JP4853700B2 - フルトロイダル型無段変速機 - Google Patents
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Description
各ディスクの軸方向にはトラクションオイルの油圧による端末負荷が付与され、これにより、ローラは、各ディスクの軌道面に油膜を介して圧接する。入力ディスクは、エンジン等の車両の駆動源により回転駆動される入力軸に取り付けられており、この入力軸の回転により、入力ディスクからローラを介して出力ディスクにトルクが伝達される。変速は、必要なトルクに応じてローラの回転軸が傾くことにより無段階で行われる。ローラの回転軸は、支持部材であるキャリッジによって支持されており、このキャリッジの進退方向に駆動力を付与し、これによりローラに両ディスクに対する付勢力を調整する油圧シリンダが設けられている。
上記フルトロイダル型無段変速機において、入力ディスクから出力ディスクにトルクの伝達が行われるとき、ローラと各ディスクとの間ではトラクション力が生じており、これと、キャリッジの駆動力とを一定のトラクション係数の下で均衡させるように端末負荷及びキャリッジの駆動力が設定されている(例えば、特許文献1参照)。
このため、一方の油圧供給ラインの異常圧力の影響で、一対の油室間の差圧によってキャリッジを介してローラに与えられているディスクへの押し付け力が異常となり、その結果、ドライバが予期しない急な加減速やエンジン回転数の変動を生ずるおそれがある。
また、本発明において、上記差圧検出手段は、上記第1および第2の油室の圧力を、それぞれ、検出する第1および第2の圧力検出手段を含み、上記制御部は、何れか一方の油室の圧力の異常が、当該一方の油室に対応する圧力検出手段によって検出されたときに、第1および第2の圧力検出手段による検出値の差分が目標値に近づくように、他方の油室に対応する圧力制御弁への圧力指令値を設定する場合がある。
また、上記制御部は、差圧検出手段によって差圧の異常が検出されたときに、車両の駆動源の回転数を一定の回転数に制限するための信号を出力する場合がある。この場合、車両の駆動源の回転数の変動を抑えることができる。上記一定の回転数はアイドル回転数を含んでいればより好ましい。
また、油路3cは、入力軸3の端部に挿入された固定部材2の内部に設けられた油路2aと連通している。この油路2aは、油圧制御装置12と接続されている。このようにして、ケーシング6及びバックアップ板7をシリンダとし、入力ディスク5をピストンとする油圧シリンダ装置が構成されている。
図2を参照して、油圧シリンダ20は、キャリッジ18をその軸線回りに揺動可能に支持し且つキャリッジ18を介してローラ17に両ディスク5,15に対する押引力を付与するように機能する。
継手19はキャリッジ18の端部とピストン22とを連結する球面継手からなる。油圧シリンダ20の発生する押引力が継手19およびキャリッジ18を介してローラ17に伝達されるようになっている。すなわち、油圧シリンダ20の第1の油室23および第2の油室24にそれぞれ供給される油圧の差圧により、キャリッジ18には、前進又は後退方向に駆動力が付与され、この駆動力がローラ17を両ディスク5,15に向けて押したり引いたりする力(押引力)として働く。
具体的には、第1の圧力制御弁26は、第1の油室23に通ずる油路25の他端25bが、油圧ポンプ27に通ずる油路28の一端28aに接続される第1の状態と、油路25の他端25bが、油タンク29に通ずる油路30の一端30aに接続される第2の状態とに、その内部油路を切り換える。
同様に、油圧シリンダ20の第2の油室23には、油路33の一端33aが接続されている。この油路33の他端33bは、方向制御弁を兼用する電磁比例式減圧弁からなる第2の圧力制御弁34に接続されている。この第2の圧力制御弁34には、油圧ポンプ27に通ずる油路35の一端35aが接続され、また、油タンク29に通ずる油路36の一端36aが接続されている。
具体的には、第2の圧力制御弁34は、第2の油室24に通ずる油路33の他端33bが、油圧ポンプ27に通ずる油路35の一端35aに接続される第1の状態と、油路33の他端33bが、油タンク29に通ずる油路36の一端36aに接続される第2の状態とに、その内部油路を切り換える。
第2の圧力制御弁34と油圧シリンダ20の第2の油室24とを接続する上記油路33には、第2の油圧24内の圧力を検出するための第2の圧力検出手段としての第2の圧力センサ37が設けられている。第2の圧力センサ37はECU31に接続されており、第2の圧力センサ37からの出力信号は、ECU31に与えられるようになっいる。
ECU31による制御が開始されると、第1の圧力センサ32からの検出値P1および第2の圧力センサ37からの検出値P2が読み込まれ(ステップS1)、読み込まれた各圧力センサ32,37の検出値P1,P2が、それぞれ正常か否かが監視される(ステップS2、ステップS3)。
同様に、ステップS3において、第2の圧力センサ37の検出値P2が、第2の圧力制御弁34に対する圧力指令値P2dに対して、所定の誤差eの範囲内から逸脱する場合、すなわち、P2>P2d+eの関係またはP2<P2d−eの関係が満たされる場合には、検出値P2は異常と判断される。
上記のステップS1〜ステップS3による検出値P1,P2の監視中に、ステップS2において、第1の圧力センサ32の検出値P1が異常であると判断されると、ステップS4のフェールセーフ動作に移行する。
このステップS1,S2,S4〜S6の処理を繰り返している間に、ステップS6にて、第2の圧力センサ37の検出値P2が異常であると判断されると、両検出値P1,P2とも異常となるので、緊急停止動作が実行される(ステップS7)。具体的には、第1および第2の油室23,24間の差圧の目標値が最小値(例えば零)に設定され、車両の駆動源(エンジン等)の回転数を一定回転数(例えばアイドル回転数)に制限するための信号G1が、車両のメインのECU(図示せず)に対して出力される。
そのステップS8では、異常な圧力を検出していない第1の圧力センサ32に対応する第1の圧力制御弁26に対する圧力指令値P1dが、第1の圧力センサ32の検出値P1および第2の圧力センサ37の検出値P2の差分ΔPに基づいて、決定される。具体的には、上記の差分ΔPが第1および第2の油室23,24間の差圧の目標値に近づくように、圧力指令値P1dが決定される。決定された圧力指令値P1dに基づいて、第1の圧力制御弁26が制御される(ステップS9)。
このステップS1〜S3,S8〜S10の処理を繰り返している間に、ステップS10にて、第1の圧力センサ32の検出値P1が異常であると判断されると、両検出値P1,P2とも異常となるので、緊急停止動作が実行される(ステップS7)。
具体的には、ステップS2において、検出値ΔPが、予め定める差圧指令値ΔPdに対して、所定の誤差fの範囲内から逸脱する場合、すなわち、ΔP>ΔPd+fの関係またはΔP<ΔPd−fの関係が満たされる場合には、検出値ΔPは異常と判断される。
ステップS1,S2による検出値ΔPの監視中に、ステップS2において、検出値ΔPが異常であると判断されると、ステップS3のフェールセーフ動作に移行する。
次いで、ステップS5では、検出値ΔPが監視される。すなわち、ステップS5において、検出値ΔPが正常である(すなわち、ΔP≦ΔPd+gの関係およびΔP≧ΔPd−gの関係が満たされている)と判断された場合には、ステップS1〜S4の処理が繰り返されることになる。
Claims (4)
- 相対向する軌道面をそれぞれ有し、互いに近づく方向に付勢される入力ディスクおよび出力ディスクと、
両ディスクの軌道面間に形成されたトロイド状間隙に配置され、両軌道面に転がり接触しながら両ディスク間にトルクを伝達するローラと、
このローラを回転自在に支持するキャリッジと、
このキャリッジを介してローラに両ディスクに対する押引力を付与するための差圧を発生させる第1および第2の油室を有する油圧シリンダと、
第1および第2の油室間の差圧を検出する差圧検出手段と、
油圧源と第1の油室との間に介在した第1の圧力制御弁と、
油圧源と第2の油室との間に介在した第2の圧力制御弁と、
上記第1および第2の圧力制御弁の動作を制御する制御部とを備え、
上記差圧検出手段は、上記第1および第2の油室の圧力を、それぞれ、検出する第1および第2の圧力検出手段を含み、
上記制御部は、何れか一方の油室の圧力の異常が、当該一方の油室に対応する圧力検出手段によって検出されたときに、第1および第2の圧力検出手段による検出値の差分が目標値に近づくように、他方の油室に対応する圧力制御弁への圧力指令値を設定するフルトロイダル型無段変速機。 - 相対向する軌道面をそれぞれ有し、互いに近づく方向に付勢される入力ディスクおよび出力ディスクと、
両ディスクの軌道面間に形成されたトロイド状間隙に配置され、両軌道面に転がり接触しながら両ディスク間にトルクを伝達するローラと、
このローラを回転自在に支持するキャリッジと、
このキャリッジを介してローラに両ディスクに対する押引力を付与するための差圧を発生させる第1および第2の油室を有する油圧シリンダと、
第1および第2の油室間の差圧を検出する差圧検出手段と、
油圧源と第1の油室との間に介在した第1の圧力制御弁と、
油圧源と第2の油室との間に介在した第2の圧力制御弁と、
上記第1および第2の圧力制御弁の動作を制御する制御部とを備え、
上記差圧検出手段は、上記第1および第2の油室の圧力を、それぞれ、検出する第1および第2の圧力検出手段を含み、
上記制御部は、何れか一方の油室の圧力の異常が、当該一方の油室に対応する圧力検出手段によって検出されたときに、第1および第2の圧力検出手段による検出値の差分が最小値になるように、他方の油室に対応する圧力制御弁への圧力指令値を決定するフルトロイダル型無段変速機。 - 請求項1または2において、上記制御部は、差圧検出手段によって差圧の異常が検出されたときに、車両の駆動源の回転数を一定の回転数に制限するための信号を出力するフルトロイダル型無段変速機。
- 請求項3において、上記一定の回転数はアイドル回転数を含むフルトロイダル型無段変速機。
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