JP2002106662A - 摩擦ローラ式変速機 - Google Patents

摩擦ローラ式変速機

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JP2002106662A
JP2002106662A JP2000305772A JP2000305772A JP2002106662A JP 2002106662 A JP2002106662 A JP 2002106662A JP 2000305772 A JP2000305772 A JP 2000305772A JP 2000305772 A JP2000305772 A JP 2000305772A JP 2002106662 A JP2002106662 A JP 2002106662A
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JP
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roller
annular space
wedge
rollers
center
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JP2000305772A
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English (en)
Inventor
Ryoichi Otaki
大滝  亮一
Shunpei Sarashina
俊平 更科
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NSK Ltd
Original Assignee
NSK Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 中心ローラ4aと外輪15aとの間で両方向
の回転力の伝達を、それぞれ自在とするか否かを適宜選
択できる構造を実現する。 【解決手段】 1対のウェッジローラ11a、11b
を、それぞれ圧縮コイルばね25aとカム47とによ
り、環状空間23の円周方向に関して互いに逆方向に押
圧自在とする。上記カム47による押圧力は、上記環状
空間23の外部に設けたロータリーソレノイドにより発
生させる。回転力の伝達を可能とする場合には、上記カ
ム47による押圧力に基づいて上記ウェッジローラ11
a(11b)を、上記圧縮コイルばね25aによる押圧
力に抗して上記環状空間23の幅の狭い部分に移動させ
る。回転力の伝達を不能とする場合には、上記圧縮コイ
ルばね25aによる押圧力に基づいて上記ウェッジロー
ラ11a(11b)を、上記環状空間23の幅の広い部
分に退避させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、各種機械装置に
組み込んで、電動モータ等の駆動部の回転駆動力を減速
或は増速しつつ、被駆動部に両方向の回転力を伝達する
摩擦ローラ式変速機の改良に関し、駆動部の動力が不要
の場合に、この被駆動部が負荷となるのを防止する事に
より、上記機械装置の効率向上を図るものである。
【0002】
【従来の技術】摩擦ローラ式変速機は、遊星歯車式等の
歯車式変速機に比べて、高速で運転した場合にも発生す
る騒音が小さい。この為、例えば摩擦ローラ式変速機を
電動モータの出力部に組み付けて減速機として使用し、
この電動モータの回転運動を減速すると共にトルクを増
大させる構造が、例えば特開平8−210455号公報
に記載されている。この公報等に記載された一般的な摩
擦ローラ式変速機は、各ローラの周面同士の当接圧を、
伝達すべきトルクの変動に拘らず、常に一定のままに保
持している。この為、伝達効率が必ずしも良好とは言え
ない。良好な伝達効率を確保する為には、伝達すべきト
ルクが小さい場合に上記当接圧を低くし、反対に伝達す
べきトルクが大きい場合に上記当接圧を高くする事が考
えられる。一方、遊園地の遊戯具、或は足漕ぎ式のボー
トの如く、ペダルを踏んで駆動する装置で、しかもペダ
ルを両方向に回転させる可能性がある部分に組み込む摩
擦ローラ式変速機は、伝達すべきトルクの方向に拘ら
ず、このトルクの伝達を自在とする必要がある。
【0003】この様に、伝達すべきトルクの方向に拘ら
ず、このトルクの伝達を自在とし、且つ、伝達すべきト
ルクの大きさに応じて、各ローラの周面同士の当接圧を
変化させる構造として、米国特許第4709589号明
細書には、図9〜12に示す様な摩擦ローラ式変速機が
記載されている。この従来構造の第1例の摩擦ローラ式
変速機は、有底円筒状の本体1とこの本体1の基端開口
部を塞ぐ蓋体2とから成る固定のハウジング3内に中心
ローラ4の内半部(図9の右半部)を、上記蓋体2の略
中央部に形成した通孔5を通じて挿入している。尚、こ
の通孔5は、上記蓋体2の中心から、少しだけ外れた位
置に設けている。又、上記中心ローラ4の外半部(図9
の左半部)で上記蓋体2から突出した部分には、入力軸
6の端部を結合固定している。
【0004】又、上記ハウジング3の内側で上記中心ロ
ーラ4の周囲部分には、3本の支持軸7a、7b、7c
を、それぞれこの中心ローラ4と平行に配置している。
即ち、これら各支持軸7a、7b、7cの一端部(図9
の左端部)を上記蓋体2に支持すると共に、他端部(図
9の右端部)を連結板8に支持している。尚、これら3
本の支持軸7a、7b、7cのうち、図10〜11の上
部中央に位置する1本の支持軸7aは、その両端部を上
記蓋体2及び連結板8に形成した嵌合孔に圧入固定して
いる。従って、この支持軸7aが、上記ハウジング3内
で円周方向或は直径方向に変位する事はない。
【0005】これに対して、図10〜11の下部左右両
側に位置する残り2本の支持軸7b、7cは、両端部を
上記蓋体2及び連結板8に対し、上記ハウジング3の円
周方向及び直径方向に関して若干の変位自在に支持して
いる。この為に、上記蓋体2及び連結板8の一部で上記
支持軸7b、7cの両端部に整合する部分には、図11
に示す様に、上記両支持軸7b、7cの外径よりも大き
な内径を有する支持孔9、9を形成し、これら各支持孔
9、9に、上記両支持軸7b、7cの両端部を緩く係合
させている。そして、これら各支持軸7a、7b、7c
の中間部周囲に、それぞれが中間ローラであるガイドロ
ーラ10及びウェッジローラ11a、11bを、それぞ
れラジアルニードル軸受12により、回転自在に支持し
ている。尚、上記連結板8は、上記蓋体2の内面(上記
ガイドローラ10及びウェッジローラ11a、11bを
設置した空間側の面で、図9の右面)の一部で、上記ガ
イドローラ10及びウェッジローラ11a、11bから
外れた位置に突設した突部13、13に突き当て、連結
ボルト14、14により、上記蓋体2に連結固定してい
る。
【0006】又、上記ハウジング3の内側で上記ガイド
ローラ10及びウェッジローラ11a、11bを囲む部
分には、円環状の外輪15を、回転自在に設けている。
この外輪15の内周面中央部は直径方向内方に突出させ
る事により、土手状の凸部16とし、この凸部16の内
周面を第二の円筒面17としている。そして、この第二
の円筒面17と、上記ガイドローラ10及びウェッジロ
ーラ11a、11bの外周面である第三の円筒面18、
18とを当接自在としている。又、上記外輪15には、
結合ブラケット19の外径側端部を外嵌固定し、この結
合ブラケット19の中心部に、出力軸20の内端部(図
9の左端部)を結合固定している。この出力軸20は、
前記ハウジング3を構成する本体1の中央部に形成した
第二の通孔21を回転自在に挿通して、このハウジング
3外に突出させている。
【0007】上記ガイドローラ10及びウェッジローラ
11a、11bの外周面である、上記各第三の円筒面1
8、18は、それぞれ前記中心ローラ4の外周面に設け
た第一の円筒面22と、上記外輪15の内周面に設けた
上記第二の円筒面17とに当接させている。上記中心ロ
ーラ4の中心と上記出力軸20及び外輪15の中心とは
互いに偏心している。即ち、前述の様に、上記中心ロー
ラ4を挿通する通孔5は、上記ハウジング3の中心から
少しだけ外れた位置に設けているのに対して、上記出力
軸20を挿通する第二の通孔21は、上記ハウジング3
の中心に設けている。又、この第二の通孔21の内側に
回転自在に支持した出力軸20と外輪15とは、互いに
同心である。従って、上記中心ローラ4と上記外輪15
及び出力軸20とは、上記通孔5のハウジング3の中心
からのずれ量δ(図9参照)分だけ、互いに偏心してい
る。そして、上記中心ローラ4の外周面に設けた上記第
一の円筒面22と上記外輪15の内周面に設けた上記第
二の円筒面17との間に存在して上記ガイドローラ10
及びウェッジローラ11a、11bが設けられた環状空
間23の幅寸法が、このδなる偏心量に見合う分だけ、
円周方向に関して不同になっている。
【0008】この様に、上記環状空間23の幅寸法を円
周方向に関して不同にした分、上記ガイドローラ10及
びウェッジローラ11a、11bの外径を異ならせてい
る。即ち、上記外輪15に対し中心ローラ4が偏心して
いる側(図9〜12の下側)に位置するウェッジローラ
11a、11bの径を、互いに同じとすると共に比較的
小径にしている。これに対し、上記外輪15に対し中心
ローラ4が偏心しているのと反対側(図9〜12の上
側)に位置するガイドローラ10の径を、上記両ウェッ
ジローラ11a、11bよりも大きくしている。そし
て、これら3個の、それぞれが中間ローラであるガイド
ローラ10及びウェッジローラ11a、11bの外周面
である第三の円筒面18、18を、上記第一、第二の円
筒面22、17に当接させている。
【0009】尚、それぞれが中間ローラである、上記1
個のガイドローラ10及び2個のウェッジローラ11
a、11bのうち、ガイドローラ10を支持した支持軸
7aは、前述の様に、上記ハウジング3内に固定してい
る。これに対して、ウェッジローラ11a、11bを支
持した支持軸7b、7cは、やはり前述した様に上記ハ
ウジング3内に、円周方向及び直径方向に関して若干の
変位を自在に支持している。従って、上記ウェッジロー
ラ11a、11bも、上記ハウジング3内で円周方向及
び直径方向に関して若干の変位自在である。そして、前
記蓋体2のシリンダ孔24、24内に装着した圧縮コイ
ルばね25、25等の弾性材により、上記各ウェッジロ
ーラ11a、11bを支持した支持軸7b、7cを、こ
れら各支持軸7b、7cに回転自在に支持したウェッジ
ローラ11a、11bを前記環状空間23の幅の狭い部
分に向け移動させるべく、弾性的に軽く押圧している。
【0010】上述の様に構成する従来の摩擦ローラ式変
速機の場合、例えば、上記中心ローラ4が、作動状態を
示す図12に矢印イで示す様に、時計方向に回転する
と、上記1対のウェッジローラ11a、11bが、同図
に矢印ロで示す様に、上記各支持軸7b、7cを中心に
反時計方向に回転し、前記外輪15が同じく矢印ハで示
す様に反時計方向に回転する。そして、この様に上記1
対のウェッジローラ11a、11bが矢印ロで示す様に
回転し、これら各ウェッジローラ11a、11bを挟持
した中心ローラ4及び外輪15がそれぞれ矢印イ、ハに
示す様に回転すると、上記各ウェッジローラ11a、1
1b全体が、それぞれ図10に矢印ニで示す様に、時計
方向に変位する傾向となる。
【0011】即ち、上記1対のウェッジローラ11a、
11bは、矢印イ方向に回転する上記中心ローラ4か
ら、上記矢印ニ方向の力を受け、これら各ウェッジロー
ラ11a、11b自身が矢印ロ方向に回転する事で外輪
15の内周面に設けた第二の円筒面17との当接部から
受ける反作用により、やはり上記矢印ニ方向の力を受け
る。この結果、上記1対のウェッジローラ11a、11
bのうち、一方(図10〜12の右方)のウェッジロー
ラ11aが前記環状空間23の幅の狭い部分に向けて、
他方(図10〜12の左方)のウェッジローラ11bが
前記圧縮コイルばね25の弾力に抗して上記環状空間2
3の幅の広い部分に向けて、それぞれ移動する傾向にな
る。
【0012】この結果、上記一方のウェッジローラ11
aの外周面に設けた第三の円筒面18が、上記中心ロー
ラ4の外周面に設けた第一の円筒面22と上記外輪15
の内周面に設けた第二の円筒面17とを強く押圧する。
そして、上記一方のウェッジローラ11aの外周面に設
けた第三の円筒面18と上記第一の円筒面22との当接
部である内径側当接部26、及び、この第三の円筒面1
8と上記第二の円筒面17との当接部である外径側当接
部27の当接圧が高くなる。これに対して、上記他方の
ウェッジローラ11bは、上述の様に環状空間23の幅
の広い部分に向けて移動する傾向となる為、この他方の
ウェッジローラ11bに関する内径側、外径側両当接部
26、27の当接圧は低下若しくは喪失する。
【0013】上述の様に一方のウェッジローラ11aに
関する内径側、外径側両当接部26、27の当接圧が高
くなると、それぞれがこの一方のウェッジローラ11a
の外周面に設けた第三の円筒面18により押圧される部
材である、上記中心ローラ4と外輪15とのうちの少な
くとも一方の部材が、組み付け隙間、或は弾性変形等に
基づき、それぞれの直径方向に亙り僅かに変位する。こ
の結果、前記ガイドローラ10に関する内径側、外径側
両当接部26、27の当接圧が高くなる。上記一方のウ
ェッジローラ11aを上記環状空間23の幅の狭い部分
に向け移動させようとする力は、上記中心ローラ4から
上記外輪15に伝達するトルクの大きさに応じて変化す
る。そして、この力が大きくなる程、上記ウェッジロー
ラ11a及びガイドローラ10に関する内径側、外径側
両当接部26、27の当接圧が大きくなる。そして、こ
の様な作用に基づき、上記伝達するトルクに応じた当接
圧を自動的に選定して、摩擦ローラ式変速機の伝達効率
を確保する。
【0014】上述の様な摩擦ローラ式変速機の構造は、
円周方向に関して対称である。この為、上記中心ローラ
4が図12の矢印イと反対方向(反時計方向)に回転す
る場合に、上記摩擦ローラ式変速機の作動状態並びにト
ルクの伝達方向は、円周方向に関して上述した場合(上
記中心ローラ4が矢印イの方向に回転する場合)と逆に
なる。この様に図9〜12に示した摩擦ローラ変速機の
場合には、上記中心ローラ4から上記外輪15への両方
向のトルク伝達を行なえる。
【0015】ところで、上述した様な従来構造の第1例
の場合には、上記中心ローラ4と上記外輪15との相対
回転方向に関係なく、常にこれら中心ローラ4と外輪1
5との間で動力を伝達する。この為、これら中心ローラ
4と外輪15とのうちの、本来の出力側となる部材から
本来の入力側となる部材へ向けて、動力が逆流する事も
生じ得る。この様な動力の逆流が生じると、上記入力側
の部材に結合した駆動装置を構成する駆動軸や足漕ぎペ
ダル等が不用意に回転したり、或は上記出力側の部材の
回転を継続させる為の抵抗が徒に大きくなる等の不都合
を生じる場合がある。この為、上述の様な動力の逆流を
防止できる構造の実現が望まれる。一方、摩擦ローラ式
変速機の用途によっては、上記入力側となる部材の作動
状況に拘らず、この入力側の部材から上記出力側の部材
への動力の伝達を自在とするか否かを選択できる構造の
実現が望まれる場合もある。
【0016】上述した様な何れの要望にも応えられる構
造として、特開平10−325449号公報には、伝達
すべき動力の回転方向に拘らず、この動力の伝達を行な
えると共に、必要に応じてこの動力の伝達を断つ事がで
きる摩擦ローラ式変速機が記載されている。図13〜1
6は、この公報に記載された摩擦ローラ式変速機を示し
ている。この図13〜16に示した従来構造の第2例の
場合には、連結板8に形成したシリンダ孔24、24内
に、圧縮コイルばね25、25を設けている。そして、
上述した従来構造の第1例の場合と同様、これら各圧縮
コイルばね25、25により、押圧ピン44及び支持軸
7b、7cを介して各ウェッジローラ11a、11b
を、それぞれ環状空間23の幅の狭い部分(図14〜1
6の下側部分)に向け、弾性的に軽く押圧している。
【0017】又、蓋体2の一部で上記シリンダ孔24、
24と整合する位置に、それぞれ保持孔50、50を形
成している。これら各保持孔50、50は、それぞれ上
記蓋体2に形成した支持孔9、9の内周面のうち、上記
環状空間23の幅の広い側(図14〜16の上側)に開
口する状態で設けている。そして、これら各保持孔5
0、50内にソレノイド51、51を保持すると共に、
これら各ソレノイド51、51の先端面(図14〜16
の下端面)を、上記各支持軸7b、7cの端部外周面に
対向させている。そして、上記各ソレノイド51、51
への通電時、これら各ソレノイド51、51と上記各支
持軸7b、7cとの間に、これら各支持軸7b、7c及
び上記各ウェッジローラ11a、11bを上記環状空間
23の幅の広い部分(図14〜16の上側部分)に向け
移動させる方向の磁気吸引力を発生させる様にしてい
る。この為に、上記各支持軸7b、7cを、それぞれ鋼
等の磁性材により構成している。又、上述の様な磁気吸
引力は、上記各圧縮コイルばね25、25の弾力よりも
大きくしている。
【0018】上述の様に構成する従来構造の第2例の摩
擦ローラ式変速機の場合には、次の様にして中心ローラ
4と外輪15との間での動力伝達状態を選択的に切り換
える。先ず、これら中心ローラ4と外輪15との間で動
力の伝達を行なえる様にする場合には、上記各ソレノイ
ド51、51を非通電状態とする。この状態では、これ
ら各ソレノイド51、51と上記各支持軸7b、7cと
の間に上記磁気吸引力が作用せず、これら各支持軸7
b、7cに、上記各圧縮コイルばね25、25からの押
圧力のみが作用する。この結果、前述の図9〜12に示
した従来構造の第1例の場合と同様にして、上記中心ロ
ーラ4と上記外輪15との間で両方向の回転力の伝達を
行なえる。
【0019】これに対して、上記中心ローラ4と上記外
輪15との間で動力の伝達を行なえない様にする場合に
は、上記各ソレノイド51、51を通電状態とする。こ
の状態では、これら各ソレノイド51、51と上記各支
持軸7b、7cとの間に上記磁気吸引力が作用し、これ
ら各支持軸7b、7c及び上記各ウェッジローラ11
a、11bが、上記各圧縮コイルばね25、25の弾力
に抗して前記環状空間23の幅の広い部分に向け移動す
る。この結果、上記2個のウェッジローラ11a、11
bと1個のガイドローラ10との各外周面に設けた第三
の円筒面18、18と、上記中心ローラ4の外周面に設
けた第一の円筒面22及び上記外輪15の内周面に設け
た第二の円筒面17との当接圧が低下若しくは喪失す
る。この結果、上記中心ローラ4と上記外輪15との間
で回転力の伝達が行なえなくなる。
【0020】従って、上述の様に構成する従来構造の第
2例の摩擦ローラ式変速機の場合には、上記各ソレノイ
ド51、51の通電状態を適宜切り換える事により、本
来の入力側となる部材と出力側となる部材との間で動力
が逆流するのを防止したり、或は、必要に応じて入力側
となる部材から出力側となる部材への動力伝達状態を解
除する事ができる。
【0021】
【発明が解決しようとする課題】ところが、上述の図1
3〜16に示した従来構造の第2例の摩擦ローラ式変速
機の場合には、上記各ソレノイド51、51と上記各支
持軸7b、7cとの間に設ける隙間の大きさを調整する
のが難しい。この理由は、次の通りである。即ち、この
隙間の大きさは、少なくとも上記各支持軸7b、7cに
枢支した上記各ウェッジローラ11a、11bが、上記
環状空間23の幅の広い部分に確実に移動できる分だけ
確保する必要がある。一方、上記隙間を大きくし過ぎる
と、上記各ソレノイド51、51と上記各支持軸7b、
7cとの間に作用する磁気吸引力が(上記隙間の大きさ
の二乗に反比例して)著しく低下し、上記各ウェッジロ
ーラ11a、11bを上記環状空間23の幅の広い部分
に移動させる事ができなくなる。この為、上記隙間の大
きさは、これらの事情並びに組み付け誤差等を考慮し
て、厳密に調整する必要がある。
【0022】この為、この隙間の大きさの調整が面倒と
なる。又、上述した従来構造の第2例の場合には、構成
部材が弾性変形や熱膨張する事に基づいて、上記環状空
間23の円周方向に関する上記各ウェッジローラ11
a、11bの位置が変わる事により、上記隙間の大きさ
が変化するのに伴い、上記磁気吸引力が低下した場合
に、やはり上記各ウェッジローラ11a、11bを上記
環状空間23の幅の広い部分に移動させる事ができなく
なる可能性がある。従って、これらの不都合を解消すべ
く、上述の様な面倒な隙間の調整が不要となる構造で、
しかも構成部材が弾性変形等した場合でも、上記各ウェ
ッジローラ11a、11bを移動させる力を十分に確保
できる構造を実現する事が望まれる。
【0023】又、上述した様な従来構造の第1〜2例の
場合には、伝達すべき動力の回転方向に拘らず、この動
力の伝達を行なえるが、大きなトルクを伝達する事が難
しい。この理由に就いて、以下に説明する。前述した通
り、上記従来構造の第1〜2例の場合には、前記中心ロ
ーラ4と前記外輪15との間で伝達すべきトルクを、2
個の中間ローラである、ガイドローラ10及び何れか一
方のウェッジローラ11a(11b)に関する内径側、
外径側両当接部26、27を介して伝達する。但し、図
17に示す様に、上記2個の中間ローラである、ガイド
ローラ10と何れか一方のウェッジローラ11a(11
b)との各中心軸O10、O11同士は、上記中心ローラ4
の中心軸O4 を挟んで互いに直径方向に関し180度反
対側には存在しない。言い換えれば、上記ガイドローラ
10及び何れか一方のウェッジローラ11a(11b)
の各中心軸O10、O11と上記中心ローラ4の中心軸O4
とを結ぶ1対の線分A、B同士のなす角度θが、180
度よりも大幅に小さい(θ≪π)。
【0024】この為、上記中心ローラ4及び外輪15に
は、上記ガイドローラ10及び何れか一方のウェッジロ
ーラ11a(11b)から、それぞれ異なる方向の力
F、Fが加わる。そして、これら各力F、Fの合力とし
て、上記中心ローラ4と上記外輪15に、それぞれ同図
の矢印αで示す方向の力が加わる。この様な矢印αで示
した力は、上記中心ローラ4及び外輪15を、それぞれ
上記ガイドローラ10及び何れか一方のウェッジローラ
11a(11b)から退避させる方向に加わる。しかも
この矢印αで示した力の大きさは、上記中心ローラ4と
上記外輪15との間で伝達すべきトルクが大きくなる程
大きくなる。この結果、これら中心ローラ4と上記外輪
15との間で大きなトルクを伝達しようとすると、これ
ら中心ローラ4及び外輪15が上記ガイドローラ10及
び何れか一方のウェッジローラ11a(11b)から退
避する傾向が強くなる。そして、これらガイドローラ1
0及び何れか一方のウェッジローラ11a(11b)に
関する内径側、外径側両当接部26、27の面圧が低下
し、これら各当接部26、27で滑りが発生する様にな
って、上記トルクを伝達できなくなる。又、この様に各
当接部26、27で滑りが発生する為、摩擦ローラ式変
速機によるトルクの伝達効率が低下する。従って、この
様な不都合を解消する為に、伝達すべき動力の回転方向
に拘らず、この動力の伝達効率を十分に大きくできる構
造の実現が望まれる。本発明の摩擦ローラ式変速機は、
上述の様な事情に鑑みて発明したものである。
【0025】
【課題を解決するための手段】本発明の摩擦ローラ式変
速機は、前述した従来構造の第1〜2例の場合と同様
に、外周面を第一の円筒面とした中心ローラと、内周面
を第二の円筒面としてこの中心ローラの周囲に、この中
心ローラに対する相対回転を自在に設けられた外輪と、
上記第一の円筒面と上記第二の円筒面との間の環状空間
内に、上記中心ローラと平行に配置された3本以上の支
持軸と、これら各支持軸により回転自在に支持され、そ
れぞれの外周面を上記第一、第二の各円筒面と当接自在
な第三の円筒面とした3個以上の中間ローラとを備え
る。そして、上記中心ローラの中心と上記外輪の中心と
を偏心させる事により、上記環状空間の幅寸法を円周方
向に関して不同にし、上記3個以上の中間ローラのうち
の2個の中間ローラを少なくとも上記環状空間の円周方
向に変位自在に支持してウェッジローラとすると共に、
これらウェッジローラとなる2個の中間ローラを上記環
状空間の幅の狭い部分に向け円周方向に関して互いに逆
方向に変位可能としている。そして、上記中心ローラと
上記外輪との間で回転力の伝達を行なう際に、上記ウェ
ッジローラとなる2個の中間ローラのうちの何れか一方
の中間ローラを上記環状空間の幅の狭い部分に向け移動
させる事により、これら中心ローラと外輪との間で両方
向の回転力の伝達を自在としている。
【0026】特に、本発明の摩擦ローラ式変速機に於い
ては、上記ウェッジローラとなる2個の中間ローラのう
ちの少なくとも1個の中間ローラを、押圧手段により上
記環状空間の幅の狭い部分と幅の広い部分とのうちの一
方の部分に向けて弾性的に押圧すると共に、動力伝達部
材により上記環状空間の幅の狭い部分と幅の広い部分と
のうちの他方の部分に向けて押圧自在とし、且つ、この
動力伝達部材により当該中間ローラを押圧する事でこの
中間ローラを上記押圧手段による押圧力に抗して上記他
方の部分に向けて変位自在としている。そして、上記動
力伝達部材は、その一部を上記環状空間の外側にこの環
状空間の軸方向端部から突出させると共に、この突出さ
せた部分を上記環状空間の外側に設けた駆動装置に結合
しており、且つ、この駆動装置の駆動力に基づいて上記
ウェッジローラとなる少なくとも1個の中間ローラを上
記他方の部分に向けて押圧自在としている。
【0027】又、本発明のうち、請求項2に記載した摩
擦ローラ式変速機の場合には、上記中心ローラと上記外
輪との間で回転力の伝達を行なう際に、少なくとも3個
の中間ローラの外周面である第三の円筒面が、環状空間
の円周方向に関して互いに位相を異ならせた部分で、そ
れぞれ上記中心ローラの外周面である第一の円筒面及び
上記外輪の内周面である第二の円筒面に強く当接する。
【0028】又、本発明を実施する場合には、例えば請
求項3に記載した摩擦ローラ式変速機の様に、上記動力
伝達部材として、ロッドと、このロッドの端部に結合さ
れ、このロッドが回動する事に基づいてウェッジローラ
となる中間ローラを他方の部分に向けて押圧自在なカム
とから成るものを採用すると共に、上記駆動装置とし
て、上記環状空間の軸方向端部からこの環状空間の外側
に突出した上記ロッドの一部に、このロッドを回転駆動
自在に結合したロータリーソレノイドを採用する事がで
きる。
【0029】
【作用】上述の様に構成する本発明の摩擦ローラ式変速
機によれば、前述した従来構造の第1〜2例の摩擦ロー
ラ式変速機の場合と同様、ウェッジローラとなる2個の
中間ローラのうちの何れか一方の中間ローラが環状空間
の幅の狭い部分に向け移動する事に基づき、中心ローラ
と外輪との間で両方向の回転力の伝達を自在とする。特
に、本発明の場合には、ウェッジローラとなる少なくと
も1個の中間ローラを、動力伝達部材により押圧するか
否かに基づき、少なくとも一方向の回転力を中心ローラ
と外輪との間で伝達自在とするか否かを選択できる。
又、本発明の場合には、ウェッジローラとなる少なくと
も1個の中間ローラを、動力伝達部材により(この中間
ローラを枢支する支持軸等の部材を介して)押圧する構
造を採用している。従って、前述の図13〜16に示し
た従来構造の第2例の様に、動力伝達部材と上記支持軸
等との間に隙間を設ける必要がない。この為、この隙間
の大きさを調整すると言った面倒な作業を省略でき、摩
擦ローラ式変速機の組立作業の容易化を図れる。又、動
力伝達部材と上記支持軸等との間に隙間が存在しない
為、運転時に構成部材が弾性変形や熱膨張した場合で
も、動力伝達部材により中間ローラを押圧する力を十分
に確保できる。
【0030】又、本発明の場合には、動力伝達部材に駆
動力を付与する駆動装置を、環状空間の外側に設けてい
る。この為、この駆動装置の配置の自由度を大きくでき
る。又、本発明の場合には、動力伝達部材の一部を環状
空間の内側に、この環状空間の軸方向端部から差し込ん
で配置した如き構造を採用している。この為、この動力
伝達部材の一部を上記外輪の内径側に配置する構造を採
用する事もできる。
【0031】又、請求項2に記載した摩擦ローラ式変速
機の場合には、回転力の伝達時に少なくとも3個の中間
ローラの外周面である第三の円筒面が、それぞれ中心ロ
ーラの外周面である第一の円筒面及び外輪の内周面であ
る第二の円筒面に強く当接する。この為、伝達すべき回
転力が大きくなる事に伴い、上記各中間ローラが上記中
心ローラ及び外輪を押圧する力が大きくなった場合で
も、前述した従来構造(2個の中間ローラを介して回転
力の伝達を行なう構造)の様に、中心ローラ及び外輪
が、上記各中間ローラから退避する方向に変位する事は
ない。この為、上記各円筒面同士の当接部の当接圧を十
分に確保して、これら各当接部で滑りが生じるのを防止
できる。この為、大きな回転力を伝達する場合でも、高
い伝達効率を得られる。
【0032】
【発明の実施の形態】図1〜7は、本発明の実施の形態
の第1例を示している。本例の摩擦ローラ式変速機は、
有底円筒状の本体1aとこの本体1aの端部開口を塞ぐ
蓋体2aとから成る固定のハウジング3a内に、中心ロ
ーラ4aを、このハウジング3aの軸方向(図1、5、
7の左右方向、図2、3、4、6の表裏方向)に配置し
ている。又、上記蓋体2aの外面(図1、7の右面、図
6の手前側面)略中央部には、ブロック28を結合固定
している。これら蓋体2a及びブロック28の略中央部
には、それぞれ通孔5、29を、互いに同心に形成して
いる。尚、これら各通孔5、29は、上記ハウジング3
aの中心から少しだけ外れた位置に設けている。そし
て、これら各通孔5、29の内側に入力軸6aの先半部
(図1の左半部)を挿通すると共に、この入力軸6aの
先半部を1対の玉軸受30、30により回転のみ自在に
支持している。そして、互いに同心に配置した上記中心
ローラ4aの基端部(図1、5の右端部)と上記入力軸
6aの先端部とを、互いに結合している。
【0033】本例の場合、上記中心ローラ4aは、上記
入力軸6aにより回転駆動自在としつつ、ラジアル方向
に関する若干の変位自在に設けている。この為に、図示
の例では、上記中心ローラ4aの基端面に係合凸部31
を、上記入力軸6aの先端面に係合凹溝32を、それぞ
れ直径方向に亙って形成すると共に、これら係合凸部3
1と係合凹溝32とを緩く係合させている。この様に係
合凸部31と係合凹溝32とを緩く係合させる為に、こ
の係合凹溝32の幅寸法をこの係合凸部31の幅寸法よ
りも少し大きくしている。そして、この様な構成を採用
する事により、上記中心ローラ4aと上記入力軸6aと
を、回転力の伝達を自在に、且つ、ラジアル方向に関す
る若干の相対変位自在に結合している。尚、この様に中
心ローラ4aと入力軸6aとを回転力の伝達を自在に、
且つ、ラジアル方向に関する若干の相対変位自在に結合
する為の構造は、図示の様なものに限らず、緩いスプラ
イン係合、或は緩いキー係合でも良い。
【0034】又、上記ハウジング3aの内側で上記中心
ローラ4aの軸方向中央部の周囲部分には、3本の支持
軸7a、7b、7cを、それぞれこの中心ローラ4aと
平行に配置している。即ち、これら各支持軸7a、7
b、7cの一端部(図1、7の右端部、図3の奥端部)
を上記蓋体2aに結合した第一の連結板33に支持する
と共に、他端部(図1、7の左端部、図3の手前側端
部)をこの第一の連結板33に結合した第二の連結板3
4に支持している。尚、これら3本の支持軸7a、7
b、7cのうち、図1、3の下部に位置する1本の支持
軸7aは、その両端部を上記第一の連結板33及び第二
の連結板34に形成した嵌合孔に圧入固定している。従
って、この支持軸7aが、上記ハウジング3a内で円周
方向或は直径方向に変位する事はない。
【0035】これに対して、図3の上部左右両側(図1
の上側)に位置する残り2本の支持軸7b、7cは、図
7に示す様に、両端部を上記第一の連結板33及び第二
の連結板34に対し、上記ハウジング3aの円周方向及
び直径方向に亙る若干の変位自在に支持している。この
為に、上記第一の連結板33及び第二の連結板34の一
部で上記支持軸7b、7cの両端部に整合する部分に
は、図3、7に示す様に、上記両支持軸7b、7cの外
径よりも大きな幅及び長さを有する支持孔9a、9aを
形成し、これら各支持孔9a、9aに、上記両支持軸7
b、7cの両端部を緩く係合させている。そして、これ
ら各支持軸7a、7b、7cの中間部周囲に、それぞれ
が中間ローラであるガイドローラ10及びウェッジロー
ラ11a、11bを、それぞれラジアルニードル軸受1
2aにより、回転自在に支持している。尚、図示の例で
は、このラジアルニードル軸受12aとして、転動体
(ニードル)を複列に配置したものを使用している。
【0036】又、上記ハウジング3aの内側で上記中心
ローラ4aの軸方向両端部の周囲部分には、それぞれ2
本ずつの支持軸7d、7dを、それぞれこの中心ローラ
4aと平行に配置している。即ち、上記中心ローラ4a
の基端部周囲部分に配置した2本の支持軸7d、7dの
一端部(図2の奥端部、図7の右端部)を上記蓋体2a
に支持すると共に、他端部(図2の手前側端部)を上記
第一の連結板33に支持している。これに対して、上記
中心ローラ4aの先端部(図1、5の左端部)周囲部分
に配置した2本の支持軸7d、7dの一端部(図4の奥
端部)を上記第二の連結板34に支持すると共に、他端
部(図4の手前側端部)をこの第二の連結板34に結合
した第三の連結板35に支持している。
【0037】又、図2〜4に示す様に、上記2本ずつの
支持軸7d、7dの配設位置の、後述する環状空間23
の円周方向に関する位相は、それぞれ上記各ウェッジロ
ーラ11a、11bを上記環状空間23の幅の狭い部分
に移動させた状態(図3に示した状態)での、これら各
ウェッジローラ11a、11bを支持した2本の支持軸
7b、7cの位相とほぼ一致させている。又、上記2本
ずつの支持軸7d、7dは、その両端部を上記蓋体2a
及び上記第一〜第三の各連結板33、34、35に形成
した嵌合孔に圧入固定して、これら各支持軸7d、7d
が、上記ハウジング3a内で円周方向或は直径方向に変
位しない様にしている。そして、これら2本ずつの支持
軸7d、7dの中間部周囲に、それぞれ中間ローラであ
る補助ガイドローラ36、36を、それぞれラジアルニ
ードル軸受12により、回転自在に支持している。従っ
て、上記図2〜4及び図5に示す様に、上記各補助ガイ
ドローラ36、36の配設位置の、上記環状空間23の
円周方向に関する位相は、それぞれ上記各ウェッジロー
ラ11a、11bを上記環状空間23の幅の狭い部分に
移動させた状態(図3に示した状態)での、これら各ウ
ェッジローラ11a、11bの位相とほぼ一致する。
尚、本例の場合、上記各補助ガイドローラ36、36の
厚さ寸法は、前記ガイドローラ10及びウェッジローラ
11a、11bの厚さ寸法よりも小さくしている(但
し、図5は大略図である為、各ローラの幅寸法はそれぞ
れ等しく表している)。
【0038】又、上記蓋体2aの内面(図1、7の左
面)及び上記第一、第二の各連結板33、34の片面
(図1、7の左面)の各一部で、それぞれ上記ガイドロ
ーラ10及びウェッジローラ11a、11b或は上記補
助ガイドローラ36、36から外れた位置には、突部1
3a、13aを突設している。上記第一〜第三の各連結
板33、34、35は、それぞれの他面(図1、7の右
面)に上記突部13a、13aの先端面を突き当てた状
態で、連結ボルト14a、14aにより、上記蓋体2a
に連結固定している。又、本例の場合、前記中心ローラ
4aの先端面中心部に鋼球37を圧入固定し、この鋼球
37を、上記第三の連結板35の他面中心部に突き当て
て、ピボット軸受を構成している。このピボット軸受
は、上記中心ローラ4aの回転を自在としつつ、この中
心ローラ4aの軸方向に関する位置決めを図る為に設け
ている。
【0039】又、前記ハウジング3aの内側で、上記ガ
イドローラ10及びウェッジローラ11a、11b並び
に上記各補助ガイドローラ36、36を囲む部分には、
円筒状の外輪15aを、回転自在に設けている。そし
て、上記ガイドローラ10及びウェッジローラ11a、
11b及び上記各補助ガイドローラ36、36の各外周
面である第三の円筒面18、18を、上記中心ローラ4
aの外周面に設けた第一の円筒面22と、上記外輪15
aの内周面に設けた第二の円筒面17とに、それぞれ当
接自在としている。
【0040】又、上記外輪15aの一端部(図1、5の
左端部)は、この外輪15aと同心に配置した出力軸2
0aの一端部(図1の右端部)に、回転力の伝達自在
に、且つ、ラジアル方向に関する若干の相対変位自在に
結合している。この為に、図示の例では、上記出力軸2
0aの一端部に結合板部38を固設している。そして、
この結合板部38の外周縁に形成した突片39、39と
上記外輪15aの一端縁に形成した切り欠き40、40
とを、ラジアル方向に関する若干の相対変位自在に係合
させている。又、この状態で、上記外輪15aの他端部
内周面に形成した係止溝41に止め輪42を係止して、
上記各突片39、39が上記各切り欠き40、40から
抜け出るのを防止している。又、上記出力軸20aは、
上記ハウジング3aを構成する本体1aの中央部に形成
した第二の通孔21を挿通して、このハウジング3a外
に突出させると共に、複列ラジアル玉軸受43により、
この第二の通孔21の内側に回転のみ自在に支持してい
る。
【0041】上述した様に、上記ガイドローラ10及び
ウェッジローラ11a、11b及び上記各補助ガイドロ
ーラ36、36の各外周面に設けた第三の円筒面18、
18は、それぞれ上記中心ローラ4aの外周面に設けた
第一の円筒面22と上記外輪15aの内周面に設けた第
二の円筒面17とに当接させて(若しくは当接自在とし
て)いる。又、この状態で、前記入力軸6a及び中心ロ
ーラ4aの中心と上記出力軸20a及び外輪15aの中
心とは互いに偏心している。即ち、前述した様に、上記
中心ローラ4aと同心の入力軸6aを挿通支持する各通
孔5、29は、上記ハウジング3aの中心から少しだけ
外れた位置に設けているのに対して、上記外輪15aと
同心の出力軸20aを挿通支持する第二の通孔21は、
上記ハウジング3aの中心に設けている。従って、上記
中心ローラ4aと上記外輪15aとは、上記各通孔5、
29のハウジング3aの中心からのずれ量δ分だけ、互
いに偏心している。そして、上記第一の円筒面22と上
記第二の円筒面17との間に存在する環状空間23の幅
寸法が、このδ分の偏心量に見合う分だけ、円周方向に
関して不同になっている。
【0042】この様に、上記環状空間23の幅寸法を円
周方向に関して不同にした分、この環状空間23内に配
置する上記ガイドローラ10及びウェッジローラ11
a、11b並びに上記各補助ガイドローラ36、36の
外径を異ならせている。即ち、上記外輪15aに対し中
心ローラ4aが偏心している側(図1〜5の上側)に位
置するウェッジローラ11a、11b並びに補助ガイド
ローラ36、36の径を、それぞれ同じとすると共に比
較的小径にしている。これに対して、上記外輪15aに
対し中心ローラ4aが偏心しているのと反対側(図1〜
5の下側)に位置するガイドローラ10の径を、上記ウ
ェッジローラ11a、11b並びに補助ガイドローラ3
6、36の径よりも大きくしている。そして、これらガ
イドローラ10及びウェッジローラ11a、11b及び
補助ガイドローラ36、36の各外周面に設けた第三の
円筒面18、18を、上記第一、第二の各円筒面22、
17に当接させている。
【0043】尚、上記ガイドローラ10及び補助ガイド
ローラ36、36を支持した各支持軸7a、7dは、前
述の様に、それぞれ上記ハウジング3a内に固定してい
る。これに対して、上記ウェッジローラ11a、11b
を支持した支持軸7b、7cは、やはり前述した様に上
記ハウジング3a内に、円周方向及び直径方向に亙る若
干の変位を自在に支持している。従って、上記ウェッジ
ローラ11a、11bも、上記ハウジング3a内で円周
方向及び直径方向に亙り若干の変位自在である。そし
て、本例の場合には、次述する押圧手段である圧縮コイ
ルばね25aと動力伝達部材であるカム47との押圧力
に基づき、上記各ウェッジローラ11a、11bを、上
記環状空間23の幅の広い部分(図1〜7の上側部分)
と幅の狭い部分(図1〜7の下側部分)とのうちの何れ
か一方の部分に向け、選択的に変位自在としている。
【0044】この為に、本例の場合には、前記第一の連
結板33の一部に1対のシリンダ孔24a、24aを、
それぞれ前記支持孔9aの内周面のうち、上記環状空間
23の幅の狭い側の端部に開口する状態で設けている。
そして、これら各シリンダ孔24a、24a内に、上記
圧縮コイルばね25a、25aを設けている。そして、
これら各圧縮コイルばね25a、25aにより、押圧ピ
ン44a及び前記支持軸7b、7cを介して上記各ウェ
ッジローラ11a、11bを、それぞれ上記環状空間2
3の幅の広い部分に向け、弾性的に押圧している。
【0045】又、上記第一連結板33の一部で上記各支
持孔9a、9aを挟んで上記各シリンダ孔24a、24
aと180度反対側に、それぞれ第二のシリンダ孔4
5、45を、上記各支持孔9a、9aの内周面のうち、
上記環状空間23の幅の広い側の端部に開口する状態で
設けている。そして、これら各第二のシリンダ孔45、
45内に、それぞれ圧子46、46を変位自在に嵌装す
ると共に、これら各圧子46、46の先端面(図3、7
の上端面)を、上記各支持軸7b、7cの端部外周面に
突き当てている。又、上記第二のシリンダ孔45、45
の内側で、上記各圧子46、46の後端面(図3、7の
下端面)と対向する部分に、それぞれカム47、47を
設けると共に、これら各カム47、47の外周面を、上
記各圧子46、46の後端面に当接させている。そし
て、この状態でこれら各カム47、47を回動させる事
により、上記各圧子46、46及び上記各支持軸7b、
7cを介して上記各ウェッジローラ11a、11bを、
それぞれ上記各圧縮コイルばね25a、25aの弾力に
抗して、上記環状空間23の幅の狭い部分に向け押圧自
在としている。
【0046】又、上述の様に各カム47、47を回動さ
せる為に、これら各カム47、47を、それぞれがやは
り動力伝達部材である、ロッド48、48の一端部(図
7の左端部)に結合固定(若しくは一体形成)してい
る。これら各ロッド48、48は、それぞれ前記蓋体2
a及び上記第一の連結板33の一部に設けた貫通孔5
2、53の内側に、回転のみ自在に、且つ、上記環状空
間23の軸方向(図1、5、7の左右方向、図2、3、
4の表裏方向)に挿通支持している。尚、図示の例で
は、上記ロッド48の外周面と上記貫通孔52の内周面
との間にシール部材54を設けて、この間部分に存在す
る隙間を塞いでいる。又、上記蓋体2aに形成した上記
貫通孔52を通じて上記環状空間23の外側に突出させ
た、上記各ロッド48、48の他端部(図7の右端部)
に、それぞれ結合部材55を介してロータリーソレノイ
ド49、49の出力軸を結合している。そして、これら
各ロータリーソレノイド49、49により上記各ロッド
48、48及び各カム47、47を、それぞれ回転駆動
自在としている。
【0047】又、本例の場合、前記ブロック28の上部
と前記ハウジング3aを構成する本体1aの基端部(図
1の左端部)の上部とに給油口56a、56bを、同じ
くこの本体1aの中間部の下部に排油口57を、それぞ
れ設けている。そして、後述する回転力の伝達時に、上
記各給油口56a、56bから上記ハウジング3a内に
潤滑油(トラクションオイル)を供給しつつ、この潤滑
油を上記排油口57からこのハウジング3a外に排出す
る、強制潤滑を行なえる様にしている。
【0048】特に、本例の場合、上記ブロック28の上
部に設けた給油口56aから供給した潤滑油は、前記入
力軸6a及び中心ローラ4aの内部に設けた通油路58
を通じて上記環状空間23内に吐出させる様にしてい
る。又、図1に示す様に、この通油路58から潤滑油を
吐出させる為の複数の吐出口は、それぞれ上記入力軸6
a及び中心ローラ4aの各外周面のうち、軸方向に関し
て前記ガイドローラ10、前記各ウェッジローラ11
a、11b、前記各補助ガイドローラ36、36から外
れた部分に開口させている。そして、吐出した潤滑油
が、蓋体2a或は第一、第二の連結板33、34の周面
に案内されて、上記中心ローラ4aの外周面に沿って流
れる様にしている。これにより、それぞれがトラクショ
ン点である、前記第一〜第三の各円筒面22、17、1
8同士の当接部への潤滑油の供給を良好にできる様にし
ている。更に、前記外輪15aの一部で、それぞれ軸方
向に関して上記ガイドローラ10、上記各ウェッジロー
ラ11a、11b、上記各補助ガイドローラ36、36
から外れた部分に、上記外輪15aの内周面と外周面と
を連通する複数の通油路59、59を設けている。これ
により、上記環状空間23内に供給した潤滑油をこの環
状空間23外に効率良く排出自在として、上記各円筒面
22、17、18同士の当接部の潤滑性を良好にできる
様にしている。
【0049】上述の様に構成する本例の摩擦ローラ式変
速機の場合には、次の様にして中心ローラ4aと外輪1
5aとの間での回転力の伝達状態を選択的に切り換え
る。先ず、これら中心ローラ4aと外輪15aとの間で
回転力の伝達を行なう場合には、伝達すべき回転力の方
向に応じて、何れか一方のウェッジローラ11a(11
b)を、何れか一方のカム47により押圧する。これに
より、当該ウェッジローラ11a(11b)を上記環状
空間23の幅の狭い部分に向け移動させる。これに対し
て、他方のウェッジローラ11b(11a)は、他方の
カム47により押圧せず、前記圧縮コイルばね25aに
よる押圧力に基づき、上記環状空間23の幅の広い部分
に向け退避したままの状態とする。そして、前述した従
来構造の場合と同様、上述の様に何れか一方のウェッジ
ローラ11a(11b)を上記環状空間23の幅の狭い
部分に向け移動させる事に基づき、上記中心ローラ4a
と上記外輪15aとの間で両方向の回転力の伝達を自在
とする。
【0050】特に、本例の摩擦ローラ式変速機の場合に
は、上記各ウェッジローラ11a、11bの軸方向両側
に、それぞれ補助ガイドローラ36、36を設けてい
る。この為、回転力の伝達時に、上記他方のウェッジロ
ーラ11b(11a)が上記環状空間23の幅の広い部
分に向け退避すると共に、上記一方のウェッジローラ1
1a(11b)及び前記ガイドローラ10が上記中心ロ
ーラ4a及び外輪15aを強く押圧した場合でも、上記
他方のウェッジローラ11b(11a)の軸方向両側に
存在する2個の補助ガイドローラ36、36が上記中心
ローラ4aと外輪15aとの間で突っ張る。この為、前
述した従来構造の様に、上記中心ローラ4a及び外輪1
5aが上記一方のウェッジローラ11a(11b)及び
上記ガイドローラ10から退避する方向に変位する事は
ない。即ち、本例の場合、回転力の伝達時には、上記一
方のウェッジローラ11a(11b)及び上記ガイドロ
ーラ10及び上記(合計4個の)各補助ガイドローラ3
6、36の各外周面に設けた第三の円筒面18、18
と、上記中心ローラ4aの外周面に設けた第一の円筒面
22及び上記外輪15aの内周面に設けた第二の円筒面
17とが、それぞれ強く当接する。そして、伝達すべき
回転力の大きさに応じて、上記各円筒面22、17、1
8同士の当接部の当接圧を十分に確保し、これら各当接
部で滑りが生じる事を防止できる。この為、大きな回転
力を伝達できると共に、高い伝達効率を得られる。
【0051】又、本例の摩擦ローラ式変速機の場合、構
成各部材が弾性変形や熱膨張する等により、上記ガイド
ローラ10及び補助ガイドローラ36、36の外径や取
付位置が多少ずれた場合には、上記一方のウェッジロー
ラ11a(11b)が上記環状空間23の幅寸法が狭い
部分に変位するのに伴って、上記中心ローラ4a及び外
輪15aがラジアル方向に変位する。そして、上記各円
筒面22、17、18同士の当接部の当接圧を、それぞ
れ設計値通りにする。従って、上記外径や取付位置が多
少ずれた場合、更には熱膨張により各部材の寸法が変化
した場合でも、高い伝達効率を得られる。
【0052】尚、上述した様な回転力の伝達時、上記一
方のウェッジローラ11a(11b)には、その外周面
に設けた第三の円筒面18と上記第一、第二の各円筒面
22、17との摩擦係合に基づいて、前記圧縮コイルば
ね25aによる押圧力と反対方向の力(前記何れか一方
のカム47による押圧力と同方向の力)が加わる。そし
て、この反対方向の力は、上記中心ローラ4aと上記外
輪15aとの間で伝達される回転力が上昇する事に伴
い、上記圧縮コイルばね25aによる押圧力よりも大き
くなる。そして、上記反対方向の力が、この圧縮コイル
ばね25aによる押圧力に抗して、上記一方のウェッジ
ローラ11a(11b)を上記環状空間23の幅の狭い
部分に移動したままの状態に維持する機能を発揮する。
従って、本例の場合には、上記反対方向の力が上記圧縮
コイルばね25aによる押圧力よりも大きくなった時点
で、上記何れか一方のカム47による押圧力を解除でき
る。即ち、本例の場合には、回転力を伝達する間中、上
記カム47に回転力を付与する前記ロータリーソレノイ
ド49を通電状態のままとする必要はない。このロータ
リーソレノイド49への通電は、回転力の伝達を行なう
初期の段階でのみ行なえば良い。この為、省電力化を図
れる。
【0053】一方、上記中心ローラ4aと上記外輪15
aとの間で回転力の伝達を行なわない(或は行なえない
様にする)場合には、上記両ウェッジローラ11a、1
1bを、何れも上記各カム47、47により押圧しな
い。これにより、上記両ウェッジローラ11a、11b
が、それぞれ上記圧縮コイルばね25a、25aによる
押圧力に基づき、上記環状空間23の幅の広い部分に退
避させたままの状態となる。この状態では、上記第一、
第二の各円筒面22、17と総ての第三の円筒面18、
18との当接部の当接圧が低下若しくは喪失し、上記中
心ローラ4aと上記外輪15aとの間で回転力の伝達を
行なえなくなる。従って、本例の摩擦ローラ式変速機の
場合には、上記各カム47、47に回転力を付与する各
ロータリーソレノイド49、49の通電状態を適宜切り
換える事により、前記出力軸20aから前記入力軸6a
に向けて動力が逆流するのを防止したり、或は、必要に
応じて入力軸6aから出力軸20aへの動力伝達を不能
にする事ができる。
【0054】又、上述の様に構成し作用する本例の摩擦
ローラ式変速機の場合、上記各ウェッジローラ11a、
11bを上記各カム47、47により、前記各圧子4
6、46及び支持軸7b、7cを介して押圧する構造を
採用している。又、上記各カム47、47と上記各圧子
46、46と上記各支持軸7b、7cとは、上記圧縮コ
イルばね25a、25aの弾力により当接したままの状
態となる。言い換えれば、本例の構造によれば、前述し
た従来構造の第2例の様に、上記各カム47、47と上
記各圧子46、46等との間に隙間を設ける必要がな
い。この為、この隙間の大きさを調整すると言った面倒
な作業を省略でき、摩擦ローラ式変速機の組立作業の容
易化を図れる。又、上記各カム47、47と上記各圧子
46、46等との間には隙間が存在しないし、上記各部
材47、46、7b、7cの位置は、上記各圧縮コイル
ばね25a、25aの伸縮により、適宜調節される。こ
の為、運転時に構成部材が弾性変形や熱膨張した場合で
も、上記各カム47、47による押圧力を十分に確保で
きる。
【0055】又、本例の場合には、上記各カム47、4
7に回転力を付与するロータリーソレノイド49、49
を、前記ハウジング3aの外側に設けている。この為、
このロータリーソレノイド49、49の配置の自由度を
大きくできる。又、上記ウェッジローラ11a、11b
を押圧する部材が上記カム47である為、小さなロータ
リーソレノイド49でも大きな押圧力を発生させる事が
できる。この為、このロータリーソレノイド49を小さ
くできる分、全体の小型化を図れる。又、本例の場合に
は、動力伝達部材である上記カム47及び前記ロッド4
8を、上記環状空間23の内側に、この環状空間23の
軸方向端部から差し込んで配置した如き構造を採用して
いる。この為、本例の様に、上記カム47を前記外輪1
5aの内径側に配置する必要がある構造でも、このカム
47の配置が可能となる。
【0056】次に、図8は、本発明の実施の形態の第2
例を示している。本例の摩擦ローラ式変速機は、それぞ
れが一方向の回転力のみを伝達自在な1対の摩擦ローラ
式変速ユニット60a、60b同士を、伝達可能な回転
力の方向を互いに逆にした状態で組み合わせる事によ
り、両方向の回転力の伝達を自在に構成している。この
様な本例の摩擦ローラ式変速機を構成する、上記各摩擦
ローラ式変速ユニット60a、60bはそれぞれ、中心
ローラ4b(4c)と外輪15b(15c)との間の環
状空間23内に設けた3個の中間ローラのうち、2個の
中間ローラをガイドローラ10a、10bとし、残り1
個の中間ローラをウェッジローラ11cとしている。そ
して、これら各摩擦ローラ式変速ユニット60a、60
b同士で上記ウェッジローラ11cが上記環状空間23
の幅の狭い部分(図8の上側部分)に向け移動する方向
を円周方向に関して互いに逆にした状態で、これら各摩
擦ローラ式変速ユニット60a、60bを構成する中心
ローラ4b、4cの端部同士並びに外輪15b、15c
の端部同士を、回転力の伝達自在に結合している。
【0057】尚、図示の例では、上記各中心ローラ4
b、4cの端部同士を、ラジアル方向に関する若干のが
たを持たせて凹凸係合させると共に、上記各外輪15
b、15cの端部同士を、ラジアル方向に関する若干の
がたを持たせてピン係合させている。この構成により、
上記各中心ローラ4b、4c同士並びに上記各外輪15
b、15c同士を、ラジアル方向に関する若干の相対変
位自在に、且つ回転力の伝達自在に結合している。そし
て、後述する回転力の伝達時に、上記各摩擦ローラ式変
速ユニット60a、60b同士で互いに独立に、上記中
心ローラ4b(4c)と上記外輪15b(15c)との
調心を行なわせて、この中心ローラ4b(4c)の外周
面に設けた第一の円筒面22及び上記外輪15b(15
c)の内周面に設けた第二の円筒面17と、上記ガイド
ローラ10a、10b及びウェッジローラ11cの各外
周面に設けた第三の円筒面18、18との当接部の当接
圧を、それぞれ適正値にできる様にしている。
【0058】又、上述した第1例の場合と同様、圧縮コ
イルばね25a、25a(図3、7参照)により、それ
ぞれ上記各ウェッジローラ11c、11cを上記環状空
間23の幅の広い部分(図8の下側部分)に向け弾性的
に押圧している。これと共に、ロッド48、48と共に
動力伝達部材を構成するカム47、47(図3、7参
照)により、それぞれ上記各圧縮コイルばね25a、2
5aによる押圧力に抗して上記各ウェッジローラ11
c、11cを、上記環状空間23の幅の狭い部分に向け
押圧自在としている。
【0059】上述の様に構成する本例の摩擦ローラ式変
速機の場合、上記中心ローラ4b(4c)と上記外輪1
5b(15c)との間で回転力の伝達を行なう場合に
は、前述した第1例の場合と同様、伝達すべき回転力の
方向に応じて、何れか一方のウェッジローラ11cを、
何れか一方のカム47により押圧する。これにより、当
該ウェッジローラ11cを上記環状空間23の幅の狭い
部分に向け移動させる。この結果、当該ウェッジローラ
11cを含んで構成する何れか一方の摩擦ローラ式変速
ユニット60a(60b)部分で、何れか一方向の回転
力の伝達が自在となる。
【0060】即ち、この何れか一方の摩擦ローラ式変速
ユニット60a(60b)を構成する、上記各ガイドロ
ーラ10a、10b及びウェッジローラ11c(3個の
中間ローラ)の各外周面に設けた第三の円筒面18、1
8と、前記第一、第二の各円筒面22、17とが、それ
ぞれ強く当接する。これにより、上記中心ローラ4b
(4c)と上記外輪15b(15c)との間で何れか一
方向の回転力の伝達が自在となる。特に、本例の場合に
は、何れの摩擦ローラ式変速ユニット60a(60b)
が回転力の伝達を行なう場合でも、当該ユニット60a
(60b)を構成する3個の中間ローラ(10a、10
b、11c)に関する第三の円筒面18、18と上記第
一、第二の各円筒面22、17とが強く当接する。この
為、前述した第1例の場合と同様、大きな回転力を伝達
する場合でも、上記3個の中間ローラ(10a、10
b、11c)に対して上記中心ローラ4b(4c)及び
外輪15b(15c)が退避する事はない。この為、上
記各円筒面18、22、17同士の当接部の当接圧を十
分に確保して、これら各当接部で滑りが生じる事を防止
できる。この為、大きな回転力を伝達できると共に、高
い伝達効率を得られる。
【0061】一方、上記中心ローラ4b(4c)と上記
外輪15b(15c)との間で回転力の伝達を行なわな
い(或は行なえない様にする)場合には、上記両ウェッ
ジローラ11c、11cを、何れも前記各カム47、4
7により押圧しない。これにより、上記両ウェッジロー
ラ11c、11cを、それぞれ前記圧縮コイルばね25
a、25aによる押圧力に基づき、前記環状空間23の
幅の広い部分に退避させたままの状態とする。この状態
では、前記各摩擦ローラ式変速ユニット60a、60b
に関する第一〜第三の各円筒面22、17、18同士の
当接部の当接圧が低下若しくは喪失し、上記中心ローラ
4b(4c)と上記外輪15b(15c)との間で回転
力の伝達を行なえなくなる。従って、本例の摩擦ローラ
式変速機の場合も、上記各カム47、47に回転力を付
与する各ロータリーソレノイド49、49(図1、6、
7参照)の通電状態を適宜切り換える事により、上記外
輪15b(15c)に結合した出力軸20a(図1参
照)から上記中心ローラ4b(4c)に結合した入力軸
6a(図1参照)に向けて動力が逆流するのを防止した
り、或は、必要に応じて入力軸6aから出力軸20aへ
の動力伝達を不能にする事ができる。
【0062】尚、上述した第1〜2例では、1対のウェ
ッジローラを、それぞれ圧縮コイルばねとカムとにより
押圧する構造とした。これに対して、一方のウェッジロ
ーラを、上述した第1〜2例の様に圧縮コイルばねとカ
ムとにより押圧する構造とし、他方のウェッジローラ
を、前述した従来構造の様に圧縮コイルばねにより環状
空間の幅の狭い部分に向け押圧する構造とすれば、両方
向の回転力の伝達を行なえる構造で、一方向の回転力の
みに関して、この回転力の伝達を自在とするか否かを選
択できる。又、上記圧縮コイルばねと上記カムとにより
上記ウェッジローラを押圧する方向は、上述した第1〜
2例の場合と逆にする事もできる。この場合には、回転
力の伝達を不能にする場合にのみ、上記ウェッジローラ
を、上記カムにより環状空間の幅の広い部分に向け押圧
する。
【0063】又、上述した第1〜2例では、ウェッジロ
ーラを押圧する動力伝達部材として、カム及びロッドを
採用したが、この様な動力伝達部材としては、リンク機
構や、アウタチューブとインナケーブルとを組み合わせ
たボーデンワイヤ等を採用する事もできる。上記動力伝
達部材としてこのボーデンワイヤを採用する場合には、
このボーデンワイヤを構成するインナケーブルの先端部
により、支持軸等を介して上記ウェッジローラを押圧す
る。又、この場合に、上記インナケーブルに押圧力を付
与する駆動装置としては、ロータリーソレノイドの他、
直動式のソレノイドを採用する事もできる。
【0064】又、上述した第1〜2例では、中心ローラ
を入力側とし、外輪を出力側とする事により、摩擦ロー
ラ式変速機を減速機として利用する場合に就いて示し
た。これに対して、上記外輪を入力側とし、上記中心ロ
ーラを出力側とする事により、摩擦ローラ式変速機を増
速機として利用する場合も、入出力の方向が逆になる以
外、上述した各例の場合と同様の作用により、上記外輪
と上記中心ローラとの間で両方向の回転力の伝達(若し
くは伝達解除)を行なえる。
【0065】尚、本発明の摩擦ローラ式変速機は、例え
ば、電動モータの回転軸に結合する事により、使用時に
この回転軸を適宜惰性回転させる用途に適する。例え
ば、エンジンと電動モータとの双方を駆動源として走行
する自動車に於いて、本発明の摩擦ローラ式変速機を上
記電動モータと負荷との間に減速機として組み込めば、
上記エンジンの駆動力で自動車を走行させる際に、上記
摩擦ローラ式変速機による回転力の伝達を不能にする事
により、上記電動モータの存在が上記エンジンの負荷と
ならない様にする事ができる。又、上記摩擦ローラ式変
速機による回転力の伝達を可能にする事により、上記電
動モータの駆動力で自動車を走行させたり、或は回生ブ
レーキの作動や回生発電を行なわせる事ができる。
【0066】
【発明の効果】本発明の摩擦ローラ式変速機は、以上に
述べた通り構成され作用する為、中心ローラと外輪との
間で両方向の回転力の伝達を、それぞれ自在とするか否
かを適宜選択できる。又、大きな回転力を伝達できると
共に、高い伝達効率を得られる。この為、各種機械装置
の性能向上と運転経費の節減とを図れる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態の第1例を示す断面図。
【図2】図1のA−A断面図。
【図3】同B−B断面図。
【図4】同C−C断面図。
【図5】動力伝達部の構造を大略的に示す、部分切断斜
視図。
【図6】図1の右方から見た図。
【図7】ウェッジローラの押圧機構を示す、要部断面
図。
【図8】本発明の実施の形態の第2例を示す、図5と同
様の図。
【図9】従来構造の第1例を示す断面図。
【図10】図9のD−D断面図。
【図11】同E−E断面図。
【図12】動力伝達時の各構成部材の作動状態を説明す
る為の、図10〜11と同方向から見た状態で示す略
図。
【図13】従来構造の第2例を示す断面図。
【図14】図13のF−F断面図。
【図15】同G−G断面図。
【図16】図14のH−H断面図。
【図17】動力伝達時に中心ローラ及び外輪に加わる力
を説明する為の略図。
【符号の説明】
1、1a 本体 2、2a 蓋体 3、3a ハウジング 4、4a、4b 中心ローラ 5 通孔 6、6a 入力軸 7a、7b、7c、7d 枢軸 8 連結板 9、9a 支持孔 10、10a、10b ガイドローラ 11a、11b、11c ウェッジローラ 12、12a ラジアルニードル軸受 13、13a 突部 14、14a 連結ボルト 15、15a、15b、15c 外輪 16 凸部 17 第二の円筒面 18 第三の円筒面 19 結合ブラケット 20、20a 出力軸 21 第二の通孔 22 第一の円筒面 23 環状空間 24、24a シリンダ孔 25、25a 圧縮コイルばね 26 内径側当接部 27 外径側当接部 28 ブロック 29 通孔 30 玉軸受 31 係合凸部 32 係合凹溝 33 第一の連結板 34 第二の連結板 35 第三の連結板 36 補助ガイドローラ 37 剛球 38 結合板部 39 突片 40 切り欠き 41 係止溝 42 止め輪 43 複列ラジアル玉軸受 44、44a 押圧ピン 45 第二のシリンダ孔 46 圧子 47 カム 48 ロッド 49 ロータリーソレノイド 50 保持孔 51 ソレノイド 52 貫通孔 53 貫通孔 54 シール部材 55 結合部材 56a、56b 給油口 57 排油口 58 通油路 59 通油路 60a、60b 摩擦ローラ式変速ユニット
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 3J051 AA01 BA03 BB08 BC02 BC03 BD01 BE03 BE04 EA05 EA10 EB03 EC03 ED01 ED04 ED05 FA08 3J103 AA02 AA09 AA41 AA83 BA43 CA26 CA63 FA26 GA02 GA52

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 外周面を第一の円筒面とした中心ローラ
    と、内周面を第二の円筒面としてこの中心ローラの周囲
    に、この中心ローラに対する相対回転を自在に設けられ
    た外輪と、上記第一の円筒面と上記第二の円筒面との間
    の環状空間内に、上記中心ローラと平行に配置された3
    本以上の支持軸と、これら各支持軸により回転自在に支
    持され、それぞれの外周面を上記第一、第二の各円筒面
    と当接自在な第三の円筒面とした3個以上の中間ローラ
    とを備え、上記中心ローラの中心と上記外輪の中心とを
    偏心させる事により、上記環状空間の幅寸法を円周方向
    に関して不同にし、上記3個以上の中間ローラのうちの
    2個の中間ローラを少なくとも上記環状空間の円周方向
    に変位自在に支持してウェッジローラとすると共に、こ
    れらウェッジローラとなる2個の中間ローラを上記環状
    空間の幅の狭い部分に向け円周方向に関して互いに逆方
    向に変位可能とし、上記中心ローラと上記外輪との間で
    回転力の伝達を行なう際に上記ウェッジローラとなる2
    個の中間ローラのうちの何れか一方の中間ローラを上記
    環状空間の幅の狭い部分に向け移動させる事により、こ
    れら中心ローラと外輪との間で両方向の回転力の伝達を
    自在とした摩擦ローラ式変速機に於いて、上記ウェッジ
    ローラとなる2個の中間ローラのうちの少なくとも1個
    の中間ローラを、押圧手段により上記環状空間の幅の狭
    い部分と幅の広い部分とのうちの一方の部分に向けて弾
    性的に押圧すると共に、動力伝達部材により上記環状空
    間の幅の狭い部分と幅の広い部分とのうちの他方の部分
    に向けて押圧自在とし、且つ、この動力伝達部材により
    当該中間ローラを押圧する事でこの中間ローラを上記押
    圧手段による押圧力に抗して上記他方の部分に向けて変
    位自在としており、上記動力伝達部材は、その一部を上
    記環状空間の外側にこの環状空間の軸方向端部から突出
    させると共に、この突出させた部分を上記環状空間の外
    側に設けた駆動装置に結合しており、且つ、この駆動装
    置の駆動力に基づいて上記ウェッジローラとなる少なく
    とも1個の中間ローラを上記他方の部分に向けて押圧自
    在とした事を特徴とする摩擦ローラ式変速機。
  2. 【請求項2】 中心ローラと外輪との間で回転力の伝達
    を行なう際に、少なくとも3個の中間ローラの外周面で
    ある第三の円筒面が、環状空間の円周方向に関して互い
    に位相を異ならせた部分で、それぞれ上記中心ローラの
    外周面である第一の円筒面及び上記外輪の内周面である
    第二の円筒面に強く当接する、請求項1に記載した摩擦
    ローラ式変速機。
  3. 【請求項3】 動力伝達部材が、ロッドと、このロッド
    の端部に結合され、このロッドが回動する事に基づいて
    ウェッジローラとなる中間ローラを他方の部分に向けて
    押圧自在なカムとから成るものであり、駆動装置が、環
    状空間の軸方向端部からこの環状空間の外側に突出した
    上記ロッドの一部に、このロッドを回転駆動自在に結合
    したロータリーソレノイドである、請求項1〜2の何れ
    かに記載した摩擦ローラ式変速機。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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