JP4222009B2 - 無段変速装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
この発明に係る無段変速装置は、自動車用の自動変速機を構成する変速ユニットとして利用する。特に本発明は、伝達するトルクが急激に変動する状況下でも、構成各部材の組み付け隙間や弾性変形に基づく変位に拘らず、変速状態が不安定になるのを防止する事を目的とするものである。
【0002】
【従来の技術】
自動車用自動変速装置として、図12〜14に示す様なトロイダル型無段変速機を使用する事が研究され、一部で実施されている。このトロイダル型無段変速機は、ダブルキャビティ型と呼ばれるもので、入力軸1の両端部周囲に1対の入力側ディスク2、2を、ボールスプライン3、3を介して支持している。従ってこれら両入力側ディスク2、2は、互いに同心に、且つ、同期した回転を自在に支持されている。又、上記入力軸1の中間部周囲に出力歯車4を、この入力軸1に対する相対回転を自在として支持している。そして、この出力歯車4の中心部に設けた円筒部の両端部に出力側ディスク5、5を、それぞれスプライン係合させている。従ってこれら両出力側ディスク5、5は、上記出力歯車4と共に、同期して回転する。
【0003】
又、上記各入力側ディスク2、2と上記各出力側ディスク5、5との間には、それぞれ複数個ずつ(通常2〜3個ずつ)のパワーローラ6、6を挟持している。これら各パワーローラ6、6はそれぞれ、特許請求の範囲に記載した支持部材であるトラニオン7、7の内側面に、支持軸8、8及び複数の転がり軸受を介して、回転自在に支持されている。上記各トラニオン7、7は、それぞれの長さ方向(図12、14の上下方向、図13の表裏方向)両端部に、これら各トラニオン7、7毎に互いに同心に設けられた枢軸9、9を中心として揺動変位自在である。これら各トラニオン7、7を傾斜させる動作は、油圧式のアクチュエータ10、10により、これら各トラニオン7、7を上記枢軸9、9の軸方向に変位させる事で行なうが、総てのトラニオン7、7の傾斜角度は、油圧式及び機械式に互いに同期させる。
【0004】
即ち、前記入力軸1と出力歯車4との間の変速比を変えるべく、上記各トラニオン7、7の傾斜角度を変える場合には、上記各アクチュエータ10、10により上記各トラニオン7、7を、それぞれ逆方向に、例えば、図14の右側のパワーローラ6を同図の下側に、同図の左側のパワーローラ6を同図の上側に、それぞれ変位させる。この結果、これら各パワーローラ6、6の周面と上記各入力側ディスク2、2及び各出力側ディスク5、5の内側面との転がり接触部に作用する、接線方向の力の向きが変化(転がり接触部にサイドスリップが発生)する。そして、この力の向きの変化に伴って上記各トラニオン7、7が、支持板11、11に枢支された枢軸9、9を中心として、互いに逆方向に揺動(傾斜)する。この結果、上記各パワーローラ6、6の周面と上記入力側、出力側各ディスク2、5の内側面との当接位置が変化し、上記入力軸1と出力歯車4との間の回転変速比が変化する。
【0005】
上記各アクチュエータ10、10への圧油の給排状態は、これら各アクチュエータ10、10の数に関係なく1個の変速比制御弁12により行ない、何れか1個のトラニオン7の動きをこの変速比制御弁12にフィードバックする様にしている。この変速比制御弁12は、ステッピングモータ13により軸方向(図12の表裏方向、図14の左右方向)に変位させられるスリーブ14と、このスリーブ14の内径側に軸方向の変位自在に嵌装されたスプール15とを有する。又、上記各トラニオン7、7と上記各アクチュエータ10、10のピストン16、16とを連結するロッド17、17のうち、何れか1個のトラニオン7に付属のロッド17の端部にプリセスカム18を固定しており、このプリセスカム18とリンク腕19とを介して、上記ロッド17の動き、即ち、軸方向の変位量と回転方向との変位量との合成値を上記スプール15に伝達する、フィードバック機構を構成している。又、上記各トラニオン7、7同士の間には同期ケーブル20を掛け渡して、油圧系の故障時にも、これら各トラニオン7、7の傾斜角度を、機械的に同期させられる様にしている。
【0006】
変速状態を切り換える際には、上記ステッピングモータ13により上記スリーブ14を、得ようとする変速比に見合う所定位置にまで変位させて、上記変速比制御弁12の所定方向の流路を開く。この結果、上記各アクチュエータ10、10に圧油が、所定方向に送り込まれて、これら各アクチュエータ10、10が上記各トラニオン7、7を所定方向に変位させる。即ち、上記圧油の送り込みに伴ってこれら各トラニオン7、7が、前記各枢軸9、9の軸方向に変位しつつ、これら各枢軸9、9を中心に揺動する。そして、上記何れか1個のトラニオン7の動き(軸方向及び揺動変位)が、上記ロッド17の端部に固定したプリセスカム18とリンク腕19とを介して上記スプール15に伝達され、このスプール15を軸方向に変位させる。この結果、上記トラニオン7が所定量変位した状態で、上記変速比制御弁12の流路が閉じられ、上記各アクチュエータ10、10への圧油の給排が停止される。
【0007】
この際の上記トラニオン7及び上記プリセスカム18のカム面21の変位に基づく上記変速比制御弁12の動きは、次の通りである。先ず、上記変速比制御弁12の流路が開かれる事に伴って上記トラニオン7が軸方向に変位すると、前述した様に、パワーローラ6の周面と入力側ディスク2及び出力側ディスク5の内側面との当接部に発生するサイドスリップにより、上記トラニオン7が上記各枢軸9、9を中心とする揺動変位を開始する。又、上記トラニオン7の軸方向変位に伴って上記カム面21の変位が、上記リンク腕19を介して上記スプール15に伝わり、このスプール15が軸方向に変位して、上記変速比制御弁12の切り換え状態を変更する。具体的には、上記アクチュエータ10により上記トラニオン7を中立位置に戻す方向に、上記変速比制御弁12が切り換わる。
【0008】
従って上記トラニオン7は、軸方向に変位した直後から、中立位置に向け、逆方向に変位し始める。但し、上記トラニオン7は、中立位置からの変位が存在する限り、上記各枢軸9、9を中心とする揺動を継続する。この結果、上記プリセスカム18のカム面21の円周方向に関する変位が、上記リンク腕19を介して上記スプール15に伝わり、このスプール15が軸方向に変位する。そして、上記トラニオン7の傾斜角度が、得ようとする変速比に見合う所定角度に達した状態で、このトラニオン7が中立位置に復帰すると同時に、上記変速比制御弁12が閉じられて、上記アクチュエータ10への圧油の給排が停止される。この結果上記トラニオン7の傾斜角度が、前記ステッピングモータ13により前記スリーブ14を軸方向に変位させた量に見合う角度になる。
【0009】
上述の様なトロイダル型無段変速機の運転時には、エンジン等の動力源に繋がる駆動軸22により一方(図12、13の左方)の入力側ディスク2を、図示の様なローディングカム式の、或は油圧式の押圧装置23を介して回転駆動する。この結果、前記入力軸1の両端部に支持された1対の入力側ディスク2、2が、互いに近づく方向に押圧されつつ同期して回転する。そして、この回転が、上記各パワーローラ6、6を介して上記各出力側ディスク5、5に伝わり、前記出力歯車4から取り出される。
【0010】
上記入力軸1と出力歯車4との回転速度を変える場合で、先ず入力軸1と出力歯車4との間で減速を行なう場合には、上記各アクチュエータ10、10により上記各トラニオン7、7を上記各枢軸9、9の軸方向に移動させ、これら各トラニオン7、7を図13に示す位置に揺動させる。そして、上記各パワーローラ6、6の周面をこの図13に示す様に、上記各入力側ディスク2、2の内側面の中心寄り部分と上記各出力側ディスク5、5の内側面の外周寄り部分とにそれぞれ当接させる。
【0011】
反対に、増速を行なう場合には、上記各トラニオン7、7を図13と反対方向に揺動させ、上記各パワーローラ6、6の周面を、この図13に示した状態とは逆に、上記各入力側ディスク2、2の内側面の外周寄り部分と上記各出力側ディスク5、5の内側面の中心寄り部分とに、それぞれ当接する様に、上記各トラニオン7、7を傾斜させる。これら各トラニオン7、7の傾斜角度を中間にすれば、入力軸1と出力歯車4との間で、中間の変速比(速度比)を得られる。
【0012】
更に、上述の様に構成され作用するトロイダル型無段変速機24を、トロイダル型無段変速ユニットとして実際の自動車用の無段変速装置に組み込む場合、遊星歯車機構と組み合わせて無段変速装置を構成する事が、特許文献1〜4等に記載されている様に、従来から提案されている。
【0013】
図15は、上記各特許文献のうちの特許文献4に記載された無段変速装置を示している。この無段変速装置は、所謂パワー・スプリット型と呼ばれるもので、ダブルキャビティ型のトロイダル型無段変速機24と、特許請求の範囲に記載した遊星歯車機構に相当する遊星歯車式変速機25とを組み合わせて成る。そして、低速走行時には動力を上記トロイダル型無段変速機24のみで伝達し、高速走行時には動力を、主として上記遊星歯車式変速機25により伝達すると共に、この遊星歯車式変速機25による速度比を、上記トロイダル型無段変速機24の速度比を変える事により調節自在としている。
【0014】
この為に、上記トロイダル型無段変速機24の中心部を貫通し、両端部に1対の入力側ディスク2、2を支持した入力軸1の先端部(図15の右端部)と、上記遊星歯車式変速機25を構成するリング歯車26を支持した支持板27の中心部に固定した、特許請求の範囲に記載した第二の動力伝達機構に相当する伝達軸28とを、高速用クラッチ29を介して結合している。上記トロイダル型無段変速機24の構成は、次述する押圧装置23aの点を除き、前述の図12〜14に示した従来構造と、実質的に同様である。
【0015】
又、駆動源であるエンジン30のクランクシャフト31の出力側端部(図15の右端部)と上記入力軸1の入力側端部(=基端部=図15の左端部)との間に、発進クラッチ32と油圧式の押圧装置23aとを、動力の伝達方向に関して互いに直列に設けている。又、上記入力軸1の回転に基づく動力を取り出す為の出力軸33を、上記入力軸1と同心に配置している。そして、この出力軸33の周囲に前記遊星歯車式変速機25を設けている。この遊星歯車式変速機25を構成する太陽歯車34は、上記出力軸33の入力側端部(図15の左端部)に固定している。従ってこの出力軸33は、上記太陽歯車34の回転に伴って回転する。この太陽歯車34の周囲には前記リング歯車26を、上記太陽歯車34と同心に、且つ、回転自在に支持している。そして、このリング歯車26の内周面と上記太陽歯車34の外周面との間に、複数の遊星歯車35、35を設けている。これら各遊星歯車35、35は、それぞれ1対ずつの遊星歯車素子36a、36bにより構成している。これら各遊星歯車素子36a、36bは、互いに噛合すると共に、外径側に配置した遊星歯車素子36aが上記リング歯車26に噛合し、内径側に配置した遊星歯車素子36bが上記太陽歯車34に噛合している。この様な各遊星歯車35、35は、キャリア37の片側面(図15の左側面)に回転自在に支持している。又、このキャリア37は、上記出力軸33の中間部に、回転自在に支持している。
【0016】
又、上記キャリア37と、前記トロイダル型無段変速機24を構成する1対の出力側ディスク5、5とを、特許請求の範囲に記載した第一の動力伝達機構に相当する動力伝達機構38により、回転力の伝達を可能な状態に接続している。この動力伝達機構38は、上記入力軸1及び上記出力軸33と平行な伝達軸39と、この伝達軸39の一端部(図15の左端部)に固定したスプロケット40aと、上記各出力側ディスク5、5に固定したスプロケット40bと、これら両スプロケット40a、40b同士の間に掛け渡したチェン41と、上記伝達軸39の他端(図15の右端)と上記キャリア37とにそれぞれ固定されて互いに噛合した第一、第二の歯車42、43とにより構成している。従って上記キャリア37は、上記各出力側ディスク5、5の回転に伴って、これら出力側ディスク5、5と反対方向に、上記第一、第二の歯車42、43の歯数及び上記1対のスプロケット40a、40bの歯数に応じた速度で回転する。
【0017】
一方、上記入力軸1と上記リング歯車26とは、この入力軸1と同心に配置された前記伝達軸28を介して、回転力の伝達を可能な状態に接続自在としている。この伝達軸28と上記入力軸1との間には、前記高速用クラッチ29を、これら両軸28、1に対し直列に設けている。従って、この高速用クラッチ29の接続時にこの伝達軸28は、上記入力軸1の回転に伴って、この入力軸1と同方向に同速で回転する。
【0018】
又、図15に示した無段変速装置は、特許請求の範囲に記載したモード切換手段を構成するクラッチ機構を備える。このクラッチ機構は、上記高速用クラッチ29と、上記キャリア37の外周縁部と上記リング歯車26の軸方向一端部(図15の右端部)との間に設けた低速用クラッチ44と、このリング歯車26と無段変速装置のハウジング(図示省略)等、固定の部分との間に設けた後退用クラッチ45とから成る。各クラッチ29、44、45は、何れか1個のクラッチが接続された場合には、残り2個のクラッチの接続が断たれる。
【0019】
上述の様に構成する無段変速装置は、先ず、低速走行時には、上記低速用クラッチ44を接続すると共に、上記高速用クラッチ29及び後退用クラッチ45の接続を断つ。この状態で前記発進クラッチ32を接続し、前記入力軸1を回転させると、トロイダル型無段変速機24のみが、この入力軸1から上記出力軸33に動力を伝達する。この様な低速走行時には、それぞれ1対ずつの入力側ディスク2、2と、出力側ディスク5、5との間の速度比を、前述の図12〜14に示したトロイダル型無段変速機単独の場合と同様にして調節する。
【0020】
これに対して、高速走行時には、上記高速用クラッチ29を接続すると共に、上記低速用クラッチ44及び後退用クラッチ45の接続を断つ。この状態で上記発進クラッチ32を接続し、上記入力軸1を回転させると、この入力軸1から上記出力軸33には、前記伝達軸28と前記遊星歯車式変速機25とが、動力を伝達する。即ち、上記高速走行時に上記入力軸1が回転すると、この回転は上記高速用クラッチ29及び伝達軸28を介してリング歯車26に伝わる。そして、このリング歯車26の回転が複数の遊星歯車35、35を介して太陽歯車34に伝わり、この太陽歯車34を固定した上記出力軸33を回転させる。この状態で、上記トロイダル型無段変速機24の速度比を変える事により上記各遊星歯車35、35の公転速度を変化させれば、上記無段変速装置全体としての速度比を調節できる。
【0021】
即ち、上記高速走行時に上記各遊星歯車35、35が、上記リング歯車26と同方向に公転する。そして、これら各遊星歯車35、35の公転速度が遅い程、上記太陽歯車34を固定した出力軸33の回転速度が速くなる。例えば、上記公転速度とリング歯車26の回転速度(何れも角速度)とが同じになれば、上記リング歯車26と出力軸33の回転速度とが同じになる。これに対して、上記公転速度がリング歯車26の回転速度よりも遅ければ、上記リング歯車26の回転速度よりも出力軸33の回転速度が速くなる。反対に、上記公転速度がリング歯車26の回転速度よりも速ければ、上記リング歯車26の回転速度よりも出力軸33の回転速度が遅くなる。
【0022】
従って、上記高速走行時には、前記トロイダル型無段変速機24の速度比を減速側に変化させる程、無段変速装置全体の速度比は増速側に変化する。この様な高速走行時の状態では、上記トロイダル型無段変速機24に、入力側ディスク2、2からではなく、出力側ディスク5、5から力(トルク)が加わる(低速時に加わるトルクをプラスのトルクとした場合にマイナスのトルクが加わる)。即ち、前記高速用クラッチ29を接続した状態では、前記エンジン30から入力軸1に伝達されたトルクは、前記伝達軸28を介して前記遊星歯車式変速機25のリング歯車26に伝達される。従って、入力軸1の側から各入力側ディスク2、2に伝達されるトルクは殆どなくなる。
【0023】
一方、上記伝達軸28を介して前記遊星歯車式変速機25のリング歯車26に伝達されたトルクの一部は、前記各遊星歯車35、35から、キャリア37及び動力伝達機構38を介して各出力側ディスク5、5に伝わる。この様に各出力側ディスク5、5からトロイダル型無段変速機24に加わるトルクは、無段変速装置全体の速度比を増速側に変化させるべく、トロイダル型無段変速機24の速度比を減速側に変化させる程小さくなる。この結果、高速走行時に上記トロイダル型無段変速機24に入力されるトルクが小さくなる。
【0024】
更に、自動車を後退させるべく、前記出力軸33を逆回転させる際には、前記低速用、高速用両クラッチ44、29の接続を断つと共に、前記後退用クラッチ45を接続する。この結果、上記リング歯車26が固定され、上記各遊星歯車35、35が、このリング歯車26並びに前記太陽歯車34と噛合しつつ、この太陽歯車34の周囲を公転する。そして、この太陽歯車34並びにこの太陽歯車34を固定した出力軸33が、前述した低速走行時並びに上述した高速走行時とは逆方向に回転する。
【0025】
尚、トロイダル型無段変速機と遊星歯車式変速機とを組み合わせて成る無段変速装置としては、上述の様なパワー・スプリット型の他、ギヤード・ニュートラル型と呼ばれるものも、特許文献5等に記載されて従来から知られている。このギヤード・ニュートラル型と呼ばれる無段変速装置の場合、低速モード時には、トロイダル型無段変速機の変速比を変える事により、無段変速装置の入力軸の回転速度を一定としたまま、この無段変速装置の出力軸の回転速度を、停止状態を挟んで、前進状態と後退状態とに変換自在である。尚、この様なギヤード・ニュートラル型の無段変速装置の具体的構造に就いては、本発明の実施の形態を表した図1〜3により、後で詳しく説明する。
【0026】
上述した様な無段変速装置に組み込まれる場合を含め、トロイダル型無段変速機24のフィードバック機構を構成するプリセスカム18として従来は、図16に示す様に、カム面21の傾斜角度(=カムリード=ゲイン)が一定のものを使用していた。そして、図17に示す様に、このカム面21にリンク腕19を構成する第一の腕片46の先端部を突き当て、同じく第二の腕片47の先端部を、変速比制御弁12を構成するスプール15の端部に突き当てている。尚、実際のトロイダル型無段変速機24では上記変速比制御弁12を、前述した図14や後述する図4、5に示す様に、各パワーローラ6、6の下方に配置する。但し、上記図17及び後述する図6、9では、説明の為に、上記変速比制御弁12を、各パワーローラ6、6の下方からずらせた位置に記載している。
【0027】
上記プリセスカム18のカム面21の傾斜角度は、トロイダル型無段変速機24の安定性確保の面から重要である。例えば非特許文献1には、上記傾斜角度が小さい程、変速動作を安定させられる事が記載されている。又、特許文献6には、プリセスカムの設置位置を工夫する事により、トロイダル型無段変速機を通過するトルクの急変動時に於ける変速比制御弁の無用な動きを抑える発明が記載されている。又、特許文献7〜9には、カム面の両端部で通常時にリンク腕が接触する部分から外れた部分の傾斜角度を急にする事で、トラニオンの傾斜角度が過大になった場合に、これを迅速に元に戻す発明が記載されている。更に、特許文献10には、変速比の変化率とエンジンの回転速度変化との関係の最適化を図るべく、カム面の傾斜角度を連続的に変化させる発明が記載されている。
【0028】
【特許文献1】
特開平1−169169号公報
【特許文献2】
特開平1−312266号公報
【特許文献3】
特開平10−196759号公報
【特許文献4】
特開平11−63146号公報
【特許文献5】
特開2000−220719号公報
【特許文献6】
特開2001−317601号公報
【特許文献7】
特開平5−26317号公報
【特許文献8】
特開平11−37241号公報
【特許文献9】
特開平11−325210号公報
【特許文献10】
特開平1−295070号公報
【非特許文献1】
田中裕久、「トロイダルCVT」、株式会社コロナ社、2000年7月13日、第63頁
【0029】
【発明が解決しようとする課題】
上述した各特許文献及び非特許文献に記載されている様に従来から、トロイダル型無段変速機のフィードバック機構を構成するプリセスカムの配置や形状を工夫する技術が各種知られている。但し、特許文献4、5に示す様な、トロイダル型無段変速機と遊星歯車式変速機とを組み合わせた無段変速装置で、モード切換時にこのトロイダル型無段変速機の変速比が急変動する事を防止する技術は知られていない。即ち、上記無段変速装置には、モード切換手段を構成する高速用クラッチと低速用クラッチとを設け、前進時に所定の変速比となった場合に、これら両クラッチの断接に基づいて、低速モードと高速モードとの切換を行なう。この様なモード切換時に、上記トロイダル型無段変速機を通過するトルクの大きさと方向とが急激に変化する事が、広く知られている。
【0030】
トロイダル型無段変速機の構成部品は、動力を伝達させる事に伴って(通過トルクに応じて)弾性変形する他、組み付け隙間に応じて変位する。このうちの弾性変形に基づく変形量は、通過トルクの大きさに応じて変化する。又、組み付け隙間に基づく変位の方向は、トルクが通過する方向に応じて変化する。そして、これら弾性変形及び組み付け隙間に基づく変位により、その時点での変速指令の有無に関係なく、上記トロイダル型無段変速機の変速比が変動し、更にはこの変速比が細かく変動する、所謂ハンチングが発生する。
【0031】
図18は、通過トルクの変動に伴う、トロイダル型無段変速機の変速比変動の状況を知る為に、本発明者が行なった実験の結果を示している。この実験では、図12〜13に示した様な、ローディングカム式の押圧装置23を備えたトロイダル型無段変速機を、図15に示した様な、パワー・スプリット型の無段変速装置に組み込んだ事を想定して、ダイナモ装置により行なった。具体的には、上記トロイダル型無段変速機を最大増速状態(変速比0.5)とした状態で、入力軸を2000min-1 を目標に回転させつつ、上記トロイダル型無段変速機を通過するトルクを、0.5秒弱の間に、+350Nmから−280Nmにまで変動させた。プリセスカムのカム面のカムリードは、20mm/360度とした。尚、通過トルクが正(+)であるとは、入力側ディスクから出力側ディスクに動力が伝達される状態を、負(−)であるとは、出力側ディスクから入力側ディスクに動力が伝達される状態を、それぞれ言う。
【0032】
この様な条件で行なった実験の結果を表した図18中、(A)の実線は入力軸の回転速度と経過時間との関係を、同じく破線は出力軸の回転速度と経過時間との関係を、(B)の実線は入力軸のトルクと経過時間との関係を、同じく破線は出力軸のトルクと経過時間との関係を、それぞれ表している。この様な実験の結果を表した図18から明らかな通り、プリセスカムのカムリードが小さい(20mm/360度)場合には、通過トルクの急変動に伴って、トロイダル型無段変速機の変速比が、大きくしかも短時間の間に脈動的に変化する、ハンチングが発生する。尚、実験では、入力軸と出力軸との間に変速歯車を設けている。又、押圧装置による押し付け力を過大にしている。従って、トロイダル型無段変速機の伝達効率が実際の場合よりも低くなっている。
【0033】
この様なハンチングの発生に就いて、本発明者は次の様に考えた。前記通過トルクの変動に伴って、各部の弾性変形及び内部隙間に基づく変位の量及び方向が変化し、各パワーローラが、変速比制御弁のスリーブが変位していないにも拘らず入力側、出力側両ディスクの周方向(転がり接触部の接触方向)に中立位置から変位する。この変位の結果、これら各パワーローラの周面とこれら各ディスクの内側面との転がり接触部でサイドスリップが発生し、枢軸を中心としてトラニオンが傾斜する、上記トロイダル型無段変速機の変速動作が行なわれる。そして、この変速動作に基づき、上記プリセスカムが変位して変速制御弁のスプールが軸方向に変位し、上記各部の弾性変形及び内部隙間に基づく上記各パワーローラの変位に見合う分だけ、上記トラニオンが本来の位置から傾斜した(変速比が変動した)状態で、上記トラニオンが停止する事になる。
【0034】
この様な場合に、上記プリセスカムのカムリードが小さいと、上記トラニオンが大きく傾斜し、上記トロイダル型無段変速機の変速比の変化量が大きくなる。例えば、上記各部の弾性変形及び内部隙間に基づいて上記トラニオンが、上記変速比制御弁のスリーブが変位していないにも拘らず、その両端部に設けた枢軸の軸方向に1mm変位した場合に就いて考える。この場合、上記プリセスカムのカム面のカムリードが20mm/360度であれば、上記トラニオンは360度/(20mm/1mm)=18度分、上記枢軸を中心として傾斜して、トロイダル型無段変速機の変速比が、短時間の間に大きく変化する。言い換えれば、トロイダル型無段変速機の変速比がそれ以上変化するのを停止させるべく、上記トラニオンを中立位置に戻す為には、上記プリセスカムが18度分回動する必要があり、その分上記トロイダル型無段変速機の変速比が大きく変化する。
【0035】
そして、この様にトロイダル型無段変速機の変速比が短時間の間に大きく変化すると、出力軸側に繋がった大きな慣性(ダイナモ装置を使用した実験では出力ダイナモ側の慣性、実際の場合には車両総重量に基づく慣性)により発生する慣性モーメントに基づいて、上記トロイダル型無段変速機に過大トルクが入力される。この結果、このトロイダル型無段変速機の変速比制御が不安定になり、図18に示す様なハンチングが発生する。この様なハンチングを抑える為には、上記各部の弾性変形及び内部隙間に基づく、上記トロイダル型無段変速機の変速比の変動量を低く抑える事が考えられる。そして、この変速比の変動量を抑える為には、上記プリセスカムのカム面のカムリードを大きくする事が考えられる。但し、単にこのカムリードを大きくした場合には、前述した非特許文献1の記載からも分かる様に、通常状態での変速制御が不安定になる為、好ましくない。
本発明の無段変速装置は、この様な事情に鑑みて発明したものである。
【0036】
【課題を解決するための手段】
本発明の無段変速装置は、前述した特許文献4〜5に記載される等により従来から知られている無段変速装置と同様に、入力軸と、出力軸と、トロイダル型無段変速機と、遊星歯車機構と、第一の動力伝達機構と、第二の動力伝達機構と、モード切換手段とを備える。
このうちの入力軸は、駆動源につながってこの駆動源により回転駆動されるものである。
又、上記出力軸は、上記入力軸の回転に基づく動力を取り出す為のものである。
又、上記トロイダル型無段変速機は、それぞれが断面円弧形の凹面である互いの内側面同士を対向させた状態で、互いに同心に、且つ互いに独立した回転自在に支持された入力側ディスク及び出力側ディスクと、これら入力側ディスク及び出力側ディスクの中心軸に対し捻れの位置にある枢軸を中心として揺動する複数の支持部材と、これら各支持部材に支持された状態で上記入力側ディスク及び出力側ディスク同士の間に挟持された、その周面を球状凸面としたパワーローラと、上記各支持部材を上記枢軸の軸方向に変位させる為の油圧式のアクチュエータと、このアクチュエータへの油圧の給排を制御する変速比制御弁と、上記各支持部材の変位に応じてこの変速比制御弁の弁構成部材を変位させるフィードバック機構とを備えたものである。
そして、上記フィードバック機構は、上記各支持部材のうちの何れかの支持部材を支持した枢軸と同心に結合され、この枢軸と共に軸方向及び回転方向に変位するプリセスカムと、このプリセスカムのカム面の変位を上記弁構成部材に伝達してこの弁構成部材を軸方向に変位させるリンク腕とを備えたものである。
又、前記遊星歯車機構は、少なくとも1個の太陽歯車と、この太陽歯車の周囲に配置した少なくとも1個のリング歯車と、これら太陽歯車とリング歯車との間に設けられてこの太陽歯車と同心に且つ回転自在に支持された少なくとも1個のキャリアに回転自在に支持された複数の遊星歯車とを備え、これら各遊星歯車を上記太陽歯車とリング歯車とに噛合させて成るものである。
又、前記第一の動力伝達機構は、上記入力軸に入力された動力を、上記トロイダル型無段変速機を介して、上記遊星歯車機構の構成部品に伝達するものである。
又、前記第二の動力伝達機構は、上記入力軸に入力された動力を上記トロイダル型無段変速機を介する事なく、上記遊星歯車機構の構成部品に伝達するものである。
そして、例えば、上記第一の動力伝達機構を通じて送られる動力と上記第二の動力伝達機構を通じて送られる動力とを、上記遊星歯車機構を構成する複数の部材のうちの2個の部材に伝達自在とすると共に、他の部材に上記出力軸を接続自在としている。
更に、前記モード切換手段は、上記入力軸に入力された動力が上記第一の動力伝達機構と上記第二の動力伝達機構とを通じて上記遊星歯車機構に送られる状態を切り換え、前進時の状態で2種類のモードを実現するものである。
特に、本発明の無段変速装置に於いては、前記カム面の一部で、上記モード切換手段が上記2種類のモードを切り換える状態で前記リンク腕の端部が当接している部分のカムリードを、他の部分のカムリードよりも大きくしている。
【0037】
【作用】
上述の様に構成する本発明の無段変速装置の場合、モード切換手段が2種類のモードを切り換える事に伴ってトロイダル型無段変速機の通過トルクが急激に変動しても、このトロイダル型無段変速機の変速比の変動を抑えられる。即ち、上記モードを切り換える際には、フィードバック機構を構成するリンク腕の端部が、カム面の一部でカムリードが大きくなった部分に当接している。従って、トルク変動に伴うパワーローラの変位に基づいて支持部材が本来の位置から傾斜した場合、この支持部材が少し傾斜しただけで、この支持部材が停止する(支持部材が中立位置に戻る)。この為、上記モード切り換えに伴う通過トルクの急変動時に、上記トロイダル型無段変速機の変速比の変化を少なく抑え、更にこの変速比に関するハンチングの発生を防止できる。
しかも、上記カム面の他の部分のカムリードは小さく抑えられている為、通常状態での変速制御を安定して行なえる。
【0038】
【発明の実施の形態】
図1〜8は、請求項1、2に対応する、本発明の実施の形態の第1例として、本発明をギヤード・ニュートラル型の無段変速装置に適用した場合に就いて示している。尚、図1〜7には縦横比等の寸法関係を、実際の寸法関係で示している。又、図3には、上半部にトロイダル型無段変速機の変速比が最大減速時の状態を、下半部に同じく最大増速時の状態を、それぞれ描いている。
【0039】
本例の無段変速装置は、特許請求の範囲に記載したトロイダル型無段変速機に対応するトロイダル型無段変速ユニット48と、それぞれが特許請求の範囲に記載した遊星歯車機構に相当する第一〜第三の遊星歯車式変速ユニット49〜51とを組み合わせて成り、入力軸1aと、出力軸52とを有する。図示の例では、これら入力軸1aと出力軸52との間に伝達軸53を、これら両軸1a、52と同心に、且つ、これら両軸1a、52に対する相対回転を自在に設けている。そして、上記第一、第二の遊星歯車式変速ユニット49、50を上記入力軸1aと上記伝達軸53との間に掛け渡す状態で、上記第三の遊星歯車式変速ユニット51をこの伝達軸53と上記出力軸52との間に掛け渡す状態で、それぞれ設けている。
【0040】
このうちのトロイダル型無段変速ユニット48は、1対の入力側ディスク2a、2bと、一体型の出力側ディスク5aと、複数のパワーローラ6、6と、それぞれが特許請求の範囲に記載した支持部材である複数のトラニオン7a、7aとを備える。そして、上記1対の入力側ディスク2a、2bは、上記入力軸1aを介して互いに同心に、且つ、同期した回転を自在として結合されている。又、上記出力側ディスク5aは、上記両入力側ディスク2a、2b同士の間に、これら両入力側ディスク2a、2bと同心に、且つ、これら両入力側ディスク2a、2bに対する相対回転を自在として支持されている。更に、上記各パワーローラ6、6は、軸方向に関して上記出力側ディスク5aの軸方向両側面と上記両入力側ディスク2a、2bの軸方向片側面との間に、それぞれ複数個ずつ(図示の例では2個ずつ)挟持されている。そして、これら両入力側ディスク2a、2bの回転に伴って回転しつつ、これら両入力側ディスク2a、2bから上記出力側ディスク5aに動力を伝達する。
【0041】
又、本例の場合、図2に示す様に、上記各パワーローラ6、6を支持する上記トラニオン7a、7aの長さ方向両端部に設けた、1対の折れ曲がり壁部54、54の先端部同士を、連結部材55、55により連結している。この様な連結部材55は、上記パワーローラ6を跨ぐ様に設けると共に、その両端面を上記トラニオン7aの各折れ曲がり壁部54、54の互いに対向する内側面に突き当てた状態で、ねじ56、56により、上記各トラニオン7a、7aに結合固定している。この様な連結部材55、55を設けた本例の場合には、これら各トラニオン7a、7aの曲げ剛性の向上を図れ、これら各トラニオン7a、7aを弾性変形しにくくできる。
【0042】
この結果、これら各トラニオン7a、7aの変形に基づく支持軸8a及び後述するロッド17aの傾斜を防止し、この支持軸8aの先半部に支持した上記各パワーローラ6、6や上記ロッド17aの先端部(下端部)に固定したプリセスカム18aの位置がずれるのを抑える事ができる。従って、後述する様に、このプリセスカム18aのカム面21aの形状を工夫した事と、このカム面21aとリンク腕19aの第一の腕片46との当接位置を工夫する事とにより、変速動作をより安定させる事ができる。尚、本例の場合、上記支持軸8aと、上記パワーローラ6を回転自在に支持するスラスト玉軸受57を構成する外輪とを、一体に形成している。
【0043】
更に、本例の場合には、上記出力側ディスク5aの軸方向両端部を、1対のスラストアンギュラ玉軸受58、58等の転がり軸受により、回転自在に支持している。この為に本例の場合には、上記各トラニオン7a、7aの両端部を支持する為の1対の支持板59a、59bを支持する為にケーシング60の内側に、アクチュエータボディー61を介して1対の支柱62、62を設けている。これら各支柱62、62はそれぞれ、前記入力軸1aを挟んで径方向反対側に、互いに同心に設けられた1対の支持ポスト部63a、63bを、円環状の支持環部64により連結して成る。上記入力軸1aは、この支持環部64の内側を挿通している。
【0044】
又、上記各支柱62、62の下端部は、上記アクチュエータボディー61の上面に、それぞれ複数本ずつのボルト65、65により結合固定している。これに対して上記各支柱62、62の上端部は、連結板66の下面に、それぞれボルト67、67により結合固定している。上記1対の支柱62、62は、この様に上記アクチュエータボディー61の上面と上記連結板66の下面との間に掛け渡す様に連結固定している。この状態で、上記各支柱62、62の両端部近傍に設けた、前記各支持ポスト部63a、63bのうち、下側の支持ポスト部63a、63aは、上記アクチュエータボディー61の上面の直上位置に存在する。そして、上記両支柱62、62の支持ポスト部63a、63aに、前記1対の支持板59a、59bのうちの下側の支持板59aを外嵌支持している。又、上側の支持ポスト部63b、63bは、上記連結板66の下面の直下位置に存在する。そして、上記両支柱62、62の支持ポスト部63b、63bに、前記1対の支持板59a、59bのうちの上側の支持板59bを外嵌支持している。
【0045】
又、上記1対の支柱62、62により互いに結合された、前記アクチュエータボディー61と上記連結板66とのうち、アクチュエータボディー61は前記ケーシング60の下部に固定している。この為に、このケーシング60の内面下端開口寄り部分に段部68a、68bを形成している。上記アクチュエータボディー61を上記ケーシング60内に固定する際には、このアクチュエータボディー61の上面幅方向両端寄り部分を上記各段部68a、68bに突き当てる。そして、上記アクチュエータボディー61の一部でこれら各段部68a、68bに整合する部分に形成したボルト挿通孔を下方から挿通した図示しないボルトを、上記各段部68a、68bに開口したねじ孔に螺合し更に緊締する。
【0046】
上記アクチュエータボディー61内には、前記各トラニオン7a、7aを、それぞれの両端部に互いに同心に設けた枢軸9、9の軸方向に変位させる為の、油圧式のアクチュエータ10、10を設けている。これら各アクチュエータ10、10を構成するピストン16、16と上記各トラニオン7a、7aとは、これら各トラニオン7a、7a及び枢軸9、9と一体のロッド17a、17bにより連結している。これら各ロッド17a、17bのうち、何れか1本のロッド17aは他のロッド17bよりも長くして、その先端部(下端部)を、上記アクチュエータボディー61の下面から突出させている。そして、上記1本のロッド17aの先端部に、本発明の特徴であるフィードバック機構を構成する、前記プリセスカム18aを外嵌固定している。
【0047】
このプリセスカム18aのカム面21aは、図6〜7に示す様に、緩傾斜部91と、この緩傾斜部91の高端側から連続する急傾斜部92とから成る。このうちの緩傾斜部91のカムリード(傾斜角度)は、例えば20mm/360度と、比較的小さな値にして、変速動作を安定して行なえる様にしている。これに対して上記急傾斜部92のカムリードは、例えば44mm/360度と、比較的大きな(例えば、緩傾斜部の2〜3倍程度の)値にして、上記プリセスカム18aが少し回動しただけでも、次述するスプール15aを十分に軸方向に変位させられる様にしている。
【0048】
前記トロイダル型無段変速ユニット48を組み立てた状態で上記カム面21aには、前述した様に、リンク腕19aの第一の腕片46の先端部を当接させている。そして、上記トラニオン7a及びロッド17aと共に上記プリセスカム18aが軸方向或は回転方向に変位した場合に、この変位を、上記リンク腕19aを介して前記変速比制御弁12のスプール15aに伝達する様にしている。又、上記急傾斜部92に上記第一の腕片46の先端部が当接するのは、上記トロイダル型無段変速ユニット48が、図3の上半部に示す様に、最大減速状態となった場合及びその近傍状態としている。言い換えれば、上記トロイダル型無段変速ユニット48が最大減速状態及びその近傍状態である場合以外は、上記第一の腕片46の先端部は上記緩傾斜部91に当接する様にしている。
【0049】
又、本例の場合には、前記カム面21aと上記第一の腕片46の先端部とが滑り接触している接触点xを、次の様に規制している。即ち、この接触点xを、前記各入力側ディスク2a、2bと前記出力側ディスク5aとの間の変速状態を最大減速状態とした状態での、上記プリセスカム18aを設けたトラニオン7aに支持したパワーローラ6の回転中心軸に平行(一致する場合も含む)な仮想直線を含み、且つ、上記プリセスカム18aの揺動中心(トラニオン7aの端部に設けた枢軸9の中心と同じ)を通過する仮想平面上に位置させている。
【0050】
上記トロイダル型無段変速ユニット48を組み込んだ本例の無段変速装置の場合、無段変速装置全体としての変速比は、後述する様に、低速モード時には、上記トロイダル型無段変速ユニット48の変速比を減速側にする程増速側に変化する。これに対して、高速モード時には、上記トロイダル型無段変速ユニット48の変速比を増速側にする程増速側に変化する。従って、低速モードと高速モードとの切り換えは、上記トロイダル型無段変速ユニット48が最大減速状態で行なう。この様にこのトロイダル型無段変速ユニット48が最大減速状態である場合に、上記プリセスカム18aと上記ロッド17aにより連結されたトラニオン7aに支持されたパワーローラ6の回転中心軸(支持軸8aの先半部の中心軸)は、図4の鎖線α方向に存在する。そして、上記プリセスカム18aを軸方向に見た場合に、前記カム面21aの急傾斜部92は、上記鎖線αと重なり合って、この急傾斜部92と前記第一の腕片46の先端部とが当接する。
【0051】
前記接触点xは、この様な鎖線αと上記プリセスカム18aをその先端部に固定したロッド17aの中心軸とを含む仮想平面、即ち、図4で、上記鎖線α上で紙面の直角方向に存在する仮想平面上に位置する。上記トロイダル型無段変速ユニット48が最大減速状態にあり、上記パワーローラ6の回転中心軸が上記鎖線αと平行な状態で、このパワーローラ6に加わるスラスト荷重に基づいて前記トラニオン7aが弾性変形すると、上記プリセスカム18aの中心軸(揺動中心軸)は、上記鎖線α上を移動する。そして、上記接触点xも、この鎖線α上で前記カム面21aに対し、上記プリセスカム18aの直径方向に変位する。このカム面21aの高さは、このプリセスカム18aの直径方向に関しては変化しない為、上記接触点xが上記鎖線α上で変位しても、この接触点xは図4の表裏方向には変位しない。従って、上記第一の腕片46と、ロッド部69及び第二の腕片47を介して連結されたスプール15aが押し引きされる事はなく、このスプール15aを含んで構成される変速比制御弁12が切り換わる事はない。
【0052】
尚、好ましくは、上記第一の腕片46の先端部を球状に形成し、この先端部と上記カム面21aとを点接触させる。この様に構成すれば、このカム面21aに対する上記リンク腕19aの配設方向を特に規制しなくても、これらカム面21aと上記第一の腕片46の先端部との接触状態を適正にできる。これに対して、この第一の腕片46の先端部と上記カム面21aとが線接触する構造を採用した場合には、上記プリセスカム18aの変位(通常の回転及び軸方向変位及びトラニオンの弾性変形に伴う変位)に拘らず、上記先端部とカム面21aとの当接状態が不良にならない様にすべく、上記第一の腕片46を含むリンク腕19aの配設方向を規制する事が好ましい。
【0053】
一方、前記連結板66は、前記ケーシング60内の所定位置に設置されている。図示の例の場合、この連結板66の上面と、前記ケーシング60の天板部70の下面との、互いに対向する部分にそれぞれ形成した位置決め凹部71a、71b同士の間に、円筒状の位置決めスリーブ72、72を掛け渡している。この構造により、前記1対の支柱62、62の上下両端部を上記ケーシング60に対し、位置決めした状態で支持固定している。
【0054】
この様にして上記ケーシング60内の所定位置に固定した1対の支柱62、62の中間部に設けられ、それぞれが前記入力側ディスク2a、2bと前記出力側ディスク5aとの側面同士の間に存在する各キャビティ(空間)の中央部に存在する前記各支持環部64、64により、前記出力側ディスク5aを、回転自在に支持している。この為に、これら各支持環部64、64とこの出力側ディスク5aの軸方向両端面、即ち、この出力側ディスク5aの軸方向両側面に設けた出力側面よりも内径側部分との間に、前記各スラストアンギュラ玉軸受58、58を設けている。この構成により上記出力側ディスク5aを、各キャビティ内に1対ずつ設けた上記各支柱62、62同士の間に、回転自在に支持している。尚、本例の場合、上記出力側ディスク5aの外周縁に径方向に関する凹凸を円周方向等間隔に設けると共に、上記ケーシング60に固定した回転速度検出用のセンサ73の検出部を上記出力側ディスク5aの外周縁に近接対向させる事により、この出力側ディスク5aの回転速度を検出自在としている。
【0055】
又、本発明の無段変速装置の場合、図示しない駆動源であるエンジンのクランクシャフトに前記入力軸1aの基端部(図1の左端部)を、駆動軸74を介して結合し、このクランクシャフトにより上記入力軸1aを回転駆動する様にしている。又、前記両入力側ディスク2a、2bの軸方向片側面及び上記出力側ディスク5aの軸方向両側面と上記各パワーローラ6、6の周面との転がり接触部(トラクション部)に適正な面圧を付与する為の押圧装置23aとして、油圧式のものを使用している。又、前記ケーシング60の前端壁75に内蔵した、油圧源であるギヤポンプ76により、上記押圧装置23a及び変速の為にトラニオン7a、7aを変位させる為の油圧式のアクチュエータ10、10、並びに、特許請求の範囲に記載したモード切換手段を構成する後述する低速用クラッチ44a及び高速用クラッチ29aを断接させる為の油圧シリンダに、圧油を供給自在としている。
【0056】
又、上記出力側ディスク5aに中空回転軸77の基端部(図1、3の左端部)をスプライン係合させている。そして、この中空回転軸77を、エンジンから遠い側(図1、3の右側)の入力側ディスク2bの内側に挿通して、上記出力側ディスク5aの回転力を取り出し自在としている。更に、上記中空回転軸77の先端部(図1、3の右端部)で上記入力側ディスク2bの外側面から突出した部分に、前記第一の遊星歯車式変速ユニット49を構成する為の、第一の太陽歯車78を固設している。
【0057】
一方、上記入力軸1aの先端部(図1、3の右端部)で上記中空回転軸77から突出した部分と上記入力側ディスク2bとの間に、第一のキャリア79を掛け渡す様に設けて、この入力側ディスク2bと上記入力軸1aとが、互いに同期して回転する様にしている。そして、上記第一のキャリア79の軸方向両側面の円周方向等間隔位置(一般的には3〜4個所位置)に、それぞれがダブルピニオン型である前記第一、第二の遊星歯車式変速ユニット49、50を構成する為の遊星歯車80〜82を、回転自在に支持している。更に、上記第一のキャリア79の片半部(図1の右半部)周囲に第一のリング歯車83を、回転自在に支持している。
【0058】
上記各遊星歯車80〜82のうち、前記トロイダル型無段変速ユニット48寄り(図1、3の左寄り)で上記第一のキャリア79の径方向に関して内側に設けた遊星歯車80は、上記第一の太陽歯車78に噛合している。又、上記トロイダル型無段変速ユニット48から遠い側(図1、3の右側)で上記第一のキャリア79の径方向に関して内側に設けた遊星歯車81は、特許請求の範囲に記載した第二の動力伝達機構を構成する前記伝達軸53の基端部(図1の左端部)に固設した、第二の太陽歯車84に噛合している。又、上記第一のキャリア79の径方向に関して外側に設けた、残りの遊星歯車82は、上記内側に設けた遊星歯車80、81よりも軸方向寸法を大きくして、これら両遊星歯車80、81に噛合させている。更に、上記残りの遊星歯車82と上記第一のリング歯車83とを噛合させている。尚、径方向外寄りの遊星歯車を、第一、第二の遊星歯車式変速ユニット49、50同士の間で互いに独立させる代りに、幅広のリング歯車をこれら両遊星歯車に噛合させる構造も、採用可能である。
【0059】
一方、前記第三の遊星歯車式変速ユニット51を構成する為の第二のキャリア85を、前記出力軸52の基端部(図1の左端部)に結合固定している。そして、この第二のキャリア85と上記第一のリング歯車83とを、前記低速用クラッチ44aを介して結合し、特許請求の範囲に記載した第一の動力伝達機構を構成している。又、上記伝達軸53の先端寄り(図1の右端寄り)部分に第三の太陽歯車86を固設している。又、この第三の太陽歯車86の周囲に、第二のリング歯車87を配置し、この第二のリング歯車87と前記ケーシング60等の固定の部分との間に、前記高速用クラッチ29aを設けている。更に、上記第二のリング歯車87と上記第三の太陽歯車86との間に配置した複数組の遊星歯車88、89を、上記第二のキャリア85に回転自在に支持している。これら各遊星歯車88、89は、互いに噛合すると共に、上記第二のキャリア85の径方向に関して内側に設けた遊星歯車88は上記第三の太陽歯車86に、同じく外側に設けた遊星歯車89は上記第二のリング歯車87に、それぞれ噛合している。
【0060】
上述の様に構成する本例の無段変速装置の場合、入力軸1aから1対の入力側ディスク2a、2b、各パワーローラ6、6を介して一体型の出力側ディスク5aに伝わった動力は、前記中空回転軸77を通じて取り出される。そして、前記低速用クラッチ44aを接続し、前記高速用クラッチ29aの接続を断った状態では、前記トロイダル型無段変速ユニット48の変速比を変える事により、上記入力軸1aの回転速度を一定にしたまま、上記出力軸52の回転速度を、停止状態を挟んで正転、逆転に変換自在となる。
【0061】
即ち、この状態では、上記入力軸1aと共に正方向に回転する第一のキャリア79と、上記中空回転軸77と共に逆方向に回転する前記第一の太陽歯車78との差動成分が、前記第一のリング歯車83から、前記低速用クラッチ44a、前記第二のキャリア85を介して、上記出力軸52に伝達される。この状態では、上記トロイダル型無段変速ユニット48の変速比を所定値にする事で上記出力軸52を停止させられる他、このトロイダル型無段変速ユニット48の変速比を上記所定値から増速側に変化させる事により上記出力軸52を、車両を後退させる方向に回転させられる。これに対して、上記トロイダル型無段変速ユニット48の変速比を上記所定値から減速側に変化させる事により上記出力軸52を、車両を前進させる方向に回転させられる。
【0062】
更に、上記低速用クラッチ44aの接続を断ち、上記高速用クラッチ29aを接続した状態では、上記出力軸52を、車両を前進させる方向に回転させる。即ち、この状態では、上記入力軸1aと共に正方向に回転する第一のキャリア79と、上記中空回転軸77と共にこの第一のキャリア79と逆方向に回転する前記第一の太陽歯車78との差動成分に応じて回転する、前記第一の遊星歯車式変速ユニット49の遊星歯車80の回転が、別の遊星歯車82を介して、前記第二の遊星歯車式変速ユニット50の遊星歯車81に伝わり、前記第二の太陽歯車84を介して、前記伝達軸53を回転させる。そして、この伝達軸53の先端部に設けた第三の太陽歯車86と、この第三の太陽歯車86と共に前記第三の遊星歯車式変速ユニット51を構成する第二のリング歯車87及び遊星歯車88、89との噛合に基づき、前記第二のキャリア85及びこの第二のキャリア85に結合した上記出力軸52を、前進方向に回転させる。この状態では、上記トロイダル型無段変速ユニット48の変速比を増速側に変化させる程、上記出力軸52の回転速度を速くできる。
【0063】
図8は、上記トロイダル型無段変速ユニット48(Variator)の変速比(減速比)と、無段変速装置全体としての速度比と、このトロイダル型無段変速機48を通過するトルク(通過トルク)との関係の1例を示している。図8の左側の縦軸は、上記トロイダル型無段変速ユニット48の変速比を、同じく右側の縦軸は通過トルクを、同じく横軸は無段変速装置全体としての速度比を、それぞれ表している。尚、この横軸は、上記トロイダル型無段変速機48の入力軸1aを4500min-1 で回転させた場合の車速として表している。又、図8の実線aが、上記トロイダル型無段変速ユニット48の変速比と無段変速装置全体としての速度比との関係を表している。
【0064】
この様な図8の実線aから明らかな通り、前記低速用クラッチ44aを接続し、前記高速用クラッチ29aの接続を断った状態で、上記トロイダル型無段変速ユニット48の変速比を0.6程度とする事により、上記入力軸1aを回転させた状態のまま、前記出力軸52を停止させる事ができる。又、上記トロイダル型無段変速ユニット48の変速比を、0.6程度を境にして変化させる事により、車両を前進或は後退させる事ができる。更に、上記トロイダル型無段変速ユニット48の変速比が2.2〜2.3程度を境に、上記低速用クラッチ44aの接続を断ち、上記高速用クラッチ29aを接続した状態で、上記トロイダル型無段変速ユニット48の変速比を増速側に変化させる事により、車両の速度を速くできる。尚、無段変速装置全体としての速度比が大きい場合(車速が0に近い場合)には、エンジンの出力を低くして、駆動輪に過大な(スリップを生じる程の)トルクが加わらない様にしている。
【0065】
上述の様な無段変速装置の作動時に上記トロイダル型無段変速ユニット48の通過トルクは、図8に破線b1 、b2 で示す様に変化する。この通過トルクを表す曲線b1 、b2 の不連続部は、上記低速用クラッチ44aと上記高速用クラッチ29aとの断接により、高速モードと低速モードとの切り換えを行なう事に伴って生じる。そして、上記不連続部では、上記トロイダル型無段変速ユニット48を通過するトルク(通過トルク)の大きさと方向とが急変動する。前述した従来構造の様に、プリセスカムのカム面のカムリードが全長に亙って小さい場合には、この様な通過トルクの急変動に伴って、前述した様な変速比の急変動及びハンチングが発生する。
【0066】
これに対して本例の場合には、上記曲線b1 、b2 の不連続部に対応する部分、即ち、上記トロイダル型無段変速ユニット48の変速比が最大減速状態である場合には、前記リンク腕19aを構成する第一の腕片46の先端部が、前記プリセスカム18aに設けたカム面21aの急傾斜部92に当接している。従って、[発明が解決しようとする課題]部分で述べた通り、上記通過トルクの変動に伴う前記各パワーローラ6、6の変位に基づいて前記各トラニオン7a、7aが、前記各枢軸9、9を中心として本来の位置から傾斜した場合、これら各トラニオン7a、7aが少し傾斜しただけで、これら各トラニオン7a、7aが停止する(各トラニオン7a、7aが中立位置に戻る)。この為、上記モード切り換えに伴う通過トルクの急変動時に、上記トロイダル型無段変速ユニット48の変速比の変化を少なく抑え、更にこの変速比に関するハンチングの発生を防止できる。尚、上記急傾斜部92の設置範囲は、上記通過トルクの急変動に基づく上記トラニオン7aの傾動に拘らず、上記第一の腕片46の先端部が上記急傾斜部92に当接したままとなる範囲で、できるだけ狭くする事が好ましい。
【0067】
即ち、上記モード切換に伴う通過トルクの変動に伴って上記各パワーローラ6、6が上記各枢軸9、9の軸方向に変位すると、これら各パワーローラ6、6の周面と、前記入力側、出力側各ディスク2a、2b、5aの側面との転がり接触部に発生するサイドスリップにより、上記各トラニオン7a、7aが上記各枢軸9、9を中心として、本来の最大減速位置から、揺動を開始する。この揺動は、上記プリセスカム18aのカム面21aの変位が、上記リンク腕19aを介して前記変速比制御弁12のスプール15aに伝達され、この変速比制御弁12が切り換えられて上記各トラニオン7a、7aを介して上記各パワーローラ6、6が、上記各枢軸9、9の軸方向に関して、中立位置に復帰させられる事で停止する。本例の場合、上記通過トルクの急変動時に、上記リンク腕19aを構成する第一のリンク腕46の先端部が、上述の様に、カム面21aの急傾斜部92に当接している。この為、上記各トラニオン7a、7aの傾斜角度の変化量に対する上記スプール15aの軸方向の変位量が大きくなる。従って、上記通過トルクの急変動に伴う、上記トロイダル型無段変速ユニット48の変速比の変化を少なく抑えられる。そして、この変速比の変化を少なく抑えられる為、この変速比に関するハンチングの発生を防止できる。
【0068】
更に、本例の無段変速装置の場合には、前述した様に、変速比制御弁12のスプール15aを変位させる為のプリセスカム18aとリンク腕19aとの位置関係を工夫しているので、前記ロッド17aを介して上記プリセスカム18aを支持した前記トラニオン7aの弾性変形に伴う、前記不必要な変速比の変動を低く抑える事ができる。即ち、前述した通り、前記トルク変動に伴う前記トラニオン7aの弾性変形によって上記プリセスカム18aが(径方向に)変位した場合でも、この変位が上記リンク腕19aの変位に結び付きにくい為、上記スプール15aが不必要に変位する事を防止して、上記変速比の変動を抑える事ができる。
【0069】
次に、図9〜10は、請求項1、3に対応する、本発明の実施の形態の第2例として、本発明を、前述の図15に示した様な、パワー・スプリット型の無段変速装置に適用した場合に就いて示している。パワー・スプリット型の無段変速装置の場合、高速用クラッチ29と低速用クラッチ44(図15参照)との断接に伴う、低速モードと高速モードとの切換時に、上記無段変速装置に組み込んだトロイダル型無段変速ユニット48aは、最大増速状態にある。そして、モード切り換えに伴って、このトロイダル型無段変速ユニット48aを通過するトルク(通過トルク)の方向と大きさとが変化する。そして、前述した従来構造の様に、プリセスカムのカム面のカムリードが全長に亙って小さい場合には、この様な通過トルクの急変動に伴って、前述した様な変速比の急変動及びハンチングが発生する。
【0070】
これに対して本例の場合には、プリセスカム18bに設けたカム面21bの一部で、上記トロイダル型無段変速ユニット48aの変速比が最大増速状態である場合にリンク腕19aを構成する第一の腕片46の先端部が当接する部分に、急傾斜部92aを設けている。即ち、本例の場合には、上記プリセスカム18bのカム面21bは、緩傾斜部91aと、この緩傾斜部91aの低端側から連続する急傾斜部92aとから成る。このうちの緩傾斜部91aのカムリード(傾斜角度)は、例えば20mm/360度と、比較的小さな値にして、変速動作を安定して行なえる様にしている。これに対して上記急傾斜部92aのカムリードは、例えば44mm/360度と、比較的大きな値にして、上記プリセスカム18bが少し回動しただけでも、変速比制御弁12するスプール15aを十分に軸方向に変位させられる様にしている。上記急傾斜部92aの設置範囲については、前述した第1例の場合と同様に考える。
【0071】
この様に構成する本例の場合も、前記高速用クラッチ29と低速用クラッチ44との断接に伴う、低速モードと高速モードとの切換時モードを切り換える事に伴ってトロイダル型無段変速機の通過トルクが急激に変動しても、このトロイダル型無段変速機の変速比の変動を抑えられる。この点に就いて確認する為に本発明者が行なった実験の結果に就いて、図11により説明する。
【0072】
この実験の条件は、カムリードの点を除き、前述の図18にその結果を示した実験の場合と同様である。即ち、トロイダル型無段変速機を最大増速状態(変速比0.5)とした状態で、入力軸を2000min-1 を目標に回転させつつ、上記トロイダル型無段変速機を通過するトルクを、0.5秒弱の間に、+350Nmから−280Nmにまで変動させた。但し、プリセスカムのカム面のカムリードは、44mm/360度とした。
【0073】
この様な条件で行なった実験の結果を表した図11中、(A)の実線は入力軸の回転速度と経過時間との関係を、同じく破線は出力軸の回転速度と経過時間との関係を、(B)の実線は入力軸のトルクと経過時間との関係を、同じく破線は出力軸のトルクと経過時間との関係を、それぞれ表している。この様な実験の結果を表した図11から明らかな通り、プリセスカムのカムリードが大きい(44mm/360度)場合には、通過トルクの急変動に拘らず、トロイダル型無段変速機の変速比の変動並びにハンチングの発生を抑えられる。
【0074】
【発明の効果】
本発明は、以上に述べた通り構成され作用するので、トルクの急変動時にトロイダル型無段変速機の変速比が大きく変動したり、更にハンチングを起こす事を防止して、乗員に違和感を与える事のない無段変速装置を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態の第1例を示す断面図。
【図2】図1の拡大A−A断面図。
【図3】同拡大B−B断面図。
【図4】一部を省略して示す底面図。
【図5】図4のC−C断面図。
【図6】プリセスカムを含むフィードバック機構部分を説明する為の断面図。
【図7】プリセスカムを取り出して示す斜視図。
【図8】トロイダル型無段変速機の変速比及び通過トルクと無段変速装置全体の変速比(速度比)との関係を示す線図。
【図9】本発明の実施の形態の第2例を示す、図6と同様の図。
【図10】同じく図7と同様の図。
【図11】上記第2例の効果を確認する為に行なった実験の結果を示す線図。
【図12】無段変速装置に組み込まれるトロイダル型無段変速機の1例を示す断面図。
【図13】図12のD−D断面図。
【図14】図12のE−E断面図。
【図15】本発明の対象となる、トロイダル型無段変速機を組み込んだ無段変速装置の1例を示す略断面図。
【図16】従来使用されていたプリセスカムを取り出して示す斜視図。
【図17】このプリセスカムを含むフィードバック機構部分を説明する為の断面図。
【図18】従来構造で行なった実験の結果を示す線図。
【符号の説明】
1、1a 入力軸
2、2a、2b 入力側ディスク
3 ボールスプライン
4 出力歯車
5、5a 出力側ディスク
6 パワーローラ
7、7a トラニオン
8、8a 支持軸
9 枢軸
10 アクチュエータ
11 支持板
12 変速比制御弁
13 ステッピングモータ
14 スリーブ
15、15a スプール
16 ピストン
17、17a、17b ロッド
18、18a、18b プリセスカム
19、19a リンク腕
20 同期ケーブル
21、21a、21b カム面
22 駆動軸
23、23a 押圧装置
24 トロイダル型無段変速機
25 遊星歯車式変速機
26 リング歯車
27 支持板
28 伝達軸
29、29a 高速用クラッチ
30 エンジン
31 クランクシャフト
32 発進クラッチ
33 出力軸
34 太陽歯車
35 遊星歯車
36a、36b 遊星歯車素子
37 キャリア
38 動力伝達機構
39 伝達軸
40a、40b スプロケット
41 チェン
42 第一の歯車
43 第二の歯車
44、44a 低速用クラッチ
45 後退用クラッチ
46 第一の腕片
47 第二の腕片
48、48a トロイダル型無段変速ユニット
49 第一の遊星歯車式変速ユニット
50 第二の遊星歯車式変速ユニット
51 第三の遊星歯車式変速ユニット
52 出力軸
53 伝達軸
54 折れ曲がり壁部
55 連結部材
56 ねじ
57 スラスト玉軸受
58 スラストアンギュラ玉軸受
59a、59b 支持板
60 ケーシング
61 アクチュエータボディ
62 支柱
63a、63b 支持ポスト部
64 支持環部
65 ボルト
66 連結板
67 ボルト
68a、68b 段部
69 ロッド部
70 天板部
71a、71b 位置決め凹部
72 位置決めスリーブ
73 センサ
74 駆動軸
75 前端壁
76 ギヤポンプ
77 中空回転軸
78 第一の太陽歯車
79 第一のキャリア
80 遊星歯車
81 遊星歯車
82 遊星歯車
83 第一のリング歯車
84 第二の太陽歯車
85 第二のキャリア
86 第三の太陽歯車
87 第二のリング歯車
88 遊星歯車
89 遊星歯車
91、91a 緩傾斜部
92、92a 急傾斜部

Claims (3)

  1. 入力軸と、出力軸と、トロイダル型無段変速機と、遊星歯車機構と、第一の動力伝達機構と、第二の動力伝達機構と、モード切換手段とを備え、
    このうちの入力軸は、駆動源につながってこの駆動源により回転駆動されるものであり、
    上記出力軸は、上記入力軸の回転に基づく動力を取り出す為のものであり、
    上記トロイダル型無段変速機は、それぞれが断面円弧形の凹面である互いの内側面同士を対向させた状態で、互いに同心に、且つ互いに独立した回転自在に支持された入力側ディスク及び出力側ディスクと、これら入力側ディスク及び出力側ディスクの中心軸に対し捻れの位置にある枢軸を中心として揺動する複数の支持部材と、これら各支持部材に支持された状態で上記入力側ディスク及び出力側ディスク同士の間に挟持された、その周面を球状凸面としたパワーローラと、上記各支持部材を上記枢軸の軸方向に変位させる為の油圧式のアクチュエータと、このアクチュエータへの油圧の給排を制御する変速比制御弁と、上記各支持部材の変位に応じてこの変速比制御弁の弁構成部材を変位させるフィードバック機構とを備えたものであり、
    このフィードバック機構は、上記各支持部材のうちの何れかの支持部材を支持した枢軸と同心に結合され、この枢軸と共に軸方向及び回転方向に変位するプリセスカムと、このプリセスカムのカム面の変位を上記弁構成部材に伝達してこの弁構成部材を軸方向に変位させるリンク腕とを備えたものであり、
    上記遊星歯車機構は、少なくとも1個の太陽歯車と、この太陽歯車の周囲に配置した少なくとも1個のリング歯車と、これら太陽歯車とリング歯車との間に設けられてこの太陽歯車と同心に且つ回転自在に支持された少なくとも1個のキャリアに回転自在に支持された複数の遊星歯車とを備え、これら各遊星歯車を上記太陽歯車とリング歯車とに噛合させて成るものであり、
    上記第一の動力伝達機構は、上記入力軸に入力された動力を、上記トロイダル型無段変速機を介して、上記遊星歯車機構の構成部品に伝達するものであり、
    上記第二の動力伝達機構は、上記入力軸に入力された動力を上記トロイダル型無段変速機を介する事なく、上記遊星歯車機構の構成部品に伝達するものであり、
    上記モード切換手段は、上記入力軸に入力された動力が上記第一の動力伝達機構と上記第二の動力伝達機構とを通じて上記遊星歯車機構に送られる状態を切り換え、前進時の状態で2種類のモードを実現するものである無段変速装置に於いて、
    上記カム面の一部で、上記モード切換手段が上記2種類のモードを切り換える状態で上記リンク腕の端部が当接している部分のカムリードを、他の部分のカムリードよりも大きくした事を特徴とする無段変速装置。
  2. モード切換手段が、トロイダル型無段変速機が最大減速状態である場合に、2種類のモード間での切換を行なうものであり、プリセスカムに形成したカム面のうちで、上記最大減速状態でリンク腕の端部が当接する部分のカムリードが、他の部分のカムリードよりも大きい、請求項1に記載した無段変速装置。
  3. モード切換手段が、トロイダル型無段変速機が最大増速状態である場合に、2種類のモード間での切換を行なうものであり、プリセスカムに形成したカム面のうちで、上記最大増速状態でリンク腕の端部が当接する部分のカムリードが、他の部分のカムリードよりも大きい、請求項1に記載した無段変速装置。
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