側位置で、ストッパー用ナットを、下架台のコーナーブラケットに固定されたボルトにねじ込むため、例えば上架台に取り付けられた振動機器が横転する等によって、上架台が下架台に対して上方に大きく移動しようとしても、ストッパー用ナットが上記貫通孔の周縁部と係合することにより、上架台の移動が阻止され、振動機器の横転等が、未然に防止される。
【0021】
このように、上記ボルトは、ジャッキ機能とストッパー機能との双方の機能に利用されるため、部品点数の低減化が図られる。
【0022】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の防振架台によれば、組み立て式に構成された上架台及び下架台に対して防振部材を係止させる取付具は、その上架台及び下架台の組み立てに利用される取付ねじによって、フレームの長手方向に対する移動が規制される。これにより、防振部材の移動が規制されることになって、独立基礎や、はり基礎等のフレームの一部が支持される基礎に防振架台を設置して、振動機器を独立基礎や、はり基礎等に据え付けることができる。
【0023】
また、上記取付ねじは、コーナーブラケットとフレームとの固定と、取付具の移動規制とに兼用されるため、部品点数を低減することができる。
【0024】
さらに、上記取付具の係止片を互いに離して設けることで、上架台を上方に持ち上げたときには、架台外方側に、上記上架台のフレームの対向面と上記取付具の本体部と一対の係止片とによって区画される開口を形成することができ、上記取付具とフレームとの間にシムを容易に挿入することができる。
【0025】
加えて、上記防振架台に設けられたジャッキ機構部は、防振部材とは別途に設けられているため、このジャッキ機構部を、ボルトとジャッキ用ナットとを有する比較的簡易な構造にすることができる。
【0026】
また、ジャッキ機構部のボルトに、ジャッキ用ナットとは別のストッパー用ナットをねじ込むことによって、上記ボルトを、ジャッキ機能とストッパー機能との双方の機能に利用することができる。
【0027】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面に基いて説明する。
【0028】
図1及び図2は、本発明の実施形態に係る防振架台1を示している。この防振架台1は、矩形枠状の上架台2と、同じく矩形枠状であって、この上架台2の下方位置に相対向して配設される下架台3と、この上架台2と下架台3との間に介設される4つの防振部材4,4,…と、から構成されている。
【0029】
この防振架台1は、上記下架台3が基礎Bに対して設置固定される一方で、上記上架台2の上側に空調機の室外機等の振動機器Aが載置されるものであり、その振動機器Aの振動を各防振部材4で吸収することによって、振動が基礎Bに伝達することを防止するものとなっている。
【0030】
尚、図1において、紙面左手前から紙面右奥に向かう方向をX方向とし、紙面右手前から紙面左奥に向かう方向をY方向とし、紙面の上下方向をZ方向とする。
【0031】
上記上架台2は、上述したように矩形状の枠体であって、4つのコーナーブラケット21,21,…と、4つのフレーム22,23とから構成されている。
【0032】
上記4つのフレーム22,23はそれぞれ角パイプ材であって、この4つのフレーム22,23の内の2つは枠体のX方向に延びる部分を構成するXフレーム22とされ、残りの2つは枠体のY方向に延びる部分を構成するYフレーム23とされている。Xフレーム22は、Y方向に所定間隔だけ離された状態で、互いに並行にX方向に延びて配設される一方で、Yフレーム23は、X方向に所定間隔だけ離された状態で、互いに並行にY方向に延びて配設される。
【0033】
上記4つのコーナーブラケット21,21,…は、枠体の四隅それぞれに配設されており、このものには、上記Xフレーム22の各端部とYフレーム23の各端部とがそれぞれ連結されている。この各コーナーブラケット21は、側壁部24と、上壁部25と、底壁部26とからなる、架台の外方側に開口した断面略コ字状の部材に構成されている。
【0034】
上記側壁部24は、架台の内方側位置でX方向に延びて立設したX壁部24aと、架台の内方側位置でY方向に延びて立設したY壁部24bとが互いに直交するように、その端部同士が連結されてなっていて、平面視で略L字状に形成されている。図2に示すように、このL字状の側壁部24を構成するX壁部24aの外側面には、Y方向に延びるガイド部27が溶接により固定されていると共に、Y壁部24bの外側面には、X方向に延びるガイド部27が溶接により固定されている。これらのガイド部27,27には、後述するように角パイプで構成されるフレーム22,23の端部が外挿される。
【0035】
上記上壁部25は、平面視で略正方形状に形成されており、架台の内方側位置で互いに直交する2つの端縁部が上記L字状の側壁部24の上端に接続されている。この上壁部25には、振動機器Aの取付用ボルト(図示省略)が挿入される2つの機器取付孔25a,25aと、後述するストッパー用ナット55を締め付けるための工具が挿入される1つの工具挿入孔25bとが、それぞれ貫通形成されている。
【0036】
上記底壁部26は、平面視で略1/4円形状に形成されており、架台の内方側位置で互いに直交する2つの端縁部が上記L字状の側壁部24の下端に接続されている。この底壁部26には、後述するジャッキ・ストッパー用ボルト51のねじ部51bが挿通されるジャッキ・ストッパー用ボルト挿通孔26aが形成されている(図2参照)。尚、このジャッキ・ストッパー用ボルト挿通孔26aには、ゴム製ブッシュ52が取り付けられている。
【0037】
そして、図2及び図3に示すように、上記各コーナーブラケット21の各ガイド部27に各フレーム22,23の端部が挿入され、そのフレーム22,23の下面側から内部に挿入された合計4つの取付ねじ28,28,…によって、各ガイド部27と各フレーム22,23とが共締めされる。このことで、コーナーブラケット21とフレーム22,23とが互いに固定され、矩形枠状の上架台2が組み上がるようになっている。
【0038】
上記下架台3は、上述したように矩形状の枠体であって、上架台2と同様に、4つのコーナーブラケット31,31,…と、それぞれ角パイプ材である4つのフレーム32,33とから構成されている。
【0039】
上記4つのフレーム32,33の内の2つは枠体のX方向に延びる部分を構成するXフレーム32であって、このものは、Y方向に所定間隔だけ離された状態で、互いに並行にX方向に延びて配設されている。一方、4つのフレームの内の残りの2つは枠体のY方向に延びる部分を構成するYフレーム33であって、このものは、X方向に所定間隔だけ離された状態で、互いに並行にY方向に延びて配設されている。
【0040】
上記4つのコーナーブラケット31,31,…は、枠体の四隅それぞれに配設されており、このものには、上記Xフレーム32の各端部とYフレーム33の各端部とがそれぞれ連結されている。この各コーナーブラケット31は、上架台2のコーナーブラケット21とは異なり、側壁部34と、底壁部35とからなる、断面略L字状の部材に構成されている。
【0041】
上記側壁部34は、架台の内方側位置でX方向に延びて立設したX壁部34aと、架台の内方側位置でY方向に延びて立設したY壁部34bとが互いに直交するように、その端部同士が連結されてなっていて、平面視で略L字状に形成されている。図2に示すように、このL字状の側壁部34を構成するX壁部34aの外側面には、Y方向に延びるガイド部36が溶接により固定されていると共に、Y壁部34bの外側面には、X方向に延びるガイド部36が溶接により固定されている。これらのガイド部36,36には、後述するように角パイプで構成されるフレーム32,33の端部が外挿される。
【0042】
上記底壁部35は、平面視で略正方形状に形成されており、架台の内方側位置で互いに直交する2つの端縁部が上記L字状の側壁部34の下端に接続されている。この底壁部35には、アンカーボルト(図示省略)が挿入される1つのアンカーボルト用挿通孔35aが設けられていると共に、図2に示すように凸部35bが設けられている。この凸部35bは、底壁部35の底面側からZ方向の上方に凸状に折曲されて構成されており、その内部は空間とされている。凸部35bの内部空間には、後述するジャッキ・ストッパー用ボルト51の頭部51aが配設され、このジャッキ・ストッパー用ボルト51のねじ部51bは、凸部35bの上面部を貫通して、Z方向の上方に延びて配設されている。
【0043】
そして、図2及び図3に示すように、上記各コーナーブラケット31の各ガイド部36に各フレーム32,33の端部が挿入され、そのフレーム32,33の上面側から内部に挿入された合計4つの取付ねじ37,37,…によって、各ガイド部36と各フレーム32,33とが共締めされる。このことで、コーナーブラケット31とフレーム32,33とが互いに固定され、矩形枠状の下架台3が組み上がるようになっている。
【0044】
上記防振部材4,4,…は、図1及び図2に示すように、上架台2のXフレーム22と下架台3のXフレーム32との間であって、コーナーブラケット21,31近傍位置にそれぞれ配設されている。この各防振部材4は、図3に示すように、コイルばね41と、このコイルばね41を覆うゴム弾性体42とからなる円筒状の部材に構成されている。
【0045】
各防振部材4は、その筒軸がZ方向となるように配設されていて、取付具6を介してその上端部が上記上架台2のXフレーム22に、同じく取付具6を介してその下端部が下架台3のXフレーム32に、それぞれ係止されている。
【0046】
上記各取付具6は、本体部61と、係合筒62と、4つの係止片63,63,…とから構成されている。上記本体部61は、相対向して配設された上架台2及び下架台3のフレーム22,32それぞれの対向面、つまり、上架台2を構成するXフレーム22の下面、又は下架台3を構成するXフレーム32の上面に当接する略矩形の平板状に構成されている。上記係合筒62は、上記防振部材4に内嵌されるものであり、本体部61の略中央位置に、この本体部61からZ方向に突出するように設けられている。
【0047】
上記4つの係止片63,63,…は、上記本体部61の四隅それぞれに配設されており、これにより、フレームの長手方向(つまり、X方向)に隣り合う一対の係止片63,63は、互いに離されて設けられる。各係合片63は、この本体部61に対して直交するように折曲して設けられていて、各係合片63はXフレーム22,32における架台外方側及び内方側の縁部に係止されるようになっている。上記取付具6(防振部材4)は、この係合片63によって、Xフレーム22,32に対して、その長手方向に直交する方向(つまり、Y方向)に相対移動することが規制される。
【0048】
また、上記本体部61におけるX方向に相対向する一対の端縁部にはそれぞれ、係合凹部64,64が形成されている。この係合凹部64には、上記コーナーブラケット21,31とフレーム22,32とを互いに固定するための取付ねじ28,37の頭部が係合するようになっている。このように、取付具6の本体部61を挟んだ両側位置に取付ねじ28,37の頭部が配設されることで、上記取付具6(防振部材4)は、Xフレーム22,32に対して、その長手方向に相対移動することが規制される。
【0049】
さらに、上記本体部61におけるY方向に相対向する一対の端縁部にはそれぞれ、上記2つの係合片63,63間に開口凹部65が形成されている。この開口凹部65は、後述するようにシム7を挿入するための開口Oの一部を形成する。
【0050】
この防振架台1にはまた、ジャッキ・ストッパー機構部5が設けられている。このジャッキ・ストッパー機構部5は、防振架台1の各コーナーブラケット21,31の位置に設けられていて、ジャッキ・ストッパー用ボルト51と、固定ナット53、ジャッキ用ナット54、及びストッパー用ナット55の3つのナットとによって構成されている。
【0051】
上記ジャッキ・ストッパー用ボルト51は、上架台2のコーナーブラケット21と下架台3のコーナーブラケット31とにまたがって配設されている。詳しくは、図2に示すように、下架台3を構成するコーナーブラケット31の底壁部35に設けられた凸部35bの内部空間に、その頭部51aが配設されると共に、そのねじ部51bが、凸部35bの上面部を貫通して、上記上架台2を構成するコーナーブラケット21の底壁部26に設けられかつゴム製ブッシュ52が取り付けられたジャッキ・ストッパー用ボルト挿通孔26a内に挿入される。
【0052】
上記固定ナット53は、上記凸部35bの上面部を挟んだジャッキ・ストッパー用ボルト51の頭部51aとは逆側位置で、このジャッキ・ストッパー用ボルト51のねじ部51bにねじ込まれており、この固定ナット53とその頭部51aとで、上記凸部35bの上面部を挟み込んでこのジャッキ・ストッパー用ボルト51を凸部35bに対して固定するようにしている。
【0053】
上記ジャッキ用ナット54は、上記固定ナット53よりもZ方向の上側位置であって、上架台2のコーナーブラケット21における底壁部26よりも下側位置において、上記ジャッキ・ストッパー用ボルト51のねじ部51bにねじ込まれている。尚、上記ジャッキ用ナット54と底壁部26との間には、平座金56が配設されている。
【0054】
上記ストッパー用ナット55は、上記上架台2のコーナーブラケット21における底壁部26よりも上側位置において、上記ジャッキ・ストッパー用ボルト51のねじ部51bにねじ込まれている。このストッパー用ナット55は、ゴム製ブッシュ52に対して所定の隙間を開けた状態となるように、ジャッキ・ストッパー用ボルト51にねじ込まれている。これにより、上架台2が下架台3に対してZ方向に相対移動したときに、コーナーブラケット21の底壁部26とストッパー用ナット55とが互いに係合することになり、上記上架台2に取り付けられた振動機器Aが転倒等することが未然に防止されるようになっている。尚、ストッパー用ナット55とゴム製ブッシュ52との間には、平座金57が配設されている。ここで、上架台2のコーナーブラケット21には、工具挿入孔25bが設けられているため、防振架台1の組み立ての際に、この工具挿入孔25bからねじ部51bの軸方向に挿入された工具によってこのストッパー用ナット55を容易に締め付けることが可能になる。これにより、防振架台1の組み立ての容易化が図られる。
【0055】
こうして、上記上架台2が、防振部材4を介して下架台3に支持された防振架台1が構成されることとなる。そして、上記下架台3がアンカーボルトによって基礎Bに固定される一方で、上記上架台2の上に振動機器Aが取り付けられて、この振動機器Aが基礎Bに据え付けられることになる。
【0056】
次に、防振架台1を介して振動機器Aが基礎Bに据え付けられたときのレベル調整について、図4を参照しながら説明する。
【0057】
先ず、振動機器A(図示省略)が取り付けられた状態において、ストッパー用ナット55を、ジャッキ・ストッパー用ボルト51から取り外す(同図のP1参照)。
【0058】
次に、上記ジャッキ用ナット54を回して、このジャッキ用ナット54をZ方向の上方に移動させ、これにより、上架台2のコーナーブラケット21を下架台3のコーナーブラケット31に対して上方に移動させる(同図のP2)。このとき、防振部材4の取付具6は、上架台2のXフレーム22に固定されてはいないため、上架台2の上方への移動に伴いそのXフレーム22の下面と、取付具6の本体部61との間に隙間が生じる。また、係止片63は、Xフレーム22の側面に係止した状態のままであるが、一対の係止片63,63は、Xフレーム22の長手方向に互いに離されて配設されているため、Xフレーム22の下面と、取付具6の本体部61と、その取付具6の一対の係止片63,63とによって区画される開口Oが、架台の外方側に形成される(同図の斜線部分参照)。この開口Oを介して、上記Xフレーム22の下面と取付具6の本体部61との隙間に、シム7を必要な枚数だけ挿入することが可能になる。このように、係止片63をXフレーム22の側面に係止させて上記取付具6がXフレーム22に対して相対移動することを防止した状態のままで、シム7をXフレーム22の下面と取付具6の本体部61との隙間に容易に挿入することが可能になる。
【0059】
こうして、シム7をXフレーム22の下面と取付具6の本体部61との隙間に挿入すれば、ジャッキ用ナット54を回してZ方向の下方に移動させ、これにより、上架台2を下方に移動させる。こうして、シム7を取り付けた分だけ上架台2が上方に位置することになりレベルが調整されることになる(同図のP3参照)。そして、取り外していたストッパー用ナット55をジャッキ・ストッパー用ボルト51にねじ込み、このストッパー用ナット55を所定の位置に位置づける。
【0060】
このように、本実施形態に係る防振架台1では、各取付具6は、フレーム222,23,32,33の長手方向への移動が取付ねじ28,37によって規制されるため、各防振部材4はフレーム22,23,32,33に沿って移動をしない。このため、従来の防振架台は、下架台の全体が支持される全面基礎にしか据え付けることができなかったのに対し、本実施形態の防振架台1は、図1に示すように、少なくともコーナーブラケット31近傍部分のみを支持する独立基礎Bや、図示は省略するがはり基礎に設置して、振動機器Aをその基礎Bに据え付けることができる。
【0061】
また、上記取付ねじ28,37は、各取付具6の移動を規制するものであると共に、組み立て式に構成された上架台2及び下架台3の組み立てに利用されるものでもあるため、部品の兼用化による部品点数の低減化を図ることができる。
【0062】
さらに、上記取付具6の一対の係止片63,63は、互いに離して配設されるため、レベル調整のために上架台2を持ち上げたときには、Xフレーム22と取付具6の本体部61とこの一対の係止片63,63とで区画される開口Oを通って、Xフレーム22の下面と取付具6の本体部61との間に、シム7を容易に挿入することができる。これにより、据付作業の容易化を図ることができる、また、取付具6に開口凹部65を設けることによって、開口Oを拡大させることができ、シム7の挿入をより一層容易にすることができる。
【0063】
また、ジャッキ・ストッパー機構部5は、防振部材4とは異なる位置に設けていることで、ジャッキ・ストッパー機構部5の構造を単純化させることができる。さらに、このジャッキ・ストッパー機構部5は、ジャッキ用ナット54によるジャッキ機構と、ストッパー用ナット55によるストッパー機構との双方の機構を、一つのジャッキ・ストッパー用ボルト51で実現しているため、部品点数の低減化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】防振架台の全体斜視図である。
【図2】防振架台の隅部を拡大して示す正面図である。
【図3】防振部材と取付具との構成を示す分解斜視図である。
【図4】レベル調整の手順を示す説明図である。
【符号の説明】
1 防振架台
2 上架台
3 下架台
21,31 コーナーブラケット
22,32 Xフレーム
23,33 Yフレーム
26a ジャッキ・ストッパー用ボルト挿通孔(貫通孔)
28,37 取付ねじ
4 防振部材
5 ジャッキ・ストッパー機構部
51 ジャッキ・ストッパー用ボルト
54 ジャッキ用ナット
55 ストッパー用ナット
6 取付具
61 本体部
63 係止片
7 シム
A 振動機器
B 基礎
O 開口
Claims (3)
- 振動機器と基礎との間に介在して、該振動機器を該基礎に対して据え付ける防振架台であって、
上記振動機器に取り付けられる複数のコーナーブラケットと、該コーナーブラケット間を互いに連結する複数のフレームとからなる枠状の上架台と、
上記基礎に固定される複数のコーナーブラケットと、該コーナーブラケット間を互いに連結する複数のフレームとからなりかつ、上記上架台の下方位置に相対向して配設される枠状の下架台と、
相対向して配設された上記上架台のフレームと下架台のフレームとの間の、上記コーナーブラケット近傍位置それぞれに配設される複数の防振部材と、
上記各防振部材を上架台のフレームと下架台のフレームとにそれぞれ係止させる取付具と、を備え、
上記上架台及び下架台は、各フレームの各端部が取付ねじによって上記コーナーブラケットに固定されて構成され、
上記各取付具は、相対向して配設された上架台及び下架台のフレームそれぞれの対向面に当接する本体部と、該本体部における少なくとも架台外方側で上記フレームの長手方向に互いに離されて設けられて上記フレームの架台外方側縁部に係止される一対の係止片とを有し、
上記本体部が上記取付ねじと係合することによって、上記取付具の上記フレームの長手方向への移動が規制されると共に、
上記上架台が上方に持ち上げられたときには、架台外方側に、上記上架台のフレームの対向面と上記取付具の本体部と上記一対の係止片とによって区画される開口が形成され、該開口内を通って上記取付具とフレームとの間にシムを挿入可能に構成されていることを特徴とする防振架台。 - 請求項1において、
相対向して配設された上架台のコーナーブラケットと下架台のコーナーブラケットとの間に配設されるジャッキ機構部をさらに備え、
上記ジャッキ機構部は、その下端部が上記下架台のコーナーブラケットに固定されると共に、その上端部が上記上架台のコーナーブラケットに設けられた貫通孔内に内挿されるボルトと、該貫通孔よりも下側位置で該ボルトにねじ込まれるジャッキ用ナットとを有しかつ、上記ジャッキ用ナットをボルトの軸に沿って上方に移動させることにより、該ジャッキ用ナットが上記貫通孔の周縁部に当接して上架台のコーナーブラケットを上方に持ち上げるように構成されていることを特徴とする防振架台。 - 請求項2において、
ジャッキ機構部は、上架台のコーナーブラケットに設けられた貫通孔よりも上側位置でボルトにねじ込まれるストッパー用ナットをさらに有していることを特徴とする防振架台。
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