JP4287083B2 - 2−または4−モノ置換ピリジンの製造方法並びに4−モノ置換ピリジンまたはその塩の選択的製造方法および分離方法 - Google Patents
2−または4−モノ置換ピリジンの製造方法並びに4−モノ置換ピリジンまたはその塩の選択的製造方法および分離方法 Download PDFInfo
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、2−モノ置換ピリジン及び4−モノ置換ピリジンの製造方法、並びに4−モノ置換ピリジンまたはその塩の選択的製造方法および分離方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
2−モノ置換ピリジン及び4−モノ置換ピリジンは、医薬品、例えば、向精神薬、抗血栓薬などの中間体として有用である。2−モノ置換ピリジン及び4−モノ置換ピリジンは、次のような方法により製造することができる:(1)ハロピリジンとアルキルもしくはアリールマグネシウムハライド(Grignard試薬)との反応、(2)遷移金属触媒の存在下におけるハロピリジンとアルキルもしくはアリールホウ素化合物とのクロスカップリング反応、(3)ピリジンとクロロ炭酸エステルと、アルキルもしくはアリールマグネシウムハライド(Grignard試薬)またはアルキルもしくはアリールチタン化合物との縮合によって得られる縮合体を脱水素反応および脱アルコキシカルボニル反応に同時に付す方法。
【0003】
しかしながら、上記(1)および(2)の方法は、原料として必ずしも安価ではないハロピリジンを用いており、特に4−ハロピリジンは高価である。このため、これらの方法は工業的には不向きであるといえる。上記(3)の方法における脱水素化および脱アルコキシカルボニル化は従来硫黄またはクロラニルを用いて行うが、硫黄を用いる場合には有毒な硫化水素の生成を伴うことなどの問題があり、また、クロラニルを用いる場合にもクロラニルが高価であるという問題がある。このようにいずれの方法も工業的に適した方法であるとはいえない。
【0004】
上記以外の方法として、二酸化マンガン/ベントナイト/マイクロウェーブ照射条件下、4−(アルキルまたはアリール)置換−1,4−ジヒドロピリジンを脱水素反応に付す方法が知られている。この方法では、マイクロウェーブ照射を行っており、工業規模での実施は困難である。
以上のことから、2−または4−モノ置換ピリジンの工業的に好適な製造方法の開発が望まれている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、上記問題(原料および試薬が高価であること、有毒ガスが発生すること、マイクロウェーブ照射を行うことなど)を解決した2−モノ置換ピリジン及び4−モノ置換ピリジンの工業的に好適な製造方法を提供することである。他の目的は、4−モノ置換ピリジンの選択的製造方法を提供することである。他の目的は、2−モノ置換ピリジンと4−モノ置換ピリジンとの混合物から4−モノ置換ピリジンを分離する方法を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記問題を解決した2−モノ置換ピリジン及び4−モノ置換ピリジンの工業的に好適な製造方法を鋭意研究した結果、下式の1,2−ジ置換ジヒドロピリジンまたは1,4−ジ置換ジヒドロピリジンを、
(1)二酸化マンガン(但し、(1)のときの反応温度は70℃〜200℃である)、
(2)二酸化マンガンとトリメチルシリルクロライド、
(3)二酸化マンガンと塩酸、
(4)臭素、および
(5)遷移金属塩と過酸化水素
からなる群より選ばれる1つと反応させることにより、後式の2−モノ置換ピリジンまたは4−モノ置換ピリジンに変換することができ、かつ当該方法が工業的に好適であることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0007】
さらに、上記方法で得られた2−モノ置換ピリジンと4−モノ置換ピリジンとの混合物を酸と反応させることにより、選択的に4−モノ置換ピリジンの塩を析出させ、4−モノ置換ピリジンを分離することができ、これを用いれば4−モノ置換ピリジンを選択的に得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
即ち、本発明は、以下の通りである。
[1] 式
【0009】
【化13】
【0010】
(式中、RおよびR’は、同一または異なって、それぞれ、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいアリール基、置換されていてもよいシクロアルキル基または置換されていてもよいヘテロ環残基を示す)で表される1,4−ジ置換ジヒドロピリジン(以下、1,4−ジ置換ジヒドロピリジンと略する)または式
【0011】
【化14】
【0012】
(式中、RおよびR’は前記と同義である)で表される1,2−ジ置換ジヒドロピリジン(以下、1,2−ジ置換ジヒドロピリジンと略する)を、
(1)二酸化マンガン(但し、(1)のときの反応温度は70℃〜200℃である)、
(2)二酸化マンガンとトリメチルシリルクロライド、
(3)二酸化マンガンと塩酸、
(4)臭素、および
(5)遷移金属塩と過酸化水素
からなる群より選ばれる1つと反応させることを特徴とする、式
【0013】
【化15】
【0014】
(式中、Rは前記と同義である)で表される4−モノ置換ピリジン(以下、4−モノ置換ピリジンと略する)または式
【0015】
【化16】
【0016】
(式中、Rは前記と同義である)で表される2−モノ置換ピリジン(以下、2−モノ置換ピリジンと略する)の製造方法。
[2] 二酸化マンガンとトリメチルシリルクロライドを用いることを特徴とする上記[1]の製造方法。
[3] 二酸化マンガンと塩酸を用いることを特徴とする上記[1]の製造方法。
[4] 1,4−ジ置換ジヒドロピリジンと1,2−ジ置換ジヒドロピリジンとの混合物を、
(1)二酸化マンガン(但し、(1)のときの反応温度は70℃〜200℃である)、
(2)二酸化マンガンとトリメチルシリルクロライド、
(3)二酸化マンガンと塩酸、
(4)臭素、および
(5)遷移金属塩と過酸化水素
からなる群より選ばれる1つと反応させ、4−モノ置換ピリジンと2−モノ置換ピリジンとの混合物を得、当該混合物を酸と反応させることにより、選択的に4−モノ置換ピリジンの塩を析出させることを特徴とする、4−モノ置換ピリジンまたはその塩の製造方法。
[5] 1,4−ジ置換ジヒドロピリジンと1,2−ジ置換ジヒドロピリジンとの混合物を、
(1)二酸化マンガン(但し、(1)のときの反応温度は70℃〜200℃である)、
(2)二酸化マンガンとトリメチルシリルクロライド、
(3)二酸化マンガンと塩酸、
(4)臭素、および
(5)遷移金属塩と過酸化水素
からなる群より選ばれる1つと反応させ、4−モノ置換ピリジンと2−モノ置換ピリジンとの混合物を得、当該混合物を酸と反応させることにより、選択的に4−モノ置換ピリジンの塩を析出させることを特徴とする、4−モノ置換ピリジンまたはその塩の分離方法。
【0017】
【発明の実施の形態】
本発明について、以下に詳細に説明する。
本発明における「置換されていてもよいアルキル基」とは、下記置換基で1または2以上置換されていてもよい、炭素数が好ましくは1〜10、より好ましくは2〜7である、直鎖状または分枝鎖状のアルキル基であり、「アルキル基」の具体例としては、例えばメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、t−ブチル、n−ペンチル、イソペンチル、t−ペンチル、ネオペンチル、n−ヘキシル、n−ヘプチルなどが挙げられる。中でもメチル、エチル、t−ブチルが好ましく、特にエチルが好ましい。置換基としては、例えばアルコキシ基(好ましくは炭素数1〜6の直鎖状または分岐鎖状のアルコキシ基であり、例えばメトキシ、エトキシ、1−プロポキシ、2−プロポキシ、1−ヘキシルオキシなど)などが挙げられる。
【0018】
本発明における「置換されていてもよいシクロアルキル基」とは、下記置換基で1または2以上置換されていてもよい、炭素数が好ましくは3〜10、より好ましくは3〜7であるシクロアルキル基であり、「シクロアルキル基」の具体例としては、例えばシクロプロピル、シクロペンチル、シクロへキシルなどが挙げられる。置換基としては、例えばアルコキシ基(上記と同義)などが挙げられる。
【0019】
本発明における「置換されていてもよいアリール基」とは、下記置換基で1または2以上置換されていてもよい、炭素数が好ましくは6〜14、より好ましくは6〜10であるアリール基であり、「アリール基」の具体例としては、例えばフェニル基、ナフチル基、アセナフチル基などが挙げられ、中でもフェニル基が好ましい。置換基としては、例えばアルキル基(好ましくは炭素数1〜10の直鎖状または分岐鎖状のアルキル基であり、その例としては上記「置換されていてもよいアルキル基」の「アルキル基」と同様な例が挙げられる)、アラルキル基(アリール部が炭素数6〜10であり、アルキル部が直鎖状または分岐鎖状の炭素数1〜4のアルキル基であるアラルキル基であり、例えばベンジル、フェネチル、3−フェニルプロピル、4−フェニルブチルなど)などが挙げられる。
【0020】
本発明における「置換されていてもよいヘテロ環残基」とは、下記置換基で1または2以上置換されていてもよい、窒素原子、酸素原子および硫黄原子からなる少なくとも1つ(好ましくは1〜3つ)のヘテロ原子を含み、炭素数が好ましくは3〜14、より好ましくは3〜10であるヘテロ環残基であり、「ヘテロ環残基」の具体例としては、例えばチエニル基、オキサゾリル基、チアゾリル基、ピリジル基などが挙げられる。置換基としては、例えばアルキル基(上記と同義)、アラルキル基(上記と同義)などが挙げられる。
【0021】
2−モノ置換ピリジンまたは4−モノ置換ピリジンの製造方法
本発明において、2−モノ置換ピリジンおよび4−モノ置換ピリジンは、例えば、1,2−ジ置換ジヒドロピリジンまたは1,4−ジ置換ジヒドロピリジンを、
(1)二酸化マンガン(但し、(1)のときの反応温度は70℃〜200℃である)、
(2)二酸化マンガンとトリメチルシリルクロライド、
(3)二酸化マンガンと塩酸、
(4)臭素、および
(5)遷移金属塩と過酸化水素
からなる群より選ばれる1つと反応させることにより得ることができる。
【0022】
本発明においては、原料として、1,2−ジ置換ジヒドロピリジンか1,4−ジ置換ジヒドロピリジンのどちらか一方を少なくとも用いていればよく、もちろん、両方(即ち、これらの混合物)用いる場合も包含する。原料の選択は、所望の化合物によって適宜選択すればよいが、実際には1,2−ジ置換ジヒドロピリジンや1,4−ジ置換ジヒドロピリジンを従来法で製造すると、殆どの場合これらの混合物が得られるため、これらの混合物を原料として用いるのが一般的である。原料としてこれらの混合物を用いると2−モノ置換ピリジンと4−モノ置換ピリジンとの混合物が得られるが、後述の「4−モノ置換ピリジンの選択的製造方法」に当該混合物を付せば、4−モノ置換ピリジンを簡便に単離することができる。本発明の「2−モノ置換ピリジンまたは4−モノ置換ピリジンの製造方法」においては、1,2−ジ置換ジヒドロピリジンからは2−モノ置換ピリジンが、1,4−ジ置換ジヒドロピリジンからは4−モノ置換ピリジンが得られる。
【0023】
「1,4−ジ置換ジヒドロピリジンおよび1,2−ジ置換ジヒドロピリジン」の具体例としては、例えば1−エトキシカルボニル−1,4−ジヒドロ−4−(4−トリル)ピリジン、1−エトキシカルボニル−1,2−ジヒドロ−2−(4−トリル)ピリジン)、1−エトキシカルボニル−1,4−ジヒドロ−4−(3−トリル)ピリジン、1−エトキシカルボニル−1,2−ジヒドロ−2−(3−トリル)ピリジン、1−エトキシカルボニル−1,4−ジヒドロ−4−(2−トリル)ピリジン、1−エトキシカルボニル−1,2−ジヒドロ−2−(2−トリル)ピリジン、1−メトキシカルボニル−1,4−ジヒドロ−4−(4−トリル)ピリジン、1−メトキシカルボニル−1,2−ジヒドロ−2−(4−トリル)ピリジン、1−メトキシカルボニル−1,4−ジヒドロ−4−(3−トリル)ピリジン、1−メトキシカルボニル−1,2−ジヒドロ−2−(3−トリル)ピリジン、1−メトキシカルボニル−1,4−ジヒドロ−4−(2−トリル)ピリジン、1−メトキシカルボニル−1,2−ジヒドロ−2−(2−トリル)ピリジン、1−フェノキシカルボニル−1,4−ジヒドロ−4−(4−トリル)ピリジン、1−フェノキシカルボニル−1,2−ジヒドロ−2−(4−トリル)ピリジン、1−フェノキシカルボニル−1,4−ジヒドロ−4−(3−トリル)ピリジン、1−フェノキシカルボニル−1,2−ジヒドロ−2−(3−トリル)ピリジン、1−フェノキシカルボニル−1,4−ジヒドロ−4−(2−トリル)ピリジン、1−フェノキシカルボニル−1,2−ジヒドロ−2−(2−トリル)ピリジン、1−t−ブトキシカルボニル−1,4−ジヒドロ−4−(4−トリル)ピリジン、1−t−ブトキシカルボニル−1,2−ジヒドロ−2−(4−トリル)ピリジン、1−t−ブトキシカルボニル−1,4−ジヒドロ−4−(3−トリル)ピリジン、1−t−ブトキシカルボニル−1,2−ジヒドロ−2−(3−トリル)ピリジン、1−t−ブトキシカルボニル−1,4−ジヒドロ−4−(2−トリル)ピリジン、1−t−ブトキシカルボニル−1,2−ジヒドロ−2−(2−トリル)ピリジンなどが挙げられ、1−エトキシカルボニル−1,4−ジヒドロ−4−(4−トリル)ピリジン、1−エトキシカルボニル−1,2−ジヒドロ−2−(4−トリル)ピリジンが特に好ましい。
【0024】
以下に、上記(1)〜(5)の方法について順に説明する。
方法(1)
具体的には、例えば、溶媒中、1,4−ジ置換ジヒドロピリジンおよび/または1,2−ジ置換ジヒドロピリジン、および二酸化マンガンを70℃〜200℃に加熱、撹拌する。二酸化マンガンはこれまで1,4−ジ置換ジヒドロピリジンおよび1,2−ジ置換ジヒドロピリジンの酸化には用いられておらず、本発明者らは反応温度を70℃〜200℃に設定することにより、初めて二酸化マンガンが1,4−ジ置換ジヒドロピリジンおよび1,2−ジ置換ジヒドロピリジンを酸化できることを見出した。温度が70℃未満である場合、酸化反応がほとんど進行せず、200℃を超える場合、原料および生成物の分解が無視できない程生じ、収率が低下する。
【0025】
方法(1)で用いる溶媒としては、例えば、炭化水素系溶媒(例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、クメン、シメン、テトラリン、デカリンなど)、ハロゲン化炭化水素系溶媒(例えば、モノクロロベンゼン、ジクロロベンゼン、ジクロロエタンなど)などが挙げられ、これらは1または2以上併用してもよく、好ましくはトルエン、キシレンである。
【0026】
方法(1)で用いる溶媒の総使用量は、1,4−ジ置換ジヒドロピリジンまたは1,2−ジ置換ジヒドロピリジン(混合物を用いる場合にはその総和)1重量部に対して、好ましくは2重量部〜20重量部、より好ましくは2重量部〜5重量部である。
【0027】
方法(1)においては、二酸化マンガンを用いることができる。二酸化マンガンの使用量は、1,4−ジ置換ジヒドロピリジンまたは1,2−ジ置換ジヒドロピリジン(混合物を用いる場合にはその総和)1モル量に対して、好ましくは1モル量〜15モル量、より好ましくは5モル量〜10モル量である。
【0028】
方法(1)の反応は、70℃〜200℃の範囲内で行うことが必須であり、好ましくは100℃〜150℃、より好ましくは100℃〜200℃、さらに好ましくは100℃〜150℃で、通常30分〜5時間、好ましくは30分〜2時間で終了する。
【0029】
方法(2)
具体的には、例えば、1,4−ジ置換ジヒドロピリジンおよび/または1,2−ジ置換ジヒドロピリジンの溶媒の溶液に、二酸化マンガンとトリメチルシリルクロライドを同時に加え、加熱、撹拌する。方法(2)は、方法(1)と比べて、二酸化マンガンの使用量を顕著に削減できることを本発明者らは見出した。方法(2)を行う際、二酸化マンガンとトリメチルシリルクロライドとは同時に1,4−ジ置換ジヒドロピリジンおよび/または1,2−ジ置換ジヒドロピリジンに作用させることが重要である。同時に作用させない場合、酸化反応は起こらない。
【0030】
方法(2)で用いる溶媒としては、例えば、エーテル系溶媒(例えば、テトラヒドロフラン(THF)、ジメトキシエタン、ジオキサン、ジグライムなど)、ニトリル系溶媒(例えば、アセトニトリル、プロピオニトリルなど)、エステル系溶媒(例えば、酢酸エチル、酢酸ブチルなど)などが挙げられ、これらは1または2以上併用してもよく、好ましくはTHF、酢酸エチルである。
【0031】
方法(2)で用いる溶媒の総使用量は、1,4−ジ置換ジヒドロピリジンまたは1,2−ジ置換ジヒドロピリジン(混合物を用いる場合にはその総和)1重量部に対して、好ましくは3重量部〜20重量部、より好ましくは3重量部〜10重量部である。
【0032】
方法(2)における二酸化マンガンの使用量は、1,4−ジ置換ジヒドロピリジンまたは1,2−ジ置換ジヒドロピリジン(混合物を用いる場合にはその総和)1モル量に対して、好ましくは1モル量〜3モル量、より好ましくは1.05モル量〜1.5モル量である。
【0033】
方法(2)の反応は、用いる溶媒や試薬の種類や量などに依存するが、通常0℃〜100℃の範囲内で行い、収率よく、高純度の生成物を得るためには15℃〜60℃の範囲内で行うのが好ましい。方法(2)の反応は、用いる溶媒や試薬の種類や量などに依存するが、上記温度範囲内で、通常30分〜5時間、好ましくは30分〜3時間で終了する。
【0034】
方法(3)
具体的には、例えば、1,4−ジ置換ジヒドロピリジンおよび/または1,2−ジ置換ジヒドロピリジンの溶媒に、二酸化マンガンと塩酸を同時に添加し、加熱、撹拌する。方法(3)は、方法(1)と比べて、二酸化マンガンの使用量を顕著に削減できることを本発明者らは見出した。方法(3)を行う際、二酸化マンガンと塩酸とは同時に1,4−ジ置換ジヒドロピリジンおよび/または1,2−ジ置換ジヒドロピリジンに作用させることが重要である。同時に作用させない場合、酸化反応は起こらない。
【0035】
方法(3)で用いる溶媒としては、例えば、エーテル系溶媒(例えば、THF、ジメトキシエタン、ジオキサン、ジグライムなど)、炭化水素系溶媒(例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、クメン、シメン、テトラリン、デカリンなど)、ハロゲン化炭化水素系溶媒(例えば、モノクロロベンゼン、ジクロロベンゼン、ジクロロエタンなど)、アルコール類(例えば、エタノール、メタノール、1−プロパノール、1−ブタノール、2−プロパノール、t−ブタノール、t−アミルアルコールなど)、ニトリル系溶媒(例えば、アセトニトリル、プロピオニトリルなど)、エステル系溶媒(例えば、酢酸エチル、酢酸ブチルなど)、水などが挙げられ、これらは1または2以上併用してもよく、好ましくはトルエンと水との混合液、THFと水との混合液である。
【0036】
方法(3)で用いる溶媒の総使用量は、1,4−ジ置換ジヒドロピリジンまたは1,2−ジ置換ジヒドロピリジン(混合物を用いる場合にはその総和)1重量部に対して、好ましくは4重量部〜10重量部、より好ましくは4重量部〜7重量部である。尚、塩酸中に含まれる水分量も当該「方法(3)で用いる溶媒の総使用量」に包含すべきである。
【0037】
方法(3)における二酸化マンガンの使用量は、1,4−ジ置換ジヒドロピリジンまたは1,2−ジ置換ジヒドロピリジン(混合物を用いる場合にはその総和)1モル量に対して、好ましくは1モル量〜5モル量、より好ましくは1.05モル量〜1.2モル量である。
【0038】
方法(3)における塩酸の使用量は、1,4−ジ置換ジヒドロピリジンまたは1,2−ジ置換ジヒドロピリジン(混合物を用いる場合にはその総和)1モル量に対して、好ましくは4モル量〜20モル量、より好ましくは5モル量〜7モル量である。塩酸の濃度は、5%〜35%の範囲内であり、反応の容積効率を高めるためには10%〜35%の範囲内であるのが好ましい。
【0039】
方法(3)の反応は、用いる溶媒や試薬の種類や量などに依存するが、通常0℃〜100℃で行い、速やかに、かつ収率よく高純度の精製物を得るためには15℃〜60℃で行うのが好ましい。方法(3)の反応は、用いる溶媒や試薬の種類や量などに依存するが、上記温度範囲内で、通常30分〜5時間、好ましくは30分〜2時間で終了する。
【0040】
方法(4)
具体的には、例えば、1,4−ジ置換ジヒドロピリジンおよび/または1,2−ジ置換ジヒドロピリジンの溶液に臭素を添加し、加熱、撹拌する。
【0041】
方法(4)で用いる溶媒としては、例えば、炭化水素系溶媒(例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、クメン、シメン、テトラリン、デカリンなど)、ハロゲン化炭化水素系溶媒(例えば、モノクロロベンゼン、ジクロロベンゼン、ジクロロエタンなど)などが挙げられ、これらは1または2以上併用してもよく、好ましくはモノクロロベンゼン、ジクロロベンゼンである。
【0042】
方法(4)で用いる溶媒の総使用量は、1,4−ジ置換ジヒドロピリジンまたは1,2−ジ置換ジヒドロピリジン(混合物を用いる場合にはその総和)1重量部に対して、好ましくは2重量部〜10重量部、より好ましくは3重量部〜5重量部である。
【0043】
方法(4)における臭素の使用量は、1,4−ジ置換ジヒドロピリジンまたは1,2−ジ置換ジヒドロピリジン(混合物を用いる場合にはその総和)1モル量に対して、好ましくは2.5モル量〜5モル量、より好ましくは3モル量〜4モル量である。
【0044】
方法(4)の反応は、通常50℃〜用いる溶媒の沸点、好ましくは70℃〜140℃で行い、用いる溶媒や試薬の種類や量などに依存するが、上記温度範囲内で、通常30分〜5時間、好ましくは30分〜2時間で終了する。
【0045】
方法(5)
具体的には、例えば、1,4−ジ置換ジヒドロピリジンおよび/または1,2−ジ置換ジヒドロピリジンの溶液に、遷移金属塩および過酸化水素を添加し、加熱、撹拌する。過酸化水素は一括添加よりは分割添加するのが好ましく、また取り扱い易く、安全性が高いなどの点から過酸化水素水として用いるのが好ましい。過酸化水素水の水分量は下記「方法(5)で用いる溶媒の総使用量」に包含される。
【0046】
方法(5)で用いる溶媒としては、例えば、エーテル系溶媒(例えば、THF、ジメトキシエタン、ジオキサン、ジグライムなど)、アルコール類(エタノール、メタノール、1−プロパノール、1−ブタノール、2−プロパノール、t−ブタノール、t−アミルアルコールなど)、ニトリル系溶媒(例えば、アセトニトリル、プロピオニトリルなど)、酢酸、ギ酸、水などが挙げられ、これらは1または2以上を併用してもよく、好ましくはメタノール水溶液、酢酸水溶液である。
【0047】
方法(5)で用いる溶媒の総使用量は、1,4−ジ置換ジヒドロピリジンまたは1,2−ジ置換ジヒドロピリジン(混合物を用いる場合にはその総和)1重量部に対して、好ましくは2重量部〜10重量部、より好ましくは2重量部〜9重量部である。
【0048】
方法(5)における過酸化水素の使用量は、1,4−ジ置換ジヒドロピリジンまたは1,2−ジ置換ジヒドロピリジン(混合物を用いる場合にはその総和)1モル量に対して、好ましくは1モル量〜10モル量、より好ましくは1.1モル量〜4モル量である。
【0049】
方法(5)で用いる遷移金属塩としては、例えば、鉄塩(例えば、臭化第一鉄、硫酸第一鉄、塩化第一鉄、塩化第二鉄など)、銅塩(例えば、塩化第一銅、臭化第一銅、硫酸銅、硫化銅、アセチルアセトナート銅など)、コバルト塩(例えば、酢酸コバルト、塩化コバルトなど)などが挙げられ、これらは1または2以上を併用してもよく、好ましくは塩化第一鉄、臭化第一銅、酢酸コバルト、アセチルアセトナート銅である。
【0050】
方法(5)における遷移金属塩の使用量は、1,4−ジ置換ジヒドロピリジンまたは1,2−ジ置換ジヒドロピリジン(混合物を用いる場合にはその総和)1モル量に対して、好ましくは0.001モル量〜0.1モル量、より好ましくは0.005モル量〜0.05モル量である。
【0051】
方法(5)の反応は、用いる溶媒や試薬の種類や量にも依存するが、通常0℃〜50℃で行い、速やかに反応を進行させ、過酸化水素を効率的に使用するためには0℃〜40℃で行うのが好ましい。方法(5)の反応は、用いる溶媒や試薬の種類や量にも依存するが、上記温度範囲内で、通常1時間〜100時間、好ましくは3時間〜80時間で終了する。
【0052】
方法(1)〜(5)で得られた4−モノ置換ピリジン及び2−モノ置換ピリジンは、反応液中に不溶物がある場合には不溶物を濾去し、濾液に酸性水溶液(好ましくは塩酸)を加えて抽出し、得られた水層のpHをアルカリ(好ましくは10〜11)にすることにより、単離することができる。単離後、常法(例えば、洗浄、再結晶など)により精製することができる。
【0053】
方法(1)〜(5)に付した原料が1,2−ジ置換ジヒドロピリジンと1,4−ジ置換ジヒドロピリジンとの混合物である場合、上記単離方法で2−モノ置換ピリジンと4−モノ置換ピリジンとの混合物を溶液から分離することができるが、4−モノ置換ピリジンが所望である場合には、例えば、分離した混合物を更に、下記「4−モノ置換ピリジンの選択的製造方法」に付せばよい。
【0054】
方法(1)〜(5)の原料は、例えば、Tetrahedron Lett.,24巻、2807〜2810頁(1983年)、Tetrahedron 43巻、895〜904頁(1987年)、Tetrahedron 48巻、5647〜5656頁(1992年)、J.Org.Chem.,47巻、4315〜4319頁(1982年)などに開示の方法により製造することができる。
【0055】
4−モノ置換ピリジンの選択的製造方法
4−モノ置換ピリジンと2−モノ置換ピリジンとの混合物を酸と反応させると、選択的に4−モノ置換ピリジンの塩が析出する。具体的には、例えば、溶媒、4−モノ置換ピリジンと2−モノ置換ピリジンとの混合物および酸を加熱、撹拌する。析出した結晶は、例えば濾取することにより取り出す。得られた4−モノ置換ピリジンの塩は常法によりフリー体にすることができる。
【0056】
4−モノ置換ピリジンと2−モノ置換ピリジンとの混合物はどのような方法で製造してもよいが、例えば1,4−ジ置換ジヒドロピリジンと1,2−ジ置換ジヒドロピリジンとの混合物を上記(1)〜(5)のいずれかの方法に付すことにより得ることができる。
【0057】
4−モノ置換ピリジンの選択的製造に用いる溶媒としては、例えば、エステル系溶媒(例えば、酢酸エチル、酢酸ブチルなど)、ニトリル系溶媒(例えば、アセトニトリル、プロピオニトリルなど)、アルコール類(例えば、メタノール、2−プロパノールなど)、ハロゲン化炭化水素系溶媒(例えば、モノクロロベンゼン、ジクロロエタンなど)などが挙げられ、好ましくはメタノール、2−プロパノール、酢酸エチルである。
【0058】
当該溶媒の使用量は、4−モノ置換ピリジンと2−モノ置換ピリジンとの混合物の総重量に対して、通常3倍重量〜20倍重量、好ましくは4倍重量〜15倍重量である。上記方法(1)〜(5)で得られた当該混合物を溶液から単離することなくそのまま4−モノ置換ピリジンの選択的製造方法に付した場合、その時の溶媒の使用量は、1,4−ジ置換ジヒドロピリジンと1,2−ジ置換ジヒドロピリジンとの混合物から化学量論的に得られる4−モノ置換ピリジンと2−モノ置換ピリジンとの混合物の総重量に対して、通常3倍重量〜20倍重量、好ましくは4倍重量〜15倍重量である。
【0059】
4−モノ置換ピリジンの選択的製造に用いる酸としては、有機酸(例えば、パラトルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、シュウ酸、クエン酸など)、無機酸(例えば、塩酸、硫酸、ヨウ化水素酸、過塩素酸など)などが挙げられ、パラトルエンスルホン酸、シュウ酸が好ましい。
【0060】
当該酸の使用量は、4−モノ置換ピリジンと2−モノ置換ピリジンとの混合物の総モル量に対して、通常0.8倍モル量〜1.8倍モル量、好ましくは0.9倍モル量〜1.6倍モル量である。上記方法(1)〜(5)で得られた4−モノ置換ピリジンと2−モノ置換ピリジンとの混合物を溶液から単離することなくそのまま4−モノ置換ピリジンの選択的製造方法に付した場合の酸の使用量は、方法(1)〜(5)で用いた1,4−ジ置換ジヒドロピリジンと1,2−ジ置換ジヒドロピリジンとの混合物の総モル量に対して、通常0.8倍モル量〜1.8倍モル量、好ましくは0.9倍モル量〜1.6倍モル量である。
【0061】
4−モノ置換ピリジンの選択的製造は、用いる溶媒や試薬の種類や量に依存するが、通常40℃〜150℃、好ましくは65℃〜100℃で、通常1時間〜5時間、好ましくは1時間〜2時間で終了する。
【0062】
酸との反応後、析出した沈殿を濾取することにより、4−モノ置換ピリジンの塩を単離することができる。当該塩としては、例えば4−モノ置換ピリジンと上記酸との塩が挙げられる。塩を単離後、常法(例えば、洗浄、再結晶など)により精製することができる。フリー体への変換は常法(例えば、塩基による中和など)により行うことができる。
【0063】
本発明の方法により得られた2−または4−置換ピリジンは、例えば、WO9731910等に記載の方法に従って、医薬品化合物へと変換することができる。
【0064】
【実施例】
以下に本発明を実施例により説明するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。
参考例1
ピリジン(45.17g、0.571mol)、臭化第一銅(4.0g、0.0279mol)をTHF(244g)に懸濁させ、クロロ炭酸エチル(62.0g、0.571mol)と4−トリルマグネシウムクロリドのTHF溶液(281.5g、0.571mol)を−5℃〜0℃で同時に3.5時間かけて滴下した。−5℃〜0℃で35分攪拌後、水(379g)、35%塩酸(11.9g)、塩化アンモニウム(23.5g)の混合物を加え、有機層を分離した。有機層を水(185g)、塩化アンモニウム(18.5g)、28%アンモニア水(1g)の混合物で洗浄後、溶媒を留去し、1−エトキシカルボニル−1,4−ジヒドロ−4−(4−トリル)ピリジン(112g、収率81.0%)と1−エトキシカルボニル−1,2−ジヒドロー2−(4−トリル)ピリジン(13.2g、収率9.6%)の混合物を黄色油状物(総収率:90.6%、モル比89.4:10.6)として得た。
主生成物である1−エトキシカルボニル−1,4−ジヒドロー4−(4−トリル)ピリジンの1H−NMRスペクトルを以下に示した。
【0065】
1H-NMR(400MHz, CDCl3):δ (ppm)=1.33 (3H, t, J=7Hz), 2.33 (3H, s), 4.13 (1H, m), 4.27 (2H, q, J=7Hz), 4.90 (1H, d、J=7 Hz), 4.97 (1H, d, J=7 Hz), 6.83 (1H, d, J=7Hz), 6.94 (1H, d, J=7Hz), 7.15 (4H, s).
【0066】
参考例2
ピリジン(6ml、74.3mmol)、THF(60ml)に溶解し、クロロ炭酸エチル(6ml、62.8mmol)と4−トリルマグネシウムクロリドのTHF溶液(20ml、60mmol)を−20℃で同時に15分かけて滴下した。室温で1時間攪拌後、水(20ml)を加え、有機層を分離した。有機層を3mol/L塩酸水(20ml)、水(20ml)、飽和重曹水(20ml)で洗浄後、溶媒を留去した。残渣(LC分析により、1,2−ジ置換ジヒドロピリジン:1,4ジ置換体=88:12)をカラムクロマトグラフィーで精製し、1−エトキシカルボニル−1,2−ジヒドロ−2−(4−トリル)ピリジン(7.6g、52%)を無色油状物として得た。
1−エトキシカルボニル−1,2−ジヒドロ−2−(4−トリル)ピリジンの1H−NMRスペクトルを以下に示した。
1H-NMR(400MHz, CDCl3) δ(ppm)=1.22-1.32 (3H, m), 2.32 (3H, s), 4.16-4.26 (2H, m), 5.23-5.29 (1H, m), 5.64-5.68 (1H, m), 5.85-6.04 (2H, m), 6.73-6.93 (1H, m), 7.11-7.36 (5H, m).
【0067】
実施例1
1−エトキシカルボニル−1,4−ジヒドロ−4−(4−トリル)ピリジンと1−エトキシカルボニル−1,2−ジヒドロ−2−(4−トリル)ピリジンとの混合物(147g、0.6mol、モル比=84:16)、二酸化マンガン(380g、4.4mol)およびトルエン(440ml)を1時間加熱還流した。不溶物を濾去し、濾液を3mol/L塩酸で抽出した。抽出した水層を20%苛性ソーダ水でpH11とすることにより、4−(4−トリル)ピリジンと2−(4−トリル)ピリジンとの混合物(モル比=84:16)を無色固体として72.7g得た(混合物中の4−(4−トリル)ピリジンの含量:61.6g、1−エトキシカルボニル−1,4−ジヒドロ−4−(4−トリル)ピリジンからの収率:72%)。
【0068】
4−(4−トリル)ピリジンの1H−NMR:
1H-NMR (400MHz, CDCl3): δ (ppm)=2.41 (3H.s), 7.30 (2H, d, J=8.0Hz), 7.50 (2H, dd, J=1.6, 4.4Hz), 7.55 (2H, d, J=8.0Hz), 8.63 (2H, dd, J=1.6, 4.4Hz).
【0069】
2−(4−トリル)ピリジンの1H−NMR:
1H-NMR (400MHz, CDCl3):δ (ppm)=2.38 (3H, s), 7.12-7.17 (1H, m), 7.26 (2H, d, J=8Hz), 7.65-7.66 (2H, m), 7.89 (2H, d, J=8Hz), 8.65 (1H, d, J=6Hz).
【0070】
実施例2
1−エトキシカルボニル−1,4−ジヒドロ−4−(4−トリル)ピリジンと1−エトキシカルボニル−1,2−ジヒドロ−2−(4−トリル)ピリジンとの混合物(1.36g、5.6mmol、モル比=84:16)のモノクロロベンゼン(6ml)溶液を80℃〜90℃に加熱し、これに臭素(1.0g、19mmol)を5分かけて滴下した。1.5時間加熱(80℃〜90℃)後、冷却し、反応液を水で抽出した。水層を20%苛性ソーダ水でpH10とし、酢酸エチルで抽出した。有機層に内部標準としてナフタレンを加え、LC分析した結果、4−(4−トリル)ピリジンの収量は0.18g(1−エトキシカルボニル−1,4−ジヒドロ−4−(4−トリル)ピリジンからの収率:24%)、2−(4−トリル)ピリジンの収量は0.004g(1−エトキシカルボニル−1,2−ジヒドロ−2−(4−トリル)ピリジンからの収率:2.7%)であった。
【0071】
実施例3
1−エトキシカルボニル−1,4−ジヒドロ−4−(4−トリル)ピリジンと1−エトキシカルボニル−1,2−ジヒドロ−2−(4−トリル)ピリジンとの混合物(5.06g、20.8mmol、モル比=84:16)のモノクロロベンゼン(20ml)溶液を加熱還流し、これに臭素(3.5g、67.8mmol)を10分かけて滴下した。30分加熱還流後、冷却し、反応液を水で抽出した。水層を20%苛性ソーダ水でpH10とし、酢酸エチルで抽出した。有機層に内部標準としてナフタレンを加え、LC分析した結果、4−(4−トリル)ピリジンの収量は0.69g(1−エトキシカルボニル−1,4−ジヒドロ−4−(4−トリル)ピリジンからの収率:27%)、2−(4−トリル)ピリジンの収量は0.038g(1−エトキシカルボニル−1,2−ジヒドロ−2−(4−トリル)ピリジンからの収率:6.7%)であった。
【0072】
実施例4
1−エトキシカルボニル−1,4−ジヒドロ−4−(4−トリル)ピリジンと1−エトキシカルボニル−1,2−ジヒドロ−2−(4−トリル)ピリジンとの混合物(5.0g、20.6mmol、モル比=84:16)のトルエン(20ml)溶液に二酸化マンガン(1.9g、21.9mmol)を加え、20〜30℃で35%塩酸(10ml、120mmol)を20分かけて加えた。反応混合物を40℃〜50℃で45分間撹拌した。水層を分離した後、LC分析した結果、4−(4−トリル)ピリジンの収量は2.64g(1−エトキシカルボニル−1,4−ジヒドロ−4−(4−トリル)ピリジンからの収率:90%)、2−(4−トリル)ピリジンの収量は0.029g(1−エトキシカルボニル−1,2−ジヒドロ−2−(4−トリル)ピリジンからの収率:5.2%)であった。
【0073】
実施例5
1−エトキシカルボニル−1,4−ジヒドロ−4−(4−トリル)ピリジンと1−エトキシカルボニル−1,2−ジヒドロ−2−(4−トリル)ピリジンとの混合物(5.0g、20.6mmol、モル比=84:16)のTHF(30ml)溶液に二酸化マンガン(2.55g、29.3mmol)を加え、40℃〜50℃でトリメチルシリルクロライド(15ml、118mmol)を1時間かけて加えた。さらに、40℃で1時間撹拌後、3mol/L塩酸を加え、水層を分離した。水層をLC分析した結果、4−(4−トリル)ピリジンの収量は2.66g(1−エトキシカルボニル−1,4−ジヒドロ−4−(4−トリル)ピリジンからの収率:91%)、2−(4−トリル)ピリジンの収量は0.067g(1−エトキシカルボニル−1,2−ジヒドロ−2−(4−トリル)ピリジンからの収率:12%)であった。
【0074】
実施例6
1−エトキシカルボニル−1,4−ジヒドロ−4−(4−トリル)ピリジンと1−エトキシカルボニル−1,2−ジヒドロ−2−(4−トリル)ピリジンとの混合物(1.0g、4.1mmol、モル比=84:16)のメタノール(6ml)溶液に塩化第一鉄(5mg、0.039mmol)を加え、10%過酸化水素水(1.5ml)を10分で加えた。室温で1.5時間撹拌後、さらに、10%過酸化水素水(1.5ml)を滴下し、室温で14時間撹拌した。反応液にトルエンおよび3mol/L塩酸を加え、水層を分離した。水層をLC分析した結果、4−(4−トリル)ピリジンの収量は0.52g(1−エトキシカルボニル−1,4−ジヒドロ−4−(4−トリル)ピリジンからの収率:89%)、2−(4−トリル)ピリジンの収量は0.013g(1−エトキシカルボニル−1,2−ジヒドロ−2−(4−トリル)ピリジンからの収率:11.7%)であった。
【0075】
実施例7
1−エトキシカルボニル−1,4−ジヒドロ−4−(4−トリル)ピリジンと1−エトキシカルボニル−1,2−ジヒドロ−2−(4−トリル)ピリジンとの混合物(1.0g、4.1mmol、モル比=84:16)のメタノール(6ml)溶液に臭化第一銅(7mg、0.049mmol)を加え、10%過酸化水素水(1.5ml)を10分で加えた。室温で72時間撹拌後、反応液をLC分析した結果、4−(4−トリル)ピリジンの収量は0.33g(1−エトキシカルボニル−1,4−ジヒドロ−4−(4−トリル)ピリジンからの収率:56%)、2−(4−トリル)ピリジンの収量は0.007g(1−エトキシカルボニル−1,2−ジヒドロ−2−(4−トリル)ピリジンからの収率:6.3%)であった。
【0076】
実施例8
1−エトキシカルボニル−1,4−ジヒドロ−4−(4−トリル)ピリジンと1−エトキシカルボニル−1,2−ジヒドロ−2−(4−トリル)ピリジンとの混合物(1.0g、4.1mmol、モル比=84:16)のメタノール(6ml)溶液に酢酸コバルト(7mg、0.04mmol)を加え、10%過酸化水素水(1.5ml)を10分で加えた。室温で72時間撹拌後、反応液をLC分析した結果、4−(4−トリル)ピリジンの収量は0.30g(1−エトキシカルボニル−1,4−ジヒドロ−4−(4−トリル)ピリジンからの収率:51%)、2−(4−トリル)ピリジンの収量は0.005g(1−エトキシカルボニル−1,2−ジヒドロ−2−(4−トリル)ピリジンからの収率:4.5%)であった。
【0077】
実施例9(1,4−ジ置換ジヒドロピリジンと1,2−ジ置換ジヒドロピリジンとの混合物から、純度の高い4−モノ置換ピリジンの塩を製造する例)
1−エトキシカルボニル−1,4−ジヒドロ−4−(4−トリル)ピリジン(152.8g、0.628mol)と1−エトキシカルボニル−1,2−ジヒドロ−2−(4−トリル)ピリジン(13.0g、0.0534mol)との混合物(165.8g、モル比=92:8)をメタノール(852g)に溶解した。これにアセチルアセトナート銅(1.7g、6.49mmol)を加え、35%過酸化水素水(151.3g、1.56mol)を39℃〜42℃で16時間かけて滴下し、さらに同温度で2時間撹拌した。さらに、35%過酸化水素水(12.43g、0.128mol)を40℃〜43℃で2時間かけて滴下し、同温度で2時間撹拌した。これに、亜硫酸水素ナトリウム(21g)を加えた後、溶媒を減圧留去した。酢酸エチル(752g)を加えた後、アンモニア水(38.2g)と水(191g)の混合物、濃塩酸(36.8g)と水(93.2g)の混合物を加えた後、不溶物を濾去した。濾液を分液後、有機層を常圧で濃縮した。残渣に酢酸エチル(1.3L)を加え、さらにパラトルエンスルホン酸(187.5g、0.986mol)を加えて2時間加熱還流した。0℃に冷却後、結晶を濾取し、無色固体(197.9g)を得た。LC分析の結果、この固体は4−(4−トリル)ピリジンのパラトルエンスルホン酸塩と2−(4−トリル)ピリジンのパラトルエンスルホン酸塩との混合物(モル比99.91:0.09)であった。出発原料である1−エトキシカルボニル−1,4−ジヒドロ−4−(4−トリル)ピリジンからの4−(4−トリル)ピリジンのパラトルエンスルホン酸塩の収率は、92.2%であった。
【0078】
実施例10
4−(4−トリル)ピリジンのパラトルエンスルホン酸塩と2−(4−トリル)ピリジンのパラトルエンスルホン酸塩との混合物(10.01g、モル比=99.6:0.4)を、2−プロパノール(60ml)中、1時間加熱還流後、5℃以下で1時間撹拌し、生じた結晶を濾取したところ、4−(4−トリル)ピリジンのパラトルエンスルホン酸塩と2−(4−トリル)ピリジンのパラトルエンスルホン酸塩との混合物(9.4g、99.93:0.07)が得られた。4−(4−トリル)ピリジンのパラトルエンスルホン酸塩の回収率は94%であった。
【0079】
【発明の効果】
本発明により、2−または4−モノ置換ピリジンの工業的に好適な製造方法並びに4−モノ置換ピリジンまたはその塩の選択的製造方法および分離方法を提供することができる。
Claims (11)
- 式
(2)二酸化マンガンとトリメチルシリルクロライド、および
(3)二酸化マンガンと塩酸、
からなる群より選ばれる1つと反応させることを特徴とする、式
- Rが、アルキル基で置換されていてもよいアリール基であることを特徴とする請求項1記載の製造方法。
- Rが、4−トリル基であることを特徴とする請求項1記載の製造方法。
- 式
(2)二酸化マンガンとトリメチルシリルクロライド、および
(3)二酸化マンガンと塩酸、
からなる群より選ばれる1つと反応させ、式
- Rが、アルキル基で置換されていてもよいアリール基であることを特徴とする請求項4記載の製造方法。
- Rが、4−トリル基であることを特徴とする請求項4記載の製造方法。
- 混合物とパラトルエンスルホン酸との反応が、2−プロパノール中で行われることを特徴とする請求項4記載の製造方法。
- 式
(2)二酸化マンガンとトリメチルシリルクロライド、および
(3)二酸化マンガンと塩酸、
からなる群より選ばれる1つと反応させ、式
- Rが、アルキル基で置換されていてもよいアリール基であることを特徴とする請求項8記載の分離方法。
- Rが、4−トリル基であることを特徴とする請求項8記載の分離方法。
- 混合物とパラトルエンスルホン酸との反応が、2−プロパノール中で行われることを特徴とする請求項8記載の分離方法。
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