JP2008095796A - 遊星ローラ変速装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】伝達効率の向上を図ることのできる遊星ローラ変速装置を提供する。
【解決手段】回転自在な入力軸9に連動して回転するテーパ状のサンローラ23と、サンローラ23の外周を転動自在なテーパ状の複数の遊星ローラ25と、遊星ローラ25を転動自在に内接した出力リング17と、出力リング17と連動して回転する出力軸15と、遊星ローラ25を転動自在に内接し、かつ遊星ローラ25との接触位置を変更すべく軸方向に移動可能な変速リング69とを備えた遊星ローラ変速装置であって、前記出力軸15の出力が零になる前記変速リング69と前記遊星ローラ25との接触位置Nは、前記遊星ローラ25において外側の母線が前記サンローラ23の軸心と平行なテーパ部25Cの長手方向の中央部よりも小径側に設定してある。
【選択図】図1

Description

本発明は、遊星ローラ機構を利用した変速装置に係り、さらに詳細には、大きなトルクを効率よく伝達することのできる遊星ローラ変速装置に関する。
遊星ローラ機構を利用した変速装置の先行例としては、例えば特許文献1がある。この特許文献1に記載の構成は、図4に示すごとき構成である。
すなわち、筒状のハウジング201の一端側に固定したフランジ203に軸受205を介して入力軸207が回転自在に支持され、前記ハウジング201の他端側に固定したフランジ209に軸受211を介して出力軸213が回転自在に支持されている。前記入力軸207と出力軸213は同一軸上に配置してあって、入力軸207の内端部は軸受215を介して前記出力軸213に回転自在に支持されている。
前記入力軸207の内端側にテーパ状のサンローラ217がキー219を介して一体的に取付けてあり、このサンローラ217の外周には複数の遊星ローラ221が転動自在に配置されている。上記遊星ローラ221は、軸受223を介して前記入力軸207に回転自在に支持された保持器225に、回転自在に支持されている。そして、遊星ローラ221は、キーを介して前記出力軸213のカップ状の内端側に一体的に取付けた出力リング227に転動自在に内接してある。
すなわち、複数の遊星ローラ221は、サンローラ217と出力リング227との間に転動自在に挟圧保持された状態にある。
前記各遊星ローラ221の一端側にはテーパ部221Tが形成してあり、このテーパ部221Tは、変速リング229に転動自在に内接してある。前記変速リング229は、前記ハウジング201に回転可能に支持されたネジ部材231に移動可能に螺合した移動部材233に一体的に支持されている。したがって、変速リング229は、前記ネジ部材231を回転して移動部材233を移動すると、入出力軸207,213の軸方向へ一体的に移動するものであり、この変速リング229と遊星ローラ221におけるテーパ部221Tとの接触位置を変更することができるものである。
特開平6−280961号公報
前述のごとき従来の構成においては、遊星ローラ221がサンローラ217と出力リング227との間に挟圧された構成であるから、前記サンローラ217と遊星ローラ221との接触圧を大きくすると、遊星ローラ221と出力リング227との接触圧を大きくすることができるものの、変速リング229と遊星ローラ221との接触圧を大きくすることができないものである。
したがって、サンローラ217と遊星ローラ221との接触圧、出力リング227と遊星ローラ221との接触圧及び変速リング229と遊星ローラ221との接触圧をそれぞれ大きくして伝達効率の向上を図ろうとするには問題がある。また、遊星ローラ221は片持式であってテーパ部221T側は撓み易いものであり、変速リング229との接触圧を大きくし難いものである。
さらに、前述のごとき従来の構成においては、サンローラ217と遊星ローラ221との接触圧及び上記遊星ローラ221と出力リング227との接触圧は常にほぼ一定であり、負荷の変動等に対応して前記接触圧をより大きくして伝達効率の向上を図ることはできないものである。
本発明は、前述のごとき問題に鑑みてなされたもので、回転自在な入力軸に連動して回転するテーパ状のサンローラと、上記サンローラの外周を転動自在なテーパ状の複数の遊星ローラと、前記遊星ローラを転動自在に内接した出力リングと、この出力リングと連動して回転する出力軸と、前記遊星ローラを転動自在に内接し、かつ前記遊星ローラとの接触位置を変更すべく軸方向に移動可能な変速リングとを備えた遊星ローラ変速装置であって、前記出力軸の出力が零になる前記変速リングと前記遊星ローラとの接触位置は、前記遊星ローラにおいて外側の母線が前記サンローラの軸心と平行なテーパ部の長手方向の中央部よりも小径側に設定してあることを特徴とするものである。
また、前記遊星ローラ変速装置において、前記サンローラは、前記各遊星ローラの両端部付近に接触しており、前記出力リング及び前記変速リングは、前記サンローラの両端側の接触位置の間において前記各遊星ローラに接触してあることを特徴とするものである。
また、前記遊星ローラ変速装置において、前記入力軸と前記サンローラとの間又は前記出力リングと前記出力軸との間の少なくとも一方にローディングカム機構を備えていることを特徴とするものである。
また、前記遊星ローラ変速装置において、前記各遊星ローラは、前記入出力軸のラジアル方向へ僅かに移動可能に設けてあることを特徴とするものである。
また、前記遊星ローラ変速装置において、前記入力軸と前記サンローラとの間にクラッチ機構を備えていることを特徴とするものである。
また、前記遊星ローラ変速装置において、前記クラッチ機構は、前記入力軸とサンローラとの間に設けたローディングカム機構よりも入力軸側に設けてあることを特徴とするものである。
また、前記遊星ローラ変速装置において、前記ローディングカム機構と前記クラッチ機構は、それぞれの構成要素の一部を共通に備えていることを特徴とするものである。
また、前記遊星ローラ変速装置において、前記サンローラは外周面に周溝を備えており、前記各遊星ローラの一部が前記周溝内に入り込んだ構成であることを特徴とするものである。
本発明によれば、出力軸の出力が零になる変速リングと遊星ローラにおけるテーパ部との接触位置は、当該テーパ部の長手方向の中央部よりも小径側に設定してあるので、伝達効率の向上を図ることができるものである。また、サンローラと遊星ローラとの接触によって遊星ローラに作用する法線力の方向と、出力リング及び変速リングと遊星ローラとの接触によって遊星ローラに作用する法線力の方向は逆方向となり相殺するので、前記接触圧を大きくした場合であっても、遊星ローラの回転軸に法線力が影響するようなことがなく、遊星ローラの回転を常に円滑に行うことができる。
図1を参照するに、本実施形態に係る遊星ローラ変速装置1は、中空状のハウジング3を備えており、このハウジング3における一端側の開口部に取付けたフランジ部材5には、軸受7を介して入力軸9が回転自在に支持されている。そして、上記ハウジング3の他端側には、前記入力軸9と対向した出力回転体11が軸受13を介して回転自在に支持されている。上記出力回転体11としては、出力ギアやプーリなどのごとき適宜の回転体とすることができる。すなわち、前記出力回転体11と出力軸15とを別個に設けて、歯車やベルト等のごとき伝達機構を介して、出力回転体11と出力軸15とを連動連結した構成とすることも可能である。
しかし、本例においては、出力回転体11と出力軸15は一体に設けてある。したがって、出力回転体11は出力軸15の一部と見做すことができる。
前記出力軸(出力回転体)15には、出力リング17に備えた軸部19が回転可能かつ軸方向に移動可能に支持されている。そして、前記入力軸9に一端部を螺着固定した回転軸21の先端部は、前記出力リング17に軸受を介して回転自在に支持されている。この回転軸21には、テーパ状のサンローラ23が回転可能かつ軸方向へ移動可能に支持されている。上記サンローラ23の小径の先端部側に備えた第1テーパ部23Aと大径の基端部側の第2テーパ部23Bとの間には、適宜形状の周溝23cが形成してある。
上記サンローラ23の外周にはテーパ状の複数の遊星ローラ25が転動自在に配置してある。上記複数の遊星ローラ25は、前記サンローラ23の第1テーパ部23A,第2テーパ部23Bに接触した第1,第2のテーパ部25A,25Bを両端側に備え、この第1テーパ部25Aと第2テーパ部25Bとの間には、第1テーパ部25A側が大径になる第3テーパ部25Cを備えた構成である。上記第3のテーパ部25Cにおける外側の母線(図1において最上部,最下部の母線)は、前記回転軸21すなわち前記サンローラ23の軸心と平行に形成してある。そして、前記第3テーパ部25Cにおける大径部分の一部は、前記サンローラ23における前記周溝23C内に入り込むように配置してある。
上記構成により、遊星ローラ25における第3テーパ部25Cの大径部が比較的大径であっても、全体的構成のコンパクト化を図ることができるものである。
前記各遊星ローラ25の両端部は、前記ハウジング3内に回転自在に内装した保持器27に回転自在に支持されている。より詳細には、上記保持器27は、小径リング部27A及び大径リング部27Bを一体的に備えた截頭円錐形(円錐台)に形成してある。上記小径リング部27Aと大径リング部27Bに対向して形成した軸受穴内にはそれぞれ軸受ブロック29が内装してあり、この軸受ブロック29に、軸受を介して前記遊星ローラ25の両端部に備えた回転軸25Dが回転自在に支持されている。
なお、前記保持器27における各軸受穴と各軸受ブロック29との間には微少間隙が存在し、各遊星ローラ25は、前記回転軸21、サンローラ23のラジアル方向へ僅かに移動可能に構成してある。
前記入力軸9の回転を前記サンローラ23へ伝達するために、前記入力軸9とサンローラ23との間には、入力軸9側からクラッチ機構31、第1ローディングカム機構33が設けてある。
より詳細には、前記入力軸9と前記サンローラ23との間において、前記回転軸21には可動スリーブ35が軸方向へ移動可能に支持されており、この可動スリーブ35が前記入力軸9に対向した基端部側には大径のフランジ部37が形成してある。そして、前記入力軸9の内端部に備えた大径部9Aが前記フランジ部37と対向した対向面には放射方向(径方向)の長溝9Bが形成してあり、この長溝9B内には、例えばボール,ローラなどのごとき遠心ウエイト39が移動自在に備えられている。
この遠心ウエイト39には、前記フランジ部37に形成したテーパ状のカム面41が接触(当接)してある。上記カム面41は、フランジ部37における外径側が前記入力軸9の大径部9Aに近接するように傾斜した凹状のテーパ面に形成してある。
上記フランジ部37を備えた前記可動スリーブ35の先端部にはリング状のストッパ43が取り付けてあり、このストッパ43より大径で前記可動スリーブ35に移動可能に支持された環状のスプリング座45と前記フランジ部37との間には、コイルスプリングなどのごとき弾性部材47が弾装してある。
上記弾性部材47等を囲繞した小径の円筒部49Aを備えると共に前記遠心ウエイト39の放射外方向への移動を規制自在な大径の円筒部49Bを備えた筒状部材49が設けられており、この筒状部材49における前記小径の円筒部49Aの先端部内面には、前記スプリング座45の外周縁部と当接可能な当接段部51が形成してある。また、筒状部材49における前記大径の円筒部49Aの端部には放射方向の切欠き溝53が適宜間隔に形成してあり、この切欠き溝53には、前記入力軸9における大径部9Aに備えた放射方向の突起部9Cが係合してある。
そして、前記筒状部材49における前記小径の円筒部49Aと大径の円筒部49Bとの間には段差部が形成してあり、この段差部には前記第1ローディングカム機構33を構成する放射方向のV字形状の複数のカム溝55が周方向に等間隔に形成してある。このカム溝55に対向して、前記サンローラ23にも同様のV字形状のカム溝57が形成してあり、両カム溝55,57の間には例えばボール,ローラなどのごとき力伝達部材59が介在してある。
したがって、サンローラ23をスラスト方向へ押圧する大きな押圧力を得ることができ、サンローラ23と遊星ローラ25との接触圧を大きくすることができるものである。
図1より明らかなように、前記筒状部材49における小径の円筒部49A及び大径の円筒部49Bの一部は、前記サンローラ23の基端部側の端面に形成された軸方向の穴内に挿入してある。したがって、全体的構成の軸方向の長さを抑制することができる。
前記出力リング17は、前記遊星ローラ25における第1テーパ部25Aを転動自在に内接するように、第1テーパ部25に外側から接触するリング状の接触部17Aが備えられている。そして、この出力リング17と前記出力軸15との間には、第2のローディングカム機構61が備えられている。より詳細には、出力軸15における前記出力回転体11が前記出力リング17と対向した対向面には、ローディングカム機構61を構成する放射方向のV字形状の複数のカム溝63が周方向に等間隔に形成してある。そして、前記出力リング17が前記カム溝63と対向した面には、同様にV字形状のカム溝65が形成してあり、上記両カム溝63,65の間には、例えばボール,ローラなどのごとき力伝達部材67が介在してある。
したがって、出力リング17を軸方向へ押圧する大きな押圧力を得ることができ、出力リング17における接触部17Aと遊星ローラ25における第1テーパ部25Aとの接触圧を大きくすることができるものである。
前記遊星ローラ25における第3テーパ部25Cにおいて前記回転軸21と平行な母線部分には、変速リング69が接触してある。この変速リング69は、前記ハウジング3内において前記回転軸21と平行に備えた複数のガイドロッド71に移動自在に支持されている。そして、前記変速リング69を軸方向に移動するために、前記ハウジング3内には、前記回転軸21と平行な複数本の螺子軸73が回転自在に支持されており、この螺子軸73に形成した螺子部73Aに前記変速リング69が移動可能に螺合してある。
前記複数本の螺子軸73を連動して回転するために、各螺子軸73にはそれぞれピニオンギア75が一体的に取付けてあり、各ピニオンギア75は、前記ハウジング3内に回転自在に備えられたリングギア77に噛合してある。したがって、適宜の螺子軸73を回転すると、ピニオンギア75,リングギア77を介して各螺子軸73が連動して回転される。よって各螺子軸73の螺子部73Aに螺合した変速リング69は軸方向に移動され、遊星ローラ25における第3テーパ部25Cとの接触位置を調節することができる。
前記構成において、前記変速リング17が遊星ローラ25における第1テーパ部25Aに接触する位置及び変速リング69が第3テーパ部25Cに接触する位置は、前記サンローラ23の第1テーパ部23A,第2テーパ部23Bが遊星ローラ25の第1テーパ部25A,第2テーパ部25Bに接触する位置の間である。したがって、サンローラ23は遊星ローラ25の両端側を外方向へ押圧する態様となり、出力リング17及び変速リング69は、遊星ローラ25の軸方向の中央部側を内方向へ押圧する態様となるものである。
以上のごとき構成において、常態においては、クラッチ機構31における弾性部材47の付勢力によって可動スリーブ35のフランジ部37は入力軸9における大径部9Aへ付勢された状態にある。したがって、上記大径部9Aとフランジ部37の間に介在された遠心ウエイト39は、前記フランジ部37に備えたカム面41の作用によって、放射内方向へ押圧された状態にある。
よって、常態においては、サンローラ23を軸方向へ押圧する押圧力は小さく、サンローラ33と遊星ローラ25との接触圧は小さなものであって、滑りを生じ易いものである。換言すれば、入力軸9の回転は出力軸15へ伝達されることなく遮断された状態にある。
上記構成において、入力軸9の回転を次第に高速にすると、遠心力によって遠心ウエイト39は長溝9Bに沿って放射外方向へ移動する傾向にあり、予め設定された所定の回転速度以上になると、遠心ウエイト39が放射外方向へ移動され、クラッチ機構31における弾性部材47の付勢力に抗して可動スリーブ35を押圧する。このように可動スリーブ35が押圧されると、前記弾性部材47の蓄勢力が大きくなり、スプリング座45を介して筒状部材49をサンローラ23側へ押圧する押圧力が大きくなる。
上述のように、筒状部材49をサンローラ23側へ押圧する押圧力が大きくなると、サンローラ23を軸方向へ押圧し、サンローラ23と遊星ローラ25との接触圧が大きくなる。したがって、サンローラ23の回転が遊星ローラ25へ伝達される。この際、変速リング69が中立位置Nに接触しているときには、遊星ローラ25は出力リング17及び変速リング69に接触して転動(公転)することとなり、出力リング17は回転することなく停止した状態にあり、出力軸15の出力は零である。
前記中立位置Nから前記遊星ローラ25における第3テーパ部25Cの大径部側、すなわち高速位置Tへ変速リング69を次第に移動すると(図1に示す状態)、出力リング17は次第に変速回転される。この出力リング17の回転は、第2ローディングカム機構61を介して出力軸15へ伝達される。そして、前記中立位置Nから第3テーパ部25Cの小径部側へ変速リング69の接触位置を変更すると、前記出力軸15の回転は逆回転になる。
上記説明より理解されるように、前記出力軸15の出力が零になる前記変速リング69と前記遊星ローラ25における第3テーパ部25Cとの接触位置(中立位置)は、当該第3テーパ部25Cの長手方向(軸心方向)の中央部よりも小径側(第2テーパ部25B)側に設定してある。
ところで、入力軸9の回転を前記サンローラ23へ伝達するとき、入力軸9によって回転される筒状部材49とサンローラ23との間において回転方向に僅かに位相差を生じると、第1ローディングカム機構33における力伝達部材59は、筒状部材49に形成したカム溝55の傾斜したカム面と、サンローラ23に形成したカム溝57の傾斜したカム面との間に挟圧される。したがって、上記カム溝55,57におけるカム面の傾斜に起因する楔作用効果により、サンローラ23を軸方向へ押圧する大きな分力が作用する。よって、サンローラ23と遊星ローラ25との接触圧が大きくなる。
上述のように、サンローラ23と遊星ローラ25との接触圧が大きくなると、遊星ローラ25は放射外方向へ僅かに微動されるので、前記出力リング17,変速リング69と遊星ローラ25との接触圧が大きくなる。すなわち、サンローラ23,出力リング17及び変速リング69と遊星ローラ25との各接触部の接触圧が共に大きくなるので、伝達効率が向上するものである。
この際、前記サンローラ23は遊星ローラ25の両端側を放射外方向へ押圧し、前記出力リング17,変速リング69は、遊星ローラ25の長手方向の中央部付近を放射内方向へ押圧するものであって、接触位置における法線力は逆方向となり、互いに相殺することになる。したがって、遊星ローラ25における回転軸25Dに大きな法線力が作用することがなく、遊星ローラ25の回転は常に円滑に行われ得るものである。
前述したように、入力軸9の回転が変速して出力軸15に伝達され、出力軸15に負荷が作用すると、出力軸15と出力リング17との間に僅かに位相差を生じることになる。このように、出力軸15と出力リング17との間に僅かな位相差が生じると、第2ローディングカム機構61における力伝達部材67は、入力軸9に形成したカム溝63における傾斜したカム面と、出力リング17に形成したカム溝65の傾斜したカム面との間に挟圧される態様となる。
したがって、出力リング17には軸方向の大きな分力が作用することとなり、出力リング17は遊星ローラ25の第1テーパ部25Aへ大きな押圧力でもって押圧されるので接触圧が大きくなる。この場合、出力リング17と遊星ローラ25との間の接触圧が大きくなると、サンローラ23と遊星ローラ25との間の接触圧も大きくなる。よって伝達効率が向上することになる。入力軸9の回転速度を初期の低速にすると、初期状態に戻り、クラッチ機構31の作用によって出力軸15への回転の伝達は遮断されることになる。
上記説明より理解されるように、入力軸9の回転が予め設定された回転速度より高速になると、第1ローディングカム機構33の作用によってサンローラ23を遊星ローラ25へ押圧する押圧力(接触圧)が大きくなり、かつ出力軸15に作用する負荷が大きくなると、第2ローディングカム機構61の作用によって出力リング17を遊星ローラ25へ押圧する押圧力(接触圧)が大きくなる。したがって、入力軸9側からの伝達効率の向上を図ることができると共に、出力軸15に作用する負荷の大きさに対応して伝達効率の向上を図ることができるものである。
ところで、前記構成において、サンローラ23の軸心と遊星ローラ25の軸心とのなす交叉角は8〜15度が望ましく、前記遊星ローラ25に対するサンローラ23の楔角(サンローラ23のテーパ角の1/2の角度)は、サンローラ23が遊星ローラ25に食い付かないようにするために5度以上にすることが望ましい。
以上のごとき説明より理解されるように、本実施形態においては、第1,第2のローディングカム機構33,61を備えているので、サンローラ23と遊星ローラ25との接触圧及び出力リング17,変速リング69と遊星ローラ25との接触圧を大きくすることができ、伝達効率の向上を図ることができる。この場合、遊星ローラ25の回転軸に作用する法線力を抑制することができる。
また、遠心ウエイト39を備えたクラッチ機構31を備えているので、入力軸9の低速回転時には、入力軸9から出力軸15への動力の伝達が遮断されると共に、入力軸9に対して出力軸15を相対的に回転することが可能になるものである。そして、上記クラッチ機構31は、第1ローディングカム機構33よりも入力軸9側に配置してあるので、入力軸9の低速回転時の遮断機能をより確実に奏し得るものである。
前記クラッチ機構31の一部を構成する筒状部材49は、ローディングカム機構33の一部を構成する構成要素を兼ねているので、構成部品点数を少なくすることができ、全体的構成の簡素化を図ることができるものである。
また前記構成によれば、全体的構成の小径化を図ることができると共に軸方向の長さを抑制することができ、全他的構成の小型化を図ることができるものである。
ところで、特許出願人は、遊星ローラ変速装置の伝達効率の向上を図るための構成としての特許出願(特願2005−257750,以下先願発明と称す)を行っている。この先願発明の構成は、図3に示すごとき構成である。なお、先願発明の概念的、概略的な構成の説明を行うに当たり、前述した実施形態と同一機能を奏する構成要素には同一符号を付することとする。
先願発明の構成は、遊星ローラ25における第1テーパ部25Aにサンローラ23が接触していると共に、上記第1テーパ部25Aの小径の先端部側に出力リング17が接触してあり、前記遊星ローラ25における第3テーパ部25Cに変速リング69が接触してある。そして、出力軸15の出力が零になる変速リング69と第3テーパ部25Cとの接触位置(中立位置)Nは、当該第3テーパ部25Cの長手方向の中央部よりも大径側(第3テーパ部25A側)に設定してあり、高速位置Tは、第3テーパ部25Cの小径側に設定してある。
既に理解されるように、サンローラ23と遊星ローラ25との接触位置及び出力リング17と遊星ローラ25との接触位置はほぼ一定であり、変速リング69と遊星ローラ25との接触位置が大きく変化するものである。ここで、出力軸15の軸心から前記出力リング17と遊星ローラ25における第2テーパ部25Aとの接触位置Aまでの寸法をR1,前記遊星ローラ25の軸心から前記接触位置Aまでの寸法をR2,入力軸9の軸心から前記遊星ローラ25における第3テーパ部25Cの外側の母線までの寸法をR3,前記遊星ローラ25の軸心から前記変速リング69の接触位置Bまでの寸法をR4(この寸法R4は、前記中立位置Nと高速位置Tとの間で変化する範囲の寸法とする)とする。また、入力軸9の軸心からサンローラ23と第1テーパ部25Aとの接触位置Cまでの寸法をR5とし、前記遊星ローラ25の軸心から前記接触位置Cまでの寸法をR6とする。
そして、R1/R2≦R3/R4の関係が常に保持されているとき、サンローラ23と遊星ローラ25との間の伝達効率をE1,出力リング17と遊星ローラ25との間の伝達効率をE2,変速リング69と遊星ローラ25との間の伝達効率をE3とすると、入力Tinに対する出力Toutは、次式で与えられる
Figure 2008095796
ただし、i1=R2・R3/R1・R4 i2=R6・R3/R5・R4
上記式(1)より理解されるように、(1)式の分子において伝達効率E3が二乗で利いて来るので、「出力トルク<変速リングのトルク」となる。
前述した本実施形態に係る遊星ローラ変速装置の構成を、図3の場合と同様に、概念的、概略的に示すと、図2に示すようになる。ここで、変速リング69が中立位置Nと高速位置Tの間で遊星ローラ25の第3テーパ部25Cとの接触位置が変化するとき、R1/R2≧R3/R4の関係が維持され、「出力トルク>変速トルクのトルク」となる。そして、入力Tinと出力Toutの関係は、次式で与えられる。
Figure 2008095796
ただし、i1=R2・R3/R1・R4 i2=R6・R3/R5・R4
上記式(2)より理解されるように、伝達効率E3は二乗されることがないので、式(1)の場合よりも式(2)の方が伝達効率の向上が図られるものである。
ここで、図2,図3より理解されるように、図2に示した構成と図3に示した構成においては、遊星ローラ25に対して中立位置Nと高速位置Tは逆になっている。図3に示す構成においては、図3に示した中立位置Nから左側へ変速リング69を移動可能であるが、図2に示す構成においては、図2に示した高速位置Tから左側への変速リング69の移動は不可能である。したがって、変速リング69が中立位置Nと高速位置Tとの間において遊星ローラ25に接触しているとき、図2に示した構成と図3に示した構成においては、出力軸15の回転方向は逆方向となるものである。この場合、例えばエンジンの出力を車輪に伝達する構成の場合には、例えばギアを介在することにより車輪の回転方向を同一方向とすることができるものであって何等の問題もないものである。
本発明の実施形態に係る遊星ローラ変速装置の断面説明図である。 本発明の実施形態に係る遊星ローラ変速装置を概念的、概略的に示した説明図である。 先願発明に係る本発明の実施形態に係る遊星ローラ変速装置を概念的、概略的に示した説明図である。 従来の構成を示す説明図である。
符号の説明
1 遊星ローラ変速装置
3 ハウジング
9 入力軸
11 出力回転体(出力軸)
15 出力軸
17 出力リング
21 回転軸
23 サンローラ
23A,25A 第1テーパ部
23B,25B 第2テーパ部
23C 周溝
25 遊星ローラ
25C 第3テーパ部
31 クラッチ機構
33 第1ローディングカム機構
35 可動スリーブ
39 遠心ウエイト
41 カム面
45 スプリング座
47 弾性部材
49 筒状部材
55,57,63,65 カム溝
59,67 力伝達部材
61 第2ローディングカム機構
69 変速リング
73 螺子軸

Claims (8)

  1. 回転自在な入力軸に連動して回転するテーパ状のサンローラと、上記サンローラの外周を転動自在なテーパ状の複数の遊星ローラと、前記遊星ローラを転動自在に内接した出力リングと、この出力リングと連動して回転する出力軸と、前記遊星ローラを転動自在に内接し、かつ前記遊星ローラとの接触位置を変更すべく軸方向に移動可能な変速リングとを備えた遊星ローラ変速装置であって、前記出力軸の出力が零になる前記変速リングと前記遊星ローラとの接触位置は、前記遊星ローラにおいて外側の母線が前記サンローラの軸心と平行なテーパ部の長手方向の中央部よりも小径側に設定してあることを特徴とする遊星ローラ変速装置。
  2. 請求項1に記載の遊星ローラ変速装置において、前記サンローラは、前記各遊星ローラの両端部付近に接触しており、前記出力リング及び前記変速リングは、前記サンローラの両端側の接触位置の間において前記各遊星ローラに接触してあることを特徴とする遊星ローラ変速装置。
  3. 請求項1又は2に記載の遊星ローラ変速装置において、前記入力軸と前記サンローラとの間又は前記出力リングと前記出力軸との間の少なくとも一方にローディングカム機構を備えていることを特徴とする遊星ローラ変速装置。
  4. 請求項1,2又は3に記載の遊星ローラ変速装置において、前記各遊星ローラは、前記入出力軸のラジアル方向へ僅かに移動可能に設けてあることを特徴とする遊星ローラ変速装置。
  5. 請求項1,2,3又は4に記載の遊星ローラ変速装置において、前記入力軸と前記サンローラとの間にクラッチ機構を備えていることを特徴とする遊星ローラ変速装置。
  6. 請求項5に記載の遊星ローラ変速装置において、前記クラッチ機構は、前記入力軸とサンローラとの間に設けたローディングカム機構よりも入力軸側に設けてあることを特徴とする遊星ローラ変速装置。
  7. 請求項6に記載の遊星ローラ変速装置において、前記ローディングカム機構と前記クラッチ機構は、それぞれの構成要素の一部を共通に備えていることを特徴とする遊星ローラ変速装置。
  8. 請求項1〜7のいずれかに記載の遊星ローラ変速装置において、前記サンローラは外周面に周溝を備えており、前記各遊星ローラの一部が前記周溝内に入り込んだ構成であることを特徴とする遊星ローラ変速装置。
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