JP5418152B2 - 摩擦車式の無段変速装置 - Google Patents
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Description
図3(a)において、無段変速機に入力されるエンジン動力は、出力軸101の回りに回転可能に嵌め込まれた傘歯車102に伝達され、傘歯車102と一体となったキャリア103を回転させる。キャリア103に固定された支軸104には、摩擦伝動面を備えた円錐型の遊星ホイール105が回転自在に支持されており、遊星ホイール105の下端部は、出力軸101に嵌め込まれた出力ディスク106に圧接される。つまり、遊星ホイール105は、出力軸101の回りを公転しながら支軸104の回りを自転する遊星運動を行う。遊星ホイール105の外周面には、回転不能の変速リング107が接触しており、その接触位置を軸方向に移動すると、遊星ホイール105の自転速度が増減する。これにより、入力となる傘歯車102と出力軸101との回転数の比を無段階に変化させることができる。
本発明は、一対の遊星ホイール摩擦車式無段変速機を対向して配置した変速装置において、出力取り出し機構等を簡素化するとともに、各変速機に生じるスラスト力をバランスさせて遊星ホイール等の位置を自動的に補正することを課題とする。
「摩擦車式無段変速機を備えた変速装置であって、
前記摩擦車式無段変速機は、外方に円錐摩擦面を有し中心軸の回りに回転可能な入力部材と、円錐転動面を有し前記入力部材の周囲に配置された複数の遊星ホイールと、内方に円錐摩擦面を有するリング状の出力部材とを備え、
前記遊星ホイールの円錐転動面が、前記入力部材の円錐摩擦面と前記出力部材の円錐摩擦面とに圧接され、かつ、前記遊星ホイールには変速円錐面が形成されるとともに、前記変速円錐面に、回転方向には固定され軸方向には移動可能な変速リングが圧接されており、さらに、
前記変速装置には、2組の前記摩擦車式無段変速機が前記中心軸に直交する面に対し対称的に配置され、中央に、各々の前記摩擦車式無段変速機における前記リング状の出力部材が一体として設けられており、かつ、
各々の摩擦車式無段変速機の前記入力部材が軸方向に相対的に移動可能であって、各々の前記入力部材を接近方向に押圧して摩擦車式無段変速機の摩擦伝動面に押付け力を付与するローディング装置が設置されている」
ことを特徴とする変速装置となっている。
また、変速装置のリング状の出力部材は、その内方に対称的に形成された2個の円錐摩擦面が、2組の摩擦車式無段変速機における遊星ホイールの円錐転動面に圧接されて、変速装置の中央でいわばフローティング支持されている。したがって、リング状の出力部材等の構成部品は自動的にその位置が補正され、例えば、遊星ホイールと変速用の変速リングとの接触点がずれても、自動調心が行われることとなる。
ここで、本発明では、各々の摩擦車式無段変速機の入力部材が軸方向に相対的に移動可能とするとともに、入力部材を接近方向に押圧するように構成されている。これにより、各入力部材の円錐摩擦面と遊星ホイールの円錐転動面との間、及び遊星ホイールの円錐転動面とリング状の出力部材の円錐摩擦面との間に押付け力が働き、摩擦伝動を行う部材間に確実な摩擦力が生じることとなる。すなわち、各入力部材を互いに接近する方向に押圧するばね等の押圧装置は、摩擦車式無段変速機の摩擦伝動面に押付け力を付与するローディング装置として作用する。
つまり、遊星ホイール2は、円錐転動面21が入力ディスク11に圧接され円錐転動面22が入力ディスク12に圧接されて、入力部材1の回りを公転しながら自転する。そのため、遊星ホイール2の中心軸と両端の円錐転動面21、22及び入力ディスク11、12の円錐摩擦面は、断面図において入力部材1の中心軸0上の1点で交わるように形成される(図2参照)とともに、複数の遊星ホイール2は、自転と公転とが可能であるようにキャリア3によって相互に連結される。
まず、キャリアが固定され、リングギヤB(変速リング5に相当)が回転すると仮定したときのリングギヤBの回転数N5を求める。サンギヤ(入力部材1の入力ディスク11に相当)の半径をR1、回転数をN1とし、プラネタリギヤA(遊星ホイール2の円錐転動面21に相当)の半径をR2、回転数をN2とすると、N2=−N1×R1/R2(サンギヤの回転方向を正とする)である。そして、プラネタリギヤB(ピッチ点における変速円錐面23の円形横断面に相当)の回転数はN2であるので、リングギヤBの回転数N5は、次式のとおりとなる。
N5=N2×R3/R5
R3:プラネタリギヤBの半径
R5:変速リング5の半径
次に、プラネタリギヤAの外側に噛合うリングギヤA(リング状の出力部材4に相当)の半径をR4、回転数をN4とすると、N4=N2×R2/R4となる。しかし、この計算は、リングギヤBが回転すると仮定したときのものであり、リングギヤBは実際には固定されているので、各部の回転数は、上記の回転数からリングギヤBの回転数N5を減算したものとして求められ、リングギヤAの実際の回転数Noは、次式のとおりとなる。
No=N4−N5=N2×(R2/R4−R3/R5)
したがって、出力部材4に相当するリングギヤAは、(R2/R4−R3/R5)の値の正負によって正方向及び逆方向の両方向に回転し、この値が0となるときには停止することとなる。ちなみに、実際の入力回転数をNiとすると、変速比rは、次式により表される。
r=No/Ni=No/(N1−N5)
変速装置には、基本的に同一の構造を備えた一対の遊星ホイール式無段変速機A、Bが、中心軸Oに直交する面Cに対して対称的に配置されている。変速装置の中央には、遊星ホイール式無段変速機A、Bの共通の出力部材として、リング状の出力部材40が置かれる。出力部材40は、遊星ホイール式無段変速機A、Bの出力部材4(図1(a)参照)を一体的に構成したものであって、リング状の出力部材40の内方には、それぞれの無段変速機において遊星ホイール2の円錐転動面21に圧接される円錐摩擦面が対称的に形成されている。出力部材40の外周部分には歯車41が固着されており、歯車41は、車輪等に連なる出力軸42に固着された歯車43を駆動する。また、変速リング5の装着されるロッド6には逆ねじが設けてあり、遊星ホイール式無段変速機A、Bの各変速リング5は、ロッド6の回転によって互いに反対方向に同一距離移動するよう構成されている。
エンジン等からの動力は、中心軸Oから入力部材1A、1Bに伝達される。これが回転すると、遊星ホイール式無段変速機A、Bの入力ディスク11、12は、複数の遊星ホイール2を自転させると同時に中心軸Oの回りに公転させる。遊星ホイール2は2個の円錐転動面21、22を備え、それぞれの円錐転動面が軸方向に離れた位置にある入力ディスク11、12の円錐摩擦面に支持されているから、安定した姿勢で自転及び公転が行われる。遊星ホイール2の円錐転動面21は、リング状の出力部材40における片側の円錐摩擦面にそれぞれ圧接されている。遊星ホイール2の自転及び公転により、遊星歯車機構と同等な動力伝達原理に基づいてリング状の出力部材40が回転し、その回転数が、ロッド6上を互いに反対に同一距離移動する変速リング5の位置により変化するのは、前述したとおりである。
11、12 入力ディスク
2 遊星ホイール
21、22 円錐転動面
23 変速円錐面
3 キャリア
4、40 (リング状の)出力部材
5 変速リング
N 止め具
Q 皿ばね
Claims (2)
- 摩擦車式無段変速機を備えた変速装置であって、
前記摩擦車式無段変速機は、外方に円錐摩擦面を有し中心軸の回りに回転可能な入力部材と、円錐転動面を有し前記入力部材の周囲に配置された複数の遊星ホイールと、内方に円錐摩擦面を有するリング状の出力部材とを備え、
前記遊星ホイールの円錐転動面が、前記入力部材の円錐摩擦面と前記出力部材の円錐摩擦面とに圧接され、かつ、前記遊星ホイールには変速円錐面が形成されるとともに、前記変速円錐面に、回転方向には固定され軸方向には移動可能な変速リングが圧接されており、さらに、
前記変速装置には、2組の前記摩擦車式無段変速機が前記中心軸に直交する面に対し対称的に配置され、中央に、各々の前記摩擦車式無段変速機における前記リング状の出力部材が一体として設けられており、かつ、
各々の摩擦車式無段変速機の前記入力部材が軸方向に相対的に移動可能であって、各々の前記入力部材を接近方向に押圧して摩擦車式無段変速機の摩擦伝動面に押付け力を付与するローディング装置が設置されていることを特徴とする変速装置。 - 各々の摩擦車式無段変速機の前記入力部材には、軸方向に離れた位置に2個の円錐摩擦面が形成されるとともに、前記遊星ホイールには、前記円錐摩擦面に圧接される2個の円錐転動面が形成され、一方の前記円錐摩擦面には、前記リング状の出力部材が圧接されている請求項1に記載の変速装置。
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JP2009252044A JP5418152B2 (ja) | 2009-11-02 | 2009-11-02 | 摩擦車式の無段変速装置 |
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