JP4284584B2 - 食品充填システム殺菌方法および装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、各種食品および飲料をPETボトル、プラスチックカップ等の食品包装容器に無菌的に充填する食品充填システムの機器外表面、室内表面および無菌水ライン配管内外表面からなる殺菌対象表面の殺菌方法および装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
食品充填システムの上記殺菌対象表面の殺菌方法としては、特許文献1に記載の方法がある。この方法によれば、充填機を包囲する枠体内に霧状の過酸化水素を導入して殺菌を行い、その後この枠体内にホットエアを導入して殺菌効果を増進する。また、枠体内に霧状の過酢酸を導入して殺菌を行い、その後この枠体内に霧状の無菌水を導入して付加的に滅菌を行う。
【0003】
【特許文献1】
特開平11−208782号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来の殺菌方法において、枠体内に霧状の殺菌剤を導入する方法として具体的に開示されている方法は、枠体内の上部に配置された噴射ノズルから殺菌対象表面に向けて液状の殺菌剤をスプレーするものである。しかしながら、現実に使用されている食品充填システムの各機器は凹凸や入組んだ部分が多く複雑な表面構造を有しており、上記従来の方法により殺菌剤を上方からスプレーしても、これら機器の凹部や入組んだ部分まで殺菌剤をまんべんなく降り注ぐことは不可能であり、殺菌剤が付着しない部分が生じる。したがって、上記従来の方法により食品充填システムの完全な殺菌を期待することはできない。
【0005】
したがって、この種の食品充填システムの機器外表面や枠体内表面を殺菌する場合は、作業員が枠体内に入り、手作業により各機器の外表面等の殺菌対象表面に塩素化アルカリ系発泡殺菌剤をすみずみまで降りかけた後水で洗浄するという手間と時間がかる方法で殺菌を行っているのが現状である。
【0006】
本発明は、上記従来の食品充填システム殺菌方法の問題点にかんがみなされたものであって、自動化された方法でありながら複雑な表面構造を有する食品充填システムの機器でも短時間で完全に殺菌することが可能な食品充填システム殺菌方法および装置を提供しようとするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明者らは、研究と実験を重ねた結果、食品充填システムの殺菌対象である機器等が配置される空間は殺菌対象を包囲する枠体によって大気から遮断された密閉空間であり、この密閉空間内に40℃以上に加温された過酢酸を含む液状殺菌剤を導入すると、加温された過酢酸が気化して密閉空間内に充満することにより、殺菌剤のスプレーによっては殺菌剤が付着することが困難な機器凹部等の殺菌対象表面にも気相の過酢酸が接触して容易に殺菌が行われることを見出し、本発明に到達した。
【0008】
すなわち、上記目的を達成する本発明の食品充填システム殺菌方法は、大気から遮断された密閉空間を形成する枠体内に存在する食品充填システムの機器外表面、室内表面および無菌水ライン配管内外表面からなる殺菌対象表面を殺菌する方法であって、過酢酸系液状混合殺菌剤を加温し、該枠体内に導入し、該殺菌剤の気化により該殺菌対象表面を殺菌することを特徴とする。
【0009】
本発明によれば、加温された過酢酸系殺菌剤が気化して密閉空間に充満することにより全殺菌対象表面のすみずみまで気相の過酢酸が接触し、殺菌漏れ表面を生じることなく完全な殺菌が行われる。
【0010】
本発明の1側面においては、加温した該酢酸系液状混合殺菌剤を該枠体内に散布して該殺菌対象表面の一部分を濡らすことにより該一部分を殺菌し、該濡れた一部分から気化する過酢酸により該殺菌対象表面の残余の部分を含む全殺菌対象表面を殺菌することを特徴とする食品充填システム殺菌方法が提供される。
【0011】
本発明によれば、加温された過酢酸系液状混合殺菌剤が付着して濡れた殺菌対象表面部分が殺菌された後気化して枠体内の密閉空間に充満した過酢酸により濡れていない殺菌対象部分も殺菌されるので、全殺菌対象表面がすみずみまで完全に殺菌されることになる。
【0012】
本発明の1側面においては、大気から遮断された密閉空間を形成する枠体内に存在する食品充填システムの機器外表面、室内表面および無菌水ライン配管内外表面からなる殺菌対象表面を殺菌する方法であって、過酢酸系液状混合殺菌剤を加温し、該枠体内に導入し、該殺菌剤から気化する過酢酸により該殺菌対象表面を殺菌した後、温水を該枠体に導入し、該温水から蒸発する水蒸気により該殺菌対象表面をさらに殺菌することを特徴とする食品充填システム殺菌方法が提供される。
【0013】
この方法によれば、上記工程により殺菌剤による殺菌を行った後温水を枠体内に購入することにより、上記配合の殺菌剤では死滅しない菌でも温水から蒸発する水蒸気と接触して死滅する効果が得られ、殺菌効果が増進される。
【0014】
本発明の1側面においては、加温した過酢酸系液状混合殺菌剤を該枠体内に散布して該殺菌対象表面の一部分を濡らすことにより該一部分を殺菌し、該濡れた一部分から気化する過酢酸により該殺菌対象表面の残余の部分を含む全殺菌対象表面を殺菌した後、温水を該枠体内に散布して該殺菌対象表面の一部分を濡らすことにより該一部分をさらに殺菌し、該濡れた部分から蒸発する水蒸気により該殺菌対象表面の残余の部分を含む全殺菌対象表面をさらに殺菌することを特徴とする食品充填システム殺菌方法が提供される。
【0015】
この側面によれば、温水を枠体内に散布することにより、洗浄効果が得られるとともに、上記配合の殺菌剤だけでは死滅しない菌でも温水から蒸発する水蒸気と接触して死滅する効果が得られ、殺菌効果が増進される。
【0016】
本発明の1側面によれば、枠体内に導入する温水が60℃以上に加温されることを特徴とする食品充填システム殺菌方法が提供される。
【0017】
本発明の1側面によれば、大気から遮断された密閉空間を形成する枠体内に存在する食品充填システムの機器外表面、室内表面および無菌水ライン配管内外表面からなる殺菌対象表面を殺菌する方法であって、過酢酸系液状混合殺菌剤を加温し、該枠体内に導入し、該殺菌剤から気化する過酢酸により該殺菌対象表面を殺菌した後、加熱したホットエアを該枠体に導入することにより該殺菌対象表面をさらに殺菌することを特徴とする食品充填システム殺菌方法が提供される。
【0018】
この側面によれば、上記配合の殺菌剤では死滅しない菌でもホットエアと接触して死滅する効果が得られ、殺菌効果が増進される。
【0019】
本発明の1側面によれば、枠体内に導入するホットエアが60℃以上に加温されることを特徴とする食品充填システム殺菌方法が提供される。
【0020】
本発明の1側面によれば、大気から遮断された密閉空間を形成する枠体内に存在する食品充填システムの機器外表面、室内表面および無菌水ライン配管内外表面からなる殺菌対象表面を殺菌する方法であって、過酢酸系液状混合殺菌剤を加温し、該枠体内に導入し、該殺菌剤から気化する過酢酸により該殺菌対象表面を殺菌した後、水蒸気を該枠体に導入することにより該殺菌対象表面をさらに殺菌することを特徴とする食品充填システム殺菌方法が提供される。
【0021】
この側面によれば、上記配合の殺菌剤では死滅しない菌でも水蒸気と接触して死滅する効果が得られ、殺菌効果が増進される。
【0022】
本発明の1側面によれば、枠体内に導入する水蒸気が60℃以上に加温されることを特徴とする食品充填システム殺菌方法が提供される。
【0023】
本発明の1側面によれば、過酢酸系液状殺菌剤を40℃以上60℃以下に加温することを特徴とする食品充填システム殺菌方法が提供される。
【0024】
本発明の1側面によれば、過酢酸系液状殺菌剤が、過酢酸、過酸化水素および酢酸を含有する液状混合殺菌剤であることを特徴とする食品充填システム殺菌方法が提供される。
【0025】
本発明の1側面においては、大気から遮断された密閉空間を形成する枠体内に存在する食品充填システムの機器外表面、室内表面および無菌水ライン配管内外表面からなる殺菌対象表面を殺菌する装置であって、過酢酸、過酸化水素および酢酸を含有する液状混合殺菌剤を40℃以上に加温する加温手段と、該加温手段により加温された該殺菌剤を該枠体内に散布する散布手段を備えることを特徴とする食品充填システム殺菌装置が提供される。
【0026】
さらに、本発明の1側面においては、食品充填システム殺菌装置は、上記構成に加えて、水を60℃以上に加温する加温手段をさらに備えることを特徴とする。
【0027】
【発明の実施の形態】
以下本発明の実施の形態について説明する。
本発明の方法において使用する殺菌剤は過酢酸、過酸化水素および酢酸を含有する液状混合殺菌剤である。殺菌剤の安定性を維持するため、殺菌剤中の過酢酸の含有量は質量%で5%〜10%、過酸化水素の含有量は8%〜28%、酢酸の含有量は6%〜32%が好ましい。市販されている好適な殺菌剤としては、たとえば東洋機械販売株式会社製のTOYO-aktivやエコラボ株式会社製のP3-oxoniaaktiv等を選ぶことができる。
【0028】
この混合殺菌剤を水で希釈した水溶液を枠体内に導入するが、この場合の過酢酸の濃度は1000ppm〜4000ppm未満の範囲内にあることが好ましい。過酢酸の濃度が1000ppm未満では充分な殺菌効果を収めることができず、また4000ppm以上では殺菌対象となる器機のガスケットやパッキン等の部品の劣化が激しくなり、これらの部品を頻繁に交換しなければならず、生産効率を減少させるので好ましくない。
【0029】
本発明の方法において使用する混合殺菌剤は40℃以上に加温して枠体内に導入する。使用される混合殺菌剤の好ましい温度は40℃〜60℃以下である。殺菌剤の温度が40℃未満では、枠体内に導入された殺菌剤中の過酢酸が充分に気化せず所定の殺菌効果が得られないおそれがある。また殺菌剤の温度が60℃より高くなると、殺菌剤の分解率が高くなり消費量が増加して不経済であるばかりでなく、殺菌対象である機器のガスケットやパッキン等の部品の劣化が激しくなり、これらの部品を頻繁に交換しなければならなくなり、生産効率を阻害するので好ましくない。
【0030】
液状混合殺菌剤を枠体内に導入する方法としては特に限定はない。簡単で効率的に殺菌剤を導入する方法は枠体内で殺菌剤を散布する方法である。具体的には、たとえばスプレーボールを回転して殺菌剤の液滴を撒き散らしてもよいし、枠体の上部に多数の流出口を有する殺菌剤分配管を配置し、これら多数の流出口から殺菌剤を滝のように降らしてもよいし、あるいは複数のスプレーノズルを配置してこれらのスプレーノズルから殺菌剤を霧状に噴霧してもよい。いずれにしても、液状殺菌剤が枠体内でできるだけ広い面積に付着して過酢酸が効率的に気化できるような方法で殺菌剤を散布すればよい。
【0031】
散布以外の殺菌剤導入方法としては、たとえば、殺菌剤の温浴を枠体内に配置し、この温浴から気化した過酢酸が枠体内に充満するようにしてもよい。
【0032】
枠体内に殺菌剤を散布する場合、本発明によれば、殺菌対象表面の殺菌は、殺菌剤の液滴が付着しない部分においても気化した過酢酸により充分に達成されるので、殺菌剤の散布に際して特に殺菌対象表面を目標として散布する必要がなく、したがって個別の食品充填用機器の形状や配置等の特殊事情を考慮して散布用器具の設計や配置を特別の仕様にする必要がなく、異なる食品充填システムに汎用の殺菌装置を適用することができるので便利である。
【0033】
殺菌剤を散布する方法を用いる場合は、上記殺菌工程を終了した後、殺菌剤の散布に使用した散布用器具を使用して無菌水を散布し殺菌対象表面に付着した殺菌剤を洗い流すことにより全行程を終了する。
【0034】
殺菌対象となる多くの微生物は、上記の方法により、6分〜8分程度の短い殺菌時間で6Dまで殺菌することができるが、中には上記の方法だけでは3D程度までの殺菌しかできず、殺菌時間を延長してもこれ以上の殺菌効果が挙がらない微生物もある。このような微生物については、上記殺菌工程の後で、60℃以上に加温した温水を枠体内に導入し、この温水から蒸発する水蒸気と接触させることにより残存する微生物を死滅させることができる。温水を導入する方法として散布による場合は、温水の散布方法としては前工程において殺菌剤の散布に使用した散布器具をそのまま使用すればよい。この場合温水は前工程における殺菌剤と同様に殺菌対象表面の一部分しか濡らすことはできないが、60℃以上の温水から蒸発した水蒸気により6Dの殺菌を達成できることが判った。
【0035】
また、温水の導入に替えて、60℃以上に加熱したホットエアまたは水蒸気をたとえばパイプ等により枠体内に吹込む等の方法により導入することにより温水導入と同様の付加的な殺菌効果を挙げることが可能である。
【0036】
以上述べた本発明の殺菌方法により殺菌できる主な微生物は次のとおりである。
【0037】
かび類:Aspergillus属、Penicillium属、Byssochamys属、Neosartorya属およびChatomium属
酵母類:Saccharomyces属およびCandida属
細菌類:Bacillus属A群:Bacillus subitilis var. niger、Bacillus subitilis
細菌類:Bacillus 属B群:Bacillus cereus
次に、図1を参照して、本発明の方法を実施するための殺菌装置の1実施形態につき説明する。
【0038】
図1において、食品充填システム10は飲料をPETボトルに充填するための充填装置であって、PETボトルの搬送方向の順にボトルリンサー11、フイラー12、アセプキャッパー13、ボトルを2列に振り分けるための振り分け装置14が配列されている。食品充填装置10は鋼板からなるカバー15によって覆われており、このカバー15によって密閉空間である枠体16が形成されている。
【0039】
なお、カバー15にはボトル導入口15aとボトル排出口15bが形成されているが、枠体16は実質的に密閉されており、本明細書における「密閉空間」はこのような実質的に密閉された空間を含むものとする。
【0040】
殺菌装置1は、枠体16内において液状混合殺菌剤を散布する手段を構成する複数の回転ノズル2および複数の固定ノズル3を備えている。回転ノズル2はスプレーボールからなり、噴射口を下方に向けて枠体16内の上部に配置されている。固定ノズル3はフルコーンノズルからなり、噴射口を斜め上方に向けて枠体16内の下部の床面付近に配置されている。回転ノズル2および固定ノズル3はそれぞれ配管4により切替え弁7および加温ヒーター6を介して殺菌剤貯蔵タンク5に接続されており、該タンク5から希釈された殺菌剤の供給を受けることができる。
【0041】
また回転ノズル2および固定ノズル3はそれぞれ配管4により切替え弁7および加温ヒーター9を介して温水供給源8に接続されており、温水の供給を受けることができる。
【0042】
この装置を使用して殺菌を行う場合は、切替え弁7を操作して配管4を殺菌剤貯蔵タンク5に接続する。所定の濃度に希釈された殺菌剤は加温ヒーター6により加温され、配管4を経由して枠体16内の回転ノズル2および固定ノズル3に供給され、これらのノズル2、3から枠体内に散布される。散布された殺菌剤は枠体16内のボトルリンサー11、フイラー12、アセプキャッパー13、振り分け装置14等の機器の外表面、枠体16の内壁面およびボトルリンサー11に無菌水を供給する無菌水ライン配管(図示せず)等の殺菌対象表面の大部分に降りかかってこの部分を濡らし、この部分を即座に殺菌する。散布された殺菌剤中の過酢酸は気化して枠体16内に充満し、この気相の過酢酸が殺菌剤によって濡れていない残余の殺菌対象表面を含む全殺菌対象表面に接触することにより殺菌が行われる。このようにして殺菌剤の散布を所定時間継続することにより全殺菌対象表面の完全な殺菌が行われる。
【0043】
殺菌剤散布だけでは充分に死滅しない菌を殺菌対象とする場合は、上記殺菌剤による殺菌を終了した後切替え弁7を切り替えて配管4を温水供給源8に接続する。これによって、温水供給源8からの水が温水ヒーター6によって60℃以上に加温され、配管4を介して回転ノズル2および固定ノズル3に供給され、これらのノズル2、3から枠体16内に散布される。散布された温水は殺菌対象表面の大部分を濡らすことによってこの部分を殺菌するとともに、蒸発した水蒸気が枠体16内に充満し、温水によって濡れていない部分を含む全殺菌対象表面に接触することによってさらなる殺菌が行われる。この温水の散布を所定時間継続することによって全殺菌対象表面の完全な殺菌が達成される。
【0044】
【実施例】
実施例1
供試菌株としてBacillus cereus ATCC9139を選び、クリーンボックス内において本発明の殺菌方法を試験した。
【0045】
菌数計測のためSMA培地を使用し、菌を30℃で7日間培養して菌数を計測した。クリーンボックスの2個所に菌を105cfu/100cm2付着させた後液状殺菌剤としてTOYO-aktiv(過酢酸10%、過酸化水素15%、酢酸25%混合殺菌剤)を使用し、この殺菌剤を過酢酸濃度2000ppmに希釈した水溶液を40℃に加温した温浴をクリーンボックス内に配置し、この温浴から気化した過酢酸の気相により殺菌を行った。殺菌開始後の時間経過と過酢酸の気相による殺菌効果(Dで表す)の関係を図2に示す。
【0046】
図から明らかなように、殺菌開始後120秒後に約5Dの殺菌効果を挙げることができた。
【0047】
実施例2
殺菌剤を50℃に加温した以外は実施例1と同一方法により殺菌テストを行った。時間経過と殺菌効果の関係を図2に示す。
【0048】
図から明らかなように、殺菌開始後60秒後に約5.5Dの殺菌効果を挙げることができた。実施例1、2の結果から、40℃以上に加温された殺菌剤を使用して殺菌を7分〜8分継続すれば6D以上の殺菌効果を挙げることは充分可能であることが判る。
【0049】
比較例1
殺菌剤を30℃に加温した以外は実施例1と同一方法により殺菌テストを行った。時間経過と殺菌効果の関係を図2に示す。
【0050】
図から明らかなように、30℃の加温では240秒経過時点で約3Dの殺菌効果しか挙げることができず、その後殺菌を継続しても殺菌効果はそれ以上向上しないことが判る。
【0051】
実施例3
供試菌株としてかびの1種であるChaetomium globsum IFO6347を選び、クリーンボックス内において殺菌剤と温水を併用する本発明の殺菌方法を試験した。
【0052】
菌数計測のためPDA培地を使用し、菌を30℃で7日間培養して菌数を計測した。
【0053】
クリーンボックス内の2個所に菌を105cfu/100cm2付着させた後液状殺菌剤としてTOYO-aktivを使用し、この殺菌剤を過酢酸濃度2000ppmに希釈した水溶液を40℃に加温した温浴をクリーンボックス内に配置して気化した過酢酸の気相による殺菌を8分間行った。8分経過時点での殺菌効果は約2.7Dであった。8分の殺菌時間経過後殺菌剤の温浴に換えて60℃に加温した温水の温浴をクリーンボックス内に配置し、この温浴から蒸発する温水の水蒸気による殺菌を行った。水蒸気による殺菌開始後の時間経過と殺菌効果(Dで表す)の関係を図3に示す。
【0054】
図から明らかなように、水蒸気による殺菌開始後180秒後に約5Dの殺菌効果を挙げることができた。
【0055】
実施例4
水を65℃に加温した以外は実施例3と同一方法により殺菌テストを行った。時間経過と殺菌効果の関係を図3に示す。
【0056】
図から明らかなように、水蒸気による殺菌開始後180秒後に約6Dの殺菌効果を挙げることができた。実施例3、4の結果から、60℃以上に加温された殺菌剤を使用して殺菌を7分〜8分継続すれば6D以上の殺菌効果を挙げることは充分可能であることが判る。
【0057】
比較例2
水を55℃に加温した以外は実施例3と同一方法により殺菌テストを行った。時間経過と殺菌効果の関係を図3に示す。
【0058】
図から明らかなように、55℃の加温では水蒸気による殺菌開始後180秒経過時点で約4Dの殺菌効果しか挙げることができず、水蒸気による殺菌開始時に比べて顕著な殺菌効果を挙げられないことが判る。
【0059】
比較例3
温水温浴による殺菌剤温浴の置換を行わず、殺菌剤の温浴による殺菌を継続した以外は実施例3と同一方法により殺菌テストを行った。すなわち殺菌剤温浴による殺菌を8分間行った後さらに同一殺菌剤温浴による殺菌を継続した。最初の8分間の殺菌時間経過後の時間経過と殺菌効果の関係を図3に示す。
【0060】
図から明らかなように、殺菌剤による殺菌のみでは180秒経過時点で約3Dの殺菌効果しか挙げることができず、これ以上殺菌剤による殺菌を継続しても6Dの殺菌を行うことは困難であることが判った。
【0061】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明によれば、過酢酸、過酸化水素および酢酸を含有する液状混合殺菌剤を40℃以上に加温し、密閉空間を形成する枠体内に導入し、殺菌剤から気化する過酢酸により枠体内の殺菌対象表面を殺菌することにより、全殺菌対象表面のすみずみまで気相の過酢酸が接触し、殺菌漏れ表面を生じることなく完全な殺菌が行われる。したがって、自動化された方法により、複雑な表面構造を有する食品充填システムの機器でも短時間で完全に殺菌することができる。
【0062】
また、上記殺菌工程だけでは死滅しない菌を殺菌対象とする場合は、上記工程により殺菌剤による殺菌を行った後に60℃以上に加温された温水、ホットエア、または水蒸気を枠体内に導入することにより、殺菌剤では死滅しない菌でも60℃以上の温水から蒸発する水蒸気、ホットエア、または導入された水蒸気と接触して死滅する効果が得られ、殺菌効果が増進される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の食品充填システム殺菌装置の1実施形態を模式的に示す図である。
【図2】殺菌剤による殺菌時間と殺菌効果の関係を示すグラフである。
【図3】殺菌剤と温水の併用による殺菌時間と殺菌効果の関係を示すグラフである。
【符号の説明】
1 食品充填システム殺菌装置
2 回転ノズル(散布手段)
3 固定ノズル(散布手段)
4 配管(散布手段)
5 殺菌剤貯蔵タンク
6 加温ヒーター(加温手段)
9 加温ヒーター(加温手段)
15 カバー
16 枠体

Claims (6)

  1. 大気から遮断された密閉空間を形成する枠体内に存在する食品充填システムの機器外表面および室内表面からなる殺菌対象表面を殺菌する方法であって、過酢酸系液状殺菌剤を40℃以上60℃以下に加温し、該枠体内に導入し、該殺菌剤から気化する過酢酸により該殺菌対象表面を殺菌した後、60℃以上に加温した温水を該枠体に導入し、該温水から蒸発する水蒸気により該殺菌対象表面をさらに殺菌することを特徴とする食品充填システム殺菌方法。
  2. 該加温した過酢酸系液状殺菌剤を該枠体内に散布して該殺菌対象表面の一部分を濡らすことにより該一部分を殺菌し、該濡れた一部分から気化する過酢酸により該殺菌対象表面の残余の部分を含む全殺菌対象表面を殺菌した後、加温した温水を該枠体内に散布して該殺菌対象表面の一部分を濡らすことにより該一部分をさらに殺菌し、該濡れた部分から蒸発する水蒸気により該殺菌対象表面の残余の部分を含む全殺菌対象表面をさらに殺菌することを特徴とする請求項記載の食品充填システム殺菌方法。
  3. 大気から遮断された密閉空間を形成する枠体内に存在する食品充填システムの機器外表面および室内表面からなる殺菌対象表面を殺菌する方法であって、過酢酸系液状殺菌剤を40℃以上60℃以下に加温し、該枠体内に導入し、該殺菌剤から気化する過酢酸により該殺菌対象表面を殺菌した後、60℃以上に加熱したホットエアを該枠体に導入することにより該殺菌対象表面をさらに殺菌することを特徴とする食品充填システム殺菌方法。
  4. 大気から遮断された密閉空間を形成する枠体内に存在する食品充填システムの機器外表面および室内表面からなる殺菌対象表面を殺菌する方法であって、過酢酸系液状殺菌剤を40℃以上60℃以下に加温し、該枠体内に導入し、該殺菌剤から気化する過酢酸により該殺菌対象表面を殺菌した後、60℃以上に加熱した水蒸気を該枠体に導入することにより該殺菌対象表面をさらに殺菌することを特徴とする食品充填システム殺菌方法。
  5. 過酢酸系液状殺菌剤が、過酢酸、過酸化水素および酢酸を含有する液状混合殺菌剤であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の食品充填システム殺菌方法。
  6. 大気から遮断された密閉空間を形成する枠体内に存在する食品充填システムの機器外表面および室内表面からなる殺菌対象表面を殺菌する装置であって、過酢酸、過酸化水素および酢酸を含有する過酢酸系液状殺菌剤を40℃以上60℃以下に加温する加温手段と、該加温手段により加温された該殺菌剤を該枠体内に散布する散布手段と、水を60℃以上に加温する加温手段と、該殺菌剤から気化する過酢酸により該殺菌対象表面を殺菌した後、60℃以上に加温した温水を該枠体内に導入し、該温水から蒸発する水蒸気により該殺菌対象表面をさらに殺菌する手段とを備えることを特徴とする食品充填システム殺菌装置。
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