JP2004509287A - 始動装置 - Google Patents

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Abstract

駆動装置(6)と、該駆動装置(16)に後置された可変減速比を有する伝動装置(22)とを有する内燃機関のための始動装置を提案する。この始動装置(10)は、伝動装置(22)の減速比が無段式で可変であることを特徴としている。

Description

【0001】
背景技術
本発明は、請求項1の上位概念に記載の形式の内燃機関のための始動装置に関する。ドイツ連邦共和国特許出願公開第19927905号明細書に基づき公知の始動装置は、駆動装置とピニオンとの間に可変の減速比を有する伝動装置を有している。この伝動装置は、太陽歯車が駆動装置によって駆動可能な遊星歯車伝動装置である。この遊星歯車伝動装置の駆動は、遊星歯車延いては遊星歯車支持体を介して行われる。前記遊星歯車伝動装置は2つの異なる減速比を可能にする。即ち、回転数の低い第1の減速比では、オーバーランニングクラッチにより保持されたリングギヤを介して低速への伝達が行われる。規定された駆動装置回転数から、遊星歯車支持体に固定された複数の遠心力カップリング部材が働いてリングギヤが遊星歯車支持体にロックされ、これにより、遊星歯車伝動装置が減速から1:1の減速比へ切り換えられる。この構成の欠点は、内燃機関のためのいわゆる高速回転助成が2つの運転ポイントでしか最適に適合されていない点である。
【0002】
発明の利点
請求項1の特徴部に記載の本発明による始動装置は、該始動装置が伝動装置の可変の減速比に基づき、始動時の内燃機関の運転状態にできるだけ最適に適合され得るという利点を有している。これにより、始動装置の高速回転助成は最適となる。
【0003】
伝動装置の無段式の構成は、伝動装置における摩耗を少なくし且つノイズを少なくする。それというのも、この場合は減速比の変化に際して力若しくは負荷の突出が生ぜしめられないからである。請求項2以下に記載の構成により、請求項1記載の始動装置の有利な改良が可能である。始動装置における可変減速比を実現するための手間は、伝動装置が自己制御式であると特に小さくなる。センサ、調整部材及び手間のかかる制御技術は省くことができる。
【0004】
実施例の説明
以下に、本発明の実施例を図面につき詳しく説明する。
【0005】
図1には、ケーシング13内に複数の構成群を収容している始動装置10が示されている。前記構成群には駆動軸19と伝動装置22とを介して出力軸25を駆動する駆動装置16が所属している。出力軸25には回転摺動可能にピニオン噛合い駆動装置28が支承されている。このピニオン噛合い駆動装置28は、ソレノイドスイッチ31を介して内燃機関のリングギヤ(図示せず)に噛み合うことができる。
【0006】
図2には、伝動装置22の第1実施例が示されている。この第1実施例は可変の減速比を有する伝動装置であって、この場合、減速比は無段式で可変である。伝動装置22はいわゆる遊星歯車伝動装置として構成されている。2つの部分から形成された中心歯車34は駆動軸19を介して駆動される。中心歯車34は第1のフランクギヤ37と第2のフランクギヤ40とから成っている。これらの第1のフランクギヤ37及び第2のフランクギヤ40はそれぞれ互いに向けられたフランク面43を有しており、これらのフランク面43の間には少なくとも1つの遊星歯車46が締込み可能である。別の歯車伝動装置部材は、やはり2つの部分で形成された内歯歯車49である。この内歯歯車49は第1の内歯フランクギヤ52と第2の内歯フランクギヤ55とから成っている。第1の内歯フランクギヤ52も第2の内歯フランクギヤ55も、それぞれ互いに向かい合ったフランク面43を有している。遊星歯車46の両側には各1つのフランジ部材が配置されており、この場合、出力側では出力フランジ58が出力軸25と一体に結合されている。駆動側には環状の駆動フランジ61が配置されている。出力フランジ58と駆動フランジ61とは互いに相対回動不能に結合されている。相対回動不能のこの結合は、出力フランジ58にも駆動フランジ61にも互いに向かい合った複数の孔64が配置されており、これらの孔64を貫通して結合用のボルト67が差し込まれていることによって達成される。出力フランジ58と駆動フランジ61とは相対回動不能であり且つ軸方向で摺動不能に互いに結合されている。
【0007】
駆動フランジ61も出力フランジ58も、それぞれ周面に半径方向外向きで延びる溝70を有している。これらの溝70は、遊星歯車46が不動に配置された軸73が内部で半径方向外側又は半径方向内側に向かって滑動することを可能にする。
【0008】
駆動軸19は、ヘリカルスプライン77が一体に形成された軸区分76を有している。前記ヘリカルスプライン77は両側を2つのスナップリングによって制限されており、この場合、第1のスナップリングは第1のフランクギヤのためのストッパを成しており、他方のスナップリングは第2のフランクギヤのためのストッパを成している。第1のフランクギヤ37は、やはりヘリカルスプライン77が一体に形成された中心孔を有している。更に、第1のフランクギヤ37は、直歯81が一体に形成された円筒形の外側区分80を有している。この外側区分80は遊星歯車46の半径方向内側に位置している。直歯81を備えた前記外側区分80には第2のフランクギヤ40が被せ嵌められており、この第2のフランクギヤ40は直歯81に対応し且つこの直歯81に噛み合う内歯直歯を有している。第2のフランクギヤ40は第1の構成では軸方向で延びる、駆動装置に向けられた円筒形の区分84を有しており、この区分84の外面は駆動フランジ61の孔86内で摺動可能に支承されていてよい。第2の構成では、円筒形の区分84はスペースの理由から支承力を伝達すること無しに駆動フランジ61に突入しているだけでもよい。円筒形の区分84の端部に配置された皿形ディスク90を介して、第2のフランクギヤは別のスナップリングによって運動を防止されている。
【0009】
内歯歯車49は第1の内歯フランクギヤ52と第2の内歯フランクギヤ55とを以て、少なくとも1つの遊星歯車46に周面係合している。この場合、第2の内歯フランクギヤ55は第1の内歯フランクギヤ52内で可動に支承されている。この場合、第2の内歯フランクギヤは、ばね部材93によって位置固定インナリング95に支持されている。第1の内歯フランクギヤ52はケーシング13の内部で摺動可能に支承されている。少なくとも1つの遊星歯車46は全体的にダブルコーン状に形成されており、この場合、この遊星歯車46の回転軸端部には、外側に向けられた各1つの円錐面47が設けられている。
【0010】
次に始動装置10、特に伝動装置22の機能を説明する。この場合、伝動装置22の出発位置は次の通りである。即ち:
駆動装置16による駆動トルクはまだ作用していないので、遊星歯車46は半径方向で最も内側の位置を占めている。このことは、第2の内歯フランクギヤ55を押圧するばね部材93によって生ぜしめられ、これにより、第1の内歯フランクギヤ52が遊星歯車46に接触する。このことは、円錐面47及び内歯フランクギヤ52,55によって前記円錐面47に作用する力に基づき、遊星歯車46における半径方向内向きの力を生ぜしめる。即ち、これらの遊星歯車46は半径方向で最も内側の位置を占めている。
【0011】
始動装置10の接続後に駆動軸19が左回りで回転し始める。ヘリカルスプライン77に基づき、第1のフランクギヤ37は駆動装置16に向かって移動される。この場合、第1のフランクギヤ37はフランク面43を以て遊星歯車46の円錐面47を押圧して、この遊星歯車46を第2のフランクギヤ40に向かって、この第2のフランクギヤ40のフランク面43に接触するまで押しずらす。今やヘリカルスプライン77に沿った摺動運動は行われないので、駆動装置16の駆動トルクが、今や遊星歯車46を駆動する中心歯車34に伝達される。この場合、遊星歯車46は円錐面47を以て第1の内歯フランクギヤ52及び第2の内歯フランクギヤ55のフランク面43に沿って転動する。これらのフランク面は一緒に回転はしないが軸方向で摺動可能である。この場合、遊星歯車46は軸73及び溝70を介して出力フランジ58及び駆動フランジ61を連行するので、出力軸25を介して出力トルクがピニオン噛合い駆動装置28に伝達される。
【0012】
このことは、電動モータとして構成された駆動装置16において最初は極めて高い駆動トルクに基づき、第1のフランクギヤ37と第2のフランクギヤ40との間に極端に高い締付け力を生ぜしめる。この締付け力は最終的にばね部材93のばね力を越える力を生ぜしめるので、第1の内歯フランクギヤ52と第2の内歯フランクギヤ55とが押し広げられる。遊星歯車46は半径方向外側に向かって移動する。このことは、軸73と遊星歯車46とに関して最終的に最大になる転動円をますます大きくする。このことは、第1の内歯フランクギヤ52及び第2の内歯フランクギヤ55と遊星歯車46との間の転動線においては逆である。この場合は半径、つまり軸73の中心軸線と転動線との間の間隔はだんだん小さくなる。このことは、駆動軸19と出力軸25との間で調節される回転数の比率に関して、まず最初に遊星歯車46が半径方向内側に位置しているときに、出力軸25が駆動軸19に対して比較的速く回転するということを意味する。次いで、遊星歯車46が更に外側に向かって運動するにつれて、出発状況に比べて出力軸25の回転数が低下するように運動比率が変化する。駆動装置16の駆動出力が一定であると仮定すると、このことは出力軸25における出力トルクに関して、更に外側に向かって移動する遊星歯車46を以て出力軸25におけるトルクが増大するということを意味する。このことは内燃機関を始動させるために好適である。それというのも、内燃機関は始動過程の開始時に特に高いトルク要求を有しているからである。
【0013】
内燃機関が一度始動されると、この内燃機関のトルク要求は連続的に低下する。従って、駆動装置16も駆動軸19を介して伝動装置22に駆動トルクをあまり伝達しなくてよい。このことは結果的に、ヘリカルスプライン77における力を減少させ延いては第1のフランクギヤ37及び第2のフランクギヤ40のフランク面43の間の力を小さくする。ばね部材93の力は今やこのばね部材93にヘリカルスプライン77から作用する力よりも大きいので、第1の内歯フランクギヤ52及び第2の内歯フランクギヤ55のフランク面43は、第1のフランクギヤ37及び第2のフランクギヤ40のフランク面43の間の力よりも大きな力で遊星歯車46の円錐面47を押圧する。その結果、遊星歯車46は溝70に沿って再び半径方向内側に向かって運動するので、一方では出力軸25におけるトルクは低下し且つ他方では出力軸25の回転数は上がる。
【0014】
図3には、伝動装置22のための第2実施例が示されている。この実施例は図2に示した伝動装置22とは異なり駆動装置16の駆動回転数に基づき制御されている。駆動軸19は中心歯車34の配置された軸区分にわたって形状接続的な輪郭を有しており、この形状接続的な輪郭は、対応する中心歯車34の形状接続的な対応輪郭に噛み合っている。これらの形状接続的な両輪郭は、駆動軸19に沿った中心歯車34の軸方向の摺動を可能にする。中心歯車34はやはりフランク面43を備えた第1のフランクギヤ37から成っている。この第1のフランクギヤ37のフランク面43は、中心リング98の表面部分である第2のフランク面43と協働する。前記中心リング98は中心歯車34に、該中心歯車34がばね部材101を介して第1のフランクギヤ37に固定された位置固定リング104に支持されることによって保持される。中心リング98のフランク面43及び第1のフランクギヤ37のフランク面43は、既に第1実施例において半径方向外側が内歯歯車49のフランク面43によって周面係合されているように、複数の遊星歯車46に周面係合する。内歯歯車49は第1実施例と同様に構成されている。出力フランジ58には複数の孔64が設けられており、これらの孔64には複数のボルト67が固定されている。これらのボルト67は、中心歯車34の駆動装置16に面した側に配置された遊星歯車支持体107を支持している。この遊星歯車支持体107はボルト67に複数部分から成る旋回アーム109を支持している(図4も参照)。この旋回アーム109は出力フランジ58と遊星歯車支持体107との間に配置されている。旋回アームは2本の個別アーム111から成っており、これらの個別アーム111はそれぞれ全長にわたって3つの個別開口を有している。これらの開口はそれぞれ整合するように向かい合っている。真ん中の開口は、ボルト67において遊星歯車支持体107を支承するのに役立つ。下側の2つの開口には、カウンタウェイト114の固定された軸113が取り付けられる。上側の2つの開口には、遊星歯車46の配置された軸73が取り付けられる。遊星歯車46は両個別アーム111間で保持されている。
【0015】
以下に、第2実施例の機能を図3及び図4に基づき説明する。
【0016】
駆動装置16の駆動軸19が駆動されると、同時に中心歯車34が回転される。第1のフランクギヤのフランク面43と中心リング98のフランク面43とを介して、摩擦力で遊星歯車46が駆動される。この場合、これらの遊星歯車46は内歯歯車49のフランク面43に接して既に公知の形式で転動する。出力軸25の回転数は最初は比較的低いので、中心歯車34のフランク面はばね部材101を介して遊星歯車46をまず半径方向外側に向かって押圧する。これにより、内歯歯車49のばね部材93が負荷される。これにより、出力軸25における出力トルクは最初は比較的高く、内燃機関を始動させるために役立つ。次いで出力軸25の回転数が増大すると、このことは遊星歯車支持体107の角速度の増大延いてはカウンタウェイト114の角速度の増大をも意味する。旋回アーム109における運動比率に基づき、カウンタウェイト114の遠心力の増大は中心歯車34における軸方向力を増大させ、その結果、中心歯車34のフランク面43が押し広げられる。これにより、伝動装置22の運動比率も変化するので、遊星歯車46は再び半径方向内側に向かって運動し、出力軸25の回転数は駆動軸19の回転数に対して過度に増大する。
【図面の簡単な説明】
【図1】
本発明による始動装置の概略図である。
【図2】
トルク制御式伝動装置の立体的な部分断面図である。
【図3】
トルク制御式伝動装置の立体的な部分断面図である。
【図4】
枢着された遊星歯車の立体図である。
【符号の説明】
10 始動装置、 13 ケーシング、 16 駆動装置、 19 駆動軸、 22 伝動装置、 25 出力軸、 34 中心歯車、 37 第1のフランクギヤ、 40 第2のフランクギヤ、 43 フランク面、 46 遊星歯車、 49 内歯歯車、 52 第1の内歯フランクギヤ、 55 第2の内歯フランクギヤ、 58 出力フランジ、 61 駆動フランジ、 64,86 孔、 67 ボルト、 70 溝、 73 軸、 76 軸区分、 77 ヘリカルスプライン、 80 外側区分、 81 直歯、 84 円筒区分、 90 皿形ディスク、 93,101 ばね部材、 95 位置固定インナリング、 98 中心リング、 104 位置固定リング、 107 遊星歯車支持体、 109 旋回アーム、 111 個別アーム、 113 軸、 114 カウンタウェイト

Claims (6)

  1. 駆動装置(16)と、該駆動装置(16)に後置された可変減速比を有する伝動装置(22)とが設けられた内燃機関のための始動装置において、減速比が無段式で可変であることを特徴とする始動装置。
  2. 伝動装置(22)が自己制御式である、請求項1記載の始動装置。
  3. 伝動装置(22)が駆動装置(16)の駆動トルクに基づき制御可能である、請求項1又は2記載の始動装置。
  4. 伝動装置(22)が駆動装置(16)の駆動回転数に基づき制御可能である、請求項1又は2記載の始動装置。
  5. 伝動装置(22)が、中心歯車(34)と少なくとも1つの遊星歯車(46)と内歯歯車(49)とを備えた遊星歯車伝動装置であり、駆動トルクにより半径方向の作動力を少なくとも1つの遊星歯車(46)に生ぜしめることができる、請求項1から4までのいずれか1項記載の始動装置。
  6. 伝動装置(22)が、中心歯車(34)と少なくとも1つの遊星歯車(46)と内歯歯車(49)とを備えた遊星歯車伝動装置であり、駆動回転数により半径方向の作動力を少なくとも1つの遊星歯車(46)に生ぜしめることができる、請求項1から4までのいずれか1項記載の始動装置。
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