JP2004162851A - トロイダル型無段変速機のローディング油圧制御方法 - Google Patents
トロイダル型無段変速機のローディング油圧制御方法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2004162851A JP2004162851A JP2002331255A JP2002331255A JP2004162851A JP 2004162851 A JP2004162851 A JP 2004162851A JP 2002331255 A JP2002331255 A JP 2002331255A JP 2002331255 A JP2002331255 A JP 2002331255A JP 2004162851 A JP2004162851 A JP 2004162851A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- input
- loading
- disk
- force
- continuously variable
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Withdrawn
Links
Images
Landscapes
- Friction Gearing (AREA)
Abstract
【課題】トロイダル型無段変速機の動力伝達効率を向上させることができるトロイダル型無段変速機のローディング油圧制御方法を提供する。
【解決手段】本発明のトロイダル型無段変速機のローディング油圧制御方法では、油圧ローディング機構によって生起される油圧のローディング力が、弾性部材が発生する弾性力と必要なローディング力とに基づいて決定される。
【選択図】 図2
【解決手段】本発明のトロイダル型無段変速機のローディング油圧制御方法では、油圧ローディング機構によって生起される油圧のローディング力が、弾性部材が発生する弾性力と必要なローディング力とに基づいて決定される。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車や各種産業機械の変速機として利用可能なトロイダル型無段変速機(CVT)のローディング油圧制御方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
自動車等の車両の動力伝達等に用いられる変速装置として、例えば図4に示されるようなトロイダル型無段変速機が用いられている。図示のように、この種のトロイダル型無段変速機は、エンジンを含む駆動源により回転駆動される入力軸100と、この入力軸100に連動して回転するように支持された入力側ディスク102と、この入力側ディスク102に相対して配された出力側ディスク104と、これらの入出力側ディスク102,104の間に設けられたパワーローラ106と、入出力側ディスク102,104同士が近付く方向で入出力側ディスク102,104のうちの少なくとも一方を押圧する押圧機構110とを備えている。
【0003】
入力側ディスク102は、エンジンを含む駆動源によって回転駆動される。出力側ディスク104には、入力側ディスク102の回転に基く動力がパワーローラ106などを介して伝達される。パワーローラ106は、入力側ディスク102と出力側ディスク104との間に揺動自在に設けられており、双方のディスク102,104に転接する。パワーローラ106の傾き角度を変化させることで、トロイダル型無段変速機の減速比を変化させることができる。
【0004】
押圧機構110は、入出力側ディスク102,104を互いに近付ける方向に押圧して、前記駆動源から供給される回転駆動力を、入力側ディスク、パワーローラ、出力側ディスクなどを介して出力軸に伝達する。
【0005】
このような押圧機構110として、例えば油圧ローディング機構(油圧でローディング力を発生させる機構)を用いることがある(例えば、特許文献1および特許文献2参照)。この油圧ローディング機構は、油圧駆動源と、この油圧駆動源に連通したシリンダ114,116から成る油圧室120と、シリンダ114,116内に収容されたピストンとしての入力側ディスク102の背面102aなどを備えている。油圧駆動源から油圧室120に加圧流体としての圧油が供給されると、この圧油の圧力により、入力側ディスク102の背面102aなどを介して入力側ディスクが出力側ディスク104に対して押圧される。
【0006】
また、押圧機構110としては、この他、入力トルクに応じた推力を発生させるローディングカムと油圧とを併用した機構も知られている(例えば、特許文献3および特許文献4参照)。
【0007】
押圧機構110がいずれのタイプであっても、トロイダル型無段変速機を自動車に適用した場合、油圧を発生させるポンプはエンジンからの動力を利用するため、エンジン始動時やエンジンが動いていない状態でもローディング力を発生させられるように、皿バネ130が併用されている。この皿ばね130は、ローディングナットやシム等とともに、各ディスク102,104とパワーローラ106との当接部に押圧力を付与する予圧付与装置を構成する。
【特許文献1】
特表平6−502476号公報
【特許文献2】
特開2001−12573号公報
【特許文献3】
特開平10−281269号公報
【特許文献4】
特開2001−124163号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
前記油圧ローディング機構は、ECU(Engine Control Unit)などの周知の制御装置によって、前述した押圧力(油圧力)が、適切な力となるように制御される。この時、制御装置は、適切な押圧力を前述した入力トルク、変速比、回転数及び油の温度などから求める。
【0009】
しかし、入力されるトルクが変化すると、皿バネ130の縮み量が変わるため、これに応じて、皿バネ130が発生する力も変わってしまう。例えば、図4に示されるように、皿バネ130が油圧室120内に配置されている場合には、入力トルクに応じて油圧を大きくすると、皿バネ130の縮み量が小さくなる。この時、皿バネ130が図5に示されるような特性を有していれば、図6に示されるように、入力トルクが大きくなると、皿バネ130が発生する力は小さくなってしまう。したがって、皿バネ130の縮み量が一定(発生する力も一定)であると考えて図7に示されるように油圧(油圧によるローディング力)を決定すると、実際には図8に示されるような状態となる。このため、実際に発生するローディング力(皿バネ130によるローディング力+油圧によるローディング力)が必要ローディング力よりも低くなってしまう(ローディング力が図示のs分だけ不足する)。
【0010】
一方、図9に示されるように、皿バネ130が油圧室130の外側に配置されている場合には、入力トルクが大きくなると、皿バネ130の発生する力が大きくなり、実際に発生するローディング力が必要なローディング力よりも過大となってしまう。
【0011】
このように、皿バネ130の発生する力が変わると、その力を一定と考えて油圧を決定した時に、ローディング力が適正に設定されない。特に、入力トルクが小さい場合には、必要ローディング力が小さいため、皿バネ130のような弾性部材の力が押し付け力に大きく影響する。ローディング力が過大になった場合には、トロイダル型無段変速機の動力伝達効率が低下してしまい、逆に、ローディング力が小さくなってしまった場合には、トラクション部において、滑りが発生してしまう。
【0012】
本発明は、前記事情に着目してなされたものであり、トロイダル型無段変速機の動力伝達効率を向上させることができるトロイダル型無段変速機のローディング油圧制御方法を提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するために、請求項1に記載された発明は、駆動源によって回転駆動される入力軸と、前記入力軸に連動して回転するように支持された入力側ディスクと、前記入力側ディスクに相対して配された出力側ディスクと、前記入力側ディスクと前記出力側ディスクとの間に設けられ、これら両ディスクに転接することにより、前記入力側ディスクの回転力を前記出力側ディスクに伝えるパワーローラと、油圧作用によって前記入力側ディスクおよび出力側ディスクを互いに近付ける方向に押圧する油圧ローディング機構と、前記入力側ディスクおよび前記出力側ディスクと前記パワーローラとの当接部に予圧を付与する弾性部材とを備えたトロイダル型無段変速機のローディング油圧制御方法において、前記油圧ローディング機構によって生起される油圧のローディング力を、前記弾性部材が発生する弾性力と必要なローディング力とに基づいて決定することを特徴とする。
【0014】
請求項2に記載された発明は、請求項1に記載された発明において、前記弾性部材の縮み量から、前記弾性部材が発生する弾性力を計算し、この弾性力に基づいて、必要なローディング力を発生させるために必要な油圧のローディング力を決定することを特徴とする。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。
図1には、トロイダル型無段変速機としてのダブルキャビティ式ハーフトロイダル型無段変速機30を備えた自動車用トランスミッション31の一部が断面で示されている。
【0016】
図示のように、自動車用トランスミッション31は、ダブルキャビティ式ハーフトロイダル型無段変速機30を備えている。ダブルキャビティ式ハーフトロイダル型無段変速機30は、エンジン等を含む駆動源によって回転駆動される入力軸1と、一対の入力側ディスク2a,2bと、一対の出力側ディスク3a,3bと、複数のパワーローラ10と、押圧機構としての油圧ローディング機構6とを備えている。
【0017】
入力側ディスク2a,2bは、入力軸1に、この入力軸1の軸線Pに沿って互いに間隔を有して同軸的に配されている。また、入力側ディスク2a,2bは、互いに対向した状態で支持されており、それぞれ入力軸1と連動して回転するように、入力軸1と同軸的に支持されている。更に、入力側ディスク2a,2bは、ボールスプライン係合部32及びスプライン係合部33によって入力軸1に取り付けられており、入力軸1と連動して回転する。
【0018】
出力側ディスク3a,3bは、一対の入力側ディスク2a,2bの間に、入力側ディスク2a,2bそれぞれと対向して設けられている。また、出力側ディスク3a,3bは、入力軸1に対して遊嵌した状態で支持されるとともに、互いに同軸的に配置されており、互いに同期して回転する。更に、出力側ディスク3a,3bは、これらの出力側ディスク3a,3bと同軸的に配置された出力歯車34と連動する。この出力歯車34は、入力軸1に基づく動力を取り出す出力軸(図示せず)と連動して回転する。
【0019】
パワーローラ10は、入力側ディスク2a,2bと出力側ディスク3a,3bとのそれそれの間に揺動自在に設けられており、双方のディスク2a,2b,3a,3bに転接する。また、パワーローラ10はそれぞれ、入力側ディスク2a,2b及び出力側ディスク3a,3bに転接するトラクション部10aを備えている。
【0020】
なお、一方の第1の入力側ディスク2aと、この第1の入力側ディスク2aに相対する第1の出力側ディスク3aと、これら入出力側ディスク2a,3aの間に配されたパワーローラ10とによって、第1のキャビティ21が形成されている。
【0021】
また、他方の第2の入力側ディスク2bと、この第2の入力側ディスク2bに相対する第2の出力側ディスク3bと、これら入出力側ディスク2b,3bの間に配されたパワーローラ10とによって、第2のキャビティ22が形成されている。
【0022】
入力側ディスク2a,2bと出力側ディスク3a,3bとの間にはそれぞれトラニオン8が設けられている。トラニオン8は、入力軸1に対して捩れの位置にある枢軸を中心として図中の矢印Rで示す方向に揺動することができる。トラニオン8の中心部には変位軸9が設けられている。この変位軸9それぞれにパワーローラ10が回転自在に支持されている。これらのパワーローラ10は、入力側ディスク2a,2bと出力側ディスク3a,3bとの間において、その傾き角度がトロイダル型無段変速機30の減速比に応じて変化される。
【0023】
トラニオン8とパワーローラ10との間には、パワーローラ軸受として機能するスラスト玉軸受11が設けられている。スラスト玉軸受11は入力側ディスク2a,2b及び出力側ディスク3a,3bからパワーローラ10に加わるスラスト方向の荷重を支承し、パワーローラ10の回転を許容する。スラスト玉軸受11を構成する複数個の玉12は、円環状の保持器14によって保持されている。保持器14は、トラニオン8に設けた円環状の外輪13と、回転部としてのパワーローラ10との間に設けられている。
【0024】
油圧ローディング機構(押圧機構)6は、一対の入力側ディスク2a,2bのうちの一方の第1の入力側ディスク2aの背面42a側に設けられている。また、油圧ローディング機構6は、第1のシリンダ41と、第2のシリンダ59と、第1の円板部材60と、第2の円板部材61と、円環部材62などを備えている。
【0025】
第1のシリンダ41は、底部48と筒部49とを備えた有底筒状に形成されており、入力軸1と同軸的に配されている。また、第1のシリンダ41は、入力軸1にスプライン係合によって取り付けられている。また、第1のシリンダ41は、その筒部49の縁部49aが第2のシリンダ59の外周に嵌合して配されるとともに、その底部48が入力側ディスク2aの背面42aに相対した状態に配されている。
【0026】
第2のシリンダ59は、筒状に形成されており、入力側ディスク2aの外周に嵌合されるとともに、第1のシリンダ41の筒部49の外周に嵌合して設けられている。
【0027】
第1の円板部材60は、筒部63とこの筒部63の一端部から外周方向に向かって延びた円板部64とを一体に備えている。また、第1の円板部材60は、筒部63が入力軸1の外周に嵌合し且つ円板部64が第2シリンダ59の内周に嵌合した状態で配されている。更に、第1の円板部材60は、円板部64の底面65が入力側ディスク2aの背面42aに相対した状態に配されるとともに、その筒部63の端面66が第1のシリンダ41の底面48aに当接している。
【0028】
第2の円板部材61は、リング状に形成されている。また、第2の円板部材61は、第1の円板部材60の筒部63の外周に嵌合し且つ第2シリンダ59の内周に嵌合した状態に配されている。また、円環部材62は、入力軸1の外周に嵌合されるとともに、第1の円板部材60と入力側ディスク2aとの間に配されている。
【0029】
また、入力側ディスク2a及び第1のシリンダ41が取り付けられた入力軸1の一端部1aには、外周に向かって突出したフランジ部43が一体に形成されている。また、一端部1aには、その端面に開口しかつ軸線Pに沿って延びた油穴45が形成されている。この油穴45には、加圧流体としての加圧油が供給される。入力軸1の他端部1bには、ナット46が螺合する。このナット46は、入力側ディスク2bの背面42bと接する。
【0030】
第2のシリンダ59の内周面と、第1の円板部材60の底面65と、入力側ディスク2aの背面42aと、円環部材62の外表面の一部とによって囲まれた空間は、第1の油圧室67を構成している。この第1の油圧室67は、複数のシール部材68によって、流体密に保たれている。
【0031】
第2のシリンダ59の内周面と第1のシリンダ41の底面48aと第2の円板部材61の端面69とによって囲まれた空間は、第2の油圧室70を構成している。この第2の油圧室70は、複数のシール部材71によって、流体密に保たれている。また、第2の油圧室70内には、第1のシリンダ41を入力側ディスク2aから離間させる方向で付勢する皿ばね(弾性部材)44が複数設けられている。
【0032】
第2のシリンダ59の内周側において、第1の円板部材60と第2の円板部材61との間に位置する空間75は、空気室となっている。空気室75は、複数のシール部材68,71によって流体密に保たれている。
【0033】
入力軸1及び第1の円板部材60には、油穴45から第1の油圧室67内に向かって貫通した第1の加圧油導入路72と、油穴45から第2の油圧室70内に向かって貫通した第2の加圧油導入路73とが形成されている。
【0034】
前述した構成によって、加圧油は、油穴45、第1及び第2の加圧油導入路72,73内を通って、第1及び第2の油圧室67,70内それぞれに供給される。なお、入力側ディスク2aの背面42aは、第1のピストン部をなしている。第2の円板部材61は、第2のピストン部をなしている。
【0035】
第1のシリンダ室67内に加圧油が供給されると、この加圧油は、第1の円板部材60の底面65と入力側ディスク2aの背面42aとを互いに離間させる方向で、入力側ディスク2aを移動させる。したがって、入力側ディスク2aが出力側ディスク3aに向かって押圧される。
【0036】
一方、第2のシリンダ室70内に加圧油が供給されると、この加圧油は、第2の円板部材61と第1のシリンダ41の底面48aとを離間させる方向で、第1のシリンダ41を移動させる。したがって、第1のシリンダ41は、フランジ部43を介して入力軸1を駆動源に近付ける方向(図中左方向)に移動させる。そのため、ナット46を介して入力側ディスク2bが出力側ディスク3bに向かって押圧される。すなわち、入力軸(CVT軸)1が図中の左方向に移動することに伴って、他方の入力側ディスク2bが他方の出力側ディスク3bの方向に移動する。
【0037】
こうして、それぞれのパワーローラ10のトラクション部10aが入出力側ディスク2a,2b,3a,3bの双方に転接し、入力側ディスク2a,2bの回転駆動力を所望の減速比で出力側ディスク3a,3bに伝達する。このように、油圧ローディング機構6が、入力側ディスク2aを出力側ディスク3aに向かって押圧することによって、フランジ部43とナット46が入力側ディスク2bと出力側ディスク3bとが互いに近づく方向にこれらのディスク2b,3bを変位させて、駆動源から伝達された回転駆動力を入力側ディスク2a,2b、パワーローラ10、出力側ディスク3a,3b及び出力歯車34を介して出力軸へと伝達する。
【0038】
以上のような構成において、本実施形態では、皿バネ44の縮み量が一定であると考えて油圧によるローディング力を決定するのではなく、入力されるトルクの変化に伴う皿バネ44の縮み量の変化を測定し、皿バネ44の実際の縮み量に応じて、必要なローディング力を発生させるために必要な最適な油圧のローディング力を決定する。
【0039】
具体的には、第1のシリンダ41および第2のシリンダ59の位置を測定し、その初期値からの変化量を算出することにより、皿バネ44の縮み量の変化を測定する(皿バネ44の厚みや他の部材の諸寸法は予め測定しておく)。すなわち、第1のシリンダ41および第2のシリンダ59の移動距離を測定することによって、皿バネ44の縮み量を計算する。そして、皿バネ44の縮み量から皿バネ44が発生する弾性力(皿バネ44によるローディング力)を計算し、この弾性力に基づいて、必要なローディング力を発生させるために必要な最適な油圧のローディング力を決定する。これにより、図2に示されるごとく、実際に発生するローディング力(皿バネ44によるローディング力+油圧によるローディング力)を必要ローディング力に一致させることができる。
【0040】
このような制御は、シリンダ41,59の位置を測定するセンサ等の測定装置90,92からの位置情報に基づいて、ECU(Engine Control Unit)などの周知の制御装置95によって行なわれる。なお、組立時においても、第1のシリンダ41と第2のシリンダ59の位置を測定することにより、皿バネ44の縮み量が設定通りかを調べることができる。
【0041】
以上説明したように、本実施形態では、油圧ローディング機構によって生起される油圧のローディング力が、皿バネ44が発生する弾性力と必要なローディング力とに基づいて決定される。具体的には、皿バネ44の縮み量から、皿バネ44が発生する弾性力を計算し、この弾性力に基づいて、必要なローディング力を発生させるために必要な油圧のローディング力を決定している。したがって、実際に発生するローディング力(皿バネ44によるローディング力+油圧によるローディング力)を必要ローディング力に一致させることができ、トロイダル型無段変速機の動力伝達効率を向上させることができる。なお、本実施形態における油圧とは、遠心力による油圧上昇分も考慮した油圧である。
【0042】
なお、図3には、皿バネ44が油圧室の外側に配置されたトロイダル型無段変速機の断面が示されている。この場合、皿ばね44は、入力軸1のフランジ部43とシリンダ41との間に介挿され、シリンダ41を入力側ディスク2aに向かって付勢している。また、第2のシリンダ59は、筒状に形成されており、入力側ディスク2aの外周に嵌合されるとともに、第1のシリンダ41の筒部49の内周に嵌合して設けられている。このような構成においても、入力されるトルクの変化に伴う皿バネ44の縮み量の変化を測定し、皿バネ44の実際の縮み量に応じて、必要なローディング力を発生させるために必要な最適な油圧のローディング力を決定すれば、実際に発生するローディング力(皿バネ44によるローディング力+油圧によるローディング力)を必要ローディング力に一致させることができ、トロイダル型無段変速機の動力伝達効率を向上させることができる。
【0043】
具体的には、第1のシリンダ41と入力軸1のフランジ部43の位置を測定し、その初期値からの変化量を算出することにより、皿バネ44の縮み量の変化を測定する(皿バネ44の厚みや他の部材の諸寸法は予め測定しておく)。すなわち、第1のシリンダ41および入力軸1の移動距離を測定することによって、皿バネ44の縮み量を計算する。そして、皿バネ44の縮み量から皿バネ44が発生する弾性力(皿バネ44によるローディング力)を計算し、この弾性力に基づいて、必要なローディング力を発生させるために必要な最適な油圧のローディング力を決定する。これにより、実際に発生するローディング力(皿バネ44によるローディング力+油圧によるローディング力)を必要ローディング力に一致させることができる。
【0044】
なお、本発明は、前述した実施形態に限定されず、その要旨を逸脱しない範囲で種々変形実施できることは言うまでもない。例えば、前述した実施形態では、入力側ディスクおよび出力側ディスクとパワーローラとの当接部に予圧を付与するものとして皿バネ44が使用されているが、皿バネ以外の弾性部材を用いることも可能である。
【0045】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明のトロイダル型無段変速機のローディング油圧制御方法によれば、実際に発生するローディング力(弾性部材によるローディング力+油圧によるローディング力)を必要ローディング力に一致させることができ、トロイダル型無段変速機の動力伝達効率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係るトロイダル型無段変速機であって、皿バネが油圧室内に配置されたトロイダル型無段変速機の断面図である。
【図2】本発明のローディング油圧制御に伴う入力トルクとローディング力との関係を示すグラフ図である。
【図3】本発明の実施形態に係るトロイダル型無段変速機であって、皿バネが油圧室の外側に配置されたトロイダル型無段変速機の断面図である。
【図4】皿バネが油圧室の内部に配置された従来のトロイダル型無段変速機の断面図である。
【図5】皿バネの縮み量と皿バネの発生力との関係を示すグラフ図である。
【図6】入力トルクと皿バネの縮み量との関係を示すグラフ図である。
【図7】皿バネによるローディング力が一定のままであると仮定した場合の入力トルクとローディング力との関係を示すグラフ図である。
【図8】従来における実際の入力トルクとローディング力との関係を示すグラフ図である。
【図9】皿バネが油圧室の外側に配置された従来のトロイダル型無段変速機の断面図である。
【符号の説明】
1 入力軸
2a,2b 入力側ディスク
3a,3b 出力側ディスク
6 油圧ローディング機構
10 パワーローラ
44 皿バネ(弾性部材)
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車や各種産業機械の変速機として利用可能なトロイダル型無段変速機(CVT)のローディング油圧制御方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
自動車等の車両の動力伝達等に用いられる変速装置として、例えば図4に示されるようなトロイダル型無段変速機が用いられている。図示のように、この種のトロイダル型無段変速機は、エンジンを含む駆動源により回転駆動される入力軸100と、この入力軸100に連動して回転するように支持された入力側ディスク102と、この入力側ディスク102に相対して配された出力側ディスク104と、これらの入出力側ディスク102,104の間に設けられたパワーローラ106と、入出力側ディスク102,104同士が近付く方向で入出力側ディスク102,104のうちの少なくとも一方を押圧する押圧機構110とを備えている。
【0003】
入力側ディスク102は、エンジンを含む駆動源によって回転駆動される。出力側ディスク104には、入力側ディスク102の回転に基く動力がパワーローラ106などを介して伝達される。パワーローラ106は、入力側ディスク102と出力側ディスク104との間に揺動自在に設けられており、双方のディスク102,104に転接する。パワーローラ106の傾き角度を変化させることで、トロイダル型無段変速機の減速比を変化させることができる。
【0004】
押圧機構110は、入出力側ディスク102,104を互いに近付ける方向に押圧して、前記駆動源から供給される回転駆動力を、入力側ディスク、パワーローラ、出力側ディスクなどを介して出力軸に伝達する。
【0005】
このような押圧機構110として、例えば油圧ローディング機構(油圧でローディング力を発生させる機構)を用いることがある(例えば、特許文献1および特許文献2参照)。この油圧ローディング機構は、油圧駆動源と、この油圧駆動源に連通したシリンダ114,116から成る油圧室120と、シリンダ114,116内に収容されたピストンとしての入力側ディスク102の背面102aなどを備えている。油圧駆動源から油圧室120に加圧流体としての圧油が供給されると、この圧油の圧力により、入力側ディスク102の背面102aなどを介して入力側ディスクが出力側ディスク104に対して押圧される。
【0006】
また、押圧機構110としては、この他、入力トルクに応じた推力を発生させるローディングカムと油圧とを併用した機構も知られている(例えば、特許文献3および特許文献4参照)。
【0007】
押圧機構110がいずれのタイプであっても、トロイダル型無段変速機を自動車に適用した場合、油圧を発生させるポンプはエンジンからの動力を利用するため、エンジン始動時やエンジンが動いていない状態でもローディング力を発生させられるように、皿バネ130が併用されている。この皿ばね130は、ローディングナットやシム等とともに、各ディスク102,104とパワーローラ106との当接部に押圧力を付与する予圧付与装置を構成する。
【特許文献1】
特表平6−502476号公報
【特許文献2】
特開2001−12573号公報
【特許文献3】
特開平10−281269号公報
【特許文献4】
特開2001−124163号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
前記油圧ローディング機構は、ECU(Engine Control Unit)などの周知の制御装置によって、前述した押圧力(油圧力)が、適切な力となるように制御される。この時、制御装置は、適切な押圧力を前述した入力トルク、変速比、回転数及び油の温度などから求める。
【0009】
しかし、入力されるトルクが変化すると、皿バネ130の縮み量が変わるため、これに応じて、皿バネ130が発生する力も変わってしまう。例えば、図4に示されるように、皿バネ130が油圧室120内に配置されている場合には、入力トルクに応じて油圧を大きくすると、皿バネ130の縮み量が小さくなる。この時、皿バネ130が図5に示されるような特性を有していれば、図6に示されるように、入力トルクが大きくなると、皿バネ130が発生する力は小さくなってしまう。したがって、皿バネ130の縮み量が一定(発生する力も一定)であると考えて図7に示されるように油圧(油圧によるローディング力)を決定すると、実際には図8に示されるような状態となる。このため、実際に発生するローディング力(皿バネ130によるローディング力+油圧によるローディング力)が必要ローディング力よりも低くなってしまう(ローディング力が図示のs分だけ不足する)。
【0010】
一方、図9に示されるように、皿バネ130が油圧室130の外側に配置されている場合には、入力トルクが大きくなると、皿バネ130の発生する力が大きくなり、実際に発生するローディング力が必要なローディング力よりも過大となってしまう。
【0011】
このように、皿バネ130の発生する力が変わると、その力を一定と考えて油圧を決定した時に、ローディング力が適正に設定されない。特に、入力トルクが小さい場合には、必要ローディング力が小さいため、皿バネ130のような弾性部材の力が押し付け力に大きく影響する。ローディング力が過大になった場合には、トロイダル型無段変速機の動力伝達効率が低下してしまい、逆に、ローディング力が小さくなってしまった場合には、トラクション部において、滑りが発生してしまう。
【0012】
本発明は、前記事情に着目してなされたものであり、トロイダル型無段変速機の動力伝達効率を向上させることができるトロイダル型無段変速機のローディング油圧制御方法を提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するために、請求項1に記載された発明は、駆動源によって回転駆動される入力軸と、前記入力軸に連動して回転するように支持された入力側ディスクと、前記入力側ディスクに相対して配された出力側ディスクと、前記入力側ディスクと前記出力側ディスクとの間に設けられ、これら両ディスクに転接することにより、前記入力側ディスクの回転力を前記出力側ディスクに伝えるパワーローラと、油圧作用によって前記入力側ディスクおよび出力側ディスクを互いに近付ける方向に押圧する油圧ローディング機構と、前記入力側ディスクおよび前記出力側ディスクと前記パワーローラとの当接部に予圧を付与する弾性部材とを備えたトロイダル型無段変速機のローディング油圧制御方法において、前記油圧ローディング機構によって生起される油圧のローディング力を、前記弾性部材が発生する弾性力と必要なローディング力とに基づいて決定することを特徴とする。
【0014】
請求項2に記載された発明は、請求項1に記載された発明において、前記弾性部材の縮み量から、前記弾性部材が発生する弾性力を計算し、この弾性力に基づいて、必要なローディング力を発生させるために必要な油圧のローディング力を決定することを特徴とする。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。
図1には、トロイダル型無段変速機としてのダブルキャビティ式ハーフトロイダル型無段変速機30を備えた自動車用トランスミッション31の一部が断面で示されている。
【0016】
図示のように、自動車用トランスミッション31は、ダブルキャビティ式ハーフトロイダル型無段変速機30を備えている。ダブルキャビティ式ハーフトロイダル型無段変速機30は、エンジン等を含む駆動源によって回転駆動される入力軸1と、一対の入力側ディスク2a,2bと、一対の出力側ディスク3a,3bと、複数のパワーローラ10と、押圧機構としての油圧ローディング機構6とを備えている。
【0017】
入力側ディスク2a,2bは、入力軸1に、この入力軸1の軸線Pに沿って互いに間隔を有して同軸的に配されている。また、入力側ディスク2a,2bは、互いに対向した状態で支持されており、それぞれ入力軸1と連動して回転するように、入力軸1と同軸的に支持されている。更に、入力側ディスク2a,2bは、ボールスプライン係合部32及びスプライン係合部33によって入力軸1に取り付けられており、入力軸1と連動して回転する。
【0018】
出力側ディスク3a,3bは、一対の入力側ディスク2a,2bの間に、入力側ディスク2a,2bそれぞれと対向して設けられている。また、出力側ディスク3a,3bは、入力軸1に対して遊嵌した状態で支持されるとともに、互いに同軸的に配置されており、互いに同期して回転する。更に、出力側ディスク3a,3bは、これらの出力側ディスク3a,3bと同軸的に配置された出力歯車34と連動する。この出力歯車34は、入力軸1に基づく動力を取り出す出力軸(図示せず)と連動して回転する。
【0019】
パワーローラ10は、入力側ディスク2a,2bと出力側ディスク3a,3bとのそれそれの間に揺動自在に設けられており、双方のディスク2a,2b,3a,3bに転接する。また、パワーローラ10はそれぞれ、入力側ディスク2a,2b及び出力側ディスク3a,3bに転接するトラクション部10aを備えている。
【0020】
なお、一方の第1の入力側ディスク2aと、この第1の入力側ディスク2aに相対する第1の出力側ディスク3aと、これら入出力側ディスク2a,3aの間に配されたパワーローラ10とによって、第1のキャビティ21が形成されている。
【0021】
また、他方の第2の入力側ディスク2bと、この第2の入力側ディスク2bに相対する第2の出力側ディスク3bと、これら入出力側ディスク2b,3bの間に配されたパワーローラ10とによって、第2のキャビティ22が形成されている。
【0022】
入力側ディスク2a,2bと出力側ディスク3a,3bとの間にはそれぞれトラニオン8が設けられている。トラニオン8は、入力軸1に対して捩れの位置にある枢軸を中心として図中の矢印Rで示す方向に揺動することができる。トラニオン8の中心部には変位軸9が設けられている。この変位軸9それぞれにパワーローラ10が回転自在に支持されている。これらのパワーローラ10は、入力側ディスク2a,2bと出力側ディスク3a,3bとの間において、その傾き角度がトロイダル型無段変速機30の減速比に応じて変化される。
【0023】
トラニオン8とパワーローラ10との間には、パワーローラ軸受として機能するスラスト玉軸受11が設けられている。スラスト玉軸受11は入力側ディスク2a,2b及び出力側ディスク3a,3bからパワーローラ10に加わるスラスト方向の荷重を支承し、パワーローラ10の回転を許容する。スラスト玉軸受11を構成する複数個の玉12は、円環状の保持器14によって保持されている。保持器14は、トラニオン8に設けた円環状の外輪13と、回転部としてのパワーローラ10との間に設けられている。
【0024】
油圧ローディング機構(押圧機構)6は、一対の入力側ディスク2a,2bのうちの一方の第1の入力側ディスク2aの背面42a側に設けられている。また、油圧ローディング機構6は、第1のシリンダ41と、第2のシリンダ59と、第1の円板部材60と、第2の円板部材61と、円環部材62などを備えている。
【0025】
第1のシリンダ41は、底部48と筒部49とを備えた有底筒状に形成されており、入力軸1と同軸的に配されている。また、第1のシリンダ41は、入力軸1にスプライン係合によって取り付けられている。また、第1のシリンダ41は、その筒部49の縁部49aが第2のシリンダ59の外周に嵌合して配されるとともに、その底部48が入力側ディスク2aの背面42aに相対した状態に配されている。
【0026】
第2のシリンダ59は、筒状に形成されており、入力側ディスク2aの外周に嵌合されるとともに、第1のシリンダ41の筒部49の外周に嵌合して設けられている。
【0027】
第1の円板部材60は、筒部63とこの筒部63の一端部から外周方向に向かって延びた円板部64とを一体に備えている。また、第1の円板部材60は、筒部63が入力軸1の外周に嵌合し且つ円板部64が第2シリンダ59の内周に嵌合した状態で配されている。更に、第1の円板部材60は、円板部64の底面65が入力側ディスク2aの背面42aに相対した状態に配されるとともに、その筒部63の端面66が第1のシリンダ41の底面48aに当接している。
【0028】
第2の円板部材61は、リング状に形成されている。また、第2の円板部材61は、第1の円板部材60の筒部63の外周に嵌合し且つ第2シリンダ59の内周に嵌合した状態に配されている。また、円環部材62は、入力軸1の外周に嵌合されるとともに、第1の円板部材60と入力側ディスク2aとの間に配されている。
【0029】
また、入力側ディスク2a及び第1のシリンダ41が取り付けられた入力軸1の一端部1aには、外周に向かって突出したフランジ部43が一体に形成されている。また、一端部1aには、その端面に開口しかつ軸線Pに沿って延びた油穴45が形成されている。この油穴45には、加圧流体としての加圧油が供給される。入力軸1の他端部1bには、ナット46が螺合する。このナット46は、入力側ディスク2bの背面42bと接する。
【0030】
第2のシリンダ59の内周面と、第1の円板部材60の底面65と、入力側ディスク2aの背面42aと、円環部材62の外表面の一部とによって囲まれた空間は、第1の油圧室67を構成している。この第1の油圧室67は、複数のシール部材68によって、流体密に保たれている。
【0031】
第2のシリンダ59の内周面と第1のシリンダ41の底面48aと第2の円板部材61の端面69とによって囲まれた空間は、第2の油圧室70を構成している。この第2の油圧室70は、複数のシール部材71によって、流体密に保たれている。また、第2の油圧室70内には、第1のシリンダ41を入力側ディスク2aから離間させる方向で付勢する皿ばね(弾性部材)44が複数設けられている。
【0032】
第2のシリンダ59の内周側において、第1の円板部材60と第2の円板部材61との間に位置する空間75は、空気室となっている。空気室75は、複数のシール部材68,71によって流体密に保たれている。
【0033】
入力軸1及び第1の円板部材60には、油穴45から第1の油圧室67内に向かって貫通した第1の加圧油導入路72と、油穴45から第2の油圧室70内に向かって貫通した第2の加圧油導入路73とが形成されている。
【0034】
前述した構成によって、加圧油は、油穴45、第1及び第2の加圧油導入路72,73内を通って、第1及び第2の油圧室67,70内それぞれに供給される。なお、入力側ディスク2aの背面42aは、第1のピストン部をなしている。第2の円板部材61は、第2のピストン部をなしている。
【0035】
第1のシリンダ室67内に加圧油が供給されると、この加圧油は、第1の円板部材60の底面65と入力側ディスク2aの背面42aとを互いに離間させる方向で、入力側ディスク2aを移動させる。したがって、入力側ディスク2aが出力側ディスク3aに向かって押圧される。
【0036】
一方、第2のシリンダ室70内に加圧油が供給されると、この加圧油は、第2の円板部材61と第1のシリンダ41の底面48aとを離間させる方向で、第1のシリンダ41を移動させる。したがって、第1のシリンダ41は、フランジ部43を介して入力軸1を駆動源に近付ける方向(図中左方向)に移動させる。そのため、ナット46を介して入力側ディスク2bが出力側ディスク3bに向かって押圧される。すなわち、入力軸(CVT軸)1が図中の左方向に移動することに伴って、他方の入力側ディスク2bが他方の出力側ディスク3bの方向に移動する。
【0037】
こうして、それぞれのパワーローラ10のトラクション部10aが入出力側ディスク2a,2b,3a,3bの双方に転接し、入力側ディスク2a,2bの回転駆動力を所望の減速比で出力側ディスク3a,3bに伝達する。このように、油圧ローディング機構6が、入力側ディスク2aを出力側ディスク3aに向かって押圧することによって、フランジ部43とナット46が入力側ディスク2bと出力側ディスク3bとが互いに近づく方向にこれらのディスク2b,3bを変位させて、駆動源から伝達された回転駆動力を入力側ディスク2a,2b、パワーローラ10、出力側ディスク3a,3b及び出力歯車34を介して出力軸へと伝達する。
【0038】
以上のような構成において、本実施形態では、皿バネ44の縮み量が一定であると考えて油圧によるローディング力を決定するのではなく、入力されるトルクの変化に伴う皿バネ44の縮み量の変化を測定し、皿バネ44の実際の縮み量に応じて、必要なローディング力を発生させるために必要な最適な油圧のローディング力を決定する。
【0039】
具体的には、第1のシリンダ41および第2のシリンダ59の位置を測定し、その初期値からの変化量を算出することにより、皿バネ44の縮み量の変化を測定する(皿バネ44の厚みや他の部材の諸寸法は予め測定しておく)。すなわち、第1のシリンダ41および第2のシリンダ59の移動距離を測定することによって、皿バネ44の縮み量を計算する。そして、皿バネ44の縮み量から皿バネ44が発生する弾性力(皿バネ44によるローディング力)を計算し、この弾性力に基づいて、必要なローディング力を発生させるために必要な最適な油圧のローディング力を決定する。これにより、図2に示されるごとく、実際に発生するローディング力(皿バネ44によるローディング力+油圧によるローディング力)を必要ローディング力に一致させることができる。
【0040】
このような制御は、シリンダ41,59の位置を測定するセンサ等の測定装置90,92からの位置情報に基づいて、ECU(Engine Control Unit)などの周知の制御装置95によって行なわれる。なお、組立時においても、第1のシリンダ41と第2のシリンダ59の位置を測定することにより、皿バネ44の縮み量が設定通りかを調べることができる。
【0041】
以上説明したように、本実施形態では、油圧ローディング機構によって生起される油圧のローディング力が、皿バネ44が発生する弾性力と必要なローディング力とに基づいて決定される。具体的には、皿バネ44の縮み量から、皿バネ44が発生する弾性力を計算し、この弾性力に基づいて、必要なローディング力を発生させるために必要な油圧のローディング力を決定している。したがって、実際に発生するローディング力(皿バネ44によるローディング力+油圧によるローディング力)を必要ローディング力に一致させることができ、トロイダル型無段変速機の動力伝達効率を向上させることができる。なお、本実施形態における油圧とは、遠心力による油圧上昇分も考慮した油圧である。
【0042】
なお、図3には、皿バネ44が油圧室の外側に配置されたトロイダル型無段変速機の断面が示されている。この場合、皿ばね44は、入力軸1のフランジ部43とシリンダ41との間に介挿され、シリンダ41を入力側ディスク2aに向かって付勢している。また、第2のシリンダ59は、筒状に形成されており、入力側ディスク2aの外周に嵌合されるとともに、第1のシリンダ41の筒部49の内周に嵌合して設けられている。このような構成においても、入力されるトルクの変化に伴う皿バネ44の縮み量の変化を測定し、皿バネ44の実際の縮み量に応じて、必要なローディング力を発生させるために必要な最適な油圧のローディング力を決定すれば、実際に発生するローディング力(皿バネ44によるローディング力+油圧によるローディング力)を必要ローディング力に一致させることができ、トロイダル型無段変速機の動力伝達効率を向上させることができる。
【0043】
具体的には、第1のシリンダ41と入力軸1のフランジ部43の位置を測定し、その初期値からの変化量を算出することにより、皿バネ44の縮み量の変化を測定する(皿バネ44の厚みや他の部材の諸寸法は予め測定しておく)。すなわち、第1のシリンダ41および入力軸1の移動距離を測定することによって、皿バネ44の縮み量を計算する。そして、皿バネ44の縮み量から皿バネ44が発生する弾性力(皿バネ44によるローディング力)を計算し、この弾性力に基づいて、必要なローディング力を発生させるために必要な最適な油圧のローディング力を決定する。これにより、実際に発生するローディング力(皿バネ44によるローディング力+油圧によるローディング力)を必要ローディング力に一致させることができる。
【0044】
なお、本発明は、前述した実施形態に限定されず、その要旨を逸脱しない範囲で種々変形実施できることは言うまでもない。例えば、前述した実施形態では、入力側ディスクおよび出力側ディスクとパワーローラとの当接部に予圧を付与するものとして皿バネ44が使用されているが、皿バネ以外の弾性部材を用いることも可能である。
【0045】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明のトロイダル型無段変速機のローディング油圧制御方法によれば、実際に発生するローディング力(弾性部材によるローディング力+油圧によるローディング力)を必要ローディング力に一致させることができ、トロイダル型無段変速機の動力伝達効率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係るトロイダル型無段変速機であって、皿バネが油圧室内に配置されたトロイダル型無段変速機の断面図である。
【図2】本発明のローディング油圧制御に伴う入力トルクとローディング力との関係を示すグラフ図である。
【図3】本発明の実施形態に係るトロイダル型無段変速機であって、皿バネが油圧室の外側に配置されたトロイダル型無段変速機の断面図である。
【図4】皿バネが油圧室の内部に配置された従来のトロイダル型無段変速機の断面図である。
【図5】皿バネの縮み量と皿バネの発生力との関係を示すグラフ図である。
【図6】入力トルクと皿バネの縮み量との関係を示すグラフ図である。
【図7】皿バネによるローディング力が一定のままであると仮定した場合の入力トルクとローディング力との関係を示すグラフ図である。
【図8】従来における実際の入力トルクとローディング力との関係を示すグラフ図である。
【図9】皿バネが油圧室の外側に配置された従来のトロイダル型無段変速機の断面図である。
【符号の説明】
1 入力軸
2a,2b 入力側ディスク
3a,3b 出力側ディスク
6 油圧ローディング機構
10 パワーローラ
44 皿バネ(弾性部材)
Claims (2)
- 駆動源によって回転駆動される入力軸と、前記入力軸に連動して回転するように支持された入力側ディスクと、前記入力側ディスクに相対して配された出力側ディスクと、前記入力側ディスクと前記出力側ディスクとの間に設けられ、これら両ディスクに転接することにより、前記入力側ディスクの回転力を前記出力側ディスクに伝えるパワーローラと、油圧作用によって前記入力側ディスクおよび出力側ディスクを互いに近付ける方向に押圧する油圧ローディング機構と、前記入力側ディスクおよび前記出力側ディスクと前記パワーローラとの当接部に予圧を付与する弾性部材とを備えたトロイダル型無段変速機のローディング油圧制御方法において、
前記油圧ローディング機構によって生起される油圧のローディング力を、前記弾性部材が発生する弾性力と必要なローディング力とに基づいて決定することを特徴とするトロイダル型無段変速機のローディング油圧制御方法。 - 前記弾性部材の縮み量から、前記弾性部材が発生する弾性力を計算し、この弾性力に基づいて、必要なローディング力を発生させるために必要な油圧のローディング力を決定することを特徴とする請求項1に記載のトロイダル型無段変速機のローディング油圧制御方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002331255A JP2004162851A (ja) | 2002-11-14 | 2002-11-14 | トロイダル型無段変速機のローディング油圧制御方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002331255A JP2004162851A (ja) | 2002-11-14 | 2002-11-14 | トロイダル型無段変速機のローディング油圧制御方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2004162851A true JP2004162851A (ja) | 2004-06-10 |
Family
ID=32808693
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2002331255A Withdrawn JP2004162851A (ja) | 2002-11-14 | 2002-11-14 | トロイダル型無段変速機のローディング油圧制御方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2004162851A (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2006057649A (ja) * | 2004-08-17 | 2006-03-02 | Nsk Ltd | トロイダル型無段変速機 |
JP2006144880A (ja) * | 2004-11-18 | 2006-06-08 | Nsk Ltd | トロイダル型無段変速機 |
WO2012111562A1 (ja) * | 2011-02-17 | 2012-08-23 | 日本精工株式会社 | トロイダル型無段変速機 |
-
2002
- 2002-11-14 JP JP2002331255A patent/JP2004162851A/ja not_active Withdrawn
Cited By (7)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2006057649A (ja) * | 2004-08-17 | 2006-03-02 | Nsk Ltd | トロイダル型無段変速機 |
JP4605495B2 (ja) * | 2004-08-17 | 2011-01-05 | 日本精工株式会社 | トロイダル型無段変速機 |
JP2006144880A (ja) * | 2004-11-18 | 2006-06-08 | Nsk Ltd | トロイダル型無段変速機 |
JP4696537B2 (ja) * | 2004-11-18 | 2011-06-08 | 日本精工株式会社 | トロイダル型無段変速機 |
WO2012111562A1 (ja) * | 2011-02-17 | 2012-08-23 | 日本精工株式会社 | トロイダル型無段変速機 |
JP2012172685A (ja) * | 2011-02-17 | 2012-09-10 | Nsk Ltd | トロイダル型無段変速機 |
CN103109108A (zh) * | 2011-02-17 | 2013-05-15 | 日本精工株式会社 | 环型无级变速器 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JPH11502591A (ja) | 連続可変変速比変速機に関する改良 | |
JP2000009197A (ja) | 車両用トロイダル型無段変速機 | |
JP2013509546A (ja) | 無段変速機のための駆動機構 | |
US6484858B1 (en) | Friction clutch and automatic transmission of automobile using the same and non-stage transmission of automobile and power distribution device of automobile and power transmission device of motorcycle | |
JPH06174030A (ja) | 摩擦車式無段変速機 | |
JPH10281269A (ja) | トロイダル型無段変速機 | |
JP4196486B2 (ja) | トロイダル形無段変速装置 | |
JP2004162851A (ja) | トロイダル型無段変速機のローディング油圧制御方法 | |
JP4106797B2 (ja) | トロイダル形無段変速装置 | |
JP2699687B2 (ja) | 摩擦車式無段変速機の変速制御装置 | |
JP3555577B2 (ja) | トロイダル型無段変速機 | |
JP4605495B2 (ja) | トロイダル型無段変速機 | |
JP3760697B2 (ja) | トロイダル型無段変速機及び変速比無限大無段変速機 | |
JP4809526B2 (ja) | ベルト式無段変速機 | |
JP4882965B2 (ja) | トロイダル式無段変速機 | |
JP2001295904A (ja) | トロイダル型無段変速機のディスク押付け装置 | |
JP3852173B2 (ja) | トロイダル型無段変速機 | |
JPH06257662A (ja) | 摩擦車式無段変速機の変速制御装置 | |
JP5051438B2 (ja) | トロイダル型無段変速機 | |
JP3427459B2 (ja) | 摩擦車式無段変速機の変速制御装置 | |
JP2000018350A (ja) | トロイダル型無段変速機 | |
JP3767471B2 (ja) | トロイダル型無段変速機 | |
JP4055255B2 (ja) | トロイダル形無段変速装置 | |
JP2002206631A (ja) | フルトロイダル型無段変速機 | |
JP4893639B2 (ja) | トロイダル型無段変速機 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A300 | Withdrawal of application because of no request for examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300 Effective date: 20060207 |