JP4604295B2 - トロイダル型無段変速機 - Google Patents

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    • F16ENGINEERING ELEMENTS AND UNITS; GENERAL MEASURES FOR PRODUCING AND MAINTAINING EFFECTIVE FUNCTIONING OF MACHINES OR INSTALLATIONS; THERMAL INSULATION IN GENERAL
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    • F16H61/00Control functions within control units of change-speed- or reversing-gearings for conveying rotary motion ; Control of exclusively fluid gearing, friction gearing, gearings with endless flexible members or other particular types of gearing
    • F16H61/66Control functions within control units of change-speed- or reversing-gearings for conveying rotary motion ; Control of exclusively fluid gearing, friction gearing, gearings with endless flexible members or other particular types of gearing specially adapted for continuously variable gearings
    • F16H61/664Friction gearings
    • F16H61/6649Friction gearings characterised by the means for controlling the torque transmitting capability of the gearing

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  • General Engineering & Computer Science (AREA)
  • Mechanical Engineering (AREA)
  • Friction Gearing (AREA)
  • Control Of Transmission Device (AREA)

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、油圧ローダによって入力ディスクと出力ディスクとの間でパワーローラを押し付けて、入力軸の回転を入力ディスクからパワーローラを介して出力ディスクに無段階に変速して出力するトロイダル型無段変速機に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、無段変速機として、入力軸により駆動される入力ディスク、前記入力ディスクに対向して配置され且つ出力軸に連結された出力ディスク、及び両ディスクに摩擦接触するパワーローラからなるトロイダル変速部を同一軸上に一組又は複数組配置したトロイダル型無段変速機が知られている。このトロイダル型無段変速機においては、パワーローラの傾転角度を変えることによって、入力ディスクの回転を、無段階に変速して出力ディスクに伝達することができる。
【0003】
トロイダル型無段変速機において、パワーローラを入力ディスクと出力ディスクとに押し付ける押付け力をエンジンからのトルクに応じて変える手段として、ローディングカムを用いた型式のものがある。エンジンからのトルクをすべてトロイダル型無段変速機に入力する型式のものでは、ローディングカムによって入力トルクに比例した押付け力が得られるので、両ディスクとパワーローラとの転がり接触部に必要充分な圧接力が得られ、接触部の転がり疲労が過大になることがない。しかしながら、車両の運転状態に応じて、エンジンからのトルクの一部をトロイダル型無段変速機を介さずに直接に出力するものにおいては、エンジンからのトルクはトロイダル変速部を通じて伝達されるトルクと一致しないので、接触部に与えられる圧接力が不足すると接触部で滑りが発生し、また、圧接力が過大になると接触部に転がり疲労が発生し易くなる。
【0004】
そこで、図4に一例として示されているように、入力ディスクと出力ディスクとの間にパワーローラを圧接する手段として、ローディングカムの代わりに油圧ローダを用いて、トロイダル変速部を通じて伝達されるトルクに応じて油圧ローダの油圧を制御するトロイダル型無段変速機が提案されている。図4に示すトロイダル型無段変速機は、2組のトロイダル変速部1,2を主軸3上に並べて配置した、所謂、ダブルキャビティ式トロイダル型無段変速機である。図4に示したダブルキャビティ式トロイダル型無段変速機においては、トロイダル変速部1は、入力ディスク4と、入力ディスク4に対向して配置された出力ディスク5と、入力ディスク4と出力ディスク5との間に配置され且つ両ディスク4,5のトロイド曲面に摩擦係合する一対のパワーローラ6から構成されている。トロイダル変速部2もトロイダル変速部1と同様に、入力ディスク7と、入力ディスク7に対向して配置された出力ディスク8と、入力ディスク7と出力ディスク8との間に配置され且つ両ディスク7,8のトロイド曲面に摩擦係合するパワーローラ9とから構成されている。パワーローラ6,9は、それぞれ自己の回転軸線10の周りに回転自在であり、且つ回転軸線10に直交する傾転軸11(紙面に垂直)の周りに傾転運動をする。
【0005】
エンジンからの動力は、油圧ローダ12を介して主軸3に回転入力される。主軸3と一体回転可能な入力ディスク4は、油圧ローダ12のピストンとして作動し、油圧ローダ12の油圧の大きさに応じてトロイダル変速部1のパワーローラ6を押圧し、その反作用として油圧ローダ12のシリンダは主軸3を介してトロイダル変速部2において主軸3と一体回転可能な入力ディスク7をパワーローラ9に押圧する。したがって、主軸3は、入力ディスク4,7に対して入力軸となっている。油圧ローダ12による押付け力(スラスト力)は、入力ディスク4,7と出力ディスク5,8との間でパワーローラ6,9を挟み付け、伝達トルクの大きさに応じた摩擦係合力を与える。
【0006】
トロイダル変速部1,2において、入力ディスク4,7の回転は、傾転軸11の周りに傾転可能なパワーローラ6,9を介して出力ディスク5,8に無段階に変速されて伝達される。パワーローラ6,9は、トラニオン(図5の35を参照)に対して回転自在に且つ揺動自在に支持されており、押付け力に応じて生じる主軸3の軸方向変位に対応することができる。
【0007】
パワーローラ6,9の回転軸線10が主軸3の軸線と交差している中立位置では、変速比はパワーローラ6,9の傾転角に応じた値に保持される。トルク伝達中に、トラニオンと共にパワーローラ6,9を傾転軸11の軸方向に移動させると、パワーローラ6,9と入力ディスク4,7及び出力ディスク5,8との接触位置が上記中立位置における接触位置から変位し、パワーローラ6,9は、両ディスクから傾転力を受けて、傾転軸11における移動方向と移動量に応じた方向と速さで傾転軸11を中心とした傾転をする。このような傾転が生じると、パワーローラ6,9と入力ディスク4,7及び出力ディスク5,8との摩擦接触点が描く両半径の比が変化することによって無段変速が行われる。パワーローラ6,9の傾転制御は、コントローラ(図5の47を参照)によって、目標変速比が達成されるように、油圧アクチュエータ(図5の36を参照)の作動を介してトラニオンの傾転軸方向変位が制御される。
【0008】
出力ディスク5,8は、一体回転できるように背面同士を連結軸16上にスプライン嵌合等で連結されている。連結軸16は主軸3に相対回転可能に嵌合された中空軸である。出力ディスク5,8は、連結軸16を介してスラスト方向及びラジアル方向の荷重を支持する軸受(図示せず)によってケーシング22に支持されている。出力ディスク5,8に伝達された動力はチェーン伝動装置17を介して主軸3に平行に配設されているカウンタ軸21に取り出される。チェーン伝動装置17は、連結軸16の中間部とカウンタ軸21の一端にそれぞれ一体的に配設されたスプロケット18,19と、スプロケット18,19に巻き掛けられたチェーン20から構成されている。
【0009】
カウンタ軸21の他端に設けられている出力歯車23は、出力軸24に回転可能に配設されているキャリヤ25に形成されている歯車26と噛み合い、キャリヤ25の回転は発進クラッチ27を介して出力軸24に連結可能である。主軸3の油圧ローダ12とは反対側の端部には高速モード用クラッチ28が配設されており、高速モード用クラッチ28の出力側にはケーシング22との間に後進用ブレーキ29が配設されている。また、高速モード用クラッチ28の出力側と出力軸24との間には、高速モード用クラッチ28の出力側に一体的に形成されているリングギヤ31、出力軸24に一体的に形成されているサンギヤ32、リングギヤ31とサンギヤ32との間においてそれぞれ噛合状態に係合する状態で径方向に並び且つキャリヤ25によって回転自在に支持された二つのピニオン33,34から成るダブルピニオン式の遊星歯車機構30が配設されている。
【0010】
次に、このトロイダル型無段変速機の作動について説明する。発進時には、発進クラッチ27が半クラッチ状態から完全締結状態にまでクラッチ圧力が調節される。高速モード用クラッチ28及び後進用ブレーキ29は、オフ作動となっている。エンジンからの動力は、主軸3、トロイダル変速部1,2の入力ディスク4,7、パワーローラ6,9、出力ディスク5,8、連結軸16、チェーン伝動装置17、カウンタ軸21、及び発進クラッチ27を経て、主軸3の回転方向と同じ方向の回転が出力軸24に伝達される。
【0011】
高速走行モードでは、高速モード用クラッチ28がオン作動で発進クラッチ27及び後進用ブレーキ29はオフ作動となっており、主軸3の回転は高速モード用クラッチ28から遊星歯車機構30に伝達される。一方、主軸3の回転はトロイダル変速部1,2からカウンタ軸21を経てキャリヤ25にも同じ回転方向の回転として伝達されているので、キャリヤ25の回転速度に応じて遊星歯車機構30のサンギヤ32から出力軸24に出力される速度が変化する。後進走行モードでは、後進用ブレーキ29はオン作動されると共に発進クラッチ27及び高速モード用クラッチ28はオフ作動とされる。遊星歯車機構30のリングギヤ31が回転不能となるので、主軸3の回転はトロイダル変速部1,2からカウンタ軸21、キャリヤ25を経て、出力軸24に逆回転として出力される。なお、遊星歯車機構30は、ダブルピニオン式として説明したが、主軸3と出力軸24の回転方向が逆関係になるが、シングルピニオン式でもよいことは言うまでもない。
【0012】
図5には、トロイダル型無段変速機における一方のトロイダル変速部1の変速制御システムが示されている。一対のパワーローラ6,6(一方のみ図示)は、入力ディスク4と出力ディスク5の間に挟まれるようにして対向して配置され、回転軸線10の回りに回転自在に支持されている。回転軸線10それ自体は、それぞれトラニオン35と称する支持部材に対してピボット軸となっている支持軸(図示せず)によって揺動自在に支持され、入出力ディスクの軸方向変位に対応可能となっている。また、それぞれのトラニオン35は、変速機ケーシング22(図4参照)に対して傾転軸11の回りに傾転可能であり且つ傾転軸11の軸方向に移動可能に支持されている。
【0013】
トラニオン35は、油圧アクチュエータ36により傾転軸11の軸方向に駆動される。油圧アクチュエータ36は、トラニオン35に固定されたピストン37と、変速機ケーシング22に形成され且つピストン37を摺動可能に設けた油圧シリンダ38とから構成されている。油圧シリンダ38内にはピストン37によって区画された2つのシリンダ室、即ち増速側シリンダ室38aと減速側シリンダ室38bとが形成されている。この例では、トラニオン35の下端部に油圧アクチュエータ36を設けたが、一方のシリンダ室をトラニオン35の上端部に、他方のシリンダ室をトラニオン35の下端部に分割して配置してもよい。
【0014】
油圧アクチュエータ36の各シリンダ室38a、38bは油路39a、39bによって、トロイダル型無段変速機の変速比制御弁40であるスプール弁に連通している。変速比制御弁40は、ばね43で図左方向に付勢されたスリーブ41と、スリーブ41内においてばね44で図右方向に付勢されたスプール42とを有している。変速比制御弁40には、ライン圧力PLが接続され、スリーブ41とスプール42との相対位置に応じて、ライン圧力PLが油路39a及び39bの一方に連通し、油路39a及び39bの他方はリザーバRにドレンされる。ライン圧力PLが油路39aに連通するとき増速側シリンダ室38aには油圧Pupが作用し、ライン圧力PLが油路39bに連通するとき減速側シリンダ室38bに油圧Pdwnが作用する。
【0015】
一方の傾転軸11の先端にはプリセスカム45が連結され、中央部を枢着されたレバー46の一端がプリセスカム45に当接し、レバー46の他端が変速比制御弁40のスプール42に当接している。プリセスカム45は、トラニオン35の傾転軸11の軸方向変位量Yと傾転角変位量θとの合成変位量を検出する。スプール42は、この合成変位量に対応して変位し、スリーブ41との相対位置に応じてライン圧力PLを油路39a及び39bの一方に供給する。
【0016】
トロイダル型無段変速機では、トラニオン35を中立位置からいずれか一方へ傾転軸方向(即ち、傾転軸11の軸方向)に変位させると、パワーローラ6,9と入力ディスク4,7及び出力ディスク5,8との接触位置が変化することにより、傾転軸11の変位方向と変位量に応じた向きと速さでトラニオン35が傾転軸11の回りで傾転するという性質を利用して、該傾転を制御することにより変速制御が行われる。コントローラ47には、出力軸回転数センサ48、エンジン回転数センサ49、アクセルペダル踏込み量センサ50等の車両の運転状態を検出する各種センサで検出された出力軸回転数、エンジン回転数、アクセルペダル踏込み量等の変速情報信号が入力される。なお、出力軸回転数センサ48は車速センサであってもよく、アクセルペダル踏込み量センサ50はスロットル開度センサであってもよい。コントローラ47は、車両の運転状態を表す変速情報信号に基づいて目標変速比を算出し、算出した目標変速比に応じて変速比設定ソレノイド弁66を制御し、パイロット圧力Ppを目標変速比に応じた圧力に変更して、変速比制御弁40のばね43に対向するスリーブ41の端部に供給する。即ち、変速比制御弁40内においては、スリーブ41の位置は目標変速比を表し、スプール42の位置は実変速比を表し、変速比制御弁40は実変速比が目標変速比に一致するように作動する。
【0017】
上記のトロイダル型無段変速機において、油圧ローダ12によって発生された油圧によって入出力ディスク4,5(7,8)はパワーローラ6(9)に押し付けられる。接触部Aにおいて法線方向に必要な押付け力Fcは、伝達トルクTe及び無段変速部の変速比に応じて変化し、トロイダル変速部1を示す図6を参照すると、パワーローラ6は一対配設されているので、次の式のようになる。
Fc=Fa/2sinθ (1)式
ここで、Faは油圧ローダ12の押付け力、θは傾転軸11の傾転角である。伝達トルクTeは、接触部Aの法線方向の押付け力Fcにトラクション係数μt (トラクション油の物性等に依存する係数)を乗じた接線力に、パワーローラの個数np (図1ではnp =4)と接触半径R1とを乗じたものであるから、
Te=Fc・μt ・np ・R1となる。 (2)式
(2)式に(1)式を代入して整理すると、次の(3)式が得られる。
Fa=(2sinθ・Te)/(R1・np ・μt ) (3)式
【0018】
変速比が一定、即ち、接触部Aが占める幾何学的条件(θ,R1)が一定であり、且つ伝達トルクも一定であると仮定して、油圧ローダ12の押付け力Faが適正値を下回る(μt が大きくなる)と、接触部Aでの押付け力Fcが不足して滑ってしまい動力を伝達することができなくなる。一方、油圧ローダ12の押付け力Faが適正値を上回って過大となる(μt が小さくなる)と、接触部Aの転がり疲労を早め入出力ディスク4,5,7,8やパワーローラ6,9の寿命を短くしてしまう。このように油圧ローダ12の適正な押付け力Faを維持する(所定のμt を維持する)ことは信頼性の高いトロイダル型無段変速機を提供する上で非常に重要である。
【0019】
油圧ローダを用いたトロイダル型無段変速機においては、コントローラが検出したエンジン回転数やアクセルペダルの踏込み量等に基づいて、無段変速部に入力されるトルクを演算的に類推し、トルク演算結果に基づいて油圧ローダへの供給圧力が制御される。そのため、トルク検出精度が低く、また加減速時のような過渡状態では、慣性に起因するトルクを充分な精度で検出することができず、油圧ローダに対してより適切な押付け力を設定することができない。一般的には、上記の不確定要素を安全率という形で高めの押付け力(低いμt )を設定しているので、寿命の低下や装置の大型化、効率の低下という問題を招いている。
【0020】
オイルポンプが駆動した油圧をレギュレータバルブでライン圧力に調圧し、入力ディスク又は出力ディスクにローダ圧力を導入してディスク間にパワーローラを圧接し、変速比を変更するため変速比制御弁がライン圧力をパワーローラを傾転可能に支持するトラニオンの駆動側油圧作動室と非駆動側油圧作動室とに選択的に供給し、トラニオンを傾転軸方向に移動させて変速比を無段階に変更するトロイダル型無段変速機において、トロイダル変速部を伝達される伝達トルクを駆動側油圧作動室の油圧として取り出し、この油圧をレギュレータバルブに戻し、この油圧と自己圧(ライン圧力)とで作動するスプールを備えたレギュレータバルブの出力であるライン圧力を制御することにより、伝達トルクの大きさに応じて油圧ローダのローダ圧力を可変として、油圧損失を低減すると共にパワーローラと入出力ディスクとの接触部での滑りを無くすことが提案されている(特開平1−250657号公報)。
【0021】
入出力ディスク間にパワーローラを配置したトロイダル変速機構を有し、ローディングカム機構によりこの変速機構のディスク及びパワーローラ間に押付け力を発生させるトロイダル型無段変速機において、ローディングカムに並列に油圧シリンダを設けて、マイナストルク時には、オイルポンプからのライン圧を、油圧弁によって調整した油圧を油圧シリンダに供給して、ローディングカムのカム作動による押付け力に加えて油圧シリンダの押付け力を作用させることにより、カムヒステリシスの増大を回避しつつ、マイナストルク時の押付け力を確保した制御装置が提案されている(特開平5−39848号公報)。油圧弁は、トラニオンを傾転軸の軸方向に駆動するための高圧側シリンダの油圧と低圧側シリンダの油圧とをスプールの両端に作用させて、調整されたライン圧力を得ている。
【0022】
入出力ディスク間にパワーローラを配置したトロイダル型無段変速機において、入出力ディスクとパワーローラとの間に要求される押付け力を、トロイダル変速部を通じて伝達される伝達トルクとパワーローラの傾転角とに応じて調整することにより、油圧損失を低減すると共に伝動効率を改善し耐久性を向上することが提案されている(特公平6−72652号公報)。
【0023】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、入力ディスク又は出力ディスクのいずれか一方に配設されて入力ディスクと出力ディスクとの間でパワーローラを圧接する油圧ローダが設けられているトロイダル型無段変速機において、油圧ローダに供給される油圧力を変速比と伝達トルクとに応じて制御して、入力トルクや変速比によらず、入力ディスク及び出力ディスクとパワーローラとの間において適正なトラクション係数μt を維持することを可能にする点で解決すべき課題がある。
【0024】
【課題を解決するための手段】
この発明の目的は、上記課題を解決することであり、入力ディスク又は出力ディスクのいずれか一方に配設されて入力ディスクと出力ディスクとの間でパワーローラを圧接する油圧ローダに伝達トルク及び変速比に見合った必要最低限のローダ圧力を生じさせ、パワーローラ及び入力ディスクと出力ディスクとの接触部における転動疲労を軽減することが可能であり、小型、高い信頼性、高効率なトロイダル型無段変速機を提供することである。
【0025】
この発明は、エンジンの回転が入力される入力ディスク、前記入力ディスクと対向して配置され出力軸に連結された出力ディスク、前記入力ディスクと前記出力ディスクとの間に圧接状態に配設され前記入力ディスクの回転を無段階に変速して前記出力ディスクに伝達するパワーローラ、前記入力ディスクと前記出力ディスクとのいずれか一方に配設され且つ前記パワーローラと前記入力ディスク及び前記出力ディスクとの接触部に押付け力を与える油圧ローダ、前記パワーローラを回転自在に軸支し且つ前記接触部の位置を変更することによる変速比の変更のため傾転軸の回りに傾転可能なトラニオン、前記トラニオンを前記傾転軸の回りに傾転させるため前記トラニオンを前記傾転軸の軸方向に変位させる油圧駆動手段、前記油圧ローダと前記油圧駆動手段とにそれぞれ制御された油圧を供給するためのライン圧力を供給する油圧駆動源、前記パワーローラを介して伝達されるトルクを検出する伝達トルク検出手段、及び前記トラニオンの前記傾転軸の回りにおける傾転角と前記伝達トルク検出手段が検出した伝達トルクとに応じて、前記接触部における一定のトラクション係数を得るように、前記油圧駆動源からの前記ライン圧力を修正するライン圧力修正機構から成るトロイダル型無段変速機に関する。
【0026】
このトロイダル型無段変速機によれば、ライン圧力修正機構は、トラニオンの傾転軸の回りにおける傾転角、即ち、変速比と、伝達トルク検出手段が検出した伝達トルクとの両方に対して、油圧駆動源からのライン圧力を修正し、パワーローラと入出力ディスクとの接触部におけるトラクション係数を一定にする制御が同時に実現されるので、変速比及び伝達トルクが変わっても、油圧ローダの必要充分な油圧力が自動的に得られる。
【0027】
このトロイダル型無段変速機において、前記油圧駆動手段には、前記油圧駆動源から供給される前記ライン圧力を車両の運転状態に応じて調圧する変速比制御弁によって制御された油圧が供給される。
【0028】
前記油圧駆動手段は、前記トラニオンを前記傾転軸の軸方向に駆動するための増速側シリンダ室と減速側シリンダ室とを有する油圧アクチュエータであり、前記伝達トルク検出手段は前記増速側シリンダ室と前記減速側シリンダ室との差圧の絶対値を求める差圧検出弁である。トラニオンを傾転軸の軸方向に駆動する油圧アクチュエータの増速側シリンダ室の圧力と減速側シリンダ室の圧力との差圧は、トロイダル変速部を通過する伝達トルクに比例していることに着目して、差圧検出弁が両シリンダ室の圧力の差圧として、伝達トルクを検出する。
【0029】
前記差圧検出弁は、車両がドライブ運転状態にあるときに前記増速側シリンダ室の油圧から前記減速側シリンダ室の油圧を差し引いた正の第1差圧を出力する第1差圧検出弁、前記車両がコースト運転状態にあるときに前記減速側シリンダ室の油圧から前記増速側シリンダ室の油圧を差し引いた正の第2差圧を出力する第2差圧検出弁、及び前記第1差圧と前記第2差圧とが導入されて高い油圧を出力するシャトル弁から構成されている。車両がドライブ運転状態であるかエンジンブレーキ作動状態であるかに応じて、差圧が正負に変化するのを回避するため、絶対値として差圧が検出されるように、シャトル弁が配設される。
【0030】
前記ライン圧力修正機構は、前記変速比に応じて傾転する前記トラニオンの前記傾転角に応じて変位するレバーを備えた変速比制御系機構と、前記変速比制御系機構の前記レバーにレバー比を変更可能に係合し、前記差圧検出弁が検出した前記伝達トルクに応じて生じる前記差圧に応じた力を前記レバーに作用させ、前記レバーに作用する前記力の釣合いに応じて前記ライン圧力を修正するための修正参照圧力を出力する差圧制御系機構とから構成されている。
【0031】
前記変速比制御系機構は、前記トラニオンの前記傾転角に応じたリフト量を与えるカムプロフィールを有するカム、前記カムに接して前記傾転角に応じたリフト量で変位するカムフォロア、及び前記カムフォロアに対して支点において回動可能に連結された前記レバーから構成され、前記差圧制御系機構は、出口側自己圧力である前記修正参照圧力と前記差圧検出弁が検出した前記差圧とに基づいて変位する第1スプールと前記第1スプールに接続されて前記修正参照圧力に応じた第1出力を前記レバーの一端側に伝達する第1ロッドとを備えた修正参照圧力設定弁、及び前記差圧検出弁が検出した前記差圧に基づいて変位する第2スプールと前記第2スプールに接続されて前記差圧に応じた第2出力を前記レバーの他端側に伝達する第2ロッドとを備えた油圧付勢手段から構成され、前記修正参照圧力設定弁は、前記支点と前記第1ロッドとの間の距離に対する前記第1ロッドと前記第2ロッドとの間の距離の比及び前記差圧の積に比例する圧力を前記修正参照圧力として出力する。
【0032】
前記ライン圧力修正機構は、前記トラニオンの前記傾転角と前記伝達トルク検出手段が検出した前記伝達トルクとに応じて出力された前記修正参照圧力に対応した目標ライン圧力以上のライン圧力をリリーフするリリーフ弁によって前記ライン圧力を減圧修正する。
【0033】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面を参照しつつ、この発明の実施例を説明する。図1はこの発明による油圧ローダのローダ圧力制御を行うトロイダル型無段変速機において用いられる油圧回路の一実施例を示す図、図2は図1に示す油圧回路において用いられるライン圧力制御弁の一実施例を示す断面図、図3は図1に示す油圧回路において用いられる修正参照圧力設定弁の一実施例を示す断面図である。なお、この発明におけるトロイダル型無段変速機においても、図4及び図5に示したトロイダル型無段変速機及び変速比制御システムはそのまま適用可能であるので、図4及び図5に示した構成要素については、図4及び図5において用いた符号を用いることで重複した説明を省略する。
【0034】
図1に示すトロイダル型無段変速機の油圧回路図を参照すると、油圧駆動源である油圧ポンプ60が圧送したライン圧力PLの大きさは、圧力リリーフ弁として構成されるライン圧力制御弁61によって設定されている。ライン圧力PLは、一部が、トロイダル変速部1,2において、入力ディスク4,7をパワーローラ6,9に押し付けるための油圧ローダ12に導入され、更に一部は、パイロット弁62で一定の低いパイロット圧力Ppまで減圧される。パイロット圧力Ppはモードソレノイド弁63に供給されており、モードソレノイド弁63の作動に応じてパイロット圧力Ppがモード制御弁64に供給されるときにはモード制御弁64は、発進クラッチ27への供給油圧をドレンし高速モード用クラッチ28を運転者の操作によるマニュアルバルブ65の一方の出力ポートに連通している。モードソレノイド弁63の作動に応じてモード制御弁64の入力ポートがドレンされるときには高速モード用クラッチ28への供給油圧をドレンし発進クラッチ27をマニュアルバルブ65に連通している。
【0035】
パイロット圧力Ppの更に一部は、変速比設定ソレノイド弁66に供給され、コントローラ47が車両の運転状態に応じてソレノイドを制御することにより、設定変速比に応じた圧力を変速比制御弁40に供給している。プリセスカム45が検出した合成変位量は、図5で示したように、レバー46を介して機械的に変速比制御弁40のスプール42に入力され、変速比制御弁40の作動に応じて油圧アクチュエータ36の増速側シリンダ室38a又は減速側シリンダ室38bの何れか一方にライン圧力PLが供給され、他方のシリンダ室はドレンされる。
【0036】
増速側シリンダ室38aの圧力Pup及び減速側シリンダ室38bの圧力Pdwnは、それぞれ、ドライブ走行時のトルク検出用の第1差圧検出弁67と、コースト走行時のトルク検出用の第2差圧検出弁68とに供給される。増速側シリンダ室38aの圧力Pupと減速側シリンダ室38bの圧力Pdwnとの差圧(絶対値)|ΔP|(=|Pup−Pdwn|)は、トロイダル変速部1,2において伝達されるトルクに比例している。発進時の伝達トルクも、トルクに比例した差圧ΔPとして第1差圧検出弁67によって検出され且つ出力される。各差圧検出弁67,68は、ばね付勢されたスプールを有するスプール弁であり、出力側の差圧ΔPがそれぞれ減速側シリンダ室38bの圧力Pdwn又は増速側シリンダ室38aの圧力Pupに加勢する側にフィードバックされている。ドライブ走行時とコースト走行時とでは差圧が正負に変化するので、ドライブ走行時には第1差圧検出弁67がライン圧PLを減圧して出力ポートに正の第1差圧ΔP1 (=Pup−Pdwn)を、また、コースト走行時には第2差圧検出弁68が正の第2差圧ΔP2 (=Pdwn−Pup)を出力する。差圧検出弁67,68が出力した差圧ΔPは、シャトル弁73によって常に高い方の正の圧力(即ち、ドライブ走行時には差圧検出弁67が検出した第1差圧ΔP1 、コースト走行時には差圧検出弁68が検出した第2差圧ΔP2 )が出力され、検出トルクに応じてライン圧力PLを修正するため油圧ポンプ60の吐出側に配設されているライン圧力修正機構72に入力される。
【0037】
クラッチ圧力制御弁69の一端には、第1差圧検出弁67が出力した差圧ΔP1 が作用している。クラッチ圧力制御弁69の他端には、目標クラッチ圧力信号Pctが入力される。目標クラッチ圧力信号Pctは、ライン圧力調整弁70の出力側圧力を、車両の運転状態に応じて発進ソレノイド弁71によって調節した圧力信号であり、一般には、例えば、発進時におけるアクセルペダルの踏込み量や車速によって時間の経過に従って変化するようにコントローラ47によって決定される目標圧力を表す。クラッチ圧力制御弁69は、ばね付勢されたスプールを備えたスプール弁である。
【0038】
図2に示すライン圧力制御弁61は、油圧ポンプ60の吐出側に設けられており、所定の圧力PL0 以上のライン圧力PLとなったときに開弁して高い圧力をリザーバ側に逃しライン圧力PLが前記所定のライン圧力PL0 となるように制御するリリーフ弁である。ライン圧力制御弁61は、スプール104が弁本体103に摺動自在に収納されたスプール弁であり、第1ポート101に入力されたライン圧力PLがスプール104の左端側に作用され、第2ポート102に入力されたライン圧力修正機構72の出力である修正参照圧力Pmfがスプール104の他端側に作用する。ライン圧力PLが上昇し、スプール104を図で右方に押す力が、修正参照圧力Pmfに基づいてスプール104を図で左方に押す力よりも大きくなると、スプール104は右方に変位して、入口ポート105に入力しているライン圧力PLが出口ポート106に連通して、ライン圧力PLの油圧がリザーバにリリーフされる。従って、ライン圧力PLが修正参照圧力Pmfに応じた圧力(PL=Pmf×面積比S1 /S2 )まで低下することになる。なお、Exポートは、スプールの周囲から漏洩したオイルを排出して回収するためのポートである。
【0039】
図3には、トラニオンを傾転軸の軸方向に駆動する油圧アクチュエータの増速側シリンダの油圧と減速側シリンダの油圧との差圧ΔPに基づいて、ライン圧力制御弁61に入力するための修正参照圧力Pmfを出力するライン圧力修正機構72が示されている。図3を参照すると、ライン圧力修正機構72は、トラニオン35の傾転軸11が回動した傾転角θに応じて支点を変更する変速比制御系機構109と、第1出力F1 を生じさせる修正参照圧力設定弁111、及び第2出力F2 を生じさせる油圧付勢手段112から成る差圧制御系機構110とから構成されている。変速比制御系機構109は、トラニオン35の傾転軸11が回動した傾転角θに応じて回転するカム113と、ばね116でカム113に付勢されカム113のプロフィールに応じて追従し変位するカムフォロア115を備えたプッシュロッド114と、プッシュロッド114に支点117で回動自在に支持され且つ両端にそれぞれ修正参照圧力設定弁111の第1ロッド121と油圧付勢手段112の第2ロッド122がスライド自在に係合する係合溝119,120が形成されたレバー118とから構成されている。
【0040】
修正参照圧力設定弁111は、入力ポート124にライン圧力PLが入力され、出力ポート125に修正参照圧力Pmfを出力する。第1ロッド121が接続する第1スプール126には、右端の受圧面積S1 に修正参照圧力Pmfが作用し、左側の受圧面積S2 に伝達トルクを表す差圧ΔPが作用している。修正参照圧力Pmfは、ライン圧力PLが第1スプール126と弁本体123との隙間を通じて出力されるときに減圧される。第1ロッド121がレバー118を押す第1出力をF1 とすると、釣合い式は、次の(4)式のようになる。
1 =Pmf・S1 −ΔP・S2 (4)式
また、油圧付勢手段112では、入力ポート127に差圧ΔPが入力され、第2スプール128の受圧面積S2 に作用して第2ロッド122を第2出力F2 で左方に付勢しているので、第2出力F2 は次の(5)式で表される。
2 =ΔP・S2 (5)式
【0041】
レバー118の支点117から修正参照圧力設定弁111の第1ロッド121までの距離をxとし、修正参照圧力設定弁111の第1ロッド121と油圧付勢手段112の第2ロッド122との間の距離をLとすると、レバー118の支点117回りのモーメントの釣合いから、つぎの式が成立する。
xF1 =(L−x)F2 (6)式
(4)式と(5)式を(6)式に代入することで、修正参照圧力Pmfは、次の(7)式のようにレバー比(L/x)に比例する量で表される。
Pmf=(L/x)・(S2/S1)・ΔP (7)式
【0042】
ここで、トラニオン35の傾転軸11に取り付けたカム113のカムプロフィールを、距離xがsinθに反比例となるように設定し、Lを適切に設定することにより、修正参照圧力Pmfは次の(8)式で表すことができる。
Figure 0004604295
ここで、Atはトラニオン制御ピストン面積、Alは油圧ローダの受圧面積、μt 0 は目標トラクション係数である。
【0043】
図2に示すライン圧力制御弁61のスプール104の釣合いから、(9)式が得られる。
PL=(S1/S2)・Pmf (9)式
また、(9)式に(8)式を代入することにより(10)式が得られ、油圧ローダ圧力PLが制御される。
PL=2sinθ・(At/Al)・ΔP・(1/μt 0 ) (10)式
(9)式を変形すると、次の(11)式が得られる。
μt 0 =(2sinθ/PL・Al)・(ΔP・At) (11)式
ここで、PL・Alは、ライン圧力PLに油圧ローダ12の受圧面積Alを乗じたものであり、油圧ローダ12の押付け力Faに相当する。また、ΔP・Atは油圧アクチュエータ36における差圧ΔPにトラニオン制御ピストン面積Atを乗じたものであるから、パワーローラ6,9を傾転軸11の軸方向に作用するトラクション力Ftである。従って、(11)式は、次の(12)式に表される。
μt 0 =(2sinθ/Fa)・Ft (12)式
更に、Fa/2sinθは、接触部Aにおける押付力Fcであるから、
μt 0 =Ft/(Fa/2sinθ)=Ft/Fc
となり、トラクション係数μt の定義式に一致する。
【0044】
以上のように、図3に示すライン圧力修正機構72のような、ライン圧力PLと油圧アクチュエータ36における差圧ΔPとトラニオン35の傾転角θ(変速比を反映したもの)とが入力される油圧的・機械的な構造を採用し、変速比制御系機構109の距離L,xを適切な値に設定することにより、ライン圧力制御弁61でライン圧力PLを修正する際に目標となるライン圧力修正機構72の出力として取り出された修正参照圧力Pmfは、トラクション係数μt を変速比と伝達トルクの両方に見合った目標トラクション係数μt 0 に対応した油圧ローダ12への供給圧力を制御することが可能になる。また、上式のFtは、実際に接触部Aで伝達するトラクション力に一致するため、コントローラ47で入力トルクを推定するような不確定な要素を排除でき、従来に比べて接触部Aでの押付け力を必要最小限に低減することができる。
【0045】
【発明の効果】
この発明によれば、入力ディスク又は出力ディスクのいずれか一方に配設されて入力ディスクと出力ディスクとの間でパワーローラを圧接する油圧ローダが設けられているトロイダル型無段変速機において、油圧ローダに伝達トルク及び変速比に同時に見合った必要最低限のローダ圧力を生じさせるので、入力ディスク及び出力ディスクとパワーローラとの間において適正なトラクション係数μt が維持され、入出力ディスクとパワーローラの接触部の押付け力を必要最小限に抑制することができ、パワーローラ及び入力ディスクと出力ディスクとの接触部における転動疲労を軽減することができる。その結果、入出力ディスクやパワーローラの転がり疲労寿命を向上でき、接触部の動力損失も軽減でき、小型で高信頼性、高効率のトロイダル型無段変速機を提供することができる。また、本発明においては、油圧駆動手段を、トラニオンを傾転軸の軸方向に駆動するための増速側シリンダ室と減速側シリンダ室とを有する油圧アクチュエータとし、伝達トルク検出手段を、増速側シリンダ室と減速側シリンダ室との差圧の絶対値を求める差圧検出弁としており、更に、この差圧検出弁を、車両がドライブ運転状態にあるときに増速側シリンダ室の油圧から減速側シリンダ室の油圧を差し引いた正の第1差圧を出力する第1差圧検出弁と、車両がコースト運転状態にあるときに減速側シリンダ室の油圧から増速側シリンダ室の油圧を差し引いた正の第2差圧を出力する第2差圧検出弁と、第1差圧と第2差圧とが導入されて高い油圧を出力するシャトル弁とから構成している。したがって、本発明のトロイダル型無段変速機において、トラニオンの傾転角と伝達トルクとに応じてライン圧力を修正し、トラニオンを傾転軸の軸方向に駆動する油圧アクチュエータの増速側シリンダ室の圧力と減速側シリンダ室の圧力との差圧がトロイダル変速部を通過する伝達トルクに比例していることを利用して差圧検出弁が当該伝達トルクを両シリンダ室の圧力の差圧として検出するに留まらず、差圧検出弁を構成する第1差圧検出弁、第2差圧検出弁及びシャトル弁は、絶対値として検出した正の第1差圧と第2差圧とのうち高い方の差圧を出力して、車両がドライブ運転状態であるかエンジンブレーキ作動状態であるかに応じて差圧が正負に変化するのが回避され、常に高い方の正の差圧をライン圧力修正機構に入力させて、検出トルクの大きさに応じてライン圧力を適正に修正することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明による油圧ローダのローダ圧力制御を行うトロイダル型無段変速機において用いられる油圧回路の一実施例を示す図である。
【図2】図1に示す油圧回路において用いられるライン圧力制御弁の一実施例を示す断面図である。
【図3】図1に示す油圧回路において用いられる修正参照圧力設定弁の一実施例を示す断面図である。
【図4】従来のトロイダル型無段変速機の一例を示す概略図である。
【図5】図5に示すトロイダル型無段変速機の変速比制御システムの一例を示す図である。
【図6】図5に示すトロイダル型無段変速機の接触部の詳細を示す断面図である。
【符号の説明】
4,7 入力ディスク
5,8 出力ディスク
6,9 パワーローラ
11 傾転軸
12 油圧ローダ
24 出力軸
35 トラニオン
36 油圧アクチュエータ(油圧駆動手段)
38a 増速側シリンダ室
38b 減速側シリンダ室
40 変速比制御弁
60 油圧ポンプ(油圧駆動源)
67 第1差圧検出弁(ドライブ走行時)
68 第2差圧検出弁(コースト走行時)
72 ライン圧力修正機構
73 シャトル弁
109 変速比制御系機構
110 差圧制御系機構
111 修正参照圧力設定弁
112 油圧付勢手段
113 カム
114 プッシュロッド
115 カムフォロア
117 支点
118 レバー
121 第1ロッド
122 第2ロッド
125 第1スプール
127 第2スプール
A 接触部
PL ライン圧力
ΔP 差圧
1 第1差圧
2 第2差圧
θ 傾転角
μt トラクション係数
Pmf 修正参照圧力
1 第1出力
2 第2出力
L 距離(第1ロッド121〜第2ロッド122)
x 距離(支点117〜第1ロッド121)

Claims (5)

  1. エンジンの回転が入力される入力ディスク、前記入力ディスクと対向して配置され出力軸に連結された出力ディスク、前記入力ディスクと前記出力ディスクとの間に圧接状態に配設され前記入力ディスクの回転を無段階に変速して前記出力ディスクに伝達するパワーローラ、前記入力ディスクと前記出力ディスクとのいずれか一方に配設され且つ前記パワーローラと前記入力ディスク及び前記出力ディスクとの接触部に押付け力を与える油圧ローダ、前記パワーローラを回転自在に軸支し且つ前記接触部の位置を変更することによる変速比の変更のため傾転軸の回りに傾転可能なトラニオン、前記トラニオンを前記傾転軸の回りに傾転させるため前記トラニオンを前記傾転軸の軸方向に変位させる油圧駆動手段、前記油圧ローダと前記油圧駆動手段とにそれぞれ制御された油圧を供給するためのライン圧力を供給する油圧駆動源、前記パワーローラを介して伝達されるトルクを検出する伝達トルク検出手段、及び前記トラニオンの前記傾転軸の回りにおける傾転角と前記伝達トルク検出手段が検出した伝達トルクとに応じて、前記接触部における一定のトラクション係数を得るように、前記油圧駆動源からの前記ライン圧力を修正するライン圧力修正機構を備え、
    前記油圧駆動手段は、前記トラニオンを前記傾転軸の軸方向に駆動するための増速側シリンダ室と減速側シリンダ室とを有する油圧アクチュエータであり、前記伝達トルク検出手段は前記増速側シリンダ室と前記減速側シリンダ室との差圧の絶対値を求める差圧検出弁であり、
    前記差圧検出弁は、車両がドライブ運転状態にあるときに前記増速側シリンダ室の油圧から前記減速側シリンダ室の油圧を差し引いた正の第1差圧を出力する第1差圧検出弁、前記車両がコースト運転状態にあるときに前記減速側シリンダ室の油圧から前記増速側シリンダ室の油圧を差し引いた正の第2差圧を出力する第2差圧検出弁、及び前記第1差圧と前記第2差圧とが導入されて高い油圧を出力するシャトル弁から構成されていることから成るトロイダル型無段変速機。
  2. 前記油圧駆動手段には、前記油圧駆動源から供給される前記ライン圧力を車両の運転状態に応じて調圧する変速比制御弁によって制御された油圧が供給されることから成る請求項1に記載のトロイダル型無段変速機。
  3. 前記ライン圧力修正機構は、前記変速比に応じて傾転する前記トラニオンの前記傾転角に応じて変位するレバーを備えた変速比制御系機構と、前記変速比制御系機構の前記レバーにレバー比を変更可能に係合し、前記差圧検出弁が検出した前記伝達トルクに応じて生じる前記差圧に応じた力を前記レバーに作用させ、前記レバーに作用する前記力の釣合いに応じて前記ライン圧力を修正するための修正参照圧力を出力する差圧制御系機構とから構成されることから成る請求項1又は2に記載のトロイダル型無段変速機。
  4. 前記変速比制御系機構は、前記トラニオンの前記傾転角に応じたリフト量を与えるカムプロフィールを有するカム、前記カムに接して前記傾転角に応じたリフト量で変位するカムフォロア、及び前記カムフォロアに対して支点において回動可能に連結された前記レバーから構成され、前記差圧制御系機構は、出口側自己圧力である前記修正参照圧力と前記差圧検出弁が検出した前記差圧とに基づいて変位する第1スプールと前記第1スプールに接続されて前記修正参照圧力に応じた第1出力を前記レバーの一端側に伝達する第1ロッドとを備えた修正参照圧力設定弁、及び前記差圧検出弁が検出した前記差圧に基づいて変位する第2スプールと前記第2スプールに接続されて前記差圧に応じた第2出力を前記レバーの他端側に伝達する第2ロッドとを備えた油圧付勢手段から構成され、前記修正参照圧力設定弁は、前記支点と前記第1ロッドとの間の距離に対する前記第1ロッドと前記第2ロッドとの間の距離の比及び前記差圧の積に比例する圧力を前記修正参照圧力として出力することから成る請求項3に記載のトロイダル型無段変速機。
  5. 前記ライン圧力修正機構は、前記トラニオンの前記傾転角と前記伝達トルク検出手段が検出した前記伝達トルクとに応じて出力された前記修正参照圧力に対応した目標ライン圧力以上のライン圧力をリリーフするリリーフ弁によって前記ライン圧力を減圧修正することから成る請求項3又は4に記載のトロイダル型無段変速機。
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