JP4259705B2 - カム機構とこれを用いたクラッチ装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、カム機構およびこれを用いたクラッチ装置に関する。
【0002】
このクラッチ装置は、同軸上に対向配設される二つの回転体の動力伝達間に介装され、かつ第1回転体に回転動力が入力されたときに両回転体を同期回転可能に結合する一方、第2回転体に回転動力が入力されたときに第2回転体を非回転状態として、第1回転体と分離するものである。
【0003】
【従来の技術】
従来のこの種のクラッチ装置において、モータ等の動力源により第1回転体を回転駆動し、この回転動力を第2回転体側に伝達している場合において、第2回転体に回転動力が入力されたときには第2回転体を非回転状態としてその回転動力が第1回転体に伝達されること(逆入力)を遮断する機構としてウォーム減速機や電磁ブレーキが採用されている。
【0004】
ウォーム減速機の場合、第1回転体の回転動力の第2回転体に対する伝達効率が低く、また、その伝達に際し、ウォームギヤとウォームとの噛合音が発生してクラッチ装置の静粛性に劣る。
【0005】
電磁ブレーキの場合、ブレーキ動作に際し通電が必要となるから使用コストが嵩むうえ、回転動力の伝達タイミングを制御する電磁コイルへの通電制御に複雑な電子制御回路が必要となり、それだけ製作コストが高くなる。
【0006】
また、いずれの場合も、クラッチ装置としての軽量化に限界を生じる。
【0007】
そこで、本願出願人は、第1回転体の回転動力の伝達性に優れ、また、静粛性に優れたものとし、かつ簡易な構造としてその使用上ならびに製作上におけるコストの大幅な低減を可能とし、かつ、軽量化をさらに図れるクラッチ装置を、特願平11−292099号(平成11年10月14日出願)の「クラッチ装置」で既に提案している。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記先願に係るクラッチ装置におけるカム機構は、第1回転軸が軸方向不動に配設される固定カムプレートとして、また可動摩擦部材が、この固定カムプレートに対して同軸状に対向配設されかつ軸方向にスライド可能に支持される可動カムプレートとなる。そして、両カムプレートの対向面にカム溝が対向形成されているとともに、前記両カムプレートのカム溝間にクラッチ用のボールが転動可能に介装された構造となっている。
【0009】
このようなカム機構を備えたクラッチ装置の場合、可動カムプレートが皿バネで固定カムプレート方向に付勢されていても、固定カムプレートに回転動力をかけ、両カム溝の周方向ずれによりボールが転動して可動カムプレートが駆動側カムプレートから離隔されていくとき、ボールがカム溝から抜け出しやすい。
【0010】
そこで、本発明者らは、上記抜け出しの防止について鋭意研究し、まず、可動カムプレートを軸方向に押さえる特殊な構造のストッパを設けることを考えたが、このようなストッパによる抜け出し防止構造では、クラッチ装置の構造複雑化のみならず重量化をも招来するとともに、クラッチ装置の製造コストアップを余儀なくさせるものである。
【0011】
したがって、本発明は、カム機構において、固定カムプレートと可動カムプレートの両カム溝間に介装されたボールの抜け出しを簡単な構造でもって防止可能とすることを解決すべき課題としている。
【0012】
本発明はまた、カム機構を備えたクラッチ装置において、特殊なストッパを用いずに、回転動力の伝達に際して、ボールの抜け出しを防止してクラッチ性能を向上できるようにすることを解決すべき課題としている。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明のカム機構は、一方が軸方向不動に他方が軸方向変位可能な状態に同軸状に対向配設されかつ互いの対向面に一対のカム溝が振り分けて設けられる一対の固定および可動カムプレートと、両カムプレートの一対のカム溝間に転動可能に収納されるボールと、可動カムプレートを固定カムプレート側に弾発付勢する付勢部材と、を有し、前記両カム溝それぞれが、カム溝における周方向中心から周方向両側へ向けて周方向で対称形状となるように深さが浅くなりボールが転動するすり鉢状斜面に形成されており、前記両カム溝それぞれの最深位置の深さが、ボールの半径より小さい寸法に設定され、また、両カム溝それぞれの最も浅い位置の深さが、その浅い位置において前記すり鉢状斜面に接したボールがすり鉢状斜面とカム溝段部をつなぐ面にも接してボールの抜け出しを阻止する寸法に設定されており、両カムプレートの相対的な回転に伴い、前記両カム溝の斜面において最も深い位置にボールが位置することにより前記両カム溝が周方向で合致したときに可動カムプレートを固定カムプレート側に近接させる状態に、また、前記両カム溝が周方向にずれたときに可動カムプレートを固定カムプレート側から離隔させる状態になり、前記カム溝におけるボールの抜け出しを阻止する寸法関係が、次式(1)ないし(3)を満足する、ことを特徴とするカム機構。
tanφ>(2・T)/(Dp・Fs)かつD B /2>Ra…(1)
Dc>(S 1 /tanη)+D B ・sinφ…(2)
2 <D B ・cosφ−S 1 …(3)
ただし、S 1 :ボールの軸方向最大変位量S 2 :固定カムプレートと可動カムプレートとの軸方向最短離隔距離Dp:ボールのピッチ円径D B :ボールの直径Dc:カム溝の周方向外径θ:カム作動角φ:カムストッパ角η:すり鉢状斜面の傾斜角度〔(π−θ)/2〕
T:回転動力(伝達トルク)
Fs:付勢部材のばね力Ra:すみR
【0015】
本発明のカム機構によると、当該両カム溝それぞれの最深位置の深さが、ボールの半径より小さい寸法に設定され、また、最も浅い位置の深さが、ボールの抜け出しを阻止する寸法に設定されているだけで、ボールの抜け出しを防止できるものであり、構成が簡単でその製造コストを低減できるものとなる。
【0017】
発明のクラッチ装置は、同軸上に対向配設される二つの回転体の動力伝達間に介装され、かつ第1回転体に回転動力が入力されたときに両回転体を同期回転可能に結合する一方、第2回転体に回転動力が入力されたときに第2回転体を非回転状態として第1回転体と分離するクラッチ装置であって、第1回転体に対して軸方向で対向されているとともに、第2回転体と同期回転可能でかつ軸方向変位可能に取り付けられる可動摩擦部材と、可動摩擦部材の軸方向変位によって当該可動摩擦部材が圧接または離隔する位置に固定配置される固定摩擦部材と、第1回転体が回転したときに可動摩擦部材を固定部材から離隔させて第1回転体と可動摩擦部材と第2回転体との三者を一体にして両回転体を同期回転可能に結合する一方、第2回転体が回転したときに可動摩擦部材を固定摩擦部材に圧接させて第2回転体と可動摩擦部材と固定摩擦部材との三者を一体にして第2回転体を非回転状態にするカム機構と、を含み、前記カム機構が、第1回転体を固定カムプレートとして、可動摩擦部材を可動カムプレートとして用いられる請求項1のカム機構とされ、前記カム機構のボールの転動で可動摩擦部材を固定摩擦部材に対し圧接または隔離するよう変位させるものである。
【0018】
本発明のクラッチ装置によると、可動摩擦部材と固定摩擦部材とカム機構とで第1回転体の回転動力を第2回転体に高効率で伝達でき、また、簡易な構造として使用ならびに製作のコストを低減できるものとなる。
【0019】
そして、本発明のクラッチ装置では、上記カム機構により、ストッパ無しで、回転動力の伝達に際して、両カムプレートのカム溝からプレート面にボールが乗り上げてしまうことがなくなり、クラッチ性能を向上できるようにすることができると同時に、その重量化、構造の簡易化を図れるとともに、その製造コストの低減を図れる。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の詳細を図面に示す実施形態に基づいて説明する。
【0021】
図1ないし図5は、本発明の実施形態1に係り、図1は、動力遮断状態におけるクラッチ装置の側面断面図、図2は、動力伝達状態におけるクラッチ装置の側面断面図、図3は、クラッチ装置の分解斜視図、図4(a)は、図1の要部拡大図、図4(b)は、図2の要部拡大図である。また、図5は、図4(a)(b)を合わせて示す図である。この図5では、図4(a)が実線で、図4(b)が仮想線で示される。
【0022】
これらの図において、Aは、クラッチ装置の全体を示しており、このクラッチ装置Aは、主として、クラッチハウジング1と、第1回転軸2と、第2回転軸3と、カムプレート4と、皿バネ5と、転がり軸受6と、カム機構7とを備えている。
【0023】
クラッチハウジング1は、固定摩擦部材として、図外のクラッチ装置取付壁に固定されるとともに、その内周面の軸方向一方側に軸方向一方に向けて拡径するテーパ面1aと、軸方向他方側に軸受取り付け面1bとを備えた筒体構造となっている。
【0024】
第1回転軸2は、モータ等の動力源により回転駆動されるものであって、外周面に環状のフランジ8が一体に形成され、また、その軸方向端面に小径軸部9が形成されている。フランジ9は回転軸本体8とは別体に構成してもよい。
【0025】
第2回転軸3は、軸方向一方側軸部10がクラッチハウジング外に延び、軸方向他端側の軸部端面に形成された軸方向有底穴11に第1回転体2の小径軸部9が嵌入され、サークリップ12で第1回転軸2に連結される。
【0026】
第2回転軸3はまた、外周面にスプライン歯13が形成され、軸受6を介してクラッチハウジング1の軸受取り付け面1bに回転可能に支持されている。
【0027】
この場合、第2回転軸3の外周面の周溝14に止め輪15が固定され、これによって、第2回転軸3等がクラッチハウジング1から抜け出すのが防止されている。
【0028】
カムプレート4は、可動摩擦部材として、径方向の外周面が軸方向一方に向けて拡径するテーパ面4aを有し、クラッチハウジング1のテーパ面1aと対向するようクラッチハウジング1と同心状に配設された環状板構造となっている。
【0029】
カムプレート4はまた、第2回転軸3の嵌入穴を有し、その嵌入穴内周壁に第2回転軸3の前記スプライン歯13に嵌合するスプライン歯16を備え、そのスプライン歯13と16との嵌合で第2回転軸3と一体回転し、かつ、軸方向に変位可能となっている。
【0030】
カム機構7は、フランジ8と、カムプレート4と、皿バネ5と、ボール19とを少なくとも構成要素として備える。
【0031】
フランジ8は、カム機構7において軸方向不動の固定カムプレートとして機能する。
【0032】
カムプレート4は、カム機構7において可動カムプレートとしてフランジ8に対して軸方向変位可能な状態に同軸状に対向配設される。
【0033】
フランジ8とカムプレート4との互いの対向面に一対のカム溝17,18が振り分けて設けられている。
【0034】
両カム溝17,18それぞれは、周方向中心17a0,18a0から周方向両側へ向けて深さが浅くなるすり鉢状斜面17a1,17a2;18a1,18a2に形成されている。
【0035】
皿バネ5は、カムプレート4をフランジ8側に弾発付勢する付勢部材となる。
【0036】
ボール19は、両カム溝17,18間に転動可能に収納される。
【0037】
このようなカム機構7において、両カム溝17,18は、周方向中心17a0,18a0で最深となり、そこでの深さは、ボール19の半径(DB/2:DBはボール径)より小さい寸法に設定されている。
【0038】
そして、実施形態では、後で詳述するように、両カム溝17,18における最も浅い位置での深さがボール19の抜け出しを阻止する寸法に設定されている。
【0039】
このような実施形態のカム機構7では、第1回転軸2の回転に伴うフランジ8とカムプレート4との相対的な回転に伴い、両カム溝17,18の最も深い位置である周方向中心17a0,18a0にボール19が位置することによりカムプレート4をフランジ8側に近接させる状態に、また、前記両カム溝17,18の最も浅い位置にボール19が位置することによりカムプレート4をフランジ8側から最も離隔させる状態になる。
【0040】
上記クラッチ装置Aの動作について図1ないし図3と共に図4(a)(b)を参照して説明する。
【0041】
図示の状態では、カムプレート4は、皿バネ5で軸方向他方に付勢され、そのテーパ面4aが、クラッチハウジング1のテーパ面1aに圧接されている状態となっているから、第2回転軸3は回転がロックされて非回転状態となっている。この状態では図4(a)で示すように、ボール19は、カム溝17,18の軸方向最深の周方向中心17a0,18a0間に位置しているので、第1回転軸2とカムプレート4との軸方向離隔距離は最短S2となっている。
【0042】
この状態から、第1回転軸2が図外のモータ等の動力源で回転駆動される(図4で周方向一方へ移動される)と、フランジ8とカムプレート4の両対向面間のカム溝17,18の互いに逆方向のすり鉢状斜面17a2、18a2間を図4(a)から図4(b)で示すようにボール19が周方向に転動する。このすり鉢状斜面17a2、18a2においては、図4(a)(b)で示すように一方のすり鉢状斜面17a2は周方向他方へ向けて、また他方のすり鉢状斜面18a2は周方向一方へ向けてそれぞれ深さが浅くなっているので、カムプレート4は、皿バネ5に抗して、フランジ8より軸方向一方に向けて変位(最大変位量はS1)させられ、これによって、カムプレート4のテーパ面4aが、クラッチハウジング1の内周面のテーパ面1aから離隔する。
【0043】
そして、ボール19が、図4(b)で示すようにすり鉢状斜面17a2、18a2の両側間で軸方向に挟まれた状態になる。このときの第1回転軸2とカムプレート4との軸方向最大離隔距離は、S1+S2となる。
【0044】
このようにボール19がすり鉢状斜面17a2、18a2の両側間で軸方向に挟まれた状態になると、カムプレート4は、第1回転軸2の周方向一方の回転動力Tで、それと同方向に回転し、これとともに、第2回転軸3も同方向に回転させられて、第1回転軸2の回転動力Tが伝達されることになる。
【0045】
また、第1回転軸2が、上記と逆方向に回転駆動された場合は、ボール19は、すり鉢状斜面17a1、18a1間を転動し、そのすり鉢状斜面17a1、18a1の両側間で軸方向に挟まれた状態になって、カムプレート4は、第1回転軸2の周方向他方の回転動力Tで、それと同方向に回転し、これとともに、第2回転軸3も同方向に回転させられて、第1回転軸2の回転動力Tが伝達されることになる。
【0046】
このようにして回転動力Tはいずれの回転方向にも伝達される。
【0047】
上記構造を備えた実施形態のクラッチ装置は、第1回転軸2の回転動力を第2回転軸3に高効率で伝達できる一方、第1回転軸2から第2回転軸3への回転動力の伝達と第2回転軸3を非回転として第1回転軸2から分離する構造が簡易であるから使用ならびに製作のコストを低減できる。
【0048】
次に、上記クラッチ装置が備えるカム機構7に関し図3ないし図5を参照して説明する。なお、図5は、図4(a)(b)を合わせて示される図であり、図4(a)は実線で図4(b)は仮想線でそれぞれ示されている。また、ここで、これらの図に示される記号について説明する。
【0049】
カム溝17,18のボール19の抜け出しを阻止する寸法関係つまり、ボール19の最深位置における両カム溝17,18それぞれの深さ(周方向中心17a0,18a0)が、ボール19の半径より小さい寸法関係に、また、ボール19がすり鉢状斜面のa点にきたとき、ボール19の抜け出しを阻止するカム溝の段部b点の寸法関係は、次式(1)ないし(3)を満足する。
【0050】
tanφ>(2・T)/(Dp・Fs)かつDB/2>Ra … (1)
Dc>(S1/tanη)+DB・sinφ … (2)
2<DB・cosφ−S1 … (3)
ただし、
1:ボール19の軸方向最大変位量
2:第1回転軸2とカムプレート4との軸方向離隔最短距離
Dp:ボール19のピッチ円径
B :ボール19の直径
Dc:カム溝17,18の周方向外径
θ :カム作動角
φ :カムストッパ角
η :すり鉢状斜面の傾斜角度〔(π−θ)/2〕
T :回転動力
Fs:皿バネ5のバネ力
Ra:すみR
ここで、カム作動角θは、第1回転軸2のカム溝17では周方向中心17a0,18a0つまり最も最深の位置を中心にして隣り合うすり鉢状斜面17a1,17a2の開き角度、カムプレート4のカム溝18では周方向で隣り合うすり鉢状斜面18a1,18a2の開き角度である。
【0051】
カムストッパ角φは、ボールがカム溝17,18のすり鉢状斜面17a1の周方向他方側とすり鉢状斜面18a1の周方向一方側との間で挟まれた状態、または、カム溝17,18のすり鉢状斜面17a2の周方向一方側とすり鉢状斜面18a2の周方向他方側との間で挟まれた状態において、ボールとカム溝の段部bとの接点とボール19の中心を通る軸方向線とのなす角度である。
【0052】
また、Raは、b点において、ボール19に接する平面とすり鉢状斜面とのすみRがボール19の半径より大きいとボール19が容易に乗り上げるでそれを防ぐためにボール19の半径より小さくする。
【0053】
そして、上記各式(1)ないし(3)の意味について説明する。
【0054】
式(1)の左側は、回転動力Tとカムストッパ角φとの関係を示し、右側は、単にカムストッパ角φにおいてボール19が乗り上げない条件を示している。
【0055】
式(2)は、カム溝17,18の周方向外径の制約を示している。
【0056】
式(3)は、深さの関係としてφというカムストッパ角をもっても必ずボール19に接触面が存在する条件を示している。
【0057】
このような式の関係において、ボール19の抜け出し防止には、実施形態でこのカム角Raの基準位置cの深さが、上記式(1)ないし(3)を満足させることが必要となる。
【0058】
このような式を満足するカム機構7の作用を説明する。
【0059】
第1回転軸2に回転動力が与えられず、図4(a)または図5の実線で示すように、両カム溝17,18が軸方向に正対しているときは、ボール19は、両カム溝17,18の周方向中心17a0,18a0間に位置して、カムプレート4は、第1回転軸2に対して最小離隔距離S2で軸方向に対向している。この状態ではカムプレート4は、皿バネ5で軸方向他方に付勢され、そのテーパ面4aが、クラッチハウジング1のテーパ面1aに圧接されている状態となっているから、第2回転軸3は回転がロックされて非回転状態となっている。
【0060】
この状態から、第1回転軸2が図外のモータ等の動力源で回転駆動されると、ボール19が、両カム溝17,18のすり鉢状斜面17a2,18a2または17a1,18a1を転動し、図4(b)または図5の仮想線で示すように、そのすり鉢状斜面の両側で挟まれた状態となる。
【0061】
この状態では、第1回転軸2とカムプレート4との離隔距離はS1+S2となり、上述したように、第1回転軸2の回転動力が第2回転軸3に伝達されることになる。
【0062】
この段階でさらに第1回転軸2が回転していっても、カム溝17,18は上述した関係式(1)ないし(4)を有しているから、ボール19は、カム溝17,18のすり鉢状斜面を抜け出すことが防止される。
【0063】
なお、本発明は、上述の実施形態1に限定されるものではなく、種々の応用が変形が可能である。
【0064】
(1)上述の実施形態1では、クラッチハウジング1の外周面とカムプレート4の内周面は共にテーパ面1a,4aを有した構造であったが、これに限定されるものではなく、クラッチハウジング1とカムプレート4それぞれの一方の面を軸方向に対向させ、カムプレート4を軸方向に変位させて、クラッチハウジング1の対向面に圧接または離隔させるようにしてもよい。
【0065】
(2)なお、上述の実施形態では、第1回転軸2が皿バネ5の反力で第2回転軸3との相対位置がずれないようにするために、第1回転軸2と第2回転軸3とはサークリップで一体に結合されていたが、これを廃止しても構わず、その代わりに、図6の実施形態2のように、第1回転軸2をクラッチハウジング1に対して転がり軸受22を介して回転自在に支持させればよい。
【0067】
(4)実施形態のクラッチ装置は、例えば、無断変速機や、電動パワーステアリング、その他の機械装置類に応用することができる。
【0068】
【発明の効果】
本発明第1、第2のカム機構によると、固定カムプレートと可動カムプレートの両カム溝間に介装されたボールの抜け出しを簡単な構造でもって防止可能となる。
【0069】
本発明のクラッチ装置によると、可動摩擦部材と固定摩擦部材とカム機構とで第1回転体の回転動力を第2回転体に高効率で伝達でき、また、簡易な構造として使用ならびに製作のコストを低減できるものとなる。また、本発明のクラッチ装置の場合、前記カム機構を内蔵するから、両カム溝間に介装されたボールの抜け出しを防止でき、構造上の信頼性に優れたものとなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】動力非伝達状態にある本発明の実施形態1のクラッチ装置の側面断面図
【図2】動力伝達状態にある本発明の実施形態1のクラッチ装置の側面断面図
【図3】クラッチ装置の分解斜視図
【図4】(a)図1の要部拡大図、(b)図2の要部拡大図
【図5】図4(a)(b)を合わせて示す図
【図6】図1に対応する本発明の実施形態2のクラッチ装置の側面断面図
【符号の説明】
1 クラッチハウジング
2 第1回転軸
3 第2回転軸
4 カムプレート
5 皿バネ
7 カム機構
8 フランジ(固定カムプレート)
17,18 カム溝

Claims (2)

  1. 一方が軸方向不動に他方が軸方向変位可能な状態に同軸状に対向配設されかつ互いの対向面に一対のカム溝が振り分けて設けられる一対の固定および可動カムプレートと、
    両カムプレートの一対のカム溝間に転動可能に収納されるボールと、
    可動カムプレートを固定カムプレート側に弾発付勢する付勢部材と、
    を有し、
    前記両カム溝それぞれが、カム溝における周方向中心から周方向両側へ向けて周方向で対称形状となるように深さが浅くなりボールが転動するすり鉢状斜面に形成されており、前記両カム溝それぞれの最深位置の深さが、ボールの半径より小さい寸法に設定され、
    また、両カム溝それぞれの最も浅い位置の深さが、その浅い位置において前記すり鉢状斜面に接したボールがすり鉢状斜面とカム溝段部をつなぐ面にも接してボールの抜け出しを阻止する寸法に設定されており、
    両カムプレートの相対的な回転に伴い、前記両カム溝の斜面において最も深い位置にボールが位置することにより前記両カム溝が周方向で合致したときに可動カムプレートを固定カムプレート側に近接させる状態に、また、前記両カム溝が周方向にずれたときに可動カムプレートを固定カムプレート側から離隔させる状態になり、
    前記カム溝におけるボールの抜け出しを阻止する寸法関係が、次式(1)ないし(3)を満足する、ことを特徴とするカム機構。
    tanφ>(2・T)/(Dp・Fs)かつD B /2>Ra…(1)
    Dc>(S 1 /tanη)+D B ・sinφ…(2)
    2 <D B ・cosφ−S 1 …(3)
    ただし、S 1 :ボールの軸方向最大変位量S 2 :固定カムプレートと可動カムプレートとの軸方向最短離隔距離Dp:ボールのピッチ円径D B :ボールの直径Dc:カム溝の周方向外径θ:カム作動角φ:カムストッパ角η:すり鉢状斜面の傾斜角度〔(π−θ)/2〕
    T:回転動力(伝達トルク)
    Fs:付勢部材のばね力Ra:すみR
  2. 同軸上に対向配設される二つの回転体の動力伝達間に介装され、かつ第1回転体に回転動力が入力されたときに両回転体を同期回転可能に結合する一方、第2回転体に回転動力が入力されたときに第2回転体を非回転状態として第1回転体と分離するクラッチ装置であって、
    第1回転体に対して軸方向で対向されているとともに、第2回転体と同期回転可能でかつ軸方向変位可能に取り付けられる可動摩擦部材と、可動摩擦部材の軸方向変位によって当該可動摩擦部材が圧接または離隔する位置に固定配置される固定摩擦部材と、第1回転体が回転したときに可動摩擦部材を固定部材から離隔させて第1回転体と可動摩擦部材と第2回転体との三者を一体にして両回転体を同期回転可能に結合する一方、第2回転体が回転したときに可動摩擦部材を固定摩擦部材に圧接させて第2回転体と可動摩擦部材と固定摩擦部材との三者を一体にして第2回転体を非回転状態にするカム機構と、を含み、前記カム機構が、第1回転体を固定カムプレートとして、可動摩擦部材を可動カムプレートとして用いられる請求項1のカム機構とされ、前記カム機構のボールの転動で可動摩擦部材を固定摩擦部材に対し圧接または隔離するよう変位させる、ことを特徴とするクラッチ装置。
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