JP6265061B2 - 遊星ローラ式トラクションドライブ装置 - Google Patents

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本発明は、入力軸とリングローラとの間に遊星ローラが挟持された遊星ローラ式トラクションドライブ装置に関する。
従来、例えば特許文献1に記載されるような遊星ローラ式トラクションドライブ装置が知られている。この遊星ローラ式トラクションドライブ装置は、入力軸とリングローラとの間に、その両方と油膜を介して接する自転ローラおよび遊星ローラを組み込んでいる。そして、入力軸が回転したときに、自転ローラの自転によりリングローラを逆方向に回転させながら、遊星ローラの公転を、キャリアを介して出力軸に伝達するようにしている。
特開2013−217459号公報
ところで、上記遊星ローラ式トラクションドライブ装置では、例えば各ローラの製作時の加工誤差やローラ組み付け時の軸心のずれ等のガタにより、入力軸の回転時、ローラ間の油膜を介した接触部に作用する押圧力が一方では過大になったり他方では過小になったりといったばらつきが生じていた。ひいては、適切な押圧力が得られないことでトルク伝達が妨げられて伝達効率が低下するという問題が生じていた。
本発明は、このような点に鑑みて創作されたものであり、その目的は、ローラの加工誤差等により生じる押圧力のばらつきを抑制し、伝達効率が向上する遊星ローラ式トラクションドライブ装置を提供することにある。
本発明の遊星ローラ式トラクションドライブ装置は、ハウジング、入力軸、第1リングローラ、第2リングローラ、複数の自転ローラ、複数の遊星ローラ、キャリア、および相対移動機構を備えている。
入力軸は、ハウジングに回転可能に支持されている。第1リングローラは、入力軸の径方向外側に設けられ且つハウジング内の一方側に設けられている環状部材であり、ハウジングに回転可能に支持される。
第2リングローラは、入力軸の径方向外側に設けられ且つハウジング内の他方側に第1リングローラと並列して設けられている環状部材であり、ハウジングに回転可能に支持される。
自転ローラは、第1リングローラに内接し、入力軸が回転するとき入力軸と第1リングローラとの間で入力軸まわりの公転を拘束されて自転する。遊星ローラは、第2リングローラに内接し自転しながら入力軸まわりに公転する。キャリアは、遊星ローラの他方側に設けられ、遊星ローラを自転可能に且つ入力軸まわりに公転可能に支持し、遊星ローラの公転成分を外部へ出力する。
相対移動機構は、自転ローラの自転により第1リングローラが入力軸の回転方向と逆方向に回転するとき、第1リングローラと第2リングローラとの間で回転を伝達しつつ、一方のリングローラが他方のリングローラに対して前記入力軸の軸方向と直交する平面上で相対的に移動することを許容する。
本構成では、自転ローラに外接する第1リングローラと遊星ローラに外接する第2リングローラとを個別に設け、回転時には相対移動機構によって各リングローラ間で回転を伝達しつつ、入力軸の軸方向と直交する平面上で各リングローラが相対的に移動できるようになっている。
自転ローラに外接するリングローラと遊星ローラに外接するリングローラとが共通な一つの剛体としてハウウジングに対して移動不能に構成されていると、例えば、各ローラの製作時の加工誤差やローラ組み付け時の軸心のずれ等のガタがある場合に、各トラクション接触部(自転ローラおよび遊星ローラの外周面)の押圧力が一方では高くなり、他方では低くなるといったばらつきが生じる。
しかし、本構成では、相対移動機構により各リングローラの相対的な移動が許容されるため、入力軸の軸方向と直交する平面上すなわち主にリングローラの径方向と回転方向において、回転時に各リングローラが好適な位置へ自動的に移動する。これにより、自転ローラ側と遊星ローラ側とでそれぞれの寸法誤差を好適に吸収することができる。そして、各トラクション接触部の一方で押圧力が大きくなったり、他方では押圧力が小さくなったりといった押圧力のばらつきが軽減され、押圧力が過大に加わりトルク伝達が妨げられることもなく伝達効率を向上させることができる。また、各トラクション接触部の摩耗が軽減されることで、各ローラの寿命を長くすることができる。
ここで、本発明において「外接する」「内接する」とは、油膜を介在させて回転伝達可能に接している状態を意味する。
本発明の第1実施形態による遊星ローラ式トラクションドライブ装置の全体を模式的に示す切断部端面図。 図1のII−II線切断部端面図。 図1のII−II線切断部端面図に対応する図であって、回転時の一態様を示す図。 図1のII−II線切断部端面図に対応する図であって、回転時の一態様を示す図。 第1リングローラの斜視図。 第2リングローラの斜視図。 本発明の第2実施形態による遊星ローラ式トラクションドライブ装置の全体を模式的に示す切断部端面図。 図7のVIII−VIII線切断部端面図。 本発明の他の実施形態による遊星ローラ式トラクションドライブ装置の全体を模式的に示す切断部端面図。
〈第1実施形態〉
[構成]
本発明の第1実施形態について、図1〜図6を参照しつつ説明する。図1に示すように、本実施形態の遊星ローラ式トラクションドライブ装置101は、ハウジング10と、ハウジング10に回転可能に支持される入力軸20と、入力軸20の外周に入力軸20と一体に設けられる第1サンローラ30および第2サンローラ40と、第1サンローラ30の径方向外側に設けられる第1リングローラ50と、第2サンローラ40の径方向外側に設けられる第2リングローラ60とを有する。
さらに、遊星ローラ式トラクションドライブ装置101は、第1リングローラ50に内接するとともに第1サンローラ30に外接する複数の自転ローラ70と、第2リングローラ60に内接するとともに第2サンローラ40に外接する複数の遊星ローラ80と、遊星ローラ80を自転かつ公転自在に支持するキャリア90とを有する。
各サンローラ30,40、各リングローラ50,60、およびキャリア90の中心軸線Lはほぼ一致している。自転ローラ70および遊星ローラ80が自転するときの回転中心軸はサンローラの中心軸線Lとほぼ平行である。複数の自転ローラ70および遊星ローラ80は、各サンローラ30,40の周方向に関して互いにほぼ等間隔で配置されている。
また、第1サンローラ30と自転ローラ70と第1リングローラ50とで反転機構1が構成され、第2サンローラ40と遊星ローラ80と第2リングローラ60とで遊星機構2が構成されている。反転機構1と遊星機構2はその軸方向に間隔をおいて対向配置されており、反転機構1が遊星機構2よりも一方側(図1に示す左側)に配置されている。さらに、第1リングローラ50と第2リングローラ60とは、動力を伝達しつつ各リングローラ50,60の相対的な移動を許容する相対移動機構3,4によって連結されている。
また、入力軸20は例えば図示しないモータ等に接続されて、回転駆動されるようになっている。そして、入力軸20の一部および各ローラ30,40,50,60,70,80がハウジング10内に収容されている。以下、各部材について順に詳述する。
第1サンローラ30は、円錐台形状をなし、その外周面は軸方向の一方側から他方側(図1の左側から右側)にかけて外径が徐々に小さくなるテーパ形状に形成されている。自転ローラ70は、円錐台形状をなし、その外周面は軸方向の一方側から他方側にかけて外径が徐々に大きくなるテーパ形状に形成されている。第1サンローラ30と各自転ローラ70のテーパ形状のテーパ角度は略等しい。
自転ローラ70には自転ローラ用支持軸71が圧入され、自転ローラ用支持軸71の突出した一方側端部が、軸受11を介してハウジング10に支持されている。自転ローラ用支持軸71の突出した一方側端部は、軸受11の内輪に圧入されており、自転ローラ70は、入力軸20まわりの公転を拘束された状態で自転可能となっている。また、軸受11の他方側端部はハウジング10の段部に係合しており、回転時に自転ローラ70が軸方向の力を受けた際に、自転ローラ70が軸受11と共にハウジング10から抜け落ちることを防止している。さらに、軸受11の外輪はハウジング10と隙間嵌めにより結合されており、自転ローラ70はハウジング10に対して径方向への移動に関しては僅かに相対移動可能となっている。
第1リングローラ50は、環状形状をなし、その内周面は、軸方向の一方側から他方側にかけて内径が徐々に大きくなるテーパ形状に形成されている。第1リングローラ50の外周面は、中心軸線Lとほぼ平行に形成されている。そして、第1リングローラ50の外周面には軸受12が設けられ、第1リングローラ50は軸受12を介して回転可能にハウジング10に支持されている。また、軸受12の内輪は第1リングローラ50と隙間嵌めで結合されており、第1リングローラ50は、軸方向と直交する平面上でハウジング10に対して径方向への移動に関しては僅かに相対移動可能となっている。
そして、入力軸20の回転時には、第1サンローラ30の外周面と自転ローラ70の外周面、第1リングローラ50の内周面と自転ローラ70の外周面にはトラクションが生じるようになっている。なお、第1リングローラ50において第2リングローラ60と対向する他方側の端面である対向端面54(図5参照)の構造については相対移動機構3,4として後述する。
第2サンローラ40は、円錐台形状をなし、その外周面は軸方向の一方側から他方側にかけて外径が徐々に大きくなるテーパ形状に形成されている。遊星ローラ80は、円錐台形状をなし、その外周面は軸方向の一方側から他方側にかけて外径が徐々に小さくなるテーパ形状に形成されている。第2サンローラ40と各遊星ローラ80のテーパ形状のテーパ角度は略等しい。遊星ローラ80には遊星ローラ用支持軸81が圧入され、遊星ローラ用支持軸81の他方側端部がキャリア90側へ突出している。
第2リングローラ60は、環状形状をなし、その内周面は、軸方向の一方側から他方側にかけて内径が徐々に小さくなるテーパ形状に形成されている。第2リングローラ60の外周面は、中心軸線Lとほぼ平行に形成されている。そして、第2リングローラ60の外周面には軸受13が設けられ、第2リングローラ60は軸受13を介して回転可能にハウジング10に支持されている。なお、軸受13の内輪は第2リングローラ60と隙間嵌めにより結合されており、第2リングローラ60は、軸方向と直交する平面上でハウジング10に対して径方向への移動に関しては僅かに相対移動可能となっている。
そして、入力軸20の回転時には、第2サンローラ40の外周面と遊星ローラ80の外周面、第2リングローラ60の内周面と遊星ローラ80の外周面にはトラクションが生じるようになっている。なお、第2リングローラ60において第1リングローラ50と対向する一方側の端面である対向端面64(図6参照)の構造については相対移動機構3,4として後述する。
キャリア90は、遊星ローラ80の他方側に配置され、出力軸91とフランジ部92とで構成される。フランジ部92に、遊星ローラ用支持軸81の突出した他方側端部が、軸受14を介して支持されている。遊星ローラ用支持軸81の突出した他方側端部は、軸受14の内輪に圧入されており、キャリア90は、遊星ローラ80を自転可能に支持するとともに、入力軸20まわりに公転可能に支持している。これにより、遊星ローラ80の公転成分が出力軸へ出力される。また、軸受14の一方側端部はフランジ部92の段部に係合しており、回転時に遊星ローラ80が軸方向の力を受けた際に、遊星ローラ80が軸受14と共にキャリア90から抜け落ちることを防止している。さらに、軸受14の外輪はフランジ部92と隙間嵌めにより結合されており、遊星ローラ80はハウジング10に対して径方向への移動に関しては僅かに相対移動可能となっている。
ここで、上記したように、各リングローラ50,60、自転ローラ70、遊星ローラ80は、いずれもハウジング10に対して径方向への移動に関しては僅かに相対移動可能であるが、「僅かに」とは、例えば数十マイクロメートル程度を意味する。さらに、第1リングローラ50の一方側端面とハウジング10との間および第2リングローラ60の他方側端面とハウジング10との間には複数のばね15,16が設けられており、各リングローラ50,60は互いに接近する方向に付勢されている。
次に、本実施形態の要部である相対移動機構3,4について図2〜図6を参照して説明する。図2は、図1のII−II線切断部端面図であって、第1リングローラ50と第2リングローラ60のみを示す。図2、図5に示すように、第1リングローラ50において第2リングローラ60と対向する他方側端面には、図2に示す左周りの周方向に順に第1段部51、第2段部52、第3段部53が、周方向略等間隔に且つ第2リングローラ60側に突出するように形成されている。各段部51,52,53は、中心角度約60度の円筒の一部形状をなし、各段部51,52,53が形成されることにより、第1リングローラ50の第2リングローラ60と対向する対向端面54は、周方向に沿って凹凸形状に形成される。
さらに、第1段部51の第2段部52側周方向側面の径方向略中央部には、第1凸部55が、第1段部51の軸方向に亘って出っ張るように形成されている。第1凸部55の出っ張った先端は凸曲面に形成されている。第3段部53の第2段部52側周方向側面の径方向略中央部には、凹曲面を有する第1凹部56が、第3段部53の軸方向に亘って凹むように形成されている。そして、第1凸部55と第1凹部56とは第1リングローラ50の軸心に対して対称となる位置に形成されている。
図2、図6に示すように、第2リングローラ60において第1リングローラ50と対向する一方側端面には、図2に示す反時計回りの周方向に順に第4段部61、第5段部62、第6段部63が、周方向略等間隔に且つ第1リングローラ50側に突出するように形成されている。各段部61,62,63は、中心角度約60度の円筒の一部形状をなし、各段部61,62,63が形成されることにより、第2リングローラ60の第1リングローラ50と対向する対向端面64は、周方向に沿って凹凸形状に形成される。
さらに、第5段部62の第6段部63側周方向側面の径方向略中央部には、第2凸部65が、第5段部62の軸方向に亘って出っ張るように形成されている。第2凸部65の出っ張った先端は凸曲面に形成されている。第4段部61の第6段部63側周方向側面の径方向略中央部には、凹曲面を有する第2凹部66が、第4段部61の軸方向に亘って凹むように形成されている。そして、第2凸部65と第2凹部66とは第2リングローラ60の軸心に対して軸対称となる位置に形成されている。
なお、第1凹部56と第2凸部65によって第1相対移動機構3が構成されており、第1凸部55と第2凹部66とで第2相対移動機構4が構成されている。第1相対移動機構3と第2相対移動機構4とは、第1リングローラ50または第2リングローラ60の軸心に対して軸対称となる位置であって、入力軸20に対して互いに反対側となる位置に形成されている。
さらに、図2〜図4に示すように、各凹部56,66は各凸部55,65に対して回転方向および径方向に所定の自由度を持っており、各凹部56,66は各凸部55,65に対して回転方向に係合し、入力軸20が回転するとき、各凸部55,65と各凹部56,66は係合した状態で相対的に移動可能となっている。また、回転時には、第2リングローラ60の第4段部61と第5段部62とによって周方向に形成される凹部に、第1リングローラ50の第2段部52が周方向に隙間を有して係合する。さらに、第1リングローラ50の第1段部51と第3段部53とによって周方向に形成される凹部に、第2リングローラ60の第6段部63が周方向に隙間を有して係合する。
また、第1リングローラ50と第2リングローラ60とは、第1リングローラ50の各段部51,52,53と第2リングローラ60の各段部61,62,63とが軸方向に部分的に重なるように係合する。このとき、図1に示すように、第1リングローラ50と第2リングローラ60の軸方向において対向する対向端面54,64間には隙間sが形成される。なお、本実施形態の遊星ローラ式トラクションドライブ装置101は、入力軸20と出力軸91との間で回転数を減速して動力を伝達する減速機として機能する。
[作用]
次に、本実施形態による遊星ローラ式トラクションドライブ装置101の作動について説明する。まず、入力軸20が図1に矢印で示すように入力軸20側から見て時計回りの正転方向へ回転すると、入力軸20と一体に回転する第1サンローラ30を介して入力軸20の回転を伝達された自転ローラ70が、入力軸20まわりの公転を拘束された状態で自転して、第1リングローラ50を入力軸20と逆の方向に回転させる。また、入力軸20と一体の第2サンローラ40と、第1リングローラ50から第1相対移動機構3を介して回転を伝達された第2リングローラ60との間に生じるトラクションにより、遊星ローラ80が自転しながら入力軸20まわりに入力軸20と同方向に公転する。
図3は、図2に示す態様と比較して、第1リングローラ50に対して第2リングローラ60が相対的に径方向上側に位置している態様を示している。また、図4は、図2に示す態様と比較して、第1リングローラ50に対して第2リングローラ60が相対的に径方向下側に位置している態様を示している。回転時、相対移動機構3,4を構成する各凹部56,66と各凸部55,65とは、各凹部56,66の内面に対して各凸部55,65の先端が摺動するように移動することで係合状態が保持される。そして、第1相対移動機構3における第1凹部56と第2凸部65との当接により、第1リングローラ50と第2リングローラ60との間で回転を伝達しつつ、各リングローラ50,60は、図2〜図4に示す範囲内で入力軸20と直交する平面上で相対的に移動する。
さらに、各リングローラ50,60の相対移動に追従して、自転ローラ70および遊星ローラ80は、ハウジング10に対して主に径方向および回転方向に相対移動する。なお、入力軸20が入力軸20側から見て反時計回りの逆転方向へ回転した場合には、第2相対移動機構4における第1凸部55と第2凹部66との係合により、上記と同様に各リングローラ50,60は、第1リングローラ50と第2リングローラ60との間で回転を伝達しつつ、入力軸20と直交する平面上で相対的に移動する。
[効果]
例えば、自転ローラ70に外接するリングローラと遊星ローラ80に外接するリングローラとが共通な一つの剛体としてハウジング10に対して移動不能に構成されていると、各ローラ30,40,50,60,70,80の製作時の加工誤差やローラ組み付け時の軸心のずれ等のガタがある場合に、各トラクション接触部(自転ローラ70および遊星ローラ80の外周面)の押圧力が一方では高くなり、他方では低くなるといったばらつきが生じる。
しかし、本実施形態では、相対移動機構3,4により、入力軸20の軸方向と直交する平面上すなわち主にリングローラ50,60の径方向と回転方向において、各リングローラ50,60が好適な位置へ自動的に移動する。さらに、各リングローラ50,60に追従して自転ローラ70および遊星ローラ80が好適な位置へ自動的に移動する。これにより、反転機構1側と遊星機構2側とでそれぞれの寸法誤差を好適に吸収することができる。
そして、各トラクション接触部の一方で押圧力が大きくなったり、他方では押圧力が小さくなったりといった押圧力のばらつきが軽減され、押圧力が過大に加わりトルク伝達が妨げられることもなく伝達効率を向上させることができる。また、接触部の摩耗が軽減されることで、各ローラの寿命を長くすることができる。
さらに、相対移動機構3,4を各リングローラ50,60の軸心に対して軸対称となる位置に2つ設けているため、入力軸20の正転逆転のどちらの場合においても適応することができる。さらに、相対移動機構3,4を構成する各凸部55,65は凸曲面を有し、各凹部56,66は凸曲面と係合する凹曲面を有しているため、各凹部56,66内で各凸部55,65が滑るように移動することができ、各リングローラ50,60の相対移動をより滑らかにすることができる。
本実施形態では、各リングローラ50,60において略同一形状の段部を周方向等間隔に形成しており、周方向において重量のバランスが均等であり重心が略中心位置となる。このため、各リングローラ50,60の回転時の振れを抑制することができる。また、段部51,53,61,62の周方向側面に相対移動機構3,4を構成する各凸部55,65および各凹部56,66を形成しているため、強度的に強い構成とすることができる。
さらに、第1リングローラ50と第2リングローラ60の軸方向において対向する対向端面54,64間に隙間sを形成したことで、回転時に第1リングローラ50と第2リングローラ60との対向端面54,64間に生じる摩擦を無くすことができ、各リングローラ50,60の対向端面54,64における摩耗を抑制することができる。本実施形態では、各リングローラ50,60はテーパ形状を有しており、接触部で好適な押圧力を得るためにばね15,16によって各リングローラ50,60を互いに接近する方向へ付勢しているため、隙間sが形成されていない場合には対向端面54,64間での摩擦が懸念されるが、そうした問題を回避することができる。
〈第2実施形態〉
次に、第2実施形態の遊星ローラ式トラクションドライブ装置102について図7、図8を参照して説明する。なお、第1実施形態と同様の構成については同じ符号で示し説明は省略する。本実施形態では、相対移動機構5,6が各リングローラ50,60の軸心に対して軸対称となる位置に2つ設けられている点は第1実施形態と同様であるが、各リングローラ50,60に段部は形成されておらず、また、相対移動機構5,6の構成が第1実施形態とは異なる。以下、第1実施形態と相違する部位について説明する。
第1リングローラ50において第2リングローラ60と対向する他方側端面には、円環形状をなす複数(本実施形態では2つ)の円環突起57,58が、第2リングローラ60側に突出するように且つ軸心に対して軸対称となる位置に形成されている。また、円環突起57,58の外径と、第1リングローラ50の他方側端面の肉厚とは略等しい。
第2リングローラ60において第1リングローラ50と対向する一方側端面には、棒状をなす複数(本実施形態では2つ)のピン67,68が、第1リングローラ50側に突出するように且つ軸心に対して軸対称となる位置に形成されている。ピン67,68の直径は、円環突起57,58の内径より小さく形成されている。そして、円環突起57,58はピン67,68に対して回転方向に係合し、円環突起57,58はピン67,68に対して回転方向および径方向に所定の自由度を持っており、入力軸20が回転するとき、円環突起57,58の内周部とピン67,68の外周部とは互いに接触した状態で相対的に移動可能となっている。
なお、円環突起57,58の内周部は、特許請求の範囲に記載の凹曲面を有する「凹部」に相当し、ピン67,68は、特許請求の範囲に記載の凸曲面を有する「凸部」に相当する。そして、円環突起57とピン67とで第1相対移動機構5が構成されており、円環突起58とピン68とで第2相対移動機構6が構成されている。
次に、本実施形態による遊星ローラ式トラクションドライブ装置102の作動について説明する。図8は、図7のVIII−VIII線切断部端面図であって、第1相対移動機構5のみを示す図である。図8(a)〜図8(c)の各図に示すように、入力軸20が回転するとき、円環突起57,58とピン67,68とは、互いに接触した状態で係合を保持したまま、所望の位置へ相対移動可能である。すなわち、円環突起57,58とピン67,68との接触により、第1リングローラ50と第2リングローラ60との間で回転を伝達しつつ、各リングローラ50,60は、入力軸20と直交する平面上で相対的な移動が許容される。
本実施形態によれば、第1実施形態と同様の効果を奏することができる。さらに、本実施形態では、円環突起57,58の内周部が360度に亘ってピン67,68が係合する「凹部」として機能するため、一つの相対移動機構で、入力軸20の正転および逆転に対応することができる。また、相対移動機構5,6を各リングローラ50,60の軸心に対して軸対称となる位置に2つ設けることで、各リングローラ50,60の周方向における重量バランスをとることができ、安定して回転させることができる。
〈他の実施形態〉
上記各実施形態では、相対移動機構3,4,5,6として凸部55,65と凹部56,66または円環突起57,58とピン67,68とで構成したが、図9に示すように、第1リングローラ50と第2リングローラ60との対向端面間に弾性部材としてのばね17,18を設け、このばねによって第1リングローラ50と第2リングローラ60とを連結して相対移動機構7,8として構成しても良い。
上記第1実施形態の凸部55,65および凹部56,66の形状は適宜変更できる。例えば、凸部55,65を半球体形状に形成し、凹部56,66を凸部55,65の形状に対応した半球体形状に形成しても良い。その他、凹部に対して凸部が係合状態を保持したまま摺動するように移動することができる構成であれば種々の形状が可能である。
上記各実施形態では、各軸受12,13の内輪を隙間嵌めとしたが、これに代えて、例えば各軸受12,13の外輪とハウジング10との間に隙間を設ける構成としても良いし、各軸受12,13のラジアル内部隙間で対応しても良い。
または、各軸受12,13の内輪と各リングローラ50,60との間に、例えばゴム等の弾性部材でなる円筒状部材を設け、円筒状部材が弾性変形することにより各ローラ50,60のハウジング10に対する径方向への相対移動を許容する構成としても良い。
さらに、自転ローラ70に対し自転ローラ用支持軸71を圧入するのではなく、僅かに隙間を持たせて挿入することで、自転ローラ70がハウジング10に対して径方向に相対移動可能となるようにしても良い。同様に、遊星ローラ80についても、遊星ローラ80に対し遊星ローラ用支持軸81を圧入するのではなく、僅かに隙間を持たせて挿入することで、遊星ローラ80がハウジング10に対して径方向に相対移動可能となるようにとしても良い。その他、各ローラ50,60,70,80が、入力軸20の軸方向と直交する平面上で、主に径方向および回転方向に関してハウジング10に対して僅かに相対移動可能な構成であれば良く、その構成については種々の変更が可能である。
上記各実施形態では、相対移動機構3,4,5,6を2つ設ける構成としたが、1つ設ける構成としても良い。
上記各実施形態では入力軸20と一体に回転するサンローラ30,40を設ける構成としたが、サンローラ30,40を設けず、遊星ローラ80または自転ローラ70が入力軸20と直接接するように構成しても良い。
上記各実施形態では、各ローラ30,40,50,60,70,80がそれぞれテーパ形状を有する構成としたが、テーパ形状を有さず中心軸線Lと平行な外周面または内周面形状として構成しても良い。
上記各実施形態では、各リングローラ50,60とハウジング10との間にばね15,16を軸方向に平行に設ける構成としたが、この構成に代えて、スラストベアリングを介してばねで押すようにしても良いし、ゴムや油圧、その他のアクチュエータによる構成としても良い。
本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の形態で実施可能である。
3 第1相対移動機構(相対移動機構)
4 第2相対移動機構(相対移動機構)
10 ハウジング
20 入力軸
50 第1リングローラ(リングローラ)
51 第1段部(重量調整部、他方側段部
52 第2段部(重量調整部、他方側段部
53 第3段部(重量調整部、他方側段部
54 対向端面
55 第1凸部(凸部)
56 第1凹部(凹部)
60 第2リングローラ(リングローラ)
61 第4段部(重量調整部、一方側段部
62 第5段部(重量調整部、一方側段部
63 間6段部(重量調整部、一方側段部
64 対向端面
65 第2凸部(凸部)
66 第2凹部(凹部)
70 自転ローラ
80 遊星ローラ
90 キャリア
101 遊星ローラ式トラクションドライブ装置
s 隙間

Claims (3)

  1. ハウジング(10)と、
    前記ハウジングに回転可能に支持されている入力軸(20)と、
    前記入力軸の径方向外側に設けられ且つ前記ハウジング内の一方側に設けられている環状部材であり、前記ハウジングに回転可能に支持される第1リングローラ(50)と、
    前記入力軸の径方向外側に設けられ且つ前記ハウジング内の他方側に前記第1リングローラと並列して設けられている環状部材であり、前記ハウジングに回転可能に支持される第2リングローラ(60)と、
    前記第1リングローラに内接し、前記入力軸が回転するとき前記入力軸と前記第1リングローラとの間で前記入力軸まわりの公転を拘束されて自転する複数の自転ローラ(70)と、
    前記第2リングローラに内接し自転しながら前記入力軸まわりに公転する複数の遊星ローラ(80)と、
    前記遊星ローラの他方側に設けられ、前記遊星ローラを自転可能に且つ前記入力軸まわりに公転可能に支持し、前記遊星ローラの公転成分を外部へ出力するキャリア(90)と、
    前記自転ローラの自転により前記第1リングローラが前記入力軸の回転方向と逆方向に回転するとき、前記第1リングローラと前記第2リングローラとの間で回転を伝達しつつ、一方のリングローラが他方のリングローラに対して前記入力軸の軸方向と直交する平面上で相対的に移動することを許容する第1相対移動機構(および第2相対移動機構(4)と、
    を備えており、
    前記第1リングローラは、周方向等間隔に且つ他方側に突出するように形成されている複数の他方側段部(51、52、53)を有しており、
    前記第2リングローラは、周方向等間隔に且つ一方側に突出するように形成され、二つの前記他方側段部の間に位置する複数の一方側段部(61、62、63)を有しており、
    一の前記他方側段部(51)は、周方向の一方へ出っ張るように形成され、出っ張った先端が凸曲面に形成されている第1凸部(55)を有しており、
    別の前記他方側段部(53)は、周方向の一方へ凹むように形成され、凹曲面を有する第1凹部(56)を有しており、
    一の前記一方側段部(62)は、周方向において前記第1凹部と対向する位置で周方向の一方へ出っ張るように形成され、出っ張った先端が前記第1凹部と係合する凸曲面に形成されている第2凸部(65)を有しており、
    別の前記一方側段部(61)は、周方向において前記第1凸部と対向する位置で周方向の一方へ凹むように形成され、前記第1凸部と係合する凹曲面を有する第2凹部(66)を有しており、
    前記第1相対移動機構は、前記第1凹部と前記第2凸部とを含み、
    前記第2相対移動機構は、前記第1凸部と前記第2凹部とを含み、
    前記第1相対移動機構および前記第2相対移動機構は、前記第1リングローラの軸心に対して互いに軸対称となる位置に設けられていることを特徴とする遊星ローラ式トラクションドライブ装置(101)
  2. 前記他方側段部および前記一方側段部は、周方向の重量の偏りを調整するための重量調整部としての機能を有していることを特徴とする請求項に記載の遊星ローラ式トラクションドライブ装置。
  3. 前記第1リングローラおよび前記第2リングローラは、軸方向において対向する対向端面(54,64)間に隙間(s)を形成していることを特徴とする請求項1または請求項に記載の遊星ローラ式トラクションドライブ装置。
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