JP4106797B2 - トロイダル形無段変速装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、例えば、自動車などの車両の動力の伝達などに用いられるトロイダル形無段変速装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
自動車などの車両の動力の伝達などに用いられる変速装置として、例えば、特表平6―502476号に示されたトロイダル形無段変速装置が用いられる。この種のトロイダル形無段変速装置は、エンジンを含む駆動源により回転駆動される入力軸と、この入力軸に連動して回転するように支持された入力ディスクと、この入力ディスクに相対して配された出力ディスクと、これらの入出力ディスクの間に設けられたパワーローラと、入出力ディスクを互いに近付ける方向に入出力ディスクのうち少くとも一方を押圧する押圧機構と、を備えている。
【0003】
入力ディスクは、エンジンを含む駆動源によって回転駆動される。出力ディスクは、入力ディスクの回転に基く動力をパワーローラなどを介して伝達される。パワーローラは、入力ディスクと出力ディスクとの間に揺動自在に設けられかつ双方のディスクに転接する。パワーローラが、その傾き角度を変化させることで、トロイダル形無段変速装置の減速比を変化させることができる。
【0004】
前記押圧機構は、前記入出力ディスクを互いに近づける方向に押圧して、前記駆動源から供給される回転駆動力を、入力ディスク、パワーローラ及び出力ディスクなどを介して出力軸に伝達する。
【0005】
前記押圧機構として、ローディングカム機構が用いることがある。このローディングカム機構は、前記入力軸に支持されたローディングカムと、カムローラと、を備えている。ローディングカムは、前記入力ディスクの背面に設けられている。カムローラは、ローディングカムと入力ディスクとの間に配されている。カムローラは、入力軸の軸線に対し略直交する軸線回りに回転自在に設けられている。ローディングカムは、エンジンを含む駆動源によって回転されるようになっている。駆動源によってローディングカムが回転すると、入出力ディスクを互いに近づける方向に、カムローラを介して入力ディスクが押圧される。
【0006】
前記ローディングカム機構は、駆動源から供給される入力トルクに比例した押圧力で前記入力ディスクを出力ディスクに向かって押圧する。このため、ローディングカム機構は制御される必要が生じないとともに、前記駆動源からの入力トルクのみによって前記入力ディスクを押圧する押圧力を設定することができる。したがって、ローディングカム機構を用いるとトロイダル形無段変速装置の構造が比較的単純にできるというメリットがあった。
【0007】
また、前記トロイダル形無段変速装置の押圧機構として、前述した特表平6―502476号に示されたトロイダル形無段変速装置のように、油圧ローディング機構を用いることがある。この油圧ローディング機構は、油圧駆動源と、この油圧駆動源と連結したシリンダと、このシリンダ内に設けられたピストンなどを備えている。油圧駆動源から供給される加圧流体としての加圧油によって、ピストンなどを介して入力ディスクを入出力ディスクが互いに近づく方向に押圧する。
【0008】
前記油圧ローディング機構は、ECU(Engine Control Unit)などの周知の制御装置によって、前述した押圧力が、前述した入力トルク、変速比、回転数及び潤滑剤の温度などによって定まる適切な力となるように制御される。このため、トロイダル形無段変速装置の動力の伝達効率の低下を抑制できる。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
前記入出力ディスク双方とパワーローラとの間の動力の伝達効率は、駆動源からの入力トルク、トロイダル形無段変速装置の変速比、入力ディスクの回転数及びトロイダル形無段変速装置の潤滑剤の温度などのさまざまな条件によって変化する。
【0010】
前記ローディングカム機構を用いると、前記押圧力は、前述した変速比、回転数及び潤滑剤の温度などの条件などに関係なく定まってしまう。このため、このローディングカム機構を押圧機構として用いると、常に、最適な押圧力によって、入出力ディスクを互いに近づける方向に押圧できるとはいえない。
【0011】
例えば、ハーフトロイダル形無段変速装置では、図5に示すように、駆動源からの入力トルクが一定の場合において変速比が変化すると、前記ローディングカム機構が生じる押圧力が図中一点鎖線Facで示すように略一定となるのに対し、適切な押圧力は図中の実線Fan1で示すように上に凸の曲線となる。
【0012】
また、フルトロイダル形無段変速装置では、図6に示すように、駆動源からの入力トルクが一定の場合において変速比が変化すると、前記ローディングカム機構が生じる押圧力が図中一点鎖線Facで示すように略一定となるのに対し、適切な押圧力は図中の実線Fan2で示すように右肩下がりの曲線となる。
【0013】
このように、前記ローディングカム機構を用いると、図中の一点鎖線Facと実線Fan1,Fan2との差として表されるように、適切な押圧力より過大な押圧力を発生することとなる。このため、トロイダル形無段変速装置の動力の伝達効率が低下する傾向となっていた。フルトロイダル形無段変速装置の場合は、特に、動力の伝達効率の低下が大きかった。
【0014】
一方、前述した油圧ローディング機構を用いた特表平6―502476号に示されたトロイダル形無段変速装置は、前記入力軸と駆動源との間の動力伝達部が、前記入力軸の一端部に形成されたスプラインまたはキーなどによって構成されていた。この動力伝達部としてのスプラインまたはキーに、駆動源が係合することによって、駆動源からの回転駆動力が入力軸に伝達される。
【0015】
トロイダル形変速装置として、前述した入出力ディスクをそれぞれ一対有し、一方の入力ディスクと出力ディスクなどから構成される第1のキャビティと、他方の入力ディスクと出力ディスクなどから構成される第2のキャビティと、を備えた所謂ダブルキャビティ式トロイダル形無段変速装置が用いられることがある。
【0016】
トロイダル形無段変速装置において、一般的に、駆動源から入力される入力トルクが大きくなると、前述した入出力ディスクなどの各部品が弾性変形して、これらのディスクが入力軸の軸線に沿って変位する。このため、急激に入力トルクが変動すると、入出力ディスクと入力軸とが急激に移動してしまい。トロイダル形無段変速装置と駆動源との結合部で、軸線に沿った比較的大きな摩擦が生じる。そして、押圧機構が入出力ディスクを互いに近づける方向押圧する押圧力が、結果的に不足することがある。
【0017】
特に、前述したダブルキャビティ式トロイダル形無段変速装置では、押圧機構の押圧力が不足すると、第1のキャビティと第2のキャビティとのうち少なくとも一方において、入出力ディスクとパワーローラとが互いに転接する際に、スリップしてしまうことがある。第1及び第2のキャビティのうち少なくとも一方がスリップすると、入力軸から出力軸へ円滑に回転駆動力を伝達しにくくなる。このため、動力の伝達効率が低下する傾向となっていた。
【0018】
前記油圧ローディング機構が入力ディスクを押圧する際に、入力軸がその軸線に沿って移動する。このとき、前記動力伝達部において、入力軸と駆動源とが互いに摺動することとなって摺動抵抗が生じる。このため、この摺動抵抗の分だけ最適な押圧力より大きな押圧力を発生する必要があった。したがって、前記油圧駆動源及びシリンダなどが大型化するとともに、前記トロイダル形無段変速装置の効率が低下する傾向となっていた。
【0019】
また、前記入出力ディスクをそれぞれ一つ備えたシングルキャビティ式トロイダル形無段変速装置の場合は、特に、油圧ローディング機構の押圧力による入出力ディスクなどを変形量が大きくなるとともに入力軸の移動量も大きくなる。このため、押圧機構として油圧ローディング機構を用いると、入力軸に対する駆動源からの動力の入力が困難となる傾向となっていた。
【0020】
さらに、前記入出力ディスクをそれぞれ一対備えたダブルキャビティ式トロイダル形無段変速装置の場合には、前述した摺動抵抗の分だけ押圧力を大きくすると、一対のキャビティ間の押圧力の差が大きくなる。このため、一対のキャビティ間の回転数が同期しなくなり、出力軸などの回転数にむらが生じるなどのハンチングを起こすことがあった。
【0021】
したがって本発明の目的は、動力の伝達効率の低下を抑制できるトロイダル形無段変速装置を提供することにある。
【0022】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決し目的を達成するために、請求項1に記載の本発明のトロイダル形無段変速装置は、駆動源により回転駆動される入力軸と、前記入力軸に連動して回転する一対の入力ディスクと、前記一対の入力ディスクに相対して配された一対の出力ディスクと、入力ディスクと出力ディスクとの間に揺動自在に設けられたパワーローラと、前記入力ディスクと前記出力ディスクとを互いに近づける方向に前記入力ディスクと前記出力ディスクとのうち少なくとも一方を押圧する押圧機構と、を備え、前記押圧機構は、加圧油が供給されるシリンダ部と、前記加圧油によって前記入力ディスクと出力ディスクとのうち少なくとも一方を押圧するピストン部とを備えたトロイダル形無段変速装置において、前記駆動源と入力軸との間に設けられ、前記駆動源からの回転駆動力を入力軸に伝達する動力伝達部を備え、前記動力伝達部は、入力軸と同軸の駆動軸の外周部に向かって延びた円板部、及び前記シリンダ部から成り、前記円板部、前記シリンダ部、及び前記シリンダ部に対向する前記入力ディスクをそれぞれ略同径に形成し、前記円板部の縁部に前記駆動源により回転駆動される第1の噛み合わせ部を形成し、前記シリンダ部の底部の縁部に前記入力軸と連動して回転するともに前記第1の噛み合わせ部と互いに噛み合う第2の噛み合わせ部を形成し、前記第1の噛み合わせ部、及び前記第2の噛み合わせ部が入力軸からその径方向に離れた位置に配されたことを特徴としている。
【0023】
請求項1に記載されたトロイダル形無段変速装置は、押圧機構が、加圧油が供給されるシリンダ部とこの加圧油によって入力ディスクと出力ディスクとのうち少なくとも一方を押圧するピストン部とを備えている。このため、ECUなどの周知の演算装置によって、前記ピストン部が押圧する押圧力を制御することができる。したがって、入力トルク、変速比、回転数及び潤滑剤によって定まる適切な力に前述した押圧力を制御することができ、動力の伝達効率の低下を抑制することができる。
【0024】
また、駆動源と入力軸との間に設けられた動力伝達部の第2の噛み合わせ部が入力軸の軸線から径方向に離れた位置に配されている。
【0025】
したがって、駆動源からの入力トルクが比較的急激に変化して、入力軸が軸線に沿って変位した際でも、結合部の半径方向距離を大きくとっているため、軸方向力が小さくなるので、結合面での軸方向の摩擦力は小さくなる。
【0026】
このため、入力軸が軸線に沿って移動する際の摺動抵抗を抑制することができる。したがって、前述した押圧力を抑制することができ、かつキャビティにおけるスリップを抑制することができるので、トロイダル形無段変速装置の動力の伝達効率を低下を抑制することができる。
【0027】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施形態を図1及び図2を参照して説明する。
【0028】
図1はトロイダル形無段変速装置としてのダブルキャビティ式ハーフトロイダル形無段変速装置30を備えた自動車用トランスミッション31の一部を示す断面図であり、図2はこのトロイダル形無段変速装置30の押圧機構としての油圧ローディング機構6を示す断面図である。
【0029】
自動車用トランスミッション31は、図1に示すように、ダブルキャビティ式ハーフトロイダル形無段変速装置30を備えている。ダブルキャビティ式ハーフトロイダル形無段変速装置30は、図1に示すように、エンジン等を含む駆動源Eによって回転駆動される入力軸1と、一対の入力ディスク2a,2bと、一対の出力ディスク3a,3bと、複数のパワーローラ10と、押圧機構としての油圧ローディング機構6と、を備えている。
【0030】
入力ディスク2a,2bは、入力軸1に、この入力軸1の軸線Pに沿って互いに間隔を有して配されている。入力ディスク2a,2bは、互いに対向した状態で支持されている。入力ディスク2a,2bは互いに同軸的に配されている。入力ディスク2a,2bは、それぞれ入力軸1と連動して回転するように、入力軸1と同軸的に支持されている。入力ディスク2a,2bは、ボールスプライン係合部32及びスプライン係合部33によって入力軸1に取付けられており、入力軸1と連動して回転する。入力ディスク2a,2bは、入力軸1の軸線Pに沿って摺動自在に設けられている。
【0031】
出力ディスク3a,3bは、前記一対の入力ディスク2a,2bの間に、入力ディスク2a,2bそれぞれと対向して設けられている。出力ディスク3a,3bは、入力軸1に対して遊嵌した状態で支持されている。出力ディスク3a,3bは、互いに同軸的に配置されかつ互いに同期して回転する。出力ディスク3a,3bは、これらの出力ディスク3a,3bと同軸的に配置された出力歯車34と連動する。この出力歯車34は、前記入力軸1に基づく動力を取り出す出力軸35と連動して回転する。
【0032】
パワーローラ10は入力ディスク2a,2bと出力ディスク3a,3bとのそれそれの間に揺動自在に設けられている。パワーローラ10は、双方のディスク2a,2b,3a,3bに転接する。パワーローラ10はそれぞれ入力ディスク2a,2b及び出力ディスク3a,3bに転接するトラクション部10aを備えている。
【0033】
なお、一方の入力ディスク2aと、この入力ディスク2aに相対する出力ディスク3aと、これら入出力ディスク2a,3aの間に配されたパワーローラ10と、で第1のキャビティ21を構成している。他方の入力ディスク2bと、この入力ディスク2bに相対する出力ディスク3bと、これら入出力ディスク2b,3bの間に配されたパワーローラ10と、で第2のキャビティ22を構成している。
【0034】
入力ディスク2a,2bと出力ディスク3a,3bとの間に、それぞれトラニオン8が設けられている。トラニオン8は、枢軸7を中心として図1中の矢印Rで示す方向に揺動することができる。トラニオン8の中心部に変位軸9が設けられている。変位軸9それぞれにパワーローラ10が回転自在に支持されている。これらのパワーローラ10は、入力ディスク2a,2bと出力ディスク3a,3bとの間において、その傾き角度をトロイダル形無段変速装置30の減速比に応じて変化させる。
【0035】
トラニオン8とパワーローラ10との間に、パワーローラ軸受として機能するスラスト玉軸受11が設けられている。スラスト玉軸受11は入力ディスク2a,2b及び出力ディスク3a,3bからパワーローラ10に加わるスラスト方向の荷重を支承し、かつパワーローラ10の回転を許容する。スラスト玉軸受11を構成する複数個の玉12は、円環状の保持器14によって保持されている。保持器14は、トラニオン8側に設けた円環状の外輪13と、回転部としてのパワーローラ10との間に設けられている。
【0036】
油圧ローディング機構6は、図1及び図2に示すように、一対の入力ディスク2a,2bのうち一方の入力ディスク2aの背面42a側に設けられている。油圧ローディング機構6は、シリンダ部としてのシリンダ41を備えている。
【0037】
シリンダ41は、底部48と筒部49とを備えた有底筒状に形成されており、入力軸1と同軸的に配されている。シリンダ41は、入力軸1にスプライン係合によって取り付けられている。シリンダ41は、入力軸1の軸線Pに沿って摺動自在に設けられている。シリンダ41は、その筒部49が入力ディスク2aの背面42a側から外周に嵌合して配されている。
【0038】
また、入力軸1の入力ディスク2a及びシリンダ41が取り付けられた一端部1aには、外周に向かって突出したフランジ部43が一体に形成されている。前記フランジ部43とシリンダ41との間には、シリンダ41を入力ディスク2aに向かって付勢する皿ばね44が複数設けられている。前記一端部1aには、その端面1cに開口しかつ軸線Pに沿って延びた油穴45が形成されている。この油穴45には、加圧流体としての加圧油が供給される。入力軸1の他端部1bには、ナット46が螺合する。このナット46は、入力ディスク2bの背面42bと接する。
【0039】
シリンダ41の内面と入力ディスク2aの背面42aとで囲まれる空間は、シリンダ室47になっている。このシリンダ室47は、複数のシール部材50によって流体密に保たれている。また、入力軸1及びシリンダ41には、前記油穴45から前記シリンダ室47内に向かって貫通した加圧油導入路51が形成されている。前述した構成によって、加圧油が、シリンダ室47内に供給される。なお、入力ディスク2aの背面42aは、本明細書に記したピストン部をなしている。
【0040】
入力軸1と駆動源Eとの間には、結合部としての動力伝達部52が設けられている。動力伝達部52は、駆動源Eの回転駆動力を入力軸1に伝達する。動力伝達部52は、駆動源Eにより回転駆動される駆動軸53と、この駆動軸53に一体に形成された第1の噛み合わせ部54と、前記シリンダ41に一体に形成された第2の噛み合わせ部55と、を備えている。
【0041】
駆動軸53は、入力軸1の一端部1aに接続している。駆動軸53と入力軸1とは、互いに同軸的に配されている。第1の噛み合わせ部54は、駆動軸53の外周方向に向かって延びた円板部56と、シリンダ41に向かって突出した複数の歯57と、を備えている。円板部56は、シリンダ41及び入力ディスク2aと略同径に形成されている。歯57は、それぞれ、円板部56の縁部に設けられている。
【0042】
第2の噛み合わせ部55は、シリンダ41の底部48から駆動源Eに向かって突出した複数の歯58を備えている。歯58は、それぞれ、シリンダ41の底部48の縁部に形成されている。第1の噛み合わせ部54の歯57と、第2の噛み合わせ部55の歯58とは、互いに噛み合う。このように、前記第1の噛み合わせ部54と、第2の噛み合わせ部55は、入力軸1からその径方向に離れたシリンダ41及び入力ディスク2aの縁部に配されている。円板部56とシリンダ41の底部48は、入力軸1から径方向に離れている。このように、動力伝達部52の半径方向距離を大きくすることにより、軸方向力が小さくなるので、結合面での軸方向の摩擦力は小さくなる。
【0043】
加圧油が油圧ローディング機構6のシリンダ室47内に供給されると、この供給された加圧油がシリンダ41の底部48の底面48aと、入力ディスク2aの背面42aとが互いに離れる方向に、シリンダ41と入力ディスク2aとを移動させる。
【0044】
すると、入力ディスク2aが出力ディスク3aに向かって押圧されるとともに、シリンダ41がフランジ部43を介して入力軸1を駆動源Eに近づける方向に移動する。そして、ナット46を介して入力ディスク2bが出力ディスク3bに向かって押圧される。このように、油圧ローディング機構6は、シリンダ47室内に加圧油が供給されると入力ディスク2a,2bを出力ディスク3a,3bに向かって押圧する。
【0045】
それぞれのパワーローラ10のトラクション部10aが入出力ディスク2a,2b,3a,3bの双方に転接し、入力ディスク2a,2bの回転駆動力を所望の減速比で出力ディスク3a,3bに伝達する。このように、油圧ローディング機構6が、入力ディスク2a,2bを出力ディスク3a,3bに向かって押圧することによって、駆動源Eから伝達された回転駆動力を入力ディスク2a,2b、パワーローラ10、出力ディスク3a,3b及び出力歯車34を介して出力軸35へと伝達する。
【0046】
本実施形態のトロイダル形無段変速装置30は、油圧ローディング機構6が、加圧流体としての加圧油が供給されることによって、入力ディスク2a,2bを出力ディスク3a,3bに向かって押圧する。このため、ECUなどの周知の演算装置によって、入力ディスク2a,2bが出力ディスク3a,3bを押圧する押圧力を制御することができる。したがって、入力トルク、変速比、回転数及び潤滑剤によって定まる適切な力にこの押圧力を制御することができ、トロイダル形無段変速装置30及びこのトロイダル形無段変速装置30を備えた自動用トランスミッション31の動力の伝達効率の低下を抑制できる。
【0047】
また、トロイダル形無段変速装置30は、駆動源Eと入力軸1との間に設けられた動力伝達部52の互いに噛み合う第1及び第2の噛み合わせ部54,55が、入力軸1からその径方向に離れた位置に配されている。このため、油圧ローディング機構6が入力ディスク2a,2bを出力ディスク3a,3bに向かって押圧して、入力軸1を駆動源Eに向かって移動しても、結合部の半径方向距離を大きくとっているため、軸方向力が小さくなるので、結合面での軸方向の摩擦力は小さくなる。
【0048】
このため、入力軸1が軸線Pに沿って移動する際の摺動抵抗を抑制できる。したがって、必要以上に前述した押圧力を大きくする必要が生じない。押圧力が不足してキャビティ21,22でパワーローラ10などがスリップすることが抑制することができる。したがって、トロイダル形無段変速装置30及びこのトロイダル形無段変速装置30を備えた自動車用トランスミッション31の動力の伝達効率の低下を抑制できる。
【0049】
図3は第2の実施形態を示し、前述した第1の実施形態と同一構成部分には同一符号を付して説明を省略する。
【0050】
本実施形態のトロイダル形無段変速装置30の油圧ローディング機構6は、入力ディスク2aとシリンダ41との間にシリンダ部としての第2シリンダ59と、第1の円板部材60と第2の円板部材61と円環部材62とを備えている。第2シリンダ59は、入力ディスク2aの外周に嵌合しているとともに、シリンダ41の筒部49の内周に嵌合して設けられている。
【0051】
第1の円板部材60は、筒部63とこの筒部63の一端部から外周方向に向かって延びた円板部64とを一体に備えている。第1の円板部材60は、筒部63が入力軸1の外周に嵌合しかつ円板部64が第2シリンダ59の内周に嵌合した状態で配されている。第1の円板部材60は、円板部64の底面65が入力ディスク2aに相対した状態に配されている。第1の円板部材60の筒部63の端面66は、シリンダ41の底面48aに当接している。
【0052】
第2の円板部材61は、リング状に形成されている。第2の円板部材61は、第1の円板部材60の筒部63の外周に嵌合しかつ第2シリンダ59の内周に嵌合した状態に配されている。円環部材62は、入力軸1の外周に嵌合しているとともに、第1の円板部材60と入力ディスク2aとの間に配されている。
【0053】
第2シリンダ59の内周面と、第1の円板部材60の底面65と、入力ディスク2aの背面42aと、円環部材62の外表面の一部と、で囲まれた空間は、第1のシリンダ室67を構成している。この第1のシリンダ室67は、複数のシール部材68によって、流体密に保たれている。
【0054】
第2シリンダ59の内周面とシリンダ41の底面48aと第2の円板部材61の端面69と、で囲まれた空間は、第2のシリンダ室70を構成している。この第2のシリンダ室70は、複数のシール部材71によって、流体密に保たれている。
【0055】
入力軸1及び第1の円板部材60には、油穴45から第1のシリンダ室61内に向かって貫通した第1の加圧油導入路72と、油穴45から第2のシリンダ室70内に向かって貫通した第2の加圧油導入路73とが形成されている。
【0056】
前述した構成によって、加圧油は、油穴45、第1及び第2の加圧油導入路72,73内を通って、第1及び第2のシリンダ室67,70内それぞれに供給される。
【0057】
第1のシリンダ室67内に加圧油が供給されると、この加圧油が第1の円板部材60の底面65と入力ディスク2aの背面42aとが互いに離れる方向に、第1の円板部材60と入力ディスク2aとを移動させる。すると、入力ディスク2aが出力ディスク3aに向かって押圧される。
【0058】
一方、第2のシリンダ室70内に加圧油が供給されると、この加圧油が第2の円板部材61とシリンダ41の底面48aとが離れる方向に、シリンダ41を移動させる。すると、シリンダ41がフランジ部43を介して入力軸1を駆動源Eに近づける方向に移動する。
【0059】
そして、ナット46を介して入力ディスク2bが出力ディスク3bに向かって押圧される。そして、第1の実施形態と同様に、駆動源Eから供給された回転駆動力は、入力ディスク2a,2b、パワーローラ10及び出力歯車34を介して出力軸35へと伝達される。
【0060】
本実施形態においても、前述した第1の実施形態と同様に、油圧ローディング機構6が加圧油を供給されることによって、入力ディスク2a,2bを出力ディスク3a,3bに向かって押圧するため、動力の伝達効率の低下てを抑制できる。
【0061】
また、入力ディスク2a,2bを出力ディスク3a,3bに向かって押圧する際に、結合部の半径方向距離を大きくとっているため、軸方向力が小さくなるので、結合面での軸方向の摩擦力は小さくなる。このため、入力軸1の軸線Pに沿った摺動抵抗を抑制でき、動力の伝達効率の低下を抑制することができる。
【0062】
図4は、第3の実施形態を示し、前述した第1の実施形態と同一構成部分には同一符号を付して説明を省略する。
【0063】
本実施形態のトロイダル形無段変速装置30は、前述した動力伝達部52を用いることなく、前記駆動源Eに接続した駆動軸53が、入力軸1の一端部1aの外周面にボールスプライン係合している。このため、入力ディスク2aが軸線Pに沿って変位する際の摺動抵抗が抑制される。
【0064】
本実施形態においても、シリンダ室47内に加圧油が供給されると、この加圧油が入力ディスク2aを出力ディスク3aに向かって押圧するとともに、フランジ部43を介して入力軸1を駆動源Eに向かって移動させて、入力ディスク2bを出力ディスク3bに向かって押圧する。
【0065】
このように、本実施形態のトロイダル形無段変速装置30においても、加圧油が供給されることによって、入力ディスク2a,2bを出力ディスク3a,3bに向かって押圧するため、動力の伝達効率の低下を抑制できる。
【0066】
さらに、入力ディスク2aが軸線Pに沿って変位する際の摺動抵抗を抑制できるので、より一層動力の伝達効率の低下を抑制できる。
【0067】
【発明の効果】
本発明のトロイダル形無段変速装置によれば、適切な力に前述した押圧力を制御することができるので、動力の伝達効率の低下を抑制することができる。また、入力軸が軸線に沿って移動する際の摺動抵抗を抑制できるため、前述した押圧力を抑制することができるとともに、パワーローラのスリップを抑制できる。したがって、動力の伝達効率の低下をより一層抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態のダブルキャビティ式ハーフトロイダル形無段変速装置を用いた自動車用トランスミッションの一部を示す縦断面図。
【図2】図1に示されたトロイダル形無段変速装置の油圧ローディング機構を示す断面図。
【図3】本発明の第2の実施形態のトロイダル形無段変速装置の油圧ローディング機構を示す断面図。
【図4】本発明の第3の実施形態のトロイダル形無段変速装置の油圧ローディング機構を示す断面図。
【図5】従来のハーフトロイダル形無段変速装置において、ローディングカム機構が発生する押圧力と、適切な押圧力とを示す図。
【図6】従来のフルトロイダル形無段変速装置において、ローディングカム機構が発生する押圧力と、適切な押圧力とを示す図。
【符号の説明】
1…入力軸
2a,2b…入力ディスク
3a,3b…出力ディスク
6…油圧ローディング機構(押圧機構)
10…パワーローラ
30…ダブルキャビティ式トロイダル形無段変速装置(トロイダル形無段変速装置)
31…自動車用トランスミッション
41…シリンダ(シリンダ部)
42a…入力ディスクの背面
54…第1の噛み合わせ部
55…第2の噛み合わせ部
59…第2シリンダ(シリンダ部)
Claims (1)
- 駆動源により回転駆動される入力軸と、
前記入力軸に連動して回転する一対の入力ディスクと、
前記一対の入力ディスクに相対して配された一対の出力ディスクと、
入力ディスクと出力ディスクとの間に揺動自在に設けられたパワーローラと、
前記入力ディスクと前記出力ディスクとを互いに近づける方向に前記入力ディスクと前記出力ディスクとのうち少なくとも一方を押圧する押圧機構と、を備え、
前記押圧機構は、加圧油が供給されるシリンダ部と、前記加圧油によって前記入力ディスクと出力ディスクとのうち少なくとも一方を押圧するピストン部とを備えたトロイダル形無段変速装置において、
前記駆動源と入力軸との間に設けられ、前記駆動源からの回転駆動力を入力軸に伝達する動力伝達部を備え、
前記動力伝達部は、入力軸と同軸の駆動軸の外周部に向かって延びた円板部、及び前記シリンダ部から成り、前記円板部、前記シリンダ部、及び前記シリンダ部に対向する前記入力ディスクをそれぞれ略同径に形成し、前記円板部の縁部に前記駆動源により回転駆動される第1の噛み合わせ部を形成し、前記シリンダ部の底部の縁部に前記入力軸と連動して回転するともに前記第1の噛み合わせ部と互いに噛み合う第2の噛み合わせ部を形成し、
前記第1の噛み合わせ部、及び前記第2の噛み合わせ部が入力軸からその径方向に離れた位置に配されたことを特徴とするトロイダル形無段変速装置。
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