JP4911338B2 - トロイダル型無段変速機 - Google Patents

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本発明は、トロイダル型無段変速機に関する。
自動車の無段変速機(CVT:Continuously Variable Transmission)等の動力伝達装置として、トロイダル型無段変速機が知られている。トロイダル型無段変速機のバリエータには、例えば、凹湾曲面状の軌道面を有する入力ディスクおよび出力ディスクを、軌道面同士が互いに対向するように配置し、両ディスク間に複数個のローラを配置したものがある(例えば、特許文献1,2参照)。
特開2003−130164号公報 特表2004−522103号公報
このバリエータにおいて、各ディスクには、軸方向に沿って、作動油の油圧による端末負荷が付与されている。ローラは、各ディスクの軌道面に油膜を介してトルク伝達可能に圧接する。
バリエータの変速は、必要な伝達トルクに基づいてローラの回転軸が傾くことにより無段階で行われる。ローラの回転軸は、支持部材であるキャリッジによって支持されている。また、このキャリッジの所定の進退方向に駆動力を付与することにより、両ディスクに対するローラの付勢力を調整する油圧シリンダが設けられている。
このキャリッジ駆動用の油圧シリンダは、筒状のシリンダ本体と、シリンダ本体内に配置されてキャリッジに連結されたピストンとを備えており、ピストンによってシリンダ本体内に2つの油室(第1および第2の油室)が区画されている。これらの油室のそれぞれには、圧油が供給されるようになっており、これらの油室間に生じる差圧によって、キャリッジを駆動する駆動力が発生する。
また、上記の端末負荷を発生するための端末負荷用の油圧シリンダが別途設けられている。この端末負荷用の油圧シリンダは、例えば入力ディスクによって構成されたピストンと、入力ディスクの一側面側に設けられたシリンダ本体とを備えており、シリンダ本体内の油室(第3の油室)に圧油を供給することで、入力ディスクに油圧を与えて、入出力ディスクを互いに近づくように付勢する(端末負荷を付与する)。この第3の油室は、キャリッジ駆動用の第1および第2の油室のうち、高圧側の油室に択一的に連通するようになっている。
バリエータの変速の際には、キャリッジ駆動用の第1および第2の油室のうち、高圧側の油室の油圧を調整することで、これら第1および第2の油室間の差圧を変動させる。
このような構成を有するトロイダル型変速機において、変速時の応答性の向上が要請されている。本発明の目的は、この課題を解決することにある。
本願発明者は、鋭意研究の結果、上記従来のトロイダル型無段変速機において、変速時の応答性の向上を妨げる要因が存在するとの知見を得た。具体的には、バリエータの変速の際、キャリッジ駆動用の第1および第2の油室のうち、高圧側の油室の油圧を調整することにより、これらの油室間の差圧を変動させている。このとき、高圧側の油室に連通する端末負荷用の第3の油室の油圧も連動して変動する。したがって、変速の際、2つの油室(第1および第2の油室のうちの高圧側の油室と、第3の油室の計2つの油室)の作動油の圧力を変動させる必要がある。圧力を変動させる作動油の容量が大きくなるため、差圧の調整動作を行ってから実際に差圧が変化するまでに時間がかかり、変速の際の応答性向上に限界があり、さらなる改善が望まれる。
上記の課題を解決するため、本発明は、相対向する軌道面(5b,15b)をそれぞれ有する入力ディスク(5)および出力ディスク(15)と、両ディスク(5,15)の軌道面(5b,15b)間に形成されたトロイド状間隙(S1)に配置され、両軌道面(5b,15b)に転がり接触しながら両ディスク(5,15)間にトルクを伝達するローラ(17)と、このローラ(17)を回転自在に支持するキャリッジ(18)と、このキャリッジ(18)を介してローラ(17)に両ディスク(5,15)に対する押引力を付与するための差圧(ΔP)を発生させる第1および第2の油室(23,24)を有する油圧シリンダ(20)と、これら第1および第2の油室(23,24)のうち相対的に油圧の高い油室に連通され、入力ディスク(5)および出力ディスク(15)を互いに近づく方向に付勢するための端末負荷を発生させる油室(2)を有する油圧シリンダ(12)と、油圧源(27)と第1の油室(23)との間に介在する第1の圧力制御弁(26)と、油圧源(27)と第2の油室(24)との間に介在する第2の圧力制御弁(34)と、車両の走行状態を検出する走行状態検出手段(42)と、第1および第2の圧力制御弁(26,34)の動作を制御する制御部(31)とを備え、制御部(31)は、上記差圧(ΔP)の目標値としての目標差圧(ΔP)に基づいて第1および第2の油室(23,24)のうち相対的に油圧の低い油室に連なる圧力制御弁の動作を制御する第1の状態と、上記差圧の目標値としての目標差圧に基づいて第1および第2の油室のうち相対的に油圧の高い油室に連なる圧力制御弁の動作を制御する第2の状態とを、走行状態検出手段によって検出された車両の走行状態に応じて、択一的に切り換え可能であることを特徴とするトロイダル型無段変速機を提供するものである。
なお、括弧内の英数字は、後述の実施形態における対応構成要素等を表す。以下、この項において同じ。
本発明によれば、上記制御部(31)は、上記差圧(ΔP)の目標値としての目標差圧(ΔPt)に基づいて第1および第2の油室(23,24)のうち相対的に油圧の低い油室に連なる圧力制御弁の動作を制御する第1の状態と、上記差圧(ΔP)の目標値としての目標差圧(ΔPt)に基づいて第1および第2の油室(23,24)のうち相対的に油圧の高い油室に連なる圧力制御弁の動作を制御する第2の状態と、を択一的に切り換え可能である。
第1の状態では、第1および第2の油室間の差圧を目標差圧に近づける際、第1および第2の油室のうち、端末負荷用の油圧シリンダの油室に連なっていない低圧側の油室の圧力を変動するようにしている。これにより、第1および第2の油室間の差圧を変動するために圧力を変動させる作動油の容量を少なくできる。したがって、圧力制御弁による圧力の制御動作を行ってから差圧が実際に変動を生じるまでのタイムラグを少なくでき、変速時の応答性を向上できる。
また、第2の状態では、第1および第2の油室間の差圧を目標差圧に近づける際、端末負荷用の油圧シリンダに連なっている高圧側の油室の圧力を変動するようにしている。これにより、ローラの押引力と端末負荷とを連動させて変動することができ、その結果、ローラと各ディスクとの接触状態を最適化できる。装置の伝動効率、許容伝達トルクおよび耐久性を高いものにできる。
ように、変速時の応答性の観点から好適な第1の状態と、伝動効率、許容伝達トルクおよび耐久性の観点から好適な第2の状態とを切り換えることができ、装置の駆動条件に基づいて最適な状態を選択することができる。
また、車両の走行状態を検出する走行状態検出手段(42)を備え、上記制御部(31)は、走行状態検出手段(42)によって検出された車両の走行状態に応じて、上記第1の状態と第2の状態とを切り換え可能であるので、車両の走行状態に応じて最適な状態を選択することができる。例えば、第1の条件が選択されるのは、車両が追い越しのために急加速をする場合や、急な加減速を多用するいわゆるスポーツ走行を行う場合等であり、第2の条件が選択されるのは、一定速度で走行するいわゆる省エネ走行時等である。
また、本発明において、上記第1の状態および第2の状態を手動で択一的に選択するための手動選択手段(45)を備え、制御部(31)は、上記手動選択手段(45)からの信号に応じて、第1の状態と第2の状態とを切り換え可能である場合がある。この場合、例えば、トロイダル型無段変速機が搭載される車両の運転者の意図に合わせて第1の状態と第2の状態とを任意に切り換えることができる。運転者にとっての所望の状態を設定することができる。

本発明の好ましい実施の形態を添付図面を参照しつつ説明する。
図1は、本発明の一実施の形態にかかるフルトロイダル型無段変速機のバリエータを備える車両の概略構成を示す模式図である。図1を参照して、バリエータ1は、乗用車等の車両に備えられており、駆動源としてのエンジン(図示せず)により回転駆動される入力軸3が設けられている。入力軸3の両端近傍にはそれぞれ入力ディスク5が支持されている。
各入力ディスク5の一側面には、凹湾曲状の軌道面5bが形成されており、その内周には複数条の溝を切ったスプライン孔5aが形成されている。入力ディスク5は、そのスプライン孔5aを、入力軸3に設けられたスプライン軸3aに結合させることによって、入力軸3と一体回転可能に組み付けられている。右側の入力ディスク5は、入力軸3に一体に設けられた係止部3bによって図示の状態から右方への移動が規制されている。
また、左側の入力ディスク5の軌道面5bと反対側の背面には、当該背面全体を覆うケーシング6と、ケーシング6の内周に内接したバックアップ板7と、入力軸3に固定され、入力ディスク5およびバックアップ板7が軸方向の左方に移動することを規制する係止リング8および止め輪9と、係止リング8の外周に装着され、バックアップ板7に予圧を付与するワッシャ10とが設けられている。
上記バックアップ板7の外周にはOリング11が装着されており、ケーシング6の内面と、入力ディスク5の背面と、バックアップ板7とによって囲まれた入力軸3の周りの空間に油室2が形成されている。油室2は、入力軸3の中心軸方向に設けられた油路3cおよびその右端部近傍から径方向に設けられた油路3dと連通している。
また、油路3cは、入力軸3の端部に挿入された固定部材4の内部に設けられた油路4aと連通している。この油路4aは、後述する油路41の他端41bと接続されている。このようにして、ケーシング6およびバックアップ板7をシリンダとし、入力ディスク5をピストンとする端末負荷用の油圧シリンダ12が構成されている。この端末負荷用の油圧シリンダ12の油室2に圧油が供給されることにより、相対向する入力ディスク5および出力ディスク15を互いに近づく方向に付勢するための端末負荷が発生する。
上記入力軸3の軸方向中央部には、バリエータ1の出力部13が入力軸3に対して相対回転自在に支持されている。この出力部13は、出力部材14と、この出力部材14にそれぞれ一体回転可能に支持された一対の出力ディスク15とを備えている。各出力ディスク15の、入力ディスク5の軌道面5bに対向する一側面には、凹湾曲状の軌道面15bが形成されている。また、上記出力部材14の外周には、動力伝達用のチェーン16と噛み合うスプロケットギヤ14aが形成されている。
上記各入力ディスク5の軌道面5bと、これに対向する出力ディスク15の軌道面15bとの間は、トロイド状間隙S1として構成されており、このトロイド状間隙S1には、各軌道面5b,15bと圧接して回転する円板状のローラ17が円周等配に3個(図1において、トロイド状間隙S1のそれぞれにつき1個のローラ17のみ図示。)設けられている。
したがって、ローラ17は左右一対のトロイド状間隙S1に計6個配置されている。各ローラ17はキャリッジ18によって当該ローラ17の中心軸線17a回りに回転自在に支持されているとともに、当該キャリッジ18によって軌道面5b,15bとの相対位置を調整できるようになっている。各ローラ17は、両ディスク5,15の軌道面5b,15bのそれぞれと転がり接触している。
上記バリエータ1において、油路41から油室2に作動油(トラクションオイル)が供給され、端末負荷としての油圧が付与されると、左側の入力ディスク5が右方に付勢され、ローラ17を介して左側の出力ディスク15が右方に付勢される。これにより、左側の出力ディスク15から出力部材14を介して、右側の出力ディスク15が右方に付勢される。
さらに、右側の出力ディスク15からローラ17を介して右側の入力ディスク5が押圧されるが、この入力ディスク5は係止部3bにより止められているため、上記端末負荷がバリエータ1全体に付与され、左右の各ローラ17が両ディスク5,15間に所定の圧力で挟持された状態となる。
この状態において、駆動源から入力軸3に動力が付与されると、入力ディスク5から出力ディスク15に対して、上記6個のローラ17を介してトルクが伝達される。キャリッジ18に支持されたローラ17は、トルクを伝達することによりキャリッジ18に生じるリアクション力と、出力ディスク15を駆動するのに必要なトルクとのアンバランスが生じると、このアンバランスを解消すべく、ローラ17の中心軸線17aを、揺動角度A1を生ずるように傾斜する。
これにより、ローラ17の位置が図の2点鎖線に示すように変化し、両ディスク5,15間の速度比が連続的に変化する。なお、左右計3個のローラ17は、左右対称になるように同期して中心軸線17aを傾斜させ、それらの傾斜角度は6個のローラすべてについて一致している。
図2は、ローラ17の付勢に関わる構成を示す模式図である。説明の簡略化のため、1個のローラ17に関しての油圧回路構成を示しているが、実際には、各ローラ17ごとにキャリッジ18と、継手19と、油圧シリンダ20を含む油圧回路とが設けられている。
図2を参照して、油圧シリンダ20は、継手19およびキャリッジ18を介してローラ17を揺動可能に支持し、且つローラ17に両ディスク5,15に対する押引力を付与するように機能する。
具体的には、油圧シリンダ20は、固定部としての円筒状のシリンダ本体21と、このシリンダ本体21内に摺動自在に収容された可動部としてのピストン22とを備えている。ピストン22は、シリンダ本体21内に押引力を発生するための第1および第2の油室23,24を区画し、これらを互いに仕切っている。
継手19は、キャリッジ18の端部とピストン22とを連結する球面継手からなる。油圧シリンダ20の発生する押引力が継手19およびキャリッジ18を介してローラ17に伝達されるようになっている。すなわち、油圧シリンダ20の第1の油室23および第2の油室24にそれぞれ供給される油圧の差圧ΔPにより、キャリッジ18には、前進または後退方向に駆動力が付与され、この駆動力がローラ17を両ディスク5,15に向けて押したり引いたりする力(押引力)として働く。
油圧シリンダ20の第1の油室23には、油路25の一端25aが接続されている。この油路25の他端25bは、方向制御弁を兼用する電磁比例式減圧弁からなる第1の圧力制御弁26に接続されている。この第1の圧力制御弁26には、油圧源としての油圧ポンプ27に通ずる油路28の一端28aが接続され、また、油タンク29に通ずる油路30の一端30aが接続されている。油圧ポンプ27と第1の油室23との間に第1の圧力制御弁26が介在している。
第1の圧力制御弁26は、第1の油室23に通ずる上記油路25を、油圧ポンプ27および油タンク29に択一的に接続するとともに、CPU、RAM、ROM等を含む制御部としてのECU31(Electronic Control Unit:電子制御ユニット)からの制御信号に基づいて圧力を制御する。
具体的には、第1の圧力制御弁26は、第1の油室23に通ずる油路25の他端25bが、油圧ポンプ27に通ずる油路28の一端28aに接続される第1の状態と、油路25の他端25bが、油タンク29に通ずる油路30の一端30aに接続される第2の状態とに、その内部油路を切り換える。
同様に、油圧シリンダ20の第2の油室24には、油路33の一端33aが接続されている。この油路33の他端33bは、方向制御弁を兼用する電磁比例式減圧弁からなる第2の圧力制御弁34に接続されている。この第2の圧力制御弁34には、油圧ポンプ27に通ずる油路35の一端35aが接続され、また、油タンク29に通ずる油路36の一端36aが接続されている。油圧ポンプ27と第2の油室24との間に第2の圧力制御弁34が介在している。
第2の圧力制御弁34は、第2の油室24に通ずる上記油路33を、油圧ポンプ27および油タンク29に択一的に接続するとともに、ECU31からの制御信号に基づいて圧力を制御する。
具体的には、第2の圧力制御弁34は、第2の油室24に通ずる油路33の他端33bが、油圧ポンプ27に通ずる油路35の一端35aに接続される第1の状態と、油路33の他端33bが、油タンク29に通ずる油路36の一端36aに接続される第2の状態とに、その内部油路を切り換える。
油路25および油路33(第1の油室23および第2の油室24)のうち、相対的に油圧の高いほうの作動油(圧油)は、端末負荷用の油圧シリンダ12の油室2に供給されるようになっている。具体的には、油路25の一端25aと他端25bとの間に、油路38の一端38aが接続されている。この油路38の他端は、シャトル弁39の第1のポート39aに接続されている。
同様に、油路33の一端33aと他端33bとの間に、油路40の一端40aが接続されている。この油路40の他端は、シャトル弁39の第2のポート39bに接続されている。油路38,40のうち、油圧の高いほうの油路からの作動油が、シャトル弁39に流れるようになっている。
シャトル弁39の第3のポート39cには、油路41の一端が接続されており、この油路41の他端41bは、油路4a(図1参照)に接続されている。
再び図2を参照して、上記の構成により、第1の油室23および第2の油室24のうち、相対的に油圧の高い油室は、対応する油路38,40、シャトル弁39、油路41等を介して、端末負荷用の油圧シリンダ12の油室2に連通する。圧油は、シャトル弁39等を介して端末負荷用の油圧シリンダ12の油室2に供給される。
ECU31は、第1および第2の圧力制御弁26,34のそれぞれに対して、圧力指令値を出力する。ECU31は、第1および第2の圧力制御弁26,34の動作を制御することにより、第1および第2の油室23,24の圧力を制御する。これにより、両油室23,24間の差圧ΔPが調整され、キャリッジ18に前進または後退方向の駆動力(押引力)が付与されるようになっている。
ECU31では、車両の駆動源の負荷、駆動源の回転数、最終出力速度の他、トラクションオイルの検出温度や、ローラ17の揺動角度(傾斜角に相当)等に基づいて、差圧ΔPの目標値としての目標差圧ΔPtを設定(算出)し、この目標差圧ΔPtに基づいて、第1および第2の圧力制御弁26,34に圧力指令値を出力する。
これにより、各油室23,24間に最適となる差圧ΔPを与え(油圧シリンダ20の駆動を制御し)、ローラ17のトラクション力とキャリッジ18の駆動力(押引力)とを釣り合わせる。
本実施の形態の特徴の1つは、ECU31は、目標差圧ΔPtに基づいて、第1および第2の油室23,24のうち、相対的に油圧の低い油室に連なる圧力制御弁の動作を制御することで、差圧ΔPを制御するようになっている点にある。なお、以下では、一例として、第1および第2の油室23,24のうち、相対的に油圧の低い油室を第2の油室24、相対的に油圧の高い油室を第1の油室23として説明する。
具体的には、ECU31は、目標差圧ΔPを算出すると、第1および第2の油室23,24のうち、相対的に油圧の低い油室である第2の油室24に連なる第2の圧力制御弁34に、圧力指令値を出力する。圧力指令値が入力された第2の圧力制御弁34は、第2の油室24の油圧を調整し、これにより、差圧ΔPを目標差圧ΔPtに近づける。
このとき、第1の油室23に連なる第1の圧力制御弁26には、ECU31からの圧力指令値が入力されない。すなわち、ECU31による第1の圧力制御弁26の制御は行われない。この際の第1の油室23の油圧は、一定に保たれるようになっていてもよいし、そうでなくてもよい。
第2の油室24は、端末負荷用の油圧シリンダ12の油室2に連なっておらず、第2の油室24と第2の圧力制御弁34との間の作動油の容量が、第1の油室23と第1の圧力制御弁26との間の作動油の容量よりも少ない。これにより、第2の圧力制御弁34が動作してから第2の油室24内の油圧(差圧ΔP)が実際に変動するまでの時間を短くでき、バリエータ1の変速時の応答性を高いものにできる。
以上のように、ECU31が、目標差圧ΔPtに基づいて、第1および第2の油室23,24のうち、相対的に油圧の低い油室に連なる圧力制御弁の動作を制御する状態を、第1の状態としての高レスポンスモードという。
また、ECU31は、目標差圧ΔPtに基づいて、第1および第2の油室23,24のうち、相対的に油圧の高い油室に連なる圧力制御弁の動作を制御することで、差圧ΔPを制御することもできるようになっている。
具体的には、ECU31は、目標差圧ΔPを算出すると、第1および第2の油室23,24のうち、相対的に油圧の高い油室である第1の油室23に連なる第1の圧力制御弁26に、圧力指令値を出力する。圧力指令値が入力された第1の圧力制御弁26は、第1の油室23の油圧を調整し、差圧ΔPを目標差圧ΔPtに近づける。
このとき、第2の油室24に連なる第2の圧力制御弁34には、ECU31からの圧力指令値が入力されない。すなわち、ECU31による第2の圧力制御弁34の制御は行われない。このさいの第2の油室24の油圧は、一定に保たれるようになっていてもよいし、そうでなくてもよい。
第1の油室23は、端末負荷用の油圧シリンダ12の油室2に連なっており、第1の油室23の油圧の変動(差圧ΔPの変動)に伴って、端末負荷用の油圧シリンダ12の油室2の油圧も変動するようになっている。これにより、ローラ17と各ディスク5,15との接触の状態を最適化でき、バリエータ1の伝動効率等を高いものにできる。
以上のように、ECU31が、目標差圧ΔPtに基づいて、第1および第2の油室23,24のうち、相対的に油圧の高い油室に連なる圧力制御弁の動作を制御する状態を、第2の状態としての省エネモードという。
本実施の形態では、バリエータ1が搭載される車両の走行状態を検出する走行状態検出手段としてのアクセルポジションセンサ42が設けられており、アクセルポジションセンサ42によって検出されたアクセル43の位置(車両の走行状態)に応じて、高レスポンスモードと省エネモードとを択一的に切り換えることができるようになっている。
具体的には、アクセルポジションセンサ42は、車両の運転者の足Fによって操作される操作部材としてのアクセル43に関連して設けられており、ECU31に設けられた判定部44に接続されている。このアクセルポジションセンサ42は、アクセル43の位置に応じた出力信号を、判定部44に出力する。
判定部44は、ソフトウェア的に実現されており、アクセルポジションセンサ42からの入力信号に基づいて、車両の走行状態を判定し、高レスポンスモードにするか省エネモードにするかを決定する。例えば、アクセル43の変位速度が一定値以上であると検出された場合には、急な加減速が要求されているとして、高レスポンスモードに切り換わり、アクセル43の変位速度が一定値未満である場合には、負荷の緩やかな変動が要求されているとして、省エネモードに切り換わる。
なお、車両の制動に伴い駆動輪(図示せず)から出力ディスク15に与えられる制動トルクを検出するセンサを設け、このセンサによって検出された制動トルクが所定値以上の時に、高レスポンスモードに切り換わり、それ未満の時には、省エネモードに切り換わるようにしてもよい。これにより、急ブレーキの際等に高レスポンスモードに切り換わることが可能となる。
また、本実施の形態では、運転者によって手動で操作される手動選択手段としてのセレクタ45が設けられており、セレクタ45からの信号に応じて、高レスポンスモードと省エネモードとを手動で択一的に選択できるようになっている。
具体的には、セレクタ45は、ECU31に接続されており、出力信号をECU31に出力するようになっている。このセレクタ45は、AUTOスイッチ46と、SPORTスイッチ47と、ECOスイッチ48とを含んでいる。
AUTOスイッチ46が選択されると、その旨の出力信号がECU31に出力される。この信号を入力されたECU31は、アクセルポジションセンサ42からの入力に基づいて、判定部44で高レスポンスモードにするか省エネモードにするかを決定する。
SPORTスイッチ47が選択されると、その旨の出力信号がECU31に出力される。この信号を入力されたECU31は、アクセルポジションセンサ42からの入力に関わらず、高レスポンスモードに切り換わる。
ECOスイッチ48が選択されると、その旨の出力信号がECU31に出力される。この信号を入力されたECU31は、アクセルポジションセンサ42からの入力に関わらず、省エネモードに切り換わる。
以上の概略構成を有するバリエータ1において、ECU31による制御は、以下のようにして行われる。すなわち、図3のフローチャートを参照して、ECU31による制御が開始されると、セレクタ45の出力信号が読み込まれ(ステップS1)、AUTOスイッチ46が選択されているか否かを判定する(ステップS2)。
AUTOスイッチ46が選択されている場合(ステップS2でYES)、アクセルポジションセンサ42からの信号を読み込み(ステップS3)、この信号に基づいて、判定部44で、アクセル43の変位速度が判定される(ステップS4)。
ステップS4で、アクセル43の変位速度が予め定められた速度以上であると判定された場合(ステップS4で変位速度高)、高レスポンスモードに切り換わる(ステップS5)。
一方、ステップS4で、アクセル43の変位速度が予め定められた速度未満であると判定された場合(ステップS4で変位速度低)、省エネモードに切り換わる(ステップS6)。
一方、ステップS2において、AUTOスイッチ46が選択されていない場合(ステップS2でNO)、SPORTスイッチ47およびECOスイッチ48のうちの何れが選択されているかを判定する(ステップS7)。
SPORTスイッチ47が選択されている場合(ステップS7でSPORT)、高レスポンスモードに切り換わり(ステップS5)、ECOスイッチ48が選択されている場合(ステップS7でECO)、省エネモードに切り換わる(ステップS6)。
以上説明したように、本実施の形態によれば、下記の作用効果を奏することができる。すなわち、高レスポンスモードにおいて、第1および第2の油室23,24間の差圧ΔPを目標差圧ΔPtに近づける際、第1および第2の油室23,24のうち、端末負荷用の油圧シリンダ12の油室2に連なっていない低圧側の油室の圧力を変動するようにしている。
これにより、第1および第2の油室23,24間の差圧ΔPを変動するために圧力を変動させる作動油の容量を少なくできる。すなわち、シャトル弁39から端末負荷用の油圧シリンダ12の油室2にかけての作動油の圧力を変動させなくて済む。したがって、圧力制御弁による圧力の制御動作を行ってから、差圧ΔPが実際に変動を生じるまでのタイムラグを少なくでき、変速時の応答性を向上できる。
また、省エネモードにおいて、第1および第2の油室23,24間の差圧ΔPを目標差圧ΔPtに近づける際、端末負荷用の油圧シリンダ12に連なっている高圧側の油室の圧力を変動するようにしている。これにより、ローラ17の押引力と端末負荷とを連動させて変動することができ、その結果、ローラ17と各ディスク5,15との接触状態を最適化できる。ローラ17におけるスピンロスやスリップロスの発生を抑制して、バリエータ1の伝動効率、許容伝達トルクおよび耐久性を高いものにできる。
さらに、変速時の応答性の観点から好適な高レスポンスモードと、伝動効率、許容伝達トルクおよび耐久性の観点から好適な省エネモードとを切り換えることができ、バリエータ1の装置の駆動条件に応じて最適なモード(状態)を選択することができる。
また、AUTOスイッチ46が選択されると、アクセルポジションセンサ42によって検出された車両の走行状態に応じて、高レスポンスモードと省エネモードとを切り換えることができる。これにより、車両の走行状態に応じて最適なモードを選択することができる。
例えば、車両が追い越しのために急加速をする場合や、急な加減速を多用する、いわゆるスポーツ走行を行う場合等に、高レスポンスモードに切り換わり、一定速度で走行するいわゆる省エネ走行時等に、省エネモードに切り換わる。
さらに、セレクタ45のSPORTスイッチ47とECOスイッチ48の操作に応じて、高レスポンスモードと省エネモードとを切り換えることができるようになっている。これにより、車両の運転者の意図に合わせて、高レスポンスモードと省エネモードとを任意に切り換えることができる。運転者にとっての所望の状態を設定することができる。
なお、本発明は、上記実施の形態に限定されない。例えば、高レスポンスモードにおいて、目標差圧ΔPtに基づいて、第1および第2の油室23,24のうち低圧側の油室に連なる圧力制御弁の動作を制御する際、高圧側の油室に連なる圧力制御弁にも圧力指令値を出力して、その動作を制御してもよい。これにより、差圧ΔPをより迅速に目標差圧ΔPtに近づけることができ、変速時の応答性をより高めることができる。
その他、本発明は、請求項記載の範囲内において種々の変更が可能である。
本発明の一実施の形態にかかるフルトロイダル型無段変速機のバリエータを備える車両の概略構成を示す模式図である。 ローラの付勢に関わる構成を示す模式図である。 ECUの制御について説明するためのフローチャートである。
符号の説明
2…(端末負荷を発生させる)油室、5…入力ディスク、5b…(入力ディスクの)軌道面、12…(端末負荷を発生させる油室を有する)油圧シリンダ、15…出力ディスク、15b…(出力ディスクの)軌道面、17…ローラ、18…キャリッジ、20…(ローラの押引力を付与するための)油圧シリンダ、23…第1の油室、24…第2の油室、26…第1の圧力制御弁、27…油圧ポンプ(油圧源)、31…ECU(制御部)、34…第2の圧力制御弁、42…アクセルポジションセンサ(走行状態検出手段)、45…セレクタ(手動選択手段)、ΔP…差圧、ΔPt…目標差圧、S1…トロイド状間隙。

Claims (2)

  1. 相対向する軌道面をそれぞれ有する入力ディスクおよび出力ディスクと、
    両ディスクの軌道面間に形成されたトロイド状間隙に配置され、両軌道面に転がり接触しながら両ディスク間にトルクを伝達するローラと、
    このローラを回転自在に支持するキャリッジと、
    このキャリッジを介してローラに両ディスクに対する押引力を付与するための差圧を発生させる第1および第2の油室を有する油圧シリンダと、
    これら第1および第2の油室のうち相対的に油圧の高い油室に連通され、入力ディスクおよび出力ディスクを互いに近づく方向に付勢するための端末負荷を発生させる油室を有する油圧シリンダと、
    油圧源と第1の油室との間に介在する第1の圧力制御弁と、
    油圧源と第2の油室との間に介在する第2の圧力制御弁と、
    車両の走行状態を検出する走行状態検出手段と、
    第1および第2の圧力制御弁の動作を制御する制御部とを備え、
    制御部は、上記差圧の目標値としての目標差圧に基づいて第1および第2の油室のうち相対的に油圧の低い油室に連なる圧力制御弁の動作を制御する第1の状態と、上記差圧の目標値としての目標差圧に基づいて第1および第2の油室のうち相対的に油圧の高い油室に連なる圧力制御弁の動作を制御する第2の状態とを、走行状態検出手段によって検出された車両の走行状態に応じて、択一的に切り換え可能であることを特徴とするトロイダル型無段変速機。
  2. 請求項において、上記第1の状態および第2の状態を手動で択一的に選択するための手動選択手段を備え、
    制御部は、上記手動選択手段からの信号に応じて、第1の状態と第2の状態とを切り換え可能であることを特徴とするトロイダル型無段変速機。
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