以下、本発明につき図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、下記の実施の形態により、本発明が限定されるものではない。また、下記の実施の形態における構成要素には、当業者が容易に想定できるものあるいは実質的に同一のものが含まれる。ここで、下記の実施の形態では、本発明にかかるトロイダル式無段変速機に伝達される駆動力を発生する駆動源としてエンジントルクを発生する内燃機関(ガソリンエンジン、ディーゼルエンジン、LPGエンジンなど)を用いるが、これに限定されるものではなく、モータトルクを発生するモータなどの電動機などを用いても良い。また、駆動源として内燃機関および電動機を併用しても良い。
[実施の形態1]
図1は、本発明にかかるトロイダル式無段変速機の概略構成例を示す図である。図2は、実施の形態1にかかるトロイダル式無段変速機の詳細構成例を示す図である。図3は、制御装置のブロック図である。図4は、通常時の第1油圧室の油圧と第2油圧室の油圧との関係を示す図である。図5〜12は、実施の形態1における異常時の第1油圧室の油圧と第2油圧室の油圧との関係を示す図である。
車両(以下、単に「車両CA」と称する)には、図1に示すように、内燃機関100と車輪160との間に、トルクコンバータ110と、前後進切換機構120と、トロイダル式無段変速機1−1と、動力伝達機構130と、ディファレンシャルギヤ140とにより構成されるトランスミッションが配置されている。なお、150は、車輪160とディファレンシャルギヤ140とを連結するドライブシャフトである。また、170は、内燃機関100の運転制御を行うエンジンECUである。
内燃機関100は、駆動源であり、内燃機関100が搭載された車両CAを前進あるいは後進させるための駆動トルク、すなわち駆動力を出力するものである。また、内燃機関100は、エンジンECU170と接続されており、エンジンECU170により運転制御されることで、出力する駆動力が制御される。内燃機関100からの駆動力は、クランクシャフト101を介してトルクコンバータ110に伝達される。
トルクコンバータ110は、発進機構であり、流体伝達装置である。トルクコンバータ110は、駆動源である内燃機関100からの駆動力を前後進切換機構120を介してトロイダル式無段変速機1−1に伝達するものである。トルクコンバータ110は、ポンプ111と、タービン112と、ロックアップクラッチ113とにより構成されている。トルクコンバータ110は、ポンプ111とタービン112との間に介在する作動流体である作動油を介して、クランクシャフト101を介してポンプ111に伝達された駆動力を前後進切換機構120に連結されたタービン112に伝達するものである。また、トルクコンバータ110は、タービン112に連結されたロックアップクラッチ113をポンプ111に係合することで、作動油を介さずに、ポンプ111に伝達された駆動力を直接タービン112に伝達するものでもある。なお、トルクコンバータ110と前後進切換機構120との間には、油圧制御装置60に加圧された作動油を供給するオイルポンプ62(図1では、図示省略)が設けられている。オイルポンプ62は、内燃機関100からの駆動トルクによりトルクコンバータ110が回転することで、駆動するものである。
前後進切換機構120は、トルクコンバータ110を介して伝達された内燃機関100からの駆動力をトロイダル式無段変速機1−1の入力ディスク10に伝達するものである。前後切換換機構120は、例えば遊星歯車機構であり、内燃機関100からの駆動力を直接あるいは反転して、駆動力入力軸11を介して、入力ディスク10に伝達するものである。つまり、入力ディスク10には、入力ディスク10を正回転させる方向に作用する正回転駆動力として、あるいは入力ディスク10を逆回転させる方向に作用する逆回転駆動力として伝達される。ここで、前後進切換機構120による駆動力の伝達方向の切換制御は、油圧制御装置60から供給される作動油により行われる。従って、前後進切換機構120の切換制御は、トランスミッションECU70により行われる。
実施の形態1にかかるトロイダル式無段変速機1−1は、図1および図2に示すように、入力ディスク10と、出力ディスク20と、パワーローラ30と、トラニオン40と、油圧サーボ機構50と、油圧制御装置60と、トランスミッションECU70とにより構成されている。ここで、トロイダル式無段変速機1−1は、実施の形態1では、対向する1対の入力ディスク10と出力ディスク20との間に構成されるキャビティーを2つ備え、各キャビティーC1,C2に、2つのパワーローラ30がそれぞれ配置された構造である。つまり、トロイダル式無段変速機1−1は、2つの入力ディスク10と、1つの出力ディスク20と、4つのパワーローラ30と、4つのトラニオン40を備える。
なお、201は、傾転角センサであり、パワーローラ30の傾転角θを検出するものであり、トランスミッションECU70に接続されている。また、202は、パワーローラ30の中立位置からのストローク量であるストローク量Xを検出するストロークセンサであり、トランスミッションECU70に接続されている。また、傾転角センサ201、ストロークセンサ202は、それぞれ傾転角θ、ストローク量Xに影響を与える物理量を検出し、検出した物理量から、傾転角θ、ストローク量Xを推定することで、これらを検出しても良い。
各入力ディスク10は、前後進切換機構120の出力軸である駆動力入力軸11と連結されている。つまり、各入力ディスク10には、内燃機関100の駆動力として伝達される。各入力ディスク10は、駆動力入力軸11により回転自在に支持されている。従って、各入力ディスク10は、駆動力入力軸11の軸線X1を中心として回転可能(図2に示す矢印A)である。ここで、前後進切換機構120により各入力ディスク10には、回転方向Aのうち正回転方向の駆動力である正回転駆動力あるいは逆回転方向の駆動力である逆回転駆動力が伝達される。各入力ディスク10は、円板形状であり、出力ディスク20を挟んで軸方向において対向して配置されている。各入力ディスク10の出力ディスク20と対向する面には、各キャビティーC1,C2の各パワーローラ30にそれぞれ接触する接触面12が形成されている。
出力ディスク20は、動力伝達機構130と連結されている。出力ディスク20は、パワーローラ30を介して入力ディスク10に伝達された内燃機関100からの駆動力が伝達される。従って、出力ディスク20は、動力伝達機構130、ディファレンシャルギヤ140、ドライブシャフト150を介して車輪160に内燃機関100からの駆動力を伝達するものである。また、出力ディスク20には、動力伝達機構130、ディファレンシャルギヤ140、ドライブシャフト150を介して車輪160からの被駆動力が伝達される。つまり、被駆動力は、パワーローラ30を介して入力ディスク10に伝達される。出力ディスク20は、円板形状であり、駆動力入力軸11と同軸上に駆動力入力軸11に対して回転自在に支持され、各入力ディスク10の間に配置されている。従って、出力ディスク20は、駆動力入力軸11の軸線X1を中心として回転可能(図2に示す矢印A)である。出力ディスク20の各入力ディスク10と対向する面、すなわち出力ディスク20の軸方向において対向する面には、各キャビティーC1,C2の各パワーローラ30にそれぞれ接触する接触面21が形成されている。
パワーローラ30は、油圧制御装置60のディスク押圧機構65により各入力ディスク10と出力ディスク20との間で挟持される。パワーローラ30は、各入力ディスク10および出力ディスク20に接触し、転動することで、各入力ディスク10から出力ディスク20に駆動力を、あるいは出力ディスク20から各入力ディスク10に被駆動力を伝達するものである。パワーローラ30は、トロイダル式無段変速機1−1に供給されるトラクションオイルによりパワーローラ30と入力ディスク10の接触面12および出力ディスク20の接触面21との間に形成される油膜のせん断力を用いて駆動力あるいは被駆動力を伝達するものである。パワーローラ30は、パワーローラ本体31と、外輪32とにより構成されている。なお、パワーローラ30は、トラニオン40の後述する本体部41に形成された空間部41aに配置されている。なお、ディスク押圧機構65は、油圧により各入力ディスク10を出力ディスク20に向かって押圧するものである。
パワーローラ本体31は、外周面に入力ディスク10および出力ディスク20が接触するものである。パワーローラ本体31は、外輪32に形成された図示しない回転軸に対して回転自在に支持されている。また、パワーローラ30は、外輪32のパワーローラ30と対向する面に対してスラストベアリングSBを介して回転自在に支持されている。従って、パワーローラ30は、図示しない回転軸の軸線X2を中心として回転可能(図2に示す矢印B)である。
外輪32は、図示しない回転軸および偏心軸が形成されている。偏心軸は、軸線X3が回転軸の軸線X2に対してずれた位置となるように形成されている。偏心軸は、トラニオン40に対して回転自在に支持されている。従って、外輪32は、偏心軸の軸線X3を中心として回転可能(図2に示す矢印C)である。つまり、パワーローラ30は、トラニオン40に対して、軸線X2および軸線X3を中心として回転可能となる。これにより、パワーローラ30は、公転可能でかつ自転可能となる。
トラニオン40は、入力ディスク10および出力ディスク20に対してパワーローラ30を支持するものである。トラニオン40は、軸線X2および軸線X3が入力ディスク10および出力ディスク20の軸線X1と垂直な平面と平行となるように配置される。ここで、各キャビティーC1,C2にそれぞれ2つのパワーローラ30が配置される場合は、入力ディスク10および出力ディスク20を挟んで、2つのパワーローラ30が向かい合うように、各パワーローラ30をそれぞれ支持する2つのトラニオン40が対向して配置されている。つまり、各キャビティーC1、C2には、それぞれ2つのトラニオン40が配置される。トラニオン40は、本体部41と、揺動軸42,43とにより構成されている。
本体部41は、パワーローラ30が配置される空間部41aが形成されている。また、本体部41は、パワーローラ30の移動方向における両端部に揺動軸42,43がそれぞれ形成されている。
揺動軸42は、本体部41の両端部のうち、パワーローラ30の移動方向のうち一方向、すなわち第1方向Eの端部から第1方向Eに向かって突出して形成されている。揺動軸42は、支持部材81に対して、ラジアルベアリングRBにより、回転自在に支持されている。従って、揺動軸42は、支持部材81に対して、軸線X4を中心に回転可能(図2に示す矢印D)である。また、揺動軸42は、支持部材81に対して、ラジアルベアリングRBにより、パワーローラ30の移動方向である第1方向Eおよび第1方向Eと反対方向である第2方向Fに移動自在に支持されている。なお、支持部材81は、トロイダル式無段変速機1−1の図示しないハウジングに対して、揺動自在に支持されており、各キャビティーC1,C2にそれぞれ配置される2つのトラニオン40の揺動軸42が両端部に回転自在およびパワーローラ30の移動方向に移動自在にそれぞれ支持されている。ここで、第1方向Eとは、後述する第1油圧室OP1の油圧Paにより、ピストン51の移動する方向、すなわちパワーローラ30がストロークする方向である。また、第2方向Fとは、後述する第2油圧室OP2の油圧Pbにより、ピストン51が移動する方向、すなわちパワーローラ30がストロークする方向である。
揺動軸43は、本体部41の両端部のうち、パワーローラ30の移動方向のうち他方向、すなわち第2方向Fの端部から第2方向Fに向かって突出して形成されている。揺動軸43は、揺動軸42と同一軸線X4上に形成されている。揺動軸43は、支持部材82に対して、ラジアルベアリングRBにより回転自在に支持されている。従って、揺動軸43は、支持部材82に対して、軸線X4を中心に回転可能(図2に示す矢印D)である。また、揺動軸43は、支持部材82に対して、ラジアルベアリングRBにより、第1方向Eおよび第2方向Fに移動自在に支持されている。なお、支持部材82は、トロイダル式無段変速機1−1の図示しないハウジングに対して、揺動自在に支持されており、各キャビティーC1,C2にそれぞれ配置される2つのトラニオン40の揺動軸43が両端部に回転自在およびパワーローラ30の移動方向に移動自在に支持されている。
以上の構成により、トラニオン40に回転自在に支持されたパワーローラ30は、接触した入力ディスク10および出力ディスク20に対して回転可能であり、入力ディスク10および出力ディスク20に対して第1方向Eおよび第2方向Fに移動可能であり、入力ディスク10および出力ディスク20に対して軸線X4を中心として揺動、すなわち傾転可能に支持されている。ここで、パワーローラ30の入力ディスク10および出力ディスク20に対する相対位置は、傾転角θおよびストローク量Xにより決定される。傾転角θは、パワーローラ30の回転中心である軸線X2が入力ディスク10および出力ディスク20の回転中心である軸線X1と直交する基準位置を0として基準位置から入力ディスク10および出力ディスク20に対する傾斜角度である。ストローク量Xは、パワーローラ30の回転中心である軸線X2が入力ディスク10および出力ディスク20の回転中心である軸線X1と一致する中立位置を0として中立位置から軸線X4と平行な方向である第1方向Eあるいは第2方向Fへの移動量である。
油圧サーボ機構50は、作動油が供給される2つの油圧室である第1油圧室OP1と第2油圧室OP2との圧力差によりパワーローラ30を移動させるものである。実施の形態1では、油圧サーボ機構50は、油圧制御装置60の後述する第1変速制御弁63あるいは第2変速制御弁64により供給された第1油圧室OP1内の作動油の圧力である油圧Paと第2油圧室OP2に供給された作動油の圧力である油圧Pbとの差圧Pb−Paにより、パワーローラ30を中立位置から第1方向Eあるいは第2方向Fにストロークさせるものである。油圧サーボ機構50は、回転する各入力ディスク10あるいは回転する出力ディスク20に接触する状態のパワーローラ30を中立位置からストロークさせることで、パワーローラ30に傾転力を作用させ、傾転させる。油圧サーボ機構50は、ピストン51と、シリンダボディ52とにより構成されている。
ピストン51は、油圧制御装置60から供給される作動油の圧力、すなわち第1油圧室OP1の油圧Paおよび第2油圧室OP2の油圧Pbを受けることで、トラニオン40を軸線X4と平行、すなわち第1方向Eあるいは第2方向Fのいずれかに移動させるものである。ピストン51は、ピストンベース51aと、フランジ部51bとにより構成されている。
ピストンベース51aは、揺動軸42に固定されている。ピストンベース51aは、円筒形状であり、揺動軸42の先端部に挿入され固定されている。つまり、ピストン51は、トラニオン40と一体回転する。これにより、ピストン51は、パワーローラ30と連結されていることとなる。従って、ピストン51は、パワーローラ30の傾転に伴い、揺動軸42,43の軸線X4を中心として回転する。また、ピストンベース51aは、シリンダボディ52の摺動孔52aにシール部材S1を介して摺動自在に支持されている。従って、ピストン51は、シリンダボディ52内に摺動自在に支持されている。なお、シリンダボディ52は、トロイダル式無段変速機1−1の図示しないハウジングなどに固定されている。
フランジ部51bは、シリンダボディ52の油圧室空間部52bを2つの油圧室である第1油圧室OP1(図2に示す上側)と第2油圧室OP2(図2に示す下側)に区画するものである。フランジ部51bは、円板形状であり、ピストンベース51aの略中央部からピストンベース51aの径方向外側に突出して形成されている。ここで、フランジ部51bの径方向外側の端部には、シール部材S2が設けられている。従って、フランジ部51bにより区画された第1油圧室OP1と第2油圧室OP2とは、それぞれシール部材S2により互いに作動油が漏れないようにシールされている。
ここで、第1油圧室OP1および第2油圧室OP2は、実施の形態1では、キャビティーC1,C2ごとにそれぞれ2つ形成されることとなる。このとき、同一キャビティーC1,C2における2つのトラニオン40では、第1油圧室OP1および第2油圧室OP2の位置がトラニオン40ごとに入れ替わっている。つまり、一方のトラニオン40の第1油圧室OP1とした油圧室が他方のトラニオン40の第2油圧室OP2となり、一方のトラニオン40の第2油圧室OP2とした油圧室が他方のトラニオン40の第1油圧室OP1となる。従って、同一キャビティーC1,C2における2つのパワーローラ30は、第1油圧室OP1の油圧により第1方向E(同一キャビティーC1,C2のトラニオン40ごとに向きが反対)に移動し、第2油圧室OP2の油圧により第2方向F(同一キャビティーC1,C2のトラニオン40ごとに向きが反対)に移動する。
油圧制御装置60は、第1油圧室OP1の油圧Paおよび第2油圧室OP2の油圧Pbを制御するものである。また、油圧制御装置60は、図示しないトランスミッションの各部に作動油を供給するものでもある。油圧制御装置60は、オイルタンク61と、オイルポンプ62と、第1変速制御弁63と、第2変速制御弁64と、排出ポート切替弁SW1と、供給ポート切替弁SW2とにより構成されている。
オイルタンク61は、作動油貯留手段であり、作動油、すなわちトランスミッションの各部に供給する作動油を貯留する。
オイルポンプ62は、油圧源であり、オイルタンク61に貯留されている作動油を加圧するものである。オイルポンプ62は、上述のように、内燃機関100の運転、例えばクランクシャフト101の回転に連動して作動するものであり、オイルタンク61に貯留されている作動油を吸引、加圧し、吐出するものである。この加圧されて吐出された作動油は、図示しないプレッシャーレギュレータを介して、第3油路L3に接続されている。ここで、第3油路L3は、第2変速制御弁64の後述する供給ポート64cと、排出ポート切替弁SW1と、供給ポート切替弁SW2、他の流量制御弁などに接続されている。従って、加圧されて吐出された作動油は、第2変速制御弁64と、排出ポート切替弁SW1がON時に第7油路L7を介して排出ポート64dと、供給ポート切替弁SW2がOFF時に第8油路L8を介して第1変速制御弁63とに供給される。なお、プレッシャーレギュレータは、プレッシャーレギュレータよりも下流側における油圧が所定油圧以上となった際に、下流側にある作動油の一部をオイルタンク61に戻すものである。
第1変速制御弁63は、第1油圧室OP1に作動油を供給し、第2油圧室OP2から作動油を排出するものである。第1変速制御弁63(以下、単に「CCB1」と称する場合もある)は、油路構成本体部63aと、スプール弁子63bと、供給ポート63cと、排出ポート63dと、第1接続ポート63eと、第2接続ポート63fと、第1弾性部材63gと、第1ソレノイド63hとにより構成されている。
油路構成本体部63aは、油路を構成するものであり、構成された油路と連通する供給ポート63c、排出ポート63d、第1接続ポート63eおよび第2接続ポート63fが形成されるものである。また、油路構成本体部63aに構成された油路は、スプール弁子63bが移動可能に挿入されている。
スプール弁子63bは、各ポートの連通状態を切り替えるものである。スプール弁子63bは、供給ポート63cと第1接続ポート63eとの連通状態を連通あるいは略遮断とに切り替えるものである。また、スプール弁子63bは、排出ポート63dと第2接続ポート63fとの連通状態を連通あるいは略遮断とに切り替えるものである。
供給ポート63cは、第8油路L8を介して、供給ポート切替弁SW2と接続されている。つまり、供給ポート63cは、供給ポート切替弁SW2OFF時に第3油路L3を介してオイルポンプ62と接続されている。
排出ポート63dは、第6油路L6を介して、オイルタンク61と接続されている。
第1接続ポート63eは、第1通路L1を介して第1油圧室OP1と接続されている。また、第1接続ポート63eは、第1油路L1を介して、第2変速制御弁64の後述する第1接続ポート64fと接続されている。なお、第1通路L1は、同一キャビティー(例えば、キャビティーC1)や、他のキャビティー(例えば、キャビティーC2)に配置される他のトラニオン40に形成された他の第1油圧室とも接続されている。
第2接続ポート63fは、第2通路L2を介して第2油圧室OP2と接続されている。なお、第2接続ポート63fは、第2通路L2を介して、第2変速制御弁64の後述する第2接続ポート64eと接続されている。なお、第2通路L2は、同一キャビティー(例えば、キャビティーC1)や、他のキャビティー(例えば、キャビティーC2)に配置される他のトラニオン40に形成された他の第2油圧室とも接続されている。
第1弾性部材63gは、スプール弁子63bをOFF側(図2に示す左側)に移動させる付勢力を発生するものである。第1弾性部材63gは、スプール弁子63bの両端部のうち、ON側(図2に示す右側)端部と、油路構成本体部63aのON側油路端部との間に付勢された状態で配置されている。従って、スプール弁子63bには、第1弾性部材63gにより、スプール弁子63bをOFF側に移動させる付勢力が作用する。
第1ソレノイド63hは、スプール弁子63bをON側に移動させる押圧力を発生する。第1ソレノイド63hは、供給される駆動電流Idに応じて発生する電磁力により、スプール弁子63bと同軸上に配置された駆動軸63iをON側に移動させるものである。第1ソレノイド63hは、油路構成本体部63aのOFF側油路端部に設けられている。第1ソレノイド63hは、トランスミッションECU70と接続されており、トランスミッションECU70により駆動電流Idが制御される。従って、スプール弁子63bには、第1ソレノイド63hにより、スプール弁子63bをON側に移動させる押圧力が供給される駆動電流Idに応じて作用する。
ここで、第1変速制御弁63の開閉について説明する。トランスミッションECU70が第1ソレノイド63hに供給する駆動電流Idを0Aとすると、スプール弁子63bには、第1ソレノイド63hにより押圧力が発生しないため、第1弾性部材63gにより発生する付勢力のみが作用する。従って、スプール弁子63bは、OFF側に移動し、OFF位置(図2に示すOFFの部分)に位置する。このとき、供給ポート63cと第1接続ポート63eとの連通状態が略遮断となり、排出ポート63dと第2接続ポート63fとの連通状態が略遮断となる。これにより、第1変速制御弁63がOFF状態(図2に示すOFFの部分)、すなわち閉弁状態となり、第1油圧室OP1にオイルポンプ62により加圧された作動油がほぼ供給されず、第2油圧室OP2から作動油がほぼ排出されなくなる。
一方、トランスミッションECU70が第1ソレノイド63hに駆動電流Idを供給すると、スプール弁子63bには、第1ソレノイド63hにより発生する押圧力と、第1弾性部材63gにより発生する付勢力とが作用する。駆動電流Idを増加することで、第1ソレノイド63hにより発生する押圧力が第1弾性部材63gにより発生する付勢力よりも大きくなると、スプール弁子63bは、ON側に移動し、OFF位置以外であるON位置(最大ON位置は、図2に示すONの部分)に位置する。このとき、供給ポート63cと第1接続ポート63eとの連通状態が略遮断から連通となり、排出ポート63dと第2接続ポート63fと連通状態が略遮断から連通となる。これにより、第1変速制御弁63がON状態(図2に示すONの部分)、すなわち開弁状態となり、第1油圧室OP1にオイルポンプ62により加圧された作動油が供給され、第2油圧室OP2から作動油が排出される。これにより、図4に示すように、第1油圧室OP1の油圧Paが第1油圧室OP1にオイルポンプ62の加圧された作動油が供給されることで、Psまで上昇することができ、第2油圧室OP2の油圧Pbが第2油圧室OP2からオイルタンク61に作動油が排出されることで、0(ほぼ0も含む)まで減少する。従って、トランスミッションECU70により第1変速制御弁63をON状態とすること(後述する第2変速制御弁64はOFF状態)で、第1油圧室OP1の油圧Paが上昇し、また第2油圧室OP2の油圧Pbが減少することで、差圧Pb−Paがマイナスの値、すなわち第1油圧室OP1の油圧Paが第2油圧室OP2の油圧Pbよりも大きくなり、図2に示すように、ピストン51が第1方向Eに押圧され、トラニオン40に回転自在に支持されたパワーローラ30が第1方向Eに移動する。このとき、スプール弁子63bのON側への移動量により、パワーローラ30の第1方向Eへの移動速度が調整される。また、トランスミッションECU70は、トロイダル式無段変速機1−1の目標変速比γoや変速速度などに基づいて駆動電流Idを設定する。
第2変速制御弁64は、第2油圧室OP2に作動油を供給し、第1油圧室OP1から作動油を排出するものである。第2変速制御弁64(以下、単に「CCB2」と称する場合もある)は、油路構成本体部64aと、スプール弁子64bと、供給ポート64cと、排出ポート64dと、第2接続ポート64eと、第1接続ポート64fと、第2弾性部材64gと、第2ソレノイド64hとにより構成されている。
油路構成本体部64aは、油路を構成するものであり、構成された油路と連通する供給ポート64c、排出ポート64d、第2接続ポート64eおよび第1接続ポート64fが形成されるものである。また、油路構成本体部64aに構成された油路は、スプール弁子64bが移動可能に挿入されている。
スプール弁子64bは、各ポートの連通状態を切り替えるものである。スプール弁子64bは、供給ポート64cと第2接続ポート64eとの連通状態を変更するものである。また、スプール弁子64bは、排出ポート64dと第1接続ポート64fとの連通状態を変更するものである。
供給ポート64cは、第3油路L3を介して、オイルポンプ62と接続されている。
排出ポート64dは、第7油路L7を介して、排出ポート切替弁SW1と接続されている。つまり、排出ポート64dは、排出ポート切替弁SW1OFF時に第4油路L4を介して、オイルタンク61と接続されている。従って、排出ポート64dからは、排出ポート切替弁SW1OFF時に、オイルタンク61に作動油が排出される。
第2接続ポート64eは、第2通路L2を介して第2油圧室OP2と接続されている。
第1接続ポート64fは、第1通路L1を介して第1油圧室OP1と接続されている。
第2弾性部材64gは、スプール弁子64bをOFF側(図2に示す左側)に移動させる付勢力を発生するものである。第2弾性部材64gは、スプール弁子64bの両端部のうち、ON側(図2に示す右側)端部と、油路構成本体部64aのON側油路端部との間に付勢された状態で配置されている。従って、スプール弁子64bには、第2弾性部材64gにより、スプール弁子64bをOFF側に移動させる付勢力が作用する。
第2ソレノイド64hは、スプール弁子64bをON側に移動させる押圧力を発生する。第2ソレノイド64hは、供給される駆動電流Iuに応じて発生する電磁力により、スプール弁子64bと同軸上に配置された駆動軸64iをON側に移動させるものである。第2ソレノイド64hは、油路構成本体部64aのOFF側油路端部に設けられている。第2ソレノイド64hは、トランスミッションECU70と接続されており、トランスミッションECU70により駆動電流Iuが制御される。従って、スプール弁子64bには、第2ソレノイド64hにより、スプール弁子64bをON側に移動させる押圧力が供給される駆動電流Iuに応じて作用する。
ここで、第2変速制御弁64の開閉について説明する。トランスミッションECU70が第2ソレノイド64hに供給する駆動電流Iuを0Aとすると、スプール弁子64bには、第2ソレノイド64hにより押圧力が発生しないため、第2弾性部材64gにより発生する付勢力のみが作用する。従って、スプール弁子64bは、OFF側に移動し、OFF位置(図2に示すOFFの部分)に位置する。このとき、供給ポート64cと第2接続ポート64eとの連通状態が略遮断となり、排出ポート64dと第1接続ポート64fとの連通状態が略遮断となる。これにより、第2変速制御弁64がOFF状態(図2に示すOFFの部分)すなわち閉弁状態となり、第2油圧室OP2にオイルポンプ62により加圧された作動油がほぼ供給されず、第1油圧室OP1から作動油がほぼ排出されなくなる。
一方、トランスミッションECU70が第2ソレノイド64hに駆動電流Iuを供給すると、スプール弁子64bには、第2ソレノイド64hにより発生する押圧力と、第2弾性部材64gにより発生する付勢力とが作用する。駆動電流Iuを増加することで、第2ソレノイド64hにより発生する押圧力が第2弾性部材64gにより発生する付勢力よりも大きくなると、スプール弁子64bは、ON側に移動し、OFF位置以外であるON位置(最大ON位置は、図2に示すONの部分)に位置する。このとき、供給ポート64cと第2接続ポート64eとの連通状態が略遮断から連通となり、排出ポート64dと第1接続ポート64fと連通状態が略遮断から連通となる。これにより、第2変速制御弁64がON状態(図2に示すONの部分)すなわち開弁状態となり、第2油圧室OP2にオイルポンプ62により加圧された作動油が供給され、第1油圧室OP1から作動油が排出される。これにより、図4に示すように、第2油圧室OP2の油圧Pbが第2油圧室OP2にオイルポンプ62の加圧された作動油が供給されることで、Psまで上昇することができ、第1油圧室OP1の油圧Paが第1油圧室OP1からオイルタンク61に作動油が排出されることで、0(ほぼ0も含む)まで減少する。従って、トランスミッションECU70により第2変速制御弁64をON状態とすること(上述した第1変速制御弁63はOFF状態)で、第2油圧室OP2の油圧Pbが上昇し、第1油圧室OP1の油圧Paが減少することで、差圧Pb−Paがプラスの値、すなわち第2油圧室OP2の油圧Pbが第1油圧室OP1の油圧Paよりも大きくなり、図2に示すように、ピストン51が第2方向Fに押圧され、トラニオン40に回転自在に支持されたパワーローラ30が第2方向Fに移動する。このとき、スプール弁子64bのON側への移動量により、パワーローラ30の第2方向Fへの移動速度が調整される。また、トランスミッションECU70は、トロイダル式無段変速機1−1の目標変速比γoや変速速度などに基づいて駆動電流Iuを設定する。
排出ポート切替弁SW1は、変更手段であり、油圧源であるオイルポンプ62と第2変速制御弁64との接続関係を変更するものである。排出ポート切替弁SW1は、第2変速制御弁64の排出ポート64dをオイルタンク61との接続からオイルポンプ62との接続に切り替えるものである。排出ポート切替弁SW1は、第3油路L3と、第4油路L4と、第7油路L7とに接続されている。つまり、排出ポート切替弁SW1は、オイルタンク61と、オイルポンプ62と、排出ポート64dとに接続されている。排出ポート切替弁SW1は、トランスミッションECU70と接続されており、トランスミッションECU70によりON/OFF制御が行われる。ここで、排出ポート切替弁SW1は、トランスミッションECU70によりON制御が行われ、ON状態となると、第3油路L3と第7油路L7とを接続し、オイルポンプ62と排出ポート64dとを連通させる。また、排出ポート切替弁SW1は、トランスミッションECU70によりOFF制御が行われ、OFF状態となると、第4油路L4と第7油路L7とを接続し、オイルタンク61と排出ポート64dとを連通させる。なお、トランスミッションECU70は、第1変速制御弁63および第2変速制御弁64に異常が発生していない場合である通常時は、OFF制御を行い、排出ポート切替弁SW1がOFF状態で維持される。
供給ポート切替弁SW2は、変更手段であり、油圧源であるオイルポンプ62と第1変速制御弁63との接続関係を変更するものである。供給ポート切替弁SW2は、第1変速制御弁63の供給ポート63cをオイルポンプ62との接続からオイルタンク61との接続に切り替えるものである。供給ポート切替弁SW2は、第3油路L3と、第5油路L5と、第8油路L8とに接続されている。つまり、供給ポート切替弁SW2は、オイルタンク61と、オイルポンプ62と、供給ポート63cとに接続されている。供給ポート切替弁SW2は、トランスミッションECU70と接続されており、トランスミッションECU70によりON/OFF制御が行われる。ここで、供給ポート切替弁SW2は、トランスミッションECU70によりON制御が行われ、ON状態となると、第5油路L5と第8油路L8とを接続し、供給ポート63cとオイルタンク61とを連通させる。また、供給ポート切替弁SW2は、トランスミッションECU70によりOFF制御が行われ、OFF状態となると、第3油路L3と第8油路L8とを接続し、オイルポンプ62と供給ポート63cとを連通させる。なお、トランスミッションECU70は、第1変速制御弁63および第2変速制御弁64に異常が発生していない場合である通常時は、OFF制御を行い、供給ポート切替弁SW2がOFF状態で維持される。
ここで、第1変速制御弁63および第2変速制御弁64がOFF状態においては、供給ポート63cと第1接続ポート63eとの連通状態、排出ポート63dと第2接続ポート63fとの連通状態、供給ポート64cと第2接続ポート64eとの連通状態、排出ポート64dと第1接続ポート64fとの連通状態が完全に遮断されていないため、第1油圧室OP1の油圧Paが第1所定圧、第2油圧室OP2の油圧Pbが第2所定圧を維持する。第1所定圧は、第1変速制御弁63および第2変速制御弁64がOFF状態において、第1変速制御弁63により第1油圧室OP1に若干供給される作動油の流量と第2変速制御弁64により第1油圧室OP1から若干排出される作動油の流量との関係で決定される。第2所定圧は、第1変速制御弁63および第2変速制御弁64がOFF状態において、第2変速制御弁64により第2油圧室OP2に若干供給される作動油の流量と第1変速制御弁63により第2油圧室OP2から若干排出される作動油の流量との関係で決定される。なお、第1所定圧は、第2所定圧よりも低く設定されている。従って、第1変速制御弁63および第2変速制御弁64がOFF状態においては、差圧Pb−Paがプラスの値となる。
トランスミッションECU70は、トロイダル式無段変速機1−1の変速制御装置である。トランスミッションECU70は、トランスミッション、特にトロイダル式無段変速機1−1の変速比γの変速制御を行うものである。トランスミッションECU70は、第1変速制御弁63に供給される駆動電流Idを制御することで第1変速制御弁63の開閉を行うと共に、第2変速制御弁64に供給される駆動電流Iuを制御することで第2変速制御弁64の開閉を行うものである。また、トランスミッションECU70は、排出ポート切替弁SW1のON/OFF制御を行うことでSW1によるオイルポンプ62と第2変速制御弁64との接続関係あるいは供給ポート切替弁SW2によるオイルポンプ62と第1変速制御弁63との接続関係の少なくともいずれか一方の変更を行うものである。トランスミッションECU70は、設定されたパワーローラ30の目標傾転角θoと検出された傾転角θとに基づいて設定された目標制御量である目標ストローク量Xoに基づいて変速比γをフィードバック制御するものである。トランスミッションECU70は、実施の形態1では、目標傾転角θoと傾転角θとの傾転角偏差Δθが小さくなるように目標ストローク量Xoを設定し、設定された目標ストローク量Xoに基づいてフィードバック制御、特にカスケード制御を行うものである。トランスミッションECU70は、図3に示すように、目標傾転角設定部71と、加減算部72と、目標ストローク量設定部73と、加減算部74と、弁制御量設定部75とにより構成されている。なお、トランスミッションECU70は、第1変速制御弁63あるいは第2変速制御弁64の少なくともいずれか一方の異常を検出するものである。トランスミッションECU70は、例えば目標傾転角θo、傾転角センサ201により検出された傾転角θ、目標ストローク量Xo、ストロークセンサ202により検出されたストローク量Xoなどに基づいて第1変速制御弁63あるいは第2変速制御弁64の少なくともいずれか一方の異常を検出する。ここで、第1変速制御弁63および第2変速制御弁64の異常には、OFF状態のままとなる断線と、ON状態のままとなるショートがある。
目標傾転角設定部71は、パワーローラ30の目標傾転角θoを設定するものである。目標傾転角設定部71は、実施の形態1では、例えば、車両CAの走行状態や、運転者の加減速操作に基づいて設定された目標変速比γoに基づいて目標傾転角θoを設定するものである。目標傾転角設定部71により設定された目標傾転角θoは、加減算部72に出力される。
加減算部72は、目標傾転角設定部71により設定された目標傾転角θoと、傾転角センサ201により検出されトランスミッションECU70に出力された実傾転角θとの実傾転角偏差Δθを算出する(Δθ=θo−θ)。
目標ストローク量設定部73は、パワーローラ30の目標傾転角θoと傾転角θとの傾転角偏差Δθが小さくなるように、パワーローラ30を中立位置からストロークさせる際の目標となる目標ストローク量Xoを設定するものである。目標ストローク量設定部73は、加減算部72により算出された傾転角偏差Δθと、傾転角ゲインKθとに基づいて目標基準実ストローク量BXoを設定する(BXo=Δθ×Kθ)。なお、目標ストローク量設定部73により設定された目標ストローク量Xoは、加減算部74に出力される。
ここで、傾転角ゲインKθおよび後述するストロークゲインKxは、実施の形態1では、入力回転数Ninと、傾転角θと、ディスク押圧機構65による押圧力Frとに基づいて設定される。傾転角ゲインKθおよびストロークゲインKxは、例えば図示しない入力回転数センサにより検出されトランスミッションECU70に出力された入力回転数Ninと、傾転角センサ201により検出され、トランスミッションECU70に出力された傾転角θと、トランスミッションECU70により設定された押圧力Frと、傾転角ゲイン、ストロークゲイン設定マップとに基づいて設定される。実傾転角ゲイン、ストロークゲイン設定マップは、図示は省略するが入力回転数Ninと、傾転角θと、押圧力Frとの関係から傾転角ゲインKθおよびストロークゲインKxを設定するものである。なお、傾転角ゲイン、ストロークゲイン設定マップは、既に公知技術であるため、傾転角ゲイン、ストロークゲイン設定マップの設定方法などの詳細な説明は省略する。
加減算部74は、図3に示すように、目標ストローク量設定部73により設定された目標ストローク量Xoと、ストロークセンサ202により検出されトランスミッションECU70に出力されたストローク量Xとのストローク偏差ΔXを算出する(ΔX=Xo−X)。
弁制御量設定部75は、外乱を抑制して弁制御量Duを設定するものである。弁制御量設定部75は、加減算部74により算出されたストローク偏差ΔXと、ストロークゲインKxとに基づいて弁制御量Duを設定する(Du=ΔX×Kx)。弁制御量設定部75により設定された弁制御量Duに基づいた駆動電流Idが第1変速制御弁63、あるいは駆動電流Iuが第2変速制御弁64のいずれかに供給される。
トランスミッションECU70は、変速比γを設定した目標変速比γoに変更する場合において変速比γを増加、すなわちダウンシフトする場合は、実施の形態1では、各入力ディスク10が車両CAを前進させる方向である正回転方向に回転(図2では、反時計回り)しており、排出ポート切替弁SW1および供給ポート切替弁SW2をOFF制御した状態で、第1変速制御弁63のみに駆動電流Idを供給し、第2変速制御弁64に駆動電流Iuを供給しない。従って、油圧制御装置60は、第1変速制御弁63がON状態となり、第2変速制御弁64がOFF状態となり、図4に示すように、駆動電流Idが所定値以上となると第1変速制御弁63を介して、第1油圧室OP1とオイルポンプ62との連通状態が連通となるとともに第2油圧室OP2とオイルタンク61との連通状態が連通となり、第1油圧室OP1の油圧Paが上昇するとともに第2油圧室OP2の油圧Pbが減少する。これにより、差圧Pb−Paがマイナスの値となり、油圧サーボ機構50によりパワーローラ30が第1方向Eに移動し、パワーローラ30が中立位置から第1方向Eにストロークするので、入力ディスク10の回転方向およびパワーローラ30の移動方向が一致することとなり、パワーローラ30に入力ディスク10の中心へ向かわせる方向の力が作用し、変速比γが増加してダウンシフトが行われる。また、変速比γを減少、すなわちアップシフトする場合は、各入力ディスク10が正回転方向に回転しており、排出ポート切替弁SW1および供給ポート切替弁SW2をOFF制御した状態で、第2変速制御弁64のみに駆動電流Iuを供給し、第1変速制御弁63に駆動電流Idを供給しない。従って、油圧制御装置60は、第1変速制御弁63がOFF状態となり、第2変速制御弁64がON状態となり、駆動電流Iuが所定値以上となると第2変速制御弁64を介して、第1油圧室OP1とオイルタンク61との連通状態が連通となるとともに第2油圧室OP2とオイルポンプ62との連通状態が連通となり、第1油圧室OP1の油圧Paが減少するとともに第2油圧室OP2の油圧Pbが上昇する。これにより、差圧Pb−Paがプラスの値となり、油圧サーボ機構50によりパワーローラ30が中立位置から第2方向Fに移動し、パワーローラ30が中立位置から第2方向Fにストロークするので、入力ディスク10の回転方向およびパワーローラ30の移動方向が一致しないこととなり、パワーローラ30に入力ディスク10の中心から遠ざける方向の力が作用し、変速比γが減少してアップシフトが行われる。なお、トランスミッションECU70は、変速比γを設定された目標変速比γoに固定する場合は、第1変速制御弁63に駆動電流Idあるいは第2変速制御弁64に駆動電流Iuを供給し、第1変速制御弁63あるいは第2変速制御弁64をON状態とすることで、パワーローラ30を油圧サーボ機構50により中立位置となるまで、第1方向Eあるいは第2方向Fに移動させる。
動力伝達機構130は、トロイダル式無段変速機1とディファレンシャルギヤ140との間で、駆動力あるいは被駆動力の伝達を行うものである。動力伝達機構130は、出力ディスク20とディファレンシャルギヤ140との間に配置されている。
ディファレンシャルギヤ140は、動力伝達機構130と車輪160との間で、駆動力あるいは被駆動力の伝達を行うものである。ディファレンシャルギヤ140は、動力伝達機構130と車輪160との間に配置されている。ディファレンシャルギヤ140には、ドライブシャフト150が連結されている。ドライブシャフト150には、車輪160が取り付けられている。
エンジンECU170は、内燃機関100の運転を制御するものである。つまり、エンジンECU170は、エンジントルクである駆動力を制御するものである。例えば、エンジンECU170は、図示しない車両の運転者の意志あるいは運転者の意志に拘わらず自動的に駆動力を制御する。なお、エンジンECU170は、トランスミッションECU70と電気的に接続されている。
次に、実施の形態1にかかるトロイダル式無段変速機1−1の動作について説明する。ここでは、実施の形態1にかかるトロイダル無段変速機1−1において、第1変速制御弁63あるいは第2変速制御弁64の少なくともいずれか一方の異常時における動作について説明する。
まず、第1変速制御弁63であるCCB1の断線時における動作について説明する。CCB1断線時は、図5に示すように、第1変速制御弁63をOFF状態からON状態にできない。従って、第1油圧室OP1の油圧Paは、第2変速制御弁64がOFF状態であると、第1変速制御弁63に駆動電流Idが供給できないため第1所定圧に維持される。これにより、CCB1断線時において、第2変速制御弁64がOFF状態であると、同図に示すように、差圧Pb−Paは第2所定圧と第1所定圧との差分となる。また、CCB1断線時において、第2変速制御弁64をON状態にすると、供給ポート64cと第2接続ポート64eとの連通状態が連通となり、オイルポンプ62から加圧された作動油が第2油圧室OP2に供給され、排出ポート64dと第1接続ポート64fとの連通状態が連通となり、第1油圧室OP1から作動油が排出されることとなる。従って、CCB1断線時において、第2変速制御弁64がOFF状態からON状態となると、同図に示すように、差圧Pb−Paは第2所定圧と第1所定圧との差分からPsに変化する。このことから、CCB1断線時は、正常時における差圧Pb−Paの変化(図4参照)よりも変化幅が小さいため変速制御性が悪化する。
ここで、排出ポート切替弁SW1をON制御すると、第2変速制御弁64の排出ポート64dとオイルポンプ62とが連通する。ここで、第2変速制御弁64がOFF状態であっても、排出ポート64dと第1接続ポート64fとの連通状態が完全に遮断されない。従って、排出ポート切替弁SW1のON制御時は、第2変速制御弁64のON/OFF状態にかかわらず、第2変速制御弁64を介して第1油圧室OP1に作動油が供給できる状態となる。また、CCB1断線時であっても、上述のように、供給ポート切替弁SW2のOFF制御時であれば、第1変速制御弁63を介して第1油圧室OP1に作動油が供給できる状態である。これらにより、排出ポート切替弁SW1がON制御され、供給ポート切替弁SW2がOFF制御されていれば、第1油圧室OP1が常にオイルポンプ62のみと連通する状態となり、第2変速制御弁64を介して第1油圧室OP1から作動油が排出されなくなる。従って、トランスミッションECU70は、CCB1断線時でも、排出ポート切替弁SW1のON制御(供給ポート切替弁SW2はOFF制御)を行うことにより、第1油圧室OP1の油圧PaをPsに維持することができる(同図に示す一点鎖線(SW1(ON)))。これにより、同図のX11に示すように、CCB1断線時でも、排出ポート切替弁SW1のON/OFF制御のみを行うことにより、差圧Pb−Paをプラスの値とマイナスの値との間で変化させることができる。さらに、トランスミッションECU70は、排出ポート切替弁SW1のOFF制御時に第2変速制御弁64をON状態とすることで差圧Pb−PaをPsにできるので、排出ポート切替弁SW1のON/OFF制御および第2変速制御弁64の開閉制御を行うことで、差圧Pb−Paの変化幅をさらに大きくすることができる。
次に、CCB1のショート時における動作について説明する。CCB1ショート時は、図6に示すように、第1変速制御弁63をON状態からOFF状態にできない。従って、第1油圧室OP1の油圧Paは、第2変速制御弁64がOFF状態であると、供給ポート63cと第1接続ポート63eとの連通状態が連通のまま維持され、オイルポンプ62から加圧された作動油が第1油圧室OP1に供給され続けるので、Psに維持される。また、第2油圧室OP2の油圧Pbは、第2変速制御弁64がOFF状態であると、排出ポート63dと第2接続ポート63fとの連通状態が連通のまま維持され、第2油圧室OP2から作動油がオイルタンク61に排出され続けるので、0に維持される。これにより、CCB1ショート時において、第2変速制御弁64がOFF状態であると、同図に示すように、差圧Pb−Paは−Psで一定となる。また、CCB1ショート時において、第2変速制御弁64をON状態にすると、供給ポート64cと第2接続ポート64eとの連通状態が連通となり、第1変速制御弁63により第2油圧室OP2から作動油が排出され続ける状態でオイルポンプ62から加圧された作動油が第2油圧室OP2に供給され、排出ポート64dと第1接続ポート64fとの連通状態が連通となり、第1変速制御弁63により第1油圧室OP1に作動油が供給され続ける状態で第1油圧室OP1から作動油がオイルタンク61に排出されることとなる。従って、CCB1ショート時において、第2変速制御弁64がON状態であると、同図に示すように、差圧Pb−Paは−Psから0に変化する。このことから、CCB1ショート時は、正常時における差圧Pb−Paの変化(図4参照)よりも変化幅が小さく、特に差圧Pb−Paがプラスの値とならないため変速制御性が悪化する。
ここで、供給ポート切替弁SW2をON制御すると、第1変速制御弁63の供給ポート63cとオイルタンク61とが連通する。つまり、供給ポート切替弁SW2のON制御時は、第1変速制御弁63を介して第1油圧室OP1から作動油を排出できる状態となる。また、CCB1ショート時であっても、上述のように、排出ポート切替弁SW1のOFF制御時であれば、第2変速制御弁64を介して第1油圧室OP1から作動油を排出できる状態である。これらにより、排出ポート切替弁SW1がOFF制御され、供給ポート切替弁SW2がON制御されていれば、第1油圧室OP1が常にオイルタンク61のみと連通する状態となり、第1変速制御弁63を介して第1油圧室OP1に作動油が供給されなくなる。従って、トランスミッションECU70は、CCB1ショート時でも、供給ポート切替弁SW2のON制御(排出ポート切替弁SW1はOFF制御)を行うことにより、第1油圧室OP1の油圧Paを0に維持することができる(同図に示す二点鎖線(SW2(ON)))。これにより、同図のX12に示すように、CCB1ショート時でも、第2変速制御弁64の開閉を行い、供給ポート切替弁SW2のON/OFF制御を行うことにより、差圧Pb−Paをマイナスの値(−Ps)とプラスの値との間で変化させることができる。
次に、第2変速制御弁64であるCCB2の断線時における動作について説明する。CCB2断線時は、図7に示すように、第2変速制御弁64をOFF状態からON状態にできない。従って、第2油圧室OP2の油圧Pbは、第2変速制御弁64に駆動電流Iuが供給できないため第2所定圧に維持される。これにより、CCB2断線時において、第1変速制御弁63がOFF状態であると、同図に示すように、差圧Pb−Paは第2所定圧と第1所定圧との差分となる。また、CCB2断線時において、第1変速制御弁63をON状態にすると、供給ポート63cと第1接続ポート63eとの連通状態が連通となり、オイルポンプ62から加圧された作動油が第1油圧室OP1に供給され、排出ポート63dと第2接続ポート63fとの連通状態が連通となり、第2油圧室OP2から作動油が排出されることとなる。従って、CCB2断線時において、第1変速制御弁63をOFF状態からON状態となると、同図に示すように、差圧Pb−Paは第2所定圧と第1所定圧との差分と−Psとの間で変化する。このことから、CCB2断線時は、正常時における差圧Pb−Paの変化(図4参照)よりも変化幅が小さいため変速制御性が悪化する。
ここで、排出ポート切替弁SW1をON制御すると、第2変速制御弁64の排出ポート64dとオイルポンプ62とが連通する。ここで、CCB2断線時でも、上述のように排出ポート64dと第1接続ポート64fとの連通状態が完全に遮断されない。従って、排出ポート切替弁SW1のON制御時は、第2変速制御弁64を介して第1油圧室OP1に作動油が供給できる状態となる。また、CCB2断線時であっても、上述のように、供給ポート切替弁SW2のOFF制御時であれば、第1変速制御弁63を介して第1油圧室OP1に作動油が供給できる状態である。これらにより、CCB2断線時は、排出ポート切替弁SW1がON制御され、供給ポート切替弁SW2がOFF制御されていれば、第1油圧室OP1が常にオイルポンプ62のみと連通する状態となり、第2変速制御弁64を介して第1油圧室OP1から作動油が排出されなくなる。従って、トランスミッションECU70は、CCB2断線時でも、排出ポート切替弁SW1のON制御(供給ポート切替弁SW2はOFF制御)を行うことにより、第1油圧室OP1の油圧PaをPsに維持することができる(同図に示す一点鎖線(SW1(ON)))。これにより、同図のX13に示すように、CCB2断線時でも、排出ポート切替弁SW1のON/OFF制御のみを行うことにより、差圧Pb−Paをプラスの値とマイナスの値との間で変化させることができる。
次に、CCB2のショート時における動作について説明する。CCB2ショート時は、図8に示すように、第2変速制御弁64をON状態からOFF状態にできない。従って、第2油圧室OP2の油圧Pbは、第1変速制御弁63がOFF状態であると、供給ポート64cと第2接続ポート64eとの連通状態が連通のまま維持され、オイルポンプ62から加圧された作動油が第2油圧室OP2に供給され続けるので、Psに維持される。また、第1油圧室OP1の油圧Paは、第1変速制御弁63がOFF状態であると、排出ポート64dと第1接続ポート64fとの連通状態が連通のまま維持され、第1油圧室OP1から作動油がオイルタンク61に排出され続けるので、0に維持される。これにより、CCB2ショート時において、第1変速制御弁63がOFF状態であると、同図に示すように、差圧Pb−PaはPsで一定となる。また、CCB2ショート時において、第1変速制御弁63をON状態にすると、供給ポート63cと第1接続ポート63eとの連通状態が連通となり、第2変速制御弁64により第1油圧室OP1から作動油が排出され続ける状態でオイルポンプ62から加圧された作動油が第1油圧室OP1に供給され、排出ポート63dと第2接続ポート63fとの連通状態が連通となり、第2変速制御弁64により第2油圧室OP2に作動油が供給され続ける状態で第2油圧室OP2から作動油がオイルタンク61に排出されることとなる。従って、CCB2ショート時において、第1変速制御弁63がOFF状態からON状態となると、同図に示すように、差圧Pb−PaはPsから0に変化する。このことから、CCB2ショート時は、正常時における差圧Pb−Paの変化(図4参照)よりも変化幅が小さく、特に差圧Pb−Paがマイナスの値とならないため変速制御性が悪化する。
ここで、排出ポート切替弁SW1をON制御すると、第2変速制御弁64の排出ポート64dとオイルポンプ62とが連通する。つまり、排出ポート切替弁SW1のON制御時は、第2変速制御弁64を介して第2油圧室OP2に作動油を供給できる状態となる。また、CCB2ショート時であっても、上述のように、供給ポート切替弁SW2のOFF制御時であれば、第1変速制御弁63を介して第1油圧室OP1に作動油を供給できる状態である。これらにより、排出ポート切替弁SW1がON制御され、供給ポート切替弁SW2がOFF制御されていれば、第1油圧室OP1が常にオイルポンプ62のみと連通する状態となり、第2変速制御弁64を介して第1油圧室OP1から作動油が排出されなくなる。従って、トランスミッションECU70は、CCB2ショート時でも、排出ポート切替弁SW1のON制御(供給ポート切替弁SW1はOFF制御)を行うことにより、第1油圧室OP1の油圧PaをPsに維持することができる(同図に示す一点鎖線(SW1(ON)))。これにより、同図のX14に示すように、CCB2ショート時でも、第1変速制御弁63の開閉を行い、排出ポート切替弁SW1のON/OFF制御を行うことにより、差圧Pb−Paをプラスの値(Ps)とマイナスの値との間で変化させることができる。
次に、CCB1およびCCB2の断線時における動作について説明する。CCB1断線CCB2断線時は、図9に示すように、第1変速制御弁63をOFF状態からON状態にできないとともに、第2変速制御弁64をOFF状態からON状態にできない。従って、第1油圧室OP1の油圧Paは、第1変速制御弁63に駆動電流Idが供給できず、第2変速制御弁64に駆動電流Iuが供給できないため第1所定圧に維持される。また、第2油圧室OP2の油圧Pbは、第1変速制御弁63に駆動電流Idが供給できず、第2変速制御弁64に駆動電流Iuが供給できないため第2所定圧に維持される。これにより、CCB1断線CCB2断線時において、同図に示すように、差圧Pb−Paは、変化せず第2所定圧と第1所定圧との差分に維持される。このことから、CCB1断線CCB2断線時は、正常時における差圧Pb−Paの変化(図4参照)よりも変化幅が小さいため変速制御性が悪化する。
ここで、排出ポート切替弁SW1をON制御すると、第2変速制御弁64の排出ポート64dとオイルポンプ62とが連通する。ここで、CCB2が断線時であっても、排出ポート64dと第1接続ポート64fとの連通状態が完全に遮断されない。従って、排出ポート切替弁SW1のON制御時は、第2変速制御弁64を介して第1油圧室OP1に作動油が供給できる状態となる。また、CCB1断線であっても、供給ポート63cと第1接続ポート63eとの連通状態が完全に遮断されない。従って、供給ポート切替弁SW2のOFF制御時であれば、第1変速制御弁63を介して第1油圧室OP1に作動油が供給できる状態である。これらにより、排出ポート切替弁SW1がON制御され、供給ポート切替弁SW2がOFF制御されていれば、第1油圧室OP1が常にオイルポンプ62のみと連通する状態となり、第2変速制御弁64を介して第1油圧室OP1から作動油が排出されなくなる。従って、トランスミッションECU70は、CCB1断線CCB2断線時でも、排出ポート切替弁SW1のON制御(供給ポート切替弁SW2はOFF制御)を行うことにより、第1油圧室OP1の油圧PaをPsに維持することができる(同図に示す一点鎖線(SW1(ON)))。これにより、同図のX15に示すように、CCB1断線CCB2断線時でも、排出ポート切替弁SW1のON/OFF制御のみを行うことにより、差圧Pb−Paをプラスの値とマイナスの値との間で変化させることができる。
次に、CCB1のショート、CCB2の断線時における動作について説明する。CCB1ショートCCB2断線時は、図10に示すように、第1変速制御弁63をON状態からOFF状態にできないとともに、第2変速制御弁64をOFF状態からON状態にできない。従って、第1油圧室OP1の油圧Paは、供給ポート63cと第1接続ポート63eとの連通状態が連通のまま維持され、オイルポンプ62から加圧された作動油が第1油圧室OP1に供給され続けるので、Psに維持される。また、第2油圧室OP2の油圧Pbは、排出ポート63dと第2接続ポート63fとの連通状態が連通のまま維持され、第2油圧室OP2から作動油がオイルタンク61に排出され続けるので、0に維持される。これにより、CCB1ショートCCB2断線時において、同図に示すように、差圧Pb−Paは、変化せず−Psで一定となる。このことから、CCB1ショートCCB2断線時は、正常時における差圧Pb−Paの変化(図4参照)よりも変化幅が小さいため変速制御性が悪化する。
ここで、供給ポート切替弁SW2をON制御すると、第1変速制御弁63の供給ポート63cとオイルタンク61とが連通する。つまり、供給ポート切替弁SW2のON制御時は、第1変速制御弁63を介して第1油圧室OP1から作動油を排出できる状態となる。また、CCB2断線時であっても、上述のように、排出ポート切替弁SW1のOFF制御時であれば、第2変速制御弁64を介して第1油圧室OP1から作動油を排出できる状態である。これらにより、排出ポート切替弁SW1がOFF制御され、供給ポート切替弁SW2がON制御されていれば、第1油圧室OP1が常にオイルタンク61のみと連通する状態となり、第1変速制御弁63を介して第1油圧室OP1に作動油が供給されなくなる。従って、トランスミッションECU70は、CCB1ショートCCB2断線時でも、供給ポート切替弁SW2のON制御(排出ポート切替弁SW1はOFF制御)を行うことにより、第1油圧室OP1の油圧Paを0に維持することができる(同図に示す二点鎖線(SW2(ON)))。これにより、同図のX16に示すように、CCB1ショートCCB2断線時でも、供給ポート切替弁SW2のON/OFF制御を行うことにより、差圧Pb−Paをマイナスの値(−Ps)と0との間で変化させることができる。従って、CCB1ショートCCB2断線時に、パワーローラ30が第2方向Fに移動しようとすることを供給ポート切替弁SW2のON/OFF制御を行うことにより抑制できるので、車両CAの図示しないシフトポジションが前進レンジ(例えば、Dレンジ)の場合のアップシフトを抑制することができ変速制御性の悪化を抑制することができる。
次に、CCB1の断線、CCB2のショート時における動作について説明する。CCB1断線CCB2ショート時は、図11に示すように、第1変速制御弁63をOFF状態からON状態にできないとともに、第2変速制御弁64をON状態からOFF状態にできない。従って、第1油圧室OP1の油圧Paは、排出ポート64dと第1接続ポート64fとの連通状態が連通のまま維持され、第1油圧室OP1から作動油がオイルタンク61に排出され続けるので、0に維持される。また、第2油圧室OP2の油圧Pbは、供給ポート64cと第2接続ポート64eとの連通状態が連通のまま維持され、オイルポンプ62から加圧された作動油が第2油圧室OP2に供給され続けるので、Psに維持される。これにより、CCB1断線CCB2ショート時において、同図に示すように、差圧Pb−Paは、変化せずPsで一定となる。このことから、CCB1断線CCB2ショート時は、正常時における差圧Pb−Paの変化(図4参照)よりも変化幅が小さいため変速制御性が悪化する。
ここで、排出ポート切替弁SW1をON制御すると、第2変速制御弁64の排出ポート64dとオイルポンプ62とが連通する。つまり、排出ポート切替弁SW1のON制御時は、第2変速制御弁64を介して第1油圧室OP1に作動油を供給できる状態となる。また、CCB1断線であっても、供給ポート63cと第1接続ポート63eとの連通状態が完全に遮断されない。従って、CCB1断線CCB2ショート時であっても、供給ポート切替弁SW2のOFF制御時であれば、第1変速制御弁63を介して第1油圧室OP1に作動油が供給できる状態である。これらにより、排出ポート切替弁SW1がON制御され、供給ポート切替弁SW2がOFF制御されていれば、第1油圧室OP1が常にオイルポンプ62のみと連通する状態となり、第1変速制御弁63を介して第1油圧室OP1から作動油が排出されなくなる。従って、トランスミッションECU70は、CCB1断線CCB2ショート時でも、排出ポート切替弁SW1のON制御(供給ポート切替弁SW2はOFF制御)を行うことにより、第1油圧室OP1の油圧PaをPsに維持することができる(同図に示す一点鎖線(SW1(ON)))。これにより、同図のX17に示すように、CCB1断線CCB2ショート時でも、排出ポート切替弁SW1のON/OFF制御を行うことにより、差圧Pb−Paを0とプラスの値(Ps)との間で変化させることができる。従って、CCB1断線CCB2ショート時に、パワーローラ30が第1方向Eに移動しようとすることを排出ポート切替弁SW1のON/OFF制御を行うことにより抑制できるので、車両CAの図示しないシフトポジションが前進レンジ(例えば、Dレンジ)の場合のダウンシフトを抑制することができ変速制御性の悪化を抑制することができる。
次に、CCB1およびCCB2のショート時における動作について説明する。CCB1ショート、CCB2ショート時は、図12に示すように、第1変速制御弁63をON状態からOFF状態にできないとともに、第2変速制御弁64をON状態からOFF状態にできない。従って、第1油圧室OP1の油圧Paは、供給ポート63cと第1接続ポート63eとの連通状態が連通のまま維持され、オイルポンプ62から加圧された作動油が第1油圧室OP1に供給され続け、排出ポート64dと第1接続ポート64fとの連通状態が連通のまま維持され、第1油圧室OP1から作動油がオイルタンク61に排出され続けるので、Psと0との間に維持される。第2油圧室OP2の油圧Pbは、排出ポート63dと第2接続ポート63fとの連通状態が連通のまま維持され、第2油圧室OP2から作動油がオイルタンク61に排出され続け、供給ポート64cと第2接続ポート64eとの連通状態が連通のまま維持され、オイルポンプ62から加圧された作動油が第2油圧室OP2に供給され続けるので、Psと0との間に維持される。これにより、CCB1ショートCCB2ショート時において、同図に示すように、差圧Pb−Paは、第1油圧室OP1の油圧Paと第2油圧室OP2の油圧Pbとバランスがとれる値、実施の形態1では0で一定となる。このことから、CCB1ショートCCB2ショート時は、正常時における差圧Pb−Paの変化(図4参照)よりも変化幅が小さいため変速制御性が悪化する。
ここで、排出ポート切替弁SW1をON制御すると、第2変速制御弁64の排出ポート64cとオイルポンプ62とが連通する。つまり、排出ポート切替弁SW1のON制御時は、第2変速制御弁64を介して第1油圧室OP1に作動油を供給できる状態となる。また、CCB1ショートCCB2ショート時であっても、供給ポート切替弁SW2のOFF制御時であれば、第1変速制御弁63を介して第1油圧室OP1に作動油が供給できる状態である。これらにより、排出ポート切替弁SW1がON制御され、供給ポート切替弁SW2がOFF制御されていれば、第1油圧室OP1が常にオイルポンプ62のみと連通する状態となり、第1変速制御弁63および第2変速制御弁64を介して第1油圧室OP1から作動油が排出されなくなる。従って、トランスミッションECU70は、CCB1ショートCCB2ショート時でも、排出ポート切替弁SW1のON制御(供給ポート切替弁SW2はOFF制御)を行うことにより、第1油圧室OP1の油圧PaをPsに維持することができる(同図に示す一点鎖線(SW1(ON)))。また、供給ポート切替弁SW2をON制御すると、第1変速制御弁63の供給ポート63cとオイルタンク61とが連通する。つまり、供給ポート切替弁SW2のON制御時は、第1変速制御弁63を介して第1油圧室OP1から作動油を排出できる状態となる。また、CCB1ショートCCB2ショート時であっても、排出ポート切替弁SW1のOFF制御時であれば、第1変速制御弁63を介して第1油圧室OP1から作動油を排出できる状態である。これらにより、供給ポート切替弁SW2がON制御され、排出ポート切替弁SW1がOFF制御されていれば、第1油圧室OP1が常にオイルタンク61のみと連通する状態となり、第1変速制御弁63および第2変速制御弁64を介して第1油圧室OP1に作動油が供給されなくなる。従って、トランスミッションECU70は、CCB1ショートCCB2ショート時でも、供給ポート切替弁SW2のON制御(排出ポート切替弁SW1はOFF制御)を行うことにより、第1油圧室OP1の油圧Paを0に維持することができる(同図に示す二点鎖線(SW2(ON)))。これにより、同図のX18に示すように、CCB1ショートCCB2ショート時でも、排出ポート切替弁SW1のON/OFF制御を行うことにより、差圧Pb−Paを0とマイナスの値(0と−Psとの間の値)との間で変化させることができ、供給ポート切替弁SW2のON/OFF制御を行うことにより、差圧Pb−Paを0とプラスの値(0とPsとの間の値)との間で変化させることができる。
以上のように、実施の形態1にかかるトロイダル式無段変速機では、CCB1断線時、CCB2断線時、CCB1断線CCB2断線時、CCB1ショートCCB2ショート時に、排出ポート切替弁SW1のON/OFF制御あるいは供給ポート切替弁SW2のON/OFF制御の少なくともいずれか一方を行うことで、差圧Pb−Paをマイナスの値とプラスの値との間で変化させることができる。また、CCB1ショート時に異常でない変速制御弁である第2変速制御弁64をON状態で、供給ポート切替弁SW2のON/OFF制御を行うことで、差圧Pb−Paをマイナスの値とプラスの値との間で変化させることができる。また、CCB2ショート時に異常でない変速制御弁である第1変速制御弁63をON状態で、排出ポート切替弁SW1のON/OFF制御を行うことで、差圧Pb−Paをマイナスの値とプラスの値との間で変化させることができる。従って、油圧制御装置60により油圧サーボ機構50を介してパワーローラ30を第1方向Eおよび第2方向Fに、すなわち第1油圧室OP1と第2油圧室OP2との圧力差によりパワーローラ30が移動できるいずれの方向にも移動させることができ、パワーローラ30を中立位置から第1方向Eおよび第2方向Fにストロークさせることができる。これにより、変速比γの変更、すなわち変速比γを目標変速比γoに増加あるいは減少することが可能となり、第1変速制御弁あるいは第2変速制御弁の少なくともいずれか一方に異常が発生しても変速制御性が悪化することを抑制することができる。
また、排出ポート切替弁SW1および供給ポート切替弁SW2が第1変速制御弁63および第2変速制御弁64と、オイルタンク61およびオイルポンプ62との間に配置されているので、第1変速制御弁63および第2変速制御弁64と、第1油圧室OP1および第2油圧室OP2との間の経路における作動油の漏れを抑制することができる。従って、第1変速制御弁63および第2変速制御弁64の通常時における変速制御性の悪化を抑制することができる。
なお、上記実施の形態1にかかるトロイダル式無段変速機1−1では、第2変速制御弁64の排出ポート64dをオイルタンク61との接続からオイルポンプ62との接続に切り替えることを排出ポート切替弁SW1が行い、第1変速制御弁63の供給ポート63cをオイルポンプ62との接続からオイルタンク61との接続に切り替えることを供給ポート切替弁SW2が行うが本発明はこれに限定されるものではない。例えば、第2変速制御弁64の供給ポート64cをオイルポンプ62との接続からオイルタンク61との接続に切り替えることを供給ポート切替弁が行い、第1変速制御弁63の排出ポート63dをオイルタンク61との接続からオイルポンプ62との接続に切り替えることを排出ポート切替弁が行っても良い。
〔実施の形態2〕
次に、実施の形態2にかかるトロイダル式無段変速機について説明する。図13は、実施の形態2にかかるトロイダル式無段変速機の詳細構成例を示す図である。図14〜図21は、実施の形態2における異常時の第1油圧室の油圧と第2油圧室の油圧との関係を示す図である。実施の形態2にかかるトロイダル式無段変速機1−2が実施の形態1にかかるトロイダル式無段変速機1−1と異なる点は、排出ポート切替弁SW1の代わりに、第2変速制御弁64の排出ポート64dをオイルタンク61との接続からオイルポンプ62との接続に切り替えるとともに、供給ポート64cをオイルポンプ62との接続からオイルタンク61との接続に切り替える供給排出ポート切替弁SW3を備える点である。ここで、供給ポート切替弁SW4は、実施の形態1の供給ポート切替弁SW2と同様の機能を有する。なお、実施の形態2にかかるトロイダル式無段変速機1−2の基本的構成は、実施の形態1にかかるトロイダル式無段変速機1−1の基本的構成とほぼ同一であるので、その説明を省略あるいは簡略化する。
供給排出ポート切替弁SW3は、変更手段であり、油圧源であるオイルポンプ62と第2変速制御弁64との接続関係を変更するものである。供給排出ポート切替弁SW3は、第2変速制御弁64の排出ポート64dを作動油貯留手段であるオイルタンク61との接続からオイルポンプ62との接続に切り替えるとともに、供給ポート64cをオイルポンプ62との接続からオイルタンク61との接続に切り替えるものである。供給排出ポート切替弁SW3は、第3油路L3と、第9油路L9と、第12油路L12と、第13油路L13とに接続されている。つまり、供給排出ポート切替弁SW3は、オイルタンク61と、オイルポンプ62と、供給ポート64cと、排出ポート64dとに接続されている。供給排出ポート切替弁SW3は、トランスミッションECU70と接続されており、トランスミッションECU70によりON/OFF制御が行われる。ここで、供給排出ポート切替弁SW3は、トランスミッションECU70によりON制御が行われ、ON状態となると、第3油路L3と第13油路L13とを接続するとともに、第9油路L9と第12油路L12とを接続する。つまり、供給排出ポート切替弁SW3は、ON状態となると、オイルポンプ62と排出ポート64dとを連通させ、オイルタンク61と供給ポート64cとを連通させる。また、供給排出ポート切替弁SW3は、トランスミッションECU70によりOFF制御が行われ、OFF状態となると、第3油路L3と第12油路L12とを接続するとともに、第9油路L9と第13油路L13とを接続する。つまり、供給排出ポート切替弁SW3は、OFF状態となると、オイルポンプ62と供給ポート64cとを連通させ、オイルタンク61と排出ポート64dとを連通させる。なお、トランスミッションECU70は、第1変速制御弁63および第2変速制御弁64に異常が発生していない場合である通常時は、OFF制御を行い、供給排出ポート切替弁SW3をOFF状態に維持する。
供給ポート切替弁SW4は、変更手段であり、第3油路L3と、第10油路L10と、第14油路L14とに接続されている。つまり、供給ポート切替弁SW4は、オイルタンク61と、オイルポンプ62と、供給ポート63cとに接続されている。供給ポート切替弁SW4は、トランスミッションECU70によりON制御が行われ、ON状態となると、第10油路L10と第14油路L14とを接続し、供給ポート63cとオイルタンク61とを連通させる。また、供給ポート切替弁SW4は、トランスミッションECU70によりOFF制御が行われ、OFF状態となると、第3油路L3と第14油路L14とを接続し、オイルポンプ62と供給ポート63cとを連通させる。なお、トランスミッションECU70は、第1変速制御弁63および第2変速制御弁64に異常が発生していない場合である通常時は、OFF制御を行い、供給ポート切替弁SW4をOFF状態に維持する。
次に、実施の形態2にかかるトロイダル式無段変速機1−2の動作について説明する。ここでは、実施の形態2にかかるトロイダル無段変速機1−2において、第1変速制御弁63あるいは第2変速制御弁64の少なくともいずれか一方の異常時における動作について説明する。なお、実施の形態2にかかるトロイダル式無段変速機1−2の基本的動作は、実施の形態1にかかるトロイダル式無段変速機1−1の基本的動作とほぼ同一であるので、その説明を省略あるいは簡略化する。
まず、第1変速制御弁63であるCCB1の断線時における動作について説明する。CCB1断線時は、図14に示すように、第1変速制御弁63をOFF状態からON状態にできない。従って、CCB1断線時は、第2変速制御弁64がOFF状態であると、第1油圧室OP1の油圧Paが第1所定圧に維持され、差圧Pb−Paが第2所定圧と第1所定圧との差分となり、第2変速制御弁64がOFF状態からON状態となると、差圧Pb−Paが第2所定圧と第1所定圧との差分からPsに変化する。
ここで、供給排出ポート切替弁SW3をON制御すると、第2変速制御弁64の排出ポート64dとオイルポンプ62とが連通し、供給ポート64cとオイルタンク61とが連通する。ここで、第2変速制御弁64がOFF状態であっても、排出ポート64dと第1接続ポート64fとの連通状態が完全に遮断されず、供給ポート64cと第2接続ポート64eとの連通状態が完全に遮断されない。従って、供給排出ポート切替弁SW3のON制御時は、第2変速制御弁64のON/OFF状態にかかわらず、第2変速制御弁64を介して第1油圧室OP1に作動油が供給できる状態となり、第2油圧室OP2から作動油を排出できる状態となる。また、CCB1断線時であっても、上述のように、排出ポート63dと第1接続ポート63eとの連通状態が完全に遮断されず、供給ポート63cと第2接続ポート63fとの連通状態が完全に遮断されない。従って、供給ポート切替弁SW4のOFF制御時であれば、第1変速制御弁63を介して第1油圧室OP1に作動油が供給できる状態であり、第2油圧室OP2から作動油を排出できる状態である。これらにより、CCB1断線時は、供給排出ポート切替弁SW3がON制御され、供給ポート切替弁SW4がOFF制御されていれば、第1油圧室OP1が常にオイルポンプ62のみと連通する状態となり、第2油圧室OP2が常にオイルタンク61のみと連通する状態となる。つまり、第2変速制御弁64を介して第1油圧室OP1から作動油が排出されなくなり、第2油圧室OP2に作動油が供給されなくなる。従って、トランスミッションECU70は、CCB1断線時でも、供給排出ポート切替弁SW3のON制御(供給ポート切替弁SW4はOFF制御)を行うことにより、第1油圧室OP1の油圧PaをPsに維持することができるとともに、第2油圧室OP2の油圧Pbを0に維持することができる(同図に示す一点鎖線(SW3(ON)))。これにより、同図のX21に示すように、CCB1断線時でも、供給排出ポート切替弁SW3のON/OFF制御のみを行うことにより、差圧Pb−Paをプラスの値とマイナスの値との間に変化させることができる。さらに、トランスミッションECU70は、供給排出ポート切替弁SW3のOFF制御時に第2変速制御弁64をON状態とすることで差圧Pb−PaをPsにできるので、供給排出ポート切替弁SW3のON/OFF制御および第2変速制御弁64の開閉を行うことで、差圧Pb−Paの変化幅をさらに大きくすることができる。
次に、CCB1のショート時における動作について説明する。CCB1ショート時は、図15に示すように、第1変速制御弁63をON状態からOFF状態にできない。従って、CCB1ショート時は、第2変速制御弁64がOFF状態であると、第1油圧室OP1の油圧PaがPsに維持され、第2油圧室OP2の油圧Pbが0に維持され、差圧Pb−Paが−Psで一定となり、第2変速制御弁64がOFF状態からON状態になると、差圧Pb−Paが−Psから0に変化する。
ここで、供給ポート切替弁SW4をON制御すると、供給排出ポート切替弁SW3のOFF制御時であれば、第1油圧室OP1が常にオイルタンク61のみと連通する状態となるので、第1変速制御弁63を介して第1油圧室OP1に作動油が供給されなくなる。従って、トランスミッションECU70は、CCB1ショート時でも、供給ポート切替弁SW4のON制御(供給排出ポート切替弁SW2はOFF制御)を行うことにより、第1油圧室OP1の油圧Paを0に維持することができる(同図に示す二点鎖線(SW4(ON)))。これにより、同図のX22に示すように、CCB1ショート時でも、第2変速制御弁64の開閉を行い、供給ポート切替弁SW4のON/OFF制御を行うことにより差圧Pb−Paをマイナスの値(−Ps)とプラスの値との間で変化させることができる。
次に、第2変速制御弁64であるCCB2の断線時における動作について説明する。CCB2断線時は、図16に示すように、第2変速制御弁64をOFF状態からON状態にできない。従って、CCB2断線時は、第1変速制御弁63がOFF状態であると、第2油圧室OP2の油圧Pbが第2所定圧に維持され、差圧Pb−Paが第2所定圧と第1所定圧との差分となり、第1変速制御弁63がOFF状態からON状態となると、差圧Pb−Paが第2所定圧と第1所定圧との差分から−Psに変化する。
ここで、供給排出ポート切替弁SW3をON制御すると、第2変速制御弁64の排出ポート64dとオイルポンプ62とが連通し、供給ポート64cとオイルタンク61とが連通する。ここで、CCB2断線時でも、上述のように排出ポート64dと第1接続ポート64fとの連通状態が完全に遮断されず、供給ポート64cと第2接続ポート64eとの連通状態が完全に遮断されない。従って、供給排出ポート切替弁SW3のON制御時は、第2変速制御弁64を介して第1油圧室OP1に作動油が供給できる状態となり、第2油圧室OP2から作動油を排出できる状態となる。また、CCB2断線時であっても、上述のように、供給ポート切替弁SW4のOFF制御時であれば、第1変速制御弁63を介して第1油圧室OP1に作動油が供給できる状態であり、第2油圧室OP2から作動油を排出できる状態である。これらにより、CCB2断線時は、供給排出ポート切替弁SW3がON制御され、供給ポート切替弁SW4がOFF制御されていれば、第1油圧室OP1が常にオイルポンプ62のみと連通する状態となり、第2油圧室OP2が常にオイルタンク61のみと連通する状態となる。つまり、第2変速制御弁64を介して第1油圧室OP1から作動油が排出されなくなり、第2油圧室OP2に作動油が供給されなくなる。従って、トランスミッションECU70は、CCB2断線時でも、供給排出ポート切替弁SW3のON制御(供給ポート切替弁SW4はOFF制御)を行うことにより、第1油圧室OP1の油圧PaをPsに維持することができるとともに、第2油圧室OP2の油圧Pbを0に維持することができる(同図に示す一点鎖線(SW3(ON)))。これにより、同図のX23に示すように、CCB2断線時でも、供給排出ポート切替弁SW3のON/OFF制御のみを行うことにより、差圧Pb−Paをプラスの値とマイナスの値との間に変化させることができる。
次に、CCB2のショート時における動作について説明する。CCB2ショート時は、図17に示すように、第2変速制御弁64をON状態からOFF状態にできない。従って、CCB2ショート時は、第1変速制御弁63がOFF状態であると、第2油圧室OP2の油圧PbがPsに維持され、第1油圧室OP1の油圧Paが0に維持され、差圧Pb−PaがPsで一定となる。また、CCB2ショート時は、第1変速制御弁63がOFF状態からON状態となると、差圧Pb−PaがPsから0に変化する。
ここで、供給排出ポート切替弁SW3をON制御すると、第2変速制御弁64の排出ポート64dとオイルポンプ62とが連通し、供給ポート64cとオイルタンク61とが連通する。つまり、供給排出ポート切替弁SW3のON制御時は、第2変速制御弁64を介して第2油圧室OP2に作動油を供給できる状態となり、第1油圧室OP1から作動油を排出できる状態となる。また、CCB2ショート時であっても、上述のように、供給ポート切替弁SW4のOFF制御時であれば、第1変速制御弁63を介して第1油圧室OP1に作動油を供給できる状態であり、第2油圧室OP2から作動油を排出できる状態となる。これらにより、供給排出ポート切替弁SW3がON制御され、供給ポート切替弁SW4がOFF制御されていれば、第1油圧室OP1が常にオイルポンプ62のみと連通する状態となり、第2油圧室OP2が常にオイルタンク61のみと連通する状態となる。つまり、第2変速制御弁64を介して第1油圧室OP1から作動油が排出されなくなり、第2油圧室OP2に作動油が供給されなくなる。従って、トランスミッションECU70は、CCB2ショート時でも、供給排出ポート切替弁SW3のON制御(供給ポート切替弁SW4はOFF制御)を行うことにより、第1油圧室OP1の油圧PaをPsに維持することができるとともに、第2油圧室OP2の油圧Pbを0に維持することができる(同図に示す一点鎖線(SW3(ON)))。これにより、同図のX24に示すように、CCB2ショート時でも、第1変速制御弁63の開閉を行い、供給排出ポート切替弁SW3のON/OFF制御を行うことにより差圧Pb−Paをプラスの値(Ps)とマイナスの値との間に変化させることができる。
次に、CCB1およびCCB2の断線時における動作について説明する。CCB1断線CCB2断線時は、図18に示すように、第1変速制御弁63をOFF状態からON状態にできないとともに、第2変速制御弁64をOFF状態からON状態にできない。従って、CCB1およびCCB2の断線時では、第1油圧室OP1の油圧Paが第1所定圧に維持され、第2油圧室OP2の油圧Pbが第2所定圧に維持され、差圧Pb−Paが変化せず第2所定圧と第1所定圧との差分に維持される。
ここで、供給排出ポート切替弁SW3をON制御すると、第2変速制御弁64の排出ポート64dとオイルポンプ62とが連通し、供給ポート64cとオイルタンク61とが連通する。ここで、CCB2断線時でも、上述のように、供給排出ポート切替弁SW3のON制御時は、第2変速制御弁64を介して第1油圧室OP1に作動油が供給できる状態となり、第2油圧室OP2から作動油を排出できる状態となる。また、CCB1断線であっても、上述のように、供給ポート切替弁SW4のOFF制御時であれば、第1変速制御弁63を介して第1油圧室OP1に作動油が供給できる状態であり、第2油圧室OP2から作動油を排出できる状態である。これらにより、CCB1断線CCB2断線時は、供給排出ポート切替弁SW3がON制御され、供給ポート切替弁SW4がOFF制御されていれば、第1油圧室OP1が常にオイルポンプ62のみと連通する状態となり、第2油圧室OP2が常にオイルタンク61のみと連通する状態となる。つまり、第2変速制御弁64を介して第1油圧室OP1から作動油が排出されなくなり、第2油圧室OP2に作動油が供給されなくなる。従って、トランスミッションECU70は、CCB1断線CCB2断線時でも、供給排出ポート切替弁SW3のON制御(供給ポート切替弁SW4はOFF制御)を行うことにより、第1油圧室OP1の油圧PaをPsに維持することができるとともに、第2油圧室OP2の油圧Pbを0に維持することができる(同図に示す一点鎖線(SW3(ON)))。これにより、同図のX25に示すように、CCB1断線CCB2断線時でも、供給排出ポート切替弁SW3のON/OFF制御のみを行うことにより、差圧Pb−Paをプラスの値とマイナスの値との間で変化させることができる。
次に、CCB1のショート、CCB2の断線時における動作について説明する。CCB1ショートCCB2断線時は、図19に示すように、第1変速制御弁63をON状態からOFF状態にできないとともに、第2変速制御弁64をOFF状態からON状態にできない。従って、CCB1ショートCCB2断線時では、第1油圧室OP1の油圧PaがPsに維持され、第2油圧室OP2の油圧Pbが0に維持され、差圧Pb−Paが変化せず−Psで一定となる。
ここで、上述のように、供給ポート切替弁SW4のON制御時は、第1変速制御弁63を介して第1油圧室OP1から作動油を排出できる状態となる。また、CCB1ショートCCB2断線時であっても、上述のように、供給排出ポート切替弁SW3のOFF制御時であれば、第2変速制御弁64を介して第1油圧室OP1から作動油を排出できる状態である。これらにより、供給排出ポート切替弁SW3がOFF制御され、供給ポート切替弁SW4がON制御されていれば、第1油圧室OP1が常にオイルタンク61のみと連通する状態となり、第1変速制御弁63を介して第1油圧室OP1に作動油が供給されなくなる。従って、トランスミッションECU70は、CCB1ショートCCB2断線時でも、供給ポート切替弁SW4のON制御(供給排出ポート切替弁SW3はOFF制御)を行うことにより、第1油圧室OP1の油圧Paを0に維持することができる(同図に示す二点鎖線(SW4(ON)))。これにより、同図のX26に示すように、CCB1ショートCCB断線時でも、供給ポート切替弁SW4のON/OFF制御を行うことにより、差圧Pb−Paをマイナスの値(−Ps)と0との間で変化させることができる。従って、CCB1ショートCCB断線時に、パワーローラ30が第2方向Fに移動しようとすることを供給ポート切替弁SW4のON/OFF制御を行うことにより抑制できるので、車両CAの図示しないシフトポジションが前進レンジ(例えば、Dレンジ)の場合のアップシフトを抑制することができ変速制御性の悪化を抑制することができる。
次に、CCB1の断線、CCB2のショート時における動作について説明する。CCB1断線CCB2ショート時は、図20に示すように、第1変速制御弁63をOFF状態からON状態にできないとともに、第2変速制御弁64をON状態からOFF状態にできない。従って、CCB1断線CCB2ショート時では、第1油圧室OP1の油圧Paが0に維持され、第2油圧室OP2の油圧PbがPsに維持され、差圧Pb−Paが変化せずPsで一定となる。
ここで、供給排出ポート切替弁SW3をON制御時は、CCB2ショート時でも、供給ポート切替弁SW4のOFF制御時であれば、上述のように、第2変速制御弁64を介して第1油圧室OP1に作動油を供給できる状態であり、第2油圧室OP2から作動油を排出できる状態となる。また、CCB1断線であっても、供給ポート切替弁SW4のOFF制御時であれば、上述のように、第1変速制御弁63を介して第1油圧室OP1に作動油が供給できる状態であり、第2油圧室OP2から作動油を排出できる状態である。これらにより、CCB1断線CCB2ショート時は、供給排出ポート切替弁SW3がON制御され、供給ポート切替弁SW4がOFF制御されていれば、第1油圧室OP1が常にオイルポンプ62のみと連通する状態となり、第2油圧室OP2が常にオイルタンク61のみと連通する状態となる。つまり、第2変速制御弁64を介して第1油圧室OP1から作動油が排出されなくなり、第2油圧室OP2に作動油が供給されなくなる。従って、トランスミッションECU70は、CCB1断線CCB2ショート時でも、供給排出ポート切替弁SW3のON制御(供給ポート切替弁SW4はOFF制御)を行うことにより、第1油圧室OP1の油圧PaをPsに維持することができるとともに、第2油圧室OP2の油圧Pbを0に維持することができる(同図に示す一点鎖線(SW3(ON)))。これにより、同図のX27に示すように、CCB1断線CCB2ショート時でも、供給排出ポート切替弁SW3のON/OFF制御のみを行うことにより、差圧Pb−Paをプラスの値とマイナスの値との間で変化させることができる。
次に、CCB1およびCCB2のショート時における動作について説明する。CCB1ショート、CCB2ショート時は、図21に示すように、第1変速制御弁63をON状態からOFF状態にできないとともに、第2変速制御弁64をON状態からOFF状態にできない。従って、CCB1ショートCCB2ショート時では、第1油圧室OP1の油圧PaがPsと0との間に維持され、第2油圧室OP2の油圧PbがPsと0との間に維持され、差圧Pb−Paが0で一定となる。
ここで、供給排出ポート切替弁SW3をON制御時は、CCB2ショート時でも、供給ポート切替弁SW4のOFF制御時であれば、上述のように、第2変速制御弁64を介して第1油圧室OP1に作動油を供給できる状態であり、第2油圧室OP2から作動油を排出できる状態となる。また、CCB1ショート時でも、供給ポート切替弁SW4のOFF制御時であれば、上述のように、第1変速制御弁63を介して第1油圧室OP1に作動油が供給できる状態であり、第2油圧室OP2から作動油を排出できる状態である。これらにより、CCB1ショートCCB2ショート時は、供給排出ポート切替弁SW3がON制御され、供給ポート切替弁SW4がOFF制御されていれば、第1油圧室OP1が常にオイルポンプ62のみと連通する状態となり、第2油圧室OP2が常にオイルタンク61のみと連通する状態となる。つまり、第2変速制御弁64を介して第1油圧室OP1から作動油が排出されなくなり、第2油圧室OP2に作動油が供給されなくなる。従って、トランスミッションECU70は、CCB1ショートCCB2ショート時でも、供給排出ポート切替弁SW3のON制御(供給ポート切替弁SW4はOFF制御)を行うことにより、第1油圧室OP1の油圧PaをPsに維持することができるとともに、第2油圧室OP2の油圧Pbを0に維持することができる(同図に示す一点鎖線(SW3(ON)))。また、供給ポート切替弁SW4をON制御すると、第1変速制御弁63の供給ポート63cとオイルタンク61とが連通する。つまり、供給ポート切替弁SW4のON制御時は、第1変速制御弁63を介して第1油圧室OP1から作動油を排出できる状態となる。また、CCB1ショートCCB2ショート時であっても、供給排出ポート切替弁SW3のOFF制御時であれば、第1変速制御弁63を介して第1油圧室OP1から作動油を排出できる状態である。これらにより、供給ポート切替弁SW4がON制御され、供給排出ポート切替弁SW3がOFF制御されていれば、第1油圧室OP1が常にオイルタンク61のみと連通する状態となり、第1変速制御弁63および第2変速制御弁64を介して第1油圧室OP1に作動油が供給されなくなる。従って、トランスミッションECU70は、CCB1ショートCCB2ショート時でも、供給ポート切替弁SW4のON制御(供給排出ポート切替弁SW3はOFF制御)を行うことにより、第1油圧室OP1の油圧Paを0に維持することができる(同図に示す二点鎖線(SW4(ON)))。これにより、同図のX28に示すように、CCB1ショートCCB2ショート時でも、供給排出ポート切替弁SW3のON/OFF制御を行うことにより、差圧Pb−Paを0とマイナスの値(0と−Psとの間の値)との間で変化させることができ、供給ポート切替弁SW4のON/OFF制御を行うことにより、差圧Pb−Paを0とプラスの値(0とPsとの間の値)との間で変化させることができる。
以上のように、実施の形態2にかかるトロイダル式無段変速機では、CCB1断線時、CCB2断線時、CCB2ショート時、CCB1断線CCB2断線時、CCB1断線CCB2ショート時、CCB1ショートCCB2ショート時に、供給排出ポート切替弁SW3のON/OFF制御あるいは供給ポート切替弁SW4のON/OFF制御の少なくともいずれか一方を行うことで、差圧Pb−Paをマイナスの値とプラスの値との間で変化させることができる。また、CCB1ショート時に異常でない変速制御弁である第2変速制御弁64をON状態で、供給ポート切替弁SW4のON/OFF制御を行うことで、差圧Pb−Paをマイナスの値とプラスの値との間で変化させることができる。従って、油圧制御装置60により油圧サーボ機構50を介してパワーローラ30を第1方向Eおよび第2方向Fに移動させることができ、パワーローラ30を中立位置から第1方向Eおよび第2方向Fにストロークさせることができる。これにより、変速比γの変更、すなわち変速比γを目標変速比γoに増加あるいは減少することが可能となり、第1変速制御弁あるいは第2変速制御弁の少なくともいずれか一方に異常が発生しても変速制御性が悪化することを抑制することができる。
また、供給排出ポート切替弁SW3および供給ポート切替弁SW4が第1変速制御弁63および第2変速制御弁64と、オイルタンク61およびオイルポンプ62との間に配置されているので、第1変速制御弁63および第2変速制御弁64と、第1油圧室OP1および第2油圧室OP2との間の経路における作動油の漏れを抑制することができる。従って、第1変速制御弁63および第2変速制御弁64の通常時における変速制御性の悪化を抑制することができる
なお、上記実施の形態2にかかるトロイダル式無段変速機1−2では、第2変速制御弁64の排出ポート64dをオイルタンク61との接続からオイルポンプ62との接続に切り替えるとともに、供給ポート64cをオイルポンプ62との接続からオイルタンク61との接続に切り替えることを供給排出ポート切替弁SW3が行い、第1変速制御弁63の供給ポート63cをオイルポンプ62との接続からオイルタンク61との接続に切り替えることを供給ポート切替弁SW4が行うが本発明はこれに限定されるものではない。例えば、第2変速制御弁64の供給ポート64cをオイルポンプ62との接続からオイルタンク61との接続に切り替えることを供給ポート切替弁が行い、第1変速制御弁63の排出ポート63dをオイルタンク61との接続からオイルポンプ62との接続に切り替えるとともに、供給ポート63cをオイルポンプ62との接続からオイルタンク61との接続に切り替えることを供給排出ポート切替弁が行っても良い。
〔実施の形態3〕
次に、実施の形態3にかかるトロイダル式無段変速機について説明する。図22は、実施の形態3にかかるトロイダル式無段変速機の詳細構成例を示す図である。図23〜図30は、実施の形態3における異常時の第1油圧室の油圧と第2油圧室の油圧との関係を示す図である。実施の形態3にかかるトロイダル式無段変速機1−3が実施の形態2にかかるトロイダル式無段変速機1−2と異なる点は、供給ポート切替弁SW4の代わりに、第1変速制御弁63の排出ポート63dをオイルタンク61との接続からオイルポンプ62との接続に切り替えるとともに、供給ポート63cをオイルポンプ62との接続からオイルタンク61との接続に切り替える供給排出ポート切替弁SW6を備える点である。ここで、第2供給排出ポート切替弁SW6は、実施の形態2の供給排出ポート切替弁SW3と同様の機能を有する。なお、実施の形態3にかかるトロイダル式無段変速機1−3の基本的構成は、実施の形態2にかかるトロイダル式無段変速機1−2の基本的構成とほぼ同一であるので、その説明を省略あるいは簡略化する。
第1供給排出ポート切替弁SW5は、変更手段であり、第3油路L3と、第15油路L15と、第17油路L17と、第18油路L18とに接続されている。つまり、第1供給排出ポート切替弁SW5は、オイルタンク61と、オイルポンプ62と、供給ポート64cと、排出ポート64dとに接続されている。第1供給排出ポート切替弁SW5は、トランスミッションECU70によりON制御が行われ、ON状態となると、第3油路L3と第18油路L18とを接続するとともに、第15油路L15と第17油路L17とを接続する。つまり、第1供給排出ポート切替弁SW5は、ON状態となると、オイルポンプ62と排出ポート64dとを連通させ、オイルタンク61と供給ポート64cとを連通させる。また、第1供給排出ポート切替弁SW5は、トランスミッションECU70によりOFF制御が行われ、OFF状態となると、第3油路L3と第17油路L17とを接続するとともに、第15油路L15と第18油路L18とを接続する。つまり、第1供給排出ポート切替弁SW5は、OFF状態となると、オイルポンプ62と供給ポート64cとを連通させ、オイルタンク61と排出ポート64dとを連通させる。なお、トランスミッションECU70は、第1変速制御弁63および第2変速制御弁64に異常が発生していない場合である通常時は、OFF制御を行い、第1供給排出ポート切替弁SW5をOFF状態に維持する。
第2供給排出ポート切替弁SW6は、変更手段であり、油圧源であるオイルポンプ62と第1変速制御弁63との接続関係を変更するものである。第2供給排出ポート切替弁SW6は、第1変速制御弁63の排出ポート63dを作動油貯留手段であるオイルタンク61との接続からオイルポンプ62との接続に切り替えるとともに、供給ポート63cをオイルポンプ62との接続からオイルタンク61との接続に切り替えるものである。第2供給排出ポート切替弁SW6は、第3油路L3と、第16油路L16と、第19油路L19と、第20油路L20とに接続されている。つまり、第2供給排出ポート切替弁SW6は、オイルタンク61と、オイルポンプ62と、供給ポート63cと、排出ポート63dとに接続されている。第2供給排出ポート切替弁SW6は、トランスミッションECU70と接続されており、トランスミッションECU70によりON/OFF制御が行われる。ここで、第2供給排出ポート切替弁SW6は、トランスミッションECU70によりON制御が行われ、ON状態となると、第3油路L3と第20油路L20とを接続するとともに、第16油路L16と第19油路L19とを接続する。つまり、第2供給排出ポート切替弁SW6は、ON状態となると、オイルポンプ62と排出ポート63dとを連通させ、オイルタンク61と供給ポート63cとを連通させる。また、第2供給排出ポート切替弁SW6は、トランスミッションECU70によりOFF制御が行われ、OFF状態となると、第3油路L3と第19油路L19とを接続するとともに、第16油路L16と第20油路L20とを接続する。つまり、第2供給排出ポート切替弁SW6は、OFF状態となると、オイルポンプ62と供給ポート63cとを連通させ、オイルタンク61と排出ポート64dとを連通させる。なお、トランスミッションECU70は、第1変速制御弁63および第2変速制御弁64に異常が発生していない場合である通常時は、OFF制御を行い、第2供給排出ポート切替弁SW6をOFF状態に維持する。
次に、実施の形態3にかかるトロイダル式無段変速機1−3の動作について説明する。ここでは、実施の形態3にかかるトロイダル無段変速機1−3において、第1変速制御弁63あるいは第2変速制御弁64の少なくともいずれか一方の異常時における動作について説明する。なお、実施の形態3にかかるトロイダル式無段変速機1−3の基本的動作は、実施の形態2にかかるトロイダル式無段変速機1−2の基本的動作とほぼ同一であるので、その説明を省略あるいは簡略化する。
まず、第1変速制御弁63であるCCB1の断線時における動作について説明する。CCB1断線時は、図23に示すように、第1変速制御弁63をOFF状態からON状態にできない。従って、CCB1断線時は、第2変速制御弁64がOFF状態であると、第1油圧室OP1の油圧Paが第1所定圧に維持され、差圧Pb−Paが第2所定圧と第1所定圧との差分となり、第2変速制御弁64をON状態であると、差圧Pb−Paが第2所定圧と第1所定圧との差分からPsとなる。
ここで、第1供給排出ポート切替弁SW5をON制御すると、第2変速制御弁64の排出ポート64dとオイルポンプ62とが連通し、供給ポート64cとオイルタンク61とが連通する。ここで、第2変速制御弁64がOFF状態であっても、排出ポート64dと第1接続ポート64fとの連通状態が完全に遮断されず、供給ポート64cと第2接続ポート64eとの連通状態が完全に遮断されない。従って、第1供給排出ポート切替弁SW5のON制御時は、第2変速制御弁64のON/OFF状態にかかわらず、第2変速制御弁64を介して第1油圧室OP1に作動油が供給できる状態となり、第2油圧室OP2から作動油を排出できる状態となる。また、CCB1断線時であっても、上述のように、排出ポート63dと第1接続ポート63eとの連通状態が完全に遮断されず、供給ポート63cと第2接続ポート63fとの連通状態が完全に遮断されない。従って、第2供給排出ポート切替弁SW6のOFF制御時であれば、第1変速制御弁63を介して第1油圧室OP1に作動油が供給できる状態であり、第2油圧室OP2から作動油を排出できる状態である。これらにより、CCB1断線時は、第1供給排出ポート切替弁SW5がON制御され、第2供給排出ポート切替弁SW6がOFF制御されていれば、第1油圧室OP1が常にオイルポンプ62のみと連通する状態となり、第2油圧室OP2が常にオイルタンク61のみと連通する状態となる。つまり、第2変速制御弁64を介して第1油圧室OP1から作動油が排出されなくなり、第2油圧室OP2に作動油が供給されなくなる。従って、トランスミッションECU70は、CCB1断線時でも、第1供給排出ポート切替弁SW5のON制御(第2供給排出ポート切替弁SW6はOFF制御)を行うことにより、第1油圧室OP1の油圧PaをPsに維持することができるとともに、第2油圧室OP2の油圧Pbを0に維持することができる(同図に示す一点鎖線(SW5(ON)))。これにより、同図のX31に示すように、CCB1断線時でも、第1供給排出ポート切替弁SW5のON/OFF制御のみを行うことにより、差圧Pb−Paをプラスの値とマイナスの値との間で変化させることができる。さらに、トランスミッションECU70は、第1供給排出ポート切替弁SW5のOFF制御時に第2変速制御弁64をON状態とすることで差圧Pb−PaをPsにできるので、第1供給排出ポート切替弁SW5のON/OFF制御および第2変速制御弁64の開閉制御を行うことで、差圧Pb−Paの変化幅をさらに大きくすることができる。
次に、CCB1のショート時における動作について説明する。CCB1ショート時は、図24に示すように、第1変速制御弁63をON状態からOFF状態にできない。従って、CCB1ショート時は、第2変速制御弁64がOFF状態であると、第1油圧室OP1の油圧PaがPsに維持され、第2油圧室OP2の油圧Pbが0に維持され、差圧Pb−Paが−Psで一定となり、第2変速制御弁64がOFF状態からON状態となると、差圧Pb−Paが−Psから0に変化する。
ここで、第2供給排出ポート切替弁SW6をON制御すると、第1変速制御弁63の排出ポート63dとオイルポンプ62とが連通し、供給ポート63cとオイルタンク61とが連通する。ここで、CCB1ショート時は、上述のように、排出ポート63dと第1接続ポート63eとの連通状態が連通となり、供給ポート63cと第2接続ポート63fとの連通状態が連通となる。従って、第2供給排出ポート切替弁SW6のON制御時であれば、第1変速制御弁63を介して第2油圧室OP2に作動油が供給できる状態であり、第1油圧室OP1から作動油を排出できる状態である。また、第2変速制御弁64がOFF状態であっても、排出ポート64dと第1接続ポート64fとの連通状態が完全に遮断されず、供給ポート64cと第2接続ポート64eとの連通状態が完全に遮断されない。従って、第2供給排出ポート切替弁SW6のON制御時は、第2変速制御弁64のON/OFF状態にかかわらず、第2変速制御弁64を介して第2油圧室OP2に作動油が供給できる状態となり、第1油圧室OP1から作動油を排出できる状態となる。これらにより、CCB1ショート時は、第2供給排出ポート切替弁SW6がON制御され、第1供給排出ポート切替弁SW5がOFF制御されていれば、第1油圧室OP1が常にオイルタンク61のみと連通する状態となり、第2油圧室OP2が常にオイルポンプ62のみと連通する状態となる。つまり、第1変速制御弁63を介して第2油圧室OP2から作動油が排出されなくなり、第1油圧室OP1に作動油が供給されなくなる。従って、トランスミッションECU70は、CCB1ショート時でも、第2供給排出ポート切替弁SW6のON制御(第1供給排出ポート切替弁SW5はOFF制御)を行うことにより、第1油圧室OP1の油圧Paを0に維持することができるとともに、第2油圧室OP2の油圧PbをPsに維持することができる(同図に示す二点鎖線(SW6(ON)))。これにより、同図のX32に示すように、CCB1ショート時でも、第2供給排出ポート切替弁SW6のON/OFF制御のみを行うことにより、差圧Pb−Paをプラスの値とマイナスの値との間で変化させることができる。
次に、第2変速制御弁64であるCCB2の断線時における動作について説明する。CCB2断線時は、図25に示すように、第2変速制御弁64をOFF状態からON状態にできない。従って、CCB2断線時は、第1変速制御弁63がOFF状態であると、第2油圧室OP2の油圧Pbが第2所定圧に維持され、差圧Pb−Paが第2所定圧と第1所定圧との差分となり、第1変速制御弁63をON状態であると、差圧Pb−Paが第2所定圧と第1所定圧との差分から−Psとなる。
ここで、第1供給排出ポート切替弁SW5をON制御すると、第2変速制御弁64の排出ポート64dとオイルポンプ62とが連通し、供給ポート64cとオイルタンク61とが連通する。ここで、CCB2断線時でも、上述のように排出ポート64dと第1接続ポート64fとの連通状態が完全に遮断されず、供給ポート64cと第2接続ポート64eとの連通状態が完全に遮断されない。従って、第1供給排出ポート切替弁SW5のON制御時は、第2変速制御弁64を介して第1油圧室OP1に作動油が供給できる状態となり、第2油圧室OP2から作動油を排出できる状態となる。また、CCB2断線時であっても、上述のように、第2供給排出ポート切替弁SW5のOFF制御時であれば、第1変速制御弁63を介して第1油圧室OP1に作動油が供給できる状態であり、第2油圧室OP2から作動油を排出できる状態である。これらにより、CCB2断線時は、第1供給排出ポート切替弁SW5がON制御され、第2供給排出ポート切替弁SW6がOFF制御されていれば、第1油圧室OP1が常にオイルポンプ62のみと連通する状態となり、第2油圧室OP2が常にオイルタンク61のみと連通する状態となる。つまり、第2変速制御弁64を介して第1油圧室OP1から作動油が排出されなくなり、第2油圧室OP2に作動油が供給されなくなる。従って、トランスミッションECU70は、CCB2断線時でも、第1供給排出ポート切替弁SW5のON制御(第2供給排出ポート切替弁SW6はOFF制御)を行うことにより、第1油圧室OP1の油圧PaをPsに維持することができるとともに、第2油圧室OP2の油圧Pbを0に維持することができる(同図に示す一点鎖線(SW5(ON)))。これにより、同図のX33に示すように、CCB2断線時でも、第1供給排出ポート切替弁SW5のON/OFF制御のみを行うことにより、差圧Pb−Paをプラスの値とマイナスの値との間で変化させることができる。
次に、CCB2のショート時における動作について説明する。CCB2ショート時は、図26に示すように、第2変速制御弁64をON状態からOFF状態にできない。従って、CCB2ショート時は、第1変速制御弁63がOFF状態であると、第2油圧室OP2の油圧PbがPsに維持され、第1油圧室OP1の油圧Paが0に維持され、差圧Pb−PaがPsで一定となる。また、CCB2ショート時は、第1変速制御弁63がOFF状態からON状態となると、差圧Pb−PaがPsから0に変化する。
ここで、第1供給排出ポート切替弁SW5をON制御すると、第2変速制御弁64の排出ポート64dとオイルポンプ62とが連通し、供給ポート64cとオイルタンク61とが連通する。つまり、第1供給排出ポート切替弁SW5のON制御時は、第2変速制御弁64を介して第1油圧室OP1に作動油を供給できる状態となり、第2油圧室OP2から作動油を排出できる状態となる。また、CCB2ショート時であっても、上述のように、第2供給排出ポート切替弁SW5のOFF制御時であれば、第1変速制御弁63を介して第1油圧室OP1に作動油を供給できる状態であり、第2油圧室OP2から作動油を排出できる状態となる。これらにより、第1供給排出ポート切替弁SW5がON制御され、第2供給排出ポート切替弁SW6がOFF制御されていれば、第1油圧室OP1が常にオイルポンプ62のみと連通する状態となり、第2油圧室OP2が常にオイルタンク61のみと連通する状態となる。つまり、第2変速制御弁64を介して第1油圧室OP1から作動油が排出されなくなり、第2油圧室OP2に作動油が供給されなくなる。従って、トランスミッションECU70は、CCB2ショート時でも、第1供給排出ポート切替弁SW5のON制御(第2供給排出ポート切替弁SW6はOFF制御)を行うことにより、第1油圧室OP1の油圧PaをPsに維持することができるとともに、第2油圧室OP2の油圧Pbを0に維持することができる(同図に示す一点鎖線(SW5(ON)))。これにより、同図のX34に示すように、CCB2ショート時でも、第1変速制御弁63の開閉を行い、第1供給排出ポート切替弁SW5のON/OFF制御を行うことにより差圧Pb−Paをプラスの値(Ps)とマイナスの値との間に変化させることができる。
次に、CCB1およびCCB2の断線時における動作について説明する。CCB1断線CCB2断線時は、図27に示すように、第1変速制御弁63をOFF状態からON状態にできないとともに、第2変速制御弁64をOFF状態からON状態にできない。従って、CCB1およびCCB2の断線時では、第1油圧室OP1の油圧Paが第1所定圧に維持され、第2油圧室OP2の油圧Pbが第2所定圧に維持され、差圧Pb−Paが変化せず第2所定圧と第1所定圧との差分に維持される。
ここで、第1供給排出ポート切替弁SW5をON制御すると、第2変速制御弁64の排出ポート64dとオイルポンプ62とが連通し、供給ポート64cとオイルタンク61とが連通する。ここで、CCB2断線時でも、上述のように、第1供給排出ポート切替弁SW5のON制御時は、第2変速制御弁64を介して第1油圧室OP1に作動油が供給できる状態となり、第2油圧室OP2から作動油を排出できる状態となる。また、CCB1断線時であっても、上述のように、第2供給排出ポート切替弁SW6のOFF制御時であれば、第1変速制御弁63を介して第1油圧室OP1に作動油が供給できる状態であり、第2油圧室OP2から作動油を排出できる状態である。これらにより、CCB1断線CCB2断線時は、第1供給排出ポート切替弁SW5がON制御され、第2供給排出ポート切替弁SW6がOFF制御されていれば、第1油圧室OP1が常にオイルポンプ62のみと連通する状態となり、第2油圧室OP2が常にオイルタンク61のみと連通する状態となる。つまり、第2変速制御弁64を介して第1油圧室OP1から作動油が排出されなくなり、第2油圧室OP2に作動油が供給されなくなる。従って、トランスミッションECU70は、CCB1断線CCB2断線時でも、第1供給排出ポート切替弁SW5のON制御(第2供給排出ポート切替弁SW6はOFF制御)を行うことにより、第1油圧室OP1の油圧PaをPsに維持することができるとともに、第2油圧室OP2の油圧Pbを0に維持することができる(同図に示す一点鎖線(SW5(ON)))。これにより、同図のX35に示すように、CCB1断線CCB2断線時でも、第1供給排出ポート切替弁SW5のON/OFF制御のみを行うことにより、差圧Pb−Paをプラスの値とマイナスの値との間で変化させることができる。
次に、CCB1のショート、CCB2の断線時における動作について説明する。CCB1ショートCCB2断線時は、図28に示すように、第1変速制御弁63をON状態からOFF状態にできないとともに、第2変速制御弁64をOFF状態からON状態にできない。従って、CCB1ショートCCB2断線時では、第1油圧室OP1の油圧PaがPsに維持され、第2油圧室OP2の油圧Pbが0に維持され、差圧Pb−Paが変化せず−Psで一定となる。
ここで、上述のように、第2供給排出ポート切替弁SW6のON制御時は、第1変速制御弁63を介して第1油圧室OP1から作動油を排出できる状態であり、第2油圧室OP2に作動油を供給できる状態である。また、CCB2断線時であっても、上述のように、第1供給排出ポート切替弁SW5のOFF制御時であれば、第2変速制御弁64を介して第1油圧室OP1から作動油を排出できる状態であり、第2油圧室OP2に作動油を供給できる状態である。これらにより、第1供給排出ポート切替弁SW5がOFF制御され、第2供給排出ポート切替弁SW6がON制御されていれば、第1油圧室OP1が常にオイルタンク61のみと連通する状態となり、第2油圧室OP2が常にオイルポンプ62のみと連通する状態となる。つまり、第1変速制御弁63を介して第2油圧室OP2から作動油が排出されなくなり、第1油圧室OP1に作動油が供給されなくなる。従って、トランスミッションECU70は、CCB1ショートCCB2断線時でも、第2供給排出ポート切替弁SW6のON制御(第1供給排出ポート切替弁SW5はOFF制御)を行うことにより、第1油圧室OP1の油圧Paを0に維持することができるとともに、第2油圧室OP2の油圧PbをPsに維持することができる(同図に示す二点鎖線(SW6(ON)))。これにより、同図のX36に示すように、CCB1ショートCCB2断線時でも、第2供給排出ポート切替弁SW6のON/OFF制御のみを行うことにより、差圧Pb−Paをプラスの値とマイナスの値との間で変化させることができる。
次に、CCB1の断線、CCB2のショート時における動作について説明する。CCB1断線CCB2ショート時は、図29に示すように、第1変速制御弁63をOFF状態からON状態にできないとともに、第2変速制御弁64をON状態からOFF状態にできない。従って、CCB1断線CCB2ショート時では、第1油圧室OP1の油圧Paが0に維持され、第2油圧室OP2の油圧PbがPsに維持され、差圧Pb−Paが変化せずPsで一定となる。
ここで、第1供給排出ポート切替弁SW5をON制御時は、CCB2ショート時でも、第2供給排出ポート切替弁SW6のOFF制御時であれば、上述のように、第2変速制御弁64を介して第1油圧室OP1に作動油を供給できる状態であり、第2油圧室OP2から作動油を排出できる状態となる。また、CCB1断線であっても、第2供給排出ポート切替弁SW6のOFF制御時であれば、上述のように、第1変速制御弁63を介して第1油圧室OP1に作動油が供給できる状態であり、第2油圧室OP2から作動油を排出できる状態である。これらにより、CCB1断線CCB2ショート時は、第1供給排出ポート切替弁SW5がON制御され、第2供給排出ポート切替弁SW6がOFF制御されていれば、第1油圧室OP1が常にオイルポンプ62のみと連通する状態となり、第2油圧室OP2が常にオイルタンク61のみと連通する状態となる。つまり、第2変速制御弁64を介して第1油圧室OP1から作動油が排出されなくなり、第2油圧室OP2に作動油が供給されなくなる。従って、トランスミッションECU70は、CCB1断線CCB2ショート時でも、第1供給排出ポート切替弁SW5のON制御(第2供給排出ポート切替弁SW6はOFF制御)を行うことにより、第1油圧室OP1の油圧PaをPsに維持することができるとともに、第2油圧室OP2の油圧Pbを0に維持することができる(同図に示す一点鎖線(SW5(ON)))。これにより、同図のX37に示すように、CCB1断線CCB2ショート時でも、第1供給排出ポート切替弁SW5のON/OFF制御のみを行うことにより、差圧Pb−Paをプラスの値とマイナスの値との間で変化させることができる。
次に、CCB1およびCCB2のショート時における動作について説明する。CCB1ショート、CCB2ショート時は、図30に示すように、第1変速制御弁63をON状態からOFF状態にできないとともに、第2変速制御弁64をON状態からOFF状態にできない。従って、CCB1ショートCCB2ショート時では、第1油圧室OP1の油圧PaがPsと0との間に維持され、第2油圧室OP2の油圧PbがPsと0との間に維持され、差圧Pb−Paが0で一定となる。
ここで、第1供給排出ポート切替弁SW5をON制御時は、CCB2ショート時でも、第2供給排出ポート切替弁SW6のOFF制御時であれば、上述のように、第2変速制御弁64を介して第1油圧室OP1に作動油を供給できる状態であり、第2油圧室OP2から作動油を排出できる状態となる。また、CCB1ショート時でも、第2供給排出ポート切替弁SW5のOFF制御時であれば、上述のように、第1変速制御弁63を介して第1油圧室OP1に作動油が供給できる状態であり、第2油圧室OP2から作動油を排出できる状態である。これらにより、CCB1ショートCCB2ショート時は、第1供給排出ポート切替弁SW6がON制御され、第2供給排出ポート切替弁SW6がOFF制御されていれば、第1油圧室OP1が常にオイルポンプ62のみと連通する状態となり、第2油圧室OP2が常にオイルタンク61のみと連通する状態となる。つまり、第2変速制御弁64を介して第1油圧室OP1から作動油が排出されなくなり、第2油圧室OP2に作動油が供給されなくなる。従って、トランスミッションECU70は、CCB1ショートCCB2ショート時でも、第1供給排出ポート切替弁SW5のON制御(第2供給排出ポート切替弁SW6はOFF制御)を行うことにより、第1油圧室OP1の油圧PaをPsに維持することができるとともに、第2油圧室OP2の油圧Pbを0に維持することができる(同図に示す一点鎖線(SW5(ON)))。また、第2供給排出ポート切替弁SW6をON制御時は、CCB1ショート時でも、第1供給排出ポート切替弁SW5のOFF制御時であれば、上述のように、第1変速制御弁63を介して第2油圧室OP2に作動油を供給できる状態であり、第1油圧室OP1から作動油を排出できる状態となる。また、CCB2ショート時でも、第1供給排出ポート切替弁SW5のOFF制御時であれば、上述のように、第2変速制御弁64を介して第2油圧室OP2に作動油が供給できる状態であり、第1油圧室OP1から作動油を排出できる状態である。これらにより、CCB1ショートCCB2ショート時は、第2供給排出ポート切替弁SW6がON制御され、第1供給排出ポート切替弁SW5がOFF制御されていれば、第1油圧室OP1が常にオイルタンク61のみと連通する状態となり、第2油圧室OP2が常にオイルポンプ62のみと連通する状態となる。つまり、第1変速制御弁63を介して第2油圧室OP2から作動油が排出されなくなり、第1油圧室OP1に作動油が供給されなくなる。従って、トランスミッションECU70は、CCB1ショートCCB2ショート時でも、第2供給排出ポート切替弁SW6のON制御(第1供給排出ポート切替弁SW5はOFF制御)を行うことにより、第1油圧室OP1の油圧Paを0に維持することができるとともに、第2油圧室OP2の油圧PbをPsに維持することができる(同図に示す二点鎖線(SW6(ON)))。
以上のように、実施の形態3にかかるトロイダル式無段変速機では、CCB1断線時、CCB2断線時、CCB1ショート時、CCB2ショート時、CCB1断線CCB2断線時、CCB1断線CCB2ショート時、CCB1ショートCCB2断線時、CCB1ショートCCB2ショート時に、第1供給排出ポート切替弁SW5のON/OFF制御あるいは第2供給排出ポート切替弁SW6のON/OFF制御の少なくともいずれか一方を行うことで、差圧Pb−Paをマイナスの値とプラスの値との間で変化させることができる。従って、油圧制御装置60により油圧サーボ機構50を介してパワーローラ30を第1方向Eおよび第2方向Fに移動させることができ、パワーローラ30を中立位置から第1方向Eおよび第2方向Fにストロークさせることができる。これにより、変速比γの変更、すなわち変速比γを目標変速比γoに増加あるいは減少することが可能となり、第1変速制御弁あるいは第2変速制御弁の少なくともいずれか一方に異常が発生しても変速制御性が悪化することを抑制することができる。
また、第1供給排出ポート切替弁SW5および第2供給排出ポート切替弁SW6が第1変速制御弁63および第2変速制御弁64と、オイルタンク61およびオイルポンプ62との間に配置されているので、第1変速制御弁63および第2変速制御弁64と、第1油圧室OP1および第2油圧室OP2との間の経路における作動油の漏れを抑制することができる。従って、第1変速制御弁63および第2変速制御弁64の通常時における変速制御性の悪化を抑制することができる。