JPH1151139A - トロイダル型無段変速機 - Google Patents
トロイダル型無段変速機Info
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- JPH1151139A JPH1151139A JP22437397A JP22437397A JPH1151139A JP H1151139 A JPH1151139 A JP H1151139A JP 22437397 A JP22437397 A JP 22437397A JP 22437397 A JP22437397 A JP 22437397A JP H1151139 A JPH1151139 A JP H1151139A
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- support shaft
- trunnion
- shaft
- power roller
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 本発明は、パワーローラをトラニオンに支持
する支持軸の傾きを抑制して,運転状態によらず安定し
た変速比を得るトロイダル型無段変速機を提供する。 【解決手段】 トラニオン4に対して回動自在に支持さ
れ且つパワーローラ2のローラ本体30を回転自在に支
持する支持軸5は,ローラ本体30を転動体57を介し
てスラスト方向に支持するバックプレート31に対し
て,ローラ本体30方向に延びた延出部51を含む嵌合
部50によってすきま嵌め又はとまり嵌めの状態で嵌合
している。嵌合部50は,支持軸5を軸方向に長く支持
するので,支持軸5の傾きが抑制され,ローラ本体30
の回転中心が傾転軸方向に変位することによる変速比の
不安定さを解消する。
する支持軸の傾きを抑制して,運転状態によらず安定し
た変速比を得るトロイダル型無段変速機を提供する。 【解決手段】 トラニオン4に対して回動自在に支持さ
れ且つパワーローラ2のローラ本体30を回転自在に支
持する支持軸5は,ローラ本体30を転動体57を介し
てスラスト方向に支持するバックプレート31に対し
て,ローラ本体30方向に延びた延出部51を含む嵌合
部50によってすきま嵌め又はとまり嵌めの状態で嵌合
している。嵌合部50は,支持軸5を軸方向に長く支持
するので,支持軸5の傾きが抑制され,ローラ本体30
の回転中心が傾転軸方向に変位することによる変速比の
不安定さを解消する。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は,トロイド曲面を
有する入力ディスクと出力ディスクとの間にパワーロー
ラを傾転自在に配置して,入力ディスクの回転を無段階
に変速して出力ディスクへ伝達するトロイダル型無段変
速機に関する。
有する入力ディスクと出力ディスクとの間にパワーロー
ラを傾転自在に配置して,入力ディスクの回転を無段階
に変速して出力ディスクへ伝達するトロイダル型無段変
速機に関する。
【0002】
【従来の技術】トロイダル型無段変速機として,入力軸
により駆動される入力ディスク,前記入力ディスクに対
向して配置され且つ出力軸に連結された出力ディスク,
及び両ディスクに摩擦接触するパワーローラからトロイ
ダル変速部を構成するものが知られている。このトロイ
ダル型無段変速機においては,パワーローラの傾転角度
を変えることによって,入力ディスクの回転は,無段階
に変速して出力ディスクに伝達される。
により駆動される入力ディスク,前記入力ディスクに対
向して配置され且つ出力軸に連結された出力ディスク,
及び両ディスクに摩擦接触するパワーローラからトロイ
ダル変速部を構成するものが知られている。このトロイ
ダル型無段変速機においては,パワーローラの傾転角度
を変えることによって,入力ディスクの回転は,無段階
に変速して出力ディスクに伝達される。
【0003】車両に搭載されるトロイダル型無段変速機
1は,概ね,図2に模式的に示されているように,エン
ジンEの出力が入力される入力軸21,入力軸21に対
して回転可能に支持された入力ディスク3,入力ディス
ク3に対向して配置されると共に入力軸21に対して回
転可能に支持され且つ出力軸24に連結された出力ディ
スク23,対向する入力ディスク3と出力ディスク23
の間に配置され且つ入力ディスク3から出力ディスク2
3へトルクを伝達する傾転可能な一対のパワーローラ
2,入力軸21に設けた一対のフランジ部25と入力デ
ィスク3との間に配置され且つ入力ディスク3に作用し
て入力トルクの大きさに応じてパワーローラ2の圧接力
を変化させるローディングカムのような押圧手段22を
有しており,パワーローラ2を傾転させることにより,
その傾転角度に応じて入力ディスク3の回転を出力ディ
スク23に無段階に変速して伝達するように構成されて
いる。パワーローラ2が図中に角度θで示すように傾転
すると,パワーローラ2の入力ディスク3に対する摩擦
接触位置が半径r1 の位置となり,出力ディスク23に
対する摩擦接触位置が半径r2 の位置となる。入出力デ
ィスク間の変速比はr1 /r2 となる。なお,符号4で
示す部材は,パワーローラ2を傾転可能に支持するトラ
ニオンであり,後に詳述する。上記のようなトロイダル
型無段変速機1では,パワーローラ2の傾転は後述する
コントローラによって制御される。
1は,概ね,図2に模式的に示されているように,エン
ジンEの出力が入力される入力軸21,入力軸21に対
して回転可能に支持された入力ディスク3,入力ディス
ク3に対向して配置されると共に入力軸21に対して回
転可能に支持され且つ出力軸24に連結された出力ディ
スク23,対向する入力ディスク3と出力ディスク23
の間に配置され且つ入力ディスク3から出力ディスク2
3へトルクを伝達する傾転可能な一対のパワーローラ
2,入力軸21に設けた一対のフランジ部25と入力デ
ィスク3との間に配置され且つ入力ディスク3に作用し
て入力トルクの大きさに応じてパワーローラ2の圧接力
を変化させるローディングカムのような押圧手段22を
有しており,パワーローラ2を傾転させることにより,
その傾転角度に応じて入力ディスク3の回転を出力ディ
スク23に無段階に変速して伝達するように構成されて
いる。パワーローラ2が図中に角度θで示すように傾転
すると,パワーローラ2の入力ディスク3に対する摩擦
接触位置が半径r1 の位置となり,出力ディスク23に
対する摩擦接触位置が半径r2 の位置となる。入出力デ
ィスク間の変速比はr1 /r2 となる。なお,符号4で
示す部材は,パワーローラ2を傾転可能に支持するトラ
ニオンであり,後に詳述する。上記のようなトロイダル
型無段変速機1では,パワーローラ2の傾転は後述する
コントローラによって制御される。
【0004】このようなトロイダル型無段変速機は,例
えば,特開平7−151219号公報に開示されてお
り,その変速制御のシステムについても同公報に開示さ
れている。図3には,トロイダル型無段変速機のかかる
制御システムが示されている。図示のように,一対のパ
ワーローラ2は,対向して配置された入力ディスク3と
出力ディスク23の間に挟まれるようにして対向して配
置され,それぞれトラニオン4と称する支持部材に対し
てピボット軸となっている支持軸5によって回転自在に
支持されている。また,それぞれのトラニオン4は変速
機ケーシング(図示省略)に回動可能で且つ軸方向に移
動可能に支持されている。各トラニオン4は傾転軸6を
有しており,傾転軸6の軸方向に移動可能であり,且つ
傾転軸6を中心として回動可能である。トラニオン4の
傾転軸6にはピストン7が固定され,ピストン7は変速
機ケーシングに形成された油圧シリンダ8内を摺動可能
に設けられている。油圧シリンダ8内にはピストン7に
よって区画された2つのシリンダ室,即ち増速側シリン
ダ室8aと減速側シリンダ室8bが形成されている。
えば,特開平7−151219号公報に開示されてお
り,その変速制御のシステムについても同公報に開示さ
れている。図3には,トロイダル型無段変速機のかかる
制御システムが示されている。図示のように,一対のパ
ワーローラ2は,対向して配置された入力ディスク3と
出力ディスク23の間に挟まれるようにして対向して配
置され,それぞれトラニオン4と称する支持部材に対し
てピボット軸となっている支持軸5によって回転自在に
支持されている。また,それぞれのトラニオン4は変速
機ケーシング(図示省略)に回動可能で且つ軸方向に移
動可能に支持されている。各トラニオン4は傾転軸6を
有しており,傾転軸6の軸方向に移動可能であり,且つ
傾転軸6を中心として回動可能である。トラニオン4の
傾転軸6にはピストン7が固定され,ピストン7は変速
機ケーシングに形成された油圧シリンダ8内を摺動可能
に設けられている。油圧シリンダ8内にはピストン7に
よって区画された2つのシリンダ室,即ち増速側シリン
ダ室8aと減速側シリンダ室8bが形成されている。
【0005】油圧シリンダ8の各シリンダ室8a,8b
は油路9a,9bによってスプール弁10に連通してい
る。スプール弁10内に摺動自在に配設されたスプール
11は,軸方向両端に配置されたスプリング12によっ
て中立位置に保持されている。スプール弁10は一端に
Saポートが形成され,他端にSbポートが形成され,
Saポートにはソレノイド弁13aを介して油圧Paが
供給され,Sbポートにはソレノイド弁13bを介して
油圧Pbが供給される。スプール弁10は,ライン圧
(油圧源)へ連通するPLポート,油路9aを介して増
速側シリンダ室8aへ連通するAポート,油路9bを介
して減速側シリンダ室8bへ連通するBポート,リザー
バへ連通する2つのRポートを備えている。ソレノイド
弁13a,13bは,コントローラ14から出力された
制御信号に応じて作動するように構成されている。スプ
ール弁10とソレノイド弁13a,13bは,トロイダ
ル型無段変速機の変速比制御弁を構成している。
は油路9a,9bによってスプール弁10に連通してい
る。スプール弁10内に摺動自在に配設されたスプール
11は,軸方向両端に配置されたスプリング12によっ
て中立位置に保持されている。スプール弁10は一端に
Saポートが形成され,他端にSbポートが形成され,
Saポートにはソレノイド弁13aを介して油圧Paが
供給され,Sbポートにはソレノイド弁13bを介して
油圧Pbが供給される。スプール弁10は,ライン圧
(油圧源)へ連通するPLポート,油路9aを介して増
速側シリンダ室8aへ連通するAポート,油路9bを介
して減速側シリンダ室8bへ連通するBポート,リザー
バへ連通する2つのRポートを備えている。ソレノイド
弁13a,13bは,コントローラ14から出力された
制御信号に応じて作動するように構成されている。スプ
ール弁10とソレノイド弁13a,13bは,トロイダ
ル型無段変速機の変速比制御弁を構成している。
【0006】一方の傾転軸6の先端にはプリセスカム1
5が連結され,中央部を枢着されたレバー16の一端が
プリセスカム15に当接し,レバー16の他端がポテン
ショメータ17に接続している。プリセスカム15は,
トラニオン4の傾転軸6の軸方向変位量Yに応じて変位
すると共に傾転角変位量θに応じても変位するので,両
変位量が存在する場合には両変位量の合成変位量を検出
することになる。ポテンショメータ17は,この合成変
位量に対応して電圧値Vを出力し,出力信号をコントロ
ーラ14に入力する。プリセスカム15,レバー16及
びポテンショメータ17は,コントローラ14が変速比
を前記目標変速比に一致させるように変速比制御弁を制
御するため,前記合成変位量に対応した電圧値を検出値
として与える検出手段を構成している。また,このコン
トローラは,その他にも出力軸回転数センサ18,エン
ジン回転数センサ19,アクセルペダル踏込み量センサ
20等の各種センサを備えており,これらのセンサで検
出された出力軸回転数,エンジン回転数,アクセルペダ
ル踏込み量等の変速情報信号がコントローラ14に入力
される。なお,出力軸回転数センサ18は車速センサで
あってもよく,アクセルペダル踏込み量センサ20はス
ロットル開度センサであってもよい。
5が連結され,中央部を枢着されたレバー16の一端が
プリセスカム15に当接し,レバー16の他端がポテン
ショメータ17に接続している。プリセスカム15は,
トラニオン4の傾転軸6の軸方向変位量Yに応じて変位
すると共に傾転角変位量θに応じても変位するので,両
変位量が存在する場合には両変位量の合成変位量を検出
することになる。ポテンショメータ17は,この合成変
位量に対応して電圧値Vを出力し,出力信号をコントロ
ーラ14に入力する。プリセスカム15,レバー16及
びポテンショメータ17は,コントローラ14が変速比
を前記目標変速比に一致させるように変速比制御弁を制
御するため,前記合成変位量に対応した電圧値を検出値
として与える検出手段を構成している。また,このコン
トローラは,その他にも出力軸回転数センサ18,エン
ジン回転数センサ19,アクセルペダル踏込み量センサ
20等の各種センサを備えており,これらのセンサで検
出された出力軸回転数,エンジン回転数,アクセルペダ
ル踏込み量等の変速情報信号がコントローラ14に入力
される。なお,出力軸回転数センサ18は車速センサで
あってもよく,アクセルペダル踏込み量センサ20はス
ロットル開度センサであってもよい。
【0007】トロイダル型無段変速機では,トラニオン
4を中立位置からいずれか一方へ傾転軸方向(即ち,傾
転軸6の軸方向)に変位させると,パワーローラ2と入
力ディスク3及び出力ディスク23との接触位置が変化
することにより,傾転軸6の変位方向と変位量に応じた
向きと速さでトラニオン4が傾転軸6の回りで傾転する
という性質を利用して,該傾転を制御することにより変
速制御が行われる。
4を中立位置からいずれか一方へ傾転軸方向(即ち,傾
転軸6の軸方向)に変位させると,パワーローラ2と入
力ディスク3及び出力ディスク23との接触位置が変化
することにより,傾転軸6の変位方向と変位量に応じた
向きと速さでトラニオン4が傾転軸6の回りで傾転する
という性質を利用して,該傾転を制御することにより変
速制御が行われる。
【0008】入力軸21の回転を変速して出力軸24に
伝達するには,ローディングカム22の作用により,入
力ディスク3,出力ディスク23及びパワーローラ2の
各接触領域に大きな接触圧力を発生させることが必要で
ある。そのため,軸方向の基準位置をトロイダル型無段
変速機のどこに置いても,公差及び歪みに起因して,入
力ディスク3,出力ディスク23及びパワーローラ2
は,その基準位置から離れるにしたがって,ローデイン
グカムによる軸方向のカム作用力に応じて軸方向に変位
する。特に,トロイダル変速部を主軸(入力軸21,出
力軸24)の軸方向に二組並べたダブルキャビティ式ト
ロイダル型無段変速機においては,少なくとも一方のト
ロイダル変速部に設けられたパワーローラ2の位置が軸
方向基準位置から遠くなる傾向にあるので,そのパワー
ローラ2の軸方向変位が大きくなり易い。かかる軸方向
の変位に対処するため,パワーローラ2はトラニオン4
に対して回転自在に且つ揺動自在に支持されており,ス
ラスト力に応じてパワーローラ2に生じる主軸の軸方向
変位は,パワーローラ2の支持軸5の回りの揺動により
吸収されている。なお,トロイダル型無段変速機1にお
けるトラニオン4の位置を軸方向の基準位置とした場合
には,トラニオン4がパワーローラ2を揺動自在に支持
する必要はない。
伝達するには,ローディングカム22の作用により,入
力ディスク3,出力ディスク23及びパワーローラ2の
各接触領域に大きな接触圧力を発生させることが必要で
ある。そのため,軸方向の基準位置をトロイダル型無段
変速機のどこに置いても,公差及び歪みに起因して,入
力ディスク3,出力ディスク23及びパワーローラ2
は,その基準位置から離れるにしたがって,ローデイン
グカムによる軸方向のカム作用力に応じて軸方向に変位
する。特に,トロイダル変速部を主軸(入力軸21,出
力軸24)の軸方向に二組並べたダブルキャビティ式ト
ロイダル型無段変速機においては,少なくとも一方のト
ロイダル変速部に設けられたパワーローラ2の位置が軸
方向基準位置から遠くなる傾向にあるので,そのパワー
ローラ2の軸方向変位が大きくなり易い。かかる軸方向
の変位に対処するため,パワーローラ2はトラニオン4
に対して回転自在に且つ揺動自在に支持されており,ス
ラスト力に応じてパワーローラ2に生じる主軸の軸方向
変位は,パワーローラ2の支持軸5の回りの揺動により
吸収されている。なお,トロイダル型無段変速機1にお
けるトラニオン4の位置を軸方向の基準位置とした場合
には,トラニオン4がパワーローラ2を揺動自在に支持
する必要はない。
【0009】各パワーローラ2のトラニオン4に対する
支持の構造について,図4及び図5に基づいて説明す
る。パワーローラ2は,ローラ本体30,バックプレー
ト31,及びローラ本体30をパックプレート31に対
してスラスト力を受けながら回転自在に保持するスラス
ト軸受32を備えている。ここでのスラスト力は,ロー
ラ本体30の回転軸の軸線方向に作用する力のことであ
る。パワーローラ2は,また,トラニオン4に対して回
転自在に支持する支持軸5を備えている。支持軸5は,
トラニオン4に対してニードル軸受から成る第1軸受3
4を介して回動自在に支持される第1軸部36と,第1
軸部36と一体に構成(即ち,一体構造か又は別体に形
成したときには一体的に連結)されており且つローラ本
体30をニードル軸受から成る第2軸受35を介して回
転自在に支持する第2軸部37とから構成されている。
図4に示したパワーローラ2では,第2軸部37は,第
1軸部36に対して偏心している。バックプレート31
は,ローラ本体30との同軸度を確保するため,支持軸
5の第2軸部37に嵌合されている。更に,バックプレ
ート31は,入力ディスク3及び出力ディスク23から
の押付け力を受けるため,滑り軸受又はニードル軸受等
から成るスラスト軸受33を介してトラニオン4に支持
されている。また,支持軸5は,ラジアルニードル軸受
35を介してトラニオン4に回転自在に支持されてい
る。なお,スラスト軸受32の転動体はボールであり,
保持器38によって,ローラ本体30とバックプレート
31との間の所定の軌道溝間に保持されている。
支持の構造について,図4及び図5に基づいて説明す
る。パワーローラ2は,ローラ本体30,バックプレー
ト31,及びローラ本体30をパックプレート31に対
してスラスト力を受けながら回転自在に保持するスラス
ト軸受32を備えている。ここでのスラスト力は,ロー
ラ本体30の回転軸の軸線方向に作用する力のことであ
る。パワーローラ2は,また,トラニオン4に対して回
転自在に支持する支持軸5を備えている。支持軸5は,
トラニオン4に対してニードル軸受から成る第1軸受3
4を介して回動自在に支持される第1軸部36と,第1
軸部36と一体に構成(即ち,一体構造か又は別体に形
成したときには一体的に連結)されており且つローラ本
体30をニードル軸受から成る第2軸受35を介して回
転自在に支持する第2軸部37とから構成されている。
図4に示したパワーローラ2では,第2軸部37は,第
1軸部36に対して偏心している。バックプレート31
は,ローラ本体30との同軸度を確保するため,支持軸
5の第2軸部37に嵌合されている。更に,バックプレ
ート31は,入力ディスク3及び出力ディスク23から
の押付け力を受けるため,滑り軸受又はニードル軸受等
から成るスラスト軸受33を介してトラニオン4に支持
されている。また,支持軸5は,ラジアルニードル軸受
35を介してトラニオン4に回転自在に支持されてい
る。なお,スラスト軸受32の転動体はボールであり,
保持器38によって,ローラ本体30とバックプレート
31との間の所定の軌道溝間に保持されている。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】図4に示すような,パ
ワーローラ2の構造では,小型化に対応するため,支持
軸5の第1軸部36のトラニオン4に対する第1軸受3
4,及び支持軸5の第1軸部36に対するローラ本体3
0の第2軸受35は,いずれもニードル軸受が採用され
ている。ニードル軸受34,35は,基本的にラジアル
方向に隙間が存在しており,且つニードルには端部に荷
重が集中するのを防止するためのクラウニングが施され
ているので,トラニオン4に対する支持軸5,及び支持
軸5に対するローラ本体2は,傾き易いという問題があ
る。
ワーローラ2の構造では,小型化に対応するため,支持
軸5の第1軸部36のトラニオン4に対する第1軸受3
4,及び支持軸5の第1軸部36に対するローラ本体3
0の第2軸受35は,いずれもニードル軸受が採用され
ている。ニードル軸受34,35は,基本的にラジアル
方向に隙間が存在しており,且つニードルには端部に荷
重が集中するのを防止するためのクラウニングが施され
ているので,トラニオン4に対する支持軸5,及び支持
軸5に対するローラ本体2は,傾き易いという問題があ
る。
【0011】しかも,パワーローラ2の組立を容易にす
るため,支持軸5の第2軸部37とバックプレート31
との間の嵌め合いは,相当に弛いすきま嵌めとなってお
り,また,バックプレート31の厚みが薄いので,バッ
クプレート31によって支持軸5の傾斜を抑制すること
ができない。このため,パワーローラ2のローラ本体3
0の回転中心は,目標変速比が一定であっても,外乱等
によってトラニオン4に対して変動して一定しないこと
がある。
るため,支持軸5の第2軸部37とバックプレート31
との間の嵌め合いは,相当に弛いすきま嵌めとなってお
り,また,バックプレート31の厚みが薄いので,バッ
クプレート31によって支持軸5の傾斜を抑制すること
ができない。このため,パワーローラ2のローラ本体3
0の回転中心は,目標変速比が一定であっても,外乱等
によってトラニオン4に対して変動して一定しないこと
がある。
【0012】このような状態になると,例えば,トロイ
ダル型無段変速機を通して伝達するトルクの大きさに変
動があった場合のように,入力ディスク3及び出力ディ
スク23からパワーローラ2のローラ本体30が受ける
接線方向の力の向きが変動すると,パワーローラ2のロ
ーラ本体30の回転中心C−Cが,傾転軸6の方向に移
動する。パワーローラ2に対する傾転力が釣り合うの
は,パワーローラ2の回転軸線と入力ディスク3及び出
力ディスク23の回転軸線が交差している状態であるの
で,パワーローラ2の位置がトラニオン4に対して傾転
軸6の方向に移動することは,パワーローラ2に対する
傾転力が釣り合う傾転軸方向位置も異なることになる。
図5は,パワーローラ2のローラ本体30が,傾転軸6
の方向(図の上方)に移動して,ローラ本体30の回転
中心がC’−C’に移動した状態を示している。このこ
とは,トラニオン4の傾転軸6方向への位置が変わらな
いにもかかわらず実際のローラ本体30と入力ディスク
3及び出力ディスク23との接触点が傾転軸6方向で変
位していることを意味している。したがって,目標変速
比が変わらないにもかかわらず,ローラ本体30の回転
中心がC−CからC’−C’へオフセットするのに応じ
て,トロイダル型無段変速機1が変速を開始してしま
う。
ダル型無段変速機を通して伝達するトルクの大きさに変
動があった場合のように,入力ディスク3及び出力ディ
スク23からパワーローラ2のローラ本体30が受ける
接線方向の力の向きが変動すると,パワーローラ2のロ
ーラ本体30の回転中心C−Cが,傾転軸6の方向に移
動する。パワーローラ2に対する傾転力が釣り合うの
は,パワーローラ2の回転軸線と入力ディスク3及び出
力ディスク23の回転軸線が交差している状態であるの
で,パワーローラ2の位置がトラニオン4に対して傾転
軸6の方向に移動することは,パワーローラ2に対する
傾転力が釣り合う傾転軸方向位置も異なることになる。
図5は,パワーローラ2のローラ本体30が,傾転軸6
の方向(図の上方)に移動して,ローラ本体30の回転
中心がC’−C’に移動した状態を示している。このこ
とは,トラニオン4の傾転軸6方向への位置が変わらな
いにもかかわらず実際のローラ本体30と入力ディスク
3及び出力ディスク23との接触点が傾転軸6方向で変
位していることを意味している。したがって,目標変速
比が変わらないにもかかわらず,ローラ本体30の回転
中心がC−CからC’−C’へオフセットするのに応じ
て,トロイダル型無段変速機1が変速を開始してしま
う。
【0013】また,パワーローラ2が入力ディスク3及
び出力ディスク23より受ける力は,パワーローラ2の
回転軸線方向のスラスト力と,トルクを伝達する際に受
けるトルク反力(接線力)があり,接線力はトルクが伝
達されているドライブ時と惰性走行しているコースト時
とでは互いに反対方向に生じる。したがって,支持軸5
がトラニオン4に対して傾斜が生じる状況では,パワー
ローラ2の回転中心C−Cの傾転軸方向位置がドライブ
時とコースト時とでは異なるため,パワーローラ2に生
じる傾転力が釣り合う傾転軸方向位置が異なり,その結
果,目標変速比が同じあっても,変速比が異なることに
なる。
び出力ディスク23より受ける力は,パワーローラ2の
回転軸線方向のスラスト力と,トルクを伝達する際に受
けるトルク反力(接線力)があり,接線力はトルクが伝
達されているドライブ時と惰性走行しているコースト時
とでは互いに反対方向に生じる。したがって,支持軸5
がトラニオン4に対して傾斜が生じる状況では,パワー
ローラ2の回転中心C−Cの傾転軸方向位置がドライブ
時とコースト時とでは異なるため,パワーローラ2に生
じる傾転力が釣り合う傾転軸方向位置が異なり,その結
果,目標変速比が同じあっても,変速比が異なることに
なる。
【0014】また,軽負荷運転時には,上記接線力が非
常に小さく,トラニオン4に対するパワーローラ2の回
転軸線の位置が定まり難い。また,車両の運転状態がド
ライブ状態とコースト状態との間で切り換わる時のよう
に,伝達トルクに対するトルク変動幅が大きい場合に,
同じ目標変速比に対して変速比が振動的に変化して運転
者に著しい不快感を与えるという問題点もある。更に,
ダブルキャビティトロイダル型無段変速機では,二組の
トロイダル変速部の変速比が過渡的に異なるため,比較
的早い周期で変速比が変動したり,内部循環トルクによ
って大きなトルクが変速機内部に発生して,トラクショ
ンドライブ部の滑りなどの変速機の故障を引き起こす可
能性があるという問題点もある。
常に小さく,トラニオン4に対するパワーローラ2の回
転軸線の位置が定まり難い。また,車両の運転状態がド
ライブ状態とコースト状態との間で切り換わる時のよう
に,伝達トルクに対するトルク変動幅が大きい場合に,
同じ目標変速比に対して変速比が振動的に変化して運転
者に著しい不快感を与えるという問題点もある。更に,
ダブルキャビティトロイダル型無段変速機では,二組の
トロイダル変速部の変速比が過渡的に異なるため,比較
的早い周期で変速比が変動したり,内部循環トルクによ
って大きなトルクが変速機内部に発生して,トラクショ
ンドライブ部の滑りなどの変速機の故障を引き起こす可
能性があるという問題点もある。
【0015】
【課題を解決するための手段】この発明の目的は,上記
問題を解決することであって,バックプレートの嵌合部
を利用することによって支持軸の傾きを抑制してパワー
ローラのローラ本体の回転中心の変動量を支持軸のニー
ドル軸受のラジアル隙間程度に抑制することにより,ト
ロイダル型無段変速機の変速運転状態によらず,安定し
て所定の変速比を維持することができるトロイダル型無
段変速機を提供することである。
問題を解決することであって,バックプレートの嵌合部
を利用することによって支持軸の傾きを抑制してパワー
ローラのローラ本体の回転中心の変動量を支持軸のニー
ドル軸受のラジアル隙間程度に抑制することにより,ト
ロイダル型無段変速機の変速運転状態によらず,安定し
て所定の変速比を維持することができるトロイダル型無
段変速機を提供することである。
【0016】この発明は,入力軸により駆動される入力
ディスク,前記入力ディスクに対向して配置され且つ出
力軸に連結された出力ディスク,前記入力ディスクと前
記出力ディスクとの間に配置され前記入力ディスクの回
転を無段階に変速して前記出力ディスクに伝達する傾転
可能なパワーローラ,前記パワーローラを回転自在に支
持し且つ前記パワーローラの傾転軸方向に変位可能なト
ラニオン,及び前記トラニオンを前記傾転軸方向に変位
させるアクチュエータを具備し,前記パワーローラは,
前記入力ディスクの回転を前記出力ディスクに伝達する
ローラ本体,第1軸受を介して前記トラニオンに回動可
能に支持されると共に前記ローラ本体を第2軸受を介し
て回転自在に支持する支持軸,前記トラニオンに対して
第3軸受を介して支持されたバックプレート,及び前記
ローラ本体と前記バックプレートとの間に介在された転
動体から成り,前記バックプレートは前記支持軸に嵌合
する嵌合部を備え,前記嵌合部は,前記転動体が転がる
軌道が設けられた受け面よりも前記ローラ本体側に延び
ると共に前記支持軸に嵌合する延出部を有していること
から成るトロイダル型無段変速機に関する。
ディスク,前記入力ディスクに対向して配置され且つ出
力軸に連結された出力ディスク,前記入力ディスクと前
記出力ディスクとの間に配置され前記入力ディスクの回
転を無段階に変速して前記出力ディスクに伝達する傾転
可能なパワーローラ,前記パワーローラを回転自在に支
持し且つ前記パワーローラの傾転軸方向に変位可能なト
ラニオン,及び前記トラニオンを前記傾転軸方向に変位
させるアクチュエータを具備し,前記パワーローラは,
前記入力ディスクの回転を前記出力ディスクに伝達する
ローラ本体,第1軸受を介して前記トラニオンに回動可
能に支持されると共に前記ローラ本体を第2軸受を介し
て回転自在に支持する支持軸,前記トラニオンに対して
第3軸受を介して支持されたバックプレート,及び前記
ローラ本体と前記バックプレートとの間に介在された転
動体から成り,前記バックプレートは前記支持軸に嵌合
する嵌合部を備え,前記嵌合部は,前記転動体が転がる
軌道が設けられた受け面よりも前記ローラ本体側に延び
ると共に前記支持軸に嵌合する延出部を有していること
から成るトロイダル型無段変速機に関する。
【0017】この発明によるトロイダル型無段変速機
は,上記のように構成されているので,次のように作動
する。即ち,パワーローラは,入力ディスクの回転を出
力ディスクに伝達するローラ本体,第1軸受を介して前
記トラニオンに回動可能に支持されると共に前記ローラ
本体を第2軸受を介して回転自在に支持する支持軸,ト
ラニオンに対して第3軸受を介して支持されたバックプ
レート,及びローラ本体と前記バックプレートとの間に
介在された転動体から成っているので,バックプレート
の構成に工夫を施し,バックプレートの嵌合部に転動体
が転がる軌道が設けられた受け面よりもローラ本体側に
延びた延出部を形成し,嵌合部はその延出部を含めると
支持軸の軸方向に長い範囲で支持軸に嵌合することにな
る。したがって,支持軸がトラニオンに対して傾斜する
ことが抑制され,その結果,ローラ本体の回転中心の傾
転軸方向への変位量は,第1及び第2軸受のラジアル方
向に存在する隙間程度に抑制される。
は,上記のように構成されているので,次のように作動
する。即ち,パワーローラは,入力ディスクの回転を出
力ディスクに伝達するローラ本体,第1軸受を介して前
記トラニオンに回動可能に支持されると共に前記ローラ
本体を第2軸受を介して回転自在に支持する支持軸,ト
ラニオンに対して第3軸受を介して支持されたバックプ
レート,及びローラ本体と前記バックプレートとの間に
介在された転動体から成っているので,バックプレート
の構成に工夫を施し,バックプレートの嵌合部に転動体
が転がる軌道が設けられた受け面よりもローラ本体側に
延びた延出部を形成し,嵌合部はその延出部を含めると
支持軸の軸方向に長い範囲で支持軸に嵌合することにな
る。したがって,支持軸がトラニオンに対して傾斜する
ことが抑制され,その結果,ローラ本体の回転中心の傾
転軸方向への変位量は,第1及び第2軸受のラジアル方
向に存在する隙間程度に抑制される。
【0018】このトロイダル型無段変速機において,前
記嵌合部は,支持軸に対して,とまり嵌め又はすきま嵌
めによって嵌合している。嵌合部が支持軸に対してとま
り嵌めによって嵌合,即ち,滑合している場合には,嵌
合部は支持軸に対して滑りつつ相対回転することができ
る。しかしながら,嵌合部と支持軸との間には,滑りを
許容するに必要な程度の隙間しか形成されていないの
で,支持軸の傾きを抑制することが可能となる。また,
嵌合部が支持軸に対してすきま嵌めによって嵌合してい
る状態でも,僅かな隙間を介在させているだけであるの
で,バックプレートは支持軸の傾きを抑制する。
記嵌合部は,支持軸に対して,とまり嵌め又はすきま嵌
めによって嵌合している。嵌合部が支持軸に対してとま
り嵌めによって嵌合,即ち,滑合している場合には,嵌
合部は支持軸に対して滑りつつ相対回転することができ
る。しかしながら,嵌合部と支持軸との間には,滑りを
許容するに必要な程度の隙間しか形成されていないの
で,支持軸の傾きを抑制することが可能となる。また,
嵌合部が支持軸に対してすきま嵌めによって嵌合してい
る状態でも,僅かな隙間を介在させているだけであるの
で,バックプレートは支持軸の傾きを抑制する。
【0019】また,このトロイダル型無段変速機におい
て,前記第1軸受及び前記第2軸受は,ニードル軸受で
ある。ニードル軸受には,ニードルの端部が軌道に対し
て高い面圧を生じないように,クラウニングが施されて
いるので,第1軸部及び第2軸部の傾斜の原因となって
いる。しかしながら,この発明によるトロイダル型無段
変速機によれば,バックプレートの嵌合部に延出部を設
けているので,ニードル軸受から成る第1軸受及び第2
軸受のクラウニングに起因した支持軸の傾斜を可及的に
抑制することができる。
て,前記第1軸受及び前記第2軸受は,ニードル軸受で
ある。ニードル軸受には,ニードルの端部が軌道に対し
て高い面圧を生じないように,クラウニングが施されて
いるので,第1軸部及び第2軸部の傾斜の原因となって
いる。しかしながら,この発明によるトロイダル型無段
変速機によれば,バックプレートの嵌合部に延出部を設
けているので,ニードル軸受から成る第1軸受及び第2
軸受のクラウニングに起因した支持軸の傾斜を可及的に
抑制することができる。
【0020】
【発明の実施の形態】以下,図面を参照して,この発明
によるトロイダル型無段変速機の実施例について説明す
る。図1は,この発明によるトロイダル型無段変速機の
一実施例において用いられるパワーローラのトラニオン
に対する支持構造を示す断面図である。トロイダル型無
段変速機それ自体の構造は,図2及び図3に示した構造
のものと同等であってよく,その構造及び作動の再度の
説明を省略する。
によるトロイダル型無段変速機の実施例について説明す
る。図1は,この発明によるトロイダル型無段変速機の
一実施例において用いられるパワーローラのトラニオン
に対する支持構造を示す断面図である。トロイダル型無
段変速機それ自体の構造は,図2及び図3に示した構造
のものと同等であってよく,その構造及び作動の再度の
説明を省略する。
【0021】図1におけるパワーローラ2のトラニオン
4に対する支持構造についても,基本的な構造について
は,図4に示した従来の支持構造と変わるところがない
ので,同じ構成要素には同じ符号を付し,それらの構造
とその構造に基づくパワーローラ2及びトラニオン4の
作動についての説明を省略する。この支持構造において
は,バックプレート31が支持軸5の第2軸部37に嵌
合する嵌合部50に延出部51が設けられている。
4に対する支持構造についても,基本的な構造について
は,図4に示した従来の支持構造と変わるところがない
ので,同じ構成要素には同じ符号を付し,それらの構造
とその構造に基づくパワーローラ2及びトラニオン4の
作動についての説明を省略する。この支持構造において
は,バックプレート31が支持軸5の第2軸部37に嵌
合する嵌合部50に延出部51が設けられている。
【0022】バックプレート31は,トロイダル型無段
変速機1の運転状態にかかわらず,支持軸5の軸方向に
強いスラスト力を受けており,スラスト軸受33を介し
てトラニオン4に押し付けられているので,傾くことが
ない。バックプレート31の受け面52には,スラスト
軸受32を構成する転動体57(好ましくは,ボール)
のための軌道としての軌道溝53が形成されている。ロ
ーラ本体30にも,軌道溝53に対向して転動体57の
ための軌道溝58が形成されており,両軌道溝53,5
8によって形成される軌道路を転動体57が転走する。
なお,支持軸5の第2軸部37のスラスト軸受33側端
部には,フランジ54が形成されており,バックプレー
ト31がフランジ54にも嵌合している。
変速機1の運転状態にかかわらず,支持軸5の軸方向に
強いスラスト力を受けており,スラスト軸受33を介し
てトラニオン4に押し付けられているので,傾くことが
ない。バックプレート31の受け面52には,スラスト
軸受32を構成する転動体57(好ましくは,ボール)
のための軌道としての軌道溝53が形成されている。ロ
ーラ本体30にも,軌道溝53に対向して転動体57の
ための軌道溝58が形成されており,両軌道溝53,5
8によって形成される軌道路を転動体57が転走する。
なお,支持軸5の第2軸部37のスラスト軸受33側端
部には,フランジ54が形成されており,バックプレー
ト31がフランジ54にも嵌合している。
【0023】支持軸5の第2軸部37に嵌合するバック
プレート31の嵌合部50は,ローラ本体30に向かっ
て一体的に延びる延出部51が設けられている。したが
って,嵌合部50は,延出部51を含めた軸方向に長い
範囲にわたって支持軸5と嵌合している。嵌合部50の
内周面55と第2軸部37の外周面56との間は,相対
的な滑りが許容されるとまり嵌め,即ち,滑合関係にあ
るか,又は僅かの隙間を置いたすきま嵌めの嵌合状態に
ある。いずれの嵌合の形態であっても,延出部51を含
めた嵌合部50の嵌合長さは,嵌合部50と支持軸5と
の間に生じているラジアル方向の隙間に対して充分長く
なっている。
プレート31の嵌合部50は,ローラ本体30に向かっ
て一体的に延びる延出部51が設けられている。したが
って,嵌合部50は,延出部51を含めた軸方向に長い
範囲にわたって支持軸5と嵌合している。嵌合部50の
内周面55と第2軸部37の外周面56との間は,相対
的な滑りが許容されるとまり嵌め,即ち,滑合関係にあ
るか,又は僅かの隙間を置いたすきま嵌めの嵌合状態に
ある。いずれの嵌合の形態であっても,延出部51を含
めた嵌合部50の嵌合長さは,嵌合部50と支持軸5と
の間に生じているラジアル方向の隙間に対して充分長く
なっている。
【0024】支持軸5は,バックプレート31によって
拘束を受けて,殆ど傾くことがない。支持軸5をトラニ
オン4に対して回動自在に支持する第1軸受34及びパ
ワーローラ2のローラ本体30を支持軸5に対して回転
自在に支持する第2軸受35は,ニードル軸受であっ
て,ラジアル方向に隙間が存在している。しかしなが
ら,上記のとおり,バックプレート31は,トロイダル
型無段変速機の運転状態にかかわらず,強いスラスト力
を受けてトラニオン4に押し付けられているので,殆ど
傾くことがない。延出部51を含めたバックプレート3
1の嵌合部50の嵌合長さは,嵌合部50と支持軸5と
の間の生じている隙間に対して充分長いので,結局,支
持軸5の傾きが抑制される。しだがって,第1軸受34
及び第2軸受35にラジアル方向の隙間が存在すること
で支持軸5が傾くことに起因していたパワーローラ2の
ローラ本体30の回転中心の傾転軸方向への変化量は,
支持軸5の傾きを抑制することにより,殆ど無くなる。
パワーローラ2のローラ本体30の回転中心の傾転軸方
向への変化量は,第1軸受34及び第2軸受35のラジ
アル方向の隙間程度(20μ程度)となり,非常に小さ
なものとなる。
拘束を受けて,殆ど傾くことがない。支持軸5をトラニ
オン4に対して回動自在に支持する第1軸受34及びパ
ワーローラ2のローラ本体30を支持軸5に対して回転
自在に支持する第2軸受35は,ニードル軸受であっ
て,ラジアル方向に隙間が存在している。しかしなが
ら,上記のとおり,バックプレート31は,トロイダル
型無段変速機の運転状態にかかわらず,強いスラスト力
を受けてトラニオン4に押し付けられているので,殆ど
傾くことがない。延出部51を含めたバックプレート3
1の嵌合部50の嵌合長さは,嵌合部50と支持軸5と
の間の生じている隙間に対して充分長いので,結局,支
持軸5の傾きが抑制される。しだがって,第1軸受34
及び第2軸受35にラジアル方向の隙間が存在すること
で支持軸5が傾くことに起因していたパワーローラ2の
ローラ本体30の回転中心の傾転軸方向への変化量は,
支持軸5の傾きを抑制することにより,殆ど無くなる。
パワーローラ2のローラ本体30の回転中心の傾転軸方
向への変化量は,第1軸受34及び第2軸受35のラジ
アル方向の隙間程度(20μ程度)となり,非常に小さ
なものとなる。
【0025】このため,トルクの伝達があるドライブ時
と滑走状態にあるコースト時とで,同じ目標変速比に対
して,傾転力が釣り合うトラニオン4の傾転軸6方向の
変位量に殆ど差が生じないので,従来生じていたような
変速比が異なる事態にならない。また,軽負荷運転時,
又はドライブ状態からコースト状態への切換え時等のト
ルク負荷が変動する場合に,変速比が不安定に変動する
こともない。
と滑走状態にあるコースト時とで,同じ目標変速比に対
して,傾転力が釣り合うトラニオン4の傾転軸6方向の
変位量に殆ど差が生じないので,従来生じていたような
変速比が異なる事態にならない。また,軽負荷運転時,
又はドライブ状態からコースト状態への切換え時等のト
ルク負荷が変動する場合に,変速比が不安定に変動する
こともない。
【0026】なお,上記の記載では,延出部51を嵌合
部50と一体的に構成したが,延出部51を別体に形成
してバックプレート31に取り付けてもよい。また,バ
ックプレート31の嵌合部50と支持軸5との嵌合は,
しまり嵌めでも同様の作用を奏する。バックプレート3
1はトラニオン4に対してはスラスト軸受33を介して
相対変位自在であり,またローラ本体30に対しては転
動体57を介して相対回転自在であるので,バックプレ
ート31と支持軸5とをしまり嵌めで一体化しても支障
はない。更に,図1に示されたパワーローラ2の支持構
造は,トロイダル変速部の軸方向基準位置にないパワー
ローラ2のトラニオン4に対する支持構造の例を示して
いる。そのため,支持軸5において,ローラ本体30を
回転自在に支持する第2軸部37は,トラニオン4に回
動自在に支持された第1軸部36に対して偏心してい
る。パワーローラ2の回転中心の傾転軸方向への変位
は,第1軸部と第2軸部とが同心であっても生じる現象
であるので,パワーローラ2がトロイダル変速部の軸方
向基準位置に配置されている場合にも,このパワーロー
ラの支持構造が適用できる。この場合には,ローラ本体
30はトラニオン4に回動自在に支持された第1軸部3
6と同心の第2軸部37に回転支持されることになり,
パワーローラ2は振り運動をすることがない。
部50と一体的に構成したが,延出部51を別体に形成
してバックプレート31に取り付けてもよい。また,バ
ックプレート31の嵌合部50と支持軸5との嵌合は,
しまり嵌めでも同様の作用を奏する。バックプレート3
1はトラニオン4に対してはスラスト軸受33を介して
相対変位自在であり,またローラ本体30に対しては転
動体57を介して相対回転自在であるので,バックプレ
ート31と支持軸5とをしまり嵌めで一体化しても支障
はない。更に,図1に示されたパワーローラ2の支持構
造は,トロイダル変速部の軸方向基準位置にないパワー
ローラ2のトラニオン4に対する支持構造の例を示して
いる。そのため,支持軸5において,ローラ本体30を
回転自在に支持する第2軸部37は,トラニオン4に回
動自在に支持された第1軸部36に対して偏心してい
る。パワーローラ2の回転中心の傾転軸方向への変位
は,第1軸部と第2軸部とが同心であっても生じる現象
であるので,パワーローラ2がトロイダル変速部の軸方
向基準位置に配置されている場合にも,このパワーロー
ラの支持構造が適用できる。この場合には,ローラ本体
30はトラニオン4に回動自在に支持された第1軸部3
6と同心の第2軸部37に回転支持されることになり,
パワーローラ2は振り運動をすることがない。
【0027】
【発明の効果】この発明によるトロイダル型無段変速機
は,上記のように構成されているので,次のような効果
を奏する。即ち,この発明によるトロイダル型無段変速
機においては,パワーローラを構成する要素の一つであ
るバックプレートの構成に工夫を施し,バックプレート
の嵌合部に転動体が転がる軌道が設けられた受け面より
もローラ本体側に延びた延出部を形成し,嵌合部は,そ
の延出部を含めて支持軸の軸方向に長い範囲で支持軸に
嵌合する。したがって,支持軸がトラニオンに対して傾
斜することが抑制され,ローラ本体の回転中心の傾転軸
方向への変位量は,第1及び第2軸受のラジアル方向に
存在する隙間程度に抑制される。その結果,トルクが静
的に異なるドライブ運転状態とコースト運転状態とにお
いて,パワーローラの回転中心がトラニオンの傾転軸方
向の位置に変化が殆ど無く,目標変速比からの変化も少
ない。更に,トルクが動的に変化する,軽負荷運転時や
ドライブ運転とコースト運転との間の運転状態の切り換
え時において,変速比が不安定となって運転者に違和感
を与えることがなく,所定の変速比を安定して維持する
ことができる。
は,上記のように構成されているので,次のような効果
を奏する。即ち,この発明によるトロイダル型無段変速
機においては,パワーローラを構成する要素の一つであ
るバックプレートの構成に工夫を施し,バックプレート
の嵌合部に転動体が転がる軌道が設けられた受け面より
もローラ本体側に延びた延出部を形成し,嵌合部は,そ
の延出部を含めて支持軸の軸方向に長い範囲で支持軸に
嵌合する。したがって,支持軸がトラニオンに対して傾
斜することが抑制され,ローラ本体の回転中心の傾転軸
方向への変位量は,第1及び第2軸受のラジアル方向に
存在する隙間程度に抑制される。その結果,トルクが静
的に異なるドライブ運転状態とコースト運転状態とにお
いて,パワーローラの回転中心がトラニオンの傾転軸方
向の位置に変化が殆ど無く,目標変速比からの変化も少
ない。更に,トルクが動的に変化する,軽負荷運転時や
ドライブ運転とコースト運転との間の運転状態の切り換
え時において,変速比が不安定となって運転者に違和感
を与えることがなく,所定の変速比を安定して維持する
ことができる。
【図1】この発明によるトロイダル型無段変速機の一実
施例において用いられるパワーローラのトラニオンに対
する支持構造の一例を示す断面図である。
施例において用いられるパワーローラのトラニオンに対
する支持構造の一例を示す断面図である。
【図2】従来のトロイダル型無段変速機の概略を示す一
部断面図である。
部断面図である。
【図3】従来のトロイダル型無段変速機の変速制御機構
の一例を示す断面図である。
の一例を示す断面図である。
【図4】従来のトロイダル型無段変速機におけるパワー
ローラのトラニオンに対する支持構造の一例を示す断面
図である。
ローラのトラニオンに対する支持構造の一例を示す断面
図である。
【図5】図4に示す従来のパワーローラのトラニオンに
対する支持構造において,支持軸が傾斜した状態を示す
断面図である。
対する支持構造において,支持軸が傾斜した状態を示す
断面図である。
1 トロイダル無段変速機 2 パワーローラ 3 入力ディスク 4 トラニオン 5 支持軸 6 傾転軸 7 ピストン 8 油圧シリンダ 21 入力軸 23 出力ディスク 24 出力軸 30 ローラ本体 31 バックプレート 33 スラスト軸受 34 第1軸受 35 第2軸受 50 嵌合部 51 延出部 52 受け面 57 転動体
Claims (3)
- 【請求項1】 入力軸により駆動される入力ディスク,
前記入力ディスクに対向して配置され且つ出力軸に連結
された出力ディスク,前記入力ディスクと前記出力ディ
スクとの間に配置され前記入力ディスクの回転を無段階
に変速して前記出力ディスクに伝達する傾転可能なパワ
ーローラ,前記パワーローラを回転自在に支持し且つ前
記パワーローラの傾転軸方向に変位可能なトラニオン,
及び前記トラニオンを前記傾転軸方向に変位させるアク
チュエータを具備し,前記パワーローラは,前記入力デ
ィスクの回転を前記出力ディスクに伝達するローラ本
体,第1軸受を介して前記トラニオンに回動可能に支持
されると共に前記ローラ本体を第2軸受を介して回転自
在に支持する支持軸,前記トラニオンに対して第3軸受
を介して支持されたバックプレート,及び前記ローラ本
体と前記バックプレートとの間に介在された転動体から
成り,前記バックプレートは前記支持軸に嵌合する嵌合
部を備え,前記嵌合部は,前記転動体が転がる軌道が設
けられた受け面よりも前記ローラ本体側に延びると共に
前記支持軸に嵌合する延出部を有していることから成る
トロイダル型無段変速機。 - 【請求項2】 前記嵌合部は,前記支持軸に対して,と
まり嵌め又はすきま嵌めによって嵌合していることから
成る請求項1に記載のトロイダル型無段変速機。 - 【請求項3】 前記第1軸受及び前記第2軸受は,ニー
ドル軸受であることから成る請求項1に記載のトロイダ
ル型無段変速機。
Priority Applications (5)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP22437397A JPH1151139A (ja) | 1997-08-05 | 1997-08-05 | トロイダル型無段変速機 |
DE69826433T DE69826433T2 (de) | 1997-08-05 | 1998-08-03 | Stufenloses toroidgetriebe |
EP98935325A EP0930448B1 (en) | 1997-08-05 | 1998-08-03 | Toroidal type continuously variable transmission |
US09/269,714 US6152850A (en) | 1997-08-05 | 1998-08-03 | Toroidal type continuously variable transmission |
PCT/JP1998/003441 WO1999008020A1 (fr) | 1997-08-05 | 1998-08-03 | Transmission a changement de vitesses continu et de type toroidal |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP22437397A JPH1151139A (ja) | 1997-08-05 | 1997-08-05 | トロイダル型無段変速機 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH1151139A true JPH1151139A (ja) | 1999-02-23 |
Family
ID=16812747
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP22437397A Pending JPH1151139A (ja) | 1997-08-05 | 1997-08-05 | トロイダル型無段変速機 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH1151139A (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US6945904B2 (en) | 2002-01-17 | 2005-09-20 | Nsk Ltd. | Toroidal-type continuously variable transmission |
JP2006308037A (ja) * | 2005-05-02 | 2006-11-09 | Nsk Ltd | トロイダル型無段変速機 |
JP2011052712A (ja) * | 2009-08-31 | 2011-03-17 | Nsk Ltd | トロイダル型無段変速機 |
-
1997
- 1997-08-05 JP JP22437397A patent/JPH1151139A/ja active Pending
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