JP4911338B2 - トロイダル型無段変速機 - Google Patents
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バリエータの変速は、必要な伝達トルクに基づいてローラの回転軸が傾くことにより無段階で行われる。ローラの回転軸は、支持部材であるキャリッジによって支持されている。また、このキャリッジの所定の進退方向に駆動力を付与することにより、両ディスクに対するローラの付勢力を調整する油圧シリンダが設けられている。
このような構成を有するトロイダル型変速機において、変速時の応答性の向上が要請されている。本発明の目的は、この課題を解決することにある。
本発明によれば、上記制御部(31)は、上記差圧(ΔP)の目標値としての目標差圧(ΔPt)に基づいて第1および第2の油室(23,24)のうち相対的に油圧の低い油室に連なる圧力制御弁の動作を制御する第1の状態と、上記差圧(ΔP)の目標値としての目標差圧(ΔPt)に基づいて第1および第2の油室(23,24)のうち相対的に油圧の高い油室に連なる圧力制御弁の動作を制御する第2の状態と、を択一的に切り換え可能である。
第1の状態では、第1および第2の油室間の差圧を目標差圧に近づける際、第1および第2の油室のうち、端末負荷用の油圧シリンダの油室に連なっていない低圧側の油室の圧力を変動するようにしている。これにより、第1および第2の油室間の差圧を変動するために圧力を変動させる作動油の容量を少なくできる。したがって、圧力制御弁による圧力の制御動作を行ってから差圧が実際に変動を生じるまでのタイムラグを少なくでき、変速時の応答性を向上できる。
図1は、本発明の一実施の形態にかかるフルトロイダル型無段変速機のバリエータを備える車両の概略構成を示す模式図である。図1を参照して、バリエータ1は、乗用車等の車両に備えられており、駆動源としてのエンジン(図示せず)により回転駆動される入力軸3が設けられている。入力軸3の両端近傍にはそれぞれ入力ディスク5が支持されている。
また、油路3cは、入力軸3の端部に挿入された固定部材4の内部に設けられた油路4aと連通している。この油路4aは、後述する油路41の他端41bと接続されている。このようにして、ケーシング6およびバックアップ板7をシリンダとし、入力ディスク5をピストンとする端末負荷用の油圧シリンダ12が構成されている。この端末負荷用の油圧シリンダ12の油室2に圧油が供給されることにより、相対向する入力ディスク5および出力ディスク15を互いに近づく方向に付勢するための端末負荷が発生する。
この状態において、駆動源から入力軸3に動力が付与されると、入力ディスク5から出力ディスク15に対して、上記6個のローラ17を介してトルクが伝達される。キャリッジ18に支持されたローラ17は、トルクを伝達することによりキャリッジ18に生じるリアクション力と、出力ディスク15を駆動するのに必要なトルクとのアンバランスが生じると、このアンバランスを解消すべく、ローラ17の中心軸線17aを、揺動角度A1を生ずるように傾斜する。
図2は、ローラ17の付勢に関わる構成を示す模式図である。説明の簡略化のため、1個のローラ17に関しての油圧回路構成を示しているが、実際には、各ローラ17ごとにキャリッジ18と、継手19と、油圧シリンダ20を含む油圧回路とが設けられている。
具体的には、油圧シリンダ20は、固定部としての円筒状のシリンダ本体21と、このシリンダ本体21内に摺動自在に収容された可動部としてのピストン22とを備えている。ピストン22は、シリンダ本体21内に押引力を発生するための第1および第2の油室23,24を区画し、これらを互いに仕切っている。
具体的には、第1の圧力制御弁26は、第1の油室23に通ずる油路25の他端25bが、油圧ポンプ27に通ずる油路28の一端28aに接続される第1の状態と、油路25の他端25bが、油タンク29に通ずる油路30の一端30aに接続される第2の状態とに、その内部油路を切り換える。
具体的には、第2の圧力制御弁34は、第2の油室24に通ずる油路33の他端33bが、油圧ポンプ27に通ずる油路35の一端35aに接続される第1の状態と、油路33の他端33bが、油タンク29に通ずる油路36の一端36aに接続される第2の状態とに、その内部油路を切り換える。
シャトル弁39の第3のポート39cには、油路41の一端が接続されており、この油路41の他端41bは、油路4a(図1参照)に接続されている。
ECU31は、第1および第2の圧力制御弁26,34のそれぞれに対して、圧力指令値を出力する。ECU31は、第1および第2の圧力制御弁26,34の動作を制御することにより、第1および第2の油室23,24の圧力を制御する。これにより、両油室23,24間の差圧ΔPが調整され、キャリッジ18に前進または後退方向の駆動力(押引力)が付与されるようになっている。
これにより、各油室23,24間に最適となる差圧ΔPを与え(油圧シリンダ20の駆動を制御し)、ローラ17のトラクション力とキャリッジ18の駆動力(押引力)とを釣り合わせる。
このとき、第1の油室23に連なる第1の圧力制御弁26には、ECU31からの圧力指令値が入力されない。すなわち、ECU31による第1の圧力制御弁26の制御は行われない。この際の第1の油室23の油圧は、一定に保たれるようになっていてもよいし、そうでなくてもよい。
また、ECU31は、目標差圧ΔPtに基づいて、第1および第2の油室23,24のうち、相対的に油圧の高い油室に連なる圧力制御弁の動作を制御することで、差圧ΔPを制御することもできるようになっている。
このとき、第2の油室24に連なる第2の圧力制御弁34には、ECU31からの圧力指令値が入力されない。すなわち、ECU31による第2の圧力制御弁34の制御は行われない。このさいの第2の油室24の油圧は、一定に保たれるようになっていてもよいし、そうでなくてもよい。
以上のように、ECU31が、目標差圧ΔPtに基づいて、第1および第2の油室23,24のうち、相対的に油圧の高い油室に連なる圧力制御弁の動作を制御する状態を、第2の状態としての省エネモードという。
具体的には、アクセルポジションセンサ42は、車両の運転者の足Fによって操作される操作部材としてのアクセル43に関連して設けられており、ECU31に設けられた判定部44に接続されている。このアクセルポジションセンサ42は、アクセル43の位置に応じた出力信号を、判定部44に出力する。
具体的には、セレクタ45は、ECU31に接続されており、出力信号をECU31に出力するようになっている。このセレクタ45は、AUTOスイッチ46と、SPORTスイッチ47と、ECOスイッチ48とを含んでいる。
SPORTスイッチ47が選択されると、その旨の出力信号がECU31に出力される。この信号を入力されたECU31は、アクセルポジションセンサ42からの入力に関わらず、高レスポンスモードに切り換わる。
以上の概略構成を有するバリエータ1において、ECU31による制御は、以下のようにして行われる。すなわち、図3のフローチャートを参照して、ECU31による制御が開始されると、セレクタ45の出力信号が読み込まれ(ステップS1)、AUTOスイッチ46が選択されているか否かを判定する(ステップS2)。
ステップS4で、アクセル43の変位速度が予め定められた速度以上であると判定された場合(ステップS4で変位速度高)、高レスポンスモードに切り換わる(ステップS5)。
一方、ステップS2において、AUTOスイッチ46が選択されていない場合(ステップS2でNO)、SPORTスイッチ47およびECOスイッチ48のうちの何れが選択されているかを判定する(ステップS7)。
以上説明したように、本実施の形態によれば、下記の作用効果を奏することができる。すなわち、高レスポンスモードにおいて、第1および第2の油室23,24間の差圧ΔPを目標差圧ΔPtに近づける際、第1および第2の油室23,24のうち、端末負荷用の油圧シリンダ12の油室2に連なっていない低圧側の油室の圧力を変動するようにしている。
また、AUTOスイッチ46が選択されると、アクセルポジションセンサ42によって検出された車両の走行状態に応じて、高レスポンスモードと省エネモードとを切り換えることができる。これにより、車両の走行状態に応じて最適なモードを選択することができる。
さらに、セレクタ45のSPORTスイッチ47とECOスイッチ48の操作に応じて、高レスポンスモードと省エネモードとを切り換えることができるようになっている。これにより、車両の運転者の意図に合わせて、高レスポンスモードと省エネモードとを任意に切り換えることができる。運転者にとっての所望の状態を設定することができる。
Claims (2)
- 相対向する軌道面をそれぞれ有する入力ディスクおよび出力ディスクと、
両ディスクの軌道面間に形成されたトロイド状間隙に配置され、両軌道面に転がり接触しながら両ディスク間にトルクを伝達するローラと、
このローラを回転自在に支持するキャリッジと、
このキャリッジを介してローラに両ディスクに対する押引力を付与するための差圧を発生させる第1および第2の油室を有する油圧シリンダと、
これら第1および第2の油室のうち相対的に油圧の高い油室に連通され、入力ディスクおよび出力ディスクを互いに近づく方向に付勢するための端末負荷を発生させる油室を有する油圧シリンダと、
油圧源と第1の油室との間に介在する第1の圧力制御弁と、
油圧源と第2の油室との間に介在する第2の圧力制御弁と、
車両の走行状態を検出する走行状態検出手段と、
第1および第2の圧力制御弁の動作を制御する制御部とを備え、
制御部は、上記差圧の目標値としての目標差圧に基づいて第1および第2の油室のうち相対的に油圧の低い油室に連なる圧力制御弁の動作を制御する第1の状態と、上記差圧の目標値としての目標差圧に基づいて第1および第2の油室のうち相対的に油圧の高い油室に連なる圧力制御弁の動作を制御する第2の状態とを、走行状態検出手段によって検出された車両の走行状態に応じて、択一的に切り換え可能であることを特徴とするトロイダル型無段変速機。 - 請求項1において、上記第1の状態および第2の状態を手動で択一的に選択するための手動選択手段を備え、
制御部は、上記手動選択手段からの信号に応じて、第1の状態と第2の状態とを切り換え可能であることを特徴とするトロイダル型無段変速機。
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