JP4262319B2 - 走査型レーザ顕微鏡 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、レーザ光源から発したレーザ光を走査して標本に照射し、このレーザ光の照射により励起された標本が発した蛍光を、共焦点光学系を通して結像させ、これを各蛍光波長毎に分光して検出するようにした走査型レーザ顕微鏡に関する。
【0002】
【従来の技術】
図2は従来の走査型レーザ顕微鏡の光学系の構成を示す図である。図2において、1はレーザ光源、2はレーザ光の光束径を拡大するためのビームエクスパンダ、3はレーザ波長を選択するためのレーザラインフィルタ、4はダイクロイックミラーである。また、5はガルバノミラー等のX−Yレーザ走査光学系、6は瞳リレーレンズ、7は観察光学系、8は対物レンズ、9は標本である。
【0003】
11は結像レンズ、12は前記結像レンズ11の結像位置に配置された共焦点ピンホール、13は前記共焦点ピンホール12を通過する発散光(広がり角を持つ光)を平行光線にするコリメート光学系であり、これら11〜13によって共焦点光学系を構成している。14および15は分光用のダイクロイックミラー、16はミラー、24,25,26は光検出器である。
【0004】
この走査型レーザ顕微鏡においては、レーザ光源1からレーザ光が発せられると、このレーザ光はビームエクスパンダ2で対物レンズ8のNAに応じた光束径に拡大され、レーザラインフィルタ3により所望のレーザ波長が選択された後、ダイクロイックミラー4で反射され、X−Yレーザ走査光学系5でXY偏向されたのち、瞳リレーレンズ6,観察光学系7,対物レンズ8を介して標本9に照射される。
【0005】
この照射により励起された標本9が発した所定波長の蛍光は、対物レンズ8からダイクロイックミラー4までの経路を戻り、ダイクロイックミラー4を透過する。ダイクロイックミラー4を透過した蛍光は、結像レンズ11で集光されて共焦点ピンホール12を通過する。共焦点ピンホール12を通過した発散光(広がり角を持つビーム)は、コリメート光学系13を透過することにより平行光線となる。この平行光線は、蛍光の波長域毎に分光されて検出される。即ち第1レベル以下の波長の光はダイクロイックミラー14で反射されて光検出器24により検出される。第2レベル以下の波長の光はダイクロイックミラー15で反射されて光検出器25により検出される。そして第2レベルを越えた波長の光はミラー16で反射されて光検出器26により検出される。
【0006】
かくしてこの走査型レーザ顕微鏡によれば、共焦点ピンホール12を通過した後の蛍光が所定波長毎に分光され、複数の異なる波長の光として光検出器24、25、26でそれぞれ検出され、測光される。その輝度情報をそれぞれの走査ポイントに対応させて、モニタ上に二次元表示した画像が得られていた。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
上述した従来の走査型レーザ顕微鏡には次のような問題点がある。上記構成の走査型レーザ顕微鏡では、標本9を多重染色により蛍光観察する場合、複数種の波長の蛍光が一つの共焦点ピンホール12を通過することになる。一つの共焦点ピンホール12を回折径の異なる複数の蛍光が通るということは、下記の(1)式を満たす回折径Dのうち、一つの蛍光波長λの回折径Dのみが上記共焦点ピンホール径に適合するだけである。つまりその他の蛍光波長にとっては、最適なピンホール径dではないために、共焦点効果の弱い像あるいは明るさをロスした像になってしまう。
【0008】
D=1.22(λ/NA) …(1)
ただし、D…回折径
λ…蛍光波長
NA…共焦点ピンホールへ入射する光の開口数
ここでピンホール径dと回折径Dとが、d≦Dの場合は、共焦点効果は変わらないが明るさが減少する。またd>Dの場合は、明るくはなるが共焦点効果は低下する。従って短波長でd=Dにすると、長波長では明るさが失われてしまう。逆に長波長でd=Dにすると、短波長では明るくはなるが共焦点効果が低下してしまう。
【0009】
本発明の目的は、観察したい標本から発する全ての蛍光波長に対し、共焦点効果が高く且つ明るさ損失の少ない像を、得ることのできる走査型レーザ顕微鏡を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決し目的を達成するために、本発明の走査型レーザ顕微鏡は以下に示す如く構成されている。
(1)本発明の走査型レーザ顕微鏡は、異なる波長を有する複数のレーザ光を発するレーザ光源と、このレーザ光源から発せられる各波長のレーザ光から特定波長のレーザ光を選択するレーザ光選択手段と、このレーザ光選択手段により選択されたレーザ光を走査して標本に照射する手段と、この照射手段により照射されたレーザ光により励起された前記標本が発した蛍光を通過させる如く前記標本の面と共役な位置に設置され前記蛍光の波長に対応した開口径に切換え可能な共焦点ピンホールと、この共焦点ピンホールの開口径を前記蛍光の波長にあわせて切換え制御する制御装置とを備え、上記制御装置は、レーザ光源から発せられるレーザ光の波長情報または標本の蛍光色素情報に基づいて、標本が発する蛍光波長の回折径を算出し、この算出結果に基づいて共焦点ピンホールの開口径を切換え制御するものであることを特徴としている。
(2)本発明の走査型レーザ顕微鏡は、上記(1)に記載した顕微鏡であって、前記レーザ光選択手段によってレーザ光の波長を切り換えるたびに、前記制御装置により前記共焦点ピンホールの開口径を切換え制御するものであることを特徴としている。
(3)本発明の走査型レーザ顕微鏡は、上記(1)〜(2)に記載した顕微鏡であって、前記レーザ光選択手段によってレーザ光の波長を切り換えるたびに、前記制御装置により前記共焦点ピンホールの開口径を切換え制御して画像を取得し、前記各レーザ波長ごとに取得された画像を重ね合わせることを特徴としている。
(4)本発明の走査型レーザ顕微鏡は、上記(1)〜(3)に記載した顕微鏡であって、前記共焦点ピンホール径と前記各蛍光の回折径との大小関係を、観察標本の条件に応じて可変設定する手段を備えたことを特徴としている。この可変設定する手段は、蛍光波長に対して算出される回折径に対して、前記蛍光波長に拘らず同じであって、前記標本の条件に応じて設定される係数を乗じた値に前記共焦点ピンホールの開口径を制御する。
【0011】
【発明の実施の形態】
(第1実施形態)
図1は本発明の第1実施形態に係る走査型レーザ顕微鏡の光学系の構成を示す図である。なお図2と同一機能を有する部分には同一符号を付し、詳しい説明は省く。図1に示す光学系の特徴点の一つは、ビームエクスパンダ2とダイクロイックミラー4との間に、488nm用レーザラインフィルタ31、530nm用レーザラインフィルタ32、648nm用レーザラインフィルタ33、を光路に対し選択的に挿脱可能なレーザ光選択手段30を設けた点である。他の特徴点はレーザ光選択手段30のフィルタの種類に応じて制御装置41が、結像レンズ11の結像位置に配置された共焦点ピンホール42の開口径を蛍光の波長に応じた径に切換え制御すると共に、これに連動して光検出器24,25,26の各受光部にそれぞれ配置されたシャッター44,45,46を開閉制御する共焦点制御系40を設けた点である。なお、共焦点ピンホール42としては単一のピンホールの径が拡大または縮小するものや、回転円板上に配設された径の異なる複数のピンホールが選択的に光路に挿入されるもの等を用いることができる。
【0012】
また本実施形態におけるレーザ光源10は、例えば488nm、530nm、648nm、の各波長のレーザ光を同時発振可能なKr−Ar多波長発振レーザ光源である。また標本9は蛍光色素FITC,PI,CY5で染色されているものとする。
【0013】
なお、本実施形態では共焦点ピンホール42の開口径の切換え制御をレーザ光選択手段30に連動させていたが、これに限られるものではなく、例えばレーザ光選択手段30とは独立して、共焦点ピンホール42の開口径の切換え制御を制御装置41に行なわせるようにしてもよい。
【0014】
制御装置41は、レーザ光源10から出力されるレーザ光の波長情報(例えば488nm、530nm、648nm)あるいは標本9の蛍光色素情報(FITC、PI、CY5)を、例えば内蔵のメモリに記憶し、かつ記憶されたこれらの情報に基づいて標本9が発する蛍光波長の回折径を演算して求め、求めた回折径に応じて共焦点ピンホール42の大きさを可変制御する如く構成されている。
【0015】
このように構成された本実施形態によれば、レーザ光源10から出力されたレーザ光はビームエクスパンダ2を通ることにより、対物レンズ8のNAに応じた光束径に拡大された後、レーザ光選択手段30により下記の如く所定のレーザ波長を持つレーザ光のみが選択される。
【0016】
まず、例えばレーザラインフィルタ31が光路に挿入されると、488nmの波長のレーザ光が選択される。この選択されたレーザ光はダイクロイックミラー4で反射され、ガルバノミラー等のX−Yレーザ走査光学系5でXY偏向されたのち、瞳リレーレンズ6、観察光学系7、対物レンズ8を介して標本9上に照射される。つまり波長488nmのレーザ光のみが標本9へ照射され、二次元走査が行なわれる。
【0017】
波長488nmのレーザ光の照射により、標本9の蛍光色素が励起されると、主として約520nmの波長のFITC蛍光色素(以下、FITCと称す)が発せられる。このFITCの蛍光は、対物レンズ8からダイクロイックミラー4に至る経路を戻り、ダイクロイックミラー4を透過する。ダイクロイックミラー4を透過した上記蛍光は、結像レンズ11で集光され、当該結像レンズの結像位置に配置された共焦点ピンホール42を通過する。
【0018】
制御装置41はレーザ光選択手段30のフィルタがレーザラインフィルタ31であることに基づいて、標本9から発せられるFITCの蛍光波長(約520nm)の回折径を算出し、その回折径に応じて共焦点ピンホール42の大きさ(ピンホール径d)を可変設定している。したがってこの共焦点ピンホール42を通過した約520nmの波長の蛍光は、フレアの少ない即ち共焦点効果の高い、しかも光量ロスの少ないものとなる。このため良好な像が得られる。
【0019】
共焦点ピンホール42を通過した発散光(広がり角を持つビーム)は、コリメート光学系13を透過することにより平行光線となる。
この平行光線は、波長575nm以下の光を反射するダイクロイックミラー14で反射され、制御装置41により開状態とされているシャッタ44を通過し光検出器24で検出される。なおこのとき標本9は、575nmを越えた波長の蛍光も発するが、この蛍光はダイクロイックミラー14を透過し、ダイクロイックミラー15,ミラー16で分光ないし反射され、光検出器25,26に入射しようとする。しかるにこのときはシャッター45,46は制御装置41により閉状態とされているため光検出器25,26に余計な光が入射するおそれはない。
【0020】
したがって、共焦点ピンホール42を通過した約520nmの波長を有するFITCの蛍光のみが、ダイクロイックミラー14,シャッタ44により分離抽出されて対応する光検出器24で検出され、輝度情報を得ることになる。
【0021】
次に、例えばレーザラインフィルタ32が光路に挿入されると、今度は530nmの波長のレーザ光が選択される。選択されたレーザ光は前述の場合と同様にダイクロイックミラー4で反射され、ガルバノミラー等のX−Yレーザ走査光学系5でXY偏向され、瞳リレーレンズ6、観察光学系7、対物レンズ8を介して標本9上に照射される。
【0022】
波長530nmのレーザ光が照射されることにより、標本9の蛍光色素が励起され、主として約615nmの波長を有するPIの蛍光が発せられる。このPIの蛍光は、対物レンズ8からダイクロイックミラー4に至る経路を戻り、ダイクロイックミラー4を透過する。ダイクロイックミラー4を透過した蛍光は、結像レンズ11で集光され、当該結像レンズの結像位置に配置された共焦点ピンホール42を通過する。
【0023】
制御装置41は、レーザ光選択手段30のフィルタがレーザラインフィルタ32であることに基づいて標本9から発せられるPIの蛍光波長(約615nm)の回折径を算出し、その回折径に応じて共焦点ピンホール42の大きさを可変設定している。したがって、この共焦点ピンホール42を通過した約615nmの波長の蛍光は、やはりフレアの少ないすなわち共焦点効果の高い、しかも光量ロスの少ないものとなり、良好な像となる。
【0024】
そして前述の場合と同様に、共焦点ピンホール42を通過した615nmの波長を有するPIの蛍光は、コリメート光学系13により平行光線とされる。
この平行光線は、ダイクロイックミラー14を透過したのち、波長640nm以下の光を反射するダイクロイックミラー15で反射され、この場合は開状態となっているシャッタ45を通過し光検出器25で検出される。なおこのときも、前述したのと同様に、波長575nm以下の蛍光はダイクロイックミラー14で反射されると共に、波長が640nmを越えた蛍光はダイクロイックミラー15を透過した後、ミラー16で反射され、それぞれ光検出器24,26に入射しようとする。しかるにこのときシャッター44,46はいずれも閉じているため、光検出器24,26に余計な光が入射するおそれはない。
【0025】
次いで更に、例えばレーザラインフィルタ33が光路に挿入されると、今度は648nmの波長のレーザ光が選択される。選択されたレーザ光は前述の場合と同様にダイクロイックミラー4で反射され、ガルバノミラー等のX−Yレーザ走査光学系5でXY偏向され、瞳リレーレンズ6、観察光学系7、対物レンズ8を介して標本9上に照射される。
【0026】
波長648nmのレーザ光が照射されることにより、標本9の蛍光色素が励起され、主として約670nmの波長を有するCY5の蛍光が発せられる。この蛍光は、対物レンズ8からダイクロイックミラー4に至る経路を戻り、ダイクロイックミラー4を透過する。ダイクロイックミラー4を透過した蛍光は、結像レンズ11で集光され、当該結像レンズの結像位置に配置された共焦点ピンホール42を通過する。
【0027】
制御装置41は、レーザ光選択手段30のフィルタがレーザラインフィルタ33であることに基づいて、標本9から発せられるCY5の蛍光波長(約670nm)の回折径を算出し、その回折径に応じて共焦点ピンホール42の大きさを可変設定している。したがって、この共焦点ピンホール42を通過した波長が約670nmの蛍光は、やはりフレアの少ないすなわち共焦点効果の高い、しかも光量ロスの少ないものとなり良好な像となる。
【0028】
そして前述の場合と同様に、共焦点ピンホール42を通過した約670約nmの波長を有するCY5の蛍光は、コリメート光学系13によって平行光線とされる。
【0029】
この平行光線は、ダイクロイックミラー14を透過し、更にダイクロイックミラー15を透過したのち、ミラー16で反射され、この場合は開状態となっているシャッタ46を通過し光検出器26で検出される。なおこのときも前述したのと同様に、波長が575nm以下の蛍光は、ダイクロイックミラー14で反射され、波長640nm以下の蛍光はダイクロイックミラー15で反射され、それぞれ光検出器24,25に入射しようとする。しかるにこのときシャッター44,45はいずれも閉じているため、光検出器24,25に余計な光が入射するおそれはない。
【0030】
前記三つの波長の蛍光に基づく像を重ね合わせると、短波長の蛍光から長波長の蛍光まで、全て共焦点効果が高くかつ明るさロスの少ない像が得られる。この結果、良好な多重染色観察を行なうことができる。
【0031】
また、このような方法による多重染色像の取得に際しては、一つの励起光に対応する蛍光波長の光のみが各検出器にとり込まれるので、短波長側の蛍光が長波長側の蛍光に重なることを避けることができ、所謂クロスオーバーのないS/Nの良い像を得ることができる。
【0032】
(第2実施形態)
共焦点ピンホール42のピンホール径dが回折径Dの面内分解能が飽和するまで、例えば、1/3に低下するまでは蛍光量が減少し暗くなるが、面内分解能を向上させ得ることが判明している。そして観察したい標本によっては、ピンホール径dを回折径Dまで絞っても充分に明るい条件の下では、さらにピンホール径dを絞り込んで面内分解能を上げたい場合もあるし、回折径Dまで絞ると暗くなりS/Nが悪くなる条件の下では、ピンホール径dをひろげ、共焦点効果を犠牲にしても明るさを優先させたい場合もある。
【0033】
そこで第2実施形態においては、蛍光が充分に明るい場合に、共焦点ピンホール42のピンホール径dと各蛍光の回折径Dとの大小関係を、観察標本の条件に応じて可変設定する手段を付加したことを特徴としている。
【0034】
すなわち、回折径Dは前記(1)式に適当な係数Kを乗じるように変形した下記の(2)式を用いて求めるものとした。
D=1.22(λ/NA)K …(2)
ただし、K…条件に応じて設定される係数
上記係数Kを蛍光波長の如何に拘らず同じにすることで、各蛍光波長の共焦点効果と明るさとのバランスを一定化することができる。
【0035】
(実施形態についての特徴点)
[1]実施形態に示された走査型レーザ顕微鏡は、
異なる波長(例えば488nm,530nm,648nm)を有する複数のレーザ光を発するレーザ光源(10)と、このレーザ光源(10)から発せられる各波長のレーザ光から特定波長のレーザ光を選択するレーザ光選択手段(30)と、このレーザ光選択手段(30)により選択されたレーザ光をレーザ走査手段(5) を介して標本(9) に照射する手段と、この手段により照射されたレーザ光により励起された前記標本(9) が発した蛍光を通過させる如く前記標本(9) の面と共役な位置に設置され記蛍光の波長に対応した開口径に切換え可能な共焦点ピンホール(42)と、この共焦点ピンホール(42)の開口径を前記蛍光の波長(例えば520nm,615nm,670nm)にあわせて切換え制御する制御装置(41)と、を備えたことを特徴としている。
【0036】
上記走査型レーザ顕微鏡においては、制御装置(41)が入力された情報に基づいて標本(9) から発せられた各蛍光波長(FITCの蛍光は約520nm,PIの蛍光は約615nm,CY5の蛍光は約670nm)の回折径Dを算出し、その回折径Dに応じて、共焦点ピンホール(42)の大きさを可変設定する。したがってピンホール径(d) が回折径(D) に適合したものとなり、共焦点ピンホール(42)を通過した特定波長の蛍光は、フレアの少ないすなわち共焦点効果の高い、しかも光量ロスの少ないものとなり、良好な像となる。
【0037】
前記三つの波長の蛍光に基づく像を重ねると、短波長の蛍光から長波長の蛍光まですべて共焦点効果が高く、かつ明るさロスのない像が得られる。この結果、良好な多重染色観察が可能である。
[2]実施形態に示された走査型レーザ顕微鏡は、前記[1]と同様の顕微鏡であって、
制御装置(41)は、レーザ光源(10)から発せられるレーザ光の波長情報または標本(9) からの蛍光色素情報に基づいて、標本(9) が発する蛍光波長の回折径(D) を算出し、この算出結果に基づいて共焦点ピンホール(42)の開口径を切換え制御するものであることを特徴としている。
【0038】
上記走査型レーザ顕微鏡においては前記[1]と同様の作用効果を奏する上、共焦点ピンホールの大きさを可変制御するための具現手段が明確に特定されていることから、実施しやすい利点がある。
[3]実施形態に示された走査型レーザ顕微鏡は、前記[1]と同様の顕微鏡であって、
光検出器(24,25,26)の各受光部にそれぞれシャッタ(44,45,46)を配置し、これらのシャッタ(44,45,46)を、共焦点ピンホール(42)の開口径の切換え制御に連動して開閉制御することにより、検出すべき蛍光のみを所定の光検出器(24,25,26 の一つ) に入射させるようにしたことを特徴としている。
【0039】
上記走査型レーザ顕微鏡においては前記[1]と同様の作用効果を奏する上、多重染色像を得るに際し、一つの励起光に対応する蛍光波長以外の蛍光はシャットアウトされ、検出すべき蛍光のみが検出器(24,25,26)の一つにとり込まれることになる。かくして短波長側の蛍光が長波長側の蛍光に重なることを避けることができ、所謂クロスオーバーのないS/Nの良い像を得ることができる。
[4]実施形態に示された走査型レーザ顕微鏡は、前記[1]と同様の顕微鏡であって、
共焦点ピンホール(42)のピンホール径(d) と各蛍光の回折径(D) との大小関係を、観察標本の条件に応じて可変設定する手段を備えたことを特徴としている。
【0040】
上記走査型レーザ顕微鏡においては前記[1]と同様の作用効果を奏する上、共焦点ピンホール(42)のピンホール径(d) が、観察標本の条件に適合した状況の下で可変制御されることになる。
【0041】
【発明の効果】
本発明によれば、共焦点ピンホールの開口径が、制御装置によって、標本から発せられた蛍光の波長に応じて可変制御されるので、各蛍光波長ごとに共焦点効果及び明るさが最適な像を取得することのできる走査型レーザ顕微鏡を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態に係る走査型レーザ顕微鏡の光学系の構成を示す図。
【図2】従来例に係る走査型レーザ顕微鏡の光学系の構成を示す図。
【符号の説明】
1…レーザ光源
2…ビームエクスパンダ
3…レーザラインフィルタ
4…ダイクロイックミラー
5…XYレーザ走査光学系
6…瞳リレーレンズ
7…観察光学系
8…対物レンズ
9…標本
10…多波長発振レーザ光源
11…結像レンズ
12…共焦点ピンホール、
13…コリメータ光学系
14,15…ダイクロイックミラー
16…ミラー
24,25,26…光検出器
30……レーザ光選択手段
31…488nm用レーザラインフィルタ
32…530nm用レーザラインフィルタ
40…共焦点制御系
41…制御装置
42…共焦点ピンホール
44〜46…シャッタ
Claims (4)
- 異なる波長を有する複数のレーザ光を発するレーザ光源と、
このレーザ光源から発せられる各波長のレーザ光から特定波長のレーザ光を選択するレーザ光選択手段と、
このレーザ光選択手段により選択されたレーザ光を走査して標本に照射する手段と、
この照射手段により照射されたレーザ光により励起された前記標本が発した蛍光を通過させる如く前記標本の面と共役な位置に設置され前記蛍光の波長に対応した開口径に切換え可能な共焦点ピンホールと、
この共焦点ピンホールの開口径を前記蛍光の波長にあわせて切換え制御する制御装置と、を備え、
前記制御装置は、レーザ光源から発せられるレーザ光の波長情報または標本の蛍光色素情報に基づいて、標本が発する蛍光波長の回折径を算出し、この算出結果に基づいて共焦点ピンホールの開口径を切換え制御するものであることを特徴とする走査型レーザ顕微鏡。 - 前記レーザ光選択手段によってレーザ光の波長を切り換えるたびに、前記制御装置により前記共焦点ピンホールの開口径を切換え制御するものであることを特徴とする請求項1に記載の走査型レーザ顕微鏡。
- 前記レーザ光選択手段によってレーザ光の波長を切り換えるたびに、前記制御装置により前記共焦点ピンホールの開口径を切換え制御して画像を取得し、
前記各レーザ波長ごとに取得された画像を重ね合わせることを特徴とする請求項1〜2に記載の走査型レーザ顕微鏡。 - 前記制御装置は、蛍光波長に対して算出される回折径に対して、前記蛍光波長に拘らず同じであって、前記標本の条件に応じて設定される係数を乗じた値に前記共焦点ピンホールの開口径を制御することを特徴とする、請求項1〜3に記載の走査型レーザ顕微鏡。
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