JP4078752B2 - トロイダル型無段変速機 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明に係るトロイダル型無段変速機は、例えば自動車用の変速機の変速ユニットとして、或は各種産業機械用の変速機として、それぞれ利用する。
【0002】
【従来の技術】
自動車用変速機として、図10〜11に略示する様なトロイダル型無段変速機を使用する事が研究されている。このトロイダル型無段変速機は、例えば実開昭62−71465号公報に開示されている様に、入力軸1と同心に入力側ディスク2を支持し、この入力軸1と同心に配置した出力軸3の端部に出力側ディスク4を固定している。トロイダル型無段変速機を納めたケーシング5(後述する図12〜14)の内側には、上記入力軸1並びに出力軸3に対して捻れの位置にある枢軸6、6を中心として揺動するトラニオン7、7を設けている。
【0003】
即ち、これら各トラニオン7、7は、両端部外側面に上記各枢軸6、6を、互いに同心に設けている。従って、これら各枢軸6、6は、上記両ディスク2、4の中心軸と交差する事はないが、この中心軸の方向に対して直角方向に設けられている。又、これら各トラニオン7、7の中心部には変位軸8、8の基端部を支持し、上記各枢軸6、6を中心として各トラニオン7、7を揺動させる事により、上記各変位軸8、8の傾斜角度の調節を自在としている。各トラニオン7、7に支持された変位軸8、8の周囲には、それぞれパワーローラ9、9を回転自在に支持している。そして、これら各パワーローラ9、9を、上記入力側、出力側両ディスク2、4の間に挟持している。これら入力側、出力側両ディスク2、4の互いに対向する内側面2a、4aは、それぞれ断面が、上記枢軸6を中心とする円弧を上記入力軸1及び出力軸3を中心に回転させて得られる凹面をなしている。そして、球状凸面に形成した各パワーローラ9、9の周面9a、9aを、上記各内側面2a、4aに当接させている。
【0004】
上記入力軸1と入力側ディスク2との間には、ローディングカム式の押圧装置10を設け、この押圧装置10によって、上記入力側ディスク2を出力側ディスク4に向け、弾性的に押圧自在としている。この押圧装置10は、入力軸1と共に回転するカム板11と、保持器12により保持した複数個(例えば4個)のローラ13、13とから構成している。上記カム板11の片側面(図10〜11の左側面)には、円周方向に亙る凹凸面であるカム面14を形成し、上記入力側ディスク2の外側面(図10〜11の右側面)にも、同様のカム面15を形成している。そして、上記複数個のローラ13、13を、上記入力軸1の中心に対して放射方向の軸を中心とする回転自在に支持している。
【0005】
上述の様に構成するトロイダル型無段変速機の使用時、入力軸1の回転に伴ってカム板11が回転すると、カム面14によって複数個のローラ13、13が、入力側ディスク2の外側面に形成したカム面15に押圧される。この結果、上記入力側ディスク2が、上記複数のパワーローラ9、9に押圧されると同時に、上記1対のカム面14、15と複数個のローラ13、13との押し付け合いに基づいて、上記入力側ディスク2が回転する。そして、この入力側ディスク2の回転が、上記複数のパワーローラ9、9を介して出力側ディスク4に伝達され、この出力側ディスク4に固定の出力軸3が回転する。
【0006】
入力軸1と出力軸3との回転速度比(変速比)を変える場合で、先ず入力軸1と出力軸3との間で減速を行なう場合には、前記各枢軸6、6を中心として前記各トラニオン7、7を所定方向に揺動させ、上記各パワーローラ9、9の周面9a、9aが図10に示す様に、入力側ディスク2の内側面2aの中心寄り部分と出力側ディスク4の内側面4aの外周寄り部分とにそれぞれ当接する様に、前記各変位軸8、8を傾斜させる。反対に、増速を行なう場合には、上記各枢軸6、6を中心として上記各トラニオン7、7を反対方向に揺動させ、上記各パワーローラ9、9の周面9a、9aが図11に示す様に、入力側ディスク2の内側面2aの外周寄り部分と出力側ディスク4の内側面4aの中心寄り部分とに、それぞれ当接する様に、上記各変位軸8、8を傾斜させる。各変位軸8、8の傾斜角度を図10と図11との中間にすれば、入力軸1と出力軸3との間で、中間の変速比を得られる。
【0007】
上述の様なトロイダル型無段変速機により、実際の自動車用変速機を構成する場合、入力側ディスク2と出力側ディスク4とパワーローラ9、9とを2組設け、これら2組の入力側ディスク2と出力側ディスク4とパワーローラ9、9とを、動力の伝達方向に対して互いに並列に配置する、所謂ダブルキャビティ型のトロイダル型無段変速機も、従来から広く知られている。図12〜14は、この様なダブルキャビティ型のトロイダル型無段変速機の一種で、特公平8−23386号公報に記載されて従来から知られているものを示している。
【0008】
ケーシング5の内側には入力軸1aを、回転のみ自在に支持している。そして、この入力軸1aの周囲に円管状の伝達軸16を、この入力軸1aと同心に、且つこの入力軸1aに対する相対回転を自在に支持している。この伝達軸16の中間部両端寄り部分には、請求項に記載した第一、第二外側ディスクに相当する第一、第二両入力側ディスク17、18を、互いの内側面2a、2a同士を対向させた状態で、それぞれボールスプライン19、19を介して支持している。従って、上記第一、第二両入力側ディスク17、18は、上記ケーシング5の内側に、互いに同心に且つ互いに同期した回転自在に支持されている。
【0009】
又、上記伝達軸16の中間部の周囲には、請求項に記載した第一、第二内側ディスクに相当する第一、第二両出力側ディスク20、21を、スリーブ22を介して支持している。このスリーブ22は、中間部外周面に出力歯車23を一体に設けたもので、上記伝達軸16の外径よりも大きな内径を有し、上記ケーシング5内に設けた支持壁24に、1対の転がり軸受25、25により、上記伝達軸16と同心に、且つ回転のみ自在に支持している。上記第一、第二両出力側ディスク20、21は、この様に上記伝達軸16の中間部周囲に、この伝達軸16に対し回転自在に支持したスリーブ22の両端部に、それぞれの内側面4a、4aを互いに反対に向けた状態で、スプライン係合させている。従って、上記第一、第二両出力側ディスク20、21は、それぞれの内側面4a、4aを上記第一、第二何れかの入力側ディスク17、18の内側面2a、2aに対向させた状態でこれら第一、第二両入力側ディスク17、18と同心に、且つこれら第一、第二両入力側ディスク17、18とは独立した回転自在に支持されている。
【0010】
又、前記ケーシング5の内面で上記第一、第二両出力側ディスク20、21の側方位置には、これら両出力側ディスク20、21を両側から挟む状態で、1対のヨーク26a、26bを支持している。これら両ヨーク26a、26bはそれぞれ、鋼等の金属板にプレス加工を施す事により、或は鋼等の金属材料に鍛造加工を施す事により、矩形枠状に形成している。これら各ヨーク26a、26bは、それぞれの四隅部に、後述する第一、第二両トラニオン27、28の両端部に設けた第一、第二両枢軸29、30を揺動自在に支持する為の円形の支持孔31、31を、上記伝達軸16の軸方向(図12の左右方向)両端部の幅方向(図13〜14の左右方向)中央部に、円形の係止孔32、32を、それぞれ形成している。それぞれがこの様な形状を有する上記1対のヨーク26a、26bは、上記ケーシング5の内面で互いに対向する部分に形成した支持ポスト33a、33bに、若干の変位自在に支持している。これら各支持ポスト33a、33bはそれぞれ、第一入力側ディスク17の内側面2aと第一出力側ディスク20の内側面4aとの間部分である第一キャビティ34、第二入力側ディスク18の内側面2aと第二出力側ディスク21の内側面4aとの間部分である第二キャビティ35に、それぞれ対向する状態で設けている。従って、上記各ヨーク26a、26bを上記各支持ポスト33a、33bに支持した状態で、これら各ヨーク26a、26bの一端部は上記第一キャビティ34の外周部分に、他端部は上記第二キャビティ35の外周部分に、それぞれ対向する。
【0011】
又、上記第一キャビティ34内で第一入力側ディスク17及び第一出力側ディスク20の直径方向反対位置には1対の第一トラニオン27、27を、上記第二キャビティ35内で第二入力側ディスク18及び第二出力側ディスク21の直径方向反対位置には1対の第二トラニオン28、28を、それぞれ配置している。このうち、上記各第一トラニオン27、27の両端部に互いに同心に設けた、各第一トラニオン27、27毎に2本ずつ、合計4本の第一枢軸29、29は、図13に示す様に、上記1対のヨーク26a、26bの一端部に、揺動並びに軸方向に亙る変位自在に支持している。即ち、これら各ヨーク26a、26bの一端部に形成した支持孔31、31の内側に上記各第一枢軸29、29を、ラジアルニードル軸受36、36により支持している。これら各ラジアルニードル軸受36、36はそれぞれ、外周面が球状凸面であり内周面が円筒面である外輪37と複数本のニードル38、38とから成る。従って上記各第一枢軸29、29は、上記各ヨーク26a、26bの一端部の幅方向両側に、各方向の揺動並びに軸方向に亙る変位自在に支持されている。又、上記各第二トラニオン28、28の両端部に互いに同心に設けた1対ずつの第二枢軸30、30は上記第二キャビティ35内に、図14に示す様に、上記第一トラニオン27、27に設けた上記各第一枢軸29、29と同様の構造により支持している。
【0012】
上述の様にして前記ケーシング5の内側に、揺動及び上記第一、第二各枢軸29、30の軸方向に亙る変位自在に支持した、上記第一、第二各トラニオン27、28の中間部にはそれぞれ、図13〜14に示す様に円孔39、39を形成している。そして、これら各円孔39、39部分に、第一、第二各変位軸40、41を支持している。これら第一、第二各変位軸40、41はそれぞれ、互いに平行で且つ偏心した支持軸部42、42と枢支軸部43、43とを、それぞれ有する。このうちの各支持軸部42、42を上記各円孔39、39の内側に、ラジアルニードル軸受44、44を介して、回転自在に支持している。又、上記各枢支軸部43、43の周囲に第一、第二各パワーローラ45、46を、別のラジアルニードル軸受47、47を介して、回転自在に支持している。
【0013】
尚、前記第一、第二各キャビティ34、35毎に1対ずつ設けた、上記第一、第二各変位軸40、41は、上記第一、第二各キャビティ34、35毎に、前記入力軸1a及び伝達軸16に対して180度反対側位置に設けている。又、これら第一、第二各変位軸40、41の各枢支軸部43、43が各支持軸部42、42に対し偏心している方向は、前記第一、第二入力側、出力側各ディスク17、18、20、21の回転方向に関して同方向(図13〜14で上下逆方向)としている。又、偏心方向は、上記入力軸1aの配設方向に対しほぼ直交する方向としている。従って、上記各第一、第二各パワーローラ45、46は、上記入力軸1a及び伝達軸16の配設方向に亙る若干の変位自在に支持される。この結果、トロイダル型無段変速機により伝達するトルクの変動に基づく、構成各部材の弾性変形量の変動等に起因して、上記各第一、第二各パワーローラ45、46が上記入力軸1a及び伝達軸16の軸方向(図12の左右方向、図13〜14の表裏方向)に変位する傾向となった場合でも、構成各部材に無理な力を加える事なく、この変位を吸収できる。
【0014】
又、上記各第一、第二各パワーローラ45、46の外側面と前記第一、第二各トラニオン27、28の中間部内側面との間には、第一、第二各パワーローラ45、46の外側面の側から順に、スラスト玉軸受48、48と、滑り軸受或はニードル軸受等のスラスト軸受49、49とを設けている。このうちのスラスト玉軸受48、48は、上記各第一、第二各パワーローラ45、46に加わるスラスト方向の荷重を支承しつつ、これら各第一、第二各パワーローラ45、46の回転を許容する。又、上記各スラスト軸受49、49は、上記第一、第二各パワーローラ45、46から上記各スラスト玉軸受48、48の外輪50、50に加わるスラスト荷重を支承しつつ、前記枢支軸部43、43及び上記外輪50、50が前記支持軸部42、42を中心に揺動する事を許容する。
【0015】
更に、上記第一、第二各トラニオン27、28の一端部(図13〜14の下端部)にはそれぞれ駆動ロッド51、51を結合し、これら各駆動ロッド51、51の中間部外周面に駆動ピストン52、52を固設している。そして、これら各駆動ピストン52、52を、それぞれ駆動シリンダ53、53内に油密に嵌装している。これら各駆動ピストン52、52と駆動シリンダ53、53とが、それぞれ上記第一、第二各トラニオン27、28を第一、第二各枢軸29、30の軸方向に亙って変位させる為のアクチュエータを構成する。又、上記各駆動シリンダ53、53内には、図示しない制御弁の切り換えに基づいて、圧油を給排自在としている。
【0016】
更に、前記入力軸1aと前記第一入力側ディスク17との間には、ローディングカム式の押圧装置10を設けている。この押圧装置10は、上記入力軸1aの中間部にスプライン係合すると共に軸方向に亙る変位を阻止された状態で支持されて、上記入力軸1aと共に回転するカム板11と、保持器12に転動自在に保持された複数のローラ13とを含んで構成している。そして、上記入力軸1aの回転に基づいて上記第一入力側ディスク17を、第二入力側ディスク18に向け押圧しつつ回転させる。
【0017】
上述の様に構成する、ダブルキャビティ型のトロイダル型無段変速機の運転時、入力軸1aの回転は押圧装置10を介して第一入力側ディスク17に伝えられ、この第一入力側ディスク17と第二入力側ディスク18とが、互いに同期して回転する。そして、これら第一、第二両入力側ディスク17、18の回転が、前記第一、第二両キャビティ34、35内にそれぞれ1対ずつ設けた第一、第二各パワーローラ45、46を介して、第一、第二両出力側ディスク20、21に伝えられ、更にこれら第一、第二両出力側ディスク20、21の回転が、前記出力歯車23より取り出される。入力軸1aと出力歯車23との間の回転速度比を変える場合には、上記制御弁の切り換えに基づいて、上記第一、第二両キャビティ34、35に対応してそれぞれ1対ずつ設けた駆動ピストン52、52を、各キャビティ34、35毎に互いに逆方向に同じ距離だけ変位させる。
【0018】
これら各駆動ピストン52、52の変位に伴って上記1対ずつ合計4個のトラニオン27、28が、それぞれ逆方向に変位し、例えば図13〜14の右側の第一、第二両パワーローラ45、46が各図の下側に、図13〜14の左側の第一、第二両パワーローラ45、46が各図の上側に、それぞれ変位する。この結果、これら各第一、第二各パワーローラ45、46の周面9a、9aと上記第一、第二両入力側ディスク17、18及び第一、第二両出力側ディスク20、21の内側面2a、4aとの当接部に作用する、接線方向の力の向きが変化する。そして、この力の向きの変化に伴って前記第一、第二各トラニオン27、28が、ヨーク26a、26bに枢支した第一、第二各枢軸29、30を中心として、互いに逆方向に揺動する。この結果、前述の図10〜11に示した様に、上記各第一、第二各パワーローラ45、46の周面9a、9aと上記各ディスク17、18、20、21の内側面2a、4aとの当接位置が変化し、上記入力軸1aと出力歯車23との間の回転速度比が変化する。
【0019】
上述の様なトロイダル型無段変速機には、前記駆動ロッド51、51、駆動ピストン52、52、駆動シリンダ53、53等を含んで構成される油圧駆動装置の故障時にも、上記第一、第二各トラニオン27、28の揺動を互いに同期させる為の機構を組み込んでいる。そして、上記油圧駆動装置の故障時にも、上記各ディスク17、18、20、21の内側面2a、4aと各パワーローラ45、46の周面9a、9aとの間に過大な摩擦力が作用する事を防止して、トロイダル型無段変速機が致命的な損傷を受ける事を防止し、しかも最低限の動力伝達を確保できる様にしている。
【0020】
この様な機構として従来から、特開昭63−67458号公報、特開平4−327051号公報、実開昭62−200852号公報等に記載されたものが知られている。図15〜16は、このうちの特開平4−327051号公報に記載された構造の2例を示している。これら図15〜16により、ダブルキャビティ型のトロイダル型無段変速機に於ける、上記第一、第二各トラニオン27、28の揺動を互いに同期させる為の機構に就いて説明する。
【0021】
同期機構を構成すべく、第一、第二各トラニオン27、28の軸方向(図15〜16の表裏方向)端部に、プーリ54、54を固定している。これら各プーリ54、54の外周面は、枢軸29、30(図13〜14参照)と同心の円弧面としている。そして、これら各プーリ54、54の外周面に形成した凹溝にケーブル55、55a、55bの一部を、嵌合させる様にして掛け渡し、上記1対ずつ、合計4個の第一、第二各トラニオン27、28を同期して揺動させる様にしている。即ち、何れの構造の場合も、各組を構成する1対の第一、第二各トラニオン27、28の端部に固定した1対のプーリ54、54同士の間に上記ケーブル55、55を、たすき掛けに掛け渡している。従って、各組を構成する(同一キャビティ内に存在する)1対ずつの第一、第二各トラニオン27、28は、逆方向に同一角度だけ回動自在であり、対角線位置に存在する(異なるキャビティ内で入力軸1aの円周方向反対側に存在する)プーリ54、54は、同方向に同一角度だけ回動自在である。
【0022】
この為に図15に示した第1例の構造では、上記対角線位置に存在するプーリ54、54同士の間にのみ、ケーブル55aを掛け渡し、止め具56、56によって、このケーブル55aと上記対角線位置に存在するプーリ54、54とを結合している。一方、図16に示した第2例の構造では、ケーブル55bを総てのプーリ54、54に掛け渡す代わりに、対角線位置に存在する1対のプーリ54、54にのみ、止め具56、56により、このケーブル55bを結合している。残りのプーリ54、54とケーブル55bとの間には滑り板57、57を介在させて、このケーブル55bの動きがこの残りのプーリ54、54に伝わらない様にしている。図16に示した構造は、ケーブル55bが、第一、第二各出力側ディスク20、21及び大径の出力歯車23等、トロイダル型無段変速機を構成する他の部材と干渉する事を防止する為に採用する。尚、入力側ディスクと出力側ディスクとを、それぞれ1個ずつ設けた、所謂シングルキャビティ型のトロイダル型無段変速機の場合も、図15〜16に示したたすき掛けのケーブル55を設ける事で、複数のトラニオンの揺動を同期させる様にしている。又、図示は省略するが、実公平4−52512号公報、特開平6−117515号公報、同7−243496号公報には、複数のトラニオンの傾斜角度を同期させる機構を、歯車伝達機構により構成する技術が記載されている。
【0023】
【発明が解決しようとする課題】
従来の同期機構は何れも、駆動ロッド51、51の軸方向変位の結果として生じる、各トラニオン7、27、28の傾斜角度を互いに一致させる事を考慮したものであって、上記各駆動ロッド51、51の軸方向変位そのものを同期させるものではなかった。又、同期機構そのものが、あくまでも非常用のものであって、ケーブル55、55a、55bの伸びや歯車のバックラッシュの存在に基づき、上記各トラニオン7、27、28の傾斜角度を厳密に一致させられるものではなかった。上記各駆動ロッド51、51の軸方向変位を同期させるのは、各駆動シリンダ53、53内に導入する油圧を制御する事により行なっている。この為、変速動作開始直後の過渡期には、上記各トラニオン7、27、28の傾斜角度が微妙に異なり、各パワーローラ9、45、46の周面9a、9aと各ディスク2、4、17、18、20、21の内側面2a、4aとの当接部に滑りが発生する可能性がある。
【0024】
この様な原因で各面同士の当接部に発生する滑りは、素早い変速動作を行なうべく、上記各トラニオン7、27、28を各枢軸6、29、30の軸方向に亙り早く移動させた場合に著しくなり易い。そして、上記滑りが発生した場合には、動力の伝達効率が悪化するだけでなく、上記各面の転がり疲れ寿命を低下させる為、好ましくない。そこで、伝達効率の悪化や転がり疲れ寿命の低下を防止しつつ、素早い変速動作を行なえる様にする為には、上記各駆動ロッド51、51の軸方向変位そのものを厳密に同期させる構造を実現する必要がある。
本発明のトロイダル型無段変速機は、上述の様な事情に鑑みて発明したものである。
【0025】
【課題を解決する為の手段】
本発明のトロイダル型無段変速機のうち、請求項1に記載したトロイダル型無段変速機は、従来から知られているトロイダル型無段変速機と同様に、ケーシングと、このケーシングの内側に互いの内側面同士を対向させた状態で、互いに同心に且つ互いに独立した回転自在に支持された入力側ディスク及び出力側ディスクと、これら入力側ディスクと出力側ディスクとの間部分で、これら各ディスクの中心軸と交差する事はないが、この中心軸の方向に対して直角方向となる捻れの位置に存在する、互いに同心若しくは平行な4本以上で偶数本の枢軸と、これら各枢軸を中心として揺動する複数のトラニオンと、これら各トラニオンの内側面から突出した変位軸と、これら各変位軸の周囲に回転自在に支持された状態で、上記入力側ディスクの内側面と出力側ディスクの内側面との間に挟持された、上記各トラニオンと同数のパワーローラと、これら各トラニオンを上記各枢軸の軸方向に亙って変位させる、これら各トラニオンと同数のアクチュエータとを備える。
【0026】
又、請求項2に記載したトロイダル型無段変速機は、従来から知られているダブルキャビティ型のトロイダル型無段変速機と同様に、ケーシングと、このケーシングの内側に互いの内側面同士を対向させた状態で、互いに同心に且つ互いに同期した回転自在に支持された第一、第二外側ディスクと、その内側面を第一外側ディスクの内側面に対向させた状態でこれら第一、第二外側ディスクと同心に、且つこれら第一、第二外側ディスクとは独立した回転自在に支持された第一内側ディスクと、その内側面を第二外側ディスクの内側面に対向させた状態で上記第一内側ディスクと同心に、且つこの第一内側ディスクと同期した回転自在に支持された第二内側ディスクと、上記第一外側ディスクと第一内側ディスクとの間部分で、これら各ディスクの中心軸と交差する事はないが、この中心軸の方向に対して直角方向となる捻れの位置に存在する、互いに同心若しくは平行な4本以上で偶数本の第一枢軸と、これら各第一枢軸を中心として揺動する複数の第一トラニオンと、これら各第一トラニオンの内側面から突出した第一変位軸と、これら各第一変位軸の周囲に回転自在に支持された状態で、上記第一外側ディスクの内側面と第一内側ディスクの内側面との間に挟持された複数個の第一パワーローラと、上記第二外側ディスクと第二内側ディスクとの間部分で、これら各ディスクの中心軸と交差する事はないが、この中心軸の方向に対して直角方向となる捻れの位置に存在する、互いに同心若しくは平行な4本以上で偶数本の第二枢軸と、これら各第二枢軸を中心として揺動する複数の第二トラニオンと、これら各第二トラニオンの内側面から突出した第二変位軸と、これら各第二変位軸の周囲に回転自在に支持された状態で、上記第二外側ディスクの内側面と第二内側ディスクの内側面との間に挟持された複数個の第二パワーローラと、上記各トラニオンを上記各枢軸の軸方向に亙って変位させる、これら各トラニオンと同数のアクチュエータとを備える。
【0027】
特に、本発明のトロイダル型無段変速機に於いては、上記各アクチュエータによる上記各枢軸の軸方向に亙る上記各トラニオンの変位を機械的に同期させる為、複数個の受片と揺動腕とから成る同期機構を設けている。
このうちの各受片は、互いに平行な1対の円輪部の周縁部の円周方向一部同士を部分円筒状の連結部により互いに連結すると共に、この連結部から外れた部分を開口部としたものである。
この様な上記各受片は、上記各トラニオンの端部にそれぞれの基端部を結合固定し、それぞれが上記各アクチュエータにより軸方向に変位させられて上記各トラニオンを上記各枢軸の軸方向に亙り変位させる駆動ロッドの先端部に、それぞれ固定している。
更に、上記揺動腕は、その中央部を固定の部分に、上記各ディスクの回転中心に対し平行に設けた第二の枢軸により枢支している。
そして、上記各受片と上記揺動腕とは、この揺動腕の端部両面で、これら各受片毎に1対ずつの円輪部に対向する部分にそれぞれ形成した各小突起の先端を、これら各円輪部の互いに対向する面に当接させる事により、揺動変位自在に係合している。
【0028】
【作用】
上述の様に構成する本発明のトロイダル型無段変速機は、前述した従来のトロイダル型無段変速機と同様の作用に基づき、入力側ディスクと出力側ディスクとの間、或は第一、第二両外側ディスクと第一、第二両内側ディスクとの間で回転力の伝達を行ない、更にトラニオンの傾斜角度を変える事により、これら両ディスクの回転速度比を変える。
特に、本発明のトロイダル型無段変速機の場合には、各アクチュエータによる各枢軸の軸方向に亙る上記各トラニオンの変位を機械的に同期させる為、素早い変速動作を行なった場合でも、これら各トラニオンの傾斜角度を厳密に一致させる事ができる。
【0029】
【発明の実施の形態】
図1〜6は、請求項2に対応する、本発明の実施の形態の1例を示している。尚、本例の構造の特徴は、各第一トラニオン27、27及び各第二トラニオン28、28(図14参照)の傾斜角度を確実に同期させる為の構造、並びに上記各第一トラニオン27、27の両端部に設けた第一枢軸29、29及び上記各第二トラニオン28、28の両端部に設けた第二枢軸30、30(図14参照)をケーシング5に対し支持する部分の構造にある。その他の部分の構造及び作用は、前述の図12〜14に示した従来構造と同様であるから、同等部分に関する図示並びに説明は省略若しくは簡略にし、以下、本例の特徴部分を中心に説明する。
【0030】
上記ケーシング5内の互いに対向する部分には1対のヨーク58、59を、このケーシング5に対し直接、互いに平行に結合固定している。これら各ヨーク58、59の四隅部で互いに整合する位置には、それぞれ円形の支持孔31、31を形成している。そして、これら各支持孔31、31の内側に上記各第一枢軸29、29を、それぞれボールスプライン60、60とラジアルニードル軸受61、61とにより、軸方向に亙る変位及び揺動自在に支持している。
【0031】
このうちのボールスプライン60、60を構成するボールスプライン用外輪62、62は、上記各支持孔31、31の内側に、軸方向に亙る変位を制限した状態で内嵌支持している。これら各ボールスプライン用外輪62、62の内周面には複数本の外輪側ボールスプライン溝63、63を、それぞれ軸方向(図1〜2の上下方向)に亙って形成している。そして、この様な各ボールスプライン用外輪62、62の内径側に、上記各ラジアルニードル軸受61、61の外輪でもある、ボールスプライン用内輪64、64を、これら各ラジアルニードル軸受61、61と同心に配置している。これら各ボールスプライン用内輪64、64の外周面で上記各外輪側ボールスプライン溝63、63に対向する部分には、それぞれ内輪側ボールスプライン溝65、65を、それぞれ軸方向に亙って形成している。そして、これら各内輪側ボールスプライン溝65、65と上記各外輪側ボールスプライン溝63、63との間に、それぞれ複数個ずつのボール66、66を配置して、前記各ボールスプライン60、60を構成している。尚、上記各ボールスプライン用外輪62は、皿板ばね90等の弾性材により、がたつき防止を図っている。
【0032】
又、上記各ボールスプライン用内輪64、64の内周面には、上記各ラジアルニードル軸受61、61の為の、円筒面状の外輪軌道67、67を設けている。そして、これら各外輪軌道67、67と、前記各第一トラニオン27、27の両端部に設けた第一枢軸29、29の外周面に形成した円筒面状の内輪軌道68、68との間に、それぞれ複数本ずつのニードル69、69を配置して、上記各ラジアルニードル軸受61、61を構成している。
【0033】
又、上記各第一トラニオン27、27の両端部に設けた上記各第一枢軸29、29のうち、一端側にそれぞれの基端部(図1の上端部)を結合固定した駆動ロッド51、51は、前記ケーシング5内に固定したバルブボディー70に形成した通孔71、71を貫通している。そして、上記各駆動ロッド51、51の先端部(図1の下端部)で、上記バルブボディー70の外側面(図1の下面)から突出した部分に、図3に示す様な受片72、72を結合固定している。これら各受片72、72はそれぞれ、互いに平行な1対の円輪部73a、73bの周縁部の円周方向一部同士を、部分円筒状の連結部74により互いに連結して成るもので、この連結部74から外れた部分を開口部75としている。又、上記各円輪部73a、73bのうち、一方(図1、3の上方)の円輪部73aの内径は比較的小さくして、上記駆動ロッド51の端部に形成した雄ねじ部のみを挿通自在としている。これに対して、他方(図1、3の下方)の円輪部73bの内径は比較的大径として、上記雄ねじ部に螺合するナット76及びこのナット76を緊締する為の工具を挿通自在としている。
【0034】
又、上記バルブボディー70の外側面に固定した取付基板77、77に、それぞれが第二の枢軸78、78を有する枢支ブラケット79、79を設けている。これら第二の枢軸78、78は、第一、第二の入力側ディスク17、18及び第一、第二の出力側ディスク20、21(図12参照)の回転中心に対し平行で、第一、第二キャビティ34、35(図12参照)の側方に対向する位置に設けている。そして、上記各第二の枢軸78、78は、図4に示す様な全体を略四角枠状に形成した揺動腕80の長さ方向(図4の上下方向)両端部の幅方向(図4の左右方向)中央部を、揺動自在に枢支している。従って、上記揺動腕80の幅方向両端部は、前記各駆動ロッド51、51の軸方向に関して互いに逆方向に同じ距離だけ変位する。
【0035】
そして、上記揺動腕80の幅方向両端部の長さ方向両端部を、前記各受片72、72を構成する1対の円輪部73a、73b同士の間の開口部75に、上記各第二の枢軸78、78を中心とする揺動変位に拘らず、がたつきなく係合させている。この為に本例の場合には、上記揺動腕80の幅方向両端部の長さ方向両端部の両面で、上記各円輪部73a、73bに対向する部分に、それぞれ小突起81、81を形成し、これら各小突起81、81の先端を、上記各円輪部73a、73bの互いに対向する面に当接させている。従って、上記各受片72、72及び前記駆動ロッド51、51を介してこれら各受片72、72と結合固定された第一、第二各トラニオン27、28の、第一、第二各枢軸29、30の軸方向に亙る変位は、機械的に厳密に同期する。尚、何れかのトラニオン又は何れかのトラニオンに結合固定した駆動ロッドにプリセスカムを固定し、このプリセスカムによって、駆動シリンダ53、53への圧油の給排を行わせるコントロールバルブを動かす、フィードバック制御を行なう様にしている。
【0036】
更に、本例の場合には、上記第一、第二各トラニオン27、28同士を、歯車伝達機構82により結合している。この歯車伝達機構82を設ける為、一方(図1の下方)のヨーク59に、凹部84を設けている。従って、このヨーク59とシリンダケース85とを重ね合わせた状態で、これら両部材59、85同士の間には、上記歯車伝達機構82を収納する為の空間89が形成される。この空間89内に収納される上記歯車伝達機構82は、互いに同形で且つ同じ歯数を有する1対のピニオン83、83と、両端縁に互いに同ピッチの歯を形成した4個のラック87a、87bとから成る。このうちの各ピニオン83、83は、それぞれ上記第一、第二各トラニオン27、28の端部に設けた第一、第二各枢軸29、30の先端部に形成した非円筒部に外嵌固定している。従って、上記第一、第二トラニオン27、28は、上記各ピニオン83、83と同期して回転する。尚、変速比を変える際に上記第一、第二各トラニオン27、28は、それぞれ上記第一、第二各枢軸29、30の軸方向に変位する。従って、上記各ピニオン83、83とラック87a、87bとの噛合部に適度の(上記傾斜角度を一致させる事に就いて問題を生じない程度の)バックラッシュを設けて、上記各ピニオン83、83とラック87a、87bとの相対変位を可能にする。
【0037】
又、上記ラック87a、87bは、入力軸1aの軸方向(図1の表裏方向或は左右方向、図6の左右方向或は上下方向)に亙る変位のみを自在として、上記空間89内に支持している。この為に図示の例では、上記ラック87a、87bをヨーク59に対して、それぞれ1対ずつの直動式の転がり軸受(リニアベアリング)88、88により、平行移動自在に支持している。従って、上記ラック87a、87bは、傾斜したりする事なく、軽い力で円滑に変位自在である。又、上記ラック87a、87bに、変位方向に対し直角方向の力が加わった場合には、このラック87a、87bに付設した1対の転がり軸受88、88のうちの何れか一方の転がり軸受88が上記力を支承し、上記ラック87a、87bの円滑な変位を補償する。
【0038】
それぞれを上述の様に支持したピニオン83、83とラック87a、87bとは、これら各ピニオン83、83の外周縁に形成した歯とラック87a、87bの両側縁に形成した歯とを互いに噛合させた状態に組み合わせて、上記歯車伝達機構82を構成する。この歯車伝達機構82は、バックラッシュを極力抑えると共に、上記各ピニオン83、83のピッチ円直径を或る程度(他の部材との干渉防止を図れる範囲内で)大きくしたものとしている。従って、これら各ピニオン83、83を固定した第一、第二各トラニオン27、28、並びにこれら第一、第二トラニオン27、28に支持した第一、第二各パワーローラ45、46の傾斜角度を互いに一致させる事ができる。
【0039】
以上に述べた通り、本発明のトロイダル型無段変速機の場合には、上記第一、第二各トラニオン27、28の、第一、第二各枢軸29、30の軸方向に亙る変位を、前記揺動腕80により機械的に且つ厳密に同期させている。従って、変速操作時に上記第一、第二各トラニオン27、28の変位量を、迅速に且つ厳密に一致させて、変速動作時に第一、第二両入力側ディスク17、18及び第一、第二両出力側ディスク20、21の内側面2a、4a(図12参照)と第一、第二各パワーローラ45、46の周面9a、9a(図1、13、14参照)との当接部に発生する滑りを抑える事ができる。
【0040】
この点に就いて、本発明の効果を確認する為に行なった実験の結果を示す図8〜9により説明する。実験は、図7に示す様な、各キャビティ毎に1対ずつのパワーローラを有するダブルキャビティ型のトロイダル型無段変速機を使用して行なった。実験では、押圧装置10に近いフロント右側(FR)、同じく左側(FL)、押圧装置から遠いリヤ右側(RR)、同じく左側(RL)の、合計4個のパワーローラ45、46を支持している4個のトラニオン27、28のそれぞれに就いて、変速動作時に、駆動シリンダ内に所定の圧油を導入してからの、上記各トラニオン27、28の軸方向変位と揺動角度とを、経過時間と共に測定した。図8は、本発明のトロイダル型無段変速機の場合を示しており、(A)は各トラニオンの軸方向変位量を、(B)は同じく揺動角度を、それぞれ示している。又、図9は、油圧調整のみでトラニオンの変位を調整する場合を示しており、(A)は各トラニオンの軸方向変位量を、(B)は同じく揺動角度を、それぞれ示している。この様な実験の結果を示す図8〜9から明らかな通り、本発明によれば、迅速な変速動作を行なっても、各トラニオンの変位を確実に同期させる事ができる。
【0041】
更に、本例のトロイダル型無段変速機の場合には、第一、第二両支持手段を構成する部材である前記各ヨーク58、59を、前記ケーシング5の内面に直接支持固定している。この為、前述した従来構造で必要としていた支持ポスト33a、33b(図13〜14)が不要になり、部品点数の低減による、部品製作、部品管理、組立作業の簡略化を図ると同時に、高さ寸法を小さくして、耐久性を確保しつつ、小型・軽量化を図れる。
【0042】
又、上記各第一枢軸29、29とヨーク58、59との間に、ボールスプライン60とラジアルニードル軸受61とを設けているので、これら各ヨーク58、59に対する前記第一、第二各トラニオン27、28の変位を、円滑且つ正確に行なえる。即ち、前述の説明から明らかな通り、トロイダル型無段変速機の変速動作時に、上記第一、第二各トラニオン27、28は、前記第一、第二各枢軸29、30の軸方向に変位し、この軸方向変位に基づいてこれら第一、第二各枢軸29、30を中心に揺動変位する。本例の場合、これら各変位のうちの軸方向変位を、上記ボールスプライン60により、揺動変位をラジアルニードル軸受61により、それぞれ円滑に行なわせて、これら各変位に基づく、上記トロイダル型無段変速機の変速動作を、迅速且つ正確に行なわせる事ができる。
【0043】
更に、図示の例の様に、歯車伝達機構82を設けている為、前述の駆動シリンダ53、53への油圧供給回路が故障した場合でも、第一、第二各パワーローラ45、46の傾斜角度を互いに一致させる事ができる。この為、故障時にも、これら第一、第二各パワーローラ45、46の周面9a、9aと各ディスク17、18、20、21の内側面2a、4aとの当接部で著しい滑りが発生するのを防止して、トロイダル型無段変速機が損傷するのを防止できる。尚、本発明を実施する場合に、各トラニオン同士の傾斜角度を一致させる為の機構は、上記歯車伝達機構82に限らず、前述の図15〜16に示した様な、ケーブルによるものであっても良い。
【0044】
【発明の効果】
本発明は、以上に述べた通り構成され作用する為、耐久性を確保しつつ、迅速な変速動作を行なわせる事が可能になり、スポーツカーを中心とする高性能車への搭載の可能性を広げる等、トロイダル型無段変速機の実用化に寄与できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態の1例を示す、図11のA−A断面に相当する図。
【図2】図1のB部拡大図。
【図3】受片の斜視図。
【図4】駆動ロッドの軸方向変位を同期させる為の機構を示す、図1の下方から見た図。
【図5】図1のC矢視図。
【図6】歯車伝達機構を取り出して図1の下方から見た図。
【図7】本発明の効果を確認する為の行なった実験の測定部位を説明する為の、トロイダル型無段変速機の略平面図。
【図8】本発明のトロイダル型無段変速機を構成する各トラニオンの変位状態を示す線図。
【図9】従来のトロイダル型無段変速機を構成する各トラニオンの変位状態を示す線図。
【図10】従来から知られているトロイダル型無段変速機の基本的構成を、最大減速時の状態で示す側面図。
【図11】同じく最大増速時の状態で示す側面図。
【図12】従来の具体的構造の1例を示す断面図。
【図13】図11のA−A断面図。
【図14】同D−D断面図。
【図15】従来から知られた、ケーブルによりトラニオンの傾斜角度を一致させる機構の第1例を示す断面図。
【図16】同第2例を示す断面図。
【符号の説明】
1、1a 入力軸
2 入力側ディスク
2a 内側面
3 出力軸
4 出力側ディスク
4a 内側面
5 ケーシング
6 枢軸
7 トラニオン
8 変位軸
9 パワーローラ
9a 周面
10 押圧装置
11 カム板
12 保持器
13 ローラ
14 カム面
15 カム面
16 伝達軸
17 第一入力側ディスク
18 第二入力側ディスク
19 ボールスプライン
20 第一出力側ディスク
21 第二出力側ディスク
22 スリーブ
23 出力歯車
24 支持壁
25 転がり軸受
26a、26b ヨーク
27 第一トラニオン
28 第二トラニオン
29 第一枢軸
30 第二枢軸
31 支持孔
32 係止孔
33a、33b 支持ポスト
34 第一キャビティ
35 第二キャビティ
36 ラジアルニードル軸受
37 外輪
38 ニードル
39 円孔
40 第一変位軸
41 第二変位軸
42 支持軸部
43 枢支軸部
44 ラジアルニードル軸受
45 第一パワーローラ
46 第二パワーローラ
47 ラジアルニードル軸受
48 スラスト玉軸受
49 スラスト軸受
50 外輪
51 駆動ロッド
52 駆動ピストン
53 駆動シリンダ
54 プーリ
55、55a、55b ケーブル
56 止め具
57 滑り板
58 ヨーク
59 ヨーク
60 ボールスプライン
61 ラジアルニードル軸受
62 ボールスプライン用外輪
63 外輪側ボールスプライン溝
64 ボールスプライン用内輪
65 内輪側ボールスプライン溝
66 ボール
67 外輪軌道
68 内輪軌道
69 ニードル
70 バルブボディー
71 通孔
72 受片
73a、73b 円輪部
74 連結部
75 開口部
76 ナット
77 取付基板
78 第二の枢軸
79 枢支ブラケット
80 揺動腕
81 小突起
82 歯車伝達機構
83 ピニオン
84 凹部
85 シリンダケース
86 空間
87a、87b ラック
88 転がり軸受
89 空間
90 皿板ばね

Claims (2)

  1. ケーシングと、このケーシングの内側に互いの内側面同士を対向させた状態で、互いに同心に且つ互いに独立した回転自在に支持された入力側ディスク及び出力側ディスクと、これら入力側ディスクと出力側ディスクとの間部分で、これら各ディスクの中心軸と交差する事はないが、この中心軸の方向に対して直角方向となる捻れの位置に存在する、互いに同心若しくは平行な4本以上で偶数本の枢軸と、これら各枢軸を中心として揺動する複数のトラニオンと、これら各トラニオンの内側面から突出した変位軸と、これら各変位軸の周囲に回転自在に支持された状態で、上記入力側ディスクの内側面と出力側ディスクの内側面との間に挟持された、上記各トラニオンと同数のパワーローラと、これら各トラニオンを上記各枢軸の軸方向に亙って変位させる、これら各トラニオンと同数のアクチュエータとを備えたトロイダル型無段変速機に於いて、これら各アクチュエータによる上記各枢軸の軸方向に亙る上記各トラニオンの変位を機械的に同期させる為、複数個の受片と揺動腕とから成る同期機構を設けており、このうちの各受片は、互いに平行な1対の円輪部の周縁部の円周方向一部同士を部分円筒状の連結部により互いに連結すると共に、この連結部から外れた部分を開口部としたものであって、上記各トラニオンの端部にそれぞれの基端部を結合固定し、それぞれが上記各アクチュエータにより軸方向に変位させられて上記各トラニオンを上記各枢軸の軸方向に亙り変位させる駆動ロッドの先端部にそれぞれ固定しており、上記揺動腕は、その中央部を固定の部分に、上記各ディスクの回転中心に対し平行に設けた第二の枢軸により枢支しており、上記各受片と上記揺動腕とは、この揺動腕の端部両面で、これら各受片毎に1対ずつの円輪部に対向する部分にそれぞれ形成した各小突起の先端を、これら各円輪部の互いに対向する面に当接させる事により、揺動変位自在に係合している事を特徴とするトロイダル型無段変速機。
  2. ケーシングと、このケーシングの内側に互いの内側面同士を対向させた状態で、互いに同心に且つ互いに同期した回転自在に支持された第一、第二外側ディスクと、その内側面を第一外側ディスクの内側面に対向させた状態でこれら第一、第二外側ディスクと同心に、且つこれら第一、第二外側ディスクとは独立した回転自在に支持された第一内側ディスクと、その内側面を第二外側ディスクの内側面に対向させた状態で上記第一内側ディスクと同心に、且つこの第一内側ディスクと同期した回転自在に支持された第二内側ディスクと、上記第一外側ディスクと第一内側ディスクとの間部分で、これら各ディスクの中心軸と交差する事はないが、この中心軸の方向に対して直角方向となる捻れの位置に存在する、互いに同心若しくは平行な4本以上で偶数本の第一枢軸と、これら各第一枢軸を中心として揺動する複数の第一トラニオンと、これら各第一トラニオンの内側面から突出した第一変位軸と、これら各第一変位軸の周囲に回転自在に支持された状態で、上記第一外側ディスクの内側面と第一内側ディスクの内側面との間に挟持された複数個の第一パワーローラと、上記第二外側ディスクと第二内側ディスクとの間部分で、これら各ディスクの中心軸と交差する事はないが、この中心軸の方向に対して直角方向となる捻れの位置に存在する、互いに同心若しくは平行な4本以上で偶数本の第二枢軸と、これら各第二枢軸を中心として揺動する複数の第二トラニオンと、これら各第二トラニオンの内側面から突出した第二変位軸と、これら各第二変位軸の周囲に回転自在に支持された状態で、上記第二外側ディスクの内側面と第二内側ディスクの内側面との間に挟持された複数個の第二パワーローラと、上記各トラニオンを上記各枢軸の軸方向に亙って変位させる、これら各トラニオンと同数のアクチュエータとを備えたトロイダル型無段変速機に於いて、これら各アクチュエータによる上記各枢軸の軸方向に亙る上記各トラニオンの変位を機械的に同期させる為、複数個の受片と揺動腕とから成る同期機構を設けており、このうちの各受片は、互いに平行な1対の円輪部の周縁部の円周方向一部同士を部分円筒状の連結部により互いに連結すると共に、この連結部から外れた部分を開口部としたものであって、上記各トラニオンの端部にそれぞれの基端部を結合固定し、それぞれが上記各アクチュエータにより軸方向に変位させられて上記各トラニオンを上記各枢軸の軸方向に亙り変位させる駆動ロッドの先端部にそれぞれ固定しており、上記揺動腕は、その中央部を固定の部分に、上記各ディスクの回転中心に対し平行に設けた第二の枢軸により枢支しており、上記各受片と上記揺動腕とは、この揺動腕の端部両面で、これら各受片毎に1対ずつの円輪部に対向する部分にそれぞれ形成した各小突起の先端を、これら各円輪部の互いに対向する面に当接させる事により、揺動変位自在に係合している事を特徴とするトロイダル型無段変速機。
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