JP4871244B2 - 摩擦型遊星動力伝達機構 - Google Patents

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Description

本発明は、摩擦型遊星動力伝達機構に関する。
遊星歯車機構の動力伝達部を歯の噛み合いから摩擦に置き換えた如き摩擦型遊星動力伝達装置において、中心ローラと外輪とを偏心させ、該偏心によって生じた中心ローラと外輪との間隔の狭い部分に、ウェッジローラを食い込ませるようにして、伝達効率を向上させる技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。
特開平10−281248号公報
ところで、上記の如き従来の技術では、いわゆる「くさび効果」を利用して要素どうしの押付け力を高めているが、これとは異なる原理に基づき要素間の押付け力の制御を行うことが考えられる。
本発明は、上記事実を考慮して、要素間の押付け力を効果的に制御することができる摩擦型遊星動力伝達機構を得ることが目的である。
請求項1記載の発明に係る摩擦型遊星動力伝達機構は、摩擦型遊星動力伝達機構であって、断面円形状の外周面を有する中心要素と、内径が前記中心要素の外径よりも大である円環状に形成された周囲要素と、それぞれ前記中心要素の外周面と前記周囲要素の内周面との間に周方向に離間して3つ以上配置されると共に、一部が残余の一部よりも前記中心要素の周方向に沿う寸法が小とされ、該中心要素の外周面と前記周囲要素の内周面との間で転がり摩擦により駆動力を伝達するための遊星要素と、 前記3つ以上の遊星要素当該3つ以上の遊星要素が前記中心要素の周方向に所定の範囲で相対変位し得るように支持する構成とされ、かつ、前記3つ以上の遊星要素を、当該伝達機構の伝達トルクが大きい場合は、前記3つ以上の遊星要素と前記周囲要素との各接触点を該周囲要素の周方向に順に結んだ多角形の周囲長さが長くなる第1の配置側で支持し、伝達トルクが小さい場合は、前記多角形の周囲の長さが短くなる第2の配置側で支持する支持要素と、を備えている。
請求項1記載の摩擦型遊星動力伝達機構では、例えば、中心要素、周囲要素、及び支持要素の何れか1つがトルクの入力要素とされると共に、他の1つが出力要素とされる。入力要素の回転に伴って、中心要素の外周面と周囲要素の内周面との間では、これらに接触している各遊星要素が転がり摩擦により駆動力を伝達する。これにより、入力要素から出力要素へのトルク伝達が果たされる。この転がり摩擦によるトルク伝達を行うために、周囲要素と各遊星要素との間には、径方向に略沿った押付け力(摩擦抗力)が作用している。この押付け力の反力により、周囲要素には周囲長さが変化する方向の変形が生じる。
ここで、本摩擦型遊星動力伝達機構では、支持要素が複数の遊星要素の周方向の相対位置の変化を許容するため、複数の遊星要素の相対位置(周方向の配置、間隔)によって、周囲要素の上記変形量すなわち周囲長さを変化させることができる。これにより、複数の遊星要素の相対位置に応じて、周囲要素と各遊星要素との間の押付け力を変化させることができる。特に、本摩擦型遊星動力伝達機構では、一部の遊星要素で中心要素の周方向における寸法が他の遊星要素に対し小さいので、遊星要素の周方向の相対変位可能範囲を大きくすることができ、周囲要素の周囲長さすなわち押付け力の変化幅を大きくすることができる。
このように、請求項1記載の摩擦型遊星動力伝達機構では、要素間の押付け力を効果的に制御することができる。
また、本摩擦型遊星動力伝達機構では、3つ以上の遊星要素と周囲要素との接触点を周方向に順に結んで成す多角形の形状すなわち周囲長さが異なるように、各遊星要素の周方向の相対位置(配置)を変化させることで、周囲要素と遊星要素との間に作用する押付け力を変化させることができる。
さらに、本摩擦型遊星動力伝達機構では、伝達トルクが大きい場合に第1の配置になるので、上記押付け力が大きくなり、大きなトルクの伝達が可能である。一方、トルクが小さい場合に第2の配置になるので、周囲要素と遊星要素との間に過剰な押付け力が作用することが抑制される。
請求項2記載の発明に係る摩擦型遊星動力伝達機構は、請求項1記載の摩擦型遊星動力伝達機構において、前記複数の遊星要素は、それぞれ断面円形の外周面が前記中心要素の外周面及び前記周囲要素の内周面に転がり摩擦により駆動力を伝達可能に接触された回転体であり、一部の前記遊星要素の外径が他の前記遊星要素の外径よりも小とされている。
請求項2記載の摩擦型遊星動力伝達機構では、単に一部の遊星要素の外径を他の遊星要素に対し小さくする簡単な構造で、押付け力の変化幅を大きくする構成を実現することができる。
請求項3記載の発明に係る摩擦型遊星動力伝達機構は、摩擦型遊星動力伝達機構であって、断面円形状の外周面を有する中心要素と、内径が前記中心要素の外径よりも大である円環状に形成された周囲要素と、それぞれ前記中心要素の外周面と前記周囲要素の内周面との間に周方向に離間して3つ以上配置されると共に、少なくとも前記3つ以上のうちの一部が断面円形状の外周面が前記中心要素の外周面に転がり摩擦により駆動力を伝達可能に接触された内周側要素と、断面円形状の外周面が前記周囲要素の内周面に転がり摩擦により駆動力を伝達可能に接触された外周側要素とを含んで構成され、該中心要素の外周面と前記周囲要素の内周面との間で転がり摩擦により駆動力を伝達するための遊星要素と、前記3つ以上の遊星要素当該3つ以上の遊星要素が前記中心要素の周方向に所定の範囲で相対変位し得るように支持する構成とされ、かつ、前記3つ以上の遊星要素を、当該伝達機構の伝達トルクが大きい場合は、前記3つ以上の遊星要素と前記周囲要素との各接触点を該周囲要素の周方向に順に結んだ多角形の周囲長さが長くなる第1の配置側で支持し、伝達トルクが小さい場合は、前記多角形の周囲の長さが短くなる第2の配置側で支持する支持要素と、を備えている。
請求項3記載の摩擦型遊星動力伝達機構では、例えば、中心要素、周囲要素、及び支持要素の何れか1つがトルクの入力要素とされると共に、他の1つが出力要素とされる。入力要素の回転に伴って、中心要素の外周面と周囲要素の内周面との間では、これらに接触している各遊星要素が転がり摩擦により駆動力を伝達する。これにより、入力要素から出力要素へのトルク伝達が果たされる。この転がり摩擦によるトルク伝達を行うために、周囲要素と各遊星要素との間には、径方向に略沿った押付け力(摩擦抗力)が作用している。この押付け力の反力により、周囲要素には周囲長さが変化する方向の変形が生じる。
ここで、本摩擦型遊星動力伝達機構では、支持要素が複数の遊星要素の周方向の相対位置の変化を許容するため、複数の遊星要素の相対位置(周方向の配置、間隔)によって、周囲要素の上記変形量すなわち周囲長さを変化させることができる。これにより、複数の遊星要素の相対位置に応じて、周囲要素と各遊星要素との間の押付け力を変化させることができる。特に、本摩擦型遊星動力伝達機構では、遊星要素の少なくとも一部が内周側要素と外周側要素とを含んで構成されているため、換言すれば、中心要素の径方向に沿って複数の要素を並べて遊星要素が構成されているため、単一の断面円形要素を中心要素及び周囲要素のそれぞれに接触させる構成と比較して、該少なくとも一部の遊星要素は、中心要素の周方向における寸法が小さくなる。このため、本摩擦型遊星動力伝達機構では、遊星要素の周方向の相対変位可能範囲を大きくすることができ、周囲要素の周囲長さすなわち押付け力の変化幅を大きくすることができる。
このように、請求項3記載の摩擦型遊星動力伝達機構では、要素間の押付け力を効果的に制御することができる。
また、本摩擦型遊星動力伝達機構では、3つ以上の遊星要素と周囲要素との接触点を周方向に順に結んで成す多角形の形状すなわち周囲長さが異なるように、各遊星要素の周方向の相対位置(配置)を変化させることで、周囲要素と遊星要素との間に作用する押付け力を変化させることができる。
さらに、本摩擦型遊星動力伝達機構では、伝達トルクが大きい場合に第1の配置になるので、上記押付け力が大きくなり、大きなトルクの伝達が可能である。一方、トルクが小さい場合に第2の配置になるので、周囲要素と遊星要素との間に過剰な押付け力が作用することが抑制される。
請求項記載の発明に係る摩擦型遊星動力伝達機構は、請求項1〜請求項3の何れか1項記載の摩擦型遊星動力伝達機構において、前記支持要素は、前記遊星要素の一部を、残りの前記遊星要素に対して周方向に変位可能に支持しており、かつ、当該伝達機構の伝達トルクが増加する場合に、該伝達トルクによって前記遊星要素が周方向に変位されることで、前記3つ以上の遊星要素の配置が前記第2の配置側から第1の配置側へと移行するように、前記3つ以上の遊星要素を支持している。
請求項記載の摩擦型遊星動力伝達機構では、伝達トルクの増加に伴って第2の配置側から第1の配置側に移行するので、強制的に遊星要素を第1の配置側に移行させる構成と比較して構造が簡単である。
請求項記載の発明に係る摩擦型遊星動力伝達機構は、請求項1〜請求項4の何れか1項記載の摩擦型遊星動力伝達機構において、前記3つ以上の遊星要素は、少なくとも1つの第1の遊星要素と、該第1の遊星要素以外の少なくとも1つの第2の遊星要素とを有し、前記支持要素は、当該伝達機構のトルク伝達方向が第1の方向であり、かつ該伝達トルクが増加する場合に、この伝達トルクによって前記第1の遊星要素が他の遊星要素に対して周方向に変位されることで、前記3つ以上の遊星要素の配置が第2の配置側から第1の配置側へ移行し、かつ、当該伝達機構のトルク伝達方向が前記第1の方向とは逆の第2の方向であり、かつ該伝達トルクが増加する場合に、この伝達トルクによって前記第2の遊星要素が他の遊星要素に対して周方向に変位されることで、前記3つ以上の遊星要素の配置が第2の配置側から第1の配置側へ移行するように、前記3つ以上の遊星要素を支持している。
請求項記載の摩擦型遊星動力伝達機構では、トルクの伝達方向に応じて、第1の遊星要素又は第2の遊星要素が伝達トルクによって周方向に変位される。このため、トルクの伝達方向に依らず、押付け力を制御することができる。
請求項記載の発明に係る摩擦型遊星動力伝達機構は、請求項記載の摩擦型遊星動力伝達機構において、前記遊星要素は4つであり、前記多角形である四角形の1つの対角線上に配置された一対の遊星要素が前記第1の遊星要素とされ、前記四角形の他の対角線上に配置された一対の遊星要素が前記第2の遊星要素とされている。
請求項記載の摩擦型遊星動力伝達機構では、4つの遊星要素は、第1の遊星要素と第2の遊星要素とが周方向に交互に配置されている。このため、第1の方向にトルク伝達されている場合には、第2の遊星要素が第1の遊星要素に対する他の遊星要素となり、第2の方向にトルク伝達されている場合には、第1の遊星要素が第2の遊星要素に対する他の遊星要素となる。これにより、少ない遊星要素で、トルクの伝達方向に依らず押付け力を制御することができる。
請求項記載の発明に係る摩擦型遊星動力伝達機構は、請求項〜請求項の何れか1項記載の摩擦型遊星動力伝達機構において、前記支持要素は、前記周方向に移動可能に支持された遊星要素を、それぞれの前記第2の配置側に偏倚させるための付勢力を生じるばね要素を有する。
請求項記載の摩擦型遊星動力伝達機構では、伝達トルクが小さい場合には、各遊星要素はばね要素の付勢力により第2の配置側に偏倚されており、小さい押付け力でのトルク伝達が果たされる。一方、伝達トルクが増加すると、各遊星要素は、ばね要素の付勢力に抗して第1の配置側に変位し、大きな押付け力(摩擦力)に基づく大きなトルクの伝達が果たされる。
請求項記載の発明に係る摩擦型遊星動力伝達機構は、請求項〜請求項の何れか1項記載の摩擦型遊星動力伝達機構において、前記3つ以上の遊星要素組が前記第1の配置をとる場合に、前記多角形が正多角形となる。
請求項記載の摩擦型遊星動力伝達機構では、第1の配置が最大のトルク伝達可能な配置であるため、トルクの伝達効率が良好である。
以上説明したように本発明に係る摩擦型遊星動力伝達機構は、要素間の押付け力を効果的に制御することができるという優れた効果を有する。
本発明の第1の実施形態に係る摩擦型遊星動力伝達機構としての摩擦型遊星動力伝達装置10について、図1〜図11に基づいて説明する。先ず摩擦型遊星動力伝達装置10の概略全体構成を説明し、次いで、摩擦型遊星動力伝達装置10の要部に係る構成を説明することとする。
(摩擦型遊星動力伝達装置の概略構成)
図1には、摩擦型遊星動力伝達装置10が側断面図にて示されており、図2には、図1の2−2線に沿った断面図が示されている。図1に示される如く、摩擦型遊星動力伝達装置10は、ケース12を備えている。ケース12には、軸受13を介してサンローラシャフト14が自軸廻りに回転自在に軸支されている。このサンローラシャフト14には、中心要素としてのサンローラ16が同軸的かつ一体的に回転するように設けられている。サンローラ16の外周面16Aは、円筒面とされている。すなわち、図2にも示される如く、サンローラ16の外周面16Aは、断面円形状とされている。
また、図1に示される如く、ケース12には、支持要素としてのキャリア18が固定されている。キャリア18は、それぞれ遊星ローラシャフト20を介して、遊星要素としての複数の遊星ローラ22をそれぞれの遊星ローラシャフト20の軸心廻りに回転自在に軸支している。図2に示される如く、この実施形態では4つの遊星ローラ22が設けられており、各遊星ローラ22を区別して説明する場合には、遊星ローラ22A、22B、22C、22Dということとする。各遊星ローラ22の外周面22Eは、それぞれ円筒面とされている。そして、図2に示される如く、各遊星ローラ22は、断面円形状とされた外周面22Eがサンローラ16の外周面16Aに接触されるように、遊星ローラシャフト20(キャリア18)にて支持されている。
さらに、図2に示される如く、4つの遊星ローラ22は、サンローラ16の周方向における相対位置を変化可能に構成されている。換言すれば、4つの遊星ローラ22は、非回転状態のサンローラ16の外周面16Aに対し、接触点Csの位置を周方向に変化させ得る構成とされている。具体的には、各遊星ローラ22が軸支された遊星ローラシャフト20は、それぞれサンローラ16と同軸的な円周に沿ってキャリア18に形成された略円弧状を成すガイド溝24によって、サンローラ16の周方向への変位可能とされている。遊星ローラシャフト20がガイド溝24にガイドされてサンローラ16の周方向に変位することで、遊星ローラ22の外周面22Eのサンローラ16の外周面16Aに対する接触状態を維持しながら、遊星ローラ22がサンローラ16の周方向に変位する、すなわちサンローラ16の周方向における接触点Csが変化する構成とされている。なお、各遊星ローラ22は、それぞれ対応する遊星ローラシャフト20に対し、ニードルローラ軸受36を介して回転自在に軸支されている。
また、図2に示される如く、各ガイド溝24は、サンローラ16周方向に沿った長さLが等しくされると共に、該周方向に等間隔で配置されている。そして、摩擦型遊星動力伝達装置10では、各遊星ローラシャフト20は、ばね要素としてのスプリング26によってガイド溝24の長手方向端側に偏倚する方向の付勢力が付与されている。ここで、摩擦型遊星動力伝達装置10では、4つの遊星ローラシャフト20のうち、軸方向視でサンローラ16を挟んで向き合う一対の遊星ローラシャフト20Aと、他の一対の遊星ローラシャフト20Bとで、サンローラ16の周方向におけるスプリング26による付勢(偏倚)方向が異ならされている。図2では、一対の遊星ローラシャフト20Aが時計回り(矢印A方向)に付勢され、他の一対の遊星ローラシャフト20Bが反時計回り(矢印B方向)に付勢されている。
これにより、摩擦型遊星動力伝達装置10では、無負荷状態では、一対の遊星ローラシャフト20Aがガイド溝24における長手(周)方向一端24Aに当接するように偏倚され、他の一対の遊星ローラシャフト20Bがガイド溝24における長手方向他端24Bに当接するように偏倚されている。この状態では、図2に想像線にて示す如く4つの遊星ローラ22が略長方形状に配置されるようになっている。一方、4つの遊星ローラ22は、各遊星ローラシャフト20(各遊星ローラシャフト20A及び遊星ローラシャフト20B)のそれぞれがガイド溝24の一端24Aに当接するように偏倚されている場合、各遊星ローラシャフト20がガイド溝24の他端24Bに当接するように偏倚されている場合に、図3(A)に模式的に示される如く、略正方形状に配置されるようになっている。この実施形態では、各遊星ローラシャフト20Aに軸支された遊星ローラ22A、22Cは、本発明における第1の遊星要素に相当し、各遊星ローラシャフト20Bに軸支された遊星ローラ22B、22Dは、本発明における第2の遊星要素に相当する。
なお、各スプリング26は、ガイド溝24に連通するようにキャリア18に設けられたスプリング孔25に一端側に一部が入り込まされると共に、該スプリング孔25を閉止するストッパ27に一端が支持されることで、対応する遊星ローラシャフト20に付勢力を付与しており、全長に亘りスプリング孔25に入り込むことで、一対の遊星ローラシャフト20Aがガイド溝24の他端24Bに当接する位置に至ること、及び他の一対の遊星ローラシャフト20Bが方向一端24Aに当接する位置に至ることを許容する構成とされている。
またさらに、図1及び図2に示される如く、摩擦型遊星動力伝達装置10は、周囲要素としてのリング28を備えている。リング28は、全体として略円環状に形成されており、その内周面28Aが円筒面とされている。このリング28には、ケース12とは軸線方向の反対側からリング28(キャリア18)を覆うように配置されたキャップ30が同軸的かつ一体に回転するように固定されており(図1参照)、キャップ30には、リング側シャフト32が同軸的かつ一体に回転するように設けられている。リング側シャフト32は、軸受34を介してキャリア18すなわちケース12に対し、サンローラ16と同軸的かつ回転自在に支持されている。
そして、リング28は、その内周面28Aを4つの遊星ローラ22の外周面22Eのそれぞれに接触させている。これにより、摩擦型遊星動力伝達装置10では、リング28、サンローラ16、キャリア18の相対回転に伴って各遊星ローラ22が遊星ローラシャフト20周りに自転されるようになっている。各遊星ローラ22は、自転に伴って、外周面22Eにおけるサンローラ16の外周面16Aとの接触点Cs、リング28の内周面28Aとの接触点Crを該内周面28Aの周方向に変化させつつ、これら接触点Cs、Crにおける転がり摩擦(以下、単に摩擦という)によって、リング28、サンローラ16、キャリア18間に相対変位を生じさせるトルクを伝達するようになっている。
すなわち、摩擦型遊星動力伝達装置10は、周知の遊星歯車機構に対し動力伝達部を歯の噛み合いから転がり摩擦に置き換えた如く構成されており、遊星歯車機構と基本的に同様の動力伝達経路を構成することができる。例えばサンローラシャフト14すなわちサンローラ16をトルク入力要素とした場合、キャリア18を固定要素とすれば、サンローラ16の回転に伴って遊星ローラ22は公転することなく自転し、リング28は、その内径とサンローラ16の外径との比で減速されつつ出力要素としてサンローラ16とは逆方向に回転駆動される。一方、リング28を固定要素とすれば、サンローラ16の回転に伴って遊星ローラ22は公転しつつ自転し、キャリア18(ケース12)は、リング28の内径とサンローラ16の外径との和に対する該サンローラ16の外径の比で減速されつつ出力要素としてサンローラ16と同方向に回転駆動される。さらに、キャリア18及びリング28の双方を固定しない構成とすれば、サンローラ16の回転はキャリア18及びリング28に分配される。説明は省略するが、摩擦型遊星動力伝達装置10は、キャリア18を入力要素とした場合、リング28を入力要素とした場合にも、動力伝達が摩擦により行われる点を除き、遊星歯車機構と同様に機能する。
この摩擦型遊星動力伝達装置10では、上記したガイド溝24の長手(ガイド)方向に沿って変位可能な遊星ローラシャフト20に軸支された遊星ローラ22は、サンローラ16の外周面16Aに対する接触点Csの位置を周方向に変化させるのに伴って、内周面28Aに対する接触点Crの位置を周方向に変化させる構成とされている。すなわち、4つの遊星ローラ22は、キャリア18に支持されつつ、少なくとも、図3(C)に模式的に示される如く、リング28の内周面28Aとの4つの接触点Crを周方向に順に結んだ仮想的な四角形が長方形である長方形配置と、図3(B)に示される如く、四角形が略正方形である正方形配置とをとり得る構成とされている。この長方形配置と正方形配置との切り替えについては、後述する。なお、以下単に長方形配置というときは、各遊星ローラシャフト20Aがガイド溝24の一端24Aに当接し、遊星ローラシャフト20Bがガイド溝24の他端24Bに当接している場合の遊星ローラ22の配置をいうこととする。
また、摩擦型遊星動力伝達装置10では、上記の通り要素間の摩擦によりトルクを伝達する構成であるため、摩擦により駆動力が伝達される要素間、すなわちサンローラ16と各遊星ローラ22との間、各遊星ローラ22とリング28との間に摩擦力を作用させるために、リング28が締り嵌めにて装着されている。これにより、リング28から遊星ローラ22側に押付け力Faが作用し、この押付け力を摩擦抗力としてリング28と各遊星ローラ22との間、各遊星ローラ22とサンローラ16との間に摩擦力が作用する構成とされている。
そして、摩擦型遊星動力伝達装置10では、上記した4つの遊星ローラ22の配置が長方形配置と正方形配置との間で変化することに応じて、リング28側から遊星ローラ22側に作用する押付け力Faを変化させることができる構成とされている。以下、具体的に説明する。
摩擦型遊星動力伝達装置10では、サンローラ16、遊星ローラ22、リング28は、それぞれ同等の縦弾性係数を有する鋼材にて構成されている。上記した締り嵌めによって、リング28には弾性変形が生じている。すなわち、4つの遊星ローラ22が正方形配置をとる場合には、現実には図3(B)に誇張して示す如くリング28は、接触点Crにおいて径方向外側に膨らみ、図3(D)に模式的に示す如く各接触点Crを頂点とする四角形Qに弾性変形する。図3(B)に示す正方形配置では、四角形Qは略正方形状の正方形Sを成す。一方、図3(C)に示される長方形配置では、弾性変形状態のリング28が各接触点Crを頂点として形成する四角形Qは、略矩形状の長方形Rを成す。これら正方形S、長方形Rを模式的に重ね合わせると図3(D)に示される如く成る。
ここで、図3(D)に示される如く、対角線の長さが略一致する正方形Sと長方形Rとでは、正方形Sの方が周長が長いので、正方形配置でのリング28の弾性変形量(周方向への伸び量)は、長方形配置でのリング28の弾性変形量よりも大となる。したがって、リング28の弾性変形に起因する押付け力Faは、正方形配置の場合に長方形配置の場合よりも大きくなる。これにより、摩擦型遊星動力伝達装置10では、4つの遊星ローラ22を長方形配置と正方形配置との間で姿勢変化させることで、リング28側から遊星ローラ22側に作用する押付け力Faを制御することができる。
また、この実施形態では、摩擦型遊星動力伝達装置10では、通常(停止時、低負荷時)は4つの遊星ローラ22が長方形配置をとり、高負荷時(伝達トルクが所定値以上の場合)に、伝達トルクによって4つの遊星ローラ22が長方形配置から正方形配置に近づく側に相対位置を変化させる構成とされている。
具体的には、後述する押付け力Faの変化を解析するための解析モデルを示す図4に示される如く、各遊星ローラ22には、長方形配置側に偏倚(保持)される方向の周方向力Nが作用している。より具体的には、例えば図5に示される如く、スプリング26の付勢力にて矢印B方向に遊星ローラ22が正方形配置から角度θだけずらされて位置する場合、接触点Crは、遊星ローラ22(遊星ローラシャフト20B)の軸心Opとサンローラ16の軸心Osとを通る直線mからずれて位置する。このため、押付け力Faは、遊星ローラ22をサンローラ16との接触点Cs周りに回転させようとするモーメントを生じ、このモーメントが上記の周方向力Nを生じさせる。以上は、スプリング26にて矢印B方向に付勢された遊星ローラシャフト20Bに軸支された遊星ローラ22B、22Dの例であるが、各遊星ローラシャフト20Aに軸支された遊星ローラ22A、22Cの場合は、同様のメカニズムによって、矢印A方向に周方向力Nが作用する。したがって、摩擦型遊星動力伝達装置10では、各遊星ローラ22にそれぞれ作用するスプリング26の付勢力と周方向力Nとにより、通常は長方形配置をとるようになっている。
一方、例えば図5に示される如くサンローラ16に矢印A方向のトルクTinが入力された場合、トルクTinによって遊星ローラ22には周方向力Nとは反対向きの力Fが作用する。この力Fが周方向力Nとスプリング26による付勢力との和を上回ると、遊星ローラ22は正方形配置側に変位する。以上は、スプリング26にて矢印B方向に付勢された遊星ローラシャフト20Bに軸支された遊星ローラ22B、22Dの例であるが、各遊星ローラシャフト20Aに軸支された遊星ローラ22A、22Cの場合は、同様のメカニズムによって、トルクTinとは反対向きの−Tinが入力された場合に、矢印B方向の力Fが作用する。
以上により、摩擦型遊星動力伝達装置10では、図6に示される如く、トルクTinが所定のトルクTb未満の場合には、遊星ローラ22はスプリング26の付勢力と周方向力Nとによって長方形配置をとる位置に保持され、押付け力FaはFaminで一定とされる(図6の領域L参照)。矢印A方向のトルクTinが所定のトルクTbに至ると、遊星ローラシャフト20Bに支持された遊星ローラ22が周方向力N及びスプリング26による付勢力に抗して正方形配置側に変位を開始するようになっている。トルクTinがトルクTbを超えると、該トルクTinによる力Fと、周方向力N及びスプリング26による付勢力の和とが釣り合うように遊星ローラシャフト20Bに支持された遊星ローラ22の周方向位置が決まり、押付け力Faが増大するので、伝達トルクが増大される(図6の領域L参照)。そして、摩擦型遊星動力伝達装置10では、遊星ローラ22が正方形配置に至ると、押付け力FaはFamaxとなり、すべりなく伝達し得る最大のトルクTmaxを伝達するようになっている。
同様に、矢印B方向のトルク−Tinが入力された場合、領域Lでは押付け力が一定とされ、入力トルク−Tinの絶対値が所定のトルク−Tbの絶対値を超えると、領域Lで押付け力Faと共に伝達トルクが増す。そして、トルク−Tinによる力Fと、周方向力N及びスプリング26による付勢力の和とが釣り合うように遊星ローラシャフト20Aに支持された遊星ローラ22の周方向位置が決まり、正方形配置に至るとすべりなく伝達し得る最大のトルク−Tmaxを伝達するようになっている。
(摩擦型遊星動力伝達装置の要部)
上記した通り、摩擦型遊星動力伝達装置10は、4つの遊星ローラ22の配置によって押付け力Faを制御し得る構成とされている。このFaの制御範囲は、図7に示される如く遊星ローラ22の周方向への可動範囲である遊星ローラ22の公転角θ(図3(C)参照)が大きいほど大きくなる。一方、図9に示される如く、摩擦型遊星動力伝達装置10では、変速比が大きくなるほど、遊星ローラ22の公転角の設定上限は小さくなる。図9は、サンローラ16を入力要素、キャリア18を出力要素、リング28を固定要素とし、かつ遊星ローラ22が4つである場合の減速比と遊星ローラ22の公転角との関係を例示している。補足すると、変速比を大きくとるにはサンローラ16の外径に対しリング28の内径を大きくすることとなるが、この場合、遊星ローラ22の外径もサンローラ16の外径に対し大きくなるので、サンローラ16の周方向への遊星ローラ22の可動(非干渉)範囲である遊星ローラ22の公転角は、変速比が大きくなるほど小さくなる。
一方、上記した通り、摩擦型遊星動力伝達装置10では、リング28の周長に応じて押付け力Faを制御するようになっている。したがって、遊星ローラ22の配置によるリング28の周長の変化を増幅することで、押付け力Faの制御範囲すなわち押付け力Faの低下率(最大トルクを伝達する場合の押付け力Faに対する低下率)を拡大することが可能になる。本実施形態に係る摩擦型遊星動力伝達装置10は、この知見に基づいて設計されている。
具体的には、摩擦型遊星動力伝達装置10では、押付け力Faの低下率を大きくするために、遊星ローラ22の径方向の剛性(に応じて決まる基準剛性)に対するリング28の曲げ剛性を設定している。具体的には、摩擦型遊星動力伝達装置10では、リング28の曲げ剛性を遊星ローラ22の径方向の剛性に対して小さく設定している。これにより、リング28は、より四角形に近い変形状態になり易く、押付け力Faの低下率がリング28の剛性が相対的に高い場合と比較して大きくなる構成とされている(図7参照)。
そして、摩擦型遊星動力伝達装置10では、4つの遊星ローラ22のうち、一部の遊星ローラ22の外径が残余の遊星ローラ22の外径よりも小とされている。この実施形態では、遊星ローラ22A、22Bの外径D1(図3(A)参照)に対し、遊星ローラ22C、22Dの外径D2が小さい設定(D1>D2)とされている。すなわち、遊星ローラ22C、22Dは、遊星ローラ22A、22Bに対し、サンローラ16の周方向の寸法が小さい構成とされている。これにより、摩擦型遊星動力伝達装置10では、遊星ローラ22C、22Dの外径D2が遊星ローラ22A、22Bの外径D1と同じである構成と比較して、遊星ローラ22間の間隔が広い構成、すなわち公転角θを大きくとることが可能な構成とされている。
この実施形態では、遊星ローラ22C、22Dの外径D2は、遊星ローラ22A、22Bの外径D1の略90%(D2=0.9×D1)とされている。換言すれば、摩擦型遊星動力伝達装置10では、遊星ローラ22A、22Bの外径D1に対する遊星ローラ22C、22Dの外径D2の比であるローラ径比をηとすると、η=0.9に設定されている。
次に、第1の実施形態の作用について、サンローラ16を入力要素、キャリア18を出力要素、リング28を固定要素とした例に基づいて説明する。
上記構成の摩擦型遊星動力伝達装置10では、図示しない原動機からサンローラシャフト14に図2の矢印A方向のトルクTinが入力されると、サンローラ16の矢印A方向の回転に伴って遊星ローラ22が公転しつつ自転し、キャリア18がケース12と共に回転駆動される。トルクTinが所定のトルクTbを下回っている間は、遊星ローラ22は長方形配置をとり、押付け力FaがFaminで一定である。換言すれば、小さい押付け力Faminに基づく摩擦力によってトルクTinの伝達が果たされている。
トルクTinが増加して所定のトルクTbに至ると、4つの遊星ローラシャフト20のうち遊星ローラシャフト20Bに軸支されている2つの遊星ローラ22は、正方形配置に対するずれに基づく周方向力N及びスプリング26の付勢力に抗して、トルクTinに基づく矢印A方向の力Fによって正方形配置側、すなわちガイド溝24の一端24A側に変位を開始する。トルクTinがさらに増加すると、遊星ローラシャフト20Bに軸支されている2つの遊星ローラ22は、さらに正方形配置側に移動し、該増加したTinを伝達する。トルクTinがTmaxに至ると、各遊星ローラシャフト20Bはそれぞれガイド溝24の一端24Aに当接し、4つの遊星ローラ22が正方形配置となる。これにより、最大の押付け力Famaxを摩擦効力として最大のトルクTmaxが伝達される。
一方、摩擦型遊星動力伝達装置10では、図示しない原動機からサンローラシャフト14に図2の矢印B方向のトルク−Tinが入力されると、サンローラ16の矢印B方向の回転に伴って遊星ローラ22が公転しつつ自転し、キャリア18がケース12と共に回転駆動される。トルク−Tinの絶対値が所定のトルク−Tbの絶対値を下回っている間は、遊星ローラ22は長方形配置をとり、押付け力FaがFaminで一定である。換言すれば、小さい押付け力Faminに基づく摩擦力によってトルク−Tinの伝達が果たされている。
トルク−Tinの絶対値が増加して所定のトルク−Tbに至ると、4つの遊星ローラシャフト20のうち遊星ローラシャフト20Aに軸支されている2つの遊星ローラ22は、正方形配置に対するずれに基づく周方向力N及びスプリング26の付勢力に抗して、トルク−Tinに基づく矢印B方向の力Fによって正方形配置側、すなわちガイド溝24の他端24B側に変位を開始する。トルク−Tinの絶対値がさらに増加すると、遊星ローラシャフト20Aに軸支されている2つの遊星ローラ22は、さらに正方形配置側に移動し、該増加した−Tinを伝達する。トルク−Tinが−Tmaxに至ると、各遊星ローラシャフト20Aはそれぞれガイド溝24の他端24Bに当接し、4つの遊星ローラ22が正方形配置となる。これにより、最大の押付け力Famaxを摩擦効力として最大のトルク−Tmaxが伝達される。
以上説明した遊星ローラ22の配置変化は、キャリア18に代えてリング28を出力要素とした場合も同様であり、またサンローラ16に代えてリング28やキャリア18を入力要素とした場合も同様である。このように、摩擦型遊星動力伝達装置10では、伝達トルクが小さい場合には押付け力Faが小さくなるので、要素間の接触面圧を低下させることができ、耐久性の向上に寄与する。また、摩擦型遊星動力伝達装置10では、伝達すべきトルクが大きくなると、自立的に遊星ローラ22を変位させて押付け力Faを増大させて伝達トルクを増加することができる。このため、例えば、外乱トルクの入力の際などに、自立的に対応してすべりの発生を抑制することができ、耐久性の向上に寄与する。
そして、摩擦型遊星動力伝達装置10では、遊星ローラ22A、22Bの外径D1に対し、遊星ローラ22C、22Dの外径D2が小さい設定(D1>D2)とされているので、押付け力Faの低下率が大きい。すなわち、押付け力Faの可変範囲が大きい。
具体的には、摩擦型遊星動力伝達装置10では、図8に示される如く、遊星ローラ22の公転角θは、ローラ径比ηが小さいほど大きくなる。例えば、摩擦型遊星動力伝達装置10は、その変速比が6.5である場合、η=1である構成の公転角θ≒2.4°に対し、公転角θ≒4.2°まで可動範囲が拡大されることが解る。同様に、摩擦型遊星動力伝達装置10は、その変速比が6.0である場合、η=1である構成の公転角θ≒6.3°に対し、公転角θ≒8.2°まで可動範囲が拡大されることが解る。すなわち、摩擦型遊星動力伝達装置10では、η=1である構成と比較して、ガイド溝24の長さLが長く設定されている。
そして、図7を参照すると、変速比が6.5の構成では、遊星ローラ22の公転角θ(に相当するガイド溝24の長さL)が略2.4°から略4.2°に拡大されることで、押付け力Faの変化率(正方形配置の場合の押付け力Faに対する長方形配置の場合の押付け力の最大低下率)は、略4.4%から略9.3%に拡大することを読み取ることができる。同様に、変速比が6.0の構成では、遊星ローラ22の公転角θ(に相当するガイド溝24の長さL)が略6.3°から略8.2°に拡大されることで、押付け力Faの変化率は、略15.2%から略20.5%に拡大することを読み取ることができる。
以上説明した摩擦型遊星動力伝達装置10では、η=1である構成と比較して、最大トルク伝達時のFaに対する低トルク伝達時の押付け力Faの低下率が大きいので、低トルク伝達時に作用する押付け力Faが一層小さくなり、すなわち要素間の接触面圧を低下させることができ、耐久性の一層の向上に寄与する。
なお、上記した第1の実施形態では、遊星ローラ22C、遊星ローラ22Dが遊星ローラ22A、遊星ローラ22Bに対し小径である例を示したが、本発明はこれに限定されず、例えば、図10(A)及び図10(B)に示される如く、遊星ローラ22B、遊星ローラ22Dが遊星ローラ22A、遊星ローラ22Cに対し小径である構成としても良い。すなわち、摩擦型遊星動力伝達装置10は、長方形配置をとる場合に相対的に近接する何れか一方の遊星ローラ22が他方の遊星ローラ22に対し小径であれば良い。
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態に係る摩擦型遊星動力伝達装置10について、図11に基づいて説明する。なお、上記第1の実施形態と基本的に同一の部品、部分については、上記第1の実施形態と同一の符号を付して説明を省略し、図示を省略する場合もある。
図11(A)には、摩擦型遊星動力伝達装置40の複数(4つ)の遊星ローラ組42が長方形配置をとる状態が模式図にて示されており、図11(B)には、摩擦型遊星動力伝達装置40の複数の遊星ローラ組42が正方形配置をとる状態が模式図にて示されている。これらの図に示される如く、摩擦型遊星動力伝達装置40は、単一のローラにて構成された各遊星ローラ22に代えて、それぞれ複数の単位ローラの組み合わせで構成された遊星ローラ組42を備える点で、第1の実施形態に係る摩擦型遊星動力伝達装置10とは異なる。
具体的には、本発明における遊星要素としての各遊星ローラ組42は、サンローラ16の外周面16Aに対し転がり摩擦による駆動力の伝達可能に接触された内周側ローラ44と、リング28の内周面28Aに対し転がり摩擦による駆動力の伝達可能に接触された外周側ローラ46とを含んで構成されている。この実施形態では、内周側ローラ44と外周側ローラ46とが転がり摩擦による駆動力の伝達可能に接触されており、各遊星ローラ組42は、それぞれ2つの単位ローラの組み合わせで構成されているものと把握することができる。このため、摩擦型遊星動力伝達装置40では、リング28の回転方向(サンローラ16の回転方向、キャリア18の回転方向に対する相対的な回転方向)は、摩擦型遊星動力伝達装置10におけるリング28の回転方向とは逆になる。
したがって、摩擦型遊星動力伝達装置40は、図11(A)に想像線にて示す如くサンローラ16とリング28との間に配置された単一の遊星ローラ100(同じ変速比を得るもの)と比較して、サンローラ16の周方向における寸法wが小さい遊星ローラ組42を備えて構成されているものと把握することができる。例えば内周側ローラ44と外周側ローラ46との外径が同じ構成では、遊星ローラ組42は、単一の遊星ローラ100の外径d100(=D1)に対しサンローラ16の周方向における寸法wが略半分になる。
なお、この実施形態では、内周側ローラ44の外径と外周側ローラ46の外径との和は、各遊星ローラ組42で一致されている。この点においても、摩擦型遊星動力伝達装置40は、複数の遊星ローラ22のうち一部の遊星ローラ22の外径が他の遊星ローラ22よりも小さく設定された摩擦型遊星動力伝達装置10とは異なる。また、内周側ローラ44と外周側ローラ46とで外径を異ならせる場合には、外周側ローラ46の外径が内周側ローラ44の外径よりも大となるようにすることが好ましい。
さらに、摩擦型遊星動力伝達装置40は、各遊星ローラ組42を構成する内周側ローラ44、外周側ローラ46を支持する支持体48を備えている。支持体48は、内周側ローラ44と外周側ローラ46とがサンローラ16(リング28)の径方向に沿って配置されるように、支軸48A、48Bによって内周側ローラ44、外周側ローラ46をそれぞれ回転自在に軸支している。そして、摩擦型遊星動力伝達装置40では、各支持体48が各遊星ローラシャフト20を介してキャリア18に支持されている。
したがって、この実施形態では、各遊星ローラシャフト20Aに軸支された支持体48を有する遊星ローラ組42が本発明における第1の遊星要素に相当し、各遊星ローラシャフト20Bに軸支された支持体48を有する遊星ローラ組42が本発明における第2の遊星要素に相当する。摩擦型遊星動力伝達装置40の他の構成は、摩擦型遊星動力伝達装置10の対応する構成と同じである。
以上説明した摩擦型遊星動力伝達装置40の動作は、リング28の回転方向が摩擦型遊星動力伝達装置10におけるリング28の回転方向とは逆になることを除き、該摩擦型遊星動力伝達装置10の動作と基本的に同一である。
そして、摩擦型遊星動力伝達装置40では、各遊星ローラ組42が内周側ローラ44、外周側ローラ46を含んで構成されているので、換言すれば、各遊星ローラ組42は単一の遊星ローラ100よりも小径の単位ローラに分割して構成されているので、サンローラ16の周方向における遊星ローラ組42の寸法wが、単一の遊星ローラ100の外径d100に対し小さい。このため、摩擦型遊星動力伝達装置40では、4つの遊星ローラ100をサンローラ16とリング28との間に配置した構成と比較して、遊星ローラ組42の公転角θ(公転可能な範囲)を大きく設定することができる。これにより、図7から解るように、摩擦型遊星動力伝達装置40では、4つの遊星ローラ100をサンローラ16とリング28との間に配置した構成と比較して、押付け力Faの低下率、すなわち押付け力Faの可変範囲が大きくなる。
以上説明した摩擦型遊星動力伝達装置40では、4つの遊星ローラ100をサンローラ16とリング28との間に配置した構成と比較して、最大トルク伝達時のFaに対する低トルク伝達時の押付け力Faの低下率が大きいので、低トルク伝達時に作用する押付け力Faが一層小さくなり、すなわち要素間の接触面圧を低下させることができ、耐久性の一層の向上に寄与する。
なお、上記した第2の実施形態では、遊星ローラ組42が内周側ローラ44及び外周側ローラ46の2つの単位ローラを備えて構成された例を示したが、本発明はこれに限定されず、例えば、内周側ローラ44と外周側ローラ46との間に1つ又は複数の中間ローラを配置した構成としても良い。中間ローラの数が奇数の場合は、リング28の回転方向を摩擦型遊星動力伝達装置10におけるリング28の回転方向に一致させることができる。
(第3の実施形態)
次に、本発明の第3の実施形態に係る摩擦型遊星動力伝達装置50について、図12に基づいて説明する。なお、上記第1の実施形態と基本的に同一の部品、部分については、上記第1の実施形態と同一の符号を付して説明を省略し、図示を省略する場合もある。
図12(A)には、摩擦型遊星動力伝達装置50の複数(4つ)の遊星ローラ52、遊星ローラ組54が長方形配置をとる状態が模式図にて示されており、図11(B)には、摩擦型遊星動力伝達装置40の複数の遊星ローラ52、遊星ローラ組54が正方形配置をとる状態が模式図にて示されている。これらの図に示される如く、摩擦型遊星動力伝達装置40は、単一のローラにて構成された遊星ローラ52と、複数の単位ローラの組み合わせで構成された遊星ローラ組54とを備えて構成されている点で、全ての遊星ローラが単一の遊星ローラ22とされた第1の実施形態に係る摩擦型遊星動力伝達装置10とは異なる。
具体的には、遊星要素(他の遊星要素)としての遊星ローラ52は、単独でサンローラ16の外周面16A及びリング28の内周面28Aのそれぞれに転がり摩擦による駆動力の伝達可能に接触されている。一方、遊星要素(複数の遊星要素の一部)としての遊星ローラ組54は、サンローラ16の外周面16Aに対し転がり摩擦による駆動力の伝達可能に接触された内周側ローラ56と、リング28の内周面28Aに対し転がり摩擦による駆動力の伝達可能に接触された外周側ローラ58と、内周側ローラ56及び外周側ローラ58のそれぞれに転がり摩擦による駆動力の伝達可能に接触された中間ローラ60とを含んで構成されている。
摩擦型遊星動力伝達装置50では、内周側ローラ56、外周側ローラ58、中間ローラ60のそれぞれの外径の和は、遊星ローラ52の外径D1に一致されている。この点においても、摩擦型遊星動力伝達装置50は、複数の遊星ローラ22のうち一部の遊星ローラ22の外径が他の遊星ローラ22よりも小さく設定された摩擦型遊星動力伝達装置10とは異なる。
以上により、摩擦型遊星動力伝達装置50では、サンローラ16の周方向における遊星ローラ組54の寸法wは、サンローラ16の周方向における遊星ローラ52の寸法すなわち外径D1に対し小さい構成とされている。3つの単位ローラである内周側ローラ56、外周側ローラ58、中間ローラ60の外径が同等程度の構成では、遊星ローラ組54の寸法wは、遊星ローラ52の外径D1に対し半分未満とされる。
さらに、摩擦型遊星動力伝達装置50は、各遊星ローラ組54を構成する内周側ローラ56、外周側ローラ58、及び中間ローラ60を支持する支持体62を備えている。支持体62は、内周側ローラ56、外周側ローラ58、及び中間ローラ60がサンローラ16(リング28)の径方向に沿って配置されるように、支軸62A、62B、62Cによって内周側ローラ56、外周側ローラ58、中間ローラ60をそれぞれ回転自在に軸支している。
そして、摩擦型遊星動力伝達装置50では、各遊星ローラ52は、遊星ローラシャフト20Bを介してキャリア18に支持されており、各遊星ローラ組54の支持体62は、遊星ローラシャフト20Aを介してキャリア18に支持されている。したがって、この実施形態では、各遊星ローラシャフト20Aに軸支された遊星ローラ組54が本発明における第1の遊星要素に相当し、各遊星ローラシャフト20Bに軸支された各遊星ローラ52が本発明における第2の遊星要素に相当する。摩擦型遊星動力伝達装置50の他の構成は、摩擦型遊星動力伝達装置10の対応する構成と同じである。
以上説明した摩擦型遊星動力伝達装置50の動作は、リング28の回転方向を含め、摩擦型遊星動力伝達装置10の動作と基本的に同一である。
そして、摩擦型遊星動力伝達装置50では、各遊星ローラ組54が内周側ローラ56、外周側ローラ58、中間ローラ60を備えて構成されているので、換言すれば、各遊星ローラ組54は単一の遊星ローラ52よりも小径の単位ローラに分割して構成されているので、サンローラ16の周方向における遊星ローラ組54の寸法wが、単一の遊星ローラ52の外径D1に対し小さい。このため、摩擦型遊星動力伝達装置50では、4つの遊星ローラ52をサンローラ16とリング28との間に配置した構成と比較して、遊星ローラ52と各遊星ローラ組54との相対角変位である公転角θ(公転可能な範囲)を大きく設定することができる。これにより、図7から解るように、摩擦型遊星動力伝達装置50では、4つの遊星ローラ52をサンローラ16とリング28との間に配置した構成と比較して、押付け力Faの低下率、すなわち押付け力Faの可変範囲が大きくなる。
以上説明した摩擦型遊星動力伝達装置50では、4つの遊星ローラ52をサンローラ16とリング28との間に配置した構成と比較して、最大トルク伝達時のFaに対する低トルク伝達時の押付け力Faの低下率が大きいので、低トルク伝達時に作用する押付け力Faが一層小さくなり、すなわち要素間の接触面圧を低下させることができ、耐久性の一層の向上に寄与する。
なお、上記した第3の実施形態では、各遊星ローラ組54を構成する支持体62がそれぞれ遊星ローラシャフト20Aを介してキャリア18に支持された例を示したが、本発明はこれに限定されず、例えば、図13(A)及び図13(B)に変形例として示される如く、一方の遊星ローラ組54を構成する支持体62が遊星ローラシャフト20Bを介してキャリア18に支持されると共に、他方の遊星ローラ組54を構成する支持体62が遊星ローラシャフト20Aを介してキャリア18に支持される構成としても良い。すなわち、長方形配置をとる場合に相対的に近接する遊星ローラシャフト20の何れか一方に遊星ローラ52が支持されると共に、他方に遊星ローラ組54が支持されるように構成すれば良い。したがって、摩擦型遊星動力伝達装置50では、各遊星ローラ組54の支持体62がそれぞれ遊星ローラシャフト20Bに支持されると共に、各遊星ローラ52の支持体62がそれぞれ遊星ローラシャフト20Aに支持される構成としても良い。また、4つの遊星ローラ52、遊星ローラ組54のうち、2つを遊星ローラ52、残りの2つを遊星ローラ組54とする構成に限定されることはなく、各種の組み合わせが可能である。なお、全て遊星ローラを遊星ローラ組54とする構成は、基本的に第2の実施形態に係る摩擦型遊星動力伝達装置40と同様の構成になる。
また、上記した各実施形態では、サンローラ16とリング28との間に4つ遊星ローラ22等を有する例を示したが、本発明はこれに限定されず、例えば、遊星ローラ22の数を2つ、3つ、又は5つ以上としても良い。3つ又は5つ以上の遊星ローラ22を有する例では、最大トルクの伝達時には各遊星ローラ22を正多角形状に配置し、低トルクの伝達時には各遊星ローラ22を正多角形からずれた多角形状に配置することが望ましい。
さらに、上記した実施形態では、トルクの伝達方向に応じた可動の遊星ローラ22、可動の遊星ローラ組42、54が各2つである例を示したが、本発明はこれに限定されず、例えば、トルクの伝達方向に応じた可動の遊星ローラ2等が1つである構成としても良く、3つ以上(遊星ローラ22の総数の半分以下が好ましい)としても良い。また、本発明は、正逆両回転方向にトルクを伝達可能な構成に限定されることはなく、1方向のみにトルクを伝達する(1方向に可動とされた遊星ローラ22等のみ有する)構成としても良い。
またさらに、上記した実施形態では、サンローラ16、遊星ローラ22、リング28がそれぞれ鋼材にて構成された例を示したが、本発明はこれに限定されず、例えば、サンローラ16、遊星ローラ22、リング28の一部又は全部の材質を変更しても良い。また、本発明は、リング28の曲げ剛性が遊星ローラ22の径方向の剛性に対し低い構成に限定されることはない。この場合でも遊星ローラ22の径を異ならせること、遊星ローラ組42、54を採用することで押付け力Fa低減効果を得ることができる点は、公転角θが大きいほど押付け力Faの低下率が大きくなる特性がリング28の剛性(遊星ローラ22に対する剛性)に依存しないことを示す図7からも明らかである。
また、上記した実施形態では、遊星ローラ(組)22、42、54が伝達トルクの増加によって自立的に長方形配置から正方形配置に移行する例を示したが、本発明はこれに限定されず、例えば、流体圧アクチュエータ等の外部動力によって遊星ローラ22等の配置を強制的に変化させるようにしても良い。
さらに、上記した実施形態では、サンローラ16の外周面16A、各遊星ローラ22等の外周面22E(内周側ローラ44、外周側ローラ46、内周側ローラ56、外周側ローラ58、中間ローラ60の各外周面)、リング28の内周面28Aが軸線方向に一定の径を有する円筒面である例を示したが、本発明はこれに限定されず、例えば、サンローラ16の外周面16A、各遊星ローラ22の外周面22E、リング28の内周面28Aの一部又は全部の径が軸線方向に沿って変化する構成としても良い。すなわち、例えば、遊星ローラ22を球状や円錐コロ状等に形成しても良い。
本発明の第1の実施形態に係る摩擦型遊星動力伝達装置の概略全体構成を示す側断面図である。 図1の2−2線に沿った断面図である。 本発明の第1の実施形態に係る摩擦型遊星動力伝達装置の要部を模式的に示す図であって、(A)は基本構成の模式図、(B)は最大トルク伝達時のリングの変形状態を示す模式図、(C)は低トルク伝達状態を示す模式図、(D)は、遊星ローラの配置の変化により押付け力が変化することを説明するための模式図である。 本発明の第1の実施形態に係る摩擦型遊星動力伝達装置の解析モデルを示す図である。 本発明の第1の実施形態に係る摩擦型遊星動力伝達装置における遊星ローラを長方形配置側に保持する力が生じる原理を説明するための図である。 本発明の第1の実施形態に係る摩擦型遊星動力伝達装置における入力トルクと押付け力との関係を示す線図である。 遊星ローラの公転角と押付け力の低下率との関係を示す線図である。 遊星ローラの外径比と遊星ローラの公転角との関係を示す線図である。 摩擦型遊星動力伝達装置の変速比と遊星ローラの公転角の上限との関係を示す線図である。 本発明の第1の実施形態の変形例に係る摩擦型遊星動力伝達装置を示す模式図である。 本発明の第2の実施形態に係る摩擦型遊星動力伝達装置を模式的に示す図であって、(A)は正方形配置を示す模式図、(B)は長方形配置を示す模式図である。 本発明の第3の実施形態に係る摩擦型遊星動力伝達装置を模式的に示す図であって、(A)は正方形配置を示す模式図、(B)は長方形配置を示す模式図である。 本発明の第3の実施形態の変形例に係る摩擦型遊星動力伝達装置を示す模式図である。
符号の説明
10 摩擦型遊星動力伝達装置
16 サンローラ(中心要素)
18 キャリア(支持要素)
22 遊星ローラ(遊星要素)
22A・22B 遊星ローラ(他の遊星要素)
22C・22D 遊星ローラ(複数の遊星要素の一部)
28 リング(周囲要素)
40・50 摩擦型遊星動力伝達装置
42 遊星ローラ組(遊星要素)
44 内周側ローラ
46 外周側ローラ
52 遊星ローラ(遊星要素、他の遊星要素)
54 遊星ローラ組(遊星要素、複数の遊星要素の一部)
56 内周側ローラ
58 外周側ローラ

Claims (8)

  1. 摩擦型遊星動力伝達機構であって、
    断面円形状の外周面を有する中心要素と、
    内径が前記中心要素の外径よりも大である円環状に形成された周囲要素と、
    それぞれ前記中心要素の外周面と前記周囲要素の内周面との間に周方向に離間して3つ以上配置されると共に、前記3つ以上のうちの一部が残余の一部よりも前記中心要素の周方向に沿う寸法が小とされ、該中心要素の外周面と前記周囲要素の内周面との間で転がり摩擦により駆動力を伝達するための遊星要素と、
    前記3つ以上の遊星要素当該3つ以上の遊星要素が前記中心要素の周方向に所定の範囲で相対変位し得るように支持する構成とされ、かつ、前記3つ以上の遊星要素を、当該伝達機構の伝達トルクが大きい場合は、前記3つ以上の遊星要素と前記周囲要素との各接触点を該周囲要素の周方向に順に結んだ多角形の周囲長さが長くなる第1の配置側で支持し、伝達トルクが小さい場合は、前記多角形の周囲の長さが短くなる第2の配置側で支持する支持要素と、
    を備え摩擦型遊星動力伝達機構。
  2. 前記複数の遊星要素は、それぞれ断面円形の外周面が前記中心要素の外周面及び前記周囲要素の内周面に転がり摩擦により駆動力を伝達可能に接触された回転体であり、一部の前記遊星要素の外径が他の前記遊星要素の外径よりも小とされている請求項1記載の摩擦型遊星動力伝達機構。
  3. 摩擦型遊星動力伝達機構であって、
    断面円形状の外周面を有する中心要素と、
    内径が前記中心要素の外径よりも大である円環状に形成された周囲要素と、
    それぞれ前記中心要素の外周面と前記周囲要素の内周面との間に周方向に離間して3つ以上配置されると共に、少なくとも前記3つ以上のうちの一部が断面円形状の外周面が前記中心要素の外周面に転がり摩擦により駆動力を伝達可能に接触された内周側要素と、断面円形状の外周面が前記周囲要素の内周面に転がり摩擦により駆動力を伝達可能に接触された外周側要素とを含んで構成され、該中心要素の外周面と前記周囲要素の内周面との間で転がり摩擦により駆動力を伝達するための遊星要素と、
    前記3つ以上の遊星要素当該3つ以上の遊星要素が前記中心要素の周方向に所定の範囲で相対変位し得るように支持する構成とされ、かつ、前記3つ以上の遊星要素を、当該伝達機構の伝達トルクが大きい場合は、前記3つ以上の遊星要素と前記周囲要素との各接触点を該周囲要素の周方向に順に結んだ多角形の周囲長さが長くなる第1の配置側で支持し、伝達トルクが小さい場合は、前記多角形の周囲の長さが短くなる第2の配置側で支持する支持要素と、
    を備え摩擦型遊星動力伝達機構。
  4. 前記支持要素は、
    前記遊星要素の一部を、残りの前記遊星要素に対して周方向に変位可能に支持しており、
    かつ、当該伝達機構の伝達トルクが増加する場合に、該伝達トルクによって前記遊星要素が周方向に変位されることで、前記3つ以上の遊星要素の配置が前記第2の配置側から第1の配置側へと移行するように、前記3つ以上の遊星要素を支持している請求項1〜請求項3の何れか1項記載の摩擦型遊星動力伝達機構。
  5. 前記3つ以上の遊星要素は、少なくとも1つの第1の遊星要素と、該第1の遊星要素以外の少なくとも1つの第2の遊星要素とを有し、
    前記支持要素は、
    当該伝達機構のトルク伝達方向が第1の方向であり、かつ該伝達トルクが増加する場合に、この伝達トルクによって前記第1の遊星要素が他の遊星要素に対して周方向に変位されることで、前記3つ以上の遊星要素の配置が第2の配置側から第1の配置側へ移行し、
    かつ、当該伝達機構のトルク伝達方向が前記第1の方向とは逆の第2の方向であり、かつ該伝達トルクが増加する場合に、この伝達トルクによって前記第2の遊星要素が他の遊星要素に対して周方向に変位されることで、前記3つ以上の遊星要素の配置が第2の配置側から第1の配置側へ移行するように、
    前記3つ以上の遊星要素を支持している請求項1〜請求項4の何れか1項記載の摩擦型遊星動力伝達機構。
  6. 前記遊星要素は4つであり、前記多角形である四角形の1つの対角線上に配置された一対の遊星要素が前記第1の遊星要素とされ、前記四角形の他の対角線上に配置された一対の遊星要素が前記第2の遊星要素とされている請求項5記載の摩擦型遊星動力伝達機構。
  7. 前記支持要素は、前記周方向に移動可能に支持された遊星要素を、それぞれの前記第2の配置側に偏倚させるための付勢力を生じるばね要素を有する請求項4請求項6の何れか1項記載の摩擦型遊星動力伝達機構。
  8. 前記3つ以上の遊星要素組が前記第1の配置をとる場合に、前記多角形が正多角形となる請求項1〜請求項7の何れか1項記載の摩擦型遊星動力伝達機構。
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