JP4442236B2 - トロイダル型無段変速機 - Google Patents

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Description

この発明に係るトロイダル型無段変速機は、自動車用自動変速装置の変速ユニットとして、或はポンプ等の各種産業機械の運転速度を調節する為の変速装置として利用する。
自動車用変速機を構成する変速機の一種としてトロイダル型無段変速機が知られ、一部で実施されている。この様な既に一部で実施されているトロイダル型無段変速機は、入力部から出力部への動力の伝達を互いに平列に設けられた2系統に分けて行なう、所謂ダブルキャビティ型と呼ばれているものである。この様なトロイダル型無段変速機は従来から、特許文献1〜3等、多数の刊行物に記載されて周知であるが、その基本構造に就いて、図3により説明する。
この図3に示したトロイダル型無段変速機は、特許請求の範囲に記載した回転軸に相当する入力回転軸1を有する。そして、この入力回転軸1の中間部基端寄り(図3の左寄り)部分及び先端寄り(図3の右寄り)部分の周囲に、それぞれ特許請求の範囲に記載した外側ディスクに相当する入力側ディスク2a、2bを支持している。これら両入力側ディスク2a、2bは上記入力回転軸1に対し、それぞれが特許請求の範囲に記載した軸方向片面であってトロイド曲面である入力側面3、3同士を互いに対向させた状態で、それぞれボールスプライン4、4を介して支持している。従って上記両入力側ディスク2a、2bは、上記入力回転軸1の周囲に、この入力回転軸1の軸方向の変位自在に、且つ、この入力回転軸1と同期した回転自在に支持されている。
又、上記入力回転軸1の基端部(図3の左端部)と上記入力側ディスク2aの外側面(上記入力側面の反対側面)との間に、転がり軸受5と、ローディングカム式の押圧装置6とを設けている。そして、この押圧装置6を構成するカム板7を、駆動軸8により回転駆動自在としている。これに対して、上記入力回転軸1の先端部(図3の右端部)と上記別の入力側ディスク2bの外側面との間に、ローディングナット9と、大きな弾力を有する皿板ばね10とを設けている。
上記入力回転軸1の中間部は、トロイダル型無段変速機を収納したケーシング11(後述する図1、5参照)内に設置した隔壁部12に設けた通孔13を挿通している。この通孔13の内径側には円筒状の出力筒14を、1対の転がり軸受15、15により回転自在に支持しており、この出力筒14の中間部外周面に出力歯車16を固設している。又、この出力筒14の両端部で上記隔壁部12の両外側面から突出した部分に、特許請求の範囲に記載した内側ディスクに相当する出力側ディスク17a、17bを、スプライン係合により、上記出力筒14と同期した回転自在に支持している。
この状態で、特許請求の範囲に記載した軸方向両側面であってそれぞれがトロイド曲面である、上記各出力側ディスク17a、17bの出力側面18、18が、前記各入力側面3、3に対向する。又、これら両出力側ディスク17a、17bの内周面のうちで上記出力筒14の端縁よりも突出した部分と上記入力回転軸1の中間部外周面との間に、それぞれニードル軸受19、19を設けている。そして、上記各出力側ディスク17a、17bに加わる荷重を支承しつつ、上記入力回転軸1に対するこれら各出力側ディスク17a、17bの回転及び軸方向変位を自在としている。
又、上記入力回転軸1の周囲で上記入力、出力両側面3、18同士の間部分(キャビティ)に、それぞれ複数個(一般的には2個)ずつのパワーローラ20、20を配置している。これら各パワーローラ20、20はそれぞれ、上記入力、出力両側面3、18に当接する周面21、21を球状凸面とされたもので、特許請求の範囲に記載した支持部材であるトラニオン22、22のうちで、上記入力側軸1に対向する内側面部分に、支持軸23、23と、ラジアルニードル軸受24、24と、スラスト玉軸受25、25と、スラストニードル軸受26、26とにより、回転及び若干の揺動変位自在に支持されている。即ち、上記各支持軸23、23は基半部と先半部とが互いに偏心した偏心軸であり、このうちの基半部を上記各トラニオン22、22の中間部に、図示しない別のラジアルニードル軸受により、揺動変位自在に支持している。
上記各パワーローラ20、20は、この様な支持軸23、23の先半部に、上記ラジアルニードル軸受24、24と上記スラスト玉軸受25、25とにより、回転自在に支持している。又、構成各部材の弾性変形に基づく、上記入力回転軸1の軸方向に関する上記各パワーローラ20、20の変位を、上記別のラジアルニードル軸受と上記各スラストニードル軸受26、26とにより、自在としている。
更に、上記各トラニオン22、22は、(図3で表裏方向の)両端部に設けた枢軸を、前記ケーシング11内に設置した支持板27a、27b(後述する図5〜6参照)に、揺動並びに軸方向の変位自在に支持している。即ち、上記各トラニオン22、22は、図3の時計方向及び反時計方向の変位自在に支持すると共に、図示しないアクチュエータにより、上記枢軸の軸方向(図3及び図5〜6の左半部の表裏方向、図5〜6の右半部の上下方向)に変位させられる様にしている。
上述の様に構成するトロイダル型無段変速機の運転時には、前記駆動軸8により前記入力側ディスク2aを、前記押圧装置6を介して回転駆動する。この押圧装置6は、軸方向の推力を発生させつつ上記入力側ディスク2aを回転駆動するので、上記入力側ディスク2aを含む1対の入力側ディスク2a、2bが、前記各出力側ディスク17a、17bに向け押圧されつつ、互いに同期して回転する。この結果、上記各入力側ディスク2a、2bの回転が、上記各パワーローラ20、20を介して上記各出力側ディスク17a、17bに伝わり、前記出力筒14を介してこれら各出力側ディスク17a、17bと結合された、前記出力歯車16が回転する。
運転時には上記押圧装置6が発生する推力により、上記各パワーローラ20、20の周面21、21と上記入力、出力両側面3、18との各当接部の面圧が確保される。又、この面圧は、上記駆動軸8から上記出力歯車16に伝達する動力(トルク)が大きくなる程高くなる。この為、トルク変化に関わらず、良好な伝達効率を得られる。又、伝達すべきトルクが0若しくは僅少の場合にも、前記皿板ばね10及び上記押圧装置6の内径側に設けた予圧ばね60により、上記各当接部の面圧を或る程度確保する。従って、上記各当接部でのトルク伝達は、起動直後から、過大な滑りを伴う事なく、円滑に行なわれる。
上記駆動軸8とこの出力歯車16との間の変速比を変える場合には、図示しないアクチュエータにより上記各トラニオン22、22を、図3の表裏方向に変位させる。この場合、図3の上半部のトラニオン22、22と下半部のトラニオン22、22とは、互いに逆方向に、同じ量だけ変位させる。この変位に伴って、上記各パワーローラ20、20の周面21、21と上記入力、出力両側面3、18との当接部の接線方向に加わる力の向きが変化する。そして、この接線方向の力によって、上記各トラニオン22、22が、それぞれの両端部に設けた前記枢軸を中心として揺動する。
この揺動に伴って、上記各パワーローラ20、20の周面21、21と上記入力、出力両側面3、18との当接部の、これら両側面3、18の径方向に関する位置が変化する。これら各当接部が、上記入力側面3の径方向外側に、上記出力側面18の径方向内側に、それぞれ変化する程、上記変速比は増速側に変化する。これに対して、上記各当接部が、上記入力側面3の径方向内側に、上記出力側面18の径方向外側に、それぞれ変化する程、上記変速比は減速側に変化する。
上述の様に構成し作用するトロイダル型無段変速機の伝達効率並びに耐久性を確保する為には、上記各パワーローラ20、20の傾斜角度を互いに同期させる事が必要である。これら各パワーローラ20、20の傾斜角度がずれると、何れかのパワーローラ20の周面21と、入力側面3及び出力側面18との転がり接触部で過大な滑りが発生し、上記伝達効率並びに耐久性が低下する。この為に、上記図示しないアクチュエータによる、上記各トラニオン22、22の変位量を一致させるべく、これら各アクチュエータに給排する圧油の量を一致させている。更に、油圧制御回路の故障時にも、上記各パワーローラ20、20の傾斜角度に過大なずれが発生しない様に、例えば、特許文献4等に記載された構造により、これら各パワーローラ20、20を支持した上記各トラニオン22、22同士を機械的に結合している。
図4は、上記特許文献4に記載された、各パワーローラ20、20の傾斜角度を機械的に同期させる為の同期機構の1例を示している。この同期機構を構成する為に、各トラニオン22、22の軸方向(図4の表裏方向)端部に、プーリ28、28を固定し、これら各プーリ28、28に、それぞれが無端状である同期ケーブル29、29を掛け渡している。これら各同期ケーブル29、29は、同一キャビティ内に存在する1対のトラニオン22、22の端部に固定した1対のプーリ28、28同士の間に襷掛けに掛け渡し、対角線位置に存在する(異なるキャビティ内で各ディスク2a、2b、17a、17bの円周方向反対側に存在する)プーリ28、28同士の間にそのまま掛け渡している。この構成により、合計4個のトラニオン22、22を、変速比変更方向に関して同方向に、同一角度だけ回動自在としている。
ところで、前述の図3に示した従来構造の場合、1対の出力側ディスク17a、17bの外側面61、61同士の間隔が大きくなり、トロイダル型無段変速機の軸方向寸法が嵩み、このトロイダル型無段変速機が大型化し重量が増大する。この様な大型化、重量の増大を防止する為の技術として、特許文献5には、図5〜6に示す様な構造を有する、トロイダル型無段変速機に関する発明が記載されている。この図5〜6は、トロイダル型無段変速機30と遊星歯車式変速機31とを組み合わせて、大きな変速比を得られる無段変速装置を構成したものであるが、本発明は、このうちのトロイダル型無段変速機30の構造の改良に関する為、このトロイダル型無段変速機30に就いて簡単に説明する。尚、図5〜6で、一方のキャビティと他方のキャビティとの断面位置は、円周方向に関して90度異なる。
上記トロイダル型無段変速機30は、1対の入力側ディスク2a、2bと、一体型の出力側ディスク17cと、複数のパワーローラ20、20とを備える。そして、上記1対の入力側ディスク2a、2bは、入力軸32を介して互いに同心に、且つ、同期した回転を自在として結合されている。又、上記出力側ディスク17cは、上記両入力側ディスク2a、2b同士の間に、これら両入力側ディスク2a、2bと同心に、且つ、これら両入力側ディスク2a、2bに対する相対回転を自在として支持されている。更に、上記各パワーローラ20、20は、上記出力側ディスク17cの軸方向両側面と上記両入力側ディスク2a、2bの軸方向片側面との間に、それぞれ複数個ずつ挟持されている。そして、これら両入力側ディスク2a、2bの回転に伴って回転しつつ、これら両入力側ディスク2a、2bから上記出力側ディスク17cに動力を伝達する。
又、上記出力側ディスク17cの軸方向両端部を、1対のスラストアンギュラ玉軸受33、33により、回転自在に支持している。この為に、上記入力軸32を挟んで径方向反対側に、互いに同心に設けられた1対の支持ポスト34a、34bを、円環状の保持環35により連結している。上記入力軸32は、この保持環35の内側を挿通している。そして、各キャビティ毎に設けたこれら各保持環35、35と、上記出力側ディスク17cの軸方向両端面との間に、上記各スラストアンギュラ玉軸受33、33を設けている。この構成により上記出力側ディスク17cを、各キャビティ内に1対ずつ設けた上記各支持ポスト34a、34b同士の間に、径方向及び軸方向に関する位置決めを図った状態で、回転自在に支持している。
又、図示の無段変速装置の場合、前記入力軸32の基端部(図1の左端部)を図示しないエンジンのクランクシャフトに、トーションダンパ36を介して結合し、このクランクシャフトにより上記入力軸32を回転駆動する様にしている。又、前記両入力側ディスク2a、2bの軸方向片側面及び上記出力側ディスク17cの両側面と上記各パワーローラ20、20の周面との転がり接触部(トラクション部)に適正な面圧を付与する為の押圧装置6aとして、油圧式のものを使用している。又、上記入力軸32の基端部周囲にはギヤポンプ37を設けて、上記押圧装置6a及び変速の為にトラニオン22、22を変位させる為の油圧式のアクチュエータ(図示省略)、並びに低速用クラッチ38及び高速用クラッチ39を断接させる為の油圧シリンダに圧油を供給自在としている。
又、上記出力側ディスク17cに中空回転軸40の基端部(図5〜6の左端部)をスプライン係合させている。そして、この中空回転軸40を、エンジンから遠い側(図5〜6の右側)の入力側ディスク2bの内側に挿通して、上記出力側ディスク17cの回転力を取り出し自在としている。更に、上記中空回転軸40の先端部(図5〜6の右端部)で上記入力側ディスク2bの外側面から突出した部分に太陽歯車41を設けて、前記遊星歯車式変速機31の第一の入力部としている。一方、上記入力軸32の先端部(図5〜6の右端部)で上記中空回転軸40から突出した部分と上記入力側ディスク2bとの間にキャリア42を掛け渡して、上記遊星歯車式変速機31の第二の入力部としている。
上述の様に構成する本例の無段変速装置の場合、入力軸32から1対の入力側ディスク2a、2b、各パワーローラ20、20を介して一体型の出力側ディスク17cに伝わった動力は、前記中空回転軸40を通じて取り出される。そして、前記低速用クラッチ38を接続し、前記高速用クラッチ39の接続を断った状態では、前記トロイダル型無段変速ユニット30の変速比を変える事により、上記入力軸32の回転速度を一定にしたまま、出力軸59の回転速度を、停止状態を挟んで正転、逆転に変換自在となる。これに対して、上記低速用クラッチ38の接続を断ち、上記高速用クラッチ39を接続した状態では、上記出力軸59を、車両を前進させる方向に回転させる。
上述の様に構成し作用する無段変速装置に組み込んだ上記トロイダル型無段変速ユニット30の場合には、前述の図3に示した従来構造の場合とは異なり、1対の出力側ディスク17a、17b同士の間に転がり軸受15、15、並びにこの転がり軸受15、15を支持する為の隔壁部12(図3参照)を設置する必要がなくなる。そして、一体型の出力側ディスク17cを使用する等、この出力側ディスク17cの設置部分の軸方向寸法を短縮する事ができる。そして、この様に軸方向寸法を短縮した分だけ、トロイダル型無段変速ユニット30の小型・軽量化を図れる。
しかも、図5〜6に示した構造の場合には、上記出力側ディスク17cを、軸方向両側面を出力側面18、18とした一体構造としているので、トロイダル型無段変速ユニット30の運転時に上記各出力側面18、18に加わる力が、上記出力側ディスク17c内で互いに相殺される。この結果上記出力側ディスク17cは、前記各パワーローラ20、20から加わるモーメント荷重に拘らず、弾性変形を抑えられる。この為、上記出力側ディスク17cの軸方向に関する厚さ寸法の短縮化が可能になり、その面からもトロイダル型無段変速機の小型・軽量化が可能になる。
ところが、図5〜6に示した構造の場合、そのままでは、同一キャビティ内に存在する1対のパワーローラ20、20(を支持したトラニオン22、22)の傾斜角度を同期させる為の同期ケーブル29(図4参照)を掛け渡す事ができない。即ち、この同期ケーブル29を襷掛けに掛け渡した状態でこの同期ケーブル29の中間部同士が交差する部分には、前記支持ポスト34a、34bが存在する。この為、そのままでは上記同期ケーブル29を掛け渡す事はできない。
特許文献6には、1対の支持板(特許文献6に記載されたリンク21、22)を支持する為のリンクサポート(24)の一部で同期ケーブル(特許文献6に記載されたセーフティーワイヤ32)が通過する部分を二股に形成して、リンクサポートと同期ケーブルとの干渉防止を図った構造が記載されている。但し、上記特許文献6に記載された構造の場合、本発明の対象となる図5〜6に示した様な構造とは基本的に大きく異なる。そして、上記特許文献6に記載された構造の場合には、リンクサポートの設置空間が嵩む他、このリンクサポートによる上記両支持板の支持剛性を確保する事が難しくなる等の問題を生じる可能性がある。
各ディスク2a、2b、17cの径方向に互いに同心に配置された支持ポスト34a、34bにより支持板27a、27bを支持する構造で、同一キャビティ内に存在する1対のパワーローラ20、20の傾斜角度を同期させる為の同期ケーブル29を掛け渡す為には、次の様な構造が考えられる。即ち、トラニオン22、22とこれら各トラニオン22、22を枢軸の軸方向に変位させる為のアクチュエータ43、43とを連結するロッド44、44を、このアクチュエータ43、43を収納したアクチュエータボディ45(何れも、本発明の実施例を示す図1参照)及び上記各アクチュエータ43、43への圧油の給排を制御する為の変速比制御弁を備えたバルブボディ(図示省略)よりも下方に突出させ、この突出部分に上記同期ケーブル29を架け渡す為のプーリ28を固定する。
上述の様な構造を採用すれば、支持板27a、27bの支持剛性を確保できる構造で、上記各パワーローラ20、20の傾斜角度を一致させる為の同期ケーブル29を掛け渡せる構造を実現できる。但し、上記ロッド44、44の下端部位置が下がり、車両への搭載性が悪化する事が避けられない。又、何れかのロッド44の下端部には、当該ロッド44を結合したトラニオン22の動きを上記変速比制御弁にフィードバックする為のプリセスカムを固定する必要があるが、このプリセスカムの設置位置が上記トラニオン22から大きく離れると、このトラニオン22の弾性変形が変速比制御の誤差に繋がり易くなる為、好ましくない。やはり図示はしないが、前記特許文献4に記載した様に、歯車伝達機構により各パワーローラ20、20の傾斜角度を一致させる構造を採用する事も考えられるが、同期ケーブル29を使用した構造に比べて構造が複雑化し、重量も嵩む事が避けられない。
特開平2−283949号公報 特開平8−4869号公報 特開平8−61453号公報 特開2000−9199号公報 特開2003−314645号公報 特開平9−217803号公報
本発明は、上述の様な事情に鑑みて、設置空間を嵩ませる事なく支持板の支持剛性を確保でき、しかも変速比制御に悪影響を及ぼさない構造で、各パワーローラの傾斜角度を一致させる為の同期ケーブルを掛け渡せる構造を実現すべく発明したものである。
本発明のトロイダル型無段変速機は、前述した特許文献5に記載されているトロイダル型無段変速機と同様に、ケーシングと、回転軸と、1対の外側ディスクと、内側ディスクと、複数の支持部材と、支持板と、支持ポストと、複数のパワーローラとを備える。
このうちの回転軸は、上記ケーシング内に回転自在に支持されている。
又、上記両外側ディスクは、それぞれが断面円弧形である互いの軸方向片側面同士を対向させた状態で上記回転軸の両端部に、この回転軸と同期した回転を自在として支持されている。
又、上記内側ディスクは、上記回転軸の中間部周囲に、断面円弧形である軸方向両側面を上記各外側ディスクの軸方向片側面に対向させた状態で、上記回転軸に対する相対回転を自在に支持されている。
又、上記各支持部材は、軸方向に関してこれら内側ディスクの軸方向両側面と各外側ディスクの軸方向片側面との間位置にそれぞれ1対ずつ、それぞれの両端部に互いに同心に設けられた枢軸を中心とする揺動変位を自在に設けられている。
又、上記支持板は、上記各枢軸を揺動及び軸方向の変位を許容する状態で支持する為のものである。
又、上記支持ポストは、上記各支持板を支持する為、上記回転軸の軸方向に関して上記内側ディスクと上記両ディスクとの間部分に、それぞれの中心軸の延長線が上記回転軸の中心軸と交差する方向に配置された状態で上記各枢軸の軸方向と平行に配置されている。
又、上記各パワーローラは、上記各支持部材に回転自在に支持され、球状凸面としたそれぞれの周面を、上記内側ディスクの軸方向両側面と各外側ディスクの軸方向片側面とに転がり接触させている。
そして、上記内側ディスクの内径側端部を上記ケーシングの内面に固定した部材に対し転がり軸受により回転自在に支持している。
特に、本発明のトロイダル型無段変速機に於いては、それぞれ別の支持板を支持する為の1対の支持ポストが、互いに同心に配置された状態で、その内側に上記回転軸を挿通自在で上記内側ディスクの端面との間に転がり軸受を挟持する保持環を介して一体的に結合固定されている。
又、上記両支持ポストのうちの一方の支持ポストが、上記ケーシング若しくはケーシング内に固定された部分に対し、凹凸嵌合により位置決め支持されている。
又、他方の支持ポストが、上記ケーシング若しくはケーシング内に固定された部分に対し、位置決めされた状態でボルトにより固定されている。
更に、上記一方の支持ポストの端部に切り欠きが形成されている。
そして、上記各枢軸を中心とする上記各支持部材の揺動変位を同期させる為の同期ケーブルの一部を、上記切り欠きに配設している。
上述の様に構成する本発明の場合、支持ポストにより支持板を支持する構造を採用している為、設置空間を嵩ませる事なく支持板の支持剛性を確保できる。又、上記支持ポストに切り欠きを形成しているので、各パワーローラの傾斜角度を一致させる為の同期ケーブルを掛け渡せる構造を実現できる。
又、本発明の場合には、内側ディスクの軸方向に関する厚さ寸法の短縮化によりトロイダル型無段変速機の小型・軽量化が可能な構造で、同期ケーブルにより各パワーローラの傾斜角度を一致させる構造を実現できる。
しかも、1対の支持ポストの支持剛性を高く、且つ、これら両支持ポストの支持固定作業の容易化を図れる。
更に、上記両支持ポストの支持固定作業の容易化を図れる。
図1〜2は、本発明の実施例を示している。尚、本実施例の特徴は、それぞれが特許請求の範囲に記載した支持部材である、各キャビティ毎に1対ずつのトラニオン22、22をケーシング11内に支持する構造と、これら両トラニオン22、22の内側面に回転自在に支持したパワーローラ20、20の傾斜角度を一致させる為の同期ケーブル29a、29bを配設する部分の構造とにある。その他の部分の構成及び作用は、前述の図5〜6に示した従来構造と同様であるから、同等部分に関する図示並びに説明は省略若しくは簡略にし、以下、本実施例の特徴部分と、先に説明しなかった構造とを中心に説明する。
それぞれ別の支持板27a、27bを支持する為の1対の支持ポスト34a、34bを、互いに同心に配置した状態で、保持環35を介して一体的に結合固定している。この保持環35は、その内側に、特許請求の範囲に記載した回転軸である入力軸32を挿通すると共に、その片側面に、特許請求の範囲に記載した内側ディスクである出力側ディスク17c(図5〜6参照)の端部を回転自在に支持する。上記両支持ポスト34a、34bには上記両支持板27a、27bの中間部を揺動自在に支持している。そして、これら両支持板27a、27bの両端部に形成した円孔46、46の内側に、上記各トラニオン22、22の両端部に設けた枢軸47、47を、ラジアルニードル軸受48、48を介して、回転、軸方向の変位、揺動を自在に支持している。又、上記各トラニオン22、22の下端部に油圧式のアクチュエータ43、43(油圧シリンダ)を、ロッド44、44を介して結合し、上記各トラニオン22、22を上記各枢軸47、47の軸方向に変位自在としている。
上記1対の支持ポスト34a、34bのうちの上方の支持ポスト34aの上部には円柱状部49を形成し、この円柱状部49を、上記ケーシング11を構成する天板部50の下面(内面)に形成した凹孔51に、がたつきなく嵌合させている。この凹孔51の自由状態での内径は、上記円柱状部49の自由状態での外径よりも僅かに小さい。従って、この円柱状部49を上記凹孔51に締り嵌めで内嵌した状態で、上記支持ポスト34aは、トロイダル型無段変速機の幅方向と長さ方向(図1の左右方向と表裏方向)との位置決めが図られる。又、下方の支持ポスト34bの下部には別の円柱状部52を形成し、この円柱状部52を、上記ケーシング11内に固定したアクチュエータボディ45の上面に、上記凹孔51と同心に形成した別の凹孔53に、がたつきなく嵌合させている。そして、上記アクチュエータボディ45の一部を挿通したボルト54、54を、上記下方の支持ポスト34bの下面に形成したねじ孔に螺合し更に緊締して、上記下方の支持ポスト34bを上記アクチュエータボディ45に、位置決めした状態で固定している。
上記上方の支持ポスト34aの上部に形成した円柱状部49には、図2に示す様に、X字形の切り欠き55を形成している。この切り欠き55は、単一のキャビティ内に設けられた1対のトラニオン22、22同士の間に襷掛けに掛け渡す同期ケーブル29aの中間部を配設する為のものである。この為に、上記各支持ポスト34a、34bを、上記各ボルト54、54により所定位置に固定した状態で、上記切り欠き55は、上記両トラニオン22、22の上端部に固定したプーリ28a、28bのうち、下側のプーリ28a、28aの外周面に形成した溝部の接線方向に位置させる。
上記各プーリ28a、28bは、上記両トラニオン22、22の上端部に設けた支持軸部56、56に、これら各支持軸部56、56に対する相対回転を阻止した状態で固定している。即ち、これら各支持軸部56、56の外周面の断面形状は、互いに平行な1対の平坦面を有する等、非円形としており、上記各プーリ28a、28bの中心孔も同形状としている。そして、これら各プーリ28a、28bの中心孔を上記各支持軸部56、56にがたつきなく外嵌した状態で、上記各支持軸部56、56の上端部に形成した雄ねじ部57、57にナット58、58を螺合し更に緊締している。
この様にして、上記両トラニオン22、22の上端部に固定した上記各プーリ28a、28b同士の間には、上記各同期ケーブル29a、29bを掛け渡して、トロイダル型無段変速機を構成する総ての(図示の例では各キャビティ毎に2個ずつ、合計4個の)トラニオン22、22、延てはこれら各トラニオン22、22の内側面に支持した各パワーローラ20、20の傾斜角度を一致させる様にしている。上記各プーリ28a、28bのうち、下側のプーリ28a、28aは、同一のキャビティ内に存在する1対のトラニオン22、22の傾斜角度を一致させる為のもので、上記両プーリ28a、28a同士の間に下側の同期ケーブル29aを襷掛けで、図1の左右方向に掛け渡している。これに対して、上側のプーリ28b、28bは、トロイダル型無段変速機の長さ方向(図1の表裏方向)に隣接するキャビティ内に存在するトラニオン22の傾斜角度を一致させる為のもので、隣接するキャビティ内のプーリ28b同士の間に上側の同期ケーブル29bを襷掛けで、図1の表裏方向に掛け渡している。尚、この上側の同期ケーブル29bの配設位置には、特にこの同期ケーブル29bと干渉する部材は存在しない。
上述の様に構成する本実施例の場合、前記各支持ポスト34a、34bにより前記各支持板27a、27bを支持する構造を採用している為、設置空間を嵩ませる事なく、これら各支持板27a、27bの支持剛性を確保できる。これら各支持板27a、27bの支持剛性の確保は、上記各トラニオン22、22、延ては上記各パワーローラ20、20の位置決め精度の向上に繋がり、トロイダル型無段変速機の伝達効率の向上に寄与する。又、上記支持ポスト34a、34aに切り欠き55を形成しているので、上記各パワーローラ20、20の傾斜角度を一致させる為の上記同期ケーブル29aを掛け渡せる構造を実現できる。
本発明の実施例を示す要部断面図。 支持ポストの上端部の拡大斜視図。 従来から広く知られているトロイダル型無段変速機の基本構成を示す断面図。 従来から知られている、同期ケーブルの配設状態の1例を示す部分切断面図。 従来から知られているトロイダル型無段変速機の具体的構成の1例を示す断面図。 図5のA部拡大図。
1 入力回転軸
2a、2b 入力側ディスク
3 入力側面
4 ボールスプライン
5 転がり軸受
6、6a 押圧装置
7 カム板
8 駆動軸
9 ローディングナット
10 皿板ばね
11 ケーシング
12 隔壁部
13 通孔
14 出力筒
15 転がり軸受
16、16a 出力歯車
17a、17b、17c 出力側ディスク
18 出力側面
19 ニードル軸受
20 パワーローラ
21 周面
22 トラニオン
23、23a 支持軸
24 ラジアルニードル軸受
25 スラスト玉軸受
26 スラストニードル軸受
27a、27b 支持板
28、28a、28b プーリ
29、29a、29b 同期ケーブル
30 トロイダル型無段変速機
31 遊星歯車式変速機
32 入力軸
33 スラストアンギュラ玉軸受
34a、34b 支持ポスト
35 保持環
36 トーションダンパ
37 ギヤポンプ
38 低速用クラッチ
39 高速用クラッチ
40 中空回転軸
41 太陽歯車
42 キャリア
43 アクチュエータ
44 ロッド
45 アクチュエータボディ
46 円孔
47 枢軸
48 ラジアルニードル軸受
49 円柱状部
50 天板部
51 凹孔
52 円柱状部
53 凹孔
54 ボルト
55 切り欠き
56 支持軸部
57 雄ねじ部
58 ナット
59 出力軸
60 予圧ばね
61 外側面

Claims (1)

  1. ケーシングと、このケーシング内に回転自在に支持された回転軸と、それぞれが断面円弧形である互いの軸方向片側面同士を対向させた状態でこの回転軸の両端部に、この回転軸と同期した回転を自在として支持された1対の外側ディスクと、この回転軸の中間部周囲に、断面円弧形である軸方向両側面を上記各外側ディスクの軸方向片側面に対向させた状態で、上記回転軸に対する相対回転を自在に支持された内側ディスクと、軸方向に関してこれら内側ディスクの軸方向両側面と各外側ディスクの軸方向片側面との間位置にそれぞれ1対ずつ、それぞれの両端部に互いに同心に設けられた枢軸を中心とする揺動変位を自在に設けられた支持部材と、これら各枢軸を揺動及び軸方向の変位を許容する状態で支持する為の支持板と、これら各支持板を支持する為、上記回転軸の軸方向に関して上記内側ディスクと上記両ディスクとの間部分に、それぞれの中心軸の延長線が上記回転軸の中心軸と交差する方向に配置された状態で上記各枢軸の軸方向と平行に配置された支持ポストと、上記各支持部材に回転自在に支持され、球状凸面としたそれぞれの周面を、上記内側ディスクの軸方向両側面と各外側ディスクの軸方向片側面とに転がり接触させたパワーローラとを備え、上記内側ディスクの内径側端部を上記ケーシングの内面に固定した部材に対し転がり軸受により回転自在に支持したトロイダル型無段変速機に於いて、それぞれ別の支持板を支持する為の1対の支持ポストが、互いに同心に配置された状態で、その内側に上記回転軸を挿通自在で上記内側ディスクの端面との間に転がり軸受を挟持する保持環を介して一体的に結合固定されており、上記両支持ポストのうちの一方の支持ポストが、上記ケーシング若しくはケーシング内に固定された部分に対し、凹凸嵌合により位置決め支持されており、他方の支持ポストが、上記ケーシング若しくはケーシング内に固定された部分に対し、位置決めされた状態でボルトにより固定されており、上記一方の支持ポストの端部に切り欠きが形成されており、上記各枢軸を中心とする上記各支持部材の揺動変位を同期させる為の同期ケーブルの一部が、上記切り欠きに配設されている事を特徴とするトロイダル型無段変速機。
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