以下、本発明につき図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、下記の実施の形態により、本発明が限定されるものではない。また、下記実施の形態における構成要素には、当業者が容易に想定できるものあるいは実質的に同一のものが含まれる。ここで、下記の実施の形態では、本発明にかかるトロイダル式無段変速機に伝達される駆動力を発生する駆動源としてエンジントルクを発生する内燃機関(ガソリンエンジン、ディーゼルエンジン、LPGエンジンなど)を用いるが、これに限定されるものではなく、モータトルクを発生するモータなどの電動機などを用いても良い。また、駆動源として内燃機関および電動機を併用しても良い。
[実施の形態1]
図1は、トロイダル式無段変速機の概略構成例を示す図である。図2は、実施の形態1にかかるトロイダル式無段変速機の詳細構成例を示す図である。図3は、ピンを示す図(図2のA−A矢視図)である。図4は、溝を示す図(図2のB−B矢視図)である。図5は、実施の形態1にかかるトロイダル式無段変速機の動作説明図である。なお、図2および図5は、トロイダル式無段変速機を構成する各パワーローラのうち任意のパワーローラと、このパワーローラに接触する入力ディスクとを示す図である。
図示しない車両(以下、単に「車両CA」と称する)は、図1に示すように、内燃機関100と車輪160との間には、トルクコンバータ110と、前後進切換機構120と、実施の形態1にかかるトロイダル式無段変速機1−1と、動力伝達機構130と、ディファレンシャルギヤ140とにより構成されるトランスミッションが配置されている。なお、150は、車輪160とディファレンシャルギヤ140とを連結するドライブシャフトである。また、170は、内燃機関100の運転制御を行うエンジンECUである。
内燃機関100は、駆動源であり、内燃機関100が搭載された車両CAを前進あるいは後進させるためのエンジントルク、すなわち駆動力を出力するものである。また、内燃機関100は、エンジンECU170と接続されており、エンジンECU170により出力する駆動力が制御される。内燃機関100からの駆動力は、クランクシャフト101を介してトルクコンバータ110に伝達される。
トルクコンバータ110は、発進機構であり、流体伝達装置である。トルクコンバータ110は、駆動源である内燃機関100からの駆動力を前後進切換機構120を介してトロイダル式無段変速機1−1に伝達するものである。トルクコンバータ110は、ポンプ111と、タービン112と、ロックアップクラッチ113とにより構成されている。トルクコンバータ110は、ポンプ111とタービン112との間に介在する作動流体である作動油を介して、クランクシャフト101を介してポンプ111に伝達された駆動力を前後進切換機構120に連結されたタービン112に伝達するものである。また、トルクコンバータ110は、タービン112に連結されたロックアップクラッチ113をポンプ111に係合することで、作動油を介さずに、ポンプ111に伝達されたエンジントルクを直接タービン112に伝達するものでもある。つまり、トロイダル式無段変速機1−1の後述する入力ディスク10に伝達される内燃機関100からの駆動力は、作動流体を介さずに直接伝達するロックアップクラッチ113を有するトルクコンバータ110を介して伝達される。ここで、ロックアップクラッチ113の係合、係合の解除、すなわちON、OFFを行うON/OFF制御は、油圧制御装置70から供給される作動油により行われる。油圧制御装置70は、トランスミッションECU80と接続されている。従って、ロックアップクラッチ113のON/OFF制御は、トランスミッションECU80により行われる。なお、トルクコンバータ110と前後進切換機構120との間には、油圧制御装置70に加圧された作動油を供給するオイルポンプ72(図1では、図示省略)が設けられている。オイルポンプ72は、内燃機関100からのエンジントルクによりトルクコンバータ110が回転することで、駆動するものである。
前後進切換機構120は、トルクコンバータ110を介して伝達された内燃機関100からの駆動力をトロイダル式無段変速機1−1の入力ディスク10に伝達するものである。前後進切換機構120は、例えば遊星歯車機構であり、内燃機関100からの駆動力を直接あるいは反転して、駆動力入力軸11を介して、入力ディスク10に伝達するものである。つまり、入力ディスク10には、入力ディスク10を正回転させる方向に作用する正回転駆動力として、あるいは入力ディスク10を逆回転させる方向に作用する逆回転駆動力として伝達される。ここで、前後進切換機構120による駆動力の伝達方向の切換制御は、油圧制御装置70から供給される作動油により行われる。従って、前後進切換機構120の切換制御は、トランスミッションECU80により行われる。
実施の形態1にかかるトロイダル式無段変速機1−1は、図1および図2に示すように、入力ディスク10と、出力ディスク20と、パワーローラ30と、トラニオン40と、シリンダ機構50と、ディスク押圧機構60と、油圧制御装置70と、トランスミッションECU80とにより構成されている。ここで、トロイダル式無段変速機1−1は、入力ディスク10と出力ディスク20との間にそれぞれ構成されるキャビティーC1、C2に、2つのパワーローラ30がそれぞれ配置された構造である。つまり、トロイダル式無段変速機1−1は、2つの入力ディスク10と、1つの出力ディスク20と、4つのパワーローラ30と、4つのトラニオン40を備える。
各入力ディスク10は、前後進切換機構120の出力軸である駆動力入力軸11と連結されている。つまり、各入力ディスク10には、内燃機関100のエンジントルクが駆動力として伝達される。各入力ディスク10は、駆動力入力軸11により回転自在に支持されている。従って、各入力ディスク10は、駆動力入力軸11の軸線X1を中心として回転可能(図2に示す矢印A)である。ここで、前後進切換機構120により各入力ディスク10には、回転方向Aうち正回転方向の駆動力である正回転駆動力あるいは逆回転方向の駆動力である逆回転駆動力が伝達される。各入力ディスク10は、円板形状であり、出力ディスク20を挟んで軸方向において対向して配置されている。各入力ディスク10の出力ディスク20と対向する面には、各キャビティーC1,C2の2つのパワーローラ30がそれぞれ接触する接触面12が形成されている。
出力ディスク20は、動力伝達機構130と連結されている。出力ディスク20は、パワーローラ30を介して入力ディスク10に伝達された内燃機関100からの駆動力が伝達される。従って、出力ディスク20は、動力伝達機構130、ディファレンシャルギヤ140、ドライブシャフト150を介して車輪160に内燃機関100からの駆動力を伝達するものである。また、出力ディスク20には、動力伝達機構130、ディファレンシャルギヤ140、ドライブシャフト150を介して車輪160からの後述する被駆動力が伝達される。従って、被駆動力は、パワーローラ30を介して入力ディスク10に伝達される。出力ディスク20は、円板形状であり、駆動力入力軸11と同軸上に駆動力入力軸11に対して回転自在に支持され、各入力ディスク10の間に配置されている。従って、出力ディスク20は、駆動力入力軸11の軸線X1を中心として回転可能(図2に示す矢印A)である。出力ディスク20の各入力ディスク10と対向する面、すなわち出力ディスク20の軸方向において対向する面には、各キャビティーC1,C2のパワーローラ30がそれぞれ接触する接触面21が形成されている。
パワーローラ30は、ディスク押圧機構60により、各入力ディスク10および出力ディスク20に接触し、転動することで、各入力ディスク10から出力ディスク20に駆動力を、あるいは出力ディスク20から各入力ディスク10に被駆動力を伝達するものである。パワーローラ30は、トロイダル式無段変速機1−1に供給されるトラクションオイルによりパワーローラ30と入力ディスク10の接触面12および出力ディスク20の接触面21との間に形成される油膜のせん断力を用いて駆動力あるいは被駆動力を伝達するものである。パワーローラ30は、パワーローラ本体31と、外輪32とより構成されている。なお、パワーローラ30は、トラニオン40の後述する本体部41に形成された空間部41aに配置されている。
パワーローラ本体31は、外周面に入力ディスク10および出力ディスク20に接触するものである。パワーローラ本体31は、外輪32に形成された図示しない回転軸に対して回転自在に支持されている。また、パワーローラ30は、外輪32のパワーローラ30と対向する面に対してスラストベアリングSBを介して回転自在に支持されている。従って、パワーローラ30は、図示しない回転軸の軸線X2を中心として回転可能(図2に示す矢印B)である。
外輪32は、図示しない回転軸および偏芯軸が形成されている。偏芯軸は、軸線X3が回転軸の軸線X2に対してずれた位置となるように形成されている。偏芯軸は、トラニオン40に対して回転自在に支持されている。従って、外輪32は、偏芯軸の軸線X3を中心として回転可能(図2に示す矢印C)である。つまり、パワーローラ30は、トラニオン40に対して、軸線X2および軸線X3を中心として回転可能となる。これにより、パワーローラ30は、公転可能でかつ自転可能となる。
トラニオン40は、入力ディスク10および出力ディスク20に対してパワーローラ30を支持するものある。トラニオン40は、軸線X2および軸線X3が入力ディスク10および出力ディスク20の軸線X1と垂直な平面と平行となるように配置される。ここで、各キャビティーC1,C2にそれぞれ2つのパワーローラ30が配置される場合は、入力ディスク10および出力ディスク20を挟んで、2つのパワーローラ30が向かい合うように、各パワーローラ30をそれぞれ支持する2つのトラニオン40が対向して配置されている。つまり、各キャビティーC1、C2には、それぞれ2つのトラニオン40が配置される。トラニオン40は、本体部41と、揺動軸42,43とにより構成されている。
本体部41は、パワーローラ30が配置される空間部41aが形成されている。また、本体部41は、パワーローラ30の移動方向における両端部に揺動軸42,43がそれぞれ形成されている。
揺動軸42は、本体部41の両端部のうち、パワーローラ30の移動方向の一方向、すなわち第1方向Eの端部から第1方向Eに向かって突出して形成されている。揺動軸42は、支持部材91に対して、ラジアルベアリングRBにより、回転自在に支持されている。従って、揺動軸42は、支持部材91に対して、軸線X4を中心に回転可能(図2に示す矢印D)である。また、揺動軸42は、支持部材91に対して、ラジアルベアリングRBにより、パワーローラ30の移動方向である第1方向Eおよび第1方向Eと反対方向である第2方向Fに移動自在に支持されている。なお、支持部材91は、トロイダル式無段変速機1の図示しないハウジングに対して、揺動自在に支持されており、各キャビティーC1,C2にそれぞれ配置される2つのトラニオン40の揺動軸42が両端部に回転自在およびパワーローラ30の移動方向に移動自在にそれぞれ支持されている。ここで、第1方向Eとは、後述する第1油圧室OP1の油圧により、ピストン51の移動する方向、すなわちパワーローラ30が移動する方向である。また、第2方向Fとは、後述する第2油圧室OP2の油圧により、ピストン51が移動する方向、すなわちパワーローラ30が移動する方向である。
揺動軸43は、本体部41の両端部のうち、パワーローラ30の移動方向のうち他方向、すなわち第2方向Fの端部から第2方向Fに向かって突出して形成されている。揺動軸43は、揺動軸42と同一軸線X4上に形成されている。揺動軸43は、支持部材92に対して、ラジアルベアリングRBにより回転自在に支持されている。従って、揺動軸43は、支持部材92に対して、軸線X4を中心に回転可能(図2に示す矢印D)である。また、揺動軸43は、支持部材92に対して、ラジアルベアリングRBにより、第1方向Eおよび第2方向Fに移動自在に支持されている。なお、支持部材92は、トロイダル式無段変速機1−1の図示しないハウジングに対して、揺動自在に支持されており、各キャビティーC1,C2にそれぞれ配置される2つのトラニオン40の揺動軸43が両端部に回転自在およびパワーローラ30の移動方向に移動自在に支持されている。
以上の構成により、トラニオン40に回転自在に支持されたパワーローラ30は、接触した入力ディスク10および出力ディスク20に対して回転可能であり、入力ディスク10および出力ディスク20に対して第1方向Eおよび第2方向Fに移動可能であり、入力ディスク10および出力ディスク20に対して軸線X4を中心として揺動、すなわち傾転可能に支持されている。ここで、パワーローラ30の入力ディスク10および出力ディスク20に対する相対位置は、パワーローラ30の回転中心である軸線X2が入力ディスク10および出力ディスク20の回転中心である軸線X1と一致する中立位置を0として中立位置から第1方向Eあるいは第2方向Fへの移動量であるストローク量により決定される。また、相対位置は、パワーローラ30の回転中心である軸線X2が入力ディスク10および出力ディスク20の回転中心である軸線X1と直交する基準位置を0として基準位置から入力ディスク10および出力ディスク20に対する傾斜角度である傾転角により求めることもできる。
シリンダ機構50は、入力ディスク10および出力ディスク20に対するパワーローラ30の相対位置を油圧により変化させるものである。これにより、シリンダ機構50は、転動するパワーローラ30を傾転させ、入力ディスク10と出力ディスク20との回転数比であるトロイダル式無段変速機1−1の変速比を変更する。シリンダ機構50は、ピストン51と、シリンダボディ52と、ピストン用スプリング53とにより構成されている。
ピストン51は、作動油の油圧を受けることで、トラニオン40を二方向、すなわち第1方向Eあるいは第2方向Fのいずれかに移動させるものである。ピストン51は、ピストンベース51aと、フランジ部51bと、ピン51cとにより構成されている。
ピストンベース51aは、揺動軸43に固定されている。ピストンベース51aは、円筒形状であり、揺動軸43の先端部に挿入され固定されている。つまり、ピストン51は、トラニオン40と一体回転する。これにより、ピストン51は、パワーローラ30と連結されていることとなる。従って、ピストン51は、パワーローラ30の傾転に伴い、揺動軸42,43の軸線X4を中心として回転する。また、ピストンベース51aは、シリンダボディ52の後述する摺動孔52aにシール部材S1を介して摺動自在に支持されている。従って、ピストン51は、シリンダボディ52内に摺動自在に支持されている。なお、シリンダボディ52は、トロイダル式無段変速機1−1の図示しないハウジングなどに固定されている。
フランジ部51bは、シリンダボディ52の後述する油圧室空間部52bを2つの油圧室である第1油圧室OP1(図2に示す上側)と第2油圧室OP2(図2に示す下側)に区画するものである。フランジ部51bは、円板形状であり、ピストンベース51aの略中央部からピストンベース51aの径方向外側に突出して形成されている。ここで、フランジ部51bの径方向外側の端部には、シール部材S2が設けられている。従って、フランジ部51bにより区画された第1油圧室OP1と第2油圧室OP2とは、それぞれシール部材S2により互いに作動油が漏れないようにシールされている。
ここで、第1油圧室OP1および第2油圧室OP2は、実施の形態では、キャビティーC1,C2ごとにそれぞれ2つ形成されることとなる。このとき、同一キャビティーC1,C2における2つのトラニオン40では、第1油圧室OP1および第2油圧室OP2の位置がトラニオン40ごとに入れ替わっている。つまり、一方のトラニオン40の第1油圧室OP1とした油圧室が他方のトラニオン40の第2油圧室OP2となり、一方のトラニオン40の第2油圧室OP2とした油圧室が他方のトラニオン40の第1油圧室OP1となる。従って、同一キャビティーC1,C2における2つのパワーローラ30は、第1油圧室OP1の油圧により第1方向E(トラニオン40ごとに向きが反対)に移動し、第2油圧室OP2の油圧により第2方向F(トラニオン40ごとに向きが反対)に移動する。
ピン51cは、ピストン51のうち、摺動方向においてシリンダボディ52と対向する面に形成されている。実施の形態1では、ピン51cは、ピストン51のフランジ部51bの摺動方向における両側面のうち一方の側面である第2方向Fの側面に形成されている。ピン51cは、図3に示すように、フランジ部51bの第2方向Fの側面に、周方向に等間隔に複数形成されている。
シリンダボディ52は、摺動孔52aと、油圧室空間部52bと、溝52cとにより構成されている。摺動孔52aは、ピストン51のピストンベース51aが挿入可能に形成されている。油圧室空間部52bは、摺動孔52aと連通するものであり、ピストン51のフランジ部51bを収納可能に形成されている。
溝52cは、シリンダボディ52のうち、上記ピン51cと対向する面に形成されている。実施の形態1では、溝52cは、油圧室空間部52bを構成するシリンダボディ52の摺動方向における両内壁側面のうち一方の内壁側面である第1方向Eの内壁側面に形成されている。溝52cは、図4に示すように、ピン51cが挿入可能に形成されており、フランジ部51bの第1方向Eの内壁側面に、上記各ピン51cにそれぞれ対応して周方向に等間隔に複数形成されている。
ピストン用スプリング53は、ピストン押圧手段である。ピストン用スプリング53は、摺動方向においてピストン51とシリンダボディ52との間に形成される2つ空間部のうち、各ピン51cと各溝52cとが配置されている空間部と反対側の空間部に配置されている。実施の形態1では、各ピン51cと各溝52cとが形成されている第1油圧室OP1と反対側の第2油圧室OP2に配置されている。ピストン用スプリング53は、ピストン51のシリンダボディ52内における位置に拘わらず、ピストン51とシリンダボディ52との間で付勢された状態で配置されている。従って、ピストン用スプリング53は、各ピン51cと各溝52cとの相対距離を近づける方向、すなわち第2方向Fにピストン押圧力をピストン51に作用させる。ここで、実施の形態1では、傾転規制手段は、各ピン51cと、各溝52cと、ピストン用スプリング53とにより構成される。
ディスク押圧機構60は、入力ディスク10と出力ディスク20との相対距離を油圧により短くするものである。これにより、ディスク押圧機構60は、入力ディスク10および出力ディスク20にパワーローラ30を接触させ、入力ディスク10および出力ディスク20によりパワーローラ30を挟持する挟持力を発生するものである。ディスク押圧機構60は、実施の形態1では、油圧室構成部材61と前後進切換機構120側の入力ディスク10との間に形成されるディスク油圧室62を有する。従って、ディスク押圧機構60は、前後進切換機構120側の入力ディスク10と対向するように設けられ、ディスク油圧室62の油圧により前後進切換機構120側の入力ディスク10と出力ディスク20との相対距離を短くする方向、すなわち出力ディスク20側に向かって前後進切換機構120側の入力ディスク10を押圧する。
油圧制御装置70は、シリンダ機構50の油圧およびディスク押圧機構60の油圧を制御するものである。油圧制御装置70は、図示しないトランスミッションの各部に作動油を供給するものである。油圧制御装置70は、少なくともオイルタンク71と、オイルポンプ72と、第1流量制御弁73と、第2流量制御弁74と、ディスク油圧制御弁75とにより構成されている。
オイルタンク71には、トランスミッションの各部に供給する作動油が貯留されている。
オイルポンプ72は、上述のように、内燃機関100の運転、例えばクランクシャフト101の回転に連動して作動するものであり、オイルタンク71に貯留されている作動油を吸引、加圧し、吐出するものである。この加圧されて吐出された作動油は、図示しないプレッシャーレギュレータを介して、第1流量制御弁73、第2流量制御弁74、ディスク油圧制御弁75や、他の流量制御弁などに供給される。つまり、油圧制御装置70は、オイルポンプ72により加圧された作動油により、シリンダ機構50の油圧およびディスク押圧機構60の油圧を制御するものである。なお、プレッシャーレギュレータは、プレッシャーレギュレータよりも下流側における油圧が所定油圧以上となった際に、下流側にある作動油の一部をオイルタンク71に戻すものである。
第1流量制御弁73は、実施の形態1では、オイルタンク71、オイルポンプ72、第1油圧室OP1にそれぞれ接続されており、トランスミッションECU80により駆動制御される図示しないアクチュエータを制御することで、これらの接続状態を切り替え、第1油圧室OP1に作動油を供給し、第1油圧室OP1から作動油を排出するものである。第1流量制御弁73をONとする場合、トランスミッションECU80は、アクチュエータに通電し、オイルポンプ72と第1油圧室OP1とを接続し、加圧された作動油を第1油圧室OP1に供給する。第1流量制御弁73をOFFとする場合、トランスミッションECU80は、アクチュエータへの通電を停止し、オイルタンク71と第1油圧室OP1とを接続し、第1油圧室OP1から作動油をオイルタンク71に排出する。これにより、第1油圧室OP1の油圧が0低下する。ここで、トランスミッションECU80が停止した状態は、トランスミッションECU80によるアクチュエータへの通電の停止と同様であり、第1油圧室OP1の油圧が低下する。
第2流量制御弁74は、実施の形態2では、オイルタンク71、オイルポンプ72、第2油圧室OP2にそれぞれ接続されており、トランスミッションECU80により駆動制御される図示しないアクチュエータを制御することで、これらの接続状態を切り替え、第2油圧室OP2に作動油を供給し、第2油圧室OP2から作動油を排出するものである。第2流量制御弁74をONとする場合、トランスミッションECU80は、アクチュエータに通電し、オイルポンプ72と第2油圧室OP2とを接続し、加圧された作動油を第2油圧室OP2に供給する。第2流量制御弁74をOFFとする場合、トランスミッションECU80は、アクチュエータへの通電を停止し、オイルタンク71と第2油圧室OP2とを接続し、第2油圧室OP2から作動油をオイルタンク71に排出する。これにより、第2油圧室OP2の油圧が低下する。ここで、トランスミッションECU80が停止した状態は、トランスミッションECU80によるアクチュエータへの通電の停止と同様であり、第2油圧室OP2の油圧が低下する。
ディスク油圧制御弁75は、実施の形態1では、オイルタンク71、オイルポンプ72、ディスク油圧室62にそれぞれ接続されており、トランスミッションECU80により駆動制御される図示しないアクチュエータを制御することで、これらの接続状態を切り替え、ディスク油圧室62に作動油を供給し、ディスク油圧室62から作動油を排出するものである。ディスク油圧制御弁75をONとする場合、トランスミッションECU80は、アクチュエータに通電し、オイルポンプ72とディスク油圧室62とを接続し、加圧された作動油をディスク油圧室62に供給する。ディスク油圧制御弁75をOFFとする場合、トランスミッションECU80は、アクチュエータへの通電を停止し、オイルタンク71とディスク油圧室62とを接続し、ディスク油圧室62から作動油をオイルタンク71に排出する。これにより、ディスク油圧室62の油圧が低下する。ここで、トランスミッションECU80が停止した状態は、トランスミッションECU80によるアクチュエータへの通電の停止と同様であり、ディスク油圧室62の油圧が低下する。
トランスミッションECU80は、変速比制御手段である。トランスミッションECU80は、トランスミッション、特にトロイダル式無段変速機1−1の変速比を制御するものである。トランスミッションECU80は、入力ディスク10の回転方向および入力ディスク10の回転数である入力回転数を検出する図示しない入力回転数センサ、パワーローラ30のストローク量を検出する図示しないストロークセンサ、傾転角を検出する図示しない傾転角センサおよびエンジンECU170が接続されている。従って、トランスミッションECU80には、入力ディスク10の回転方向および入力回転数、パワーローラ30のストローク量および傾転角、内燃機関100の運転状態などが入力される。トランスミッションECU80は、上記入力ディスク10の回転方向および入力回転数、ストローク量、傾転角および内燃機関100の運転状態などに基づいて、油圧制御装置70により変速比を制御するものである。トランスミッションECU80は、基本的には、まず、設定された目標変速比に基づいて、目標入力回転数を設定する。トランスミッションECU80に接続されたエンジンECU170は、入力回転数が設定された目標入力回転数となるようにフィードバック制御を行う。次に、トランスミッションECU80は、検出されたパワーローラ30のストローク量および傾転角に基づいて、変速比が設定された目標変速比となるようにフィードバック制御を行う。
トランスミッションECU80は、変速比を設定した目標変速比に変更する場合、すなわち変速比の変速の場合は、入力ディスク10の回転方向に基づいて、第1流量制御弁73あるいは第2流量制御弁74をONとすることで、パワーローラ30が設定した変速比に応じた傾転角となるまで、中立位置から第1方向Eあるいは第2方向Fにトラニオン40を移動させる。例えば、入力ディスク10が正回転している状態では、第1流量制御弁73をON、第2流量制御弁74をOFFとして、第1油圧室OP1の油圧により、パワーローラ30を中立位置から第1方向Eに移動させると、入力ディスク10の回転方向およびパワーローラ30の移動方向が一致することにより、パワーローラ30に入力ディスク10の中心へ向かわせる方向の力が作用し、変速比が増加しダウンシフトが行われる。また、入力ディスク10が正回転している状態では、第1流量制御弁73をOFF、第2流量制御弁74をONとして、第2油圧室OP2の油圧により、パワーローラ30を中立位置から第2方向Fに移動させると、入力ディスク10の回転方向およびパワーローラ30の移動方向が一致しないことにより、パワーローラ30に入力ディスク10の中心から遠ざける方向の力が作用し、変速比が減少しアップシフトが行われる。また、トランスミッションECU80は、設定された変速比を固定する場合、第1流量制御弁73あるいは第2流量制御弁74をONとすることで、パワーローラ30が中立位置となるまで、第1方向Eあるいは第2方向Fにトラニオン40を移動させる。
ここで、パワーローラ30の中立位置から第2方向Fへの最大ストローク量は、シリンダ機構50のピストン51が第2方向Fへ移動した際に、上記各ピン51cが各溝52cにそれぞれ挿入されないように設定されている。つまり、トランスミッションECU80は、パワーローラ30が傾転することができる範囲で、パワーローラ30の入力ディスク10および出力ディスク20に対する相対位置の制御を行う。
次に、実施の形態1にかかるトロイダル式無段変速機1−1の動作について説明する。ここでは、車両CAの停止後、図示しないイグニションがOFFされた場合について説明する。イグニッションがOFFされると、内燃機関100が停止する。このとき、内燃機関100の運転に連動して作動するオイルポンプ72も停止する。従って、第1油圧室OP1および第2油圧室OP2には、第1流量制御弁73および第2流量制御弁74を介して作動油が供給されなくなるので、油圧が低下する。また、イグニッションがOFFされると、トランスミッションECU80およびエンジンECU170が停止する。従って、第1油圧室OP1および第2油圧室OP2から第1流量制御弁73および第2流量制御弁74を介して作動油がオイルタンク71に排出されるので、第1油圧室OP1および第2油圧室OP2の油圧が低下する。
第1油圧室OP1および第2油圧室OP2の油圧が低下すると、シリンダ機構50の油圧により各ピン51cと各溝52cとの相対距離を離す方向にピストン51に作用、すなわち第1油圧室OP1の油圧によりピストン51に作用していたピストン油圧押圧力が低下し、ピストン油圧押圧力が0となる。従って、ピストン51は、ピストン用スプリング53によりピストン51に作用するピストン押圧力により、シリンダボディ52内を第2方向Fに移動する。これにより、図5に示すように、シリンダ51の各ピン51cとシリンダボディ52の各溝52cとの相対距離が短くなり、各ピン51cが各溝52cにそれぞれ挿入される。各ピン51cが各溝52cにそれぞれ挿入されると、ピストン51の軸線X4を中心とした回転は、シリンダボディ52により規制される。従って、トラニオン40の軸線X4を中心とした回転が規制されるので、パワーローラ30の傾転が規制される。なお、図示しないイグニッションがONされると、内燃機関100が始動し、オイルポンプ72が駆動され、第1油圧室OP1および第2油圧室OP2には、第1流量制御弁73および第2流量制御弁74を介して作動油が供給されるようになる。従って、各溝52cに挿入されていた各ピン51cが各溝52cから抜け、パワーローラ30の傾転の規制が解除される。
以上のように、実施の形態1にかかるトロイダル式無段変速機1−1では、オイルポンプ72の停止により、ピストン油圧押圧力が低減することのみで、パワーローラ30の傾転を規制することができる。従って、オイルポンプ72の駆動および油圧制御装置70を電気的に制御するトランスミッションECU80による油圧制御装置70の制御を行うことなく、パワーローラ30の傾転を規制することができる。これにより、車両CAの停止時にパワーローラ30の傾転を確実に規制することができ、トロイダル式無段変速機1−1の変速比が変更されることを抑制することができ、ダウンシフトによる車両CAの発進不良を抑制することができる。また、傾転規制手段である各ピン51c、各溝52c、ピストン用スプリング53は、いずれもシリンダ機構50内に収納されているので、トロイダル式無段変速機1−1の小型化、軽量化、簡素化を図ることができる。
なお、ピストン押圧力によりピストン51が第2方向Fへ移動する際に、各ピン51cと各溝52cとがそれぞれピストン51の摺動方向において対向していない、すなわち軸線X4を中心とした回転方向にずれている場合がある。この場合は、例えばパワーローラ30に出力ディスク20が回転することで傾転力が発生し、パワーローラ30が傾転するとともに、ピストン51が軸線X4を中心に回転することで、各ピン51cと各溝52cとがそれぞれ対向し、ピストン押圧力によるピストン51の第2方向Fへの移動により、各ピン51cが各溝52cに挿入されて、パワーローラ30の傾転が規制される。
〔参考例〕
次に、参考例にかかるトロイダル式無段変速機について説明する。図6は、参考例にかかるトロイダル式無段変速機の詳細構成例を示す図である。図7は、参考例にかかるトロイダル式無段変速機の動作説明図である。参考例にかかるトロイダル式無段変速機1−2が実施の形態1にかかるトロイダル式無段変速機1−2と異なる点は、ディスク押圧機構60の油圧の低下により、ピン54を溝51dに挿入する点である。ここで、参考例にかかるトロイダル式無段変速機1−2の基本的構成は、実施の形態1にかかるトロイダル式無段変速機1−1の基本的構成と同一部分は、その説明を省略する。
シリンダ機構50は、図5に示すように、ピストン51と、シリンダボディ52と、ピン54と、ピン油圧室55とにより構成されている。
ピストン51は、溝51dが形成されている。溝51dは、ピストン51のうち、上記シリンダボディ52と対向する面に形成されている。参考例では、溝51dは、油圧室空間部52bを構成するシリンダボディ52の摺動方向における両内壁側面のうち他方の内壁側面である第1方向Eの内壁側面に形成されている。溝51dは、ピン54のピンベース54aが挿入可能に形成されており、例えばフランジ部51bの第1方向Eの内壁側面に、上記ピン54に摺動方向において対向できる位置に、周方向に等間隔に複数形成されている。つまり、ピン54のピンベース54aは、各溝51dのいずれかに挿入されることとなる。
シリンダボディ52には、後述する摺動自在に支持されるピン54が各溝51dと摺動方向において対向できる位置にピン用空間部52dが形成されている。ピン用空間部52dは、第2方向F側の端部が油圧室空間部52b、すなわち第2油圧室OP2に開口し、第1方向E側の端部が閉塞して形成されている。
ピン54は、各溝51dのいずれかに挿入されるものであり、上記ピン用空間部52dにシール部材S3を介して摺動自在に支持されている。ピン54は、ピンベース54aとフランジ部54bとにより構成されている。ピンベース54aは、円柱形状であり、摺動方向のうち一方の端部、すなわち第2方向Fの端部が上記各溝51dのいずれかに挿入される。フランジ部54bは、ピン用空間部52dにピン油圧室55を形成するものである。フランジ部54bは、円板形状であり、ピンベース54aの摺動方向のうち他方の端部、すなわち第1方向Eの端部近傍からピンベース54aの径方向外側に突出して形成されている。ここで、フランジ部54bは、径方向外側の端部がピン用空間部52dを形成するシリンダボディ内壁面に直接あるいは図示しないシール部材を介して摺動するように形成されている。従って、ピン用空間部52dは、フランジ部54bにより第1方向E側と第2方向F側の2つの空間部に区画される。
ピン油圧室55は、油圧によりピン54と各溝51dとの相対距離を離す方向のピン油圧押圧力をピン54に作用させるものである。ピン油圧室55は、参考例では、上記フランジ部54bにより区画された2つの空間部のうち、第2方向F側の空間部である。ピン油圧室55は、連通油路55aおよび逆止弁93を介してディスク押圧機構60と接続されている。ここで、逆止弁93は、ディスク押圧機構60側からピン油圧室55への作動油の流れに対してのみ開弁するものである。従って、ピン油圧室55には、ディスク押圧機構60に供給された作動油が供給される。これにより、ピン油圧室55は、ディスク押圧機構60から作動油が供給されることで発生する油圧によりピン油圧押圧力をピン54に作用させる。なお、ピン油圧室55は、図示は省略するがオイルタンク71と接続されており、ピン油圧室55内の作動油は、オイルタンク71に排出される。
ピン用スプリング56は、ピン押圧手段である。ピン用スプリング56は、上記フランジ部54bにより区画された2つの空間部のうち、第1方向F側の空間部に配置されている。ピン用スプリング56は、ピン54のピン用空間部52dにおける位置に拘わらず、ピン54とシリンダボディ52との間で付勢された状態で配置されている。従って、ピン用スプリング56は、ピン54と各溝52cとの相対距離を近づける方向、すなわち第2方向Fのピン押圧力をピン54に作用させる。ここで、参考例では、傾転規制手段は、ピン54と、各溝52cと、ピン油圧室55と、ピン用スプリング56とにより構成される。
ここで、ディスク押圧機構60は、図示しないイグニッションがONである、すなわち内燃機関100が運転されており、オイルポンプ72が駆動している状態では、ディスク油圧室62の油圧によりディスク押圧力を常に発生させている。従って、ピン油圧室55には、ディスク押圧機構60から作動油が常に供給される。これにより、ピン54は、ピン油圧室55の油圧によりピン54に作用するピン油圧押圧力がピン押圧力に対抗して、常に第1方向E側に移動した状態となる。このとき、ピン54のピンベース54aは、ピン用空間部52dから第2油圧室OP2に突出しない。
次に、参考例にかかるトロイダル式無段変速機1−2の動作について説明する。ここでは、車両CAの停止後、図示しないイグニションがOFFされた場合について説明する。イグニッションがOFFされると、内燃機関100が停止する。このとき、内燃機関100の運転に連動して作動するオイルポンプ72も停止する。従って、ディスク油圧室62には、ディスク油圧制御弁75を介して作動油が供給されなくなるので、油圧が低下する。また、イグニッションがOFFされると、トランスミッションECU80およびエンジンECU170が停止する。従って、ディスク油圧室62からディスク油圧制御弁75を介して作動油がオイルタンク71に排出されるので、ディスク油圧室62の油圧が低下する。
ディスク油圧室62の油圧が低下すると、ピン油圧室55にディスク押圧機構60から作動油が供給されなくなる。ディスク押圧機構60から作動油が供給されなくなったピン油圧室55は、作動油がオイルタンク71に排出されることで、油圧が低下する。ピン油圧室55の油圧が低下すると、ピン油圧室55の油圧によりピン油圧押圧力が低下し、ピン油圧押圧力が0となる。従って、ピン54は、ピン用スプリング56によりピン54に作用するピン押圧力により、ピン用空間部52dを第2方向Fに移動する。これにより、図7に示すように、ピン54とピストン51の各溝51dとの相対距離が短くなり、ピン54が各溝51dのいずれかに挿入される。ピン54が溝51dに挿入されると、ピストン51の軸線X4を中心とした回転は、シリンダボディ52により規制される。従って、トラニオン40の軸線X4を中心とした回転が規制されるので、パワーローラ30の傾転が規制される。なお、図示しないイグニッションがONされると、内燃機関100が始動し、オイルポンプ72が駆動され、ディスク油圧室62には、ディスク油圧制御弁75を介して作動油が供給されるようになる。従って、ピン油圧室55にディスク押圧機構60から作動油が供給され、溝51dに挿入されていたピン54が溝51dから抜け、パワーローラ30の傾転の規制が解除される。
以上のように、参考例にかかるトロイダル式無段変速機1−2では、オイルポンプ72の停止により、ピン油圧押圧力が低減することのみで、パワーローラ30の傾転を規制することができる。従って、オイルポンプ72の駆動および油圧制御装置70を電気的に制御するトランスミッションECU80による油圧制御装置70の制御を行うことなく、パワーローラ30の傾転を規制することができる。これにより、車両CAの停止時にパワーローラ30の傾転を確実に規制することができ、トロイダル式無段変速機1−2の変速比が変更されることを抑制することができ、ダウンシフトによる車両CAの発進不良を抑制することができる。また、傾転規制手段であるピン54、各溝51d、ピン油圧室55、ピン用スプリング56は、いずれもシリンダ機構50内に収納されているので、トロイダル式無段変速機1−2の小型化、軽量化、簡素化を図ることができる。
また、参考例にかかるトロイダル式無段変速機1−2は、オイルポンプ72の停止により、ディスク押圧機構60の油圧が低下した後に、ピン油圧室55の油圧が低下するので、入力ディスク10および出力ディスク20によるパワーローラ30の挟持力が小さくなった後に、ピン押圧力が低減する。従って、例えば、入力ディスク10および出力ディスク20によるパワーローラ30の挟持力が小さくならず、車両CAの車輪160が回転することで出力ディスク20が回転し、パワーローラ30に傾転力が発生しても、傾転規制手段によりパワーローラ30の傾転を規制しない。これにより、パワーローラ30の傾転中に傾転を規制しないので、パワーローラ30の傾転を規制することで発生するショックを抑制することができる。
なお、ピン押圧力によりピン54が第2方向Fへ移動する際に、ピン54と各溝51dのいずれか1つと摺動方向において対向していない、すなわち軸線X4を中心とした回転方向にずれている場合がある。この場合は、例えばパワーローラ30に出力ディスク20が回転することで傾転力が発生し、パワーローラ30が傾転するとともに、ピストン51が軸線X4を中心に回転することで、ピン54と各溝51dのいずれか1つと対向し、ピン押圧力によるピン54の第2方向Fへの移動により、ピン54が各溝51dのいずれか1つに挿入されて、パワーローラ30の傾転が規制される。