JP3605436B2 - 無段変速機 - Google Patents
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Description
【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、入力側および出力側間で変速比を無段階に変化させることを可能として動力伝達を行う無段変速機に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、無端状のベルトを用いた無段変速機が、たとえば特開平4−171343号公報等で既によく知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、上記従来のようなベルト式無段変速機では、ベルトの摩耗ならびに摩耗による変速比の劣化が避けられないために寿命に問題があり、また伝達効率、特に高速時の伝達効率が比較的低く、しかも入力側および出力側が相互に離隔して配置されるのでコンパクトな構成が困難である。
【0004】
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであり、寿命および伝達効率の向上を図るとともに、コンパクトな構成を可能とした無段変速機を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明は、入力部材と、該入力部材と同一軸線まわりに回転自在な出力部材と、入力部材に結合されるサンギヤおよびリングギヤに噛合される遊星ギヤが遊星キャリアで回転自在に支承されるとともに遊星キャリアが出力部材に結合される遊星ギヤ機構と、入力部材と同一の回転軸線を有する回転制御部材と、入力部材の回転方向とは逆方向に前記回転制御部材が回転することを制止するが入力部材の回転方向と同一方向への回転制御部材の回転を許容して回転制御部材および固定部材間に設けられるワンウェイクラッチと、入力部材の回転数が第1設定回転数に達するのに応じて係合を開始するとともに入力部材の回転数が第1設定回転数よりも大きな第2設定回転数に達したときに係合を完了するようにして前記リングギヤおよび回転制御部材間に設けられる第1遠心クラッチと、入力部材の回転数が第2設定回転数よりも大きな第3設定回転数に達するのに応じて係合を開始するとともに入力部材の回転数が第3設定回転数よりも大きな第4設定回転数に達したときに係合を完了するようにして入力部材およびリングギヤ間に設けられる第2遠心クラッチとを備えることを特徴とする。
【0006】
【作用】
上記構成によれば、入力部材に第1設定回転数未満の回転動力が入力されたときには、遊星ギヤ機構におけるサンギヤの回転に応じた遊星ギヤの回転によりリングギヤが入力部材と逆方向に回転する。この際、第1設定回転数未満では第1遠心クラッチの係合作動は開始されておらず、入力部材と逆方向へのリングギヤの空転が許容されており、入力部材から出力部材に動力は伝達されない。而して入力部材の回転数が第1設定回転数に達すると、第1遠心クラッチの係合作動が開始され、回転制御部材には第1遠心クラッチの係合力に応じた入力部材とは逆方向の回転動力が伝達されるが、この回転制御部材の入力部材とは逆方向の回転はワンウェイクラッチの働きにより阻止される。このため、リングギヤは第1遠心クラッチの係合力に応じて制動されることになり、遊星ギヤ機構では、リングギヤの回転速度に応じて遊星キャリアがサンギヤすなわち入力部材と同一方向に回転し、入力部材の回転速度変化に伴う第1遠心クラッチの係合力変化に応じて変速比を変化させながら遊星キャリアすなわち出力部材に回転動力が伝達されることになる。入力部材の回転数がさらに増大して第2設定回転数に達すると第1遠心クラッチの係合力が最大となり、リングギヤの回転が完全に停止されることにより遊星ギヤ機構で定まる一定の変速比で入力部材から出力部材に回転動力が伝達される。入力部材の回転数が第3設定回転数に達すると、第2遠心クラッチの係合作動が開始され、入力部材およびリングギヤ間が第2遠心クラッチの係合力に応じて連結され、リングギヤは入力部材と同一方向に回転することになるので、入力部材の回転速度変化に伴う第2遠心クラッチの係合力変化に応じて変速比を変化させながら出力部材に回転動力が伝達されることになる。この際、第1遠心クラッチも係合状態にあるが回転制御部材は入力部材と同一方向に回転することが許容されているので、リングギヤが入力部材と同一方向に回転することは許容されている。而して入力部材の回転数が第4設定回転数に達すると、第2遠心クラッチの係合が完了し、入力部材およびリングギヤ間が完全に一体化されて回転作動するのに伴い、入力部材および出力部材が一体となって回転するようになる。
【0007】
【実施例】
以下、図面により本発明の実施例について説明する。
【0008】
図1ないし図6は本発明の第1実施例を示すものであり、図1は無段変速機の縦断面図、図2は無段変速機の概略構成図、図3は図1の2−2線拡大断面図、図4は図1の4−4線拡大断面図、図5は伝達トルク特性図、図6は皿ばねの荷重特性図である。
【0009】
先ず図1において、図示しない自動二輪車に搭載されたエンジンの側部にはミッションケース5が結合されており、該ミッションケース5内に、エンジンのクランク軸6と、該クランク軸6に相対回転自在に支承される出力ギヤ7との間に介設される無段変速機8が収納され、出力ギヤ7は図示しない駆動輪に連なる減速ギヤ9に噛合される。
【0010】
クランク軸6には、円筒状のブッシュ10が装着されるとともに、無段変速機8の構成要素である入力部材12がスプライン結合され、クランク軸6の端部には、入力部材12を前記ブッシュ10との間に挟持するナット11が螺合される。而して出力ギヤ7は、ブッシュ10を介してクランク軸6に回転自在に支承されるものであり、クランク軸6に対する相対回転が可能である。
【0011】
図2を併せて参照して、無段変速機8は、クランク軸6にスプライン結合される入力部材12と、該入力部材12と同一軸線まわりに回転自在な出力部材13と、入力部材12および出力部材13間に設けられる遊星ギヤ機構14および第1ワンウェイクラッチ15と、入力部材12と同一軸線まわりの回転が可能な回転制御部材16と、該回転制御部材16の回転軸線と同一軸線を有してミッションケース5に固定される固定部材としての固定軸17および回転制御部材16間に設けられた第2ワンウェイクラッチ18と、前記遊星ギヤ機構14のリングギヤ36および回転制御部材16間に設けられる第1遠心クラッチ19と、入力部材12および前記リングギヤ36間に設けられる第2遠心クラッチ20とを備える。
【0012】
入力部材12は、クランク軸6の軸線に直交する平面内で円板状に形成されるものであり、その内周部がクランク軸6にスプライン結合される。また出力部材13はブッシュ10を同軸に囲繞する円筒状に形成されるものであり、その一端を入力部材12に摺接させた状態でブッシュ10によりクランク軸6に相対回転自在に支承される。しかも出力部材13の他端部にはギヤ21が設けられており、このギヤ21が出力ギヤ7に噛合される。
【0013】
入力部材12には、出力部材13を同軸に囲繞する円筒部12aが一体に設けられており、この円筒部12aと、出力部材13との間に第1ワンウェイクラッチ15が設けられる。
【0014】
図3において、第1ワンウェイクラッチ15は、出力部材13と、入力部材12の円筒部12aと、出力部材13および円筒部12a間の周方向に間隔をあけた位置に配置される複数のローラーキー22と、各ローラーキー22の外方側に共通に係止されるばね23とを備える。
【0015】
出力部材13の外周面の周方向に間隔をあけた複数個所には、内方凹部24が設けられる。また円筒部12aの内周面は、出力部材13の外周面に近接対向するものであり、該円筒部12aの内周面には、前記内方凹部24に対応する複数の外方凹部25が設けられる。
【0016】
内方凹部24は、ローラーキー22の内方側に噛合可能な内方噛合部26と、一端が該内方噛合部26に連設されるとともに出力部材13の周方向一側(図3の左側)に向かうにつれて半径方向外方位置となるように傾斜した内方傾斜面27とから成り、内方噛合部26は、ローラーキー22の内方側略1/4周の外面に当接可能として円弧状に形成される。
【0017】
また外方凹部25は、ローラーキー22全体を収容可能な収容部28と、一端が該収容部28に連設されるとともに前記出力部材13の周方向一側(図3の左側)に向かうにつれて半径方向内方位置となるように傾斜した外方傾斜面29と、ローラーキー22を前記内方噛合部26との間に挟むことを可能として外方傾斜面29の他端に連設される外方噛合部30とから成る。而して収容部28は、ローラーキー22が出力部材13の外周面に接触することを回避するようにローラーキー22全体を収容し得る形状に形成され、外方噛合部30は、ローラーキー22を前記内方噛合部26との間に挟むことを可能として円弧状に形成される。
【0018】
各ローラーキー22の軸方向中央部における外周には、環状の係止溝31がそれぞれ設けられる。またばね23は、外力が作用しない自由状態では両端がほぼ連なる円形となるようにばね線材を彎曲成形して成るものであり、全てのローラーキー22の係止溝31に外方側から係止される。而して全てのローラーキー22に係止したときに、ばね23は、その両端を離反させた状態となり、その状態でばね23は、各ローラーキー22を内方凹部24側に付勢するばね力を発揮する。
【0019】
また円筒部12aには、ローラーキー22の移動に応じたばね23の変位を許容して該ばね23を収納する環状溝32が、円筒部12aの内周面に開口するようにして設けられる。
【0020】
このような第1ワンウェイクラッチ15によれば、図3の矢印33で示すように、内方凹部24の内方噛合部26をローラーキー22に噛合させる方向に出力部材13が回転せしめられると、出力部材13の回転数がばね23のばね力で定まる設定回転数以下の状態では、内方凹部24の内方噛合部26と外方凹部25の外方噛合部30との間にローラーキー22が挟まれて、出力部材13と入力部材12の円筒部12aとの間で動力伝達が行なわれ、第1ワンウェイクラッチ15が動力伝達状態となる。而してクランク軸6すなわち円筒部12aが、出力部材13を超える回転数で回転し始めると、各ローラーキー22が、ばね23のばね力に抗して外方凹部25の収容部28に収容されることになり、これにより入力部材12の円筒部12aおよび出力部材13間の動力伝達が遮断される。
【0021】
再び図1および図2において、遊星ギヤ機構14は、サンギヤ35と、該サンギヤ35を同軸に囲繞するリングギヤ36と、サンギヤ35およびリングギヤ36に噛合する複数の遊星ギヤ38を回転自在に支承する遊星キャリア37とを備えるものであり、サンギヤ35は、入力部材12における円筒部12aの先端部外周にスプライン結合され、また遊星キャリア37は出力部材13に結合され、さらにリングギヤ36は筒体39の一端に一体に設けられる。
【0022】
固定軸17は、クランク軸6と同一軸線を有してミッションケース5に固定されるものであり、回転制御部材16は、その固定軸17を同軸に囲繞するように配設される。
【0023】
図4において、第2ワンウェイクラッチ18は、固定軸17にスプライン結合されるクラッチインナー41と、クラッチインナー41を同軸に囲繞して回転制御部材16に圧入等によって固定されるクラッチアウター42と、クラッチインナー41およびクラッチアウター42間の周方向に間隔をあけた位置に配置される複数のローラーキー43と、各ローラーキー43の外方側に共通に係止されるばね44とを備える。
【0024】
クラッチインナー41の外周面の周方向に間隔をあけた複数個所には、内方凹部45が設けられる。またクラッチアウター42の内周面は、クラッチインナー41の外周面に近接対向するものであり、該クラッチアウター42の内周面には、前記内方凹部45に対応する複数の外方凹部46が設けられる。
【0025】
内方凹部45は、ローラーキー43の内方側に噛合可能な内方噛合部47と、一端が該内方噛合部47に連設されるとともにクラッチインナー41の周方向一側(図4の左側)に向かうにつれて半径方向外方位置となるように傾斜した内方傾斜面48とから成り、内方噛合部47は、ローラーキー43の内方側略1/4周の外面に当接可能として円弧状に形成される。
【0026】
また外方凹部46は、ローラーキー43全体を収容可能な収容部49と、一端が該収容部49に連設されるとともに前記クラッチインナー41の周方向一側(図4の左側)に向かうにつれて半径方向内方位置となるように傾斜した外方傾斜面50と、ローラーキー43を前記内方噛合部47との間に挟むことを可能として外方傾斜面50の他端に連設される外方噛合部51とから成る。而して収容部49は、ローラーキー43がクラッチインナー41の外周面に接触することを回避するようにローラーキー43全体を収容し得る形状に形成され、外方噛合部51は、ローラーキー43を前記内方噛合部47との間に挟むことを可能として円弧状に形成される。
【0027】
各ローラーキー43の軸方向中央部における外周には、環状の係止溝52がそれぞれ設けられる。またばね44は、外力が作用しない自由状態では両端がほぼ連なる円形となるようにばね線材を彎曲成形して成るものであり、全てのローラーキー43の係止溝52に外方側から係止される。而して全てのローラーキー43に係止したときに、ばね44は、その両端を離反させた状態となり、その状態でばね44は、各ローラーキー43を内方凹部45側に付勢するばね力を発揮する。
【0028】
またクラッチアウター42には、ローラーキー43の移動に応じたばね44の変位を許容して該ばね44を収納する環状溝53が、クラッチアウター42の内周面に開口するようにして設けられる。
【0029】
このような第2ワンウェイクラッチ18によれば、回転制御部材16と一体のクラッチアウター42が、図4の矢印54で示すように、入力部材12と逆方向であって外方噛合部51をローラーキー43に噛合させる方向に回転したときには、外方凹部46の外方噛合部51と内方凹部45の内方噛合部47との間にローラーキー43が挟まれて、クラッチアウター42すなわち回転制御部材16からクラッチインナー41に動力を伝達しようとするが、クラッチインナー41は固定軸17にスプライン結合されているので、クラッチアウター41および回転制御部材16が制止されることになる。一方、図4の矢印55で示すように、クラッチアウター42が、入力部材12と同一方向に回転するときには、各ローラーキー43が、ばね44のばね力に抗して外方凹部46の収容部49に収容されることになり、これによりクラッチアウター42すなわち回転制御部材16が固定軸17のまわりに空転可能となる。
【0030】
第1遠心クラッチ19は、リングギヤ36を一端側に一体に有して回転制御部材16を囲繞する筒体39と、回転制御部材16との間に設けられるものであり、筒体39に外周部がスプライン結合される複数枚の外側クラッチ板57と、それらの外側クラッチ板57間に重合配置されるとともに内周部が回転制御部材16にスプライン結合される一枚あるいは複数枚の内側クラッチ板58と、最外端の外側クラッチ板57の外面に対向して筒体39の内面に嵌着される受圧板59と、最内端および最外端の外側クラッチ板57間に縮設されるばね60と、最内端の外側クラッチ板57の内面に対向する保持板61で回転自在に支承されるとともに最内端の外側クラッチ板57の内面に転がり接触する複数の球状ベアリング62と、保持板61に関して外側クラッチ板57とは反対側に配置されて前記各球状ベアリング62を転がり接触せしめる押圧板63と、押圧板63に関して保持板61と反対側で押圧板63に対向して入力部材12に一体に設けられるカム板64と、カム板64および押圧板63間に配設される複数の遠心ボール65とを備える。而してカム板64の押圧板63に対向する面の周方向に間隔をあけた複数個所には、カム板64の半径方向外方に向かうにつれて押圧板63に近接するように傾斜して各遠心ボール65を転がり接触させる複数のカム面64aが設けられる。また最内端の外側クラッチ板57に保持板61側から係合するストッパリング83が筒体39の内面に嵌着されており、このストッパリング83によりばね60のセット荷重が定まる。
【0031】
このような第1遠心クラッチ19によれば、入力部材12すなわちカム板64の回転によって各遠心ボール65に遠心力が作用し、その遠心力の作用に応じて遠心ボール65がカム面64aに沿ってカム板64の半径方向外方位置に移動することにより、押圧板63がばね60のばね力に抗して最内端の外側クラッチ板57を押圧し、押圧板63の押圧力がばね60のばね力に打ち勝って外側および内側クラッチ板57,58を相互に摩擦係合させたときに、筒体39すなわちリングギヤ36と回転制御部材16とが連結されることになる。而してばね60のばね力は、入力部材12すなわちカム板64の回転数が予め定められた第1設定回転数、たとえば自動二輪車の発進時の回転数となったときに押圧板63に生じる押圧力により、第1遠心クラッチ19の摩擦係合を開始し、第1設定回転数よりも大きな第2設定回転数となったときに摩擦係合を完了するように設定される。
【0032】
第2遠心クラッチ20は、筒体39の一端側のリングギヤ36に近接した部分から半径方向内方に張出した第1受圧板66と、第1受圧板66からカム板64側に間隔をあけた位置で筒体39に外周部がスプライン結合される第2受圧板67と、第2受圧板67およびカム板64間に配置される保持板68で回転自在に保持されて第2受圧板67およびカム板64に転がり接触する複数の球状ベアリング69と、第1および第2受圧板66,67間に縮設されるばね70と、第1受圧板66に摩擦係合可能として第1受圧板66に対向するとともに内周部が入力部材12の円筒部12aにスプライン結合される第1摩擦板71と、第2受圧板67に摩擦係合可能として第2受圧板67に対向するとともに内周部が前記円筒部12aにスプライン結合される第2摩擦板72と、第1摩擦板71からサンギヤ35側に間隔をあけた位置で円筒部12aの外面に嵌着される止め輪75および第1摩擦板71間に設けられる皿ばね74とを備える。しかも第1摩擦板71の外周部は第2摩擦板72の外周部に液密に嵌合されるものであり、第1および第2摩擦板71,72の外周部間には液室73が形成される。また第2受圧板67に保持板68側から係合するストッパリング84が筒体39に嵌着されており、該ストッパリング84によりばね70のセット荷重が定まる。
【0033】
この第2遠心クラッチ20によれば、入力部材12すなわち第1および第2摩擦板71,72の回転によって、両摩擦板71,72間に保持される潤滑液に遠心力が作用し、液室73側に潤滑液が寄せられることによって液室73の圧力が増加する。而して液室73の圧力によって両摩擦板71,72には、相互に離反する方向の力が作用するが、その力が皿ばね74のばね力に打ち勝って第1摩擦板71を第1受圧板66に摩擦係合させるまで移動させたときに第2摩擦板72も第2受圧板67に摩擦係合し、筒体39すなわちリングギヤ36と円筒部12aすなわち入力部材12とが連結されることになる。而して皿ばね74のばね力は、入力部材12の回転数が、第1遠心クラッチ19の第2設定回転数よりも高く設定された第3設定回転数となったときに、第1摩擦板71に生じる押圧力によって第2遠心クラッチ20の摩擦係合が開始され、第3設定回転数よりも大きな第4設定回転数となったときに摩擦係合を完了するように設定される。
【0034】
ところで、カム板64には、該カム板64との間に潤滑液溜77を形成するようにしてカバー78が装着されており、ミッションケース5および固定軸17に設けられた潤滑液導入路79が潤滑液溜77に連通され、入力部材12には、潤滑液溜77の潤滑液を第1および第2摩擦板71,72の内周部間に導く供給路81が設けられる。
【0035】
次にこの第1実施例の作用について図5を参照しながら説明すると、図示しないキック始動装置による回転運動が出力ギヤ7を介して第1ワンウェイクラッチ15の出力部材13に図3の矢印33で示すように与えられると、出力部材13は内方凹部24の内方噛合部26をローラーキー22に噛合させる方向に回転し、ばね23のばね力で定まる設定回転数以下の状態では、外方凹部25の外方噛合部30と内方凹部24の内方噛合部26との間にローラーキー22が挟まれて、出力部材13と、クランク軸6に対して相対回転不能な入力部材12の円筒部12aとの間で動力伝達が行なわれる。すなわち第1ワンウェイクラッチ15が動力伝達状態となり、上記キック始動装置からの動力がクランク軸6に入力され、エンジンが始動されることになる。一方、遊星ギヤ機構14では、第1ワンウェイクラッチ15によって出力部材13から入力部材12に動力が伝達されていることに伴いサンギヤ35および遊星キャリア37が一体に回転するので、リングギヤ36もサンギヤ35および遊星キャリア37とともに入力部材12と同一方向に回転するが、このときの入力部材12の回転数は第1設定回転数よりも低いことから第1遠心クラッチ19は動力遮断状態に在り、リングギヤ36は空転する。
【0036】
而してエンジンが始動され、クランク軸6すなわち入力部材12の円筒部12aが、出力部材13の回転数を超える回転数で回転し始めると、第1ワンウェイクラッチ15では、各ローラーキー22が、ばね23のばね力に抗して外方凹部25の収容部28に収容されることになる。これにより第1ワンウェイクラッチ15による動力伝達が遮断され、クランク軸6からの回転動力が出力部材13に伝達されることはない。
【0037】
エンジン回転数がアイドル回転数以上である第1設定回転数N1 まで上昇すると、サンギヤ35が入力部材12とともに回転するのに応じて遊星ギヤ38を介してリングギヤ36すなわち筒体39が入力部材12とは逆方向に回転するとともに、第1遠心クラッチ19の係合作動が開始される。これにより回転制御部材16には第1遠心クラッチ19の係合力に応じた入力部材12とは逆方向の回転動力が伝達されるが、回転制御部材16の入力部材12とは逆方向の回転は第2ワンウェイクラッチ18によって阻止されるものであり、筒体39すなわちリングギヤ36の回転が制動されることになる。このため、リングギヤ36は第1遠心クラッチ19の係合力に応じて制動されることになり、遊星ギヤ機構14では、リングギヤ36の回転速度に応じて遊星キャリア37がサンギヤ35すなわち入力部材16と同一方向に回転し、入力部材12の回転速度変化に伴う第1遠心クラッチ19の係合力変化に応じて変速比を変化させることになり、入力部材12および出力部材13間の伝達トルクが入力部材12の回転数増大に応じて増大する。
【0038】
入力部材12の回転数がさらに増大して第2設定回転数N2 に達すると、第1遠心クラッチ19の摩擦係合力が最大となり、リングギヤ36の回転が完全に停止する。したがって遊星ギヤ機構14で定まる一定の変速比で入力部材12から出力部材13に回転動力が伝達されることになり、エンジン回転数に比例して出力部材13に動力が伝達される。これは自動二輪車の低速走行時に対応するものである。
【0039】
入力部材12の回転数が第2設定回転数N2 以上の第3設定回転数N3 に達すると、第2遠心クラッチ20の係合作動が開始され、入力部材12およびリングギヤ36間が第2遠心クラッチ20の係合力に応じて連結され、リングギヤ36は入力部材12と同一方向に回転することになるので、入力部材12の回転速度変化に伴う第2遠心クラッチ20の係合力変化に応じて変速比を変化させながら出力部材13に回転動力が伝達されることになる。この際、第1遠心クラッチ19も係合状態にあるが、回転制御部材16は入力部材12と同一方向に回転することが許容されているので、リングギヤ36が入力部材12と同一方向に回転することは許容されている。
【0040】
入力部材12の回転数が第3設定回転数N3 以上の第4設定回転数N4 に達して第2遠心クラッチ20の摩擦係合が完了すると、リングギヤ36および筒体39は入力部材12と一体となって同一方向に回転することになる。而してサンギヤ34およびリングギヤ36が入力部材12とともに一体に回転作動するのに伴い、遊星ギヤ機構14を介して入力部材12および出力部材13が一体となって回転するようになり、これは自動二輪車の高速走行時に対応するものである。
【0041】
ところで、第2遠心クラッチ20における皿ばね74の荷重特性は、図6で示すようなものであり、最大荷重をセット荷重と定めているときには、第2遠心クラッチ20の摩擦係合完了時には皿ばね74のばね荷重がセット荷重よりも低い値となっている。したがって減速時には、図5の破線で示すように、第4設定荷重N4 よりも低い回転数となるまでは高速走行時の状態が継続される。
【0042】
このように本発明に従う無段変速機8では、入力部材12および出力部材13を同一軸線上に配置することでコンパクトな構成とすることが可能であり、しかもベルトを用いた従来のものと比べて耐久性の向上を図ることが可能である。また低速側では遊星ギヤ機構14で得られる通常の伝達効率を得ることが可能であり、また高速側では入力部材12および出力部材13を直結とした高い伝達効率を得ることが可能となる。
【0043】
図7は本発明の第2実施例を示すものであり、上記第1実施例に対応する部分には同一の参照符号を付す。
【0044】
入力部材12およびリングギヤ36間に設けられる第2遠心クラッチ20′は、筒体39から半径方向内方に張出した第1受圧板66と、筒体39に外周部がスプライン結合される第2受圧板67と、保持板68で回転自在に保持されて第2受圧板67およびカム板64に転がり接触する複数の球状ベアリング69と、両受圧板66,67間に縮設されるばね70と、第1受圧板66に対向する第1摩擦板71と、第2受圧板67に対向する第2摩擦板72′と、第1摩擦板71を第2摩擦板72′に近接させる方向のばね力を発揮する皿ばね74とを備える。
【0045】
第2摩擦板72′の内周部は、入力部材12の円筒部12aにおける外周にスプライン結合される。また、第1摩擦板71の内周部は第2摩擦板72′の内周部にスプライン結合され、第1摩擦板71の外周部は第2摩擦板72′の外周部に液密に嵌合され、第1および第2摩擦板71,72の外周部間には液室73が形成される。また第2摩擦板72′の内周部外面に止め輪75が嵌着され、該止め輪75および第1摩擦板71間に皿ばね74が設けられる。
【0046】
この第2実施例によれば、無段変速機の全体組立時において、第1摩擦板71、第2摩擦板72′、皿ばね74および止め輪75を組立体として予め組立ておくことができ、組立作業能率の向上に寄与することができる。
【0047】
以上、本発明の実施例を説明したが、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明を逸脱することなく種々の設計変更を行うことが可能である。
【0048】
【発明の効果】
以上のように本発明は、入力部材と、該入力部材と同一軸線まわりに回転自在な出力部材と、入力部材に結合されるサンギヤおよびリングギヤに噛合される遊星ギヤが遊星キャリアで回転自在に支承されるとともに遊星キャリアが出力部材に結合される遊星ギヤ機構と、入力部材と同一の回転軸線を有する回転制御部材と、入力部材の回転方向とは逆方向に前記回転制御部材が回転することを制止するが入力部材の回転方向と同一方向への回転制御部材の回転を許容して回転制御部材および固定部材間に設けられるワンウェイクラッチと、入力部材の回転数が第1設定回転数に達するのに応じて係合を開始するとともに入力部材の回転数が第1設定回転数よりも大きな第2設定回転数に達したときに係合を完了するようにして前記リングギヤおよび回転制御部材間に設けられる第1遠心クラッチと、入力部材の回転数が第2設定回転数よりも大きな第3設定回転数に達するのに応じて係合を開始するとともに入力部材の回転数が第3設定回転数よりも大きな第4設定回転数に達したときに係合を完了するようにして入力部材およびリングギヤ間に設けられる第2遠心クラッチとを備えるので、入力部材および出力部材を同一軸線上に配置したコンパクトな構成とすることができ、ベルトを用いた従来のものと比べて耐久性の向上を図ることが可能であり、さらに高い伝達効率を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1実施例の無段変速機の縦断面図である。
【図2】無段変速機の概略構成図である。
【図3】図1の2−2線拡大断面図である。
【図4】図1の4−4線拡大断面図である。
【図5】伝達トルク特性図である。
【図6】皿ばねの荷重特性図である。
【図7】第2実施例の無段変速機の要部縦断側面図である。
【符号の説明】
8・・・無段変速機
12・・・入力部材
13・・・出力部材
14・・・遊星ギヤ機構
16・・・回転制御部材
17・・・固定部材としての固定軸
18・・・ワンウェイクラッチ
19・・・第1遠心クラッチ
20,20′・・・第2遠心クラッチ
35・・・サンギヤ
36・・・リングギヤ
37・・・遊星キャリア
38・・・遊星ギヤ
【産業上の利用分野】
本発明は、入力側および出力側間で変速比を無段階に変化させることを可能として動力伝達を行う無段変速機に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、無端状のベルトを用いた無段変速機が、たとえば特開平4−171343号公報等で既によく知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、上記従来のようなベルト式無段変速機では、ベルトの摩耗ならびに摩耗による変速比の劣化が避けられないために寿命に問題があり、また伝達効率、特に高速時の伝達効率が比較的低く、しかも入力側および出力側が相互に離隔して配置されるのでコンパクトな構成が困難である。
【0004】
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであり、寿命および伝達効率の向上を図るとともに、コンパクトな構成を可能とした無段変速機を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明は、入力部材と、該入力部材と同一軸線まわりに回転自在な出力部材と、入力部材に結合されるサンギヤおよびリングギヤに噛合される遊星ギヤが遊星キャリアで回転自在に支承されるとともに遊星キャリアが出力部材に結合される遊星ギヤ機構と、入力部材と同一の回転軸線を有する回転制御部材と、入力部材の回転方向とは逆方向に前記回転制御部材が回転することを制止するが入力部材の回転方向と同一方向への回転制御部材の回転を許容して回転制御部材および固定部材間に設けられるワンウェイクラッチと、入力部材の回転数が第1設定回転数に達するのに応じて係合を開始するとともに入力部材の回転数が第1設定回転数よりも大きな第2設定回転数に達したときに係合を完了するようにして前記リングギヤおよび回転制御部材間に設けられる第1遠心クラッチと、入力部材の回転数が第2設定回転数よりも大きな第3設定回転数に達するのに応じて係合を開始するとともに入力部材の回転数が第3設定回転数よりも大きな第4設定回転数に達したときに係合を完了するようにして入力部材およびリングギヤ間に設けられる第2遠心クラッチとを備えることを特徴とする。
【0006】
【作用】
上記構成によれば、入力部材に第1設定回転数未満の回転動力が入力されたときには、遊星ギヤ機構におけるサンギヤの回転に応じた遊星ギヤの回転によりリングギヤが入力部材と逆方向に回転する。この際、第1設定回転数未満では第1遠心クラッチの係合作動は開始されておらず、入力部材と逆方向へのリングギヤの空転が許容されており、入力部材から出力部材に動力は伝達されない。而して入力部材の回転数が第1設定回転数に達すると、第1遠心クラッチの係合作動が開始され、回転制御部材には第1遠心クラッチの係合力に応じた入力部材とは逆方向の回転動力が伝達されるが、この回転制御部材の入力部材とは逆方向の回転はワンウェイクラッチの働きにより阻止される。このため、リングギヤは第1遠心クラッチの係合力に応じて制動されることになり、遊星ギヤ機構では、リングギヤの回転速度に応じて遊星キャリアがサンギヤすなわち入力部材と同一方向に回転し、入力部材の回転速度変化に伴う第1遠心クラッチの係合力変化に応じて変速比を変化させながら遊星キャリアすなわち出力部材に回転動力が伝達されることになる。入力部材の回転数がさらに増大して第2設定回転数に達すると第1遠心クラッチの係合力が最大となり、リングギヤの回転が完全に停止されることにより遊星ギヤ機構で定まる一定の変速比で入力部材から出力部材に回転動力が伝達される。入力部材の回転数が第3設定回転数に達すると、第2遠心クラッチの係合作動が開始され、入力部材およびリングギヤ間が第2遠心クラッチの係合力に応じて連結され、リングギヤは入力部材と同一方向に回転することになるので、入力部材の回転速度変化に伴う第2遠心クラッチの係合力変化に応じて変速比を変化させながら出力部材に回転動力が伝達されることになる。この際、第1遠心クラッチも係合状態にあるが回転制御部材は入力部材と同一方向に回転することが許容されているので、リングギヤが入力部材と同一方向に回転することは許容されている。而して入力部材の回転数が第4設定回転数に達すると、第2遠心クラッチの係合が完了し、入力部材およびリングギヤ間が完全に一体化されて回転作動するのに伴い、入力部材および出力部材が一体となって回転するようになる。
【0007】
【実施例】
以下、図面により本発明の実施例について説明する。
【0008】
図1ないし図6は本発明の第1実施例を示すものであり、図1は無段変速機の縦断面図、図2は無段変速機の概略構成図、図3は図1の2−2線拡大断面図、図4は図1の4−4線拡大断面図、図5は伝達トルク特性図、図6は皿ばねの荷重特性図である。
【0009】
先ず図1において、図示しない自動二輪車に搭載されたエンジンの側部にはミッションケース5が結合されており、該ミッションケース5内に、エンジンのクランク軸6と、該クランク軸6に相対回転自在に支承される出力ギヤ7との間に介設される無段変速機8が収納され、出力ギヤ7は図示しない駆動輪に連なる減速ギヤ9に噛合される。
【0010】
クランク軸6には、円筒状のブッシュ10が装着されるとともに、無段変速機8の構成要素である入力部材12がスプライン結合され、クランク軸6の端部には、入力部材12を前記ブッシュ10との間に挟持するナット11が螺合される。而して出力ギヤ7は、ブッシュ10を介してクランク軸6に回転自在に支承されるものであり、クランク軸6に対する相対回転が可能である。
【0011】
図2を併せて参照して、無段変速機8は、クランク軸6にスプライン結合される入力部材12と、該入力部材12と同一軸線まわりに回転自在な出力部材13と、入力部材12および出力部材13間に設けられる遊星ギヤ機構14および第1ワンウェイクラッチ15と、入力部材12と同一軸線まわりの回転が可能な回転制御部材16と、該回転制御部材16の回転軸線と同一軸線を有してミッションケース5に固定される固定部材としての固定軸17および回転制御部材16間に設けられた第2ワンウェイクラッチ18と、前記遊星ギヤ機構14のリングギヤ36および回転制御部材16間に設けられる第1遠心クラッチ19と、入力部材12および前記リングギヤ36間に設けられる第2遠心クラッチ20とを備える。
【0012】
入力部材12は、クランク軸6の軸線に直交する平面内で円板状に形成されるものであり、その内周部がクランク軸6にスプライン結合される。また出力部材13はブッシュ10を同軸に囲繞する円筒状に形成されるものであり、その一端を入力部材12に摺接させた状態でブッシュ10によりクランク軸6に相対回転自在に支承される。しかも出力部材13の他端部にはギヤ21が設けられており、このギヤ21が出力ギヤ7に噛合される。
【0013】
入力部材12には、出力部材13を同軸に囲繞する円筒部12aが一体に設けられており、この円筒部12aと、出力部材13との間に第1ワンウェイクラッチ15が設けられる。
【0014】
図3において、第1ワンウェイクラッチ15は、出力部材13と、入力部材12の円筒部12aと、出力部材13および円筒部12a間の周方向に間隔をあけた位置に配置される複数のローラーキー22と、各ローラーキー22の外方側に共通に係止されるばね23とを備える。
【0015】
出力部材13の外周面の周方向に間隔をあけた複数個所には、内方凹部24が設けられる。また円筒部12aの内周面は、出力部材13の外周面に近接対向するものであり、該円筒部12aの内周面には、前記内方凹部24に対応する複数の外方凹部25が設けられる。
【0016】
内方凹部24は、ローラーキー22の内方側に噛合可能な内方噛合部26と、一端が該内方噛合部26に連設されるとともに出力部材13の周方向一側(図3の左側)に向かうにつれて半径方向外方位置となるように傾斜した内方傾斜面27とから成り、内方噛合部26は、ローラーキー22の内方側略1/4周の外面に当接可能として円弧状に形成される。
【0017】
また外方凹部25は、ローラーキー22全体を収容可能な収容部28と、一端が該収容部28に連設されるとともに前記出力部材13の周方向一側(図3の左側)に向かうにつれて半径方向内方位置となるように傾斜した外方傾斜面29と、ローラーキー22を前記内方噛合部26との間に挟むことを可能として外方傾斜面29の他端に連設される外方噛合部30とから成る。而して収容部28は、ローラーキー22が出力部材13の外周面に接触することを回避するようにローラーキー22全体を収容し得る形状に形成され、外方噛合部30は、ローラーキー22を前記内方噛合部26との間に挟むことを可能として円弧状に形成される。
【0018】
各ローラーキー22の軸方向中央部における外周には、環状の係止溝31がそれぞれ設けられる。またばね23は、外力が作用しない自由状態では両端がほぼ連なる円形となるようにばね線材を彎曲成形して成るものであり、全てのローラーキー22の係止溝31に外方側から係止される。而して全てのローラーキー22に係止したときに、ばね23は、その両端を離反させた状態となり、その状態でばね23は、各ローラーキー22を内方凹部24側に付勢するばね力を発揮する。
【0019】
また円筒部12aには、ローラーキー22の移動に応じたばね23の変位を許容して該ばね23を収納する環状溝32が、円筒部12aの内周面に開口するようにして設けられる。
【0020】
このような第1ワンウェイクラッチ15によれば、図3の矢印33で示すように、内方凹部24の内方噛合部26をローラーキー22に噛合させる方向に出力部材13が回転せしめられると、出力部材13の回転数がばね23のばね力で定まる設定回転数以下の状態では、内方凹部24の内方噛合部26と外方凹部25の外方噛合部30との間にローラーキー22が挟まれて、出力部材13と入力部材12の円筒部12aとの間で動力伝達が行なわれ、第1ワンウェイクラッチ15が動力伝達状態となる。而してクランク軸6すなわち円筒部12aが、出力部材13を超える回転数で回転し始めると、各ローラーキー22が、ばね23のばね力に抗して外方凹部25の収容部28に収容されることになり、これにより入力部材12の円筒部12aおよび出力部材13間の動力伝達が遮断される。
【0021】
再び図1および図2において、遊星ギヤ機構14は、サンギヤ35と、該サンギヤ35を同軸に囲繞するリングギヤ36と、サンギヤ35およびリングギヤ36に噛合する複数の遊星ギヤ38を回転自在に支承する遊星キャリア37とを備えるものであり、サンギヤ35は、入力部材12における円筒部12aの先端部外周にスプライン結合され、また遊星キャリア37は出力部材13に結合され、さらにリングギヤ36は筒体39の一端に一体に設けられる。
【0022】
固定軸17は、クランク軸6と同一軸線を有してミッションケース5に固定されるものであり、回転制御部材16は、その固定軸17を同軸に囲繞するように配設される。
【0023】
図4において、第2ワンウェイクラッチ18は、固定軸17にスプライン結合されるクラッチインナー41と、クラッチインナー41を同軸に囲繞して回転制御部材16に圧入等によって固定されるクラッチアウター42と、クラッチインナー41およびクラッチアウター42間の周方向に間隔をあけた位置に配置される複数のローラーキー43と、各ローラーキー43の外方側に共通に係止されるばね44とを備える。
【0024】
クラッチインナー41の外周面の周方向に間隔をあけた複数個所には、内方凹部45が設けられる。またクラッチアウター42の内周面は、クラッチインナー41の外周面に近接対向するものであり、該クラッチアウター42の内周面には、前記内方凹部45に対応する複数の外方凹部46が設けられる。
【0025】
内方凹部45は、ローラーキー43の内方側に噛合可能な内方噛合部47と、一端が該内方噛合部47に連設されるとともにクラッチインナー41の周方向一側(図4の左側)に向かうにつれて半径方向外方位置となるように傾斜した内方傾斜面48とから成り、内方噛合部47は、ローラーキー43の内方側略1/4周の外面に当接可能として円弧状に形成される。
【0026】
また外方凹部46は、ローラーキー43全体を収容可能な収容部49と、一端が該収容部49に連設されるとともに前記クラッチインナー41の周方向一側(図4の左側)に向かうにつれて半径方向内方位置となるように傾斜した外方傾斜面50と、ローラーキー43を前記内方噛合部47との間に挟むことを可能として外方傾斜面50の他端に連設される外方噛合部51とから成る。而して収容部49は、ローラーキー43がクラッチインナー41の外周面に接触することを回避するようにローラーキー43全体を収容し得る形状に形成され、外方噛合部51は、ローラーキー43を前記内方噛合部47との間に挟むことを可能として円弧状に形成される。
【0027】
各ローラーキー43の軸方向中央部における外周には、環状の係止溝52がそれぞれ設けられる。またばね44は、外力が作用しない自由状態では両端がほぼ連なる円形となるようにばね線材を彎曲成形して成るものであり、全てのローラーキー43の係止溝52に外方側から係止される。而して全てのローラーキー43に係止したときに、ばね44は、その両端を離反させた状態となり、その状態でばね44は、各ローラーキー43を内方凹部45側に付勢するばね力を発揮する。
【0028】
またクラッチアウター42には、ローラーキー43の移動に応じたばね44の変位を許容して該ばね44を収納する環状溝53が、クラッチアウター42の内周面に開口するようにして設けられる。
【0029】
このような第2ワンウェイクラッチ18によれば、回転制御部材16と一体のクラッチアウター42が、図4の矢印54で示すように、入力部材12と逆方向であって外方噛合部51をローラーキー43に噛合させる方向に回転したときには、外方凹部46の外方噛合部51と内方凹部45の内方噛合部47との間にローラーキー43が挟まれて、クラッチアウター42すなわち回転制御部材16からクラッチインナー41に動力を伝達しようとするが、クラッチインナー41は固定軸17にスプライン結合されているので、クラッチアウター41および回転制御部材16が制止されることになる。一方、図4の矢印55で示すように、クラッチアウター42が、入力部材12と同一方向に回転するときには、各ローラーキー43が、ばね44のばね力に抗して外方凹部46の収容部49に収容されることになり、これによりクラッチアウター42すなわち回転制御部材16が固定軸17のまわりに空転可能となる。
【0030】
第1遠心クラッチ19は、リングギヤ36を一端側に一体に有して回転制御部材16を囲繞する筒体39と、回転制御部材16との間に設けられるものであり、筒体39に外周部がスプライン結合される複数枚の外側クラッチ板57と、それらの外側クラッチ板57間に重合配置されるとともに内周部が回転制御部材16にスプライン結合される一枚あるいは複数枚の内側クラッチ板58と、最外端の外側クラッチ板57の外面に対向して筒体39の内面に嵌着される受圧板59と、最内端および最外端の外側クラッチ板57間に縮設されるばね60と、最内端の外側クラッチ板57の内面に対向する保持板61で回転自在に支承されるとともに最内端の外側クラッチ板57の内面に転がり接触する複数の球状ベアリング62と、保持板61に関して外側クラッチ板57とは反対側に配置されて前記各球状ベアリング62を転がり接触せしめる押圧板63と、押圧板63に関して保持板61と反対側で押圧板63に対向して入力部材12に一体に設けられるカム板64と、カム板64および押圧板63間に配設される複数の遠心ボール65とを備える。而してカム板64の押圧板63に対向する面の周方向に間隔をあけた複数個所には、カム板64の半径方向外方に向かうにつれて押圧板63に近接するように傾斜して各遠心ボール65を転がり接触させる複数のカム面64aが設けられる。また最内端の外側クラッチ板57に保持板61側から係合するストッパリング83が筒体39の内面に嵌着されており、このストッパリング83によりばね60のセット荷重が定まる。
【0031】
このような第1遠心クラッチ19によれば、入力部材12すなわちカム板64の回転によって各遠心ボール65に遠心力が作用し、その遠心力の作用に応じて遠心ボール65がカム面64aに沿ってカム板64の半径方向外方位置に移動することにより、押圧板63がばね60のばね力に抗して最内端の外側クラッチ板57を押圧し、押圧板63の押圧力がばね60のばね力に打ち勝って外側および内側クラッチ板57,58を相互に摩擦係合させたときに、筒体39すなわちリングギヤ36と回転制御部材16とが連結されることになる。而してばね60のばね力は、入力部材12すなわちカム板64の回転数が予め定められた第1設定回転数、たとえば自動二輪車の発進時の回転数となったときに押圧板63に生じる押圧力により、第1遠心クラッチ19の摩擦係合を開始し、第1設定回転数よりも大きな第2設定回転数となったときに摩擦係合を完了するように設定される。
【0032】
第2遠心クラッチ20は、筒体39の一端側のリングギヤ36に近接した部分から半径方向内方に張出した第1受圧板66と、第1受圧板66からカム板64側に間隔をあけた位置で筒体39に外周部がスプライン結合される第2受圧板67と、第2受圧板67およびカム板64間に配置される保持板68で回転自在に保持されて第2受圧板67およびカム板64に転がり接触する複数の球状ベアリング69と、第1および第2受圧板66,67間に縮設されるばね70と、第1受圧板66に摩擦係合可能として第1受圧板66に対向するとともに内周部が入力部材12の円筒部12aにスプライン結合される第1摩擦板71と、第2受圧板67に摩擦係合可能として第2受圧板67に対向するとともに内周部が前記円筒部12aにスプライン結合される第2摩擦板72と、第1摩擦板71からサンギヤ35側に間隔をあけた位置で円筒部12aの外面に嵌着される止め輪75および第1摩擦板71間に設けられる皿ばね74とを備える。しかも第1摩擦板71の外周部は第2摩擦板72の外周部に液密に嵌合されるものであり、第1および第2摩擦板71,72の外周部間には液室73が形成される。また第2受圧板67に保持板68側から係合するストッパリング84が筒体39に嵌着されており、該ストッパリング84によりばね70のセット荷重が定まる。
【0033】
この第2遠心クラッチ20によれば、入力部材12すなわち第1および第2摩擦板71,72の回転によって、両摩擦板71,72間に保持される潤滑液に遠心力が作用し、液室73側に潤滑液が寄せられることによって液室73の圧力が増加する。而して液室73の圧力によって両摩擦板71,72には、相互に離反する方向の力が作用するが、その力が皿ばね74のばね力に打ち勝って第1摩擦板71を第1受圧板66に摩擦係合させるまで移動させたときに第2摩擦板72も第2受圧板67に摩擦係合し、筒体39すなわちリングギヤ36と円筒部12aすなわち入力部材12とが連結されることになる。而して皿ばね74のばね力は、入力部材12の回転数が、第1遠心クラッチ19の第2設定回転数よりも高く設定された第3設定回転数となったときに、第1摩擦板71に生じる押圧力によって第2遠心クラッチ20の摩擦係合が開始され、第3設定回転数よりも大きな第4設定回転数となったときに摩擦係合を完了するように設定される。
【0034】
ところで、カム板64には、該カム板64との間に潤滑液溜77を形成するようにしてカバー78が装着されており、ミッションケース5および固定軸17に設けられた潤滑液導入路79が潤滑液溜77に連通され、入力部材12には、潤滑液溜77の潤滑液を第1および第2摩擦板71,72の内周部間に導く供給路81が設けられる。
【0035】
次にこの第1実施例の作用について図5を参照しながら説明すると、図示しないキック始動装置による回転運動が出力ギヤ7を介して第1ワンウェイクラッチ15の出力部材13に図3の矢印33で示すように与えられると、出力部材13は内方凹部24の内方噛合部26をローラーキー22に噛合させる方向に回転し、ばね23のばね力で定まる設定回転数以下の状態では、外方凹部25の外方噛合部30と内方凹部24の内方噛合部26との間にローラーキー22が挟まれて、出力部材13と、クランク軸6に対して相対回転不能な入力部材12の円筒部12aとの間で動力伝達が行なわれる。すなわち第1ワンウェイクラッチ15が動力伝達状態となり、上記キック始動装置からの動力がクランク軸6に入力され、エンジンが始動されることになる。一方、遊星ギヤ機構14では、第1ワンウェイクラッチ15によって出力部材13から入力部材12に動力が伝達されていることに伴いサンギヤ35および遊星キャリア37が一体に回転するので、リングギヤ36もサンギヤ35および遊星キャリア37とともに入力部材12と同一方向に回転するが、このときの入力部材12の回転数は第1設定回転数よりも低いことから第1遠心クラッチ19は動力遮断状態に在り、リングギヤ36は空転する。
【0036】
而してエンジンが始動され、クランク軸6すなわち入力部材12の円筒部12aが、出力部材13の回転数を超える回転数で回転し始めると、第1ワンウェイクラッチ15では、各ローラーキー22が、ばね23のばね力に抗して外方凹部25の収容部28に収容されることになる。これにより第1ワンウェイクラッチ15による動力伝達が遮断され、クランク軸6からの回転動力が出力部材13に伝達されることはない。
【0037】
エンジン回転数がアイドル回転数以上である第1設定回転数N1 まで上昇すると、サンギヤ35が入力部材12とともに回転するのに応じて遊星ギヤ38を介してリングギヤ36すなわち筒体39が入力部材12とは逆方向に回転するとともに、第1遠心クラッチ19の係合作動が開始される。これにより回転制御部材16には第1遠心クラッチ19の係合力に応じた入力部材12とは逆方向の回転動力が伝達されるが、回転制御部材16の入力部材12とは逆方向の回転は第2ワンウェイクラッチ18によって阻止されるものであり、筒体39すなわちリングギヤ36の回転が制動されることになる。このため、リングギヤ36は第1遠心クラッチ19の係合力に応じて制動されることになり、遊星ギヤ機構14では、リングギヤ36の回転速度に応じて遊星キャリア37がサンギヤ35すなわち入力部材16と同一方向に回転し、入力部材12の回転速度変化に伴う第1遠心クラッチ19の係合力変化に応じて変速比を変化させることになり、入力部材12および出力部材13間の伝達トルクが入力部材12の回転数増大に応じて増大する。
【0038】
入力部材12の回転数がさらに増大して第2設定回転数N2 に達すると、第1遠心クラッチ19の摩擦係合力が最大となり、リングギヤ36の回転が完全に停止する。したがって遊星ギヤ機構14で定まる一定の変速比で入力部材12から出力部材13に回転動力が伝達されることになり、エンジン回転数に比例して出力部材13に動力が伝達される。これは自動二輪車の低速走行時に対応するものである。
【0039】
入力部材12の回転数が第2設定回転数N2 以上の第3設定回転数N3 に達すると、第2遠心クラッチ20の係合作動が開始され、入力部材12およびリングギヤ36間が第2遠心クラッチ20の係合力に応じて連結され、リングギヤ36は入力部材12と同一方向に回転することになるので、入力部材12の回転速度変化に伴う第2遠心クラッチ20の係合力変化に応じて変速比を変化させながら出力部材13に回転動力が伝達されることになる。この際、第1遠心クラッチ19も係合状態にあるが、回転制御部材16は入力部材12と同一方向に回転することが許容されているので、リングギヤ36が入力部材12と同一方向に回転することは許容されている。
【0040】
入力部材12の回転数が第3設定回転数N3 以上の第4設定回転数N4 に達して第2遠心クラッチ20の摩擦係合が完了すると、リングギヤ36および筒体39は入力部材12と一体となって同一方向に回転することになる。而してサンギヤ34およびリングギヤ36が入力部材12とともに一体に回転作動するのに伴い、遊星ギヤ機構14を介して入力部材12および出力部材13が一体となって回転するようになり、これは自動二輪車の高速走行時に対応するものである。
【0041】
ところで、第2遠心クラッチ20における皿ばね74の荷重特性は、図6で示すようなものであり、最大荷重をセット荷重と定めているときには、第2遠心クラッチ20の摩擦係合完了時には皿ばね74のばね荷重がセット荷重よりも低い値となっている。したがって減速時には、図5の破線で示すように、第4設定荷重N4 よりも低い回転数となるまでは高速走行時の状態が継続される。
【0042】
このように本発明に従う無段変速機8では、入力部材12および出力部材13を同一軸線上に配置することでコンパクトな構成とすることが可能であり、しかもベルトを用いた従来のものと比べて耐久性の向上を図ることが可能である。また低速側では遊星ギヤ機構14で得られる通常の伝達効率を得ることが可能であり、また高速側では入力部材12および出力部材13を直結とした高い伝達効率を得ることが可能となる。
【0043】
図7は本発明の第2実施例を示すものであり、上記第1実施例に対応する部分には同一の参照符号を付す。
【0044】
入力部材12およびリングギヤ36間に設けられる第2遠心クラッチ20′は、筒体39から半径方向内方に張出した第1受圧板66と、筒体39に外周部がスプライン結合される第2受圧板67と、保持板68で回転自在に保持されて第2受圧板67およびカム板64に転がり接触する複数の球状ベアリング69と、両受圧板66,67間に縮設されるばね70と、第1受圧板66に対向する第1摩擦板71と、第2受圧板67に対向する第2摩擦板72′と、第1摩擦板71を第2摩擦板72′に近接させる方向のばね力を発揮する皿ばね74とを備える。
【0045】
第2摩擦板72′の内周部は、入力部材12の円筒部12aにおける外周にスプライン結合される。また、第1摩擦板71の内周部は第2摩擦板72′の内周部にスプライン結合され、第1摩擦板71の外周部は第2摩擦板72′の外周部に液密に嵌合され、第1および第2摩擦板71,72の外周部間には液室73が形成される。また第2摩擦板72′の内周部外面に止め輪75が嵌着され、該止め輪75および第1摩擦板71間に皿ばね74が設けられる。
【0046】
この第2実施例によれば、無段変速機の全体組立時において、第1摩擦板71、第2摩擦板72′、皿ばね74および止め輪75を組立体として予め組立ておくことができ、組立作業能率の向上に寄与することができる。
【0047】
以上、本発明の実施例を説明したが、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明を逸脱することなく種々の設計変更を行うことが可能である。
【0048】
【発明の効果】
以上のように本発明は、入力部材と、該入力部材と同一軸線まわりに回転自在な出力部材と、入力部材に結合されるサンギヤおよびリングギヤに噛合される遊星ギヤが遊星キャリアで回転自在に支承されるとともに遊星キャリアが出力部材に結合される遊星ギヤ機構と、入力部材と同一の回転軸線を有する回転制御部材と、入力部材の回転方向とは逆方向に前記回転制御部材が回転することを制止するが入力部材の回転方向と同一方向への回転制御部材の回転を許容して回転制御部材および固定部材間に設けられるワンウェイクラッチと、入力部材の回転数が第1設定回転数に達するのに応じて係合を開始するとともに入力部材の回転数が第1設定回転数よりも大きな第2設定回転数に達したときに係合を完了するようにして前記リングギヤおよび回転制御部材間に設けられる第1遠心クラッチと、入力部材の回転数が第2設定回転数よりも大きな第3設定回転数に達するのに応じて係合を開始するとともに入力部材の回転数が第3設定回転数よりも大きな第4設定回転数に達したときに係合を完了するようにして入力部材およびリングギヤ間に設けられる第2遠心クラッチとを備えるので、入力部材および出力部材を同一軸線上に配置したコンパクトな構成とすることができ、ベルトを用いた従来のものと比べて耐久性の向上を図ることが可能であり、さらに高い伝達効率を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1実施例の無段変速機の縦断面図である。
【図2】無段変速機の概略構成図である。
【図3】図1の2−2線拡大断面図である。
【図4】図1の4−4線拡大断面図である。
【図5】伝達トルク特性図である。
【図6】皿ばねの荷重特性図である。
【図7】第2実施例の無段変速機の要部縦断側面図である。
【符号の説明】
8・・・無段変速機
12・・・入力部材
13・・・出力部材
14・・・遊星ギヤ機構
16・・・回転制御部材
17・・・固定部材としての固定軸
18・・・ワンウェイクラッチ
19・・・第1遠心クラッチ
20,20′・・・第2遠心クラッチ
35・・・サンギヤ
36・・・リングギヤ
37・・・遊星キャリア
38・・・遊星ギヤ
Claims (1)
- 入力部材(12)と、該入力部材(12)と同一軸線まわりに回転自在な出力部材(13)と、入力部材(12)に結合されるサンギヤ(35)およびリングギヤ(36)に噛合される遊星ギヤ(38)が遊星キャリア(37)で回転自在に支承されるとともに遊星キャリア(37)が出力部材(13)に結合される遊星ギヤ機構(14)と、入力部材(12)と同一の回転軸線を有する回転制御部材(16)と、入力部材(12)の回転方向とは逆方向に前記回転制御部材(16)が回転することを制止するが入力部材(12)の回転方向と同一方向への回転制御部材(16)の回転を許容して回転制御部材(16)および固定部材(17)間に設けられるワンウェイクラッチ(18)と、入力部材(12)の回転数が第1設定回転数に達するのに応じて係合を開始するとともに入力部材(12)の回転数が第1設定回転数よりも大きな第2設定回転数に達したときに係合を完了するようにして前記リングギヤ(36)および回転制御部材(16)間に設けられる第1遠心クラッチ(19)と、入力部材(12)の回転数が第2設定回転数よりも大きな第3設定回転数に達するのに応じて係合を開始するとともに入力部材(12)の回転数が第3設定回転数よりも大きな第4設定回転数に達したときに係合を完了するようにして入力部材(12)およびリングギヤ(36)間に設けられる第2遠心クラッチ(20,20′)とを備えることを特徴とする無段変速機。
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